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  • 特許-洗浄剤に使用するための固形粒状体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】洗浄剤に使用するための固形粒状体
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/06 20060101AFI20230316BHJP
   C11D 1/12 20060101ALI20230316BHJP
   C11D 3/08 20060101ALI20230316BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20230316BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20230316BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230316BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20230316BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20230316BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20230316BHJP
   C11D 1/28 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D1/12
C11D3/08
C11D1/14
C11D1/29
C11D3/20
C11D3/22
C11D3/50
C11D3/386
C11D1/28
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021568710
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 US2021019423
(87)【国際公開番号】W WO2021183285
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】62/989,051
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/930,009
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521501794
【氏名又は名称】ワイエフワイ コンシューマー プロダクツ,カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ホー,イー-ダ
(72)【発明者】
【氏名】クウォ,シェン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シン-ナン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,シウ-チー
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-122067(JP,A)
【文献】米国特許第07186678(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0068784(US,A1)
【文献】特開平6-279795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄剤として又は洗浄剤中に使用するための固形粒状体であって、
少なくとも1種の陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び少なくとも1種の陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤を有する陰イオン性界面活性剤構成要素であって、前記スルホン酸塩界面活性剤及び前記硫酸塩界面活性剤の合計量は、前記固形粒状体の総量100wt%を基準として、15.0wt%~100wt%の間にある、陰イオン性界面活性剤構成要素と、
粒状体形成剤を、5.0wt%以下の量と、
を含み、
前記スルホン酸塩界面活性剤の量対前記硫酸塩界面活性剤の量の比は、0.20~0.75の間にあり、
前記固形粒状体の凝集力は、1000g/mm~4000g/mmの間にあり、
前記粒状体の粒子径は、3.0mm以上20.0mm以下である、固形粒状体。
【請求項2】
前記スルホン酸塩界面活性剤及び前記硫酸塩界面活性剤の合計量は、18.0wt%~60.0wt%の間にある、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項3】
前記硫酸塩界面活性剤の量は、前記固形粒状体の総量100wt%を基準として、15.0wt%~60.0wt%の間にある、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項4】
前記スルホン酸塩界面活性剤の量は、前記固形粒状体の総量100wt%を基準として、3.0wt%~25.0wt%の間にある、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項5】
粘着防止剤を更に含み、前記粘着防止剤は、層状二ケイ酸ナトリウム及び/又はゼオライトを含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項6】
前記粒状体の粒子径は、6.0mm以上且つ20.0mm以下である、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項7】
前記固形粒状体は約6分以内に完全に溶解する、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項8】
前記スルホン酸塩界面活性剤及び前記硫酸塩界面活性剤の合計量は、20.0wt%~30.0wt%の間にあり、前記粒状体形成剤の量は、3.0wt%~4.0wt%の間にある、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項9】
前記スルホン酸塩界面活性剤及び前記硫酸塩界面活性剤の合計量は、30.0wt%~40.0wt%の間にあり、前記粒状体形成剤の量は、2.0wt%~3.0wt%の間にある、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項10】
前記スルホン酸塩界面活性剤及び前記硫酸塩界面活性剤の合計量は、40.0wt%以上であり、前記粒状体形成剤の量は、2.0wt%以下である、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項11】
前記硫酸塩界面活性剤は、アルキル硫酸塩又はアルキルエステル硫酸塩界面活性剤を含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項12】
前記陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤は、アルコキシル化スルホン酸塩又はアルキルエステルスルホン酸塩界面活性剤を含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項13】
前記粒状体形成剤は、ポリオール剤である、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項14】
前記粒状体形成剤は、グリセリン、プロピレングリコール、又はソルビトールの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項15】
水分と接触すると前記粒状体を溶解させるように構成された崩壊剤を更に含み、前記崩壊剤は、カルボキシメチルセルロース、酒石酸、及び/又はクエン酸を含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項16】
前記粒状体に香りを付けるように構成された香料構成要素を更に含み、前記香料構成要素は、精油である、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項17】
前記粒状体の洗浄力を高めるように構成された酵素構成要素を更に含み、前記酵素構成要素は、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ、又はペクチナーゼの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項18】
脂汚れを除去及び/又は酸性汚れを中和するように構成されたアルカリ剤を更に含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項19】
前記アルカリ剤は、硫酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムを含む、請求項18に記載の固形粒状体。
【請求項20】
キレート剤を更に含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項21】
