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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】クリップ及びクリップ取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/10 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
F16B19/10 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021545165
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029904
(87)【国際公開番号】W WO2021049209
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019166538
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤野 皓太
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525189(JP,A)
【文献】特開2007-56895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と、前記頭部から突出する棒状のピン部とを有する雄部材と、
取付部材に形成された取付孔に挿入されると共に内側に前記ピン部が挿入される筒状部と、前記筒状部に設けられ、前記ピン部の第1挿入位置と前記第1挿入位置よりも挿入方向奥側の第2挿入位置とで前記ピン部にそれぞれ係合する第1係合爪と、前記筒状部に設けられ、前記筒状部の内外方向へ弾性変形可能とされ、前記筒状部が前記取付孔に挿入されると前記取付孔の縁部に係合する第2係合爪と、を有する雌部材と、
を備え、
前記頭部の外形は、前記雌部材の外形よりも大きく、
前記ピン部には、前記ピン部が前記第1挿入位置にあるときに前記第2係合爪の前記筒状部内側への弾性変形を許容する許容部と、前記許容部よりも前記頭部側に位置し、前記ピン部が前記第2挿入位置にあるときに前記第2係合爪を前記筒状部内側から支持して前記第2係合爪の前記筒状部内側への弾性変形を阻止する阻止部と、が設けられている、クリップ。
【請求項2】
前記第2係合爪は、前記ピン部が前記第2挿入位置にあるときに前記阻止部によって前記筒状部外側へ向けて押し出されている、請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記頭部には、前記ピン部を取り囲む環状凸部が設けられており、
前記雌部材は、前記筒状部の挿入方向と反対側の端部から前記挿入方向と直交する方向に張り出すフランジ部と、前記フランジ部の外周から張り出し、前記ピン部が前記第2挿入位置にあるときに前記環状凸部に当接する弾性変形可能な環状の第1シール部と、前記フランジ部の外周から張り出し、前記筒状部が前記取付孔に挿入されると前記取付孔の周辺部に当接する弾性変形可能な環状の第2シール部と、を有する、請求項1又は請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
前記ピン部には、前記ピン部が前記第1挿入位置にあるときに前記第1係合爪と係合し、前記ピン部の挿入方向と反対側への移動を制限する第1被係合部と、前記ピン部が前記第2挿入位置にあるときに前記第1係合爪と係合し、前記ピン部の挿入方向と反対側への移動を制限する第2被係合部とが設けられている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のクリップ。
【請求項5】
前記筒状部には、周方向で前記第1係合爪と異なる位置に第3係合爪が設けられており、
前記ピン部には、前記第2挿入位置にあるときに前記第3係合爪と係合する第3被係合部が設けられている、請求項4に記載のクリップ。
【請求項6】
前記取付孔は、前記第2係合爪を弾性変形させずに前記筒状部を挿入可能なサイズの第1領域と、前記第1領域に隣接し、前記第2係合爪を弾性変形させることで前記筒状部を挿入可能な大きさであり前記第1領域よりもサイズが小さい第2領域と、を有し、
前記筒状部は、前記ピン部を軸として前記ピン部に対して相対回転可能とされ、
前記雌部材には、前記筒状部を回転させるための操作部が設けられており、
前記操作部が第1回転位置にあるときは前記第2係合爪が前記取付孔の前記第2領域に位置して前記第2領域の縁部と係合し、前記操作部が第2回転位置にあるときは前記第2係合爪が前記取付孔の前記第1領域に位置して前記第1領域の縁部と非係合とされている、請求項1~5のいずれか1項に記載のクリップ。
【請求項7】
取付孔が形成された取付部材と、
前記取付部材に取り付けられた請求項1~6のいずれか1項に記載のクリップと、
備えるクリップ取付構造。
【請求項8】
前記取付部材が車体であり、
前記車体に取り付けられる車両用部品を保持する保持部材に前記クリップの雄部材が複数設けられている、請求項7に記載のクリップ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クリップ及びクリップ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第5243749号公報には、雄部材と雌部材とで構成されるクリップが開示されている。このクリップでは、まず、雄部材のピン部を雌部材の筒状部に挿入して雄部材と雌部材を仮組付けし、その後、雌部材の筒状部を取付部材の取付孔へ挿入して雌部材を取付部材に仮保持させる。そして、ピン部を筒状部に対して更に挿入することで、雌部材が取付部材に保持されると共に雄部材が雌部材に組付けられて、クリップが取付部材に取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許第5243749号公報では、ピン部を筒状部に挿入して雄部材と雌部材を仮組付けし、次に、雌部材を取付部材に仮保持させ、その後、ピン部を筒状部に更に挿入して雌部材を取付部材に保持すると共に雄部材を雌部材に組付けている。このため、雄部材と雌部材とからなるクリップの取付部材への取り付け作業が煩雑化している。
【0004】
本開示は上記事実を考慮し、取付部材に簡単な作業で取り付けられるクリップ及びクリップ取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様のクリップは、頭部と、前記頭部から突出する棒状のピン部とを有する雄部材と、取付部材に形成された取付孔に挿入されると共に内側に前記ピン部が挿入される筒状部と、前記筒状部に設けられ、前記ピン部の第1挿入位置と前記第1挿入位置よりも挿入方向奥側の第2挿入位置とで前記ピン部にそれぞれ係合する第1係合爪と、前記筒状部に設けられ、前記筒状部の内外方向へ弾性変形可能とされ、前記筒状部が前記取付孔に挿入されると前記取付孔の縁部に係合する第2係合爪と、を有する雌部材と、を備え、前記頭部の外形は、前記雌部材の外形よりも大きく、前記ピン部には、前記ピン部が前記第1挿入位置にあるときに前記第2係合爪の前記筒状部内側への弾性変形を許容する許容部と、前記許容部よりも前記頭部側に位置し、前記ピン部が前記第2挿入位置にあるときに前記第2係合爪を前記筒状部内側から支持して前記第2係合爪の前記筒状部内側への弾性変形を阻止する阻止部と、が設けられている。
【0006】
第1態様のクリップでは、雄部材の頭部を押しながらピン部を雌部材の筒状部内側に第1挿入位置まで挿入すると、ピン部と第1係合爪が係合し、雄部材と雌部材が仮組付けされる。次に、雄部材の頭部を押して、雌部材の筒状部を取付部材の取付孔へ挿入する。ここで、ピン部が第1挿入位置にあるときは、ピン部の許容部によって第2係合爪の筒状部内側への弾性変形が許容されるため、筒状部が第2係合爪を超えて取付孔へ挿入される。第2係合爪が取付孔を通過した後は、第2係合爪が弾性復帰し、第2係合爪が取付孔の縁部に係合する。また、ピン部が第2挿入位置に達すると、第2係合爪がピン部の阻止部によって筒状部内側から支持されて第2係合爪の筒状部内側への弾性変形が阻止される。これにより、雌部材が取付部材に保持される。そして、ピン部が第2挿入位置にあるときは、ピン部と第1係合爪が係合し、雄部材と雌部材が組付け(本組付け)される。このようにして、クリップが取付部材に取り付けられる。
【0007】
ここで、上記クリップでは、雄部材と雌部材を仮組付けした後で、雄部材の頭部を押しながら雌部材の筒状部を取付部材の取付孔へ挿入していくことで、雌部材が取付部材に保持されると共に雄部材と雌部材が組付け(本組付け)されて、クリップが取付部材に取り付けられる。すなわち、上記クリップは、一回の押し込み作業で取付部材に取り付けることが可能になるため、簡単な作業で取付部材に取り付けることができる。
【0008】
また、上記クリップでは、雄部材の頭部の外形を、雌部材の外形よりも大きくしていることから、例えば、頭部の外形が雌部材の外形よりも小さい構成と比べて、頭部を押しやすく、ピン部の押し込み作業が容易になる。
【0009】
本開示の第2態様のクリップは、第1態様のクリップにおいて、前記第2係合爪は、前記ピン部が前記第2挿入位置にあるときに前記阻止部によって前記筒状部外側へ向けて押し出されている。
【0010】
第2態様のクリップでは、ピン部が前記第2挿入位置にあるときに阻止部によって第2係合爪が筒状部外側へ向けて押し出されるため、第2係合爪の取付孔周辺部への係合強度が向上する。
【0011】
