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▶ インスティテュート フォー マスキュロスケレタル サイエンス アンド エジュケイション,リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】湾曲骨接触要素を備えるインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019543187
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017058100
(87)【国際公開番号】W WO2018081131
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】15/791,279
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/412,657
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/334,053
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517373240
【氏名又は名称】インスティテュート フォー マスキュロスケレタル サイエンス アンド エジュケイション,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハムゼイ,ラミ
(72)【発明者】
【氏名】モリス,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ダッフィールド,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】マクシェイン,エドワード,ジェイ.,3世
(72)【発明者】
【氏名】スタウファー,ミーガン,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ナイアハイ,ジョセフ,エム.
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】村上 聡
【審判官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0096685(US,A1)
【文献】特表2012-501236(JP,A)
【文献】特表2015-502192(JP,A)
【文献】特表2001-523129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/30- 2/44
A61B17/68-17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントであって、
周辺構造と、前記周辺構造の第1の側から前記周辺構造の第2の側に向けて延びる1本またはそれ以上の支持ビームとが形成された本体部
前記本体部の周辺構造または支持ビームと一体的に形成された複数のアーチ状骨接触要素とを備え
前記各アーチ状骨接触要素は、アーチ状部分と前記アーチ状部分から前記本体部の周辺構造または支持ビームと一体的に形成された部分にかけて広がる少なくとも1つのフレア状脚部とを含み、
前記アーチ状部分は前記本体部から上方向または下方向を向いており、
前記周辺構造は前記周辺構造に沿って分布する高さを有し、前記周辺構造は比較的高さの高い第1の部位と比較的高さの低い第2の部位とを含み、
前記アーチ状骨接触要素は、湾曲中心軸を有し、
前記少なくとも1つのフレア状脚部の前記本体部の周辺構造または支持ビームと一体的に形成された部分は前記湾曲中心軸に垂直な第1断面形状を有し、前記フレア状脚部の前記アーチ状部分に近位の部分は前記湾曲中心軸に垂直な第2断面形状を有し、前記第1断面形状の断面積は前記第2断面形状の断面積よりも大きく、
1つまたは複数の前記アーチ状骨接触要素は、前記周辺構造の前記比較的高さの低い前記第2の部位から延びている、インプラント。
【請求項2】
記アーチ状骨接触要素の断面積は、前記湾曲中心軸に沿って変化し、前記断面積は、前記アーチ状部分で最小である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第1断面形状は略楕円形であり、前記第2断面形状は略円形である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記1本またはそれ以上の支持ビームは、前記周辺構造の第1の側から第1軸に沿って前記周辺構造の第2の側に向けて延びており、
記アーチ状骨接触要素の前記少なくとも1つのフレア状脚部は、前記インプラントの前記第1軸に沿って延びている前記1本またはそれ以上の支持ビームのうちの1つに取り付けられており、前記第1断面形状の最長寸法は、前記第1軸とほぼ整列されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
記アーチ状骨接触要素は、前記アーチ状部分に置かれ上方向または下方向を向くことにより隣接する椎骨に直接接触するように意図された遠位表面領域を含み、
前記遠位表面領域は、前記アーチ状部分が前記フレア状脚部に隣接する領域である隣接表面領域とは異なる曲率半径を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
記アーチ状骨接触要素は、粗面化表面領域を有する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者における骨の成長を支持するインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なるインプラントが体内で使用される。あるエリアを安定させ、骨の内部成長を促すように体内で使用されるインプラントは、安定性(すなわち、圧力下での経時的な最小限の変形)および骨の内部成長のためのスペースの双方を提供する。
【0003】
脊椎固定術または脊椎癒着術としても知られている脊椎固定は、変性円板疾患、脊椎すべり症(椎骨のすべり)、脊柱管狭窄症、脊柱側弯症、骨折、感染または腫瘍等の、種々の病的状態の治療に使用される外科的な治療方法である。脊椎固定処置の目的は、不安定さ、ひいては痛みを低減することである。
【0004】
脊椎固定に備えて、椎間板のほとんどが除去される。インプラント、すなわち脊椎固定ケージ、を椎骨間に配置して、脊椎のアライメントおよび椎間板の高さを維持することができる。癒合(すなわち、骨橋)は、椎骨の終板間で生じる。
【0005】
ウェッジインプラントは、脊椎以外の隣接する骨を癒合するために、または(楔開き骨切除術のためなど)単一の骨の各セグメントを癒合するために、身体の他の部分で使用される。たとえば、ウェッジインプラントは、仙腸骨(Sacroiliac S. I.)の関節癒合または安定化処置と同様に、骨切除術処置のためにも使用されてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様では、インプラントは、本体部と、本体部に取り付けられた2つの端部を有する第1アーチ状骨接触要素と、本体部に取り付けられた2つの端部を有する第2アーチ状骨接触要素とを含む。
【0007】
別の態様では、インプラントは、横軸を含む本体部を含む。インプラントは、横軸に対して第1角度で方向付けられている第1アーチ状骨接触要素と、横軸に対して第2角度で方向付けられている第2アーチ状骨接触要素と、も含む。第1角度は、第2角度とは異なる。
【0008】
別の態様において、インプラントは、周辺構造と、第1支持ビームと、第2支持ビームとを備える本体部を含む。周辺構造は、内部領域と、内部領域にまたがる第1支持ビームおよび第2支持ビームとを境界付ける。インプラントは、周辺構造の部分から第1支持ビームに延びている第1アーチ状骨接触要素と、第1支持ビームから第2支持ビームに延びている第2アーチ状骨接触要素と、も含む。
【0009】
別の態様では、インプラントは、前縁部と、後縁部と、前縁部と後縁部との間に延びている中間部とを有する本体部を含む。前縁部は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含む。後縁部は、挿入ツールを受容するように構成された少なくとも1つのレセプタクルを含むモノリシック構造を含む。また、中間部は、複数の細長い湾曲構造部材を含む。
【0010】
別の態様において、インプラントは、前縁部と、後縁部と、前縁部と後縁部との間に延びている中間部とを有する本体部を含む。前縁部は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含む。後縁部は、挿入ツールを受容するように構成された少なくとも1つのレセプタクルを含むモノリシック構造を含む。また、インプラントはさらに、前縁部と後縁部との間に延びているインプラントの周辺部分を形成する少なくとも1つの実質的に渦巻状の細長い部材を含む。
【0011】
別の態様において、インプラントは、前縁部と、後縁部と、前縁部と後縁部との間に延びている中間部とを有する本体部を含む。前縁部は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含む。後縁部は、挿入ツールを受容するように構成された少なくとも1つのレセプタクルを含むモノリシック構造を含む。また、インプラントは、前縁部と後縁部との間に延びている少なくとも1つの支持ビームを含む。さらに、インプラントは、前縁部と後縁部との間に延びている少なくとも1つの実質的にらせん状の細長い部材を含む。
【0012】
実施形態の他のシステム、方法、特徴および利点は、当業者には、以下の図面および詳細な説明を考察すれば、明らかであろう、または明らかになるであろう。このようなすべての追加のシステム、方法、特徴および利点は、本明細書および本概要に含まれること、実施形態の範囲に含まれること、ならびに以下の特許請求の範囲により保護されることが意図される。
【0013】
実施形態は、以下の図面および説明を参照するとよりよく理解することができる。図面内の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ実施形態の原理を説明するにあたり強調を施している。また、図面において、同様な符号は、種々の図を通して、対応する部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】インプラントを示す模式的な等角図である。
図2】インプラントを示す模式的な等角図である。
図3】インプラントを示す模式的な等角図である。
図4】インプラントの本体部を示す模式的な上面図である。
図5図4の本体部の模式的な等角図である。
図6】インプラントを示す模式的な前面図である。
図7】インプラントを示す模式的な後面図である。
図8】いくつかの模式的な断面を含むアーチ状骨接触要素を示す模式図である。
図9】アーチ状骨接触要素とインプラントの本体部の部分との間の取り付け領域の拡大模式図を含むインプラントの模式図である。
図10図1のインプラントの模式上面図である。
図11】インプラントを示す模式的な上面図である。
図12】インプラントを示す模式的な等角図である。
図13図12のインプラントの模式的な上面図である。
図14】粗面化表面を有するインプラントを示す模式的な等角図である。
図15】粗面化表面領域を示す模式図である。
図16】ウェッジインプラントの埋め込みを含む骨切除術処置を説明するための模式図である。
図17】インプラントを示す模式的な前縁斜視図である。
図18図17に示すインプラントの模式的な後縁斜視図である。
図19図17に示すインプラントの模式的な側面図である。
図20図17に示すインプラントの模式的な前縁図である。
図21図17に示すインプラントの模式的な後縁図である。
図22】インプラントを示す模式的な前縁斜視図である。
図23】ウェッジインプラントの埋め込みを伴う骨切除術処置を説明するための模式図である。
図24】ウェッジインプラントの埋め込みを伴う骨切除術処置を説明するための模式図である。
図25】インプラントを示す模式的な後縁斜視図である。
図26】インプラントを示す模式的な後縁斜視図である。
図27】ウェッジインプラントの埋め込みを伴う仙腸関節安定化処置を説明するための模式図である。
図28】インプラントを示す模式的な前縁斜視図である。
図29図28に示すインプラントの模式的な後縁斜視図である。
図30】インプラントを示す模式的な前縁斜視図である。
図31】インプラントを示す模式的な前縁斜視図である。
図32】インプラントを示す模式的な前縁斜視図である。
図33】インプラントを示す模式的な前縁斜視図である。
図34】インプラントを示す模式的な前縁斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載の実施形態は、骨の凹部内に挿入するための部分を含むインプラントに向けられている。凹部内への挿入のために構成された部分はそれぞれ、基板または中央部分と多層骨インタフェース格子とを有する本体部を含む。骨インタフェース格子の層は、細長い湾曲構造部材を含んでもよい。そのような構造部材は、さまざまな湾曲構成のうちの任意のものを有してもよい。たとえば、構造部材は、らせん状、渦巻状、コイル状、正弦波状、アーチ状または別様に湾曲している部分を含んでもよい。そのような湾曲構成の実施例は、以下の出願において提供されている。
【0016】
以下に説明するさまざまな手段に加えて、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、McShane III等の「Implant with Protected Fusion Zones(被保護癒合ゾーンを備えるインプラント)」と題された、2018年4月26日公開の米国公開第2018/0110626号に開示された本体部/支持構造、フレーム、プレート、コイルまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。便宜上、この出願は、本願全体を通して「被保護癒合ゾーン出願」として参照される。
