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特許7245918サルササポゲニン構造に基づく誘導体、医薬組成物及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】サルササポゲニン構造に基づく誘導体、医薬組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07J 71/00 20060101AFI20230316BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
C07J71/00 CSP
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P27/02
A61P25/00
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/28
A61P37/02
A61K31/58
A61P43/00 121
A61K39/395 T
A61K39/395 N
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021542240
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2019086530
(87)【国際公開番号】W WO2020062883
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】201811145429.4
(32)【優先日】2018-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521129668
【氏名又は名称】フィトベント バイオファルマ
【氏名又は名称原語表記】PHYTOVENT BIOPHARMA
【住所又は居所原語表記】Suite 2404G, 24th Floor, HaiAnHuanQing Center, No 24 Futian Avenue, Xuzhen Zone, Futian Sub-district, Futian District, Shenzhen City, Guangdong 518016, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムー,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ナー
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/121770(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106977581(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J 71/00
A61K 45/00
A61K 31/58
A61K 39/395
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式が一般式I
【化1】
(そのうち、Zは単複素環、二複素環又はNRであり、単複素環又は二複素環中のヘテロ原子が硫黄、酸素、NH又はNRのうちの1つ又は2つであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、置換又は無置換のC-C10アルキル基であり、若しくはR及びRは一緒に3~8員環を形成し、前記3~8員環はC-C10アルキル基、C-C10シクロアルキル基、C-C20アリール基、又はC-C14ヘテロアリール基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF、-SF又はヘテロ原子が硫黄、酸素、NH又はNRである3~8員複素環から選ばれる1つ、又は複数の置換基を含み、
は独立してH、若しくは、非置換又は少なくとも1つの置換基を含むC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基であり、ここでの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 又は-SF を含み、
はC(O)又はS(O)であり
YはC(R)(R)、C(O)又はS(O)であり、 及びR は独立して非置換又は少なくとも1つの置換基を含むC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基であり、ここでの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 又は-SF を含み、又は及びRは一緒に3~8員環又はヘテロ原子が硫黄、酸素、NH又はNRである3~8員複素環を形成し
nは0~10の整数であり且つnは0でなくmは1であり、又は
nは0であり且つmは1であり、又は
nは0~10の整数であり且つnは0でなくmは0である。)
で示される、サルササポゲニン構造に基づく誘導体。
【請求項2】
構造式が前記一般式I中、
YはC(R )(R )、C(O)又はS(O) であり、R 及びR は独立して非置換又は少なくとも1つの置換基を含むC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基であり、ここでの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 又は-SF を含み、R 及びR は一緒に3~8員環又はヘテロ原子が硫黄、酸素、NH又はNR である3~8員複素環を形成するものであることと特徴とする請求項1に記載のサルササポゲニン構造に基づく誘導体。
【請求項3】
構造式が一般式II
【化2】
(そのうち、R 及びR は、それぞれ独立して、水素、置換又は無置換のC -C 10 アルキル基であり、若しくはR 及びR は一緒に3~8員環を形成し、前記3~8員環はC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 、-SF 又はヘテロ原子が硫黄、酸素、NH又はNR である3~8員複素環から選ばれる1つ、又は複数の置換基を含み、R は非置換又は少なくとも1つの置換基を含むC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基であり、ここでの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 又は-SF を含み、
YはC(R )(R )、C(O)又はS(O) であり、R 及びR は独立して非置換又は少なくとも1つの置換基を含むC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基であり、ここでの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 又は-SF を含み、R 及びR は一緒に3~8員環を形成するものであり、
nは0~10の整数である。
で示されることを特徴とするサルササポゲニン構造に基づく誘導体。
【請求項4】
構造式が一般式III
【化3】
(そのうち、R 及びR は、それぞれ独立して、水素、置換又は無置換のC -C 10 アルキル基であり、若しくはR 及びR は一緒に3~8員環を形成し、前記3~8員環はC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 、-SF 又はヘテロ原子が硫黄、酸素、NH又はNR である3~8員複素環から選ばれる1つ、又は複数の置換基を含み、R は非置基又は少なくとも1つの置換基を含むC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基であり、ここでの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 又は-SF を含み、
