(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
H10K 50/18 20230101AFI20230316BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20230316BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20230316BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230316BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20230316BHJP
C07D 263/57 20060101ALN20230316BHJP
C07D 413/14 20060101ALN20230316BHJP
C07D 413/10 20060101ALN20230316BHJP
C07D 413/04 20060101ALN20230316BHJP
C07D 401/10 20060101ALN20230316BHJP
C07D 417/14 20060101ALN20230316BHJP
C07D 471/04 20060101ALN20230316BHJP
C07D 417/04 20060101ALN20230316BHJP
C07D 277/66 20060101ALN20230316BHJP
C07D 209/86 20060101ALN20230316BHJP
C07D 498/04 20060101ALN20230316BHJP
【FI】
H10K50/18
H10K50/17
H10K50/16
H10K50/15
H10K85/60
C07D263/57
C07D413/14
C07D413/10
C07D413/04
C07D401/10
C07D417/14
C07D471/04 103S
C07D417/04
C07D277/66
C07D209/86
C07D498/04 101
(21)【出願番号】P 2019534435
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2018027928
(87)【国際公開番号】W WO2019026728
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2017151855
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】樺澤 直朗
(72)【発明者】
【氏名】望月 俊二
(72)【発明者】
【氏名】駿河 和行
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/153283(WO,A1)
【文献】特開2010-147115(JP,A)
【文献】国際公開第2010/126270(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/190400(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/111269(WO,A1)
【文献】特開2010-083862(JP,A)
【文献】特開2011-207794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H10K 50/16
H10K 50/15
H10K 50/10
H01L 51/50 - 51/56
C07D 263/57
C07D 413/14
C07D 413/10
C07D 413/04
C07D 401/10
C07D 417/14
C07D 471/04
C07D 417/04
C07D 277/66
C07D 498/04
C07D 209/86
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも陽極、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び陰極をこの順に有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と省略する)において、
前記正孔阻止層が下記一般式(1)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有し、
前記電子輸送層
が下記一般式(ETM-2)で表されるピリミジン環構造を有する化合物を含有し、
前記正孔輸送層が第一正孔輸送層および第二正孔輸送層の2層構造であって、該第一正孔輸送層が下記一般式(HTM-1
)で表されるトリフェニルアミン誘導体であることを特徴とする有機EL素子。
【化1】
(1)
(式中、Ar
1、Ar
2は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子
、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基
、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Y
1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素
基を表し、Xは酸素原
子を表し、Z
1
、Z
2
は炭素原子を表す
。)
【化2】
(ETM-2)
(式中、Ar
18は
、置換の芳香族炭化水素
基を表し、Ar
19
は置換の芳香族炭化水素
基を表し、
Ar
20
は水素原子を表し、Aは、下記構造式(ETM-A)で示される1価基を表す。)
【化3】
(ETM-A)
(式中、破線部を結合部位とし、Ar
21
は無置換の芳香族複素環基を表し、R
6は重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、r
6は
0の整数を表す
。)
【化4】
(HTM-1)
(式中、R
7~R
12は、それぞれ
、無置換の芳香族炭化水素
基を表す。r
7~r
12は相互に同一でも異なってもよく、r
7~r
10は0~
1の整数を表し、r
11、r
12は
0の整数を表す
。L
1
は単結合を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL素子であって、
前記一般式(1)が下記一般式(2)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【化5】
(2)
(式中、Ar
3、Ar
4は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Y
2は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素
基を表し、Xは酸素原
子を表し、Z
3、Z
4は炭素原
子を表す。但し、Ar
3、Ar
4
の芳香族複素環基はアジン環以外とし
、且つ、Ar
3、Ar
4、Y
2の置換基は縮合多環芳香族基およびアジン環以外とする。)
【請求項3】
請求項
2に記載の有機EL素子であって、
前記一般式(
2)が下記一般式(5)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【化6】
(5)
(式中、Ar
10~Ar
11は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子
、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Ar
12は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素
基を表す。但し、Ar
10~Ar
11
の芳香族複素環基はアジン環以外とし
、且つ、Ar
10~Ar
12の置換基は縮合多環芳香族基およびアジン環以外とする。)
【請求項4】
請求項
3に記載の有機EL素子であって、
前記一般式(5)が下記一般式(6)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【化7】
(6)
(式中、Ar
13~Ar
14は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子
、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Ar
15は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。但し、Ar
13~Ar
14
の芳香族複素環基はアジン環以外とし、且つ、Ar
13~Ar
15の置換基は縮合多環芳香族基およびアジン環以外とし
、且つ、Ar
13~Ar
14
の芳香族複素環基またはAr
13~Ar
15の置換基として少なくとも1つ以上の下記構造式(A-1)または(A-2)で示される1価基を含む。)
【化8】
(A-1)
【化9】
(A-2)
(式中、破線部を結合部位とし、R
1~R
5は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基とし、r
1~r
5は相互に同一でも異なってもよく、r
1~r
3は0~4の整数を表し、r
4は0~5の整数を表し、r
5は0~3の整数を表す。r
1~r
5が2以上の整数である場合、同一のベンゼン環に複数個結合するR
1~R
5は相互に同一でも異なってもよく、また、R
1~R
3およびR
5において、置換した同一のベンゼン環に対して、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の表示装置に好適な自発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称する)に適した化合物と素子に関するものであリ、詳しくはベンゾアゾール環構造を有する化合物を用いた有機EL素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は自己発光性素子であるため、液晶素子に比べて明るく視認性に優れ、鮮明な表示が可能であることから、活発な研究がなされてきた。
【0003】
1987年にイーストマン・コダック社のC.W.Tangらは各種の役割を各材料に分担した積層構造素子を開発することにより有機材料を用いた有機EL素子を実用的なものにした。彼らは電子を輸送することのできる蛍光体と正孔を輸送することのできる有機物とを積層し、両方の電荷を蛍光体の層の中に注入して発光させることにより、10V以下の電圧で1000cd/m2以上の高輝度が得られるようになった(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
現在まで、有機EL素子の実用化のために多くの改良がなされ、積層構造の各種の役割をさらに細分化して、基板上に順次に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極を設けた電界発光素子によって高効率と耐久性が達成されるようになってきた(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、発光効率の更なる向上を目的として三重項励起子の利用が試みられ、燐光発光性化合物の利用が検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
