(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】多層型洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/03 20060101AFI20230316BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230316BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A61K8/03
A61K8/81
A61Q1/14
(21)【出願番号】P 2021538512
(86)(22)【出願日】2018-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2018033513
(87)【国際公開番号】W WO2020053945
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 ひろ子
(72)【発明者】
【氏名】上山 千紘
(72)【発明者】
【氏名】シヤラット, デロッポンギョトン
(72)【発明者】
【氏名】サナウォン, チャイソンチクルワット
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-203764(JP,A)
【文献】特開2005-145872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(E)を含有し、静置した状態で、乳化層と水層を含む少なくとも2層に分離して
おり、30℃における振とう後の粘度が100mPa・s未満である、多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを構成単位として含むポリマー 0.003~0.3質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)油剤 5~40質量%、
(C)ノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d1)水溶性塩及び(d2)酸から選ばれる1種以上 0.005~0.9質量%、並びに
(E)水。
【請求項2】
成分(B)が(b1)炭化水素油、(b2)エーテル油及び(b3)シリコーン油から選ばれる、30℃における粘度が18mPa・s以下である1以上の油剤を含有する請求項1に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(B)が沸点300℃以下である揮発性の油剤を含有する請求項1又は2に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(B)が(b1)炭化水素油、(b2)エーテル油及び(b3)シリコーン油から選ばれる1以上を含有し、成分(B)中の成分(b1)、(b2)及び(b3)の合計含有量が70質量%以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項5】
成分(B)が30℃における粘度が18mPa・s以下である炭化水素油を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項6】
(d1)水溶性塩が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、EDTA2ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムから選ばれる1以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項7】
成分(D)に対する成分(A)の質量比[(A)/(D)]が、0.05~20である請求項1~6のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項8】
さらに(F)粉体を含有する請求項1~7のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項9】
成分(A)に対する成分(F)の質量比[(F)/(A)]が、1~1000である請求項8に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項10】
さらに(G)エタノールを含有する請求項1~9のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項11】
さらに(K)アルカリ性中和剤を含有する請求項1~10のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項12】
拭き取りタイプのメイクアップ・リムーバーである請求項1~
11のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【請求項13】
下記工程1~3を含む、請求項1~
12のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物の製造方法。
(工程1)成分(A)、成分(B)及び成分(E)を加えて混合物1を得る工程、
(工程2)混合物1に成分(C)を加えて混合物2を得る工程、並びに
(工程3)混合物2に成分(D)を加える工程。
【請求項14】
組成物を均一に混合する第一の工程、及び以下から選択されるメイク化粧料を除去する第二の工程を含む、請求項1~
12のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物を使用してメイク化粧量を除去する方法。
(1)組成物を拭き取り材に含浸して肌を拭き取る、
(2)手で組成物を肌に塗布した後拭き取り材で拭き取る、
(3)手で組成物を肌に塗布した後洗い流す、
(4)組成物を拭き取り材に含浸して肌を拭き取り後肌を洗い流す、
(5)上記のいずれかの方法で肌を拭き取り後肌を洗い流す、又は
(6)組成物に含浸させたシートで肌を拭き取る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層型洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗い流しが不要で場所や時間を選ばずに化粧料を落とせる簡便さから、近年、不織布に液体皮膚洗浄料を含浸させた皮膚洗浄シートやコットン等に含浸させて用いる拭き取り皮膚洗浄剤が開発されている。これらの拭き取り皮膚洗浄剤には、界面活性剤を洗浄基剤として、界面活性剤によってメイク化粧料を乳化、分散して落とす界面活性剤タイプ(特許文献1参照)と、油剤を洗浄基剤として、メイク化粧料を溶解して落とす油性タイプ(特許文献2参照)の2種類が存在している。
【0003】
界面活性剤タイプは油剤をほとんど含んでおらず、みずみずしい拭き心地を提供できるものの、ワックス、高分子シリコーンや油性皮膜剤等の皮膚に強固に付着する成分を含むウォータープルーフ・マスカラ等を十分に落とすことは困難であり、また拭き取り後に界面活性剤の一部が皮膚に残留し、ぬるつくという課題があった。一方、油性タイプは、ウォータープルーフ・マスカラ等のメイク化粧料の洗浄力に優れているものの、油剤を使っているため、拭き取り時に肌のぬるつきが強く、使用(拭き取り)後の肌にべたつきが残る等の課題があった。
【0004】
近年、油性タイプの中でも拭き取り時の油性感を低減させた拭き取り皮膚洗浄料が提案されてきている。例えば、水性相と油性相で構成される組成物を使用時に振とうし、パッドに含浸して拭き取りを行う二相組成物(特許文献3参照)や、低粘度の油剤を高分子で乳化分散した乳化型の皮膚洗浄剤組成物が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-37782号公報
【文献】特開平7-223922号公報
【文献】特開2004-285047号公報
【文献】特開2014-218437号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、以下の[1]及び[2]に関する。
[1] 下記成分(A)~(E)を含有する多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを構成単位として含むポリマー 0.003~0.3質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)油剤 5~40質量%、
(C)ノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d1)水溶性塩及び(d2)酸から選ばれる1種以上 0.005~0.9質量%、並びに
(E)水。
【0007】
[2] 下記工程1~3を含む、[1]記載の多層型洗浄剤組成物の製造方法。
(工程1)成分(A)、成分(B)及び成分(E)を加えて混合物1を得る工程、
(工程2)混合物1に成分(C)を加えて混合物2を得る工程、並びに
(工程3)混合物2に成分(D)を加える工程。
【発明の詳細な説明】
【0008】
特許文献3に記載の二相組成物は、振とうして均一な乳化物としても、コットンに染み込ませた際にはほとんどが油相と水相に分離してしまい、多量の油剤が直接肌に接触し、ユーザは拭き取り時にぬるつきを感じやすい。また、振とうして混合しても、静置すると二相が急速に分離してしまう。それによりユーザは頻繁に振とうしてから使用せざるをえず、非常に手間のかかるものであった。
【0009】
特許文献4に記載の皮膚洗浄剤組成物は、使用時にさっぱりとした感触が得られ、ウォータープルーフ・マスカラ等の落ちにくいメイク化粧料に対して高い洗浄力を発揮する洗浄剤組成物ではあるが、高分子を用いた乳化物であるため、粘度が比較的高く(30℃における粘度が1,000mPa・s以上)、コットンに滴下後、1日放置してなじませるか、物理力をかけないとコットンに素早く染み込ませることができず、拭き取りには使いづらいものであった。
【0010】
本発明者らは、コットンに含浸するのに適した物性を有し、油剤のもつ高いメイク化粧料の洗浄力と、拭き取り時のぬるつきと使用直後のべたつきを感じることなく使用できる洗浄剤組成物を開発すべく、種々検討した。その結果、特定のポリマー、油剤、ノニオン性界面活性剤、水を特定の割合で組み合わせ、さらに水溶性塩又は酸を組み合わせて用いることで、コットンや不織布等の拭き取り材に染み込みやすく、拭き取り時に肌のぬるつき、及び使用直後に肌のべたつきを感じることなく使用でき、ウォータープルーフ・マスカラ等の落ちにくいメイク化粧料をきれいに落とすことができる多層型洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明の多層型洗浄剤組成物は、ポリマー系乳化物中に油剤を多量に含む一方で、コットン等の拭き取り材に素早く染み込みこませることができる。そして、多層型洗浄剤組成物を使用時に振とう等により均一に混合した後、拭き取り材に含浸させて用いることで、ウォータープルーフ・マスカラ等の落ちにくいメイク化粧料を素早く十分に落とすことができる。さらに、拭き取り時のぬるつき及び拭き取り直後のべたつきを肌に感じることがなく、使用後は肌のさっぱり感を実感できる。しかも、一度、均一に混合した後は、ユーザが本発明の多層型洗浄剤組成物を使用している間は均一な乳化状態を持続して、拭き取り材を取り換える度に振とうする手間が省けるという利便性も有する。
【0012】
本発明の多層型洗浄剤組成物は、油剤が乳化状態を保ったまま上層に浮き上がり(O/W等の乳化層)、下層に水相が分離した(水層)、いわゆるクリーミングと呼ばれる状態をとり、少なくとも乳化層と水層の2層に分離しているものである。そして、この組成物を混合することで乳化層中の油滴(乳化粒子)が容易に均一に再分散し、ユーザが本発明の多層型洗浄剤組成物を使用している間は低粘度かつ均一な乳化状態をとることができる。
【0013】
静置した状態で油層と水層の2層に分離している従来の多層型洗浄剤組成物では、混合時に油相と水相とが他の相中へ分散され、乳化物が形成されるが、相分離させるために界面が弱く、すぐに乳化状態が崩れ、油層と水層に分離される。そのため、コットンに染み込ませた際にはほとんどが油相と水相に分離してしまっており、油相中の多量の油剤が直接肌に接触し、拭き取り時に油性感が強く感じられる。
【0014】
一方、本発明では予め乳化層中に存在する油滴が混合されることで、全組成物中に均一に分散される。油滴の表面膜は一定の強度を有し、コットンに染み込ませた段階では壊れず、拭き取り時の物理力によって油滴が壊れて適度な量の油剤が放出されて高い洗浄力を発揮する。そのため、組成物を染み込ませたコットンを肌に当てた際には油剤が油滴から放出されずに直接肌に触れず、瑞々しい肌あたりであり、拭き取り時に過剰な油剤が油滴から放出されず、油性感が抑えられ、使用後は肌のさっぱり感を実感できる。
【0015】
本発明で用いる成分(A)のポリマーは、以下の(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれる1種以上のモノマーを構成単位として含むものである。
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー、及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー。
【0016】
本発明で用いる成分(A)のポリマーは、油/水界面に吸着し、油滴の合一を防ぐ吸着層を形成することにより、油滴を安定化させ、水層中に油剤を均一に分散させる効果を有する。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の低分子量の界面活性剤を主乳化剤として用いた微細O/W乳化とは異なり、ポリマーが粗く(不均一に)油剤を乳化した状態をとるため、拭き取り時の物理力によって容易に油滴が壊れて中の油剤が放出される。そして、放出された油剤によってメイク化粧料が溶解され、本発明の組成物は優れた洗浄力を発揮することができる。
【0017】