苦味剤を更に含む、請求項1に記載の固形粒状体。
【請求項22】
洗浄剤として又は洗浄剤中に使用するための固形粒状体であって、
少なくとも1種の陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び少なくとも1種の陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤を有する陰イオン性界面活性剤構成要素であって、前記スルホン酸塩界面活性剤及び前記硫酸塩界面活性剤の合計量は、前記固形粒状体の総量100wt%を基準として、18.0wt%~60.0wt%の間にある、陰イオン性界面活性剤構成要素と、
粒状体形成剤を、5.0wt%以下の量と、
を含み、
前記スルホン酸塩界面活性剤の量対前記硫酸塩界面活性剤の量の比は、0.20~0.75の間にあり、
前記比、前記合計量、及び前記粒状体形成剤の前記量により、前記粒状体の凝集力が1000g/mm~4000g/mmの間となる配合が得られ、
前記粒状体は、球形度が少なくとも0.95であると定義される球状形状を有し、
前記粒状体の粒子径は、3.0mm以上20.0mm以下である、固形粒状体。
【請求項23】
前記スルホン酸塩界面活性剤は、C14~C172級アルキルスルホン酸塩及び/又はメチルエステルスルホン酸塩を含み;
前記硫酸塩界面活性剤は、ラウレス硫酸ナトリウムを含み;
前記粒状体形成剤は、グリセリン、ソルビトール、及び/又はプロピレングリコールを含む、請求項22に記載の固形粒状体。
【請求項24】
前記配合は、前記粒状体を約6分以内に完全に溶解させる、請求項22に記載の固形粒状体。
【請求項25】
前記粒状体は、粘着防止剤を含有しない、請求項22に記載の固形粒状体。
【請求項26】
複数の固形粒状体を含む洗剤であって、
各固形粒状体は、
少なくとも1種の陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び少なくとも1種の陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤を有する陰イオン性界面活性剤構成要素であって、前記スルホン酸塩界面活性剤及び前記硫酸塩界面活性剤の合計量は、前記固形粒状体の総量100wt%を基準として、15.0wt%~100wt%の間にある、陰イオン性界面活性剤構成要素と、
粒状体形成剤と、
を含み、
前記スルホン酸塩界面活性剤の量対前記硫酸塩界面活性剤の量の比は、0.20~0.75の間にあり、
各固形粒状体の凝集力は、1000g/mm~4000g/mmの間にあり、
前記粒状体の粒子径は、3.0mm以上20.0mm以下である、洗剤。
【請求項27】
前記固形粒状体は、実質的に球状の形状を有する、請求項26に記載の洗剤。
【請求項28】
前記固形粒状体の前記実質的に球状の形状は、球形度が少なくとも0.95であると定義される、請求項27に記載の洗剤。
【請求項29】
前記固形粒状体は、均一な径を有し、前記固形粒状体の均一な径は、6mm以上且つ20mm以下である、請求項26に記載の洗剤。
【請求項30】
前記固形粒状体のそれぞれの少なくとも一部は、外層として被覆されている補助構成成分を含む、請求項26に記載の洗剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
[0001] 本教示は、全体として、洗浄剤(cleaning agent)に関し、より詳細には、洗剤(detergent)等の洗浄剤に使用される固形粒状体(solid granule)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 洗濯、食器洗浄、表面清掃等の様々な洗浄用途において、手作業ですくって水に溶解させる粉末が利用されることは知られている。それにより得られる洗浄液を、被洗浄物の表面に適用する。この種の粉末は、良好な流動特性、良好な取り分け易さ(dispensing)、及び洗浄用水中への良好な溶解性を示すことが必要である。
【0003】
[0003] しかしながら、従来の粉末状洗浄製品は、保管中に水分を吸収し易く、その結果として粒状体が凝集することに関する問題がある。結果として生じる凝集体は、洗浄製品が水に溶解する能力に悪影響を与える。更に、洗浄製品の洗浄性能を向上させるために含有させる特定の構成成分(ingredient)/構成要素(component)(例えば、界面活性剤)も、凝集の原因となる。洗浄特性を高めるために界面活性剤の含有量を増加させると、凝集が進むという弊害が発生する。これは、ひいては、粒状体が水に完全に溶解しないために洗浄製品が繊維や機械に残る可能性があることを意味している。凝集の問題はまた、界面活性剤が被洗浄物に適切に行き渡ることを妨げる可能性もあるし、粒状洗浄製品の他の構成成分まで捕捉してしまい、被洗浄物中で効果を充分に発揮しなくなる可能性もある。
【0004】
[0004] 例えば、米国特許第5,318,733号には、洗濯用の圧縮粒状体が開示されている。この粒状体は可塑剤又は潤滑剤を含む。可塑剤及び/又は潤滑剤は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、水溶性ポリマー、水乳化性ポリマー、又は水分散性ポリマーである。個々の粒状体の粒子径は0.5mm~5mmであり、密度は700g/L~1000g/Lである。
【0005】
[0005] 中国特許第103210072号には、香料、塩素含有殺菌剤、少なくとも1種のアルキルベンゼンスルホン酸塩、少なくとも1種のオレフィンスルホン酸塩、少なくとも1種の他の陰イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤を含む、トイレ洗浄用球状固形物(spherical block)が開示されている。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、洗浄用固形物の10wt%~70wt%を占める。オレフィンスルホン酸塩は洗浄用固形物の10wt%~30wt%を占める。陰イオン性界面活性剤は2.5wt%以下である。洗浄用固形物は、他の陰イオン性界面活性剤を20wt%以下で含む。他の陰イオン性界面活性剤は、例えば、脂肪族硫酸塩又は脂肪族スルホン酸塩である。
【0006】
[0006] 米国特許第6,635,610号には、第1粒子状構成要素、第2粒子状構成要素、及び結合剤を含む粒状洗剤が開示されている。第1粒子状構成要素は、陰イオン性硫酸塩界面活性剤を含むが、陰イオン性スルホン酸塩界面活性は含まない。第2粒子状構成要素は、陰イオン性スルホン酸塩界面活性及び無機炭酸塩を含むが、陰イオン性硫酸塩界面活性剤もアルミノケイ酸塩も含まない。第1粒子状構成要素の構成成分は、第2粒子状構成要素の構成成分と混ざり合っていない。したがって、第1構成要素の陰イオン性硫酸塩界面活性剤は、第2構成要素の陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤と緊密に混合されない。
【0007】
[0007] しかしながら、上に述べた引用特許及び他の先行技術の粒子状洗浄製品は、依然として粒状体が凝集して塊になる問題を抱えている。したがって、凝集の発生を防止するか又は少なくとも最小限に抑える洗浄剤に使用するための改良された固形粒状体が必要とされている。
【0008】
概要
[0008] 本明細書に記載する要求に加えて更なる他の要求及び利点を、以下に記載する本実施形態で扱い、解決策及び利点を例示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009] 本教示の目的は、良好な流動性(流動特性(flow properties))を有し、粘着性を示さず(例えば、粒状体が他の粒状体に付着して凝集するような接着力を殆ど又は全く示さない)、及び使用時に少ない投入量(dosage)で高い洗浄力を示すことを特徴とする、洗浄用粒状体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010] 本教示の他の目的は、形状及び/又は大きさが均一又は実質的に均一な洗浄用粒状体を提供することにある。一例として、洗浄用粒状体は、球状又は実質的に球状の形状を有する。本明細書において洗浄用粒状体の形状に関連して使用する「実質的に」という語は、洗浄用粒状体の球形度(物体の形状が完全な球体にどれだけ近いかを表す尺度)が少なくとも0.85であり、好ましくは少なくとも0.90、より好ましくは少なくとも0.95.であることを意味する。
【0011】
[0011] 本教示の更なる目的は、粘着性を示さず、良好な流動性(流動特性)を有し、他の粒状体に付着して凝集することがなく、及び使用時に少ない投入量で高い洗浄力を示す特徴を有する、1又は複数の粒状体を含む錠剤又は容器(pod)を提供することにある。
【0012】
[0012] 本教示の目的は、それぞれ、本教示による1又は複数の粒状体を含む、洗濯用洗剤、食器洗浄機清掃用洗浄剤、食器洗浄機用洗剤、食器用洗浄剤、台所用洗浄剤、浴室用洗浄剤、トイレ用洗浄剤、流し用洗浄剤、バスタブ用洗浄剤、タイル用洗浄剤、カーペット/ラグ用洗浄剤、多目的洗浄剤、床用洗浄剤、汎用(multi)表面用洗浄剤、手洗い用洗浄剤、及び身体用洗浄剤を提供することにある。
【0013】
