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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】乳頭カップライナー及び乳頭カップ
(51)【国際特許分類】
   A01J 5/08 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
A01J5/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020524360
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 SE2018051137
(87)【国際公開番号】W WO2019093951
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】1751386-2
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500215931
【氏名又は名称】デラヴァル ホルディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ラジャセカラン, カムレシュ
(72)【発明者】
【氏名】エルヴェビー, ニルス
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0164575(US,A1)
【文献】特表2015-516160(JP,A)
【文献】米国特許第05493995(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01J 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップの外殻(5)内に装着されるように構成され、かつ長手方向中心軸(x)に沿って延びる細長形状を有する乳頭カップライナー(1)であって、乳頭カップライナー(1)が、長手方向中心軸(x)に沿って長さ(L)を有しかつ乳頭を受けるための内部空間(7)を包囲する胴体(3)を含み、胴体(3)が、下方区域(3′)及び上方区域(3′′)を長手方向中心軸(x)に沿って含み、下方区域(3′)が、上方区域(3′′)に隣接し、胴体(3)が、休止状態では、長手方向中心軸(x)を横切って多角形断面形状を有し、多角形断面形状が、複数の辺部(18)と複数の角部(19)を規定し、各角部(19)が、前記辺部(18)の二つを連結し、辺部(18)の各々が、胴体(3)の長さ(L)に沿って辺部(18)の少なくとも長手方向中心線で辺部壁厚さ(T)を有し、角部(19)の各々が、胴体(3)の長さ(L)に沿って角部(19)の少なくとも長手方向中心線で角部壁厚さ(T)を有し、角部壁厚さ(T)が、胴体(3)の長さに沿って辺部壁厚さ(T)より厚いものにおいて、
角部壁厚さ(T)が、胴体(3)の上方区域(3′′)に沿って胴体(3)の下方区域(3′)に向かって減少すること、及び角部壁厚さ(T )が、胴体(3)の下方区域(3′)に向かって辺部壁厚さ(T )に近づくことを特徴とする乳頭カップライナー(1)。
【請求項2】
胴体(3)の上方区域(3′′)が、胴体(3)の長さ(L)の最大40%に沿って延びる、請求項1に記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項3】
角部壁厚さ(T)が、胴体(3)の下方区域(3′)に沿って一定である、請求項1又は2に記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項4】
辺部壁厚さ(T)が、胴体(3)の上方区域(3′′)及び下方区域(3′)に沿って一定である、請求項1~のいずれかに記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項5】
胴体(3)の下方区域(3′)が、胴体(3)の長さ(L)の少なくとも60%に沿って延びる、請求項1~のいずれかに記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項6】
休止状態での辺部(18)の各々が、胴体(3)の長さ(L)に沿って内部空間(7)及び長手方向中心軸(x)に向かって凸状湾曲を有する、請求項1~のいずれかに記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項7】