また、成分(A)は、少量の成分(C)のノニオン性界面活性剤及び成分(D)の水溶性塩又は酸との相互作用により、油滴を安定化させる機能が大きく低下することなく組成物中での広がりが抑えられ、拭き取り時のぬるつきの抑制に作用していると考えられる。
【0018】
成分(A)のポリマーは、(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれる1種以上のモノマーを構成単位として含むポリマーであれば特に制限されず、その含有割合や、ブロック結合、ランダム結合等の結合様式も制限されない。また、成分(A)のポリマーは、(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマー以外のモノマーを含有していてもよく、架橋構造を有していてもよい。拭き取り材への染み込み性、使用後の肌のさっぱり感を良好にする観点からは、少なくとも(a1)を構成単位として含むポリマーを用いることが好ましく、少なくとも(a1)及び(a2)を構成単位として含むコポリマーを用いることがより好ましい。
【0019】
成分(A)のポリマーにおいて、(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマー以外のモノマーを構成単位として含む場合は、全モノマーに対するモル比で10モル%未満であるのが好ましく、5モル%以下がより好ましく、1モル%以下がさらに好ましい。
【0020】
(a2)のモノマー(アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル)において、アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1~50であり、より好ましくは炭素数1~40であり、さらに好ましくは1~30である。
【0021】
(a3)のモノマー(アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル)において、ポリオキシエチレンの付加モル数は、好ましくは10~30であり、更に好ましくは12~25である。アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数12~22であり、更に好ましくは炭素数18~22である。(a3)のモノマーとしては、例えば、アクリル酸とポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルとのエステル、メタクリル酸とポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルとのエステル、アクリル酸とポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテルとのエステル及びメタクリル酸とポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテルとのエステルから選ばれる1種以上を含むことが特に好ましい。
【0022】
成分(A)のポリマーとしては、例えば、以下が挙げられる。
(a1)のモノマーを構成単位として含み、(a2)のモノマー及び(a3)のモノマーを構成単位として含まないポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、カルボキシビニルポリマー(架橋型ポリアクリル酸;カーボポール980、カーボポール981、カーボポールETD2050ポリマー、カーボポールUltrez10ポリマー(いずれもLubrizol Advanced Materials社製)として市販)、アクリル酸・メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。
【0023】
(a1)のモノマー及び(a2)のモノマーを構成単位として含み、(a3)のモノマーを構成単位に含まないコポリマーとしては、アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー;PEMULEN TR-1、PEMULEN TR-2、カーボポールETD2020(Lubrizol Advanced Materials社製))、アクリレーツコポリマー(アクリル酸(C1-4)アルキル、メタクリル酸(C1-4)アルキル、アクリル酸及びメタクリル酸の中の2種以上の成分からなるコポリマー;アキュリン33(ローム・アンド・ハース社製))、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー)コポリマー((メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー;アキュリン38(ローム・アンド・ハース社製))、(アクリル酸/アクリル酸ステアリル)コポリマー(特開2007-238549号に記載)、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー(STRUCTURE2001、STRUCTURE3001(アクゾ・ノーベル社製))等が挙げられる。
【0024】
(a1)のモノマー、(a2)のモノマー及び(a3)のモノマーを構成単位として含むコポリマーとしては、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー(アキュリン22(ローム・アンド・ハース社製))、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー(アキュリン28(ローム・アンド・ハース社製))、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー(アキュリン88(ローム・アンド・ハース社製))等が挙げられる。
【0025】
洗浄の速さ及び洗浄力を向上させ、拭き取り時のぬるつきと使用直後のべたつきを抑制しつつ、使用後の肌のさっぱり感を良好にし、かつ高温保存時でも乳化状態を維持する観点から、成分(A)は、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキルクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、(アクリル酸/アクリル酸ステアリル)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマーから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、アクリル酸・メタクリル酸アルキルクロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマーから選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、アクリル酸・メタクリル酸アルキルクロスポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマーから選ばれる1種以上を含むことがさらに好ましい。
【0026】
成分(A)は、(a1)のモノマー、(a2)のモノマー及び(a3)のモノマーから選ばれる1種、又はそれらを組み合わせて用いることができる。洗浄の速さ、コットンへの染み込み性及び洗浄力を向上させ、拭き取り時のぬるつきを抑制し、使用時の乳化保持性を良好にする観点から、成分(A)の含有量は、全組成中に0.003質量%以上であり、0.005質量%以上が好ましく、0.008質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.03質量%以上がさらに好ましく、また0.30質量%以下であり、0.25質量%以下が好ましく、0.18質量%以下がより好ましく、0.12質量%以下がさらに好ましく、0.08質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.003~0.3質量%が好ましく、0.005~0.25質量%がより好ましく、0.008~0.18質量%がさらに好ましく、0.01~0.12質量%がさらに好ましく、0.03~0.08質量%がさらに好ましい。
【0027】
本発明で用いられる成分(B)は油剤である。成分(B)は、特に限定されないが、メイク化粧料の洗浄に利用する場合、肌の微細な部分(しわ、毛穴、荒肌等)内やその上のメイク化粧料へのなじみ性に優れ、洗浄の速さ及び洗浄力を向上させる観点から、30℃における粘度が18mPa・s以下の油剤を含むことが好ましい。ここで、粘度は、BM型粘度計(トキメック社製、TVB-10型粘度計、測定条件:ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定したものである。特にウォータープルーフ・マスカラ等の落としにくいメイク化粧料の洗浄に利用する場合、メイク化粧料の溶解力に優れ、洗浄の速さ及び洗浄力をより向上させる観点から、成分(B)の30℃における粘度は、15mPa・s以下がより好ましく、10mPa・s以下がさらに好ましい。また、使用中のたれ落ちを抑制する観点から、1mPa・s以上が好ましい。
【0028】
30℃における粘度が18mPa・s以下の油剤としては、洗浄力を良好に維持しつつ、使用中のぬるつきを抑制し、使用直後の肌のべたつきを抑制し、使用後の肌のさっぱり感を向上させる観点から、成分(b1)の炭化水素油、成分(b2)のエーテル油、及び成分(b3)のシリコーン油から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、成分(b1)及び成分(b2)から選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、少なくとも成分(b1)を含むことがさらに好ましい。
【0029】
成分(b1)の30℃における粘度が18mPa・s以下の炭化水素としては、具体的には、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン等のイソパラフィン;イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。これらのうち、洗浄の速さ及び洗浄力の向上、使用後にさらっとした肌感触が得られる観点から、30℃における粘度が10mPa・s以下のものが好ましく、流動イソパラフィン、イソドデカン及びイソヘキサデカンから選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、イソドデカン及びイソヘキサデカンから選ばれる1種以上を含むことがさらに好ましい。
【0030】
成分(b1)の炭化水素油の含有量は、全組成中に1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、12質量%以上がさらに好ましく、また35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、全組成中に1~35質量%が好ましく、3~35質量%がより好ましく、5~35質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましく、12~25質量%がさらに好ましく、12~20質量%がさらに好ましい。
【0031】
成分(b2)の30℃における粘度が18mPa・s以下のエーテル油としては、拭き取り時に肌に滑らかな感触を与え、使用直後の肌のべたつきを抑制する観点から、ジアルキルエーテル油が好ましい。ジアルキルエーテルとして、特に炭素数2~18のアルキル基で構成されるものが好ましく、炭素数6~16以下のアルキル基で構成されるものがより好ましい。具体的には、ジラウリルエーテル、ジカプリリルエーテル及びセチル-1,3-ジメチルブチルエーテルが好ましく、洗浄の速さ及び洗浄力を向上させる観点から、ジカプリリルエーテルがより好ましい。
【0032】
成分(b2)の含有量は、全組成中に0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましい。
【0033】
成分(b3)の30℃における粘度が18mPa・s以下のシリコーン油としては、具体的には、粘度1.5mm2/s、2mm2/s、5mm2/s、10mm2/s等のジメチルポリシロキサン(PDMS);オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のジメチルシクロポリシロキサン;トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。これらのうち、洗浄後に素早く乾く感じが得られ、使用後の肌のさっぱり感を良好にする観点から、成分(b3)は粘度1.5mm2/s又は2mm2/sのジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン及びトリス(トリメチルシリル)メチルシランから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、粘度2mm2/sのジメチルポリシロキサンがより好ましい。
【0034】
成分(b3)の含有量は、全組成中に0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に0.5~30質量%が好ましく、1~25質量%がより好ましく、2~20質量%がさらに好ましい。
【0035】
成分(b1)、成分(b2)及び成分(b3)は、拭き取り時のぬるつき及び使用直後のべたつきを抑制し、使用後の肌のさっぱり感を向上させる観点から、その全部又は一部が肌に残りにくい揮発性の油剤であることが好ましい。なお、本発明における揮発性の油剤とは大気中で蒸発し、かつ、沸点300℃以下の油剤のことをさす。
【0036】
