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特許7245949液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20230316BHJP
   F17C 13/10 20060101ALI20230316BHJP
   B65D 88/06 20060101ALI20230316BHJP
   B65D 90/48 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
F17C13/02 302
F17C13/10 302
B65D88/06 Z
B65D90/48 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022133147
(22)【出願日】2022-08-24
【審査請求日】2022-08-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】安部 和也
(72)【発明者】
【氏名】小形 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋介
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-349793(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02119952(EP,A2)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0048266(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0125625(KR,A)
【文献】特開2021-099143(JP,A)
【文献】特開2021-095051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
F17C 13/10
B65D 88/06
B65D 90/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、
前記タンクに接続されて前記液化二酸化炭素が流通可能な配管と、
前記タンク、及び前記配管の少なくとも一方の内部の前記液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出する圧力センサーと、
前記液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出する温度センサーと、
前記圧力センサー及び前記温度センサーの検出結果に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する推定部と、
前記タンクに貯留された液化二酸化炭素と、前記液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んだ貯留液の組成に基づいた三重点の情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記三重点の情報は、前記液化二酸化炭素に対する不純物の量に応じた前記三重点の圧力及び温度の情報であり、
前記推定部は、前記圧力センサー及び前記温度センサーの検出結果と、前記記憶部に記憶された前記不純物の量に応じた前記三重点の圧力及び温度の情報と、を比較して、ドライアイスの生成状況を推定する
液化二酸化炭素設備。
【請求項2】
前記タンク、及び前記配管の少なくとも一方の外部から、前記液化二酸化炭素が存在する領域の前記液化二酸化炭素中に混在する固体を検出する固体検出部をさらに備え、
前記推定部は、前記圧力センサー及び前記温度センサーの検出結果と、前記固体検出部の検出結果と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する
請求項1に記載の液化二酸化炭素設備。
【請求項3】
前記固体検出部は、前記液化二酸化炭素中で、前記液化二酸化炭素が固化した粒状体、及び前記液化二酸化炭素に含まれる不純物が固化した粒状体を、前記固体として検出する請求項2に記載の液化二酸化炭素設備。
【請求項4】
前記推定部で推定した前記ドライアイスの生成状況に基づいて、前記タンク内に設けられたポンプの動作を制御する制御部をさらに備える
請求項1又は2に記載の液化二酸化炭素設備。
【請求項5】
前記配管を開閉する開閉弁を備え、
前記制御部は、前記推定部で前記ドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、前記開閉弁を閉じる
請求項4に記載の液化二酸化炭素設備。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の液化二酸化炭素設備におけるドライアイスの生成状況推定方法であって、
前記液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度を検出するステップと、
前記圧力及び前記温度の検出結果に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定するステップと、を含む
ドライアイスの生成状況推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されたタンク(燃料タンク)は、液化ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)をタンクに積み込むための配管(パイプライン)と、タンクから液化ガスを払い出すための配管(パイプライン)とを備えている。
【0003】
液化二酸化炭素を収容するタンク内や、液化二酸化炭素の流通する配管内では、液化二酸化炭素の圧力が低下した場合に、以下のような理由により、液化二酸化炭素が凝固してドライアイスが生成される可能性がある。
液化二酸化炭素は、気相、液相、固相が共存する三重点の圧力(三重点圧力)が、LNGやLPG(液化石油ガス)の三重点圧力に比較して高く、運用時におけるタンク運用圧との差異が小さい場合がある。この場合、タンク運用圧(タンクの設計圧力)によっては、液化二酸化炭素の圧力が部分的に低くなり、液化二酸化炭素の圧力が三重点圧力以下となって液化二酸化炭素のフラッシュ蒸発が生じ、その蒸発潜熱により、液化二酸化炭素の温度低下が生じてドライアイスが生成されてしまう可能性が有る。
このようにして、ドライアイスが生成されると、配管内における液化二酸化炭素の流れが阻害されてしまうことがある。
【0004】
このため、液化二酸化炭素を収容するタンク、配管を備えた液化二酸化炭素設備においては、ドライアイスの生成が抑えられるように、例えば、タンク内や配管内等、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を圧力センサーで監視して、圧力を管理しながら設備の運用を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2018-528119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、各種のプラント等で生成された排ガスから二酸化炭素を回収して液化した液化二酸化炭素は、各種の不純物を含んでいる場合が多い。このような不純物を含んだ液化二酸化炭素の三重点の温度、圧力は、不純物を含まない液化二酸化炭素の三重点の温度、圧力と異なる場合がある。このため、不純物を含まない液化二酸化炭素の三重点よりも高い圧力環境下であっても、不純物を含んだ液化二酸化炭素ではフラッシュ蒸発が発生してしまい、例えば、タンク内や配管内等、液化二酸化炭素の存在する領域の圧力を圧力センサーで監視していたとしてもドライアイスが生成されてしまう可能性がある。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る液化二酸化炭素設備は、タンクと、配管と、圧力センサーと、温度センサーと、推定部と、記憶部と、を備える。前記タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記配管は、前記タンクに接続されて前記液化二酸化炭素が流通可能である。前記圧力センサーは、前記タンク、及び前記配管の少なくとも一方の内部の前記液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出する。前記温度センサーは、前記液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出する。前記推定部は、前記圧力センサー及び前記温度センサーの検出結果に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。記憶部は、前記タンクに貯留された液化二酸化炭素と、前記液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んだ貯留液の組成に基づいた三重点の情報を記憶する。前記三重点の情報は、前記液化二酸化炭素に対する不純物の量に応じた前記三重点の圧力及び温度の情報であり、前記推定部は、前記圧力センサー及び前記温度センサーの検出結果と、前記記憶部に記憶された前記不純物の量に応じた前記三重点の圧力及び温度の情報と、を比較して、ドライアイスの生成状況を推定する。
【0009】
本開示に係る液化二酸化炭素設備は、タンクと、配管と、固体検出部と、推定部と、を備える。前記タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記配管は、前記タンクに接続されて前記液化二酸化炭素が流通可能である。前記固体検出部は、前記タンク、及び前記配管の少なくとも一方の内部の前記液化二酸化炭素が存在する領域における、前記液化二酸化炭素中に混在する固体を検出する。前記推定部は、前記固体検出部における前記固体の検出状況に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。
【0010】
本開示に係るドライアイスの生成状況推定方法は、上記したような液化二酸化炭素設備におけるドライアイスの生成状況推定方法である。前記ドライアイスの生成状況推定方法は、圧力、及び温度を検出するステップと、ドライアイスの生成状況を推定するステップと、を含む。前記圧力、及び温度を検出するステップは、前記液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度を検出する。前記ドライアイスの生成状況を推定するステップは、前記圧力及び前記温度の検出結果に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。