【0017】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、McShane,III等の「Implant with Arched Bone Contacting Elements(アーチ状骨接触要素を備えるインプラント)」と題された、2017年2月16日公開の米国公開第2017/0042697号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0018】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用されて「リング出願」として参照される、McShane IIIらの「Implant with Structural Members Arranged Around a Ring(リング周囲に配置された構造部材を備えるインプラント)」と題された、2018年9月13日公開の米国公開第2018/0256351号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0019】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用されて「コイル状インプラント出願」として参照される、Morrisらの「Coiled Implants and Systems and Methods of Use Thereof(コイル状インプラントおよびシステムならびにその使用方法)」と題された、2016年11月10日公開の米国公開第2016/0324656号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0020】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、Nyahay等の「Implant with Bone Contacting Elements Having Helical and Undulating Planar Geometries(らせん状起伏平面幾何学形状を有する骨接触要素を備えるインプラント)」と題された、2018年9月13日公開の米国公開第2018/0256352号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0021】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、Nyahay等の「Corpectomy Implant(椎体部分切除術インプラント)」と題された、2018年9月13日公開の米国公開第2018/0256353号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0022】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、Bishopらの「Implant with Supported Helical Members(支持らせん部材を備えるインプラント)」と題された、2018年9月13日公開の米国公開第2018/0256361号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0023】
インプラントの概要
図1図3は、インプラント100の実施形態を示す等角図である。インプラント100はまた、ケージまたは固定デバイスと称されてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100は、人体の一部内に埋め込まれるように構成されている。いくつかの実施形態では、インプラント100は、脊椎への埋め込みのために構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、インプラント100は、椎骨間に支持を提供するために、および/または、椎骨間の癒合(fusion)を容易にするために隣接する椎骨の間に挿入される、脊椎固定インプラントまたは脊椎固定デバイスであってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、インプラント100は、本体部102を含んでいる。本体部102は、大略的にインプラント100のためのフレームまたは骨格を提供する。いくつかの実施形態では、インプラント100は、複数のアーチ状骨(arched bone)接触要素104も含んでもよい。複数のアーチ状骨接触要素104は、本体部102に取り付けられていても、および/または本体部102と連続的に形成(または「一体的に形成」)されていてもよい。
【0025】
本明細書において用いられる場合、各アーチ状骨接触要素は、インプラントの領域またはエリアにまたがる特徴的部材または要素を含む。いくつかの実施形態では、これらの要素は、格子内の要素または他の3Dメッシュ構造と同様に、重なっていてもまたは交差していてもよい。他の実施形態では、要素は重なっていなくてもまたは交差してなくてもよい。いくつかの実施形態は、要素の長さがその幅およびその厚さよりも大きい要素を使用してもよい。たとえば、要素が略円形の断面形状を有する実施形態では、要素は、その直径よりも大きい長さを有する。
【0026】
図1図3に見られる実施形態では、各アーチ状骨接触要素は、要素の少なくとも一部に沿って略丸いまたは円形の断面形状を有する(すなわち、要素が中実管の幾何学形状を有する)ことがわかる。しかし、他の実施形態では、要素は、さまざまな多角形断面形状、ならびに任意の他の規則的なおよび/または不規則な断面形状を含む任意の他の断面形状を有することができるであろうが、これらに限定されるものではない。いくつかの場合において、たとえば、アーチ状骨接触要素の断面形状は、その長さに沿って変化することができるであろう(たとえば、直径または形状は、その長さに沿って変化することができるであろう)。
【0027】
明確にするために、詳細な説明および特許請求の範囲において方向を示す種々の形容詞に言及する。本明細書において用いられる場合、「前方」という用語は、インプラントを体内に置いたときに人体の前面の方に向けられることが意図される、インプラントの側部または部分を指す。同様に、「後方」という用語は、埋め込み後に人体の背面の方に向けられることが意図される、インプラントの側部または部分を指す。また、「上側」という用語は、体の上部(例、頭)の方に向けられることが意図されるインプラントの側部または部分を指すのに対し、「下側」は、体の底部の方に向けられることが意図されるインプラントの側部または部分を指す。本明細書において、インプラントの「外側」側部または部分にも言及し、これは、埋め込み後に体の外側方向に面する側部または部分である。
【0028】
図1図3では、インプラント100は、前方側部110および後方側部112で構成されていると理解される。インプラント100は、インプラント100の両側において後方側部112と前方側部110との間に延びている、第1外側側部114および第2外側側部116も含んでもよい。さらに、インプラント100は、上側側部130および下側側部140も含んでもよい。
【0029】
また、方向または軸の言及は、体に対してそれが意図される向きではなく、インプラント自体に対するものを指す。たとえば、「遠位」という用語は、インプラントの中心から遠くの方に位置付けられる部分を指すのに対し、「近位」という用語は、インプラントの中心の近くの方に位置付けられる部分を指す。本明細書において用いられる場合、「インプラントの中心」とは、質量の中心、および/または中心面、および/または中心に位置付けられる別の基準面、とすることができるであろう。
【0030】
本明細書において用いられる場合、「固定的に取り付けられた」という用語は、(たとえば、一方または両方の構成要素を破壊することなく)容易に分離されないであろう方法で構成要素が接合された、2つの構成要素を指すものとする。
【0031】
また、さまざまな軸が定義される。図1を参照すると、インプラント100は、第1外側側部114と第2外側側部116との間にインプラント100に沿って延びている横軸120に関連付けられていてもよい。さらに、インプラント100は、後方側部112と前方側部110との間に延びている前後軸122に関連付けられていてもよい。また、インプラント100は、インプラント100の厚さ寸法に沿って延び、横軸120および前後軸122の両方に対して略垂直である垂直軸124に関連付けられていてもよい。
【0032】
インプラントは、種々の基準面または基準表面にも関連付けられていてもよい。本明細書において用いられる場合、「正中面」という用語は、インプラントを右側半体および左側半体に分ける、または2つの外側半体に分ける、インプラントの前方側部から後方側部に通る垂直面を指す。本明細書において用いられる場合、「横断面」という用語は、インプラントを上側半体および下側半体に分ける、インプラントの中心に位置付けられる水平面を指す。本明細書において用いられる場合、「冠状面」という用語は、インプラントを前方半体および後方半体に分ける、インプラントの中心に位置付けられる垂直面を指す。いくつかの実施形態では、インプラントは、横断面等の2つの平面を中心に対称である。
【0033】
周辺構造
いくつかの実施形態では、本体部は、周辺構造と周辺構造から延びている1つ以上の支持ビームとを含んでもよい。周辺構造は、任意の数のプレート、壁または同様の構造で構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、周辺構造はリングを含むことができるであろう。換言すれば、いくつかの実施形態では、周辺構造は、周辺リング構造とすることができるであろう。図1図3に見られるように、本体部102はさらに、周辺構造150からなっていてもよい。周辺構造150は、リング状幾何学形状を有するように示されている。
【0034】
図4は、一切のアーチ状骨接触要素なしに単独で示される本体部102の模式的な上面図であり、図5は、任意のアーチ状骨接触要素から分離した本体部102の模式的な等角図である。図4図5を参照すると、周辺構造150はさらに、前方側部152、後方側部154、第1外側側部156および第2外側側部158で構成されている。図1図2に見られるように、この実施形態では、周辺構造150は、前方側部152が第1外側側部156に接続され、第1外側側部156が後方側部154に接続され、後方側部154が第2外側側部158に接続され、第2外側側部158が前方側部152に接続されるように連続した構造である。すなわち、前方側部152、第1外側側部156、後方側部154および第2外側側部158はともに、連続的または途切れのないリングを形成する。
【0035】
図6はインプラント100の模式的な前面図である一方、図7はインプラント100の模式的な後面図である。図4図7を参照すると、前方側部152はさらに、第1前方部分160および第2前方部分162から構成されている。第1外側側部156は、前方側部152の第1前方部分160から後方側部154に延びている。同様に、第2外側側部158は、前方側部152の第2前方部分162から後方側部154に延びている。
【0036】
第1前方部分160は、(図6でもっともよくわかる)遠位面164、上側面166および下側面168から構成される。第1前方部分160は、第1外側面170と、第1外側面170に対向する(図示されていない)第2外側面と、も含む。さらに、第1前方部分160は、以下に説明するように、第2支持ビーム254と接合された近位面174を含む。
【0037】
第2前方部分162は、(図6でもっともよくわかる)遠位面184、上側面186および下側面(図示せず)を含む。第2前方部分162は、第1外側面190も含む(図5を参照)。さらに、第2前方部分162は、以下に説明するように、第3支持ビーム256と接合された近位面194を含む。また、第2前方部分162は、第1前方部分160に隣接して配置されている。いくつかの実施形態において、第1前方部分160および第2前方部分162は、一緒に接合されている。
【0038】
第1外側側部156および第2外側側部158の各々は、近位面と接合された遠位面を含む。いくつかの場合では、近位面は凸状であってもよい。たとえば、第1外側側部156は、遠位面210および近位面212を含み、近位面212は凸状であり、インプラント100の上側側部および下側側部に沿って遠位面210に直接接合されている。
【0039】
インプラント100の後方側部154は、上側面200および下側面202を含む(図7を参照)。後方側部154は、遠位面204および近位面206も含む。図5に見られるように、後方側部154におけるインプラント100の幾何学形状は、第1外側側部156および第2外側側部158に向かって先細になっている。
【0040】
いくつかの実施形態では、周辺構造の異なる部分の垂直高さまたは厚さは、変化することができるであろう。インプラント100の前面模式図を示す図6に示される実施形態において、第1前方部分160は、第1高さ300を有するように示されている一方、第2前方部分162は、第2高さ302を有するように示されている。ここでは、第1高さ300は、第2高さ302よりも大きいように示されている。いくつかの実施形態では、中央に位置する第1前方部分160から隣接する第2前方部分162への高さのこの先細化は、周辺構造150の前方側部152に凸形状を与えて、埋め込み時に、隣接する椎体間によりよくフィットするのに役立つ。
【0041】
また、図7に見られるように、後方側部154に沿う周辺構造150の高さは、第3高さ304として示されている。実施形態では、第3高さ304は、第1高さ300よりも小さい。さらに、いくつかの場合には、第3高さ304は、第2高さ302よりもわずかに小さくてもよい。いくつかの実施形態では、インプラントの後方側部と前方側部との間の高さまたは垂直方向厚さの変動により、インプラントが下側面と上側面との間に過前弯の角度を有することを可能にしてもよい。他の実施形態では、垂直方向厚さの変動は、異なる場所におけるデバイスの相対的剛性を制御するために使用されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、周辺構造150の厚さは、前方側部152または後方側部154のいずれかに沿った厚さよりも、第1外側側部156および第2外側側部158の両方に沿って、より小さくてもよい。実施形態では、第1外側側部156および第2外側側部158は、同様の第4高さ306を有する。ここで、第4高さ306は、第1高さ300、第2高さ302および第3高さ304よりも小さい。前方側部および後方側部に比べて低減された外側側部についての高さまたは垂直方向厚さを用いることにより、インプラント100の上側面および下側面を横切る滑らかな垂直プロファイルを維持しながら、外側側部にアーチ状骨接触要素を取り付けることができる(図7を参照)。
