(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20230316BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230316BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20230316BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G02F1/1368
H01L29/78 612B
H01L29/78 618B
H01L29/78 616V
H01L29/78 616U
H01L27/088 D
(21)【出願番号】P 2021104136
(22)【出願日】2021-06-23
(62)【分割の表示】P 2017131663の分割
【原出願日】2017-07-05
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】321010863
【氏名又は名称】トライベイル テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100184527
【氏名又は名称】渡邉 賢二
(72)【発明者】
【氏名】井上 和式
(72)【発明者】
【氏名】小田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】長山 顕祐
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-111368(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098225(WO,A1)
【文献】特表2016-531321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0087022(US,A1)
【文献】特開2017-050545(JP,A)
【文献】特開2016-066100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、表示領域と、前記表示領域の周辺に設けられた額縁領域と、を有し、
前記表示領域に配置された第1ゲート電極と、
前記額縁領域に配置され、前記第1ゲート電極と同一組成の第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極とを覆うゲート絶縁層と、
前記第1ゲート電極に平面視で重なり、かつ、前記ゲート絶縁層上に配置されたアモルファスシリコン層と、
一部が前記アモルファスシリコン層に接して配置され、半導体特性を有する酸化物からなる第1コンタクト層と、
前記第1コンタクト層とは離間して配置され、かつ、一部が前記アモルファスシリコン層に接して配置され、前記第1コンタクト層と同一組成の第2コンタクト層と、
前記第1コンタクト層に接続する第1電極と、
前記第2コンタクト層に接続し、前記第1電極と同一組成の第2電極と、
前記第2ゲート電極に平面視で重なり、かつ、前記ゲート絶縁層上に配置され、前記第1コンタクト層と同一組成の酸化物半導体層と、
一部が前記酸化物半導体層に接して配置され、前記第1電極と同一組成の第3電極と、
前記第3電極と離間して配置され、かつ、一部が前記酸化物半導体層に接して配置され、前記第1電極と同一組成の第4電極と、
前記表示領域内で、かつ前記第1ゲート電極が形成されていない領域に配置された電極と、を備え
、
前記電極は、前記第2電極に接続し、前記第1コンタクト層と同一組成である、表示装置。
【請求項2】
前記第1コンタクト層は、少なくとも1種類以上の金属酸化物を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電極は、前記第2コンタクト層から延在され、連続一体化されたパターンを有する、請求項
1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記電極を覆って配置された絶縁層と、
前記電極に平面視で重なり、かつ、前記絶縁層上に配置された対向電極と、をさらに備える、請求項
1から請求項
3のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置を構成する薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)基板および薄膜トランジスタ(TFT)基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な薄型パネルの一つである液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)は、低消費電力や小型軽量といったメリットを生かして、パーソナルコンピュータや携帯情報端末機器の表示モニタやTV用途などに広く用いられている。また、車載用としてもカーナビゲーション製品や計器表示用モニタへの適用が進められている。
【0003】
このようなLCD等の電気光学装置では、パネル面内にマトリクス状に配置された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を画像表示の駆動素子とするアクティブマトリクス基板(以下、「TFT基板」と称す)が、一般的に用いられている。TFT基板を用いたLCD(TFT-LCD)では、広視野角化、高精細化、高品位化など、表示性能の向上の要求とともに、TFT基板の製造工程を簡略化した低コスト化の要求もある。
【0004】
従来の一般的なTFT-LCDは、各々が画素電極およびそれに接続したTFT(画素TFT)を備える複数の画素がマトリックス状に配設されたTFT基板(素子基板)と、画素電極に対向して配置される対向電極およびカラーフィルタ(CF)等を備えた対向基板(CF基板)とが、液晶層を挟持して貼り合せられた液晶パネルを基本構造として有する。この液晶パネルに偏光子等が取り付けられてTFT-LCDは構成されている。例えば光を透過させて画像表示を行う透過型LCDには、液晶パネルの背面側にバックライト(BL)が設けられる。
【0005】
TN(Twisted Nematic)と呼ばれる方式(TN方式)の液晶パネルにおいては、液晶を駆動する電界を発生するための画素電極と対向電極とが、液晶層を挟んで、それぞれTFT基板と対向基板とに配設される。例えば特許文献1には、このTFT基板の構成および製造方法が示されている。またTN方式の液晶パネルにおいては、液晶を駆動する電界がTFT基板(および対向基板)の面に対して垂直方向に印加されることから、縦電界液晶駆動方式とも呼ばれている。TN方式に代表される縦電界駆動仕様の液晶パネルは、一般的に画像表示の視野角が狭いという問題がある。
【0006】
一方で、例えば特許文献2に開示されているような横電界の液晶駆動方式であるIPS(In Plane Switching:IPSは(株)ジャパンディスプレイの登録商標)方式のLCD(IPS-LCD)が、広視野角という特徴を有する表示装置として広く知られている。しかし、IPS-LCDは、画素表示部での開口率の低さ、および透過率の低さといった問題も有しており、明るい表示特性を得ることが困難である。これは、IPS-LCDに用いられる櫛歯形状の画素電極の上方では液晶を駆動させるための電界が有効に働かず、画素電極上の一部の液晶が動作しないことが主な理由である。この問題を改善するために、例えば特許文献3に開示されているようなFFS(Fringe Field Switching:フリンジ電界駆動)方式のLCD(FFS-LCD)が提案されており、高視野角を有するLCDとして広く用いられるようになった。
【0007】
ところで、従来からLCD用のTFT基板に配設される画素TFTには、一般的にアモルファスシリコン(a-Si)が半導体のチャネル層として用いられてきた。その主な理由として、a-Siは、アモルファスであるがゆえに大面積基板上でも特性の均一性がよい膜が形成できること、また、a-Siの成膜を含むプロセス温度が約300℃以下であり、比較的低温にできることから耐熱性に劣る安価なガラス基板上でも製造できることが挙げられる。特にTV用途のように、表示エリアが広く、かつ低コスト化が要求されるLCDの製造プロセスとチャネル層がa-SiからなるTFTとは整合性がよい。
【0008】
a-Siからなるチャネル層を有する画素TFTは、通常、逆スタガ構造と呼ばれるTFT構造がよく用いられる。逆スタガ構造のTFTを用いることにより、例えば特許文献1に製造方法が開示されているように、TN方式のTFT基板を効率よく低コストで製造できる利点がある。このような逆スタガ構造のTFTは、バックチャネルエッチング(BCE)工程を必要とするBCE型と呼ばれるTFT構造がベースとなっており、a-Siを用いたBCE型TFTは、画素TFTとして好適に用いることができる。
【0009】
しかしながら、a-Siを用いたTFTは、移動度が0.5cm2/Vsec前後と小さいことから、画素TFTの駆動用として高い移動度が要求される駆動回路のTFT(駆動TFT)を構成することがかなり難しいという問題がある。したがって、一般的なLCDの駆動回路には、高移動度TFTや容量素子が集積された駆動用のICチップが、外部から液晶パネルに取り付けられて構成されている。このため、液晶パネルの周辺領域に、外付けのICを取り付けるスペースが必要となり、LCD製品の小型化や低価格化(製造の低コスト化)に限界があった。
【0010】
一方、アモルファスではなく微結晶化(Micro Crystalline)または多結晶化(Poly Crystalline)されたSiをチャネル層とするTFTでは、10cm2/Vsecを超える高移動度を得ることができる。そこで、例えば特許文献4では、多結晶Siをチャネル層として用いることによって、画素TFTと駆動TFTを同一基板上に形成する技術が開示されている。このようなLCDは、外付けのICが不要になるとともに、駆動TFTを画素TFTと同様に、写真製版工程を用いて形成することができるので、LCDを小型化できるとともに、製造コストを低減することが可能になる。
【0011】
さらに近年になって、酸化物半導体をチャネル層に有するTFT(酸化物半導体TFT)が開発された(例えば、特許文献5、特許文献6、非特許文献1)。酸化物半導体としては、酸化亜鉛(ZnO)系のもの、酸化亜鉛(ZnO)に酸化ガリウム(Ga2O3)および酸化インジウム(In2O3)を添加したInGaZnO系のものなどがある。
【0012】
酸化物半導体は、組成を適正化することによって均一性のよいアモルファス状態の膜が安定的に得られ、かつ従来のa-Siよりも一桁以上高い移動度(5cm2/Vsec以上)を有するため、小型で高性能なTFTを実現できるという利点がある。このため、酸化物半導体膜をチャネル層として用いても、画素TFTと駆動TFTを同一基板上に形成することができ、例えば特許文献7、8にこれらの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開平10-268353号公報
【文献】特開平11-119252号公報
【文献】特開2001-56474号公報
【文献】特開平5-63196号公報
【文献】特開2004-103957号公報
【文献】特開2005-77822号公報
【文献】特開2011-29579号公報
【文献】特開2011-44699号公報
【非特許文献】
【0014】
【文献】Kenji Nomura等著、「Room-temperature fabrication of transparent flexible thin-film transistors using amorphous oxide semiconductors」、Nature 2004年、第432巻、第488頁~第492頁
【文献】Chio-Shun Chuang等著、「Photosensitivity of Amorphous IGZO TFTs for Active-Matrix Flat-Panel Displays」、SID DIGEST 2008年、第1215頁~第1218頁
【文献】Dharam Pal Gosain等著、「Instability of Amorphous Indium Gallium Zinc Oxide Thin Film Transistors under Light Illumination」、Japanese Journal of Applied Physics 2009年、第48巻、第03B018-1頁~第03B018-5頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、同一基板上に画素TFTと駆動TFTとを形成することができれば、LCD製品の小型化や低価格化を実現することができる。しかしながら、従来より画素TFTに好適に用いられてきたa-Siをチャネル層として用いるTFTでは、移動度が小さいために、高い移動度を必要とする画素駆動用の駆動TFTに用いることは困難であった。
【0016】
また、特許文献1に開示されているように、a-Siをチャネル層として用いる逆スタガ構造のBCE型TFTを製造する場合、a-Siと金属膜との界面では良好なコンタクト特性が得られないために、チャネル層とソース電極との界面またはドレイン電極との界面に、a-Siにリン(P)のような13族原子を添加して電子キャリアを増大して低抵抗化させたn型低抵抗Si半導体層(オーミックコンタックト層)を設ける必要がある。このため、ソース電極及びドレイン電極を形成した後に、a-Si半導体チャネル層の上のn型低抵抗Si半導体層を除去してチャネル(バックチャネル)を形成する工程(BCE工程)が必要である。
【0017】
このとき、チャネル層とn型低抵抗半導体層は同じa-Si系材料のため、チャネル層のa-Si半導体層のみを残してn型低抵抗Si半導体層のみを正確に選択的にエッチング除去することは難しく、大面積の基板の場合は、エッチング(除去)プロセスの均一性不良によるTFT特性の均一性不良が生じやすく、表示ムラ等の不良を発生させる問題があった。
【0018】
特許文献2に開示された、移動度の高い微結晶Siまたは多結晶Siをチャネル層に用いて画素TFTと駆動TFTとを同一基板上に形成する技術においては、Siを結晶化させるために1000℃に近い高温プロセスが必要となる。このため、新たに高温アニール炉等の装置の導入が必要になる。また、石英のような高価な高耐熱性基板を必要とするため、部材コストの増大を招くとともに、基板の大型化が困難であるために大型サイズのLCDを製造することができないという問題があった。
【0019】
Siを比較的低温で多結晶化させる方法として、エキシマレーザー等をSiに照射するレーザーアニール法がある。レーザー照射による多結晶化Si技術は一般に低温ポリシリコン(Low Temperature Poly Silicon:LTPS)技術として広く知られており、一般的にはプロセス温度を500℃以下にすることができる。しかしながら、この方法では、広い面積にわたるSiチャネル層を均一に結晶化させることが難しく、レーザーを広範囲にスキャンする際の精密な制御が必要となる。さらに新たにレーザー照射装置の導入が必要となり、製造コストの増大を招く。
【0020】
また、結晶化Siを用いた場合でも、BCE型TFTを製造する場合には、a-Siと同様に、BCE工程のエッチング均一性の問題が残ってしまう。
【0021】
特許文献5、6に開示された、酸化物半導体をチャネル層に用いて画素TFTと駆動TFTとを同一基板上に形成する技術は、上述したように、酸化物半導体の組成を適正化することによって均一性のよいアモルファス状態の膜が安定的に得られ、かつ従来のa-Siよりも高い移動度を有するため、同一基板上に、高性能な画素TFTと駆動TFTとを小型で実現できるという利点がある。また、アモルファス酸化物の場合は、比較的低温のプロセスで製造することができるため、従来のa-Siと同じ設備を用いてTFTを製造することができるため、製造コストの増大を抑えることができる。
【0022】
しかしながら、酸化物半導体をチャネル層に用いたTFTは、光に対してTFT特性が劣化(光劣化)する問題があることが指摘されている(例えば、非特許文献2、3)。LCDの液晶パネルの周辺領域に形成される駆動回路の駆動TFTは、例えば周辺領域を遮光することによりTFT特性の光劣化を防止することができるが、表示領域の画素TFTは、背面側からのバックライト(BL)光や表面側からの外光に由来する漏れ光(迷光)がチャネル層に入光することによる光劣化が発生し、表示不良を生じさせる可能性があった。
【0023】
また一方、上述したように、広い視野角を有する優れた画像表示特性を得るためには、FFS-LCDが有効である。しかしながら、FFS-LCDは、TN方式とは異なりTFT基板上に画素電極層と対向電極層とを配設する必要があるために、TN方式に比べて生産効率が落ち、製造コストの増大を招くという問題点があった。
【0024】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、良好な特性を有する画素TFTと駆動TFTとを同一基板上に低コストに形成できる表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この発明に係る表示装置は、基板上に、表示領域と、表示領域の周辺に設けられた額縁領域と、を有し、表示領域に配置された第1ゲート電極と、額縁領域に配置され、第1ゲート電極と同一組成の第2ゲート電極と、第1ゲート電極と第2ゲート電極とを覆うゲート絶縁層と、第1ゲート電極に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層上に配置されたアモルファスシリコン層と、一部がアモルファスシリコン層に接して配置され、半導体特性を有する酸化物からなる第1コンタクト層と、第1コンタクト層とは離間して配置され、かつ、一部がアモルファスシリコン層に接して配置され、第1コンタクト層と同一組成の第2コンタクト層と、第1コンタクト層に接続する第1電極と、第2コンタクト層に接続し、第1電極と同一組成の第2電極と、第2ゲート電極に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層上に配置され、第1コンタクト層と同一組成の酸化物半導体層と、一部が酸化物半導体層に接して配置され、第1電極と同一組成の第3電極と、第3電極と離間して配置され、かつ、一部が酸化物半導体層に接して配置され、第1電極と同一組成の第4電極と、表示領域内で、かつ第1ゲート電極が形成されていない領域に配置された電極と、を備え、電極は、第2電極に接続し、第1コンタクト層と同一組成である。
【0026】
また、この発明に係る別の表示装置の薄膜トランジスタ基板は、基板上の所定の第1領域に配置され、第1導電膜からなる第1ゲート電極と、基板上の所定の第2領域に配置され、第1ゲート電極と同一組成の第1導電膜からなる第2ゲート電極と、第1ゲート電極と第2ゲート電極とを覆って基板上に配置されるゲート絶縁層と、一部が第1ゲート電極に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層上に配置され、半導体特性を有する酸化物からなる第1コンタクト層と、一部が第1ゲート電極に平面視で重なり、かつ、第1コンタクト層と離間する第1離間部分を有してゲート絶縁層上に配置され、第1コンタクト層と同一組成の半導体特性を有する酸化物からなる第2コンタクト層と、第1コンタクト層上に配置され、第2導電膜からなる第1電極と、第1電極と離間する第2離間部分を有して第2コンタクト層上に配置され、第1電極と同一組成の第2導電膜からなる第2電極と、を備える。第1電極と第2電極との間に位置する第2離間部分は、第1コンタクト層と第2コンタクト層との間に位置する第1離間部分よりも広い。第1離間部分にて露出するゲート絶縁層上から第1電極上の一部と第2電極上の一部とに渡って配置され、かつ、第2離間部分にて露出する第1コンタクト層と第2コンタクト層とに接して配置され、アモルファスシリコンからなる第1半導体層と、第2ゲート電極に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層上に配置され、第1コンタクト層および第2コンタクト層と同一組成の半導体特性を有する酸化物からなる第2半導体層と、一部が第2半導体層上に接して配置され、第1電極および第2電極と同一組成の第2導電膜からなる第3電極と、第3電極と離間して配置され、かつ、一部が第2半導体層上に接して配置され、第1電極および第2電極と同一組成の第2導電膜からなる第4電極と、所定の第1領域内かつ第1ゲート電極が形成される領域外に位置するゲート絶縁層上に配置され、かつ、第2電極に接続し、第1コンタクト層をなす半導体特性を有する酸化物と同一組成の導電特性を有する酸化物からなる画素電極と、をさらに備える。
【発明の効果】
【0027】
この発明に係る表示装置の薄膜トランジスタ基板によれば、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFTと酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFTとを同一基板上に低コストに形成できる。
【0028】
この発明に係る表示装置の薄膜トランジスタ基板によれば、その製造工程において、a-Siチャネル層形成時のBCE工程のオーミックコンタクト層の選択的な除去が容易となり、a-Si膜の半導体チャネル部の形状ならびに特性を均一性よく形成することができるため、画素領域の画素TFTの特性の均一性を向上させることができる。
【0029】
また、この発明に係る別の表示装置の薄膜トランジスタ基板は、その製造工程において、BCE工程が不要となり、a-Si膜の半導体チャネル部の形状ならびに特性を均一性よく形成することができる。これによって、画素領域の画素TFTの特性の均一性を向上させることができる。
【0030】
さらに、上記に記載のいずれの薄膜トランジスタ基板においても、画素表示領域の周辺領域に配設される駆動TFTの半導体チャネル層は、画素TFTのオーミックコンタクト層と同じ酸化物半導体膜で構成される。すなわち、同じ薄膜トランジスタ基板上に、駆動回路用として高移動度を有する高性能な駆動TFTを、画素TFTと一緒に効率よく形成することができる。
【0031】
例えば、本発明に係る薄膜トランジスタ基板を用いることによって、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFTと酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFTとを備える液晶表示装置用の薄膜トランジスタ基板を実現することができ、この薄膜トランジスタ基板を用いることによって、小型で高表示品質を有する液晶表示装置を低コストに提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施の形態1または実施の形態2におけるTFT基板の全体構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】実施の形態1または実施の形態2における画素TFTおよび画素領域の構造を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1または実施の形態2における駆動TFTの構造を示す平面図である。
【
図4】実施の形態1におけるTFT基板の構成の一部を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図7】実施の形態1のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図8】実施の形態1のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図9】実施の形態1のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図10】実施の形態1のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図11】実施の形態1のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図12】実施の形態1の変形例1のTFT基板の構成の一部を示す断面図である。
【
図13】実施の形態1の変形例3のTFT基板の構成の一部を示す断面図である。
【
図14】実施の形態1の変形例4または実施の形態2の変形例3における画素TFTおよび画素領域の構造を示す平面図である。
【
図15】実施の形態1の変形例4または実施の形態2の変形例3における駆動TFTの構造を示す平面図である。
【
図16】実施の形態1の変形例4のTFT基板の構成の一部を示す断面図である。
