IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイオーティックラブ・エッセ・エッレ・エッレの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】血管のための経カテーテル人工弁
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230316BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20230316BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/95
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020514782
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 IB2018052807
(87)【国際公開番号】W WO2018211344
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】17171583.2
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519408397
【氏名又は名称】エイオーティックラブ・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ・パスクウィーノ
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・ボネッティ
(72)【発明者】
【氏名】フランコ・オスタ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーノ・オスタ
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/040923(WO,A1)
【文献】特表2010-517622(JP,A)
【文献】特表2014-519370(JP,A)
【文献】特表2010-536504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0035721(US,A1)
【文献】特表2006-507862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0342717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管のための経カテーテル仮人工弁であって、
遠位端と近位端とを有する拡張可能支持構造(5’’)と、
前記遠位端に位置する弁(7)と、
フィルタ(12)と、
前記近位端に配置された漏斗部分と、前記遠位端に配置された管状部とを含む自己調心コンベヤ(6)と
を含み;
前記拡張可能支持構造(5’’)は、拡張されると、管状形状を有し、
前記自己調心コンベヤ(6)、前記漏斗部分、および前記管状部は、前記拡張可能支持構造(5)内を前記近位端から前記遠位端まで延び、他のデバイスを経カテーテル仮人工弁に導入するように構成された中央通路を含む、前記経カテーテル仮人工弁。
【請求項2】
前記フィルタ(12)および前記自己調心コンベヤ(6)は、単一の要素を形成するように組み合わせられる、請求項1に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項3】
前記フィルタ(12)は、前記拡張可能支持構造(5)の内壁に接して配置される、請求項1に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項4】
自己調心コンベヤ(6)の遠位端は、他のデバイスのための漏れのない導入器として働くように要求に応じて横断される、二方向常閉弁を含むことを特徴とする、請求項3に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項5】
前記弁(7)は、いくつかの弁尖を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項6】
急性の深刻な弁不全の場合の血液循環を支援する機能を含む、解剖手術部位に展開され位置決めされるように適用される、請求項1~5のいずれか1項に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項7】
急性の深刻な大動脈弁不全の場合の血液循環を支援する機能を含むように適用される、請求項6に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項8】
大動脈上血管に沿って配置されるように適用され、それらを塞栓するデブリを防ぐ、大動脈上血管デフレクタ(9)を含む、請求項7に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項9】
冠動脈口の正面に配置されるように適用され、冠動脈内へのデブリの塞栓を防ぐ、2つの冠動脈デフレクタ(8)を含む、請求項7または8に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項10】
前記弁(7)、前記フィルタ(12)および前記自己調心コンベヤ(6)は、前記拡張可能支持構造(5’’)内に配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の経カテーテル仮人工弁。