本開示の第3態様のクリップは、第1態様又は第2態様のクリップにおいて、前記頭部には、前記ピン部を取り囲む環状凸部が設けられており、前記雌部材は、前記筒状部の挿入方向と反対側の端部から前記挿入方向と直交する方向に張り出すフランジ部と、前記フランジ部の外周から張り出し、前記ピン部が前記第2挿入位置にあるときに前記環状凸部に当接する弾性変形可能な環状の第1シール部と、前記フランジ部の外周から張り出し、前記筒状部が前記取付孔に挿入されると前記取付孔の周辺部に当接する弾性変形可能な環状の第2シール部と、を有する。
【0012】
第3態様のクリップでは、ピン部が第2挿入位置にあるときに雌部材の第1シール部が雄部材の環状凸部に当接するため、雄部材と雌部材との間が第1シール部によってシールされる。また、雌部材の筒状部が取付孔に挿入されると第2シール部が取付孔周辺部に当接するため、取付部材と雌部材との間が第2シール部によってシールされる。このため、クリップを取付部材に取り付けた状態では、第1シール部によって雄部材と雌部材との間がシールされ、第2シール部によって雌部材と取付部材との間がシールされる。すなわち、上記クリップは、簡単な作業で取付部材に取り付けることができ、さらにシール性能も確保できる。
【0013】
本開示の第4態様のクリップは、第1態様~第3態様のいずれか一態様のクリップにおいて、前記ピン部には、前記ピン部が前記第1挿入位置にあるときに前記第1係合爪と係合し、前記ピン部の挿入方向と反対側への移動を制限する第1被係合部と、前記ピン部が前記第2挿入位置にあるときに前記第1係合爪と係合し、前記ピン部の挿入方向と反対側への移動を制限する第2被係合部とが設けられている。
【0014】
第4態様のクリップでは、ピン部が第1挿入位置にあるときには、第1係合爪と第1被係合部とが係合するため、ピン部の挿入方向と反対側への移動が制限される。すなわち、ピン部が第1挿入位置にあるときには、第1係合爪と第1被係合部との係合により、ピン部が筒状部内に保持される。
そして、上記クリップでは、ピン部が第2挿入位置にあるときには、第1係合爪と第2被係合部とが係合するため、ピン部の挿入方向と反対側への移動が制限される。すなわち、ピン部が第2挿入位置にあるときには、第1係合爪と第2被係合部との係合により、ピン部が筒状部内に保持される。
【0015】
本開示の第5態様のクリップは、第4態様のクリップにおいて、前記筒状部には、周方向で前記第1係合爪と異なる位置に第3係合爪が設けられており、前記ピン部には、前記第2挿入位置にあるときに前記第3係合爪と係合する第3被係合部が設けられている。
【0016】
第5態様のクリップでは、筒状部には、周方向で第1係合爪と異なる位置に第3係合爪が設けられており、ピン部が第2挿入位置にあるときに第3係合爪がピン部に設けられた第3被係合部に係合するため、ピン部の筒状部からの抜け出しが更に抑制される。
【0017】
本開示の第6態様のクリップは、第1態様~第5態様のいずれか一態様のクリップにおいて、前記取付孔は、前記第2係合爪を弾性変形させずに前記筒状部を挿入可能なサイズの第1領域と、前記第1領域に隣接し、前記係合爪を弾性変形させることで前記筒状部を挿入可能な大きさであり前記第1領域よりもサイズが小さい第2領域と、を有し、前記筒状部は、前記ピン部を軸として前記ピン部に対して相対回転可能とされ、前記雌部材には、前記筒状部を回転させるための操作部が設けられており、前記操作部が第1回転位置にあるときは前記第2係合爪が前記取付孔の前記第2領域に位置して前記第2領域の縁部と係合し、前記操作部が第2回転位置にあるときは前記第2係合爪が前記取付孔の前記第1領域に位置して前記第1領域の縁部と非係合とされている。
【0018】
第6態様のクリップでは、クリップを取付部材に取り付けた状態、すなわち、操作部が第1回転位置にあって第2係合爪が取付孔の第2領域に位置して該第2領域の縁部と係合しているときに、操作部を第1回転位置から第2回転位置へ回転させる。この操作部の回転に伴って筒状部がピン部に対して回転し、第2係合爪が取付孔の第2領域から第1領域へ移動する。これにより、第2係合爪と取付孔の第1領域の縁部とが非係合となる。この非係合状態では、クリップを取付部材から取り外すことができる。このように、上記クリップでは、操作部を回転させる簡単な操作で取付部材から離脱する(取り外す)ことができる。
【0019】
本開示の第7態様のクリップ取付構造は、取付孔が形成された取付部材と、前記取付部材に取り付けられた第1態様~第6態様のいずれか一態様のクリップと、備えている。
【0020】
第7態様のクリップ取付構造で用いるクリップでは、雄部材の頭部を押しながらピン部を雌部材の筒状部内側に第1挿入位置まで挿入すると、ピン部と第1係合爪が係合し、雄部材と雌部材が仮組付けされる。次に、雄部材の頭部を押して、雌部材の筒状部を取付部材の取付孔へ挿入する。ここで、ピン部が第1挿入位置にあるときは、ピン部の許容部によって第2係合爪の筒状部内側への弾性変形が許容されるため、筒状部が第2係合爪を超えて取付孔へ挿入される。第2係合爪が取付孔を通過した後は、第2係合爪が弾性復帰し、第2係合爪が取付孔の縁部に係合する。また、ピン部が第2挿入位置に達すると、第2係合爪がピン部の阻止部によって筒状部内側から支持されて第2係合爪の筒状部内側への弾性変形が阻止される。これにより、雌部材が取付部材に保持される。そして、ピン部が第2挿入位置にあるときは、ピン部と第1係合爪が係合し、雄部材と雌部材が組付け(本組付け)される。このようにして、クリップが取付部材に取り付けられる。
【0021】
ここで、上記クリップ取付構造で用いるクリップでは、クリップの雄部材と雌部材を仮組付けした後で、雄部材の頭部を押しながら雌部材の筒状部を取付部材の取付孔へ挿入していくことで、雌部材が取付部材に保持されると共に雄部材と雌部材が組付け(本組付け)されて、クリップが取付部材に取り付けられる。すなわち、上記クリップ取付構造で用いるクリップは、一回の押し込み作業で取付部材に取り付けることが可能になるため、簡単な作業で取付部材に取り付けることができる。
【0022】
また、上記クリップ取付構造で用いるクリップでは、雄部材の頭部の外形を、雌部材の外形よりも大きくしていることから、例えば、頭部の外形が雌部材の外形よりも小さい構成と比べて、頭部を押しやすく、ピン部の押し込み作業が容易になる。
【0023】
本開示の第8態様のクリップ取付構造は、第7態様のクリップ取付構造において、前記取付部材が車体であり、前記車体に取り付けられる車両用部品を保持する保持部材に前記クリップの雄部材が複数設けられている。
【0024】
第8態様のクリップ取付構造では、取付部材が車体であり、車体に取り付けられる車両用部品を保持する保持部材にクリップの雄部材が設けられていることから、車両用部品を簡単な作業で車体に取り付けることができる。
また、保持部材にクリップの雄部材が複数設けられているため、保持部材の一回の押し込み作業で、複数のクリップを車体に同時に取り付けることができる。すなわち、上記クリップ取付構造では、車体にクリップを取り付けるための押し込み作業の工数を低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、取付部材に簡単な作業で取り付けられるクリップ及びクリップ取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の第1実施形態に係るクリップを構成する雄部材をピン側から見た斜視図である。
図2図1の雄部材を頭部側から見た斜視図である。
図3図1の雄部材をピン側から見た下面図(図2の矢印3方向から見た平面図)である。
図4図3の雄部材の4-4線断面図である。
図5】本開示の第1実施形態に係るクリップを構成する雌部材を筒状部側から見た斜視図である。
図6図5の雌部材の上面図(図5の雌部材を矢印6方向から見た平面図)である。
図7図5の雌部材の下面図(図5の雌部材を矢印7方向から見た平面図)である。
図8図6の雌部材の側面図(図6の雌部材を矢印8方向から見た側面図)である。
図9図6の雌部材の側面図(図6の雌部材を矢印9方向から見た側面図)である。
図10図6の雄部材の10-10線断面図である。
図11】雄部材と雌部材の仮組付け状態を示す断面図(第1方向に沿った断面図)である。
図12】雄部材と雌部材の仮組付け状態を示す断面図(第2方向に沿った断面図)である。
図13】雄部材と雌部材の本組付け状態を示す断面図(図11に対応する断面図)である。
図14】雄部材と雌部材の本組付け状態を示す断面図(図12に対応する断面図)である。
図15】本開示の第2実施形態に係るクリップを構成する雄部材をピン側から見た斜視図である。
図16図15の雄部材を頭部側から見た斜視図である。
図17図16の雄部材の側面図(図16の雄部材を矢印17方向から見た平面図)である。
図18図16の雄部材の18-18線断面図である。
図19図16の雄部材の19-19線断面図である。
図20】本開示の第2実施形態に係るクリップを構成する雌部材を筒状部側から見た斜視図である。
図21図20の雌部材をフランジ部側から見た斜視図である。
図22図20の雌部材の下面図(図20の雌部材を矢印22方向から見た側面図)である。
図23図22の雌部材の側面図(図22の雌部材を矢印23方向から見た側面図)である。
図24図22の雌部材の24-24線断面図である。
図25】雄部材と雌部材の仮組付け状態を示す断面図(第1方向に沿った断面図)である。
図26】雄部材と雌部材の仮組付け状態を示す断面図(第2方向に沿った断面図)である。
図27】雄部材と雌部材の本組付け状態を示す断面図(第1方向に沿った断面図)である。
図28】操作レバーが第1回転位置にある状態を示す雌部材の下面図である。
図29】操作レバーが第2回転位置にある状態を示す雌部材の下面図である。
図30】第1実施形態に係るクリップを構成する雄部材の製造方法を示す金型断面図(図13に示す雄部材の断面に対応する金型断面図)である。
図31】第1実施形態に係るクリップを構成する雌部材の製造方法を示す金型断面図(図13に示す雌部材の断面に対応する金型断面図)である。
図32】第2実施形態に係るクリップを構成する雄部材の製造方法を示す金型断面図(図27に示す雄部材の断面に対応する金型断面図)である。