揮発性の油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでもよく、例えば、ジメチルポリシロキサン(1.5mm2/s)(沸点190℃)、ジメチルポリシロキサン(2mm2/s)(沸点230℃)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;トリス(トリメチルシリル)メチルシラン(沸点191℃)、テトラキス(トリメチルシリル)シラン(沸点267℃)等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン(沸点176℃)、デカメチルシクロペンタシロキサン(沸点210℃)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(沸点245℃)等の環状ジメチルシロキサン等の揮発性シリコーン油;イソドデカン(沸点177℃)、イソヘキサデカン(沸点210~250℃)、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン等の揮発性炭化水素油;ジカプリリルエーテル(沸点291℃)、ジラウリルエーテル(沸点190~195℃)等が挙げられる。特に、使用後の肌のさっぱり感が良好で、洗浄力に優れる観点から、沸点が150℃以上の炭化水素油、エーテル油及びシリコーン油から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、沸点が170℃以上の炭化水素油、エーテル油及びシリコーン油から選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、ジメチルポリシロキサン(2mm2/s)、イソドデカン、イソヘキサデカン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン及びジカプリリルエーテルから選ばれる1種以上を含むことがさらに好ましい。
【0037】
成分(b1)、成分(b2)及び成分(b3)中の揮発性の油剤の含有量は、拭き取り時のぬるつきを抑制し、使用直後のべとつきを抑制し、使用後の肌のさっぱり感を向上する観点から、成分(B)の合計量に対して30質量%以上が好ましく、60質量%以上が好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%以下が好ましい。
【0038】
本発明において、使用後の肌のしっとり感を向上させる観点から、前記成分(b1)、成分(b2)及び成分(b3)以外の油剤を含有することができる。成分(b1)、成分(b2)及び成分(b3)以外の油剤としては、エステル油、脂肪酸、高級アルコール(炭素数8以上)、フッ素油や、30℃における粘度が18mPa・sを超える炭化水素油、エーテル油やシリコーン油等が挙げられる。
【0039】
エステル油、脂肪酸、高級アルコール(炭素数8以上)、フッ素油、30℃における粘度が18mPa・sを超える炭化水素油、エーテル油やシリコーン油としては、ミリスチン酸イソプロピル(6.6mPa・s)、パルミチン酸イソプロピル(10mPa・s)、イソノナン酸イソノニル(9mPa・s)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(19mPa・s)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)ジグリセリル(26mPa・s)、ホホバ油(46mPa・s)、オリーブ油(90mPa・s)、流動パラフィン(22.5mPa・s)等が挙げられる。なお、括弧内は30℃における粘度を表す。
【0040】
成分(B)の油剤の含有量は、使用時の乳化保持性、洗浄の速さ、洗浄力、使用中のぬるつきのなさ、使用直後のべたつきのなさを向上させ、コットン等の拭き取り材への染み込み性を良好にする観点から、全組成中に5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、12質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に5~40質量%が好ましく、8~35質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましく、12~30質量%がさらに好ましく、12~25質量%がさらに好ましい。
【0041】
さらに洗浄の速さ及び洗浄力を向上させ、拭き取り時のぬるつき及び使用直後のべたつきを抑制する観点からは、成分(B)中の成分(b1)、成分(b2)及び成分(b3)の合計含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上がさらに好ましく、成分(B)が成分(b1)、成分(b2)及び成分(b3)からなることがさらに好ましい。
【0042】
本発明で用いる成分(C)は、ノニオン性界面活性剤である。本発明の多層型洗浄剤組成物は、成分(A)と成分(D)との共存により、ポリマーの水中での解離度が減少し、成分(A)が本来有する増粘効果が低下し、乳化安定性が著しく低下する傾向がある。そのため、上層である乳化層から油剤が分離しやすくなるが、成分(C)のノニオン性界面活性剤を用いることで、油剤の乳化層からの分離を抑制し、組成物を安定に維持することができる。また、成分(C)のノニオン性界面活性剤は、成分(A)のポリマー及び成分(D)の水溶性塩又は酸との相互作用により、粘度を低く抑えつつ、少量配合にもかかわらず油滴を安定に維持できるため、拭き取り材への染み込み性が向上し、組成物が肌の微細な部分内やその上のメイク化粧料まで素早く広がってなじみ、洗浄の速さに寄与しているものと考えられる。
【0043】
本発明で用いる成分(C)のノニオン界面活性剤としては、高温保存時の乳化保持性、使用後までの肌のさっぱり感の維持、洗浄の速さ及び洗浄力を向上させる観点から、HLBが2以上のものが好ましく、8以上のものがより好ましく、10以上のものがさらに好ましく、11以上のものがさらに好ましく、12以上のものがさらに好ましく、20以下のものが好ましく、18以下のものがより好ましく、16以下のものがさらに好ましく、14以下のものがさらに好ましく、13.8以下のものがさらに好ましい。また、HLB2~20のものが好ましく、HLB8~18のものがより好ましく、HLB10~16のものがさらに好ましく、HLB11~14のものがさらに好ましく、HLB12~13.8のものがさらに好ましい。
【0044】
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、ノニオン性界面活性剤については、グリフィン(GRIFFIN)の定義による、25℃におけるHLB値を意味する。グリフィンによるHLB値は、J.Soc.Cosm.Chem.,1954,5:249-256において定義されている。また、2種以上のノニオン性界面活性剤を用いる場合、HLBはそれら2種以上のノニオン性界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBである。混合界面活性剤のHLBは、次式のように、各ノニオン性界面活性剤のHLB値をその含有比率に基づいて相加算平均して求めることができる。
【0045】
混合界面活性剤のHLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、ノニオン性界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有するノニオン性界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0046】
成分(C)のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、(ポリ)アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0047】
これらのうち、皮膚や粘膜への刺激性が少なく、乳化保持性を向上させ、拭き取り時のさっぱり感を良好にする観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤を含むことが好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上ノニオン性界面活性剤を含むことがより好ましく、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤を含むことがさらに好ましい。
【0048】
成分(C)は、単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。成分(C)の含有量は、拭き取り時のぬるつきを抑制し、使用時の乳化保持性を維持しつつ、洗浄の速さに優れる観点から、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。油剤の放出性を阻害せず、洗浄力を維持する観点から、全組成中に1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下がさらに好ましく、0.45質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.01~1.5質量%が好ましく、0.05~1.0質量%がより好ましく、0.05~0.8質量%がさらに好ましく、0.1~0.45質量%がさらに好ましい。
【0049】
本発明で用いる成分(D)としては、成分(d1)水溶性塩及び成分(d2)酸から選ばれる1種以上が含まれる。成分(D)は、混合時の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む乳化物の粘度を低下させ、コットン等の拭き取り材に含浸しやすくする効果がある。これらのうち、成分(d1)よりも少量で乳化物の粘度を低下させてぬるつきが生じにくい観点から、成分(d2)の酸を用いることが好ましい。
【0050】
成分(D)のうち成分(d1)の水溶性塩とは、水に溶解性を有する塩であり、25℃で1質量%水溶液とした際に酸性又は中性となる塩が好ましい。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、EDTA2ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等が好適に挙げられる。
【0051】
成分(D)のうち成分(d2)の酸としては、有機酸又は無機酸が挙げられる。有機酸及び無機酸のいずれも使用することができるが、乳化物の防腐性能の観点から、有機酸が好ましく、ヒドロキシカルボン酸及びジカルボン酸から選ばれる1種以上がより好ましく、ジカルボン酸から選ばれる1種以上がさらに好ましい。ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントテン酸、クエン酸等が挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられる。
【0052】
成分(D)の含有量(成分(d1)及び成分(d2)の合計含有量)は、洗浄の速さの向上、洗浄力、拭き取り時のぬるつきの抑制、使用時の乳化保持性を良好にする観点から、全組成中に0.005質量%以上が好ましく、0.010質量%以上がより好ましく、0.012質量%以上がさらに好ましく、0.018質量%以上がさらに好ましく、0.9質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.7質量%以下がさらに好ましく、0.6質量%以下がさらに好ましい。また、全組成中に0.005~0.9質量%が好ましく、0.010~0.8質量%がより好ましく、0.012~0.7質量%がさらに好ましく、0.018~0.6質量%がさらに好ましい。
【0053】
成分(D)として成分(d1)の水溶性塩を用いる場合、成分(d1)としては、乳化物のゲル化を抑制し、使用時の乳化保持性を良好にし、肌のぬるつきを抑制する観点から、全組成中に0.03質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.08質量%以上がさらに好ましく、0.9質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.6質量%以下がさらに好ましい。また、全組成中に0.03~0.9質量%が好ましく、0.08~0.6質量%がさらに好ましい。
【0054】
成分(D)として成分(d2)の酸を用いる場合、成分(d2)としては、乳化物のゲル化を抑制し、使用時の乳化保持性を良好にし、肌のぬるつきを抑制する観点から、全組成中に0.012質量%以上が好ましく、0.013質量%以上がより好ましく、0.018質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.12質量%以下がさらに好ましい。また、全組成中に0.012~0.5質量%が好ましく、0.013~0.3質量%がより好ましく、0.018~0.12質量%がさらに好ましい。
【0055】
成分(D)として成分(d2)の酸を含む場合、混合時の乳化物の粘度の低下、コットン等の拭き取り材への良好な含浸のしやすさ、洗浄の速さの向上、洗浄力、肌に対する刺激の低減の観点から、本発明の組成物のpHを、3.0以上とすることが好ましく、4.0以上とすることがより好ましく、6.0以下とすることが好ましく、5.5以下とすることがより好ましい。成分(D)として成分(d2)の酸を含まない場合は、同様の観点から、本発明の組成物のpHを、4.0以上とすることが好ましく、5.0以上とすることがより好ましく、7.0以下とすることが好ましく、6.5以下とするのがより好ましい。なお、pHは30℃の恒温槽にて2時間以上試料を静置後、各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)直後(振とうを停止した後10秒後に測定を開始)にpHメーター(堀場製作所製、型番F-22)を用いて測定した値である。
【0056】
本発明で用いる成分(E)は水である。成分(E)としては、水道水、精製水(イオン交換樹脂濾過水等を含む)、温泉水、蒸留水(ローズ水やラベンダー水等の植物由来の水蒸気蒸留水を含む)、ミネラルウォーター等を使用することができ、これらの1種以上を用いることができる。成分(E)の水の含有量は、洗浄力を良好に維持しつつ、使用後の肌のさっぱり感を向上させる観点から、全組成中に25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上がさらに好ましく、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の水の含有量は、全組成中に25~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、35~85質量%がさらに好ましい。
