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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】送電装置及び送電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20230316BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230316BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230316BHJP
   B60L 53/124 20190101ALI20230316BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20230316BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/10
H02J7/00 301D
B60L53/124
B60M7/00 X
B60L5/00 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019121115
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021007284
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】栂 修平
(72)【発明者】
【氏名】内野 昭
(72)【発明者】
【氏名】松場 賢一
(72)【発明者】
【氏名】巳波 敏生
(72)【発明者】
【氏名】鳴川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】吉武 和志
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-059239(JP,A)
【文献】特開2016-059236(JP,A)
【文献】特開2014-093916(JP,A)
【文献】特開2017-135875(JP,A)
【文献】特開2013-059236(JP,A)
【文献】特開2009-254098(JP,A)
【文献】特開2016-226073(JP,A)
【文献】国際公開第2013/128600(WO,A1)
【文献】特開2018-130008(JP,A)
【文献】特開2015-154539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/60
H02J 50/10
H02J 7/00
B60L 53/124
B60M 7/00
B60L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に電力を無線で送る送電コイルと、
前記送電コイルが収容される箱体と、
前記箱体の一面を覆う覆板と、
前記覆板の縁部に連結している連結軸と、
前記連結軸を回転させるモータと
車両が所定領域に侵入したか否かを判定する侵入判定部と
を備え
前記モータは、前記侵入判定部によって車両が侵入したと判定された場合に、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させ、
前記モータが前記離隔方向に前記連結軸を回転させた後、前記連結軸は、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向に回転し、
前記所定領域に侵入した車両の速度を検出する速度検出部と、
前記速度検出部が検知した速度に応じて、前記モータが前記離隔方向への前記連結軸の回転を開始してから、前記覆板が前記箱体を覆う状態に戻るまでの時間を調整する調整部と
を備える送電装置。
【請求項2】
車両に電力を無線で送る送電コイルと、
前記送電コイルが収容される箱体と、
前記箱体の一面を覆う覆板と、
前記覆板の縁部に連結している連結軸と、
前記連結軸を回転させるモータと
を備え、
前記モータは、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向への前記連結軸の回転速度よりも遅い回転速度で、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させる送電装置。
【請求項3】
車両に電力を無線で送る送電コイルと、
前記送電コイルが収容される箱体と、
前記箱体の一面を覆う覆板と、
前記覆板の縁部に連結している連結軸と、
前記連結軸を回転させるモータと
を備え、
前記覆板が前記箱体に接近する接近方向への前記連結軸の回転は、前記覆板にかかる重力によって実現される送電装置。
【請求項4】
車両が所定領域に侵入したか否かを判定する侵入判定部を備え、
前記モータは、前記侵入判定部によって車両が侵入したと判定された場合に、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させ、
前記モータが前記離隔方向に前記連結軸を回転させた後、前記連結軸は、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向に回転する
請求項2又は3に記載の送電装置。
【請求項5】
前記所定領域に侵入した車両の速度を検出する速度検出部と、
前記速度検出部が検知した速度に応じて、前記モータが前記離隔方向への前記連結軸の回転を開始してから、前記覆板が前記箱体を覆う状態に戻るまでの時間を調整する調整部と
を備える請求項に記載の送電装置。
【請求項6】
前記モータは、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向への前記連結軸の回転速度よりも遅い回転速度で、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させる
請求項1又は3に記載の送電装置。
【請求項7】
前記覆板が前記箱体に接近する接近方向への前記連結軸の回転は、前記覆板にかかる重力によって実現される
請求項1又は2に記載の送電装置。
【請求項8】
車両に電力を無線で送る送電コイルと、
前記送電コイルが収容される箱体と、
前記箱体の一面を覆う覆板と、
前記覆板の縁部に連結している連結軸と、
前記連結軸を回転させるモータと、
車両が所定領域に侵入したか否かを判定する侵入判定部と、
前記箱体が車両によって覆われているか否かを判定する状態判定部と
を備え、
前記モータは、前記侵入判定部によって車両が侵入したと判定され、かつ、前記状態判定部によって前記箱体が車両に覆われていないと判定されたとき、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させる送電装置。
【請求項9】
車両に電力を無線で送る送電コイルと、
前記送電コイルが収容される箱体と、
前記箱体の一面を覆う覆板と、
前記覆板の縁部に連結している連結軸と、
前記連結軸を回転させるモータと、
前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向への前記連結軸の回転を、前記モータに指示する指示部と、
該指示部が前記離隔方向への前記連結軸の回転を前記モータに指示した場合に、前記覆板が前記箱体から離れているか否かを判定する離隔判定部と、
該離隔判定部が否と判定した場合、故障を報知する報知部と
を備える送電装置。
【請求項10】
車両に電力を無線で送る送電コイルと、
前記送電コイルが収容される箱体と、
前記箱体の一面及び該一面に隣接する隣接面を覆う覆板と、
前記覆板の縁部に連結している連結軸と、
前記連結軸を回転させるモータと
を備える送電装置。
【請求項11】
車両に電力を送る複数の送電装置を備え、