【
図17】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図18】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図19】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図20】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図21】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図22】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図23】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図24】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図25】実施の形態1の変形例4のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図26】実施の形態2のTFT基板の構成の一部を示す断面図である。
【
図27】実施の形態2のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図28】実施の形態2のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図29】実施の形態2のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図30】実施の形態2のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図31】実施の形態2のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図32】実施の形態2のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図33】実施の形態2の変形例2のTFT基板の構成の一部を示す断面図である。
【
図34】実施の形態2の変形例3のTFT基板の構成の一部を示す断面図である。
【
図35】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図36】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図37】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図38】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図39】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図40】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図41】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図42】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【
図43】実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。本発明の実施の形態におけるTFTは、スイッチング素子として用いられ、広視野角を有するFFS方式の液晶表示装置(LCD)のTFT基板において、画素用と駆動回路用に適用することができる。
【0034】
<実施の形態1>
図1(a)は本実施の形態におけるTFT基板100の全体構成を模式的に示す平面図である。同図に示すように、TFT基板100の面内は、表示領域150と、その表示領域150の周辺を囲んで設けられた額縁領域160(周辺領域)とに大きく分けられる。表示領域150は、複数の画素(画素領域)がマトリクス状に配列されてなり、各画素は第1薄膜トランジスタである画素TFT30を含む。
【0035】
表示領域150には、複数のゲート配線102と複数のソース配線117とが互いに直交するように交差して配置され、各ゲート配線と各ソース配線との交差部に対応して画素領域PXが設けられる。画素領域PXには、画素TFT30およびその画素TFT30に電気的に接続された画素電極16が設けられる。
【0036】
額縁領域160には、各ゲート配線に駆動電圧を与える走査信号駆動回路70及び各ソース配線に駆動電圧を与える表示信号駆動回路80が配置されている。走査信号駆動回路70により選択的に1本のゲート配線に電流が流れ、かつ、表示信号駆動回路80により選択的に1本のソース配線に電流が流れた時に、それらの配線の交点に存在する画素の画素TFT30がオン状態となり、この画素TFT30に接続された画素電極16に電荷が蓄積される。
【0037】
走査信号駆動回路70は、複数の駆動電圧発生回路を備える。
図1(b)は、1つの駆動電圧発生回路SCを示す回路図である。表示信号駆動回路80も同様に複数の駆動電圧発生回路(図示せず)を有して構成される。
【0038】
駆動電圧発生回路SCは、第2薄膜トランジスタである複数の駆動TFTを備え、例えば、図に示すように駆動TFT40と、駆動TFT41と、駆動TFT42とを備えている。ここで、各駆動TFTに流れる電流はドレイン電極からソース電極に流れるものとする。
【0039】
駆動TFT40のドレインD1には、クロック信号CLKが与えられる。駆動TFT41のソースS2には接地電位VSSが与えられ、ドレインD2が駆動TFT40のソースS1に接続されている。駆動TFT42のドレインD3には電源電位VDDが与えられ、ソースS3が駆動TFT40のゲートG1に接続されている。なお、駆動TFT42のソースS3は、駆動TFT40と駆動TFT41との間の接続ノードN1にキャパシタC1を介して接続される。駆動TFT40および41間の接続ノードN1が駆動電圧発生回路SCの出力ノードとして機能し、対応するゲート配線、あるいはソース配線に駆動電圧を与える。駆動TFT42のゲートG3に与えられる信号によって駆動TFT42がオンすることにより、駆動TFT40がオン状態となってクロック信号CLKが接続ノードN1から出力される。駆動TFT41のゲートG2に与えられる信号によって駆動TFT41がオンすることで、接続ノードN1の電位が接地電位VSSに固定される。
【0040】
詳細は後述するが、本実施の形態1では、画素TFT30のチャネル層には従来から実績のあるa-Siが用いられる。したがって光劣化の少なく、表示特性の安定したLCDを作製することができる。また駆動TFT40、41、42のチャネル層には酸化物半導体が用いられる。酸化物半導体は移動度が高いので、酸化物半導体をチャネル層に用いた駆動TFT40、41、42等を用いて走査信号駆動回路70及び表示信号駆動回路80を作製することにより、安定な動作を有する走査信号駆動回路70及び表示信号駆動回路80を得ることができる。また、走査信号駆動回路70及び表示信号駆動回路80の小型化も図ることができ、TFT基板100の額縁領域160に走査信号駆動回路70及び表示信号駆動回路80を小面積内に収めることが可能となる。そのため、走査信号駆動回路70及び表示信号駆動回路80を低コスト化できるとともに、額縁領域160の面積を小さくした狭額縁のLCDを作製することができる。
【0041】
(画素TFTおよび駆動TFTの構成)
次に、図面を参照して、画素TFT30および駆動TFT40の構成について詳しく説明する。なお、駆動TFT41および42は、駆動TFT40と基本構成は同じであるので説明は省略する。また、本実施の形態1において、画素TFT30と駆動TFT40とが形成されるTFT基板100は、光透過型の液晶パネルを構成するためのTFT基板であり、FFS方式の横電界液晶駆動仕様を有する。
【0042】
図2は、本実施の形態1における画素TFT30と画素領域PXの一部分を示す平面図である。
図3は、本実施の形態1における駆動TFT40の平面図である。これら画素TFT30と画素領域PXと駆動TFT40とは、1つのTFT基板100上に形成される。
図4は、
図2のX-X’部及び
図3のY-Y’部の断面構造を示す断面図である。以下、
図2、
図3および
図4を参照して画素TFT30および駆動TFT40の構成を説明する。
【0043】
図4に示すように、本実施の形態1における画素TFT30、駆動TFT40、画素領域PXおよび共通電極部50は、例えば、ガラス等の透明性絶縁性基板である基板1上に形成される。基板1上に、金属等の遮光性を有する第1導電膜からなる第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4が選択的に形成されている。第1ゲート電極2は、画素TFT30が形成される領域に形成され、画素TFT30のゲート電極として機能する。第2ゲート電極3は、駆動TFT40が形成される領域に形成され、駆動TFT40のゲート電極として機能する。
【0044】
第1ゲート電極2、第2ゲート電極3等を被覆するように基板1上全面に、第1絶縁膜からなるゲート絶縁層5が形成されている。
【0045】
画素TFT30の領域には、そのゲート絶縁層5上に、a-Si膜6からなる第1半導体層7が形成される。第1半導体層7は、少なくとも一部が平面視で第1ゲート電極2に重なるよう配置される。
【0046】
第1半導体層7の上には、半導体特性を有する酸化物膜8aからなる半導体パターン9aおよび半導体パターン10aが選択的に形成される。半導体パターン9aと半導体パターン10aとは、平面視で第1半導体層7と重なる領域の一部において離間部分W1を有するように互いに距離を隔てて分離形成される。半導体パターン9aは、第1半導体層7と後述する第1ソース電極17との間に存在して、両者を良好な電気特性で接続させるオーミックコンタクト層として機能する。すなわち半導体パターン9aはソースコンタクト層9である。また半導体パターン10aは、第1半導体層7と後述する第1ドレイン電極18との間に存在して、両者を良好な電気特性で接続させるオーミックコンタクト層として機能する。すなわち半導体パターン10aはドレインコンタクト層10である。一般にa-Si膜はn型キャリアを有するn型半導体なので、良好な電気特性で接続させるためにはソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10もn型の半導体特性を有する酸化物膜8aからなることが好ましい。
【0047】
ソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10およびゲート絶縁層5等を覆うように、第2導電膜からなる第1ソース電極17および第1ドレイン電極18が選択的に形成される。第1ソース電極17は、ソースコンタクト層9上の少なくとも一部に接して形成され、第1ドレイン電極18は、ドレインコンタクト層10上の少なくとも一部に接し、かつ、後述する画素電極16の一部領域と接続するよう形成される。
【0048】
駆動TFT40の領域には、ゲート絶縁層5上に、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成を有し、半導体特性を有する酸化物膜8aからなる第2半導体層13が形成される。第2半導体層13は、少なくとも一部が平面視で第2ゲート電極3と重なるように配置される。
【0049】
第2半導体層13上の一部およびゲート絶縁層5等を覆うように、第2導電膜からなる第2ソース電極19および第2ドレイン電極20が選択的に形成される。第2ソース電極19と第2ドレイン電極20とは、それぞれの一部が第2半導体層13上に直接に接して配置される。第2ソース電極19と第2ドレイン電極20とは、第2半導体層13と重なる一部領域において離間部分W2を有するように互いに距離を隔てて形成される。第2ソース電極19と第2ドレイン電極20とは、第1ソース電極17と第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる。上述した酸化物膜8aからなる第2半導体層13は、第2導電膜からなる第2ソース電極19および第2ドレイン電極20と直接接している場合でも良好な電気特性で接続することができる。
【0050】
なお、
図2から
図4に示すように、平面視でソース配線117の下層および第1ソース電極17の一部領域の下層かつゲート絶縁層5上に、酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11およびソース下層配線217を形成してもよい。酸化物膜8bは、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成を有しながらも、導電特性を有する。また平面視で第2ソース電極19および第2ドレイン電極20と重なる領域の下層かつゲート絶縁層5上にも、酸化物膜8bからなる第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15をそれぞれ形成するようにしてもよい。これらの下層配線は、それぞれソース配線117、第1ソース電極17、第2ソース電極19および第2ドレイン電極20の補助配線および補助電極として機能し、例えば、配線、電極の一部にパターン欠陥等がある場合でも断線不良の発生を防止することができる。
【0051】
また、
図4に示すように、画素領域PXには、ゲート絶縁層5上に、画素電極16が形成される。画素電極16も、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成を有しながらも、導電特性を有する酸化物膜8bからなる。上記の第1ドレイン電極18は、画素電極16上の一部領域に重なるように形成される。
【0052】
第1ソース電極17、第1ドレイン電極18、第2ソース電極19、第2ドレイン電極20および画素電極16を含む基板全面に、第2絶縁膜からなる保護絶縁層21が形成される。共通電極部50において、保護絶縁層21およびその下層のゲート絶縁層5には、共通電極4の表面の一部が露出するように共通電極部コンタクトホール22が開口されている。共通電極部コンタクトホール22は、平面視で共通電極4と重なるとともに画素電極16とは重ならない領域に配置される。
【0053】
さらに、画素領域PXにおいて、第3導電膜からなる対向電極25が、保護絶縁層21の上かつ平面視で画素電極16と重なるように形成される。本実施の形態1では、
図2に示すように、対向電極25は、ゲート配線102およびソース配線117にて囲まれてなる複数の画素領域のそれぞれを接続するように連続した形状を有する。対向電極25は、共通電極部コンタクトホール22を通して共通電極4に接続されている。これにより、対向電極25には共通電極4から一定の共通電位信号が印加される。
【0054】
対向電極25にはスリット開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極16と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。これによりTFT基板100は、横電界駆動仕様であるFFS方式のLCDに適用可能となる。なお、スリット開口部SLの代わりに、櫛歯状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0055】
次に、上記のTFT基板100を用いた液晶表示パネルの構成を説明する。液晶表示パネルの構成は、まず、
図2および
図3に示したTFT基板100の表面に配向膜、スペーサが配設される。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成されている。次に、別途準備された、カラーフィルタ及び配向膜等を備えた対向基板(図示せず)が、TFT基板100と対向するように配置される。この際、スペーサによってTFT基板と対向基板との間に間隙が形成され、その間隙に液晶が封止されて、横電界駆動のFFS方式の液晶表示パネルが構成される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板及びバックライトユニット等が配設されることによってFFS方式のLCDが完成する。
【0056】
(製造方法)
以下に、図面を参照して本実施の形態1のTFT基板100上に形成されるTFTの製造方法を説明する。
図5から
図10は、実施の形態1におけるTFT基板100の製造方法を示す断面工程図である。なお、最終工程を示す断面図は、
図4に相当する。
図5から
図10のそれぞれに図示するX-X’部及びY-Y’部は、それぞれ
図2に示すX-X’部および
図3に示すY-Y’部の断面部に対応している。
【0057】
まず、ガラス等の透明性絶縁基板である基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。本実施の形態1では、厚さ0.6mmのガラス基板を基板1として用いた。そして、洗浄された基板1の一方の主面全面に、ゲート電極等の材料である第1導電膜を形成する。なお、ゲート電極等が設けられる方を基板1の上主面とする。
【0058】
第1導電膜としては、例えばクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等の金属およびこれらの金属元素を主成分として他の元素を1種類以上添加した合金等を用いることができる。ここで、主成分の元素とは、合金を構成する元素のうち、含有量が最も多い元素のことを示すものとする。また、これらの金属の層または合金の層を2層以上含む積層構造としてもよい。これらの金属または合金を用いることによって、比抵抗値が50μΩcm以下の低抵抗な導電膜を得ることができる。本実施の形態1では、第1導電膜としてCu膜を、アルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリング法で200nmの厚さに成膜した。
【0059】
その後、第1導電膜上にフォトレジスト材を塗布し、1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第1導電膜をエッチングによりパターニングする。ここでは、過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図5に示されるように、基板1の上主面上に第1導電膜からなる第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4が形成される。
【0060】
次に、第1ゲート電極2、第2ゲート電極3等を覆うように基板1の上主面の全面に第1絶縁膜からなるゲート絶縁層5を形成する。なお、第1絶縁膜は、TFT部においてはゲート絶縁層5として機能するので一般的にはゲート絶縁膜と呼ばれる。本実施の形態1では、化学的気相成膜(Chemical Vapor Deposition:CVD)法を用いて、厚さ400nmの窒化シリコン膜(SiN)を成膜することで、ゲート絶縁層5を形成した。
【0061】
次に、ゲート絶縁層5の上に、第1半導体層7の材料となるa-Si膜6を形成する。本実施の形態1では、CVD法を用いて厚さ100nmのa-Si膜6を成膜する。その後、2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、a-Si膜6をエッチングによりパターニングする。ここでは弗素を含む六フッ化硫黄(SF
6)ガスと塩化水素(HCl)ガスを含むガスによるドライエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図6に示されるように、ゲート絶縁層5上において、平面視で第1ゲート電極2に重なる領域に、a-Si膜6からなる第1半導体層7が形成される。
【0062】
次に、第1半導体層7およびゲート絶縁層5上に、第2半導体層13等の材料となる酸化物膜8aを形成する。本実施の形態1では、酸化物膜8aの形成には、InとGaとZnを含む金属酸化物(例:InGaZnO)が用いられる。より具体的には、In:Ga:Zn:Oの原子組成比が1:1:1:4であるInGaZnOターゲット[In2O3・Ga2O3・2(ZnO)]を用い、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O2)ガスとの混合ガスを用いたスパッタリング法により、厚さ50nmのInGaZnO膜を成膜した。InGaZnO膜は、一般的に1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有するn型の半導体特性を示す。すなわち、本実施の形態1においては、酸化物膜8aはn型の半導体特性を有する。スパッタリング法によってInGaZnO膜を形成する場合は、例えばArガスとO2ガスの混合比率を変えることによって、InGaZnO膜の電子キャリア密度の大小を制御することができる。
【0063】
その後、3回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、酸化物膜8aをエッチングによりパターニングする。ここではシュウ酸(ジカルボン酸:Oxalic acid)5重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去する。
図7に示されるように、画素TFT30では、それぞれが第1半導体層7の一部領域に重なって配置され、互いが離間部分W1により分離されたソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が形成される。このように形成されたソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10は、半導体特性を有する酸化物膜8aであるInGaZnOからなる。また、駆動TFT40では、ゲート絶縁層5の上において、平面視で第2ゲート電極3に重なる領域に、InGaZnOからなる第2半導体層13が形成される。すなわち、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成の酸化物膜8aからなる第2半導体層13が形成される。
【0064】
ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10はn型半導体であり、ソースコンタクト層9は、第1半導体層7と後述する第1ソース電極17との間に存在して、両者を良好な電気特性で接続させるオーミックコンタクト層として機能する。またドレインコンタクト層10は第1半導体層7と後述する第1ドレイン電極18との間に存在して、両者を良好な電気特性で接続させるオーミックコンタクト層として機能する。当該機能を充分得るためには、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10は、1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有するn型半導体からなることが好ましい。比抵抗値でいえば、0.1Ω・cm以上1×106Ω・cm以下であることが好ましい。そして、ソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10との間に位置する第1半導体層7にチャネル領域(バックチャネル領域)CL1が形成される。
【0065】
ソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10および第2半導体層13をパターニングするときのシュウ酸系溶液は弱酸性の液体である。a-Si膜6からなる第1半導体層7は、本実施の形態で用いた5重量%濃度の水溶液に限らず、一般的なシュウ酸系の溶液にエッチングされることはない。これにより、十分なエッチング選択比が確保される。したがって、大型の基板1を用いてTFT基板100を作製する場合でも、第1半導体層7上のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10のみを均一性よく選択エッチングすることができ、その結果、第1半導体層7に良好な第1チャネル領域CL1を形成することができる。
【0066】