nは0~10の整数である。
で示されることを特徴とするサルササポゲニン構造に基づく誘導体。
【請求項5】
構造式が一般式IV
【化4】
(そのうち、R 及びR は、それぞれ独立して、水素、置換又は無置換のC -C 10 アルキル基であり、若しくはR 及びR は一緒に3~8員環を形成し、前記3~8員環はC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 、-SF 又はヘテロ原子が硫黄、酸素、NH又はNR である3~8員複素環から選ばれる1つ、又は複数の置換基を含み、R は非置換又は少なくとも1つの置換基を含むC -C 10 アルキル基、C -C 10 シクロアルキル基、C -C 20 アリール基、又はC -C 14 ヘテロアリール基であり、ここでの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF 又は-SF を含み、
nは0~10の整数である。
で示されることを特徴とするサルササポゲニン構造に基づく誘導体。
【請求項6】
以下の化合物、以下の化合物のジアステレオマー混合物又は以下の化合物のエナンチオマーのうちの1種である、ことを特徴とするサルササポゲニン構造に基づく誘導体。
【化5】
【化6】
【化7】
【請求項7】
1つ又は複数の水素原子が重水素原子である、ことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のサルササポゲニン構造に基づく誘導体。
【請求項8】
の成分又は第1の成分と第2の成分の組み合わせと薬学的に許容される担体とを含み、
前記第1の成分は請求項1~のいずれかに記載のサルササポゲニン構造に基づく誘導体、又はその薬学的に許容される塩、立体異性体又は互変異性体、並びに、薬学的に許容される担体であり、
前記第2の成分は、化学療法薬、腫瘍標的治療薬又は腫瘍治療抗体薬のうちの1種又は複数種を含む抗腫瘍薬である、ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項9】
前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メシル酸塩、ベシル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、1-ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、フェニル酢酸塩又はマンデル酸塩から選ばれる1種又は複数種であり、
前記抗腫瘍薬は、PD-1抗体、CTLA-4抗体、PD-L1抗体又はPD-L2抗体のうちの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項又はに記載の医薬組成物の、癌、目の疾患、精神障害、うつ病、不安、アルツハイマー病及び/又は自己免疫疾患を治療する医薬品の製造における使用。
【請求項11】
前記癌は、結腸癌、乳癌、胃癌、肺癌、大腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、脳癌、黒色腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、血液腫瘍、若しくはリンパ腫又は腫瘍原発部位から離れたほかの組織又は器官への転移性病変である、ことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年9月29日に提出した出願番号201811145429.4の中国特許出願の優先権を主張し、その内容を本願に引用導入する。
本発明は、医薬の技術分野に関し、特に医薬品の化学合成分野に関し、具体的には、サルササポゲニン構造に基づく誘導体、その医薬組成物及びその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハナスゲは、中国でよくみられる漢方薬の1種であり、リリア科植物であるハナスゲAnemarrhena asphodeloides Bungeの乾燥塊茎であり、体内の熱を取り除き、邪気を追い出し、体の浮腫を解消するという効果を有し、一般的な滋陰薬の1種である。その抽出物は利尿、抗糖尿病、抗血小板凝集、抗真菌などの生物学的活性があることが確認されており、そして環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼに対する阻害作用も示している。
【0003】
癌は現在、人間の健康を危険にさらす最も重要な病気の1つであり、世界中の人間の死亡の約15%は癌が原因である。現在、癌の治療手段は主に手術切除、放射線療法、化学療法又はこれらの方法の併用があるが、化学療法が主である。癌の発症及び進行は外部の環境要因と遺伝物質との相互作用の結果である。悪性腫瘍の発症及び進行の重要な基礎は細胞の制御できない増殖と転移性拡散であり、したがって、細胞のアポトーシス経路と放出を制御することで腫瘍疾患を治療するという目的を達成させることができ、これは、現在の癌治療の重要な手段の1つである。多数の領域の発展に伴い、抗癌薬の種類が明らかに増えていき、細胞毒性薬、ホルモン薬、生物学的応答調節剤、モノクローナル抗体薬などがある。効率が高くて選択性が高く、毒性が低くて薬剤耐性がなく、緊急に必要とされる新しい抗癌薬を見つけることは、依然として非常に困難であり、非常に緊急である。中国には豊富な漢方薬資源があり、カンプトテシンなどの天然物も抗腫瘍治療に使われている。ステロイドサポニンは、抗菌、抗ウイルス、抗真菌、抗炎症活性、さらには抗血小板凝集、抗糖尿病や良好な細胞毒性などの様々な活性を有することが証明されている。
【0004】
悪性腫瘍細胞の正常表現型への分化誘導は腫瘍治療の新しい手段の1つであり、低毒性で高効率な分化誘導剤を探すことは分化誘導治療の肝心な点である。ジンセノサイドなどの一部の天然物は、白血病細胞、奇形腫細胞、肝がん細胞など、様々な悪性細胞の表現型逆転を誘導することができる。これは天然物が癌細胞の誘導分化において一定の応用将来性があることを示している。
【0005】
したがって、抗癌薬の調製に用いられるサルササポゲニン構造の誘導体は非常に実用的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の欠陥を解決するためになされたもので、サルササポゲニン構造に基づく誘導体を提供し、また、サルササポゲニン構造に基づく誘導体の合成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成させるためになされた、本発明の第1の態様は、下記一般式(I)を有する化合物であるサルササポゲニン構造に基づく誘導体を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
(そのうち、Zは単複素環、二複素環又はNRであり、前記単複素環、二複素環中のヘテロ原子は硫黄、酸素、NH又はNRのうちの1つ又は2つであり、R及びRはそれぞれ独立して水素、置換又は無置換のC-C10アルキル基であり、若しくはR及びRは一緒に3~8員環を形成し、該3~8員環は1つ、又は複数の置換基により置換されてもよく、置換基はC-C10アルキル基、C-C10シクロアルキル基、C-C20アリール基、又はC-C14ヘテロアリール基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF、-SF又は3~8員複素環から選ばれ、ヘテロ原子は硫黄、酸素、NH又はNRであり、