[0013] 本教示の上述の目的及び他の目的は、互いに混ざり合って均一な混合物となっている陰イオン性界面活性剤構成要素(anionic surfactant component)及び粒状体形成(結合及び/又は成形)剤(granule-forming agent)を含む、固形洗浄用粒状体を提供することにより達成される。換言すれば、陰イオン性界面活性剤構成要素及び粒状体形成剤を形成している構成物質(constituent)が緊密に混合されることにより、均質な混合物が提供される。陰イオン性界面活性剤構成要素は、陰イオン性スルホン酸塩(sulfonate)界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩(sulfate)界面活性剤を含むことができる。幾つかの実施形態において、スルホン酸塩界面活性剤は、アルキルエステルスルホン酸塩界面活性剤とすることができ、脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤は、アルキル硫酸塩界面活性剤及び/又はアルコキシル化アルキル硫酸塩界面活性剤とすることができる。成形剤は、多価アルコールを含むことができる。
【0014】
[0014] 洗浄用粒状体の総量100wt%を基準として、スルホン酸塩界面活性剤及び脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤の総量の合計は、15.0wt%を超え、且つ100wt%未満とすることができ、好ましくは、15.0wt%~60.0wt%の間、より好ましくは18.0wt%~60.0wt%の間(境界値を含む)にある。スルホン酸塩界面活性剤の量は、3.0wt%~25.0wt%の間とすることができ、硫酸塩界面活性剤の量は、10.0wt%~50.0wt%の間とすることができる。固形粒状体に含まれる粒状体形成剤の量は、1.0wt%~5.0wt%の間とすることができる。スルホン酸塩界面活性剤対硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.75の間(境界値を含む)とすることができる。この粒状体の配合(formulation)及び構成要素の比を用いることにより、固形粒状体内に、容易に押出及び成形することができるような充分な凝集力が生じる。加えて、この組成物の配合及び構成要素の比を用いることにより、接着力をほとんど又は全く示さない(即ち、粘着性が最小限の)粒状体が得られる。したがって、この粒状体は、その配合に粘着防止剤を含有させる必要がない。即ち、本洗浄用粒状体は粘着防止剤を含まない。組成物の配合を介して凝集力を調整することにより、固形粒状体の溶解性は、少なくとも20g(溶媒1000グラム当たりの溶質のグラム)に達し、約6分以下で溶解するように適合される。この文脈における「約」という語は、30秒の増減があることを意味する。本洗浄用粒状体は、良好な弾性及び良好な流動性を有し、粘着性/接着性が低い。本洗浄用粒状体の個々の構成要素は互いに充分に凝集しているが、本洗浄剤粒状体が一旦形成された後は、保管又は輸送中に他の同種の粒状体に付着したり凝集したりすることがない。
【0015】
[0015] 洗浄剤粒状体は、球状又は実質的に丸い(round)形状及び約3.0mm~約20.0mmの範囲の直径を有することができる。一実施形態において、直径は、約5.0mm~約20.0mmの範囲とすることができる。好ましい実施形態において、直径は、約6.0mm超且つ約20.0mm未満とすることができる。更に、直径は、約10.0mm超及び約20.0mm未満とすることができる。粒状体の径(size)に関連する「約」という語は、下限値から0.5mm以内及び上限値から0.5mm以内を意味する。
【0016】
[0016] 本教示はまた、陰イオン性界面活性剤構成要素、粒状体形成(結合及び/又は成形)剤、及び粘着防止剤を含む、洗浄剤粒状体も提供する。粒状体の3種の主要構成要素を全て互いに混合して均一な混合物にすることができる。換言すれば、陰イオン性界面活性剤構成要素、粒状体形成剤、及び粘着防止剤を構成する構成物質は緊密に混合され、それにより均質な混合物が得られる。陰イオン性界面活性剤構成要素は、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤を含むことができる。洗浄用粒状体の総量100wt%を基準とすると、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤の総量の合計は、15.0wt%超且つ100wt%未満とすることができる。陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤対陰イオン性硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.75の間(境界値を含む)とすることができる。幾つかの実施形態において、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤対陰イオン性硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.40の範囲(境界値を含む)とすることができる。均一に混合された結果として、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤は、緊密に混合される。
【発明の効果】
【0017】
[0017] 本教示による洗浄用粒状体、特に、その組成並びにスルホン酸塩界面活性剤、硫酸塩界面活性剤、及び粒状体形成剤(幾つかの実施形態においては、粘着防止剤も)に関する技術的効果は、本洗浄用粒状体が、良好な弾性及び良好な流動性を有し、且つ粘着/接着性が低いことにある。洗浄用粒状体の個々の構成要素は互いに充分に凝集しているが、洗浄剤粒状体が一旦形成された後は、保管又は輸送中に他の同種の粒状体に付着したり凝集したりすることがない。更に、本洗浄剤粒状体は、使用時に少ない投入量で高い洗浄力を示す。
【0018】
[0018] 本教示はまた、陰イオン性界面活性剤構成要素、粒状体形成(結合及び/又は成形)剤、及び粘着防止剤を含む洗浄用粒状体であって、この3種の構成要素が緊密に混合されて均質な混合物となっている洗浄用粒状体も提供する。洗浄剤粒状体は、球状又は実質的に丸い形状及び約3.0mm~約20.0mmの範囲の直径を有することができる。一実施形態において、直径は、約5.0mm~約20.0mmの範囲とすることができる。好ましい実施形態において、直径は、約6.0mm超且つ約20.0mm未満とすることができる。更に、直径は、約10.0mm超且つ約20.0mm未満とすることができる。陰イオン性界面活性剤構成要素は、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤を含むことができる。洗浄用粒状体の総量100wt%を基準とすると、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤の総量の合計は、15.0wt%超且つ100wt%未満とすることができる。陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤対陰イオン性硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.75の間(境界値を含む)とすることができる。幾つかの実施形態において、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤対陰イオン性硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.40の範囲(境界値を含む)とすることができる。幾つかの実施形態において、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール-系硫酸塩界面活性剤の総量の合計は、15.0wt%超且つ100wt%未満とすることができる。他の実施形態において、この総量は、18.0wt%超且つ80.0wt%未満とすることができる。更なる他の実施形態において、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤の総量の合計は、20.0wt%超且つ75.0wt%未満とすることができる。
【0019】
[0019] 幾つかの実施形態において、洗浄用粒状体は、陰イオン性界面活性剤構成要素、粘着防止剤、及び粒状体形成(結合及び/又は成形)剤と緊密に混合されて粒状体を形成する、追加の構成成分を含むことができる。これらの追加の構成成分は、例えば、酵素構成要素、香料構成要素、崩壊、アルカリ剤、キレート剤等とすることができる。これに加えて、又はこれに替えて、特別な(extra)構成成分を、陰イオン性界面活性剤構成要素及び粒状体形成剤(及び幾つかの実施形態においては粘着防止剤)の混合物でカプセル化することができる。更に、これに加えて、又はこれに替えて、特別な構成成分を、陰イオン性界面活性剤構成要素及び粒状体形成剤(及び幾つかの実施形態においては粘着防止剤)の混合物の周りの被覆として添加することができる。洗浄用粒状体が球状構造を有すること及び粒状体の直径が3.0mmを超え、好ましくは6.0mmを超えることには幾つかの利点がある。第1に、不規則な形状と比較して、丸い形状(即ち、球状又は実質的に球状の形状)は、輸送及び保管中に破損しにくい。第2に、粒状体のこれらの特徴は、消費者に美的により好まれ、特殊性及び認識性も付与する。第3に、丸い形状(即ち、球状又は実質的に球状の形状)は、酵素、香料構成要素、崩壊、苦味剤、キレート剤、アルカリ剤等の追加の構成成分で粒状体の周りを被覆するのに最適な表面を与える。