【請求項11】
前記拡張可能支持構造(5’’)は、内側カテーテル(3’)を結合するように適用された複数の係留ストラット(4’、4’’)を含む円錐形終端を有し、前記拡張可能支持構造(5’’)は、係留ストラット(4’、4’’)を引っ張ることで拡張状態から圧縮状態へと折り畳み可能である、請求項1~10のいずれか1項に記載の経カテーテル仮人工弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば大動脈弁である天然弁の置換の修復の間に血管内に位置決めされるように設計された拡張可能人工弁に関する。
【背景技術】
【0002】
経カテーテル人工心臓弁の植え込み(TAVI)に関連する臨床合併症は、主に、それが疾患のある天然弁にオーバーラップするということに関連している。弁装置および周囲組織を巻き込む組織石灰化が多量に存在することは、プロテーゼの適当な展開に影響を与え、それによって塞栓症状出現の状態が生み出される。
【0003】
したがって、TAVI植え込みに関連する様々なタイプの臨床合併症は、主に、天然弁の異栄養性石灰化、および人工弁の不均等な展開に関連しており:
・中度-重度の心臓弁膜周囲の漏れ(グレードII)の発生
・塞栓事象(血塊および線維または石灰の塞栓)の発生
である。
【0004】
経カテーテル人工大動脈弁植え込み後の中度-重度の心臓弁膜周囲の漏れ(PVL)の発生は、この特定の患者サブグループについて、1年を通じた死亡率のピークでの少なくとも10%である。
【0005】
第2世代の経カテーテル心臓弁に相当する臨床データは、実質的に、PVLの懸念がある第1世代のものよりも良い。実際、中度のPVLの発生は、3.4%まで下がったが、様々な著者が、「高いカルシウムスコアの弁」の患者におけるPVL合併症のより高いパーセンテージを実証している。
【0006】
冠動脈閉塞は、2つの異なるケースである、すなわち冠動脈口の機械的閉塞が大動脈弁天然弁尖によって誘発される、またはTAVI植え込み処置の間のカルシウムデブリの塞栓、によって生じる一種の臨床合併症である。この臨床合併症の発生はTAVI植え込みのたった1%であるにもかかわらず、植え込み処置後、数日遅れたケースの50%が致命的となる。中程度のリスクの患者に対するTAVI植え込みの拡大によって、さらに、より若年の患者集団への深刻な事象が増加している。
【0007】
冠動脈口の機械的閉塞は、TAVIが、その展開中に、冠動脈口の障害を生み出している石灰化した天然弁尖を外方に押すことにより発生することがある。同じ状態は、TAVIが劣化したバイオプロテーゼの上に植え込まれたときに発生することがある。特に、「ステントレス」のものなどいくつかのバイオプロテーゼで、冠動脈口の閉塞のリスクの頻度が、TAVI植え込みの場合よりも高い。
【0008】
「マクロ塞栓性脳事象」と呼ばれる処置的な塞栓事象は、TAVI植え込み術の間(前拡張、植え込みまたは後拡張の間)に発生し、主に、通常は脳(卒中)、冠動脈または周辺器官を的とする線維弾性粒子のカルシウムのマクロデブリの塞栓に関連している。しかし、脳卒中は、今日、前の世代のTAVIの3.3%の割合に対して2.7%の割合で発生する最も恐ろしい臨床事象である。この脳卒中の減少は、TAVI植え込みの間の前拡張および後拡張の低い必要性に関係しており、にもかかわらず、このデータは、軽いレベルの石灰化の大動脈弁に言及しているので、不確かである。
【0009】
後処置のミクロ塞栓性脳事象は、調査を受けた患者の少なくとも8%に記録される。TAVI後の新しい脳損傷の高いインシデントは、神経認知機能の長期的な判定の根拠となる。
【0010】
3か月の短い追跡調査が行われたこの研究では、神経認知機能が損なわれないことが臨床的に観察され、3か月MRIでは、病巣の大部分(80%)が治癒していた。しかし、処置付近の脳塞栓の発症および神経認知機能におけるその潜在的な影響は、TAVIの適応が予想余命の長いより若年の患者を含むように拡大されてしまえば、臨床的なかかわり合いがより大きくなることの予告であると言える。
【0011】
したがって、TAVI分野でのさらなる研究は、塞栓のリスクを減少させる戦略(たとえば、より低い外傷性、より小さなボアのカテーテルシステム、塞栓についての患者のリスクの改善された識別、および脳保護デバイスの潜在的な使用)の開発に向けられるべきである。
【0012】
いくつかの臨床研究では、TAVI植え込みを受けた患者の少なくとも10%は、心理測定テストの間に検出可能な神経損傷を示す。この発生率は、高いリスクおよび高齢患者集団において許容可能であるが、より低いリスクのより若年の患者においては許容不可能と思われる。いくつかの臨床研究は、この臨床状態をより詳しく調査するために進行中である。
【0013】
他の部類の塞栓事象は、処置後すぐに発生する亜急性および慢性のミクロ塞栓事象である。天然大動脈石灰化弁は、粗剛で、不動化され、アテローム硬化性の潰瘍化したプラークのように働く小隆起表面を含む。この状態は、後に脳および他の周辺器官に塞栓を引き起こす微小血栓の形成に好都合である。ミクロ塞栓の原因として所定位置に残る天然大動脈弁は、血管に起因する痴呆の開始におけるそれらの役割を証明したいくつかの臨床研究において考慮に入れられている。このエビデンスは、血管性痴呆の加速が社会費用において深刻な衝撃を与えることがある、より若年の患者にTAVIが植え込まれる場合の懸念を生み出している。
【0014】
