(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】対応する自動車用暖房、換気、および/または空調装置のための送風機
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20230316BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B60H1/00 102E
B60H1/00 102G
B60H1/32 613R
B60H1/32 613M
(21)【出願番号】P 2021541321
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(86)【国際出願番号】 FR2019052070
(87)【国際公開番号】W WO2020065164
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-17
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス、アイル
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー、バルビエ
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-321272(JP,A)
【文献】特開2018-035791(JP,A)
【文献】特許第7073480(JP,B2)
【文献】特許第7073504(JP,B2)
【文献】特許第7133009(JP,B2)
【文献】特許第7150029(JP,B2)
【文献】国際公開第2013/182710(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0170147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用暖房、換気、および/または空調装置のための、吸入送風機(1)であって、
- 軸(A)の周りで回転駆動されるように構成され、少なくとも、「上方部分」と呼ばれる第1の部分(5)、および「下方部分」と呼ばれる第2の部分(6)を有する、タービン(2)と、
- 前記タービン(2)を囲み、軸(B)に沿って延在する送風機ハウジング出口(17a)を有する、送風機ハウジング(17)と、
-
空気取入ハウジング(21)
と、を含み、
前記空気取入ハウジング(21)は、
- 前記空気取入ハウジング(21)の幅(d2)にわたって延在する少なくとも2つの別個の空気取入口(24、26)と、
- 前記空気取入ハウジング(21)内へ受け入れられることが意図された少なくとも1つの気流を方向付けるように構成される空気誘導部材(27、28、30)と、を含み、
前記空気誘導部材が、少なくとも3つのフラップ(27、28、30)を含み、これらは、中央フラップ(27)、および前記中央フラップ(27)の両側に配置される2つの側方フラップ(28、30)であり、前記フラップ(27、28、30)が、単一の旋回軸(33)の周りを動くことができるように、前記空気取入ハウジング(21)の前記2つの別個の空気取入口(24,26)の間に配置され、
前記中央フラップ(27)が、前記空気取入ハウジング(21)の前記幅(d2)の一部(d27)にわたって延在し、当該一部は、前記2つの側方フラップ(28、30)が延在する前記幅(d2)の一部(d28、d30)よりも大きく、
前記フラップ(27、28、30)の旋回軸(33)が、前記送風機ハウジング出口(17a)の延在方向軸(B)に平行であり、
前記中央フラップ(27)が、前記空気取入ハウジング(21)の前記幅(d2)の一部(d27)にわたって延在し、当該一部は、前記空気取入ハウジング(21)の前記幅(d2)の60%~80%で位置する区間内に含まれ、
前記吸入送風機(1)は、前記タービン(2)の前記第1の部分(5)を通過することが意図された第1の気流、および前記タービン(2)の前記第2の部分(6)を通過することが意図された第2の気流を分離するように、前記タービン(2)内へ少なくとも部分的に延在する分割仕切り(14)をさらに含み、
前記分割仕切り(14)が、上流部分(15)と下流部分(58)との間に、これら2つの部分を接続する態様で配置される中間部分(57)を有し、前記中間部分(57)が、前記タービン(2)の端部(8)に配置され、前記中間部分(57)が、この2つの上流部分(14)および下流部分(58)と比較して減少される断面を有する、吸入送風機(1)。
【請求項2】
前記分割仕切り(14)が、前記送風機ハウジング出口(17a)の延在方向軸(B)および前記タービン(2)の回転軸(A)に直交する主たる延在方向に、前記空気取入ハウジング(21)内へ延在する上流端(141)を有し、
- 前記空気取入ハウジング(21)が、前記送風機ハウジング出口(17a)の延在方向軸(B)に直交する方向に第1の寸法(d1)、および前記送風機ハウジング出口(17a)の延在方向軸(B)に平行な第2の寸法(d2)を有する、空気通路区域を区切る内部空間を含み、
- 前記分割仕切り(14)の前記上流端(141)が、前記第1の寸法(d1)の全体にわたって、および前記第2の寸法(d2)の一部にわたって延在する、請求項
1に記載の吸入送風機(1)。
【請求項3】
一方の極端位置にある前記中央フラップ(27)の端部領域を少なくとも部分的に囲む態様で前記空気取入ハウジング(21)内に配置される追加の分割仕切り(39)をさらに含む、請求項
1または2に記載の吸入送風機(1)。
【請求項4】
前記追加の分割仕切り(39)が、前記送風機ハウジング出口(17a)の延在方向軸(B)に直交する延在方向に主に延在するフレーム(391)を有し、前記フレーム(391)に合わせて、一方の極端位置にある前記中央フラップ(27)の端部領域を少なくとも部分的に囲むようにベルト(395)が延在する、請求項
3に記載の吸入送風機(1)。
【請求項5】
前記フラップ(27、28、30)が各々、前記フラップ(27、28、30)が第1の空気取入口(26)を閉じる第1の極端位置と、前記フラップ(27、28、30)が他方の空気取入口(24)を閉じる第2の極端位置との間で動作可能に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸入送風機(1)。
【請求項6】
同軸の前記フラップ(27、28、30)が、ドラムタイプのものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸入送風機(1)。
