(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】誘電体共振器アンテナ・システム
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/04 20060101AFI20230316BHJP
H01Q 13/02 20060101ALI20230316BHJP
H01Q 19/09 20060101ALI20230316BHJP
H01Q 19/06 20060101ALI20230316BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20230316BHJP
H01Q 21/20 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
H01Q9/04
H01Q13/02
H01Q19/09
H01Q19/06
H01Q21/06
H01Q21/20
(21)【出願番号】P 2019566191
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(86)【国際出願番号】 US2018036003
(87)【国際公開番号】W WO2018226657
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-05-27
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596024851
【氏名又は名称】ロジャーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】パンセ、クリスティ
(72)【発明者】
【氏名】タラスキー、ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】バン デル リンデン、イングマール セース ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】スプレントール、カール イー.
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0139370(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125908(US,A1)
【文献】特開2017-098743(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040702(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のグランド構造体と、
前記グランド構造体の上に設けられた
2つ以上の誘電体共振器アンテナ(DRA)
のアレイであって、前記
2つ以上の誘電体共振器アンテナ(DRA)
のそれぞれは、全体的な高さおよび全体的な幅を有する誘電体共振器アンテナ(DRA)からなり、前記全体的な高さは、前記全体的な幅よりも大きくなっている誘電体共振器アンテナ(DRA)と、
前記誘電体共振器アンテナ(DRA)のうちの対応する1つに近接して設けられた少なくとも1つの電磁(EM)ビーム・シェイパーと、
前記誘電体共振器アンテナ(DRA)のうちの対応する1つに電磁気的に連結されるように設けられた少なくとも1つの信号フィードとを備え、
前記少なくとも1つの電磁(EM)ビーム・シェイパーは、誘電材料の本体部であって、前記誘電材料は、前記本体部の内部部分から前記本体部の外側表面に向かって減少する比誘電率を有している、誘電材料の本体部を備え
、
前記2つ以上の誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイは、前記誘電材料の本体部の前記外側表面の周りに少なくとも部分的に設けられており、
前記2つ以上の誘電体共振器アンテナ(DRA)のそれぞれは、前記誘電材料の本体部の中に少なくとも部分的に埋め込まれている、電磁デバイス。
【請求項2】
前記
2つ以上の誘電体共振器アンテナ(DRA)
のそれぞれは、中空コアを有する単一層状の誘電体共振器アンテナ(DRA)を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記
2つ以上の誘電体共振器アンテナ(DRA)
のそれぞれは、中空コアを有する多層の誘電体共振器アンテナ(DRA)を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記
2つ以上の誘電体共振器アンテナ(DRA)
のそれぞれは、垂直方向の側壁部および凸形頂部を有する立面図断面を備える誘電体共振器アンテナ(DRA)を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記誘電材料の本体部は誘電材料の球体をなし、前記誘電材料の球体は、前記球体の中心から前記球体の外側表面へ変化する比誘電率を有している、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記
2つ以上の誘電体共振器アンテナ(DRA)のそれぞれの誘電体共振器アンテナ(DRA)は、
非ガス状の誘電材料からなる一定体積の物体であって、前記一定体積の物体は、中空コアと、立面図において観察されるような断面上の全体的な最大高さHvと、平面図において観察されるような断面上の全体的な最大幅Wvとを有する、一定体積の物体を備え、
前記一定体積の物体は、単一の誘電材料組成物の一定体積の物体であり、
Hvは、Wvよりも大きくなっている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電磁(EM)ビーム・シェイパーは
、導電性の角状部を備え、
前記導電性の角状部は、第1の近位端部から第2の遠位端部へ外向きに広がる側壁部を備え、前記第1の近位端部は、前記グランド構造体と電気的接触をして設けられており、前記第2の遠位端部は、関連の前記少なくとも1つの誘電体共振器アンテナ(DRA)から所定の距離に設けられており、前記側壁部は、対応する前記少なくとも1つの誘電体共振器アンテナ(DRA)を取り囲むように設けられる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記誘電材料の球体は、前記球体の前記中心から前記球体の前記外側表面へ減少する異なる比誘電率を有する誘電材料の複数の層を備える、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記電磁(EM)ビーム・シェイパーは
、導電性の角状部を備え
、
前記誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイは、前記導電性の角状部の中に設けられる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記導電性の角状部の遠位端部は、前記誘電材料の本体部の全体的な外側の寸法以上のアパーチャを有している、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記導電性の角状部の長さLhは、前記誘電材料の本体部の全体的な外側の寸法Dsよりも小さくなっている、
請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記DRAのアレイは、凹形配置で、前記誘電材料の本体部の前記外側表面の周りに少なくとも部分的に設けられている、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイのそれぞれの誘電体共振器アンテナ(DRA)は、前記少なくとも1つの信号フィードのうちの対応する1つによって別々にフィードされ、マルチビーム・アンテナを提供する、
請求項10乃至12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイは、前記グランド構造体の上に設けられており、前記グランド構造体は、非平面的な基板の上に設けられている、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記基板は、凹形湾曲を備え、
前記誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイは、前記非平面的な基板の凹形湾曲の上に設けられている、
請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記基板は、凸形湾曲を備え、
前記DRAのアレイは、前記非平面的な基板の凸形湾曲の上に設けられている、
請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記基板は、可撓性を有する、
請求項14乃至16のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電磁デバイスに関し、とりわけ、誘電体共振器アンテナ(DRA)システムに関し、より具体的には、DRAシステムの中のDRAのゲイン、コリメーション、および指向性を強化するための電磁ビーム・シェイパーを備えたDRAシステムに関し、このDRAシステムは、マイクロ波用途およびミリメートル波用途に良く適している。
【背景技術】
【0002】
既存のDRA共振器およびアレイは、それらの意図した目的に関して適切であり得るが、DRAの技術分野は、たとえば、限られたバンド幅、限られた効率、限られたゲイン、限られた指向性、または複雑な製作技法などのような、既存の欠点を克服することができる、遠視野における高い指向性を備えた高ゲインDRAシステムを構築するのに有用な電磁デバイスによって進歩させられることとなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
実施形態は、導電性のグランド構造体と、グランド構造体の上に設けられている少なくとも1つの誘電体共振器アンテナ(DRA)と、DRAのうちの対応する1つに近接して設けられている少なくとも1つの電磁(EM)ビーム・シェイパーと、DRAのうちの対応する1つに電磁気的に連結されるように設けられている少なくとも1つの信号フィードとを備える、電磁デバイスを含む。少なくとも1つのEMビーム・シェイパーは、導電性の角状部を備えるか、または、誘電材料の本体部であって、誘電材料は、本体部の内部部分から本体部の外側表面へ変化する比誘電率を有している、誘電材料の本体部を備えるか、または、導電性の角状部および誘電材料の本体部の両方を備える。
【0004】
実施形態は、非平面的な配置で配置されている個々の3次元の誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイを備える電磁デバイスを含む。
実施形態は、導電性のグランド構造体と、グランド構造体の上に設けられている誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイであって、グランド構造体は、非平面的な配置で配置されている、誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイと、DRAのうちの対応する1つに近接して1対1対応で設けられている電磁(EM)ビーム・シェイパーのアレイと、複数の信号フィードであって、複数の信号フィードは、DRAのうちの対応する1つに1対1対応で設けられており、DRAのうちの対応する1つに電磁気的に連結されている、複数の信号フィードとを備える、電磁デバイスを含む。
【0005】
本発明の上記の特徴および利点、ならびに、他の特徴および利点は、添付の図面とともに見たときに、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
例示的な非限定的な図面を参照すると、ここでは、同様のエレメントは、添付の図の中で同様に付番されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】実施形態による、電磁角状部および球形のレンズの両方を有する高ゲインDRAシステムを構築するのに有用な例示的な電磁デバイスの回転させられた等角図。
【
図1B】実施形態による、
図1Aの電磁デバイスの断面線1B-1Bを通る立面図断面を示す図。
【
図1C】実施形態による、球形形状以外の形状を有する誘電材料の例示的な本体部の回転させられた等角図。
【
図2A】実施形態による、本明細書で開示されている目的に適切なDRAの代替的な実施形態の立面図断面を示す図。
【
図2B】実施形態による、本明細書で開示されている目的に適切なDRAの代替的な実施形態の立面図断面を示す図。
【
図2C】実施形態による、本明細書で開示されている目的に適切なDRAの代替的な実施形態の平面図断面を示す図。
【