【0020】
[0020] 本明細書に開示するwt%及び比に関する範囲は全て、特に断りのない限り、上限及び/又は下限を含み得ることに留意されたい。本明細書において使用する「約(about、approximately)」は、所与の数値又は範囲に合理的に近い、又はそれよりも少し多い若しくは少ないことを意味する。
【0021】
[0021] 本教示の他の特徴及び態様は、本教示の実施形態に従う特徴を例示する以下の詳細な説明を、添付の図面と併せて考察することによって明らかとなるであろう。この概要は、本教示の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は本明細書に含まれる特許請求の範囲により定義される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な説明
図1】[0022]本教示による複数の洗浄用粒状体を例示する図である。
図2】[0023]本教示による洗浄用粒状体の断面図である。
図3】[0024]本教示による洗浄用粒状体の断面図である。
図4】[0025]追加の構成成分の層でカプセル化された、本教示による洗浄用粒状体の断面図である。
図5】[0026]本教示による洗浄用粒状体を含む容器を例示した図である。
図6A】[0027]本教示による洗浄用粒状体の様々な例を他の粒状体と比較して記述した表である。
図6B】[0027]本教示による洗浄用粒状体の様々な例を他の粒状体と比較して記述した表である。
図6C】[0027]本教示による洗浄用粒状体の様々な例を他の粒状体と比較して記述した表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0028] 図面全体を通して、対応する参照符号は対応する又は類似の部品又は特徴を示すことを理解されたい。
【0024】
詳細な説明
[0029] 以下、本発明の実施形態を図示する添付の図面を参照しながら本教示をより充分に記載する。以下の記載は、本教示を例示することを目的として説明するものであって、本教示の原理を限定することを目的とするものではない。
【0025】
[0030] 本教示を、その構造的特徴に関しある程度具体的に言語で記載した。しかしながら、本明細書に開示した製造物は、本教示を具体化する好ましい形態を含むため、本教示は、ここに図示及び記載した具体的な特徴に限定されないことを理解すべきである。
【0026】
[0031] 実施例(operating example)以外で、又は別段の指示がある場合、本明細書において使用する構成成分の量又は反応条件を表す数値は、全ての例において「約」という語で修飾されているものと理解されたい。
【0027】
[0032] 図1は、複数の洗浄用粒状体10の上面図を示すものである。洗浄用粒状体は、それぞれ均一な(例えば、同一又は実質的に同一の)形状及び大きさを有する。即ち、本教示による粒状体は、それぞれ、大きさ及び/又は形状が均一になるように製造される。図2に示すように、洗浄用粒状体10/100は、陰イオン性界面活性剤構成要素110、112、及び粒状体形成(結合及び/又は成形)剤120を含み、陰イオン性界面活性剤構成要素は、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤110及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤112を含む。陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤110、陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤112、及び粒状体形成剤120は、混合されて均質な混合物となっており、好ましくは均一に混合されている。幾つかの実施形態において、スルホン酸塩界面活性剤110は、アルキルエステルスルホン酸塩界面活性剤とすることができる。幾つかの実施形態において、脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤112は、アルキル硫酸塩界面活性剤及び/又はアルコキシル化アルキル硫酸塩界面活性剤とすることができる。成形剤は、多価アルコールを含むことができる。
【0028】
[0033] スルホン酸塩界面活性剤110の量は、3.0wt%~25.0wt%の間とすることができ、硫酸塩界面活性剤の量は、10.0wt%~50.0wt%の間とすることができる。幾つかの実施形態においては、スルホン酸塩界面活性剤及び硫酸塩界面活性剤の範囲をより狭くすることが好ましい場合もある。例えば、スルホン酸塩界面活性剤110の量を、5.0wt%~25.0wt%の間、又は3.0wt%~21.0wt%の間、更には9.0wt%~21.0wt%とすることができる。場合によっては、硫酸塩界面活性剤112は、15.0wt%~50.0wt%の間、更には、15.0wt%~40.0wt%の間とすることができる。洗浄用粒状体中に含まれる結合剤及び/又は成形剤は、1.0wt%~5.0wt%の間で変化させることができる。幾つかの実施形態において、結合及び/又は成形剤の量は、1.0wt%~3.0wt%の間とすることができる。
【0029】
[0034] 陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤の総量は、洗浄用粒状体の15.0wt%超且つ100wt%未満とすることができる。幾つかの実施形態において、洗浄用粒状体中の陰イオン性界面活性剤構成要素の総量は、18.0wt%~75.0wt%の範囲とすることができる。他の実施形態において、洗浄用粒状体中の陰イオン性界面活性剤構成要素の総量は、20.0wt%~75.0wt%の範囲とすることができる。陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤対陰イオン性硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.75とすることができる。幾つかの実施形態において、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤対陰イオン性硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.50とすることができる。
【0030】
[0035] スルホン酸塩界面活性剤及び硫酸塩界面活性剤の総量が20.0wt%以下である場合、粒状体形成剤は、好ましくは4.0wt%~5.0wt%の範囲とする必要があることが見出された。スルホン酸塩界面活性剤及び硫酸塩界面活性剤の総量が20.0wt%~30.0wt%の間にある場合、粒状体形成剤の量は、好ましくは、3.0wt%~4.0wt%の間にある。スルホン酸塩界面活性剤及び硫酸塩界面活性剤の量が30.0wt%~40.0wt%の間にある場合、粒状体形成剤は、好ましくは2.0wt%~3.0wt%の間にある。最後に、スルホン酸塩界面活性剤及び硫酸塩界面活性剤の総量が40.0wt%以上である場合、粒状体形成剤は、好ましくは2.0wt%以下であることが見出された。
【0031】
[0036] 上述の組成/配合、wt%範囲、及び比を有する固形粒状体は、充分な凝集力を備え、例えば、凝集力は、1000~4000g/mmの範囲にある。洗浄用粒状体の凝集力を調整することにより、粒状体の溶解性が20g(溶媒100g当たりの溶質のグラム又は溶媒1リットル当たりの溶質のグラム)に達し、約6分以内に溶解するように構成される。上に記載した各構成要素の配合及び量を用いることにより、洗浄用粒状体を効率的に製造することが可能になる。例えば、本教示に基づく洗浄用粒状体は、湾曲ナイフダイ(curved knife die)を含む製造プロセスにおいて押出及び成形することができる。粒状体形成剤の量が上述の閾値の範囲外であり、少な過ぎる場合は、粒状体組成物の水分が不充分となるであろう。その結果として、製造プロセス中に押し出された粒状体組成物の細片(strip)(即ち、固形球状体に形成される前)は、非常に乾燥して硬いものになるであろう。この悪影響により、組成物が製造装置(例えば、成形機)内に留まる可能性が高くなる。それとは逆に、粒状体形成剤が多過ぎると、粒状体組成物は過度に湿潤し、最終粒状体が互いに付着し合うことになり、それと同時に、溶解速度が低下する(即ち、完全に溶解させるための時間が長くなる)ことになる。
【0032】
[0037] 粒状体は、全体として、曲面及び曲線状の輪郭を有する丸い形状を有する。より具体的には、粒状体は、オーバル(oval)形若しくは実質的にオーバル形又は球形若しくは実質的に球形を有する。本明細書において洗浄用粒状体の形状に関連して使用する「実質的に」という語は、洗浄用粒状体の球形度(物体の形状が完全な球体にどれだけ近いかを表す尺度)が、少なくとも0.90、好ましくは少なくとも0.95であることを意味する。丸い形状は、輸送及び保管中に洗浄用粒状体が破損する可能性を最小限にする。粒状体の径(size)は、約3.0mm~約20.0mmの間とすることができる。幾つかの実施形態において、粒状体の径は、約5.0mm~約20.0mmの間、好ましくは、6.0mm~20.0mmの間、好ましくは、10.0mm~20.0mmの間とすることができる。
