(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】医薬製剤を製造するシステムの弁ユニット
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20230316BHJP
A61M 39/22 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
A61M39/22 100
(21)【出願番号】P 2020511349
(86)(22)【出願日】2018-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2018072638
(87)【国際公開番号】W WO2019038318
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-28
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509063694
【氏名又は名称】フレゼニウス カービ ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ビエル, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ホック, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ティーデマン, ロタール
(72)【発明者】
【氏名】ベットナー, クラウス
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536169(JP,A)
【文献】特開平07-100212(JP,A)
【文献】特開2009-233154(JP,A)
【文献】特表2013-500060(JP,A)
【文献】特表平11-503926(JP,A)
【文献】特表2015-509421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61M 39/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤を製造するシステム(101)の弁ユニット(1)であって、複数の入口(3a~3l)と、出口(5)とを有するハウジング(2)を備え、
前記入口(3a~3l)は、少なくとも3方向弁として構成される弁(9)を介して前記出口(5)に接続可能であり、
複数の前記入口(3a~3l
)が、前記ハウジング(2)の側方に配置され、
互いに同じ方向に延在する入口のペアを複数含み、
前記複数の入口のペアのそれぞれが、複数の弁(9)のそれぞれに割り当てられ
、
前記出口(5)は、前記ハウジング(2)内に配置されたダクト(12)に接続され、該ダクト(12)は、前記入口が延在する方向と直交する方向に延び、側方に前記弁(9)へと通じる開口(13)を有する、弁ユニット。
【請求項2】
請求項
1に記載の弁ユニット(1)であって、前記弁(9)は、中央封鎖位置を有する3/3方向弁として構成され、
前記
複数の弁のそれぞれは、前記2つの入口のうち一方が接続される第1の開放位置と、前記2つの入口のうち他方が接続される第2の開放位置との間を移動可能であり、
前記中央封鎖位置は、前記第1の開放位置と前記第2の開放位置との間の中央に位置し、
前記弁は、前記中央封鎖位置に位置した状態で、前記入口と前記出口との接続を封鎖する
、弁ユニット。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の弁ユニット(1)であって、該弁ユニット(1)は、少なくとも4個の入口(3a~3l)を有す
る、弁ユニット。
【請求項4】
請求項
1から3のいずれか一項に記載の弁ユニット(1)であって、前記2つの入口(3a~3l)は、異なる高さレベルに配置され、上側入口(3a、3c、3e、3g、3i、3k)及び下側入口(3b、3d、3f、3h、3j、3l)を提供す
る、弁ユニット。
【請求項5】
請求項
4に記載の弁ユニット(1)であって、前記上側入口(3a、3c、3e、3g、3i、3k)及び前記下側入口(3b、3d、3f、3h、3j、3l)は、それぞれ互いに重なって配置され
る、弁ユニット。
【請求項6】
請求項
5に記載の弁ユニット(1)であって、前記弁(9)は、前記ハウジング(2)に、潤滑剤なしで、回転可能であるように挿入されるコックプラグ(10)を備え
る、弁ユニット。
【請求項7】
請求項
5または
6に記載の弁ユニット(1)であって、前記弁(9)は、コックプラグ(10)を備え、開放位置において、部分的に中空である前記コックプラグ(10)の内部空間を通して流体を導くことができ
る、弁ユニット。
【請求項8】
請求項
6または
7に記載の弁ユニット(1)であって、前記コックプラグ(10)は、少なくとも2つの貫通穴(15、16)を有し、該少なくとも2つの貫通穴(15、16)によって、前記弁(9)の開放位置において、前記弁(9)の1つの入口と前記出口との間にダクトがそれぞれ構成され、前記2つの貫通穴(15、16)は、前記コックプラグ(10)の長手方向軸を通って延在す
る、弁ユニット。
【請求項9】
請求項
8に記載の弁ユニット(1)であって、前記コックプラグ(10)は、弁ハウジング(14)にスナップ留めされるように取り付けられ
る、弁ユニット。
【請求項10】
請求項