駆動TFT40において、平面視で第2ゲート電極3に重なる領域に形成されるInGaZnOからなる第2半導体層13は、駆動TFT40の半導体チャネル層として機能する。当該機能を充分得るためには、第2半導体層13は、上述のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同様に、1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有していることが好ましい。比抵抗値でいえば、0.1Ω・cm以上1×106Ω・cm以下であることが好ましい。本実施の形態1では、ソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10および第2半導体層13とは同一のプロセスで形成する。そのため、第2半導体層13は、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同じ半導体特性を有する酸化物膜8aからなる。すなわち第2半導体層13は、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成のInGaZnOからなる。
【0067】
また、本実施の形態1では、
図7に示すように、この第3回目の写真製版工程で、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成のInGaZnOからなる酸化物膜8aを用いて、画素領域PXに画素電極16のパターンが形成される。さらに、後述する第1ソース電極17に平面視で重なる領域、および
図2に示すソース配線117に平面視で重なる領域に、第1ソース電極下層配線11およびソース下層配線217のパターンが形成される。また、後述する第2ソース電極19および後述する第2ドレイン電極20に平面視で重なる領域に、それぞれ第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15のパターンが形成される。
【0068】
次に、
図8に示されるように、例えば低圧水銀灯を用いて、基板1に対して裏面側から全面に紫外線(UV)光を照射する。この処理を行うことで、基板1を透過したUV光が照射される酸化物膜8aのパターン領域、すなわち画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15が、半導体から導電体に変化する。すなわち、この光照射プロセスにより、導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16、ソース下層配線217、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15が形成される。このときの導電体部の比抵抗値は、1×10
-2Ω・cm程度以下であることが好ましい。すなわち、本実施の形態1のInGaZnOに代表される酸化物膜の場合では、電子キャリア密度が1×10
19個/cm
3以上であることが好ましい。
【0069】
一方、第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4と平面視で重なる領域に位置する酸化物膜8aは、UV光が遮光されるため半導体としての特性が維持される。すなわち、第1ゲート電極2と平面視で重なる領域に位置するソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10をなす酸化物膜8aは、半導体特性を維持する。また、第2ゲート電極3と平面視で重なる領域に位置する第2半導体層13をなす酸化物膜8aも半導体特性を維持する。
【0070】
UV光としては、450nm以下の波長領域に強度ピークを有するものを用いると、酸化物膜8aを効率よく導電体化できるので好ましい。なお、本実施の形態1では低圧水銀灯を照射したが、これに限られることなく、例えば紫外線レーザー光を用いることも可能である。
【0071】
次に、ソース電極、ドレイン電極等の材料である第2導電膜を成膜する。本実施の形態1では、Cu膜を、Arガスを用いたスパッタリング法で200nmの厚さに形成した。
【0072】
その後、4回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第2導電膜をエッチングによりパターニングする。ここでは、第1導電膜のときと同様に、過硫酸アンモニウム系溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図9に示されるように、第1ソース電極17、第1ドレイン電極18、第2ソース電極19および第2ドレイン電極20が形成される。
【0073】
第1ソース電極17は、平面視でソースコンタクト層9と重なり、第1ソース電極下層配線11まで跨るように形成されている。第1ソース電極17はソースコンタクト層9を通して第1半導体層7と電気的に接続されている。第1ドレイン電極18は、平面視でドレインコンタクト層10と重なり、画素電極16の一部と重なる領域まで跨るように形成される。第1ドレイン電極18はドレインコンタクト層10を通して第1半導体層7と電気的に接続されている。さらに画素電極16が第1ドレイン電極を通して第1半導体層7と電気的に接続されている。そして、第1ソース電極17と第1ドレイン電極18の離間部分W1には、下層のa-Si膜6からなる第1半導体層7の表面が露出した領域が形成され、画素TFT30の第1チャネル領域CL1として機能する。
【0074】
第2ソース電極19は、平面視で第2半導体層13の一部領域と重なり、第2ソース電極下層配線14まで跨るように形成されている。第2ドレイン電極20は、平面視で第2半導体層13の一部領域と重なり、第2ドレイン電極下層配線15まで跨るように形成されている。そして、平面視で第2ゲート電極3と重なる領域では、第2ソース電極19と第2ドレイン電極20との間には、第2半導体層13の表面が露出した離間部分W2を有する分離領域が形成され、駆動TFT40の第2チャネル領域CL2として機能する。
【0075】
次に、第1ソース電極17、第1ドレイン電極18、第2ソース電極19、第2ドレイン電極20および画素電極16を含む基板1の上主面の全面に、保護絶縁層21の材料である第2絶縁膜が形成される。本実施の形態1では、CVD法を用いて、SiO膜を100nm、SiN膜を200nmの厚さでこの順に積層して成膜することで、保護絶縁層21を形成した。
【0076】
その後、5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、保護絶縁層21のSiO膜とSiN膜、およびゲート絶縁層5のSiN膜を順次エッチングすることによりパターニングする。ここでは六フッ化硫黄(SF6)に酸素(O2)を加えたガスを用いたドライエッチングを用いた。
【0077】
その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図10に示されるように、保護絶縁層21およびゲート絶縁層5に、共通電極4の表面の一部が露出するような共通電極部コンタクトホール22が形成される。共通電極部コンタクトホール22は、平面視で共通電極4と重なるとともに画素電極16とは重ならない領域に配置される。
【0078】
次に、共通電極コンタクトホールを含む保護絶縁層21の上に対向電極25の材料となる第3導電膜を形成する。本実施の形態1では、第3導電膜として光透過性の酸化物導電膜であるITO膜を用いる。ITOは、酸化インジウムIn2O3と酸化すずSnO2との混合酸化物膜であり、それらの混合比は、例えばIn2O3:SnO2=90:10(重量%)である。ITO膜は一般的に、常温中では結晶質(多結晶)構造が安定であるが、ここではスパッタリング法で、Arに水素(H)を含むガス、例えば、水素(H2)ガスまたは水蒸気(H2O)などを混合したガスを用いて成膜し、厚さ100nmのITO膜を非晶質状態で成膜した。
【0079】
その後、6回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3導電膜である非晶質ITO膜をエッチングによりパターニングする。ここではシュウ酸を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図4に示されるように、透光性の対向電極25が形成される。対向電極25は、平面視で保護絶縁層21の上の画素領域PXに画素電極16と重なるように形成される。また対向電極25は、共通電極部コンタクトホール22を通して共通電極4に接続されている。
【0080】
対向電極25にはスリット開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極16と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。なお、スリット開口部SLの代わりに、櫛歯状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0081】
以上のように、本実施の形態1によれば、チャネル層がa-Si膜6からなる第1半導体層7である画素TFT30と、チャネル層が酸化物膜8aからなる第2半導体層13である駆動TFT40との両方が、ひとつの基板1上に形成されたFFS仕様のTFT基板100を、6回の写真製版工程で作製することができる。
【0082】
液晶表示パネルの組み立ては、まず、
図2および
図3に示したTFT基板100の表面に配向膜、スペーサを形成する。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成される。次に、別途作製した、カラーフィルタおよび配向膜等を備えた対向基板(図示せず)を、TFT基板100と対向して貼り合わせる。この際、スペーサによってTFT基板と対向基板との間に間隙が形成され、その間隙に液晶を封止することによって、横電界液晶駆動のFFS方式の液晶表示パネルが作製される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板及びバックライトユニット等を配設することによってFFS方式のLCDが完成する。
【0083】
(効果)
本実施の形態1のTFT基板100は、表示領域150に設けられる画素表示用のTFTを光劣化の少ないa-Si膜6からなる半導体層を含む画素TFT30(第1TFT)で構成する。TFT基板100は、表示領域150の周辺に位置する額縁領域160には画素TFT30を駆動するための駆動回路を内蔵し、その駆動回路に設けられるTFTをa-Si膜6に比べて高い移動度を有する酸化物膜8aからなる半導体層を含む駆動TFT40(第2TFT)で構成する。FFS方式の横電界液晶駆動用の画素電極16と対向電極25のふたつの電極のうち、画素電極16を導電体化させた酸化物膜8bを用いて構成する。これらにより、高表示品質で信頼性が高く、かつ狭額縁のLCDを低コストで製造することができるようになる。
【0084】
また、実施の形態1のTFT基板100は、画素TFT30および駆動TFT40の各ゲート電極、ゲート絶縁層、各ソース電極及び各ドレイン電極を同一材料で共通化するような構成としたので、製造工程の簡略化と低コスト化をはかることができる。
【0085】
さらに、画素TFT30のa-Si膜6からなる第1半導体層7と第1ソース電極17および第1ドレイン電極18との良好な電気的接続(オーミックコンタクト)を得るためのソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10を、駆動TFT40の第2半導体層13を構成する酸化物膜8aを利用して構成するようにした。これにより、従来のn型低抵抗Si半導体膜からなるソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10に比べると、a-Si膜6からなる第1半導体層7との良好な選択エッチングが可能となる。したがって、大型の基板1を用いた場合でも、a-Si膜6からなる第1半導体層7上のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10を均一性よくエッチングすることができるとともに、a-Si膜6からなる第1半導体層7の表面(第1チャネル領域CL1)のプロセスダメージを抑制することができる。これにより、特性ならびに信頼性に優れる画素TFT30を得ることができる。
【0086】
以上により、表示ムラがなく良好な表示品質を有するとともに、信頼性に優れるLCDを製造することができる。
【0087】
なお、実施の形態1では、第2絶縁膜をSiO膜とSiN膜の積層膜としたが、SiN膜やSiO膜、SiON膜の単層膜としてもよく、SiN膜とSiO膜からなる2層以上の積層膜としても良い。また、第1絶縁膜をSiN膜の単層膜としたが、SiO膜やSiON膜の単層膜としてもよく、SiN膜とSiO膜からなる2層以上の積層膜としてもよい。
【0088】
実施の形態1の製造工程において、酸化物膜8bからなる画素電極16、ソース下層配線217、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15を、
図8に示されるように、基板1に対して裏面側からUV光を照射することによって導電体化させるようにしたが、これに限らず、例えば
図11に示されるように、フォトレジスト材からなるフォトレジストパターンPR9およびPR10を形成し、これらをマスクとして基板に対して表面側からUV光を照射するようにしてもよい。
【0089】
この場合は、フォトレジストパターンPR9およびPR10を形成するための新たな写真製版工程が必要となるが、UV光を直接、酸化物膜8aに照射することができるので、より効率よく、半導体特性を有する酸化物膜8aを、導電特性を有する酸化物膜8bに変化させることができる。また、UV光や紫外線レーザー光の照射以外にも、例えば還元性の水素(H2)ガスや水素を含むアンモニア(NH3)ガスを用いたH2プラズマやNH3プラズマを直接照射する方法を用いることができるようになる。
【0090】
以上をまとめると、本実施の形態1におけるTFT基板100は、基板1上の所定の表示領域150(第1領域)に配置され、第1導電膜からなる第1ゲート電極2と、基板1上の所定の額縁領域160(第2領域)に配置され、第1ゲート電極2と同一組成の第1導電膜からなる第2ゲート電極3と、第1ゲート電極2と第2ゲート電極3とを覆って基板1上に配置されるゲート絶縁層5と、第1ゲート電極2に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置され、アモルファスシリコンからなる第1半導体層7と、一部が第1半導体層7上に接して配置され、半導体特性を有する酸化物膜8a(酸化物)からなるソースコンタクト層9(第1コンタクト層)と、ソースコンタクト層9とは離間して配置され、かつ、一部が第1半導体層7上に接して配置され、ソースコンタクト層9と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10(第2コンタクト層)と、ソースコンタクト層9に接続し、第2導電膜からなる第1ソース電極17(第1電極)と、ドレインコンタクト層10に接続し、第1ソース電極17と同一組成の第2導電膜からなる第1ドレイン電極18(第2電極)と、第2ゲート電極3に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置され、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなる第2半導体層13と、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる第2ソース電極19(第3電極)と、第2ソース電極19(第3電極)と離間して配置され、かつ、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる第2ドレイン電極20(第4電極)と、所定の表示領域150内でかつ第1ゲート電極2が形成される領域外に位置するゲート絶縁層5上に配置され、かつ、第1ドレイン電極18に接続し、ソースコンタクト層9をなす酸化物膜8aと同一組成の導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16と、を備える。
【0091】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30と酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40とを同一基板上に低コストに形成できる。また、a-Siチャネル層形成のためのBCE工程において、酸化物膜8aからなるオーミックコンタクト層の選択的な除去が容易となり、a-Si膜6からなる半導体チャネル部の形状ならびに特性を均一性よく形成することができる。そのため、画素TFT30の特性の均一性を向上させることができる。
【0092】
また、本実施の形態1におけるTFT基板100は、画素電極16を覆って配置される保護絶縁層21と、画素電極16に平面視で重なり、かつ、保護絶縁層21上に配置され、第3導電膜からなる対向電極25と、をさらに備える。
【0093】
このような構成により、FSS方式のLCD用途においても、製造工程の簡略化と低コスト化が可能な薄膜トランジスタ基板100が得られる。
【0094】
また、本実施の形態1におけるTFT基板100は、所定の表示領域150に配置され、第1ゲート電極2と、ゲート絶縁層5と、第1半導体層7と、ソースコンタクト層9と、ドレインコンタクト層10と、第1ソース電極17と、第1ドレイン電極18とを含む画素TFT30(第1TFT)と、所定の額縁領域160に配置され、第2ゲート電極3と、ゲート絶縁層5と、第2半導体層13と、第2ソース電極19と、第2ドレイン電極20と、を含む駆動TFT40(第2TFT)とをさらに備える。所定の表示領域150は、基板1上に複数の画素がマトリクス状に配列されてなり、画素TFT30は、表示領域150の各画素に設けられる画素表示用のTFTである。所定の額縁領域160は、表示領域150外の領域であり、駆動TFT40は、画素TFT30を駆動する駆動回路用のTFTである。
【0095】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30と酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40とを同一基板上に低コストに形成した薄膜トランジスタ基板100が得られる。
【0096】
また、本実施の形態1における液晶表示装置は、薄膜トランジスタ基板100と、薄膜トランジスタ基板100に対し対向配置される対向基板と、薄膜トランジスタ基板100と対向基板との間隙に封止される液晶とを備える。
【0097】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30と酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40とを備える液晶表示装置用の薄膜トランジスタ基板100を実現することができ、この薄膜トランジスタ基板100を用いることによって、小型で高表示品質を有する液晶表示装置を低コストに提供することが可能になる。
【0098】
また、本実施の形態1におけるTFT基板100の製造方法は、基板1上の所定の表示領域150(第1領域)に配置され、第1導電膜からなる第1ゲート電極2を形成する工程と、基板1上の所定の額縁領域160(第2領域)に配置され、第1ゲート電極2と同一組成の第1導電膜からなる第2ゲート電極3を形成する工程と、第1ゲート電極2と第2ゲート電極3とを覆って基板1上に配置されるゲート絶縁層5を形成する工程と、第1ゲート電極2に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置され、アモルファスシリコンからなる第1半導体層7を形成する工程と、一部が第1半導体層7上に接して配置され、半導体特性を有する酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9(第1コンタクト層)を形成する工程と、ソースコンタクト層9とは離間して配置され、かつ、一部が第1半導体層7上に接して配置され、ソースコンタクト層9と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10(第2コンタクト層)を形成する工程と、ソースコンタクト層9に接続し、第2導電膜からなる第1ソース電極17(第1電極)を形成する工程と、ドレインコンタクト層10に接続し、第1ソース電極17と同一組成の第2導電膜からなる第1ドレイン電極18(第2電極)を形成する工程と、第2ゲート電極3に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置され、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなる第2半導体層13を形成する工程と、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる第2ソース電極19を形成する工程と、第2ソース電極19(第3電極)と離間して配置され、かつ、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる第2ドレイン電極20(第4電極)を形成する工程と、所定の表示領域150内でかつ第1ゲート電極2が形成される領域外に位置するゲート絶縁層5上に配置され、かつ、第1ドレイン電極18に接続し、ソースコンタクト層9をなす半導体特性を有する酸化物膜8aと同一組成の導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16を形成する工程と、を備える。
【0099】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30と酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40とを同一基板上に低コストに形成できる。
【0100】
また、本実施の形態1におけるTFT基板100の製造方法において、第1半導体層7を形成する工程は、ゲート絶縁層5を形成する工程の後に、基板1上にアモルファスシリコンからなるアモルファスシリコン膜6を形成する工程と、第1半導体層7が形成されるようにアモルファスシリコン膜6をパターニングする工程と、を含む。ソースコンタクト層9を形成する工程と、ドレインコンタクト層10を形成する工程と、第2半導体層13を形成する工程と、画素電極16を形成する工程とは、第1半導体層7を形成する工程の後に、基板1上に半導体特性を有する酸化物からなる酸化物膜8aを形成する工程と、ソースコンタクト層9と、ドレインコンタクト層10と、第2半導体層13と、画素電極16とが形成されるように酸化物膜8aを一括してパターニングする工程と、を含む。第1ソース電極17を形成する工程と、第1ドレイン電極18を形成する工程と、第2ソース電極19を形成する工程と、第2ドレイン電極20を形成する工程とは、酸化物膜8aを一括してパターニングする工程の後に、基板1上に第2導電膜を形成する工程と、第1ソース電極17と、第1ドレイン電極18と、第2ソース電極19と、第2ドレイン電極20とが形成されるよう第2導電膜を一括してパターンニングする工程と、を含む。
【0101】
このような構成により、また、a-Siチャネル層形成のためのBCE工程において、酸化物膜8aからなるオーミックコンタクト層の選択的な除去が容易となり、a-Si膜6からなる半導体チャネル部の形状ならびに特性を均一性よく形成することができる。そのため、画素TFT30の特性の均一性を向上させることができる。
【0102】
また、本実施の形態1におけるTFT基板100の製造方法において、第1ゲート電極2を形成する工程と、第2ゲート電極3を形成する工程とは、基板1の表面に遮光性を有する第1導電膜を形成する工程と、第1ゲート電極2と第2ゲート電極3とが形成されるよう第1導電膜を一括してパターニングする工程と、を含む。画素電極16を形成する工程は、酸化物膜8aを一括してパターニングする工程の後に、基板1の裏面から紫外線を含む光を照射する工程をさらに含む。
【0103】
このような構成により、基板1を透過したUV光が照射される領域に導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15を形成できる。さらに、UV光が遮光される領域に半導体特性を有する酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10および第2半導体層13を形成できる。すなわち、製造工程が簡略化される。
【0104】
また、本実施の形態1におけるTFT基板100の製造方法は、画素電極16を覆って配置される保護絶縁層21を形成する工程と、画素電極16に平面視で重なり、かつ、保護絶縁層21上に配置され、第3導電膜からなる対向電極25を形成する工程と、をさらに備える。
【0105】
このような構成により、FSS方式のLCD用途においても、製造工程の簡略化と低コスト化が可能な薄膜トランジスタ基板が得られる。
【0106】