図33】第2実施形態に係るクリップを構成する雌部材の製造方法を示す金型断面図(図27に示す雌部材の断面に対応する金型断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
次に、本開示の一実施形態に係るクリップ及びクリップ取付構造を図1図14を用いて説明する。
【0028】
本実施形態のクリップ20は、図13及び図14に示されるように、図示しない車両用部品を車体102に取り付けるために用いられる部材である。なお、ここでいう車両用部品とは、例えば、バンパーを指す。また、ここでいう車体とは、例えばボディパネルを指す。なお、本実施形態の車体102は、本開示の取付部材の一例である。
【0029】
クリップ20は、樹脂で形成された雄部材22と、樹脂で形成された雌部材40と、を備えている。ここで、本実施形態では、雄部材22が、車体102に車両用部品を保持させるためのリテーナ104と一体に設けられている。なお、本実施形態のリテーナ104は、本開示における保持部材の一例である。
【0030】
雄部材22は、図1及び図2に示されるように、上記のようにリテーナ104と一体に設けられており、頭部24と、ピン部26とを有している。
【0031】
頭部24は、図4に示されるように、リテーナ104に形成された平板状部である。また、頭部24の外形は、図11及び図12に示されるように、雌部材40の外形よりも大きくなっている。
【0032】
ピン部26は、断面形状が略四角形の棒状とされ、図4に示されるように、頭部24から頭部24の厚み方向に突出している。なお、本実施形態では、ピン部26の軸方向は、頭部24の厚み方向と同じ方向である。また、以下では、ピン部26の軸方向を適宜軸方向Xとして説明する。
【0033】
ピン部26の軸方向と直交する第1方向(図3におけるFD方向)で対向する一対の側壁26Cには、図1及び図2に示されるように、ピン部26の軸方向Xの一方側(図4における下側)に位置する一端部26A(言い換えると、ピン部26の突出方向先端部)と他方側(図4における上側)に位置する他端部26B(言い換えると、ピン部26の突出方向基端部)との間に許容部28と、阻止部30とがそれぞれ設けられている。具体的には、図1及び図11に示されるように、ピン部26の一端部26A側に許容部28が設けられ、ピン部26の許容部28よりも他端部26B側に阻止部30が設けられている。
【0034】
許容部28は、図1に示されるように、ピン部26の側壁26Cに設けられた凹形状部分であり、図11に示されるように、雌部材40の後述する係合爪46の筒状部内側(言い換えると、筒状部42の内側)への弾性変形を許容する部分である。なお、図11では、係合爪46の弾性変形の状態を二点鎖線で示している。ここで、係合爪46の筒状部内側への弾性変形とは、雄部材22の係合爪46が雌部材40の筒状部42の軸心AL側へ向けて弾性変形することを指している。なお、係合爪46の筒状部外側への弾性変形とは、雄部材22の係合爪46が雌部材40の筒状部42の軸心AL側と反対側へ向けて弾性変形することを指している。
【0035】
許容部28は、図11及び図13に示されるように、底部28Aと、底部28Aの軸方向X両側の一対の壁部28B、28Cとで構成されている。本実施形態においては、底部28Aは、軸方向Xに沿って延びる平坦面である。また、軸方向Xの一方側の壁部28Bは、底部28Aの軸方向Xの一端部(一方側の端部)からピン部26の一端部26A側(すなわち、軸方向Xの一方側)に向けて斜めに延びている。一方、軸方向Xの他方側の壁部28Cは、底部28Aの軸方向Xの他端部(他方側の端部)から側壁26C表面に向けて第1方向FDに沿って延び、途中でピン部26の他端部26B側(すなわち、軸方向Xの他方側)に向けて斜めに延びている。なお、本実施形態の許容部28を構成する壁部28Bは、本開示における第3被係合部の一例でもある。
【0036】
一方、阻止部30は、図1に示されるように、ピン部26に設けられた盛上り部分(本実施形態では、側壁26C表面から突出した部分)であり、係合爪46を筒状部内側から支持して係合爪46の筒状部内側への弾性変形を阻止する部分である。
【0037】
阻止部30は、図11及び図13に示されるように、頂部30Aと、傾斜壁部30Bとで構成されている。本実施形態においては、頂部30Aは、軸方向Xに沿って延びる平坦面である。また、頂部30Aは、軸方向Xの一端部が傾斜壁部30Bにつながっており、軸方向の他端部が頭部24につながっている。さらに、図11に示されるように、第1方向FDで対向する一対の阻止部30の頂部30A間の距離D1は、無負荷状態における係合爪46の内面(直線部46Aの内面)間の距離D2よりも長い。また、本実施形態においては、傾斜壁部30Bは、頂部30Aと許容部28の壁部28Cとをつないでおり、壁部28Cの軸方向の他方側の端部から頂部30Aに向けてピン部26の軸心CLから離れる方向に斜めに延びる傾斜面である。
【0038】
また、ピン部26の一対の側壁26Cには、図1に示されるように、後述する雌部材40の係合爪48が通過するための窪み部32が設けられている。この窪み部32は、図11及び図13に示されるように、底部32Aと、傾斜壁部32Bとを備えている。底部32Aは、軸方向Xに沿って延びる平坦面である。また、傾斜壁部32Bは、底部32Aの軸方向Xの他方側の端部からピン部26の軸心CLから離れる方向に斜めに延びる傾斜面である。
【0039】
また、ピン部26の軸方向X及び第1方向FDとそれぞれ直交する第2方向(図3におけるSD方向)で対向する一対の側壁26Dには、図1及び図2に示されるように、ピン部26の軸方向Xの一端部26Aと他端部26Bとの間に係合凹部34と係合凹部36がそれぞれ設けられている。具体的には、図2及び図4に示されるように、ピン部26の一端部26A側に係合凹部34が設けられ、ピン部26の係合凹部34よりも他端部26B側に係合凹部36が設けられている。なお、本実施形態の係合凹部34は、本開示における第1被係合部の一例であり、本実施形態の係合凹部36は、本開示における第2被係合部の一例である。
【0040】
係合凹部34は、図4及び図12に示されるように、ピン部26の側壁26Dに設けられた凹形状部分であり、雌部材40の後述する第1係合爪の一例としての係合爪44が係合する部分である。この係合凹部34は、底部34Aと、底部34Aの軸方向X両側の一対の壁部34B、34Cとで構成されている。本実施形態においては、底部34Aは、軸方向Xに沿って延びる平坦面である。また、軸方向Xの一方側の壁部34Bは、底部28Aの軸方向Xの一端部(一方側の端部)から側壁26D表面に向けて第2方向SDに沿って延びる平坦面である。また、壁部34Bの根元部分は、円弧状に湾曲している。さらに、軸方向Xの他方側の壁部34Cは、底部34Aの軸方向Xの他端部(他方側の端部)からピン部26の他端部26B側(すなわち、軸方向Xの他方側)に向けて斜めに延びている。
【0041】
係合凹部36は、図4及び図12に示されるように、ピン部26の側壁26Dに設けられた凹形状部分であり、雌部材40の係合爪44が係合する部分である。この係合凹部36は、底部36Aと、底部36Aの軸方向X両側の一対の壁部36B、36Cとで構成されている。本実施形態においては、底部36Aは、軸方向Xに沿って延びる平坦面である。また、軸方向Xの一方側の壁部36Bは、底部36Aの軸方向Xの一端部(一方側の端部)から側壁26D表面に向けて第2方向SDに対して斜めに延びる平坦面である。さらに、軸方向Xの他方側の壁部36Cは、底部36Aの軸方向Xの他端部(他方側の端部)からピン部26の他端部26B側(すなわち、軸方向Xの他方側)に向けて斜めに延びている。
【0042】
頭部24には、図1図3及び図11に示されるように、ピン部26を取り囲むように環状凸部38が設けられている。この環状凸部38は、図4及び図11に示されるように、頭部24のピン部26側の面から軸方向Xに沿って突出した円環状の凸部分である。また、環状凸部38は、径方向内側の角部がテーパー面38Aとされている。この環状凸部38には、図13及び図14に示されるように、雌部材40の後述するシール部52が当接するようになっている。
【0043】
また、頭部24には、図1図3及び図11に示されるように、環状凸部38よりも径方向内側にピン部26を取り囲むように環状凸部39が設けられている。この環状凸部39は、環状凸部38よりも突出高さが低くなっている。この環状凸部39は、図13及び図14に示されるように、雌部材40の後述するフランジ部50に当接することで、雌部材40に対して雄部材22を挿入し過ぎるのを制限することができる。
【0044】
雌部材40は、図5に示されるように、筒状部42と、係合爪44と、係合爪46とを有している。なお、本実施形態の係合爪44は、本開示における第1係合爪であり、本実施形態の係合爪46は、本開示における第2係合爪である。
【0045】
筒状部42は、図5図7に示されるように、断面形状が略四角形とされた四角筒状であり、内側に雄部材22のピン部26が挿入されるようになっている。すなわち、筒状部42の内形は、雄部材22の外形に対応した形状とされている。また、筒状部42は、車体102に形成された取付孔102Aに挿入されるようになっている。なお、本実施形態の取付孔102Aは、略正四角形(具体的には、隅部が丸められた正四角形)の貫通孔である。また、以下では、筒状部42の筒軸方向を符号Yで示し、筒状部42の軸心を符号ACで示す。なお、雄部材22と雌部材40とを組付けた状態では、雄部材22のピン部26の軸心CLと雌部材40の筒状部42の軸心ALが略一致するため、組付け状態を示す図面(すなわち、図11図14)においては、軸心CL及び軸方向Xのみ示し、軸心AL及び筒軸方向Yについては省略する。
【0046】