9に記載の弁ユニット(1)であって、前記コックプラグ(10)は、外殻の外側に少なくとも1つのウェブ(17)を有し、前記弁ハウジング(14)は、前記ウェブ(17)を受けるために、凹部(14c)又は凸部(14c)を有す
る、弁ユニット。
【請求項11】
請求項
9または
10に記載の弁ユニット(1)であって、前記コックプラグ(10)の外殻面における前記2つの貫通穴(15、16)は、それぞれ1つの流入部(15a、16a)及び1つの流出部(15b、16b)を有し、前記2つの貫通穴(15、16)の前記流入部(15a、16a)は、異なる高さレベルにあり、上側流入部(15a)及び下側流入部(16a)を画定し、及び/又は、前記2つの貫通穴(15、16)の前記流出部(15b、16b)は、実質的に同一の高さレベルにあ
る、弁ユニット。
【請求項12】
請求項
11に記載の弁ユニット(1)であって、上側貫通穴(15)の前記上側流入部(15a)は、前記上側入口(3a、3c、3e、3g、3i、3k)と実質的に同一の高さレベルにあり、下側貫通穴(16)の前記下側流入部(16a)は、前記下側入口(3b、3d、3f、3h、3j、3l)と実質的に同一の高さレベルにあり、及び/又は、前記2つの貫通穴の前記流出部(15b、16b)は、前記ダクト(12)から側方に前記弁(9)へと通じる前記開口(13)と実質的に同一の高さレベルにあ
る、弁ユニット。
【請求項13】
医薬製剤を製造するシステム(101)であって、請求項1~
12のいずれか1項に記載の弁ユニット(1)を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤を製造するシステムの弁ユニットに関する。本発明は、特に、例えば、非経口栄養用の輸液パウチ又は輸液シリンジに充填を行うシステムの弁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製剤を製造するシステム、特に、非経口栄養用の製剤を製造するシステムは、例えば、薬局、調剤センター又は病院において、患者別の製剤、特に、種々の基本栄養素、微量元素、及びビタミンの混合物、任意にはそれとともに薬剤を充填するのに用いられる。
【0003】
このタイプのシステムは、TPNコンパウンダー(TPN=total parenteral nutrition:完全非経口栄養)とも称される。例えば、Fresenius社によるMultiComp(商標)システム等の実際に知られている市販されているシステムは、コンピューター制御のポンプユニットを備え、このポンプユニットにより、組成物の構成成分を、異なる原料容器から計量器上に位置する目標容器に移送する。
【0004】
少なくとも、全ての原料容器に利用可能でない別個のポンプの場合、異なる原料容器からの調量を、弁を用いて制御する必要がある。
【0005】
不都合点は、弁を設けることが複雑であることである。再使用可能な弁は、洗浄がしづらいことから、ほとんどの場合、考慮されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対して、本発明は、単純かつ小型に設計され、特に、単回使用部品、すなわち、いわゆる使い捨て物品として十分にコスト効果的に設けることもできる、医薬製剤を製造するシステムの弁ユニットを提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項のうちの1つに記載の弁ユニットによってもはや達成される。
【0008】
本発明の好ましい実施形態及び改良形態は、それぞれの独立請求項の主題、明細書、及び図面から得られる。
【0009】
本発明は、医薬製剤を製造するシステムの弁ユニットに関する。特に、弁ユニットは、システムに取り付け、使用後に再び取り外すことができる。
【0010】
本発明は、特に、非経口栄養剤を調製するシステム、すなわち、患者別の組成物における異なる原料容器からの成分を目標容器に供給するのに用いるシステムの弁ユニットに関する。
【0011】
弁ユニットは、複数の入口を有するハウジングを備え、入口は、弁を介して出口に接続可能である。目標容器は、出口を介して充填される。
【0012】
弁ユニットは、特に、交換可能な単回使用部品として、好ましくはカートリッジ式に構成される。弁は、開閉を機械的に作動する係合手段を有する。
【0013】
特にスロットとして構成される上記係合手段により、ハウジング内に位置する弁を、システム内に存在するモーターによって作動させる、特に開閉することができる。
【0014】
実際には、複数の弁を同時に作動させることができるが、通常は、システムの動作中、常に1つの弁のみが開放され、それにより、1つの原料容器のみから液体を回収することができる。そのため、目標容器を充填するために、異なる構成成分が、様々な原料容器から様々な入口を介して上記目標容器に連続的に移送される。
【0015】
本発明によれば、弁は、少なくとも3方向弁として構成される。このタイプの弁ユニットは、3方向弁を用いることにより、単純かつ小型の設計で実現することができることが実証されている。この多方向弁は、少なくとも2つの入口及び1つの出口を有し、それにより、2つの原料容器を単一の弁に接続することができる。本発明によれば、又は好ましくは、少なくとも一部の入口がハウジングの側方に配置される。本発明の1つの実施形態において、弁ユニットの全ての入口がハウジングの側方に配置される。入口は、ハウジングの両側に配置されることが好ましい。このため、弁ユニットに取り付けられるホースを導くことが特に向上され得る。例えば、ホースは、あまり捻じ曲げられなくなる。その結果、より単純な液体経路が得られる。