各送電装置は、
車両に電力を無線で送る送電コイルと、
前記送電コイルが収容される箱体と、
前記箱体の一面を覆う覆板と、
前記覆板の縁部に連結している連結軸と、
前記連結軸を回転させるモータと、
前記複数の送電装置にとって共通の共通領域に車両が侵入したか否かを判定する侵入判定部と、
前記箱体が車両によって覆われているか否かを判定する状態判定部と
を有し、
各送電装置では、前記モータは、前記侵入判定部によって、車両が前記共通領域に侵入したと判定され、かつ、前記状態判定部によって前記箱体が車両に覆われていないと判定されたとき、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させる
送電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は送電装置及び送電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された蓄電器、例えば、バッテリを充電するための電力を車外から供給する装置の1つとして、電力を無線で送る送電装置(例えば、特許文献1を参照)が提案されている。特許文献1に記載の送電装置では、箱体にコイルが収容されており、箱体は車両の下側に配置される。コイルに交流の電圧を印加した場合、コイルから上側にある車両に向けて電力が無線で送られる。車両では、コイルから受けた電力を用いて蓄電器を充電する。
【0003】
箱体の上面、即ち、コイルから車両への送電経路に金属製の物体が置かれている場合、物体は、コイルから送られた電力の一部を吸収するので、コイルから車両への送電の効率が小さい。更に、物体の温度が異常な温度に上昇する可能性がある。このため、特許文献1に記載の送電装置では、例えばモータを用いて、箱体を傾ける。これにより、箱体の上面は傾き、物体は箱体の上面から滑り落ちる。結果、物体は、コイルから車両への送電経路から除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-21886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の送電装置では、コイルが収容された箱体を傾けるので、トルクが大きい大型のモータが必要である。大型のモータは高価であり、消費電力量が大きい。従って、特許文献1に記載の送電装置には、製造費用が高く、コイルから車両への送電経路から物体を除去するために必要な電力が大きいという問題がある。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コイルから車両への送電経路から物体を除去するために必要な電力が小さい安価な送電装置及び送電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る送電装置は、車両に電力を無線で送る送電コイルと、前記送電コイルが収容される箱体と、前記箱体の一面を覆う覆板と、前記覆板の縁部に連結している連結軸と、前記連結軸を回転させるモータとを備える。
本開示の一態様に係る送電装置は、車両に電力を無線で送る送電コイルと、前記送電コイルが収容される箱体と、前記箱体の一面を覆う覆板と、前記覆板の縁部に連結している連結軸と、前記連結軸を回転させるモータと、車両が所定領域に侵入したか否かを判定する侵入判定部とを備え、前記モータは、前記侵入判定部によって車両が侵入したと判定された場合に、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させ、前記モータが前記離隔方向に前記連結軸を回転させた後、前記連結軸は、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向に回転し、前記所定領域に侵入した車両の速度を検出する速度検出部と、前記速度検出部が検知した速度に応じて、前記モータが前記離隔方向への前記連結軸の回転を開始してから、前記覆板が前記箱体を覆う状態に戻るまでの時間を調整する調整部とを備える。
本開示の一態様に係る送電装置は、車両に電力を無線で送る送電コイルと、前記送電コイルが収容される箱体と、前記箱体の一面を覆う覆板と、前記覆板の縁部に連結している連結軸と、前記連結軸を回転させるモータとを備え、前記モータは、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向への前記連結軸の回転速度よりも遅い回転速度で、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させる。
本開示の一態様に係る送電装置は、車両に電力を無線で送る送電コイルと、前記送電コイルが収容される箱体と、前記箱体の一面を覆う覆板と、前記覆板の縁部に連結している連結軸と、前記連結軸を回転させるモータとを備え、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向への前記連結軸の回転は、前記覆板にかかる重力によって実現される。
本開示の一態様に係る送電装置は、車両に電力を無線で送る送電コイルと、前記送電コイルが収容される箱体と、前記箱体の一面を覆う覆板と、前記覆板の縁部に連結している連結軸と、前記連結軸を回転させるモータと、車両が所定領域に侵入したか否かを判定する侵入判定部と、前記箱体が車両によって覆われているか否かを判定する状態判定部とを備え、前記モータは、前記侵入判定部によって車両が侵入したと判定され、かつ、前記状態判定部によって前記箱体が車両に覆われていないと判定されたとき、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させる。
本開示の一態様に係る送電装置は、車両に電力を無線で送る送電コイルと、前記送電コイルが収容される箱体と、前記箱体の一面を覆う覆板と、前記覆板の縁部に連結している連結軸と、前記連結軸を回転させるモータと、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向への前記連結軸の回転を、前記モータに指示する指示部と、該指示部が前記離隔方向への前記連結軸の回転を前記モータに指示した場合に、前記覆板が前記箱体から離れているか否かを判定する離隔判定部と、該離隔判定部が否と判定した場合、故障を報知する報知部とを備える。
本開示の一態様に係る送電装置は、車両に電力を無線で送る送電コイルと、前記送電コイルが収容される箱体と、前記箱体の一面及び該一面に隣接する隣接面を覆う覆板と、前記覆板の縁部に連結している連結軸と、前記連結軸を回転させるモータとを備える。
【0008】
上記の一態様にあっては、箱体は車両の下側に配置される。上側に配置されている車両に向かって、送電コイルは、覆板を介して電力を無線で送る。覆板の上面に物体が載っていると仮定する。モータは、覆板が箱体から離れる離隔方向に連結軸を回転させる。これにより、覆板に載っている物体は、覆板から滑り落ち、物体は、送電コイルから車両への送電経路から除去される。モータは、覆板に連結している連結軸を回転させればよく、送電コイルが収容された箱体を回転させる必要はない。このため、連結軸を回転させるモータとして、製造費用が安価である小型のモータを用いることができ、送電経路から物体を除去するために、モータに供給する電力は小さい。
【0009】
本開示の一態様に係る送電装置は、車両が所定領域に侵入したか否かを判定する侵入判定部を備え、前記モータは、前記侵入判定部によって車両が侵入したと判定された場合に、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させ、前記モータが前記離隔方向に前記連結軸を回転させた後、前記連結軸は、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向に回転する。