【請求項7】
前記中央フラップ(27)が、前記空気取入ハウジング(21)の前記幅(d2)の一部(d27)にわたって延在し、当該一部は、前記空気取入ハウジング(21)の前記幅(d2)の70%で位置する区間内に含まれる、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸入送風機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用暖房、換気、および/または空調装置向けの、空気取入ハウジング、およびそのような空気取入ハウジングを含む吸入送風機に関する。本発明はまた、そのような送風機を含む、暖房、換気、および/または空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、慣例的に暖房、換気、および/または空調装置から生じた空気が中に入る室内を含む。
【0003】
略称HVACでも知られる、暖房、換気、および/または空調装置には、車両の外部の空気(新鮮な空気とも称される)、または再利用空気、つまり車室から生じた空気のいずれかが供給され得る。既知の方法では、送風機は、気流を通流させるために使用される。これは、車両の外側から入ってくる新鮮な空気もしくは新しい空気の流れ、または車室から入ってくる再利用空気の流れ、あるいは外気および再利用空気の気流の混合であり得る。
【0004】
特に、気流が暖房、換気、および/または空調装置を通過するとき、車両の乗員のニーズに従って、または言い換えると、気流が熱的に調整されているとき、気流(外気-再利用空気)を分離可能であることが重要である。
【0005】
これは、なぜなら、再利用空気がすでに、達成されるべき設定点温度近くの温度にあるため、したがって、ユーザによって所望される温度を迅速に達成することができるからである。しかしながら、再利用空気は、車両の外側から入ってくる空気よりも水分を多く含んでおり、このことは次のことを意味する。すなわち、再利用空気が、例えば、運転手の前または助手席に座っている人の前に位置する換気開口部を介してフロントガラスの方へ、または、直接フロントガラスへ向けられる場合、再利用空気に含まれる水分がフロントガラス上で凝縮され、曇りをもたらす。
【0006】
1つの既知の解決策は、外気の気流を熱的に調整し、それをフロントガラス近くの室内へ、または直接フロントガラスに送ること、ならびに再利用空気の気流を熱的に調整し、それを、運転手または助手席に座っている人の足元に位置する換気開口部出口など、他の換気開口部を通じて、フロントガラスからいくらか離れて室内へ送ることである。これは、「二層流」と称される動作モードである。
【0007】
既知の暖房、換気、および/または空調装置は、1つまたは複数の別個の気流が送風機に入ることを可能にする空気取入ハウジングを含む空気取入手段と、タービンなどの空気生成部材であって、例えば円筒状であり、気流を吹き出すように、その軸の周りでの回転駆動されるように構成される、空気生成部材とを含む。
【0008】
そのような送風機は、「単一吸入」送風機として知られる。なぜなら、タービンの一方の側、すなわち、ハウジングと気流を分離するための部材とが位置する側のみにおいて、空気が送風機に入るからである。
【0009】
2つの気流、とりわけ再利用空気の気流および外気の気流を分離するため、送風機は、タービンの第1の軸方向部分を通過することが意図された第1の気流の流れを許容する第1の空気通流ダクトと、タービンの第2の軸方向部分を通過することが意図された第2の気流の流れを許容する第2の空気通流ダクトとを区切るように構成される気流分離部材を含み得る。この気流分離部材はダクトを規定し、このダクトは、気流を、ダクトの内側で通流する中央流、およびダクトの周囲で通流する周囲流に分離する。ダクトは第1の空気通流ダクトを形成する。第2の空気通流ダクトは、気流分離部材の外側に延在している。
【0010】
気流分離部材は、例えば、部分的に、空気取入ハウジング側のタービンの端部を越えて位置する点までタービンの内部空間内へ延在する。空気取入ハウジングは、タービンのこの端部および気流分離部材を覆う。
【0011】
これらのデバイスはまた、車両の乗員ができる限り迅速に熱快適性を体験することができるように、室内の空気の加速された暖めを確実にすることができる必要がある。言い換えると、これらの装置は、室内の空気が、例えば25分未満という最小限の時間長において、20℃よりも高い温度にあることを確実にすることができる、およびこれを、低い、すなわち、-20℃である外気温にもかかわらず行うことができる必要がある。これらのパラメータは、車両室内の空気の「暖め」という用語にまとめられる。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、室内の空気の「暖め」を改善することができる送風機の代替形態を提案することにより、先行技術のこれらの問題を少なくとも部分的に緩和することである。
【0013】
この目的のため、本発明の1つの主題は、とりわけ、暖房、換気、および/または空調装置のための、空気取入ハウジングであって、
- 空気取入ハウジング21の幅にわたって延在する少なくとも2つの別個の空気取入口と、
- 空気取入ハウジングに受け入れられることが意図された少なくとも1つの気流を方向付けるように構成される空気誘導部材と、を含む、空気取入ハウジングである。
【0014】
空気誘導部材は、少なくとも3つの、好ましくは同軸の、フラップを含み、これらは、中央フラップ、および中央フラップの両側に配置される2つの側方フラップである。上記同軸フラップは、単一の旋回軸の周りを動くことができるように、空気取入ハウジングの上記2つの別個の空気取入口の間に配置される。
【0015】
本発明によると、中央フラップは、空気取入ハウジングの上記幅の一部にわたって延在する。この一部は、2つの側方フラップが延在する上記幅の一部よりも大きい。
【0016】
フラップが同軸であるため、幅はここでは、フラップの旋回軸に相当する。このことは、次のことを意味する。すなわち、中央フラップが、各空気取入口について、2つの側方フラップよりも大きい表面積を遮断することができるということが理解されることを意味する。言い換えると、中央フラップは、空気取入ハウジング内の空気通路断面の幅の半分以上にわたって延在し、または言い換えると、中央フラップは、各空気取入口の表面積の半分以上を遮断するように構成される。
【0017】