【0033】
[0038] 図3に示すように、洗浄用粒状体10/100は、陰イオン性界面活性剤構成要素110、112、粘度低下(粘着防止)剤116、及び粒状体形成(結合及び/又は成形)剤120を含むことができ、陰イオン性界面活性剤構成要素は、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤110及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤112を含む。陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤の総量は、洗浄用粒状体の15.0wt%超且つ100wt%未満とすることができる。陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤対陰イオン性硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.75の間(境界値を含む)とすることができる。幾つかの実施形態において、洗浄用粒状体中の陰イオン性界面活性剤構成要素の総量は、20.0wt%~75.0wt%の範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤対陰イオン性硫酸塩界面活性剤の比は、0.20~0.50の間又は0.20~0.40の間(境界値を含む)とすることができる。
【0034】
[0039] 図3は、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤110、陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤112、粘度低下剤116、及び粒状体形成剤120が均一に混合されて均質な混合物となっていることを更に図示したものである。粒状体は、全体として、曲面及び曲線状の輪郭を有する丸い形状を有する。例えば、粒状体は、オーバル形であり、好ましくは球形である。丸い形状又は球状形状は、輸送及び保管中に洗浄用粒状体が破損する可能性を最小限にする。以下に更に説明するが、図2又は3に示すように、粒状体に追加の構成成分を追加することができる。例えば、追加の構成成分は、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤110、陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤112、及び粒状体形成剤120(及び存在する場合は粘着防止剤)と均一に混合されて粒状体10/100を形成することができる。追加の構成成分としては、例えば、これらに限定されるものではないが、酵素、香料、崩壊、苦味剤、キレート剤、及びアルカリ剤が挙げられる。幾つかの実施形態においては、追加の構成成分を、界面活性剤110、112、粘度低下剤116、及び粒状体形成剤120の混合物でカプセル化することができる。カプセル化を行うことにより、空気及び湿度による影響を受けやすい可能性があり、したがって、開放された周囲環境に長時間曝されるとその効果を失う特定の活性成分(例えば、酵素、香料)に有利になる。幾つかの実施形態において、追加の構成成分は、界面活性剤110、112、粘度低下剤116、及び粒状体形成剤120の混合物の周りの被覆層として追加することができる。追加の構成成分が基本構成要素にどのように組み込まれるかとは無関係に、洗浄用粒状体は丸い又は球状の構造的形状を有する。
【0035】
[0040] 陰イオン性界面活性剤構成要素
[0041] 陰イオン性界面活性剤構成要素は、少なくとも1種の陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤及び少なくとも1種の陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤を含む。幾つかの実施形態において、2種以上の異なるスルホン酸塩界面活性剤を陰イオン性界面活性剤構成要素中に使用することができる。他の実施形態において、2種以上の異なる硫酸塩界面活性剤を陰イオン性界面活性剤構成要素中に使用することができる。当業者は、任意の数の種類のスルホン酸塩界面活性剤を任意の数の種類の硫酸塩界面活性剤と組み合わせて陰イオン性界面活性剤構成要素を形成することができることを理解している。
【0036】
[0042] 陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤
[0043] 陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤は、これらに限定されるものではないが、脂肪酸エステルスルホン酸塩、及び脂肪族スルホン酸塩、フルオレニルタウリン塩(fluorenyl taurate)等を含むことができる。脂肪酸エステルスルホン酸塩は、単独で使用することも、他の種類のスルホン酸塩界面活性剤と組み合わせて使用することもできる。脂肪酸エステルスルホン酸塩は、例えば、これらに限定されるものではないが、脂肪酸メチルエステルスルホン酸ナトリウム、脂肪酸エチルスルホン酸ナトリウム(脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム)、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、又はこれらの任意の組合せとすることができる。脂肪酸エステルスルホン酸塩は、C~C20脂肪酸エステルスルホン酸塩から選択され、好ましくは、C10~C18脂肪酸エステルスルホン酸塩から選択することができる。脂肪族スルホン酸塩は、単独で使用することもできるし、他の種類のスルホン酸塩界面活性剤と組み合わせて使用することもできる。脂肪族スルホン酸塩は、例えば、これらに限定されるものではないが、2級アルキルスルホン酸塩又は2級アルキルスルホン酸塩の組合せとすることができる。2級アルキルスルホン酸塩は、C~C182級アルキルスルホン酸塩から選択され、好ましくは、C14~C172級アルキルスルホン酸塩から選択することができる。2級アルキルスルホン酸塩は、例えば、これらに限定されるものではないが、2級アルキルスルホン酸ナトリウムとすることができる。フルオレニルタウリン塩は、例えば、これらに限定されるものではないが、メチルステアロイルタウリンナトリウム、メチルミリストイルタウリンナトリウム、メチルココイルタウリンナトリウム、又はこれらの任意の組合せとすることができる。陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤の含有量は、洗浄用粒状体の総量100wt%を基準として、3.0wt%~25.0wt%の範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤は、5.0wt%~25.0wt%の間、又は3.0wt%~21.0wt%の間、更には9.0wt%~21.0wt%の間とすることができる。
【0037】
[0044] 例えば、図2に示す洗浄用粒状体を参照すると、陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤は、少なくとも1種のアルコキシル化スルホン酸塩及び/又は少なくとも1種のアルキルエステルスルホン酸塩を含むことができる。アルコキシル化スルホン酸塩は、C14~C16オレフィンスルホン酸ナトリウム、C12~C15アルカノールポリエーテル-15スルホン酸ナトリウム、C14~C172級アルキルスルホン酸ナトリウム、C14オレフィンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ミリスチン酸DEA(DEA myristate)、デシルフェニルエーテルジスルホン酸二ナトリウム、ラウリミノジプロピル(lauriminodipropyl)スルホン酸二ナトリウム、ラウリルフェニルエーテルジスルホン酸二ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸イソプロピルアミン、イソドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、ドデシルヒドロキシプロピルスルホン酸マグネシウム、C10~C13アルキルベンゼンスルホン酸のMEA塩、ドデシルベンゼンスルホン酸MIPA、ドデシルヒドロキシプロピルスルホン酸カリウム、C13~C17アルカンスルホン酸ナトリウム、C14~C18アルカンスルホン酸ナトリウム、C10~C13アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、C~C222級アルキルスルホン酸ナトリウム、C14~C172級アルキルスルホン酸ナトリウム、ヘキサノイルエチルホルミルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルPG-スルホン酸ナトリウム、オクタノイルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アルキルグルコシドヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸グリセリルエーテルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリドスルホン酸ナトリウム、C12~C14オレフィンスルホン酸ナトリウム、C14~C16オレフィンスルホン酸ナトリウム、C14~C18オレフィンスルホン酸ナトリウム、C16~C18オレフィンスルホン酸ナトリウム、C14~C15アルカノールポリエーテル-PGスルホン酸ナトリウム、C12~C15アルカノールポリエーテル-3スルホン酸ナトリウム、C12~C15アルカノールポリエーテル-7スルホン酸ナトリウム、C12~C15アルカノールポリエーテル-15スルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルグルコシドヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルパルミチン酸スルホン酸ナトリウム(Sodium