【0011】
本開示に係るドライアイスの生成状況推定方法は、上記したような液化二酸化炭素設備におけるドライアイスの生成状況推定方法である。前記ドライアイスの生成状況推定方法は、固体の存在の有無を検出するステップと、ドライアイスの生成状況を推定するステップと、を含む。前記固体の存在の有無を検出するステップは、前記液化二酸化炭素が存在する領域における、前記液化二酸化炭素中に混在する固体の存在の有無を検出する。前記ドライアイスの生成状況を推定するステップは、前記固体の検出結果に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法によれば、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第一実施形態に係る液化二酸化炭素設備の概略構成を示す図である。
図2】本開示の第一、第二実施形態に係る配管に設けられた圧力センサー、及び温度センサーを示す断面図である。
図3】本開示の第一~第三実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】本開示の第一、第二実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図5】本開示の第一実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法の手順を示すフローチャートである。
図6】本開示の第二実施形態に係る液化二酸化炭素設備の概略構成を示す図である。
図7】本開示の第二、第三実施形態に係る固体検出部を示す図である。
図8】本開示の第二実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法の手順を示すフローチャートである。
図9】本開示の第三実施形態に係る液化二酸化炭素設備の概略構成を示す図である。
図10】本開示の第三実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図11】本開示の第三実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第一実施形態>
以下、本開示の実施形態に係る液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法について、図1図11を参照して説明する。
(液化二酸化炭素設備の全体構成)
図1に示すように、この実施形態における液化二酸化炭素設備1Aは、タンク2と、配管10と、圧力センサー20と、温度センサー30と、制御装置60Aと、を少なくとも備えている。
【0015】
タンク2は、液化二酸化炭素を貯留可能である。タンク2に貯留される液化二酸化炭素は、不純物が混在していてもよい。以下の説明において、液化二酸化炭素と、液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んだ液を、貯留液Lと称する。タンク2は、船舶の船体、洋上浮体設備の浮体本体、陸上の液化ガス貯蔵施設等に設置される。
【0016】
タンク2は、例えば、円筒状をなしている。タンク2は、筒状部3と、鏡板部4と、を備えている。筒状部3は、その中心軸の延びる中心軸方向Dcに延びている。この実施形態において、中心軸方向Dcは、上下方向Dvに垂直な方向である。中心軸方向Dcは、水平方向と一致していてもよいが、水平方向に対して僅かに傾斜していてもよい。この実施形態において、筒状部3は、円筒状に形成され、その中心軸方向Dcに垂直な断面形状が円形をなしている。鏡板部4は、筒状部3の中心軸方向Dcの両端部にそれぞれ配置されている。各鏡板部4は、半球状をなし、筒状部3の中心軸方向Dc両側の開口をそれぞれ閉塞している。
なお、タンク2は、その中心軸方向Dcを上下方向Dvに一致させて配置してもよい。また、タンク2は、円筒状に限られるものではなく、球形、方形等、他の形状であってもよい。
【0017】
本実施形態の液化二酸化炭素設備1Aは、配管10として例えば、積込配管11と、払出配管12と、を備えている。積込配管11、払出配管12は、それぞれタンク2に接続されている。配管10としての積込配管11、払出配管12は、それぞれ液化二酸化炭素の貯留液Lが流通可能である。配管10は、タンク2に接続された配管であれば、積込配管11と、払出配管12とに限られるものではなく、他の用途に用いる配管であってもよい。
【0018】
積込配管11は、外部から供給される液化二酸化炭素の貯留液Lをタンク2内に積み込むための配管である。積込配管11は、例えば、タンク2の頂部を貫通し、タンク2の内外を上下方向Dvの上方から下方に向かって延びている。積込配管11の先端(言い換えれば、上下方向Dvにおける下端)は、タンク2内の下部で下方を向いて開口している。
積込配管11には、開閉弁15が設けられている。開閉弁15は、例えば、タンク2の外部に配置されている。開閉弁15は、積込配管11を開閉する。
【0019】
払出配管12は、タンク2内の貯留液Lをタンク2の外部へ払い出すための配管である。払出配管12は、例えば、タンク2の外部からタンク2の頂部を貫通し、タンク2の内部に延びている。払出配管12の先端部は、タンク2内の下部に配置されている。払出配管12の先端部には、ポンプ13が設けられている。ポンプ13は、タンク2内に配置されている。ポンプ13は、タンク2内の液化二酸化炭素の貯留液Lを吸い込み、払出配管12を通してタンク2の外部に送り出す。
払出配管12には、開閉弁16が設けられている。開閉弁16は、例えば、タンク2の外部に配置されている。開閉弁16は、払出配管12を開閉する。
【0020】
タンク2の内部、積込配管11の内部、及び払出配管12の内部は、それぞれ、液化二酸化炭素が存在する領域である。
【0021】
(圧力センサー、温度センサーの構成)
圧力センサー20は、タンク2の内部、及び配管10の内部の、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出する。本実施形態において、圧力センサー20は、例えば、第一圧力センサー20A~第五圧力センサー20Eを備えている。
【0022】
このうち、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、及び第三圧力センサー20Cは、タンク2内の各部の圧力を検出する。第一圧力センサー20Aは、タンク2内の上部の圧力を検出する。第二圧力センサー20Bは、タンク2内の底部の圧力を検出する。第三圧力センサー20Cは、タンク2内の底部よりも上方の中間部の圧力を検出する。タンク2に設ける圧力センサー20の数、配置は、何ら限定するものではなく、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20C以外に、さらに他の圧力センサー20を設けてもよい。また、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20Cのうちの一部を省略してもよい。
【0023】
図2は、本開示の実施形態に係る配管に設けられた圧力センサー、及び温度センサーを示す断面図である。
図2に示すように、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eは、配管10内の各部の圧力を検出する。第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eは、積込配管11、払出配管12の各々に設けられている。第四圧力センサー20Dは、配管10内の管壁近くの圧力を検出する。第五圧力センサー20Eは、管壁から離れた配管10内の中間部の圧力を検出する。
配管10に設ける圧力センサーの数、配置は、何ら限定するものではなく、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20E以外に他の圧力センサー20を設けてもよい。また、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eを、配管10の延伸方向に間隔を開けて複数組備えるようにしてもよい。
【0024】
温度センサー30は、タンク2、及び配管10の内部の、液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出する。本実施形態において、温度センサー30は、例えば、第一温度センサー30A~第五温度センサー30Eを備えている。
【0025】
図1に示すように、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30Cは、タンク2の各部で液化二酸化炭素の貯留液Lの温度を検出する。第一温度センサー30Aは、タンク2内の上部の温度を検出する。第二温度センサー30Bは、タンク2内の底部の温度を検出する。第三温度センサー30Cは、タンク2内の底部よりも上方の中間部の温度を検出する。第一温度センサー30A、第二温度センサー30Bとしては、例えばサーマルカメラ等を用いることができる。第三温度センサー30Cとしては、例えば熱電対等を用いることができる。
タンク2に設ける温度センサー30の数、配置は、何ら限定するものではなく、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30C以外に、さらに他の温度センサー30を設けてもよい。また、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30Cのうちの一部を省略してもよい。
【0026】
図2に示すように、第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eは、配管10内の各部の温度を検出する。第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eは、積込配管11、払出配管12の各々に設けられている。第四温度センサー30Dは、配管10の管壁近くの圧力を検出する。第五温度センサー30Eは、管壁から離れた配管10内の中間部の温度を検出する。第四温度センサー30Dとしては、例えばサーマルカメラ等を用いることができる。第五温度センサー30Eとしては、例えば熱電対等を用いることができる。
配管10に設ける温度センサーの数、配置は、何ら限定するものではなく、第四温度センサー30D、第五温度センサー30E以外に他の温度センサー30を設けてもよい。また、第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eを、配管10の延伸方向に間隔を開けて複数組備えるようにしてもよい。