XはC(R)(R)、C(O)又はS(O)であり、R及びRは一緒に3~8員炭素環又はヘテロ原子が硫黄、酸素、N、NH又はNRである3~8員複素環を形成し、該環は1つ、又は複数の置換基により置換されてもよく、置換基はC-C10アルキル基、C-C10シクロアルキル基、C-C20アリール基、又はC-C14ヘテロアリール基、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF、-SF又はヘテロ原子がO、S、NRのうちの1つ又は2つである3~8員複素環から選ばれ、
YはC(R)(R)、C(O)又はS(O)であり、R及びRは一緒に3~8員環又は3~8員複素環を形成し、ヘテロ原子は硫黄、酸素、NH又はNRであり、
、R、R、R、Rは独立してH、若しくは、非換又は少なくとも1つの置換基で置換された-C10アルキル基、C-C10シクロアルキル基、C-C20アリール基、又はC-C14ヘテロアリール基であり、ここでの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、カルボキシ基、アルコキシ基、-CF、-SFを含み、
及びRは1つの化学結合を介して連結されてもよく、
nは0~10の整数であり、
mは0又は1である。)
【0010】
好ましくは、前記誘導体の構造式は一般式IIで示される。
【化2】
(式中、Y、R、R、nは上記と同義である。)
【0011】
好ましくは、前記誘導体の構造式は一般式IIIで示される。
【化3】
(式中、R、Rは上記と同義である。)
【0012】
別の好適例では、前記誘導体の構造式は一般式IVで示される。
【化4】
(式中、R、Rは上記と同義である。)
【0013】
好ましくは、前記誘導体は以下の化合物、以下の化合物のジアステレオマー混合物又は以下の化合物のエナンチオマーのうちの1種である。
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】
好ましくは、前記誘導体は、その任意の1つ、又は複数の水素原子がその安定的な同位体である重水素により置換されて生成された対応する重水素化化合物である。
【0017】
本発明の別の態様は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、上記一般式I化合物、その薬学的に許容される塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ又はその薬学的に許容される担体を含み、好ましくは、抗腫瘍薬をさらに含み、前記抗腫瘍薬は化学療法薬、腫瘍標的治療薬又は腫瘍治療抗体薬のうちの1種又は複数種を含む。
【0018】
好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メシル酸塩、トリフルオロメシル酸塩、ベシル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、1-ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩からなる群から選ばれる。
【0019】
好ましくは、前記抗腫瘍薬は、癌の免疫治療薬としてPD-1抗体、CTLA-4抗体、PD-L1抗体、PD-L2抗体、任意の1種の他の化学療法薬又は標的治療薬、たとえばキナーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0020】
本発明は、前記化合物の、癌、目の疾患、精神障害、うつ病、不安、アルツハイマー病及び/又は自己免疫疾患の治療における使用をさらに提供する。
【0021】
好ましくは、前記癌は、結腸癌、乳癌、胃癌、肺癌、大腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、脳癌、黒色腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、血液腫瘍、リンパ腫を含むが、これらに限定されず、腫瘍の原発部位から離れた組織又は器官への転移性病変も含まれる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のサルササポゲニン構造に基づく誘導体、医薬組成物及びその使用を採用し、サルササポゲニン構造に対して体系的な修飾及び誘導化を行い、関連する腫瘍細胞阻害活性のテストと組み合わせたところ、意外なことに、多数の誘導化合物が優れた腫瘍細胞阻害活性を有し、特に多数の脳腫瘍細胞の成長に対しては予想外に高い阻害活性を有し、このため、多数の癌の治療において潜在的に幅広い用途及び巨大な価値があり、サルササポゲニン構造に修飾された誘導体についての従来技術における不備を補い、重要な科学的及び商業的応用価値がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の技術内容を明確に理解するために、以下、本発明の具体的な実施方法をさらに説明する。
【0024】
本発明における用語「アルキル基」とは、一価飽和脂肪族炭化水素基を意味し、1~10個の炭素原子を有し、直鎖と分岐鎖状の炭化水素基、たとえばメチル基(CH-)、エチル基(CHCH-)、n‐プロピル基(CHCHCH-)、イソプロピル基((CHCH-)、n-ブチル基(CHCHCHCH-)、イソブチル基((CHCHCH-)、s-ブチル基((CH)(CHCH)CH-)、t-ブチル基((CHC-)((CHC-)、n-ペンチル基(CHCHCHCHCH-)、ネオペンチル基(CHCCH-)を含む。
【0025】
本発明において、用語「アルキル基」は置換又は無置換のアルキル基を含む。
【0026】
本発明において、用語「置換又は無置換の」とは、前記基が無置換であるか、若しくは前記基中のHが1つ、又は複数の(好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個)置換基によって置換されることを意味する。
【0027】
本発明において、前記「置換の」とは、前記基が、ハロゲン、ヒドロキシ基、-NH、ニトロ基、-CN、C-Cアルキル基、C-Cハロアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cシクロアルキル基、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、フェニル基、ベンジル基からなる群から選ばれる1つ、又は複数の(好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個)置換基を有することを意味する。
【0028】
本発明において、用語「シクロアルキル基」とは、置換又は無置換のC-C12シクロアルキル基を示す。
【0029】
本発明において、用語「アルコキシ基」とは、-0-アルキル基を指し、ここで、前記アルキル基は飽和又は不飽和であってもよく、分岐鎖、直鎖、又は環状であってもよい。好ましくは、前記アルコキシ基は、1~10個の炭素原子を有し、より好ましくは、1~6個の炭素原子を有する。代表的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0030】
本発明において、「アリール基」という用語は、炭素数6~20(好ましくは6~14)の一価芳香族炭素環基を意味し、単環(たとえばフェニル基)又は縮合環(たとえばナフチル基、アントラニル基)を有し、その連結点が芳香族炭原子上にある場合、縮合環は非芳香族(たとえば2-ベンゾアゾロン、2H-1,4-ベンゾアジン-3(4H)-オン-7-イルなど)であってもよい。好ましいアリール基は、フェニル基、ナフチル基を含む。この用語は置換又は無置換の形態を含み、ここで、置換基は上記と同義である。
【0031】
本発明において、「アルケニル基」という用語は、2~10(たとえば、2~6又は2~4)個の炭素原子を有し、少なくとも1(たとえば、1~2)個の不飽和オレフィン結合(>C=C<)を有するアルケニル基を意味する。このような基としては、たとえば、ビニル基、アリル基、ブタ-3-エニル基が挙げられる。
【0032】