そして、熱活性化遅延蛍光(TADF)による発光を利用する素子も開発されている。2011年に九州大学の安達らは、熱活性化遅延蛍光材料を用いた素子によって5.3%の外部量子効率を実現させた。(例えば、非特許文献3参照)
【0006】
発光層は、一般的にホスト材料と称される電荷輸送性の化合物に、蛍光性化合物や燐光発光性化合物または遅延蛍光を放射する材料をドープして作製することもできる。前記非特許文献に記載されているように、有機EL素子における有機材料の選択は、その素子の効率や耐久性など諸特性に大きな影響を与える。(例えば、非特許文献2参照)
【0007】
有機EL素子においては、両電極から注入された電荷が発光層で再結合して発光が得られるが、正孔、電子の両電荷を如何に効率良く発光層に受け渡すかが重要である。
電子注入性を高め、その移動度を高め、更に陽極から注入された正孔をブロックする正孔阻止性を高め、正孔と電子が再結合する確率を向上させ、更に発光層内で生成した励起子を閉じ込めることによって、高効率発光を得ることができる。そのため電子輸送材料の果たす役割は重要であり、電子注入性が高く、電子移動度が大きく、正孔阻止性が高く、さらには正孔に対する耐久性が高い電子輸送材料が求められている。
【0008】
また、素子の寿命に関しては材料の耐熱性やアモルファス性も重要である。耐熱性が低い材料では、素子駆動時に生じる熱により、低い温度でも熱分解が起こり、材料が劣化する。アモルファス性が低い材料では、短い時間でも薄膜の結晶化が起こり、素子が劣化してしまう。そのため使用する材料には耐熱性が高く、アモルファス性が良好な性質が求められる。
【0009】
代表的な発光材料であるトリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以後、Alq3と略称する)は電子輸送材料としても一般的に用いられるが、電子移動が遅く、また仕事関数が5.6eVなので正孔阻止性能が十分とは言えない。
【0010】
電子注入性や移動度などの特性を改良した化合物として、ベンゾトリアゾール構造を有する化合物が提案されているが(例えば、特許文献3)、これらの化合物をまたは電子輸送層に用いた素子では、発光効率などの改良はされているものの、未だ十分とはいえず、さらなる低駆動電圧化や、さらなる高発光効率化が求められている。
【0011】
また、正孔阻止性に優れた電子輸送材料として、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(以後、TAZと略称する)が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0012】
TAZは仕事関数が6.6eVと大きく正孔阻止能力が高いために、真空蒸着や塗布などによって作製される蛍光発光層や燐光発光層の、陰極側に積層する電子輸送性の正孔阻止層として使用され、有機EL素子の高効率化に寄与している(例えば、非特許文献4参照)。
【0013】
しかし電子輸送性が低いことがTAZにおける大きな課題であり、より電子輸送性の高い電子輸送材料と組み合わせて、有機EL素子を作製することが必要であった(例えば、非特許文献5参照)。
【0014】
また、BCPにおいても仕事関数が6.7eVと大きく正孔阻止能力が高いものの、ガラス転移点(Tg)が83℃と低いことから、薄膜の安定性に乏しく、正孔阻止層として十分に機能しているとは言えない。
【0015】
いずれの材料も膜安定性が不足しており、もしくは正孔を阻止する機能が不十分である。有機EL素子の素子特性を改善させるために、電子の注入・輸送性能と正孔阻止能力に優れ、薄膜状態での安定性が高い有機化合物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開平8-048656号公報
【文献】特許第3194657号公報
【文献】国際公開第2013/054764号
【文献】特許登録第2734341号
【文献】特開2010-83862公報
【文献】国際公開第2015/038503号
【文献】国際公開第2011/059000号
【文献】国際公開第2003/060956号
【文献】特開平7-126615号公報
【文献】特許平8-048656号公報
【文献】特開2005-108804号公報
【文献】国際公開第2014/009310号
【非特許文献】
【0017】
【文献】応用物理学会第9回講習会予稿集55~61ページ(2001)
【文献】応用物理学会第9回講習会予稿集23~31ページ(2001)
【文献】Appl.Phys.Let.,98,083302(2011)
【文献】第50回応用物理学関係連合講演会28p-A-6講演予稿集1413ページ(2003)
【文献】応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会会誌11巻1号13~19ページ(2000)
【文献】J.Org.chcm.,71,1802(2006)
【文献】J.Org.chcm.,79,6310(2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は高効率、高耐久性の有機EL素子用材料として、電子注入・輸送性能、正孔阻止能力、正孔耐性能力、励起子閉じ込め能力、膜状態での安定性、耐久性などに優れた各種材料を、それぞれの材料が有する特性が効果的に発現できるように組み合わせることで、(1)発光効率および電力効率が高く、(2)発光開始電圧が低く、(3)実用駆動電圧が低く、(4)特に長寿命である有機EL素子を提供することにある。
【0019】
本発明が提供しようとする有機化合物が具備すべき物理的な特性としては、(1)電子の注入特性が良いこと、(2)電子の移動度が大きいこと、(3)正孔阻止能力に優れること、(4)薄膜状態が安定であること、(5)耐熱性に優れていることをあげることができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで本発明者らは上記の目的を達成するために、ベンゾアゾール系材料が正孔阻止能力、正孔耐性能力、励起子閉じ込め能力および膜状態の安定性・耐久性であることに着目した。
本発明者らは、電子輸送層を二層構成とし、且つ、特定の構造を有するベンゾオキサゾール環化合物を発光層に隣接する正孔阻止層(第二電子輸送層)の材料として選択することで、正孔側より発光層をすり抜けた正孔に対して、閉じ込める役割、高耐性により材料劣化を防ぐ役割、また再結合した励起子を閉じ込める役割を果たすことで、高効率化が可能である知見を得た。更に、特定の構造を有するアリールアミン化合物を正孔輸送層として、また、特定の構造を有するベンゾアゾール化合物またはピリミジン化合物を電子輸送層(第一電子輸送層)として選択することで、より発光層への正孔・電子を効率良く注入・輸送できるという知見も得た中で、種々の材料を組み合わせ、キャリアバランスが精緻化された材料の組み合わせを検討し、素子の特性評価を鋭意行った。その結果、本発明を完成するに至った
【0021】
[1]少なくとも陽極、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び陰極をこの順に有する有機EL素子において、上記正孔阻止層が下記一般式(1)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【0022】
【化1】
(1)
(式中、Ar
1、Ar
2は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Y
1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、Z
1、Z
2は同一でも異なっていてもよく、炭素原子または窒素原子を表す。)
【0023】
[2]上記[1]に記載の有機EL素子であって、上記一般式(1)が下記一般式(2)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【0024】
【化2】
(2)
(式中、Ar
3、Ar
4は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Y
2は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、Z
3、Z
4は同一でも異なっていてもよく、炭素原子または窒素原子を表す。但し、Ar
3、Ar
4、Y
2の芳香族複素環基はアジン環以外とし、且つ、Ar
3、Ar
4、Y
2の置換基は縮合多環芳香族基およびアジン環以外とする。)
【0025】
[3]上記[2]に記載の有機EL素子であって、上記一般式(2)が下記一般式(3)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【0026】
【化3】
(3)
(式中、Ar
5、Ar
6は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Y
3は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。但し、Ar
5、Ar
6、Y
3の芳香族複素環基はアジン環以外とし、且つ、Ar
5、Ar
6、Y
3の置換基は縮合多環芳香族基およびアジン環以外とする。)
【0027】
[4]上記[3]に記載の有機EL素子であって、上記一般式(3)が下記一般式(4)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【0028】
【化4】
(4)
(式中、Ar
7~Ar
9は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す。但し、Ar
7~Ar
9の芳香族複素環基はアジン環以外とし、且つ、Ar
7~Ar
9の置換基は縮合多環芳香族基およびアジン環以外とする。)
【0029】
[5]上記[4]に記載の有機EL素子であって、上記一般式(4)が下記一般式(5)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【0030】
【化5】
(5)
(式中、Ar
10~Ar
12は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。但し、Ar
10~Ar
12の芳香族複素環基はアジン環以外とし、且つ、Ar
10~Ar
12の置換基は縮合多環芳香族基およびアジン環以外とする。)
【0031】
[6]上記[5]に記載の有機EL素子であって、上記一般式(5)が下記一般式(6)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【0032】
【化6】
(6)
(式中、Ar
13~Ar
15は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。但し、Ar
13~Ar
15の芳香族複素環基はアジン環以外とし、且つ、Ar
13~Ar
15の置換基は縮合多環芳香族基およびアジン環以外とし、且つ、Ar
13~Ar
15の芳香族複素環基またはAr
13~Ar
15の置換基として少なくとも1つ以上の下記構造式(A-1)または(A-2)で示される1価基を含む。)
【0033】
【0034】
【化8】
(A-2)
(式中、破線部を結合部位とし、R
1~R
5は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換のアリールオキシ基とし、r
1~r