【0027】
(ハードウェア構成図)
図3は、本開示の実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、制御装置60Aは、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のストレージ64、信号送受信モジュール65を備えるコンピュータである。
【0028】
(機能ブロック図)
図4は、本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図4に示すように、制御装置60AのCPU61は予めストレージ64等に記憶されたプログラムを実行することにより、信号入力部70、記憶部71、推定部72A、制御部73A、出力部75の各機能構成を実現する。制御装置60Aは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。
【0029】
信号入力部70は、圧力センサー20、温度センサー30からの検出信号を、信号送受信モジュール65を介して受信する。
【0030】
記憶部71は、タンク2に貯留された液化二酸化炭素の貯留液Lの組成に基づいた三重点の情報を記憶している。液化二酸化炭素の貯留液Lは、液化二酸化炭素と、液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んでいる。このような貯留液Lの三重点の圧力、温度は、不純物を含まない液化二酸化炭素に比較して、三重点の圧力、温度が異なる。また、貯留液Lにおける、液化二酸化炭素に対する不純物の量に応じて、三重点の圧力、温度が異なる。このため、タンク2に液化二酸化炭素の貯留液Lを貯留するに先立ち、貯留液Lの組成を分析し、貯留液Lの三重点の圧力、温度を含む、三重点の情報を取得しておく。取得された三重点の情報が、記憶部71に記憶されている。
【0031】
推定部72Aは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。推定部72Aは、信号入力部70で受信した圧力センサー20からの検出信号に基づいて、圧力センサー20(第一圧力センサー20A~第五圧力センサー20E)によるタンク2内、配管10内の、液化二酸化炭素が存在する領域における、貯留液Lの圧力の検出結果を取得する。推定部72Aは、信号入力部70で受信した温度センサー30からの検出信号に基づいて、温度センサー30(第一温度センサー30A~第五温度センサー30E)によるタンク2内、配管10内の各部における、液化二酸化炭素が存在する領域における、貯留液Lの温度の検出結果を取得する。
【0032】
推定部72Aは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、記憶部71に記憶された三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。推定部72Aは、取得された、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力、及び温度と、記憶部71に記憶された、貯留液Lの三重点の情報に基づく、貯留液Lの三重点の圧力、温度とを比較する。推定部72Aは、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力が、貯留液Lの三重点の圧力よりも低く、かつ、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの温度が、貯留液Lの三重点の温度よりも高い場合に、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と推定する。
【0033】
制御部73Aは、推定部72Aで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ドライアイスの生成を抑制するために、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作を制御する。
制御部73Aは、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、例えば、ポンプ13の動作を停止して、タンク2内の圧力低下を抑える。また、制御部73Aは、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、例えば、ポンプ13の回転数を上昇させ、配管10内の液化二酸化炭素の貯留液Lを加圧するようにしてもよい。
また、制御部73Aは、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、開閉弁15,16を閉じて配管10内の静圧回復を図るようにしてもよい。
制御部73Aによる、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作の制御は、その全てを実行してもよいし、一部のみを実行してもよい。また、制御部73Aは、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作の制御を同時に行ってもよいし、タイミングを異ならせてもよい。また、制御部73Aは、上記以外に、液化二酸化炭素が存在する領域に、加圧流体を供給するようにしてもよい。
【0034】
(ドライアイスの生成状況推定方法の手順)
図5は、本開示の実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法の手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法S10は、圧力、及び温度を検出するステップS11と、ドライアイスの生成状況を推定するステップS12と、ドライアイスが生成される状況であるか否かを判定するステップS13と、ポンプ、開閉弁の動作を制御するステップS14と、を含んでいる。
【0035】
圧力、及び温度を検出するステップS11では、圧力センサー20、温度センサー30により、タンク2内、配管10内において液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度を検出する。これには、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20Cが、タンク2内の各部の圧力を検出する。また、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eが、配管10内の各部の圧力を検出する。また、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30Cが、タンク2内の各部の温度を検出する。また、第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eが、配管10内の各部の温度を検出する。
圧力センサー20、温度センサー30における検出結果を示す検出信号は、制御装置60Aに送信される。
【0036】
ドライアイスの生成状況を推定するステップS12では、圧力及び温度の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。これには、制御装置60Aの信号入力部70が、圧力センサー20、温度センサー30における検出信号を受信する。そして、推定部72Aが、信号入力部70で受信した圧力センサー20からの検出信号に基づいて、圧力センサー20(第一圧力センサー20A~第五圧力センサー20E)によるタンク2内、配管10内の各部における、貯留液Lの圧力の検出結果を取得する。また、推定部72Aが、信号入力部70で受信した温度センサー30からの検出信号に基づいて、温度センサー30(第一温度センサー30A~第五温度センサー30E)によるタンク2内、配管10内の各部における、貯留液Lの温度の検出結果を取得する。さらに、推定部72Aが、記憶部71に記憶された、貯留液Lの三重点の情報を取得する。
【0037】
ドライアイスの生成状況を推定するステップS12では、さらに、推定部72Aによって、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、記憶部71に記憶された三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。これには、推定部72Aが取得した、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力、及び温度と、記憶部71に記憶された、貯留液Lの三重点の情報に基づく、貯留液Lの三重点の圧力、温度とを比較する。ここで、推定部72Aは、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力が、貯留液Lの三重点の圧力よりも低く、かつ、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの温度が、貯留液Lの三重点の温度よりも高い場合に、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と推定する。
【0038】
ドライアイスが生成される状況であるか判定するステップS13では、ステップS12において、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況であるか否かを判定する。この判定の結果、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況ではないと判定された場合(ステップS13でNo)、ステップS11に戻る。
一方で、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況であると判定された場合(ステップS13でYes)、ステップS14に進む。
【0039】
ポンプ、開閉弁の動作を制御するステップS14では、ステップS13により貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と判定された場合、制御部73Aによってポンプ13、及び開閉弁15,16の動作を制御する。例えば、制御部73Aは、ポンプ13の動作を停止させて、タンク2内の圧力低下を抑制する。また、制御部73Aは、ポンプ13の回転数を上昇させ、配管10内の貯留液L(液化二酸化炭素)を加圧するようにしてもよい。また、制御部73Aは、開閉弁15,16を閉じて、配管10内の静圧回復を図る。これにより、ドライアイスの成長の抑制、生成されたドライアイスの解消を図る。