【0010】
上記の一態様にあっては、車両が所定領域に侵入した場合に、モータは離隔方向に連結軸を回転させることによって、送電コイルから車両への送電経路から物体を除去する。モータが離隔方向に連結軸を回転させた後、連結軸は接近方向に回転し、覆板は、箱体の一面を再び覆う。このため、覆板の上面に物体が確実に載っていない状態で送電コイルは電力を無線で送ることができる。
【0011】
本開示の一態様に係る送電装置は、前記所定領域に侵入した車両の速度を検出する速度検出部と、前記速度検出部が検知した速度に応じて、前記モータが前記離隔方向への前記連結軸の回転を開始してから、前記覆板が前記箱体を覆う状態に戻るまでの時間を調整する調整部とを備える。
【0012】
上記の一態様にあっては、連結軸が離隔方向に回転してから覆板が箱体の一面を再び覆うまでの時間を、所定領域に侵入した車両の速度に応じて調整する。これにより、車両が所定領域に侵入してから、車両が箱体を覆うまでに、覆板上の物体を送電経路から除去する動作と、覆板が箱体を覆う動作とを完了させることができる。
【0013】
本開示の一態様に係る送電装置は、前記モータは、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向への前記連結軸の回転速度よりも遅い回転速度で、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させる。
【0014】
上記の一態様にあっては、離隔方向への連結軸の回転速度は、接近方向への連結軸の回転速度よりも遅い。
【0015】
本開示の一態様に係る送電装置は、前記覆板が前記箱体に接近する接近方向への前記連結軸の回転は、前記覆板にかかる重力によって実現される。
【0016】
上記の一態様にあっては、接近方向への連結軸の回転は、覆板にかかる重力によって実現されるので、送電経路から物体を除去するためにモータに供給する電力は更に小さい。
【0017】
本開示の一態様に係る送電システムは、車両に電力を送る複数の送電装置を備え、各送電装置は、車両に電力を無線で送る送電コイルと、前記送電コイルが収容される箱体と、前記箱体の一面を覆う覆板と、前記覆板の縁部に連結している連結軸と、前記連結軸を回転させるモータと、前記複数の送電装置にとって共通の共通領域に車両が侵入したか否かを判定する侵入判定部と、前記箱体が車両によって覆われているか否かを判定する状態判定部とを有し、各送電装置では、前記モータは、前記侵入判定部によって、車両が前記共通領域に侵入したと判定され、かつ、前記状態判定部によって前記箱体が車両に覆われていないと判定されたとき、前記覆板が前記箱体から離れる離隔方向に前記連結軸を回転させる。
【0018】
上記の一態様にあっては、各送電装置では、箱体は車両の下側に配置される。送電コイルは上側に配置されている車両に向かって、覆板を介して電力を無線で送る。覆板の上面に物体が載っていると仮定する。モータは、覆板から箱体から離れる離隔方向に連結軸を回転させる。これにより、覆板に載っている物体は、覆板から滑り落ち、物体は、送電コイルから車両への送電経路から除去される。
【0019】
モータは、覆板に連結している連結軸を回転させればよく、送電コイルが収容された箱体を回転させる必要はない。このため、連結軸を回転させるモータとして、製造費用が安価である小型のモータを用いることができ、送電コイルから車両への送電経路から物体を除去するために、モータに供給する電力は小さい。また、車両が共通領域に侵入した場合、箱体が車両によって覆われていない送電装置のモータは、離隔方向に連結軸を回転させ、送電経路から物体を除去する。
【発明の効果】
【0020】
上記の態様によれば、コイルから車両への送電経路から物体を除去するために必要な電力が小さく、製造費用が安価である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1における送電装置の外観図である。
図2】車両の配置の説明図である。
図3】送電機の外観図である。
図4】送電機の分解図である。
図5】覆板の回転の説明図である。
図6】送電機及び制御機の要部構成を示すブロック図である。
図7】物体除去処理の手順を示すフローチャートである。
図8】車両が侵入したか否かの判定の説明図である。
図9】実施の形態2における送電機の平面図である。
図10】2つの覆板の回転の説明図である。
図11】実施の形態3における物体除去処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施の形態に係る送電装置又は送電システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における送電装置1の外観図である。送電装置1では、車両2(図2参照)に電力を無線で送る送電機10と、送電機10の動作を制御する制御機11とが、地面に設置されている。制御機11は、中空の直方体状をなす制御機箱体30を有する。送電機10の後側と、制御機11の制御機箱体30の前面とは、前後方向に延びる連結管12によって連結されている。
【0023】
連結管12の中には、送電機10及び制御機11を接続する一又は複数の接続線が通っている。制御機11において、制御機箱体30には、使用者によって操作される操作部31が配置されている。操作部31は、タッチパネル、スイッチ及びボタン等によって構成される。制御機11は、操作部31の操作に従って、送電機10の動作を制御する。なお、制御機箱体30には、種々の表示を行う表示部が配置されていてもよい。
【0024】
制御機11の前面の右辺部及び左辺部それぞれの下側から、前側に右ガイド板13a及び左ガイド板13bが突出している。右ガイド板13a及び左ガイド板13bの板面は対向している。右ガイド板13a及び左ガイド板13b間の中央に送電機10及び連結管12が配置されている。連結管12及び右ガイド板13a間に、左右方向に延びる直方体状の右ブロック14aが地面に設置されている。連結管12及び左ガイド板13b間に、左右方向に延びる直方体状の左ブロック14bが地面に設置されている。右ブロック14a及び左ブロック14bは左右方向に並んでいる。
【0025】
図2は車両2の配置の説明図である。図2の一部分では断面が示されている。運転者は、車両2が右ガイド板13a及び左ガイド板13b間を走行するように車両2を運転し、車両2の右前輪及び左前輪それぞれが右ブロック14a及び左ブロック14bに当たった状態で車両2の走行を停止し、車両2を駐車する。このとき、送電機10は、車両2の下側に位置している。送電機10は、車両2、即ち、上側に向かって交流の電力を送る。
【0026】
車両2内には、蓄電器20と、蓄電器20を充電する充電機21と、無線で送られた電力を受ける受電機22とが配置されている。蓄電器20は、例えば、バッテリであり、充電機21に接続されている。充電機21は更に受電機22に接続されている。車両2の右前輪及び左前輪それぞれが右ブロック14a及び左ブロック14bに当たった状態で運転者が車両2を駐車した場合、車両2の受電機22は送電機10と対向する。
【0027】
使用者は、制御機11の操作部31を操作することによって、送電機10の送電を指示する。これにより、送電機10は、交流の電力を無線で車両2の受電機22に送る。受電機22は図示しない受電コイルを有する。受電コイルは、送電機10から無線で送られた交流の電力を受け、受けた交流の電力を充電機21に出力する。充電機21は、受電機22から入力された交流の電力を直流の電力に変換し、変換した直流の電力に係る直流電圧を蓄電器20の充電に適した直流電圧に変換し、変換した直流電圧を蓄電器20に印加する。これにより、蓄電器20は充電される。
【0028】