図2D】実施形態による、本明細書で開示されている目的に適切なDRAの代替的な実施形態の平面図断面を示す図。
【
図2E】実施形態による、本明細書で開示されている目的に適切なDRAの代替的な実施形態の立面図断面を示す図。
【
図3A】実施形態による、球形のレンズのない電磁角状部を有する高ゲインDRAシステムを構築するのに有用な例示的な電磁デバイスの回転させられた等角図。
【
図3B】実施形態による、
図3Aの電磁デバイスの断面線3B-3Bを通る立面図断面を示す図。
【
図4】実施形態による、電磁角状部のない球形のレンズを有する高ゲインDRAシステムを構築するのに有用な例示的な電磁デバイスの立面図断面を示す図であり、DRAが、球形のレンズの中に少なくとも部分的に埋め込まれていることを示す図。
【
図5A】実施形態による、球形のレンズの表面の周りに非平面的な配置で少なくとも部分的に設けられているDRAのアレイを有する高ゲインDRAシステムを構築するのに有用な例示的な電磁デバイスの立面図断面を示す図。
【
図5B】実施形態による、非平面的な基板の凹形湾曲の上に設けられているDRAのアレイを有する高ゲインDRAシステムを構築するのに有用な例示的な電磁デバイスの立面図断面を示す図。
【
図5C】実施形態による、非平面的な基板の凸形湾曲の上に設けられているDRAのアレイを有する高ゲインDRAシステムを構築するのに有用な例示的な電磁デバイスの立面図断面を示す図。
【
図6】実施形態による、電磁角状部の中に設けられているDRAのアレイを有する高ゲインDRAシステムを構築するのに有用な例示的な電磁デバイスの平面図断面を示す図。
【
図7A】実施形態による、本明細書で開示されている例示的な実施形態の数学的モデルの解析的な結果を示す図。
【
図7B】実施形態による、本明細書で開示されている例示的な実施形態の数学的モデルの解析的な結果を示す図。
【
図8A】実施形態による、本明細書で開示されている例示的な実施形態の数学的モデルの解析的な結果を示す図。
【
図8B】実施形態による、本明細書で開示されている例示的な実施形態の数学的モデルの解析的な結果を示す図。
【
図8C】実施形態による、本明細書で開示されている例示的な実施形態の数学的モデルの解析的な結果を示す図。
【
図8D】実施形態による、本明細書で開示されている例示的な実施形態の数学的モデルの解析的な結果を示す図。
【
図8E】実施形態による、本明細書で開示されている例示的な実施形態の数学的モデルの解析的な結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は、図示の目的のために多くの具体例を含有しているが、以下の詳細に対する多くの変形例および代替例が、特許請求の範囲の中にあるということを当業者は認識することとなる。したがって、以下の例示的な実施形態は、特許請求されている発明に対する一般性の喪失なしに、および、特許請求されている発明に限定を付与することなく記載されている。
【0008】
本明細書で開示されている実施形態は、遠視野において高い指向性を備えた高ゲインDRAシステムを構築するのに有用なEMデバイスに関する異なる配置を含む。本明細書で開示されているようなEMデバイスの実施形態は、1つまたは複数の信号フィードによって、単独でフィードされ、選択的にフィードされ、または複合的にフィードされ得る、1つまたは複数のDRAを含み、また、少なくとも1つのEMビーム・シェイパーを含むことが可能であり、少なくとも1つのEMビーム・シェイパーは、DRAのうちの対応する1つに近接して設けられており、そのようなEMビーム・シェイパーのないDRAシステムを上回って、遠視野放射パターンのゲインおよび指向性を増加させるようになっている。例示的なEMビーム・シェイパーは、導電性の角状部と、誘電材料の本体部、たとえば、ルネベルグ・レンズなどとを含み、それは、ここで、本明細書に提供されているいくつかの図と組み合わせて議論されることとなる。
【0009】
ここで
図1Aおよび
図1Bを参照すると、電磁デバイス100の実施形態は、導電性のグランド構造体102と、グランド構造体102の上に設けられている少なくとも1つのDRA200と、DRA200のうちの対応する1つに近接して設けられている少なくとも1つのEMビーム・シェイパー104と、対応するDRA200を電磁気的に励起させるために、DRA200のうちの対応する1つに電磁気的に連結されるように設けられている少なくとも1つの信号フィード106とを含む。
【0010】
一般的に、所与のDRA200の励起は、信号フィードによって提供され、信号フィードは、たとえば、銅ワイヤー、同軸のケーブル、スロット状のアパーチャを備えたマイクロストリップ、導波管、表面一体型の導波管、または導電性インクなどであり、それは、たとえば、DRA200の誘電材料の特定の一定体積の物体に電磁気的に連結されている。当業者によって認識されることとなるように、「電磁気的に連結されている」という語句は、2つの場所の間の物理的な接触を必ずしも必要とすることなく、1つの場所から別の場所へ電磁エネルギーを意図的に伝送するということを表す技術用語であり、また、本明細書で開示されている実施形態を参照して、より具体的には、関連のDRAの電磁共振モードと一致する電磁共振周波数を有する信号供給源同士の間の相互作用を表す技術用語である。DRAの中に直接的に埋め込まれているそれらの信号フィードにおいて、信号フィードは、グランド構造体と電気的接触をしていない状態で、グランド構造体の中の開口部を介して、誘電材料の一定体積の物体の中へ、グランド構造体を通過する。本明細書で使用されているように、非ガス状の誘電材料以外の誘電材料への言及は、空気を含み、空気は、標準的な大気圧力(1気圧)および温度(摂氏20度)において、おおよそ1の相対誘電率(εr)を有している。本明細書で使用されているように、「相対誘電率」という用語は、単に「誘電率」と省略され得、または「比誘電率」という用語と相互交換可能に使用され得る。使用される用語にかかわらず、当業者は、本明細書で提供されている本発明の開示全体を読むことから、本明細書で開示されている本発明の範囲を容易に認識することとなる。
【0011】
ある実施形態では、少なくとも1つのEMビーム・シェイパー104は、導電性の角状部300を備えるか、または、本体部の内側部分から本体部の外側表面へ変化する比誘電率を有する誘電材料の本体部400(本明細書では、誘電体レンズ、または、簡単に、レンズとも称される)を備えるか、または、導電性の角状部300および誘電材料の本体部400の両方を備える。ある実施形態では、誘電材料の本体部400は、球体であり、ここで、球体の比誘電率は、球体の中心から球体の外側表面へ変化する。ある実施形態では、球体の比誘電率は、1/Rにしたがって変化し、ここで、Rは、球体の外側半径である。本明細書で提供されるいくつかの図に示されている実施形態は、平面的な構築体として、誘電材料の球体400を図示しているが、そのような図示は、作成する限界に起因するものに過ぎず、決して、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、それは、ある実施形態では、誘電材料の3次元の本体部400、たとえば、球体に向けられるということが認識されることとなる。そのうえ、誘電材料の本体部400は、本明細書で開示されている目的に適切な任意の他の3次元の形状であることが可能であり、それは、たとえば、それに限定されないが、トロイダル形状400’などであり(
図1Cを参照して最良に見られる)、ここで、3次元の形状の比誘電率は、1/R’以外で変化し、ここで、R’は、例示的なトロイダル形状の外側半径であるということが認識されることとなる。そうであるので、本明細書で示されて説明されているいくつかの実施形態は、具体的には球体である誘電材料の本体部を参照しているが、これは、単に例示目的のためのものに過ぎず、誘電材料の本体部は、本明細書で開示されている目的に適切な任意の3次元の本体部であることが可能であるということが認識されることとなる。
【0012】
ある実施形態では、および、とりわけ、
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、および
図2Eを参照すると、少なくとも1つのDRA200(それぞれ、参照番号200A、200B、200C、200D、および200Eによって、
図2A~
図2Eの中に個別に示されている)は、異なる比誘電率を有する2つ以上の誘電材料200A.1、200A.2、200A.3を備える多層のDRA200A、ここで、誘電材料200A.2および200A.3のうちの少なくとも2つは、非ガス状の誘電材料である;非ガス状の誘電材料200B.2の単一の層によって包囲された中空コア200B.1を有する単一層状のDRA200B;凸形頂部202A、202Bを有するDRA200A、200B;長方形以外の幾何学的形態206Cを有する平面図断面を備えるDRA200C;円形、長円形、長円体、楕円形、または楕円体の幾何学的形態206C、206Dを有する平面図断面を備えるDRA200C、200D;長方形以外の幾何学的形態208A、208Bを有する立面図断面を備えるDRA200A、200B;垂直方向の側壁部204Aおよび凸形頂部202Aを有する立面図断面を備えるDRA200A;または、全体的な高さHvおよび全体的な幅Wvを有するDRA200E、ここで、全体的な高さHvは、全体的な幅Wvよりも大きくなっている、のうちの少なくとも1つを備える。
【0013】
ある実施形態では、および、とりわけ、
図2Aを参照すると、DRA200Aは、N個のボリュームすなわち一定体積の物体(
図2Aでは、N=3)を備える誘電材料の複数のボリューム200A.1、200A.2、200A.3を備え、Nは、3以上の整数であり、それは、連続的なおよびシーケンシャルな層状のボリュームV(i)を形成するように設けられており、iは、1からNの整数であり、ボリュームV(1)200A.1は、最も内側の第1のボリュームを形成しており、連続的なボリュームV(i+1)が、層状のシェルを形成しており、層状のシェルは、ボリュームV(i)の上方に設けられており、ボリュームV(i)を少なくとも部分的に埋め込んでおり、ボリュームV(N)200A.3が、V(1)からV(N-1)のすべてのボリュームを少なくとも部分的に埋め込んでおり、対応する信号フィード106Aが、誘電材料の複数のボリューム200A.2のうちの1つに電磁気的に連結されるように設けられている。ある実施形態では、最も内側の第1のボリュームV(1)200A.1は、ガス状の誘電体媒体を備える(すなわち、DRA200Aは、中空コア200A.1を有している)。
【0014】
ある実施形態では、および、とりわけ、
図2Eを参照すると、DRA200Eは、非ガス状の誘電材料200E.2を備えるボリュームを備え、ボリュームは、中空コア200E.1を有しており、断面上の全体的な最大高さHvは、立面図において観察されるようなものであり、断面上の全体的な最大幅Wvは、平面図において観察されるようなものであり(立面図において、
図2Eに見られるように)、ボリュームは、単一の誘電材料組成のボリュームであり、Hvは、Wvよりも大きい。ある実施形態では、中空コア200E.1は、空気を備える。
【0015】
本明細書で開示されている目的に関して適切な任意のDRA200の実施形態が、
図2A~
図2Fに示されている構造的な属性、たとえば、中空コア有りのまたは中空コアなしの単一層のまたは多層のDRAなどの任意の組み合わせを有することが可能であり、DRAの断面上の全体的な最大高さHvは、対応するDRAの断面上の全体的な最大幅Wvよりも大きくなっているということが、
図2A~
図2Fに関係する先述の説明から認識されることとなる。また、
図2A、
図2C、および
図2Dを参照すると、本明細書で開示されている目的に関して適切な任意のDRA200の実施形態は、
図2Aに示されているように、互いに対して横方向にシフトされた誘電材料の個々のボリュームを有することが可能であり、または、
図2Cに示されているように、互いに対して中央に設けられている誘電材料の個々のボリュームを有することが可能であり、または、
図2Dに示されているように、互いに対して中央に設けられている誘電材料の個々のボリューム206Dの一連の内側のもの、および、一連の内側ボリュームに対して横方向にシフトされた誘電材料の包囲しているボリューム212Dを有することが可能である。本明細書で個別に開示されている(必ずしも、所与のDRAにおける特定の組み合わせで開示されているわけではない)構造的な属性の任意のおよびすべてのそのような組み合わせは、本明細書で開示されている本発明の範囲内にあるということが企図および考慮されている。
【0016】
図1Aおよび
図1Bと組み合わせて
図3Aおよび