【0040】
(作用効果)
上記実施形態の液化二酸化炭素設備1Aでは、圧力センサー20、及び温度センサー30により、タンク2、及び配管10の少なくとも一方の内部の液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度が検出される。これにより、液化二酸化炭素に不純物が含まれている場合であっても、推定部72Aは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度が、不純物が含まれた液化二酸化炭素の三重点の圧力、温度と比較を行うことができる。これにより、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、高い精度で推定することができる。したがって、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、記憶部71が、タンク2に貯留された液化二酸化炭素の貯留液Lの組成に基づいた三重点の情報を記憶している。推定部72Aは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、記憶部71に記憶された三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。これにより、不純物を含んだ液化二酸化炭素である貯留液Lにおける、ドライアイスの生成状況を、より高精度に推定することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、制御部73Aは、推定部72Aで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ポンプ13の動作を制御する。これにより、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、ポンプ13の動作を制御することによって、ドライアイスの生成の抑制、生成されたドライアイスの解消といった処理を実施することができる。ポンプ13の動作の制御としては、例えば、ポンプ13の動作の停止、ポンプ13による液体二酸化炭素の加圧、等がある。
【0043】
また、上記実施形態では、推定部72Aでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、開閉弁15,16を閉じることによって、ドライアイスの生成の抑制を図ることができる。
【0044】
上記実施形態のドライアイスの生成状況推定方法S10では、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度の検出結果と、不純物が含まれた液化二酸化炭素の三重点の圧力、温度とを比較することで、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0045】
<第二実施形態>
次に、本開示に係る液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法の第二実施形態について説明する。
(液化二酸化炭素設備の全体構成)
図6は、本開示の第二実施形態に係る液化二酸化炭素設備の概略構成を示す図である。
図6に示すように、この実施形態における液化二酸化炭素設備1Bは、タンク2と、配管10と、圧力センサー20と、温度センサー30と、固体検出部50Bと、制御装置60Bと、を少なくとも備えている。
【0046】
タンク2は、液化二酸化炭素を貯留可能である。タンク2に貯留される液化二酸化炭素は、不純物が混在していてもよい。以下の説明において、第一実施形態と同様に、液化二酸化炭素と、液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んだ液を、貯留液Lと称する。タンク2は、船舶の船体、洋上浮体設備の浮体本体、陸上の液化ガス貯蔵施設等に設置される。
【0047】
タンク2は、例えば、円筒状をなしている。タンク2は、筒状部3と、鏡板部4と、を備えている。筒状部3は、その中心軸の延びる中心軸方向Dcに延びている。この第二実施形態において、中心軸方向Dcは、上下方向Dvに垂直な方向である。中心軸方向Dcは、水平方向と一致していてもよいが、水平方向に対して僅かに傾斜していてもよい。この実施形態において、筒状部3は、円筒状に形成され、その中心軸方向Dcに垂直な断面形状が円形をなしている。鏡板部4は、筒状部3の中心軸方向Dcの両端部にそれぞれ配置されている。各鏡板部4は、半球状をなし、筒状部3の中心軸方向Dc両側の開口を閉塞している。
なお、タンク2は、その中心軸方向Dcを上下方向Dvに一致させて配置してもよい。また、タンク2は、円筒状に限られるものではなく、球形、方形等、他の形状であってもよい。
【0048】
この第二実施形態の液化二酸化炭素設備1Bは、配管10として、例えば、積込配管11と、払出配管12と、を備えている。積込配管11、払出配管12は、それぞれタンク2に接続されている。配管10としての積込配管11、払出配管12は、それぞれ液化二酸化炭素の貯留液Lが流通可能である。配管10は、タンク2に接続された配管であれば、積込配管11と、払出配管12とに限られるものではなく、他の用途に用いる配管であってもよい。
【0049】
積込配管11は、外部から供給される液化二酸化炭素の貯留液Lをタンク2内に積み込むための配管である。積込配管11は、例えば、タンク2の頂部を貫通し、タンク2の内外を上下方向Dvの上方から下方に向かって延びている。積込配管11の先端(言い換えれば、上下方向Dvにおける下端)は、タンク2内の下部で下方を向いて開口している。
積込配管11には、開閉弁15が設けられている。開閉弁15は、例えば、タンク2の外部に配置されている。開閉弁15は、積込配管11を開閉する。
【0050】
払出配管12は、タンク2内の貯留液Lをタンク2の外部へ払い出すための配管である払出配管12は、例えば、タンク2の外部からタンク2の頂部を貫通し、タンク2の内部に延びている。払出配管12の先端部は、タンク2内の下部に配置されている。払出配管12の先端部には、ポンプ13が設けられている。ポンプ13は、タンク2内に配置されている。ポンプ13は、タンク2内の液化二酸化炭素の貯留液Lを吸い込み、払出配管12を通してタンク2の外部に送り出す。
払出配管12には、開閉弁16が設けられている。開閉弁16は、例えば、タンク2の外部に配置されている。開閉弁16は、払出配管12を開閉する。
【0051】
タンク2の内部、積込配管11の内部、及び払出配管12の内部は、それぞれ、液化二酸化炭素が存在する領域である。
【0052】
(圧力センサー、温度センサーの構成)
圧力センサー20は、タンク2の内部、及び配管10の内部の、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出する。本実施形態において、圧力センサー20は、例えば、第一圧力センサー20A~第五圧力センサー20Eを備えている。
【0053】
このうち、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20Cは、タンク2内の各部の圧力を検出する。第一圧力センサー20Aは、タンク2の上部の圧力を検出する。第二圧力センサー20Bは、タンク2内の底部の圧力を検出する。第三圧力センサー20Cは、タンク2内の底部よりも上方の中間部の圧力を検出する。タンク2に設ける圧力センサー20の数、配置は、何ら限定するものではなく、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20C以外に、さらに他の圧力センサー20を設けてもよい。また、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20Cのうちの一部を省略してもよい。
【0054】
図2は、本開示の実施形態に係る配管に設けられた圧力センサー、及び温度センサーを示す断面図である。
図2に示すように、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eは、配管10内の各部の圧力を検出する。第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eは、積込配管11、払出配管12の各々に設けられている。第四圧力センサー20Dは、配管10内の管壁近くの圧力を検出する。第五圧力センサー20Eは、管壁から離れた配管10内の中間部の圧力を検出する。
配管10に設ける圧力センサーの数、配置は、何ら限定するものではなく、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20E以外に他の圧力センサー20を設けてもよい。また、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eを、配管10の延伸方向に間隔を開けて複数組備えるようにしてもよい。
【0055】
温度センサー30は、タンク2、及び配管10の内部の、液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出する。本実施形態において、温度センサー30は、例えば、第一温度センサー30A~第五温度センサー30Eを備えている。
【0056】
図6に示すように、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30Cは、タンク2の各部で液化二酸化炭素の貯留液Lの温度を検出する。第一温度センサー30Aは、タンク2内の上部の温度を検出する。第二温度センサー30Bは、タンク2内の底部の温度を検出する。第三温度センサー30Cは、タンク2内の底部よりも上方の中間部の温度を検出する。第一温度センサー30A、第二温度センサー30Bとしては、例えばサーマルカメラ等を用いることができる。第三温度センサー30Cとしては、例えば熱電対等を用いることができる。
タンク2に設ける温度センサー30の数、配置は、何ら限定するものではなく、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30C以外に、さらに他の温度センサー30を設けてもよい。また、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30Cのうちの一部を省略してもよい。
【0057】