図1に示すように、制御機11において、制御機箱体30の前面には、撮影部32及び速度検出部33が配置されている。撮影部32は、例えば、カメラであり、制御機11の前側の画像を撮影する。撮影部32は、撮影した画像の画像データを生成する。以下では、制御機11の前側の画像を前方画像と記載し、前方画像の画像データを前方画像データと記載する。速度検出部33は、種々のセンサを含み、制御機11の前側から制御機11に向かって走行する車両2の速度を検出する。速度検出部33は、検出した車両2の速度を示す速度データを生成する。
【0029】
図3は送電機10の外観図である。送電機10では、中空の直方体状をなす送電機箱体40の一面(後面)が制御機箱体30の前面と対向するように、送電機箱体40が配置されている。送電機箱体40の上面には、矩形状の緩衝材41が配置されている。送電機箱体40の上面は、緩衝材41を介して矩形状の覆板42によって覆われている。
【0030】
図4は送電機10の分解図である。図4では、送電機10から覆板42が外された状態が示されている。図4に示すように、覆板42において、前縁部の右端部分及び左端部分が切り取られている。覆板42の前縁部を、円柱状の連結軸43が左右方向に通っている。連結軸43は、覆板42の前縁部から右側及び左側に突出している。連結軸43は覆板42の前縁部に連結している。このため、連結軸43が軸回りに回転した場合、覆板42も連結軸43の軸回りに回転する。
なお、覆板42の前縁部において、連結軸43は覆板42と一体化していてもよい。
【0031】
図3に示すように、送電機箱体40の上面において、前縁部の右端部分及び左端部分から上側に突出する右突部44a及び左突部44bが設けられている。右突部44a及び左突部44bそれぞれでは、図3及び図4に示すように、左右方向に貫通する円状の右貫通孔45a及び左貫通孔45bが設けられている。覆板42の前縁部から右側に突出している連結軸43は、右突部44aの左側から右貫通孔45aに挿入され、右貫通孔45aの右側から突出している。右貫通孔45aから突出している連結軸43の右端部はモータ46に連結している。モータ46は右突部44aの右側に固定されている。覆板42の前縁部から左側に突出している連結軸43は、左突部44bの右側から左貫通孔45bに挿入されている。
【0032】
覆板42の上面には、近接検出部47が設けられている。近接検出部47は種々のセンサによって構成されている。覆板42が送電機箱体40の上面を覆っている状態で車両2が送電機箱体40を覆った場合、近接検出部47は、車両2の近接を検出する。近接検出部47は、車両2が近接しているか否かを示す近接データを生成する。近接データは制御機11によって取得される。
【0033】
図5は覆板42の回転の説明図である。図5には、送電機10において、覆板42が送電機箱体40の上面を覆っている状態と、送電機10において、覆板42が送電機箱体40の上面から離れている状態とが示されている。モータ46は、連結軸43の右端部に連結する連結具を有する。モータ46は、連結具を連結軸43の軸回りに回転させることによって、連結軸43を軸回りに回転させる。具体的には、モータ46は、覆板42が送電機箱体40の上面から離れる方向に連結軸43を回転させる。以下では、覆板42が送電機箱体40の上面から離れる回転方向を離隔方向と記載する。図5において、離隔方向は時計回りである。
【0034】
モータ46は、制御機11の指示に従って、連結具にブレーキをかける。これにより、連結軸43が回転を停止し、水平面と覆板42との角度が維持される。送電機箱体40の上面は水平面と略一致する。モータ46は、制御機11の指示に従って、ブレーキを解除する。送電機箱体40の上面と覆板42とがなす角度がゼロを超えており、かつ、90度未満である場合において、ブレーキが解除されたとき、覆板42にかかる重力によって、連結具及び連結軸43それぞれは連結軸43の軸回りに回転する。具体的には、覆板42が送電機箱体40の上面に接近する回転方向に連結具及び連結軸43が回転する。これにより、覆板42は送電機箱体40の上面を再び覆う。以下では、覆板42が送電機箱体40の上面に接近する回転方向を接近方向と記載する。図5において、接近方向は反時計回りである。
【0035】
前述したように、送電機箱体40の上面には緩衝材41が取り付けられているので、覆板42が送電機箱体40の上面を再び覆う場合に、覆板42が送電機箱体40の上面に加える衝撃は小さい。
【0036】
送電機箱体40内には、車両2に電力を無線で送る送電コイル48(図6参照)が収容されている。送電機10では、送電コイル48の一端及び他端間に交流の電圧が印加される。これにより、電磁誘導又は磁気共鳴等の現象が発生し、交流の電力が受電機22の受電コイルに送られる。
【0037】
送電機10において、覆板42が送電機箱体40の上面を覆っている状態で送電コイル48から車両2の受電機22に電力が無線で送られる。ここで、覆板42の上面に金属製の物体が置かれている場合、物体は、送電コイル48から送られた電力の一部を吸収するので、送電コイル48から車両2の受電機22への送電の効率が小さい。更に、物体の温度が異常な温度に上昇する可能性がある。送電機10では、前述したように、モータ46が離隔方向に連結軸43を回転させる。このため、覆板42が回転し、覆板42の上面に置かれている物体が覆板42の上面から滑り落ちる。結果、物体が覆板42の上面から除去される。このとき、覆板42の回転によって、送電コイル48が収容されている送電機箱体40が傾くことなく、覆板42のみが傾く。
【0038】
図6は、送電機10及び制御機11の要部構成を示すブロック図である。送電機10は、モータ46、近接検出部47及び送電コイル48に加えてコンデンサ49を有する。コンデンサ49は送電コイル48に並列に接続されている。
なお、コンデンサ49は送電コイル48に直列に接続されてもよい。
【0039】
車両2の受電機22もコンデンサを有する。受電機22でも、コンデンサは受電コイルに並列に接続されているか、又は、受電コイルに直列に接続されている。送電コイル48及びコンデンサ49を含む送電回路の共振周波数が、受電機22において受電コイル及びコンデンサを含む受電回路の共振周波数に一致している場合、磁気共鳴が発生する。送電回路の共振周波数が受電回路の共振周波数と異なる場合、電磁誘導が発生する。
【0040】
制御機11は、操作部31、撮影部32及び速度検出部33に加えて、インタフェース34,35、電圧印加部36、出力部37、記憶部38及び制御部39を有する。操作部31、インタフェース34,35、電圧印加部36、出力部37、記憶部38及び制御部39は内部バスBに接続されている。インタフェース34は、更に、送電機10のモータ46及び近接検出部47に各別に接続されている。モータ46及び近接検出部47への接続に用いる接続線は、図1に示す連結管12内を通っている。電圧印加部36は、更に、送電コイル48及びコンデンサ49の並列回路又は直列回路に接続されている。並列回路又は直列回路への接続に用いる2つの接続線も連結管12内を通っている。インタフェース35は、更に、撮影部32及び速度検出部33に各別に接続されている。
【0041】
操作部31は、使用者が操作部31において行った操作を制御部39に通知する。
制御部39は、インタフェース35を介して、撮影部32から前方画像データを取得する。制御部39が撮影部32から取得した前方画像データの前方画像は、取得時に撮影部32が撮影した前方画像と略一致する。制御部39は、インタフェース35を介して、速度検出部33から速度データを取得する。制御部39が速度検出部33から取得した速度データが示す速度は、取得時に速度検出部33が検出した速度と略一致する。制御部39は、インタフェース34を介して、近接検出部47から近接データを取得する。制御部39が近接検出部47から取得した近接データが示す状態は、取得時の状態と略一致する。