また、本実施の形態1におけるTFT基板100の製造方法は、第1ゲート電極2を形成する工程と、ゲート絶縁層5を形成する工程と、第1半導体層7を形成する工程と、ソースコンタクト層9を形成する工程と、ドレインコンタクト層10を形成する工程と、第1ソース電極17を形成する工程と、第1ドレイン電極18を形成する工程とを含み、基板1上の所定の表示領域150に画素TFT30(第1TFT)を形成する工程と、第2ゲート電極3を形成する工程と、ゲート絶縁層5を形成する工程と、第2半導体層13を形成する工程と、第2ソース電極19を形成する工程と、第2ドレイン電極20を形成する工程とにより、基板1上の所定の額縁領域160に駆動TFT40(第2TFT)を形成する工程と、をさらに備える。所定の表示領域150は、基板1上に複数の画素がマトリクス状に配列されてなり、画素TFT30は、表示領域150の各画素に設けられる画素表示用のTFTである。所定の額縁領域160は、表示領域150外の領域であり、駆動TFT40は、画素TFT30を駆動する駆動回路用のTFTである。
【0107】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30と酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40とを同一基板上に低コストに形成した薄膜トランジスタ基板100が得られる。
【0108】
<実施の形態1の変形例1>
実施の形態1の変形例1に係るTFT基板は、上記の実施の形態1にて示したTFT基板の構成のうち駆動TFTの構成が異なる。以下、本変形例1におけるTFT基板の構成について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上記の実施の形態1と同様の構成は説明を省略する。
【0109】
図12は、本実施の形態1の変形例1に係るTFT基板に配設される画素TFT30と駆動TFT40aの断面図である。
図12に示されるように、平面視で、駆動TFT40aの第2ソース電極19に重なる領域に位置する保護絶縁層21には、ソース電極部のコンタクトホールとして第1コンタクトホール23が配設され、第2ドレイン電極20に重なる領域に位置する保護絶縁層21には、ドレイン電極部のコンタクトホールとして第2コンタクトホール24が配設されている。第1コンタクトホール23からは、第2ソース電極19の表面の一部が露出している。また、第2コンタクトホール24からは第2ドレイン電極20の表面の一部が露出している。これらのコンタクトホールは、上記の実施の形態1において、5回目の写真製版工程において形成される。
【0110】
そして、保護絶縁層21上には、第1コンタクトホール23を通して第2ソース電極19に接続された第3ソース電極26、および第2コンタクトホール24を通して第2ドレイン電極20に接続された第3ドレイン電極27が配設されている。第3ソース電極26および第3ドレイン電極27は、上記の実施の形態1において、6回目の写真製版工程で第3導電膜をパターニングすることで形成される。
【0111】
以上のように本実施の形態1の変形例1では、駆動TFT40aを構成する各ソース電極および各ドレイン電極は、それぞれ第2導電膜および第3導電膜を含む少なくとも2層で構成される。そのため、一方の層が例えばパターン不良等で断線しても、もう一方の層で断線をカバーできるため、断線不良の発生を防止することができる。したがって、
図1(b)に示される駆動TFT41および42が、駆動TFT40aと同様の構成を有し、それら駆動TFTを含む駆動電圧発生回路SCがTFT基板100の周辺領域に配置された場合でも、各駆動TFT間の断線による回路動作不良の発生率を大幅に低減することができるようになる。
【0112】
以上をまとめると、本変形例1のTFT基板が含む保護絶縁層21は、第2ソース電極19(第3電極)と第2ドレイン電極20(第4電極)とをさらに覆って配置され、第2ソース電極の表面の一部が露出する第1コンタクトホール23(第1開口部)と、第2ドレイン電極20の表面の一部が露出する第2コンタクトホール24(第2開口部)とを含む。また、薄膜トランジスタ基板は、保護絶縁層21上に配置され、かつ、第1コンタクトホール23を介して第2ソース電極19に接続し、対向電極25と同一組成の第3導電膜からなる第3ソース電極26(第5電極)と、保護絶縁層21上に配置され、かつ、第2コンタクトホール24を介して第2ドレイン電極20に接続し、対向電極25と同一組成の第3導電膜からなる第3ドレイン電極27(第6電極)と、をさらに備える。
【0113】
以上の構成により、電極や配線の断線による回路動作不良の発生率を大幅に低減することができる。
【0114】
<実施の形態1の変形例2>
上記の実施の形態1およびその変形例1では、平面視で第1ソース電極17またはソース配線117と重なる領域の下層に、導電特性を有する酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11およびソース下層配線217を形成するようにしたが、これらは適宜省略することもできる。同様に、平面視で第2ソース電極19および第2ドレイン電極20と重なる領域の下層にも、導電特性を有する酸化物膜8bからなる第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15をそれぞれ形成するようにしたが、これらも適宜省略することができる。
【0115】
<実施の形態1の変形例3>
上記の実施の形態1およびその変形例1においては、ソースコンタクト層9は、第1ソース電極下層配線11またはソース下層配線217とは分離されて配設されていた。さらに、ドレインコンタクト層10は、画素電極16とは分離されて配設されていた。また、駆動TFT40の第2半導体層13は、第2ソース電極下層配線14または第2ドレイン電極下層配線15とは分離されて配設されていた。
【0116】
図13は、本実施の形態1の変形例3に係るTFT基板に配設される画素TFT30bと駆動TFT40bの断面図である。本変形例3においては、画素TFT30bにおいて、酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9と酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11とは連続一体化したパターンで形成される。また、酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10と酸化物膜8bからなる画素電極16とは連続一体化したパターンで形成される。さらに、駆動TFT40bにおいて、酸化物膜8aからなる第2半導体層13と酸化物膜8bからなる第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15とを連続一体化したパターンで形成される。このような構成を有するTFT基板であっても、
図8に示されるような実施の形態1の製造方法を用いることによって、酸化物膜の必要な領域を選択的に導電体化させることができる。
【0117】
以上をまとめると、本変形例3におけるTFT基板の画素電極16は、半導体特性を有する酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10から延在され連続一体化されたパターンを有する。
【0118】
また、本変形例3のTFT基板の製造方法において、ソースコンタクト層9と、ドレインコンタクト層10と、第2半導体層13と、画素電極16とを形成するために酸化物膜8aを一括してパターニングする工程または酸化物膜8aと第2導電膜とを一括してパターニングする工程は、画素電極16がドレインコンタクト層10から延在され連続一体化されるように酸化物膜8aをパターニングする。
【0119】
このような構成により、酸化物膜8aの必要な領域を選択的に導電体化させることができる。
【0120】
<実施の形態1の変形例4>
実施の形態1のTFT基板は、6回の写真製版工程で作製することができるが、本変形例3におけるTFT基板は、さらに工程数を1回減らし5回の写真製版工程で作製することができる。
【0121】
(画素TFTおよび駆動TFTの構成)
次に、図面を参照して、本実施の形態1の変形例4のTFT基板に配設される画素TFTと駆動TFTの構成について詳しく説明する。
【0122】
図14は、実施の形態1の変形例4における画素TFT30cと画素領域PXの一部分とを示す平面図であり、
図15は本変形例4における駆動TFT40cを示す平面図である。これら画素TFT30cと画素領域PXと駆動TFT40cとは、ひとつのTFT基板上に形成される。
図16は、
図14に示すX-X’部および
図15に示すY-Y’部の断面構造を示す断面図である。
【0123】
上述の実施の形態1におけるTFT基板と本変形例4におけるTFT基板との構造上の違いのひとつは、画素TFT30cが含むソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10の形状と、駆動TFT40cが含む第2半導体層13の形状である。
【0124】
すなわち、実施の形態1に示した画素TFT30においては、
図2または
図4に示されるように酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9は、酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11およびソース下層配線217とパターンが分離されて形成されている。同様に、酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10は、酸化物膜8bからなる画素電極16とパターンが分離されて形成されている。
【0125】
これに対して、本変形例4のTFT基板が含む画素TFT30cにおいては、
図14または
図16に示されるように、酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9は、酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11およびソース下層配線217と連続一体化したパターンで形成され、酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10は、酸化物膜8bからなる画素電極16と連続一体化したパターンで形成されている。この連続一体化した酸化物膜のパターンのうち、第1ゲート電極2のパターンからはみ出した領域に位置する酸化物膜8bは、導電特性を有し、第1ソース電極下層配線11および画素電極16をなす。酸化物膜のパターンのうち第1ゲート電極2の内側に位置する酸化物膜8aは、半導体特性を有し、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10をなす。なお、連続一体化した酸化物膜のパターンを有するこれらの構造は、上記の変形例3のTFT基板と同様である。
【0126】
さらに本変形例4においては、ソースコンタクト層9と第1ソース電極下層配線11との上には、平面視でこれらの形状と概略同じ形状で、かつ外縁が若干内側に入った態様で、第1ソース電極17およびソース配線117が形成されている。ドレインコンタクト層10の上には、平面視でこの形状と概略同じ形状で、かつ外縁が若干内側に入った態様で第1ドレイン電極18の一部領域が形成される。なおかつ、第1ドレイン電極18の一部領域は、平面視で画素電極16の一領域に重なるとともに画素電極16の外側にはみ出さない態様で形成されている。ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10は、
図16に示すように、第1半導体層7と重なる領域の一部において離間部分W1を有するように互いに距離を隔てて分離形成される。第1ソース電極17および第1ドレイン電極18は、互いが離間部分W1よりも離れた離間部分W3を有するように形成されている。
【0127】
また、上述した実施の形態1の駆動TFT40においては、
図3または
図4に示されるように、酸化物膜8aからなる第2半導体層13と、酸化物膜8bからなる第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15とが分離されて形成されている。それに対して、本変形例4の駆動TFT40cでは、
図15または
図16に示されるように、酸化物膜8aからなる第2半導体層13は、酸化物膜8bからなる第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15と連続一体化したパターンで形成されている。この連続一体化したパターンのうち、第2ゲート電極3のパターンからはみ出した領域に位置する酸化物膜8bは、導電特性を有し、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15をなす。そして、第2ゲート電極3と重なる領域に位置する酸化物膜8aは、半導体特性を有し、駆動TFT40cの第2半導体層13をなす。
【0128】
第2半導体層13と第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15とが連続一体化したパターンの上には、平面視でこれらの形状と概略同じ形状で、かつ外縁が若干内側に入った態様で、第2ソース電極19および第2ドレイン電極20が互いに分離されて形成されている。
【0129】
第1ソース電極17、第1ドレイン電極18、第2ソース電極19および第2ドレイン電極20を上記のような態様で形成することで、これらのパターン縁の段差部における保護絶縁層21の段差切れ不良を防止できる。これにより保護絶縁層21のカバレッジ不良に起因するTFT特性の信頼性低下等を抑制することができる。
【0130】
保護絶縁層21および下層のゲート絶縁層5には、画素領域PXの共通電極部において共通電極4の表面の一部が露出するように共通電極部コンタクトホール22が開口されている。共通電極部コンタクトホール22は、平面視で共通電極4と重なるとともに画素電極16とは重ならない領域に配置される。
【0131】
さらに、第3導電膜からなる対向電極25が、平面視で保護絶縁層21の上の画素領域PXに画素電極16と重なるように形成される。本変形例4では、
図14に示されるように、対向電極25は、平面視において、ゲート配線102およびソース配線117で囲まれる複数の画素領域のそれぞれを接続し、連続した形状を有して配置されている。対向電極25は、共通電極部コンタクトホール22を通して共通電極4に接続されている。これにより、対向電極25には共通電極4から一定の共通電位信号が印加される。
【0132】
対向電極25にはスリット開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極16と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。これによりTFT基板は、横電界駆動仕様であるFFS方式のLCDに適用可能となる。なお、スリット開口部SLの代わりに、櫛歯状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0133】
駆動TFT40cにおいて、平面視で第2ソース電極19と重なる領域に第2ソース電極19の表面の一部が露出するように第1コンタクトホール23が開口されている。また、平面視で第2ドレイン電極20と重なる領域に第2ドレイン電極20の表面の一部が露出するように第2コンタクトホール24が開口されている。さらに、第3導電膜からなる第3ソース電極26および第3ドレイン電極27が、それぞれ平面視で第2ソース電極19および第2ドレイン電極20と重なる領域に配設される。第3ソース電極26は、第1コンタクトホール23を通して第2ソース電極19に接続され、第3ドレイン電極は、第2コンタクトホール24を通して第2ドレイン電極20に接続されている。
【0134】
また保護絶縁層21には、第2チャネル領域CL2となる領域に第3コンタクトホール28が開口されている。第3コンタクトホール28は、離間部分W2の幅を有して、第2ソース電極19と第2ドレイン電極20とを分離し、かつ、第3ソース電極26と第3ドレイン電極27とを分離する。これにより、第2半導体層13は、第2チャネル領域CL2においてチャネル層として機能する。
【0135】
以上のように、駆動TFT40cを構成する各ソース電極および各ドレイン電極は、導電体化された酸化物膜8b、第2導電膜および第3導電膜を含む3層の導電体で構成される。そのため、ひとつの層がパターン不良等で断線しても、他の2層で断線をカバーできるため、断線不良の発生を防止することができる。したがって、
図1(b)に示される駆動TFT41および42が、駆動TFT40cと同様の構成を有し、それら駆動TFTを含む駆動電圧発生回路SCがTFT基板の周辺領域に配置された場合でも、各駆動TFT間の断線による回路動作不良の発生率を大幅に低減することができるようになる。
【0136】
(製造方法)
以下に、図面を参照して本実施の形態1の変形例4に係るTFT基板の製造方法を説明する。
図17から
図25は本実施の形態1の変形例4におけるTFT基板の製造方法を示す断面工程図である。なお、最終工程を示す断面図は、
図16に相当する。各工程図中のX-X’部及びY-Y’部は、それぞれ
図14に示すX-X’部および
図15に示すY-Y’部の断面部に対応している。
【0137】
まず、ガラス等の透明性絶縁基板である基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。本変形例4では、厚さ0.6mmのガラス基板を基板1として用いた。そして、洗浄された基板1の一方の主面全面に、各ゲート電極等の材料である第1導電膜を形成する。なお、ゲート電極等が設けられる方を基板1の上主面とする。
【0138】
第1導電膜としては、例えばCr、Mo、Ti、Cu、Ta、W、Al等の金属およびこれらの金属元素を主成分として他の元素を1種類以上添加した合金等を用いることができる。ここで、主成分の元素とは、合金を構成する元素のうち、含有量が最も多い元素のことを示すものとする。また、これらの金属の層または合金の層を2層以上含む積層構造としてもよい。これらの金属または合金を用いることによって、比抵抗値が50μΩcm以下の低抵抗な導電膜を得ることができる。本実施の形態1の変形例4では、第1導電膜としてCu膜を、Arガスを用いたスパッタリング法で200nmの厚さに成膜した。
【0139】
その後、第1導電膜上にフォトレジスト材を塗布し、1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成する。当該フォトレジストパターンをマスクとして、第1導電膜をエッチングによりパターニングする。ここでは、過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図17に示されるように、基板1の上主面上に第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4が形成される。
【0140】
次に、第1ゲート電極2、第2ゲート電極3等を覆うように基板1の上主面の全面に第1絶縁膜からなるゲート絶縁層5を形成する。なお、第1絶縁膜は、TFT部においてはゲート絶縁層5として機能するので一般的にはゲート絶縁膜と呼ばれる。本実施の形態1の変形例4では、CVD法を用いて、SiNを成膜することで、ゲート絶縁層5を形成した。具体的には、ゲート絶縁層5を、厚さ400nmのSiN膜とした。
【0141】
次に、ゲート絶縁層5の上に、第1半導体層7の材料となるa-Si膜6を形成する。本変形例4では、CVD法を用いてa-Si膜6を100nmの厚さで成膜する。その後、2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、a-Si膜6をエッチングによりパターニングする。ここではSF
6ガスとHClガスを含むガスによるドライエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図18に示されるように、ゲート絶縁層5の上の第1ゲート電極2に重なる領域上にa-Si膜6からなる第1半導体層7が形成される。
【0142】
次に、第1半導体層7を含むゲート絶縁層5上に、第2半導体層13等の材料となる酸化物膜8aを形成する。本実施の形態1の変形例4では、実施の形態1と同じようにArガスとO2ガスとの混合ガスを用いたスパッタリング法により、厚さ50nmのInGaZnO膜を酸化物膜8aとして成膜した。InGaZnO膜は、一般的に1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有するn型の半導体特性を示す。スパッタリング法によってInGaZnO膜を形成する場合は、例えばArガスとO2ガスの混合比率を変えることによって、InGaZnO膜の電子キャリア密度の大小を制御することができる。
【0143】
その後、さらに続けて、InGaZnO膜上にソース電極、ドレイン電極等の材料である第2導電膜M2を成膜する。本実施の形態1の変形例4では、第2導電膜M2としてCu膜を、Arガスを用いたスパッタリング法により、200nmの厚さに形成した。
【0144】
そして、3回目の写真製版工程で塗布形成したフォトレジストを、フォトリソグラフィー工程によりパターニングしてフォトレジストパターンを形成する。
図19に示されるように、フォトレジストパターンは、第1レジスト領域である厚さhaのフォトレジストパターンPR1と、第2レジスト領域である厚さhaのフォトレジストパターンPR2と、第3レジスト領域である厚さhbのフォトレジストパターンPR3とを有する。平面視で第1ゲート電極2と重なる領域において、フォトレジストパターンPR1とフォトレジストパターンPR2とが互いに離間した領域は、画素TFT30cの第1チャネル領域CL1に対応している。またフォトレジストパターンPR3は駆動TFT40cの形成領域に対応している。さらに、フォトレジストパターンPR2は、画素領域PXである厚さhcのフォトレジストパターンPR4を含み、フォトレジストパターンPR2とフォトレジストパターンPR4は連続一体化した形状で形成されている。
【0145】
このとき、フォトレジストパターンPR1およびPR2の厚さhaと、フォトレジストパターンPR3の厚さhbは、フォトレジストパターンPR4の厚さhcよりも厚くなるようにしておく。具体的に本実施の形態1の変形例4ではhaおよびhbが約2.5μm、hcが約1.0μmの厚さになるように形成した。なお、各々のフォトレジストパターンPR1、PR2、PR3およびPR4において、若干の厚みの差異があってもよい。このような差異は、フォトレジスト層が形成される表面の表面形状に起因して生じ得るものであり、例えば、第1導電膜および第1半導体層7であるa-Si膜6の厚み程度の大きさである。
【0146】
図19に示されるような複数の厚さを有するフォトレジストパターンは、まず基板1の第2導電膜M2上に、例えばノボラック系樹脂で構成されるポジ型フォトレジストを所望の最大膜厚(上記の例では2.5μm)となるように塗布形成した後に、フォトリソグラフィー工程のフォトレジスト露光時に露光量を多段階に制御することで形成することができる。すなわち、フォトレジスト露光時に、フォトレジストパターンPR1、PR2およびPR3に対応した領域には露光光を遮光し、フォトレジストパターンPR4に対応した領域には露光光の強度を減光させて照射し、その他の領域には露光光を直接照射して露光処理を行う。その後、レジストの現像処理が実行されると、フォトレジストは、露光光が直接照射された領域では完全に除去され、遮光された領域では最大膜厚で残存し、減光された照射では膜厚が低減される。なお、このように露光量を多段階に制御する方法としては、グレイトーンまたはハーフトーンのフォトマスクを用いた公知のフォトリソグラフィープロセスを用いることができる。
【0147】
次に、
図20に示されるように、フォトレジストパターンPR1、PR2、PR3およびPR4をマスクとして、第2導電膜M2と酸化物膜8aをエッチングによりパターニングする。まず、過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いてCuからなる第2導電膜M2をエッチングする。続けて、シュウ酸(ジカルボン酸:Oxalic acid)5重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いてInGaZnOからなる酸化物膜8aをエッチングする。これにより、特に画素TFT30cにおいて、第1ゲート電極2および第1半導体層7と重なる領域の第2導電膜M2および酸化物膜8aが除去されて離間部分W1を有する第1チャネル領域CL1が形成される。
【0148】