hydroxypropyl palmitate Sulfonate)、ラウロイルヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルスルホン酸ラウロイルグルコシドナトリウム、メチルラウレートスルホン酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)から選択することができる。
【0038】
[0045] 陰イオン性スルホン酸塩界面活性剤がアルキルエステルスルホン酸塩である場合、これは次に示す構造式を有する:
-CH(SOM)-C(O)-OR
(式中、Rは、C~C22ヒドロカルビルであり、Rは、C~Cヒドロカルビルであり、Mは、可溶性塩を形成する陽イオン(ナトリウム、カリウム、及び/又はリチウム等)又は置換された若しくは無置換のアンモニウム陽イオン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及び/又はトリエタノールアミン等)である)。好ましくは、Rは、C~C18アルキルであり、Rは、メチル、エチル、又はイソプロピルである。アルキル基Rは、鎖長の異なる混合物であってもよい。
【0039】
[0046] 陰イオン性硫酸塩界面活性剤
[0047] 陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤は、単独で使用することも、他の種類の硫酸塩界面活性剤と組み合わせて使用することもできる。陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤は、例えば、これらに限定されるものではないが、脂肪族アルコール硫酸塩、脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、又はこれらの組合せとすることができる。脂肪族アルコール硫酸塩は、これらに限定されるものではないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ココアルキル硫酸ナトリウム、類似の構成成分(a like ingredient)、又はこれらの任意の組合せとすることができる。脂肪族アルコールエーテル硫酸塩は、これらに限定されるものではないが、ラウレス硫酸ナトリウムとすることができる。陰イオン性脂肪族アルコール系硫酸塩界面活性剤の含有量は、洗浄用粒状体の総量100wt%を基準として、15.0wt%~60.0wt%の範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、硫酸塩界面活性剤は、15.0wt%~50.0wt%の間、好ましくは15.0wt%~40.0wt%の間とすることができる。
【0040】
[0048] 例えば、図2に示す洗浄用粒状体を参照すると、陰イオン性硫酸塩界面活性剤は、少なくとも1種の水溶性アルキル硫酸塩及び/又は少なくとも1種の水溶性アルキルエステル硫酸塩を含むことができる。水溶性アルキル硫酸塩は、一般式:
ROSO
(式中、Rは、約8~18個の炭素原子を含むアルキル(不飽和アルケンを含む)置換基であり、Mは、アルキル硫酸塩に水溶性を付与するように選択される陽イオン、例えば、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、及び同種のものである)を有する。置換基Rは、分岐鎖又は直鎖とすることができるが、好ましくは直鎖であり、その理由は、この種の材料が生分解性を有することにある。アルキル硫酸塩の一例が:
【化1】
である。
【0041】
[0049] 水溶性アルキルエステル硫酸塩界面活性剤は、好ましくは、アルコキシル化アルキル硫酸塩洗浄性(detersive)界面活性剤とすることができる。この種の洗浄性界面活性剤は、平均アルコキシル化度が1~30、好ましくは1~10である直鎖状又は分岐状の置換又は無置換のC18アルキルアルコキシル化硫酸塩洗浄性界面活性剤とすることができる。アルコキシル化アルキル硫酸塩洗浄性界面活性剤は、平均エトキシル化度が1~10である直鎖状又は分岐鎖状の置換又は無置換のC18アルキルエトキシル化硫酸塩とすることができる。より好ましくは、アルコキシル化アルキル硫酸塩洗浄性界面活性剤は、平均エトキシル化度が3~7である直鎖状無置換C18アルキルエトキシル化硫酸塩である。
【0042】
[0050] 粒状体形成(結合及び/又は成形)剤
[0051] 粒状体形成剤(結合剤及び/又は成形剤)は、例えば、ポリオール成形剤である。形成剤は、単独で使用することも、他の成形剤と組み合わせて使用することもできる。形成剤は、例えば、これらに限定されるものではないが、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール(ブタンジオール)、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリン、スクロース、トレハロース、ソルボース、メレジトース、ソルビトール、スタチオース、ラフィノース、フルクトース、マンノース、マルトース、ラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース、グルコース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、スレイトール、ポリエチレングリコール、類似の多価アルコール、又はこれらの任意の組合せとすることができる。形成剤は、洗浄用粒状体の構成要素が互いに凝集するのを助け、洗浄用粒状体が充分な可塑性、弾力性、及び潤滑性を有するように構成されている。粒状体は、パン生地(dough)に似た軟らかさを有することになる。したがって、洗浄用粒状体の製造において、洗浄用粒状体は、成形プロセスを行う間、成形機の出口ポートから、出口ポートに蓄積することなく円滑に通過することができ、それにより、閉塞(blockage)や詰まり(clogging)が防止されるか又は少なくともその可能性が最小限に抑えられる。加えて、形成剤は、被洗浄物(例えば、衣類)を柔軟にするように構成することもできる。
【0043】
[0052] 洗浄用粒状体の総量100wt%を基準とすると、粒状体中に含まれる粒状体形成剤の量は、0.5wt%~15.0wt%の間とすることができる。粒状体形成剤の重量百分率がこの範囲を下回ると、製造時の加圧及び押出を経た後の粒状体は、非常に硬く且つ脆くなる可能性がある。粒状体形成剤の重量百分率がこの範囲を超えると、粒状体は、製造中に設備に貼り付き、詰まりや他の製造上の問題を引き起こす可能性がある。幾つかの実施形態において、粒状体形成剤の量は、1.0wt%~5.0wt%.の間とすることができる。
【0044】
[0053] 粘度低下(粘着防止)剤
[0054] 粘着防止剤の1つの目的は、洗浄用粒状体が保管中に他の同種の粒状体に付着して凝集することの防止を助けることにある。粘着防止剤は、単独で使用することも、組み合わせて使用することもできる。粘着防止剤は、例えば、これらに限定されるものではないが、層状の二ケイ酸ナトリウム、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、又はこれらの任意の組合せとすることができる。洗浄用粒状体中のゼオライトは、天然のゼオライトとすることもできるし、或いは天然ゼオライトよりも純度の高い合成ゼオライトとすることもできる。
【0045】
[0055] 粒状体中に含まれる粘着防止剤は、洗浄用粒状体の総量100wt%を基準として、0wt%(即ち、図2に示すように、粘着防止剤を含まない)~3.0wt%の間とすることができる。幾つかの実施形態において、粘着防止剤の量は、0.3wt%~3.0wt%の間とすることができる。更に、他の実施形態において、粘着防止剤の量は、0.5wt%~3.0wt%の間とすることができる。粘着防止剤の重量百分率がこの範囲を下回る場合、粒状体が互いに凝集することを防ぐのに充分な粘度低下をもたらすことができない可能性がある。粘着防止剤の重量百分率がこの範囲を超えると、基本構成要素(陰イオン性界面活性剤構成要素及び粒状体形成剤)は、まとまりが悪くなり、粒状体の球状構造を作り出すために凝集させることができなくなる可能性がある。
【0046】