【0057】
本発明の多層型洗浄剤組成物において、任意に成分(F)の粉体を含有することができる。成分(F)は、拭き取り後に肌上に残り、さらさらとした感触を持たせることが可能であり、その効果を持続させることができる。さらに美的外観及び/又は紫外線防御能を与えることもできる。なお、成分(F)の粉体は、好ましくは前記成分(E)の水、成分(B)の油剤、成分(G)のエタノール、成分(H)のポリオールのいずれにも溶解しないものである。
【0058】
成分(F)の粉体としては通常化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、無機粉末としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ(無水ケイ酸)、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオレット、ガラスビーズ、ゼオライト、パール顔料(ベンガラ被覆雲母、酸化チタン被膜雲母等)、及びこれらの複合体無機粉体等が挙げられる。有機粉体としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の有機粉体;シルクパウダー、麻繊維パウダー、セルロース又はその誘導体からなる粉体、デンプン又はその誘導体等の糖粉体等が挙げられる。これらは単独で用いてもいいし、2種以上の組合せで用いても良い。
【0059】
具体的には、SA-タルク SW特(三好化成社製)、タルクJA-46R(浅田製粉社製)等のタルク;シリカマイクロビードP-4000、シリカマイクロビードP-1505、シリカマイクロビードP-1500、HCS160M5、サティニアM5(以上、日揮触媒化成社製)、サンスフェアH-52、サンスフェアH-121、サンスフェアNP-30、サンスフェアNP-100、サンスフェアNP-200(以上、AGCエスアイテック社製)等のシリカ;A-11、A21-S、AB-25S(以上、ヤマグチマイカ社製)等のマイカ;KMP-599、KSP-100、KSP-105、KSP-300、X-52-1621(以上、信越化学工業社製);トスパール120A、トスパール145A(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、トレフィルE506S、トレフィルE508、BY29-129(以上、東レ・ダウコーニング社製)、ガンツパールSI-045C、ガンツパールSIG-070等のシリコーン樹脂粉体;ソフケアST((メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸Na)クロスポリマー、花王社製)、ガンツパールGMP-0800、ガンツパールGMP-0820(以上、アイカ工業社製)、マツモトマイクロスフェアーM-201、マツモトマイクロスフェアーM-305、マツモトマイクロスフェアーM312(以上、松本油脂製薬社製)等のアクリル樹脂粉体等の市販品が挙げられる。
【0060】
これらのうち、肌の滑りを向上させ、使用後のさらさら感を良好にする観点から、タルク、シリカ、マイカ、シリコーン樹脂粉体及びアクリル樹脂粉体から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、シリカ、シリコーン樹脂粉体及びアクリル樹脂粉体から選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、(メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸Na)クロスポリマー及びシリカから選ばれる1種以上を含むことがさらに好ましい。
【0061】
粉体の形状は特に限定されず、球状、棒状、紡錘状、針状、不定形状等のいずれでもよい。少量の粉体で肌の滑りを向上させ、使用後の肌のさらさら感を良好にする観点から、球状粉体が好ましい。なお、本発明において「球状」とは、走査型電子顕微鏡にて粉体の電子顕微鏡写真を撮り、粉体同士が重なっていない粉体の投影像が真円のもの、もしくは投影像の外接円を描かせ、外接円の半径の90%の半円を有する同心円と外接円との間に投影像の輪郭がすべて含まれる形状を有しているものである。
【0062】
成分(F)の粉体は、その表面を親水化処理、疎水化処理したものを用いることができる。親水化処理としては、例えば、シリカ処理、アルミナ処理、シリカ-アルミナ処理、アミノ酸処理、ポリアクリル酸処理等が挙げられる。疎水化処理としては、例えば、粉体表面に油脂を吸着させる油吸着法;水酸基等の官能基をエステル化又はエーテル化させる親油化処理法;脂肪酸の亜鉛塩やマグネシウム塩やアルミニウム塩を用いた金属石鹸処理法;ジメチルシロキサンやメチル水素シロキサン等のシリコーン化合物を用いたシリコーン処理法;パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物で処理するフッ素処理法等が挙げられる。本発明の多層型洗浄剤組成物には、親水化処理したものと疎水化処理したものの組合せを用いてもよい。
【0063】
本発明の多層型洗浄剤組成物は混合時にO/W型乳化物となるため、粉体の組成物中での分散性を向上させる観点から、水に分散しやすい親水性粉体が好ましい。親水性については以下の評価方法により、判断することができる。
【0064】
(親水性評価)
50mL容量のガラス瓶に、水10g、ヘキサン10g、及び粉体1gを添加し、蓋を閉め、手で軽くガラス瓶を振り水、ヘキサン及び粉体を混合する。その後、該ガラス瓶を超音波洗浄機(38kHz)で2分間超音波処理をし、その後5分間静置し、外観を目視にて観察する。水とヘキサンの界面を基準に、粉体が下側(水層)に存在する場合を親水性、上側(ヘキサン層)に存在する場合を疎水性と判断する。
【0065】
成分(F)の粉体が金属イオンを含む無機粉体等、比重が1より重い粉体の場合は、時間経過と共に粉体が底に沈降積層する。そのような粉体を配合する場合、底に沈降した粉体の再分散性向上と、使用後のさらさら感を良好にする観点から、成分(F)の粉体は粒子径の異なる粉体を組み合わせて含有することが好ましく、少なくとも粒子径が0.2μm以上10μm以下の粉体と粒子径が10μm超50μm以下の粉体を含有することが好ましく、少なくとも粒子径が2μm以上7μm以下の粉体と粒子径が15μm以上30μm以下の粉体を含有することがより好ましい。なお、本発明において、粒子径は体積基準粒子径の分布の最頻値であるモード径を意味し、体積基準粒子径の分布が多峰性を示す場合には、それぞれのピークの最頻値をそれぞれのモード径とする。
【0066】
また、前記の観点から、粒子径が10μm超50μm以下の粉体に対する粒子径が0.2μm以上10μm以下の範囲の粉体の体積比は、0.2以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。
【0067】
成分(F)の粉体の体積基準粒子径のメジアン径は、0.2μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。
【0068】
本発明において、体積基準粒子径の分布としては以下の方法で測定することができる。
(体積基準粒子径の測定)
粉体をイオン交換水により10質量%に希釈した水分散液を、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(Partica LA-920、堀場製作所社製)を用いて、屈折率:1.45、循環速度(目盛:5)、撹拌速度(目盛:5)の条件で測定した。溶媒としてはイオン交換水を用いた。
【0069】
成分(F)の粉体の含有量は、使用後のさらさらな肌感触と組成物の美的外観及び乳化安定性の観点から、全組成中に0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、20質量%以下であり、15質量%以下がより好ましく、12.5質量%以下が更により好ましい。また、全組成中に0.1~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、3~12.5質量%がさらに好ましい。
【0070】
成分(F)の比重が1より大きい場合、成分(A)に対する成分(F)の質量比[(F)/(A)]は、沈降した粉体の再分散性に優れ、使用後の肌のさらさら感を向上させる観点から、1以上が好ましく、10以上がより好ましく、50以上がさらに好ましく、1000以下が好ましく、700以下がより好ましく、さらに好ましくは500以下である。また、[(F)/(A)]は、1~1000が好ましく、10~700がより好ましく、50~500がさらに好ましい。
【0071】
使用後の肌をさっぱりとさせる観点から、本発明の多層型洗浄剤組成物において、任意に成分(G)のエタノールを含有することができる。
【0072】
成分(G)のエタノールを含有する場合の含有量は、拭き取り時の肌のぬるつきを抑制し、使用直後の肌のべたつきを抑制し、使用後の肌に清涼感を与える観点から、全組成中に0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、乳化安定性の観点から、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、成分(G)の含有量は全組成中に0.1~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましい。
【0073】
使用後の肌のしっとり感を向上させる観点から、本発明の多層型洗浄剤組成物は、さらに成分(H)のポリオールを含有することができる。ポリオールとしては、多価アルコールが挙げられ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等の2価アルコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、ポリグリセリン等の3価以上のアルコール(糖又は糖アルコールを除く);エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、マンノース、ガラクトース、ショ糖、フルクトース、マルトース、マルチトール、キシリトール、イノシトール、ソルビタン、ソルビトール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド等の糖又は糖アルコール等が挙げられる。これらのうち、使用直後の肌のべとつきを抑制し、使用後の肌のしっとり感を向上させる観点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、ポリオキシエチレンメチルグリコシド及びマルチトールから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ポリオキシエチレンメチルグリコシド及び1,3-ブチレングリコールから選ばれる1種以上がより好ましく、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール、及びポリオキシエチレンメチルグリコシドから選ばれる1種以上がさらに好ましい。
【0074】
成分(H)のポリオールは、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。拭き取り時のぬるつきを抑制し、使用直後のべとつきを抑制させる観点から、成分(H)のポリオールを含有する場合の含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、成分(H)の含有量は、全組成中に0.1質量%~20質量%が好ましく、0.5質量%~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
【0075】
成分(B)に対する成分(A)の質量比[(A)/(B)]は、洗浄の速さ、洗浄力、コットンへの染み込み性を向上させ、拭き取り時のぬるつきと使用後のべたつきを抑制し、使用後のさっぱり感を良好にし、使用時の乳化保持性を良好にする観点から、好ましくは、0.0001以上であって、0.0005以上がより好ましく、0.001以上がさらに好ましく、0.01以下が好ましく、0.008以下がより好ましく、0.007以下がさらに好ましい。また、[(A)/(B)]は、0.0001~0.01が好ましく、0.0005~0.008がより好ましく、0.001~0.007がさらに好ましい。
【0076】
成分(C)に対する成分(A)の質量比[(A)/(C)]は、洗浄の速さ、洗浄力を向上させ、拭き取り時のぬるつき、使用後のべたつきを抑制し、使用後の優れた皮膚のさっぱり感を提供し、使用時の乳化保持性を良好にする観点から、0.001以上が好ましく、0.005以上がさらに好ましく、0.01以上がさらに好ましく、0.03以上がさらに好ましく、0.08以上がさらに好ましく、0.15以上がさらに好ましく、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましく、0.7以下がさらに好ましい。また、[(A)/(C)]は、0.001~2.0が好ましく、0.005~2.0がより好ましく、0.01~1.5がさらに好ましく、0.03~1.5がさらに好ましく、0.08~1.0がさらに好ましく、0.15~0.7がさらに好ましい。
【0077】
成分(D)に対する成分(A)の質量比[(A)/(D)]は、成分(A)の凝集を抑制しつつ、コットンへの染み込み性、洗浄の速さ、洗浄力を向上させ、拭き取り時のぬるつきと使用後のべたつきを抑制し、使用後の肌のさっぱり感を良好にし、使用時の乳化保持性を良好にする観点から、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましく、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、また、[(A)/(D)]は、0.05~20が好ましく、0.1~10がより好ましく、0.2~5がさらに好ましい。