【0043】
支持ビーム
いくつかの実施形態では、本体部は、周辺構造を補強するために作用する1つ以上の支持ビーム(または支持構造)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の支持ビームは、周辺構造の内部に沿って配置することができるであろう。たとえば、いくつかの実施形態において、1つ以上の支持ビームは、内側に面する支持構造の表面上の第1位置から、内側(または近位)に面する支持構造の表面上の第2位置へと延びることができるであろう。換言すれば、いくつかの実施形態では、1つ以上の支持ビームは、周辺構造によって境界付けられた内部領域にまたがってもよい。
【0044】
図4図5に見られるように、本体部102は複数の支持ビーム250を含む。これらは、第1支持ビーム252、第2支持ビーム254および第3支持ビーム256を含む。図4図5に示した実施形態では、これらの支持ビームの各々は、内側に面する周辺構造150の表面260上の第1位置から、内側に面する周辺構造150の表面上の第2位置へと延びている。ここで、内側に面する周辺構造150の表面260が、周辺構造150のさまざまな側の近位面(たとえば、近位面174、近位面194、近位面212等)から構成されていることが理解されるであろう。
【0045】
図4図5を参照すると、第1支持ビーム252は、内側に面する表面260の第1前方位置271に取り付けられた第1端部270、および、内側に面する表面260の第2前方位置273に取り付けられた第2端部272を含む。同様に、第2支持ビーム254および第3支持ビーム256の各々は、内側に面する表面260に沿って異なる位置に取り付けられた対向する端部を含む。この構成により、複数の支持ビーム250は、周辺構造150によって境界付けられた内部領域290(または中央領域)にまたがることがわかる。
【0046】
複数の支持ビーム250は、周辺構造150に対してインプラント100内において中央に配置されるものと見なしてもよい。本明細書において用いられる場合、「中央位置」とは、インプラントの幾何学的中心または質量中心である正確な位置を指すものではなく、むしろ、周辺構造の内側に(たとえば、内部領域290内に)配置された大略的なエリアまたは領域を指す。したがって、以下の説明および特許請求の範囲において、支持ビームを中央ビームと称してもよい。
【0047】
異なる実施形態では、支持ビームの数を変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、単一の支持ビームを使用することができるであろう。他の実施形態においては、2つ以上の支持ビームを使用することができるであろう。図4図5に示される実施形態においては、3つの支持ビームが使用されている。
【0048】
異なる実施形態では、1つ以上のビームの向きを変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、2つ以上の支持ビームを平行に方向付けることができるであろう。他の実施形態では、2つ以上の支持ビームを互いに斜角に配置することができるであろう。実施形態では、第1支持ビーム252、第2支持ビーム254および第3支持ビーム256は、互いに平行に配置されてもよい。また、実施形態では、複数の支持ビーム250を、後方‐前方方向に(すなわち、前後軸122に沿って)方向付けてもよい。もちろん、他の実施形態では、複数の支持ビーム250を任意の他の方向に方向付けることができるであろう。
【0049】
異なる実施形態では、隣接する支持ビーム間の間隔または分離を変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、隣接する支持ビーム間の間隔を、インプラントの横幅に比べて小さくすることができるであろう。たとえば、間隔を、インプラントの幅の0%~10%の範囲とすることができるであろう。他の実施形態では、隣接する支持ビーム間の間隔を、インプラントの幅に対して大きくすることができるであろう。たとえば、間隔を、インプラントの幅の10%~95%の範囲とすることができるであろう(たとえば、インプラントの両方の外側側部に隣接して位置する2つのビームを、インプラントの幅の95%だけ離間させることができるであろう)。隣接ビーム間(またはビームと周辺構造の部分との間)の間隔は、一定であってもよく、またはインプラントを横切って変化してもよい。
【0050】
支持ビーム間の相対的間隔を、1つ以上の支持ビームの厚さ、使用される支持ビームの数、インプラントについての所望の強度対重量比、および他の要因を含む、多くの要因に応じて選択してもよいことが理解されるであろう。さらに、アーチ状骨接触要素は隣接支持ビーム間(または支持ビームと周辺構造との間)に延びているので、隣接支持ビーム間の間隔を、1つ以上のアーチ状骨接触要素の寸法に応じて決定してもよい。
【0051】
図4に示す実施形態では、第1支持ビーム252は、間隔292だけ第1外側側部156から離間されている。第1支持ビーム252および第2支持ビーム254は、間隔294だけ互いに離間されている。第2支持ビーム254および第3支持ビーム256は、間隔296だけ互いに離間されている。第3支持ビーム256は、間隔298だけ第2外側側部158から離間されている。実施形態では、間隔292、間隔294、間隔296および間隔298の各々は、大略的にインプラント100の幅199の15%~30%の範囲の値を有する。もちろん、隣接構成要素間の間隔を、たとえば前後軸122に沿って変えることができるので、それぞれの間隔が平均または近似の間隔であることが理解されるであろう。
【0052】
異なる実施形態において、1つ以上の支持ビームの幾何学形状を変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、1つ以上の支持ビームは、湾曲幾何学形状を有することができるであろう。他の実施形態では、1つ以上の支持ビームは、実質的に直線状の幾何学形状を有することができるであろう。
【0053】
図4図5に示す実施形態では、複数の支持ビーム250のそれぞれが、実質的に直線状の幾何学形状を有する。また、各支持ビームの断面幾何学形状は、実質的に丸みを帯びている。しかし、他の実施形態では、1つ以上の支持ビームは、長方形、多角形、規則的形状および/または不規則形状を含むがこれらに限定されない、任意の他の断面形状を有することができるであろう。断面形状は、支持ビームの長さにわたって、たとえば丸い断面形状(たとえば円形または楕円形)から、多角形断面形状(たとえば長方形)へと変化することもできるであろう。
【0054】
異なる実施形態において、1つ以上の支持ビームの厚さは変化することができるであろう。大略的に、支持ビームの厚さ(または直径)は、インプラントの幅(または長さ)の1%~95%の範囲で変化することができるであろう。実施形態では、第1支持ビーム252、第2支持ビーム254および第3支持ビーム256は、図4に見られるように、インプラント100の幅199の約2%~15%の範囲の直径を有する。より具体的には、第2支持ビーム254は、第1支持ビーム252の直径253よりも大きく、かつ第3支持ビーム256の直径257よりも大きい直径255を有する。いくつかの場合に、第2支持ビーム254は、最大直径を有してもよい。衝撃力が、第1前方部分160でインプラント100に結合されたデバイスによってインプラント100の中心(第2支持ビーム254が位置する場所)に加えられるので、第2支持ビーム254についてのこのより大きい直径は、インプラント100の中心を補強することを助ける。
【0055】
少なくともいくつかの実施形態では、インプラントの本体部内の支持ビームが同一平面上にあってもよい。図4図5において、第1支持ビーム252、第2支持ビーム254および第3支持ビーム256は、インプラント100の同様の平面に存在することがわかる。支持ビームの同一平面配置は、上側側部および下側側部の間のインプラント100についての略対称配置を提供するのに役立ってもよい。
【0056】
一般に、インプラントの本体部の1つ以上の部分の幾何学形状を、実施形態によって変えることができるであろう。たとえば、本体部の部分は、インプラントを貫いて骨成長を促進する可能性がある、および/または重量を減らす可能性がある、1つ以上の窓、スロットおよび/または開口を含むことができる。
【0057】
締結手段
いくつかの実施形態は、1つ以上の留め具受容手段(fastener receiving provisions)を含むことができる。いくつかの実施形態は、挿入または埋め込みデバイスに係合してもよい1つ以上の取り付け開口を含んでもよい。いくつかの実施形態では、インプラントは、1つ以上のねじ切り空洞を含むことができる。いくつかの実施形態では、ねじ切り空洞を、埋め込みツールまたはデバイス上の対応するねじ山チップと嵌合するように構成することができる。他の実施形態では、ねじ切り空洞は、複数のインプラントおよび/または複数の構成要素を使用する埋め込みシステム内の別のデバイスまたは構成要素にインプラントを締結するための留め具を受容することができる。
【0058】
図6にもっともよく示されるように、インプラント100は、第1前方部分160に配置された第1ねじ切り空洞360を含む。インプラント100は、第2前方部分162内に配置された第2ねじ切り空洞362も含む。いくつかの実施形態では、第1ねじ切り空洞360は、埋め込みツール(図示せず)のねじ切り先端を受容する。このようなツールを、隣接する椎体間でインプラント100をねじ込むために使用することができるであろう。任意選択的に、いくつかの場合では、インプラント100はまた、埋め込みツールとインプラント100との間の位置合わせを容易にする、くぼみの対(くぼみ365およびくぼみ367)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2ねじ切り空洞362は、インプラント100を、より広範な埋め込みシステムの別個の構成要素(図示せず)に締結するために使用することができるであろう。たとえば、いくつかの実施形態は、第1ねじ切り空洞360または第2ねじ切り空洞362内に固定された留め具を使用してインプラント100に締結されてもよい、別個のプレートを組み込むことができるであろう。このようなプレートは、インプラントとともに使用することができるであろう、追加の固定部材(たとえばねじ)を含むことができるであろう。
【0059】
アーチ状骨接触要素(arched bone contacting element)
いくつかの実施形態において、アーチ状骨接触要素は、第1端部、中間部および第2端部を含んでもよい。いくつかの実施形態において、中間部は、アーチ状幾何学形状を有していてもよい。そのような場合には、アーチ状幾何学形状を有する中間部を「アーチ状部分」と称してもよい。いくつかの実施形態では、第1端部および/または第2端部は、裾の広がった形状であるフレア状幾何学形状(flared geometry)を有することができるであろう。このような場合には、フレア状幾何学形状を有する端部を、アーチ状骨接触要素の「フレア状脚部」と称してもよい。
【0060】
図8は、要素のさまざまな場所におけるいくつかの拡大模式断面図を含む、分離して見られる例示的なアーチ状骨接触要素の模式図である。図8を参照すると、アーチ状骨接触要素400は、第1フレア状脚部402と称される第1端部から構成されている。アーチ状骨接触要素400は、アーチ状部分404からも構成されている。さらに、アーチ状骨接触要素400は、第2フレア状脚部406と称される第2端部から構成されている。
【0061】
いくつかの実施形態では、アーチ状骨接触要素は、埋め込み後に椎体に係合させるための手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアーチ状骨接触要素は、椎骨終板に直接接触するように構成された少なくとも1つの遠位面領域を含むことができる。いくつかの場合では、遠位面領域は、平坦表面領域とすることができるであろう。他の場合には、遠位面領域は、凸面領域とすることができるであろう。さらに他の場合では、遠位面領域は、凹面領域とすることができるであろう。より一般的には、遠位面領域は、アーチ状部分の隣接表面領域とは異なる曲率を有することができるであろう。また、遠位面領域についての特定の曲率は、対向する椎骨終板の局所幾何学形状に適合するように選択することができるであろう。
【0062】
実施例として、図8において、アーチ状骨接触要素400は、アーチ状部分404内に配置された遠位面領域490を含むことがわかる。いくつかの実施形態では、遠位面領域490は、アーチ状部分404の隣接領域の曲率よりも小さい凸状曲率を有してもよい。同様に、図7でもっともよくわかるように、インプラント100の残りのアーチ状骨接触要素はまた、アーチ状部分404の隣接する表面領域よりも小さい曲率を有する遠位骨接触領域で構成されている(すなわち、これらの遠位面領域は、アーチ状部分404の残りの領域よりも平坦であってもよいが、完全に平坦でなくてもよい)。ともに、これらの遠位骨接触領域は、椎体に係合することができる部分的に滑らかな表面を提供する。さらに、いくつかの実施形態において、平坦(または凸状)骨接触領域の集まりは、骨との最小接触面を形成し、それにより、より多くの量の移植片材料または骨成長促進材料が骨と直接接触して配置されることが可能となる。具体的には、上側面および下側面に沿って開放領域内に配置されているものを含む、アーチ状骨接触要素との間に配置されている骨成長促進材料を、骨に直接接触させてもよい。
【0063】
参照目的のために、アーチ状骨接触要素400は、湾曲中心軸401を有するものとして特徴付けられてもよい。本明細書において用いられる場合、要素の湾曲中心軸は、要素の長さに沿って延びている軸であり、その長さに沿った各位置における要素の略中心に配置されている。以下に説明されて図8に示される断面が、湾曲中心軸401に垂直な平面に沿ったものであることが理解されるであろう。
【0064】
図8に見られるように、アーチ状部分404はアーチ状幾何学形状を有する。アーチ状部分404は、丸みを帯びた断面形状を有することもわかる。より具体的には、いくつかの場合では、アーチ状部分404は、略円形(またはほぼ円形)の断面形状を有している。いくつかの実施形態において、アーチ状部分404の直径および断面形状は、アーチ状部分404の長さの大部分に沿って(すなわち、湾曲中心軸401に沿って)比較的一定のままである。しかし、アーチ状部分404の断面形状が、たとえば平坦骨接触領域490に沿って変化することができるであろうことが理解されるであろう。参照のために、基準面471でのアーチ状部分404の断面は、図8に示されている。もちろん、他の実施形態では、アーチ状部分404は、任意の他の断面形状を有することができるであろう。