要するに、TAVI植え込みの後の処置付近の臨床合併症は、所定位置に残っているひどく石灰化した大動脈弁の存在に深く関係している。それは、急に、マクロ塞栓脳事象(脳卒中)の発生および、様々な重症度の大動脈弁不全という結果をもたらすPVLなどの血行動態結果を引き起こす。これらの不十分な臨床結果は、ひどく石灰化した大動脈天然弁の共存における経カテーテル人工弁の不整の展開に密接に関係している。
【0015】
長期の臨床合併症は、血管性痴呆の原因の塞栓の原因となる所定位置に残っている天然大動脈弁弁尖によって生成される脳のミクロ塞栓を特徴とする。
【0016】
TAVIにおける臨床合併症の全体の割合は、5%~12%の範囲である。この発生は、ひどく石灰化した二尖天然弁の患者を含まないので、少なく見積もられている可能性が高い。
【0017】
これらのエビデンスは、TAVI処置中に発生する塞栓に対する周辺器官、特に脳および心臓の保護の重要性を強調している。
【0018】
今日、塞栓産物から器官を守る、デフレクタまたは抗塞栓フィルタとして働くいくつかのデバイスが市場に出回っている。デフレクタの場合、プロテクションシステムは、塞栓を腕頭動脈および左総頸動脈から末梢循環の方へ偏向させる。抗塞栓フィルタの場合では、それらは、メッシュにより塞栓を実際に捕獲する。
【0019】
特許文献1には、バルサルバ洞上行大動脈移行部から大動脈根の中に挿入されるように設計される仮人工弁が開示されている。
【0020】
デバイスは、円錐形の弁内に含まれるフィルタを含む。
【0021】
上述のデバイスは、他の従来技術のデバイスに関していくつかの改善を提供する。しかし、それは、血液の逆流から生じる漏れのリスク、またはカテーテルの寸法的な制限による、プロテーゼへの追加デバイスの挿入の困難さなど、いくつかの不都合を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】WO2015/185870
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
前章に記載の不都合は、特許請求の範囲において定められるようなデバイスに関する本発明を用いて解決される。
【0024】
より詳細には、本発明は、抗塞栓プロテクション、弁機能ならびに他のデバイスのための自己調心コンベヤを同時に提供する一体型システムから構成される。コンベヤ機能は、疾患のある天然弁において動作する経カテーテルデバイス(天然弁尖剛性の緩和または天然弁の部分的/全体的なアブレーションのためのデバイス)、またはTAVIまたは植え込み予定の他の弁を入れ、調心するのに適している。したがって、このシステムは、TAVI処置全体を最適化することができ、特に複雑な処置で起こり得る急性の処置付近臨床合併症の低減に非常に効果的である。
【0025】
本発明によるデバイスは、カテーテル内部に全体が折り畳まれており、大動脈弓に到達し所定位置で展開されることを目的として、患者の動脈に導入されると考えられる。デバイスは、一時的な弁支持体を提供して心臓、脳および周辺器官をあらゆる種類の塞栓から守りながら、天然弁での処置を実行する様々な経カテーテルデバイスによる横断を可能にする。
【0026】
デバイスは、再位置決めのために、処置の間、完全にまたは部分的に折り畳まれることができる。処置の終わりに、デバイスは折り畳まれて軸の内部へと後退させられ、患者から完全に回収される。
【0027】
デバイスは、好ましくは、大動脈壁に漏れることなく連結する成形支持構造内に含まれる人工弁を有する。第2の構造は、支持構造に対して内側または遠位にあり、抗塞栓フィルタのような役目をする。第3の構造は、コンベヤと呼ばれる円錐形または漏斗のような形状をしており、支持構造に対して内側または遠位にあってよく、人工弁の内側ルーメンを横断する。それは、デバイスにわたる導管を作成し、疾患のある大動脈弁上で動作するいくつかの経カテーテルデバイスの導入および弁の軸に対する関連の位置合わせを促進する機能を有する。
【0028】
一実施形態では、人工弁は、支持構造の内面に固定される。この場合、大動脈壁と接触するための外側支持構造の拡張は、内側人工弁によって調整される。したがって、デバイスの寸法は、血行動態性能および抗塞栓プロテクションの観点において効力が限定される人工弁不全を回避するために、介入のときに正確に決定されなければならない。
【0029】
他のグループの実施形態では、人工弁は、抗塞栓フィルタから独立していると考えられ、したがって、大動脈壁への適合のための後者の拡張は、人工弁機能を邪魔しない。この実施形態は、外側支持構造および内側人工弁が一種の隔壁によって連結されることを必要とする。このように、内側人工弁の寸法は、大動脈壁への適合のときの外側支持構造の直径の変化とは無関係である。このグループには、フィルタおよびコンベヤ要素の位置決めならびに支持構造の材料の観点から異なるいくつかの実施形態、すなわち、主支持構造の内側または外側にコンベヤおよび/またはフィルタを有する実施形態、ならびに自己拡張性金属材料から作られるすべての支持構造、膨張可能構造または複合のものを有する実施形態が属する。
【0030】
本発明は、図示されるいくつかの例に関連して、以下においてより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】軸3の内部に閉じ込められ、大動脈内のバルサルバ洞上行大動脈移行部レベルに位置決めされているデバイス4の図である。
図2】人工弁が開いている、上行大動脈内に展開されているデバイス4の図である。
図3】人工弁が閉じている、上行大動脈内に展開されているデバイス4の図である。