【0042】
制御部39は、インタフェース34を介して、モータ46に、離隔方向への回転、ブレーキ及びブレーキの解除を指示する。制御部39は、インタフェース34を介して、モータ46に回転速度を通知する。制御部39がモータ46に離隔方向への回転を指示した場合、モータ46は、制御部39から通知された回転速度で連結軸43を離隔方向に回転させる。モータ46は、例えば、送電機10に搭載された電源から供給された電力を用いて動作する。
【0043】
制御部39がモータ46にブレーキを指示した場合、モータ46は、連結軸43に連結している連結具にブレーキをかけ、水平面と覆板42との角度を維持する。制御部39がモータ46にブレーキの解除を指示した場合、モータ46は、ブレーキを解除する。これにより、覆板42にかかる重力によって連結軸43は接近方向に回転し、覆板42は再び送電機箱体40の上面を覆う。
【0044】
電圧印加部36は、制御部39の指示に従って、交流の電圧を送電コイル48に印加する。これにより、送電コイル48は電力を無線で送る。電圧印加部36は、制御部39の指示に従って、送電コイル48への電圧の印加を停止する。これにより、送電コイル48が行っている送電が停止する。
出力部37は、制御部39の指示に従って、送電機10の故障を示す故障信号を図示しない外部装置に出力する。これにより、送電機10の故障が報知される。
【0045】
記憶部38は不揮発性メモリである。記憶部38は、コンピュータプログラムP1が記憶されている。制御部39は、処理を実行する処理素子、例えば、CPU(Central Processing Unit)を有する。制御部39の処理素子は、コンピュータプログラムP1を実行することによって、車両2の受電機22に電力を送る送電処理と、覆板42の上面から物体を除去する物体除去処理とを実行する。
【0046】
なお、コンピュータプログラムP1は、コンピュータプログラムP1を読み取り可能に記録した非一時的な記憶媒体A1を用いて、制御機11に提供されてもよい。記憶媒体A1は、例えば可搬型メモリである。可搬型メモリの例として、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード、マイクロSDカード又はコンパクトフラッシュ(登録商標)等が挙げられる。記憶媒体A1が可搬型メモリである場合、制御部39の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記憶媒体A1からコンピュータプログラムP1を読み取り、読み取ったコンピュータプログラムP1を記憶部38に書き込んでもよい。更に、制御機11が外部装置と通信する図示しない通信部を備える場合、コンピュータプログラムP1は、通信部を介した通信によって、制御機11に提供されてもよい。この場合、制御部39の処理素子は、通信部を通じてコンピュータプログラムP1を取得し、取得したコンピュータプログラムP1を記憶部38に書き込んでもよい。
【0047】
使用者は、車両2の蓄電器20を充電する場合、図2に示すように、右前輪及び左前輪が右ブロック14a及び左ブロック14bに当たった状態で車両2を駐車する。次に、使用者は、操作部31において、送電を指示する操作を行う。操作部31は、送電を指示する操作が行われたことを制御部39に通知する。制御部39は、送電を指示する操作が操作部31から通知された場合、送電処理を実行する。
【0048】
送電処理において、制御部39は、電圧印加部36に指示して、送電コイル48に交流の電圧を印加させる。これにより、送電コイル48は交流の電力を、車両2が有する受電機22の受電コイルに送り、車両2の蓄電器20が充電される。蓄電器20に蓄えられている電力の電力量が所定量となった場合、又は、使用者が操作部31において送電を停止する操作を行った場合、制御部39は、電圧印加部36に指示して、送電コイル48への電圧の印加を停止させる。これにより、送電コイル48から受電機22への送電が停止し、蓄電器20の充電が停止する。制御部39は、電圧印加部36に指示して、送電コイル48への電圧の印加を停止させた後、送電処理を終了する。
【0049】
例えば、車両2には、蓄電器20に蓄えられている電力の電力量を繰り返し検出する検出器が搭載されている。検出器は、検出した電力量が所定量となった場合、その旨を無線で制御機11の通信部に通知する。これにより、制御機11の制御部39は、蓄電器20の電力量が所定量となったことを検知する。
【0050】
図7は物体除去処理の手順を示すフローチャートである。制御部39は、物体除去処理を終了する都度、物体除去処理を改めて実行する。物体除去処理は、覆板42が送電機箱体40の上面を覆っている状態で実行される。物体除去処理では、まず、制御部39は、近接検出部47から近接データを取得し(ステップS1)、取得した近接データに基づいて、送電機箱体40が車両2によって覆われているか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2では、制御部39は、ステップS1で取得した近接データによって、車両2が近接していることが示されている場合、送電機箱体40が車両2によって覆われていると判定する。制御部39は、ステップS1で取得した近接データによって、車両2が近接していないことが示されている場合、送電機箱体40が車両2によって覆われていないと判定する。
【0051】
制御部39は、送電機箱体40が車両2によって覆われていないと判定した場合(S2:NO)、撮影部32から前方画像データを取得する(ステップS3)。制御部39がステップS3で取得した前方画像データの前方画像は、前述したように、取得時に撮影部32が撮影した前方画像に略一致する。次に、制御部39は、ステップS3で取得した前方画像データに基づいて、車両2が所定領域に侵入したか否かを判定する(ステップS4)。制御部39は侵入判定部としても機能する。
【0052】
図8は、車両2が侵入したか否かの判定の説明図である。図8には、上側から見た送電装置1が示されている。図8に示すように、右ガイド板13aの前側に前後方向に延びる右白線Laが引かれている。左ガイド板13bの前側に前後方向に延びる左白線Lbが引かれている。右白線La及び左白線Lb間に所定領域R1が設けられている。図8では、所定領域R1はハッチングで示されている。
【0053】
右白線La及び左白線Lbは車両2をガイドする。運転者は、右白線La及び左白線Lb間を車両2が走行するように車両2を運転する。ステップS4において、制御部39は、撮影部32から取得した前方画像データの前方画像において、送電機箱体40の前面に向かって所定領域R1を走行する車両2が写っている場合、車両2が所定領域R1に侵入したと判定する。制御部39は、撮影部32から取得した前方画像データの前方画像において、送電機箱体40の前面に向かって所定領域R1を走行する車両2が写っていない場合、車両2が所定領域R1に侵入していないと判定する。
【0054】
ステップS3では、制御部39は、撮影部32が一定の時間間隔、例えば、0.1秒間隔で撮影した複数の前方画像に対応する複数の前方画像データを取得してもよい。この場合、ステップS4では、制御部39は、ステップS3で取得した複数の前方画像データに基づいて、車両2が所定領域に侵入したか否かを判定してもよい。この構成では、制御部39は、車両2が走行している方向も検知することができるので、判定がより正確である。
【0055】
制御部39は、送電機箱体40が車両2によって覆われていると判定した場合(S2:YES)、又は、車両2が所定領域R1に侵入していないと判定した場合(S4:NO)、物体除去処理を終了する。前述したように、制御部39は、物体除去処理を終了する都度、物体除去処理を改めて実行する。従って、制御部39は、送電機箱体40が車両2によって覆われていない状態で車両2が所定領域R1に侵入するまで待機する。