【0065】
各フレア状脚部で、アーチ状骨接触要素400の断面形状が変化してもよい。たとえば、図8に見られるように、第1フレア状脚部402の断面形状は、(基準面472での)アーチ状部分404に隣接する位置における第1断面形状410を有する。第1フレア状脚部402は、第2断面形状412および第3断面形状414も有する。ここで、第3断面形状414は、(基準面474での)アーチ状部分404からもっとも遠い位置でのものであり、第2断面形状412は、(基準面473での)第1フレア状脚部402に沿った中間位置でのものである。
【0066】
図8に示すように、第1フレア状脚部402の断面形状は、略円形の断面形状(すなわち、第1断面形状410)から略楕円形の断面形状(すなわち、第3断面形状414)へと変化する。たとえば、第1フレア状脚部402の第1断面形状410は、第1軸430および第2軸432の両方に沿って同様の直径420を有している。しかし、第2断面形状412は、第2軸432に沿うその小径424よりも大きい、第1軸430に沿う大径422を有している。さらに、第3断面形状414は、第1軸430に沿う大径426および第2軸432に沿う小径428も有しており、大径426は大径422よりも大きく、小径428は小径424よりも大きい。したがって、第1フレア状脚部402の断面サイズは、また、その形状が略円形から略楕円形へと変化するにつれて大きくなる。
【0067】
上述した構成により、アーチ状骨接触要素400の断面積はアーチ状部分404で最小となる可能性がある。また、アーチ状部分404から第1フレア状脚部402へと湾曲中心軸401に沿って移動すると、第1フレア状脚部402の最遠端部で最大に達する(同様に、第2フレア状脚部406の最遠端部で最大に達する)まで、断面積が増加する。
【0068】
断面積のこの増加は、身体へのその取り付けにおける各アーチ状骨接触要素についてのより広いベースを提供し、したがってアーチ状骨接触要素と本体部との間の取り付け強度を向上させることができる。また、断面形状の変化は、サイズの増加が基礎構造(たとえば、支持ビームまたは周辺構造の断面)と平行な方向に主に向けられることを可能にする。
【0069】
たとえば、図9に見られるように、第1フレア状脚部402は、第1フレア状脚部402が取り付けられる周辺セグメント482の中心軸480と平行な最長寸法を有している。ここで、周辺セグメント482は、インプラント499のセグメントである。また、第1フレア状脚部402は、周辺セグメント482の幅方向軸484と平行な最小寸法を有している。したがって、アーチ状骨接触要素400と周辺セグメント482との間の取り付け表面積は、第1フレア状脚部402が幅方向軸484の方向に周辺セグメント482を超えて延びることを防止しながら増加する。
【0070】
第1フレア状脚部402の幾何学形状が詳細に説明されているが、第2フレア状脚部406が第1フレア状脚部402と同様の幾何学形状を有してもよいことが理解されるであろう。同様に、インプラント100の残りのアーチ状骨接触要素のフレア状脚部も、第1フレア状脚部402と同様の幾何学形状を有してもよい。
【0071】
図8のアーチ状骨接触要素の部分について示された(円形および楕円形の)特定の断面幾何学形状は、アーチ状骨接触要素についての幾何学形状における可能なバリエーションの模式図であることが意図されるのみである。いくつかの実施形態では、フレア状脚部は、1つの軸に沿ってサイズが増加して細長くなりつつも、より不規則な幾何学形状を有することができる可能性があり、実質的に楕円形の断面形状を有しない。また、断面形状を、フレア状脚部の両端における任意の2つの形状の間で変えることができるであろう。断面形状は、(例えば円形および楕円形を含む)丸みを帯びた、長方形の、多角形の、規則的な、不規則な、ならびに任意の他の形状を含むが、これらに限定されない。
【0072】
実施形態は、任意の数のアーチ状骨接触要素を含むことができるであろう。いくつかの実施形態は、単一のアーチ状骨接触要素を含んでもよい。さらに他の実施形態は、2~50個の範囲の任意の数のアーチ状骨接触要素を含むことができるであろう。さらに別の実施形態では、インプラントは、50個超の要素を含むことができるであろう。図1図3に示される実施形態においては、インプラント100は、上側側部130上の9個の要素と下側側部140上の9個の要素とを含む18個のアーチ状骨接触要素を含む。使用されるアーチ状骨接触要素の数は、インプラントサイズ、所望インプラント強度、骨移植片または他の骨成長促進材料についての所望容量、および、可能性のある他の要因を含む要因に応じて変えることができる。
【0073】
異なる実施形態では、インプラントのアーチ状骨接触要素の配置を変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、アーチ状骨接触要素を、周辺構造の任意の部分に、インプラントの任意のビームに、および他のアーチ状骨接触要素に取り付けることができるであろう。いくつかの実施形態では、アーチ状骨接触要素は、インプラントの幅全体を横切って延びることができるであろう。他の実施形態において、アーチ状骨接触要素は、インプラントの幅の一部を横切って延びているのみでもよい。
【0074】
インプラントの強度を高めるために、いくつかの実施形態では、隣接するビーム間またはビームと周辺構造の隣接部分との間に延びているのみであるアーチ状骨接触要素を使用してもよい。
【0075】
図10は、インプラント100の模式的な上面図である。図10を参照すると、複数のアーチ状骨接触要素104は、アーチ状骨接触要素の上側セット502とアーチ状骨接触要素の下側セット504(図7で見える)とを含む。上側セット502はさらに、アーチ状骨接触要素の第1グループ510(または単に第1グループ510)、アーチ状骨接触要素の第2グループ512(または単に第2グループ512)、アーチ状骨接触要素の第3グループ514(または単に第3グループ514)およびアーチ状骨接触要素の第4グループ516(または単に第4グループ516)で構成されている。図10の実施形態では、アーチ状骨接触要素の各グループは、同じ2つのビームの間または同じビームと周辺構造150の同じ側との間に延びている2つ以上の要素を含む。
【0076】
図10に見られるように、第1グループ510は、第1アーチ状骨接触要素521、第2アーチ状骨接触要素522および第3アーチ状骨接触要素523を含む。これらの要素の各々は、周辺構造150の第1外側側部156と第1支持ビーム252との間に延びている。たとえば、第1アーチ状骨接触要素521は、第1外側側部156に取り付けられたフレア状脚部531と第1支持ビーム252に取り付けられたフレア状脚部532とを有している。同様に、第2アーチ状骨接触要素522および第3アーチ状骨接触要素523のそれぞれは、第1外側側部156に取り付けられた1つのフレア状脚部と第1支持ビーム252に取り付けられた別のフレア状脚部とを有している。
【0077】
第2グループ512は、第4アーチ状骨接触要素524と第5アーチ状骨接触要素525とを含む。これらの要素の各々は、第1支持ビーム252と第2支持ビーム254との間に延びている。たとえば、第4アーチ状骨接触要素524は第1支持ビーム252に取り付けられたフレア状脚部541と第2支持ビーム254に取り付けられた別のフレア状脚部542とを有している。同様に、第5アーチ状骨接触要素525は、第1支持ビーム252に取り付けられたフレア状脚部と第2支持ビーム254に取り付けられた別のフレア状脚部とを有している。
【0078】
第3グループ514は、第6アーチ状骨接触要素526と第7アーチ状骨接触要素527とを含む。これらの要素の各々は、第2支持ビーム254と第3支持ビーム256との間に延びている。たとえば、第6アーチ状骨接触要素526は、第2支持ビーム254に取り付けられたフレア状脚部551と第3支持ビーム256に取り付けられた別のフレア状脚部552とを有している。同様に、第7アーチ状骨接触要素527は、第2支持ビーム254に取り付けられたフレア状脚部と第3支持ビーム256に取り付けられた別のフレア状脚部とを有している。
【0079】
第4グループ516は、第8アーチ状骨接触要素528と第9アーチ状骨接触要素529とを含む。これらの要素の各々は、第3支持ビーム256と周辺構造150の第2外側側部158との間に延びている。たとえば、第8アーチ状骨接触要素528は、第3支持ビーム256に取り付けられたフレア状脚部561と第2外側側部158に取り付けられた別のフレア状脚部562とを有している。同様に、第9アーチ状骨接触要素529は、第3支持ビーム256に取り付けられたフレア状脚部と第2外側側部158に取り付けられた別のフレア状脚部とを有している。
【0080】
いくつかの場合では、隣接するアーチ状骨接触要素のいくつかの部分は、接触していることができるかまたは部分的に重なりあうことができるであろう。たとえば、いくつかの実施形態は、接触しているか、または部分的に重なりあっているフレア状脚部を有することができるであろう。実施例として、図10では、フレア状脚部532はフレア状脚部541に隣接して配置され、フレア状脚部541と部分的に接触している。しかし、それぞれのアーチ状骨接触要素がインプラント100の本体部の部分にその端部において取り付けられることが理解されるであろう。
【0081】
2つ以上のアーチ状骨接触要素の端部が互いに接触してもよいが、各要素のアーチ状部分は、隣接する要素から分離されたままである。換言すれば、異なるアーチ状骨接触要素のアーチ状部分間に交点は存在しない。具体的には、いくつかの実施形態では、各アーチ状骨接触要素のアーチ状部分は、交差していなくてもよく、または相互から分離されていてもよい。また、アーチ状骨接触要素が椎骨に接触する領域にまたはその付近に、アーチ状骨接触要素の交差が存在しない。したがって、交差しておらず、かつ対向する椎骨面に接触するように配置されている複数のアーチ状骨接触要素104をインプラント100が提供することがわかるであろう。
【0082】
いくつかの実施形態は、たとえば、構造が3D印刷プロセスを用いて製造される場合、構造が製造時に自己支持できるようにする手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アーチ状骨接触要素の配置を、製造時の(たとえば3D印刷プロセス中の)自己支持を容易にするように選択してもよい。いくつかの実施形態では、アーチ状骨接触要素を本体部または本体部の軸に対して傾斜した向きに配置することができる。いくつかの実施形態では、アーチ状骨接触要素は、要素の個々のV字形構成からさらに構成されているヘリンボーン状パターンに配置されてもよい。このような構成は、インプラントが自己支持構造を用いて印刷されることを可能にするであろう。
【0083】
1つ以上のアーチ状骨接触要素には、インプラントの1つ以上の軸に対して角度を付けてもよい。図10を参照すると、たとえば、第2アーチ状骨接触要素522は、横軸120に対して(また前後軸122に対しても)斜めの角度で方向付けされている。また、第4アーチ状骨接触要素524は、横軸120に対して(また前後軸122に対しても)斜めの角度で方向付けされている。また、第2骨接触要素522および第4骨接触要素524は、横軸122から異なる角度で方向付けされている。
【0084】
図10に示されるように、残りのアーチ状骨接触要素も、インプラント100の横軸120に対して斜めの角度で方向付けされていてもよい。したがって、アーチ状骨接触要素はインプラント100上で平行に配置されていないことがわかるであろう。
【0085】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのアーチ状骨接触要素を、インプラントの本体部にV字形構成またはパターンで配置してもよい。たとえば、第2アーチ状骨接触要素522および第4アーチ状骨接触要素524は、第1のV字形構成600で配置されている。さらに、第6アーチ状骨接触要素526および第8アーチ状骨接触要素528は、第2のV字形構成602で配置されている。また、第3アーチ状骨接触要素523および第5アーチ状骨接触要素525は、第3V字形構成604で配置されている。最後に、第7アーチ状骨接触要素527および第9アーチ状骨接触要素529は、第4V字形構成606で配置されている。本実施形態は、上側側部に4つのV字形構成(すなわち、アーチ状骨接触要素の上側セット502)および下側側部に別の4つのV字形構成を含むが、他の実施形態は、上側側部または下側側部に任意の他の数のV字形構成を含むことができるであろう。
【0086】
異なる実施形態では、V字形構成の位置決めおよび向きを変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、V字形構成のすべてを同様の方向に方向付けてもよい。他の実施形態では、2つ以上のV字形構成を異なる方向に方向付けることができるであろう。また、いくつかの場合では、2つ以上のV字形構成を行および/または列に配置することができるであろう。
【0087】
図10に示す実施形態において、各V字形構成は、前後軸122に対応する共通の方向を有している。具体的には、V字の先端が前後軸122に沿って後方側部154に向かう方向を指すように各構成が配置されている。また、第1のV字形構成600および第2のV字形構成602は、それらが横軸120に沿って異なる位置を有するように第1行で互いに隣接して配置されている。同様に、第3V字形構成604および第4V字形構成606は、第2行で互いに隣接して配置されている。また、第1のV字形構成600および第3V字形構成604は、それらが前後軸122に沿って異なる位置を有するように第1列で互いに隣接して配置されている。同様に、第2のV字形構成602および第4V字形構成606は、第2列で互いに隣接して配置されている。図10に見られるように、ともに考慮した場合は、4つのV字形構成は、本体部102に大きなヘリンボーンパターン620を形成する。
【0088】
それぞれのV字形構成は、単一の支持ビームを中心としてもよい。たとえば、第1のV字形構成600および第2のV字形構成は、第1支持ビーム252を中心としてもよい。また、第3V字形構成および第4V字形構成は、第3支持ビーム256を中心としてもよい。