図3Bを参照すると、EMビーム・シェイパー104が導電性の角状部300を備える実施形態では、導電性の角状部300は、第1の近位端部304から第2の遠位端部306へ外向きに広がる側壁部302を備えることが可能であり、第1の近位端部304は、グランド構造体102と電気的接触をして設けられており、第2の遠位端部306は、関連の少なくとも1つのDRA200から所定の距離をもって設けられ、側壁部302は、関連の少なくとも1つのDRA200を取り囲むかまたは実質的に取り囲むように設けられる。ある実施形態では、および、とりわけ、
図1Bを参照すると、導電性の角状部300の長さLhは、誘電材料の球体400の直径Dsよりも小さくなっている。ある実施形態では、導電性の角状部300の遠位端部306は、アパーチャ308を有しており、アパーチャ308は、誘電材料の球体400の直径Ds以上になっている。より一般的には、導電性の角状部300の遠位端部306は、アパーチャ308を有しており、アパーチャ308は、誘電材料の本体部400の全体的な外側の寸法以上になっている。
【0017】
図1Bおよび
図4を参照すると、EMビーム・シェイパー104が誘電材料の球体400を備える実施形態では、誘電材料の球体400は、球体の中心から球体の表面へ減少する比誘電率を有している。たとえば、球体の中心における比誘電率は、2、3、4、5、または、本明細書で開示されている目的に関して適切な任意の他の値であることが可能であり、球体の表面における比誘電率は、1であることが可能であり(空気の比誘電率に実質的に等しい)、または、本明細書で開示されている目的に適切な任意の他の値であることが可能である。ある実施形態では、誘電材料の球体400は、誘電材料の複数の層を備え、それは、中心の内側球体の周りに設けられている同心円状のリング402として、
図1Bおよび
図4に描かれて示されており、それは、球体の中心から球体の表面へ連続的に減少する異なる比誘電率を有している。たとえば、誘電材料の層の数は、2つ、3つ、4つ、5つ、または、本明細書で開示されている目的に適切な任意の他の数であることが可能である。ある実施形態では、誘電材料の球体400は、球体の表面において1の比誘電率を有している。ある実施形態では、誘電材料の球体400は、球体の中心から球体の外側表面へ変化する比誘電率を有しており、それは、定義された関数にしたがって変化する。ある実施形態では、誘電材料の球体400の直径は、20ミリメートル(mm)以下である。代替的に、誘電材料の球体400の直径は、20mmよりも大きくなっていることが可能である。その理由は、誘電材料の球体400の直径が増加するにつれて、遠視野放射パターンのコリメーションが増加するからである。
【0018】
とりわけ
図4を参照すると、EMビーム・シェイパー104が誘電材料の球体400を備える実施形態では、それぞれのDRA200は、誘電材料の球体400の中に少なくとも部分的に埋め込まれ得、それは、
図4に示されており、
図4では、DRA200は、第1および第2の層402.1、402.2の中に埋め込まれているが、第3の層402.3の中には埋め込まれていない。
【0019】
ここで
図5Aを参照すると、EMビーム・シェイパー104が、誘電材料の球体400を備え、少なくとも1つのDRA200が、少なくとも1つのDRA200のアレイを備え、DRAのアレイ210を形成している実施形態では、DRAのアレイ210は、非平面的な基板214の上に設けられ、また、誘電材料の球体400の外側表面404の周りに少なくとも部分的に設けられ、ここで、以前に述べられているように、誘電材料の球体は、より一般的に、誘電材料の本体部であることが可能である。ある実施形態では、非平面的な基板214は、グランド構造体102とともに一体的に形成されている。ある実施形態では、少なくとも1つのDRA200は、湾曲したまたは可撓性の基板の上に、たとえば、フレキシブル・プリント回路基板などの上に設けられ、また、レンズ400と一体的に設けられ、それは、たとえば、ルネベルグ・レンズであることが可能である。
図5Aの図では、実施形態は、DRAのアレイ210を含み、DRAのアレイ210は、凹形配置で、誘電材料の本体部400の外側表面の周りに少なくとも部分的に設けられているということが認識されることとなる。
【0020】
図5Aは、誘電材料の球体400に関連付けられた1次元のDRAのアレイ210を示しているが、本発明の範囲は、そのように限定されず、2次元のDRAのアレイも包含しており、2次元のDRAのアレイは、誘電材料の球体400に、または、導電性の角状部300に関連付けられ得るということが認識されることとなる。たとえば、および、
図6を参照すると、EMビーム・シェイパー104が、導電性の角状部300を備え、少なくとも1つのDRA200が、少なくとも1つのDRA200のアレイを備え、DRAのアレイ610を形成している実施形態では、DRAのアレイ610は、グランド構造体102の上の導電性の角状部300の中に設けられ得る。代替的に、および、明示的には図示されていないが、2次元のDRAのアレイが、非平面的な基板214の上に設けられ得、レンズ400と一体的に配置され得るということが認識されることとなる。すなわち、
図5Aに示されているDRAのアレイ210は、1次元のDRAのアレイおよび2次元のDRAのアレイの両方を代表している。
【0021】
ここで、
図5Aと比較して
図5Bおよび
図5Cを参照すると、実施形態は、DRAのアレイ210、210’を含み、ここで、DRA200は、グランド構造体102の上に設けられており、グランド構造体102は、非平面的な基板214の上に設けられており、先述の説明された誘電材料の本体部400または球体がない状態になっているということが認識されることとなる。ある実施形態では、DRAのアレイ210は、非平面的な基板214の凹形湾曲の上に設けられており(
図5Bを参照して最良に見られる)、先述の説明された誘電材料の本体部または球体400がない状態になっている。ある実施形態では、DRAのアレイ210’は、非平面的な基板214の凸形湾曲の上に設けられており(
図5Cを参照して最良に見られる)、先述の説明された誘電材料の本体部または球体400がない状態になっている。非平面的な基板の上で動作するアンテナ実施形態では、それぞれのDRAへの個々の信号フィードは、アンテナ基板の湾曲を補償するために位相遅延され得る。
【0022】
本明細書で上記に述べられているように、少なくとも1つのDRA200は、1つまたは複数の信号フィード106によって、単独でフィードされるか、選択的にフィードされるか、または複合的にフィードされ得、信号フィード106は、ある実施形態では、本明細書で開示されている目的に適切な任意のタイプの信号フィードであることが可能であり、それは、たとえば、極めて広いバンド幅を実現するために、垂直方向のワイヤー・エクステンションを備えた同軸のケーブルなどであり、または、少なくとも1つのDRA200は、たとえば、スロット状のアパーチャを備えたマイクロストリップ、導波管、もしくは、表面一体型の導波管を介してフィードされ得る。また、信号フィードは、半導体チップ・フィードを含むことが可能である。ある実施形態では、DRAのアレイ210、610のそれぞれのDRA200は、少なくとも1つの信号フィード106のうちの対応する1つによって別々にフィードされ、マルチビーム・アンテナを提供する。代替的に、DRAのアレイ210、610のそれぞれのDRA200は、単一の信号フィード106によって選択可能にフィードされ、操縦可能なマルチビーム・アンテナを提供する。本明細書で使用されているように、「マルチ・ビーム」という用語は、1つのDRAフィードだけが存在する配置、どのDRAが信号フィードを介してフィードされるかを選択することによって、DRAシステムがビームを操縦することができる配置、および、DRAシステムが複数のDRAにフィードすることができ、異なる方向に配向される複数のビームを作り出すことができる配置を包含している。
【0023】
実施形態は、トランスミッター・アンテナ・システムであるとして、本明細書で説明されている可能性があるが、本発明の範囲は、そのように限定されず、レシーバ・アンテナ・システムを包含するということが認識されることとなる。
【0024】
本明細書で開示されているDRAアレイの実施形態は、動作周波数(f)および関連の波長(λ)で動作可能であるように構成されている。いくつかの実施形態では、所与のDRAアレイの中の複数のDRAの最も近い隣接するペアの間の中心間の間隔は(所与のDRAの全体的な幾何学形状を介して)、λ以下であることが可能であり、ここで、λは、自由空間の中のDRAアレイの動作波長である。いくつかの実施形態では、所与のDRAアレイの中の複数のDRAの最も近い隣接するペアの間の中心間の間隔は、λ以下であることが可能であり、また、λ/2以上であることが可能である。いくつかの実施形態では、所与のDRAアレイの中の複数のDRAの最も近い隣接するペアの間の中心間の間隔は、λ/2以下であることが可能である。たとえば、10GHzに等しい周波数に関するλにおいて、1つのDRAの中心から最も近い隣接するDRAの中心への間隔は、約30mm以下になっており、または、約15mmから約30mmの間にあり、または、約15mm以下になっている。
【0025】
本明細書で開示されているような電磁デバイス100のさまざまな例示的な実施形態の数学的モデルの解析的な結果は、本明細書で開示されているような特定の構造体を用いていない他のそのようなデバイスと比較して、性能の改善を示しており、それは、ここで、
図7A、
図7B、
図8A、
図8B、
図8C、および
図8Dを参照して議論されることとなる。
【0026】
図7Aおよび
図7Bに関して、ここで解析される数学的モデルは、導電性の角状部300ありのおよび導電性の角状部300なしの、
図3Aおよび前記3Bに示されている実施形態を代表している。
図7Aおよび
図7Bは、それぞれ、y-z平面およびx-z平面の中の遠視野放射パターンの実現ゲイン・トータル(realized gain total)(dBi)を示しており、導電性の角状部300を有するDRAシステムのゲイン(実線プロット)と、同様のDRAシステムであるが導電性の角状部300のないDRAシステムのゲイン(点線プロット)とを比較している。見ることができるように、本明細書で開示されているように、DRA200とともに導電性の角状部300を備えることは、y-z平面およびx-z平面の両方において約9.3dBiから約17.1dBiへの遠視野ゲインの増加を示す解析的な結果を作り出す。また、解析的な結果は、y-z平面において単一ローブの放射パターンを示しており(
図7A)、一方、x-z平面において3ローブの放射パターンを示している(
図7B)。そのような結果に関して、本明細書で開示されているような球形のレンズの使用は、遠視野放射パターンのコリメーションを改善する(すなわち、x-z平面における3ローブの放射パターンを、より中央の単一ローブの放射パターンに修正する)こととなるだけでなく、約6dBiだけゲインをさらに改善することとなるということが企図される。
【0027】
図8A、
図8B、
図8C、
図8D、および
図8Eに関して、ここで解析される数学的モデルは、誘電材料の球体400(たとえば、誘電体レンズ)ありのおよび誘電材料の球体400なしの、ならびに、導電性の角状部300のない状態の、
図4に示されている実施形態を代表している。
【0028】
図8Aは、
図4の実施形態の40GHzから90GHz励起のリターン・ロス(点線プロット)および実現ゲイン・トータル(dBi)(実線プロット)を示しているが、それは、ベンチ・マークとして、誘電体レンズ400のない状態になっている。見ることができるように、誘電体レンズ400のない実現ゲイン・トータルのベンチ・マークは、77GHzにおいて約9.3dBiである。マーカm1、m2、m3、m4、およびm5は、対応するx(周波数)座標およびy(ゲイン)座標とともに示されている。TE放射モードは、約49GHzから約78GHzの間で生じることが見出された。準TM放射モードが、80GHzの周りで生じることが見出された。
【0029】
図8Bおよび
図8Cは、77GHzにおける、それぞれ、誘電体レンズ400なしの、および、誘電体レンズ400ありの、遠視野放射パターンの実現ゲイン・トータル(dBi)を示しており、DRAシステムの中に誘電体レンズ400を含んだ状態で、約9.3dBiから約21.4dBiへの実現ゲイン・トータルの増加を示している。
【0030】
図8Dおよび
図8Eは、それぞれ、y-z平面およびx-z平面における遠視野放射パターンの実現ゲイン・トータル(dBi)を示しており、20ミリメートル直径の誘電体レンズ400を備えたDRAシステムのゲイン(実線プロット)と、同様のDRAシステムであるが誘電体レンズ400のないDRAシステムのゲイン(点線プロット)とを比較している。見ることができるように、本明細書で開示されているように、DRA200とともに誘電体レンズ400を含むことは、y-z平面およびx-z平面の両方において、約9.3dBiから約21.4dBiへの遠視野ゲインの増加を示す解析的な結果を作り出す。
