(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】内視鏡、内視鏡の先端枠部材および内視鏡の挿入部
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20230316BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20230316BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A61B1/04 530
G02B23/26 C
G02B23/24 B
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2022507051
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2020010337
(87)【国際公開番号】W WO2021181526
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本原 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】児玉 大地
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505154(JP,A)
【文献】特開2019-186619(JP,A)
【文献】特開2019-195450(JP,A)
【文献】国際公開第2015/133254(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/26
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に挿入される挿入部と、
対物光学系を備え、前記対物光学系からの光学像を電気信号に変換するイメージャユニットと、
前記挿入部の先端部に設けられ、前記イメージャユニットが搭載される樹脂材料から形成された先端枠部材と、
を有する内視鏡において、
前記先端枠部材は、
先端側に設けられ、前記イメージャユニットを搭載するイメージャユニット搭載領域と、
基端側に設けられたケーブル接続面と、
前記イメージャユニット搭載領域の開口部と前記ケーブル接続面の開口部とを繋ぐように設けられた壁部と、
前記イメージャユニット搭載領域の壁面に形成され、前記イメージャユニットの電気接点と電気的に接続される接点パターンと、
前記壁部から前記ケーブル接続面の表面に形成され、前記接点パターンと電気的に導通する配線パターンと、
前記ケーブル接続面に形成され、前記配線パターンと電気的に導通し、前記ケーブル接続面によって前記先端部内に形成された空間内において、前記挿入部内に配設されたケーブルの芯線が電気的に接続される接続パターンと、
を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記先端部の基端に連設された湾曲部を有し、
前記接続パターンと前記ケーブルの前記芯線との接続部が位置する前記空間が前記壁部の基端と前記湾曲部の先端との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記配線パターンおよび前記接続パターンが複数形成され、
複数の前記接続パターンは、前記壁部に形成される複数の前記配線パターンの間隔よりも大きく配列されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記ケーブルの前記芯線と前記接続パターンの前記接続部は、前記湾曲部内において内径方向に突出するように設けられて、前記湾曲部を湾曲操作する湾曲操作ワイヤの先端を固定するワイヤ固定部よりも先端側に位置し、前記先端枠部材の中心軸に沿った投影内に重畳していることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記ケーブル接続面は、前記壁部の外周部分より前記先端枠部材の外周よりも中心軸に近い位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記ケーブル接続面は、前記中心軸に沿った平行な平面であることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記配線パターンは、前記壁部を貫通する貫通孔の内面に形成された貫通電極を含むことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記先端枠部材は、先端部分の中心軸に直交する断面が略円形であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記配線パターンは、前記接点パターンから前記壁部の外表面を経由して前記接続パターンと電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記挿入部から前記先端枠部材に亘り設けられる中空のチャンネルをさらに有し、
前記チャンネルは、先端側の長手軸が前記先端枠部材の外方に位置し、基端側が前記
先端枠部材の中心軸に近い位置となる状態に曲げて基端側に延設するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記先端部の基端に連設された湾曲部を有し、
前記チャンネルは、前記湾曲部を湾曲操作する湾曲操作ワイヤの先端を固定するワイヤ固定部よりも先端から
、さらに先端側に向けた形状が前記先端枠部材の中心軸から外径方向に離れるように設けられていることを特徴とする請求項10に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記ケーブルの外形は、前記先端枠部材の外形より内側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項13】
被検体に挿入される挿入部を有する内視鏡の先端枠部材において、
前記先端枠部材は、
前記挿入部の先端部に設けられ、