休止状態での角部(19)の各々が、内部空間(7)に面しかつ内部空間(7)に向かって内部半径(r)を有する凹状湾曲を有する内部表面を含み、内部半径(r)が、内部空間(7)から内部表面まで延び、かつ休止状態では角部(19)の長手方向中心線で少なくとも4mmである、請求項1~のいずれかに記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項8】
長手方向中心線における角部(19)の各々の内部半径(r)が、上方区域(3′′)から乳頭カップライナー(1)の下端(1′)に向かって減少する、請求項に記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項9】
胴体(3)の長さ(L)が、90~130mmである、請求項1~のいずれかに記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項10】
乳頭カップライナー(1)が、胴体(3)の下方区域(3′)に隣接する出口部分(2)、及び内部空間(7)への乳頭開口(9)を規定するリップ(8)を含むマウスピース部分(4)を含む、請求項1~のいずれかに記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項11】
出口部分(2)が、外殻(5)との係合のために構成される係合手段(13)を有する、請求項10に記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項12】
多角形断面形状が、三つの辺部(18)及び三つの角部(19)を規定する三角形断面形状である、請求項1~11のいずれかに記載の乳頭カップライナー(1)。
【請求項13】
搾乳される動物の乳頭に取り付けられるように構成された乳頭カップであって、外殻(5)、及び請求項1~12のいずれかに記載の乳頭カップライナーを含む乳頭カップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提文に記載の搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップの外殻に装着されるように構成された乳頭カップライナーに関する。本発明はまた、動物の乳頭に取り付けられるように構成された乳頭カップに関する。
【背景技術】
【0002】
EP2846625は、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップの外殻内に装着されるように構成され、かつ長手方向軸に沿って延びる細長形状を有する乳頭カップライナーを開示する。乳頭カップライナーは、長手方向軸に沿って長さを有しかつ乳頭を受けるための内部空間を規定する胴体を含む。胴体は、休止状態では、長手方向軸を横切って多角形断面形状を有する。
【0003】
胴体の多角形断面形状は、複数の角部と複数の辺部を規定し、辺部の各々は角部の二つを連結する。辺部の各々は、胴体の長さに沿って少なくとも辺部の中心線で第一壁厚さを有する。角部の各々は、胴体の長さに沿って少なくとも角部の中心線で第二壁厚さを有する。第一壁厚さは、第二壁厚さより小さい。
【0004】
胴体の多角形断面形状は、それが搾乳操作時の乳頭の優しい処置を与えると同時に乳頭の効率的なマッサージを与えるという点で円形断面形状と比較すると有利である。辺部の薄い壁厚さは、長手方向中心軸に向かう辺部の内側移動を可能にすることによって胴体の完全なつぶれを容易にする。
【0005】
WO2017/105321は、マウスピースを規定するヘッド、上部胴体が下部胴体に接合された胴体、及び下部胴体から下方に延び、乳頭カップの外殻と協働する出口部分を含む乳頭カップライナーを開示する。緩和した状態では、胴体は、多角形断面形状を有し、下部胴体は、搾乳操作のライナーつぶれ段階時の閉鎖のために上部胴体の可撓性より大きい可撓性を有し、従って下部胴体の角部は、上部胴体の角部より弱く、それによって下部胴体が最初につぶれて上部胴体への下部胴体の上方への波運動を作ることを確実にし、それは、乳頭の上で上部胴体を確実につぶし、強い乳頭マッサージを与え、乳頭組織におけるうっ血を緩和する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、改良された挙動、特に改良されたつぶれ挙動、及び乳頭と胴体の改良された接触を有する、多角形断面形状を有する乳頭カップライナーを提供することである。
【0007】
この目的は、角部壁厚さが、胴体の上方区域に沿って胴体の下方区域に向かって減少することを特徴とする、冒頭に規定された乳頭カップライナーによって達成される。