図3a】血流方向を示している、上行大動脈内に展開されているデバイス4の図3のような図である。
図4】冠動脈デフレクタ8および大動脈上血管デフレクタ9を含む、上行大動脈内に展開されているデバイス4の図である。
図4a】血流方向を示している、図4と同様に上行大動脈内に展開されているデバイス4の図である。デフレクタは、塞栓をブロックするが血液灌流は妨げない。
図5】展開配置にある複合デバイス4の図(長軸図)である。
図6】展開配置にある複合デバイス4の図(短軸図または心室図)である。
図7】内側弁支持ステント14の図である。
図7a】内側弁支持ステント14:流入プロファイルの1つの配置の図である。
図7b】内側弁支持ステント14:流入プロファイルの他の配置の図である。
図7c】内側弁支持ステント14:流入プロファイルの他の配置の図である。
図7d】内側弁支持ステント14:流入プロファイルの他の配置の図である。
図7e】内側弁支持ステント14:流入プロファイルの他の配置の図である。
図8】外側支持構造5の図である。
図9】外側支持構造5および弁支持ステント14の図である。
図9a】外側支持構造5および結合された内側構造5’’の図である。
図9b】コンベヤ6と弁支持ステント14を一体化する結合された内側構造5’’の図である。構造5’’は、キーホール係留ストラット5’’’によって外側支持構造5に固定される。
図10a】コンベヤと人工弁15の相互作用を示す、デバイス4の内側構造の図である。
図10b図10aの別の図である。
図11】抗塞栓フィルタメッシュ10のない、組み立て済みデバイス4の図である。
図12】自己拡張型メッシュ付きの、組み立て済みデバイス4の図である。
図13】コンベヤだけがある図12のようなデバイスの図である。
図14】外側支持構造およびその内壁に固定された内側弁を含む図12のようなデバイスの図である。
図15】外側支持構造だけを含めて示される図12のようなデバイスの図である。
図16】コンベヤシステムがデバイスの外側に配置されている、デバイス4の図である。この実施形態では、それはデバイスに対して直列に順次に近位方向に配置されている。
図16a】コンベヤシステムがデバイスの外に配置されている、デバイス4の他の実施形態の図である。
図16b】コンベヤシステムがデバイスの外に配置されている、デバイス4の他の実施形態の図である。
図16c】コンベヤシステムがデバイスの外に配置されている、デバイス4の他の実施形態の図である。
図16d】コンベヤシステムがデバイスの外に配置されている、デバイス4の他の実施形態の図である。
図16e】コンベヤシステムがデバイスの外に配置されている、デバイス4の他の実施形態の図である。
図16f】コンベヤシステムがデバイスの外に配置されている、デバイス4の他の実施形態の図である。
図17図16と同様であるが、遠位コンベヤチューブがなく、二方向常閉弁6’’および弁支持ステント14を含む、デバイス4の図である。
図18】内側弁支持ステント14、および二方向常閉弁6’’を含む遠位コンベヤチューブの図である。
図19】デバイスを支持する膨張可能構造を含むデバイス4の図である。コンベヤは、図16に示されるように、デバイス4の近位に配置されている。
図20図19に示されるようなデバイス4の図である。内側構造が見える。弁支持ステント14が見える。
【発明を実施するための形態】
【0032】
手順
この章では、外側支持構造内にある弁と、フィルタと、コンベヤ要素とを有する一実施形態に関するアイテムの説明を用いて手順を述べる(図5参照)。この手順は、異なるアイテムが相互に位置決めされる、他の実施形態に適用されることも意図する。
【0033】
デバイスは、動脈血管に導入される前は、外側軸カテーテル3内に折り畳まれている(図1)。外側軸カテーテルの遠位部分は、外側軸カテーテル3の縁にわたって展開されるバルーンカテーテル先端2を備える。このバルーン先端の機能は、放射線不透過性溶液による膨張により正確な位置決めを確実にしつつ、デバイスが上行大動脈の方に向けて移動する間の動脈壁のいかなるダメージも回避することである。デバイスがバルサルバ洞上行大動脈移行部のレベルに位置決めされると、バルーン先端は収縮され、患者の体内から外に後退させられる。図2では、デバイスは、上行大動脈内に展開され、外側軸カテーテル3は後退されている。デバイスが展開されるとき、外側支持構造5は、すべての血液をデバイス内へと運ぶために、大動脈壁に適合される。デバイス4は、ストラットまたはテザー4’によって、内側軸カテーテル3’に連結されている。内部的には、デバイスは、外側支持構造5によって支えられる2つの構成要素:コンベヤ6と、人工弁15とを有する。コンベヤ6は、外側支持体5の近位部分に近位に固定され、デバイス内に「漏斗のように」チャネル6’の境界を画する。コンベヤの役目は、デバイス(弁形成術バルーンまたはTAVIなど)が大動脈弁の方に向けて横断することを可能にすることである。記載の特定の実施形態の場合、コンベヤ6の他の機能は、抗塞栓フィルタを支持することである。2つ、3つまたはそれ以上の弁尖を備えた人工弁の役目は、天然大動脈弁における介入処置の間の大量の血流の逆流(たとえば、弁形成術後、TAVI植え込み術後、または将来における大動脈弁の介入的アブレーション後の心臓弁膜周囲の著しい漏れ)を回避することである。人工弁15は、外側支持構造5の遠位縁に直接固定することができるが、記載の実施形態では、それは、独立した弁支持体に取り付けられ、ファブリックの隔壁によって外側支持構造5に結合されている。弁機能は、閉鎖段階ではコンベヤ6の遠位外面に付着する弁尖の結合によって与えられる。図2および図2aはそれぞれ、閉位置および開位置にあるデバイス4および疾患のある弁を示している。