実施の形態1と同様に、酸化物膜8aをエッチングするときのシュウ酸系溶液は弱酸であり、a-Si膜6からなる第1半導体層7は、本実施の形態1の変形例4で用いた5重量%濃度の水溶液に限らず、一般的なシュウ酸系の溶液にエッチングされることはない。これにより、十分なエッチング選択比が確保され、酸化物膜8aのみを均一性よく選択エッチングすることができるので、第1半導体層7に良好な第1チャネル領域CL1を形成することができる。一方で、駆動TFT40cにおいて最終的にチャネル層を形成する酸化物膜8aは、フォトレジストパターンPR3によりカバーされているため、これらのエッチングプロセスにて除去されることはない。
【0149】
さらに、
図21に示されるように、基板1上の全体に酸素(O
2)プラズマを照射して、レジストを全体的にアッシング(Ashing)して薄膜化する。これにより、厚さの薄い領域のフォトレジストパターンPR4が完全に除去される。それとともに、厚さの厚い領域のフォトレジストパターンPR1、PR2およびPR3の領域は、薄膜化される。その結果、厚さがha’の新たなフォトレジストパターンPR1a、PR2a、および厚さがhb’のフォトレジストパターンPR3aとなって残存する。なお、アッシングによる薄膜化に伴い、新たなフォトレジストパターンPR1a、PR2aおよびPR3aは、平面視で元のフォトレジストパターンPR1、PR2およびPR3に比べてパターンの外縁が、全体にわたって内側に後退して縮小化された形状となる。
【0150】
次に、
図22に示されるようにフォトレジストパターンPR1a、PR2aおよびPR3aをマスクとして、第2導電膜M2のみを選択的にエッチングすることによりパターニングする。ここでは、過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。
【0151】
その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図23に示されるように、画素TFT30cにおいて、第2導電膜M2からなる第1ソース電極17および第1ドレイン電極18、酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が形成される。このとき、a-Si膜6からなる第1半導体層7は、第2導電膜M2をエッチングするときの過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液にエッチングされることはない。これにより、十分なエッチング選択比が確保されるので、第1半導体層7の第1チャネル領域CL1は良好な状態を維持することができる。
【0152】
第2導電膜M2をパターニングして形成された第1ソース電極17および第1ドレイン電極18の外縁は、平面視で下層の酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10のパターン外縁よりも内側に後退した形状で形成される。よって、本実施の形態1の変形例4では、
図23に示されるように、これらのパターン外縁の端部が階段形状となるように形成されている。同様に、駆動TFT40cにおいて、酸化物膜8aと第2導電膜M2からなる積層体パターンも外縁の端部が階段形状となるように形成されている。
【0153】
平面視で第1ゲート電極2と重なる領域の第1チャネル領域CL1では、ゲート絶縁層5上のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10は、互いに距離を隔てた離間部分W1を有する。第1ソース電極17および第1ドレイン電極18は、ソースコンタクト層9およびまたはドレインコンタクト層10と平面視で重なり、かつ互いが離間部分W1よりも離れた離間部分W3を有するように形成されている。
【0154】
また
図23に示されるように、画素TFT30cの隣に位置する画素領域PXにおいては、上層の第2導電膜M2が除去されているとともに、酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10のパターンから連続一体化された画素電極16のパターンが形成されている。
【0155】
次に、
図24に示されるように、例えば低圧水銀灯を用いて、基板1に対して裏面側から全面に紫外線(UV)光を照射する。この処理を行うことで、基板1を透過したUV光が照射される酸化物膜8aのパターン領域、すなわち画素TFT30cにおける第1ソース電極下層配線11および画素電極16の領域と、駆動TFT40cにおける第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15の領域とが、半導体から導電体に変化する。すなわち、この光照射プロセスにより、導電特性を有する酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11、画素電極16、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15が形成される。このときの導電体部の比抵抗値は、1×10
-2Ω・cm程度以下であることが好ましい。すなわち、本実施の形態1の変形例4のInGaZnOに代表される酸化物膜の場合では、電子キャリア密度が1×10
19個/cm
3以上であることが好ましい。
【0156】
一方、平面視で第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4と重なる領域に形成された酸化物膜8aは、UV光が遮光されるため、半導体としての特性が維持される。すなわち、平面視で第1ゲート電極2と重なる領域に位置するソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10をなす酸化物膜8aは、半導体特性を維持する。また、平面視で第2ゲート電極3と重なる領域に位置する第2半導体層13をなす酸化物膜8aも半導体特性を維持する。
【0157】
UV光としては、450nm以下の波長領域に強度ピークを有するものを用いると、酸化物膜8aを効率よく導電体化できるので好ましい。なお、本実施の形態では低圧水銀灯を照射したが、これに限られることなく、例えば紫外線レーザー光を用いることも可能である。
【0158】
次に、基板1の上主面全面に、保護絶縁層21の材料である第2絶縁膜が形成される。本実施の形態1では、CVD法を用いて、SiO膜を100nm、SiN膜を200nmの厚さでこの順に積層して成膜することで、保護絶縁層21を形成した。本実施の形態1の変形例4においては、保護絶縁層21となる絶縁膜が成膜される時点で、上述のように、酸化物膜8aの端部および第2導電膜M2の端部が階段形状となっていることから、段差部においても良好なカバレッジで成膜を行うことができる。
【0159】
その後、4回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、保護絶縁層21のSiO膜とSiN膜、およびゲート絶縁層5のSiN膜を順次エッチングすることによりパターニングする。SF6にO2を加えたガスを用いたドライエッチングを用いた。
【0160】
その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図25に示されるように、共通電極部50において、保護絶縁層21およびゲート絶縁層5に、共通電極4の表面の一部が露出するように共通電極部コンタクトホール22が形成される。共通電極部コンタクトホール22は、平面視で共通電極4と重なるとともに画素電極16とは重ならない領域に配置される。
【0161】
さらに、駆動TFT40cにおいて、保護絶縁層21に、第2導電膜M2の表面の一部が露出するように第1コンタクトホール23、第2コンタクトホール24および第3コンタクトホール28が形成される。第3コンタクトホール28は、平面視で第2ゲート電極3と重なる領域に配置される。
【0162】
次に、保護絶縁層21の上に対向電極25等の材料となる第3導電膜を形成する。本実施の形態1の変形例4では、まず第3導電膜として実施の形態1と同様に光透過性の酸化物導電膜であるITO膜を成膜する。
【0163】
その後、5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3導電膜であるITO膜をエッチングによりパターニングする。ここではシュウ酸を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。続けてCuからなる第2導電膜M2の一部領域を過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いてパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図16に示されるように、画素TFT30cにおいて透光性の対向電極25が形成される。対向電極25は、平面視で保護絶縁層21の上の画素領域PXに画素電極16と重なるように形成される。また対向電極25は、共通電極部コンタクトホール22を通して共通電極4に接続されている。
【0164】
図14に示されるように、対向電極25にはスリット開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極16と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。なお、スリット開口部SLの代わりに、櫛歯状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0165】
さらに
図16に示されるように、駆動TFT40cにおいて第3導電膜からなる第3ソース電極26および第3ドレイン電極27が形成される。第3ソース電極26は第1コンタクトホール23を通して第2ソース電極19に接続され、第3ドレイン電極27は第2コンタクトホール24を通して第2ドレイン電極20に接続されている。また、第3コンタクトホール28では、ITOからなる第3導電膜およびCuからなる第2導電膜が除去されて、酸化物膜8aからなる第2半導体層13上に離間部分W2を有する第2チャネル領域CL2が形成され、駆動TFT40cが形成される。
【0166】
液晶表示パネルの組み立ては、実施の形態1と同様に、まず、
図14および
図15に示したTFT基板の表面に配向膜、スペーサを形成する。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成される。次に、別途作製した、カラーフィルタおよび配向膜等を備えた対向基板(図示せず)を、TFT基板と対向して貼り合わせる。この際、スペーサによってTFT基板と対向基板との間に間隙が形成され、その間隙に液晶を封止することによって、横電界液晶駆動のFFS方式の液晶表示パネルが作製される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板及びバックライトユニット等を配設することによってFFS方式のLCDが完成する。
【0167】
(効果)
以上のように、本実施の形態1の変形例4によれば、上記実施の形態1と同じ効果に加えて、a-Si膜6を半導体チャネル層とする画素TFT30c(第1TFT)と、酸化物膜8aを半導体チャネル層とする駆動回路用の駆動TFT40c(第2TFT)との両方が、ひとつの基板1上に形成された構成を有するFFS仕様のTFT基板を、実施の形態1よりもさらに少ない5回の写真製版工程で作製することができるようになる。したがって、生産性をさらに向上させることができる。
【0168】
また、本実施の形態1の変形例4のTFT基板は、実施の形態1の効果に加え、保護絶縁層21となる絶縁膜が成膜される時点で、下層の酸化物膜8aのパターン端部および第2導電膜M2のパターン端部を容易に階段形状とすることができるため、段差部において良好なカバレッジで成膜を行うことができる。よって、信頼性の高いTFT基板を得ることができる。
【0169】
さらに、駆動TFT40cを構成するソース電極およびドレイン電極は、それぞれ導電体化された酸化物膜8b、第2導電膜および第3導電膜を含む3層で構成されるので、ひとつの層がパターン不良等で断線しても、他の2層で断線をカバーできるため、断線不良の発生を防止することができる。したがって、複数の駆動部TFTを複雑に組み合わせて構成される駆動電圧発生回路SCをTFT基板の周辺領域に配置する場合でも、駆動TFTの断線による回路動作不良の発生率を大幅に低減することができるようになる。
【0170】
以上により、表示ムラがなく良好な表示品質を有するとともに、信頼性に優れるLCDを低コストで生産性よく製造することができる。
【0171】
以上をまとめると、本変形例4のTFT基板の製造方法において、第1半導体層7を形成する工程は、ゲート絶縁層5を形成する工程の後に、基板1上にアモルファスシリコンからなるアモルファスシリコン膜6を形成する工程と、第1半導体層7が形成されるようにアモルファスシリコン膜6をパターニングする工程と、を含む。ソースコンタクト層9を形成する工程と、ドレインコンタクト層10を形成する工程と、第2半導体層13を形成する工程と、画素電極16を形成する工程とは、第1半導体層7を形成する工程の後に、基板1上に半導体特性を有する酸化物からなる酸化物膜8aと第2導電膜とを順に積層して形成する工程と、ソースコンタクト層9と、ドレインコンタクト層10と、第2半導体層13と、画素電極16とが形成されるように酸化物膜8aと第2導電膜とを一括してパターニングする工程と、を含む。第1ソース電極17を形成する工程と、第1ドレイン電極18を形成する工程と、第2ソース電極19を形成する工程と、第2ドレイン電極20を形成する工程とは、酸化物膜8aと第2導電膜とを一括してパターニングする工程の後に、第1ソース電極17と、第1ドレイン電極18と、第2ソース電極19と、第2ドレイン電極20とが形成されるよう第2導電膜を一括してパターニングする工程、を含む。
【0172】
このような構成により、また、a-Siチャネル層形成のためのBCE工程において、酸化物膜8aからなるオーミックコンタクト層の選択的な除去が容易となり、a-Si膜6からなる半導体チャネル部の形状ならびに特性を均一性よく形成することができる。そのため、画素TFT30cの特性の均一性を向上させることができる。
【0173】
また、本変形例4のTFT基板の製造方法において、第1ゲート電極2を形成する工程と、第2ゲート電極3を形成する工程とは、基板1の表面に遮光性を有する第1導電膜を形成する工程と、第1ゲート電極2と第2ゲート電極3とが形成されるよう第1導電膜を一括してパターニングする工程と、を含む。画素電極16を形成する工程は、ソースコンタクト層9と、ドレインコンタクト層10と、第2半導体層13と、画素電極16とを形成するために酸化物膜8aと第2導電膜とを一括してパターニングする工程の後に、基板1の裏面から紫外線を含む光を照射する工程をさらに含む。
【0174】
このような構成により、基板1を透過したUV光が照射される領域に導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15を形成できる。さらに、UV光が遮光される領域に半導体特性を有する酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10および第2半導体層13を形成できる。すなわち、製造工程が簡略化される。
【0175】
また、本変形例4のTFT基板は、実施の形態1のTFT基板100の製造工程よりも、少ない写真製版工程で作製することができる。
【0176】
<実施の形態2>
本実施の形態2のTFT基板101の平面構成は、
図1(a)に示される実施の形態1のTFT基板100の平面構成と同様であり、TFT基板101の面内は、表示領域150と、その表示領域150の周辺を囲んで設けられた額縁領域160(周辺領域)とに大きく分けられる。表示領域150は、複数の画素(画素領域)がマトリクス状に配列されてなり、各画素は第1薄膜トランジスタである画素TFT30dを含む。ただし、実施の形態2のTFT基板101に設けられる画素TFT30dの構成は、実施の形態1にて示したTFT基板100に設けられる画素TFT30の構成と異なる。
【0177】
(画素TFTおよび駆動TFTの構成)
以下に図面を参照して、本実施の形態2におけるTFT基板101に設けられる第1薄膜トランジスタである画素TFT30dと、第2薄膜トランジスタである駆動TFT40dの構成について詳しく説明する。なお、TFT基板101は、光透過型の液晶パネルを構成するためのTFT基板であり、FFS方式の横電界液晶駆動仕様を有する。
【0178】
図2は、実施の形態1における画素TFT30の平面構成を表す図であるが、本実施の形態2におけるTFT基板101に設けられる画素TFT30dの平面構成も同様である。詳細は後述するが、画素TFT30dは、第1半導体層7と第1ソース電極17との上下位置関係、および、第1半導体層7と第1ドレイン電極18との上下位置関係が画素TFT30と異なる。画素TFT30dの平面上の外観構成は、
図2に示す画素TFT30と概略同じである。
【0179】
図26は、TFT基板101の構成の一部を示す断面図である。
図26は、画素TFT30dおよび駆動TFT40dの断面構造を示す図である。画素TFT30dを含む断面は、
図2のX-X’部における断面に対応する。駆動TFT40dは、
図3に示す駆動TFT40とは平面構成が異なるものの、
図26に示す駆動TFT40dを含む断面は、
図3のY-Y’部と同様の位置における断面に対応する。以下、図面を参照して画素TFT30dおよび駆動TFT40dの構成を説明する。
【0180】
本実施の形態2における画素TFT30dおよび駆動TFT40dは、例えば、ガラス等の透明性絶縁性基板である基板1上に形成され、基板1上に、金属等の遮光性を有する第1導電膜からなる第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4が選択的に形成されている。第1ゲート電極2は、画素TFT30dが形成される領域に形成され、画素TFT30dのゲート電極として機能し、第2ゲート電極3は、駆動TFT40dが形成される領域に形成され、駆動TFT40dのゲート電極として機能する。
【0181】
第1ゲート電極2、第2ゲート電極3等を被覆するように基板1上全面に、第1絶縁膜からなるゲート絶縁層5が形成されている。
【0182】
画素TFT30dの領域には、ゲート絶縁層5上に、半導体特性を有する酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が選択的に形成される。ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10は、平面視で第1ゲート電極2と重なる領域において互いに距離を隔てた離間部分W1を有するように形成される。つまり、ソースコンタクト層9は、少なくとも一部が第1ゲート電極2に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置される。ドレインコンタクト層10は、少なくとも一部が第1ゲート電極2に平面視で重なり、かつ、ソースコンタクト層9と離間する離間部分W1を有してゲート絶縁層5上に配置される。ソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10とは、同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなる。
【0183】
ソースコンタクト層9上には、第2導電膜からなる第1ソース電極17が形成される。第1ソース電極17は、離間部分W1側に位置するソースコンタクト層9の一部を除いてソースコンタクト層9を覆って配置される。ドレインコンタクト層10上には、第1ソース電極17と同一組成の第2導電膜からなる第1ドレイン電極18が形成されている。第1ドレイン電極18は、離間部分W1側に位置するドレインコンタクト層10の一部を除いてドレインコンタクト層10を覆って配置される。すなわち、第1ソース電極17の一部はソースコンタクト層9と平面視で重なるよう設けられる。第1ソース電極17は、ソースコンタクト層9からゲート絶縁層5上にわたって設けられる。第1ドレイン電極18の一部はドレインコンタクト層10と平面視で重なるよう設けられる。第1ドレイン電極18は、ドレインコンタクト層10からゲート絶縁層5上にわたって設けられる。さらに、第1ソース電極17と第1ドレイン電極18とは、互いが離間部分W1よりも離れた離間部分W3を有するように形成されている。
【0184】
ゲート絶縁層5上にてソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が離間している離間部分W1から、ソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10、第1ソース電極17上の一部、および第1ドレイン電極18上の一部にわたってa-Si膜6からなる第1半導体層7が形成されている。つまり、第1半導体層7は、離間部分W1内のゲート絶縁層5上から第1ソース電極17上の一部および第1ドレイン電極18上の一部に渡って配置される。なおかつ第1半導体層7は、離間部分W3内のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10に接して配置される。
【0185】
上述したソースコンタクト層9は、第1半導体層7と第1ソース電極17とを良好な電気特性で接続するオーミックコンタクト層として機能する。またドレインコンタクト層10は、第1半導体層7と第1ドレイン電極18とを良好な電気特性で接続するオーミックコンタクト層として機能する。そして、離間部分W1および離間部分W3における第1半導体層7は画素TFT30dにおける第1チャネル領域CL1として機能する。
【0186】
駆動TFT40dの領域には、ゲート絶縁層5上に、第2半導体層13が形成される。第2半導体層13は、第2ゲート電極3と平面視で重なる領域に配置される。第2半導体層13は、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなる。
【0187】
第2半導体層13上には、互いに離間する離間部分W2を有するように第2導電膜からなる第2ソース電極19および第2ドレイン電極20が選択的に設けられている。第2ソース電極19は、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第2半導体層13上からゲート絶縁層5上にわたって設けられる。すなわち、第2ソース電極19は、一部が第2半導体層13と平面視で重なるよう設けられる。第2ドレイン電極20は、第2ソース電極と離間して配置され、かつ、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第2半導体層13上からゲート絶縁層5上にわたって設けられる。すなわち、第2ドレイン電極20は、第2半導体層13と平面視で重なるよう設けられる。第2ソース電極19と第2ドレイン電極20とは、第1ソース電極17と第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる。
【0188】
上記の半導体特性を有する酸化物膜8aからなる第2半導体層13は、第2ソース電極19および第2ドレイン電極20の各々と良好な電気特性で接続されている。そして、離間部分W2における第2半導体層13は駆動TFT40dの第2チャネル領域CL2として機能する。
【0189】
なお、平面視でソース配線117および第1ソース電極17の一部と重なる領域の下層となるゲート絶縁層5上に、導電特性を有する酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11またはソース下層配線217を形成しておいてもよい。また平面視で第2ソース電極19および第2ドレイン電極20と重なる領域の下層となるゲート絶縁層5上にも、導電特性を有する酸化物膜8bからなる第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15をそれぞれ形成するようにしてもよい。これらの下層配線は、それぞれソース配線117、第2ソース電極19および第2ドレイン電極20の補助配線および補助電極として機能し、例えば、配線、電極の一部にパターン欠陥等がある場合でも断線不良の発生を防止することができる。
【0190】
また、画素領域PXには、ゲート絶縁層5上に、導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16が形成されている。
【0191】
第1ソース電極17、第1ドレイン電極18、第2ソース電極19、第2ドレイン電極20および画素電極16を含む基板全面に、第2絶縁膜からなる保護絶縁層21が形成される。保護絶縁層21および下層のゲート絶縁層5には、画素領域PXにおいて共通電極4の表面の一部が露出するように共通電極部コンタクトホール22が開口されている。共通電極部コンタクトホール22は、平面視で共通電極4と重なるとともに画素電極16とは重ならない領域に配置される。