【0008】
角部の減少する厚さは、胴体のつぶれ挙動の改良された制御をもたらしうる。胴体の下方区域において、角部は、よりヒンジ状の機能を得ることができ、従って胴体の完全に対称的なつぶれを達成することができる。これは、次に下方区域、即ち乳頭の真下で胴体の完全なつぶれ及び閉鎖を確実にすることができる。
【0009】
上方区域において、より厚いが減少する角部壁厚さは、搾乳操作の全体の脈動サイクル時に胴体の内部空間を乳頭で満たすことを可能にすることができ、従って少なくとも横断面において乳頭のまわりで胴体とのタイトな密着を確実にすることができる。従って、胴体と乳頭の間の空気又は気体の漏出は、減少又は実質的に防止されることができる。
【0010】
本発明の実施形態によれば、角部壁厚さは、胴体の下方区域に向かって辺部壁厚さに近づく。角部壁厚さの減少は、上方区域の長さに沿って連続することができる。角部壁厚さは、辺部壁厚さに近づくことができるが、上方区域の下端では辺部壁厚さより厚いままであるか、又は少し厚いままである。
【0011】
本発明の実施形態によれば、胴体の上方区域は、胴体の長さの最大40%に沿って、胴体の長さの最大35%に沿って、胴体の長さの最大30%に沿って、又は胴体の長さの最大25%に沿って延びる。有利には、胴体の上方区域は、胴体の長さの少なくとも10%に沿って、胴体の長さの少なくとも15%に沿って、又は胴体の長さの少なくとも20%に沿って延びる。
【0012】
上述のように、上方区域は、乳頭と胴体の間のタイトな密着を確実にするように構成され、下方区域は、胴体の完全なつぶれを確実にするように構成される。下方区域に対する上方区域の短い長さは、乳頭の長さから独立して又は本質的に独立して胴体の機能化を可能にする。乳頭への胴体のタイトな密着は、極めて短い軸方向長さでのみ、理論的には長手方向中心軸に直交する一つの横断面でのみ達成されることが必要である。
【0013】
本発明の実施形態によれば、角部壁厚さは、上方区域の上方境界から下方区域まで減少することができる。従って、角部壁厚さは、上方区域の上方境界で最も大きくすることができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、角部壁厚さは、胴体の下方区域に沿って一定又は実質的に一定である。全下方区域に沿った角部壁厚さは、乳頭の真下での胴体の完全なつぶれを可能とするように構成されることができる。
【0015】
本発明の実施形態によれば、辺部壁厚さは、胴体の上方区域及び下方区域に沿って一定又は実質的に一定である。
【0016】
本発明の実施形態によれば、胴体の下方区域は、胴体の長さの少なくとも60%に沿って、胴体の長さの少なくとも65%に沿って、胴体の長さの少なくとも70%に沿って、又は胴体の長さの少なくとも75%に沿って延びる。有利には、胴体の下方区域は、胴体の長さの最大90%に沿って、胴体の長さの最大85%に沿って、又は胴体の長さの最大80%に沿って延びる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、辺部の各々は、休止状態において、胴体の長さに沿って内部空間及び長手方向中心軸に向かって凸状湾曲を有する。かかる内側に向けられた湾曲又は膨らみは、胴体の均一なつぶれに寄与し、胴体の全ての辺部が適切につぶれることを確実にすることができる。従って、辺部の各々は、辺部の長手方向中心線で内部空間の外側の位置から辺部の外部表面まで延びる半径を持つことができる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、角部の各々は、休止状態において、内部空間に面しかつ内部空間に向かって内部半径を有する凹状湾曲を有する内部表面を含み、内部半径は、内部空間から内部表面まで延び、休止状態では角部の長手方向中心線で少なくとも4mmである。
【0019】
本発明の実施形態によれば、角部の各々の内部半径は、上方区域から乳頭カップライナーの下端に向かって減少する。
【0020】
本発明の実施形態によれば、胴体の長さは、90~130mmである。
【0021】
本発明の実施形態によれば、乳頭カップライナーは、胴体の下方区域に隣接する出口部分、及び内部空間への乳頭開口を規定するリップを含むマウスピース部分を含む。
【0022】