【0034】
図3では、デバイスは、図2のように展開されて示されているが、デバイスは、2つの冠動脈フィルタ8および1つの大動脈上血管フィルタ9によって表される追加の構成を備える。最初のものは、大動脈弁における介入処置中の冠動脈口内への、可能性のあるデブリの塞栓を妨げる。この事象は、あまり頻繁でないにもかかわらず、非常に多くの場合、重篤なものとなる。2番目のものは、脳に塞栓を引き起こして脳卒中を発症させる、デバイス4によって偶発的に完全には捕獲されなかった、可能性のある残余デブリを回避することを目的としている。このデフレクタは、危険性の高い処置の場合、外側軸カテーテル3をさらに後退させることによって展開させることができる。
【0035】
上述の冠動脈および大動脈上血管保護システムは、実質上、本明細書の以下に記載の特定の実施形態のいずれかに適用することができる。
【0036】
機能中、収縮期の血流は、天然大動脈弁を横断し、人工弁を開け、抗塞栓フィルタ6を横断する。図4は、収縮期における血流方向の詳細を示しており、大動脈上血管を通る流れパターンと一緒に、大動脈を通る主流パターン、および、天然弁による冠動脈口の不完全な封止によって与えられる、冠動脈を通る流れがある。
【0037】
塞栓デブリは、コンベヤ6と外側支持構造5との間の構造内に捕獲されてとどまる。
【0038】
必要に応じて、デバイスは、患者の血行動態の安定化を可能にするため、ある期間、所定位置に留置され、その後除去される。この場合、治療したときの天然弁の機能性の回復を確認し必要な場合に治療を繰り返すために、人工弁を開けさせる特定の機構を使用することができる。上述の弁開放機構は、実質上、本明細書の以下に記載の特定の実施形態のいずれかに適用することができる。
【0039】
処置の終わりに、大動脈天然弁上で動作していたデバイスは、コンベヤ6’の内側ルーメンから外に移動される。デバイス4は、外側軸カテーテル3を遠位に押すことによって完全に回収される。このように、デバイス構造は、デバイスの遠位端に達するまでに徐々に折り畳まれ、その内部にすべての捕獲した塊またはカルシウムデブリを安全に保ち続ける。
【0040】
デバイス4は、天然大動脈弁における介入処置中の効果的な抗塞栓プロテクションの提供、ならびに、大動脈弁不全がある場合、血液循環を支援することが考えられる。
【0041】
具体的には、天然弁における軽度から重度の弁不全は、バルーン弁形成、最適ではないTAVI植え込み、または結果として遊動を伴うTAVIの誤った植え込みの後に起こることがある。この最後にある状態は、臨床的に重篤となり、患者の生存の可能性が限定されるおそれがある。
【0042】
他の将来的な状態では、デバイスは、絶対的に不可欠である。それは、疾患のある天然大動脈弁が介入的なオフポンプ処置により除去される場合である。この複雑な処置において、天然弁の切開の間、抗塞栓プロテクションは必須であり、さらにより重要である補助的な大動脈弁機能が求められ、その間、無縫合人工弁が植え込まれる。デバイスは、これらのすべての要求に応えることができる。
【0043】
特定の一実施形態では、抗塞栓フィルタおよび人工弁を1つの単一デバイスに一体化した弁は、取り外し可能な2つの構成要素を提供することができる。
【0044】
疾患のある天然大動脈弁の介入的アブレーションの場合では、その除去後、人工弁がデバイス4から取り外され、TAVI処置と同様に恒久的な無縫合人工弁として所定位置に留置されることもある。
【0045】
デバイスの主な要素の詳細
人工弁
弁は、処置の間、疾患のある弁を一時的に置換し、その間、大動脈狭窄症の患者の臨床状態に適合する流体力学的性能を可能にする。
【0046】
支持構造
支持構造は、単一の要素構造5’’または複数要素のもののどちらであってもよい。1番目の場合では、それは、大動脈との連結、弁およびフィルタの支持、ならびにコンベヤのとしての働きの機能を有する。2番目の場合では、外側支持体5は、大動脈との連結および他の構造の支持という機能を有する。弁支持ステント14は、弁の弁尖を支持する目的を有し;コンベヤ支持体6は、本明細書の以下に記載する。支持体5(5’’)の内面は、大動脈壁に対するデバイスのより良い封止を可能にするだけでなく、接触が限定される場合に塞栓の遊動を妨げるために、抗塞栓組織メッシュ12によって覆われている。
【0047】
フィルタ
フィルタ12は、弁の流体力学的特性を大幅に変えることなく塞栓デブリを保持することができる。いくつかの実施形態では、フィルタおよびコンベヤファブリックは、ただ1つの要素に結合される。
【0048】
コンベヤ
コンベヤ6は、TVAFの導入要素であり:それは、その要素の幾何形状により、外側カテーテル3に装填された特定のデバイス(すなわちTAVI)の原位置での位置決めをより簡単にする。典型的には、一連の要素である:ファブリックまたは薄膜などの抗塞栓メッシュライニングを含む円錐形支持構造、不透過性ライニングを含む遠位円筒形拡張可能管状部材、および二方向常閉弁は、相互連結されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、コンベヤ6および弁支持ステント14は、ただ1つの要素5’’に結合される。
【0050】
内側および外側の軸カテーテル