【0192】
そして、第3導電膜からなる対向電極25が、画素領域PX内の保護絶縁層21上かつ平面視で画素電極16と重なるように形成される。本実施の形態2では、対向電極25は、平面視において、ゲート配線102およびソース配線117にて囲まれてなる複数の画素領域のそれぞれを接続する連続した形状を有して配置されている。対向電極25は、共通電極部コンタクトホール22を通して共通電極4に接続されている。これにより、対向電極25には共通電極4から一定の共通電位信号が印加される。
【0193】
対向電極25にはスリット開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極16と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。これによりTFT基板101は、横電界駆動仕様であるFFS方式のLCDに適用可能となる。なお、スリット開口部SLの代わりに、櫛歯状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0194】
駆動TFT40dの保護絶縁層21には、平面視で第2ソース電極19と重なる領域に第2ソース電極19の表面の一部が露出するように第1コンタクトホール23が開口され、平面視で第2ドレイン電極20と重なる領域に第2ドレイン電極20の表面の一部が露出するように第2コンタクトホール24が開口されている。さらに、第3導電膜からなる第3ソース電極26および第3ドレイン電極27が、それぞれ平面視で第2ソース電極19および第2ドレイン電極20と重なる領域に配設される。第3ソース電極26は、第1コンタクトホール23を通して第2ソース電極19に接続され、第3ドレイン電極は、第2コンタクトホール24を通して第2ドレイン電極20に接続されている。
【0195】
また保護絶縁層21には、第2チャネル領域CL2となる領域に第3コンタクトホール28が開口されている。第3コンタクトホール28において、第2ソース電極19および第3ソース電極26と、第2ドレイン電極20および第3ドレイン電極27とが、互いに離間部分W2を有するように分離されている。これにより、第2半導体層13は、駆動TFT40dの第2チャネル領域CL2として機能する。
【0196】
以上のように、駆動TFT40dを構成する各ソース電極および各ドレイン電極は、導電体化された酸化物膜8b、第2導電膜および第3導電膜を含む3層の導電体で構成される。そのため、ひとつの層がパターン不良等で断線しても、他の2層で断線をカバーできるため、断線不良の発生を防止することができる。したがって、
図1に示されるように、複数の駆動TFT40、41、42が組み合わさって構成される駆動電圧発生回路SCをTFT基板101の周辺領域に配置する場合でも、駆動TFT40dの断線による回路動作不良の発生率を大幅に低減することができるようになる。
【0197】
次に、上記のTFT基板101を用いた液晶表示パネルの構成を説明する。液晶表示パネルの構成は、まず、
図1(a)に示したTFT基板101の表面に配向膜、スペーサが配設される。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成されている。次に、別途準備された、カラーフィルタ及び配向膜等を備えた対向基板(図示せず)が、TFT基板101と対向するように配置される。この際、スペーサによってTFT基板101と対向基板との間に間隙が形成され、その間隙に液晶が封止されて、横電界駆動のFFS方式の液晶表示パネルが構成される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板及びバックライトユニット等が配設されることによってFFS方式のLCDが完成する。
【0198】
(製造方法)
以下に、図面を参照して本実施の形態2のTFT基板101の製造方法を説明する。
図27から
図32は実施の形態2におけるTFT基板101の製造方法を示す断面工程図である。なお、最終工程を示す断面図は、
図26に相当する。
図27から
図32に図示する画素TFT30dを含む断面は、
図2のX-X’部における断面に対応し、駆動TFT40dを含む断面は、
図3のY-Y’部における断面と同様の位置における断面に対応する。
【0199】
まず、ガラス等の透明性絶縁基板である基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。本実施の形態1では、厚さ0.6mmのガラス基板を基板1として用いた。そして、洗浄された基板1の一方の主面全面に、ゲート電極等の材料である第1導電膜を形成する。なお、各ゲート電極等が設けられる方を基板1の上主面とする。
【0200】
第1導電膜としては、例えばCr、Mo、Ti、Cu、Ta、W、Al等の金属およびこれらの金属元素を主成分として他の元素を1種類以上添加した合金等を用いることができる。本実施の形態2では、第1導電膜としてCu膜を、Arガスを用いたスパッタリング法で200nmの厚さに形成した。
【0201】
その後、第1導電膜上にフォトレジスト材を塗布し、1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第1導電膜をエッチングによりパターニングする。ここでは、過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図27に示されるように、基板1の上主面上に第1導電膜からなる第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4が形成される。
【0202】
次に、第1ゲート電極2、第2ゲート電極3等を覆うように基板1の上主面全面に第1絶縁膜からなるゲート絶縁層5を形成する。本実施の形態2では、CVD法を用いて、SiN膜を成膜することで、ゲート絶縁層5を形成した。
【0203】
次に、ゲート絶縁層5上に、第2半導体層13等の材料となる酸化物膜8aを形成する。本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、ArガスとO2ガスとの混合ガスを用いたスパッタリング法により、厚さ50nmのInGaZnO膜を形成した。InGaZnO膜は、一般的に1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有するn型の半導体特性を示す。スパッタリング法の場合は、例えばArガスとO2ガスの混合比率を変えることによって、InGaZnO膜の電子キャリア密度の大小を制御することができる。
【0204】
その後、2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、InGaZnOからなる酸化物膜8aをエッチングによりパターニングする。ここではシュウ酸(ジカルボン酸:Oxalic acid)5重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去する。
図28に示されるように、画素TFT30dでは第1ゲート電極2に平面視で重なる領域のゲート絶縁層5の上に、互いに離間する離間部分W1を有するソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が形成される。また、駆動TFT40dでは第2ゲート電極3に平面視で重なる領域のゲート絶縁層5の上に、第2半導体層13が形成される。
【0205】
ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10はn型半導体であり、ソースコンタクト層9は、第1半導体層7と後述する第1ソース電極17との間に存在して、両者を良好な電気特性で接続させるオーミックコンタクト層として機能する。またドレインコンタクト層10は第1半導体層7と後述する第1ドレイン電極18との間に存在して、両者を良好な電気特性で接続させるオーミックコンタクト層として機能する。当該機能を充分得るためには、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10は、1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有するn型半導体からなることが好ましい。比抵抗値でいえば、0.1Ω・cm以上1×106Ω・cm以下であることが好ましい。
【0206】
駆動TFT40dの第2ゲート電極3に重なる領域上に形成されるInGaZnOからなる第2半導体層13は、駆動TFT40dの半導体チャネル層として機能する。当該機能を充分得るためには、第2半導体層13は、上述のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同様に、1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有していることが好ましい。比抵抗値でいえば、0.1Ω・cm以上1×106Ω・cm以下であることが好ましい。したがって、本実施の形態2では、同じ半導体特性を有するInGaZnOからなる酸化物膜8aを用いて、同一のプロセスでソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10および第2半導体層13を同時に形成することができる。
【0207】
また、本実施の形態2では、
図28に示すように、この第2回目の写真製版工程でInGaZnOからなる酸化物膜8aを用いて、画素領域PXに画素電極16のパターンが形成される。さらに、画素TFT30dにおいて後述する第1ソース電極17に平面視で重なる領域および
図2においてソース配線117に平面視で重なる領域に、第1ソース電極下層配線11のパターンが形成される。駆動TFT40dにおいて後述する第2ソース電極19および後述する第2ドレイン電極20に平面視で重なる領域に、それぞれ第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15のパターンが形成される。
【0208】
次に、
図29に示されるように、例えば低圧水銀灯を用いて、基板1に対して裏面側から全面にUV光を照射する。この処理を行うことで、基板1を透過したUV光が照射される酸化物膜8aのパターン領域、すなわち画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15が、半導体から導電体に変化する。すなわち、この光照射プロセスにより、導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15が形成される。この際の導電体部の比抵抗値は、1×10
-2Ω・cm程度以下であることが好ましい。すなわち、本実施の形態1のInGaZnOに代表される酸化物膜8aの場合では、電子キャリア密度が1×10
19個/cm
3以上であることが好ましい。
【0209】
一方、平面視で第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4と重なる領域に位置する酸化物膜8aは、UV光が遮光されるため、半導体としての特性が維持される。
【0210】
なおUV光としては、450nm以下の波長領域に強度ピークを有するものを用いると、酸化物膜8aを効率よく導電体化できるので好ましい。なお、本実施の形態2では低圧水銀灯を照射したが、これに限られることなく、例えば紫外線レーザー光を用いることも可能である。
【0211】
次に、ソース電極、ドレイン電極等の材料である第2導電膜M2を成膜する。本実施の形態2では、Cu膜を、Arガスを用いたスパッタリング法で200nmの厚さに形成した。
【0212】
その後、3回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第2導電膜M2をエッチングによりパターニングする。ここでは、第1導電膜のときと同様に、過硫酸アンモニウム系溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図30に示されるように、特に画素TFT30dにおいて、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18が形成される。
【0213】
画素TFT30dにおいて、第1ソース電極17は、平面視でソースコンタクト層9と重なり、第1ソース電極下層配線11まで跨るように形成されている。第1ドレイン電極18は、平面視でドレインコンタクト層10と重なり、第1ソース電極17と離間する離間部分W3を有するとともに画素電極16の一部と重なる領域まで跨るように形成されている。
【0214】
駆動TFT40dにおいて、第2導電膜M2は、平面視で第2半導体層13の一部と重なる領域から、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15まで跨るように形成されている。なお、ここでは第2ソース電極19と第2ドレイン電極20が分離された形では形成されない。
【0215】
次に、基板1の上に、CVD法を用いてa-Si膜6を100nmの厚さで成膜する。その後、4回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、a-Si膜6をエッチングによりパターニングする。ここではSF
6ガスとHClガスを含むガスによるドライエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図31に示されるように、画素TFT30dにおいて、ゲート絶縁層5上のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が離間する離間部分W1から、ソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10、第1ソース電極17上の一部、および第1ドレイン電極18上の一部にわたってa-Si膜6からなる第1半導体層7が形成される。
【0216】
第1半導体層7は、ソースコンタクト層9を通して第1ソース電極17と電気的に接続される。また第1半導体層7は、ドレインコンタクト層10を通して第1ドレイン電極18と電気的に接続され、さらに第1ドレイン電極18を通して画素電極16と電気的に接続されている。そして、ソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10との離間部分W1および第1ソース電極17と第1ドレイン電極18との離間部分W3とが、第1半導体層7の第1チャネル領域CL1となる。一方で、駆動TFT40dの第2半導体層13は、第2導電膜M2により覆われており、上記のa-Si膜6と直接接する機会はない。第2半導体層13をなす半導体特性を有する酸化物膜8aは、a-Si膜6に含まれる水素化アモルファスシリコンにより還元されて導体化することがない。
【0217】
次に、基板1上に、保護絶縁層21の材料である第2絶縁膜が形成される。本実施の形態2では、CVD法を用いて、SiO膜を100nm、SiN膜を200nmの厚さでこの順に積層して成膜することで、保護絶縁層21を形成した。
【0218】
その後、5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、保護絶縁層21のSiO膜とSiN膜、およびゲート絶縁層5のSiN膜を順次エッチングすることによりパターニングする。ここではSF6にO2を加えたガスを用いたドライエッチングを用いた。
【0219】
その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図32に示されるように、画素TFT30dの画素領域PXにおいて、保護絶縁層21およびゲート絶縁層5に、共通電極4の表面の一部が露出するように共通電極部コンタクトホール22が形成される。共通電極部コンタクトホール22は、平面視で共通電極4と重なるとともに画素電極16とは重ならない領域に配置される。
【0220】
さらに、駆動TFT40dにおいて、保護絶縁層21に、第2導電膜M2の表面の一部が露出するように第1コンタクトホール23、第2コンタクトホール24および第3コンタクトホール28が形成される。第3コンタクトホール28は、平面視で第2ゲート電極3と重なる領域に配置される。
【0221】
次に、保護絶縁層21の上に対向電極25等の材料となる第3導電膜を形成する。本実施の形態2では、まず第3導電膜として実施の形態1と同様に光透過性の酸化物導電膜であるITO膜を成膜する。
【0222】
その後、6回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3導電膜であるITO膜をエッチングによりパターニングする。ここではシュウ酸を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。続けてCuからなる第2導電膜M2の一部領域を過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いてパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図26に示されるように、画素TFT30dにおいて透光性の対向電極25が形成される。対向電極25は、平面視で保護絶縁層21の上の画素領域PXに画素電極16と重なるように形成される。また対向電極25は、共通電極部コンタクトホール22を通して共通電極4に接続されている。
【0223】
対向電極25にはスリット開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極16と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。なお、スリット開口部SLの代わりに、櫛歯状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0224】
さらに
図26に示されるように、駆動TFT40dにおいて第3ソース電極26および第3ドレイン電極27が形成される。第3ソース電極26は第1コンタクトホール23を通して第2ソース電極19に接続され、第3ドレイン電極27は第2コンタクトホール24を通して第2ドレイン電極20に接続されている。また、第3コンタクトホール28では、ITOからなる第3導電膜およびCuからなる第2導電膜M2が除去されて、酸化物膜8aからなる第2半導体層13上に離間部分W2を有する第2チャネル領域CL2が形成され、駆動TFT40dが形成される。
【0225】
液晶表示パネルの組み立ては、まず、
図1(a)に示したTFT基板101の表面に配向膜、スペーサを形成する。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成される。次に、別途作製した、カラーフィルタおよび配向膜等を備えた対向基板(図示せず)を、TFT基板101と対向して貼り合わせる。この際、スペーサによってTFT基板101と対向基板との間に間隙が形成され、その間隙に液晶を封止することによって、横電界液晶駆動のFFS方式の液晶表示パネルが作製される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板及びバックライトユニット等を配設することによってFFS方式のLCDが完成する。
【0226】
(効果)
以上のように、本実施の形態2によれば、a-Si膜6を半導体層とする画素TFT30d(第1TFT)と、酸化物膜8aを半導体層とする駆動回路用の駆動TFT40d(第2TFT)との両方が、ひとつの基板1上に形成されたFFS仕様のTFT基板101を、6回の写真製版工程で作製することができる。
【0227】
さらに、画素TFT30dのa-Si膜6が、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10のからなるオーミックコンタクト層と、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18の上層に配設されるので、BCE工程のオーミックコンタクト層除去工程が不要となって、a-Si膜6の半導体チャネル領域の形状ならびに特性を均一性よく形成することができる。これによって、画素領域の画素TFT30dの特性の均一性を向上させることができる。またオーミックコンタクト層除去工程にともなうプロセスダメージを受けないことから、画素TFT30dの特性ならびに信頼性を向上させることができる。
【0228】
なお、実施の形態2では、第2絶縁膜をSiO膜とSiN膜の積層膜としたが、SiN膜やSiO膜、SiON膜の単層膜としてもよく、SiN膜とSiO膜からなる2層以上の積層膜としても良い。また、第1絶縁膜をSiN膜の単層膜としたが、SiO膜やSiON膜の単層膜としてもよく、SiN膜とSiO膜からなる2層以上の積層膜としてもよい。
【0229】
実施の形態2の製造工程において、酸化物膜8bからなる画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15を、
図29に示されるように、基板1に対して裏面側からUV光を照射することによって導電体化させるようにしたが、これに限らず、上記の実施の形態1において説明したように、フォトレジスト材からなるフォトレジストマスクを形成し、これらをマスクとして基板に対して表面側からUV光を照射するようにしてもよい。
【0230】
この場合は、フォトレジストマスクを形成するための新たな写真製版工程が必要となるが、UV光を直接、酸化物膜8aに照射することができるので、より効率よく、半導体特性を有する酸化物膜8aを、導電特性を有する酸化物膜8bに変化させることができる。また、UV光や紫外線レーザー光の照射以外にも、例えば還元性のH2ガスや水素を含むNH3ガスを用いたH2プラズマやNH3プラズマを直接照射する方法を用いることができるようになる。
【0231】
以上をまとめると、本実施の形態2におけるTFT基板101は、基板1上の所定の表示領域150(第1領域)に配置され、第1導電膜からなる第1ゲート電極2と、基板1上の所定の額縁領域160(第2領域)に配置され、第1ゲート電極2と同一組成の第1導電膜からなる第2ゲート電極3と、第1ゲート電極2と第2ゲート電極3とを覆って基板1上に配置されるゲート絶縁層5と、一部が第1ゲート電極2に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置され、半導体特性を有する酸化物膜8a(酸化物)からなるソースコンタクト層9(第1コンタクト層)と、一部が第1ゲート電極2に平面視で重なり、かつ、ソースコンタクト層9と離間する離間部分W1(第1離間部分)を有してゲート絶縁層5上に配置され、ソースコンタクト層9と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10(第2コンタクト層)と、ソースコンタクト層9上に配置され、第2導電膜からなる第1ソース電極17(第1電極)と、第1ソース電極17と離間する離間部分W3(第2離間部分)を有してドレインコンタクト層10上に配置され、第1ソース電極17と同一組成の第2導電膜からなる第1ドレイン電極18(第2電極)と、を備える。その第1ソース電極17と第1ドレイン電極18との間に位置する離間部分W3は、ソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10との間に位置する離間部分W1よりも広い。TFT基板101は、離間部分W1にて露出するゲート絶縁層5上から第1ソース電極17上の一部と第1ドレイン電極18上の一部とに渡って配置され、かつ、離間部分W3にて露出するソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10とに接して配置され、アモルファスシリコンからなる第1半導体層7と、第2ゲート電極3に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置され、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなる第2半導体層13と、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる第2ソース電極19(第3電極)と、第2ソース電極19と離間して配置され、かつ、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる第2ドレイン電極20(第4電極)と、所定の表示領域150内かつ第1ゲート電極2が形成される領域外に位置するゲート絶縁層5上に配置され、かつ、第1ドレイン電極18に接続し、ソースコンタクト層9をなす半導体特性を有する酸化物膜8aと同一組成の導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16と、をさらに備える。