対物光学系からの光学像を電気信号に変換するイメージャユニットを搭載するイメージャユニット搭載領域と、
基端側に設けられたケーブル接続面と、
前記イメージャユニット搭載領域の開口部と前記ケーブル接続面の開口部とを繋ぐように設けられた壁部と、
前記イメージャユニット搭載領域の壁面に形成され、前記イメージャユニットの電気接点と電気的に接続される接点パターンと、
前記壁部から前記ケーブル接続面の表面に形成され、前記接点パターンと電気的に導通する配線パターンと、
前記ケーブル接続面に形成され、前記配線パターンと電気的に導通し、前記ケーブル接続面によって前記先端部内に形成された空間内において、前記挿入部内に配設されたケーブルの芯線が電気的に接続される接続パターンと、
を具備することを特徴とする内視鏡の先端枠部材。
【請求項14】
被検体を観察する内視鏡の挿入部において、
前記挿入部は、先端に先端枠部材が設けられるものであり、
前記先端枠部材は、
対物光学系からの光学像を電気信号に変換するイメージャユニットを搭載するイメージャユニット搭載領域と、
基端側に設けられたケーブル接続面と、
前記イメージャユニット搭載領域と前記ケーブル接続面との間に設けられた壁部と、
前記イメージャユニット搭載領域の壁面に形成され、前記イメージャユニットの電気接点と電気的に接続される接点パターンと、
前記壁部から前記ケーブル接続面の表面に形成され、前記接点パターンと電気的に導通する配線パターンと、
前記ケーブル接続面に形成され、前記配線パターンと電気的に導通し、前記ケーブル接続面によって前記先端部内に形成された空間内において、前記挿入部内に配設されたケーブルの芯線が電気的に接続される接続パターンと、
を具備することを特徴とする内視鏡の挿入部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の先端部内にパッケージ化された電子部品を備えた内視鏡、内視鏡の先端枠部材および内視鏡の挿入部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体や構造物の内部部等のような直接目視観察を行うことが困難な部位を観察するために、生体や構造物の外部から内部に向けて導入可能に形成され、光学像を形成し又はその光学像を撮像しうる構成を備えた内視鏡が、医療分野又は工業分野において広く利用されている。
【0003】
このような内視鏡において、挿入部の先端に設けられる先端部は、硬質な先端枠に各種機能部品が設けられた先端ユニットによって主に構成されている。このような先端ユニットの先端枠としては、近年、成形回路部品(MID:molded interconnected device)の技術を用いたものが提案されている。例えば、国際公開番号WO2015/082328号には、複数の導電路が形成されたMID素子からなる先端枠であるヘッド本体と、導電路によって電力供給されるイメージャユニットである撮像ユニットとしてのカメラモジュールなどの各種電子部品と、を備える内視鏡の先端ユニットとしての内視鏡ヘッドが開示されている。
【0004】
ここで、MID技術では、レーザ光などを照射可能な樹脂表面に対してのみ、金属パターンを形成することが可能である。従来技術である国際公開番号WO2015/082329号に開示された技術は、カメラ収容スペースの一側に開口部が設けられ、この開口部に連続する先端枠の外周面に、カメラモジュールと電気的に接続する配線パターンとしての導電路を形成する構成を採用している。
【0005】
ところで、内視鏡は、挿入部の先端に配設される電子部品であるカメラモジュールに対する電源および撮像信号のいずれにおいても、カメラモジュールの電気接点である端子に手元側となる操作部から挿入部に配設される複数のケーブルが接続されることで信号を授受する構成となっている。
【0006】
しかしながら、ケーブルを電気的な接続作業上、ケーブル接続領域は一定の広さが必要であるが、内視鏡の先端部内でこのスペースを確保することは難しいという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、挿入部の先端部に搭載される電子部品と複数のケーブルの電気的な接続作業性を向上させることができる内視鏡、内視鏡の先端枠部材および内視鏡の挿入部を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における内視鏡は、被検体に挿入される挿入部と、対物光学系を備え、前記対物光学系からの光学像を電気信号に変換するイメージャユニットと、前記挿入部の先端部に設けられ、前記イメージャユニットが搭載される樹脂から形成された先端枠部材と、を有する内視鏡において、前記先端枠部材は、先端側に設けられ、前記イメージャユニットを搭載するイメージャユニット搭載領域と、基端側に設けられたケーブル接続面と、前記イメージャユニット搭載領域の開口部と前記ケーブル接続面の開口部とを繋ぐように設けられた壁部と、前記イメージャユニット搭載領域の壁面に形成され、前記イメージャユニットの電気接点と電気的に接続される接点パターンと、前記壁部から前記ケーブル接続面の表面に形成され、前記接点パターンと電気的に導通する配線パターンと、前記ケーブル接続面に形成され、前記配線パターンと電気的に導通し、前記ケーブル接続面によって前記先端部内に形成された空間内において、前記挿入部内に配設されたケーブルの芯線が電気的に接続される接続パターンと、を具備する。
【0009】
本発明の一態様における、内視鏡被検体に挿入される挿入部を有する内視鏡の先端枠部材は、前記挿入部の先端部に設けられ、対物光学系からの光学像を電気信号に変換するイメージャユニットを搭載するイメージャユニット搭載領域と、基端側に設けられたケーブル接続面と、前記イメージャユニット搭載領域の開口部と前記ケーブル接続面の開口部とを繋ぐように設けられた壁部と、前記イメージャユニット搭載領域の壁面に形成され、前記イメージャユニットの電気接点と電気的に接続される接点パターンと、前記壁部から前記ケーブル接続面の表面に形成され、前記接点パターンと電気的に導通する配線パターンと、前記ケーブル接続面に形成され、前記配線パターンと電気的に導通し、前記ケーブル接続面によって前記先端部内に形成された空間内において、前記挿入部内に配設されたケーブルの芯線が電気的に接続される接続パターンと、を具備する。