【0016】
特に、1つの封鎖位置、好ましくは中央封鎖位置を有する3/3方向弁として構成される弁が用いられる。したがって、単一の弁により、2つの原料容器の入口を開閉することができる。
【0017】
弁は、コックプラグ弁として構成されることが好ましい。
【0018】
本発明の1つの実施形態の場合、弁は、好ましくは直線の少なくとも2つの列に配置される。列に存在する弁は、相互にオフセットされるように配置されることが好ましい。1つの列の1つの弁は、他の列の対向する2つの弁に対して真ん中にあるように配置されることが好ましい。
【0019】
したがって、弁ユニットの平面図において見た場合、弁、ひいては機械的に作動する係合手段は、弁同士を接続する仮想直線が直角に交差する構成を形成しない。
【0020】
むしろ、弁、ひいては機械的に作動する係合手段は、六方最密充填の法則に従うが、相互に離間するように配置されることが好ましい。
【0021】
したがって、弁は、互いにより密に配置することができ、そのため、同様により小型設計の実施形態が可能になる。この結果、特に、弁ユニットの体積が低減され、したがって、デッドボリュームが低減される。
【0022】
これに対して、弁の入口は、列にして側方に配置することができる。
【0023】
1つの実施形態において、2つの側方入口が各弁にそれぞれ割り当てられる。2つの入口は、異なる高さレベルに配置されることが好ましい。上記入口は、上側入口及び下側入口を提供する。上側入口及び下側入口は、特に、互いに重なって配置される。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、片側の入口は、好ましくは直線の少なくとも2つの列に配置される。この片側の入口は、他方の側の入口に対してオフセットされるように配置されることが好ましい。1つの弁の2つの入口は、それぞれ、他方の側の弁の対向する2つの入口に対して真ん中にあるように配置されることが好ましい。
【0025】
弁は、弁ユニットのハウジングのダクトに隣接することが好ましく、開口は、ダクトと弁の出口との間に存在する。ダクトは、横方向に弁に通じる開口を有することが好ましい。
【0026】
開口は、それぞれ、例えば、弁ハウジングが回転対称形状を有し、弁のコックプラグをこの回転対称形状において回転させることができるようにして実現することができる。弁ハウジングは、実質的に円筒形になるように構成されることが好ましい。この円筒形状は、平面図において、ダクトに重なっており、そのため、開口、ひいては3方向弁の吐出ユニットは、この重なり点において構成される。
【0027】
また、ダクトは、目標容器を充填する役目を果たす弁ユニットの出口に接続される。
【0028】
ダクトは、少なくとも弁の領域において、一貫した直径を有することが好ましい。これにより、好ましくは同一の実施形態の弁が、同一サイズの開口によってダクトにまた接続されることになり、これにより、さらに、開放状態における様々な弁の同一の流量又は流れ抵抗が保証される。
【0029】
弁ユニットのハウジングは、射出成形部品として構成されることが好ましい。弁ハウジングの材料は、弁コックプラグの材料と同じ材料であるか又は同じ材料を含む。弁ハウジングの材料は、例えば、コポリエステルであるか又はコポリエステルを含む。
【0030】
ハウジングは、特に、立方体の基本形状を有することができる。
【0031】
本発明の1つの実施形態の場合、ハウジングの底部は開放しており、ハウジングがシステムの上に配置されるとシステム関連の駆動手段を受ける役目を果たす。
【0032】
弁、特に、コックプラグを受ける役目を果たす弁ハウジングは、ハウジングのプレートの一部とすることができる。
【0033】
本発明の1つの実施形態の場合、ダクトは、一体構成のハウジング部分、特に一体構成のハウジングに配置される。
【0034】
弁ユニットは、単回使用のいわゆる「使い捨て」のものとして提供されることが好ましい。単回使用とは、洗浄して再使用することが想定されていない弁ユニットの設計実施形態として理解される。
【0035】
本発明の1つの改良形態において、弁ユニットの入口は、それぞれ1つのホースを備え、少なくとも2つの直径のホースが設けられる又は設けられ得る。
【0036】
特に、いわゆる微量用の、すなわち、例えば、微量元素、ビタミン、又は他の媒体を含み、比較的少ない容量で供給される製剤用の原料容器のホースは、主要構成成分、例えば、糖液、脂肪酸、アミノ酸を調量するのに用いるホースよりも小さな内径を有して設計されるように意図される。比較的細いホースは、例えば、上記のより太いホースの内径の少なくとも半分未満の直径を有することができる。
【0037】
1つの実施形態の場合、異なる長さを有するホースを用いることも意図される。特に、製剤の主要構成成分を調量する比較的太いホースは、より長く構成されることが意図される。したがって、比較的大きな原料容器は、システムのより遠くの位置から、例えばバーから吊るすことができる。比較的小さな原料容器は、弁ユニットのより近くに配置することができ、これにより、弁ユニットを交換する際に、これらの高価であることが多い製剤の構成成分の取り残される残量が更に低減される。
【0038】
弁ユニットは、特に、2の倍数の個数の入口を有する。弁ユニットは、少なくとも4個、特に好ましくは少なくとも8個、特に最も好ましくは12個の入口を有することが好ましい。
【0039】
弁ユニットは、システムに取り付けることができる。弁ユニットのハウジングは、システムに簡単に取り付けることができるように、特に、掛止手段を備えることができる。