本発明の実施形態によれば、胴体の長さは、出口部分と胴体の間の下方境界から胴体とマウスピース部分の間の上方境界まで延びる。従って、上方区域は、上方境界から下方区域まで延びるが、下方区域は、上方区域から下方境界まで延びる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、角部の各々の内部半径は、上方境界から下方境界まで減少する。
【0024】
本発明の実施形態によれば、マウスピース部分は、乳頭カップライナーの一体化された部分である。本発明の別の実施形態によれば、マウスピース部分は、乳頭カップライナーを形成するために胴体に取り付けられた別個の部分である。
【0025】
本発明の実施形態によれば、出口部分は、短いミルク導管を形成する。本発明の別の実施形態によれば、出口部分は、別個のミルク導管への出口部分の接続を可能とするように構成された、乳首のような出口部材を含む。
【0026】
本発明の実施形態によれば、マウスピース部分は、胴体の上方区域に隣接する移行区域を含む。
【0027】
本発明の実施形態によれば、移行区域は、長手方向中心軸に沿った長さを有し、それは、15~20mmである。
【0028】
本発明の実施形態によれば、マウスピース部分は、移行区域から乳頭開口までの長手方向中心軸に沿ったマウスピース深さを有し、マウスピース深さは、長さ20~30mmである。
【0029】
本発明の実施形態によれば、出口部分は、外殻との係合のために構成された係合手段を有する。
【0030】
本発明の実施形態によれば、多角形断面形状は、三つの辺部及び三つの角部を規定する三角形断面形状である。
【0031】
本発明の実施形態によれば、多角形断面形状は、四つの辺部及び四つの角部を規定する矩形又は正方形断面形状である。
【0032】
前記目的はまた、外殻、及び上で規定された乳頭カップライナーを含む、冒頭に規定された乳頭カップライナーによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明は、種々の実施態様の説明によってここに添付された図面を参照してより詳細に説明される。
【0034】
図1-2】図1は、本発明による乳頭カップライナーの第一実施態様の縦方向側面図を示す。図2は、外殻及び図1の乳頭カップライナーの縦方向断面図を示す。
【0035】
図3-7】図3は、図1の線III-IIIに沿った乳頭カップライナーの断面図を示す。図4は、図1の線IV-IVに沿った乳頭カップライナーの断面図を示す。図5は、図1の線V-Vに沿った乳頭カップライナーの断面図を示す。図6は、図1の線VI-VIに沿った乳頭カップライナーの断面図を示す。図7は、図1の線VII-VIIに沿った乳頭カップライナーの断面図を示す。
【0036】
図8-9】図8は、乳頭カップライナーの第二実施形態による、図5のものに対応する断面図である。図9は、乳頭カップライナーの第三実施形態による、図2のものに対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1~7は、本発明の第一実施形態による乳頭カップライナー1を開示する。乳頭カップライナー1は、出口部分2、胴体3、及びマウスピース部分4を含む。図2でわかるように、乳頭カップライナー1は、乳頭カップの外殻5内に取り付けられるように構成されている。即ち、乳頭カップライナー1及び外殻5は、動物の乳頭に付与される乳頭カップを形成することができる。
【0038】
乳頭カップライナー1は、細長形状を持ちかつ長手方向中心軸xに沿って延びる。出口部分2、胴体3、及びマウスピース部分4は、長手方向中心軸xに沿って互いの後に続いて設けられる。
【0039】
第一実施態様では、出口部分2、胴体3、及びマウスピース部分4は、天然または合成ゴム、シリコーン、又は熱可塑性エラストマーなどの一種のエラストマー材料のワンピースで製造される。出口部分2及び/又はマウスピース部分4は、胴体3とは別のおそらく弾性に劣る材料で製造されることができる。
【0040】
従って、第一実施形態では、マウスピース部分4は、乳頭カップライナー1の一体化された部分であるか、又はそれを形成する。別の実施形態によれば、マウスピース部分4は、乳頭カップライナー1を形成するために胴体3に取り付けられた別個の部分であることができる(図9参照)。
【0041】
出口部分2及び胴体3は、下方境界2-3に沿って互いに隣接している。胴体3及びマウスピース部分4は、上方境界3-4に沿って互いに隣接している。図1及び2においてそれぞれ点線によって開示される下方境界2-3及び上方境界3-4は、長手方向中心軸xに直交して延びる。
【0042】