本発明において、「シクロアルキル基」という用語は、3~10個の炭素原子を有し、単環又は多環(縮合系、橋環系及びスピロ環系を含む)を有する環状アルキル基を意味する。縮合環系では、連結部位がシクロアルキル基を通る環である限り、1つ、又は複数の環がシクロアルキル基、複素環、アリール基又はヘテロアリール基であってもよい。適切なシクロアルキル基の例としては、たとえば、アダマンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロオクチル基などが含まれる。
【0033】
本発明において、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を意味する。
【0034】
本発明において、「ヘテロアリール基」という用語は、環内に1~10個の炭素原子と、酸素、窒素及び硫黄から選ばれる1~4個のヘテロ原子とを有する芳香族基であり、このようなヘテロアリール基は、単環(たとえば、ピリジル基、フリル基)又は縮合環(たとえば、インダジニル基(indolizinyl)又はベンゾチエニル基)であってもよく、前記縮合環は、連結点が芳香族ヘテロアリール基を通る原子である限り、非芳香族であってもよく、及び/又は、1つのヘテロ原子を含んでいてもよい。一実施例では、ヘテロアリール基の環原子窒素及び/又は硫黄は任意的にN-オキシド(N-O)、スルフィニル基又はスルホニル基に酸化されてもよい。ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピロリル基、インドリル基、チエニル基及びフリル基が好ましい。この用語には、置換又は非置換のヘテロアリール基が含まれる。
【0035】
本発明において、「置換ヘテロアリール基」という用語は、置換アリール基と同一の置換基から選ばれる1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個の置換基で置換されたヘテロアリール基を意味する。
【0036】
本発明において、「複素環」又は「複素環式」又は「複素環式アルキル基」又は「複素環基」という用語は、飽和、部分的飽和又は不飽和の基(ただし芳香族ではない)を意味し、それは、単環又は縮合環(架橋環系及びスピロ環系を含む)を有し、環内に1~10個の炭素原子と、窒素、硫黄又は酸素から選ばれる1~4個(たとえば3個)のヘテロ原子とを有し、縮合環系では、連結点が非芳香族環を通る限り、1つ、又は複数の環はシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であってもよい。一実施例では、複素環基の窒素原子及び/又は硫黄原子は任意的に酸化され、N-オキシド、スルフィニル基及びスルホニル基部分を提供するようにする。
【0037】
本発明において、「置換複素環の」又は「置換複素環式アルキル基」又は「置換複素環基」という用語は、置換複素環アルキルで定義される置換基と同一の1~5個(たとえば1~3個)の置換基で置換された複素環基を意味する。
【0038】
本発明において、「立体異性体」という用語は、立体中心のキラルが異なる1つ、又は複数の化合物を意味する。立体異性体には、エナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。
【0039】
本発明において、「互変異性体」という用語は、エノール-ケトン及びイミン-エナミン互変異性体のようなプロトン位置の異なる化合物の代替形態、又はピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール及びテトラゾールのような環の-NH部分とN部分に連結した環原子を含むヘテロアリール基の互変異性体を意味する。
【0040】
本発明は、安全有効量の範囲内の活性成分と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0041】
本発明の「活性成分」とは、本発明の一般式(I)化合物又はその薬学的に許容される塩、その立体異性体若しくは互変異性体、又はそのプロドラッグを意味する。
【0042】
本発明に記載の「活性成分」及び医薬組成物は、IDO阻害剤として有用である。別の好適例では、腫瘍を予防及び/又は治療する医薬品の製造に用いられる。別の好適例では、IDOを介する疾患を予防及び/又は治療する医薬品の製造に用いられる。
【0043】
「安全有効量」とは、重篤な副作用を生じさせずに症状を明らかに改善する程度の量である。通常、医薬組成物は、1~2000mg活性成分/ドース、より好ましくは、10~200mg活性成分/ドースを含有する。好ましくは、前記「ドース」は1つの錠剤である。
【0044】
「薬学的に許容される担体」とは、1つ、又は複数の相溶性の固体又は液体の充填剤又はゲル状物質であり、それらは人が使用するのに適しており、十分な純度と毒性が十分に低い必要がある。「相溶性」とは、組成物中の各成分が、活性成分の薬効を明らかに低下させることなく本発明の活性成分と相互に配合することができることを意味する。
【0045】
本発明の好ましい実施例の化合物は、単独の活性薬剤として投与してもよく、癌を治療するための1つ、又は複数の他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。
【0046】
本発明の好ましい実施例の化合物は、公知の治療剤及び抗癌剤と組み合わせて使用することも有効であり、現在、公知の化合物と他の抗癌剤又は化学療法剤との組み合わせは、好ましい実施例の範囲内である。このような薬剤の例は『癌の原理と実践腫瘍学』(Cancer Principles and Practice of Oncology),V.T.DevitaとS.Hellman(編者),第6版(2001年2月15)日),Lippincott Williams Wilkins出版社に記載されている。当業者は、薬剤の特殊な性質及び関与する癌に応じて、有効な薬剤の組み合わせを同定することができる。この抗癌剤には、エストロゲン受容体調節剤、アンドロゲン受容体調節剤、レチノール受容体調節剤、細胞傷害/細胞増殖阻害剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質転移酵素阻害剤、アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤及びその他の血管新生阻害剤、細胞増殖・生存シグナル阻害剤、アポトーシス誘導剤及び細胞周期チェックポイント(cell cycle checkpoint)妨害剤、CTLA4抗体、PD-1抗体、PD-L1抗体などが含まれる(ただし、これらに限定されない)。好ましい実施例の化合物は、放射線療法と同時に投与された場合にも有効である。
【0047】
一般に、好ましい実施例の化合物は、同様の作用を有する薬剤のいずれかの許容される手段により、治療有効量で投与される。好ましい実施例の化合物(すなわち活性成分)の実際の用量は、治療されるべき疾患の重症度、患者の年齢及び相対的な健康度、使用される化合物の効力、投与経路及び形態、ならびに他の要因など、複数の要因に基づいて決定される。この医薬品は、1日に複数回、好ましくは1日に1回又は2回投与することができる。これらすべての要因は主治医の考慮の範囲内にある。
【0048】