【0078】
成分(D)に対する成分(C)の質量比[(C)/(D)]は、洗浄の速さ及び洗浄力を向上させ、コットンへの染み込み性を向上させ、拭き取り時のぬるつき及び使用後のべたつきを抑制し、使用後の肌のさっぱり感を良好にし、使用時の乳化保持性を良好にする観点から、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、7以下がさらに好ましい。また、[(C)/(D)]は、0.2~30が好ましく、0.3~20がより好ましく、0.4~15がさらに好ましく、0.4~7がさらに好ましい。
【0079】
本発明の多層型洗浄剤組成物は、前記成分以外に、通常の洗浄剤組成物に用いられる成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有することができる。例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、殺菌剤、抗炎症剤、制汗剤、防腐剤、キレート剤、塩類、パール化剤、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。なお、これらの任意成分は、本来の用途に限られず、目的に応じて他の用途(例えば、制汗剤を香料として使用すること)や、他の用途との併用(例えば、制汗剤と香料としての効果を奏する)のために使用することができる。
【0080】
使用後の肌のさっぱり感を良好にする観点から、本発明の多層型洗浄剤組成物中にアニオン界面活性剤を含有することができる。洗浄力を良好に維持し、皮膚への刺激性を抑える観点から、アニオン界面活性剤の含有量は、全組成中に1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましく、0質量%がさらに好ましい。
【0081】
使用後の肌のしっとり感を向上させる観点から、本発明の多層型洗浄剤組成物中にカチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有することができる。洗浄力を良好に維持し、拭き取り時のぬるつき及び使用直後のべたつきを抑える観点から、カチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤の含有量はこれらの合計として、全組成中に1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましく、0質量%がさらに好ましい。
【0082】
耐光性を向上させる観点から、本発明の多層型洗浄剤組成物中に紫外線吸収剤を含有することができる。洗浄力を良好に維持し、使用後の肌のさっぱり感を向上させる観点から、紫外線吸収剤の含有量は、全組成中に1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。
【0083】
本発明の多層型洗浄剤組成物を製造するにあたり、成分(A)のポリマーが中和して増粘するタイプのポリマーである場合、成分(A)のポリマーを成分(E)の水に分散した後に、成分(K)のアルカリ性中和剤を添加することが好ましい。本発明においては、アルカリ性中和剤とは、他の物質から陽子を受け取ることのできる物質(プロトン受容体)を意味する。成分(E)の水に成分(A)を分散した後に、成分(K)を添加することによって、成分(A)のポリマーによる水和ゲルが増粘される。増粘される際に、成分(B)の油剤が水和ゲル中に捉えられ、油剤が粗く乳化される。
【0084】
成分(A)のポリマーのうち、中和して増粘するタイプのポリマーとしては、(a1)のモノマーを構成単位として含むポリマーが挙げられる。(a1)のモノマーを構成単位として含むポリマーは、前記の通りである。
【0085】
成分(K)のアルカリ性中和剤としては、無機アルカリ化合物や有機アミン化合物、また塩基性アミノ酸が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物のほか、(モノ、ジ、トリ)エタノールアミン、(モノ、ジ、トリ)イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール等の有機アミン化合物、アルギニン、リジン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。これらのうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及びアルギニンから選ばれる1種以上を含むことが好ましい。成分(K)のアルカリ性中和剤の含有量は、成分(A)のポリマーが性能を発揮するに必要量あればよく、好ましくは中和率が0.3~1.2となる量、より好ましくは中和率が0.4~1.1となる量である。
【0086】
(製造方法)
本発明の多層型洗浄剤組成物は、通常の方法により、各成分を混合することにより、製造することができる。常温で固体の原料を含む場合は、常温で固体の原料を加熱溶融又は他の成分に溶解した後に、全成分を均一に混合することにより、製造することができる。
【0087】
成分(A)のポリマー、成分(B)の油剤、成分(E)の水と混合することで、成分(A)が油-水界面に吸着し、油滴の合一を防ぐ吸着層を形成し、油滴が安定化される。しかしながら、このように成分(A)で乳化された状態は、粘度が比較的高くなりやすく、コットン等の拭き取り材に含浸しにくい場合がある。しかし、成分(D)(成分(d1)水溶性塩又は(d2)酸)を加えると、水和ゲルの形成が阻害され、粘度を低下することができるが、ポリマーが凝集してしまい、油滴中から油剤が溶出してしまう場合がある。そこで、本発明においては、成分(D)を加える前、予め成分(A)で乳化した乳化物に成分(C)のノニオン性界面活性剤を加えることで、ポリマーが粗く油剤を乳化した状態を維持され、つつ、成分(D)を加えた後のポリマーの凝集を抑えることができる。拭き取り時に油剤を放出して高いメイク化粧料の洗浄力を発揮できる。
【0088】
成分(A)のポリマーが中和して増粘するタイプのポリマーの場合、少なくとも成分(A)はアクリル酸又はメタクリル酸等のカルボン酸を含む。これらのポリマーは、成分(E)の水と混合した状態で、成分(K)のアルカリ性中和剤を用いて中和することで、カルボキシ基による水和ゲルを形成し、その結果増粘される。増粘される際に、成分(B)の油剤が共存する場合、水和ゲル中に油剤が捉えられ、油剤を粗く乳化することができる。しかしながら、このように成分(A)で乳化された状態は、粘度が比較的高くなりやすく、コットン等の拭き取り材に含浸しにくい場合があるため、前述した製造方法と同様に、成分(D)を加える前、予め成分(A)で乳化した乳化物に成分(C)のノニオン性界面活性剤を加えることで、ポリマーが粗く油剤を乳化した状態を維持しつつ、成分(D)を加えた後のポリマーの凝集を抑えることができる。拭き取りの際、本組成物は油剤を放出して高いメイク化粧料の洗浄力を発揮できる。
【0089】
具体的な製造方法としては、まず、成分(A)のポリマー、成分(B)の油剤、成分(E)の水、及び必要に応じて成分(K)のアルカリ性中和剤を加えて中和、さらに必要に応じてその他の任意成分を加えて混合物1を得ることができる。次に、混合物1に成分(C)のノニオン性界面活性剤、必要に応じて成分(C)以外の界面活性剤を加えて混合物2を得ることができる。混合物2と成分(C)を混合することにより、油滴の凝集を抑制することができる。続いて、混合物2に、成分(D)(成分(d1)の水溶性塩又は(d2)の酸)を加えて本発明の組成物を得ることができる。得られた組成物は、油滴を維持したまま低粘度化を達成し、コットン等の拭き取り材への浸透性に優れ、さらに良好な洗浄効果及び使用感を実現することができる。
【0090】
本発明の多層型洗浄剤組成物の製造方法は、より具体的には、
(工程1)成分(A)、成分(B)及び成分(E)、必要に応じて成分(K)アルカリ性中和剤を加えて中和、さらに必要に応じてその他の任意成分を加えて混合物1を得る工程、
(工程2)混合物1に成分(C)、必要に応じて成分(C)以外の界面活性剤を加えて混合物2を得る工程、及び
(工程3)混合物2に成分(D)を加える工程、
を含む。
【0091】
(粘度)
本発明の多層型洗浄剤組成物の15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)直後(振とうを停止した後10秒後に測定を開始)の30℃における粘度は100mPa・s未満である。粘度の測定条件は以下の通りである。撹拌直後の30℃における粘度としては、使用時の組成物の手からのたれ落ちを抑制し、コットンへの染み込み性を良好にする観点から、好ましくは50mPa・s以下であり、より好ましくは30mPa・s以下であり、さらに好ましくは25mPa・s以下である。また、好ましくは1mPa・s以上であり、より好ましくは3mPa・s以上であり、さらに好ましくは5mPa・s以上である。1~50mPa・sが好ましく、3~30mPa・sがより好ましく、5~25mPa・sがさらに好ましい。
【0092】
(層)
本多層型洗浄剤組成物は、静置した状態においては、乳化層と水層を含む少なくとも2層に分離している。多層型洗浄剤組成物は3層以上の多層型洗浄剤組成物であってもよい。例えば、成分(F)の粉体を配合し、乳化層、水層及び粉体層の3層に分離した形態としてもよい。乳化層と相溶性のない油剤(例えば、パーフルオロポリメチルイソプロピル等のフッ素系油剤)をさらに含有させ、乳化層、水層及び油層の3層に分離した形態としてもよい。また、各層には顔料及び/又は染料等を加え、着色することで、美感を高めることができ、ユーザがさらに混合時の色の変化を楽しむこともできる。美的観点の点から、試料を長期静置した際においても、外観評価が24時間静置時から変化しないことが好ましい。
【0093】
(使用方法)
本発明の多層型洗浄剤組成物は、ユーザの使用時に混合して、均一な乳化状態にしてから使用することができる。混合手段として、例えば、数回振とう混合する手段が挙げられる。具体的には、多層型洗浄剤組成物が入った容器を手に握り、15cmの幅で、1~15回、好ましくは1~10回、より好ましくは1~5回振り混ぜることで、静置時には分離していた洗浄剤組成物を均一に乳化させることができる。本発明においては、得られた乳化物はO/W型エマルジョンとなる。内容物を効率的に混合するように、本発明の多層型洗浄剤組成物を含む容器は、容器内に全容器体積の3~10%のヘッドスペースを設けることが好ましい。特に成分(F)の粉体のうち、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の比重が1より重く、下層に堆積するものを含有する場合、振とうしても均一に再分散しにくくなり、使用後の肌のさらさら感が低下する場合がある。したがって、本発明の多層型洗浄剤組成物を含む容器には、内容物を物理的に混合することができるように撹拌用部材が収容されていることが好ましい。撹拌用部材としては、金属球(ステンレスボール等)、撹拌棒や撹拌羽根が挙げられ、製造の容易さの観点から、金属球が好適に用いられる。
【0094】
ユーザが本発明の多層型洗浄剤組成物を使用する際には、前記撹拌操作をした後、ユーザが本発明の多層型洗浄剤組成物を使用している間(例えば、1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上)は、乳化状態(すなわち、均一状態)が維持される。さらに、所定時間(例えば、3日以内、好ましくは2日以内、より好ましくは1日以内)経過すると、再び多層(乳化層から水層が分離しクリーミングした状態)に分離した状態に戻る。
【0095】
本発明の多層型洗浄剤組成物の適用部位としては、皮膚、好ましくは頭皮を除く皮膚、より好ましくは顔、身体、手足等のいずれかの部位、さらに好ましくは顔に使用することができる。本発明の多層型洗浄剤組成物は、洗顔料、クレンジング剤等として好適であり、クレンジング剤として用いることがより好ましい。特に顔に塗布されたメイク化粧料(ファンデーション、マスカラ、アイシャドウ、日焼け止め、口紅等)をクレンジングするメイクアップ・リムーバーとして用いるのが好ましい。好ましくは、本発明の多層型洗浄剤組成物は拭き取り型のメイクアップ・リムーバーである。
【0096】
本発明の多層型洗浄剤組成物の使用態様としては、例えば、最初に、均一に混合する。そして、第一の態様において、組成物に含浸した拭き取り材(例えば、コットン、ガーゼ、織布、不織布、パフ、ティシュペーパー)を、メイク化粧を施された目的の部位(化粧肌)を拭き取って、肌からメイク化粧料を除去することができる。第二の態様において、組成物を手で目的の部位に塗布して、拭き取り材で肌を拭き取ることによってメイク化粧料を除去することができる。第三の態様において、組成物を手で皮膚に塗布して肌を洗い流すことができる。第四の態様において、拭き取り材に含浸した組成物を肌に塗布してその肌を洗い流すことができる。第五の態様において、第一又は第二の態様に記載したように肌を拭き取ることができる。第六の態様において、組成物に含侵したシートで肌を拭き取ることができる。あるいは、前記組成物を手に取り、化粧肌等の適用部位になじませた後、拭き取り材で拭き取ることでメイク化粧料等を肌から除去することができる。
【0097】
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の<1>~<53>を開示する。
【0098】
<1> 下記成分(A)~(E)を含有する多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを含むポリマー 0.003~0.3質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)油剤 5~40質量%、
(C)ノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d1)水溶性塩及び(d2)酸から選ばれる1種以上 0.005~0.9質量%、並びに