胴体3は、長手方向中心軸xに沿って下方区域3′及び上方区域3′′を含むか、又はそれらからなる。下方区域3′は、移行部6で上方区域3′′と隣接する。図1において点線によって開示される移行部6は、長手方向中心軸xに直交して延びる。
【0043】
胴体3は、下方境界2-3と上方境界3-4の間の長手方向中心軸xに沿って長さLを有する。胴体3の長さLは、90~130mm、好ましくは100~120mmである。
【0044】
胴体3は、乳頭を受けるための内部空間7を包囲する。
【0045】
出口部分2は、乳頭カップライナー1の下端1′を形成する。マウスピース部分4は、乳頭カップライナー1の上端1′′を形成する。出願全体を通して、用語「上方(上部)」は、乳頭カップが動物の乳頭に取り付けられるときに搾乳時に動物の乳房に近い方の位置を示し、用語「下方(下部)」は、動物の搾乳時に乳房から遠い方の位置を示す。
【0046】
マウスピース部分4は、上方境界3-4で胴体3に隣接する移行区域4′を含む。さらに、マウスピース部分4は、内部空間7への乳頭のための乳頭開口9を形成するリップ8を含む。
【0047】
マウスピース部分4は、環状ベース10を含む。リップ8は、環状ベース10から長手方向中心軸xに向かって延びる。移行区域4′は、長手方向中心軸xに沿って環状ベース10からマウスピース部分4の下端まで、即ち上方境界3-4まで延びる。
【0048】
マウスピース部分4はまた、環状ベース10から出口部分2に向かって延びるカラー(collar)11を含む。カラー11は、移行区域4′の外側かつそのまわりに延びる。カラー11は、外殻5の上端を受けるための環状凹所12を形成する。従って、環状凹所12は、カラー11と移行区域4′の間に与えられる。
【0049】
胴体3の上方区域3′′に隣接する移行区域4′は、長手方向中心軸xに沿った長さを有し、それは、15~20mmであることができる。マウスピース部分4は、長手方向中心軸xに沿って乳頭開口9から移行区域4′までマウスピース深さDを有する。マウスピース深さDは、20~30mmであることができる。
【0050】
出口部分2は、乳頭カップライナー1の下端1′から胴体3まで延びる。第一実施態様では、出口部分2は、乳頭カップライナー1の下端1′まで延びかつかぎ爪または他の同様なミルク受け部材(開示せず)に取り付けられるように構成されている短いミルク導管を含む。
【0051】
出口部分2はまた、乳頭カップライナー1が乳頭カップを形成するために外殻5内に取り付けられるときに外殻5の下端と係合する肩、溝、または凹所のような係合手段13を含む。
【0052】
脈動室14は、外殻5と乳頭カップライナー1の間、特に外殻5と胴体3の間に形成される。脈動乳首15は、脈動室14に脈動減圧又は脈動圧力を供給するために与えられることができる。
【0053】
上方境界3-4は、胴体3が乳頭のまわりで乳頭の表面と接触する位置に位置されることができる。例えば、上方境界3-4における内部空間7の平均直径は、23~28mmであることができる。
【0054】
胴体3は、第一実施形態において、長さLに沿って上方境界3-4から下方境界2-3まで先細であるか、又はわずかに先細である。従って、胴体3は、平均内部直径(即ち内部空間7の直径)を有し、それは、胴体3に沿って下方境界2-3に向かって減少することができる。しかしながら、胴体3はまた、いかなる先細りもなしで円筒形を持つことができることが注意される。
【0055】
上方境界3-4の上のマウスピース部分4では、平均内部直径(即ち内部空間7の直径)は、胴体3におけるより大きくすることができ、従って少なくとも乳頭の外部表面の一部に沿って、リップ8の下でマウスピース部分4と乳頭の間で完全な接触はない。
【0056】
乳頭カップライナー1は、図2では、休止状態で開示されている。休止状態は、乳頭カップライナー1が外殻5内に取り付けられているが乳頭カップの外殻5内の乳頭カップライナー1の取り付けからもたらされる緊張とは別のいかなるさらなる外部の力にもさらされていないときの、すなわち乳頭カップライナー1が搾乳減圧または脈動減圧にさらされていない、または乳頭が内部空間7中に導入されるときに起こる力または圧力にさらされていないときの、状態を示すことができる。
【0057】
図3,4及び5でわかるように、胴体3は、休止状態では、長手方向中心軸xに対して横断的に見て、マウスピース部分4から出口部分2まで、好ましくは全長Lまたは実質的に全長Lに沿って、三つの角を持つ多角形断面形状、または三角形、または略三角形断面形状を持つ。この三角形断面形状は、三つの辺部18及び三つの角部19を規定する。辺部18の各々は、角部19の二つを連結する。