好ましい実施例の目的に応じて、治療有効用量は、一般に、患者に1回投与又は分割投与される場合の1日の総用量、たとえば、1日約0.001~約1000mg/kg体重、好ましくは1日約1.0~約30mg/kg体重とすることができる。単位用量組成物(Dosage unit composition)は、その用量係数を含んで1日の用量を形成することができる。剤形の選択は、投与パターンや薬物物質のバイオアベイラビリティーなどの様々な要因に依存する。一般に、好ましい実施例の化合物は、経口、全身投与(たとえば、経皮、鼻内、又は坐剤経由)、又は非経口投与(たとえば、筋内、静脈内、又は皮下)のいずれかの経路で医薬組成物として投与され得る。好ましい投与方法は経口投与であり、苦みの程度に応じて都合のよい日量を調節することができる。組成物は、錠剤、丸薬、カプセル剤、半固体、散剤、徐放性製剤、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エアゾール剤、又は他の適切な組成物の形態をとることができる。好ましい実施例の化合物を投与する別の好ましい態様は吸入である。これは、治療薬を気道に直接輸送するための効果的な方法である(米国特許第5,607,915号を参照)。
【0049】
適切な薬学的に許容される担体又は賦形剤は、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、グルコース、ヒドロキシプロピル-B-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス、イオン交換樹脂などの処理剤、医薬品送達用改質剤や促進剤、及びこれらの任意の2種以上(2種含む)の組み合わせを含む。液体及び半固体の賦形剤は、グリセリン、プロピレングリコール、水、エタノール、及び石油、動物油、植物油、又は落花生油、豆油、鉱油、ゴマ油などの合成由来を含む種々の油から選択されてもよい。好ましい液体担体、特に注射可能な溶液用の担体は、水、塩水、グルコース水性溶液、及びエチレングリコールを含む。他の適切な薬学的に許容される賦形剤は『レミントン薬物科学』(Remington’s Pharmaceutical Sciences),Mack Pub.Co.,ニュージャージー(1991)に記載されており、引用により本文に組み入れられる。
【0050】
本発明において、「薬学的に許容される塩」という用語は、一般式I化合物の非毒性の酸又はアルカリ土類金属塩を意味する。これらの塩は、一般式I化合物を最終的に分離して精製する際にその場で製造することができ、又はそれぞれ適切な有機酸又は無機酸又は塩基を塩基性又は酸性官能基と反応させることによって製造することができる。代表的な塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、カンフル酸塩、カンフルスルホン酸塩、ジグルコシル酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ラウリル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、カプロン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフチルスルホン酸塩、シュウ酸塩、ジヒドロキシナフトエ酸塩、ペクチン酸塩、チオシアン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びウンデカン酸塩を含むが、これらに限定されない。さらに、窒素を含む塩基性基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の塩化物、臭化物やヨウ化物などのハロゲン化アルキル基;ジメチル基、ジエチル基、ジブチル基やジペンチル硫酸エステルなどのジアルキル硫酸塩;デシル基、ラウリル基、ミリスチン基やステアリル基の塩化物、臭化物やヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物;ベンジル基、フェネチル臭化物などのアラルキルハライドという試薬によって第4級アンモニウム塩化されてもよい。これにより、水溶性又は油溶性又は分散性の製品が得られる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するために使用され得る酸の例としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、シュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸が含まれる。塩基性付加塩は、一般式I化合物を最終的に分離して精製する際にその場で製造することができ、又はカルボン酸部分をそれぞれ適切な塩基(たとえば、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩)又はアンモニア、又は有機第1級、第2級、又は第3級アミンと反応させることにより製造することができる。薬学的に許容される塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属に基づくカチオン、並びにアンモニア、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むが、これらに限定されない非毒性アンモニウム、第4級アンモニウム及びアミンカチオンを含むが、これらに限定されない。塩基性付加塩を形成するために使用される他の代表的な有機アミンとしては、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが含まれる。
【0051】
本発明において、「薬学的に許容されるプロドラッグ」という用語は、インビボで上記一般式で示される親化合物に速やかに変換される化合物、たとえば血液中で加水分解される化合物のような好ましい実施例のプロドラッグを意味する。完全な議論は「T.HiguchiとV.Stella,新型送達システムとしてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Delivery Systems),A.C.S.15 Symposium Series 14巻」と「Edward B.Roche編,医薬品設計における生物学的可逆性担体(Bioreversible Carriers in Drug Design),米国薬学協会とPergamon出版社,1987年」に掲載されており、両者はともに参照として本明細書に組み込まれている。
【0052】
本発明は、一般式(I)化合物の製造方法を提供する。2種の異なる異性体は、それぞれスキーム1とスキーム2に記載の製造方法によって得られ得る。
【0053】
ここで、スキーム1は以下のとおりである。
【化8】
【0054】
スキーム2は以下のとおりである。
【化9】
【0055】
各式中、R、R、Y、nの定義は前記の通りである。
【0056】
以下、特定の実施例にて本発明をさらに説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するために過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0057】
以下の略語は下記定義を有する。
【0058】