【0089】
それぞれのV字形構成は、本体部102の外側側部から中心支持ビーム(たとえば第2支持ビーム254)に延びていてもよい。たとえば、第1のV字形構成600は、第1外側側部156から第2支持ビーム254に延びている。また、第2のV字形構成602は、第2支持ビーム254から第2外側側部158に延びている。
【0090】
いくつかの場合には、アーチ状骨接触要素をヘリンボーンパターンに方向付けることがある、インプラントのより容易な挿入を促進してもよい。具体的には、横方向から離れるようアーチ状骨接触要素を傾けることによって、要素が埋め込み方向(すなわち、後方方向)に沿って小さな表面積を提示する可能性があり、これは、潜在的に挿入作業を容易にすることができるであろう。
【0091】
アーチ状骨接触要素の配置はまた、所望の総開放容量を達成するように設計されてもよい。本明細書において用いられる場合、総容量は、アーチ状骨接触要素間の任意の開口、本体部内の任意の開口、またはアーチ状骨接触要素と本体部との間の開口を合わせた容量である。この開放構成は、インプラントにおけるまたはインプラントによる骨成長を促進する可能性がある。開放スペースの部分またはすべてには、任意選択的に、骨成長を促進するために、インプラントの挿入前または挿入後に、骨移植片または骨成長促進材料が充填される。
【0092】
任意の特定のインプラント内の開放スペース(単に開放スペース容量とも称される)の総容量は、インプラントの全体的寸法ならびにアーチ状骨接触要素を含むインプラント内の個々の構成要素のサイズおよび寸法に依存している。開放スペース容量は、インプラントの容量の約20%~80%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100は、インプラントの総容量の25%~80%である開放スペース容量を有してもよい。さらなる実施形態では、インプラント100は、インプラント総容量の50%~70%である開放スペース容量を有してもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、インプラントは、1つ以上の対称性で構成することができる。いくつかの場合では、インプラントは、1つ以上の基準面について鏡面対称性を有してもよい。他の場合には、インプラントは、1つ以上の基準面について並進対称性を有してもよい。さらに他の場合では、インプラントは、鏡面対称性および並進対称性の両方を有することができるであろう。
【0094】
図1および図2を参照すると、インプラント100は少なくとも1つの鏡面対称性を含んでもよい。参照の目的のために、インプラント100を、上側半体と下側半体とに分割してもよい。ここで、インプラント100の「上側半体」は、横断面の上に配置された、本体部102の部分と複数のアーチ状骨接触要素104とを含む。同様に、インプラント100の「下側半体」は、横断面の下に配置された、本体部102の部分と複数のアーチ状骨接触要素104とを含む。
【0095】
(本実施形態では本体部102と大略的に一致する)横断面に関して、インプラント100の上側半体が、インプラント100の下側半体と鏡像関係であることがわかるであろう。これは、本体部の幾何学形状だけでなく、各アーチ状骨接触要素の形状、大きさおよび向きも含む。この鏡面対称性は、いくつかの実施形態では近似のみであってもよいことが理解されるであろう。インプラント100の対称的構成、たとえばインプラント100の上側半体と下側半体との間の鏡面対称性は、垂直方向、または脊椎の長さに沿った方向における負荷のバランスをとることを助けてもよい。
【0096】
追加の実施形態
異なる実施形態では、インプラントの寸法を変えることができる。変えることができるであろう寸法の例として、長さ、幅および厚さが挙げられる。また、いくつかの場合には、1つ以上のアーチ状骨接触要素の直径を、実施形態によって変えることができるであろう。
【0097】
図11は、インプラント700の別の実施形態の模式図である。インプラント700は、上述の図1図10に示すインプラント100と多くの点で同様としてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント700は、インプラント100よりも大きな幅および長さ(したがって、より大きな全体的フットプリント)を有してもよい。より大きなサイズに対応するために、インプラント700は、上側側部710上の追加のアーチ状骨接触要素702、および下側側部上の対応する要素(図示せず)を含んでもよい。
【0098】
図11に見られるように、アーチ状骨接触要素702は、支持ビーム720からインプラント700の外側側部722に延びている。この追加のアーチ状骨接触要素により、外側側部724のアーチ状骨接触要素のグループ730は、外側側部722のアーチ状骨接触要素のグループ732と同じ数(すなわち、3つ)の要素を有することがわかる。アーチ状骨接触要素のこの構成は、したがって、インプラント700の中心軸740について鏡面対称性を有することがわかる。
【0099】
図12図13は、インプラント800の別の実施形態の模式図を示す。インプラント800は、上述の図1図11に示すインプラント100およびインプラント700と多くの点で同様としてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント800は、インプラント700よりも大きな幅および長さ(したがって、より大きな全体的フットプリント)を有してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態は、単一の支持ビームに両端で取り付けられた1つ以上のアーチ状骨接触要素を含むことができる。いくつかの実施形態は、周辺構造の単一セグメントに取り付けられた1つ以上のアーチ状骨接触要素を含むことができる。
【0101】
図12図13を参照すると、インプラント800は、本体部802に取り付けられた複数のアーチ状骨接触要素804から構成されている。本体部802はさらに、周辺構造806、第1支持ビーム810、第2支持ビーム812および第3支持ビーム814で構成されている。
【0102】
ここで図13を参照すると、複数のアーチ状骨接触要素804は、アーチ状骨接触要素の第1グループ820(または第1グループ820)、アーチ状骨接触要素の第2グループ822(または第2グループ822)、アーチ状骨接触要素の第3グループ824(または第3グループ824)、アーチ状骨接触要素の第4グループ826(または第4グループ826)、アーチ状骨接触要素の第5グループ828(または第5グループ828)、アーチ状骨接触要素の第6グループ830(または第6グループ830)、アーチ状骨接触要素の第7グループ832(または第7グループ832)、およびアーチ状骨接触要素の第8グループ834(または第8グループ834)からさらに構成されている。
【0103】
第2グループ822は、第1支持ビーム810に周辺構造806の第1外側側部811から延びているアーチ状骨接触要素を含む。第4グループ826は、第2支持ビーム812に第1支持ビーム810から延びているアーチ状骨接触要素を含む。第5グループ828は、第3支持ビーム814に第2支持ビーム812から延びているアーチ状骨接触要素を含む。第7グループ832は、周辺構造806の第2外側側部813に第3支持ビーム814から延びているアーチ状骨接触要素を含む。また、第2グループ822、第4グループ826、第5グループ828および第7グループ832のアーチ状骨接触要素は大略的に、インプラント100のアーチ状骨接触要素の配置と同様に、ヘリンボーン状パターンに編成されたV字形構成で配置されている。
【0104】
インプラント800はインプラント100およびインプラント700と比較して増大したフットプリントを有するので、追加のアーチ状骨接触要素を、インプラント800の上側側部および下側側部により大きい(部分的)接触面を提供するために含んでもよい。図12図13に示す実施形態では、これらの追加のアーチ状骨接触要素の一部は、本体部802の外側側部ならびに第1支持ビーム810、第2支持ビーム812および第3支持ビーム814に沿って追加される。
【0105】
第1グループ820は、アーチ状骨接触要素901およびアーチ状骨接触要素902を含み、これらは両方とも周辺構造806の第1外側側部811に各端部で接続されている。具体的には、たとえば、アーチ状骨接触要素901は、第1外側側部811に取り付けられた第1フレア状脚部911および第1外側側部811に取り付けられた第2フレア状脚部912を含む。
【0106】
さらに、第3グループ824は、それぞれが第1支持ビーム810に両方の端部で取り付けられた3つのアーチ状骨接触要素を含む。たとえば、アーチ状骨接触要素903は、第1支持ビーム810に取り付けられた第1フレア状脚部921および第1支持ビーム810に取り付けられた第2フレア状脚部922を含む。同様に、第6グループ830は、3つのアーチ状骨接触要素を含む。これらの要素の各々は、いずれも第3支持ビーム814に取り付けられた、2つのフレア状脚部を含む。さらに、第8グループ834は、2つのアーチ状骨接触要素を含む。これらの要素の各々は、いずれも周辺構造806の第2外側側部813に取り付けられた、2つのフレア状脚部を含む。
【0107】
表面テクスチャ加工
実施形態は、インプラントの1つ以上の表面をテクスチャ加工するための手段を含むことができる。このようなテクスチャ加工は、インプラントの表面への骨成長および/または癒合を増加させるなどして促進することができる。いくつかの実施形態では、アーチ状骨接触要素および/または本体部のセクションがテクスチャ加工されてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、インプラントの1つ以上の領域の表面構造を、粗面化してもよいし、または、該表面構造に凹凸を設けてもよい。一般に、この粗面化構造は、インプラント表面上への、酸エッチング、ビードまたはグリットブラスト、チタンによるスパッタコーティング、チタンまたはコバルトクロムのビーズ焼結、および他の方法の使用を通じて達成されてもよい。いくつかの実施形態では、粗さは、インプラントの1つ以上の領域の表面上に隆起したパターンを3D印刷することによって作成することができる。いくつかの実施形態では、得られた粗面は、さまざまなサイズの細孔を有してもよい。いくつかの実施形態では、細孔サイズは、約0.2mm~0.8mmの範囲とすることができるであろう。1つの実施形態では、細孔サイズは、約0.5mmとすることができるであろう。もちろん、他の実施形態では、0.2mm未満および/または0.8mm超の細孔サイズを含む表面粗さが可能である。
【0109】
テクスチャ加工された表面を使用する実施形態が、図14に見られる代替実施形態およびインプラント900の等角図に示されている。図14に見られるように、インプラント900は滑らかな周辺表面902を含む。しかし、インプラント900の残りの表面は粗面化されている。これらは上側面904の可視部分を含み、これはさらに周辺構造950の上側面および複数のアーチ状骨接触要素952の表面で構成される。説明の目的のために、粗面化表面は点描を用いて模式的に示されている。これらの粗面化または多孔質表面は、インプラントの表面に沿った骨成長の改善に役立ってもよい。特定の実施例として、アーチ状骨接触要素960は、隣接椎骨に直接接触するように意図されている遠位表面領域964を含む要素全体を通って延びている(図15の拡大模式図にも見られる)粗面化表面領域962を有することがわかる。
【0110】
図に示された実施形態のうちの任意のものが、1つ以上の粗面化表面を含むことができることが理解されるであろう。たとえば、いくつかの実施形態では、インプラント100、インプラント700またはインプラント900は、1つ以上の粗面化表面を含むことができるであろう。また、粗面化表面を、選択的にインプラントのいくつかの部分に選択的に適用し、他の部分には適用しないようにすることができるであろう。
【0111】
骨成長促進材料
いくつかの実施形態では、骨成長は、インプラントの一部内またはインプラントの周囲に骨成長促進材料を適用することによって促進することができる。本明細書で用いられる場合、「骨成長促進材料」(またはBGPM)とは、骨の成長を助ける任意の材料である。骨成長促進材料は、リンカー分子またはバインダの使用により表面に凍結乾燥されるかまたは金属に付着される手段を含んでもよい。骨成長促進材料の例は、BMP-1、BMP-2、BMP-4、BMP-6およびBMP-7等の骨形成タンパク質(BMP)を含む、任意の材料である。これらは、幹細胞を骨形成細胞に変換するホルモンである。別の例には、rhBMP-2、rhBMP-4およびrhBMP-7等のリコンビナントヒトBMP(rhBMP)が挙げられる。さらに別の例には、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、コラーゲン、BMP模倣ペプチド、およびRGDペプチドが挙げられる。一般に、これらの化学物質の組み合わせも使用してもよい。これらの化学物質は、スポンジ、基質またはゲルを使用して塗布することができる。
【0112】
また、いくつかの骨成長促進材料は、プラズマスプレーまたは電気化学的手法を使用して埋め込み型プロテーゼに塗布してもよい。これらの材料の例には、限定ではないが、ヒドロキシアパタイト、βリン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、および他の化学物質が挙げられる。
【0113】
骨成長促進材料は、骨移植片または骨移植片代用品を含むことができるか、またはこれらと組み合わせて使用してもよい。種々の材料が、(患者の体の腸骨稜から摘出された)自家移植片、同種移植片、脱灰骨基質、および種々の合成材料を含む骨移植片または骨移植片代用品として働いてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態は、自家移植片を使用してもよい。自家移植片は、脊椎固定に、新たな骨が成長するためのカルシウムコラーゲン足場を提供する(骨伝導能)。さらに、自家移植片は、骨成長細胞、間葉系幹細胞および骨を再生する骨芽細胞を含む。最後に、自家移植片は、患者における新たな骨成長を促進させるために、骨形態形成タンパク質(BMP)を含む骨成長タンパク質を含む。
【0115】