【0040】
システムの使用後、弁ユニットは、システムから再び取り外し、好ましくは新しい弁ユニットと交換することができる。したがって、この変形形態における上記掛止手段は、解除可能であるように設計される。掛止手段は、弁ユニットの1つの側から見た場合に好ましくは解除可能であり、そのため、掛止機構は、例えば正面から解除することができ、弁ユニットを容易に取り外すことができる。これは、例えば、システム上の形状嵌合要素に、及び弁ユニットの反対側にある弾性の(sprung)掛止フックに係合するカラーを用いて実現することができる。
【0041】
本発明の1つの実施形態において、弁ユニットは、特にコポリエステル製のコックプラグを有する弁を備え、コックプラグは、潤滑剤なしでハウジングに挿入されることが好ましい。1つの実施形態において、コックプラグは、熱可塑性エラストマーによって設けられる。
【0042】
実質的に円筒形に構成され、円筒形に構成された弁ハウジングに圧入されるコックプラグによって、確実なシール効果を非常に単純な方法で得ることができることが実証されている。
【0043】
コックプラグの下側には、係合要素、特にスロットを有することが好ましく、このスロットにより、コックプラグを、システム上に存在する弁制御ユニットを用いて、システムからモーターによって作動させることができる。
【0044】
弁ユニットは、ホース及びホースのコネクタを除き、ハウジング及びハウジングに挿入されるコックプラグのみによって構成することができ、したがって、少数の部品から単純な方法で構成される。
【0045】
弁ハウジングの上側は、好ましくは少なくとも部分的に閉鎖しており、それにより、コックプラグは、挿入方向にデテントを有する又は有し得る。これにより、弁ユニットが組み立てられるときに、コックプラグが弁ハウジングから突き出ることが防止される。一方、コックプラグは、2つの部分を有して具現することができる。上記コックプラグは、より大きな直径を有する下部と、下部に隣接する上部とを有することができる。上部は、表面シールによってシールを達成することが好ましい。下部は、弁ハウジングへの組付けの際、特に係合要素をもたらすデテントとして機能することができる。意図される使用に従ってシステムの上に弁ユニットが配置されると、これにより、コックプラグは、1つの方向にはデテントによって、及び他の方向にはシステムの動力付き駆動部の係合手段によって、位置が固定される。
【0046】
1つの更なる実施形態において、コックプラグは、弁ハウジングにスナップ留めされるように取り付けられる。このために、コックプラグは、外殻の外側に少なくとも1つのウェブを有することが好ましい。弁ハウジングは、ウェブを受ける凹部又は凸部を提供する。この設計実施形態は、コックプラグが、回転動作によってカートリッジから抜ける(unscrewed)ことを防止し、したがって、このカートリッジに位置が固定された状態で組み込まれるように機能する。
【0047】
本発明の1つの改良形態の場合、弁ユニットの出口は、例えば少なくとも3つの部分を含むホースに接続され、この場合、中央部分は、隣接部分に対して拡大した断面を有する。
【0048】
特に、出口に存在するホースは、蠕動ポンプ、特にホースポンプ、例えば、ローラーポンプ又はフィンガーポンプ用に使用され、この場合、中央部分がポンプに挿入されることが意図される。このタイプのポンプの場合、ホースを周期的に締め付けることによって媒体が運ばれる。ホースの中央部分の拡大断面は、この断面を、使用する蠕動ポンプ用に用いることができるように選択される。他の2つのホース部分の断面は、必要とされる体積流量に鑑みて考慮されることが好ましい。
【0049】
したがって、原料容器から目標容器の接続部までの総距離部分は、単回使用部品として構成される。移送される媒体と接触する構成要素、例えば、ポンプの部分は存在しない。
【0050】
さらに、本発明は、医薬製剤を製造するシステムの弁ユニット、特に、1つ又は複数の上記特徴を有する弁ユニットに関する。
【0051】
弁ユニットは、同様に、複数の入口を有するハウジングを備え、入口は、弁を介して出口に接続可能である。
【0052】
本発明によれば、弁は、ハウジングに挿入されるコックプラグを備える。弁は、弁ユニットのハウジングに構成されている弁ハウジング内に単に圧入されることが好ましく、上記弁ハウジング内にスナップ留めされるように取り付けられることが好ましい。
【0053】
1つの実施形態において、弁は、コックプラグを備え、開放位置において、部分的に中空であるコックプラグの内部空間を通して流体を導くことができる。
【0054】
弁ユニットの1つの好ましい実施形態において、コックプラグに組み込まれた少なくとも2つの貫通穴を介して流体が導かれる。2つの貫通穴は、コックプラグの長手方向軸を通って延在することが好ましい。
【0055】
2つの貫通穴は、コックプラグの外殻面において、それぞれ1つの流入部及び1つの流出部を有し、2つの貫通穴の流出部は、実質的に同一の高さレベルにあることが好ましい。特に、2つの貫通穴の流出部は、ダクトから側方に弁へと通じる開口と実質的に同一の高さレベルにあることが好ましい。
【0056】
これに対して、2つの貫通穴の流入部は、異なる高さレベルにあることが好ましい。上記流入部は、上側流入部及び下側流入部を画定する。上側流入部は、2つの流出部の上方に位置する。下側流入部は、2つの流出部の下方に位置する。ここでは、上側貫通穴の上側流入部は、上側入口と実質的に同一の高さレベルにあることが好ましい。他方の下側貫通穴の下側流入部は、1つの下側入口と実質的に同一の高さレベルにあることが好ましい。