【0058】
角部19の各々は、内部空間7に面しかつ内部空間7から内部表面まで延びる内部半径rを持つ内部空間7の方への凹状湾曲を持つ内部表面を含む。角部19の内部半径rは、特に完全な三角形の形状の角部19の内部半径rと比べて、比較的長い。内部半径rは、各角部19について等しくすることができる。
【0059】
上方区域3の上方境界3-4、即ち上方区域3′′とマウスピース部分4の間の境界(図5参照)では、各角部19の内部半径rは、角部19の長手方向中心線で比較的長く、特に少なくとも4mmである。従って、乳頭は、少なくとも上方区域3の上方境界3-4において胴体3の内部空間7を満たすことができる。
【0060】
辺部18の各々は、休止状態では、内部空間7及び長手方向中心軸xに向かって、好ましくは胴体3の全長Lに沿って凸状湾曲を有する。従って、辺部18の各々は、外部表面、及び反対側の内部表面18を含み、内部表面18は、内部空間7に面しかつ内部空間7に向かって凸状湾曲を有する。半径Rは、内部空間7の外側の位置から辺部18の長手方向中心線の外部表面まで延びる(図3及び5参照)。半径Rは、各辺部18について等しくすることができる。
【0061】
辺部18の各々の半径Rは、角部19の内部半径rより大きいか、又は有意に大きい。
【0062】
辺部18の各々の半径Rは、休止状態では、それぞれの辺部18の長手方向中心線(図3及び5参照)で、又はおそらく辺部18の全体で少なくとも15mmで多くとも40mmである。
【0063】
辺部18の各々は、胴体3の長さLに沿って辺部18の長手方向中心線で又は少なくとも長手方向中心線で辺部壁厚さTを有する。角部19の各々は、胴体3の長さLに沿って角部19の長手方向中心線で又は少なくとも長手方向中心線で角部壁厚さTを有する。
【0064】
角部壁厚さTは、胴体3の長さLに沿って、即ち上方区域3′′及び下方区域3′に沿って側部壁厚さTより厚い。
【0065】
角部壁厚さTは、角部19と隣接する辺部18の間の連続的な移行部を形成するために周囲方向で辺部壁厚さTまで減少する。
【0066】
角部壁厚さTは、胴体3の上方区域3′′に沿って下方区域3′に向かって上方境界3-4から移行部6まで減少する。角部壁厚さTは、上方境界3-4において3.2~3.6mm、好ましくは3.3~3.5mm、又は例えば3.4mmもしくは実質的に3.4mmであることができる。角部壁厚さTは、胴体3の上方区域3′′に沿って滑らかに又は連続的に上方境界3-4から移行部6まで減少することができる。
【0067】
角部壁厚さTは、胴体3の上方区域3′′に沿って辺部壁厚さTに近づくが、辺部壁厚さTより厚いままである。
【0068】
角部壁厚さTは、胴体3の下方区域3′に沿って一定である。角部壁厚さTは、移行部6でかつ下方区域3′に沿って1.9~2.3mm、好ましくは2.0~2.2mm、又は例えば2.1mmもしくは実質的に2.1mmであることができる。
【0069】
さらに、辺部壁厚さTは、胴体3の上方区域3′′及び下方区域3′に沿って一定である。辺部壁厚さTは、下方区域3′及び上方区域3′′に沿って1.7~2.1mm、好ましくは1.8~2.0mm、又は例えば1.9mmもしくは実質的に1.9mmであることができる。
【0070】
図6及び7でわかるように、マウスピース部分4の移行区域4′はまた、辺部18及び角部19を有する多角形断面形状を持つ。しかしながら、移行区域4′の多角形断面形状は、移行区域4′の上の円形断面形状に連続的に移行する。
【0071】
図8は、多角形断面形状が四つの辺部18及び四つの角部19を規定する矩形又は正方形の断面形状である点でのみ第一実施形態とは異なる第二実施形態を開示する。さらなる実施形態が可能であり、それに従って多角形断面形状は、四つより多い辺部及び角部を規定することができ、例えば五つ又は六つの辺部及び角部を規定することができることが注意されるべきである。
【0072】
図9は、マウスピース部分4が乳頭カップライナー1を形成するために胴体3に取り付け可能な別個の部分であること、そして出口部分2が短いこと、即ち短いミルク導管が別個のミルク導管又は短いミルク導管に取り付けられるように構成された乳首などの出口部材25によって置換されていることにおいて第一及び第二実施形態とは異なる第三実施形態を開示する。胴体3は、第一及び第二実施形態と同じ多角形断面形状を持つことができる。
【0073】
本発明は、開示された実施形態に限定されず、請求の範囲内で変更及び修正されることができる。
図1-2】
図3-7】
図8-9】