そのような配置は、入ってくる空気流の割合を最適化することを可能にし、再利用空気/外気流の量を容易に変更することができる。したがって、車両が寒い気候の中で始動されるとき、中央フラップは、再利用空気が外気よりも多い量で導入されることを可能にするため、空気は、より素早く暖められることになる。それにもかかわらず、多量の外気が、曇りの現象、すなわち、フロントガラス上のミスト(水滴)の形成を制限するように、側方フラップによってフロントガラスの方へ向けられる。中央フラップが、より大きい寸法を有する、または言い換えると、2つの側方フラップを組み合わせたものよりも大きい容積を占めるため、再利用空気の流れが外気の流れよりも大きい割合で導入されることが適切であり、したがってこれは、加速された「暖め」を結果としてもたらし、同時にフロントガラスの曇りの現象を回避する。
【0018】
上記空気取入ハウジングはまた、別個に、または組み合わせで検討される、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有し得る。:
- 上記同軸フラップは各々、上記フラップが一方の空気取入口を閉じる第1の極端位置と、上記フラップが他方の空気取入口を閉じる第2の極端位置との間で動作可能に配置される。
- 上記同軸フラップは、ドラムタイプのものである。
- 空気取入ハウジングは、側方フラップが一方の極端位置において当接するようになる少なくとも1つのエンドストッパを有する。
- 同軸フラップは、気流を第1の空気通流ダクトおよび/または第2の空気通流ダクト内へ向けるよう、考慮されている。
- 中央フラップは、空気取入ハウジングの上記幅の一部にわたって延在し、この一部は、空気取入ハウジングの上記幅の60%~80%、好ましくは70%で位置する区間内に含まれる。
【0019】
本発明はまた、とりわけ、自動車用暖房、換気、および/または空調装置のための、吸入送風機であって、
- 軸の周りで回転駆動されるように構成され、少なくとも「上方部分」と呼ばれる第1の軸方向部分および「下方部分」と呼ばれる第2の軸方向部分を有する、タービンと、
- タービンを囲み、軸に沿って延在する送風機ハウジング出口を有する、送風機ハウジングと、
- 上記に説明される空気取入ハウジングであって、同軸フラップの旋回軸が、送風機ハウジング出口の延在方向軸に平行である、空気取入ハウジングと、
を含む、吸入送風機に関する。
【0020】
上記送風機はまた、別個に、または組み合わせで検討される、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有し得る。
- 同軸フラップの旋回軸は、タービンの回転軸に直交する。
- 分割仕切りは、上流部分と下流部分との間に、これら2つの部分を接続する態様で配置される中間部分を有し、中間部分は、タービンの端部に配置され、中間部分は、2つの上流部分および下流部分と比較して減少される断面を有する。
- 上記送風機は、タービンの第1の軸方向部分を通過することが意図された第1の気流を、タービンの第2の軸方向部分を通過することが意図された第2の気流から分離するように、タービン内へ少なくとも部分的に延在する分割仕切りをさらに含む。
- 分割仕切りは上流端を有し、上流端は、送風機ハウジング出口の延在方向軸、または送風機ハウジングを出る少なくとも1つの気流の流れ方向軸、およびタービンの回転軸に直交する主たる延在方向に、空気取入ハウジング内へ延在する。
- 送風機ハウジング出口の延在方向軸は、タービンの回転軸に直交する。
- 空気取入ハウジングは内部空間を含み、内部空間は、送風機ハウジング出口の延在方向軸に直交する方向に第1の寸法、および送風機ハウジング出口の延在方向軸に平行な第2の寸法を有する空気通路区域を区切る。
- 分割仕切りの上流端は、第1の寸法の全体にわたって、および第2の寸法の一部にわたって延在する。
- 分割仕切りは、閉じた輪郭を有する内部ダクトを規定する。
- 内部ダクトは、第1の気流の流れを許容する第1の空気通流ダクトの少なくとも一部を形成し、第2の気流の流れを許容する第2の空気通流ダクトが、分割仕切りの外側に延在する。
- 分割仕切りは、上記送風機内に固定して配置される。
- 分割仕切りは、タービンと同軸である。
- 分割仕切りは、タービンの回転軸のまわりにおいて回転対称となる形状を有する。
- 分割仕切りは、円筒状の全体的形状の上流部分を有し、上流部分は上流端で終了する。
- 分割仕切りは、上流端の反対側に広がる下流部分を有する。
- 上記送風機は、一方の極端位置にある中央フラップの端部領域を少なくとも部分的に囲むような態様で空気取入ハウジング内に配置される追加の分割仕切りをさらに含む。
- 追加の分割仕切りは、上記送風機内に固定して配置される。
- 追加の分割仕切りは、送風機ハウジング出口の延在方向軸に直交する延在方向に主に延在するフレームを有する。
- 追加の分割仕切りはベルトを含み、ベルトは、一方の極端位置にある中央フラップの端部領域を少なくとも部分的に囲むように、フレームと垂直に延在する。
- 追加の分割仕切りのフレームは少なくとも1つのエンドストッパを有し、中央フラップは、一方の極端位置においてエンドストッパに当接するように構成される。
- 追加の分割仕切りのフレームは、分割仕切りの上流端の形状を補足する形状を有する。
- 追加の分割仕切りのフレームは、分割仕切りに面して配置される。
- 上記1つの送風機はフィルタをさらに含み、フィルタは、分割仕切りと追加の分割仕切りとの間に軸方向に配置される。
【0021】
本発明はさらに、上記に説明されるような吸入送風機を含む、暖房、換気、および/または空調装置に関する。
【0022】
本発明の更なる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の説明を読むことにより明らかになるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】空気取入ハウジングが除去されている、
図1の送風機の概略図である。
【
図4】
図1および
図3の送風機を上方から概略的に示す図である。
【
図5a】送風機の軸方向部分における概略図であって、および第1の動作モードを説明する図である。
【
図5b】送風機の軸方向部分における概略図であって、および第2の動作モードを説明する図である。
【
図5c】送風機の軸方向部分における概略図であって、および第3の動作モードを説明する図である。
【
図7】縦方向断面における送風機の輪郭を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
これらの図において、同一の要素は同じ参照番号を用いて参照されている。