係合爪44は、図12に示されるように、雄部材22を雌部材40に組付けた状態(仮組付け及び本組付け含む)で、ピン部26の一対の側壁26Dにそれぞれ対向する一対の側壁42Dにそれぞれ設けられている。この係合爪44は、側壁42Dに対して、筒状部42の筒軸方向の一方側(図9及び図10における下側)の一端部42Aから他端部42B側(言い換えると、筒軸方向Yの他方側(図9及び図10における上側))へ向けて延ばした2本のスリット45間に形成された板状部分であり、弾性変形可能とされている。この係合爪44は、図10に示されるように、筒軸方向Yの他端部(他方側の端部)が側壁42Dにつながる固定端とされ、筒軸方向Yの一端部(一方側の端部)が自由端とされた片持ち状態で支持されている。また、係合爪44は、筒軸方向Yの他端部から筒軸方向Yに沿って延びる直線部44Aと、直線部44Aから筒状部内側へ向けて斜めに延びる爪部44Bとを有している。一対の側壁42Dにそれぞれ設けられた係合爪44の爪部44Bの先端部内面間の距離D3は、図12に示されるように、無負荷状態においては、ピン部26の一対の側壁26Dの外面間の距離D4よりも短い。このため、図12及び図14に示されるように、爪部44Bの先端部が雄部材22の係合凹部34に挿入されると、係合爪44が係合凹部34に係合し、係合凹部36に挿入されると、係合爪44が係合凹部36に係合する。
【0047】
ここで、ピン部26を筒状部42に挿入し、図12に示されるように、係合爪44が係合凹部34に係合したときのピン部26の挿入位置(図11及び図12における挿入位置)を第1挿入位置と称し、ピン部26を第1挿入位置よりも更に筒状部42の奥まで挿入し、図14に示されるように、係合爪44が係合凹部36に係合したときのピン部26の挿入位置(図13及び図14における挿入位置)を第2挿入位置と称するものとする。
【0048】
係合爪46は、図11に示されるように、雄部材22を雌部材40に組付けた状態(仮組付け及び本組付け含む)で、ピン部26の一対の側壁26Cにそれぞれ対向する一対の側壁42Cにそれぞれ設けられている。この係合爪46は、側壁26Cに対して、筒状部42の筒軸方向の他端部42Bから一端部42A側へ向けて延ばした2本のスリット47間に形成された板状部分であり、弾性変形可能とされている。この係合爪46は、図10に示されるように、筒軸方向Yの他端部(他方側の端部)が側壁42Dにつながる固定端とされ、筒軸方向Yの一端部(一方側の端部)が自由端とされた片持ち状態で支持されている。また、係合爪46は、筒軸方向Yの一端部から筒軸方向Yに沿って延びる直線部46Aと、直線部46Aの外面から軸心ALから離間する方向に突出する凸状分である爪部46Bとを有している。この爪部46Bの断面形状は、頂部46B1と、頂部46B1の両側に連なる傾斜部46B2を有する山形状とされている。また、一対の側壁42Cにそれぞれ設けられた係合爪46の爪部46Bの先端部(すなわち、頂部46B1)間の距離D5は、無負荷状態においては、図11に示されるように、車体102の取付孔102Aの距離D6よりも長い。このため、車体102の取付孔102Aを弾性変形した係合爪46の爪部46Bが通り抜けた後は、図13に示されるように、直線部46Aが弾性復帰して爪部46Bが取付孔102Aの縁部に係合する。
【0049】
なお、本実施形態では、ピン部26が第1挿入位置にあるときには、図11に示されるように、許容部28が係合爪46の筒状部内側に位置し、ピン部26が第2挿入位置にあるときには、図13に示されるように、阻止部30が係合爪46の筒状部内側に位置するようにピン部26が構成されている。このため、係合爪46は、ピン部26が第1挿入位置にあるときには、図11に示されるように、許容部28が筒状部内側に位置するため、筒状部内側への弾性変形が許容される(図11における二点鎖線参照)。また、ピン部26が第2挿入位置にあるときには、図13に示されるように、阻止部30が筒状部42の内側に位置するため、阻止部30によって筒状部42の内側から支持されて筒状部42の内側への弾性変形が阻止される。
【0050】
また、筒状部42には、図5に示されるように、周方向で係合爪44と異なる位置に係合爪48が設けられている。具体的には、この係合爪48は、筒状部42の側壁42Cの先端部に設けられている。なお、側壁42Cの先端部は、筒状部42の筒軸方向Yの一端部42Aを構成している。この係合爪48は、側壁42Cの先端部中央から軸心ALに向けて突出する凸状部である。また、一対の側壁42Cに設けられた係合爪48の先端部間の距離D7は、図11に示されるように、ピン部26の一対の側壁26Cの外面間の距離D8よりも短い。また、係合爪48は、ピン部26が第1挿入位置にあるときは、図11に示されるように、窪み部32内に配置され、ピン部26が第2挿入位置にあるときは、図13に示されるように、許容部28内に配置されている。なお、ピン部26が筒状部42に対して抜け出し方向に移動した場合、係合爪48の先端部が許容部28の壁部28Bに当接して、抜け出し方向の移動が制限される。
【0051】
また、雌部材40は、図8及び図9に示されるように、フランジ部50と、シール部52と、シール部54とを有している。なお、本実施形態のシール部52は、本開示における第1シール部の一例であり、本実施形態のシール部54は、本開示における第2シール部の一例である。
【0052】
フランジ部50は、図8図10に示されるように、筒状部42の他端部42Bから筒軸方向Yと直交する方向に張り出す円環状部分である。
【0053】
シール部52は、図8及び図9に示されるように、フランジ部50の外周から張り出した部分であり、図6及び図7に示されるように、フランジ部50よりも厚みが薄い円環状部分である。このシール部52は、弾性変形可能とされており、ピン部26が第2挿入位置にあるときに環状凸部38(詳細にはテーパー面38A)に当接して、雄部材22と雌部材40との間をシールする。
【0054】
シール部54は、図8及び図9に示されるように、フランジ部50の外周から張り出した部分であり、図6及び図7に示されるように、フランジ部50よりも厚みが薄い円環状部分である。なお、シール部54は、シール部52よりも筒軸方向Yの一方側(筒状部42の一端部42A側)に配置されている。このシール部54は、弾性変形可能とされており、筒状部42が取付孔102Aに挿入されると取付孔102Aの周辺部に当接して、雌部材40と車体102との間をシールする。
【0055】
なお、雄部材22のピン部26を雌部材40の筒状部42に挿入する挿入方向は、軸方向Xに沿った方向であり、符号Iで示す。また、雌部材40の筒状部42を車体102の取付孔102Aに挿入する挿入方向は、筒軸方向Yに沿った方向で、上記のピン部26を筒状部42に挿入する挿入方向と同じため、同じ符号Iを用いる。
【0056】
また、本実施形態のクリップ取付構造は、取付孔102Aが形成された車体102と、車体102に取り付けられたクリップ20と、で構成されている。
【0057】
次に本実施形態のクリップ20を構成する雄部材22と雌部材40の製造方法について説明する。まず、クリップ20の雄部材22を製造するための金型200について説明し、その後、雄部材22の製造方法について説明する。次に、雌部材40を製造するための金型210について説明し、その後、雌部材40の製造方法について説明する。
【0058】
雄部材22の製造に用いる金型200は、図30に示されるように、固定型202、可動型204及びスライド型206を備えている。これら固定型202、可動型204及びスライド型206によって、雄部材22を成形するための空洞部208が形成されるようになっている。
【0059】
固定型202は、凸状の金型(所謂コア)である。この固定型202には、空洞部208を形成する壁面であって、雄部材22を成形するための成形面209の一部を構成する成形面209Aが設けられている。
【0060】
可動型204は、凹状の金型(所謂キャビティ)である。この可動型204には、成形面209Aとは別に成形面209の一部を構成する成形面209Bが設けられている。また、可動型204と固定型202の型開き及び型閉じの方向は、雄部材22のピン部26の軸方向Xに沿った方向である。
【0061】
スライド型206は、一対設けられている。これらのスライド型206は、型開き及び型閉じの方向に対して直交する方向に移動可能に構成されている。具体的には、スライド型206は、可動型204に設けられた貫通孔204Bの内側をスライド移動するように構成されている。なお、本実施形態では、スライド型206は、図30が示される紙面上で左右方向に移動可能に構成されている。また、これらのスライド型206には、成形面209A及び成形面209Bとは別に成形面209の一部を構成する成形面209Cがそれぞれ設けられている。具体的には、スライド型206の先端(移動方向側の端部)に成形面209Cが設けられている。この成形面209Cは、雄部材22のピン部26の許容部28を成形するための成形面である。
【0062】
また、固定型202には、空洞部208へ溶融樹脂を送るためのゲート(図示省略)が設けられている。
【0063】
次に、本実施形態の雄部材22の製造方法について説明する。
まず、固定型202、可動型204及びスライド型206を型閉じし、雄部材22を成形するための空洞部208を形成する。
【0064】
次に、加熱状態の金型200の空洞部208にゲートを通して溶融樹脂を送る。
【0065】
空洞部208に溶融樹脂が充填された後は、溶融樹脂を冷却させる。なお、溶融樹脂の冷却は、自然冷却及び強制冷却のどちらでもよい。
【0066】
溶融樹脂が冷却固化した後は、スライド型206を、型開き及び型閉じの方向に対して直交し、空洞部208から離間する方向へ移動させる。次に、可動型204を型開き方向へ移動させる。そして、固定型202から例えばイジェクトピン等で空洞部208の形状に形成された樹脂成形品を外す(言い換えると、樹脂成形品を脱型する)。これにより、樹脂成形品である、雄部材22が形成される。