図2に示すように、第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eは、配管10内の各部の温度を検出する。第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eは、積込配管11、払出配管12の各々に設けられている。第四温度センサー30Dは、配管10の管壁近くの圧力を検出する。第五温度センサー30Eは、管壁から離れた配管10内の中間部の温度を検出する。第四温度センサー30Dとしては、例えばサーマルカメラ等を用いることができる。第五温度センサー30Eとしては、例えば熱電対等を用いることができる。
配管10に設ける温度センサーの数、配置は、何ら限定するものではなく、第四温度センサー30D、第五温度センサー30E以外に他の温度センサー30を設けてもよい。また、第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eを、配管10の延伸方向に間隔を開けて複数組備えるようにしてもよい。
【0058】
(固体検出部の構成)
図7は、本開示の第二実施形態に係る固体検出部を示す図である。
図7に示すように、固体検出部50Bは、配管10の外部から、配管10内の液化二酸化炭素が存在する領域の、液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する固体Bを検出する。固体検出部50Bとしては、例えば、レーザー検知センサー、マイクロ波検知センサー、静電容量式センサー等を用いることができる。例えば、固体検出部50Bとして、マイクロ波検知センサーを用いる場合、図7に示すように、固体検出部50Bは、一対のマイクロ波ホーン51A,51Bと、マイクロ波発生装置52と、を備える。一対のマイクロ波ホーン51A,51Bは、配管10を挟んで対向させる。
【0059】
マイクロ波発生装置52は、一対のマイクロ波ホーン51A,51Bでマイクロ波を発生させる。固体検出部50Bは、発生させたマイクロ波の変化に基づいて、配管10内の液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する粒状の固体Bを検出する。固体検出部50Bは、液化二酸化炭素の貯留液L中で、液化二酸化炭素が固化した粒状体、及び液化二酸化炭素に含まれる不純物が固化した粒状体を、固体Bとして検出する。なお固体検出部50Bは、タンク2の外部から、タンク2内の液化二酸化炭素が存在する領域の、液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する固体Bを検出するようにしてもよい。
【0060】
(ハードウェア構成図)
図3は、本開示の実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、制御装置60Bは、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のストレージ64、信号送受信モジュール65を備えるコンピュータである。
【0061】
(機能ブロック図)
図4は、本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図4に示すように、制御装置60BのCPU61は予めストレージ64等に記憶されたプログラムを実行することにより、信号入力部70、記憶部71、推定部72B、制御部73B、出力部75の各機能構成を実現する。
【0062】
信号入力部70は、圧力センサー20、温度センサー30からの検出信号を、信号送受信モジュール65を介して受信する。
【0063】
記憶部71は、タンク2に貯留された液化二酸化炭素の貯留液Lの組成に基づいた三重点の情報を記憶している。液化二酸化炭素の貯留液Lは、液化二酸化炭素と、液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んでいる。このような貯留液Lの三重点の圧力、温度は、不純物を含まない液化二酸化炭素に比較して、三重点の圧力、温度が異なる。また、貯留液Lにおける、液化二酸化炭素に対する不純物の量に応じて、三重点の圧力、温度が異なる。このため、タンク2に液化二酸化炭素の貯留液Lを貯留するに先立ち、貯留液Lの組成を分析し、貯留液Lの三重点の圧力、温度を含む、三重点の情報を取得しておく。取得された三重点の情報が、記憶部71に記憶されている。
【0064】
推定部72Bは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、固体検出部50Bの検出結果における固体Bの検出の有無と、に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。
推定部72Bは、信号入力部70で受信した圧力センサー20からの検出信号に基づいて、圧力センサー20(第一圧力センサー20A~第五圧力センサー20E)によるタンク2内、配管10内の、液化二酸化炭素が存在する領域における、貯留液Lの圧力の検出結果を取得する。推定部72Bは、信号入力部70で受信した温度センサー30からの検出信号に基づいて、温度センサー30(第一温度センサー30A~第五温度センサー30E)によるタンク2内、配管10内の各部における、液化二酸化炭素が存在する領域における、貯留液Lの温度の検出結果を取得する。
【0065】
推定部72Bは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、記憶部71に記憶された三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。推定部72Bは、取得された、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力、及び温度と、記憶部71に記憶された、貯留液Lの三重点の情報に基づく、貯留液Lの三重点の圧力、温度とを比較する。推定部72Bは、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力が、貯留液Lの三重点の圧力よりも低く、かつ、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの温度が、貯留液Lの三重点の温度よりも高い場合に、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と推定する。
【0066】
さらに、推定部72Bは、固体検出部50Bにより、液化二酸化炭素の貯留液L中に、固体Bが検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化(凝固)したと推定する。
本実施形態では、推定部72Bは、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度の検出結果に基づいて、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と推定され、かつ、貯留液L中に固体Bが検出された場合に、液化二酸化炭素が存在する領域においてドライアイスが生成される状況である、と推定する。
【0067】
制御部73Bは、推定部72Bで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ドライアイスの生成を抑制するために、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作を制御する。
制御部73Bは、推定部72Bでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、例えば、ポンプ13の動作を停止して、タンク2内の圧力低下を抑える。また、制御部73Bは、推定部72Bでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、例えば、ポンプ13の回転数を上昇させ、配管10内の貯留液L(液化二酸化炭素)を加圧するようにしてもよい。
また、制御部73Bは、推定部72Bでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、開閉弁15,16を閉じて配管10内の静圧回復を図るようにしてもよい。
制御部73Bによる、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作の制御は、その全てを実行してもよいし、一部のみを実行してもよい。また、制御部73Bは、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作の制御を同時に行ってもよいし、タイミングを異ならせてもよい。また、制御部73Aは、上記以外に、液化二酸化炭素が存在する領域に、加圧流体を供給するようにしてもよい。
【0068】
(ドライアイスの生成状況推定方法の手順)
図8は、本開示の実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法の手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、本開示の実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法S20は、圧力、及び温度を検出するステップS21と、固体の存在の有無を検出するステップS22と、ドライアイスの生成状況を推定するステップS23と、ドライアイスが生成される状況であるか否かを判定するステップS24と、ポンプ、開閉弁の動作を制御するステップS25と、を含んでいる。
【0069】
圧力、及び温度を検出するステップS21では、圧力センサー20、温度センサー30により、タンク2内、配管10内において液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度を検出する。これには、第一圧力センサー20A、第二圧力センサー20B、第三圧力センサー20Cが、タンク2内の各部の圧力を検出する。また、第四圧力センサー20D、第五圧力センサー20Eが、配管10内の各部の圧力を検出する。また、第一温度センサー30A、第二温度センサー30B、第三温度センサー30Cが、タンク2内の各部の温度を検出する。また、第四温度センサー30D、第五温度センサー30Eが、配管10内の各部の温度を検出する。
圧力センサー20、温度センサー30における検出結果を示す検出信号は、制御装置60Bに送信される。
【0070】
固体の存在の有無を検出するステップS22では、固体検出部50Bにより、配管10の外部から、配管10内の液化二酸化炭素が存在する領域の液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する固体Bの存在の有無を検出する。固体検出部50Bにおける検出結果を示す検出信号は、制御装置60Bに送信される。
【0071】
