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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/74 20180101AFI20230316BHJP
【FI】
F24F11/74
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019116145
(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公開番号】P2021001711
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】巽 浩二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮太
(72)【発明者】
【氏名】中島 泰士
(72)【発明者】
【氏名】平岡 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】大和田 淳
(72)【発明者】
【氏名】枡川 依士夫
(72)【発明者】
【氏名】大西 直紀
(72)【発明者】
【氏名】小野 永吉
(72)【発明者】
【氏名】下 泰蔵
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-094899(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0010489(US,A1)
【文献】特開平10-089752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体が流れる熱交換器及び第1ファン(21)を有するエアハンドリングユニット(20)と、
供給空気を対象空間に吹き出す第2ファン(31)をそれぞれ有する複数のファンユニット(30)と、
前記エアハンドリングユニットから前記第1ファンにより送出される供給空気を、前記複数のファンユニットに分配するダクト(40)と、
前記第1ファンを制御するコントローラ(50)と、
を備え、
前記コントローラは、前記複数の第2ファンの中の少なくとも一つが所定回転数以下で、前記所定回転数以下の第2ファンを有するファンユニットの風量が目標値以上で、且つ、前記エアハンドリングユニットから送出される空気の量が閾値以下になるという条件が満たされた場合に、前記第1ファンの運転を停止させる、空気調和システム(10)。
【請求項2】
前記所定回転数が、第2ファンの最低回転数である、
請求項1に記載の空気調和システム(10)。
【請求項3】
前記コントローラは、前記対象空間の環境が、前記複数のファンユニットの中の少なくとも1つのファンユニットに設定された設定環境に達しておらず、且つ前記少なくとも1つのファンユニットの風量が目標値に達していない状態が所定時間続いたときに、前記条件を満たして停止された前記第1ファンの運転を再開させる、
請求項1または請求項2に記載の空気調和システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エアハンドリングユニットを備える空気調和システム
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1(特開平10-253132号公報)に記載されているような、熱交換器及び空調用ファンを有する空調ユニットと、送風ファンを有する複数の通気ユニットと、空調ユニットから通気ユニットに調和空気を分配するダクトとを備える空気調和システムが知られている。この空気調和システムでは、部屋の空気調和のために送風ファンの回転数が制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されている空気調和システムでは、通気ユニットの送風ファンが最低の回転数で駆動されているときには、さらに通気ユニットから吹出させる風量を調整するには電動シャッタまたは電動ダンパなどの構成が必要になる。
【0004】
このような空気調和システムには、風量が少ない場合の調整機能を実現するためのコストを削減するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の空気調和システムは、熱媒体が流れる熱交換器及び第1ファンを有するエアハンドリングユニットと、供給空気を対象空間に吹き出す第2ファンをそれぞれ有する複数のファンユニットと、エアハンドリングユニットから第1ファンにより送出される供給空気を、複数のファンユニットに分配するダクトと、第1ファンを制御するコントローラと、を備え、コントローラは、複数の第2ファンの中の少なくとも一つが所定回転数以下で、所定回転数以下の第2ファンを有するファンユニットの風量が目標値以上で、且つ、エアハンドリングユニットから送出される空気の量が閾値以下になるという条件が満たされた場合に、第1ファンの運転を停止させる。
【0006】
第1観点の空気調和システムでは、コントローラが、第1ファンの運転を停止させることで、所定回転数以下の第2ファンを有するファンユニットの風量を目標値と同じかそれより少なくし易くする。コントローラの制御により風量が少ない場合の調整を実現することで、風量が少ない場合の調整機能を実現するためのコストを削減することができる。