[0056] 図4を参照すると、洗浄用粒状体200は、洗浄用粒状体に追加の特徴及び機能を付与するための1又は複数の更なる構成成分を含むことができる。更なる構成成分230~250は、洗浄用粒状体の主要構成要素(陰イオン性界面活性剤構成要素、粘度低下剤、粒状体形成剤)の周りに被覆として適用することができる。粒状体に更なる構成成分を1層ずつ追加していくと、最終的に、複数の同心円状の被覆が、基礎となる粒状体の周りに形成される。それぞれの更なる構成成分を粒状体に追加する順序は、更なる構成成分の種類及び機能に応じて異なり得る。これに加えて、又はこれに替えて、更なる構成成分210を、洗浄用粒状体の主要構成要素でカプセル化してもよい。更に、これに加えて、又はこれに替えて、更なる構成成分220を粒状体の主要構成要素と均一に混合してもよい。
【0047】
[0057] 更なる構成成分の一例が、崩壊剤である。崩壊剤は、水分と接触した洗浄用粒状体を速やかに溶解させる薬剤である。崩壊剤は、単独で使用することも、他の崩壊剤と組み合わせて使用することもできる。崩壊剤は、例えば、これらに限定されるものではないが、セルロースをベースとする材料、デンプンをベースとする材料、アクリルをベースとする材料、ポリビニルピロリドン(ポリビドン)、酒石酸、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、又はこれらの任意の組合せとすることができる。セルロースをベースとする材料は、これらに限定されるものではないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、類似の構成成分、又はこれらの任意の組合せとすることができる。デンプンをベースとする材料は、これらに限定されるものではないが、例えば、コーンスターチ、バレイショデンプン、類似の構成成分、又はこれらの任意の組合せとすることができる。崩壊剤の含有量は、洗浄用粒状体の総量100wt%を基準として、0wt%~40.0wt%の範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、崩壊剤の含有量は、0wt%~3.0wt%の範囲とすることができる。他の実施形態において、崩壊剤の含有量は、1.0wt%~3.0wt%の間とすることができる。
【0048】
[0058] 洗浄用粒状体に香りを付けるために、洗浄用粒状体は、香料構成要素を含むことができる。香料構成要素は少なくとも1種の芳香物質(perfume)を含む。少なくとも1種の芳香物質は、これらに限定されるものではないが、例えば、精油とすることができる。精油は、オレンジ油、ラベンダー油、セイヨウハッカ油、レモン油、ユーカリ油、ティーツリー油、レモングラス油、カモミール油、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0049】
[0059] 洗浄用粒状体の洗浄力を改善又は向上させるために、酵素構成要素を粒状体に含有させることができる。酵素構成要素は、繊維を手入れするという利点も付与する。酵素構成要素は少なくとも1種の酵素を含む。少なくとも1種の酵素は、これらに限定されるものではないが、例えば、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ、又はこれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0050】
[0060] 洗浄用粒状体を、脂汚れの除去、及び酸性汚れにより発生する臭気を防ぐための酸性汚れの中和をより効果的に行うために、洗浄用粒状体はアルカリ剤も含むことができる。アルカリ剤は、単独で使用することもできるし、同様の作用を有する他の類似の薬剤と組み合わせて使用することもできる。アルカリ剤は、これらに限定されるものではないが、例えば、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸テトラナトリウム、又はこれらの任意の組合せとすることができる。
【0051】
[0061] 洗浄用粒状体はまた、硬水又は硬度の高い水(例えば、150(ppm又はmg/L)以上)中で洗浄力を向上(increase)又は増強(enhance)させる更なる構成成分も含むことができる。具体的には、洗浄用粒状体はキレート剤を含む。キレート剤は、水あかの除去、水の軟水化、及び衛生目的の洗浄(hygenic cleaning)作用の増強を助ける。キレート剤は、単独で使用することも、組み合わせて使用することもできる。キレート剤は、これらに限定されるものではないが、例えば、グルコン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、グルタミン酸二酢酸、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム等、又はこれらの任意の組合せとすることができる。他の好適なキレート剤としては、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチルホスホン酸)、エチレンジアミン-N’N’-ジコハク酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエタンジ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。幾つかの実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミン-N’N’-ジコハク酸(EDDS)及び/又はヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)である。固形粒状体組成物は、好ましくは、エチレンジアミン-N’N’-ジコハク酸又はその塩を含むことができる。エチレンジアミン-N’N’-ジコハク酸は、例えば、光学異性体であるS’S’体とすることができる。幾つかの実施形態において、固形粒状体は、4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルトン酸(disultonic acid)二ナトリウム塩を含むことができる。
【0052】
[0062] 従来の粉末洗浄用製品の問題の1つは、人、子供、又はペットが製品を飲み込んだ場合の中毒事故にある。飲み込んでしまう可能性を低減するために、本教示の洗浄用粒状体は、刺激風味剤(irritating-flavor agent)を含有することができる。刺激風味剤は、人又はペットが前記洗浄用粒状体を飲み込む前に吐き出すことを誘導する目的で、洗浄用粒状体に不快な味を付けるものである。刺激風味剤は、単独で使用することも組み合わせて使用することもでき、例えば、これらに限定されるものではないが、苦味剤とすることができる。苦味剤は、安息香酸デナトニウム、ナリンギン、オクタ酢酸スクロース、カフェイン、キニーネ、テオブロミン等、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。粒状体に他の更なる構成成分が添加される場合、好ましくは、刺激風味剤は、確実に即座に作用するように、粒状体の最外層として適用される。これは、崩壊剤、香料構成要素、酵素構成要素、アルカリ剤、及び/又はキレート剤等の他の更なる構成成分が、刺激風味剤層の内側に配置されることを意味する。
【0053】
[0063] 図1に示す洗浄用粒状体に戻ると、洗浄用粒状体の粉塵粒子を低減すること、及び/又は酵素構成要素若しくは香料構成要素の作用を喪失させる可能性のある、洗浄用粒状体内への水分若しくは空気の侵入を低減することを目的として、これらの活性成分(例えば、香料酵素)が安定なままとなり、長期間保管しても洗浄用粒状体内に安定して存在するように、洗浄用粒状体は外部保護被覆を有することができる。幾つかの実施形態において、活性成分は、界面活性剤、粘度低下剤、及び粒状体形成剤の混合物でカプセル化することができる。香料構成要素をマイクロカプセルの形態とすると、香料構成要素を有効に被覆することができる。その結果として、洗浄用粒状体は、その保存期間に亘り、香りを持続的に維持することができる。幾つかの実施形態において、洗浄用粒状体(界面活性剤構成要素110、112の、粘度低下(粘着防止)剤116、及び粒状体形成(結合及び/又は成形)剤120)の粒子径は、6.0mm~20.0mmの間とすることができる。他の実施形態において、洗浄用粒状体の粒子径(particle size)は、3.0mm~20.0mmの範囲とすることができる。更なる他の実施形態において、洗浄用粒状体の粒子径は、6.0mm~10.0mmの範囲とすることができる。粒状体の径(size)を、3.0mmを超え、好ましくは6.0mmを超えるようにすることで、粒状体が輸送及び保管中に破損する可能性が低下する。洗浄用粒状体への水分又は空気の侵入を有効に低減するため、並びに包装及び輸送費用の削減を助けるために、洗浄用粒状体の密度を1000g/Lを超えるようにする。酵素構成要素の効果が水の影響によって不都合に失われることを最小限に抑えるために、洗浄用粒状体の水分含有量を1wt%未満とする。
【0054】