DBUは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンを表し、DIBALは水素化ジイソブチルアルミニウムを表し、DIADはジイソプロピルアゾジカルボキシレートを表し、DIEAはジイソプロピルエチルアミンを表し、DMAPはN,N-ジメチルアミノピリジンを表し、DMEは1,2-ジメトキシエタンを表し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し、DMPEは1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタンを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、DPPBは1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを表し、DPPEは1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを表し、DPPFは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを表し、DPPMは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンを表し、EDCは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を表し、HATUはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩を表し、HMPAはヘキサメチルホスホルアミドを表し、IPAはイソプロパノールを表し、LDAはリチウムジイソプロピルアミドを表し、LHMDSはリチウムビス(トリメチルシリル)アミドを表し、LAHはリチウムアルミニウムハイドライドを表し、NCSはN-クロロスクシンイミドを表し、PyBOPはヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムを表し、TDA-1はトリス(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アミンを表し、DCMはジクロロメタンを表し、TEAはトリエチルアミンを表し、TFAはトリフルオロ酢酸を表し、THFはテトラヒドロフランを表し、NCSはN-クロロスクシンイミドを表し、NMMはN-メチルモルホリンを表し、NMPはN-メチルピロリドンを表し、PPhはトリフェニルホスフィンを表し、RBFは丸底フラスコを表し、r.t.は室温を表す。
【0059】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されている専門用語及び科学用語は、当業者が熟知している用語と同じ意味を有する。さらに、記載された内容と類似又は均等な任意の方法や材料は、本発明の方法に適用することができる。本明細書に記載の好適な実施方法及び材料は、あくまで例示的なものである。
【実施例
【0060】
実施例1(QBHN0174)
【化10】
【0061】
QBHN0174の製造過程は、具体的には、以下のとおりである。
【0062】
第1のステップ:中間体1
【化11】
【0063】
500mL丸底フラスコに5gの原料Aを加え、100mLのアセトンで溶解し、0℃で5mL Jones Reagentを、溶液が紫赤色から緑色に変化しなくなるまで反応系に滴下し、15分間後r.t.に上昇して撹拌しながら1時間反応させ、TLCで反応終了まで検出した(PMA発色)。反応終了後、吸引濾過によりろ滓を除去し、ろ液を濃縮させ、DCMで再溶解し、2回水洗し、乾燥させて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーをして5gの白色固体製品(中間体1)を得た。
【0064】
第2のステップ:中間体2
【化12】
【0065】
100mL丸底フラスコに5gの中間体1と1.7gのNHOH・HClを加え、乾燥させた50mL ピリジンで溶解し、反応系を70℃で撹拌しながら1~2時間反応させ、TLCにより反応終了まで検出した(PMA発色)。反応終了後、溶媒を濃縮乾燥させ、DCMで再溶解し、1N HCl水溶液で2回洗浄し、乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーをして5.2g淡黄色固体である粗製品を得た。
【0066】
第3のステップ:中間体3
【化13】
【0067】
500mL丸底フラスコに5gの中間体2を加え、乾燥させた100mL MeOHで溶解し、0℃で4.2gのNiCl・6HOを加え、15分間後、2.7gのNaBHをバッチ式で加え、30分間後、r.t.に昇温し、撹拌しながら4時間反応させ、TLCにより反応終了まで検出した(PMA発色)。反応終了後、吸引濾過によりろ滓を除去し、ろ液を濃縮させ、5g白色固体製品を得た。
【0068】
第4のステップ:QBHN0174
【化14】
【0069】
丸底フラスコに、0.055gの中間体3、0.041gの3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-プロピオン酸、0.046gのEDC、0.084mLのトリエチルアミン、及び0.003gのDMAPを2mLのジクロロメタンに溶解し、常温で2時間反応させ、反応を検出した。反応終了後、飽和NHCl水溶液で2回洗浄し、乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーをして25mgの製品を得た。
【0070】
NMRデータ:1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.76 (s, 3H),0.80-2.30 (m, 36H), 2.25-2.80 (m, 11H), 3.25-4.10 (m, 2H), 4.150-4.55 (m, 2H), 8.60-8.70 (m, 5H);質量分析スペクトル:[M+1]570.5
【0071】
実施例1A(QBHN0174A)
【化15】
【0072】
QBHN0174Aの製造過程は、具体的には、以下のとおりである。
【0073】
第の1ステップ:中間体4
【化16】
【0074】
アルゴンガス保護下、0.5gのサルササポゲニン原料A、0.4gのp-ニトロ安息香酸、0.63gのPPhを乾燥させた5mLのTHFに溶解し、氷水浴にて5分間撹拌し、次にDIADを反応系に緩やかに滴下し、さらに10分間撹拌し、氷浴を除去し、常温で3時間反応させ、反応を検出した。溶剤を濃縮させ、重炭酸ナトリウム溶液/ジクロロメタンで抽出して、シリカカラムPE:EA=45:1を通して精製し、PE:EA=15:1で薄層クロマトグラフィーを行い、バニリン溶液で反応を観測した。収率55%。
【0075】
第2のステップ:中間体5
【化17】
【0076】
0.36gの中間体4と0.35gのKCOに15mLのMeOHを加え、反応系を温度55℃で一晩撹拌した。溶剤を濃縮させ、水/ジクロロメタンで抽出し、有機層を濃縮させ、生成物を得て、そのまま次のステップの反応に用い、バニリン溶液で反応を観測した。収率80%。
【0077】
第3のステップ:中間体6
【化18】
【0078】
アルゴンガス保護下、0.2gの中間体4、0.14gのフタルイミド、0.25gのPPhを乾燥させた4mLのTHFに溶解し、氷水浴にて5分間撹拌し、次に0.19gのDIADを緩やかに反応系に滴下し、さらに10分間撹拌し、氷浴を除去し、常温で3時間反応させ、反応を検出した。溶剤を濃縮させ、水/ジクロロメタンで抽出し、シリカカラムPE:EA=45:1を通して精製し、PE:EA=15:1で薄層クロマトグラフィーを行い、バニリン溶液で反応を観測し、収率は50%であった。
【0079】
第4のステップ:中間体7
【化19】
【0080】
0.13gの中間体6と0.072gのN・HOに10mLのMeOHを加え、反応系を温度55℃で一晩撹拌した。溶剤を濃縮させ、水/ジクロロメタンで抽出し、有機層を濃縮させ、生成物を得て、そのまま次のステップの反応に用い、バニリン溶液で反応を観測した。収率90%。
【0081】
第5のステップ:実施例1A(QBHN0174A)
【化20】
【0082】
アルゴンガス保護下、0.07gの中間体7、0.058gの3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-プロピオン酸、0.065gのEDC、及び0.01gのDMAPを4mLのジクロロメタンに溶解し、常温で4h反応させ、反応を検出した。重炭酸ナトリウム溶液/ジクロロメタンで抽出し、塩基性アルミナカラムPE:EA=1:1を通した。バニリン溶液で反応を観測し、収率は65%であった。
【0083】