【0007】
第2観点の空気調和システムは、第1観点のシステムであって、所定回転数が、第2ファンの最低回転数である。
【0008】
第2観点の空気調和システムでは、コントローラが、第1ファンの運転を停止させることで、最低回転数の第2ファンを有するファンユニットの風量を目標値と同じかそれより少なくし易くする。
【0009】
第3観点の空気調和システムは、第1観点または第2観点のシステムであって、コントローラは、対象空間の環境が、複数のファンユニットの中の少なくとも1つのファンユニットに設定された設定環境に達しておらず、且つ少なくとも1つのファンユニットの風量が目標値に達していない状態が所定時間続いたときに、条件を満たして停止された第1ファンの運転を再開させる。
【0010】
第3観点の空気調和システムでは、コントローラが、第1ファンの運転を再開させることにより、ファンユニットの風量を目標値に到達させる時間を短縮し、対象空間の環境を速く設定環境に到達させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る空気調和システムの構成を示す概念図。
図2】コントローラの構成を説明するためのブロック図。
図3】空気調和システムの特徴的な動作を説明するためのフローチャート。
図4】変形例に係る空気調和システムの構成の他の例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)全体構成
図1に示されている空気調和システム10は、エアハンドリングユニット20と、ファンユニット30と、ダクト40と、コントローラ50とを備えている。エアハンドリングユニット20は、第1ファン21と熱交換器22を有する。複数のファンユニット30は、それぞれ、第2ファン31を有する。各第2ファン31は、空気をファンユニット30から対象空間100に供給する。対象空間100は、例えば、建物内の部屋である。部屋は、例えば、床、天井及び壁によって空気の移動が制限された空間である。1つまたは複数の対象空間100に対して、複数のファンユニット30が配設される。図1には、複数のファンユニット30を備える空気調和システム10の代表例として、2つのファンユニット30を備える空気調和システム10が1つの対象空間100に対して配設されている例が示されている。ファンユニット30の個数は、3以上であってもよく、適宜設定されるものである。先にも述べたが、ファンユニット30が配設される対象空間100は、2以上であってもよい。
【0013】
ダクト40は、エアハンドリングユニット20から第1ファン11により送出される空気SAを、複数のファンユニット30に分配する。ここでは、第1ファン21から吹出される空気は、全てダクト40に流れ込むように構成されている。
【0014】
各ファンユニット30と、対象空間100とは、通風路81により繋がっている。各第2ファン31は、ファンユニット30の中で、ダクト40から通風路81に向う気流を発生させる。各第2ファン31は、回転数を変更することにより各ファンユニット30の中(通風路81の手前)の静圧を変更することができる。各第2ファン31は、ダクト40の静圧が一定であるとすると、回転数を大きくすることにより、各ファンユニット30の中(通風路81の手前)の静圧を高くすることができる。ファンユニット30の中の静圧が高くなると、通風路81を流れる空気SAの空気量が多くなる。このように流れる空気量が変わることによって、各通風路81の出口81bから対象空間100に吹出される給気風量が変わる。
【0015】
コントローラ50は、メインコントローラ51と複数のサブコントローラ52とを含んでいる。メインコントローラ51と複数のサブコントローラ52とが互いに接続されて、コントローラ50が構成されている。メインコントローラ51が第1ファン21の出力を制御する。第1ファン21の出力が高くなれば、第1ファン21の送風量が多くなる方向に第1ファン21の状態が変わる。
【0016】
各ファンユニット30に対しては、1つのサブコントローラ52が設けられている。各サブコントローラ52は、対応する第2ファン31に風量変更に関する指示を出す。各サブコントローラ52は、目標風量を記憶している。各サブコントローラ52は、目標風量に対して給気風量が不足していれば第2ファン31の回転数を増加させる指示(風量変更に関する指示)を出す。逆に、サブコントローラ52は、目標風量に対して給気風量が過剰であれば、第2ファン31の回転数を減少させる指示(風量変更に関する指示)を出す。
【0017】
コントローラ50は、複数の第2ファン31により対象空間100に供給される空気の空気量の情報を得る。空気量の情報は、例えば、1秒間当たりに対象空間100に供給すべき空気量であり、この供給すべき空気量を言い換えると必要給気風量ということになる。得られた空気量の情報を基に第1ファン21の要求出力を決定する。コントローラ50は、決定した要求出力になるように、第1ファン21の出力を制御する。具体的には、各サブコントローラ52が、対応するファンユニット30から、当該ファンユニット30の空気量の情報を得ている。各サブコントローラ52は、空気量の情報をメインコントローラ51に出力する。
【0018】