【0025】
以下の実施形態は、本発明の主題の例であり、例示的に与えられるものである。本発明は、これらの実施形態に限定されない。説明は、1つまたは複数の実施形態に言及するが、これは、それぞれの言及が同じ実施形態に関するということ、またはその特徴が1つの実施形態にのみ当てはまるということを必ずしも意味しない。異なる実施形態の個々の特徴はまた、他の実施形態を作るために組み合わされ得るか、または置き換えられ得る。
【0026】
本説明において、特定の要素は番号付けされ得る。言い換えると、第2の要素の第1の要素の例について言及がなされ得る。この場合、このような番号付けは単に、類似しているが同一ではない要素を区別して示すために使用される。このような番号付けは、1つの要素の他の要素に対する優先度を示唆するものではない。そのような呼称は、本発明の範囲から逸脱することなく容易に置き換えられ得る。
【0027】
本発明は、
図1および
図2に示す吸入送風機1のための空気取入ハウジング21に関し、空気取入ハウジング21は、送風機1内を少なくとも2つの異なる気流が流れることを可能にする。例えば、再利用空気の気流FRの流れおよび外気の気流FEの流れを可能にする。
【0028】
送風機
図1および
図2は、送風機1、とりわけ自動車用暖房および/または換気および/または空調装置のための送風機1を示す。
【0029】
吸入送風機1は、とりわけタービン2などの空気生成部材を含む。空気生成部は、空気を吹き出すように、とりわけ電気モータ(図内では見えない)によって、軸Aの周りを回転駆動されることが意図される。送風機1は、一般に、タービン2を囲むハウジングを含む。ハウジングは、通常、送風機ハウジング17と呼ばれる。
【0030】
先に述べたように、送風機1は、空気取入ハウジング21を形成する追加のハウジングを含む。送風機1はまた、有利には、気流を分離するための少なくとも1つの部材を含む。
【0031】
タービン2は、例えば、軸Aを有する、円筒状の全体的形状を有する。以下の説明において、軸方向および半径方向という用語は、軸Aを参照する。
【0032】
タービン2は、その半径方向外側の周囲にブレード3を含み、円筒状空間を内部で区切る。
【0033】
タービン2は、「上方部分」と称される第1の軸方向部分5および「下方部分」と称される第2の軸方向部分6を含む。第1の軸方向部分5は、タービン2の第1端部7から、軸方向中央区域まで延在する。第2の軸方向部分6は、軸方向中央区域から、タービン2の、第1端部7の反対側の第2端部8まで延在する。
【0034】
ハブ(図示せず)は、一般的には、タービン2に固定され、通流する気流のための偏向器として機能する。ハブは、例えば、軸Aのまわりにおいて回転対称となる構成要素の形態をとる。
【0035】
電気モータの回転駆動軸(図示せず)は、例えば、ハブの中央領域に固定される。動作中、モータは、ハブおよびタービン2の回転を駆動する。
【0036】
頂部および底部、または上方および下方という用語は、ここでは図を参照して定義され、本質的に非制限的である。
【0037】
タービン2を囲む送風機ハウジング17は、取り入れられた気流をダクトに通す。より詳細には、気流は、タービン2によって引き込まれて通流され、次いで暖房、換気、および/または空調装置の空気路に接続されることが意図された出口17a(
図3では部分的に図示される)を介して、送風機ハウジング17から取り出される。説明される実施形態によると、送風機ハウジング17は、らせん状の全体的形状を呈する。したがって、送風機ハウジング17のらせん形状は、コイル状第1部分を有する。送風機ハウジング17の形状は、次いで、より線形に展開し、こうして、例えば、暖房、換気、および/または空調装置の空気ダクト内へ開口する空気出口開口部まで、送風機ハウジング出口17aを形成する。
【0038】
したがって、送風機ハウジング17の出口17aは、
図3のレイアウトに対して垂直に描かれる平面内にあるこの空気出口開口部で終わる。自動車内へ組み立てられると、空気出口開口部は、とりわけ、車両の長手方向軸および垂直方向軸に沿った平面内にあり得る。
【0039】
送風機ハウジング17の出口17aは、軸Bに沿って伸展する。これは、空気出口開口部がある平面に対して横断する軸である。
【0040】
送風機ハウジング出口17aの延在または伸展の軸Bは、タービン2の回転軸Aに直交する(
図3では概略的に示される)。
【0041】
加えて、送風機ハウジング17の出口を出る気流は、軸Bに沿って流れる。
【0042】
さらには、送風機ハウジング17はまた、モータ(図示せず)を少なくとも部分的に囲み得る。
【0043】
送風機ハウジング17は、タービン2の第1および第2の軸方向部分5、6にそれぞれ面して延在する2つのダクト18、19を含む。
図1~
図3のレイアウトに関して、ダクト18は、タービン2の下方部分5に面する下方ダクトを形成し、ダクト19は、タービン2の上方部分6に面する上方ダクトを形成する。
【0044】
送風機ハウジング17は、分割壁(図内では見えない)をさらに含み得る。分割壁は、例えば環状形状で、2つのダクト18、19の境界を定める。分割壁は、送風機ハウジング17を、2つの、有利には等しい、半体に分割するような態様で配置され得る。
【0045】
送風機ハウジング17は、送風機1内の少なくとも1つの気流の通過を許容する上方開口部22を含む。この上方開口部22は、
図3に、より明瞭に示されている。
【0046】
図5a~
図5cを参照すると、空気取入ハウジング21は、送風機ハウジング17の上方開口部22の上に固定される。
【0047】
空気取入ハウジング21は、内部空間を含む。内部空間は、空気通路区域を区切る。空気取入ハウジング21の内部空間は、
図5a~
図5cのレイアウトに関しては底部に向かって開放されており、すなわち、タービン2に向かって開放されている。
【0048】
空気通路区域は、深さに対応する第1の寸法d1、幅に対応する第2の寸法d2、および軸Aに沿った高さによって区切られる。寸法d1およびd2の方向は、
図1~
図3において矢印によって示される。
【0049】
図3をより詳細に参照すると、第2の寸法d2は、ここでは、送風機ハウジング出口17aの軸Bに平行または実質的に平行に延在する。第1の寸法d1は、送風機ハウジング出口17aの延在方向軸Bに直交する方向に延在する。
【0050】
さらに、空気取入ハウジング21は、異なる気流、とりわけ、再利用空気の気流FRおよび外気の気流FEが送風機1内を流れることを許容するために、少なくとも2つの別個の空気取入口24、26を含む。
【0051】
