(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】下水汚泥の処理方法及び処理設備
(51)【国際特許分類】
C02F 11/10 20060101AFI20230316BHJP
F23G 7/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
C02F11/10 Z ZAB
F23G7/00 104A
(21)【出願番号】P 2020057906
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000165273
【氏名又は名称】月島機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河岸 正泰
(72)【発明者】
【氏名】倭 常郎
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-346556(JP,A)
【文献】特表2016-514046(JP,A)
【文献】特開2004-016844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F11/00-11/20
F23G7/00-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水汚泥と、高温かつ高圧の可溶化処理物とを間接的に熱交換する第1熱交換器において、前記下水汚泥を加熱する第1熱交換工程と、
加熱した前記下水汚泥と、高温の熱媒油とを間接的に熱交換する第2熱交換器において、前記加熱した下水汚泥を可溶化させて、前記可溶化処理物を得る第2熱交換工程と、
前記可溶化処理物を減圧して、発生したガスを、当該可溶化処理物から分離するガス分離工程と、
減圧された前記可溶化処理物を焼却する焼却設備、又は前記可溶化処理物を脱水する脱水機に、前記可溶化処理物を残圧によって圧送する圧送工程とを有する、
ことを特徴とする、下水汚泥の処理方法。
【請求項2】
前記第1熱交換器は、シェルアンドチューブ式熱交換器であり、前記下水汚泥が流れる流路がチューブ部であり、前記可溶化処理物が流れる流路がシェル部である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の下水汚泥の処理方法。
【請求項3】
圧送された前記可溶化処理物を前記焼却設備で焼却する焼却工程を有し、
分離した前記ガスの一部を除去して、残りのガスを前記焼却工程に送る、
請求項1に記載の下水汚泥の処理方法。
【請求項4】
前記ガス分離工程にて分離したガスの一部を凝縮して得られた凝縮物を除去し、残りのガスを前記焼却工程に送る、
請求項3に記載の下水汚泥の処理方法。
【請求項5】
前記第2熱交換工程で熱交換された熱媒油と、前記焼却工程で発生した高温の焼却排ガスとを間接的に熱交換する第3熱交換器において、前記熱媒油を加熱する第3熱交換工程を有し、
前記第3熱交換工程にて加熱された熱媒油を前記第2熱交換器内に流す、
請求項
3に記載の下水汚泥の処理方法。
【請求項6】
下水汚泥と、高温の熱媒油とを間接的に熱交換する熱交換器において、前記下水汚泥を可溶化させて、可溶化処理物を得る熱交換工程と、
前記可溶化処理物を減圧して、発生したガスを、当該可溶化処理物から分離するガス分離工程と、
前記可溶化処理物を焼却する焼却設備、又は前記可溶化処理物を脱水する脱水機に、前記可溶化処理物を残圧によって圧送する圧送工程とを有する、
ことを特徴とする、下水汚泥の処理方法。
【請求項7】
下水汚泥と高温かつ高圧の可溶化処理物とを間接的に熱交換して、前記下水汚泥を加熱する第1熱交換器と、
加熱された前記下水汚泥と高温の熱媒油とを間接的に熱交換して、前記下水汚泥を可溶化させて、前記高温かつ高圧の可溶化処理物とする第2熱交換器と、
前記可溶化処理物を減圧して、発生したガスを、当該可溶化処理物から分離するガス分離タンクと、
減圧された可溶化処理物を焼却設備に残圧によって圧送する圧送手段とを有する、
ことを特徴とする、下水汚泥の処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥の処理方法及び処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下水処理施設等で発生する下水汚泥は、濃縮処理、脱水処理、焼却処理され、発生した焼却灰等は埋め立て処分されたり、再資源化されたりする。これらの処理に先立ち、下水汚泥を可溶化処理してより効率的に濃縮処理や脱水処理を行えるようにする技術が提案されている。
【0003】