【0067】
ここで、雄部材22の製造方法では、可動型204の成形面209Bによって、雄部材22の環状凸部38が形成される。この環状凸部38、具体的には、環状凸部38のテーパー面38Aは、周方向に連続して形成される。言い換えると、テーパー面38Aには、テーパー面38Aを周方向に分断するようにパーティングラインが形成されない。したがって、雄部材22の製造方法で製造された雄部材22は、テーパー面38Aにパーティングラインが形成されないため、雄部材22と雌部材40との間の止水性能が安定する。また、上記雄部材22の製造方法で製造された雄部材22には、テーパー面38Aにパーティングラインが形成されないため、バリ取り作業等の後工程を必要としない。
【0068】
雌部材40の製造に用いる金型210は、図31に示されるように、固定型212、可動型214及びスライド型216を備えている。これら固定型212、可動型214及びスライド型216によって、雌部材40を成形するための空洞部218が形成されるようになっている。
【0069】
固定型212は、凸状の金型(所謂コア)である。この固定型212には、空洞部218を形成する壁面であって、雌部材40を成形するための成形面219の一部を構成する成形面219Aが設けられている。
【0070】
可動型214は、凹状の金型(所謂キャビティ)である。この可動型214には、成形面219Aとは別に成形面219の一部を構成する成形面219Bが設けられている。また、可動型214と固定型212の型開き及び型閉じの方向は、雌部材40の筒状部42の筒軸方向Yに沿った方向である。
【0071】
スライド型216は、一対設けられている。これらのスライド型216は、型開き及び型閉じの方向に対して直交する方向に移動可能に構成されている。具体的には、スライド型216は、固定型212と可動型214との間をスライド移動するように構成されている。なお、本実施形態では、スライド型216は、図31が示される紙面上で左右方向に移動可能に構成されている。また、これらのスライド型216には、成形面219A及び成形面219Bとは別に成形面219の一部を構成する成形面219Cがそれぞれ設けられている。具体的には、スライド型216の先端(移動方向側の端部)に成形面219Cが設けられている。この成形面219Cは、雌部材40のシール部52とシール部54との間の部分を成形するための成形面である。
【0072】
また、固定型212には、空洞部218へ溶融樹脂を送るためのゲート(図示省略)が設けられている。
【0073】
次に、本実施形態の雌部材40の製造方法について説明する。
まず、固定型212、可動型214及びスライド型216を型閉じし、雌部材40を成形するための空洞部218を形成する。
【0074】
次に、加熱状態の金型210の空洞部218にゲートを通して溶融樹脂を送る。
【0075】
空洞部218に溶融樹脂が充填された後は、溶融樹脂を冷却させる。なお、溶融樹脂の冷却は、自然冷却及び強制冷却のどちらでもよい。
【0076】
溶融樹脂が冷却固化した後は、スライド型216を、型開き及び型閉じの方向に対して直交し、空洞部218から離間する方向へ移動させる。次に、可動型214を型開き方向へ移動させる。そして、固定型212から例えばイジェクトピン等で空洞部218の形状に形成された樹脂成形品を外す(言い換えると、樹脂成形品を脱型する)。これにより、樹脂成形品である、雌部材40が形成される。
【0077】
ここで、雌部材40の製造方法では、固定型212の成形面219Aによって、雌部材40のシール部52のシール面(図13における筒軸方向Yで雄部材22側の面)が形成される。このシール部52のシール面は、成形面219Aの該シール面に対応する部分が周方向に連続しているため、周方向に連続して形成される。言い換えると、シール部52のシール面には、該シール面を周方向に分断するようにパーティングラインが形成されない。したがって、上記雌部材40の製造方法で製造された雌部材40は、シール部52のシール面にパーティングラインが形成されないため、雄部材22と雌部材40との間の止水性能が安定する。具体的には、雄部材22の環状凸部38にもパーティングラインが形成されず、雌部材40のシール部52のシール面(図13に示される環状凸部38と当接する面)にもパーティングラインが形成されないため、雄部材22と雌部材40との間の止水性能がより安定する。
【0078】
さらに、上記雌部材40の製造方法では、可動型214の成形面219Bによって、雌部材40のシール部54のシール面(図13における筒軸方向Yで雄部材22と反対側の面)が形成される。このシール部54のシール面は、成形面219Bの該シール面に対応する部分が周方向に連続しているため、周方向に連続して形成される。言い換えると、シール部54のシール面には、該シール面を周方向に分断するようにパーティングラインが形成されない。したがって、上記雌部材40の製造方法で製造された雌部材40は、シール部54のシール面にパーティングラインが形成されないため、雌部材40と車体102との間の止水性能が安定する。
【0079】
さらに、上記雌部材40の製造方法では、シール部52のシール面及びシール部54のシール面にパーティングラインが形成されないため、バリ取り作業等の後工程を必要としない。さらに、上記製造方法で製造された雌部材40のシール部52のシール面及びシール部54のシール面には、それぞれパーティングラインが形成されないため、止水性能確保のために別途、パッキンを設ける必要がなく、クリップ20の部品数増加を抑えることができる。
【0080】
前述の雄部材22の製造に用いる金型200では、成形面209Aを有する固定型202に対して、成形面209Bを有する可動型204が型開き及び型閉じの方向に移動可能に構成されているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、固定型202を移動可能な可動型とし、可動型204を移動しない固定型としてもよい。
また、前述の雌部材40の製造に用いる金型210では、成形面219Aを有する固定型212に対して、成形面219Bを有する可動型214が型開き及び型閉じの方向に移動可能に構成されているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、固定型212を移動可能な可動型とし、可動型214を移動しない固定型としてもよい。
【0081】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
クリップ20では、まず、雄部材22の頭部24を押しながらピン部26を雌部材40の筒状部42の内側に第1挿入位置まで挿入する。ピン部26が第1挿入位置まで挿入されると、図12に示されるように、ピン部26と係合爪44が係合する。具体的には、ピン部26の係合凹部34に筒状部42の係合爪44の爪部44Bの先端部が嵌って、係合凹部34と係合爪44が係合する。この係合により、ピン部26が筒状部42に対して抜け出し方向に移動するのが制限される。このように、ピン部26が第1挿入位置にあるときは、係合凹部34と係合爪44が係合しているため、雄部材22と雌部材40の仮組付け状態が保持される。
【0082】
次に、雄部材22の頭部24を押して、雌部材40の筒状部42を車体102の取付孔102Aへ挿入する。ここで、筒状部42を取付孔102Aへ挿入する際には、ピン部26が第1挿入位置にあるため、ピン部26の許容部28によって係合爪46の筒状部内側への弾性変形が許容されるため、係合爪46が筒状部内側へ弾性変形し、筒状部42が係合爪46を超えて取付孔102Aへ挿入される。係合爪46の爪部46Bが取付孔102Aを通過すると、係合爪46が弾性復帰して、図13に示されるように、爪部46Bが取付孔102Aの縁部に係合する。この係合により、雌部材40の取付孔102Aからの抜け出しが抑制される。また上記係合とほぼ同時に、ピン部26が第2挿入位置に達する。ピン部26が第2挿入位置に達すると、係合爪46がピン部26の阻止部30によって筒状部42の内側から支持されて係合爪46の筒状部42の内側への弾性変形が阻止される。さらに、本実施形態では、図13に示されるように、ピン部26が第2挿入位置にあるときに阻止部30によって係合爪46が筒状部42の外側へ向けて押し出されるため、係合爪46の取付孔102Aの縁部への係合強度が向上する。これにより、雌部材40が車体102に保持される。そして、ピン部26が第2挿入位置にあるときは、ピン部26と係合爪44が係合する。具体的には、ピン部26の係合凹部36に係合爪44の爪部44Bの先端部が嵌って、係合凹部36と係合爪46が係合する。この係合により、ピン部26が筒状部42に対して抜け出し方向に移動するのが制限される。このように、ピン部26が第2挿入位置にあるときは、係合凹部36と係合爪46が係合しているため、雄部材22と雌部材40の本組付け状態が保持される。
このようにして、クリップ20と共にリテーナ104が車体102に取り付けられる。
【0083】
ここで、クリップ20では、雄部材22と雌部材40を仮組付けした後で、雄部材22の頭部24を押しながら雌部材40の筒状部42を車体102の取付孔102Aへ挿入していくことで、雌部材40が車体102に保持されると共に雄部材22と雌部材40が組付け(本組付け)されて、クリップ20と共にリテーナ104が車体102に取り付けられる。すなわち、クリップ20は、一回の押し込み作業で車体102に取り付けることが可能になるため、簡単な作業で車体102に取り付けることができる。
【0084】
また、クリップ20では、雄部材22の頭部24の外形を、雌部材40の外形よりも大きくしていることから、例えば、頭部の外形が雌部材の外形よりも小さい構成と比べて、頭部24を押しやすく、ピン部26の押し込み作業が容易になる。
【0085】