図1および
図2を再度参照すると、空気取入口24、26は、空気取入ハウジング21の深さd1の方向に連続して延在する。各空気取入口24、26は、空気取入ハウジング21の幅d2の全体にわたって、および深さd1の方向の一部だけにわたって、延在する。
【0052】
空気取入口24は、再利用空気の気流FRの通過のための開口部に対応し、以下では再利用空気取入口24と称される。空気取入口26は、外気の気流FEの通過のための開口部に対応し、以下では外気取入口26と称される。当然ながら、空気取入口24および26は、入れ替えられてもよい。
【0053】
異なる気流の受け入れを管理するために、空気取入ハウジング21は、空気誘導手段または部材27、28、30(
図2および
図3を参照)をさらに含む。空気誘導部材27、28、30は、異なる動作モードのために、異なるタイプの気流、とりわけ、再利用空気の気流および外気の気流を方向付けてもよい。特に、それらは、気流が、第1の空気通流ダクト内へ、より一般的には、タービン2の第1の軸方向部分5へ、および/または第2の空気通流ダクト内へ、より一般的には、タービン2の第2の軸方向部分6へ向けられることを可能にする。
【0054】
空気誘導部材は、1つまたは複数の可動フラップ27、28、30を含む。
【0055】
特に、これらは、ドラム式フラップ、バタフライ式フラップ、または片持ち式フラップであり得る。バタフライ式フラップは、少なくとも1つの側方羽根または壁およびフラップの中央に位置する回転軸を含むフラップに対応し、例えば、2つの側方壁が存在する場合、回転軸は、2つの側方壁の間に配置される。片持ち式フラップは、少なくとも1つの羽根およびフラップの一端に位置する回転軸を含むフラップに対応する。ドラム式フラップは、2つの別個かつ相互に平行な平面にある2つの側方壁であって、気流が通過するのを防ぐ役割を果たし2つの側方壁を接続する湾曲壁を伴う、2つの側方壁と、アクチュエータを介した回転運動を引き起こす役割を果たし2つの側方壁を同様に接続する回転軸とを含むフラップに対応する。言い換えると、湾曲壁および回転軸は、2つの側方壁の間の材料の連続性を形成する。
【0056】
説明される実施形態によると、空気誘導部材はここでは、複数のフラップ(
図3により明瞭に示されている)、例えば3つのフラップを含み、これらは、中央フラップ27および中央フラップ27の両側の2つの側方フラップ28、30である。これらは、有利には、ドラム式フラップなどと同じ性質のフラップである。
【0057】
説明される実施形態によると、中央フラップ27および側方フラップ28、30は、再利用空気取入口24と外気取入口26との間に配置され、これらの2つの空気取入口24、26を、動作モードに従って、少なくとも部分的に、または完全に遮断することができるようにする。
【0058】
この例では、中央フラップ27および側方フラップ28、30は、旋回軸の周りの回転駆動されるような態様で配置される。特に、旋回軸は、3つすべてのフラップ27、28、30に共通する軸33である。言い換えると、3つのフラップ27、28、30は、同軸であり、単一の旋回軸33の周りを動くことができる。
【0059】
この実施形態によると、旋回軸33は、送風機ハウジング出口17aの延在方向軸に対応する軸Bに平行である。言い換えると、旋回軸33は、送風機ハウジング17を出る少なくとも1つの気流の流れ方向軸に平行である。
【0060】
加えて、旋回軸33は、タービン2の回転軸Aに直交する。
【0061】
さらに、上から見た図を参照すると、
図4に記号的に示されるように、旋回軸33は、外気の気流FEおよび再利用空気の気流FRの受け入れの全体的方向に直交する。
【0062】
フラップ27、28、および30は各々、空気通路区域の幅d2の全体にわたっては延在しないが、各々、空気取入ハウジング21内の空気通路区域の幅d2の一部にわたって延在する。言い換えると、これらのフラップ27、28、30は、外気取入口26と再利用空気取入口24との間に3列で配置される。
【0063】
本発明によると、
図6に示されるように、中央フラップ27は、
図6に示されるように、空気取入ハウジング21内の空気通路区域の幅d2の一部d27にわたって延在する。この部分d27は、2つの側方フラップ28、30が延在する幅d2の一部d28、d30よりも大きい。より詳細には、中央フラップ27は、空気通路区域の幅d2の半分以上にわたって延在する(d27>d28+d30)。中央フラップ27は、空気通路区域の幅d2の区間[50%~80%]に含まれる範囲にわたって延在するということが例として言及され得る。1つの好ましい実施形態によると、中央フラップ27は、空気取入ハウジング21内の空気通路区域の幅d2の70%にわたって延在し(d27=0.7×d2)、各側方フラップ28、30が、空気通路区域の幅d2の15%にわたって延在する(d28またはd30=0.15×d2)。言い換えると、例として、空気通路区域の幅d2が154mmであれば、この場合、中央フラップ27は、幅d2の105mmにわたって延在し、またはこれを覆い、各側方フラップは、幅d2の24.5mmを覆う。
【0064】
各フラップ27、28、30は、2つの極端位置の間を移動する。第1の極端位置は、フラップが外気取入口26を遮断する位置である。第2の極端位置は、フラップが再利用空気取入口24を遮断する位置である。
【0065】
各極端位置において、側方フラップ28、30は、空気取入ハウジング21の、湾曲壁、平面壁などの当接壁の、例えば、縁部における、少なくとも1つのエンドストッパに当接し、あるいは、空気取入ハウジング21の平面壁上に被覆されたエンドストッパに当接する。
【0066】
このように、車両が始動すると、側方フラップ28、30は、再利用空気取入口24を遮断し、中央フラップ27は、外気取入口26を遮断する。したがって、再利用空気の流れは、入ってくる空気流の70%に相当し、したがって室内はより迅速に暖められる。同時に、フロントガラスの曇りを回避する。なぜなら、外気の流れに対応する、入ってくる空気流の30%が室内の方へ向けられるからである。この配置は、車両「暖め」を大幅に向上させる。
【0067】
送風機1、とりわけ、空気誘導部材は運動学的手段をさらに含み、運動学的手段は、空気誘導部材のそれぞれの移動を連結して少なくとも特定のフラップの運動を同期させる。こうして、必要とされるアクチュエータの数を制限する。運動学的手段は、例えば、いくつかの出力ピニオンを有するカムウェイ(camway)、フラップを接続するリンクロッドなどを含む。共有アクチュエータは、とりわけ、様々なフラップを同時に動作させてよい。