特許文献1は、下水汚泥を水熱処理し、処理後の汚泥を燃料等に利用する下水汚泥の処理方法に関するものである。具体的には、下水汚泥を水熱で高温高圧処理した後、固液分離して得られた脱液汚泥を乾燥処理する。高温高圧処理後に処理容器から排出する排液と固液分離された液分は濃縮処理して、濃縮液を脱液汚泥と共に乾燥処理するものである。高温高圧処理により汚泥の脱水性が高まる。濃縮液と脱液汚泥は、乾燥処理されて水分率が低下するので、運搬が容易になり、また、固形燃料として用いることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、下水汚泥の水熱反応の加熱源としては、水蒸気や高温のガスが用いられることが多い。特許文献1のように蒸気を反応装置に直接供給して水熱反応を行う場合は、蒸気を生成するために多量の上水を使用する必要があり、ランニングコストがかかってしまう。また、蒸気を間接加熱の熱源として用いる場合には、加熱後のドレンを回収する装置も必要となり、設備費がかかる。さらに、高温のガスを加熱源とする場合は、通常、気体は比熱が小さいことから、熱の伝達効率が悪いので、熱交換器の伝面が多く必要になり、熱交換器が大きくなってしまう。そうすると、設置スペースも多く必要となり、また、設備費もかかり経済的ではない。したがって、本発明が解決しようとする主たる課題は、可溶化処理の向上が図られ、設備費やランニングコストを低減した下水汚泥の処理方法及び処理設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明の代表的態様は以下のとおりである。
【0007】
下水汚泥と、高温かつ高圧の可溶化処理物とを間接的に熱交換する第1熱交換器において、前記下水汚泥を加熱する第1熱交換工程と、
加熱した前記下水汚泥と、高温の熱媒油とを間接的に熱交換する第2熱交換器において、前記加熱した下水汚泥を可溶化させて、前記可溶化処理物を得る第2熱交換工程とを有する、
ことを特徴とする、下水汚泥の処理方法。
【0008】
下水汚泥と高温かつ高圧の可溶化処理物とを間接的に熱交換して、前記下水汚泥を加熱する第1熱交換器と、
加熱された前記下水汚泥と高温の熱媒油とを間接的に熱交換して、前記下水汚泥を可溶化させて、前記高温かつ高圧の可溶化処理物とする第2熱交換器とを有する、
ことを特徴とする、下水汚泥の処理設備。
【0009】
本態様では、下水汚泥は、流れの中で加熱されるので、全体として高温となり、温度のムラが生じにくいものとなる。熱交換工程を2つ有し、下水汚泥は第1熱交換工程の加温により粘性が低下して流動性が向上し、それに続く第2熱交換工程で流動性が高くなった下水汚泥を加熱することで、効率的に熱伝達が行われ、可溶化処理が促進される。また、常に系全体を下水汚泥の水分の蒸気圧以上に保持した場合は、連続的に水熱反応による可溶化を進めることができる。
【0010】
前記第1熱交換器は、シェルアンドチューブ式熱交換器であり、前記下水汚泥が流れる流路がチューブ部であり、前記可溶化処理物が流れる流路がシェル部である、態様も好ましい。
【0011】
温度が高い可溶化処理物は相対的に流動性が高く、温度が低い下水汚泥は相対的に粘度が高いため流動性が低い。仮に、下水汚泥を熱交換器のシェル部に流そうとすると、チューブ及びその溶接部に大きな剪断力が発生することになり、また、押し流すためにはポンプ等で大きな圧力を加える必要もがある。これは、熱交換器の早期劣化にもつながり不経済である。一方、下水汚泥をチューブ部に流す場合には、このような不具合が生じにくい。
【0012】
また、次記の処理方法や処理設備も好ましい。
下水汚泥と、高温かつ高圧の可溶化処理物とを間接的に熱交換する第1熱交換器において、前記下水汚泥を加熱する第1熱交換工程と、
加熱した前記下水汚泥と、高温の熱媒油とを間接的に熱交換する第2熱交換器において、前記加熱した下水汚泥を可溶化させて、前記可溶化処理物を得る第2熱交換工程と、
前記可溶化処理物を減圧して、発生したガスを、当該可溶化処理物から分離するガス分離工程と、
減圧された前記可溶化処理物を焼却する焼却設備、又は前記可溶化処理物を脱水する脱水機に、前記可溶化処理物を残圧によって圧送する圧送工程とを有する、
ことを特徴とする、下水汚泥の処理方法。
【0013】
下水汚泥と高温かつ高圧の可溶化処理物とを間接的に熱交換して、前記下水汚泥を加熱する第1熱交換器と、
加熱された前記下水汚泥と高温の熱媒油とを間接的に熱交換して、前記下水汚泥を可溶化させて、前記高温かつ高圧の可溶化処理物とする第2熱交換器と、
前記可溶化処理物を減圧して、発生したガスを、当該可溶化処理物から分離するガス分離タンクと、
減圧された可溶化処理物を焼却設備に残圧によって圧送する圧送手段とを有する、
ことを特徴とする、下水汚泥の処理設備。