第1ファン21の出力の制御において、特に、コントローラ50は、複数の第2ファン31の中の少なくとも一つが所定回転数以下で、所定回転数以下の第2ファン31を有するファンユニット30の風量が目標値(目標風量の値)以上で、且つ、エアハンドリングユニット20から送出される空気の量が閾値以下になるという条件が満たされた場合に、第1ファン21の運転を停止させる。このような状態で、第1ファン21の運転を停止させると、ファンユニット30に接続されているダクト40の静圧が低下し、所定回転数以下の第2ファン31でも、通風路81に送り出す給気風量を低下させ易くなる。
【0019】
(2)詳細構成
(2-1)エアハンドリングユニット20
エアハンドリングユニット20は、既に説明した第1ファン21及び熱交換器22以外に、第1風量検知手段23、温度センサ24及び水量調整弁25を有している。熱交換器22には、熱源ユニット60から熱媒体として例えば冷水または温水が供給される。熱交換器22に供給される熱媒体は、冷水または温水以外のもの、例えばブラインであってもよい。第1風量検知手段23には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。第1風量検知手段23は、第1ファン21が送風する風量を検知する。第1風量検知手段23は、メインコントローラ51に接続されている。第1風量検知手段23が検知した風量の値は、第1風量検知手段23からメインコントローラ51に送信される。第1風量検知手段23が検知した風量は、ダクト40を流れる風量である。言い換えると、第1風量検知手段23が検知した風量は、複数のファンユニット30から対象空間100に供給される給気風量の総量になる。
【0020】
温度センサ24は、第1ファン21からダクト40に送られる空気SAの温度を検知する。温度センサ24は、メインコントローラ51に接続されている。温度センサ24が検知した温度の値は、温度センサ24からメインコントローラ51に送信される。
【0021】
エアハンドリングユニット20は、通風路82を介して、対象空間100に繋がっている。通風路82を通って対象空間100から戻ってきた空気RAは、第1ファン21により、熱交換器22を通ってダクト40に送り出される。熱交換器22を通るときに、空気RAは、熱交換器22を流れる冷水または温水と熱交換して調和空気になる。熱交換器22で熱交換をしてダクト40に送り出される空気SAに与えられる熱量は、水量調整弁25によって調整される。水量調整弁25の開度は、メインコントローラ51により制御される。水量調整弁25の開度が大きくなれば、熱交換器22に流れる水量が多くなり、熱交換器22と空気SAとの間で単位時間あたりに交換される熱量が多くなる。逆に、水量調整弁25の開度が小さくなれば、熱交換器22に流れる水量が少なくなり、熱交換器22と空気SAとの間の単位時間あたりの熱交換量が少なくなる。
【0022】
(2-2)ファンユニット30
ファンユニット30は、既に説明した第2ファン31以外に、第2風量検知手段32を有している。第2風量検知手段32は、第2ファン31が送風する風量を検知する。各第2風量検知手段32は、対応する1つのサブコントローラ52に接続されている。第2風量検知手段32が検知した風量の値は、サブコントローラ52に送信される。第2風量検知手段32が検知した風量は、通風路81を流れる風量である。言い換えると、第2風量検知手段32が検知した風量は、各ファンユニット30から対象空間100に供給される給気風量になる。第2風量検知手段32には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。
【0023】
(2-3)コントローラ50
コントローラ50はコンピュータにより実現されるものである。コントローラ50は、制御演算装置51a,52aと記憶装置51b,52bとを備える。制御演算装置51a,52aには、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置51a,52aは、記憶装置51b,52bに記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置51a,52aは、プログラムに従って、演算結果を記憶装置51b,52bに書き込んだり、記憶装置51b,52bに記憶されている情報を読み出したりすることができる。図2は、制御演算装置51a,52aにより実現される各種の機能ブロックを示している。記憶装置51b,52bは、データベースとして用いることができる。
(2-4)リモートセンサ70
複数のリモートセンサ70は、温度センサの機能を有している。各リモートセンサ70は、対応するサブコントローラ52に、対象空間100の温度を示すデータを送信できるように構成されている。
【0024】
(3)空気調和システム10の動作
(3-1)動作の概要
複数のサブコントローラ52は、それぞれ、接続されているリモートセンサ70から、検知した対象空間の温度の値を受信する。各サブコントローラ52は、設定温度を示すデータを保持している。例えば、リモートコントローラ(図示せず)などから、各サブコントローラ52に設定温度を示すデータが予め送信される。各サブコントローラ52は、リモートコントローラなどから受信した設定温度を示すデータを内蔵するメモリなどの記憶装置52b(図2参照)に記憶している。各サブコントローラ52が設定温度の値をメインコントローラ51に送信する。メインコントローラ51は、設定温度に基づき、対応するリモートセンサ70の検知した温度に応じて、各ファンユニット30の目標風量を決定する。メインコントローラ51は、目標風量の値を各サブコントローラ52に送信する。各ファンユニット30は、対応するサブコントローラ52により第2ファン31の回転数を調整される。