5は相互に同一でも異なってもよく、r
1~r
3は0~4の整数を表し、r
4は0~5の整数を表し、r
5は0~3の整数を表す。r
1~r
5が2以上の整数である場合、同一のベンゼン環に複数個結合するR
1~R
5は相互に同一でも異なってもよく、また、R
1~R
3およびR
5において、置換した同一のベンゼン環に対して、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。)
【0035】
[7]上記[1]から上記[6]のいずれか1項に記載の有機EL素子であって、上記電子輸送層が下記一般式(ETM-1)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物または下記一般式(ETM-2)で表されるピリミジン環構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機EL素子。
【0036】
【化9】
(ETM-1)
(式中、Ar
16、Ar
17は相互に同一でも異なっていてもよく、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、Y
4は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、Z
5、Z
6は同一でも異なっていてもよく、炭素原子または窒素原子を表す。)
【0037】
【化10】
(ETM-2)
(式中、Ar
18は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、Ar
19、Ar
20は、それぞれ、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、Ar
19、Ar
20は同時に水素原子および重水素原子のいずれか一方となることはなく、Aは、下記構造式(ETM-A)で示される1価基を表す。)
【0038】
【化11】
(ETM-A)
(式中、破線部を結合部位とし、Ar
21は、置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、R
6は重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、r
6は0~4の整数を表す。r
6が2以上の整数である場合、同一のベンゼン環に複数個結合するR
6は相互に同一でも異なってもよく、また、R
6とAr
21が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0039】
[8]上記[7]に記載の有機EL素子であって、上記正孔輸送層が第一正孔輸送層および第二正孔輸送層の2層構造であって、該第一正孔輸送層が下記一般式(HTM-1)または(HTM-2)で表されるトリフェニルアミン誘導体であることを特徴とする有機EL素子。
【0040】
【化12】
(HTM-1)
(式中、R
7~R
12は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表す。r
7~r
12は相互に同一でも異なってもよく、r
7~r
10は0~5の整数を表し、r
11、r
12は0~4の整数を表す。r
7~r
12が2以上の整数である場合、同一のベンゼン環に複数個結合するR
7~R
12は相互に同一でも異なってもよい。また、ベンゼン環とベンゼン環に置換された置換基、同一のベンゼン環に複数置換された置換基同士、および窒素原子を介して互いに隣接するベンゼン環が、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子、または硫黄原子により結合して環を形成してもよい。L
1は下記構造式(HTM-A)~(HTM-F)で示される2価基、または単結合を表す。)
【0041】
【化13】
(HTM-A)
(式中、nは1~3の整数を表す。)
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【化19】
(HTM-2)
(式中、R
13~R
24は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基、または置換もしくは無置換のアリールオキシ基を表す。r
13~r
24は相互に同一でも異なってもよく、r
13~r
18は0~5の整数を表し、r
19~r
24は0~4の整数を表す。r
13~r
24が2以上の整数である場合、同一のベンゼン環に複数個結合するR
13~R
24は相互に同一でも異なってもよい。また、ベンゼン環とベンゼン環に置換された置換基、同一のベンゼン環に複数置換された置換基同士、および窒素原子を介して互いに隣接するベンゼン環が、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子により結合して環を形成してもよい。L
2~L
4は同一でも異なってもよく、上記構造式(HTM-A)~(HTM-F)で示される2価基、または単結合を表す。)
【0048】
一般式(1)中のAr1、Ar2およびY1で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、およびカルボリニル基などの他に、炭素数6~30からなるアリール基、または炭素数2~20からなるヘテロアリール基から選択される。
【0049】
一般式(1)中のY1で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、および2-ブテニル基などをあげることができる。
【0050】
一般式(1)中のAr1、Ar2およびY1で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」、「置換縮合多環芳香族基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのシリル基;メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの他に、炭素数6~30からなるアリール基、または炭素数2~20からなるヘテロアリール基などをあげることができ、これらの置換基はさらに、前記例示した置換基が置換していても良い。また、これらの置換基と置換したベンゼン環または同一のベンゼン環に複数置換された置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0051】
一般式(2)~(6)中のAr3~Ar15、Y2およびY3で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」または「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」における「芳香族炭化水素基」または「芳香族複素環基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、フルオレニル基、インデニル基、スピロビフルオレニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、およびカルボリニル基などの他に、炭素数6~30からなる芳香族炭化水素基、または炭素数2~20からなる芳香族複素環基から選択される。
【0052】
一般式(2)、(3)中のY2、Y3で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」としては、前記一般式(1)中のY1で表される「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0053】
一般式(2)~(6)中のAr3~Ar15、Y2およびY3で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのシリル基;メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、インデニル基、などの芳香族炭化水素基;チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの他に、炭素数6~30からなる芳香族炭化水素基、または炭素数2~20からなる芳香族複素環基をあげることができ、これらの置換基はさらに、前記例示した置換基が置換していても良い。また、これらの置換基と置換したベンゼン環または同一のベンゼン環に複数置換された置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0054】
一般式(6)に含まれる構造式(A-1)、(A-2)中のR1~R5で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」または「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」における「芳香族炭化水素基」または「芳香族複素環基」としては、前記一般式(2)~(6)中のAr3~Ar15、Y2およびY3で表される「芳香族炭化水素基」または「芳香族複素環基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0055】
一般式(6)に含まれる構造式(A-1)、(A-2)中のR1~R5で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」における「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「アリールオキシ基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2-ブテニル基、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n-プロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1-アダマンチルオキシ基、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、およびビフェニルオキシ基などをあげることができる。
【0056】
一般式(6)に含まれる構造式(A-1)、(A-2)中のR1~R5で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「置換アリールオキシ基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのシリル基;メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、フルオレニル基、インデニル基、スピロビフルオレニル基、などの芳香族炭化水素基;チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基のような基をあげることができ、これらの置換基はさらに、前記例示した置換基が置換していても良い。また、これらの置換基と置換したベンゼン環または同一のベンゼン環に複数置換された置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0057】
一般式(ETM-1)、(ETM-2)および(ETM-A)中のAr16~Ar20、Y4およびR6で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、前記一般式(1)中のAr1、Ar2およびY1で表される「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0058】