【0014】
従来、下水汚泥を次工程に送る場合、ポンプ等の動力を用いて、加圧して送っていた。ポンプ等を稼働させるには、当然電力を消費するので、消費電力分の経費を必要とした。また、含水率が相対的に少ない下水汚泥はより加圧が必要となる場合があり、ポンプが過負荷状態となることもあった。本態様では、可溶化処理物が残圧を有し、流動性を備えるので、圧力差で可溶化処理物を次工程に容易に送ることができる。これにより、ポンプ等を稼働するのにかかる経費を節減することができる。なお、ポンプ等の動力を補助的に用いて、当該可溶化処理物を次工程に送る態様としてもよい。
【0015】
圧送された前記可溶化処理物を前記焼却設備で焼却する焼却工程を有し、
分離した前記ガスの一部を除去して、残りのガスを前記焼却工程に送る、態様も好ましい。
【0016】
分離したガスは、大部分が水蒸気であるが、メタンガスに代表される燃料ガスも含まれ、燃料ガスは焼却の燃料として用いることができる。上記残りのガスにも燃料ガスが含まれるので、この残りのガスを焼却工程で焼却することで、焼却工程にかかる燃料コストの削減化が図られる。
【0017】
前記ガス分離工程にて分離したガスの一部を凝縮して得られた凝縮物を除去し、残りのガスを前記焼却工程に送る、態様も好ましい。
【0018】
分離したガスを冷却等により凝縮すると、大部分が水で構成された凝縮物が発生する。凝縮した凝縮物が多いほど、分離したガス中のうちの凝縮しきれない気体、すなわち残りのガスに含まれる燃料ガスの濃度が高まる。よって、分離したガスから凝縮物分を除去することで、燃料ガスの濃度が高まり、純度の高い燃料ガスとなる。
【0019】
前記第2熱交換工程で熱交換された熱媒油と、前記焼却工程で発生した高温の焼却排ガスとを間接的に熱交換する第3熱交換器において、前記熱媒油を加熱する第3熱交換工程を有し、
前記第3熱交換工程にて加熱された熱媒油を前記第2熱交換器内に流す、態様も好ましい。
【0020】
この態様では、熱媒油が第2熱交換器と第3熱交換器を経由して循環する。第2熱交換工程で熱量を消費した熱媒油を再加熱するのに高温の焼却排ガスを用いるので、熱媒油を加熱するために別途燃料を必要としない。
【0021】
また、次記の処理方法としてもよい。
下水汚泥と、高温の熱媒油とを間接的に熱交換する熱交換器において、前記下水汚泥を可溶化させて、可溶化処理物を得る熱交換工程を有する、
ことを特徴とする、下水汚泥の処理方法。
【0022】
前記熱交換器は、シェルアンドチューブ式熱交換器であり、前記下水汚泥が流れる流路がチューブ部であり、前記可溶化処理物が流れる流路がシェル部である、
ことを特徴とする、態様も好ましい。
【0023】
下水汚泥と、高温の熱媒油とを間接的に熱交換する熱交換器において、前記下水汚泥を可溶化させて、可溶化処理物を得る熱交換工程と、
前記可溶化処理物を減圧して、発生したガスを、当該可溶化処理物から分離するガス分離工程と、
前記可溶化処理物を焼却する焼却設備、又は前記可溶化処理物を脱水する脱水機に、前記可溶化処理物を残圧によって圧送する圧送工程とを有する、
ことを特徴とする、態様であってもよい。
【0024】
下水汚泥の水熱反応を促進させるための間接加熱の加熱源に、水蒸気を用いた場合、加熱後のドレンを回収する装置が必要となる。また、高温のガスを用いた場合は、気体は比熱が相対的に小さいので、熱の伝導効率が良くない。一方で、熱媒油を用いた場合は、熱媒油は、高温の状態であっても、水よりも気化し難く、液体のまま下水汚泥を加熱することになる。液体は比熱が相対的に大きいので、熱の伝導効率がよい。よって、熱交換器を比較的小さく設計することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、可溶化処理の向上が図られ、可溶化処理された処理物の流動性が良い、下水汚泥の処理方法及び処理設備となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】下水汚泥における全体の処理工程を表す図である。
【
図2】下水汚泥における全体の処理工程の変形例を表す図である。
【
図3】下水汚泥における全体の処理工程の変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態を説明する。本実施の形態は、本発明の一例である。
【0028】
(下水汚泥)