ドライアイスの生成状況を推定するステップS23では、ステップS21における圧力及び温度の検出結果と、ステップS22における固体Bの検出結果と、に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。
これには、制御装置60Bの信号入力部70が、圧力センサー20、温度センサー30、固体検出部50Bにおける検出信号を受信する。そして、推定部72Bが、信号入力部70で受信した圧力センサー20からの検出信号に基づいて、圧力センサー20(第一圧力センサー20A~第五圧力センサー20E)によるタンク2内、配管10内の各部における、貯留液Lの圧力の検出結果を取得する。また、推定部72Bが、信号入力部70で受信した温度センサー30からの検出信号に基づいて、温度センサー30(第一温度センサー30A~第五温度センサー30E)によるタンク2内、配管10内の各部における、貯留液Lの温度の検出結果を取得する。さらに、推定部72Bが、記憶部71に記憶された、貯留液Lの三重点の情報を取得する。
【0072】
ドライアイスの生成状況を推定するステップS23では、さらに、推定部72Bによって、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、記憶部71に記憶された三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。これには、推定部72Bが取得した、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力、及び温度と、記憶部71に記憶された、貯留液Lの三重点の情報に基づく、貯留液Lの三重点の圧力、温度とを比較する。ここで、推定部72Bは、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの圧力が、貯留液Lの三重点の圧力よりも低く、かつ、液化二酸化炭素が存在する領域における貯留液Lの温度が、貯留液Lの三重点の温度よりも高い場合に、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と推定する。
【0073】
推定部72Bは、信号入力部70で受信した固体検出部50Bからの検出信号に基づいて、貯留液L中に混在する固体Bの存在の有無を示す検出結果を取得する。推定部72Bは、固体検出部50Bにより、液化二酸化炭素の貯留液L中に、固体Bの存在が検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化し、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と推定する。
本実施形態では、推定部72Bは、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度の検出結果に基づいて、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と推定され、かつ、貯留液L中に固体Bが検出された場合に、液化二酸化炭素が存在する領域においてドライアイスが生成される状況である、と推定する。
【0074】
ドライアイスが生成される状況であるか判定するステップS24では、ステップS23において、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況であるか否かを判定する。
この判定の結果、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況ではないと判定された場合(ステップS24でNo)、ステップS21に戻る。
一方で、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況であると判定された場合(ステップS24でYes)、ステップS25に進む。
【0075】
ポンプ、開閉弁の動作を制御するステップS25では、ステップS24で、貯留液L中にドライアイスが生成される状況であると判定された場合、制御部73Bによって、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作を制御する。例えば、制御部73Bは、ポンプ13の動作を停止させて、タンク2内の圧力低下を抑制する。また、制御部73Bは、ポンプ13の回転数を上昇させ、配管10内の貯留液L(液化二酸化炭素)を加圧するようにしてもよい。また、制御部73Bは、開閉弁15,16を閉じて、配管10内の静圧回復を図る。これにより、ドライアイスの成長の抑制、生成されたドライアイスの解消を図る。
【0076】
(作用効果)
上記実施形態の液化二酸化炭素設備1Bでは、圧力センサー20、及び温度センサー30により、タンク2、及び配管10の少なくとも一方の内部の液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度が検出される。これにより、液化二酸化炭素に不純物が含まれている場合であっても、推定部72Bは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度が、不純物が含まれた液化二酸化炭素の三重点の圧力、温度と比較を行うことができる。これにより、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、高い精度で推定することができる。したがって、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0077】
また、上記実施形態では、記憶部71が、タンク2に貯留された貯留液Lの組成に基づいた三重点の情報を記憶している。推定部72Bは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、記憶部71に記憶された三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。これにより、不純物を含んだ液化二酸化炭素である貯留液Lにおける、ドライアイスの生成状況を、より高精度に推定することができる。
【0078】
また、上記実施形態では、制御部73Bは、推定部72Bで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ポンプ13の動作を制御する。これにより、推定部72Bでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、ポンプ13の動作を制御することによって、ドライアイスの生成の抑制、生成されたドライアイスの解消といった処理を実施することができる。ポンプ13の動作の制御としては、例えば、ポンプ13の動作の停止、ポンプ13による液体二酸化炭素の加圧、等がある。
【0079】
また、上記実施形態では、推定部72Bでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、開閉弁15,16を閉じることによって、ドライアイスの生成の抑制を図ることができる。
【0080】
また、上記実施形態では、固体検出部50Bが、液化二酸化炭素が存在する領域の液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する固体Bを検出する。液化二酸化炭素の貯留液L中に、固体Bが検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化したと想定することができる。推定部72Bは、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度と、固体Bの検出の有無とに基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、より有効に推定することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、固体検出部50Bが、液化二酸化炭素が固化した粒状体、及び液化二酸化炭素に含まれる不純物が固化した粒状体を、固体Bとして検出した場合に、推定部72Bにより、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、より有効に推定することができる。
【0082】
上記実施形態のドライアイスの生成状況推定方法S20では、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度の検出結果と、不純物が含まれた液化二酸化炭素の三重点の圧力、温度とを比較することで、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0083】
<第三実施形態>
次に、本開示に係る液化二酸化炭素設備、ドライアイスの生成状況推定方法の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第二実施形態に対し、圧力センサー20、温度センサー30を省略した点のみが異なるので、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
(液化二酸化炭素設備の全体構成)
図9は、本開示の第三実施形態に係る液化二酸化炭素設備の概略構成を示す図である。
図9に示すように、この実施形態における液化二酸化炭素設備1Cは、タンク2と、配管10と、固体検出部50Bと、制御装置60Cと、を少なくとも備えている。
【0084】
(機能ブロック図)
図9は、本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図9に示すように、制御装置60CのCPU61は予めストレージ64等に記憶されたプログラムを実行することにより、信号入力部70、記憶部71、推定部72C、制御部73C、出力部75の各機能構成を実現する。
【0085】
推定部72Cは、固体検出部50Bの検出結果における固体Bの検出の有無に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。
推定部72Cは、固体検出部50Bにより、液化二酸化炭素の貯留液L中に、固体Bが検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化したと推定する。
【0086】
制御部73Cは、上記第二実施形態における制御部73Bと同様、推定部72Cで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作を制御する。
【0087】
(ドライアイスの生成状況推定方法の手順)