一般式(ETM-1)中のY4で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」としては、前記一般式(1)中のY1で表される「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0059】
一般式(ETM-1)、(ETM-2)および(ETM-A)中のAr16~Ar120、Y4およびR6で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」、「置換縮合多環芳香族基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「置換基」としては、前記一般式(1)中のAr1、Ar2およびY1で表される「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0060】
一般式(ETM-A)中のAr21で表される「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」における「芳香族複素環基」としては、具体的に、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、カルボリニル基のような基をあげることができる。
【0061】
一般式(ETM-A)中のAr21で表される「置換芳香族複素環基」における「置換基」としては、前記一般式(1)中のAr1、Ar2およびY1で表される「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0062】
一般式(HTM-1)および(HTM-2)中のR7~R24で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、前記一般式(1)中のAr1、Ar2およびY1で表される「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0063】
一般式(HTM-1)および(HTM-2)中のR7~R24で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」における「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「アリールオキシ基」としては、前記一般式(6)に含まれる構造式(A-1)、(A-2)中のR1~R5で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」、または「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」における「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「アリールオキシ基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0064】
一般式(HTM-1)および(HTM-2)中のR7~R24で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」、「置換縮合多環芳香族基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数2~6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5~10のシクロアルキルオキシ基」、または「置換アリールオキシ基」における「置換基」としては、前記一般式(1)中のAr1、Ar2およびY1で表される「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
【0065】
本発明の有機EL素子に好適に用いられる、前記一般式(1)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物は、有機EL素子の正孔阻止層の材料として使用することができる。正孔阻止能力、正孔耐性能力、励起子閉じ込め能力および膜状態の安定性・耐久性であり、正孔阻止層の材料として好ましい化合物である。
【0066】
本発明の有機EL素子に用いられる、前記一般式(ETM-1)、(ETM-2)で表される、ベンゾアゾール環構造を有する化合物およびピリミジン環構造を有する化合物は、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層の構成材料として使用することができる。ベンゾアゾール環構造を有する化合物およびピリミジン環構造を有する化合物は、電子注入および輸送能力に優れており、電子輸送層の材料として好ましい化合物である。
【0067】
本発明の有機EL素子に用いられる、前記一般式(HTM-1)、(HTM-2)で表される、アリールジアミン化合物およびアリールテトラアミン化合物は、有機EL素子の正孔注入層または正孔輸送層の構成材料として使用することができる。アリールジアミン化合物およびアリールテトラアミン化合物は、正孔の移動度が高く正孔注入層または正孔輸送層の材料として好ましい化合物である。
【0068】
本発明の有機EL素子は、正孔阻止および耐性能力、励起子閉じ込め能力に優れた有機EL素子用の材料を発光層と電子輸送層の間に設けることで、従来の有機EL素子と比較して、電子輸送層の劣化を防ぎ、励起子を熱失活せずに取り出すことで、発光効率が向上すると共に、有機EL素子の耐久性も向上することができる。
【0069】
更に、キャリアバランスを考慮する上で、特定の構造を有する電子輸送材料(ETM-1、ETM-2)および正孔輸送材料(HTM-1、HTM-2)を組み合わせることで、より効率良く発光層に正孔および電子を注入・輸送することができ、発光層内での再結合領域を広がることで、より発光効率が向上すると共に、有機EL素子の耐久性も向上することができ、前記一般式(1)および前記一般式(ETM-1)は同じ化合物であっても良い。
低駆動電圧、長寿命であって、特に高効率の有機EL素子を実現することが可能となった。
【発明の効果】
【0070】
本発明の有機EL素子は正孔に対して阻止耐性・閉じ込める役割を効果的に発現できる特定のベンゾアゾール環構造を有する化合物を選択したことにより、発光層から電子輸送層へ正孔の移動を制御することで、薄膜の安定性や耐久性に優れ、高効率、低駆動電圧、長寿命の有機EL素子を実現することができる。また、特定の構造を有する電子輸送材料(ETM-1、ETM-2)および正孔輸送材料(HTM-1、HTM-2)を組み合わせることによって、発光層へ正孔および電子をより効率良く注入・輸送できるように材料を選択し、キャリアバランスをより精緻化した組み合わせを選択したことによって、さらに低駆動電圧、長寿命となり、より高効率の有機EL素子を実現することができる。本発明によれば、従来の有機EL素子の発光効率および駆動電圧、そして特に耐久性を改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】ベンゾオキサゾール化合物である化合物1~15の構造式を示す図である。
【
図2】ベンゾオキサゾール化合物である化合物16~30の構造式を示す図である。
【
図3】ベンゾオキサゾール化合物である化合物31~45の構造式を示す図である。
【
図4】ベンゾオキサゾール化合物である化合物46~60の構造式を示す図である。
【
図5】ベンゾオキサゾール化合物である化合物61~75の構造式を示す図である。
【
図6】ベンゾオキサゾール化合物である化合物76~90の構造式を示す図である。
【
図7】ベンゾオキサゾール化合物である化合物91~100の構造式を示す図である。
【
図8】ベンゾアゾール環構造を有する化合物である構造式(ETM-1-1)~(ETM-1-15)を示す図である。
【
図9】ベンゾアゾール環構造を有する化合物である構造式(ETM-1-16)~(ETM-1-30)を示す図である。
【
図10】ベンゾアゾール環構造を有する化合物である構造式(ETM-1-31)~(ETM-1-45)を示す図である。
【
図11】ベンゾアゾール環構造を有する化合物である構造式(ETM-1-46)~(ETM-1-60)を示す図である。
【
図12】ベンゾアゾール環構造を有する化合物である構造式(ETM-1-61)~(ETM-1-75)を示す図である。
【
図13】ベンゾアゾール環構造を有する化合物である構造式(ETM-1-76)~(ETM-1-90)を示す図である。
【
図14】ベンゾアゾール環構造を有する化合物である構造式(ETM-1-91)~(ETM-1-99)を示す図である。
【
図15】ピリミジン環構造を有する化合物である構造式(ETM-2-1)~(ETM-2-15)を示す図である。
【
図16】ピリミジン環構造を有する化合物である構造式(ETM-2-16)~(ETM-2-30)を示す図である。
【
図17】ピリミジン環構造を有する化合物である構造式(ETM-2-31)~(ETM-2-45)を示す図である。
【
図18】ピリミジン環構造を有する化合物である構造式(ETM-2-46)~(ETM-2-60)を示す図である。
【
図19】ピリミジン環構造を有する化合物である構造式(ETM-2-61)~(ETM-2-72)を示す図である。
【
図20】ピリミジン環構造を有する化合物である構造式(ETM-2-73)~(ETM-2-84)を示す図である。
【
図21】ピリミジン環構造を有する化合物である構造式(ETM-2-85)~(ETM-2-87)の構造式を示す図である。
【
図22】トリフェニルアミン誘導体である構造式(HTM-1-1)~(HTM-1-15)を示す図である。
【
図23】トリフェニルアミン誘導体である構造式(HTM-1-16)~(HTM-1-32)を示す図である。
【
図24】トリフェニルアミン誘導体である構造式(HTM-2-1)~(HTM-2-10)を示す図である。
【
図25】トリフェニルアミン誘導体である構造式(HTM-2-11)~(HTM-2-16)を示す図である。
【
図26】実施例18~26、比較例1、2の有機EL素子構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明の有機EL素子に好適に用いられる、前記一般式(1)で表されるベンゾオキサゾール化合物の中で、好ましい化合物の具体例として化合物1~100を
図1~7に示すが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0073】
本発明の有機EL素子に好適に用いられる、前記一般式(ETM-1)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物の中で、好ましい化合物の具体例として構造式(ETM-1-1)~(ETM-1-99)を
図8~14に示すが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0074】
尚、上述したベンゾアゾール環構造を有する化合物は、それ自体公知の方法に準じて合成することができる(例えば、特許文献5、6、非特許文献6、7参照)。
【0075】
本発明の有機EL素子に好適に用いられる、前記一般式(ETM-2)で表されるピリミジン環構造を有する化合物の中で、好ましい化合物の具体例として構造式(ETM-2-1)~(ETM-2-87)を