家庭廃水、工場排水、汚水、雨水等の廃水や汚泥を含む下水は、下水道幹線に流れ込み、下水処理施設に流入して処理される。この下水のうち下水汚泥は、下水処理施設に備わる汚泥処理場で焼却処理される。下水汚泥は、例えば、下水処理施設における最初沈殿池での沈殿物である生汚泥、最終沈殿池での沈殿物である活性汚泥等からなる。また、消化汚泥は下水汚泥を消化槽で消化した後の汚泥、濃縮汚泥は生汚泥等を濃縮設備で濃縮した汚泥、脱水汚泥は下水汚泥や濃縮汚泥を脱水設備で脱水処理して発生した汚泥であり、これらは下水汚泥に含まれる。本発明においては、濃縮汚泥や脱水汚泥を用いると、汚泥の含水率が下がっている分、汚泥を加熱するための熱量が少なくなるため好ましい。
【0029】
(可溶化設備)
下水汚泥の可溶化処理手法を
図1を参照しつつ説明すると、可溶化処理は、可溶化設備で行われる。可溶化設備は、第1熱交換器130とこの第1熱交換器130の後段に設置された第2熱交換器131を有するものである。第1熱交換器130は、可溶化設備に導入された下水汚泥Sが流入する流入口130aと、下水汚泥Sが流れる流路と、下水汚泥Sが流出する流出口130bとを有する。また、第1熱交換器130は、第2熱交換器131から流出した高温かつ高圧の可溶化処理物S2が流入する流入口130cと、可溶化処理物S2が流れる流路と、可溶化処理物S2が流出する流出口130dとを有する。下水汚泥Sは、直接に、又は汚泥供給フィーダ10から切り出され、ポンプP1で配管又は水路(以下、「配管等」ともいう。)を圧送されて可溶化設備の流入口130aに流入する。汚泥供給フィーダ10と可溶化設備は配管又は流路(配管等)で接続されている。
【0030】
第2熱交換器131は、第1熱交換器130の流出口130bから流出した下水汚泥S1が流入する流入口131aと、下水汚泥S1が流れる流路と、可溶化処理された可溶化処理物が流出する流出口131bとを有する。また、第2熱交換器131は、熱媒油Oが流入する流入口131cと、熱媒油Oが流れる流路と、熱媒油Oが流出する流出口131dとを有する。下水汚泥S1と熱媒油Oは、間接的に熱交換する。第1熱交換器130の下水汚泥Sの流出口130bと第2熱交換器131の下水汚泥の流入口131aは配管等で接続されている。
【0031】
第2熱交換器131で高温の熱媒油Oで加熱された下水汚泥は、高温かつ高圧となり、可溶化処理され、第2熱交換器131の可溶化処理物の流出口131bから流出する。この流出した可溶化処理物S2は、第1熱交換器130の可溶化処理物S2の流入口130cに流入する。第2熱交換器131の可溶化処理物の流出口131bと第1熱交換器130の可溶化処理物S2の流入口130cは配管等で接続されている。
【0032】
下水汚泥Sは、第1熱交換器130で60℃以上、好ましくは90℃以上に加熱されるのが好ましい。60℃未満だと、下水汚泥Sの流動性が小さく、第2熱交換器131で熱伝導性が著しく悪化し、熱交換器の伝熱性能が極端に低下するため、下水汚泥Sが可溶化処理されるのに好ましい温度まで上昇するのに放熱側熱媒体の温度を高く保つ必要がある。
【0033】
第1熱交換器130の流出口130bから流出した下水汚泥S1は、第2熱交換器131で高温に加熱される。また、下水汚泥S1は、第2熱交換器131で高圧となる。下水汚泥S1は、100℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180~200℃に加熱されるのが好ましい。また、下水汚泥S1は、第2熱交換器131で下限が被処理物に含まれる水分の蒸気圧以上とし、好ましくは汚泥搬送の動力を下げるため、2.0MPa以下に加圧されるのが好ましい。100℃未満だと水熱反応の反応速度が小さく可溶化処理に多くの時間を費やす。200℃超だと、熱媒油Oの熱量を高めなければならず非経済である。また、下水汚泥を第1熱交換器130で90℃以上に加熱し、第2熱交換器131で180℃~200℃、1.4MPa以上、2.0MPa以下に制御することで、相対的に短い時間で下水汚泥を水熱反応させて可溶化処理でき好ましい。
【0034】
第1熱交換器130の形式は、特に限定されずに用いることができるが、シェルアンドチューブ式(多管式熱交換器)とすると好適である。第1熱交換器130をシェルアンドチューブ式熱交換器とする場合は、チューブ部を下水汚泥Sが流れる流路とし、シェル部を可溶化処理物S2が流れる流路とする。
【0035】
第2熱交換器131の形式は、特に限定されずに用いることができるが、U字管式、シェルアンドチューブ式としてもよい。第2熱交換器131をシェルアンドチューブ式熱交換器とする場合は、シェル部を下水汚泥Sが流れる流路とし、チューブ部を熱媒油Oが流れる流路としてもよいし、チューブ部を下水汚泥Sが流れる流路とし、シェル部を熱媒油Oが流れる流路としてもよい。
【0036】