【0232】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30dと酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40dとを同一基板上に低コストに形成できる。また、BCE工程のオーミックコンタクト層除去工程が不要となって、a-Si膜6からなる半導体チャネル部の形状ならびに特性を均一性よく形成することができる。そのため、画素TFT30dの特性の均一性を向上させることができる。
【0233】
本実施の形態2におけるTFT基板101は、画素電極16を覆って配置される保護絶縁層21と、画素電極16に平面視で重なり、かつ、保護絶縁層21上に配置され、第3導電膜からなる対向電極25と、をさらに備える。
【0234】
このような構成により、FSS方式のLCD用途においても、製造工程の簡略化と低コスト化が可能な薄膜トランジスタ基板101が得られる。
【0235】
本実施の形態2におけるTFT基板101が含む保護絶縁層21は、第2ソース電極19と、第2ドレイン電極20とを覆って配置され、第2ソース電極19の表面の一部が露出する第1コンタクトホール23(第1開口部)と、第2ドレイン電極20の表面の一部が露出する第2コンタクトホール24(第2開口部)とを含む。TFT基板101は、保護絶縁層21上に配置され、かつ、第1コンタクトホール23を介して第2ソース電極19に接続し、対向電極25と同一組成の第3導電膜からなる第3ソース電極26(第5電極)と、保護絶縁層21上に配置され、かつ、第2コンタクトホール24を介して第2ドレイン電極20に接続し、対向電極25と同一組成の第3導電膜からなる第3ドレイン電極27(第6電極)と、をさらに備える。
【0236】
以上の構成により、電極や配線の断線による回路動作不良の発生率を大幅に低減することができる。
【0237】
本実施の形態2におけるTFT基板101は、所定の表示領域150に配置され、第1ゲート電極2と、ゲート絶縁層5と、第1半導体層7と、ソースコンタクト層9と、ドレインコンタクト層10と、第1ソース電極17と、第1ドレイン電極18とを含む画素TFT30d(第1TFT)と、所定の額縁領域160に配置され、第2ゲート電極3と、ゲート絶縁層5と、第2半導体層13と、第2ソース電極19と、第2ドレイン電極20と、を含む駆動TFT40d(第2TFT)とをさらに備える。所定の表示領域150は、基板1上に複数の画素がマトリクス状に配列されてなり、画素TFT30dは、表示領域の各画素に設けられる画素表示用の薄膜トランジスタである。所定の額縁領域160は、表示領域150外の領域であり、駆動TFT40dは、画素TFT30dを駆動する駆動回路用の薄膜トランジスタである。
【0238】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30dと酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40dとを同一基板上に低コストに形成した薄膜トランジスタ基板101が得られる。
【0239】
本実施の形態2における液晶表示装置は、薄膜トランジスタ基板101と、薄膜トランジスタ基板101に対し対向配置される対向基板と、薄膜トランジスタ基板101と対向基板との間隙に封止される液晶とを備える。
【0240】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30dと酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40dとを備える液晶表示装置用の薄膜トランジスタ基板101を実現することができ、この薄膜トランジスタ基板101を用いることによって、小型で高表示品質を有する液晶表示装置を低コストに提供することが可能になる。
【0241】
本実施の形態2におけるTFT基板101の製造方法は、基板1上の所定の表示領域150に配置され、第1導電膜からなる第1ゲート電極2を形成する工程と、基板1上の所定の額縁領域160に配置され、第1ゲート電極2と同一組成の第1導電膜からなる第2ゲート電極3を形成する工程と、第1ゲート電極2と第2ゲート電極3とを覆って基板1上に配置されるゲート絶縁層5を形成する工程と、一部が第1ゲート電極2に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置され、半導体特性を有する酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9を形成する工程と、一部が第1ゲート電極2に平面視で重なり、かつ、ソースコンタクト層9と離間する離間部分W1を有してゲート絶縁層5上に配置され、ソースコンタクト層9と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10を形成する工程と、ソースコンタクト層9上に配置され、第2導電膜からなる第1ソース電極17を形成する工程と、第1ソース電極17と離間する離間部分W3を有してドレインコンタクト層10上に配置され、第1ソース電極17と同一組成の第2導電膜からなる第1ドレイン電極18を形成する工程と、を備える。その第1ソース電極17と第1ドレイン電極18との間に位置する離間部分W3は、ソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10との間に位置する離間部分W1よりも広い。TFT基板101の製造方法は、離間部分W1にて露出するゲート絶縁層5の表面から第1ソース電極17上の一部と第1ドレイン電極18上の一部とに渡って配置され、かつ、離間部分W3にて露出するソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10とに接して配置され、アモルファスシリコンからなる第1半導体層7を形成する工程と、第2ゲート電極3に平面視で重なり、かつ、ゲート絶縁層5上に配置され、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と同一組成の半導体特性を有する酸化物膜8aからなる第2半導体層13を形成する工程と、一部が第2半導体層13に接続して配置され、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる第2ソース電極19を形成する工程と、第2ソース電極19と離間して配置され、かつ、一部が第2半導体層13上に接して配置され、第1ソース電極17と第1ドレイン電極18と同一組成の第2導電膜からなる第2ドレイン電極20を形成する工程と、所定の表示領域150内かつ第1ゲート電極2が形成される領域外に位置するゲート絶縁層5上に配置され、第1ドレイン電極18に接続し、ソースコンタクト層9をなす半導体特性を有する酸化物膜8aと同一組成の導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16を形成する工程と、をさらに備える。
【0242】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30dと酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40dとを同一基板上に低コストに形成できる。
【0243】
本実施の形態2におけるTFT基板101の製造方法において、ソースコンタクト層9を形成する工程と、ドレインコンタクト層10を形成する工程と、第2半導体層13を形成する工程と、画素電極16を形成する工程とは、ゲート絶縁層5を形成する工程の後に、基板1上に半導体特性を有する酸化物からなる酸化物膜8aを形成する工程と、ソースコンタクト層9と、ドレインコンタクト層10と、第2半導体層13と、画素電極16とが形成されるように酸化物膜8aを一括してパターニングする工程と、を含む。第1ソース電極17を形成する工程と、第1ドレイン電極18を形成する工程とは、酸化物膜8aを一括してパターニングする工程の後に、基板1上に第2導電膜を形成する工程と、第1ソース電極17と、第1ドレイン電極18とが形成されるよう第2導電膜を一括してパターニングする工程と、を含む。第1半導体層7を形成する工程は、第1ソース電極17を形成する工程と第1ドレイン電極18を形成する工程との後に、第2半導体層13が第2導電膜により覆われた状態で基板1上にアモルファスシリコンからなるアモルファスシリコン膜6を形成する工程と、第1半導体層7が形成されるようにアモルファスシリコン膜6をパターニングする工程と、を含む。第2ソース電極19を形成する工程と、第2ドレイン電極20を形成する工程とは、第1半導体層7を形成する工程の後に、第2ソース電極19と、第2ドレイン電極20とが形成されるよう第2導電膜をさらに一括してパターニングする工程と、を含む。
【0244】
このような構成により、a-Siチャネル層形成のためのBCE工程において、酸化物膜8aからなるオーミックコンタクト層のa-Si膜6との選択的な除去の工程が不要となり、a-Si膜6からなる半導体チャネル部の形状ならびに特性を均一性よく形成することができる。そのため、画素TFT30dの特性の均一性を向上させることができる。
【0245】
本実施の形態2におけるTFT基板101の製造方法において、第1ゲート電極2を形成する工程と、第2ゲート電極3を形成する工程とは、基板1の表面に遮光性を有する第1導電膜を形成する工程と、第1ゲート電極2と第2ゲート電極3とが形成されるよう第1導電膜を一括してパターニングする工程と、を含む。画素電極16を形成する工程は、酸化物膜8aを一括してパターニングする工程の後に、基板1の裏面から紫外線を含む光を照射する工程をさらに含む。
【0246】
このような構成により、基板1を透過したUV光が照射される領域に導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15を形成できる。さらに、UV光が遮光される領域に半導体特性を有する酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10および第2半導体層13を形成できる。すなわち、製造工程が簡略化される。
【0247】
本実施の形態2におけるTFT基板101の製造方法は、画素電極16を覆って配置される保護絶縁層21を形成する工程と、画素電極16に平面視で重なり、かつ、保護絶縁層21上に配置され、第3導電膜からなる対向電極25を形成する工程と、をさらに備える。
【0248】
このような構成により、FSS方式のLCD用途においても、製造工程の簡略化と低コスト化が可能な薄膜トランジスタ基板が得られる。
【0249】
本実施の形態2におけるTFT基板101の製造方法は、第1ゲート電極2を形成する工程と、ゲート絶縁層5を形成する工程と、ソースコンタクト層9を形成する工程と、ドレインコンタクト層10を形成する工程と、第1ソース電極17を形成する工程と、第1ドレイン電極18を形成する工程と、第1半導体層7を形成する工程とを含み、基板1上の所定の表示領域150に画素TFT30dを形成する工程と、第2ゲート電極3を形成する工程と、ゲート絶縁層5を形成する工程と、第2半導体層13を形成する工程と、第2ソース電極19を形成する工程と、第2ドレイン電極20を形成する工程と、を含み、基板1上の所定の額縁領域160に駆動TFT40dを形成する工程と、をさらに備える。所定の表示領域150は、基板1上に複数の画素がマトリクス状に配列されてなる表示領域150であり、画素TFT30dは、表示領域150の各画素に設けられる画素表示用の薄膜トランジスタである。所定の額縁領域160は、表示領域150外の領域であり、駆動TFT40dは、画素TFT30dを駆動する駆動回路用の薄膜トランジスタである。
【0250】
このような構成により、アモルファスシリコンからなるチャネル層を有する画素TFT30dと酸化物半導体からなるチャネル層を有する駆動TFT40dとを同一基板上に低コストに形成した薄膜トランジスタ基板100が得られる。
【0251】
<実施の形態2の変形例1>
実施の形態2では、平面視で第1ソース電極17またはソース配線117と重なる領域の下層に、導電特性を有する酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11およびソース下層配線217を形成するようにしたが、実施の形態1の変形例2と同様に、これは適宜省略することもできる。同様に、平面視で第2ソース電極19および第2ドレイン電極20と重なる領域の下層にも、導電特性を有する酸化物膜8bからなる第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15をそれぞれ形成するようにしたが、これらも適宜省略することができる。
【0252】
<実施の形態2の変形例2>
また実施の形態2では、ソースコンタクト層9は、第1ソース電極下層配線11およびソース下層配線217のパターンと分離されて配設されていた。また、ドレインコンタクト層10は、画素電極16のパターンと分離されて配設されていた。さらに、第2半導体層13は、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15と分離されて配設されていた。
【0253】
図33は、本実施の形態2の変形例2に係るTFT基板に配設される画素TFT30eと駆動TFT40eの断面図である。実施の形態1の変形例3と同様、酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9と酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11またはソース下層配線217とを連続一体化したパターンで形成してもよい。また、酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10と酸化物膜8bからなる画素電極16とを連続一体化したパターンで形成してもよい。さらに、酸化物膜8aからなる第2半導体層13と酸化物膜8bからなる第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15とを連続一体化したパターンで形成するようにしてもよい。
【0254】
本実施の形態2の変形例2におけるTFT基板が含む画素電極16は、半導体特性を有する酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10(第2コンタクト層)から延在され連続一体化されたパターンを有する。
【0255】
また、本実施の形態2の変形例2におけるTFT基板の製造方法において、ソースコンタクト層9(第1コンタクト層)と、ドレインコンタクト層10と、第2半導体層13と、画素電極16とを形成するために酸化物膜8aを一括してパターニングする工程または酸化物膜8aと第2導電膜とを一括してパターニングする工程は、画素電極16がドレインコンタクト層10から延在され連続一体化されるように酸化物膜8aをパターニングする。
【0256】
このような構成により、酸化物膜8aの必要な領域を選択的に導電体化させることができる。
【0257】
<実施の形態2の変形例3>
上記の実施の形態2におけるFFS仕様のTFT基板101は、a-Si膜6を半導体層とする画素TFT30d(第1TFT)と、酸化物膜8aを半導体層とする駆動回路用の駆動TFT40d(第2TFT)との両方が、ひとつの基板1上に配設された構成を有する。そのTFT基板101も、実施の形態1の変形例4に示すTFT基板100と同様に、ハーフトーンプロセスを用いて5回の写真製版で製造することができる。
【0258】
(画素TFTおよび駆動TFTの構成)
以下に図面を参照して、本実施の形態2の変形例3のTFT基板に形成される画素TFTと駆動TFTの構成について詳しく説明する。
【0259】
図14および
図15は、それぞれ実施の形態1の変形例4の画素TFT30および駆動TFT40の平面構成を表す図であるが、本実施の形態2の変形例3における画素TFT30fおよび駆動TFT40fの平面構成も同様である。後述するが、画素TFT30fは、第1半導体層7と第1ソース電極17との上限位置関係および第1半導体層7と第1ドレイン電極との上下位置関係が異なるだけで、画素TFT30fの平面上の外観構成は
図14に示す画素TFT30と概略同じである。
【0260】
図34は、本実施の形態2の変形例3におけるTFT基板の構成の一部を示す断面図である。
図34は、
図14に示すX-X’部及び
図15に示すY-Y’部の断面構造を示す断面図である。以下、
図14、
図15および
図34を参照して画素TFT30fおよび駆動TFT40fの構成を説明する。
【0261】
上述の実施の形態2のTFT基板と本変形例3におけるTFT基板との構造上の大きな違いのひとつは、画素TFT30fが含むソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10の形状と、駆動TFT40fが含む第2半導体層13の形状である。
【0262】
すなわち、画素TFT30fにおいて、実施の形態2では、平面視で
図2に示されるように酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9は、酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11またはソース下層配線217とパターンが分離されて形成されている。同様に、酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10は、酸化物膜8bからなる画素電極16とパターンが分離されて形成されている。
【0263】
これに対して、本変形例3のTFT基板が含む画素TFT30fにおいては、
図14または
図34に示されるように、酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9は、酸化物膜8bからなる第1ソース電極下層配線11またはソース下層配線217が連続一体化したパターンで形成される。酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10は、酸化物膜8bからなる画素電極16と連続一体化したパターンで形成されている。すなわち、この連続一体化した酸化物膜のパターンのうち、第1ゲート電極2のパターンからはみ出した領域に位置する酸化物膜8bは、導電特性を有し、第1ソース電極下層配線11および画素電極16をなす。酸化物膜のパターンのうち第1ゲート電極2の内側に位置する酸化物膜8aは、半導体特性を有し、ソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10をなす。これらソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10は、平面視で第1ゲート電極2と重なる領域において互いに距離を隔てた離間部分W1を有している。
【0264】
さらに本実施の形態2の変形例3では、ソースコンタクト層9と第1ソース電極下層配線11またはソース下層配線217の上には、平面視でこれらの形状と概略同じ形状で、かつ外縁が若干内側に入った態様で、第1ソース電極17およびソース配線117が形成されている。ドレインコンタクト層10の上には、平面視でこの形状と概略同じ形状で、かつ外縁が若干内側に入った態様で第1ドレイン電極18の一部領域が形成される。かつ第1ドレイン電極18の一部領域は、平面視で画素電極16の一領域に重なるとともに画素電極16の外側にはみ出さない態様で形成されている。そして、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18は、平面視で第1ゲート電極2と重なる領域において、それぞれソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10と平面視で重なり、かつ互いが離間部分W1よりも離れた離間部分W3を有するように形成されている。
【0265】
そして、ゲート絶縁層5上のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が離間している離間部分W1から、ソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10、第1ソース電極17上の一部、および第1ドレイン電極18上の一部にわたってa-Si膜6からなる第1半導体層7が形成されている。離間部分W1および離間部分W3において、第1半導体層7は画素TFT30fの第1チャネル領域CL1として機能する。
【0266】
実施の形態2における駆動TFT40dでは、
図26に示されるように酸化物膜8aからなる第2半導体層13と第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15とが分離されて形成されていた。それに対して、本実施の形態2の変形例3における駆動TFT40fでは、
図34に示されるように、第2半導体層13と第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15とが連続一体化したパターンで形成されている。この連続一体化したパターンのうち、第2ゲート電極3のパターンからはみ出した領域は導電体化され、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15として機能する。そして、第2ゲート電極3の内側の領域は、半導体として駆動TFT40fの第2半導体層13として機能する。
【0267】
さらに、第2半導体層13と第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15とが連続一体化したパターンの上には、平面視でこれらの形状と概略同じ形状で、かつ外縁が若干内側に入った態様で、第2ソース電極19および第2ドレイン電極20が互いに分離されて形成されている。
【0268】
画素TFT30fの第1チャネル領域CL1、第1ソース電極17、第1ドレイン電極18および画素電極16、さらに駆動TFT40fの第2チャネル領域CL2、第2ソース電極19および第2ドレイン電極20等を覆うように第2絶縁膜からなる保護絶縁層21が配設される。
【0269】
保護絶縁層21および下層のゲート絶縁層5には、画素領域PXにおいて共通電極4の表面の一部が露出するように共通電極部コンタクトホール22が開口されている。共通電極部コンタクトホール22は、平面視で共通電極4と重なるとともに画素電極16とは重ならない領域に配置される。
【0270】
さらに、第3導電膜からなる対向電極25が、平面視で保護絶縁層21の上の画素領域PXに画素電極16と重なるように形成される。本実施の形態2の変形例3では、対向電極25は、平面視において、ゲート配線102およびソース配線117にて囲まれてなる複数の画素領域のそれぞれを接続する連続した形状を有して配置されている。対向電極25は、共通電極部コンタクトホール22を通して共通電極4に接続されている。これにより、対向電極25には共通電極4から一定の共通電位信号が印加される。
【0271】
対向電極25にはスリット開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極16と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。これによりTFT基板100は、横電界駆動仕様であるFFS方式のLCDに適用可能となる。なお、スリット開口部SLの代わりに、櫛歯状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0272】
駆動TFT40fにおいて、保護絶縁層21には、平面視で第2ソース電極19と重なる領域に第2ソース電極19の表面の一部が露出するように第1コンタクトホール23が開口され、平面視で第2ドレイン電極20と重なる領域に第2ドレイン電極20の表面の一部が露出するように第2コンタクトホール24が開口されている。さらに、第3導電膜からなる第3ソース電極26および第3ドレイン電極27が、それぞれ平面視で第2ソース電極19および第2ドレイン電極20と重なる領域に配設される。第3ソース電極26は、第1コンタクトホール23を通して第2ソース電極19に接続され、第3ドレイン電極は、第2コンタクトホール24を通して第2ドレイン電極20に接続されている。
【0273】
また保護絶縁層21には、第2チャネル領域CL2となる領域に第3コンタクトホール28が開口されている。第3コンタクトホール28は、離間部分W2の幅を有して、第2ソース電極19と第2ドレイン電極20とを分離し、かつ、第3ソース電極26と第3ドレイン電極27とを分離する。これにより、第2半導体層13は、第2チャネル領域CL2においてチャネル層として機能する。