骨移植片代用品は、リン酸カルシウムまたはヒドロキシアパタイト、幹細胞と他の種類の骨移植片代用品のうちの1つとを組み合わせる幹細胞含有生成物、および、Medtronic, Inc.のINFUSE(登録商標)(rhBMP-2含有骨移植片)等の成長因子含有基質を含む合成材料を含んでもよい。
【0116】
ここに挙げる手段は、考えられる骨成長促進材料、骨移植片または骨移植片代用品の網羅的なリストであることを意図しているわけではないことは理解されるべきである。
【0117】
いくつかの実施形態では、BGPMは、インプラントの1つまたは複数の外面に塗布してもよい。他の実施形態では、BGPMは、インプラント内の内部容量に塗布してもよい。さらに他の実施形態では、BGPMは、外面と、インプラント内の内側と、の両方に塗布してもよい。
【0118】
骨切除術インプラント(Osteotomy Implants)
いくつかの実施形態では、インプラントは、開大式骨切除術処置の一部として、埋め込みのために構成されていてもよい。このような実施形態では、インプラントは、実質的にウェッジ形であってもよい。埋め込みを容易にするために、ウェッジの前縁(すなわち、狭い端部)は、実質的に滑らかな表面を有してもよい。また、細長い挿入ツールを受容するために、ウェッジの後縁(すなわち、厚い端部)は、モノリシック構造を有してもよい。モノリシック構造は、たとえばねじ式接続を介して挿入ツールを受容するように構成されたレセプタクルを含んでもよい。
【0119】
図16は、ウェッジインプラントの埋め込みを含む骨切除術処置の模式図である。図16に示すように、インプラント1600は、実質的にウェッジ形であってもよい。開大式骨切除術処置の一部として、脛骨1605などの骨を、骨に凹部1610を形成するために一方の側で切断してこじ開けてもよい。インプラント1600を、ギャップを埋め、それによって効果的に骨の一方の側を長くするために、凹部1610に挿入してもよい。すなわち、骨が第1側部1615と第2側部1620とを有してもよい。凹部1610は、第1側部1615に形成されてもよく、したがって、ウェッジ形インプラント1600の挿入が、脛骨1605の第1側部1615を効果的に長くする。骨の一方の側のこの延長により、先天的かまたは外傷もしくは疾患によるかにかかわらず、奇形を修正することができる。たとえば、脛骨の外側または内側の延長は、内反膝または外反膝などの状態を補正することができる。このような処置は、膝の健側に人の体重をシフトすることによって膝の一方側の変形性関節症を治療するために使用することもできる。
【0120】
図17は、インプラント1600の模式的な前縁斜視図である。図17に示すように、インプラント1600は、本体部1625を含んでもよい。本体部1625は、前縁部1635と、後縁部1640と、前縁部1635と後縁部1640との間に延びている中間部1645とを有してもよい。
【0121】
インプラント1600は、複数の解剖学的位置における骨切除術処置で使用されてもよい。したがって、向きに関する参照は複数の軸に対して提供される。特に、インプラント1600は、図7に示すように、長手方向軸1650に沿って前縁部1635から後縁部1640に延びている長さを有してもよい。同じく図17に示すように、インプラント1600は、長手方向軸1650に垂直な横軸1655に沿って延びている幅を有してもよい。また、インプラント1600は、長手方向軸1650と横軸1655とに垂直な第3軸1660に沿って三次元の厚さを有してもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、インプラントの前縁は、骨の凹部の両側間へのインプラントの挿入を容易にするための手段を含んでもよい。たとえば、前縁が丸面特徴を備えてもよい。すなわち、前縁は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含んでもよい。
【0123】
図17に示すように、前縁部1635は、前縁部1635の実質的に大部分にわたって実質的に滑らかな前縁面1665を有してもよい。いくつかの実施形態では、実質的に滑らかな前縁面1665は、図17に示すように、第3軸1660の方向に前縁部1635の厚さ全体にわたって延びていてもよい。さらに図17に示すように、前縁面1665は、第3軸1660の方向に実質的に丸みを帯びていてもよい(図19も参照)。同じく図17に示すように、いくつかの実施形態では、前縁面1665は、横軸1655の方向に丸みを帯びていてもよい(図18も参照)。
【0124】
インプラントは、挿入ツールを受容するための手段を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、インプラントの後縁にモノリシック構造を含むことができる。モノリシック構造は、挿入または埋め込みツールに係合するように構成された1つ以上のレセプタクルを含むことができる。いくつかの実施形態では、そのようなレセプタクルは、挿入または埋め込みツールに係合するように構成された雌ねじを含んでもよい。
【0125】
図18は、インプラント1600の模式的な後縁斜視図である。図18に示すように、後縁部1640はモノリシック構造1670を含んでもよい。モノリシック構造1670は、挿入ツールを受容するように構成されたレセプタクル1675を含んでもよい(たとえば、例示的な挿入ツールについて図24を参照)。いくつかの実施形態において、レセプタクル1675は、挿入ツール上の雄ねじを受容するように構成された雌ねじ1676を含んでもよい。
【0126】
インプラントは、骨内部成長を促進するための手段を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、インプラントは、複数の細長い湾曲構造部材を含んでもよい。スペースは、細長い湾曲構造部材の間および細長い湾曲構造部材の周りでの骨内部成長を可能にするために、細長い湾曲構造部材の間に画定されてもよい。いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材は、さまざまな湾曲構成のうちの任意のものを有してもよい。たとえば、構造部材は、らせん状、渦巻状、コイル状、正弦波状、アーチ状、または別様に湾曲している部分を含んでもよい。
【0127】
図18に示すように、いくつかの実施形態では、インプラント1600は、1つ以上の細長い湾曲構造部材1680を含んでもよい。図18に示すように、細長い湾曲構造部材1680は、第1渦巻部材1685および第2渦巻部材1690などの実質的に渦巻状の部材であってもよい。2つの渦巻部材は、第3軸1660の周りに実質的に同心であってもよい。
【0128】
たとえば、図18に示すように、第1渦巻部材1685は、前縁部1635と後縁部1640との間に延びているインプラント1600の周辺部分を形成する外方渦巻であってもよい。第2渦巻部材1690は、内方渦巻であってもよい。図18に示すように、第1渦巻部材1685および第2渦巻部材1690は、実質的に同一のゲージ(たとえばワイヤ直径)を有してもよい。他の実施形態では、第1渦巻部材1685および第2渦巻部材1690は、異なるゲージで形成されてもよい。
【0129】
細長い湾曲構造部材1680は、インプラント1600に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。すなわち、後縁部1640から挿入ツールで前縁部1635に向かって押すことによって、インプラント1600が長手方向軸1650の方向に挿入されるので、インプラント1600は有意な長手方向の圧縮力を受ける可能性がある。したがって、細長い湾曲構造部材1680は、このような圧縮力に耐えて、中間部1645の座屈または過度の圧縮なしに前縁部1635の挿入を可能にする剛性の量を維持するように構成されていてもよい。したがって、細長い湾曲構造部材1680のゲージ、材料および幾何学的形状は、意図される埋め込み場所について所望される長手方向の圧縮強度を提供するように選択されてもよい。
【0130】
第1渦巻部材1685は、第3軸1660の方向に実質的に先細状の厚さを有して、実質的にウェッジ形状の構成を有するインプラント1600を提供してもよい。図18に示すように、第2渦巻部材1690は、第3軸1660の方向に実質的に一定の厚さを有してもよい。先細状の厚さを有する1つの渦巻部材と一定の厚さを有する他の渦巻部材とにより、インプラントの少なくとも1つのエリアにおいて、2つの渦巻は異なる厚さを持つことになる。たとえば、インプラントの一方の端部に、2つの渦巻の厚さの差を設けてもよい。図18に示すように、インプラント1600の前縁端部において、第1渦巻部材1685および第2渦巻部材1690は実質的に同じ厚さを有してもよい一方、インプラント1600の後縁端部において、第1渦巻部材1685および第2渦巻部材1690は異なる厚さを有し、第1渦巻部材1685は、第2渦巻部材1690よりも大きい厚さを有する。図18の構成において、外方渦巻部材よりも厚さの薄い内方渦巻部材で、インプラント1600の中空中央領域1691を提供してもよく、これは、骨移植片材料の使用を容易にする可能性がある。
【0131】
図19は、インプラント1600の模式的な側面図である。図19に示されるように、インプラント1600の本体部は、実質的にウェッジ形であってもよい。つまり、インプラント1600の厚さは、先細りであってもよい。たとえば、図19に示すように、インプラント1600は、前縁部1635の近位に第1厚さ1695を、後縁部1640で第2厚さ1700を有していてもよく、第2厚さ1700は、第1厚さ1695よりも大きい。
【0132】
さらに、図19に示すように、インプラント1600の第1厚さ1695は前縁部1635の実質的に滑らかな前縁面1665によって完全に形成されることに留意されたい。さらに、前縁面1665の上記の丸みを帯びた輪郭も明確に図19に示されている。これらの特徴の両方が、骨の凹部へのインプラント1600の挿入を容易にしてもよい。
【0133】
図20は、インプラント1600の模式的な前縁図である。上記の中空の中央領域1691は、図20にて異なる視点から示されている。
【0134】
図21は、インプラント1600の模式的な後縁図である。図21は、後縁部1640の相対的なプロポーションを示している。たとえば、いくつかの実施形態では、後縁部1640は、インプラント1600の後縁端部における細長い湾曲構造部材1680の第2厚さ1700の実質的に大部分に延びている厚さ1705を有してもよい。
【0135】
第3軸1665の厚さの変化によりウェッジ構成を有することに加えて、インプラント1600の周辺部分は、実質的にティアドロップの形状を画定してもよい。実質的にティアドロップの形状は、特定の骨の場所における埋め込みに適切である可能性がある。たとえば、実質的にティアドロップの形状は、骨切除術が典型的に行われる場所での脛骨の外表面の湾曲性質によって、脛骨骨切除術における埋め込みに適切である可能性がある。他の実施形態では、異なる形状を有するインプラントが使用されてもよい。たとえば、実質的に正方形または長方形形状を有するインプラントは、特に、インプラントが挿入される骨の表面があまり丸みを帯びた表面を有していない場合に使用されてもよい。
【0136】
図22は、インプラントの別の実施形態の模式的な前縁斜視図である。図22は、インプラント2200を示す。インプラント2200は、実質的に正方形の形状を有してもよい。図22に示すように、インプラント2200は、本体部2225を含んでもよい。本体部2225は、前縁部2235と、後縁部2240と、前縁部2235と後縁部2240との間に延びている中間部2245とを有してもよい。
【0137】
インプラント2200は、複数の解剖学的位置における骨切除術処置で使用されてもよい。したがって、向きに関する参照は複数の軸に対して提供される。特に、インプラント2200は、図22に示すように、長手方向軸2250に沿って前縁部2235から後縁部2240に延びている長さを有してもよい。同じく図22に示すように、インプラント2200は、長手方向軸2250に対して垂直な横軸2255に沿って延びている幅を有してもよい。また、インプラント2200は、長手方向軸2250と横軸2255とに垂直な第3軸2260に沿って三次元の厚さを有してもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、インプラントの前縁は、骨の凹部の両側間へのインプラントの挿入を容易にするための手段を含んでもよい。たとえば、前縁が丸面特徴を備えてもよい。すなわち、前縁は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含んでもよい。
【0139】
図22に示すように、前縁部2235は、前縁部2235の実質的に大部分にわたって実質的に滑らかである前縁面2265を有してもよい。いくつかの実施形態では、実質的に滑らかな前縁面2265は、図22に示すように第3軸2260の方向に前縁部2235の厚さ全体にわたって延びていてもよい。さらに図22に示すように、前縁面2265は、第3軸2260の方向に実質的に丸みを帯びていてもよい。
【0140】
インプラントは、挿入ツールを受容するための手段を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、インプラントの後縁にモノリシック構造を含むことができる。モノリシック構造は、挿入または埋め込みツールに係合するように構成された1つ以上のレセプタクルを含むことができる。いくつかの実施形態では、そのようなレセプタクルは、挿入または埋め込みツールに係合するように構成された雌ねじを含んでもよい。
【0141】
図23は、別の骨切除術処置の模式図である。図23では、インプラント2200の埋め込みが描かれている。図23に示すように、インプラント2200は、内側楔状骨2220などの、足の楔状骨に対して行われる開大式骨切除術処置の一部として埋め込まれてもよい。同じく図23に示すように、インプラント2200は、後縁端部がインプラント2200の前縁端部よりも大きな厚さを有する実質的にウェッジ形の構成を有してもよい。したがって、インプラント2200を、内側楔状骨2220の凹部2210に挿入してもよい。
【0142】