動植物の細胞に対して可溶化処理を行うと、細胞膜が変形したり破壊されたりして、細胞内の液体が細胞の外へ放出される。つまり、下水汚泥は、動物性の細胞や植物性の細胞を含むため、これら細胞を有する廃棄物に対して可溶化処理を行うと、細胞内の液体が細胞の外へ放出される。これにより、汚泥の脱水処理において、通常の脱水処理では脱水できなかった水分を除去できるようになるため、さらに汚泥の含水率を下げることが可能となる。また、高温になることで粘性が低下するので、可溶化処理物は、流動性に富んだものとなる。
【0037】
第1熱交換工程は、下水汚泥Sと、高温かつ高圧の可溶化処理物S2とを間接的に熱交換する第1熱交換器130において、下水汚泥Sを加熱する工程である。また、第2熱交換工程は、加熱した下水汚泥と、高温の熱媒油Oとを間接的に熱交換する第2熱交換器131において、加熱した下水汚泥を可溶化させて、可溶化処理物S2を得る工程である。
【0038】
可溶化処理物を最終的に焼却処理する場合は、以下の工程で行うことができる。
【0039】
(ガス分離工程)
第1熱交換器130の可溶化処理物の流出口130dから流出した可溶化処理物は、ガス分離工程P3に導かれる。ガス分離工程P3では、可溶化処理物を減圧してガスG1を発生させ、可溶化処理物からこのガスを分離する。
【0040】
第1熱交換器130の可溶化処理物の流出口130dから流出した可溶化処理物は、ガス分離タンク11に送られる。ガス分離タンク11は、可溶化処理物の流入口11a、ガス放出済みの可溶化処理物の流出口11b、上部にガスG1を送出する送出口11g、ガス分離タンク11内のガスの圧力を計測する圧力計11pを有する。第1熱交換器130の流出口130dとガス分離タンク11の流入口11aは配管等で接続されている。ガス分離タンク11の流出口11bと後段に設置された焼却設備94の可溶化処理物の供給口94aとは可溶化処理物を圧送する配管等、すなわち圧送配管等T10で接続されている。ガス配管等T11には、ガス分離タンク11内の圧力を調節する圧力調節弁B1が備わる。
【0041】
ガス分離タンク11に流入した可溶化処理物は、圧力調節弁B1を開くことで減圧され、ガスG1を放出する。ガス分離タンク11内の圧力は、圧力調節手段C1で調節することができる。圧力調節手段C1は、圧力計11pと、圧力調節弁B1と、ガス分離タンク11内の目標圧力を演算し、また、圧力計11pで計測された圧力値から圧力調節弁B1の弁開度を演算する演算手段PICと、演算された弁開度の情報を圧力調節弁B1に伝達する手段Sg1を有する。ガス分離タンク11内の圧力は目標となる圧力値になるよう設定されており、ガス分離タンク11の圧力が目標圧力から乖離した場合、演算手段PICは圧力計11pからガス分離タンク11内の圧力値を得て、目標となる弁開度を演算する。伝達手段Sg1は演算された目標弁開度の情報を圧力調節弁B1に伝達する。伝達を受けた圧力調節弁B1は、現在の弁開度から目標弁開度に近づくように弁開度を調節する。ガス分離タンク11内の圧力が、目標圧力よりも上昇すると、圧力調節弁B1が開くように調節される。一方、ガス分離タンク11内の圧力が目標圧力よりも低下すると、圧力調節弁B1が閉じるように調節される。そして、ガス分離タンク11内の圧力が目標圧力に近づく、又は目標圧力になると、圧力調節弁B1はその時の弁開度を維持する。この手段を用いることで、ガス分離タンク11内の圧力を目標圧力に調節でき、分離したガスG1を焼却工程P5に送ることができる。
【0042】
ガス分離タンク11内の可溶化処理物の量はレベル制御手段C2で調節することができる。レベル制御手段C2は、レベル計S3pと、レベル調節弁B2と、レベル計S3pで計測されたガス分離タンク11内における、可溶化処理物の液位レベルからレベル調節弁B2の弁開度を演算する演算手段LICと、演算された弁開度の情報をレベル調節弁B2に伝達する手段Sg2を有する。ガス分離タンク11のレベルは、所定の目標レベルに設定されており、目標レベルから乖離した場合は、目標となる弁開度を演算し、演算された目標弁開度の情報をレベル調節弁B2に伝達し、伝達を受けたレベル調節弁B2は、現在の弁開度から目標弁開度に近づくように弁開度を調節する。
【0043】
(圧送工程)
圧送工程P4は、ガス分離された可溶化処理物を後工程の焼却設備94や脱水機92に残圧によって圧送する工程である。ガス分離工程P3の運転状況により、ガス分離タンク11にある減圧された可溶化処理物の圧力はまだ大気圧よりも高い圧力となっており、残圧を有する。一方、例えば、後工程の焼却設備94の供給口94aの圧力は、大気圧かそれ以上となっているが、減圧後の可溶化処理物よりも低い圧力となっている。よって、圧送配管等T10の上流側(ガス分離タンク11側)と下流側(焼却設備94側)とで圧力勾配が発生しており、上流側が下流側よりも圧力が高い。ガス分離タンク11の流出口11bから圧送配管等T10に流出した可溶化処理物S3は残圧で当該圧送配管等T10内を圧送されて、焼却設備94に達する。また、焼却設備94の前段に脱水機92を設けることもできる。