【0057】
本発明の更なる態様によれば、1つの弁ユニットの入口は、それぞれ、例えば、溶接又は接着によりハウジングに分離不能に接続される1つのホースを備える。
【0058】
分離不能な接続とは、意図される使用では、破壊せずに解除することができない接続として理解される。
【0059】
これにより、使用者がホースを接続する必要がないことから、弁ユニットの使用は簡略化される。また、一方では、コネクタを取り違える可能性がないことから、また他方では、個々のホースを許容されない方法で複数回用いることができないことから、安全性が向上する。
【0060】
弁ユニットは、ホースを介して原料容器に接続される。上記弁ユニットは、例えば、複数の目標容器に特定の体積量を充填するか、又は特定の時間にわたって使用するように意図される。弁ユニットは、既定の体積が通過した後及び/又は既定の時間が経過した後、取り外され、新しい弁ユニットに交換される。
【0061】
ハウジングの出口も、製剤を目標容器に移送するのに用いるホースに分離不能に接続されることが好ましい。この接続は、入口とホースとの間の接続と同様の方法で構成することができる。
【0062】
本発明の主題は、例示的な一実施形態を参照するとともに、図面の
図1~
図8bを用いて、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】医薬製剤を製造するシステムの概略図である。
【
図2】本発明に係る弁ユニット(ホースなし)のワイヤフレーム斜視図である。
【
図3c】弁ユニットの2つの側壁のうちの一方の斜視図である。
【
図3d】弁ユニットの2つの側壁のうちのもう一方の斜視図である。
【
図4a】
図2の長手方向軸Lに沿った弁ユニットの断面斜視図である。
【
図4b】
図2の横断方向軸Qに沿った弁ユニットの断面斜視図である。
【
図5a】コックプラグが挿入されている弁ユニットの底面図である。
【
図5b】弁ユニットに対するシステム上の関連するレセプタクルの斜視図である。
【
図6a】弁ユニットに挿入されるコックプラグの上面図である。
【
図6b】弁ユニットに挿入されるコックプラグをおよそ90度ずつ回転させた側面図のうちの一図である。
【
図6c】弁ユニットに挿入されるコックプラグをおよそ90度ずつ回転させた側面図のうちの一図である。
【
図6d】弁ユニットに挿入されるコックプラグをおよそ90度ずつ回転させた側面図のうちの一図である。
【
図6e】弁ユニットに挿入されるコックプラグの側面断面図である。
【
図6f】弁ユニットに挿入されるコックプラグの底面図である。
【
図6g】弁ユニットに挿入されるコックプラグの更に回転させた側面断面図である。
【
図7a】コックプラグが様々な弁位置において挿入されている弁ユニットの断面図のうち、閉鎖位置を示す図である。
【
図7b】コックプラグが様々な弁位置において挿入されている弁ユニットの断面図のうち、上側通路開口が開放している開放位置を示す図である。
【
図7c】コックプラグが様々な弁位置において挿入されている弁ユニットの断面図のうち、下側通路開口が開放している開放位置を示す図である。
【
図8a】複数の弁ユニットのシステムにおける、弁ユニットを伴わないレセプタクルの斜視図である。
【
図8b】複数の弁ユニットのシステムにおける、弁ユニットが上に配置されているレセプタクルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1の斜視図は、非経口栄養製剤の形態の医薬製剤を製造するシステム101を示している。
【0065】
ここでは、システム101は、モジュール式構造を有し、主モジュール102を備える。主モジュール102は、好ましくはホースポンプ(例えば、蠕動ポンプ)として構成されたポンプ109を備える。主モジュール102は、スキャナー112を更に備え、スキャナー112によって、目標容器106及び/又は原料容器105及び/又は関連するホース上の調剤データ、バーコードを読み取ることができる。
【0066】
目標容器106自体は図示されておらず、計量器モジュール103上での目標容器106の位置のみが示されている。1つの弁ユニット1に対するレセプタクル21が、主モジュール102の上側に配置されている。一方、複数の弁ユニット1を、カスケード式に接続されるように設けることもできる(これについては
図8a及び
図8bを参照)。弁ユニットは、弁ノードと称することもできる。
【0067】
主モジュール102とは別に、システム101は、計量器モジュール103及び表示画面モジュール104を備える。計量器モジュール103は、目標容器106(本図には示されていない)を配置することができる計量器トレイ107を備える。ここでは、計量器モジュール103及び主モジュール102は、計量器モジュール103と主モジュール102とが一貫した相互位置に置かれることを確実にするサブフレーム111上に配置される。
【0068】
計量器モジュール103と主モジュール102との間の中間空間には、計量器トレイ107が部分的に架け渡され、したがって、目標容器106の接続部が主モジュール102のハウジングの上側の近くに位置する。さらに、計量器トレイ107は、主モジュール102の方向において、水平平面に対して上方に傾斜する。このため、目標容器106のコネクタは、同様に、主モジュール102の上側の近くに移動する。これにより、目標容器106を弁ユニット1に接続するホースの長さが低減される。ホースは、この図には示されていない。