【0025】
各サブコントローラ52は、給気風量を目標風量に一致させるべく、各第2ファン31の回転数を制御する。複数のサブコントローラ52は、互いに独立して、複数の第2ファン31の回転数を制御する。各サブコントローラ52は、目標風量に対して、第2風量検知手段32が検知した風量が小さければ、各第2ファン31の回転数を増加させる。各サブコントローラ52は、目標風量に対して、第2風量検知手段32が検知した風量が多ければ、各第2ファン31の回転数を減少させる。
【0026】
(3-2)特徴的な動作
次に、この空気調和システム10において特徴的な動作を、図3に示されているフローに沿って説明する。この空気調和システム10における特徴的な動作は、第2ファン31の回転数が所定回転数以下になったときに実施される動作である。
【0027】
各サブコントローラ52は、対応する各ファンユニット30の第2風量検知手段32が検知した風量の値を記憶装置52bに記憶している(ステップST1)。ファンユニット30から対象空間100に給気されている状態で、第2ファン31の回転数が、予め記憶装置52bに記憶されている所定回転数以下になったとき、サブコントローラ52は、第2ファン31の回転数が所定回転数以下になったと判断する。
【0028】
第2ファン31の回転数が所定回転数以下になったと判断したサブコントローラ52は、当該第2ファン31を有するファンユニット30の給気風量が目標風量以上であるか否かを判断する。給気風量が目標風量以上であると判断したサブコントローラ52は、第2ファン31の回転数が所定回転数以下で且つ給気風量が目標風量以上であるという情報をメインコントローラ51に送信する。この所定回転数は、例えば、第2ファン31の最低回転数、または最低回転数よりも若干多い値である。最低回転数よりも若干多い値としては、例えば、最低回転数×1.05、最低回転数×1.1及び最低回転数×1.2である。
【0029】
第2ファン31の回転数が所定回転数以下で且つ給気風量が目標風量以上であるという情報を受信したメインコントローラ51は、第1風量検知手段23の検知値を用いて、エアハンドリングユニット20から送出される空気の量が閾値以下になっているか否かを判断する(ステップST2)。この閾値は、予めメインコントローラ51の記憶装置51bに書き込まれている。メインコントローラ51は、第1条件が満たされたと判断した場合(ステップST2のYes)、第1ファン21の運転を停止させる(ステップST3)。その後は、第1ファン21が停止した状態で、複数の第2ファン31のみで、対象空間100の空気調和が実施される(ステップST4)。ここで第1条件とは、複数の第2ファン31の中の少なくとも一つが所定回転数以下で、所定回転数以下の第2ファン31を有するファンユニット30の給気風量が目標風量の値以上で、且つ、エアハンドリングユニット20から送出される空気の量が閾値以下になるという条件である。第1ファン21が停止しても、複数の第2ファン31により、対象空間100に対して十分な給気風量が確保される。このように対象空間100に対して十分な給気風量が確保されるのは、エアハンドリングユニット20から送出される空気の量が閾値以下になっていて、第1ファン21が停止しても複数の第2ファン31のみでも十分な給気風量が確保される状況になっていることを、ステップST2で確認できているからである。
【0030】
メインコントローラ51は、対象空間100の温度について設定された設定温度を複数のサブコントローラ52から受信する。メインコントローラ51は、複数のリモートセンサ70が検知した温度の値を、サブコントローラ52を経由して受信する。メインコントローラ51は、設定温度と温度の値とを比較して、対象空間100の温度の値が複数のファンユニット30の中の少なくとも1つのファンユニット30に設定された設定温度に達していないかどうかを判断する。
【0031】
また、メインコントローラ51は、設定温度に達していないファンユニット30の給気風量が目標風量に達していない時間が所定時間続いているかどうかを、サブコントローラ52を通じて監視している。この所定時間は、予めメインコントローラ51の記憶装置51bに書き込まれている。メインコントローラ51は、次の第2条件が満たされたときに(ステップST5のYes)、先の第1条件を満たしたことに起因して停止させられた第1ファン21の運転を再開させる(ステップST6)。言い換えると、第1ファン21の停止の原因が第1条件を満たしたこと以外にある場合には、第1ファン21の運転は再開されない。例えば、第1ファン21の故障の検知によって第1ファン21の運転が停止させられた場合には、第2条件を満たしても第1ファン21の運転は再開されない。この第2条件は、複数のファンユニット30の中の少なくとも1つのファンユニット30に設定された設定温度に達しておらず、且つ少なくとも1つのファンユニット30の給気風量が目標風量の値に達していない状態が所定時間続くという条件である。システムを停止する指示が無ければ(ステップST7のNo)、最初のステップST1に戻って、ステップST1からステップST7の動作を繰り返す。システム停止の指示があれば、これら一連の動作を終了する。