【0010】
本発明の一態様における、被検体を観察する内視鏡の挿入部は、先端に先端枠部材が設けられるものであり、前記先端枠部材は、対物光学系からの光学像を電気信号に変換するイメージャユニットを搭載するイメージャユニット搭載領域と、基端側に設けられたケーブル接続面と、前記イメージャユニット搭載領域と前記ケーブル接続面との間に設けられた壁部と、前記イメージャユニット搭載領域の壁面に形成され、前記イメージャユニットの電気接点と電気的に接続される接点パターンと、前記壁部から前記ケーブル接続面の表面に形成され、前記接点パターンと電気的に導通する配線パターンと、前記ケーブル接続面に形成され、前記配線パターンと電気的に導通し、前記ケーブル接続面によって前記先端部内に形成された空間内において、前記挿入部内に配設されたケーブルの芯線が電気的に接続される接続パターンと、を具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、挿入部の先端部に搭載される電子部品と複数のケーブルの電気的な接続作業性を向上させることができる内視鏡、内視鏡の先端枠部材および内視鏡の挿入部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係り、内視鏡の外観平面図
【
図2】同上、挿入部の先端部分の構成を示す部分断面図
【
図5】同上、カメラモジュールの背面の構成を示す平面図
【
図10】同上、
図8のIX-IX線に沿う挿入部の先端部の要部断面図
【
図11】同上、
図8のX-X線に沿う挿入部の湾曲部の要部断面図
【
図12】同上、第1の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す背面図
【
図13】同上、第2の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す断面図
【
図14】同上、第2の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す上面図
【
図15】本発明の第2の実施形態に係り、貫通孔が形成された先端枠部材の構成を示す断面図
【
図19】同上、第1の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す背面図
【
図20】同上、第1の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す断面図
【
図21】同上、第2の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す背面図
【
図22】同上、第2の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す断面図
【
図23】同上、第3の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す背面図
【
図24】同上、第3の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す断面図
【
図25】同上、第4の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す背面図
【
図26】同上、第5の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す背面図
【
図27】同上、第5の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す断面図
【
図28】同上、第6の変形例に係り、貫通孔が形成された先端枠部材の構成を示す断面図
【
図29】同上、第6の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す断面図
【
図30】同上、第6の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す正面図
【
図31】同上、第6の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す背面図
【
図32】同上、第7の変形例に係り、側視型のカメラモジュールが搭載された先端枠部材の構成を示す断面図
【
図33】同上、第8の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す分解斜視図
【
図34】同上、第8の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す正面図
【
図35】同上、第8の変形例に係り、先端枠部材にカメラモジュールをリフロー半田付する状態を説明する先端枠部材の断面図
【
図36】同上、第8の変形例に係り、モジュール収容室の実装面の構成を示す平面図
【
図37】同上、第9の変形例に係り、先端枠部材と湾曲駒の構成を示す分解斜視図
【
図38】同上、第9の変形例に係り、挿入部の先端部分の構成を示す断面図
【
図39】同上、第9の変形例に係り、
図37のXXXVIII-XXXVIII線に沿う先端部の構成を示す断面図
【
図40】同上、第10の変形例に係り、先端枠部材の構成を示し、基端側から見た斜視図
【
図41】同上、第10の変形例に係り、リブ内の一方側部分に斜面が形成された先端枠部材の構成を示す背面図
【
図42】同上、第10の変形例に係り、リブ内の両側部分に斜面が形成された先端枠部材の構成を示す背面図
【
図43】同上、第11の変形例に係り、先端枠部材の構成を示し、基端側から見た斜視図
【
図44】同上、第11の変形例に係り、先端枠部材の構成を示す背面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一態様の内視鏡の先端枠部材、先端ユニットおよび内視鏡について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