【0069】
複数の原料容器105が配置されるバー108が更に見て取れる。システム101を動作させるために、原料容器105は、単数又は複数の弁ユニット1にホースを介してそれぞれ接続される。ここで、目標容器106を接続するのに用いられるホースは、ホースポンプ109を通して導かれる。ホースポンプ109により、所望の製剤を、コンピューター制御によって、弁ユニットを介して目標容器106に移送することができる。ここでは、弁ユニットは、単一の弁ノード1から構成される。
【0070】
充填手順において、弁9のうちの1つが開放され、調量ステップにおいて、液体をポンプ109によって原料容器105から目標容器106に圧送するようになっている。その後、次の弁9が開放される。充填手順が完了するまで、液体が様々な原料容器105から回収される。
【0071】
各個別の調量ステップ中、原料容器105に通じる1つの弁9のみが一度に開放されることが好ましい。したがって、液体は、一度に1つの原料容器105のみから回収されることが好ましい。
【0072】
図2及び
図3a~
図3dの様々な図は、好ましくは単回使用部品として構成されている弁ユニット1の一実施形態を示している。弁ユニット1は、一体となるように構成されることが好ましい。
【0073】
弁ユニット1は、プラスチック材料製のハウジング2を備える。上記ハウジング2は、カートリッジ式に構成することができる。ハウジング2は、上側と、下側と、出口5の方向にある前側と、コネクタ7の方向にある後側とを有する。側壁は、側方に配置される。上記側壁は、前側と後側との間に位置する。
【0074】
立方体となるように構成されたハウジング2は、ここでは、側方に複数の入口3a~3lをそれぞれ有する。この例示的な実施形態では、12個の入口3a~3lが存在し、そのうち、片側の6つの入口3a~3fのみを見て取ることができる。弁ユニット1は、より多数又はより少数の入口3a~3lを有するように構成することもできる。ここでは、入口3a~3lは、ハウジング2の上側に対して実質的に平行となるように、又は(組付け状態では)システム101の上側に対して平行となるように配置される。入口3a~3lは、実質的に水平となるように配置される。
【0075】
ハウジング2は、2cm~6cmの高さ、6cm~12cmの幅、及び3cm~8cmの奥行きを有することが好ましい。
【0076】
2つの入口、例えば、この例示的な実施形態では、入口3a及び3b、同じく入口3c及び3d、並びに3e及び3fがそれぞれ、ここでは3方向弁9として構成された1つのみの弁9によってそれぞれ開閉される。
【0077】
図示の弁ユニット1の実施形態の変形形態は、6つの3方向弁を備える。各入口3a~3lは、1つの可撓性ホース4(図示せず)に接続される。1つの実施形態において、ホース4は、入口3a~3lに接続、好ましくは溶接又は接着され、上記ホース4を破壊せずに外すことができなくなっている。ホース4は、より小径又はより大径を有することができる。より小径のホース4は、微量の調量の機能を果たすことができる。
【0078】
目標容器106(図示せず)は、出口5及び出口5に好ましくは同様に分離不能に接続されたホース6(本図には示されていない)を介して充填することができる。
【0079】
この例示的な実施形態では、出口5の反対側に更なるコネクタ7が設けられる。弁ユニット1は、コネクタ7によって両側から接続することができる。不要な出口5又はコネクタ7は、それぞれ容易に閉鎖することができる。
【0080】
また、
図3bの図において、特に弁ユニット1をシステム101に掛止する掛止フック8が見て取れる。その反対側では、ハウジング2は、システム上の形状嵌合要素の下に係合するカラー19によって保持される。
【0081】
弁ユニット1を取り外すには、使用者は、弾性の掛止フック8のつまみ20を正面から上方に引くだけでよく、掛止機構が解除されることにより、弁ユニット1を取り外すことができる。
【0082】
さらに、弁9が見て取れる。弁9の弁ハウジング14は、ハウジング2の上側から突出している。図では1つの弁9のみに参照符号が付されている。
【0083】
それぞれ2つの入口3a~3lに対する弁9は、同一となるように構成されることが好ましく、そのため、弁9に関する以下の記載は、弁ユニット1の弁9の全てに当てはまる。
【0084】
ここで参照符号9によって示されている弁9は、入口3a及び3bを作動させる機能を果たす。入口3a及び3bは、ハウジング2の側方に配置される。入口3a及び3bは、相互に隣接する。上記入口3a及び3bは、ここでは互いに重なって位置する。
【0085】
弁ハウジング14は、入口3a、3bの内径の1.1倍~1.5倍の内径を有することが好ましい。例えば、弁ハウジング14は、0.5cm~1.5cmの内径を有し、及び/又は、入口3a、3bは、0.25cm~0.75cmの内径を有する。
【0086】
図5aは、コックプラグが挿入されている弁ユニットの底面図を示している。弁9は、それぞれ1つの圧入コックプラグ10を備え、圧入コックプラグ10は、モーターによって作動する駆動部に対する係合要素として機能するスロット11を有する(これについては、
図5b及び
図8aにおける係合要素23を有する連動要素(entrainment elements)22を参照)。
【0087】