【0274】
以上のように、駆動TFT40fを構成する各ソース電極および各ドレイン電極は、それぞれ導電体化された酸化物膜8b、第2導電膜および第3導電膜を含む3層で構成されるので、ひとつの層がパターン不良等で断線しても、他の2層で断線をカバーできるため、断線不良の発生を防止することができる。したがって、
図1に示されるように、複数の駆動TFT40、41、42が組み合わさって構成される駆動電圧発生回路SCをTFT基板100の周辺領域に配置する場合でも、駆動TFTの断線による回路動作不良の発生率を大幅に低減することができるようになる。
【0275】
(製造方法)
以下に、図面を参照して本実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造方法を説明する。
図35から
図43は本実施の形態2の変形例3のTFT基板の製造方法を示す断面工程図である。なお、最終工程を示す断面図は、
図34に相当する。各工程図中のX-X’部及びY-Y’部は、それぞれ
図14に示すX-X’および
図15に示すY-Y’部の断面部に対応している。
【0276】
まず、ガラス等の透明性絶縁基板である基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。本変形例3では、厚さ0.6mmのガラス基板を基板1として用いた。そして、洗浄された基板1の一方の主面全面に、各ゲート電極等の材料である第1導電膜を形成する。なお、ゲート電極等が設けられる方を基板1の上主面とする。
【0277】
第1導電膜としては、例えばCr、Mo、Ti、Cu、Ta、W、Al等の金属およびこれらの金属元素を主成分として他の元素を1種類以上添加した合金等を用いることができる。ここで、主成分の元素とは、合金を構成する元素のうち、含有量が最も多い元素のことを示すものとする。また、これらの金属の層または合金の層を2層以上含む積層構造としてもよい。これらの金属または合金を用いることによって、比抵抗値が50μΩcm以下の低抵抗な導電膜を得ることができる。本変形例3では、第1導電膜としてCu膜を、Arガスを用いたスパッタリング法で200nmの厚さに形成した。
【0278】
その後、第1導電膜上にフォトレジスト材を塗布し、1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第1導電膜をエッチングによりパターニングする。ここでは、過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図35に示されるように、基板1の上主面上に第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4が形成される。
【0279】
次に、第1ゲート電極2、第2ゲート電極3等を覆うように基板1の上主面全面に第1絶縁膜からなるゲート絶縁層5を成膜した後、第2半導体層13等の材料となる酸化物膜8aおよびソース電極、ドレイン電極等の材料である第2導電膜M2を順次成膜する。
【0280】
本実施の形態2の変形例3では、実施の形態2と同じように、ArガスとO2ガスとの混合ガスを用いたスパッタリング法により、酸化物膜8aとして厚さ50nmのInGaZnO膜を成膜した。InGaZnO膜は、一般的に1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有するn型の半導体特性を示す。スパッタリング法の場合は、例えばArガスとO2ガスの混合比率を変えることによって、InGaZnO膜の電子キャリア密度の大小を制御することができる。また第2導電膜M2としてArガスを用いたスパッタリング法により、厚さ200nmのCu膜を成膜した。
【0281】
そして、2回目の写真製版工程で塗布形成したフォトレジストを、フォトリソグラフィー工程によりパターニングしてフォトレジストパターンを形成する。
図36に示されるように、フォトレジストパターンは、第1領域である厚さhdのフォトレジストパターンPR5と、第2領域である厚さhdのフォトレジストパターンPR6と、第3領域である厚さheのフォトレジストパターンPR7とを有する。フォトレジストパターンPR5とフォトレジストパターンPR6の互いに離間した領域は画素TFT30fの第1チャネル領域CL1に対応している。またフォトレジストパターンPR7は駆動TFT40fの形成領域に対応している。さらに、フォトレジストパターンPR6は、画素領域PXである厚さhfのフォトレジストパターンPR8を含み、フォトレジストパターンPR6とフォトレジストパターンPR8は連続一体化した形状で形成されている。
【0282】
このとき、フォトレジストパターンPR5およびPR6の厚さhdと、フォトレジストパターンPR7の厚さheは、フォトレジストパターンPR8の厚さhfよりも厚くなるようにしておく。具体的に本実施の形態2の変形例3ではhdおよびheが約2.5μm、hfが約1.0μmの厚さになるように形成した。なお、各々のフォトレジストパターンPR5、フォトレジストパターンPR6、PR7およびPR8において、若干の厚みの差異があってもよい。このような差異は、フォトレジスト層が形成される表面の表面形状に起因して生じ得るものであり、例えば、第1導電膜の厚み程度の大きさである。
【0283】
図36に示されるような複数の厚さを有するフォトレジストパターンは、まず基板1の第2導電膜M2上に、例えばノボラック系樹脂で構成されるポジ型フォトレジストを所望の最大膜厚(上記の例では2.5μm)となるように塗布形成した後に、フォトリソグラフィー工程のフォトレジスト露光時に露光量を多段階に制御することで形成することができる。すなわち、フォトレジスト露光時に、フォトレジストパターンPR5、PR6およびPR7に対応した領域には露光光を遮光し、フォトレジストパターンPR8に対応した領域には露光光の強度を減光させて照射し、その他の領域には露光光を直接照射して露光処理を行う。その後、レジストの現像処理が実行されると、フォトレジストは、露光光が直接照射された領域では完全に除去され、遮光された領域では最大膜厚で残存し、減光された照射では膜厚が低減される。なお、このように露光量を多段階に制御する方法としては、グレイトーンまたはハーフトーンのフォトマスクを用いた公知のフォトリソグラフィープロセスを用いることができる。
【0284】
次に、
図37に示されるように、フォトレジストパターンPR5、PR6、PR7およびPR8をマスクとして、第2導電膜M2と酸化物膜8aをエッチングによりパターニングする。まず、過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いてCuからなる第2導電膜M2をエッチングする。続けて、シュウ酸(ジカルボン酸:Oxalic acid)5重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いてInGaZnOからなる酸化物膜8aをエッチングする。これにより、特に画素TFT30fにおいて、平面視で第1ゲート電極2と重なる領域の第1チャネル領域CL1では、ゲート絶縁層5上の第2導電膜M2および酸化物膜8aが除去されて離間部分W1が形成される。
【0285】
さらに、
図38に示されるように、基板1上の全体にO
2プラズマを照射して、レジストを全体的にアッシング(Ashing)して薄膜化する。これにより、厚さの薄い領域のフォトレジストパターンPR8が完全に除去されるとともに、厚さの厚い領域のフォトレジストパターンPR5、PR6およびPR7の領域は、薄膜化されて厚さがhd’の新たなフォトレジストパターンPR5a、PR6a、および厚さがhe’のフォトレジストパターンPR7aとなって残存する。なお、アッシングによる薄膜化に伴い、新たなフォトレジストパターンPR5a、PR6aおよびPR7aは、平面視で元のフォトレジストパターンPR5、PR6およびPR7に比べてパターンの外縁が、全体にわたって内側に後退して縮小化された形状となる。
【0286】
次に、
図39に示されるようにフォトレジストパターンPR5a、PR6aおよびPR7aをマスクとして、第2導電膜M2のみを選択的にエッチングすることによりパターニングする。ここでは、過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。
【0287】
その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図40に示されるように、特に画素TFT30fにおいて、第2導電膜M2からなる第1ソース電極17および第1ドレイン電極18、酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が形成される。
【0288】
第2導電膜M2をパターニングして形成された第1ソース電極17および第1ドレイン電極18の外縁は、平面視で下層の酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10のパターン外縁よりも内側に後退した形状で形成される。よって、本実施の形態2の変形例3では、
図40に示されるように、これらのパターン外縁の端部が階段形状となるように形成されている。
【0289】
平面視で第1ゲート電極2と重なる領域の第1チャネル領域CL1では、ゲート絶縁層5上のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10は、互いに距離を隔てた離間部分W1を有し、第1ソース電極17および第1ドレイン電極18は、ソースコンタクト層9およびまたはドレインコンタクト層10と平面視で重なり、かつ互いが離間部分W1よりも離れた離間部分W3を有するように形成されている。
【0290】
また、画素TFT30fの隣に位置する画素領域PXにおいては、上層の第2導電膜M2が除去されているとともに、酸化物膜8aからなるドレインコンタクト層10のパターンから連続一体化されたパターンからなる画素電極16が形成されている。
【0291】
一方、駆動TFT40fにおいても、酸化物膜8aと第2導電膜M2からなる積層体パターンの外縁の端部が階段形状となるように形成されている。
【0292】
次に、
図41に示されるように、例えば低圧水銀灯を用いて、基板1に対して裏面側から全面にUV光を照射する。この処理を行うことで、基板1を透過したUV光が照射される酸化物膜8aのパターン領域、すなわち画素TFT30fにおける第1ソース電極下層配線11、ソース下層配線217(
図41には図示せず)および画素電極16の領域と、駆動TFT40fにおける第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15の領域が、半導体から導電体に変化する。すなわち、この光照射プロセスにより、導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15が形成される。この際の導電体部の比抵抗値は、1×10
-2Ω・cm程度以下であることが好ましい。すなわち、本実施の形態2の変形例3のInGaZnOに代表される酸化物膜8aの場合では、電子キャリア密度が1×10
19個/cm
3以上であることが好ましい。
【0293】
一方、平面視で第1ゲート電極2、第2ゲート電極3および共通電極4と重なる領域に位置する酸化物膜8aは、UV光が遮光されるため、半導体としての特性が維持される。すなわち、第1ゲート電極2と平面視で重なる領域に位置するソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10をなす酸化物膜8aは、半導体特性を維持する。また、第2ゲート電極3と平面視で重なる領域に位置する第2半導体層13をなす酸化物膜8aも半導体特性を維持する。
【0294】
そして平面視で第1ゲート電極2と重なる領域の酸化物膜8aは画素TFT30fのソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10として機能し、平面視で第2ゲート電極3と重なる領域の酸化物膜8aは駆動TFT40fの第2半導体層13として機能する。
【0295】
なおUV光としては、450nm以下の波長領域に強度ピークを有するものを用いると、酸化物膜8aを効率よく導電体化できるので好ましい。なお、本変形例3では低圧水銀灯を照射したが、これに限られることなく、例えば紫外線レーザー光を用いることも可能である。
【0296】
次に、基板1の上に、CVD法を用いてa-Si膜を100nmの厚さで成膜する。その後、3回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、a-Si膜をエッチングによりパターニングする。ここではSF
6ガスとHClガスを含むガスによるドライエッチングを用いた。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図42に示されるように、画素TFT30fにおいて、ゲート絶縁層5上のソースコンタクト層9およびドレインコンタクト層10が離間する離間部分W1から、ソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10、第1ソース電極17上の一部、および第1ドレイン電極18上の一部にわたってa-Si膜6からなる第1半導体層7が形成される。
【0297】
第1半導体層7は、ソースコンタクト層9を通して第1ソース電極17と電気的に接続される。また第1半導体層7は、ドレインコンタクト層10を通して第1ドレイン電極18と電気的に接続され、さらに第1ドレイン電極18を通して画素電極16と電気的に接続されている。そして、ソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10との離間部分W1および第1ソース電極17と第1ドレイン電極18との離間部分W3とが、第1半導体層7の第1チャネル領域CL1となる。一方で、駆動TFT40fの第2半導体層13は、第2導電膜M2により覆われており、上記のa-Si膜6と直接接する機会はない。第2半導体層13をなす半導体特性を有する酸化物膜8aは、a-Si膜6に含まれる水素化アモルファスシリコンにより還元されて導体化することがない。
【0298】
次に、基板1上に、保護絶縁層21の材料である第2絶縁膜が形成される。本実施の形態2の変形例3では、CVD法を用いて、SiO膜を100nm、SiN膜を200nmの厚さでこの順に積層して成膜することで、保護絶縁層21を形成した。
【0299】
その後、4回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、保護絶縁層21のSiO膜とSiN膜、およびゲート絶縁層5のSiN膜を順次エッチングすることによりパターニングする。ここではSF6にO2を加えたガスを用いたドライエッチングを用いた。
【0300】
その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図43に示されるように、画素TFT30fの画素領域PXにおいて、保護絶縁層21およびゲート絶縁層5に、共通電極4の表面の一部が露出するように共通電極部コンタクトホール22が形成される。共通電極部コンタクトホール22は、平面視で共通電極4と重なるとともに画素電極16とは重ならない領域に配置される。
【0301】
さらに、駆動TFT40fにおいて、保護絶縁層21に、第2導電膜M2の表面の一部が露出するように第1コンタクトホール23、第2コンタクトホール24および第3コンタクトホール28が形成される。第3コンタクトホール28は、平面視で第2ゲート電極3と重なる領域に配置される。
【0302】
次に、保護絶縁層21の上に対向電極25等の材料となる第3導電膜を形成する。本実施の形態2の変形例3では、まず第3導電膜として実施の形態2と同様に光透過性の酸化物導電膜であるITO膜を成膜する。
【0303】
その後、5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3導電膜であるITO膜をエッチングによりパターニングする。ここではシュウ酸を含む溶液によるウエットエッチングを用いた。続けてCuからなる第2導電膜M2の一部領域を過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate)0.3重量%濃度の水溶液を含む溶液によるウエットエッチングを用いてパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、
図34に示されるように、画素TFT30fにおいて透光性の対向電極25が形成される。対向電極25は、平面視で保護絶縁層21の上の画素領域PXに画素電極16と重なるように形成される。また対向電極25は、共通電極部コンタクトホール22を通して共通電極4に接続されている。
【0304】
対向電極25にはスリット開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極16と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。なお、スリット開口部SLの代わりに、櫛歯状の開口部を設けるようにしてもよい。
【0305】
さらに
図34に示されるように、駆動TFT40fにおいて第3ソース電極26および第3ドレイン電極27が形成される。第3ソース電極26は第1コンタクトホール23を通して第2ソース電極19に接続され、第3ドレイン電極27は第2コンタクトホール24を通して第2ドレイン電極20に接続されている。また、第3コンタクトホール28では、ITOからなる第3導電膜およびCuからなる第2導電膜M2が除去されて、酸化物膜8aからなる第2半導体層13上に離間部分W2を有する第2チャネル領域CL2が形成され、駆動TFT40fが形成される。
【0306】
液晶表示パネルの組み立ては、まず、
図14および
図15に示したTFT基板の表面に配向膜、スペーサを形成する。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成される。次に、別途作製した、カラーフィルタおよび配向膜等を備えた対向基板(図示せず)を、TFT基板と対向して貼り合わせる。この際、スペーサによってTFT基板と対向基板との間に間隙が形成され、その間隙に液晶を封止することによって、横電界液晶駆動のFFS方式の液晶表示パネルが作製される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板及びバックライトユニット等を配設することによってFFS方式のLCDが完成する。
【0307】
(効果)
以上のように、本実施の形態2の変形例3によれば、上記の実施の形態2と同じ効果に加えて、a-Si膜6を半導体層とする画素TFT30f(第1TFT)と、酸化物膜8aを半導体層とする駆動回路用の駆動TFT40f(第2TFT)との両方が、ひとつの基板1上に形成されたFFS仕様のTFT基板100を、実施の形態2よりもさらに少ない5回の写真製版工程で作製することができる。そのため、生産性をより向上させることができる。
【0308】
本実施の形態2の変形例3におけるTFT基板の製造方法において、ソースコンタクト層9を形成する工程と、ドレインコンタクト層10を形成する工程と、第2半導体層13を形成する工程と、画素電極16を形成する工程とは、ゲート絶縁層5を形成する工程の後に、基板1上に半導体特性を有する酸化物からなる酸化物膜8aと第2導電膜とを順に積層して形成する工程と、ソースコンタクト層9と、ドレインコンタクト層10と、第2半導体層13と、画素電極16とが形成されるように酸化物膜8aと第2導電膜とを一括してパターニングする工程と、を含む。第1ソース電極17を形成する工程と、第1ドレイン電極18を形成する工程とは、酸化物膜8aと第2導電膜とを一括してパターニングする工程の後に、第1ソース電極17と、第1ドレイン電極18とが形成されるよう第2導電膜を一括してパターニングする工程、を含む。第1半導体層7を形成する工程は、第1ソース電極17を形成する工程と第1ドレイン電極18を形成する工程との後に、第2半導体層13が第2導電膜により覆われた状態で基板1上にアモルファスシリコンからなるアモルファスシリコン膜6を形成する工程と、第1半導体層7が形成されるようにアモルファスシリコン膜6をパターニングする工程と、を含む。第2ソース電極19を形成する工程と、第2ドレイン電極20を形成する工程とは、第1半導体層7を形成する工程の後に、第2ソース電極19と、第2ドレイン電極20とが形成されるよう第2導電膜を一括してパターニングする工程と、を含む。
【0309】
このような構成により、BCE工程のオーミックコンタクト層除去工程が不要となって、a-Si膜6からなる半導体チャネル部の形状ならびに特性を均一性よく形成することができる。そのため、画素TFT30fの特性の均一性を向上させることができる。
【0310】
本実施の形態2の変形例3におけるTFT基板の製造方法において、第1ゲート電極2を形成する工程と、第2ゲート電極3を形成する工程とは、基板1の表面に遮光性を有する第1導電膜を形成する工程と、第1ゲート電極2と第2ゲート電極3とが形成されるよう第1導電膜を一括してパターニングする工程と、を含む。画素電極16を形成する工程は、第1ソース電極17を形成する工程と第1ドレイン電極18を形成する工程との後に、基板1の裏面から紫外線を含む光を照射する工程をさらに含む。
【0311】
このような構成により、基板1を透過したUV光が照射される領域に導電特性を有する酸化物膜8bからなる画素電極16、第1ソース電極下層配線11、第2ソース電極下層配線14および第2ドレイン電極下層配線15を形成できる。さらに、UV光が遮光される領域に半導体特性を有する酸化物膜8aからなるソースコンタクト層9、ドレインコンタクト層10および第2半導体層13を形成できる。すなわち、製造工程が簡略化される。
【0312】
また、本変形例3のTFT基板は、実施の形態1のTFT基板100の製造工程よりも、少ない写真製版工程で作製することができる。
【0313】
なお、実施の形態1および2ならびにこれらの変形例では、酸化物膜8aとして、In:Ga:Zn:Oの原子組成比が1:1:1:4であるInGaZnO膜を例示して説明したが、これらに限られることはない。例えば他にもInZnO系、InGaO系、InSnO系、InSnZnO系、InGaZnSnO系、InAlZnO系、InHf(ハフニウム)ZnO系、InZr(ジルコニウム)ZnO系、InMg(マグネシウム)ZnO系、InY(イットリウム)ZnO系、ZnSnO系のような、少なくとも1種類以上の金属酸化物を含む酸化物半導体膜を酸化物膜8aとして用いることができる。これらの酸化物半導体材料もInGaZnO膜と同じく、一般的に1×1012個/cm3以上1×1019個/cm3以下の電子キャリア密度を有するn型の半導体特性を示す。またスパッタリング法を用いて例えばArガスとO2ガスの混合比率を変えることによって電子キャリア密度の大小を制御することができる。さらにUV光の照射によって比抵抗を低減させ、導電特性を有する酸化物膜8bに変化させることができるため、本発明の実施の形態におけるInGaZnO系酸化物膜と同様の効果を得ることができる。
【0314】
すなわち、各実施の形態およびそれらの各実施例におけるTFT基板が含む半導体特性を有する酸化物膜8aは、少なくとも1種類以上の金属酸化物を含む。画素電極16は、ソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10と第2半導体層13とを共通してなす半導体特性を有する酸化物膜8aに含まれる1種類以上の金属酸化物を含む。このような構成により、画素電極16とソースコンタクト層9とドレインコンタクト層10とを同じプロセスで製造することができ、製造工程の簡略化と低コスト化が可能である。
【0315】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0316】
1 基板、2 第1ゲート電極、3 第2ゲート電極、5 ゲート絶縁層、6 a-Si膜、7 第1半導体層、8a 酸化物膜、8b 酸化物膜、9 ソースコンタクト層、10 ドレインコンタクト層、13 第2半導体層、16 画素電極、17 第1ソース電極、18 第1ドレイン電極、19 第2ソース電極、20 第2ドレイン電極、21 保護絶縁層、23 第1コンタクトホール、24 第2コンタクトホール、25 対向電極、26 第3ソース電極、27 第3ドレイン電極、28 第3コンタクトホール、30 画素TFT、40 駆動TFT、100 TFT基板、101 TFT基板、150 表示領域、160 額縁領域、W1 離間部分、W2 離間部分、W3 離間部分。