【0032】
(4)変形例
(4-1)変形例1A
エアハンドリングユニット20には、図4に示されているように、外気導入ユニット110が取り付けられてもよい。外気導入ユニット110は、第3ファン111及び第3風量検知手段112を有している。外気導入ユニット110は、第3ファン111により、対象空間100の外から外気OAを取り入れてエアハンドリングユニット20に送風する。第3風量検知手段112は、エアハンドリングユニット20に送られる外気OAの風量を検知する。第3風量検知手段112は、検知した外気OAの送風量の値をメインコントローラ51に送信する。外気導入ユニット110から外気OAがエアハンドリングユニット20に送られる場合に、メインコントローラ51は、第1ファン21を停止するときに、第3ファン111を停止させるような制御を行うように構成されてもよい。第3風量検知手段112には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。
【0033】
(4-2)変形例1B
上記実施形態では、リモートセンサ70が温度センサの機能を有する場合について説明したが、リモートセンサ70は、例えば、温度センサ、CO濃度センサ及び湿度センサのうちの少なくとも1つの機能持つものであってもよい。言い換えると、リモートセンサ70は、温度センサ、CO濃度センサ及び湿度センサのうちの少なくとも1つを環境の値として検知することができる。上記実施形態では、空気調和システム10が扱う環境として温度の環境について説明したが、空気調和システム10が扱う環境は、温度、CO濃度及び湿度のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0034】
このように構成された場合、複数のサブコントローラ52は、それぞれ、接続されているリモートセンサ70から、対象空間100の温度、CO濃度及び湿度のうちの少なくとも1つのリモートセンサ70の検知対象の検知値を環境の値として受信する。各サブコントローラ52は、検知対象の設定値のデータを設定環境の値として保持している。各サブコントローラ52が、これら温度、CO濃度及び湿度のうちの少なくとも1つの設定値を制御すべき設定環境の値としてメインコントローラ51に送信する。メインコントローラ51は、設定値に基づき、対応するリモートセンサ70の検知値に応じて、各第2ユニット30の目標風量を決定する。メインコントローラ51は、目標風量の値を各サブコントローラ52に送信する。各サブコントローラ52は、給気風量を目標風量に一致させるように各第2ファン31を制御しながら、リモートセンサ70によって環境の値を監視する。上述の空気調和システム10の特徴的な動作は、環境の値を用いて実行される。
【0035】
(5)特徴
(5-1)
以上説明した空気調和システム10では、コントローラ50が、複数の第2ファン31の中の少なくとも一つが所定回転数以下で、所定回転数以下の第2ファン31を有するファンユニット30の風量が目標値以上で、且つ、エアハンドリングユニット20から送出される空気の量が閾値以下になるという第1条件が満たされた場合に、第1ファン21の運転を停止させる。このような第1ファン21の運転の停止は、所定回転数以下の第2ファン31を有するファンユニット30の給気風量を目標風量の値より少なくし易くする。このようなコントローラ50の制御により風量が少ない場合の調整を実現することで、余分な装置を設ける必要が無くなりあるいは余分に設ける装置を簡易化でき、風量が少ない場合の調整機能を実現するためのコストを削減することができる。
【0036】
(5-2)
上記実施形態の空気調和システム10では、所定回転数として第2ファン31の最低回転数を用いる場合、最低回転数以下の第2ファン31を有するファンユニット30の給気風量を目標風量の値より少なくし易くする。
【0037】
(5-3)
上述の空気調和システム10のコントローラ50は、第2条件を満たすときに、上述の第1条件を満たして停止された第1ファンの運転を再開させる。ここで、第2条件は、対象空間100の環境が、複数のファンユニット30の中の少なくとも1つのファンユニット30に設定された設定環境に達しておらず、且つ当該1つのファンユニット30の給気風量が目標風量の値に達していない状態が所定時間続くという条件である。コントローラ50が第1ファン21の運転を再開させることにより、ファンユニット30の給気風量を目標風量の値に到達させる時間が短縮され、対象空間100の環境を速く設定環境に到達させることができるようになる。
【0038】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0039】
10 空気調和システム
20 エアハンドリングユニット
21 第1ファン
22 熱交換器
30 ファンユニット
31 第2ファン
40 ダクト
50 コントローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【文献】特開平10-253132号公報
図1
図2
図3
図4