【0068】
図1~
図3を再度参照すると、気流分離部材は、それ自体が、タービン2の第1の軸方向部分5を通過することが意図された第1の気流を、タービン2の第2の軸方向部分6を通過することが意図された第2の気流から分離することができる。それらは、とりわけ、
- 第1の気流が流れることを許容する第1の空気通流ダクト、および
- 第2の気流が流れることを許容する第2の空気通流ダクト
を区切るように構成される。
【0069】
気流分離部材は、送風機1内に固定して配置される。
【0070】
特に、気流分離部材は、第1の気流および第2の気流を分離することができる分割仕切り14を含む。この分割仕切り14は、
図3に、より明瞭に示されている。
【0071】
分割仕切り14は、送風機1内に搭載され、タービン2の内部空間内へ少なくとも部分的に延在する。
【0072】
分割仕切り14は、例えば、2つの軸方向部分5、6の間のタービン2の中央領域から、空気取入ハウジング21(
図3では見えない)の方向に延在する。この例では、分割仕切り14は、タービン2の中央領域から、第2端部8を越える点まで延在する。
【0073】
分割仕切り14は、送風機ハウジング17に対して固定して搭載される。分割仕切り14は、送風機ハウジング17上に追加される、または送風機ハウジング17と共に成形される構成要素である。
【0074】
さらに分割仕切り14は、閉じた輪郭のダクトを規定する中空部材である。
【0075】
分割仕切り14は、気流を、分割仕切り14の内側で通流する中央流と分割仕切り14の周りで通流する周囲流とに分離するような態様で配置される。中央流は、第1の気流に対応する。周囲流は、第2の気流に対応する。
【0076】
言い換えると、分割仕切り14は、第1の空気通流ダクトを少なくとも部分的に形成する内部ダクト、分割仕切り14の外側に延在する第2の空気通流ダクトを区切る。
【0077】
分割仕切り14は、有利には、回転対称となる形状を有する。この分割仕切り14は、タービン2と同軸であり得る。その場合、分割仕切り14は、タービン2の回転軸Aのまわりにおいて回転対称となる形状を有する。
【0078】
分割仕切り14の直径は、有利には、気流が異なるときに、所望の割合で、例えば非限定的に、上方ダクト19内では60%のオーダーおよび下方ダクト18内では40%のオーダーという割合で、下方ハウジング17内およびその後自動車内における気流の分布を確実にするように選択される。
【0079】
分割仕切り14は、タービン2のブレード3へ気流を向けるために少なくとも部分的に広がっている全体的形状を有し得る。
【0080】
例として、分割仕切り14は、円筒状または管状の上方または上流部分15を含み得る。円筒状の上方部分15は、後に説明される中間部分57と空気取入ハウジング21の下方部分との間に延在する。
【0081】
分割仕切り14はまた、底部に向かって広がっている下方または下流部分を有し得る。言い換えると、下方部分、およびより一般的には分割仕切り14は、上流から下流に向かう方向に広くなる。上流および下流という用語は、空気が送風機1を通って流れる方向を参照して定義される。そのような下方部分は、中間部分57とタービン2の軸方向中央領域との間に延在し得る。下方部分は、軸Aのまわりにおいて回転対称となる形状を有し得る。有利には、下方部分の半径方向の周囲は、ブレード3の回転を妨げないように、タービン2のブレード3の半径方向の周囲よりも小さい。
【0082】
図7に示されるように、分割仕切り14は中間部分57をさらに含む。中間部分57は、上流部分15と下流部分58との間に配置され、これら2つの部分を接続する。中間部分57は、タービン2の第2端部8に配置される。中間部分57は、この2つの部分、すなわち上流部分14および下流部分58と比較して減少する断面から成る。言い換えると、中間部分57は、分割仕切り14によって規定されるダクトの内側に沿って流れる空気流が絞られる点に対応する。言い換えると、分割仕切り14によって規定されるダクトは、直交する少なくとも2つの軸、あるいは3つの軸に沿ってより小さい寸法を有し、あるいは、中間部分57の空気通路区域の外周は、上流部分14および下流部分58の区域の外周の内側に存在している。この中間部分57を説明する別の方法は、空気通路区域が、空気流に関して、上流部分14の減少された下流および下流部分58の減少された上流であると見なすことである。最後に、分割仕切り14はまた、少なくとも2つの屈曲を含むプロファイルの区域を有すると見なされ得る。言い換えると、空気流の流れの方向における断面でプロファイルを見たときの分割仕切り14は、少なくとも2つの屈曲を呈する、または分割仕切り14の方向が変化する、すなわち、少なくとも1つの肘部あるいは2つの肘部は各々、30°よりも大きく曲がっている。空気流の方向における断面でプロファイルを見たときの分割仕切り14は、S字形状のプロファイルを有すると言うこともできる。
【0083】
分割仕切り14は、上流端141を有する。この上流端141は、とりわけ、下方部分16の反対側にある上方部分15の終端となる。
【0084】
上流端141は、空気取入ハウジング21内へ、とりわけ、空気取入ハウジング21の下方部分内へ延在する。
【0085】
特に、上流端141は、第1の寸法または深さd1の全体にわたって延在し、また第2の寸法または幅d2の一部だけにわたって延在する。こうして、空気は、分割仕切り14の外表面と空気取入ハウジング21の内壁または送風機ハウジング17の上方開口部22の縁との間に位置する側方通路内を流れることができる(
図3)。
【0086】
この上流端141は、例えば、実質的に矩形断面を有する。上流端141は、第1の空気通流ダクトの少なくとも一部を形成する分割仕切り14の内部ダクトと連続して、開口部143、とりわけ中央開口部を有する。この開口部143は、分割仕切り14を送風機1内に保持する2つの保持プレート145によって区切られる。
【0087】
送風機ハウジング17に搭載されるとき、上流端141、特にその保持プレート145は、送風機ハウジング17に、より詳細には送風機ハウジング17の上方壁または周縁に当接するようになる。
【0088】
空気取入ハウジングの第2の寸法d2に沿って、保持プレート145は、中央フラップ27の範囲と類似した範囲を有する。言い換えると、保持プレート145の幅は、中央フラップ27の幅に等しいか、または実質的に等しい。
【0089】
分割仕切り14の上流端141は、段階的接続の領域によって円筒状の上方部分15に接続され得る。
【0090】