図23は、インプラント2200の模式的な後縁斜視図を含む。図23に示すように、後縁2240はモノリシック構造2270を含んでもよい。モノリシック構造2270は、挿入ツール(たとえば、例示的な挿入ツールについて図24を参照)を受容するように構成されたレセプタクル2275を含んでもよい。いくつかの実施形態において、レセプタクル2275は、挿入ツール上の雄ねじを受容するように構成された雌ねじ2276を含んでもよい。また、いくつかの実施形態では、インプラント2200は、図6に示したくぼみ365および367と同様の1つ以上の挿入特徴を含んでもよい。
【0143】
インプラントは、骨内部成長を促進するための手段を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、インプラントは、複数の細長い湾曲構造部材を含んでもよい。スペースは、細長い湾曲構造部材の間および細長い湾曲構造部材の周りでの骨内部成長を可能にするために、細長い湾曲構造部材の間に画定されてもよい。いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材は、さまざまな湾曲構成のうちの任意のものを有してもよい。たとえば、構造部材は、らせん状、渦巻状、コイル状、正弦波状、アーチ状、または別様に湾曲している部分を含んでもよい。
【0144】
図23に示すように、インプラントの厚さ全体を提供する単一の大きな渦巻部材の代わりに、インプラント2200は、第3軸2260の方向に積層された複数の細長い湾曲構造部材2280を有してもよい。細長い湾曲構造部材2280は、複数の渦巻部材を含んでもよい。渦巻部材のうちの1つ以上は、図23に示すように、インプラント2200の周辺部分を形成してもよい。また、1つ以上の渦巻部材は、前縁部2235と後縁部2240との間に延びていてもよい。したがって、このような渦巻部材は、骨切除術用凹部に挿入する時の構造的完全性を維持するために、インプラント2200に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。
【0145】
図24は、インプラント2200の埋め込みを伴う別の骨切除術処置の模式図である。図24に示すように、骨切除術処置は、踵骨2405などの足2400の他の骨に対して行われてもよい。このような骨切除術処置は、踵骨2405に凹部2410を形成してもよい。インプラント2200は、凹部2410に挿入するように構成(およびサイズ決め)されてもよい。
【0146】
図24は、インプラント2200のレセプタクル2275に係合するように構成された挿入ツール2415も示す。たとえば、挿入ツール2415は、レセプタクル2275における雌ねじに係合するように構成された雄ねじ2420を含んでもよい。
【0147】
図25は、ウェッジ型インプラントの別の実施形態の模式的な後縁斜視図である。図25に示すように、インプラント2500は、インプラント2200と実質的に同じ構造を有してもよい。たとえば、インプラント2500は、本体部2525を含んでもよい。本体部2525は、前縁部2535と、後縁部2540と、前縁部2535と後縁部2540との間に延びている中間部2545とを有してもよい。本体部2525は、複数の細長い湾曲構造部材2580も含んでもよい。
【0148】
図25に示すように、インプラント2500は、前縁部2535と後縁部2540との間に延びている第1構造支持ビーム2586も含んでもよい。細長湾曲支持部材2580とともに、第1構造支持ビーム2586は、インプラント2500に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。いくつかの実施形態では、インプラント2500は、複数の構造支持ビームを含んでもよい。たとえば、インプラント2500は、第2構造支持ビーム2587を含んでもよい。図25に示すように、第1構造支持ビーム2586および第2構造支持ビーム2587は、インプラント2500の両方の外側側部に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、構造支持ビームは、1つ以上の細長支持部材2580内に配置されてもよい。たとえば、図25に示すように、第1構造支持部材2586は、前縁部2535と後縁部2540との間に延びている第1渦巻部材2585内に配置されてもよい。
【0149】
図26は、ウェッジ型インプラントの別の実施形態の模式的な後縁斜視図である。図26に示すように、インプラント2600は、インプラント2200と実質的に同じ構造を有してもよい。たとえば、インプラント2600は、本体部2625を含んでもよい。本体部2625は、前縁部2635と、後縁部2640と、前縁部2635と後縁部2640との間に延びている中間部2645とを有してもよい。本体部2625は、複数の細長い湾曲構造部材2680も含んでもよい。
【0150】
図26に示すように、インプラント2600は、前縁部2635と後縁部2640との間に延びている構造支持ビーム2686も含んでもよい。細長湾曲支持部材2680とともに、第1構造支持ビーム2686は、インプラント2500に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。
【0151】
仙腸関節インプラント(Sacroiliac Joint Implants)
ウェッジ型インプラントは、他の外科的処置で使用されてもよい。たとえば、ウェッジ型インプラントは、仙腸関節の安定化処置において使用されてもよい。そのようなインプラントは、仙骨と腸骨との間の関節を固定または癒合するためにこれら2つの骨の間に挿入されてもよい。このようなインプラントは、挿入を容易にするための手段を有してもよい。たとえば、そのようなインプラントは、実質的にウェッジ形の構成を有していてもよく、挿入ツールに係合するように構成された丸面前縁とモノリシック後縁部とを含んでもよい。また、このようなインプラントは、骨内部成長を促進するための手段を有してもよい。たとえば、そのようなインプラントは、構造部材の間のスペースを画定するように配置された複数の細長い湾曲構造部材を含んでもよい。この開放構造が、細長い湾曲構造部材の間および細長い湾曲構造部材の周りでの骨内部成長を促進してもよい。
【0152】
図27は、ウェッジインプラントの埋め込みを伴う仙腸関節の安定化処置の模式図である。図27に示すように、インプラント2700は、実質的にウェッジ形であってもよい。仙腸関節の安定化処置の一部として、仙骨2705および腸骨2710の間の仙腸関節2704は、これら2つの骨の間にインプラント2700を挿入することによって安定化されてもよい。
【0153】
図27に示すように、挿入ツール2715は、仙腸関節2704にインプラント2700を送達するために使用されてもよい。挿入ツール2715は、インプラント2700の後縁部と係合するように構成されていてもよく、仙腸関節2704へとねじ込んで仙腸関節2704に対してインプラント2700を方向付けるために利用されてもよい。いくつかの実施形態において、挿入ツール2715は、ねじ式接続を介してインプラント2700と係合してもよい。
【0154】
図28は、インプラント2700の模式的な前縁斜視図である。図27に示すように、インプラント2700は、本体部2725を含んでもよい。本体部2725は、前縁部2735と、後縁部2740と、前縁部2735と後縁部2740との間に延びている中間部2745とを有してもよい。
【0155】
インプラント2700は仙腸安定化処置のために埋め込み可能なものとして示されているが、同じかまたは同様の構成を有するこのようなインプラントは、骨切除術処置、骨癒合処置等などのさまざまな医療処置に使用されてもよい。したがって、向きに関する参照は複数の軸に対して提供される。特に、インプラント2700は、図28に示すように、長手方向軸2750に沿って前縁部2735から後縁部2740に延びている長さを有してもよい。同じく図28に示すように、インプラント2700は、長手方向軸2750に対して垂直な横軸2755に沿って延びている幅も有してもよい。さらに、インプラント2700は、長手方向軸2750と横軸2755とに垂直な第3軸2760に沿って三次元の厚さを有してもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、インプラントの前縁は、仙腸関節の対向する骨の間へのインプラントの挿入を容易にするための手段を含んでもよい。たとえば、前縁が丸面特徴を備えてもよい。すなわち、前縁は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含んでもよい。
【0157】
図28に示すように、前縁部2735は、前縁部2735の幅の実質的に大部分にわたって実質的に滑らかな前縁面2765を有してもよい。図28に示すように、いくつかの実施形態では、前縁面2765は、横軸2755の方向に丸みを帯びていてもよい。
【0158】
前縁部2735は、第3軸2760の方向に実質的に先細状の厚さを有して、実質的にウェッジ形の構成を有するインプラント2700を提供してもよい。すなわち、前縁部2735は、第1厚さ2795を有していてもよく、後縁部2740は、第2厚さ2800を有していてもよい。図28に示すように、第2厚さ2800は、第1厚さ2795より大きくてもよい。
【0159】
インプラントは、骨内部成長を促進するための手段を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、インプラントは、複数の細長い湾曲構造部材を含んでもよい。スペースは、細長い湾曲構造部材の間および細長い湾曲構造部材の周りでの骨内部成長を可能にするために、細長い湾曲構造部材の間に画定されてもよい。いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材は、さまざまな湾曲構成のうちの任意のものを有してもよい。たとえば、構造部材は、らせん状、渦巻状、コイル状、正弦波状、アーチ状、または別様に湾曲している部分を含んでもよい。
【0160】
図28に示すように、いくつかの実施形態では、インプラント2700は、1つ以上の細長い湾曲構造部材2780を含んでもよい。図28に示すように、細長い湾曲構造部材2780は、インプラント2700の後縁部2740に前縁部2735から長手方向に延びている少なくとも1つの細長い湾曲構造部材2785を含んでもよい。さらに図28に示すように、いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材2785は、実質的に正弦波状の構成を有してもよい。したがって、細長い湾曲構造部材2785は、第3軸2760の方向に前後に湾曲してもよい。正弦波状構成は、骨内部成長を促進するために、骨移植片材料を受容するために、またはその両方のために構造部材の両側に開口スペースを提供してもよい。図28に示すように、いくつかの実施形態では、インプラント2700は、反対の曲率を有する複数の正弦波状構造部材を含んでもよい。すなわち、第1方向に第1構造部材が湾曲する場合、隣接する構造部材は反対方向に湾曲してもよい。
【0161】
細長い湾曲構造部材2780は、インプラント2700に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。すなわち、後縁端部2740から挿入ツールで前縁部2735に向かって押すことによって、インプラント2700が長手方向軸2750の方向に挿入されるので、インプラント2700は有意な長手方向の圧縮力を受ける可能性がある。したがって、細長い湾曲構造部材2780は、このような圧縮力に耐えて、中間部2745の座屈または過度の圧縮なしに前縁部2735の挿入を可能にする剛性の量を維持するように構成されていてもよい。したがって、細長い湾曲構造部材2780のゲージ、材料、および幾何学的形状は、意図された埋め込み場所について所望される長手方向の圧縮強度を提供するように選択されてもよい。
【0162】
インプラントは、挿入ツールを受容するための手段を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、インプラントの後縁にモノリシック構造を含むことができる。モノリシック構造は、挿入または埋め込みツールに係合するように構成された1つ以上のレセプタクルを含むことができる。いくつかの実施形態では、そのようなレセプタクルは、挿入または埋め込みツールに係合するように構成された雌ねじを含んでもよい。
【0163】
図29は、インプラント2700の模式的な後縁斜視図である。図29に示すように、後縁2740は、モノリシック構造2770を含んでもよい。モノリシック構造2770は、挿入ツールを受容するように構成されたレセプタクル2775を含んでもよい(たとえば、例示的な挿入ツールについて図27を参照)。いくつかの実施形態において、レセプタクル2775は、挿入ツール上の雄ねじを受容するように構成された雌ねじ2776を含んでもよい。
【0164】
インプラントは、さまざまな構成を有する細長い湾曲構造部材で形成することができる。図30図34は、インプラント2700と実質的に同じ前縁部と後縁部とを実装しているいくつかの実施形態を説明するが、これには、異なる細長い湾曲構造部材を含む。
【0165】
図30は、インプラントの別の実施形態の模式的な前縁斜視図である。図30は、本体部3025を有するインプラント3000を示す。本体部3025は、前縁部3035と、後縁部3040と、前縁部3035と後縁部3040との間に延びている中間部3045とを有してもよい。インプラント3000は、複数の細長い湾曲構造部材3080も含んでもよい。
【0166】
1つ以上の細長い湾曲構造部材3080は、正弦波状構成を有してもよい。たとえば、第1正弦波状部材3085および第2正弦波状部材3090は、前縁部3035と後縁部3040との間に延びていてもよい。図30に示すように、第1正弦波状構造部材3085および第2正弦波状部材3090は、横方向に前後に湾曲してもよい。第1正弦波状構造部材3085および第2正弦波状部材3090はまた、インプラント3000に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、1つ以上の細長い湾曲構造部材3080の部分は、実質的にらせん状の構成を有してもよい。
【0167】
図31は、インプラントの別の実施形態の模式的な前縁斜視図である。図31は、本体部3125を有するインプラント3100を示している。本体部3125は、前縁部3135と、後縁部3140と、前縁部3135と後縁部3140との間に延びている中間部3145とを有してもよい。インプラント3100は、複数の細長い湾曲構造部材3180も含んでもよい。
【0168】