また、クリップ20では、ピン部26が第1挿入位置にあるときには、係合爪44と係合凹部34とが係合するため、ピン部26の抜け出し方向(挿入方向と反対側)への移動が制限される。すなわち、ピン部26が第1挿入位置にあるときには、係合爪44と係合凹部34との係合により、ピン部26が筒状部42内に保持される。
そして、クリップ20では、ピン部26が第2挿入位置にあるときには、係合爪44と係合凹部36とが係合するため、ピン部26の挿入方向と反対側への移動が制限される。すなわち、ピン部26が第2挿入位置にあるときには、係合爪44と係合凹部36との係合により、ピン部26が筒状部42内に保持される。
【0086】
クリップ20では、図13及び図14に示されるように、ピン部26が第2挿入位置にあるときに雌部材40のシール部52が雄部材22の環状凸部38に当接するため、雄部材22と雌部材40との間がシール部52によってシールされる。また、雌部材40の筒状部42が取付孔102Aに挿入されるとシール部54が取付孔102Aの周辺部に当接するため、車体102と雌部材40との間がシール部54によってシールされる。このため、クリップ20を車体102に取り付けた状態では、シール部52によって雄部材22と雌部材40との間がシールされ、シール部54によって雌部材40と車体102との間がシールされる。すなわち、クリップ20は、簡単な作業で車体102に取り付けることができ、さらにシール性能も確保できる。
【0087】
また、クリップ20では、筒状部42には、周方向で係合爪44と異なる位置に係合爪が設けられており、ピン部26が第2挿入位置にあるときに係合爪48がピン部26の壁部28Bに係合するため、ピン部26の筒状部42からの抜け出しが更に抑制される。
【0088】
(第2実施形態)
次に第2実施形態のクリップについて図15図29を用いて説明する。なお、第1実施形態のクリップ60と同一の構成についてはその説明を省略する。
【0089】
本実施形態のクリップ60は、図25及び図26に示されるように、樹脂で形成された雄部材62と、樹脂で形成された雌部材80と、を備えている。本実施形態では、複数(2つ)の雄部材62が、車体102に対して図示しない車両用部品を保持するためのリテーナ106と一体に設けられている。
【0090】
雄部材62は、図15及び図18に示されるように、上記のようにリテーナ106と一体に設けられており、頭部64と、ピン部66とを有している。
【0091】
頭部64は、図18及び図19に示されるように、リテーナ106に形成された平板状部である。また、頭部64の外形は、図25及び図26に示されるように、雌部材80の外形よりも大きくなっている。
【0092】
ピン部66は、断面形状が略円形の棒状とされ、図18に示されるように、頭部64から頭部64の厚み方向に突出している。なお、本実施形態では、ピン部66の軸方向は、頭部64の厚み方向と同じ方向である。また、以下では、ピン部66の軸方向を適宜軸方向Xとして説明する。
【0093】
ピン部66の軸方向と直交する第1方向(図18におけるFD方向)で対向する一対の側部66Cには、ピン部66の軸方向Xの一方側(図18における下側)に位置する一端部66Aと他方側(図18における上側)に位置する他端部66Bとの間に許容部68と、阻止部70とがそれぞれ設けられている。具体的には、図15及び図18に示されるように、ピン部66の一端部66A側に許容部68が設けられ、ピン部66の許容部68よりも他端部66B側に阻止部70が設けられている。
【0094】
許容部68は、図18に示されるように、ピン部66の側部66Cに設けられた凹形状部分であり、雌部材80の後述する係合爪86の筒状部内側(筒状部82の内側)への弾性変形を許容する部分である。ここで、係合爪86の筒状部内側への弾性変形とは、雄部材62の係合爪86が雌部材80の筒状部82の軸心AL側(言い換えると、筒状部82の径方向内側)へ向けて弾性変形することを指している。なお、係合爪86の筒状部外側への弾性変形とは、雄部材62の係合爪86が雌部材80の筒状部82の軸心AL側と反対側(径方向外側)へ向けて弾性変形することを指している。なお、本実施形態では、許容部68の軸方向Xの一方側の壁部68Bが本開示における第2被係合部の一例である。
【0095】
一方、阻止部70は、図18に示されるように、ピン部66に設けられた盛上り部分(本実施形態では、側壁26Cから突出した部分)であり、係合爪86を筒状部内側から支持して係合爪86の筒状部内側への弾性変形を阻止する部分である。なお、図25に示されるように、第1方向FDで対向する阻止部70の一対の頂部70A間の距離D1は、無負荷状態における係合爪86の内面間の距離D2よりも長い。
【0096】
また、ピン部66の一対の側部66Cには、軸方向Xの一方側に後述する雌部材80の係合爪86が係合する係合凹部74が設けられている。なお、本実施形態の係合凹部74は、本開示における第1被係合部の一例である。
【0097】
頭部64には、図18及び図19に示されるように、ピン部66を取り囲むように環状凸部78が設けられている。この環状凸部78は、頭部64のピン部66側の面から軸方向Xに沿って突出した円環状の凸部分である。また、環状凸部78は、径方向内側の角部がテーパー面78Aとされている。この環状凸部78には、雌部材80のシール部92が当接するようになっている。
【0098】
また、頭部64には、環状凸部78よりも径方向内側にピン部66を取り囲むように環状凸部79が設けられている。この環状凸部79は、環状凸部78よりも突出高さが低くなっている。この環状凸部79は、雌部材80の後述するフランジ部90に当接することで、雌部材80に対して雄部材62を挿入し過ぎるのを制限することができる。
【0099】
雌部材80は、図21に示されるように、筒状部82と、係合爪84と、係合爪86とを有している。なお、本実施形態の係合爪84は、本開示における第1係合爪であり、本実施形態の係合爪86は、本開示における第2係合爪である。
【0100】
筒状部82は、図20及び図22に示されるように、断面形状が略円形とされた円筒状であり、内側に雄部材62のピン部66が挿入されるようになっている。すなわち、筒状部82の内形は、雄部材62の外形に対応した形状とされている。このため、筒状部82は、ピン部66を軸としてピン部66に対して相対回転可能となっている。また、筒状部82は、車体102に形成された取付孔102Aに挿入されるようになっている。なお、本実施形態の取付孔102Aは、略正四角形の貫通孔(具体的には、隅部が丸められた正四角形)である。また、以下では、筒状部82の筒軸方向を符号Yで示し、筒状部82の軸心を符号ACで示す。なお、雄部材62と雌部材80とを組付けた状態では、雄部材62のピン部66の軸心CLと雌部材80の筒状部82の軸心ALが略一致するため、組付け状態を示す図面(すなわち、図25図27)においては、軸心CL及び軸方向Xのみ示し、軸心AL及び筒軸方向Yについては省略する。
【0101】
係合爪84は、図23及び図24に示されるように、雄部材62を雌部材80に組付けた状態(仮組付け及び本組付け含む)で、ピン部66の一対の側部66Cにそれぞれ対向する一対の側壁82Cにそれぞれ設けられている。この係合爪84は、側壁82Cの先端部から筒状部82の内側へ向けて張り出している。なお、本実施形態では、ピン部66の一対の側部66Dにそれぞれ対向する一対の側壁82Dは、筒状部82の筒軸方向Yの一端部から中央部付近に亘って切り欠きが形成されている。この切り欠きによって側壁82Cの先端部が自由端とされている。
【0102】
ここで、ピン部66を筒状部82に挿入し、図25に示されるように、係合爪84が係合凹部74に係合したときのピン部66の挿入位置(図25及び図26における挿入位置)を第1挿入位置と称し、ピン部66を第1挿入位置よりも更に筒状部82の奥まで挿入し、図27に示されるように、係合爪84が係合凹部76に係合したときのピン部66の挿入位置(図27における挿入位置)を第2挿入位置と称するものとする。
【0103】
係合爪86は、図25に示されるように、雄部材62を雌部材80に組付けた状態(仮組付け及び本組付け含む)で、ピン部66の一対の側部66Cにそれぞれ対向する一対の側壁82Cにそれぞれ設けられている。この係合爪86は、側部66Cに対して、筒状部82の筒軸方向の他端部82Bから一端部82A側へ向けて延ばした2本のスリット87間に形成された板状部分であり、弾性変形可能とされている。この係合爪86は、筒軸方向Yの他端部(他方側の端部)が側壁82Dにつながる固定端とされ、筒軸方向Yの一端部(一方側の端部)が自由端とされた片持ち状態で支持されている。また、係合爪86は、筒軸方向Yの一端部から筒軸方向Yに沿って延びる直線部86Aと、直線部86Aの外面から軸心ALから離間する方向に突出する凸状分である爪部86Bとを有している。この爪部86Bの断面形状は、山形状とされている。ここで、車体102の取付孔102Aを弾性変形した係合爪86の爪部86Bが通り抜けた後は、図27に示されるように、直線部86Aが弾性復帰して爪部86Bが取付孔102Aの縁部に係合する。
【0104】
なお、本実施形態では、ピン部66が第1挿入位置にあるときには、図25に示されるように、許容部68が係合爪86の筒状部82の内側に位置し、ピン部66が第2挿入位置にあるときには、図27に示されるように、阻止部70が係合爪86の筒状部内側に位置するようにピン部66が構成されている。このため、係合爪86は、ピン部66が第1挿入位置にあるときには、図25に示されるように、許容部68が筒状部内側に位置するため、筒状部内側への弾性変形が許容される。また、ピン部66が第2挿入位置にあるときには、図27に示されるように、阻止部70が筒状部内側に位置するため、阻止部70によって筒状部内側から支持されて筒状部内側への弾性変形が阻止されるようになっている。
【0105】