入口3a~3lの完全な開放は、コックプラグ10のおよそ45度~70度、すなわち45度を超えて70度までの回転によって果たされる。入口3a~3lの完全な開放は、コックプラグ10のおよそ6分の1回転によって果たされることが好ましく、この場合、1つのコネクタは、1つの方向に回転すると開放し、他のコネクタは、他の方向に回転すると開放する。したがって、2つの開放位置に達する回転は、実質的に、中央閉鎖位置に対して±60度で果たされる。したがって、好ましくは中央閉鎖位置を有する3/3方向弁が用いられる。
【0088】
平面図において、コックプラグ10は、2つの直線列a及びbに配置される(
図5aを参照)。列aのコックプラグ10は、それぞれ対向する列bのコックプラグ10に対して、軸方向にオフセットされている。
【0089】
列bのコックプラグ10は、中央位置にあり、したがって、対応する弁9は閉鎖している。列aの中央のコックプラグも同様に閉鎖している。これに対して、列aの左側のコックプラグ10は、およそ6分の1回転だけ右に回転しており、下側の入口3bは開放している。これに対して、列aの右側のコックプラグ10は、およそ6分の1回転だけ左に回転しており、上側の入口3aは開放している。
【0090】
ただし、医薬製剤を製造するシステム101の動作において、調量ステップ中、一度に1つの弁9のみが通常、開放されることが理解される。詳細には、この例における弁9は、入口3a~3lのうちの1つの入口に関してのみ開放される。
【0091】
弁ハウジング14は、ハウジング2内又はハウジング2上の好ましくは円筒形のダクトによって実質的に形成され、このダクトは、ハウジング2の下側からハウジング2内又はハウジング2へと通じることを見て取ることができる。コックプラグ10は、ハウジング2の下側を介してハウジング2又は弁ハウジング14のそれぞれに圧入される。弁ハウジング14におけるコックプラグ10の係止は、スナップ留め接続によっても行われる。このために、コックプラグ10の外側に構成されたウェブ17が、弁ハウジング14の内側の凹部14cに係合する。代替的には、ウェブ17は、弁ハウジング14内の凸部14cの後ろに係合することができる。
【0092】
各弁ハウジング14は、外側に向かって側方に、弁における入口3a又は3bにそれぞれ通じる2つの開口14a、14bを有する。
【0093】
コックプラグ10の2つの開放位置において、一方の入口3aから開口14aを介して、又は他方の入口3bから開口14bを介して、流体がコックプラグ10を通過することができ、開口13を介して、弁ハウジング14を出て中央ダクト12に進む。この例示的な実施形態において、開口14a、14bは、実質的に丸みのある、好ましくは円形の穴として構成される。上記開口14a、14bは、中央ダクト12の中央に対して上及び下の高さレベルにあることが好ましい(これについては
図4b及び
図7aを参照)。
【0094】
弁ハウジング14の円筒形状は、特にダクト12に重なる。こうして形成された弁ハウジング14の開口13は、ダクト12へと開口する。流体は、開口13を介してダクト12に流入することができる。
【0095】
図4は、長手方向軸Lに沿った弁ユニット1の断面斜視図を提示している。ダクト12は、少なくとも弁9の領域において、実質的に一貫した断面を有することが好ましい。これにより、全ての弁9の場合に同一のサイズの開口13が確保され、ひいては、開放状態において全ての弁9に略同一の流量が保証される。開口13は、実質的に長円形であり、ハウジング2の長手方向軸Lの方向により長くなっていることが好ましい。
【0096】
図4bは、横断方向軸Qに沿った弁ユニット1の断面斜視図を提示している。入口3e及び3fの断面図が示されている。上記入口3e及び3fは、ハウジング2の側方に配置される。入口3e及び3fは、ハウジング外側から弁ハウジング14まで延在する。上記入口3e及び3fは、外側から内方に向かって先細りとなった断面を有し、開口14a及び14bのそれぞれを介して、弁ハウジング14にそれぞれ開口する。
【0097】
各入口3e又は3fは、弁ハウジング14に圧入されるコックプラグ10を介して、弁ユニット1の中央ダクト12に接続することができる(これについては
図7a~
図7cを参照)。
【0098】
弁ハウジング14は、上側に通気穴を有することができる(図面には示されていない)。これに対して、本例では、コックプラグ10の上側に凹部18が設けられる(これについては
図6gを参照)。弁ハウジング14内に存在する空気は、コックプラグ10が圧入されるときに上記凹部18を介して漏出することができる。
【0099】
図7a~
図7cは、様々な位置における弁9の断面図を示している。
【0100】
図7aによる図において、弁9のコックプラグ10は、最初は、閉鎖位置、好ましくは中央閉鎖位置に位置する。ダクト12と弁ハウジング14との間の開口13は、コックプラグ10によって閉鎖されている。このため、流体は、入口3e及び開口14a又は入口3f及び開口14bをそれぞれ介してダクト12に進むことができない。弁ハウジング14に対する弁9又はコックプラグ10のシールは、それぞれ、表面シールによって行われる。ここでは、コックプラグ10の外側は、弁ハウジング14の内側にシールされて保持される。
【0101】
図7bは、第1の開放位置における弁9を示している。コックプラグ10の上側通路開口15は、入口における開口14aをダクトにおける開口13に接続している。システム101の動作において、液体は、これ以降、入口3eに接続されている原料容器105から回収することができる。詳細には、この場合、入口3eからの液体は、開口14aを介して、上側通路開口15の上側流入部15aに流入し、コックプラグ10に流入する。次いで、液体は、通路開口15の下側流出部15b及びダクトにおける開口13を介してダクト12に流入する。流体の流れは、図示の2つの矢印によって示されている。