【0056】
制御部39は、車両2が所定領域R1に侵入したと判定した場合(S4:YES)、速度検出部33から速度データを取得する(ステップS5)。このとき、速度検出部33は、所定領域R1に侵入した車両2の速度を検出し、ステップS5で取得される速度データは、所定領域R1に侵入した車両2の速度を示す。
【0057】
次に、制御部39は、ステップS5で取得した速度データが示す車両2の速度に基づいて、モータ46が回転させる連結軸43の離隔方向への回転速度を決定する(ステップS6)。車両2の速度に対応付けて回転速度が示されている速度テーブルが記憶部38に記憶されている場合、制御部39は、速度テーブルにおいて、ステップS5で取得した速度データが示す速度に対応する回転速度を、離隔方向の回転速度に決定する。また、変数が車両2の速度である回転速度の算出式が記憶部38に記憶されている場合、制御部39は、ステップS5で取得した速度データが示す速度を算出式に代入することによって算出される回転速度を、離隔方向への回転速度に決定する。ステップS6で決定される回転速度は、ステップS5で取得した速度データが示す速度が速い程速い。
【0058】
次に、制御部39は、モータ46に離隔方向への回転を指示するともに回転速度を通知することによって、モータ46に、離隔方向に連結軸43を、ステップS6で決定した回転速度で回転させる(ステップS7)。制御部39は、ステップS7を実行した後、モータ46に指示して、連結軸43に連結する連結具にブレーキをかけさせる(ステップS8)。
【0059】
制御部39は、水平面と覆板42との角度が所定角度、例えば、85度となるタイミングでモータ46にブレーキをかけさせる。回転速度が決定しているため、制御部39は、例えば、タイマを用いて、水平面と覆板42との角度が所定角度となるタイミングを検知してもよい。また、水平面を基準とする覆板42の角度を検出する角度検出部が覆板42に設置されている場合、制御部39は、角度検出部の検出結果に基づいて、水平面と覆板42との角度が所定角度となるタイミングを検知してもよい。覆板42にかかる重力によって、連結軸43は接近方向に回転するので、水平面と覆板42との角度は90度未満であることが好ましい。
【0060】
制御部39は、ステップS8を実行した後、撮影部32から前方画像データを取得する(ステップS9)。送電機10が正常に動作している場合、ステップS9で取得した前方画像データの前方画像には、覆板42から送電機箱体40の上面から離れている送電機10が写っている。次に、制御部39は、モータ46に指示して、ブレーキを解除させる(ステップS10)。これにより、覆板42にかかる重力によって、連結軸43は接近方向に回転し、覆板42は送電機箱体40の上面を再び覆う。
【0061】
覆板42にかかる重力によって、連結軸43は接近方向に回転するので、覆板42が送電機箱体40の上面を再び覆うまでにかかる時間は略一定である。このため、離隔方向への連結軸43の回転速度が速い程、離隔方向への連結軸43の回転が開始してから、覆板42が送電機箱体40の上面を覆う状態に戻るまでの動作時間が短い。制御部39は、ステップS6において、車両2の速度に応じて離隔方向への連結軸43の回転速度を決定することによって、動作時間を調整する。制御部39は調整部としても機能する。制御部39は、動作時間を調整することによって、離隔方向への連結軸43の回転が開始してから、覆板42が送電機箱体40の上面を覆う状態に戻るまでの一連の動作を、車両2が送電機10の覆板42を覆うまでに完了させることができる。
【0062】
ステップS6で制御部39が決定する離隔方向への連結軸43の回転速度は、覆板42にかかる重力によって実現される接近方向への連結軸43の回転速度よりも遅い。従って、モータ46は、覆板42にかかる重力によって実現される接近方向への連結軸43の回転速度よりも遅い回転速度で、離隔方向に連結軸43を回転させる。
【0063】
制御部39は、ステップS10を実行した後、ステップS9で取得した前方画像データの前方画像において、覆板42が送電機箱体40の上面から離れているか否かを判定する(ステップS11)。制御部39は、覆板42が離れていると判定した場合(S11:YES)、故障が発生していないとして、物体除去処理を終了し、再び、物体除去処理を改めて実行する。
【0064】
制御部39は、覆板42が離れていないと判定した場合(S11:NO)、出力部37に指示して、故障信号を外部装置に出力させる(ステップS12)。制御部39は、ステップS12を実行した後、物体除去処理を終了する。この場合、覆板42が回転しないので、改めて物体除去処理を実行する必要はない。
【0065】
以上のように、送電装置1では、覆板42の上面に物体が載っている場合、モータ46は、覆板42に連結している連結軸43を離隔方向に回転させる。これにより、覆板42の上面に載っている物体は、覆板42の上面から滑り落ち、物体は、送電コイル48から車両2の受電機22への送電経路から除去される。モータ46は、連結軸43を回転させればよく、送電コイル48が収容された送電機箱体40を回転させる必要はない。このため、モータ46として、製造費用が安価である小型のモータを用いることができ、送電経路から物体を除去するために、モータ46に供給する電力は小さい。
接近方向への連結軸43の回転は、覆板42にかかる重力によって実現されるので、モータ46に供給する電力は更に小さい。
【0066】
送電装置1は、送電機箱体40が車両2によって覆われているか否かを判定する状態判定部を備え、モータ46は、侵入判定部(制御部39)によって車両2が侵入したと判定され、かつ、状態判定部によって、送電機箱体40が車両2に覆われていないと判定された場合、離隔方向に連結軸43を回転させる。制御部39は状態判定部としても機能する。
【0067】
送電機箱体40が車両2によって覆われていない状態で、車両2が所定領域R1に侵入した場合に、モータ46は離隔方向に連結軸43を回転させ、覆板42上の物体を送電経路から除去する。モータ46が離隔方向に連結軸43を回転させた後、覆板42にかかる重力で連結軸43は接近方向に回転し、覆板42は送電機箱体40の上面を再び覆う。このため、覆板42の上面に物体が確実に載っていない状態で送電コイル48は電力を無線で車両2の受電機22に送ることができる。更に、覆板42が車両2に衝突することが防止される。
【0068】
送電装置1は、覆板42が送電機箱体40から離れる離隔方向への連結軸43の回転を、モータ46に指示する指示部と、指示部が離隔方向への連結軸43の回転をモータ46に指示した場合に、覆板42が送電機箱体40から離れているか否かを判定する離隔判定部とを備える。
制御部39は、指示部及び離隔判定部として機能する。
【0069】
連結軸43がモータ46と連結していない場合、覆板42及び連結軸43との連結が外れている場合、又は、モータ46が動作しなかった場合、覆板42が送電機箱体40の上面から離れない。結果、制御部39は、ステップS11で故障を検知する。出力部37は故障信号を外部装置に出力し、故障が報知される。
なお、覆板42において、連結軸43が連結する部分は、前縁部に限定されず、後縁部、右縁部又は左縁部であってもよい。
【0070】
(実施の形態2)
実施の形態1において、送電機箱体40の上面を覆う覆板42の数は1である。しかしながら、複数の覆板42が送電機箱体40の上面を覆ってもよい。