【0031】
本明細書で使用するための誘電材料は、本明細書で開示されている目的のために、所望の電気的なおよび機械的な特性を提供するように選択される。誘電材料は、一般的に、熱可塑性のまたは熱硬化性のポリマー・マトリックス、および、誘電体フィラーを含有するフィラー組成物を備える。誘電体ボリュームは、誘電体ボリュームのボリュームに基づいて、30から100ボリュームパーセント(vol%)のポリマー・マトリックス、および、0から70vol%のフィラー組成物、具体的には、30から99vol%のポリマー・マトリックス、および、1から70vol%のフィラー組成物、より具体的には、50から95vol%のポリマー・マトリックス、および、5から50vol%のフィラー組成物を備えることが可能である。ポリマー・マトリックスおよびフィラーは、本明細書で開示されている目的に一貫する比誘電率、および、10ギガヘルツ(GHz)において、0.006未満の、具体的には、0.0035以下の誘電正接を有する、誘電体ボリュームを提供するように選択される。誘電正接は、IPC-TM-650 X-バンド・ストリップ・ライン方法によって、または、スプリット共振器方法によって測定され得る。
【0032】
誘電体ボリュームは、低極性、低比誘電率、および低損失ポリマーを備える。ポリマーは、1,2-ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン、ポリブタジエン-ポリイソプレンコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのようなフッ素ポリマー、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、アリル化ポリフェニレンエーテルに基づくもの、または、先述のもののうちの少なくとも1つを備える組み合わせを備えることが可能である。また、低極性ポリマーとより高い極性ポリマーとの組み合わせも使用され得、その非限定的な例は、エポキシおよびポリ(フェニレンエーテル)、エポキシおよびポリ(エーテルイミド)、シアン酸エステルおよびポリ(フェニレンエーテル)、および1,2-ポリブタジエンおよびポリエチレンを含む。
【0033】
フッ素ポリマーは、フッ素化ホモポリマー、たとえば、PTFEおよびポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ならびに、フッ素化コポリマー、たとえば、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンまたはペルフルオロアルキルビニルエーテルなどのようなモノマーとのコポリマー、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、エチレン、または、先述のもののうちの少なくとも1つを備える組み合わせを含む。フッ素ポリマーは、異なる少なくとも1つのこれらのフッ素ポリマーの組み合わせを含むことが可能である。
【0034】
ポリマー・マトリックスは、熱硬化性のポリブタジエンまたはポリイソプレンを備えることが可能である。本明細書で使用されているように、「熱硬化性のポリブタジエンまたはポリイソプレン」という用語は、ブタジエン、イソプレン、または、それらの組み合わせから誘導される単位を備えるホモポリマーおよびコポリマーを含む。また、他の共重合可能なモノマーから誘導される単位は、たとえば、グラフトの形態で、ポリマーの中に存在することが可能である。例示的な共重合可能なモノマーは、それに限定されないが、ビニル芳香族モノマー、たとえば、置換および非置換モノビニル芳香族モノマー、たとえば、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、アルファ-メチルスチレン、アルファ-メチルビニールトルエン、パラ-ヒドロキシスチレン、パラ-メトキシスチレン、アルファ-クロロスチレン、アルファ-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、およびテトラ-クロロスチレンなど;ならびに、置換および非置換ジビニル芳香族モノマー、たとえば、ジビニルベンゼンおよびジビニルトルエンなどを含む。また、先述の共重合可能なモノマーのうちの少なくとも1つを備える組み合わせが使用され得る。例示的な熱硬化性のポリブタジエンまたはポリイソプレンは、それに限定されないが、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン-スチレンなどのようなブタジエン-ビニル芳香族コポリマー、および、イソプレン-スチレンコポリマーなどのようなイソプレン-ビニル芳香族コポリマーなどを含む。
【0035】
また、熱硬化性のポリブタジエンまたはポリイソプレンは修正され得る。たとえば、ポリマーは、水酸基末端、メタクリレート末端、または、カルボキシレート末端などであることが可能である。ブタジエンまたはイソプレンポリマーのエポキシ-、無水マレイン酸-、またはウレタン-修飾ポリマーなどのような、ポスト反応ポリマーが使用され得る。また、ポリマーは、たとえば、ジビニルベンゼンなどのようなジビニル芳香族化合物によって架橋され得、たとえば、ポリブタジエンスチレンは、ジビニルベンゼンによって架橋され得る。例示的な材料は、それらの製造業者、たとえば、日本曹達株式会社(Nippon Soda Co.,)[日本国東京所在]およびクレイ・バレー・ハイドロカーボン・スペシャルティ・ケミカルズ社(Cray Valley Hydrocarbon Specialty Chemicals)[米国ペンシルバニア州エクストン(Exton)所在]によって、広く「ポリブタジエン」として分類されている。また、たとえば、ポリブタジエンホモポリマーおよびポリ(ブタジエン-イソプレン)コポリマーの組み合わせなど、組み合わせも使用され得る。また、シンジオタクチックポリブタジエンを備える組み合わせも有用であり得る。
【0036】
熱硬化性のポリブタジエンまたはポリイソプレンは、室温において液体または固体であることが可能である。液体ポリマーは、5,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有することが可能である。液体ポリマーは、5,000g/mol未満のMn、具体的には、1,000g/molから3,000g/molのMnを有することが可能である。少なくとも90wt%の1,2付加を有する熱硬化性のポリブタジエンまたはポリイソプレンは、架橋に利用可能なペンダントビニル基の数が多いことに起因して、硬化時により大きな架橋密度を示すことが可能である。
【0037】
ポリブタジエンまたはポリイソプレンは、全ポリマー・マトリックス組成物に基づいて、全ポリマー・マトリックス組成物に対して、100wt%までの量で、具体的には、75wt%までの量で、より具体的には、10wt%から70wt%の量で、さらにより具体的には、20wt%から60wt%または70wt%の量で、ポリマー組成物の中に存在することが可能である。
【0038】
熱硬化性のポリブタジエンまたはポリイソプレンと共硬化することができる他のポリマーが、特定の特性または加工修正のために添加され得る。たとえば、経時的な誘電材料の絶縁耐力および機械的な特性の安定性を改善するために、より低い分子量のエチレン-プロピレンエラストマーが、系の中で使用され得る。本明細書で使用されているようなエチレン-プロピレンエラストマーは、主としてエチレンおよびプロピレンを備えるコポリマー、ターポリマー、または、他のポリマーである。エチレン-プロピレンエラストマーは、EPMコポリマー(すなわち、エチレンおよびプロピレンモノマーのコポリマー)またはEPDMターポリマー(すなわち、エチレン、プロピレン、およびジエンモノマーのターポリマー)としてさらに分類され得る。エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴムは、とりわけ、容易な架橋のために主鎖から離れて不飽和が利用可能な、飽和主鎖を有している。ジエンがジシクロペンタジエンである液体エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴムが使用され得る。
【0039】
エチレン-プロピレンゴムの分子量は、10,000g/mol未満の粘度平均分子量(Mv)であることが可能である。エチレン-プロピレンゴムは、TRILENE(商標)CP80の商品名の下でライオン・コポリマー(Lion Copolymer)[米国ルイジアナ州バトン・ルージュ(Baton Rouge)所在]から入手可能である、7,200g/molのMvを有するエチレン-プロピレンゴム;TRILENE(商標)65の商品名の下でライオン・コポリマーから利用可能である、7,000g/molのMvを有する液体エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエンターポリマーゴム;および、TRILENE(商標)67の名の下でライオン・コポリマーから利用可能である、7,500g/molのMvを有する液体エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネンターポリマーを含むことが可能である。
【0040】
エチレン-プロピレンゴムは、経時的に誘電材料の特性の安定性、とりわけ、絶縁耐力および機械的な特性の安定性を維持するために効果的な量で存在することが可能である。典型的に、そのような量は、ポリマー・マトリックス組成物の全重量に対して、20wt%まで、具体的には、4wt%から20wt%、より具体的には、6wt%から12wt%である。
【0041】
共硬化性ポリマーの別のタイプは、不飽和ポリブタジエンまたはポリイソプレンを含有するエラストマーである。このコンポーネントは、主として、エチレン性不飽和モノマーを伴う1,3-付加ブタジエンまたはイソプレンのランダムまたはブロックコポリマーであることが可能であり、たとえば、ビニル芳香族化合物、たとえば、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンなど、アクリレートもしくはメタクリレート、たとえば、メチルメタクリレートなど、またはアクリロニトリルであることが可能である。エラストマーは、ポリブタジエンまたはポリイソプレンブロックと、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンなどのようなモノビニル芳香族モノマーから誘導され得る熱可塑性のブロックとを有する、直鎖状またはグラフト型ブロックコポリマーを備える固体の熱可塑性のエラストマーであることが可能である。このタイプのブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロックコポリマー、たとえば、商品名VECTOR 8508M(商標)の下でデクスコ・ポリマーズ社(Dexco Polymers)[米国テキサス州ヒューストン(Houston)所在]から入手可能なもの、商品名SOL-T-6302(商標)の下でエニケム・エラストマー・アメリカ社(Enichem Elastomers America)[米国テキサス州ヒューストン所在]から入手可能なもの、商品名CALPRENE(商標)401の下でダイナソル・エラストマーズ社(Dynasol Elastomers)から入手可能なもの;ならびに、スチレン-ブタジエンジブロックコポリマー、および、スチレンおよびブタジエンを含有する混合されたトリブロックおよびジブロックコポリマー、たとえば、商品名KRATON D1118の下でクレイトン・ポリマーズ社(Kraton Polymers)[米国テキサス州ヒューストン所在]から入手可能なものを含む。KRATON D1118は、33wt%スチレンを含有する混合ジブロック/トリブロックスチレンおよびブタジエンを含有するコポリマーである。
【0042】
随意的なポリブタジエンまたはポリイソプレンを含有するエラストマーは、ポリブタジエンまたはポリイソプレンブロックが水素化されることを除いて、上記に説明されているものと同様の第2のブロックコポリマーをさらに備えることが可能であり、それによって、(ポリブタジエンのケースでは)ポリエチレンブロックまたは(ポリイソプレンのケースでは)エチレン-プロピレンコポリマーブロックを形成する。上記コポリマーとともに使用されるときには、より高い靭性を有する材料が作り出され得る。このタイプの例示的な第2のブロックコポリマーは、KRATON GX1855である(それは、クレイトン・ポリマーズ社から市販されており、スチレン-高1,2-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーおよびスチレン-(エチレン-プロピレン)-スチレンブロックコポリマーの組み合わせであると考えられている)。