NMRデータ:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.85 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.41 (dd, J = 13.0, 6.6 Hz, 1H), 4.18 (s, 1H),3.95 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 3.30 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.01-2.20(brs, 8H), 2.62 (d, J = 3.0 Hz, 2H), 2.39(s, 2H), 2.30 (s, 3H), 1.23-2.07 (m, 27H), 1.08 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 1.05-0.93 (m, 6H), 0.76 (s, 3H)。
【0084】
実施例1B(QBHN0174B)
【化21】
【0085】
QBHN0174Bの製造過程は、具体的には、以下のとおりである。
【0086】
第の1ステップ:中間体8
【化22】
【0087】
原料Aを出発原料として、実施例1Aの第3のステップと同じ条件で、中間体8を得て、収率は50%であった。
【0088】
第2のステップ:中間体9
【化23】
【0089】
このステップでは、中間体8を原料として、実施例1Aの第4のステップと同じ条件で、中間体9を得て、収率は90%であった。
【0090】
第3のステップ:実施例1B(QBHN0174B)
【化24】
【0091】
このステップでは、中間体9と3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-プロピオン酸を原料として、実施例1Aの第5ステップと同じ条件で、実施例1B(QBHN0174B)を得て、収率は65%であった。
【0092】
NMRデータ:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.15 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.33 (dd, J = 14.8, 7.5 Hz, 1H), 3.88 (dd, J =10.9, 2.4 Hz, 1H), 3.65 (m, 1H), 3.23 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 2.90-2.10(brs, 8H), 2.56 (t, J = 6.2 Hz, 2H),2.26 (m, 2H), 2.24 (s, 3H), 1.23-2.07 (m, 27H), 1.01 (d, J =7.1Hz, 3H), 0.95-0.83 (m, 6H), 0.69 (s,3H)。
【0093】
実施例2(QBHN0173)
【化25】
【0094】
中間体3と1-メチルピペリジン-4-ギ酸を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例2(QBHN0173)を得た。
【0095】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.75 (s, 3H), 0.80-2.70 (m, 43H), 2.95-4.00 (m, 7H), 4.40-4.55 (m, 1H), 6.05 (s, 1H);質量分析スペクトル:[M+1]541.5
【0096】
実施例3(QBHN0177)
【化26】
【0097】
中間体3とN,N-ジメチルグリシンを原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例3(QBHN0177)を得た。
【0098】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.76 (s, 3H), 0.80-2.20 (m, 36H), 2.29 (s, 3H), 2.31 (s, 3H), 2.80-3.00 (m, 2H), 3.20-3.35 (s, 1H), 3.85-4.40 (m, 3H), 7.10-7.40 (m, 1H);質量分析スペクトル:[M+1]501.3
【0099】
実施例4(QBHN0178)
【化27】
【0100】
中間体3とN,N-ジメチル-B-アラニンを原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例4(QBHN0178)を得た。
【0101】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.76 (s, 3H), 0.80-2.20 (m, 36H), 2.32 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 2.45-2.70 (m, 4H), 3.25-3.40 (m, 1H)、 3.80-4.45 (m, 3H), 8.90-9.10 (m, 1H);質量分析スペクトル:[M+1]515.3
【0102】
実施例4A(QBHN0178A)
【化28】
【0103】
中間体7とN,N-ジメチル-B-アラニンを原料として、実施例1Aの第5のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例4A(QBHN0178A)を得た。
【0104】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.20 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.41 (dd, J = 14.1, 7.6 Hz, 1H), 4.19 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 11.0, 2.5 Hz, 1H), 3.30 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 2.59-2.50 (m, 2H), 2.38-2.33 (m, 2H), 2.30 (s, 6H), 1.23-2.07 (m, 27H), 1.08 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.02-0.92 (m, 6H), 0.76 (s, 3H).
【0105】
実施例4B(QBHN0178B)
【化29】
【0106】
中間体9とN,N-ジメチル-B-アラニンを原料として、実施例1Aの第5のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例4B(QBHN0178B)を得た。
【0107】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.77 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.41 (dd, J = 14.1, 7.5 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 10.9, 2.3 Hz, 1H), 3.78-3.65 (m, 1H), 3.30 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 2.53 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.32 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.27 (s, 6H), 1.23-2.07 (m, 27H), 1.08 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 1.02-0.93 (m, 6H), 0.76 (s, 3H).