【0044】
(脱水機)
脱水機92は圧送配管等T10に設けることができる。ガス分離タンク11では減圧により可溶化処理物から水分を含むガスが分離されるが、この可溶化処理物は、依然として水分を含むので、脱水機92に供給して、より含水率を低下させたものとするとよい。
【0045】
圧送配管等T10に脱水機92を設ける場合は、レベル調節弁B2の下流に脱水機92を設けると圧送配管等T10内の圧力の調節がし易く好ましい。
【0046】
脱水機92で脱水された脱水汚泥S4は含水率70%以下、好ましくは60~65%となるように脱水されると焼却設備94での焼却工程で補助燃料を大幅に低減又はゼロにすることができる。
【0047】
焼却工程P5以降の可溶化処理物の処理工程を次に示す。
【0048】
(焼却工程)
焼却工程P5は、焼却設備94に導かれた可溶化処理物を焼却して、焼却灰や焼却排ガスAs等を得る工程である。焼却設備94から排出された焼却排ガスAsは、第3熱交換器111を通過して、熱量が奪われ焼却排ガスAs1となり、さらに、集塵機112を経由して焼却排ガスAs2となり、排煙処理塔120に導かれ、煙突122から系外に放出される。上記各設備間は、ガス配管等で接続され、焼却排ガスがガス配管等を通って順次、後段の設備に導かれる。
【0049】
可溶化設備では、当該可溶化設備内を流れる下水汚泥が、同可溶化設備内を流れる熱媒油Oにより間接的に加熱される。当該可溶化設備から流れ出た熱媒油Oは、熱媒油配管T1を通って、焼却設備94の後段にある設備、例えば、第3熱交換器111に導かれる。第3熱交換器111では、同第3熱交換器111内を流れる焼却排ガスAsと熱媒油Oが熱交換されて、熱媒油Oが加熱される。加熱された熱媒油Oは、熱媒油配管T2を通って、可溶化設備に導かれて、同可溶化設備を流れる下水汚泥を加熱する。このように、熱媒油Oは、可溶化設備と第3熱交換器111を循環する。
【0050】
(熱媒油)
熱媒油Oは、特に限定されずに一般的な熱媒油を用いることができるが、特に沸点300~400℃の高沸点で、かつ高温度用の熱媒油を用いるのが好ましい。これにより、液体状態の熱媒油を用いて低圧で高温の熱供給が可能となり、可溶化の状況に合わせて緻密な温度制御が可能となる。
例えば、蒸気で熱供給する場合、熱源側は潜熱による熱の受け渡しになるため、受熱側の温度制御は、蒸気圧力で管理することになる。この時、圧力変動に伴って蒸気の実流量も変動するため、入熱量の制御・管理が難しいことや、蒸気の渇き度によって温度が変動すること等により、緻密な温度制御には不向きな側面がある。また、汚泥を高温にしようとすると、蒸気温度を上げる必要があり、それに伴い高圧にする必要がある(例えば、飽和蒸気温度200℃の場合、圧力約1.45MPaG)。
一方、熱媒油の場合、熱源側は顕熱による熱の受け渡しになるため、単純に熱媒油の温度制御で管理することになる。また、熱媒油は非常に蒸気圧の低い液体であるため、300℃程度の高温でも状態変化がおこらない。これにより、入熱量の制御・管理が容易であり、±1℃未満の細かな制御が可能となる。また、顕熱利用が前提であるため、蒸気のように高温化に伴って圧力を高くする必要はなく、取り扱いがより容易となる。
【0051】
次に、焼却工程P5以降の工程で用いられる諸設備についての詳細を記載する。
【0052】
(焼却設備)
焼却設備94は特に限定されないが、流動焼却炉や循環流動炉、ストーカー炉等を挙げることができ、特に過給式流動焼却炉が好ましい。過給式の流動焼却炉は、例えば脱水汚泥を加圧流動床炉に供給して燃焼させ、流動焼却炉から排出される焼却排ガスによって過給機を回転駆動することで圧縮空気を生成し、この圧縮空気を流動焼却炉に供給して燃焼を促進させるものである。また、流動焼却炉は、流動媒体として所定の粒径を有する、流動砂等の固体粒子が炉内の下部に充填された燃焼炉であり、炉内に供給される燃焼空気によって流動層の流動状態を維持しつつ、外部から供給される脱水汚泥及び必要に応じて供給される補助燃料を燃焼させるものである。側壁の下部には、流動焼却炉の内部に充填された粒径約400~600μmの流動砂を加熱する補助燃料燃焼装置(図示せず)が配置され、補助燃料燃焼装置の上側近傍の部位には、始動時に流動砂を加熱する始動用バーナ(図示せず)が配置され、始動用バーナの上側の部位には、脱水汚泥の供給口が設けられている。また、流動焼却炉の下方には、炉内に燃焼に必要な酸素と流動層の流動状態を維持するための運動エネルギーとを与える燃焼空気を供給する燃焼空気供給管94A(図示せず)が設置されてもよい。この燃焼空気供給管94Aは、複数の開孔を有する配管を複数配列した分散管や板状の鉄板等に複数の開口を設けた分散板を用いることが可能である。なお、焼却排ガスとは、汚泥を燃焼させたときに発生する燃焼ガス、又は燃焼ガスと水蒸気が混合したガスをいう。