(E)水。
【0099】
<2> 30℃における振とう直後の粘度が100mPa・s未満であり、好ましくは50mPa・s以下であり、より好ましくは30mPa・s以下であり、さらに好ましくは25mPa・s以下であり、好ましくは1mPa・s以上であり、より好ましくは3mPa・s以上であり、さらに好ましくは5mPa・s以上であり、また、1~50mPa・sが好ましく、3~30mPa・sがより好ましく、5~25mPa・sがさらに好ましい前項<1>記載の多層型洗浄剤組成物。
【0100】
<3> 成分(A)が、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキルクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、(アクリル酸/アクリル酸ステアリル)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマーから選択される1以上を含む<1>又は<2>記載の多層型洗浄剤組成物。
【0101】
<4> 成分(A)が、アクリル酸・メタクリル酸アルキルクロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマーから選択される1以上を含む前項<1>~<3>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0102】
<5> 成分(A)の含有量が、全組成中に0.003質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.008質量%以上がさらに好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.03質量%以上がさらに好ましく、0.3質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.18質量%以下がさらに好ましく、0.12質量%以下がさらに好ましく、0.08質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に0.003~0.3質量%が好ましく、0.005~0.25質量%がより好ましく、0.008~0.18質量%がさらに好ましく、0.01~0.12質量%がさらに好ましく、0.03~0.08質量%がさらに好ましい前項<1>~<4>のいずれか1記載の多層型洗浄剤組成物。
【0103】
<6> 成分(B)の含有量が、全組成中に5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、12質量%以上がさらに好ましく、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に5~40質量%が好ましく、8~35質量%がより好ましく、12~30質量%がさらに好ましい、前項<1>~<5>のいずれか1記載の多層型洗浄剤組成物。
【0104】
<7> 成分(B)が成分(b1)の炭化水素油を含み、成分(b1)の炭化水素油が、好ましくは、30℃における粘度が10mPa・s以下のものであって、流動イソパラフィン、イソドデカン及びイソヘキサデカンから選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、イソドデカン及びイソヘキサデカンから選ばれる1種以上を含むことがさらに好ましい前項<1>~<6>のいずれか1記載の多層型洗浄剤組成物。
【0105】
<8> 成分(b1)の炭化水素油の含有量が、全組成中に1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に1~30質量%が好ましく、3~25質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい前項<7>記載の多層型洗浄剤組成物。
【0106】
<9> 成分(B)が成分(b2)のエーテル油を含み、成分(b2)のエーテル油が、好ましくは、ジアルキルエーテル油であって、炭素数2~18のアルキル基で構成されるものがより好ましく、炭素数6~16のアルキル基で構成されるのがさらに好ましい前項<1>~<8>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0107】
<10> 成分(b2)のエーテル油が、好ましくはジラウリルエーテル、ジカプリリルエーテル又はセチル-1,3-ジメチルブチルエーテルであって、ジカプリリルエーテルがより好ましい前項<9>記載の多層型洗浄剤組成物。
【0108】
<11> 成分(b2)のエーテル油の含有量が、全組成中に0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましい前項<9>又は<10>記載の多層型洗浄剤組成物。
【0109】
<12> 成分(B)が成分(b3)のシリコーン油を含み、成分(b3)のシリコーン油が、好ましくは粘度1.5mm2/s又は2mm2/sのジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン又はトリス(トリメチルシリル)メチルシランであって、粘度2mm2/sのジメチルポリシロキサンがより好ましい前項<1>~<11>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0110】
<13> 成分(b3)のシリコーン油の含有量が、全組成中に0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に0.5~30質量%が好ましく、1~25質量%がより好ましく、2~20質量%がさらに好ましい前項<12>記載の多層型洗浄剤組成物。
【0111】
<14> 成分(b1)、成分(b2)及び成分(b3)中の揮発性の油剤の含有量が、成分(b1)、成分(b2)及び成分(b3)の合計含有量に対して30質量%以上が好ましく、60質量%以上が好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%以下が好ましい前項<1>~<13>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0112】
<15> 成分(C)のノニオン界面活性剤が、HLBが2以上のものが好ましく、8以上のものがより好ましく、10以上のものがさらに好ましく、11以上のものがさらに好ましく、12以上のものがさらに好ましく、20以下のものが好ましく、18以下のものがより好ましく、16以下のものがさらに好ましく、14以下のものがさらに好ましく、13.8以下のものがさらに好ましく、また、HLB2~20のものが好ましく、HLB8~18のものがより好ましく、10~16のものがさらに好ましく、11~14のものがさらに好ましく、12~13.8のものがさらに好ましい前項<1>~<14>のいずれか1記載の多層型洗浄剤組成物。
【0113】
<16> 成分(C)のノニオン界面活性剤の含有量が、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下がさらに好ましく、0.4質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に0.01~1.5質量%が好ましく、0.05~1.0質量%がより好ましく、0.05~0.8質量%がさらに好ましく、0.1~0.4質量%がさらに好ましい前項<1>~<15>のいずれか1記載の多層型洗浄剤組成物。
【0114】
<17> 成分(D)が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、EDTA2ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、及びリン酸二水素カリウムからなる群より選ばれる(d1)水溶性塩である前項<1>~<16>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0115】
<18> 成分(D)がヒドロキシカルボン酸及びジカルボン酸からなる群より選ばれる前項<1>~<16>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0116】
<19> 成分(D)が、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントテン酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸からなる群より選ばれる前項<1>~<16>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0117】
<20> 成分(D)の含有量(成分(d1)と成分(d2)の合計量)が、全組成中に0.005質量%以上が好ましく、0.010質量%以上がより好ましく、0.012質量%以上がさらに好ましく、0.018質量%以上がさらに好ましく、0.9質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.7質量%以下がさらに好ましく、0.6質量%以下がさらに好ましく、また、成分(D)の含有量が0.005~0.9質量%が好ましく、0.010~0.8質量%がより好ましく、0.012~0.7質量%がさらに好ましく、0.018~0.6質量%がさらに好ましい、前項<1>~<19>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0118】
<21> 成分(E)の水の含有量が、全組成中に25質量%以上が好ましく、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましく、また、全組成中に25~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、35~85質量%がさらに好ましい前項<1>~<20>のいずれか1記載の多層型洗浄剤組成物。
【0119】
<22> さらに成分(F)の粉体を含有し、成分(F)の含有量が、全組成中に0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、12.5質量%以下がより好ましく、また、全組成中に0.1~20質量%であり、1~15質量%が好ましく、3~12.5質量%がより好ましい、前項<1>~<21>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0120】
<23> さらに成分(G)のエタノールを含有し、成分(G)のエタノールの含有量が、全組成中に0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、また、全組成中に0.1~20質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、2~10質量%がさらに好ましい、前項<1>~<22>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0121】
<24> さらに、成分(H)のポリオールを含有する前項<1>~<23>のいずれか1記載の多層型洗浄剤組成物。
【0122】
<25> 成分(H)が、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド及びマルチトールから選ばれる1種以上であり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド及び1,3-ブチレングリコールから選ばれる1種以上がより好ましく、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール、及びポリオキシエチレンメチルグルコシドから選ばれる1種以上がさらに好ましく、1,3-ブチレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種以上がさらに好ましい、前項<24>記載の多層型洗浄剤組成物。
【0123】
<26> 成分(H)のポリオールの含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい、前項<24>又は<25>記載の多層型洗浄剤組成物。また、成分(H)のポリオールの含有量は、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
【0124】
<27> 成分(B)に対する成分(A)の質量比[(A)/(B)]が、0.0001以上であって、0.0005以上がより好ましく、0.001以上がさらに好ましく、0.01以下が好ましく、0.008以下がより好ましく、0.0075以下がさらに好ましく、[(A)/(B)]が、0.0001~0.01が好ましく、0.0005~0.008がより好ましく、0.001~0.0075がさらに好ましい、前項<1>~<26>のいずれか1記載の多層型洗浄剤組成物。
【0125】
<28> 成分(C)に対する成分(A)の質量比[(A)/(C)]が、0.001以上が好ましく、0.005以上がさらに好ましく、0.01以上がさらに好ましく、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましく、[(A)/(C)]が、0.001~2.0が好ましく、0.005~1.5がより好ましく、0.01~1.0がさらに好ましい、前項<1>~<27>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0126】
<29> 成分(D)に対する成分(A)の質量比[(A)/(D)]が、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましく、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、成分(D)に対する成分(A)の質量比[(A)/(D)]が、0.05~20が好ましく、0.1~10がより好ましく、0.2~5がさらに好ましい、前項<1>~<28>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0127】