図15~21を以下に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0076】
尚、上述したピリミジン環構造を有する化合物は、それ自体公知の方法によって合成することができる(例えば、特許文献7、8参照)。
【0077】
本発明の有機EL素子に好適に用いられる、前記一般式(HTM-1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の中で、好ましい化合物の具体例として構造式(HTM-1-1)~(HTM-1-32)を
図22,23に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0078】
本発明の有機EL素子に好適に用いられる、前記一般式(HTM-2)で表されるトリフェニルアミン誘導体の中で、好ましい化合物の具体例として構造式(HTM-2-1)~(HTM-2-16)を
図24,25に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0079】
尚、上述したトリアリールアミン構造を有する化合物は、それ自体公知の方法に準じて合成することができる(例えば、特許文献9~11参照)。
【0080】
一般式(1)~(6)、(ETM-1)、(ETM-2)、(HTM-1)および(HTM-2)で表される化合物の精製はカラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土等による吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法、昇華精製法などによって行った。化合物の同定は、NMR分析によって行なった。物性値として、融点、ガラス転移点(Tg)と仕事関数の測定を行った。融点は蒸着性の指標となるものであり、ガラス転移点(Tg)は薄膜状態の安定性の指標となり、仕事関数は正孔輸送性や正孔阻止性の指標となるものである。
【0081】
融点とガラス転移点(Tg)は、粉体を用いて高感度示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス製、DSC3100SA)によって測定した。
【0082】
仕事関数は、ITO基板の上に100nmの薄膜を作製して、イオン化ポテンシャル測定装置(住友重機械工業株式会社製、PYS-202)によって求めた。
【0083】
本発明の有機EL素子の構造としては、基板上に順次に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極からなるもの、また、正孔輸送層と発光層の間に電子阻止層を有するもの、発光層と電子輸送層の間に正孔阻止層を有するものがあげられる。これらの多層構造においては有機層を何層か省略あるいは兼ねることが可能であり、例えば正孔注入層と正孔輸送層を兼ねた構成とすること、電子注入層と電子輸送層を兼ねた構成とすること、などもできる。また、同一の機能を有する有機層を2層以上積層した構成とすることが可能であり、正孔輸送層を2層積層した構成、発光層を2層積層した構成、電子輸送層を2層積層した構成、などもできる。
【0084】
本発明の有機EL素子の陽極としては、ITOや金のような仕事関数の大きな電極材料が用いられる。本発明の有機EL素子の正孔注入層として、前記一般式(HTM-1)、(HTM-2)で表されるアリールアミン化合物の他に、銅フタロシアニンに代表されるポルフィリン化合物、スターバースト型のトリフェニルアミン誘導体、ヘキサシアノアザトリフェニレンのようなアクセプター性の複素環化合物や塗布型の高分子材料を用いることができる。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0085】
本発明の有機EL素子の正孔輸送層として、前記一般式(HTM-1)、(HTM-2)で表されるアリールアミン化合物がより好ましいが、その他に、N,N'-ジフェニル-N,N'-ジ(m-トリル)-ベンジジン(以後、TPDと略称する)やN,N'-ジフェニル-N,N'-ジ(α-ナフチル)-ベンジジン(以後、NPDと略称する)、N,N,N',N'-テトラビフェニリルベンジジンなどのベンジジン誘導体、1,1-ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(以後、TAPCと略称する)なども用いることができる。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、上記複数の材料による単独で成膜した層同士、上記複数の材料による混合して成膜した層同士、または上記複数の材料による単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。また、正孔の注入・輸送層として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(以後、PEDOTと略称する)/ポリ(スチレンスルフォネート)(以後、PSSと略称する)などの塗布型の高分子材料を用いることができる。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0086】
また、正孔注入層あるいは正孔輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにトリスブロモフェニルアミンヘキサクロルアンチモン、ラジアレン誘導体(例えば、特許文献12参照)をPドーピングしたものや、TPDなどのベンジジン誘導体の構造をその部分構造に有する高分子化合物などを用いることができる。
【0087】
本発明の有機EL素子の電子阻止層として、前記一般式(HTM-1)、(HTM-2)で表されるアリールアミン化合物の他に、4,4',4''-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(以後、TCTAと略称する)、9,9-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]フルオレン、1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(以後、mCPと略称する)、2,2-ビス(4-カルバゾール-9-イルフェニル)アダマンタン(以後、Ad-Czと略称する)などのカルバゾール誘導体、9-[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-9-[4-(トリフェニルシリル)フェニル]-9H-フルオレンに代表されるトリフェニルシリル基とトリアリールアミン構造を有する化合物などの電子阻止作用を有する化合物も用いることができる。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、上記複数の材料による単独で成膜した層同士、上記複数の材料による混合して成膜した層同士、または上記複数の材料による単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0088】
本発明の有機EL素子の発光層として、Alq3をはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体の他、各種の金属錯体、アントラセン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体などを用いることができる。また、発光層をホスト材料とドーパント材料とで構成してもよく、ホスト材料として、アントラセン誘導体が好ましく用いられるが、そのほか、前記発光材料に加え、インドール環を縮合環の部分構造として有する複素環化合物、カルバゾール環を縮合環の部分構造として有する複素環化合物、カルバゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体などを用いることができる。またドーパント材料としては、キナクリドン、クマリン、ルブレン、ペリレンおよびそれらの誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、アミノスチリル誘導体などを用いることができる。これらは、単独で成膜してもよいが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用してもよく、上記複数の材料による単独で成膜した層同士、上記複数の材料による混合して成膜した層同士、または上記複数の材料による単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としてもよい。
【0089】
また、発光材料として燐光発光体を使用することも可能である。燐光発光体としては、イリジウムや白金などの金属錯体の燐光発光体を使用することができる。Ir(ppy)3などの緑色の燐光発光体、FIrpic、FIr6などの青色の燐光発光体、Btp2Ir(acac)などの赤色の燐光発光体などが用いられ、このときのホスト材料としては正孔注入・輸送性のホスト材料として4,4'-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(以後、CBPと略称する)やTCTA、mCPなどのカルバゾール誘導体を用いることができる。電子輸送性のホスト材料として、p-ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(以後、UGH2と略称する)や2,2',2''-(1,3,5-フェニレン)-トリス(1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール)(以後、TPBIと略称する)などを用いることができ、高性能の有機EL素子を作製することができる。
【0090】
燐光性の発光材料のホスト材料へのドープは濃度消光を避けるため、発光層全体に対して1~30重量パーセントの範囲で、共蒸着によってドープすることが好ましい。
【0091】
また、発光材料としてPIC-TRZ、CC2TA、PXZ-TRZ、4CzIPNなどのCDCB誘導体などの遅延蛍光を放射する材料を使用することも可能である。(例えば、非特許文献3参照)これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0092】
本発明の有機EL素子の正孔阻止層として、前記一般式(1)~(6)で表されるベンゾアゾール化合物を用いることができ、電子輸送層の材料を兼ねてもよい。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、上記複数の材料による単独で成膜した層同士、上記複数の材料による混合して成膜した層同士、または上記複数の材料による単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0093】