また、雌部材80は、図23及び図24に示されるように、フランジ部90と、シール部92と、シール部94とを有している。なお、本実施形態のシール部92は、本開示における第1シール部の一例であり、本実施形態のシール部94は、本開示における第2シール部の一例である。
【0106】
フランジ部90は、図23及び図24に示されるように、筒状部82の筒軸方向Yの他端部82Bから筒軸方向Yと直交する方向に張り出す円環状部分である。
【0107】
シール部92は、図22図24に示されるように、フランジ部90の外周から張り出した部分であり、図21に示されるように、フランジ部90よりも厚みが薄い円環状部分である。このシール部92は、弾性変形可能とされており、ピン部66が第2挿入位置にあるときに環状凸部78(詳細にはテーパー面78A)に当接して、雄部材62と雌部材80との間をシールする。
【0108】
シール部94は、図21図23及び図24に示されるように、フランジ部90の外周から張り出した部分であり、図20に示されるように、フランジ部90よりも厚みが薄い円環状部分である。なお、シール部94は、シール部92よりも筒軸方向の一方側(筒状部82側)に配置されている。このシール部94は、弾性変形可能とされており、筒状部82が取付孔102Aに挿入されると取付孔102Aの周辺部に当接して、雌部材80と車体102との間をシールする。
【0109】
また、雌部材80は、図21及び図23に示されるように、ピン部66に対して筒状部82を回転させるための操作レバー96を備えている。この操作レバー96は、図23に示されるように、フランジ部90の外周で、シール部92とシール部94との間からフランジ部90の径方向外側へ張り出し、途中で筒軸方向Yの他方側へ向けて延びている板状部分である。この操作レバー96が第1回転位置(図28における位置)にあるときは係合爪86と取付孔102Aの縁部とが係合し、操作レバー96が第2回転位置(図29における位置)にあるときは係合爪86と取付孔102Aの縁部とが非係合となる。具体的には、操作レバー96を第1回転位置から第2回転位置へ回転操作すると、筒状部82がピン部66に対して回転し、一対の係合爪86が取付孔102Aの対角線上に並び、一対の係合爪86が取付孔102Aの内側に位置する。この状態では、筒状部82を車体102から外すことが可能となる。なお、本実施形態の操作レバー96は、本開示における操作部の一例である。
また、車体102の取付孔102Aは、係合爪86を弾性変形させずに筒状部82を挿入可能なサイズの第1領域R1と、第1領域R1に隣接し、係合爪86を弾性変形させることで筒状部82を挿入可能な大きさであり第1領域R1よりもサイズが小さい第2領域と、を有している。ここで、本実施形態の取付孔102Aは、略正方形のため、対角線上が第1領域となり、対向する2辺間が第2領域となる。なお、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、取付孔102Aを楕円、長孔等としてもよい。
【0110】
なお、本実施形態のクリップ取付構造は、取付孔102Aが形成された車体102と、車体102に取り付けられたクリップ60と、で構成されている。
【0111】
次に本実施形態のクリップ60を構成する雄部材62と雌部材80の製造方法について説明する。まず、クリップ60の雄部材62を製造するための金型250について説明し、その後、雄部材62の製造方法について説明する。次に、雌部材80を製造するための金型260について説明し、その後、雌部材80の製造方法について説明する。
【0112】
雄部材62の製造に用いる金型250は、図32に示されるように、固定型252、可動型254及びスライド型256を備えている。これら固定型252、可動型254及びスライド型256によって、雄部材22を成形するための空洞部258が形成されるようになっている。
【0113】
固定型252は、凸状の金型(所謂コア)である。この固定型252には、空洞部258を形成する壁面であって、雄部材62を成形するための成形面259の一部を構成する成形面259Aが設けられている。
【0114】
可動型254は、凹状の金型(所謂キャビティ)である。この可動型254には、成形面259Aとは別に成形面259の一部を構成する成形面259Bが設けられている。また、可動型254と固定型252の型開き及び型閉じの方向は、雄部材62のピン部66の軸方向Xに沿った方向である。
【0115】
スライド型256は、一対設けられている。これらのスライド型256は、型開き及び型閉じの方向に対して直交する方向に移動可能に構成されている。具体的には、スライド型256は、可動型254に設けられた貫通孔254Bの内側をスライド移動するように構成されている。なお、本実施形態では、スライド型256は、図32が示される紙面上で左右方向に移動可能に構成されている。また、これらのスライド型256には、成形面259A及び成形面259Bとは別に成形面259の一部を構成する成形面259Cがそれぞれ設けられている。具体的には、スライド型256の先端(移動方向側の端部)に成形面259Cが設けられている。この成形面259Cは、雄部材62のピン部66の許容部68を成形するための成形面である。
【0116】
また、固定型252には、空洞部258へ溶融樹脂を送るためのゲート(図示省略)が設けられている。
【0117】
次に、本実施形態の雄部材62の製造方法について説明する。
まず、固定型252、可動型254及びスライド型256を型閉じし、雄部材62を成形するための空洞部258を形成する。
【0118】
次に、加熱状態の金型250の空洞部258にゲートを通して溶融樹脂を送る。
【0119】
空洞部258に溶融樹脂が充填された後は、溶融樹脂を冷却させる。なお、溶融樹脂の冷却は、自然冷却及び強制冷却のどちらでもよい。
【0120】
溶融樹脂が冷却固化した後は、スライド型256を、型開き及び型閉じの方向に対して直交し、空洞部258から離間する方向へ移動させる。次に、可動型254を型開き方向へ移動させる。そして、固定型252から例えばイジェクトピン等で空洞部258の形状に形成された樹脂成形品を外す(すなわち、樹脂成形品を脱型する)。これにより、樹脂成形品である、雄部材62が形成される。
【0121】
ここで、雄部材62の製造方法では、可動型254の成形面259Bによって、雄部材62の環状凸部78が形成される。この環状凸部78、具体的には、環状凸部78のテーパー面78Aは、周方向に連続して形成される。言い換えると、テーパー面78Aには、テーパー面78Aを周方向に分断するようにパーティングラインが形成されない。したがって、雄部材62の製造方法で製造された雄部材62は、テーパー面78Aにパーティングラインが形成されないため、雄部材62と雌部材80との間の止水性能が安定する。また、上記雄部材62の製造方法で製造された雄部材62には、テーパー面78Aにパーティングラインが形成されないため、バリ取り作業等の後工程を必要としない。
【0122】
雌部材80の製造に用いる金型260は、図33に示されるように、固定型262、可動型264及びスライド型266を備えている。これら固定型262、可動型264及びスライド型266によって、雌部材80を成形するための空洞部268が形成されるようになっている。
【0123】
固定型262は、凸状の金型(所謂コア)である。この固定型262には、空洞部268を形成する壁面であって、雌部材80を成形するための成形面269の一部を構成する成形面269Aが設けられている。
【0124】
可動型264は、凹状の金型(所謂キャビティ)である。この可動型264には、成形面269Aとは別に成形面269の一部を構成する成形面269Bが設けられている。また、可動型264と固定型262の型開き及び型閉じの方向は、雌部材80の筒状部82の筒軸方向Yに沿った方向である。
【0125】
スライド型266は、一対設けられている。これらのスライド型266は、型開き及び型閉じの方向に対して直交する方向に移動可能に構成されている。具体的には、スライド型266は、固定型262と可動型264との間をスライド移動するように構成されている。なお、本実施形態では、スライド型266は、図33が示される紙面上で手前方向及び奥行き方向に移動可能に構成されている。また、これらのスライド型266には、成形面269A及び成形面269Bとは別に成形面269の一部を構成する成形面269Cがそれぞれ設けられている。具体的には、スライド型266の先端(移動方向側の端部)に成形面269Cが設けられている。この成形面269Cは、雌部材80のシール部92とシール部94との間の部分を成形するための成形面である。
【0126】
また、固定型262には、空洞部268へ溶融樹脂を送るためのゲート(図示省略)が設けられている。
【0127】
次に、本実施形態の雌部材80の製造方法について説明する。
まず、固定型262、可動型264及びスライド型266を型閉じし、雌部材80を成形するための空洞部268を形成する。
【0128】
次に、加熱状態の金型260の空洞部268にゲートを通して溶融樹脂を送る。
【0129】
空洞部268に溶融樹脂が充填された後は、溶融樹脂を冷却させる。なお、溶融樹脂の冷却は、自然冷却及び強制冷却のどちらでもよい。
【0130】
溶融樹脂が冷却固化した後は、スライド型266を、型開き及び型閉じの方向に対して直交し、空洞部268から離間する方向へ移動させる。次に、可動型264を型開き方向へ移動させる。そして、固定型262から例えばイジェクトピン等で空洞部268の形状に形成された樹脂成形品を外す(すなわち、樹脂成形品を脱型する)。これにより、樹脂成形品である、雌部材80が形成される。
【0131】