<30> 成分(D)に対する成分(C)の質量比[(C)/(D)]が、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、7以下がさらに好ましく、成分(D)に対する成分(C)の質量比[(C)/(D)]が、0.2~30が好ましく、0.3~20がより好ましく、0.4~15がさらに好ましく、0.4~7がさらに好ましい、前項<1>~<29>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0128】
<31> 成分(A)に対する成分(F)の質量比[(F)/(A)]が、1以上が好ましく、10以上がより好ましく、50以上がさらに好ましく、1000以下が好ましく、700以下がより好ましく、500以下がさらに好ましく、1~1000が好ましく、10~700がより好ましく、50~500がさらに好ましい、前項<1>~<30>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0129】
<32> さらに、成分(K)のアルカリ性中和剤を含有し、成分(K)のアルカリ性中和剤を含有量が、成分(A)のポリマーの中和率が0.3~1.2となる量、より好ましくは中和率が0.4~1.1となる量である、前項<1>~<31>のいずれか1項記載の多層型洗浄剤組成物。
【0130】
<33> 組成物を均一に混合する第一の工程、及び以下から選択される第二の工程を含む、前項<1>~<32>の多層型洗浄剤組成物を使用する方法。
(1)組成物を拭き取り材に含浸して肌を拭き取る、
(2)手で組成物を肌に塗布した後拭き取り材で拭き取る、
(3)手で組成物を肌に塗布した後洗い流す、
(4)組成物を拭き取り材に含浸して肌を拭き取り後肌を洗い流す、
(5)上記のいずれかの方法で肌を拭き取り後肌を洗い流す、又は
(6)組成物に含浸させたシートで肌を拭き取る。
【0131】
<34> (工程1)成分(A)、成分(B)及び成分(E)に成分(K)アルカリ性中和剤を加えて中和して混合物1を得る工程、
(工程2)混合物1に成分(C)を加えて混合物2を得る工程、及び
(工程3)混合物2に成分(D)を加える工程
を有する、前項<1>記載の多層型洗浄剤組成物の製造方法。
【0132】
<35> 下記成分(A)~(E)を含有する多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを含み、構成単位として少なくとも(a1)を含むポリマー 0.008~0.18質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)30℃で1mPa・s以上18mPa・s以下の粘度を有する油剤 12~30質量%、
(C)HLBが8~18であるノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d1)水溶性塩及び(d2)酸から選ばれる1種以上 0.005~0.9質量%、並びに
(E)水。
【0133】
<36> 下記成分(A)~(E)を含有する多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを含み、構成単位として少なくとも(a1)を含むポリマー 0.008~0.18質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)30℃で1mPa・s以上18mPa・s以下の粘度を有する油剤 12~30質量%、
(C)HLBが8~18であるノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d1)水溶性塩 0.08~0.6質量%、並びに
(E)水。
【0134】
<37> 下記成分(A)~(E)を含有する多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを含み、構成単位として少なくとも(a1)を含むポリマー 0.008~0.18質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)30℃で1mPa・s以上18mPa・s以下の粘度を有する油剤 12~30質量%、
(C)HLBが8~18であるノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d2)酸 0.013~0.3質量%、並びに
(E)水。
【0135】
<38> 下記成分(A)~(E)を含有する多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを含み、構成単位として少なくとも(a1)を含むポリマー 0.008~0.18質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)30℃で1mPa・s以上18mPa・s以下の粘度を有する油剤 12~30質量%、
(C)HLBが8~18であるノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d1)水溶性塩及び(d2)酸から選ばれる1種以上 0.005~0.9質量%、
(E)水、並びに
(F)粉体 1~15質量%。
【0136】
<39> 下記成分(A)~(E)を含有する多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを含み、構成単位として少なくとも(a1)を含むポリマー 0.008~0.18質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)30℃で1mPa・s以上18mPa・s以下の粘度を有する油剤 12~30質量%、
(C)HLBが8~18であるノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d1)水溶性塩及び(d2)酸から選ばれる1種以上 0.08~0.6質量%、
(E)水、並びに
(F)粉体 1~15質量%。
【0137】
<40> 下記成分(A)~(E)を含有する多層型洗浄剤組成物。
(A)(a1)、(a2)及び(a3)から選ばれるモノマーを含み、構成単位として少なくとも(a1)を含むポリマー 0.008~0.18質量%、
(a1)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマー、
(a2)アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー及び
(a3)アクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステル及びメタクリル酸のポリオキシエチレンアルキルエステルから選ばれるモノマー、
(B)30℃で1mPa・s以上18mPa・s以下の粘度を有する油剤 12~30質量%、
(C)HLBが8~18であるノニオン性界面活性剤 0.01~1.5質量%、
(D)(d2)酸 0.013~0.3質量%、
(E)水、並びに
(F)粉体 1~15質量%。
【0138】
<41> 成分(A)がカルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキルクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、(アクリル酸/アクリル酸ステアリル)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマーから選択される1以上であり、より好ましくはアクリル酸・メタクリル酸アルキルクロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマーから選択される1以上である<35>~<40>のいずれか1項に記載の多層型洗浄組成物。
【0139】
<42> 成分(A)がアクリル酸・メタクリル酸アルキルクロスポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマーから選択される1種以上である<35>~<40>のいずれか1項に記載の多層型洗浄組成物。
【0140】
<43> (b1)炭化水素油、(b2)エーテル油及び(b3)シリコーン油から選択される1種以上を含む成分(B)において、成分(b1)、(b2)及び(b3)の合計量が90質量%以上100質量%以下である<35>~<42>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0141】
<44> 成分(B)が成分(b1)炭化水素油、(b2)エーテル油及び(b3)シリコーン油からなる<35>~<42>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0142】
<45> (b1)炭化水素油、(b2)エーテル油及び(b3)シリコーン油から選択される1種以上を含む成分(B)において、成分(b1)、(b2)及び(b3)の合計量が90質量%以上100質量%以下であり、成分(b1)、(b2)及び(b3)における揮発油の含有量が60質量%以上100質量%以下である<35>~<42>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0143】
<46> 成分(B)が成分(b1)炭化水素油、成分(b2)エーテル油及び成分(b3)シリコーン油からなり、成分(b1)、(b2)及び(b3)における揮発油の含有量が60質量%以上100質量%以下である<35>~<42>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0144】
<47> 成分(B)が成分(b1)炭化水素油、成分(b2)エーテル油及び成分(b3)シリコーン油から選択される1以上を含み、成分(B)中の成分(b1)、(b2)及び(b3)の合計量が90質量%以上100質量%以下であり、成分(b1)、(b2)及び(b3)における揮発油の含有量が90質量%以上100質量%以下である<35>~<42>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0145】
<48> 成分(B)が成分(b1)炭化水素油、(b2)エーテル油、(b3)シリコーン油からなり、成分(b1)、(b2)及び(b3)中の揮発性油の含有量が90質量%以上100質量%以下である<35>~<42>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0146】
<49> 揮発油がジメチルポリシロキサン(1.5mm2/s)、ジメチルポリシロキサン(2mm2/s)、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、軽質液体イソパラフィン、液体イソパラフィン、ジカプリリルエーテル及びジラウリルエーテルから選択される1以上である<47>~<48>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0147】
<50> 揮発油がジメチルポリシロキサン(2mm2/s)、イソドデカン、イソヘキサデカン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン及びジカプリリルエーテルから選択される1以上である<47>~<48>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0148】
<51> 振とう直後の30℃での組成物の粘度が1~50mPa・sである<35>~<51>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0149】
<52> 振とう直後の30℃での組成物の粘度が3~30mPa・sである<35>~<51>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【0150】
<53> 振とう直後の30℃での組成物の粘度が5~25mPa・sである<35>~<51>のいずれか1項に記載の多層型洗浄剤組成物。
【実施例】
【0151】
本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0152】
実施例1~58、比較例1~11
表1~9に示す組成の試料を製造し、(1)粘度、(2)外観評価(25℃で24時間静置後)、(3)コットンへの染み込み性、(4)ウォータープルーフ・マスカラの洗浄の速さ、(5)ウォータープルーフ・マスカラの洗浄力、(6―1)拭き取り時のぬるつきのなさ、(6-2)使用後のべたつきのなさ、(7)使用後のさっぱり感及び(8)使用時の乳化保持性について、評価を行った。なお、表4に示す組成の試料はさらに(13)外観評価(50℃で1か月静置後)を、表7に示す組成の試料はさらに(10)沈殿した粉体の再分散性及び(11)使用後の肌のさらさら感を、表8に示す組成の試料はさらに(11)使用後の肌のさらさら感及び(12)使用後の清涼感を、表9に示す組成の試料はさらに(9)しっとり感の評価を行った。試料の処方及び評価結果をあわせて表1~9に示す。
【0153】
(製造方法)
(1)25℃にて成分(A)、成分(B)及び成分(E)均一に混合して、調製物Aを得た。
(2)調製物Aに、水酸化カリウム(48%水溶液)を加えて中和し、均一に混合して、調製物Bを得た。
(3)調製物Bに成分(C)を加えて、均一に混合し、調製物Cを得た。
(4)調製物Cに成分(D)を加えて、均一に混合し、調製物Dを得た。
(5)調製物Dをガラス瓶(規格瓶No.5K、容量50mL、胴径38mm、高さ68.5mm、口内径24.7mm)に45mL入れ、各試料を得た。
【0154】
(評価方法)
(1)粘度
30℃の恒温槽にて直立に2時間以上静置した、各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)直後(振とうを停止した後10秒後に測定を開始)に各試料の粘度を測定した。