【0043】
不飽和ポリブタジエンまたはポリイソプレンを含有するエラストマーコンポーネントは、ポリマー・マトリックス組成物の全重量に対して、2wt%から60wt%の量で、具体的には、5wt%から50wt%の量で、より具体的には、10wt%から40wt%または50wt%の量で、ポリマー・マトリックス組成物の中に存在することが可能である。
【0044】
特定の特性または加工修正のために添加され得るさらに他の共硬化性ポリマーは、それに限定されないが、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、たとえば、ポリエチレンおよびエチレンオキシドコポリマーなど;天然ゴム;ノルボルネンポリマー、たとえば、ポリジシクロペンタジエンなど;水素化スチレン-イソプレン-スチレンコポリマーおよびブタジエン-アクリロニトリルコポリマー;ならびに、不飽和ポリエステルなどを含む。これらのコポリマーのレベルは、一般的に、ポリマー・マトリックス組成物の中の全ポリマーの50wt%未満である。
【0045】
また、フリーラジカル硬化性モノマーが、たとえば、硬化後の系の架橋密度を増加させるために、特定の特性または加工修正のために添加され得る。適切な架橋剤であり得る例示的なモノマーは、たとえば、ジ-、トリ-、またはより高次のエチレン性不飽和モノマー、たとえば、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、および官能性アクリレートモノマー(たとえば、サルトマーUSA社(Sartomer USA)[米国ペンシルバニア州ニュータウン・スクエア(Newtown Square)所在]から入手可能なSARTOMER(商標)ポリマー)など、または、それらの組み合わせを含む(それらのすべては、市販されている)。架橋剤は、使用されるときには、ポリマー・マトリックス組成物の中の全ポリマーの全重量に基づいて、20wt%までの量で、具体的には、1wt%から15wt%の量で、ポリマー・マトリックス組成物の中に存在することが可能である。
【0046】
硬化剤は、オレフィン反応部位を有するポリエンの硬化反応を加速させるために、ポリマー・マトリックス組成物に添加され得る。硬化剤は、有機過酸化物、たとえば、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α-ジ-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、または、先述のもののうちの少なくとも1つを備える組み合わせを備えることが可能である。炭素-炭素開始剤、たとえば、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタンが使用され得る。硬化剤または開始剤は、単独でまたは組み合わせて使用され得る。硬化剤の量は、ポリマー・マトリックス組成物の中のポリマーの全重量に基づいて、1.5wt%から10wt%であることが可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーは、カルボキシ官能化されている。官能化は、(i)炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合、および(ii)カルボン酸、無水物、アミド、エステル、または酸ハロゲン化物を含む、カルボキシ基のうちの少なくとも1つの両方を分子中に有する多官能性化合物を使用して達成され得る。特定のカルボキシ基は、カルボン酸またはエステルである。カルボン酸官能基を提供することができる多官能性化合物の例は、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、およびクエン酸を含む。とりわけ、無水マレイン酸付加ポリブタジエンは、熱硬化性の組成物の中で使用され得る。適切なマレイン化ポリブタジエンポリマーは、たとえば、商品名RICON 130MA8、RICON 130MA13、RICON 130MA20、RICON 131MA5、RICON 131MA10、RICON 131MA17、RICON 131MA20、およびRICON 156MA17の下でクレイ・バレー社(Cray Valley)から市販されている。適切なマレイン化ポリブタジエン-スチレンコポリマーは、たとえば、商品名RICON 184MA6の下でSartomerから市販されている。RICON 184MA6は、17wt%から27wt%のスチレン含有量と9,900g/molのMnとを有する、無水マレイン酸付加ブタジエン-スチレンコポリマーである。
【0048】
ポリマー・マトリックス組成物の中のさまざまなポリマーの相対的な量、たとえば、ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーおよび他のポリマーの相対的な量は、使用される特定の導電性金属グランド・プレート層、回路材料の所望の特性、および、同様の考慮事項に依存することが可能である。たとえば、ポリ(アリーレンエーテル)の使用は、導電性金属コンポーネント、たとえば、銅またはアルミニウム・コンポーネント、たとえば、信号フィード、グランド、またはレフレクター・コンポーネントなどに、増加した結合強度を提供することが可能である。ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーの使用は、たとえば、これらのポリマーがカルボキシ官能化されているときに、複合材の高温耐性を増加させることが可能である。エラストマーブロックコポリマーの使用は、ポリマー・マトリックス材料のコンポーネントを相溶化するように機能することが可能である。それぞれのコンポーネントの適当な量の決定は、過度の実験なしに、特定の用途に関する所望の特性に応じて行われ得る。
【0049】
誘電体ボリュームは、粒子状誘電体フィラーをさらに含むことが可能であり、粒子状誘電体フィラーは、比誘電率、誘電正接、熱膨張係数、および、誘電体ボリュームの他の特性を調節するように選択される。誘電体フィラーは、たとえば、二酸化チタン(ルチルおよびアナターゼ)、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、シリカ(溶融アモルファスシリカを含む)、コランダム、ウォラストナイト、Ba2Ti9O20、固体ガラス球体、合成ガラスまたはセラミック中空球体、石英、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、雲母、タルク、ナノクレイ、水酸化マグネシウム、または、先述のもののうちの少なくとも1つを備える組み合わせを備えることが可能である。単一の二次フィラー、または、二次フィラーの組み合わせは、特性の所望のバランスを提供するように使用され得る。
【0050】
随意的に、フィラーは、シリコンを含有するコーティング、たとえば、有機官能性アルコキシシランカップリング剤によって表面処理され得る。ジルコン酸またはチタン酸カップリング剤が使用され得る。そのようなカップリング剤は、ポリマー・マトリックスの中のフィラーの分散を改善し、完成したDRAの水の吸収を低減させることが可能である。フィラー・コンポーネントは、フィラーの重量に基づいて、5vol%から50vol%のマイクロスフェアと、二次フィラーとして70vol%から30vol%の溶融アモルファスシリカとを備えることが可能である。
【0051】
また、誘電体ボリュームは、随意的に、炎に対して耐性のあるボリュームを作製するために有用な難燃剤を含有することが可能である。これらの難燃剤は、ハロゲン化されるかまたは非ハロゲン化され得る。難燃剤は、誘電体ボリュームのボリュームに基づいて、0vol%から30vol%の量で、誘電体ボリュームの中に存在することが可能である。
【0052】
ある実施形態では、難燃剤は、無機であり、粒子の形態で存在している。例示的な無機難燃剤は、たとえば、1nmから500nmのボリューム平均粒径、好ましくは、1nmから200nm、または5nmから200nm、または10nmから200nmのボリューム平均粒径を有する金属水和物であり、代替的に、ボリューム平均粒径は、500nmから15マイクロメートル、たとえば、1マイクロメートルから5マイクロメートルである。金属水和物は、金属、たとえば、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu、Niなど、または、先述のもののうちの少なくとも1つを備える組み合わせの水和物である。Mg、Al、またはCaの水和物は、とりわけ好適であり、たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、および水酸化ニッケル、ならびに、アルミン酸カルシウム、二水石膏、ホウ酸亜鉛およびメタホウ酸バリウムの水和物が、とりわけ好適である。これらの水和物の複合材は、たとえば、Mg、ならびに、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu、およびNiのうちの1つまたは複数を含有する水和物などについて使用され得る。好適な複合材金属水和物は、化学式MgMx.(OH)yを有しており、ここで、Mは、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu、またはNiであり、xは、0.1から10であり、yは、2から32である。難燃剤粒子は、分散および他の特性を改善するために、コーティングされるかまたはその他の方法で処理され得る。
【0053】
有機難燃剤は、無機難燃剤の代替的に、または、無機難燃剤に加えて使用され得る。無機難燃剤の例は、メラミンシアヌレート、微粒子サイズメラミンポリホスフェート、さまざまな、他のリンを含有する化合物、たとえば、芳香族ホスフィナート、ジホスフィナート、ホスホン酸塩、およびホスフェートなど、特定のポリシルセスキオキサン、シロキサン、ならびに、ハロゲン化された化合物、たとえば、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(HET酸)、テトラブロモフタル酸およびジブロモネオペンチルグリコールなどを含む。難燃剤(たとえば、臭素を含有する難燃剤など)は、20phr(樹脂100パーツに対する配合パーツ(parts per hundred parts of resin))から60phr、具体的には、30phrから45phrの量で存在することが可能である。臭素化難燃剤の例は、Saytex BT93W(エチレンビステトラブロモフタルイミド)、Saytex 120(テトラデカブロモジフェノキシベンゼン)およびSaytex 102(デカブロモジフェニルオキシド)を含む。難燃剤は、相乗剤と組み合わせて使用され得、たとえば、ハロゲン化難燃剤は、三酸化アンチモンなどのような相乗剤と組み合わせて使用され得、リンを含有する難燃剤は、メラミンなどのような窒素を含有する化合物と組み合わせて使用され得る。
【0054】
誘電材料のボリュームは、ポリマー・マトリックス組成物およびフィラー組成物を備える誘電体組成物から形成され得る。ボリュームは、グランド構造体層の上に直接的に誘電体組成物をキャスティングすることによって形成され得、または、グランド構造体層の上に堆積させられ得る誘電体ボリュームが作り出され得る。誘電体ボリュームを作り出すための方法は、選択されるポリマーに基づくことが可能である。たとえば、ポリマーがPTFEなどのようなフッ素ポリマーを備える場合に、ポリマーは、第1のキャリア液体と混合され得る。その組み合わせは、第1のキャリア液体の中のポリマー粒子の分散液、たとえば、第1のキャリア液体の中のポリマーの液滴、または、ポリマーのモノマー前駆体もしくはオリゴマー前駆体の液滴のエマルジョン、または、第1のキャリア液体の中のポリマーの溶液を備えることが可能である。ポリマーが液体である場合には、第1のキャリア液体は必要でない可能性がある。
【0055】
第1のキャリア液体の選択は、存在する場合には、特定のポリマーに基づくことが可能であり、また、ポリマーが誘電体ボリュームに導入されることとなる形態に基づくことが可能である。溶液としてポリマーを導入することが望まれる場合には、特定のポリマーのための溶媒が、キャリア液体として選択され、たとえば、N-メチルピロリドン(NMP)が、ポリイミドの溶液に適切なキャリア液体であることとなる。分散液としてポリマーを導入することが望まれる場合には、キャリア液体は、ポリマーがその中に溶解できない液体を備えることが可能であり、たとえば、水が、PTFE粒子の分散に適切なキャリア液体であることとなり、また、ポリアミック酸のエマルジョンまたはブタジエンモノマーのエマルジョンに適切なキャリア液体であることとなる。
【0056】