図11は、本開示の実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法の手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、本開示の実施形態に係るドライアイスの生成状況推定方法S30は、固体の存在の有無を検出するステップS32と、ドライアイスの生成状況を推定するステップS33と、ドライアイスが生成される状況であるか否かを判定するステップS34と、ポンプ、開閉弁の動作を制御するステップS35と、を含んでいる。
【0088】
固体の存在の有無を検出するステップS32では、固体検出部50Bにより、配管10の外部から、配管10内の液化二酸化炭素が存在する領域の液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する固体Bの存在の有無を検出する。固体検出部50Bにおける検出結果を示す検出信号は、制御装置60Cに送信される。
【0089】
ドライアイスの生成状況を推定するステップS33では、ステップS32における固体Bの検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。
これには、推定部72Cが、信号入力部70で受信した固体検出部50Bからの検出信号に基づいて、貯留液L中に混在する固体Bの存在の有無を示す検出結果を取得する。推定部72Cは、固体検出部50Bにより、液化二酸化炭素の貯留液L中に、固体Bの存在が検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化し、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、推定する。
【0090】
ドライアイスが生成される状況であるか判定するステップS34では、ステップS33で、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況か否かを判定する。
この判定の結果、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況ではないと判定された場合(ステップS34でNo)、ステップS31に戻る。
一方で、液化二酸化炭素が存在する領域において、貯留液L中にドライアイスが生成される状況であると判定された場合(ステップS34でYes)、ステップS35に進む。
【0091】
ポンプ、開閉弁の動作を制御するステップS35では、ステップS34で、貯留液L中にドライアイスが生成される状況である、と判定された場合、制御部73Cが、ポンプ13、及び開閉弁15,16の動作を制御する。例えば、制御部73Cは、ポンプ13の動作を停止させて、タンク2内の圧力低下を抑制する。また、制御部73Cは、ポンプ13の回転数を上昇させ、配管10内の貯留液L(液化二酸化炭素)を加圧するようにしてもよい。また、制御部73Cは、開閉弁15,16を閉じて、配管10内の静圧回復を図る。これにより、ドライアイスの成長の抑制、生成されたドライアイスの解消を図る。
【0092】
(作用効果)
上記実施形態の液化二酸化炭素設備1C、ドライアイスの生成状況推定方法S30では、上記第二実施形態と同様、固体検出部50Bが、液化二酸化炭素が存在する領域の液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する固体Bを検出する。液化二酸化炭素の貯留液L中に、固体Bが検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化したと想定することができる。推定部72Cは、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度と、固体Bの検出の有無とに基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、より有効に推定することができる。したがって、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0093】
また、上記実施形態では、上記第二実施形態と同様、固体検出部50Bが、液化二酸化炭素が固化した粒状体、及び液化二酸化炭素に含まれる不純物が固化した粒状体を、固体Bとして検出した場合に、推定部72Cにより、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、より有効に推定することができる。
【0094】
また、上記実施形態では、制御部73Cは、推定部72Cで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ポンプ13の動作を制御する。これにより、推定部72Cでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、ポンプ13の動作を制御することによって、ドライアイスの生成の抑制、生成されたドライアイスの解消といった処理を実施することができる。ポンプ13の動作の制御としては、例えば、ポンプ13の動作の停止、ポンプ13による液体二酸化炭素の加圧、等がある。
【0095】
また、上記実施形態では、推定部72Cでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、開閉弁15,16を閉じることによって、ドライアイスの生成の抑制を図ることができる。
【0096】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、液化二酸化炭素設備1A~1Cの構成を示したが、各部の構成は適宜変更可能である。
また、上記実施形態では、ドライアイスの生成状況推定方法S10,S20,S30の手順を示したが、上記の手順は適宜順番を入れ替えることが可能である。
さらに、上記実施形態では、制御装置60A~60Cが予め記憶されたプログラムを実行することで、各機能構成を実現する場合について説明したが、制御装置60A~60Cの各機能は、ハードウェアによって実現するようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、制御部73A~73Cが、推定部72A~72Cでドライアイスが生成される状況であると推定された場合に、開閉弁15,16を閉じる場合について説明したが、例えば、開閉弁15,16よりも下流側の配管10内の圧力を高める場合等には、開閉弁15,16を開くように制御してもよい。
【0098】
さらに、上記実施形態では、固体検出部50A,50Bによって配管10内の液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する固体Bを検出する場合について説明した。しかし、固体検出部により検出するのは、配管10内の固体Bに限られない。例えば、固体検出部によってタンク2内の液化二酸化炭素の貯留液L中に混在する固体Bを検出するようにしてもよい。
【0099】
<付記>
各実施形態に記載の液化二酸化炭素設備1A、1B、ドライアイスの生成状況推定方法S10は、例えば以下のように把握される。
【0100】
(1)第1の態様に係る液化二酸化炭素設備1A、1Bは、液化二酸化炭素を貯留可能なタンク2と、前記タンク2に接続されて前記液化二酸化炭素が流通可能な配管10と、前記タンク2、及び前記配管10の少なくとも一方の内部の前記液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出する圧力センサー20と、前記液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出する温度センサー30と、前記圧力センサー20及び前記温度センサー30の検出結果に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する推定部72A、72Bと、を備える。
【0101】
この液化二酸化炭素設備1A、1Bは、圧力センサー20、及び温度センサー30により、タンク2、及び配管10の少なくとも一方の内部の液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度が検出される。これにより、液化二酸化炭素に不純物が含まれている場合であっても、推定部72A、72Bは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度が、不純物が含まれた液化二酸化炭素の三重点の圧力、温度と比較を行うことができる。これにより、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、高い精度で推定することができる。したがって、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0102】
(2)第2の態様に係る液化二酸化炭素設備1Bは、(1)の液化二酸化炭素設備1Bであって、前記タンク2、及び前記配管10の少なくとも一方の外部から、前記液化二酸化炭素が存在する領域の前記液化二酸化炭素中に混在する固体Bを検出する固体検出部50Bをさらに備え、前記推定部72Bは、前記圧力センサー20及び前記温度センサー30の検出結果と、前記固体検出部50Bの検出結果と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。
【0103】
このような構成では、固体検出部50Bが、液化二酸化炭素が存在する領域の前記液化二酸化炭素中に混在する固体Bを検出する。液化二酸化炭素中に、固体Bが検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化したと想定することができる。推定部72Bは、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度と、固体Bの検出の有無に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、より有効に推定することができる。
【0104】
(3)第3の態様に係る液化二酸化炭素設備1Bは、(2)の液化二酸化炭素設備1Bであって、前記固体検出部50Bは、前記液化二酸化炭素中で、前記液化二酸化炭素が固化した粒状体、及び前記液化二酸化炭素に含まれる不純物が固化した粒状体を、前記固体Bとして検出する。
【0105】
これにより、固体検出部50Bが、液化二酸化炭素が固化した粒状体、及び液化二酸化炭素に含まれる不純物が固化した粒状体を、固体Bとして検出した場合に、推定部72Bにより、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を、より有効に推定することができる。
【0106】