内側軸カテーテル3’は、デフォルトの設定では、デバイス4を恒久的に支持する。内側軸カテーテルは、外側軸カテーテル3によって保護される。外側軸カテーテル3は、デバイスを所定位置に案内する、およびデバイス4の展開/再捕獲を可能にする機能を有する。
【0051】
本発明は、当然、本明細書に記載の実施形態および例に限定されない。したがって、本開示は、本明細書の以下に記載の任意の特定の要素によって制限されるべきではない。
【0052】
より詳細には、材料に限って言えば:支持構造は、本明細書では、大部分の実施形態について、ニチノールのような自己拡張性金属材料から作られるとして述べられているが、同様の特性を有する他の金属材料および非金属材料を適用してもよく、やはりまた、ポリマーの膨張可能なもののような非自己拡張型構造を適用してもよく;フィルタは、ポリマー織ファブリックとして述べられているが、不織(すなわち、較正された孔を含む薄膜)、およびまたは、同様の特性を有する金属材料を適用してもよく;弁は、漏れない特性を確実にするように被覆されたポリマー織ファブリックとして述べられているが、同様の特性を有する不織のものを適用してもよく;カテーテルは、ポリマーチューブを含むが、金属補強ポリマーチューブも含む。
【0053】
技術に限って言えば:金属支持構造は、レーザ切断チューブまたは溶接シートによって、織物(すなわち、複数のストランド)および単一のワイヤ構造によって得られるとして述べられており;デバイスの異なる要素同士の間の連結は、糊付け、はんだ付け、溶接(すなわち、超音波)、粘着、裁縫および他の適用可能な方法のどれかであってよく;弁は、ファブリックの被覆によって得られるが、ポリマー薄膜のような他の合成または天然の材料を適用してもよい。
【0054】
実施形態に限って言えば:本記載において、疾患のある大動脈弁を回復させるために大腿アクセスにより使用されると考えられる実施形態が示されている。同時に、大腿とは異なるアクセスによる実施形態を適用してもよい。TAVIまたは無縫合人工弁として使用されるために、弁部材がアセンブリの残りの部分によって押しやられる(disloged)特定の実施形態を適用してもよい。この場合、弁の弁尖は、心膜組織または他のものなどのポリマーのものとは異なる材料で製造することができ、弁構造は、特定の回収要素を有することもできる。
【0055】
さらに、他の疾患のある心臓弁を回復させる実施形態を適用してもよい。
【0056】
デバイスは、頸動脈プロテクション用の弁付きまたは弁無しのフィルタ、ならびに抗塞栓フィルタ付きの再配置可能/再捕獲可能な静脈弁として、介入的放射線医学など、他の技術分野においても適用することができる。この場合、デフォルト設定(弁、フィルタ、コンベヤおよび関連の支持構造、カテーテル)ならびに予想される使用(急性、亜急性、慢性)の間で、使用予定の様々な要素についての特定の実施形態および寸法が適用されることになる。
【0057】
寸法の観点では、健康な器官および治療予定の疾患のある器官の解剖学的寸法、様々な経カテーテルアプローチについてのアクセスサイズ、冠動脈および大動脈上動脈における塞栓プロテクションのためのフィルタサイズなど、特定の使用に関する寸法が適用されることになる。
【0058】
図5図11は、自己拡張型ニチノール構造の製造、外側支持構造5および弁支持ステント14についてレーザ切断、ならびにコンベヤ6の編組またはワイヤリングに使用される技術である、以降、複合デバイスと称される一実施形態を示している。
【0059】
この実施形態では、外側支持構造5および内側弁支持ステント14は、一種の隔壁13によって連結され、それによって外側支持体5および抗塞栓フィルタ要素に依存しない内側人工弁15の展開が確実になる。フィルタ支持体としても機能するコンベヤ6は、デバイスの全長を減少させるために、外側構造5内に位置する。
【0060】
図5において、展開配置にあるデバイスの長軸図は、係留ストラット4’、4’’によって内側軸カテーテル3’を外側自己拡張型支持構造5およびコンベヤ6に恒久的に結合するリングならびに弁支持ステント14を示している。図5では、大動脈壁に対する漏れのない接触を確実にする外側支持構造5と内側メッシュライニング10との間の連結も示されている。
【0061】
図6において、展開配置にあるデバイス4の短軸(心室)図は、外側構造5とメッシュ10との間の固定孔を示しており、それは、遠位側で逆戻りして人工弁15の弁尖7に結合され、後者は、自己拡張性材料の内側弁支持ステント14の外側を覆っている。拡張期において漏れないことは、二方向常閉弁6’’を遠位に備えるコンベヤ導管の配置とともに、弁尖要素7の不透過性メッシュおよびメッシュ10によって保証される。収縮期および拡張期の両方において、弁6’’は、任意の血液および可能性のある塞栓粒子の漏れを防ぐために閉じたままであり;経カテーテルデバイスが導入されるとき、遠位コンベヤチューブ6’’は、直径に延び、それらの導入を促進し、適切な位置合わせを維持し、その一方、弁6’’は、デバイスの概ね漏れのない横断を可能にする。弁6’’は、送達システムによって直接操作される、または自動操作され、収縮期と拡張期の差圧で厳重に閉じたままとなるが、漏れのない連結を維持しつつ挿入されるデバイス送達システムの横断を可能にする。
【0062】
図7は、弁尖7の交連、および外側から構造の輪郭を描く特定の結合部14’を含む前記弁尖7の全体的な流入プロファイルの両方を支持する、自己拡張型内側弁支持ステント14を示している。この配置は、収縮期における、幅の広い円筒形弁尖の開口部による圧力低下の最小化、および、拡張期の間の閉鎖および漏れバックフロー逆流の最小化を可能にする。係留ストラット4’’は、外側支持体5に対して十分に独立した、内側軸カテーテル3’への直接的な結合を可能にする。