【0108】
実施例5(QBHN0180)
【化30】
【0109】
中間体3と3-oxo-3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピオン酸を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例5(QBHN0180)を得た。
【0110】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.76 (s, 3H), 0.80-2.20 (m, 36H), 2.40(s, 3H)、2.55-2.70 (m, 4H), 3.25-4.20 (m, 9H), 4.45-4.55 (m, 1H);質量分析スペクトル:[M+1]584.3
【0111】
実施例6(QBHN0185)
【化31】
【0112】
中間体3と3-oxo-3-(1-メチルピペラジン-4-アミノ)プロピオン酸を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例6(QBHN0185)を得た。
【0113】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.76 (s, 3H), 0.80-2.20 (m, 40H), 2.75-3.70 (m, 12H), 3.25-3.70 (m, 2H), 3.84 - 4.40 (m, 3H), 7.60-7.80 (m, 5H);質量分析スペクトル:[M+1]598.3
【0114】
実施例7(QBHN0186)
【化32】
【0115】
中間体3と3-oxo-3-(1-メチルピペリジン-4-メチルアミノ)プロピオン酸を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例7(QBHN0186)を得た。
【0116】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.76 (s, 3H), 0.80-2.30 (m, 41H), 2.75-3.00 (m, 4H), 3.25-3.70 (m, 11H), 3.84-4.40 (m, 2H), 7.60-7.70 (m, 1H);質量分析スペクトル:[M+1]612.3
【0117】
実施例8(QBHN0187)
【化33】
【0118】
中間体3と3-oxo-3-(3-モルホリノプロピル)アミノプロピオン酸を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例8(QBHN0187)を得た。
【0119】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.75 (s, 3H), 0.80-2.30 (m, 38H), 2.45-2.60 (m, 4H), 3.25-4.00 (m, 13H), 4.10-4.55 (m, 2H), 7.60-7.80 (m, 1H);質量分析スペクトル:[M+1]628.3
【0120】
実施例9(QBHN0190)
【化34】
【0121】
中間体3と3-oxo-3-(1,4-ビスピペリジン-1-イル)プロピオン酸を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例9(QBHN0190)を得た。
【0122】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz, ppm): δ 0.76 (s, 3H), 0.80-2.30 (m, 46H), 2.55-3.60 (m, 10H), 3.75-4.55 (m, 5H), 7.20-7.40 (m, 1H);質量分析スペクトル:[M+1]652.3
【0123】
実施例10(QBHN0191)
【化35】
【0124】
中間体3と3-oxo-3-(ピペラジン-1-イル)プロピオン酸を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例10(QBHN0191)を得た。
【0125】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.77 (s, 3H), 0.80-2.20 (m, 36H), 2.85-4.00 (m, 13H), 4.40-4.55 (m, 1H), 7.40-7.40 (m, 1H);質量分析スペクトル:[M+1]570.3
【0126】
実施例11(QBHN0192)
【化36】
【0127】
中間体3と3-(ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)-3-オキソプロピオン酸(英語名:3-(hexahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-2(1H)-yl)-3-oxopropanoic acid)を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例11(QBHN0192)を得た。
【0128】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.76 (s, 3H), 0.80-2.20 (m, 38H), 2.95-4.00 (m, 13H), 4.40-4.55 (m, 1H), 7.20-7.50 (m, 2H);質量分析スペクトル:[M+1]596.4
【0129】
実施例12(QBHN0199)
【化37】
【0130】
中間体3と3-オキソ-3-(4-(2-(ピロリジン-1-イル)エチル)ピペラジン-1-イル)プロピオン酸(英語名:3-oxo-3-(4-(2-(pyrrolidin-1-yl)ethyl)piperazin-1-yl)propanoic acid)を原料として、実施例1の第4のステップに記載された実験ステップと同じ条件で、実施例12(QBHN0199)を得た。
【0131】
NMRデータ:1HNMR(CDCl3, 400MHz): δ 0.74(s, 3H), 0.80-2.30 (m, 36H), 2.45-2.80 (m, 8H), 3.25-4.00 (m, 11H), 4.10-4.45 (m, 2H);質量分析スペクトル:[M+1]667.5
【0132】
実施例13 化合物の活性テスト
CTG細胞増殖実験-チモサポニン誘導体による複数種の腫瘍細胞インビトロ成長への阻害
腫瘍細胞は、ヒトA549細胞(肺癌細胞)(ATCC、製品カタログ番号CCL-185)、HeLa細胞(子宮頸癌細胞)(ATCC、製品カタログ番号CCL-2)、HepG2細胞(肝臓癌細胞)(ATCC、製品カタログ番号HB-8065)、A375細胞(黒色腫細胞)(ATCC、製品カタログ番号CRL-1619)、MCF-7(乳癌細胞)(ATCC、製品カタログ番号HTB-22)及びU87MG(グリオーマ細胞)(ATCC、製品カタログ番号HTB-14)、LN299(ATCC、製品カタログ番号CRL-2611)、A172(ATCC、製品カタログ番号CRL-1620)、KNS-42(JCRB、製品カタログ番号IFO50356)、BE(2)-C(ATCC、製品カタログ番号CRL-2268)、U118MG(ATCC、製品カタログ番号HTB-15)、SW-1088(ATCC、製品カタログ番号HTB-12)、SH-SY5Y(CLS、製品カタログ番号300154)を含む。
【0133】
具体的な過程は以下のとおりである。
【0134】
上記の腫瘍細胞をウェルごと(1.8~15)×10個、特定の培養基を含む底透壁白の96-ウェル培養板(Corning、製品カタログ番号CLS3903)の中に接種し、37℃、5%のCOインキュベータに入れて24時間インキュベートした。
【0135】
各化合物についてDMSO(Sigma、製品カタログ番号D2650)で10mMのストック液を調整し、培地で所望の濃度(DMSO最終濃度0.2%)まで希釈した後、各ウェルに2ウェル/濃度で加え、37℃、5%COインキュベータで72時間インキュベートした。次に、各ウェルに100μLのCellTiter-Glo(登録商標)細胞活性検出試薬(Promega、製品カタログ番号G7573)を加え、振動機において10分間かけて均一に混合し、細胞を溶解した。96ウェル板を室温で10分間放置し、その発光信号を安定化させた。白色の膜を培養板の底部に貼り付け、EnSpireを使用して板を測定した。XLfitソフトウェアでデータを処理して、IC50値を得た。
【0136】
上記チモサポニン誘導体が複数種の腫瘍細胞のインビトロ成長を明らかに阻害したという実験結果を表1~2に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
表1と表2に示しているように、本発明の化合物は、複数種の腫瘍細胞の成長に対して高い阻害活性を有し、特に各種の脳腫瘍細胞(表2)に対しては幅広い阻害活性を有していた。
【0140】
この明細書において、本発明はその特定の実施例を参照して説明した。
【産業上の利用可能性】
【0141】
ただし、勿論、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなくさまざまな修正を行うことができる。したがって、明細書は説明するためのものであり、限定的なものとして見なすべきではない。