(4)第4の態様に係る液化二酸化炭素設備1A、1Bは、(1)から(3)の何れか一つの液化二酸化炭素設備1A、1Bであって、前記タンク2に貯留された液化二酸化炭素と、前記液化二酸化炭素に混在する不純物と、を含んだ貯留液Lの組成に基づいた三重点の情報を記憶する記憶部71をさらに備え、前記推定部72A、72Bは、前記圧力センサー20及び前記温度センサー30の検出結果と、前記記憶部71に記憶された前記三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。
【0107】
このような構成では、記憶部71が、タンク2に貯留された貯留液Lの組成に基づいた三重点の情報を記憶している。推定部72A、72Bは、圧力センサー20及び温度センサー30の検出結果と、記憶部71に記憶された三重点の情報と、に基づいて、ドライアイスの生成状況を推定する。これにより、不純物を含んだ液化二酸化炭素である貯留液Lにおける、ドライアイスの生成状況を、より高精度に推定することができる。
【0108】
(5)第5の態様に係る液化二酸化炭素設備1A、1Bは、(1)から(4)の何れか一つの液化二酸化炭素設備1A、1Bであって、前記推定部72A、72Bで推定した前記ドライアイスの生成状況に基づいて、前記タンク内に設けられたポンプ13の動作を制御する制御部73A、73Bをさらに備える。
【0109】
これにより、制御部73A、73Bは、推定部72A、72Bで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ポンプ13の動作を制御する。これにより、推定部72A、72Bでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、ポンプ13の動作を制御することによって、ドライアイスの生成の抑制、生成されたドライアイスの解消といった処理を実施することができる。ポンプ13の動作の制御としては、例えば、ポンプ13の動作の停止、ポンプ13による液体二酸化炭素の加圧、等がある。
【0110】
(6)第6の態様に係る液化二酸化炭素設備1A、1Bは、(1)から(5)の何れか一つの液化二酸化炭素設備1A、1Bであって、前記配管10を開閉する開閉弁15,16を備え、前記制御部73A、73Bは、前記推定部72A、72Bで前記ドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、前記開閉弁15,16を閉じる。
【0111】
これにより、推定部72A、72Bでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、開閉弁15,16を閉じることによって、ドライアイスの生成の抑制を図ることができる。
【0112】
(7)第7の態様に係る液化二酸化炭素設備1B、1Cは、液化二酸化炭素を貯留可能なタンク2と、前記タンク2に接続されて前記液化二酸化炭素が流通可能な配管10と、前記タンク2、及び前記配管10の少なくとも一方の内部の前記液化二酸化炭素が存在する領域における、前記液化二酸化炭素中に混在する固体Bを検出する固体検出部50Bと、前記固体検出部50Bにおける前記固体Bの検出状況に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する推定部72B、72Cと、を備える。
【0113】
これにより、固体検出部50Bが、液化二酸化炭素が存在する領域の液化二酸化炭素中に混在する固体Bを検出する。推定部72B、72Cは、固体Bの検出の有無に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。これにより、液化二酸化炭素中に、固体Bが検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化したと推定することができる。したがって、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0114】
(8)第8の態様に係る液化二酸化炭素設備1B、1Cは、(7)の液化二酸化炭素設備1B、1Cであって、前記固体検出部50Bは、前記液化二酸化炭素中で、前記液化二酸化炭素、及び前記液化二酸化炭素に含まれる不純物が固化した粒状体を、前記固体Bとして検出する。
【0115】
これにより、固体検出部50Bが、液化二酸化炭素が固化した粒状体、及び液化二酸化炭素に含まれる不純物が固化した粒状体を、固体Bとして検出した場合に、推定部72Aにより、液化二酸化炭素が存在する領域において、ドライアイスが生成している可能性がある、と推定することができる。
【0116】
(9)第9の態様に係る液化二酸化炭素設備1B、1Cは、(7)または(8)の液化二酸化炭素設備1Aであって、前記固体検出部50Bにおける前記固体Bの検出状況に基づいて、前記タンク内に設けられたポンプ13の動作を制御する制御部73B、73Cをさらに備える。
【0117】
これにより、制御部73B、73Cは、推定部72B、72Cで推定したドライアイスの生成状況に基づいて、ポンプ13の動作を制御する。これにより、推定部72B、72Cでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、ポンプ13の動作を制御することによって、ドライアイスの生成の抑制、生成されたドライアイスの解消といった処理を実施することができる。ポンプ13の動作の制御としては、例えば、ポンプ13の動作の停止、ポンプ13による液体二酸化炭素の加圧、等がある。
【0118】
(10)第10の態様に係る液化二酸化炭素設備1B、1Cは、(9)の液化二酸化炭素設備1B、1Cであって、前記配管10を開閉する開閉弁15,16を備え、前記制御部73B、73Cは、前記推定部72B、72Cで前記固体Bが検出された場合に、前記ドライアイスが生成される状況であると推定し、前記開閉弁15,16を閉じる。
【0119】
これにより、推定部72B、72Cでドライアイスが生成される状況であると推定した場合に、開閉弁15,16を閉じることによって、ドライアイスの生成の抑制を図ることができる。
【0120】
(11)第11の態様に係るドライアイスの生成状況推定方法S10、S20は、(1)から(6)の何れか一つの液化二酸化炭素設備1A、1Bにおけるドライアイスの生成状況推定方法S10、S20であって、前記液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度を検出するステップS11,S21と、前記圧力及び前記温度の検出結果に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定するステップS12、S23と、を含む。
【0121】
このドライアイスの生成状況推定方法S10、S20は、液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度の検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定することができる。液化二酸化炭素が存在する領域の圧力、及び温度の検出結果と、不純物が含まれた液化二酸化炭素の三重点の圧力、温度とを比較することで、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【0122】
(12)第12の態様に係るドライアイスの生成状況推定方法S20、S30は、(7)から(10)の何れか一つの液化二酸化炭素設備1B、1Cにおけるドライアイスの生成状況推定方法S20、S30であって、前記液化二酸化炭素が存在する領域における、前記液化二酸化炭素中に混在する固体Bの存在の有無を検出するステップS22,S32と、前記固体Bの検出結果に基づいて、前記液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定するステップS23、S33と、を含む。
【0123】
このドライアイスの生成状況推定方法S20、S30は、液化二酸化炭素が存在する領域における、液化二酸化炭素中に混在する固体Bの有無を検出することによって、その検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する。液化二酸化炭素中に、固体Bが検出された場合、液化二酸化炭素、又は液化二酸化炭素に含まれる不純物が固体化したと推定することができる。したがって、液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑えることができる。
【符号の説明】
【0124】
1A~1C…液化二酸化炭素設備 2…タンク 3…筒状部 4…鏡板部 10…配管 11…積込配管 12…払出配管 13…ポンプ 15,16…開閉弁 20…圧力センサー 20A…第一圧力センサー 20B…第二圧力センサー 20C…第三圧力センサー 20D…第四圧力センサー 20E…第五圧力センサー 30…温度センサー 30A…第一温度センサー 30B…第二温度センサー 30C…第三温度センサー 30D…第四温度センサー 30E…第五温度センサー 50B…固体検出部 51A,51B…マイクロ波ホーン 52…マイクロ波発生装置 60A~60C…制御装置 61…CPU 62…ROM 63…RAM 64…ストレージ 65…信号送受信モジュール 70…信号入力部 71…記憶部 72A~72C…推定部 73A~73C…制御部 75…出力部 B…固体 Dc…中心軸方向 Dv…上下方向 L…貯留液 S10,S20,S30…ドライアイスの生成状況推定方法 S11,S21…圧力、及び温度を検出するステップ S12,S23,S33…ドライアイスの生成状況を推定するステップ S13,S24,S34…ドライアイスが生成される状況であるか否かを判定するステップ S14,S25,S35…ポンプ、開閉弁の動作を制御するステップ S22,S32…固体の存在の有無を検出するステップ
【要約】
【課題】液化二酸化炭素に不純物が含まれていた場合であっても、ドライアイスの生成を有効に抑える。
【解決手段】液化二酸化炭素設備は、液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、タンクに接続されて液化二酸化炭素が流通可能な配管と、タンク、及び配管の少なくとも一方の内部の液化二酸化炭素が存在する領域の圧力を検出する圧力センサーと、液化二酸化炭素が存在する領域の温度を検出する温度センサーと、圧力センサー及び温度センサーの検出結果に基づいて、液化二酸化炭素が存在する領域におけるドライアイスの生成状況を推定する推定部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11