以下では、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と共通しているため、実施の形態1と共通する構成部には実施の形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図9は、実施の形態2における送電機10の平面図である。実施の形態2における送電機10では、2つの覆板42は、矩形状をなし、送電機箱体40の上面を覆っている。一方の覆板42は、送電機箱体40の上面の後側を覆っている。他方の覆板42は、送電機箱体40の上面の前側を覆っている。
【0072】
2つの覆板42は、実施の形態1と同様に取り付けられ、実施の形態1と同様に回転する。具体的には、後側の覆板42において、後縁部の右端部分及び左端部分が切り取られている。前側の覆板42においては、前縁部の右端部分及び左縁部分が切り取られている。2つの覆板42それぞれには、左右方向に延びる2つの連結軸43が連結している。一方の連結軸43は、後側の覆板42の後縁部に連結している。他方の連結軸43は、実施の形態1と同様に、前側の覆板42の前縁部に連結している。
【0073】
送電機箱体40の上面において、前縁部の右端部分及び左端部分から上側に突出する右突部44a及び左突部44bが設けられている。更に、送電機箱体40の上面において、後縁部の右端部分及び左端部分から上側に突出する右突部44a及び左突部44bが設けられている。2つの右突部44aそれぞれでは、実施の形態1と同様に、左右方向に貫通する右貫通孔45aが設けられている。2つの左突部44bそれぞれでは、実施の形態1と同様に、左右方向に貫通する左貫通孔45bが設けられている。
【0074】
後側の覆板42の後縁部から右側に突出している連結軸43は、後側の右突部44aの左側から右貫通孔45aに挿入され、右貫通孔45aの右側から突出している。後側の右貫通孔45aから突出している連結軸43の右端部はモータ46に連結している。モータ46は、後側の右突部44aの右側に固定されている。覆板42の後縁部から左側に突出している連結軸43は、左突部44bの右側から左貫通孔45bに挿入されている。
【0075】
同様に、前側の覆板42の前縁部から右側に突出している連結軸43は、前側の右突部44aの左側から右貫通孔45aに挿入され、前側の右貫通孔45aの右側から突出している。前側の右貫通孔45aから突出している連結軸43の右端部はモータ46に連結している。モータ46は、後側の右突部44aの右側に固定されている。覆板42の前縁部から左側に突出している連結軸43は、左突部44bの右側から左貫通孔45bに挿入されている。
後側の覆板42の上面に近接検出部47が設置されている。近接検出部47は、2つの覆板42の上面に配置されればよい。このため、近接検出部47は、前側の覆板42の上面に近接検出部47が設置されてよい。
【0076】
図10は、2つの覆板42の回転の説明図である。図10には、送電機10において、2つの覆板42が送電機箱体40の上面を覆っている状態と、送電機10において、2つの覆板42が送電機箱体40の上面から離れている状態とが示されている。2つのモータ46それぞれは、2つの連結軸43の右端部に連結する2つの連結具を有する。2つのモータ46それぞれは、実施の形態1と同様に、自身に対応する連結軸43を離隔方向に回転させ、自身に対応する連結具にブレーキをかけ、ブレーキを解除する。2つのモータ46がブレーキを解除した場合、各連結軸43は、自身に対応する覆板42にかかる重力によって接近方向に回転する。
【0077】
前側の連結軸43について、図10において、離隔方向は時計回りであり、接近方向は反時計回りである。後側の連結軸43について、図10において、離隔方向は反時計回りであり、接近方向は時計回りである。
【0078】
物体除去処理では、送電機10が有する2つのモータ46は制御機11のインタフェース34に各別に接続されている。物体除去処理においては、制御部39は、2つのモータ46に2つの連結軸43を略同じ速度で離隔方向に回転させ、2つの連結軸43に対応する2つの連結具にブレーキを略同時にかけさせ、ブレーキを略同時に解除させる。制御部39は、ステップS11において、2つの覆板42の中で少なくとも一方が送電機箱体40の上面から離れていないと判定した場合、ステップS12を実行し、出力部37故障信号を出力する。制御部39は、ステップS11において、2つの覆板42の両方が送電機箱体40の上面から離れていると判定した場合、物体除去処理を終了する。
【0079】
実施の形態2における送電装置1では、覆板42、連結軸43及びモータ46の数は2以上であり、複数の覆板42は、送電機箱体40の共通の一面(上面)を覆い、複数の覆板42それぞれは、複数の連結軸43に連結し、複数のモータ46それぞれは、複数の連結軸43を回転させる。
【0080】
実施の形態2における送電装置1においても、2つのモータ46が2つの覆板42に連結している2つの連結軸43を回転させる。これにより、覆板42の上面に載っている物体は、覆板42から滑り落ち、物体は送電経路から除去される。実施の形態2における送電装置1は、実施の形態1における送電装置1が奏する効果を同様に奏する。
【0081】
実施の形態2において、2つの連結軸43が配置される場所は、前側及び後側に限定されず、例えば、左側及び右側であってもよい。また、覆板42の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。この場合、送電装置1が有する連結軸43及びモータ46それぞれの数は、覆板42の数と同じである。3つ以上の覆板42は送電機箱体40の上面を覆う。
【0082】
更に、実施の形態1,2において、覆板42は、送電機箱体40の上面だけではなく、送電機箱体40の上面に隣接する隣接面、即ち、側面を覆ってもよい。実施の形態1では、例えば、覆板42は、送電機箱体40の上面と、上面に隣接する送電機箱体40の右面、左面及び後面を覆ってもよい。
送電機箱体40の上面及び覆板42の間に物体が侵入した場合、送電機10が自力でこの物体を除去することはできない。覆板42が送電機箱体40の側面も覆っているので、側面が設けられた方向から、送電機箱体40の上面及び覆板42の間に物体が入る可能性は低い。
【0083】
実施の形態1,2において、緩衝材41が取り付けられる場所は、送電機箱体40の上面に限定されず、覆板42の下面であってもよい。覆板42の数が2以上である場合、例えば、全ての覆板42の下面に緩衝材41が取り付けられる。
【0084】
(実施の形態3)
実施の形態1において、接近方向への連結軸43の回転は覆板42にかかる重力によって実現されている。しかしながら、モータ46が接近方向への連結軸43の回転を実現してもよい。
以下では、実施の形態3について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と共通しているため、実施の形態1と共通する構成部には実施の形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0085】
実施の形態3の制御機11において、制御部39は、モータ46に、離隔方向及び接近方向への回転を指示するとともに、モータ46に、離隔方向及び接近方向の回転速度を通知する。モータ46は、制御部39から通知された離隔方向の回転速度で、連結軸43を離隔方向に回転させるとともに、制御部39から通知された接近方向の回転速度で、連結軸43を接近方向に回転させる。モータ46は、離隔方向又は接近方向への回転が指示されてない限り、水平面を基準とした覆板42の角度を維持する。
【0086】
図11は、実施の形態3における物体除去処理の手順を示すフローチャートである。実施の形態3における物体除去処理の一部は、実施の形態1における物体除去処理と同様である。実施の形態3における物体除去処理について、実施の形態1における物体除去処理と同様の部分、即ち、ステップS1~S5,S7,S9,S11,S12の詳細な説明を省略する。