【0053】
(第3熱交換器)
第3熱交換工程P6では、第2熱交換工程P2で熱交換された、熱媒油Oと、焼却工程P5で発生した高温の焼却排ガスAsとを第3熱交換器111内に流して、間接的に熱交換して、高温の熱媒油Oを得る工程である。第3熱交換器111は、焼却排ガスと可溶化設備から、例えば、160℃程度で導出された熱媒油Oとを間接的に熱交換することにより、熱媒油Oを加熱する機器である。第3熱交換器111で加熱された熱媒油Oは、熱媒油配管T2を通って、可溶化設備、特に第2熱交換器131に導入される。焼却設備94から第3熱交換器111の流入口111aに供給された焼却排ガスは、焼却排ガスの流路を流れ、第3熱交換器111の流出口111bから排出され、後段に設置された集塵機112に供給される。第2熱交換器131の流出口131dから流出した熱媒油Oは、第3熱交換器111における熱媒油Oの流入口111cに導入され、熱媒油Oの流路を流れ、熱媒油Oの流出口111dから導出される。
【0054】
(集塵機)
集塵機112は、第3熱交換器111の後段に設けられており、第3熱交換器111から送出される焼却排ガスAs1に含まれるダスト、細粒化された流動砂等の不純物を除去する機器である。集塵機112に内装されるフィルタとしては、例えばセラミックフィルタやバグフィルタを用いることができ、集塵機112は、下部には、焼却排ガスを機器内に供給する供給口が形成され、上部には、不純物等が取除かれた清浄な焼却排ガスを機器外に排出する排出口が形成されている。また、焼却排ガスの供給口は、ガス配管を介して第3熱交換器111の焼却排ガスの排出口に接続されている。
【0055】
集塵機112内には、下部に形成された供給口と上部に形成された排出口の上下方向に間の部位にフィルタ(図示省略)が内装されている。フィルタで取除かれた焼却排ガス中の不純物IM等は、集塵機112内の底部に一時的に貯留された後、定期的に外部に排出される。集塵機112の排出口から排出された焼却排ガスAs2は、ガス配管を通って、排煙処理塔120に供給される。
【0056】
(排煙処理塔)
排煙処理塔120は、焼却排ガスのうちの硫黄酸化物等の不純物の排出を防止して、残りのガスを塔外に排出するものである。排煙処理塔120は、排煙処理装置(図示せず)、煙突122を有する。
【0057】
排煙処理装置は、装置外に硫黄酸化物等の不純物の排出を防止する機器であり、側壁の下部に、集塵機111の排出口から排出された焼却排ガスAs2を、排煙処理装置内に供給する供給口が形成されている。
【0058】
排煙処理装置の側壁の上部には、外部から供給される水を機器内に噴霧する噴霧管(図示せず)が配置され、中間部と、下部には、それぞれ、循環ポンプを介して排煙処理装置の底部に貯留された水酸化ナトリウムが含有された水酸化ナトリウム水を機器内に噴霧する噴霧管が配置されている。また、排煙処理装置内に貯留される水酸化ナトリウム水は、図示しない水酸化ナトリウムポンプを介して図示しない水酸化ナトリウムタンクから供給され、常時適正量に維持されている。
【0059】
排煙処理装置に供給された焼却排ガスは、不純物(主に硫黄酸化物)等が除去され、処理済みガスは、煙突122へ送られ、系外に放出される。
【0060】
本実施形態の可溶化設備は、脱水汚泥を可溶化処理後に再度脱水することができるため既存の下水処理施設であっても、例えば、脱水設備の後段、かつ焼却設備の直前に設ければよく、脱水設備から焼却設備までの汚泥搬送設備等の既存設備を変更しなくてもよい。また、可溶化設備から焼却炉まで汚泥を圧送する際に、圧送用ポンプを用いなくてもよいし、用いるとしても補助的な使用で足り、圧送用ポンプの稼働費を節減できる利点を有する。
【0061】
(実施形態の変形例1)
実施形態の変形例1について、
図2を参照しつつ説明する。変形例1は前述の実施形態に追加してコンデンサ12を有する。下水汚泥Sは、汚泥供給フィーダ10で連続的に切り出され、可溶化設備にポンプP1で圧送される。汚泥供給フィーダ10と可溶化設備は配管又は流路(配管等)で接続されている。このコンデンサ12により、ガス分離工程P3にて分離したガスG1の一部を凝縮して得られた凝縮物を除去し、残りのガスは焼却工程P5に送るとよい。なお、変形例1においても、前述の実施形態と同様に圧送配管等T10に脱水機92を設けて、可溶化処理物の含水率をさらに低下させてもよい。
【0062】