ここで、雌部材80の製造方法では、固定型262の成形面269Aによって、雌部材80のシール部92のシール面(図27における筒軸方向Yで雄部材62側の面)が形成される。このシール部92のシール面は、成形面269Aの該シール面に対応する部分が周方向に連続しているため、周方向に連続して形成される。言い換えると、シール部92のシール面には、該シール面を周方向に分断するようにパーティングラインが形成されない。したがって、上記雌部材80の製造方法で製造された雌部材80は、シール部92のシール面にパーティングラインが形成されないため、雄部材62と雌部材80との間の止水性能が安定する。具体的には、雄部材62の環状凸部78にもパーティングラインが形成されず、雌部材80のシール部92のシール面(図27に示される環状凸部78と当接する面)にもパーティングラインが形成されないため、雄部材62と雌部材80との間の止水性能がより安定する。
【0132】
さらに、上記雌部材80の製造方法では、可動型264の成形面269Bによって、雌部材80のシール部94のシール面(図27における筒軸方向Yで雄部材62と反対側の面)が形成される。このシール部94のシール面は、成形面269Bの該シール面に対応する部分が周方向に連続しているため、周方向に連続して形成される。言い換えると、シール部94のシール面には、該シール面を周方向に分断するようにパーティングラインが形成されない。したがって、上記雌部材80の製造方法で製造された雌部材80は、シール部94のシール面にパーティングラインが形成されないため、雌部材80と車体102との間の止水性能が安定する。
【0133】
さらに、上記雌部材80の製造方法では、シール部92のシール面及びシール部94のシール面にパーティングラインが形成されないため、バリ取り作業等の後工程を必要としない。さらに、上記製造方法で製造された雌部材80のシール部92のシール面及びシール部94のシール面には、それぞれパーティングラインが形成されないため、止水性能確保のために別途、パッキンを設ける必要がなく、クリップ60の部品数増加を抑えることができる。
【0134】
前述の雄部材62の製造に用いる金型250では、成形面259Aを有する固定型252に対して、成形面259Bを有する可動型254が型開き及び型閉じの方向に移動可能に構成されているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、固定型252を移動可能な可動型とし、可動型254を移動しない固定型としてもよい。
また、前述の雌部材80の製造に用いる金型260では、成形面269Aを有する固定型262に対して、成形面269Bを有する可動型264が型開き及び型閉じの方向に移動可能に構成されているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、固定型262を移動可能な可動型とし、可動型264を移動しない固定型としてもよい。
【0135】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
クリップ60では、まず、雄部材62の頭部64を押しながらピン部66を雌部材80の筒状部82の内側に第1挿入位置まで挿入する。ピン部66が第1挿入位置まで挿入されると、図25に示されるように、ピン部66と係合爪84が係合する。具体的には、ピン部66の係合凹部74に筒状部82の係合爪84の先端部が嵌って、係合凹部74と係合爪84が係合する。この係合により、ピン部66が筒状部82に対して抜け出し方向に移動するのが制限される。このように、ピン部66が第1挿入位置にあるときは、係合凹部74と係合爪84が係合しているため、雄部材62と雌部材80の仮組付け状態が保持される。
【0136】
次に、雄部材62の頭部64を押して、雌部材80の筒状部82を車体102の取付孔102Aへ挿入する。ここで、筒状部82を取付孔102Aへ挿入する際には、ピン部66が第1挿入位置にあるため、ピン部66の許容部68によって係合爪86の筒状部内側への弾性変形が許容されるため、係合爪86が筒状部内側へ弾性変形し、筒状部82が係合爪86を超えて取付孔102Aへ挿入される。係合爪86が取付孔102Aを通過すると、係合爪86が弾性復帰して、係合爪86が取付孔102Aの縁部に係合する。この係合により、雌部材80の取付孔102Aからの抜け出しが抑制される。また上記係合とほぼ同時に、ピン部66が第2挿入位置に達すると、係合爪86がピン部66の阻止部70によって筒状部内側から支持されて係合爪86の筒状部内側への弾性変形が阻止される。さらに、本実施形態では、図27に示されるように、ピン部66が第2挿入位置にあるときに阻止部70によって係合爪86が筒状部82の外側へ向けて押し出されるため、係合爪86の取付孔102Aの縁部への係合強度が向上する。これにより、雌部材80が車体102に保持される。そして、ピン部66が第2挿入位置にあるときは、ピン部66と係合爪84が係合する。具体的には、ピン部66の係合凹部76に係合爪84の爪部先端が嵌って、係合凹部76と係合爪86が係合する。この係合により、ピン部66が筒状部82に対して抜け出し方向に移動するのが制限される。このように、ピン部66が第2挿入位置にあるときは、係合凹部76と係合爪86が係合しているため、雄部材62と雌部材80の本組付け状態が保持される。
このようにして、クリップ60と共にリテーナ106が車体102に取り付けられる。
【0137】
ここで、クリップ60では、雄部材62と雌部材80を仮組付けした後で、雄部材62の頭部64を押しながら雌部材80の筒状部82を車体102の取付孔102Aへ挿入していくことで、雌部材80が車体102に保持されると共に雄部材62と雌部材80が組付け(本組付け)されて、クリップ60と共にリテーナ106が車体102に取り付けられる。すなわち、クリップ60は、一回の押し込み作業で車体102に取り付けることが可能になるため、簡単な作業で車体102に取り付けることができる。また、リテーナ106にクリップ60の雄部材62が複数設けられているため、リテーナ106の一回の押し込み作業で、複数のクリップ60を車体102に同時に取り付けることができる。すなわち、クリップ取付構造では、車体102にクリップ60を取り付けるための押し込み作業の工数を低減することができる。
【0138】
また、クリップ60では、雄部材62の頭部64の外形を、雌部材80の外形よりも大きくしていることから、例えば、頭部の外形が雌部材の外形よりも小さい構成と比べて、頭部64を押しやすく、ピン部66の押し込み作業が容易になる。
【0139】
また、クリップ60では、ピン部66が第1挿入位置にあるときには、係合爪84と係合凹部74とが係合するため、ピン部66の抜け出し方向(挿入方向と反対側)への移動が制限される。すなわち、ピン部66が第1挿入位置にあるときには、係合爪84と係合凹部74との係合により、ピン部66が筒状部82内に保持される。
そして、クリップ60では、ピン部66が第2挿入位置にあるときには、係合爪84と係合凹部76とが係合するため、ピン部66の挿入方向と反対側への移動が制限される。すなわち、ピン部66が第2挿入位置にあるときには、係合爪84と係合凹部76との係合により、ピン部66が筒状部82内に保持される。
【0140】
クリップ60では、図27に示されるように、ピン部66が第2挿入位置にあるときに雌部材80のシール部92が雄部材62の環状凸部78に当接するため、雄部材62と雌部材80との間がシール部92によってシールされる。また、雌部材80の筒状部82が取付孔102Aに挿入されるとシール部94が取付孔102Aの周辺部に当接するため、車体102と雌部材80との間がシール部94によってシールされる。このため、クリップ60を車体102に取り付けた状態では、シール部92によって雄部材62と雌部材80との間がシールされ、シール部94によって雌部材80と車体102との間がシールされる。すなわち、クリップ60は、簡単な作業で車体102に取り付けることができ、さらにシール性能も確保できる。
【0141】
また、クリップ60では、リテーナ106と共にクリップ60を車体102に取り付けた状態、すなわち、図28に示されるように係合爪84と取付孔102Aの縁部が係合状態(参照)のときに、操作レバー96を第1回転位置から第2回転位置へ回転操作すると、ピン部66に対して筒状部82が回転し、一対の係合爪84が取付孔102Aの対角線上に並ぶため、図29に示されるように係合爪84と取付孔102Aの縁部との係合が解除された非係合状態となる。この状態で、クリップ60を取付孔102Aから引き抜くことで、クリップ60が車体102から取り外される。このように、クリップ60は、操作レバー96を回転させる簡単な操作で車体102から離脱する(すなわち、取り外す)ことができる。
【0142】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0143】
なお、2019年9月12日に出願された日本国特許出願2019-166538号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0144】
20 クリップ
22 雄部材
24 頭部
26 ピン部
26A 一端部
26B 他端部
28 許容部
30 阻止部
34 係合凹部(第1被係合部)
36 係合凹部(第2被係合部)
38 環状凸部
40 雌部材
42 筒状部
44 係合爪(第1係合爪)
46 係合爪(第2係合爪)
48 係合爪(第3係合爪)
50 フランジ部
52 シール部(第1シール部)
54 シール部(第2シール部)
60 クリップ
62 雄部材
64 頭部
66 ピン部
66A 一端部
66B 他端部
68 許容部
70 阻止部
74 係合凹部(第1被係合部)
76 係合凹部(第2被係合部)
78 環状凸部
80 雌部材
82 筒状部
84 係合爪(第1係合爪)
86 係合爪(第2係合爪)
90 フランジ部
92 シール部(第1シール部)
94 シール部(第2シール部)
96 操作レバー
102 車体
102A 取付孔
104 リテーナ(保持部材)
106 リテーナ(保持部材)
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