本発明の有機EL素子の電子輸送層として、前記一般式(ETM-1)、(ETM-2)で表されるベンゾアゾール化合物、ピリミジン化合物がより好ましいが、その他に、Alq3、BAlqをはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体のほか、各種金属錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、アントラセン誘導体、カルボジイミド誘導体、キノキサリン誘導体、ピリドインドール誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体なども用いることができる。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、上記複数の材料による単独で成膜した層同士、上記複数の材料による混合して成膜した層同士、または上記複数の材料による単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
【0094】
本発明の有機EL素子の電子注入層として、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属塩、フッ化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、リチウムキノリノールなどのキノリノール誘導体の金属錯体、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、あるいはイッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)などの金属などを用いることができるが、電子輸送層と陰極の好ましい選択においては、これを省略することができる。
【0095】
さらに、電子注入層あるいは電子輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにセシウムなどの金属をNドーピングしたものを用いることができる。
【0096】
本発明の有機EL素子の陰極として、アルミニウムのような仕事関数の低い電極材料や、マグネシウム銀合金、マグネシウムインジウム合金、アルミニウムマグネシウム合金のような、より仕事関数の低い合金が電極材料として用いられる。
【0097】
以下、本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0098】
<4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-([1,1',3',1'']ターフェニル-4-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物6)の合成>
反応容器に4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾール:10.0g、3-ビフェニルボロン酸:7.5g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):0.5g、トリシクロヘキシルホスフィン:1.1g、リン酸三カリウム:12.1gを仕込み、1,4-ジオキサン/H2O混合溶媒下にて一晩還流撹拌した。放冷した後、分液、水層から酢酸エチルにて抽出を行った後、濃縮、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル)によって精製した後、アセトンにて晶析を行うことで、4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-([1,1',3',1'']ターフェニル-4-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物6)の白色粉体8.3g(収率68.0%)を得た。
【0099】
【0100】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の33個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.44(2H)、8.35(1H)、8.14(1H)、8.00-7.82(6H)、7.80-7.47(20H)、7.46-7.37(3H)。
【実施例2】
【0101】
<2-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物22)の合成>
実施例1において4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールに代えて、2-(3,5-ジクロロ-フェニル)-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、カルバゾールを用い、同様の条件で反応を行うことによって、2-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物22)の白色粉体4.8g(収率30%)を得た。
【0102】
【0103】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の31個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.67(2H)、8.21(4H)、8.10(2H)、8.01(1H)、7.85(1H)、7.79(1H)、7.73(2H)、7.63(4H)、7.57-7.46(8H)、7.46-7.33(6H)。
【実施例3】
【0104】
<2-{2,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物24)の合成>
反応容器に、2-{2,5-ジフルオロ-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール:3.7g、カルバゾール:3.4g、炭酸セシウム:12.9gを仕込み、DMF溶媒下にて120℃で一晩加熱撹拌した。放冷した後、H2Oを加えて析出した固体を採取して粗製物を得た。粗製物をモノクロロベンゼン/アセトン混合溶媒で晶析精製を行うことによって、2-{2,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物24)の白色粉体4.3g(収率64%)を得た。
【0105】
【0106】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の31個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.81(1H)、8.25(4H)、8.02(1H)、7.94(1H)、7.69(2H)、7.63(1H)、7.56(2H)、7.55(2H)、7.48-7.29(17H)。
【実施例4】
【0107】
<4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-{([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(化合物45)の合成>
実施例1において、3-ビフェニルボロン酸に代えて、カルバゾールを用い、同様の条件で反応を行うことによって、4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-{([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(化合物45)の白色粉体4.2g(収率34%)を得た。
【0108】
【0109】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の32個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.59(2H)、8.36(1H)、8.19(2H)、8.15(1H)、7.97(1H)、7.92(1H)、7.94-7.32(23H)。
【実施例5】
【0110】
<4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-{4-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(化合物47)の合成>
実施例1において、3-ビフェニルボロン酸に代えて、3-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール)-ボロン酸を用い、同様の条件で反応を行うことによって、4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-{4-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(化合物47)の淡黄色粉体3.8g(収率27%)を得た。
【0111】
【0112】
得られた淡黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の36個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.47(1H)、8.45(2H)、8.37(1H)、8.25(1H)、8.15(1H)、7.92(5H)、7.82-7.59(14H)、7.58-7.33(11H)。
【実施例6】
【0113】
<2,6-ジフェニル-4-(9,9' -スピロビ[9H]フルオレン-2-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物57)の合成>
実施例1において4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールに代えて、6-クロロ-2-フェニル-4-(9,9'-スピロビ[9H]フルオレン-2-イル)-ベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、フェニルボロン酸を用い、同様の条件で反応を行うことによって、2,6-ジフェニル-4-(9,9'-スピロビ[9H]フルオレン-2-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物57)の白色粉体4.5g(収率41%)を得た。
【0114】
【0115】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の27個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.15-7.98(6H)7.97-7.85(4H)、7.60-7.36(9H)、7.17(4H)、6.90-6.80(4H)。
【実施例7】
【0116】
<6-(ビフェニル-3-イル)-2-(ビフェニル-4-イル)-4-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物60)の合成>
実施例1において、4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾール代えて、6-(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロフェニル)-4-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-ベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、フェニルボロン酸を用い、同様の条件で反応を行うことによって、6-(ビフェニル-3-イル)-2-(ビフェニル-4-イル)-4-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物60)の白色粉体3.0g(収率44%)を得た。
【0117】