コンデンサ12は、ガスG1を冷却して凝縮させる機器であり、ガス配管等T11に備わる。コンデンサ12は、ガス配管等T11における圧力調節弁B1の下流側に設置される。分離したガスG1は、大部分が水蒸気であるが、メタンガスに代表される燃料ガスも含み、燃料ガスは焼却の燃料として用いることができる。コンデンサ12は、内部に冷却水等の冷媒が流れる冷却配管等、ガスG1の流入口12aと流出口12b、凝縮した凝縮物の排出口12cが備わり、流入口12aとガス分離タンク11とがガス配管等T11で接続され、流出口12bと圧送配管等T10におけるガス供給口G1aとがガス配管等T11で接続されている。コンデンサ12はガス分離タンク11から水蒸気を含むガスG1の流入を受け入れ、当該ガスを凝縮して、凝縮しきれない残りのガスを流出口12bから送出する。凝縮した凝縮物は排出口12cからドレンDとして排出される。
【0063】
上記残りのガスにも燃料ガスが含まれるので、この残りのガスを焼却工程P5で焼却することで、焼却工程P5にかかる燃料コストの削減化が図られる。ガス分離タンク11で分離してガスG1は水蒸気や燃料ガス、例えばメタンガス等を含むが水蒸気を多く含む。分離したガスG1を冷却等により凝縮させて生成した凝縮物は、大部分が水で構成されたものとなる。上記残りのガスは水蒸気が取り除かれているので、燃料ガスの濃度が相対的に高いものとなる。この燃料ガスを焼却の燃料の一部とすることで、焼却に必要な燃料費の削減につながる。
【0064】
(実施形態の変形例2)
実施形態の変形例2について、
図3を参照しつつ説明する。変形例2は、変形例1を基本としつつ、可溶化設備が有する熱交換器132が1つである点で変形例1と異なるものである。この場合、可溶化後の可溶化処理物が高温のままであるので、減圧することにより、可溶化処理物中の水分が水蒸気化しやすくなる。この水蒸気を冷却等により凝縮させ、除去することで、可溶化処理物の含水率がより低くなる。
【0065】
実施形態2では、下水汚泥Sと、高温の熱媒油Oとを間接的に熱交換する熱交換器132において、下水汚泥Sを可溶化させて、可溶化処理物を得る熱交換工程を有する。熱交換器132は、可溶化設備に導入された下水汚泥Sが流入する流入口132aと、下水汚泥Sが流れる流路と、下水汚泥Sが流出する流出口132bとを有する。また、熱交換器132は、高温の熱媒油Oが流入する流入口132cと、同熱媒油Oが流れる流路と、同熱媒油Oが流出する流出口132dとを有する。下水汚泥Sと熱媒油Oは、間接的に熱交換される。下水汚泥Sは、汚泥供給フィーダ10から切り出され、ポンプP1で配管等を圧送されて可溶化設備の流入口132aに流入する。汚泥供給フィーダ10と可溶化設備は配管等で接続されている。下水汚泥Sは、熱交換器132で可溶化処理されて可溶化処理物S2となり、流出口132dから流出して、ガス分離工程P3に導かれる。ガス分離タンク11の流入口11aと熱交換器132の流出口132dは配管等で接続されている。
【0066】
下水汚泥Sは、熱交換器132で高温に加熱され、また、高圧となる。下水汚泥Sは、100℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180~200℃に加熱されるのが好ましい。また、下水汚泥Sは、熱交換器132で、下限が被処理物に含まれる水分の蒸気圧以上とし、好ましくは汚泥搬送の動力を下げるため、2.0MPa以下に加圧されるのが好ましい。熱交換器132で180℃~200℃、1.4MPa以上、2.0MPa以下に制御することで、相対的に短い時間で下水汚泥を可溶化処理でき好ましい。
【0067】
熱交換器132の形式は、特に限定されずに用いることができるが、シェルアンドチューブ式(多管式熱交換器)とすると好適である。熱交換器132をシェルアンドチューブ式熱交換器とする場合は、チューブ部を下水汚泥Sが流れる流路とし、シェル部を熱媒油Oが流れる流路とする。
【0068】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明で開示される下水汚泥の処理方法及び処理設備は、下水汚泥を処理する施設であれば特に限定されずに用いることができ、例えば、ごみ焼却施設や下水処理施設で利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
11 ガス分離タンク
94 焼却設備
111 第3熱交換器
114 抽熱ボイラ
121 白煙防止予熱器
130 第1熱交換器
131 第2熱交換器
132 熱交換器
C1 圧力調節手段
C2 圧力調節手段
P1 第1熱交換工程
P2 第2熱交換工程
P3 ガス分離工程
P4 圧送工程
P5 焼却工程
P6 第3熱交換工程
TI0 圧送配管等
T11 ガス配管等