図31に示すように、いくつかの実施形態では、複数の細長い湾曲構造部材3180は、前縁部3135から後縁部3140への長手方向の1つ以上の実質的にらせん状の部材を含んでもよい。たとえば、インプラント3100は、第1の実質的にらせん状の部材3185と、第2の実質的にらせん状の部材3190と、前縁部3135と後縁部3140との間に延びている第3の実質的にらせん状の部材3195とを含んでもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、インプラント3100は、1つ以上の構造支持ビームを含んでもよい。たとえば、同じく図31に示すように、インプラント3100は、第1構造支持ビーム3196および第2構造支持ビーム3197を含んでもよい。第1構造支持ビーム3196および第2構造支持ビーム3197は、インプラント3100に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。また、第1構造支持ビーム3196および第2構造支持ビーム3197は、1つ以上の実質的にらせん状の部材が配置されてもよいフレームワークも提供してもよい。
【0170】
図32は、インプラントの別の実施形態の模式的な前縁斜視図である。図32は、本体部3225を有するインプラント3200を示す。本体部3225は、前縁部3235と、後縁部3240と、前縁部3235と後縁部3240との間に延びている中間部3245とを有してもよい。インプラント3200は、複数の細長い湾曲構造部材3280も含んでもよい。
【0171】
図32に示すように、インプラント3200は、第1構造支持ビーム3296および第2構造支持ビーム3297を含んでもよい。第1構造支持ビーム3296および第2構造支持ビーム3297は、インプラント3200に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。また、第1構造支持ビーム3296および第2構造支持ビーム3297は、1つ以上の細長い湾曲構造部材が配置されてもよいフレームワークも提供してもよい。
【0172】
図32に示すように、いくつかの実施形態では、インプラント3200は、インプラント3200の前縁部3235と後縁部3240との間に配置された中央壁部3260を含んでもよい。中央壁部3260は、第1構造支持ビーム3296と第2構造支持ビーム3297との間にまたがってもよく、したがって、フレームワークを形成する。したがって、中央壁部3260は、フレームワークを形成するために構造部材を追加することおよび細長い湾曲構造部材の長さを短くすることの両方によって、インプラント3200に構造強度を提供してもよい。さらに、細長い湾曲構造部材3280は、図32に示すように、中央壁部3260の両側に実質的に対称的に配置されてもよい。これが、インプラント3200の強度がインプラント3200の長手方向の長さの実質的に大部分に沿って一貫していることを保証してもよい。
【0173】
図33は、インプラントの別の実施形態の模式的な前縁斜視図である。図33は、本体部3325を有するインプラント3300を示す。本体部3325は、前縁部3335と、後縁部3340と、前縁部3335と後縁部3340との間に延びている中間部3345とを有してもよい。インプラント3300は、複数の細長い湾曲構造部材3380も含んでもよい。
【0174】
図33に示すように、インプラント3300は、前縁部3335と後縁部3340との間に延びている複数の構造支持ビームを含んでもよい。たとえば、インプラント3300は、第1構造支持ビーム3396および第2構造支持ビーム3397を含んでもよい。インプラント3300は、延びている第3構造支持ビーム3398および第4構造支持ビーム3399を含んでもよい。第1構造支持ビーム3396、第2構造支持ビーム3397、第3構造支持ビーム3398、および第4構造支持ビーム3399が前縁部3335と後縁部3340との間に延びているので、これらの構造支持ビームは、インプラント3300に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。また、これらの構造支持ビームは、1つ以上の細長い湾曲構造部材が配置されてもよいフレームワークも提供してもよい。
【0175】
図33に示すように、細長い湾曲構造部材3380および構造支持ビームは、スペースの内部容量を画定するリブケージ構造で構成されていてもよい。スペースの内部容量は、骨移植片材料を受容し、インプラント3300の支持部材の周りの骨内部成長を促進するように構成されていてもよい。
【0176】
図34は、インプラントの別の実施形態の模式的な前縁斜視図である。図34は、本体部3425を有するインプラント3400を示す。本体部3425は、前縁部3435と、後縁部3440と、前縁部3435と後縁部3440との間に延びている中間部3445とを有してもよい。インプラント3400は、複数の細長い湾曲構造部材3480も含んでもよい。
【0177】
図34に示すように、インプラント3400は、前縁部3435と後縁部3440との間に延びている複数の構造支持ビームを含んでもよい。たとえば、インプラント3400は、第1構造支持ビーム3496、第2構造支持ビーム3497、および第3構造支持ビーム3498を含んでもよい。第1構造支持ビーム3496、第2構造支持ビーム3497、および第3構造支持ビーム3498が前縁部3435と後縁部3440との間に延びているので、これらの構造支持ビームは、インプラント3400に長手方向の圧縮強度を提供してもよい。また、これらの構造支持ビームは、1つ以上の細長い湾曲構造部材が配置されてもよいフレームワークも提供してもよい。
【0178】
図34に示すように、細長い湾曲構造部材3480および構造支持ビームは、スペースの内部容量を画定するリブケージ構造で構成されていてもよい。スペースの内部容量は、骨移植片材料を受容し、インプラント3400の支持部材の周りの骨内部成長を促進するように構成されていてもよい。
【0179】
製造および材料
インプラントの種々の構成要素は、特定の用途および/または医師による選択に応じて、金属(たとえば、チタンまたは他の金属)、セラミック、および/またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、人体に埋め込むのに好適な生体適合性材料から製造されてもよい。
【0180】
一般に、インプラントは、十分な強度を有する任意の適切な生体適合性の非分解性材料から形成することができる。典型的な材料は、これらに限定されないが、チタン、生体適合性チタン合金(たとえば、γチタンアルミナイド、Ti6-Al4-V ELI(ASTM F 136)またはTi6-Al4-V(ASTM F 1108およびASTM F 1472))、および、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの不活性の生体適合性ポリマー(たとえばPEEK-OPTIMA(登録商標)、Invibio Inc)を含む。任意選択的に、インプラントは、画像化中の可視化を容易にするためにX線不透過性マーカーを含む。
【0181】
異なる実施形態では、インプラントを作製するプロセスは変えることができる。いくつかの実施形態では、インプラント全体は、射出成形、鋳造または射出成形、インサート成形、共押出、引き抜き成型、トランスファー成形、オーバーモールド、圧縮成形、三次元(3D)プリンティング、浸漬被覆、スプレー被覆、粉末被覆、多孔性被覆、中実の原材料からの粉砕、およびそれらの組み合わせによって製造して組み立ててもよい。また、実施形態は、「コイル状インプラント出願」に開示された特徴、部品、アセンブリ、プロセスおよび/または方法のうちの任意のものを利用することができる。
【0182】
他の実施形態
本開示によるインプラントは、以下の項目のリストに開示されたさまざまな特徴を含んでいてもよい。
【0183】
i)前縁部と、後縁部と、前縁部と後縁部との間に延びている中間部とを有する本体部を含むインプラントが開示され、前縁部は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含み、後縁部は、挿入ツールを受容するように構成された少なくとも1つのレセプタクルを含むモノリシック構造を含み、中間部は、複数の細長い湾曲構造部材を含む。
【0184】
ii.)複数の細長い湾曲構造部材は、1つ以上の渦巻部材を含むことができる。
【0185】
iii.)複数の細長い湾曲構造部材は、1つ以上の実質的にらせん状の部材を含むことができる。
【0186】
iv.)レセプタクルは、挿入ツール上の雄ねじを受容するように構成された雌ねじを含むことができる。
【0187】
v.)本体部は実質的にウェッジ形であってもよい。
【0188】
vi.)インプラントは、楔開き骨切除術処置中の埋め込みのために構成されていてもよい。
【0189】
vii.)インプラントは、仙腸関節における埋め込みのために構成されていてもよい。
【0190】
viii.)細長い湾曲構造部材は、インプラントの後縁部に前縁部から長手方向に延び、実質的に正弦波状の構成を有する少なくとも1つの細長い湾曲構造部材を含むことができる。
【0191】
ix.)細長い湾曲構造部材は、インプラントの後縁部に前縁部から長手方向に延びている複数の実質的にらせん状の部材を含むことができる。
【0192】
x.)インプラントは、インプラントの前縁部と後縁部との間に配置された中央壁部を含むことができ、複数の細長い湾曲構造部材は、中央壁部の両側に実質的に対称に配置されている。
【0193】
xi.)インプラントは、前縁部と後縁部との間に延びている少なくとも1つの支持ビームを含むことができる。
【0194】
xii.)前縁部と、後縁部と、前縁部と後縁部との間に延びている中間部とを有する本体部を含むインプラントが開示され、前縁部は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含み、後縁部は、挿入ツールを受容するように構成された少なくとも1つのレセプタクルを含むモノリシック構造を含み、インプラントは、前縁部と後縁部との間に延びているインプラントの周辺部分を形成する少なくとも1つの実質的に渦巻状の細長い部材をさらに含む。
【0195】
xiii.)本体部は実質的にウェッジ形であってもよい。
【0196】
xiv.)インプラントは、楔開き骨切除術処置中の埋め込みのために構成されることができる。
【0197】
xv.)インプラントは、前縁部と後縁部との間に延びている少なくとも1つの支持ビームを含むことができる。
【0198】
xvi.)レセプタクルは、挿入ツール上の雄ねじを受容するように構成された雌ねじを含むことができる。
【0199】
xvii.)前縁部と、後縁部と、前縁部と後縁部との間に延びている中間部とを有する本体部を含むインプラントが開示され、前縁部は、前縁部の前縁面の実質的に大部分を形成する実質的に滑らかな表面を含み、後縁部は、挿入ツールを受容するように構成された少なくとも1つのレセプタクルを含むモノリシック構造を含み、インプラントは、前縁部と後縁部との間に延びている少なくとも1つの支持ビーム、および、前縁部と後縁部との間に延びている少なくとも1つの実質的にらせん状の細長い部材を含む。
【0200】
xviii.)インプラントは、仙腸関節における埋め込みのために構成されることができる。
【0201】
xix.)インプラントは、前縁部と後縁部との間に延びている少なくとも1つの支持ビームを含むことができる。
【0202】
xx.)レセプタクルは、挿入ツール上の雄ねじを受容するように構成された雌ねじを含むことができる。
【0203】
さらに、本発明に関連して上記および/または下記に記載されている(特定の項目i.)~xx.)またはその他の)あらゆる態様、構成要素、特徴および/または項目は、特許請求の範囲または説明により定義されるように、本発明の別個の実施形態と考えることができる。いくつかの場合には、(特定の項目i.)~xx.)またはその他の)2つ以上の態様、構成要素、特徴および/または項目は、特許請求の範囲または説明により定義されるように、本発明の実施形態を形成するために組み合わせられてもよい。
【0204】
種々の実施形態を説明してきたが、この説明は、制限的ではなく例示的なものであり、当業者には、実施形態の範囲内にあるさらに多くの実施形態および実施態様が可能であることは明らかであろう。考えられる多くの特徴の組み合わせを添付の図面に示し、本詳細な説明で述べているが、開示された特徴の、他の多くの組み合わせが可能である。任意の実施形態の任意の特徴は、特に制限されていない限り、任意の他の実施形態の任意の他の特徴もしくは要素と組み合わせて、またはその代わりに使用してもよい。そのため、本開示において図示および/または説明される特徴のいずれも、任意の適切な組み合わせで一緒に実施してもよいことは理解されるであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に鑑みる以外で制限されてはならない。また、添付の特許請求の範囲内で、種々の修正および変更を行ってもよい。
【0205】
関連出願
本願は、McShane III等の「Implant with Arched Bone Contacting Elements(アーチ状骨接触要素を備えるインプラント)」と題された、2017年2月16日公開の米国特許出願公開第2017/0042697号(2016年10月25日出願の米国特許出願15/334,053号)の一部継続出願である。米国特許出願公開第2017/0042697号は、2015年4月29日に出願された米国仮出願第62/154,599号、2015年9月11日に出願された米国仮出願第62/217,542号および2016年2月29日に出願された米国仮出願第62/301,546号に基づく優先権を主張する、Morris等の「Coiled Implants and Systems and Methods Thereof(コイル状インプラントならびにそのシステムおよび方法)」と題された、2016年11月10日公開の米国公開第2016/0324656号(2016年4月28日出願の米国特許出願15/141,655号)の一部継続出願である。本願はまた、2016年10月25日に出願された米国仮出願第62/412,657号に基づく優先権を主張する。上記出願の各々は、参照により本明細書に援用される。
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