【0063】
図7a、図7b、図7c、図7dおよび図7eは、適当な回収性および径方向剛性を同時に確実にする、流入プロファイルの代替配置を示している。
【0064】
図8は、固定孔5’側でコンベヤ6および関連のフィルタメッシュ12を支持する自己拡張型外側支持構造5、ならびに弁尖7の流入側とのメッシュ10の連結部を示している。
【0065】
図9では、外側(5)および内側(14)の両自己拡張型構造は、コンベヤ6と弁尖7要素を連結するための孔と一緒に、内側カテーテル3’にそれらを結合する係留構造の相互位置決めを略述するために、関連のメッシュ無しで示されている。
【0066】
コンベヤ6と呼ばれる内部要素、および弁ステント支持体14は、単一の要素5’’に組み込まれ、図9aおよび図9bに示されるようにキーホール5’’’により係留ストラットによって外側構造5に結合されている。
【0067】
図10aには、コンベヤ6の流出側、フィルタ12の支持、および人工弁15要素が、自己拡張型内側弁支持ステント14および前記構造を内側軸カテーテル3’に連結する係留ストラットと一緒に示されている。
【0068】
コンベヤおよびフィルタ要素に限って言えば、コンベヤの円錐形状は、第1に、外側3とは異なる外側カテーテルに装填されたデバイスによる滑らかかつ簡単な横断を保証し;第2に、それは、収縮期における関連の圧力低下を最低限に抑え、処置から出る任意の可能性のある塞栓デブリを濾過し、メッシュ12、10同士の間に得られる収集チャンバ内にそれを維持するために、適当なメッシュおよび表面のフィルタ12で覆われており;第3に、それは、スムーズな回収を保証する。コンベヤの遠位端は、軸が治療予定の疾患のある弁と心合わせされる円筒形であり、装填デバイスの適切な位置合わせを保証する。さらに、この円筒形部材は、送達システムを通してのデバイスの装填および回収のために加えられる力を最小限に抑えるのに適切な径方向コンプライアンスを有する。
【0069】
図10bでは、同じ要素を流入側から見ており(心室図)、図示のコンベヤの遠位部には二方向常閉弁があり、収縮期においても、デバイス4を横断する任意の塞栓を妨げ、拡張期においても、装填デバイスがデバイス4を横断することを可能にしつつ全体的な漏れを最小限に抑え、流れのない状態を保証する。
【0070】
弁に限って言えば、図10aおよび図10bは、流出側および流入側からの人工弁本体15を示している。幅の広い弁尖円筒形開配置を保証するために、弾性的に被覆された厚みの少ないポリマーファブリックから作られた弁尖を含む三弁尖配置が選択され、支持構造14の外側に装着された。この設計配置は、最適な柔軟性/折り畳み性と同時に、比較的低い伸展性、したがって最適な血行動態および機械的特性を保証する。設計および材料は、収縮期では、大きな口面積および弁尖の折り畳み性により、低い圧力低下の観点から適切な血行動態性能を可能にし、ならびに、拡張期では、弁尖の漏れない特性、および前記弁尖の閉鎖において遠位コンベヤ無漏チューブ本体6’’に関する適切な連結を可能にする関連の折り畳み性により、低い逆流を可能にする。
【0071】
図11は、コンベヤ/フィルタの相互位置決め、ならびに関連の外側(5)および弁支持ステント(14)支持構造に対する弁の相互位置決めを見えるようにするために、メッシュ10のない組み立て済みのデバイス4の配置を示している。
【0072】
放射線不透過性マーカは、ポストおよびサイドアクセスなどの特定の場所、ならびに、大動脈弓レベルなどの内側カテーテルの場所をより良く検出するために配置される。材料、結合機構および要素の数は、現状の技術水準および現行の手順に基づいて選択される。
【0073】
図12図15は、複合のものと同様に構成され、全長を最小化するために本体に対して内側にコンベヤがあるが、外側支持構造5もコンベヤ6も超弾性金属メッシュから作られており、したがってメッシュ実施形態と称される一代替実施形態を示している。複合実施形態に対するその他の違いは、メッシュ実施形態では、外側支持構造5が、人工弁15の弁尖のための固定面を直接提供することである。
【0074】
図12は、メッシュアセンブリの側面図を示し、要素同士の間にある関連の連結とともに、外側円筒形構造5、メッシュ10、コンベヤ6、関連のメッシュ12、および人工弁15を含む。
【0075】
超弾性金属外側構造5の連結要素は、以下のような:係留構造4’であって、リング11によって内側カテーテル3’に恒久的に結合され、外側構造5およびコンベヤ6の流入側を支え、適切な自己拡張および回収を可能にするように要素の相互摺動を可能にする、係留構造4’であり;円筒形チューブメッシュ10は、外側構造5と人工弁15との間の相互結合要素として働き、すなわちそれらを流入側および流出側で、その流入側プロファイルに沿ってチューブ10および弁に裁縫/超音波溶接されている。
【0076】
図13には、コンベヤ6が示されており、その円錐部において、および、二方向常閉弁を備える関連のコンベヤ遠位チューブ6’’において、係留構造4’’によって内側カテーテル3’に結合している。同じ構成は、ここで適用の好ましいアセンブリについてすでに示されている。
【0077】
図14には、外側支持構造5およびその内壁に固定された内側弁支持ステント14が示されている。この実施形態は、デバイスの低いプロファイル特性を最適化するために、独立した弁固定を有するのではなく、内側金属支持構造を欠いているという点で、複合のものとは異なっている。