【0102】
次に、
図7cは、第2の開放位置における弁9を示している。
図7cによる図は、
図7bの図に対応するが、相違点は、コックプラグ10が、
図7aに示されている中央閉鎖位置を起点に、およそ6分の1回転だけ反対方向に回転していることである。
図7cに見て取ることができるように、入口3fは、これ以降、ダクト12に接続される。コックプラグ10の下側通路開口16は、入口における開口14bをダクトにおける開口13に接続している。システム101の動作において、液体は、これ以降、入口3fに接続されている原料容器105から回収することができる。詳細には、この場合、入口3fからの液体は、開口14bを介して、下側通路開口16の下側流入部16aに流入し、コックプラグ10に流入する。液体は、通路開口16の上側流出部16b及びダクトにおける開口13を介してダクト12に流入する。流体の流れは、図示の2つの矢印によって示されている。
【0103】
図6aから
図6gは、弁ユニット1に挿入されるコックプラグ10の様々な図を示している。
【0104】
コックプラグ10の下側には、駆動部に対する係合要素としてのスロット11を有する(これについては
図5a及び
図5bも参照)。
【0105】
コックプラグ10は、少なくとも部分的に又は実質的に円筒形であるように構成される。上記コックプラグ10は、上部10-1及びより幅広の下部10-2を有する。コックプラグ10は、1cm~3cmの高さを有することが好ましい。上部10-1は、0.5cm~1.5cmの直径を有し、及び/又は、下部10-2は、1cm~2cmの直径を有する。
【0106】
コックプラグ10は、上部10-1によって、弁ハウジング14に圧入される。ここでは、上部10-1は、実質的に表面シールを提供する。これに対して、下部10-2は、圧入時にデテントを提供する。環状隆起部17が、上部10-1の下側領域に設けられる。この形成されたウェブ17は、弁ハウジング14上の凸部14c又は弁ハウジング14内の凹部14cと併せて、掛止接続を提供する。
【0107】
弁9におけるダクトを開放状態において解放するために、コックプラグ10は、2つの通路開口15及び16を有する。通路開口15及び16は、コックプラグ10の中心軸を通って延在する。ただし、上記通路開口15及び16は、交わらない。上記通路開口15及び16は、相互に分離している。
【0108】
頂部の流入部15aを有する第1の上側通路開口15と、底部の流入部16aを有する第2の通路開口16とが存在する。上側通路開口15の流出部15b及び下側通路開口16の流出部16bは、コックプラグ10の1つの高さレベルにある。したがって、コックプラグ10の回転により、上側通路開口15又は下側通路開口16のいずれかを、ダクトにおける開口13を介してダクト12に接続することができる。
【0109】
2つの通路開口15及び16の流出部15b及び16bは、およそ120度だけ相互にオフセットされるように、コックプラグ10の外殻にそれぞれ配置される。2つの通路開口15及び16の流入部15a及び16aも、およそ120度だけ相互にオフセットされるように、コックプラグ10の外殻にそれぞれ配置される。通路開口15及び16は、2mm~5mmの直径を有する。
【0110】
図5bは、弁ユニット1に対するシステム上の単一のレセプタクル21の詳細斜視図を示している。
【0111】
レセプタクル21は、弁ユニット1の掛止フック8及びカラー19に対する形状嵌合要素として機能する、台座25及び突出した周縁部24を有する。レセプタクル21は、システムにおけるモーターによって回転させることができる連動要素22を更に備える。
【0112】
連動要素22は、コックプラグ10と対応する様式で、2つの直線列に配置され、1つの列の連動要素22は、他の列の連動要素22に対して軸方向にオフセットされている。
【0113】
連動要素22は、スクリュードライバーのように形成されているとともに、弁ユニット1に対する掛止状態においてコックプラグ10のスロット11に係合する係合要素23を有する。これにより、コックプラグ10を回転させることができ、連動要素22によって弁9を作動させることができる。
【0114】
図5bは、単一の弁ユニット1を取り付ける単一のレセプタクル21を示しているが、これに対して、
図8aは、複数の弁ユニット1を取り付ける複数のレセプタクル21が設けられる一実施形態を示している。詳細には、ここでは、3つの弁ユニット1が組み付けられる3つのレセプタクル21が例示的に示されている。
【0115】
最後に、弁ユニット1が上に配置されているシステム上のレセプタクル21が、
図8bに示されている。ここに図示されている弁ユニット1は、単に例示の役目を果たし、本発明の主題ではない。個々の弁ユニット1は、
図8bに示されているホース6を介して互いに接続することができる。このため、原料容器15を12個よりも多く備えるシステム101を動作させることができる。
【0116】
本発明により、医薬製剤、例えば非経口栄養剤を製造するシステムの丈夫で信頼性のある弁ユニットを提供することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 弁ユニット
2 ハウジング
101 システム
102 主モジュール