【0118】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の32個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.90(1H)、8.45(2H)、8.30(1H)、8.26(1H)、7.94(1H)、7.91(1H)、7.85(2H)、7.80(3H)、7.74-7.32(20H)。
【実施例8】
【0119】
<4-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-2,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物62)の合成>
実施例1において4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールに代えて、6-クロロ-4-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-2-フェニルーベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、フェニルボロン酸を用い、同様の条件で反応を行うことによって、4-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-2,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物62)の白色粉体8.0g(収率60%)を得た。
【0120】
【0121】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の31個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.52(2H)、8.42(2H)、8.21(4H)、7.91(1H)、7.90(1H)、7.87(1H)、7.85(4H)、7.71(2H)、7.65-7.46(9H)、7.45-7.34(5H)。
【実施例9】
【0122】
<6-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-2,4-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物69)の合成>
実施例1において4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールに代えて、6-クロロ-2,4-ジフェニルーベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニルボロン酸を用い、同様の条件で反応を行うことによって、6-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-2,4-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物69)の白色粉体6.8g(収率61%)を得た。
【0123】
【0124】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の31個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.35(2H)、8.21(4H)、8.11(2H)、8.07(2H)、7.91(2H)、7.88(1H)、7.66(4H)、7.59-7.42(10H)、7.36(4H)。
【実施例10】
【0125】
<2-フェニル-6-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-4-(5-フェニル-[5H]-ピリド[4,3,b]インドール-8-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物82)の合成>
実施例1において4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールに代えて、6-クロロ-2-フェニル-4-(5-フェニル-[5H]-ピリド[4,3,b]インドール-8-イル)-ベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イルーボロン酸を用い、同様の条件で反応を行うことによって、2-フェニル-6-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-4-(5-フェニル-[5H]-ピリド[4,3,b]インドール-8-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物82)の黄色粉体2.9g(収率50%)を得た。
【0126】
【0127】
得られた黄色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の30個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=9.56(1H)、9.04(1H)、8.59(1H)、8.53(1H)、8.48(1H)、8.45(1H)、8.36(1H)、8.26(2H)、8.05(1H)、7.93(2H)、7.88-7.43(16)7.36(2H)。
【実施例11】
【0128】
<2-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(化合物96)の合成>
実施例1において4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールに代えて、2-(3,5-ジクロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、カルバゾールを用い、同様の条件で反応を行うことによって、2-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-ベンゾオキサゾール(化合物96)の白色粉体10.6g(収率67%)を得た。
【0129】
【0130】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の23個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.64(2H)、8.21(4H)、8.03(1H)、7.87(1H)、7.64(5H)、7.51(4H)、7.47-7.32(6H)。
【実施例12】
【0131】
<2-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-ビフェニル-4'-イル}-ベンゾオキサゾール(化合物97)の合成>
反応容器に2-(4-ブロモフェニル)-ベンゾオキサゾール:4.0g、3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニルボロン酸:7.3gを仕込み、トルエン:80mL、エタノール:20mL、続いて、予め炭酸カリウム;2.4gをH2O:20mLに溶解した水溶液を加えて30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):0.3gを加えて加熱還流下にて一晩撹拌した。放冷した後、分液操作にて有機層を取り分け、濃縮して粗製物を得た。粗製物をトルエン/アセトン混合溶媒で晶析精製を行うことで、2-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-ビフェニル-4'-イル}-ベンゾオキサゾール(化合物97)の白色粉体4.4g(収率50%)を得た。
【0132】
【0133】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の27個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.42(2H)、8.21(4H)、8.04(2H)、7.91(3H)、7.82(1H)、7.64(5H)、7.51(4H)、7.45-7.32(6H)。
【実施例13】
【0134】
<2-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-6-(ビフェニル-4-イル)-4-フェニル-ベンゾオキサゾール(化合物98)の合成>
実施例1において4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールに代えて、2-(3,5-ジクロロ-フェニル)-6-(ビフェニル-4-イル)-4-フェニル-ベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、カルバゾールを用い、同様の条件で反応を行うことによって、2-{3,5-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-6-(ビフェニル-4-イル)-4-フェニル-ベンゾオキサゾール(化合物98)の白色粉体7.9g(収率57%)を得た。
【0135】
【0136】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の35個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.68(2H)、8.22(4H)、8.11(2H)、8.01(1H)、7.87(2H)、7.79(4H)、7.69(2H)、7.64(4H)、7.57-7.47(8H)、7.42(2H)、7.38(4H)。
【実施例14】
【0137】
<2-{3,4-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物99)の合成>
実施例3において2-{2,5-ジフルオロ-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾールに代えて、2-{3,4-ジフルオロ-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾールを用い、同様の条件で反応を行うことによって、2-{3,4-ジ([9H]-カルバゾール-9-イル)-フェニル}-4,6-ジフェニル-ベンゾオキサゾール(化合物99)の白色粉体3.1g(収率60%)を得た。
【0138】
【0139】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の31個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=)8.79(1H)、8.67(1H)、8.14(2H)、8.04(1H)、7.89-7.79(6H)、7.75(2H)、7.56(4H)、7.45(2H)、7.24(4H)、7.15-7.06(8H)。
【実施例15】
【0140】
<4-(ビフェニル-3-イル)-2-(ビフェニル-4-イル)-6-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物100)の合成>