【0087】
実施の形態3における物体除去処理において、制御部39は、ステップS5を実行した後、制御部39は、ステップS5で取得した速度データが示す車両2の速度に基づいて、モータ46が回転させる連結軸43の離隔方向及び接近方向の回転速度を決定する(ステップS21)。ステップS21では、制御部39は、実施の形態1におけるステップS6と同様に、テーブル又は算出式を用いて、離隔方向及び接近方向の回転速度を決定する。ステップS6で決定される離隔方向及び接近方向それぞれの回転速度は、ステップS5で取得した速度データが示す車両2の速度が速い程速い。ステップS21では、制御部39は、離隔方向への回転速度が接近方向への回転速度よりも遅くなるように離隔方向及び接近方向への回転速度を決定する。
【0088】
制御部39は、ステップS21を実行した後、ステップS7を実行する。ステップS7では、制御部39は、水平面を基準とした覆板42の角度が所定角度となるまで、モータ46に、離隔方向に連結軸43を、ステップS21で決定した回転速度で回転させる。制御部39は、実施の形態1におけるステップS8と同様に、タイマ又は角度検出部等を用いて、水平面と覆板42との角度が所定角度となるタイミングを検知する。
【0089】
接近方向への連結軸43の回転もモータ46によって実現されるので、所定角度は、90度を超えていてもよい。所定角度が90度を超えている場合、送電機箱体40の上面に載っている物体は、より確実に覆板42の上面から除去される。
送電機10が正常に動作している場合、ステップS7の実行が完了した時点では覆板42は送電機箱体40の上面から離れている。制御部39は、ステップS7を実行した後、ステップS9を実行し、撮影部32から前方画像データを取得する。
【0090】
次に、制御部39は、覆板42が送電機箱体40の上面を覆うまで、モータ46に、接近方向に連結軸43を、ステップS21で決定した回転速度で回転させる(ステップS22)。制御部39は、実施の形態1におけるステップS7と同様に、モータ46に接近方向への回転を指示するともに接近方向の回転速度を通知することによって、モータ46に、接近方向に連結軸43を、ステップS21で決定した接近方向の回転速度で回転させる。覆板42が送電機箱体40の上面を覆うタイミングは、ステップS7と同様に、タイマ又は角度検出部等を用いて検知される。
制御部39は、ステップS22を実行した後、ステップS11を実行する。
【0091】
実施の形態3における送電装置1は、実施の形態1における送電装置1奏する効果の中で、接近方向への連結軸の回転が覆板42にかかる重力によって実現されることによって得られる効果を除く他の効果を同様に奏する。
実施の形態3において、送電機10の構成は、実施の形態2と同様であってもよい。即ち、複数の覆板42が送電機箱体40の上面を覆う構成であってもよい。
【0092】
なお、実施の形態1~3においては、モータ46が連結軸43を離隔方向に回転させるタイミングは、送電機箱体40が車両2によって覆われていない状態で車両2が所定領域R1に侵入したタイミングに限定されない。
一例として、制御部39が、送電機箱体40が車両2によって覆われていないと判定し、かつ、車両2が所定領域R1に侵入していないと判定した場合にモータ46は、周期的に連結軸43を離隔方向に回転させてもよい。
【0093】
他例として、制御部39は、撮影部32から取得した前方画像データに基づいて、覆板42の上面に物体が載っているか否かを判定する。制御部39は、送電機箱体40が車両2によって覆われていないと判定し、かつ、覆板42の上面に物体が載っていると判定した場合にモータ46は連結軸43を離隔方向に回転させてもよい。
例として挙げた2つの構成であっても、覆板42の上面に物体が確実に載っていない状態で送電コイル48は電力を無線で送ることができる。
【0094】
実施の形態1~3において、車両2が所定領域R1に侵入したか否かを判定する構成は、撮影部32から取得した前方画像データのみに基づいて判定を行う構成に限定されない。所定領域R1において下側に加えられる圧力を検出する圧力検出部が配置されていると仮定する。この場合、制御部39は、圧力検出部が検出した圧力が一定圧力以上であり、かつ、撮影部32から取得した前方画像データの前方画像に車両2が送電機箱体40の前面に向かって走行する車両2が写っているときに車両2が所定領域R1に侵入したと判定する。制御部39は、圧力検出部が検出した圧力が一定圧力未満であるか、又は、撮影部32から取得した前方画像データの前方画像に車両2が送電機箱体40の前面に向かって走行する車両2が写っていないときに車両2が所定領域R1に侵入していないと判定する。
【0095】
更に、車両2が所定領域R1に侵入したか否かを判定するために用いる要素は、撮影部32から取得した前方画像データに限定されない。下側に加えられた圧力を検出する複数の圧力検出部が所定領域R1においてマトリックス状に配置されていると仮定する。この場合、制御部39は、複数の圧力検出部の中で一定圧力以上の圧力を検出した圧力検出部の配置に係る分布の時間的な変化に基づいて車両2が所定領域R1に侵入したか否かを判定してもよい。
【0096】
また、車両2の近接を検出する複数の近接検出部が所定領域R1においてマトリックス状に配置されていると仮定する。この場合、制御部39は、複数の近接検出部の中で車両2の近接を検出した近接検出部の配置に係る分布の時間的な変化に基づいて車両2が所定領域R1に侵入したか否かを判定してもよい。更に、所定領域R1の前側に車両2が通過するゲートを設けたと仮定する。この場合、制御部39は、車両2がゲートを通過したか否かに基づいて、車両2が所定領域R1に侵入したか否かを判定してもよい。例えば、光センサを用いて、車両2がゲートを通過したか否かを判定することができる。
【0097】
実施の形態1~3において、複数の送電装置1を並べることによって送電システムを実現してもよい。この送電システムでは、所定領域R1の代わりに、全ての送電装置1、右白線La及び左白線Lbを囲むように環状の共通領域が設けられてもよい。この構成では、例えば、各送電装置1では、制御部39は、共通領域の全体を含む範囲の画像の画像データに基づいて、車両2が共通領域に侵入したか否かを判定する。各送電装置1では、制御部39が、送電機箱体40が車両2によって覆われていないと判定し、かつ、車両2が共通領域に侵入したと判定した場合にモータ46は連結軸43を離隔方向に回転させる。
【0098】
ここで、共通領域の形状は環状に限定されない。車両2が送電システム6の後側から侵入することがない場合、共通領域の形状はU字状であってもよい。車両2が2つの方向からしか侵入することがない場合、共通領域の形状はL字状であってもよい。車両2が1つの方向からしか侵入しない場合、共通領域の形状は直線状であってもよい。
【0099】
実施の形態1~3において、送電装置1では、右ガイド板13a及び左ガイド板13bが設けられている。しかしながら、送電装置1の構成は、右ガイド板13a及び左ガイド板13bが設けられていない構成であってもよい。
【0100】
実施の形態1~3で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
開示された実施の形態1~3はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
1 送電装置
2 車両
33 速度検出部
39 制御部(侵入判定部、調整部、状態判定部)
40 送電機箱体
42 覆板
43 連結軸
46 モータ
48 送電コイル
R1 所定領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11