[0064] 本教示による洗浄用粒状体は、洗濯用洗剤、台所用品及び食器用洗剤、浴室用洗浄剤、身体用石鹸又は洗浄剤(ヒト又はペット用)、入浴剤等の様々な洗浄用製品に組み込むことができ、又はそれらを形成するために使用することができる。具体的には、本教示は、1又は複数の上に記載した洗浄用粒状体を含む、洗濯用洗剤、食器洗浄機清掃用洗浄剤、食器洗浄機用洗剤、食器用洗浄剤、台所用洗浄剤、浴室用洗浄剤、トイレ用洗浄剤、流し用洗浄剤、バスタブ用洗浄剤、タイル用洗浄剤、カーペット/ラグ用洗浄剤、多目的用洗浄剤、床用洗浄剤、汎用表面用洗浄剤、手洗い用洗浄剤、又は身体用洗浄剤を提供する。図5に示すように、複数の洗浄用粒状体10を、容器、錠剤、又は他の水溶性の小袋(pouch)14に封入することができる。洗浄用粒状体10の様々な例を、それらの対応する組成/配合と共に図6A~6Cに示す。この図はまた、洗浄用粒状体10が比較用粒状体よりも凝集力、溶解速度、洗浄力/洗浄性の改善、及び/又は他の因子に関し有利であることも示している。図6Cに示すように、比較用粒状体に関し、試験中に以下に示す観測結果を得た:
【0055】
[0065] 比較試験1a:界面活性剤の総量が不充分であったために、比較用粒状体は凝集が不充分であり、球状形状が形成される成功率が低かった。
【0056】
[0066] 比較試験1b:変性剤を多量に添加してさえも、この配合物は湿ってべたついたままであり、粒状体が球状に形成される成功率は低く、平たく長いものになった。
【0057】
[0067] 比較試験1c:界面活性剤の総量が増加しても、A/B比が低過ぎると、粒状体の凝集は不充分であった。
【0058】
[0068] 比較試験4a:A/Bが高過ぎると、粒状体の凝集力が高くなり過ぎることになり、溶解し難くなり、その結果として溶解時間が長くなった。
【0059】
[0069] 比較試験13a:界面活性剤の総量が多過ぎると、粒状体の凝集力が高くなり過ぎ、配合物が過度に湿ってべたつき、溶解し難く、押出が円滑に行われず、粒状体の大部分が平たく長くなり、溶解時間が長くなった。
【0060】
[0070] 本教示による洗浄用粒状体を使用する1つの方法は、粒状体を被洗浄物に直接適用することを含み得る。或いは、粒状体をまず水に溶解して洗浄液を形成し、次いでこれを被洗浄物に適用してもよい。
【0061】
[0071] 更に、前記洗浄用粒状体を以下に示す追加の実施例を参照しながら説明するが、これらの実施例は例示のみを目的とするものであると理解すべきであり、本教示の実施を制限するものと解釈すべきではない。
【実施例
【0062】
[0072] 発明実施例1
[0073] 洗浄用粒状体は、以下を含むものとし、以下に示すように形成した:C14~C172級アルキルスルホン酸ナトリウム5wt%及びラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム15wt%を混合することにより第1混合物を得;次いで、第1混合物にグリセロール5wt%、カルボキシメチルセルロース1wt%、層状結晶性二ケイ酸ナトリウム0.3wt%、デナトニウム0.001wt%、並びに炭酸水素ナトリウム20wt%(崩壊剤及びアルカリ剤の役割を果たす)、硫酸ナトリウム52.699wt%、オレンジ油マイクロカプセル0.5wt%、及びプロテアーゼ0.5wt%を加えて混合することにより洗浄用組成物を得た。次いで、洗浄用組成物を成形し、直径5mm~10mmとなるように形成し、切断して洗浄用粒状体又はペレットを作製した。
【0063】
[0074] 発明実施例2~8及び比較例1~6
[0075] 発明実施例2~8及び比較例1~6を、次の表1に示す種類及び量の構成成分を用いたことを除いて、発明実施例1と同一のステップを用いて実施した。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
[0078] 評価/試験項目
[0079] 球形測定:カメラ(例えば、Olympus Tough TG-6)及びImageJソフトウェアを使用して、発明実施例1~8及び比較例6の最短軸(shortest side)及び最長軸の寸法を測定し、その後、最短軸及び最長軸の寸法を次式に当てはめて球形度を算出した:
球形度=最短軸の長さ/最長軸の長さ。球形度が0.9を超えると、粒状材料は連続して転がることができる。
【0067】
[0080] 粒子径(particle size)の測定(単位:mm):デジタル式厚み測定器(例えば、ミツトヨ(Mitutoyo))を使用して、図6A~6Cに示す発明実施例1~12及び比較例試験1a~13a並びに上の表1~2に示した発明実施例1~8及び比較例6を測定した。
【0068】
[0081] 密度測定(単位:g/L):それぞれの重量及び体積を用いて表1~2の発明実施例1~8及び比較例6の密度を算出した。
【0069】
[0082] 球体流動性測定:2kgの表1~2の発明実施例1~8及び比較例6が、高さ15cm、容積500ml、出口開口部5cmの円錐形の漏斗を通過する状態を観察し、漏斗を通過する時間を測定した。
【0070】
[0083] 溶解時間測定:図6A~6Cに示す発明実施例1~12及び比較例試験1a~13a並びに表1~2に示す発明実施例1~8及び比較例6を20グラムを60リットルの水に投入した後、回転速度を200rpmに設定し、温度を25℃に設定し、完全に溶解した時間を記録した。
【0071】
[0084] 洗浄力試験:人為的に汚染した布の汚れを除去する能力を測定するための標準的な試験(洗剤の等級付けには適さない)を、ASTM D3050-07(2015)に準拠し、発明実施例及び比較例のそれぞれの使用量を等しくして測定を実施した。図6Cの比較例1a~13a及び表2の比較例2~5は粒状でないが、その洗浄力を同様に測定できることに留意されたい。
【0072】
[0085] 芳香持続性測定(単位:週):表1~2の発明実施例1~8及び比較例6を25℃の環境下に4時間置き、次いで温度を45℃に設定した環境下に置いた。20名の評価者による芳香の評価を毎週行い、評価者の80%が香りを感じたことに同意した場合、香りがあると判定し、少なくとも12週間継続した。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
[0088] 表2及び4の実験データから、成形剤を使用しなかった比較例1においては、洗浄用組成物が圧縮されて弾性のない硬い小片になったことが分かる。その結果として、成形装置の排出孔から組成物を突き出すことが困難になり、洗浄用ペレットを得ることができなかった。表2及び4の実験データから、比較例2~5は、スルホン酸塩及び脂肪族アルコール系硫酸塩の総量が20wt%未満であるか又はスルホン酸塩対脂肪族アルコール系硫酸塩の比が1:3~1:5の範囲外であることが分かる。その結果として、比較例2~5の洗浄用組成物の構成要素は容易に凝集せず、洗浄用粒状体を得ることができない。比較例6は、粘着防止剤を使用しておらず、球体の流動性が悪く、これは、洗浄用粒状体がやはり他の粒状体に付着し、保管中に不利に凝集することになったことを意味している。
【0076】
[0089] 表1及び3の実験データから、本発明実施例1~8は、成形剤を含有させ、スルホン酸塩及び脂肪族アルコール硫酸塩の全体の範囲を15wt%超且つ100wt%未満に制御し、及びスルホン酸塩対脂肪族アルコール系硫酸塩の比を0.2~0.4の間にすることにより、凝集した洗浄用粒状体を有利に得ることができたことが分かる。加えて、球体の実験データを参照すると、本教示の洗浄用粒状体は流動性に優れていることが分かり、これは、粘着防止剤構成要素を含有することにより、洗浄用粒状体が保管中に他の粒状体と集合して凝集塊を形成しないことを意味する。溶解速度の実験データを参照すると、粒状体は、崩壊剤を含有することにより速やかに溶解する特徴を有することが分かる。
【0077】
[0090] まとめると、陰イオン性界面活性剤構成要素、粘着防止剤構成要素、及び成形剤を組み合わせることに加えて、陰イオン性界面活性剤構成要素を特定の含有量にすることにより、付着せず、良好な流動性を有する凝集した洗浄用粒状体を得ることができる。本教示による洗浄用粒状体は、保管過程で他の粒状体に付着して凝集塊を形成しないであろう。これは速やかに溶解することができ、高い洗浄力を示す。したがって、これは確かに本教示の目的を達成することができる。
【0078】
[0091] 当業者であれば固形粒状体の異なる構成も可能であることを理解されたい。例えば、固形粒状体の構成要素の配置及び順序は、本教示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、上の明細書及び図面で説明したものとは異なり得る。固形粒状体に含有される構成要素も、本教示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、上の明細書及び図面で説明したものとは異なり得る。
【0079】
[0092] 本教示を具体的な実施形態に関し上で説明したが、本教示は、開示したこれらの実施形態に限定されないことを理解すべきである。これに関連する技術分野の当業者であれば、多くの修正及び他の実施形態が思い浮かぶことになり、これらは本開示及び添付の特許請求の範囲の両方により意図されており、包含される。例えば、幾つかの例において、1つの実施例に関連して開示された1又は複数の特徴は、単独で用いることも、1又は複数の他の実施形態の1又は複数の特徴と組み合わせて用いることもできる。本教示の範囲は、本明細書及び添付の図面における開示に依拠する技術分野の当業者に理解されるように、いずれかの特許請求の範囲及びそれらの法的均等物を適切に解釈及び構築することにより決定されるべきであることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C