実施例1において4,6-ビス(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロ-フェニル)-ベンゾオキサゾールに代えて、4-(ビフェニル-3-イル)-2-(4-クロロフェニル)-6-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-ベンゾオキサゾールを用い、3-ビフェニルボロン酸に代えて、フェニルボロン酸を用い、同様の条件で反応を行うことによって、4-(ビフェニル-3-イル)-2-(ビフェニル-4-イル)-6-(9-フェニル-[9H]-カルバゾール-3-イル)-ベンゾオキサゾール(化合物100)の白色粉体2.1g(収率31%)を得た。
【0141】
【0142】
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
1H-NMR(CDCl3)で以下の32個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.47(1H)、8.50(2H)、8.36(1H)、8.25(1H)、8.16(1H)、7.92(2H)、7.85(2H)、7.77(5H)、7.72-7.59(6H)、7.57-7.33(11H)。
【実施例16】
【0143】
一般式(1)で表されるベンゾアゾール化合物について、高感度示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス製、DSC3100SA)によって融点とガラス転移点を測定した。
融点 ガラス転移点
実施例1の化合物 観測されず 82 ℃
実施例2の化合物 273 ℃ 144 ℃
実施例3の化合物 256 ℃ 136 ℃
実施例4の化合物 観測されず 107 ℃
実施例5の化合物 220 ℃ 112 ℃
実施例6の化合物 242 ℃ 121 ℃
実施例7の化合物 236 ℃ 113 ℃
実施例8の化合物 313 ℃ 144 ℃
実施例9の化合物 277 ℃ 145 ℃
実施例10の化合物 観測されず 180 ℃
実施例11の化合物 261 ℃ 117 ℃
実施例12の化合物 243 ℃ 135 ℃
実施例13の化合物 315 ℃ 162 ℃
実施例14の化合物 270 ℃ 144 ℃
実施例15の化合物 観測されず 111 ℃
【0144】
一般式(1)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物は100℃以上のガラス転移点を有しており、薄膜状態が安定であることを示すものである。
【実施例17】
【0145】
一般式(1)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物を用いて、ITO基板の上に膜厚100nmの蒸着膜を作製して、イオン化ポテンシャル測定装置(住友重機械工業株式会社製、PYS-202)によって仕事関数を測定した。
仕事関数
実施例1の化合物 6.34 eV
実施例2の化合物 6.28 eV
実施例3の化合物 6.12 eV
実施例4の化合物 6.20 eV
実施例5の化合物 6.00 eV
実施例6の化合物 6.46 eV
実施例7の化合物 5.98 eV
実施例8の化合物 6.18 eV
実施例9の化合物 6.21 eV
実施例10の化合物 5.94 eV
実施例11の化合物 6.24 eV
実施例12の化合物 6.24 eV
実施例13の化合物 6.32 eV
実施例14の化合物 6.18 eV
実施例15の化合物 6.02 eV
【0146】
一般式(1)で表されるベンゾアゾール環構造を有する化合物はNPD、TPDなどの一般的な正孔輸送材料がもつ仕事関数5.5eVより大きい値を有しており、大きな正孔阻止能力を有している。
【実施例18】
【0147】
有機EL素子は、
図26に示すように、ガラス基板1上に透明陽極2としてITO電極をあらかじめ形成したものの上に、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、正孔阻止層6、電子輸送層7、電子注入層8、陰極(アルミニウム電極)9の順に蒸着して作製した。
【0148】
具体的には、膜厚150nmのITOを成膜したガラス基板1をイソプロピルアルコール中にて超音波洗浄を20分間行った後、200℃に加熱したホットプレート上にて10分間乾燥を行った。その後、UVオゾン処理を15分間行った後、このITO付きガラス基板を真空蒸着機内に取り付け、0.001Pa以下まで減圧した。続いて、透明陽極2を覆うように正孔注入層3として、下記構造式の電子アクセプター(Acceptor-1)と下記構造式の化合物(HTM-1-1)を、蒸着速度比がAcceptor-1:化合物(HTM-1-1)=3:97となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚10nmとなるように形成した。この正孔注入層3の上に、正孔輸送層4として下記構造式の化合物(HTM-1-1)を膜厚60nmとなるように形成した。この正孔輸送層4の上に、発光層5として下記構造式の化合物EMD-1と下記構造式の化合物EMH-1を、蒸着速度比がEMD-1:EMH-1=5:95となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚20nmとなるように形成した。この発光層5の上に、正孔阻止層6として実施例2の化合物(化合物22)を膜厚5nmになるように形成した。この正孔阻止層6の上に電子輸送層7として下記構造式の化合物(ETM-2-87)と下記構造式の化合物(ETM-3)を、蒸着速度比が化合物(ETM-2-87):ETM-3=50:50となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚25nmとなるように形成した。この電子輸送層7の上に、電子注入層8としてフッ化リチウムを膜厚1nmとなるように形成した。最後に、アルミニウムを100nm蒸着して陰極9を形成した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【実施例19】
【0156】
実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて本発明実施例3の化合物(化合物24)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0157】
【実施例20】
【0158】
実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて本発明実施例7の化合物(化合物60)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0159】
【実施例21】
【0160】
実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて本発明実施例8の化合物(化合物62)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0161】
【実施例22】
【0162】
実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて本発明実施例9の化合物(化合物69)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0163】
【実施例23】
【0164】
実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて本発明実施例11の化合物(化合物96)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0165】
【実施例24】
【0166】
実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて本発明実施例12の化合物(化合物97)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0167】
【実施例25】
【0168】
実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて本発明実施例13の化合物(化合物98)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0169】
【実施例26】
【0170】
実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて本発明実施例14の化合物(化合物99)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0171】
【0172】
[比較例1]
比較のために、実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて、下記構造式の化合物ETM-4を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0173】
【0174】
[比較例2]
比較のために、実施例18において、正孔阻止層6の材料として本発明実施例2の化合物(化合物22)に代えて、前記化合物(ETM-2-87)を用いた以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を表1にまとめて示した。
【0175】
【0176】
実施例18~26および比較例1、2で作製した有機EL素子を用いて、素子寿命を測定した結果を表1にまとめて示した。素子寿命は、発光開始時の発光輝度(初期輝度)を2000cd/m2として定電流駆動を行った時、発光輝度が1900cd/m2(初期輝度を100%とした時の95%に相当:95%減衰)に減衰するまでの時間として測定した。
【0177】
【0178】
表1に示す様に、電流密度10mA/cm2の電流を流したときの駆動電圧は、比較例1、2の有機EL素子の3.53~3.66Vに対し、実施例18~26の有機EL素子では3.47~3.52Vと低電圧化した。また、発光効率においては、比較例1、2の有機EL素子の9.00~9.66cd/Aに対し、実施例18~26の有機EL素子では9.80~10.10cd/Aと向上し、電力効率においても、比較例1、2の有機EL素子の7.74~8.60lm/Wに対し、実施例18~26の有機EL素子では8.80~9.16lm/Wと大きく向上した。特に、素子寿命(95%減衰)においては、比較例1、2の有機EL素子における117~137時間に対し、実施例18~26の有機EL素子では151~272時間と、大きく長寿命化している。
【0179】
このように本発明の有機EL素子は、特定のベンゾアゾール系化合物を正孔阻止層の材料として選択することによって、正孔阻止能力、正孔耐性能力、励起子閉じ込め能力が向上するため、従来の有機EL素子と比較して、発光効率および電力効率に優れており、長寿命の有機EL素子を実現できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本発明の、特定のベンゾアゾール環構造を有する化合物は、電子の注入特性が良く、正孔阻止能力に優れており、薄膜状態が安定であるため、有機EL素子用の化合物として優れている。該化合物を用いて有機EL素子を作製することにより、高い効率を得ることができると共に、駆動電圧を低下させることができ、耐久性を改善させることができる。例えば、家庭電化製品や照明の用途への展開が可能となった。
【符号の説明】
【0181】
1 ガラス基板
2 透明陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極