誘電体フィラー・コンポーネントは、随意的に、第2のキャリア液体の中に分散され得、または、第1のキャリア液体(もしくは、第1のキャリアが使用されない場合は、液体ポリマー)と混合され得る。第2のキャリア液体は、同じ液体であることが可能であり、または、第1のキャリア液体と混和性がある第1のキャリア液体以外の液体であることが可能である。たとえば、第1のキャリア液体が水である場合には、第2のキャリア液体は、水またはアルコールを備えることが可能である。第2のキャリア液体は、水を備えることが可能である。
【0057】
フィラー分散液は、第2のキャリア液体がホウケイ酸マイクロスフェアを濡らすのを可能にするために、第2のキャリア液体の表面張力を改変するのに効果的な量の界面活性剤を備えることが可能である。例示的な界面活性剤化合物は、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含む。TRITON X-100(商標)は、水性フィラー分散液の中で使用するための例示的な界面活性剤であることが見出されている。フィラー分散液は、10vol%から70vol%のフィラー、および、0.1vol%から10vol%の界面活性剤を備えることが可能であり、残部は、第2のキャリア液体を備える。
【0058】
ポリマーおよび第1のキャリア液体と第2のキャリア液体の中のフィラー分散液との組み合わせは、キャスティング混合物を形成するために組み合わせられ得る。ある実施形態では、キャスティング混合物は、10vol%から60vol%の組み合わせられたポリマーおよびフィラーと、および40vol%から90vol%の組み合わせられた第1および第2のキャリア液体とを備える。キャスティング混合物の中のポリマーおよびフィラー・コンポーネントの相対的な量は、下記に説明されているように、最終的な組成物の中に所望の量を提供するように選択され得る。
【0059】
キャスティング混合物の粘度は、粘度調整剤の添加によって調節され得、粘度調整剤は、特定のキャリア液体またはキャリア液体の組み合わせの中の相溶性に基づいて、誘電体複合材料からの中空の球体フィラーの分離、すなわち、沈降または浮揚を遅らせるように選択され、また、従来の製造機器と互換性のある粘度を有する誘電体複合材料を提供するように選択される。水性キャスティング混合物の中で使用するのに適切な例示的な粘度調整剤は、たとえば、ポリアクリル酸化合物、野菜ガム、およびセルロース系化合物を含む。適切な粘度調整剤の特定の例は、ポリアクリル酸、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、グアーガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、および、トラガカントゴムを含む。粘度調節されたキャスティング混合物の粘度は、選択された製造技法に誘電体複合材料を適合させるために、用途ごとのベースで、さらに増加させられ、すなわち、最小粘度を超えて増加させられ得る。ある実施形態では、粘度調節されたキャスティング混合物は、室温値で測定された10センチポアズ(cp)から100,000cpの粘度を示すことが可能であり、具体的には、100cpおよび10,000cpの粘度を示すことが可能である。
【0060】
代替的に、キャリア液体の粘度が関心の時間期間の間に分離しないキャスティング混合物を提供するのに十分である場合には、粘度調整剤は省略され得る。具体的には、極めて小さい粒子、たとえば、0.1マイクロメートル未満の等価球径を有する粒子のケースでは、粘度調整剤の使用は必要でない可能性がある。
【0061】
粘度調節されたキャスティング混合物の層は、グランド構造体層の上にキャスティングされ得、または、浸漬コーティングされ得、次いで、成形され得る。キャスティングは、浸漬コーティング、フロー・コーティング、逆ロールコーティング、ナイフオーバーロール、ナイフオーバープレート、および計量ロッド・コーティングなどによって実現され得る。
【0062】
キャリア液体および加工助剤、すなわち、界面活性剤および粘度調整剤は、ポリマーの誘電体ボリュームとマイクロスフェアを備えるフィラーとを統合するために、たとえば、蒸発によってまたは熱分解によって、キャスティングされたボリュームから除去され得る。
【0063】
ポリマー・マトリックス材料のボリュームおよびフィラー・コンポーネントは、ボリュームの物理的特性を改変するために、たとえば、熱可塑性物を焼結するために、または、熱硬化性の組成物を硬化もしくはポスト硬化するために、さらに加熱され得る。
【0064】
別の方法では、PTFE複合材誘電体ボリュームは、ペースト押出およびカレンダープロセスによって作製され得る。
さらに別の実施形態では、誘電体ボリュームは、キャスティングされ得、次いで、部分的に硬化され得る(「Bステージ化される」)。そのようなBステージ化されたボリュームは、保存され得、その後に使用され得る。
【0065】
接着層は、導電性グランド層と誘電体ボリュームとの間に設けられ得る。接着層は、ポリ(アリーレンエーテル)、ならびに、カルボキシ官能化されたポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーを備えることが可能であり、それは、ブタジエン、イソプレン、または、ブタジエンおよびイソプレン単位を備え、ならびに、ゼロから50wt%以下の共硬化性モノマー単位を備え、接着剤層の組成は、誘電体ボリュームの組成と同じではない。接着剤層は、1平方メートル当たり2グラムから15グラムの量で存在することが可能である。ポリ(アリーレンエーテル)は、カルボキシ官能化されたポリ(アリーレンエーテル)を備えることが可能である。ポリ(アリーレンエーテル)は、ポリ(アリーレンエーテル)および環状無水物の反応生成物、または、ポリ(アリーレンエーテル)および無水マレイン酸の反応生成物であることが可能である。カルボキシ官能化されたポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーは、カルボキシ官能化されたブタジエン-スチレンコポリマーであることが可能である。カルボキシ官能化されたポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーは、ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーおよび環状無水物の反応生成物であることが可能である。カルボキシ官能化されたポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーは、マレイン化ポリブタジエンスチレンまたはマレイン化ポリイソプレン-スチレンコポリマーであることが可能である。
【0066】
ある実施形態では、ポリブタジエンまたはポリイソプレンなどのような熱硬化性の材料に適切な複数工程のプロセスは、150℃から200℃の温度での過酸化物硬化工程を備えることが可能であり、部分的に硬化された(Bステージ化された)スタックは、次いで、不活性雰囲気下において、高エネルギー電子ビーム照射硬化(E-ビーム硬化)または高温度硬化工程を受けることができる。2段階の硬化の使用は、結果として生じる複合材の異常に高い程度の架橋を付与することが可能である。第2の段階において使用される温度は、250℃から300℃であることが可能であり、または、ポリマーの分解温度であることが可能である。この高温硬化は、オーブンの中で実施され得るだけでなく、プレスの中でも実施され得、すなわち、初期の製作および硬化工程の継続として実施され得る。特定の製作温度および圧力は、特定の接着剤組成物および誘電体組成物に依存することとなり、また、過度の実験なしに、当業者によって容易に確認可能である。
【0067】
成形は、埋め込まれている特徴または表面特徴のような別のDRAコンポーネントを随意的に伴う誘電体ボリュームの迅速で効率的な製造を可能にする。たとえば、金属、セラミック、または他のインサートが、モールドの中に設置され、埋め込まれている特徴または表面特徴として、信号フィード、グランド・コンポーネント、またはレフレクター・コンポーネントなどのような、DRAのコンポーネントを提供することが可能である。代替的に、埋め込まれている特徴は、ボリュームの上に3Dプリントされるかまたはインクジェット・プリントされ得、さらなる成形がそれに続くことが可能であり、または、表面特徴が、DRAの最も外側の表面の上に3Dプリントされるかまたはインクジェット・プリントされ得る。また、グランド構造体の上に直接的に、または、1から3の間の比誘電率を有する材料を備えるコンテナの中への中へ、ボリュームを成形することが可能である。
【0068】
モールドは、パッケージまたはボリュームを提供するために成形または機械加工されたセラミックを備えるモールドインサートを有することが可能である。セラミックインサートの使用は、より高い効率を結果として生じさせる、より低い損失;成形アルミナに関する低い直接的な材料コストに起因する低減されたコスト;ポリマーの製造のしやすさ、および、ポリマーの熱膨張の制御(制約)のしやすさにつながることが可能である。また、それは、バランスのとれた熱膨張係数(CTE)を提供することが可能であり、全体的な構造が、銅またはアルミニウムのCTEにマッチするようになっている。
【0069】
射出可能な組成物は、フィラー組成物を形成するために、最初にセラミック・フィラーとシランとを組み合わせることによって、および、次いで、フィラー組成物と熱可塑性のポリマーまたは熱硬化性の組成物とを混合することによって準備され得る。熱可塑性のポリマーに関して、ポリマーは、セラミック・フィラーおよびシランのうちの一方または両方との混合の前に、その後に、またはその間に、溶融され得る。次いで、射出可能な組成物は、モールドの中で射出成形され得る。使用される溶融温度、射出温度、およびモールド温度は、熱可塑性のポリマーの溶融温度およびガラス転移温度に依存しており、たとえば、150℃から350℃、または、200℃から300℃であることが可能である。成形は、65キロパスカル(kPa)から350kPaの圧力で生じることが可能である。
【0070】
いくつかの実施形態では、誘電体ボリュームは、熱硬化性の組成物を反応射出成形することによって準備され得る。反応射出成形は、少なくとも2つのストリームを混合し、熱硬化性の組成物を形成する工程と、熱硬化性の組成物をモールドの中へ射出する工程とを備えることが可能であり、第1のストリームは、触媒を備え、第2のストリームは、随意的に、活性化剤を備える。第1のストリームおよび第2のストリームまたは第3のストリームのうちの一方または両方は、モノマーまたは硬化可能な組成物を備えることが可能である。第1のストリームおよび第2のストリームまたは第3のストリームのうちの一方または両方は、誘電体フィラーおよび添加剤のうちの一方または両方を備えることが可能である。誘電体フィラーおよび添加剤のうちの一方または両方は、熱硬化性の組成物を射出する前に、モールドに添加され得る。
【0071】
たとえば、ボリュームを準備する方法は、触媒および第1のモノマーまたは硬化可能な組成物を備える第1のストリームと、随意的な活性化剤および第2のモノマーまたは硬化可能な組成物を備える第2のストリームとを混合する工程を備えることが可能である。第1および第2のモノマーまたは硬化可能な組成物は、同じであることか可能であり、または、異なっていることが可能である。第1のストリームおよび第2のストリームのうちの一方または両方は、誘電体フィラーを備えることが可能である。誘電体フィラーは、第3のストリームとして添加され得、第3のストリームは、たとえば、第3のモノマーをさらに備える。誘電体フィラーは、第1および第2のストリームの射出前に、モールドの中にあることが可能である。ストリームのうちの1つまたは複数を導入することは、不活性ガス、たとえば、窒素またはアルゴンの下で生じることが可能である。
【0072】
混合は、射出成形マシンのヘッド・スペースの中で、または、インライン・ミキサーの中で、または、モールドの中への射出の間に生じることが可能である。混合は、摂氏0度(℃)から200℃、具体的には、15℃から130℃、または、0℃から45℃、より具体的には、23℃から45℃に等しいかまたはそれよりも高い温度で生じることが可能である。
【0073】
モールドは、0℃から250℃、具体的には、23℃から200℃、または、45℃から250℃、より具体的には、30℃から130℃、または、50℃から70℃に等しいかまたはそれよりも高い温度で維持され得る。モールドを充填するためには、0.25分から0.5分かかる可能性があり、モールドを充填する時間の間に、モールド温度は降下する可能性がある。モールドが充填された後に、熱硬化性の組成物の温度は、たとえば、0℃から45℃の第1の温度から、45℃から250℃の第2の温度へ増加することが可能である。成形は、65キロパスカル(kPa)から350kPaの圧力で生じることが可能である。成形は、5分以下にわたって、具体的には、2分以下にわたって、より具体的には、2秒から30秒にわたって生じることが可能である。重合化が完了した後に、基板が、モールド温度で、または、減少したモールド温度で除去され得る。たとえば、解放温度Trは、成形温度Tmよりも10℃以上低いことが可能である(Tr≦Tm-10℃)。