【0155】
各試料の粘度は、B型粘度計(粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)を用い、ローターNo.M1、60回転/分、1分間、30℃にて測定した。粘度が100mPa・s以上の場合は、30回転/分とした。なお、1分以内に層分離が生じ、混合時の粘度が測定できなかったものは、粘度を測定せずに、「-」で表す。
【0156】
(2)室温(25℃)で24時間保管後の外観(静置時)
各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、24時間室温(25℃)にて直立に静置した。外観を目視にて観察し、層分離状態について評価した。「3層」は、3層に分離していることを表し、「2層」は、2層に分離していることを表し、「1層」は均一な液であることを表す。カッコ内の表記は、層分離の詳細な状態を表し、Wは水層、Oは油層、Pは粉体層を表し、O/Wは水中油型乳液層、左側に記載されるものほど上層に存在することを表す。例えば、「O/W+W」は、上層が水中油型乳液層であり、下層が水層であることを表す。「O/W+W+P」は、上層が水中油型乳液層、中間層が水層であり、下層が粉体層であることを表す。
【0157】
(3)コットンへの染み込み性
25℃の恒温槽にて2時間以上静置した、各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、コットン(リリーベル・パッティングコットン、スズラン社製)に、各試料1mLを1cmの高さから滴下したとき、コットン表面に試料が染み込む様子を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
5:瞬時に染み込む(液だまりが見られない)
4:瞬間的な液だまりができて、滴下後1秒内に染み込む
3:表面に液だまりができて、滴下後1秒以上、3秒内に染み込む
2:表面に液だまりができて、滴下後3秒以上、5秒以内に染み込む
1:滴下後5秒超経過しても染み込まない
【0158】
(4)ウォータープルーフ・マスカラの洗浄の速さ
ウォータープルーフ・マスカラ(メイベリン・ボリュームエクスプレスマグナム・ウォータープルーフN・ブラック、日本ロレアル社製)(以下、WPと記す)0.003gを、ガラスプレート(MICRO SLIDE GLASS、MATSUNAMI社製)上に直径1.2cmの円状に均一塗布し、12時間以上静置して乾燥させた。各試料を25℃の恒温槽にて2時間以上静置後、各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、各試料1mLをコットン(リリーベル・パッティングコットン、スズラン社製)に均一に浸し、WPの上を、コットンに一定圧(7.8kPa)の力で10秒間押さえてから拭き取りを1回行った。コットンに付着したWPを目視評価し、以下の基準で評価した。
5:コットン全体にWPが濃く付着している
4:コットン全体にWPがやや濃く付着している
3:コットン全体にWPが薄く付着している
2:コットンの一部にWPが付着している
1:コットンにWPがついていない
【0159】
(5)ウォータープルーフ・マスカラの洗浄力
WP3mgを、ガラスプレート(MICRO SLIDE GLASS、MATSUNAMI社製)上に直径1.2cmの円状に均一塗布し、12時間以上静置して乾燥させた。各試料を25℃の恒温槽にて2時間以上静置後、各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、各試料1mLをコットン(リリーベル・パッティングコットン、スズラン社製)に均一に浸し、WPの上を、コットンに一定圧(7.8kPa)の力で10秒間押さえてから拭き取りを5回行った。ガラスプレート上に残ったWPを目視評価し、以下の基準で評価した。
5:3回拭き取りにて、WPがほぼ除去された(5%以下のWPが残っている)
4:4~5回拭き取りにて、WPがほぼ除去された(5%以下のWPが残っている)
3:5回拭き取り後に、約5~10%のWPが残っている
2:5回拭き取り後に、約10~50%のWPが残っている
1:5回拭き取り後に、約50%より多くのWPが残っている
【0160】
(6)(6-1)拭き取り時のぬるつきのなさ、及び(6-2)使用直後のべたつきのなさ
各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、コットン(リリーベル・パッティングコットン、スズラン社製)に各試料1mLを浸し、顔にリキッドファンデーション(プリマヴィスタ・化粧のり実感リキッドファンデーション、オークル05番、花王製)(以下、FDと記す)を施した20~40代女性による専門パネラー10名に、を拭き取り除去してもらった。その後、アンケートを行い、拭き取り時にぬるつきのなさ、及び使用後にべたつきのなさを感じると評価した人数を基に、それぞれ以下の5段階で判定した。
【0161】
(6-1)拭き取り時のぬるつきのなさ
5:10人中1名以下が拭き取り時にぬるつきを感じると評価
4:10人中2~3名が拭き取り時にぬるつきを感じると評価
3:10人中4~5名が拭き取り時にぬるつきを感じると評価
2:10人中6~7名が拭き取り時にぬるつきを感じると評価
1:10人中8~10名が拭き取り時にぬるつきを感じると評価
【0162】
(6-2)使用直後のべたつきのなさ
5:10人中1名以下が、使用直後にべたつきを感じると評価
4:10人中2~3名が、使用直後にべたつきを感じると評価
3:10人中4~5名が、使用直後にべたつきを感じると評価
2:10人中6~7名が、使用直後にべたつきを感じると評価
1:10人中8~10名が、使用直後にべたつきを感じると評価
【0163】
(7)使用後の肌のさっぱり感
FD5mgを、20~40代女性による専門パネラー10名の前腕に2cm×2cmの範囲に均一に塗り広げて30分間乾燥させた。各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、コットン(リリーベル・パッティングコットン、スズラン社製)に各試料1mLを浸してFDを拭き取り除去してもらった。その後、アンケートを行い、使用後に残留感がなく、さっぱりしていると評価した人数を基に、以下の5段階で判定した。
5:10人中9~10名以下が、残留感がなく、さっぱりしていると評価
4:10人中7~8名が、残留感がなく、さっぱりしていると評価
3:10人中5~6名が、残留感がなく、さっぱりしていると評価
2:10人中3~4名が、残留感がなく、さっぱりしていると評価
1:10人中2名以下が、残留感がなく、さっぱりしていると評価
【0164】
(8)使用時の乳化保持性
各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、25℃の恒温槽中に静置した。振とう終了後、2層に分離し始める(目視観察)までの時間を測定し、以下の基準で評価した。
3:5分以上
2:1分以上5分未満
1:1分未満
【0165】
(9)使用後の肌のしっとり感
FD5mgを、20~40代女性による専門パネラー10名の前腕に2cm×2cmの範囲に均一に塗り広げて30分間乾燥させた。各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、コットン(リリーベル・パッティングコットン、スズラン社製)に各試料1mLを浸したものでFDを拭き取り除去してもらった。その後、アンケートを行い、使用後に肌がしっとりしていると評価した人数を基に、以下の基準で判定した。
5:10人中9~10名以下が、肌がしっとりしていると評価
4:10人中7~8名が、肌がしっとりしていると評価
3:10人中5~6名が、肌がしっとりしていると評価
2:10人中3~4名が、肌がしっとりしていると評価
1:10人中2名以下が、肌がしっとりしていると評価
【0166】
(10)粉体の再分散性
各試料を振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)して粉体を完全に分散させた後、24時間室温(25℃)にて静置し、粉体を沈降させた。5回、10回、15回振とう(15cmの幅、5回/3秒の速度)した際の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
5:5回の浸とう後、粉体が乳化物中に完全に分散した
4:10回の浸とう後、粉体が乳化物中に完全に分散した
3:15回の浸とう後、粉体が乳化物中に完全に分散した
2:15回の浸とう後、底に残った粉体がわずかに存在する
1:15回の浸とう後、底に残った粉体が明らかに存在する
-:粉体を含まない試料であるか、室温で24時間保管後粉体が沈殿しなかったため、評価せず
【0167】
(11)使用後の肌のさらさら感
FD5mgを、20~40代女性による専門パネラー10名の前腕に2cm×2cmの範囲に均一に塗り広げて30分間乾燥させた。各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、コットン(リリーベル・パッティングコットン、スズラン社製)に各試料1mLを浸したものでFDを拭き取り除去してもらった。その後、アンケートを行い、使用後に肌がさらさらしていると評価した人数を基に、以下の基準で評価した。
5:10人中9~10名以下が、肌がさらさらしていると評価
4:10人中7~8名が、肌がさらさらしていると評価
3:10人中5~6名が、肌がさらさらしていると評価
2:10人中3~4名が、肌がさらさらしていると評価
1:10人中2名以下が、肌がさらさらしていると評価
【0168】
(12)使用後の肌の清涼感
FD5mgを、20~40代女性による専門パネラー10名の前腕に2cm×2cmの範囲に均一に塗り広げて30分間乾燥させた。各試料を上下に15回振とう(15cmの振とう幅、5回/3秒の振とう速度)後、コットン(リリーベル・パッティングコットン、スズラン社製)に各試料1mLを浸したものでFDを拭き取り除去してもらった。使用後に肌に清涼感を感じると評価した人数を基に、以下の基準で評価した。
5:10人中9~10名以下が、肌に清涼感を感じると評価
4:10人中7~8名が、肌に清涼感を感じると評価
3:10人中5~6名が、肌に清涼感を感じると評価
2:10人中3~4名が、肌に清涼感を感じると評価
1:10人中2名以下が、肌に清涼感を感じると評価
【0169】
(13)50℃1か月保存時の外観(静置時)評価
50℃で1か月間保存した各試料の外観を層分離について目視観察した。
各試料100mlをガラス瓶(規格瓶No.10K、容量108mL、胴径48.5mm、高さ87mm、口内径31.9mm)に入れた。ガラス瓶を50℃の恒温槽にて1か月間静置した。続いて、乳化層から分離した油層の厚みを測定した。油層の厚みに基づいて、以下の基準で評価した。
5:確認できない
4:1.5mm未満
3:1.5mm以上、3.5mm未満
2:3.5mm以上、5mm未満
1:5mm以上
【0170】
なお、実施例及び比較例の成分において、*印の成分は以下の原料を用いた。
*1:PEMULEN TR-2(ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社製)
*2:マルカゾールR(丸善石油化学社製、(粘度:3mPa・s、沸点:177℃)
*3:エマノーン1112(花王社製、(HLB:13.7)
*4:アサピック(旭化成社製)
*5:カーボポールETD2020ポリマー(ルーブリゾール・アドバンスド・マテリアルズ社製)
*6:アキュリン22(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社製、実質含分:30質量%)
*7:カーボポール981(ルーブリゾール・アドバンスド・マテリアルズ社製)
*8:塩化ナトリウム(日本純薬社製)
*9:硫酸マグネシウム7水和物(馬居化成工業株社製)
*10:クレワットN(ナガセケムテックス社製)
*11:エマノーンCH-40(花王社製、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)、HLB12.5)
*12:レオドール TW-L120(花王社製、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、HLB:16.7)
*13:ペネトールGE-IS(U)(花王社製、イソステアリン酸グリセリルエーテル、HLB:2.0)
*14:パールリーム EX(日油社製、水添ポリイソブテン、粘度:14mPa・s、不揮発性)
*15:セチオールOE(BASF SE社製、ジカプリリルエーテル、粘度:3mPa・s、沸点:291℃)
*16:ASE166K(花王社製、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル、粘度:5mPa・s、不揮発性)
*17:シリコーンKF96 2cs(信越化学工業社製、粘度:2mPa・s、沸点:230℃)
*18:シリコーンKF96 5cs(信越化学工業社製、粘度:5mPa・s、不揮発性)
*19:TMF-1.5(信越化学工業社製、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、粘度:1.5mPa・s、沸点:191℃)
*20:クロピュアOL(クローダジャパン社製、オリーブ油、粘度:66mPa・s、不揮発性))
*21:エマノーンCH-40(花王社製、ポリオキシエチレン硬化ひまし油(40E.O.)、HLB:12.5)
*22:ソフケアST(花王社製、メタクリル酸ラウリル・ジメタクリル酸エチレングリコール・メタクリル酸ナトリウム共重合体水溶液、実質含分:40質量%、粒子径:3μm)
*23:サンスフェアNP-30(AGCエスアイテック社製、親水性シリカ、粒子径:4μm)
*24:サンスフェアNP-200(AGCエスアイテック社製、親水性シリカ、粒子径:20μm)
*25:マクビオブライドMG-20E(MS)(日油社製、ポリオキシエチレンメチルグルコシド)
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】