送風機ハウジング17の上方開口部22は、分割仕切り14、特に上方部分15が通ることを許容する。空気取入ハウジング21の内部空間は、空気が上方開口部22を介して分割仕切り14および/またはタービン2に入ることを許容する。こうして、気流は、分割仕切り14内、および、分割仕切り14の外表面と送風機ハウジング17の上方開口部22の縁との間に位置する側方通路内を流れることができる。
【0091】
説明される実施形態によると、分割仕切り14の周りを通流する周囲気流は、送風機ハウジング17の上方ダクト19内へ流れ込む。分割仕切り14の内側から入ってくる中央流は、送風機ハウジング17の下方ダクト18内へ流れ込む。
【0092】
さらに、気流分離部材は、
図3により明瞭に示される追加の分割仕切り39をさらに含む。
【0093】
追加の分割仕切り39は、一方の極端位置にある中央フラップ27の端部領域を少なくとも部分的に囲む態様で、空気取入ハウジング21内に配置される。
【0094】
有利には、追加の分割仕切り39は、少なくとも1つのエンドストッパを有する。エンドストッパに当接して、中央フラップ27は、外気取入口26または再利用空気取入口24が気密態様で遮断されることを可能にするように、その移動を終えてもよい。
【0095】
説明される実施形態によると、追加の分割仕切り39は、基部、特に基部を形成するフレーム391を有する。このフレーム391は、送風機ハウジング出口17aの延在方向軸Bに直交する延在方向に主に延在する。このフレーム391は、送風機ハウジング出口17aの延在方向軸Bに直交する延在方向に、言い換えると、送風機ハウジング17を出る少なくとも1つの気流の流れ方向軸に直交する延在方向に主に延在する。
【0096】
フレーム391は、分割仕切り14の上流端141に面して配置される。フレーム391は、分割仕切りの上流端141の形状を補足する形状を有する。特に、フレーム391は、上流端141に形状が類似した輪郭、この例では実質的に矩形形状の輪郭を有する。フレーム391の寸法は、例えば、上流端141の寸法と等しいか、または実質的に等しい。各極端位置において、中央フラップ27は、フレーム391の側部、とりわけ短い側部に当接してその移動を終える。
【0097】
フレーム391は、内部空洞393を区切る。この空洞393は、空気が通ることを許容する。
【0098】
説明される実施形態によると、追加の分割仕切り39は、旋回軸33に対して対称である。
【0099】
追加の分割仕切り39は、ベルト395をさらに含む。ベルト395は、例えば、フレーム391の中央または実質的に中央の領域から、フレーム391の面のうちの1つと垂直に延在する。このベルト395は、内部空洞を区切る。ベルト395は、中央フラップ27を囲むように、より詳細には、それが極端位置のうちの一方または他方にあるときフラップ27の端部領域を囲むように構成される。追加の分割仕切り39のベルト395の形状は、中央フラップ27の形状、特に中央フラップ27の横断面を補足する。
【0100】
追加の分割仕切り39、および特にベルト395は、側方フラップ28、30からの分離を確実にする。
【0101】
空気の質を改善するために、空気取入ハウジング21は、少なくとも1つのフィルタ35をさらに含み得る(
図5a~
図5c参照)。このフィルタ35は、第1および第2の気流にそこを通過させることを意図される。したがって、フィルタ35は、空気が空気取入ハウジング21に流れる方向において空気取入口24、26の下流に配置される。
【0102】
フィルタ35は、とりわけ、プリーツ状の材料であり得る。
【0103】
フィルタ35は、空気取入ハウジング21に、とりわけ空気取入ハウジング21の下方部分に搭載され、空気取入ハウジング21の内部空間内の空気通路区域の幅d2および深さd1のすべてまたはほぼすべてを占有する。一般に、フィルタ35は、分割仕切り14と空気取入口24、26との間に軸方向に配置される。
図5a~
図5cに示される変形例によると、フィルタ35は、一方では分割仕切り14、および他方では追加の分割仕切り39の間、またとりわけ同軸フラップ27、28、30の間に、軸方向に搭載される。
【0104】
そのようなフィルタ35は、例えば車両グローブボックスからアクセス可能である空気取入ハウジング21を開くこと、または取り除くことによって、容易に取り除かれ得る。
【0105】
図では、フィルタ35は、矩形の全体的形状のフィルタとして描かれる。当然ながら、この形状は非限定的である。フィルタ35は、平坦または丸みを帯びたフィルタであり得る。
【0106】
矩形フィルタ35の場合、これは、第2の寸法d2に沿った長さ方向、および第1の寸法d1に沿った幅方向に延在する。分割仕切り14の上流端141はこのとき、フィルタ35の幅全体に沿って、およびフィルタ35の長さの一部だけにわたって延在する。
【0107】
他の例として、フィルタ35は、空気取入ハウジング21内には配置されず、暖房および/または換気および/または空調装置内の他の場所に配置され得る。非限定的な例として、そのような場合において、フィルタ35は、エバポレータなど、暖房および/または換気および/または空調装置の熱交換器の上流に位置付けられ得る。
【0108】
有利には、フィルタ35は、例えば、1つまたは複数の分割仕切りまたはストリップを含む空気ガイド(図には示されない)を含み、とりわけ送風機1が、異なる複数の気流が受け入れられる態様で動作しているとき、気流間の混合を制限あるいは防ぐことを可能にする。空気ガイドは、フィルタ35に追加される構成要素であり得る。これらの空気ガイドは、空気取入ハウジング11の異なる空気取入口24および26から入ってくる気流を区分化する(仕切る)ように、追加の分割仕切り39の長い側部と連続して位置付けられる。変異形として、複数の別個のフィルタ、例えば3つのフィルタが使用され得る。
【0109】
フィルタ35が空気取入ハウジング21に配置されない場合、追加の分割仕切り39および分割仕切り14が単一の部材として生産されることが想定され得る。
【0110】
送風機動作
送風機1は、いくつかの動作モードで動作することができる。動作モードは、特に以下のモードを含む。
- 再利用空気FRのみが送風機1内へ引き込まれる、100%再利用モードとして知られる第1のモード(
図5a)、
- 外気FEのみが送風機1内へ引き込まれる、100%フレッシュモードとして知られる第2のモード(
図5b)、あるいは
- 外気FEおよび再利用空気FRが送風機1に引き込まれる、50/50の第3のモード(
図5c)。
【0111】
100%再利用モード