【0074】
ボリュームがモールドから除去された後に、それはポスト硬化され得る。ポスト硬化は、5分以上にわたって、100℃から150℃の温度で、具体的には、140℃から200℃の温度で生じることが可能である。
【0075】
圧縮成形は、熱可塑性の材料または熱硬化性の材料のいずれかとともに使用され得る。モールド温度などのような熱可塑性の材料を圧縮成形するための条件は、熱可塑性のポリマーの溶融温度およびガラス転移温度に依存しており、たとえば、150℃から350℃、または、200℃から300℃であることが可能である。成形は、65キロパスカル(kPa)から350kPaの圧力で生じることが可能である。成形は、5分以下にわたって、具体的には、2分以下にわたって、より具体的には、2秒から30秒にわたって生じることが可能である。熱硬化性の材料は、Bステージ化された材料または完全に硬化された材料を作り出すためにBステージ化する前に圧縮成形され得、または、それは、それがBステージ化されてモールドの中で完全に硬化された後に、または、成形の後に、それは圧縮成形され得る。
【0076】
3Dプリンティングは、随意的に、埋め込まれている特徴または表面特徴としての別のDRAコンポーネントとともに、誘電体ボリュームの迅速で効率的な製造を可能にする。たとえば、金属、セラミック、または他のインサートが、プリンティングの間に設置され得、埋め込まれている特徴または表面特徴として、信号フィード、グランド・コンポーネント、またはレフレクター・コンポーネントなどのような、DRAのコンポーネントを提供することが可能である。代替的に、埋め込まれている特徴は、ボリュームの上に3Dプリントされるかまたはインクジェット・プリントされ得、さらなるプリンティングがそれに続き、または、表面特徴は、DRAの最も外側の表面の上に3Dプリントされるかまたはインクジェット・プリントされ得る。また、グランド構造体の上に直接的に、または、1から3の間の比誘電率を有する材料を備えるコンテナの中へ、ボリュームを3Dプリントすることが可能であり、ここで、コンテナは、アレイの単位セルを埋め込むために有用である可能性がある。
【0077】
たとえば、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的レーザー溶融(SLM)、電子ビーム溶融(EBM)、ビッグ・エリア・アディティブ・マニュファクチャリング(BAAM)、ARBURGプラスチック・フリー形成技術、薄膜積層法(LOM)、ポンピング堆積法(たとえば、http://nscrypt.com/micro-dispensingにおいて説明されているように、制御されたペースト押出としても知られている)、または他の3Dプリンティング方法などのような、多種多様な3Dプリンティング方法が使用され得る。3Dプリンティングは、プロトタイプの製造において、または、生産プロセスとして使用され得る。いくつかの実施形態では、ボリュームまたはDRAは、3Dプリンティングまたはインクジェット・プリンティングのみによって製造され得、誘電体ボリュームまたはDRAを形成する方法が、押出プロセス、成形プロセス、またはラミネーション・プロセスを含まないようになっている。
【0078】
材料押出技法は、熱可塑性プラスチックにとりわけ有用であり、入り組んだ特徴を提供するために使用され得る。材料押出技法は、FDM、ポンピング堆積、および溶融フィラメント製作などのような技法、ならびに、ASTM F2792-12aに説明されているような他の技法を含む。溶融材料押出技法では、物品は、層を形成するために堆積させられ得る流動可能状態に熱可塑性の材料を加熱することによって作り出され得る。層は、x-y軸において所定の形状、および、z-軸において所定の厚さを有することが可能である。流動可能な材料は、特定のプロファイルを提供するために、上記に説明されているような道として、または、ダイを通して堆積させられ得る。層が堆積させられると、層は冷えて固化する。溶融された熱可塑性の材料の後続の層は、以前に堆積された層と融合し、温度の降下時に固化する。複数の後続の層の押出は、ボリュームの所望の形状を構築する。とりわけ、物品は、層を形成するために、x-y平面の中の基板の上の1つまたは複数の道として流動可能な材料を堆積させることによって、物品の3次元デジタル表現から形成され得る。基板に対するディスペンサー(たとえば、ノズル)の位置は、次いで、z-軸(x-y平面に対して垂直である)に沿ってインクリメントされ、プロセスは、次いで、デジタル表現から物品を形成するために繰り返される。したがって、ディスペンスされる材料は、「成形材料」および「構築材料」とも称される。
【0079】
いくつかの実施形態では、ボリュームは、2つ以上のノズルから押し出され得、それぞれが、同じ誘電体組成物を押し出す。複数のノズルが使用される場合には、方法は、単一のノズルを使用する方法よりも速く製品オブジェクトを作り出すことが可能であり、また、異なるポリマーもしくはポリマーのブレンド、異なる色、またはテクスチャーなどを使用する観点から、フレキシビリティーの増加を可能にすることができる。したがって、ある実施形態では、単一のボリュームの組成または特性は、2つのノズルを使用する堆積の間に変化させられ得る。
【0080】
材料押出技法は、さらに、熱硬化性の組成物の堆積に使用され得る。たとえば、少なくとも2つのストリームが混合され、ボリュームを形成するために堆積させられ得る。第1のストリームは、触媒を含むことが可能であり、第2のストリームは、随意的に、活性化剤を備えることが可能である。第1のストリームおよび第2のストリームまたは第3のストリームのうちの一方または両方は、モノマーまたは硬化可能な組成物(たとえば、樹脂)を備えることが可能である。第1のストリームおよび第2のストリームまたは第3のストリームのうちの一方または両方は、誘電体フィラーおよび添加剤のうちの一方または両方を備えることが可能である。誘電体フィラーおよび添加剤のうちの一方または両方は、熱硬化性の組成物を射出する前に、モールドに添加され得る。
【0081】
たとえば、ボリュームを準備する方法は、触媒および第1のモノマーまたは硬化可能な組成物を備える第1のストリームと、随意的な活性化剤および第2のモノマーまたは硬化可能な組成物を備える第2のストリームとを混合する工程を備えることが可能である。第1および第2のモノマーまたは硬化可能な組成物は、同じであることが可能であり、または、異なっていることが可能である。第1のストリームおよび第2のストリームのうちの一方または両方は、誘電体フィラーを備えることが可能である。誘電体フィラーは、第3のストリームとして添加され得、第3のストリームは、たとえば、第3のモノマーをさらに備える。ストリームのうちの1つまたは複数の堆積は、不活性ガス、たとえば、窒素またはアルゴンの下で生じることが可能である。混合は、堆積の前に、インライン・ミキサーの中に、または、層の堆積の間に生じることが可能である。完全なまたは部分的な硬化(重合化または架橋)は、堆積の前に、層の堆積の間に、または堆積の後に開始させられ得る。ある実施形態では、部分的な硬化は、層の堆積の前に、または、その間に開始させられ、完全な硬化は、層の堆積の後に、または、ボリュームを提供する複数の層の堆積後に開始させられる。
【0082】
いくつかの実施形態では、当技術分野で知られているような支持材料は、随意的に、支持構造体を形成するために使用され得る。これらの実施形態では、構築材料および支持材料は、物品および支持構造体を提供するために、物品の製造の間に選択的にディスペンスされ得る。支持材料は、支持構造体、たとえば、足場の形態で存在することが可能であり、それは、積層プロセスが所望の程度まで完了したときに、機械的に除去されるかまたは洗い流され得る。
【0083】
また、事前設定されたパターンで連続的な層を形成するために、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的レーザー溶融(SLM)、電子ビーム溶融(EBM)、および、結合剤または溶媒の粉末ベッド噴射などのような、光造形技法が使用され得る。層ごとの構築はそれぞれの層を重合化または架橋することによって生じることが可能であるので、光造形技法は、熱硬化性の組成物に特に有用である。
【0084】
上記に説明されているように、誘電体組成物は、熱可塑性のポリマーまたは熱硬化性の組成物を備えることが可能である。熱可塑性のポリマーは、溶融され得るか、または、適切な溶媒の中に溶解され得る。熱硬化性の組成物は、液体熱硬化性の組成物であることが可能であり、または、溶媒の中に溶解され得る。溶媒は、熱、空気乾燥、または他の技法によって、誘電体組成物と塗布した後に除去され得る。熱硬化性の組成物は、第2のボリュームを形成するために塗布した後に、Bステージ化されるか、または、完全に重合化されるか、または硬化され得る。重合化または硬化は、誘電体組成物を塗布する間に開始させられ得る。
【0085】
本明細書で開示されている実施形態は、さまざまなアンテナ用途に適切であることが可能であり、たとえば、1GHzから30GHzの周波数範囲の中で動作するマイクロ波アンテナ用途など、または、たとえば、30GHzから100GHzの周波数範囲の中で動作するミリメートル波アンテナ用途などに適切であることが可能である。ある実施形態では、マイクロ波アンテナ用途は、対応する電磁信号フィードによって個別にフィードされる別々の基板の上の別々のエレメントであるDRAのアレイを含むことが可能であり、また、ミリメートル波アンテナ用途は、共通の基板の上に設けられているDRAのアレイを含むことが可能である。追加的に、非平面的なアンテナは、コンフォーマル・アンテナ用途に関して、特に興味深い。
【0086】
先述のもののすべてを考慮して、少なくとも以下の構成が、本明細書で開示されているということが認識されることとなる。
構成1:電磁デバイスであって、電磁デバイスは、導電性のグランド構造体と、グランド構造体の上に設けられている少なくとも1つの誘電体共振器アンテナ(DRA)と、DRAのうちの対応する1つに近接して設けられている少なくとも1つの電磁(EM)ビーム・シェイパーと、DRAのうちの対応する1つに電磁気的に連結されるように設けられている少なくとも1つの信号フィードとを備え、少なくとも1つのEMビーム・シェイパーは、導電性の角状部を備えるか、または、誘電材料の本体部であって、誘電材料は、本体部の内部部分から本体部の外側表面へ変化する比誘電率を有している、誘電材料の本体部を備えるか、または、導電性の角状部および誘電材料の本体部の両方を備える、電磁デバイス。
【0087】
構成2.少なくとも1つのDRAは、異なる比誘電率を有する2つ以上の非ガス状の誘電材料を備える多層のDRAを備える、構成1に記載のデバイス。
構成3.少なくとも1つのDRAは、中空コアを有する単一層状のDRAを備える、構成1に記載のデバイス。
【0088】
構成4.少なくとも1つのDRAは、中空コアを有する多層のDRAを備える、構成1に記載のデバイス。
構成5.少なくとも1つのDRAは、凸形頂部を有するDRAを備える、構成1に記載のデバイス。
【0089】
構成6.少なくとも1つのDRAは、長方形以外の幾何学的形態を有する平面図断面を備えるDRAを備える、構成1に記載のデバイス。
構成7.少なくとも1つのDRAは、円形、長円形、長円体、楕円形、または楕円体の幾何学的形態を有する平面図断面を備えるDRAを備える、構成1に記載のデバイス。
【0090】
構成8.少なくとも1つのDRAは、長方形以外の幾何学的形態を有する立面図断面を備えるDRAを備える、構成1に記載のデバイス。
構成9.少なくとも1つのDRAは、垂直方向の側壁部および凸形頂部を有する立面図断面を備えるDRAを備える、構成1に記載のデバイス。
【0091】
構成10.少なくとも1つのDRAは、全体的な高さおよび全体的な幅を有するDRAを備え、全体的な高さは、全体的な幅よりも大きくなっている、構成1に記載のデバイス。
【0092】
構成11.誘電材料の本体部は、誘電材料の球体であり、誘電材料の球体は、球体の中心から球体の外側表面へ変化する比誘電率を有している、構成1乃至10のいずれか1つに記載のデバイス。
【0093】
構成12.少なくとも1つのDRAのそれぞれのDRAは、N個のボリュームを備える誘電材料の複数のボリュームを備え、Nは、3以上の整数であり、それは、連続的なおよびシーケンシャルな層状のボリュームV(i)を形成するように設けられており、iは、1からNの整数であり、ボリュームV(1)は、最も内側の第1のボリュームを形成しており、連続的なボリュームV(i+1)が、層状のシェルを形成しており、層状のシェルは、ボリュームV(i)の上方に設けられており、ボリュームV(i)を少なくとも部分的に埋め込んでおり、ボリュームV(N)が、V(1)からV(N-1)のすべてのボリュームを少なくとも部分的に埋め込んでおり、それぞれの信号フィードが、誘電材料の複数のボリュームのうちの対応する1つに電磁気的に連結されるように設けられている、構成1乃至11のいずれか1つに記載のデバイス。