【0078】
図15には、外側支持構造5および係留ストラット4’’の間の摺動連結が流出側から示されている。
【0079】
図16図18は、複合のものから派生しているが、デバイスの外側に近位に配置されたコンベヤ6システムを含む、デバイス4を示している。
【0080】
図16に見られるように、この実施形態は、原理上、より長い遠位コンベヤチューブにより、先のものよりも優れた装填デバイスの位置合わせを保証することができ、また、他のものの内側に置かれた要素の減少した数のおかげで、外側カテーテル3内の小カリパの簡単な回収を保証することができる。同時に、内側コンベヤの実施形態に対して長さがより高いために、11’での連結は、遠位側における大動脈への安定的な固定を保証しつつ近位コンベヤ側での大動脈弓パターンに従うために、フレキシブルでなければならない。
【0081】
図16図16a、図17図18は、複合のもの(すなわち、人工弁15とその弁支持ステント14の間の連結、メッシュ10と外側構造5との間の連結)と類似する要素を示しており、主な違いとして:コンベヤ錐体6は、近位にあり、それは、外側構造5の外側に配置され、それは、コンベヤの内側ルーメンの方に向けた装填デバイスの動きを駆動する機械的機能だけを有することができる濾過メッシュで部分的に遠位に覆われており;抗塞栓フィルタメッシュ12は、逆に、リング11’に対して遠位の外側構造の円錐部内にある。
【0082】
以下の図面には、コンベヤシステムのない、外側支持体5および弁支持ステント14のいくつかの代替実施形態が示されている。
【0083】
図16b、図16c、図16dおよび図16eはそれぞれ、複合デバイス4の外側構造5の、レーザ切断の2つの代替実施形態、および編組の2つの代替実施形態を示しており、径方向剛性または回収性特性により良く適応するようにするため、ダイヤと直線要素との間の比率が異なっている。
【0084】
図16fは、自己拡張構造を示しており、外側(5)および弁ステント(14)支持構造の特性が1つに組み合わされており、後者のものは弁尖のポストの保持のみに当てられている。この実施形態は、回収性を最大にするために、支持構造の径方向の厚みを最小にすることが意図される。図16gは、複合メッシュと類似する自己拡張構造を示しており、2つのダイヤ構造は、弁の流入側および流出側で、回収でのこの領域およびスカート要素の全長変動を回避するために、線形要素によって結合されている。
【0085】
図19および図20には、膨張可能デバイスの特定の一実施形態が記載されている。
【0086】
膨張可能構造の使用は、製造に関与する異なる材料の数を最小にする目的を有し、それは、折り畳みデバイスの余計なものの削減を可能にする。さらに、それは、放射線不透過性の特性のあるCOフィルタにより、デバイスの簡単な位置決めを可能にする。
【0087】
支持構造がすべて膨張されるデバイス4から始まり、外側支持構造5内のコンベヤ6およびそれに直接結合される人工弁15のデバイス4、そして外側支持構造5の長手方向要素およびニチノールなどの自己拡張材料から作られる弁支持ステント14および構造5に対して外にあるコンベヤのデバイス4まで、いくつかの異なる実施形態は、膨張可能グループに適用される。
【0088】
疾患のある弁における関連の結果を検証するために回復処置の終わりに使用されることを意図する弁の開放機構に限って言えば、内側カテーテル3’内に近位に保持され送達システムによって命令される、押す/引くまたは回転する軸機構により弁尖7および/または弁支持ステント14に直接作用する、様々な実施形態が適用できる。
【符号の説明】
【0089】
1 案内ワイヤ
2 バルーンカテーテル先端
3 デバイスの外側軸カテーテル
3’ デバイスの内側軸カテーテル
4 デバイス
4’ デバイスを内側軸カテーテル3’に連結する係留ストラット
4’’ コンベヤ6と弁支持ステント14を連結する係留ストラット
5 デバイスの外側支持構造
5’ フィルタメッシュへの固定孔
5’’ (要素6および14を含む)組み合わさった内側構造
5’’’ 構造5’’(単一要素に組み合わせられた弁支持ステント14およびコンベヤ6)を外側支持構造5に連結するキーホールを含む係留ストラット
6 コンベヤ(4内または外側に組み込まれる)
6’ コンベヤの内側ルーメン
6’’ 二方向常閉弁を含む遠位コンベヤチューブ
6’’’ デバイス4の外側にあるコンベヤのための固定孔
7 内側人工弁の弁尖
8 冠動脈デフレクタ
9 大動脈上(epiaortic)血管デフレクタ
10 抗塞栓フィルタ機能を含む、大動脈の内面に連結する支持構造5の内面または外面上に取り付けられるメッシュ
11 内側軸カテーテル3’への結合リング
11’ デバイスを外側コンベヤ6に結合する結合リング
12 コンベヤ6上に通常取り付けられる抗塞栓フィルタメッシュ
13 外側支持構造と内側人工弁構造12との間の接合隔壁
14 弁支持ステント
14’ 弁尖固定構造
14’’ 係留ストラット4’’と弁支持体との間の接合柱
15 人工弁
16 膨張可能構造
17 弁の弁尖7を開けさせる機構
18 放射線不透過性マーカ
図1
図2
図3
図3a
図4
図4a
図5
図6
図7
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8
図9
図9a
図9b
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図16a
図16b
図16c
図16d
図16e
図16f
図17
図18
図19
図20