図5aは、第1の動作モード、100%再利用モードを示す。このモードでは、暖房、換気、および/または空調装置に再利用空気FRを供給するように、再利用空気FRのみが送風機1内へ引き込まれる。そのような動作モードは、例えば、空気が空調管理されているとき(例えば、夏)に使用され得る。具体的には、そのような場合、室内の空気に存在する水分は、空気を冷却するために使用されるエバポレータを通過するときに凝縮する傾向を有する。したがって、この再利用空気は、あったとしてもわずかしか水分を含有せず、室内に、とりわけフロントガラスの近くに、送られ得る。
【0112】
この動作モードでは、同軸フラップ27、28、30は、外気取入口26を遮断する第1の極端位置にあり、再利用空気取入口24は覆われないままである。
【0113】
その方法では、外気の気流FEは、送風機1内を流れることができない。その一方で、再利用空気の気流FRは、再利用空気取入口24を通じて送風機1内を流れることができる。
【0114】
このように、
図1~
図3を参照すると、室内から引き込まれる空気に対応する再利用空気の気流FRの少なくとも一部は、したがって、再利用空気取入口24を介して入り、追加の分割仕切り39、フィルタ35、分割仕切り14、タービン2の下方部分5を通り、ダクト18に入り、このダクト18は、例えばフロントガラスからいくらか離れて、車両室内に開口している。並行して、再利用空気取入口24から入ってくる再利用空気の気流FRの他の部分は、フィルタ35、および、分割仕切り14の外表面と送風機ハウジング17の上方開口部22の縁との間に位置する側方通路、タービン2の上方部分6を通過し、次いでダクト19に入り、このダクト19は、例えば、フロントガラスの近くの、またはそれに直接面する、車両室内に開口している。
【0115】
簡単に言うと、再利用空気の気流FRは、室内に通じる前に、第1の通流ダクトおよび第2の通流ダクトの両方を通って流れる。
【0116】
100%フレッシュモード
図5bは、第2の動作モード、100%フレッシュモードを示す。このモードでは、暖房、換気、および/または空調装置に外気を供給するように、外気FEのみが送風機1内へ引き込まれる。そのような動作モードは、例えば、外気が加熱される際(例えば、冬または季節の半ば)において使用されてよく、同時にあまりに多くの曇りがフロントガラス上に形成されるのを防いでよい。
【0117】
この動作モードでは、同軸フラップ27、28、30は、再利用空気取入口24を遮断する第2の極端位置にあり、外気取入口26は覆われないままである。
【0118】
その方法では、外気の気流FEは、送風機1内を流れることができる。その一方で、再利用空気の気流FRは、送風機1内を流れることができない。
【0119】
この場合、
図1~
図3をさらに参照すると、外気取入口26を介して入る外気の気流FEは、追加の分割仕切り39、フィルタ35、分割仕切り14、タービン2の下方部分5を通り、ダクト18に入り、このダクト18は、例えばフロントガラスからいくらか離れて、車両室内に開口している。
【0120】
同時に、外気の気流FEはまた、分割仕切り14の外側を介して、タービン2の上方部分6へ流れ、ダクト19に入り、このダクト19は、例えばフロントガラスに直接面するためその近くにおいて、車両室内に開口している。
【0121】
簡単に言うと、外気の気流FEは、室内に通じる前に、第1の通流ダクトおよび第2の通流ダクトの両方を通って流れる。
【0122】
50/50モード
図5cは、50/50の第3の動作モードを示している。このモードでは、暖房、換気、および/または空調装置に外気および再利用空気を供給するように、外気FEおよび再利用空気FRが送風機1内へ引き込まれる。送風機1は、2つの異なる気流を生成することができる。そのような動作モードは、例えば、空気が加熱される際(例えば、冬または季節半ば)において使用されてよく、設定点温度に達するのにかかる時間を減少させることができ、室内から引き込まれる空気の温度は、外気の温度よりも高いが、フロントガラス上にあまりに多くの曇りを形成することがない。
【0123】
この動作モードの場合、空気誘導部材は、第1の気流、この例では再利用空気の気流FRが、第1の空気通流ダクト内へ向けられることを可能にし、また、第2の気流、この例では外気の気流FEが第2の空気通流ダクト内へ向けられることを可能にする。
【0124】
この動作モードでは、中央フラップ27は、外気取入口26を遮断する第1の極端位置にある。側方フラップ28、30は、再利用空気取入口24を遮断する第2の極端位置にある。
【0125】
その態様では、外気の気流FEは、外気取入口29を通じて送風機1内を流れて、分割仕切り14の外側の方へ誘導され得る。また、再利用空気の気流FRも、中央フラップ27を通じて送風機1内へ流れることができ、この中央フラップ27が、再利用空気の気流FRを追加の分割仕切り39の内側および次いで分割仕切り14の内側の方へ案内する。
【0126】
この動作モードでは、気流は、再利用空気の気流FRである中央流、および外気の気流FEである周囲流へと分割される。
【0127】
したがって、
図1~
図3をさらに参照すると、再利用空気の気流FRは、追加の分割仕切り39、フィルタ35、分割仕切り14、およびタービン2の下方部分5を通過し、ダクト18に入り、このダクト18は、例えばフロントガラスからいくらか離れて車両室内に開口している。同時に、外気の気流FEは、分割仕切り14の外側を介して、タービン2の上方部分6へ流れ、ダクト19に入り、このダクト19は、例えばフロントガラスの近くの、またはそれに直接面する、車両室内に開口している。
【0128】
この配置により、とりわけ分割仕切り14を補足する、3つの同軸フラップ27、28、30は、空気取入ハウジングを、同軸フラップ27、28、30および追加の分割仕切り39によって分離される3つの別個の部分に区分化する(仕切る)。同軸フラップ27、28、30は、気流を分離するための仕切りの数を制限することを可能にする。
【0129】
さらに、分割仕切り14の上流端141は、この区分化を最適化するように、先行技術の解決策と比較して、およそ90°回される。したがって、上流端141は、空気取入ハウジング121の深さの方向に延在し、この方向はまた、フィルタ35が提供されるときには、先行技術の解決策にあるようにフィルタ35の長さの方向ではなく、フィルタ35の幅の方向に対応する。
【0130】
最後に、この解決策に従う分割仕切り14、19によって得られる区分化は、気流が異なるときに気流間の混同を制限し、したがって50/50動作モードにおける曇りのリスクを低減することを可能にする。