【0094】
構成13.少なくとも1つのDRAのそれぞれのDRAは、非ガス状の誘電材料を備えるボリュームであって、ボリュームは、中空コアと、立面図において観察されるような断面上の全体的な最大高さHvと、平面図において観察されるような断面上の全体的な最大幅Wvとを有する、ボリューム
を備え、ボリュームは、単一の誘電材料組成物のボリュームであり、Hvは、Wvよりも大きくなっている、構成1乃至12のいずれか1つに記載のデバイス。
【0095】
構成14.EMビーム・シェイパーは、導電性の角状部を備え、導電性の角状部は、第1の近位端部から第2の遠位端部へ外向きに広がる側壁部を備え、第1の近位端部は、グランド構造体と電気的接触をして設けられており、第2の遠位端部は、関連の少なくとも1つのDRAから所定の距離に設けられており、側壁部は、対応する少なくとも1つのDRAを取り囲むように設けられている、構成1乃至13のいずれか1つに記載のデバイス。
【0096】
構成15.EMビーム・シェイパーは、誘電材料の本体部を備え、少なくとも1つのDRAは、誘電材料の本体部の中に少なくとも部分的に埋め込まれている、構成1乃至13のいずれか1つに記載のデバイス。
【0097】
構成16.誘電材料の球体は、球体の中心から球体の外側表面へ減少する比誘電率を有している、構成11に記載のデバイス。
構成17.誘電材料の球体は、球体の中心から球体の外側表面へ減少する異なる比誘電率を有する誘電材料の複数の層を備える、構成11に記載のデバイス。
【0098】
構成18.誘電材料の本体部は、本体部の外側表面において、1の比誘電率を有している、構成1乃至17のいずれか1つに記載のデバイス。
構成19.EMビーム・シェイパーは、導電性の角状部を備え、少なくとも1つのDRAは、DRAのアレイを形成するために、少なくとも1つのDRAのアレイを備え、DRAのアレイは、導電性の角状部の中に設けられている、構成1乃至13のいずれか1つに記載のデバイス。
【0099】
構成20.EMビーム・シェイパーは、誘電材料の本体部を備え、少なくとも1つのDRAは、DRAのアレイを形成するために、少なくとも1つのDRAのアレイを備え、DRAのアレイは、誘電材料の本体部の外側表面の周りに少なくとも部分的に設けられている、構成1乃至13のいずれか1つに記載のデバイス。
【0100】
構成21.EMビーム・シェイパーは、誘電材料の本体部をさらに備え、導電性の角状部の遠位端部は、誘電材料の本体部の全体的な外側の寸法以上のアパーチャを有している、構成14に記載のデバイス。
【0101】
構成22.導電性の角状部の長さLhは、誘電材料の本体部の全体的な外側の寸法Dsよりも小さくなっている、構成21に記載のデバイス。
構成23.少なくとも1つのDRAは、DRAのアレイを形成するために、少なくとも1つのDRAのアレイを備え、DRAのアレイは、凹形配置で、誘電材料の本体部の外側表面の周りに少なくとも部分的に設けられている、構成21に記載のデバイス。
【0102】
構成24.DRAのアレイのそれぞれのDRAは、少なくとも1つの信号フィードのうちの対応する1つによって別々にフィードされ、マルチビーム・アンテナを提供する、構成1乃至23のいずれか1つに記載のデバイス。
【0103】
構成25.DRAのアレイのそれぞれのDRAは、別々の信号フィードによって選択可能にフィードされ、操縦可能なマルチビーム・アンテナを提供する、構成1乃至23のいずれか1つに記載のデバイス。
【0104】
構成26.少なくとも1つのDRAは、DRAのアレイを形成するために、少なくとも1つのDRAのアレイを備え、DRAのアレイは、グランド構造体の上に設けられており、グランド構造体は、非平面的な基板の上に設けられている、構成1乃至25のいずれか1つに記載のデバイス。
【0105】
構成27.基板は、凹形湾曲を備え、DRAのアレイは、非平面的な基板の凹形湾曲の上に設けられている、構成26に記載のデバイス。
構成28.基板は、凸形湾曲を備え、DRAのアレイは、非平面的な基板の凸形湾曲の上に設けられている、構成26に記載のデバイス。
【0106】
構成29.基板は、可撓性である、構成26乃至28のいずれか1つに記載のデバイス。
構成30.非平面的な配置で配置されている個々の3次元の誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイを備える電磁デバイス。
【0107】
構成31.DRAのアレイがその上に設けられている基板をさらに備える、構成30に記載のデバイス。
構成32.基板は、凹形湾曲を備え、DRAのアレイは、凹形湾曲の上に設けられている、構成31に記載のデバイス。
【0108】
構成33.基板は、凸形湾曲を備え、DRAのアレイは、凸形湾曲の上に設けられている、構成31に記載のデバイス。
構成34.基板は、可撓性である、構成31乃至33のいずれか1つに記載のデバイス。
【0109】
構成35.DRAのアレイがその上に設けられている導電性のグランド構造体と、DRAのうちの対応する1つに近接して1対1対応で設けられている電磁(EM)ビーム・シェイパーのアレイと、複数の信号フィードであって、複数の信号フィードは、DRAのうちの対応する1つに1対1対応で設けられており、DRAのうちの対応する1つに電磁気的に連結されている、複数の信号フィードとをさらに備える、構成30乃至34のいずれか1つに記載のデバイス。
【0110】
構成36.EMビーム・シェイパーのアレイのそれぞれのEMビーム・シェイパーは、導電性の角状部を備えるか、または、誘電材料の本体部であって、誘電材料は、本体部の内部部分から本体部の外側表面へ変化する比誘電率を有している、誘電材料の本体部を備えるか、または、導電性の角状部および誘電材料の本体部の両方を備える、構成35に記載のデバイス。
【0111】
構成37.導電性の角状部は、第1の近位端部から第2の遠位端部へ外向きに広がる側壁部を備え、第1の近位端部は、グランド構造体と電気的接触をして設けられており、第2の遠位端部は、関連の少なくとも1つのDRAから所定の距離に設けられており、側壁部は、対応する少なくとも1つのDRAを取り囲むように設けられている、構成36に記載のデバイス。
【0112】
構成38.少なくとも1つのDRAは、異なる比誘電率を有する2つ以上の非ガス状の誘電材料を備える多層のDRA;中空コアを有する単一層状のDRA;凸形頂部を有するDRA;長方形以外の幾何学的形態を有する平面図断面を備えるDRA;円形、長円形、長円体、楕円形、または楕円体の幾何学的形態を有する平面図断面を備えるDRA;長方形以外の幾何学的形態を有する立面図断面を備えるDRA;垂直方向の側壁部および凸形頂部を有する立面図断面を備えるDRA;または、全体的な高さおよび全体的な幅を有するDRA、ここで、全体的な高さは、全体的な幅よりも大きくなっている、のうちの少なくとも1つを備える、構成36に記載のデバイス。
【0113】
構成39.誘電材料の本体部は、誘電材料の球体であり、誘電材料の球体は、球体の中心から球体の外側表面へ変化する比誘電率を有している、構成36から38のいずれか1つに記載のデバイス。
【0114】
構成40.導電性のグランド構造体と、グランド構造体の上に設けられている誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイであって、グランド構造体は、非平面的な配置で配置されている、誘電体共振器アンテナ(DRA)のアレイと、DRAのうちの対応する1つに近接して1対1対応で設けられている電磁(EM)ビーム・シェイパーのアレイと、複数の信号フィードであって、複数の信号フィードは、DRAのうちの対応する1つに1対1対応で設けられており、DRAのうちの対応する1つに電磁気的に連結されている、複数の信号フィードとを備える、電磁デバイス。
【0115】
構成41.グランド構造体は、非平面的な基板の上に設けられている、構成40に記載のデバイス。
構成42.基板は、凹形湾曲を備え、DRAのアレイは、凹形湾曲の上に設けられている、構成41に記載のデバイス。
【0116】
構成43.基板は、凸形湾曲を備え、DRAのアレイは、凸形湾曲の上に設けられている、構成41に記載のデバイス。
構成44.基板は、可撓性である、構成41から43のいずれか1つに記載のデバイス。
【0117】
構成45.EMビーム・シェイパーのアレイのそれぞれのEMビーム・シェイパーは、導電性の角状部を備えるか、または、誘電材料の本体部であって、誘電材料は、本体部の内部部分から本体部の外側表面へ変化する比誘電率を有している、誘電材料の本体部を備えるか、または、導電性の角状部および誘電材料の本体部の両方を備える、構成40から44のいずれか1つに記載のデバイス。
【0118】
構成46.導電性の角状部は、第1の近位端部から第2の遠位端部へ外向きに広がる側壁部を備え、第1の近位端部は、グランド構造体と電気的接触をして設けられており、第2の遠位端部は、関連の少なくとも1つのDRAから所定の距離に設けられており、側壁部は、対応する少なくとも1つのDRAを取り囲むように設けられている、構成45に記載のデバイス。
【0119】
構成47.少なくとも1つのDRAは、異なる比誘電率を有する2つ以上の非ガス状の誘電材料を備える多層のDRA;中空コアを有する単一層状のDRA;凸形頂部を有するDRA;長方形以外の幾何学的形態を有する平面図断面を備えるDRA;円形、長円形、長円体、楕円形、または楕円体の幾何学的形態を有する平面図断面を備えるDRA;長方形以外の幾何学的形態を有する立面図断面を備えるDRA;垂直方向の側壁部および凸形頂部を有する立面図断面を備えるDRA;または、全体的な高さおよび全体的な幅を有するDRA、ここで、全体的な高さは、全体的な幅よりも大きくなっている、のうちの少なくとも1つを備える、構成45に記載のデバイス。
【0120】
構成48.誘電材料の本体部は、誘電材料の球体であり、誘電材料の球体は、球体の中心から球体の外側表面へ変化する比誘電率を有している、構成45から47のいずれか1つに記載のデバイス。
【0121】
層、フィルム、領域、基板、または他の説明されている特徴などのような、あるエレメントが、別のエレメントの「上に」あると称されるときには、それは、他のエレメントの直接的に上にある可能性があり、または、介在するエレメントが存在する可能性もある。それとは対照的に、エレメントが別のエレメントの「直接的に上に」あると称されるときには、介在するエレメントが存在しない。第1の、第2のなどの用語の使用は、任意の順序または重要度を示しておらず、むしろ、第1の、第2のなどの用語は、1つのエレメントを別のエレメントから区別するために使用されている。「a」、「an」などの用語の使用は、量の限定を示しておらず、むしろ、参照されるアイテムのうちの少なくとも1つの存在を示している。「または」は、明確に別段の定めがない限り、「および/または」を意味している。本明細書で使用されているような「を備える(compring)」という用語は、1つまたは複数の追加的な特徴を含む可能性を除外しない。そして、本明細書で提供される任意の背景情報は、本明細書で開示されている本発明に関連のある可能性があると出願人によって考えられる情報を明らかにするために提供されている。そのような背景情報のいずれかが、本明細書で開示されている本発明の実施形態に対する先行技術を構成しているという了解は、必ずしも意図されているわけではなく、そのように解釈されるべきでもない。
【0122】
発明は、例示的な実施形態を参照して本明細書で説明されてきたが、さまざまな変更が行われ得、特許請求の範囲から逸脱することなく、均等物がそのエレメントと置換され得るということが当業者によって理解されることとなる。本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正が行われ得る。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良のモードまたは唯一のモードとして本明細書で開示されている1つまたは複数の特定の実施形態に限定されるのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲の中に入るすべての実施形態を含むこととなるということが意図されている。図面および説明において、例示的な実施形態が開示されており、特定の用語または寸法が用いられている可能性があるが、それらは、別段の定めがない限り、一般的な、例示的な、または説明の意味のみで使用されているものであり、限定の目的のために使用されているのではなく、したがって、特許請求の範囲は、そのように限定されていない。