また、以下の構成説明における内視鏡は、生体の気管支、泌尿器、食道から胃や小腸、大腸などの体腔に挿入するため挿入部が可撓性のある所謂軟性鏡を例示しているが、外科用に用いられる挿入部が硬質な所謂硬性鏡にも適用できるものである。
【0014】
(第1の実施の形態)
図面に基づいて本発明の第1の実施の形態に係る一態様の内視鏡を説明する。
図1に示すように、本実施の形態の内視鏡1は、被検体に挿入される長尺で細長な挿入部2と、操作部3と、複合ケーブルであるユニバーサルケーブル4と、を有して構成されている。内視鏡1の挿入部2は、先端から順に先端部6と、湾曲部7と、可撓管部8と、を有して構成されている。
【0015】
操作部3には、挿入部2の湾曲部7を湾曲操作するための湾曲操作ノブ14が回動自在に配設されると共に、各種内視鏡機能、近点観察、遠点観察、レリーズ、静止画などの観察画像を切換えるスイッチ類15,16、湾曲操作ノブ14の回動を固定する固定レバー17などが設けられている。
【0016】
なお、湾曲操作ノブ14は、湾曲部7を上下方向に湾曲操作するためのUD湾曲操作ノブ12および湾曲部7を左右方向に湾曲操作するためのRL湾曲操作ノブ13の2つの略円盤状の回転ノブが重畳するように配設されている。
【0017】
また、挿入部2と操作部3の連結部は、ユーザによる把持される把持部11と、この把持部11に配置されて、挿入部2に配設された各種処置具を挿通する処置具挿通チャンネルの開口部となる処置具挿通チャンネル挿通部18と、を有して構成されている。
【0018】
操作部3から延設されたユニバーサルケーブル4は、延出端に図示しない光源装置と着脱自在な内視鏡コネクタ20を有している。なお、本実施の形態の内視鏡1は、挿入部2、操作部3およびユニバーサルケーブル4に挿通配設された照明手段のライトガイドバンドル(不図示)によって、光源装置(不図示)から先端部6まで照明光を伝送するものである。
【0019】
また、内視鏡コネクタ20は、ここでは図示しないがコイル状の電気ケーブルが接続され、この電気ケーブルの延出端にビデオプロセッサ(不図示)と着脱自在な電気コネクタが設けられている。
【0020】
ここで、本実施の形態の内視鏡1の挿入部2の先端部分の構成について、
図2および
図3に基づき、以下に説明する。なお、以下の説明において、挿入部2の周知の構成に関しては、説明を簡略または省略する。
【0021】
挿入部2の先端部6は、
図2および
図3に示すように、先端面21aに、観察窓31、照明窓25およびチャンネル開口部24が設けられ、絶縁性を有する非導電性の略円柱状ブロック体の樹脂材料から形成された枠部品である先枠(先端構成部または先端硬質部ともいう)としての先端枠部材21を備えている。
【0022】
この先端枠部材21は、先端部分が中心軸Xに直交する断面形状が略円形であって、中途から基端側に向けてチューブ状の湾曲ゴム23が被覆しており、この湾曲ゴム23の先端が糸巻接着部23aによって固着されている。なお、湾曲ゴム23は、湾曲部7に設けられる湾曲管である複数の湾曲駒22(22A)を一体的に被覆する。複数の湾曲駒22(22A)は、リベットなどの枢支部22aにより互いが回動自在に連設されている。
【0023】
本実施形態の先端部6では、成形回路部品(MID:Molded Interconnect Device)からなる硬質な略円柱形状をなす先端枠部材21が設けられている。この先端枠部材21には、
図4に示すように、撮像ユニットとしてのカメラモジュール30などの各種機能部品が設けられている。
【0024】
ここで、本実施形態における機能部品の1つとして先端枠部材21に設けられるカメラモジュール30は、例えば、ウエハレベルオプティクス技術を用いて作製されたレンズ積層体からなる撮像用レンズユニット、カバーガラス、接着層を介してカバーガラスに貼着されたレンズユニット32と撮像素子33が一体に積層されてパッケージ化されたCSP(Chip Size Package)から構成されている。
【0025】
このようなカメラモジュール30において、レンズユニット32は、例えば、ガラス基板等の基材上にレンズを形成したレンズウエハを複数作製し、これらレンズウエハを積層、ダイシングする等によって製造されている。
【0026】
このため、本実施形態のレンズユニット32は、平面視形状が矩形形状をなし、且つ、レンズ枠を持たないレンズユニットとなっている。また、撮像素子33についてもダイシング等によって平面視形状が矩形形状に形成されており、本実施形態のカメラモジュール30は、例えば、レンズ表面が約1mm四方の非常に小さな全体が略直方体形状をなしている。
なお、カメラモジュール30は、
図5に示すように、撮像素子33の背面に、電気接点である、複数、ここでは4つの端子33aが設けられている。
【0027】
先端枠部材21は、例えば、樹脂材料を用いた射出成形によって略柱状(本実施形態において、具体的には略円柱状)に形成されている。そして、先端枠部材21は、先端側に大径部35を有し、この大径部35から基端側に内径方向に段部を有して湾曲ゴム23が被覆する第1の小径部36と、第1の小径部36から基端側に更に内径方向に段差を有して、最先端の湾曲駒22Aの先端部分が嵌合する嵌合部としての第2の小径部37と、が形成されている。
【0028】
この先端枠部材21は、大径部35の直径が、例えば、2mm~5mm程度と非常に小さいものであって、先端部6の先端側の表面となる先端面21aおよび大径部35の外周面の糸巻接着部23aより先端側の一部が先端部6の外周形状を形成する。このため、先端枠部材21を構成する樹脂材料には、MID技術に適合するのみならず、生体適合性を有する材料が選択されている。なお、本実施の形態の挿入部2も、その直径が例えば、2mm~5mm程度の細径である。
【0029】
ここで、本実施形態において先端枠部材21は、例えば射出成形によって形成された樹脂部分を指し、この先端枠部材21の表面にレーザ光を照射して活性化させた部分をメッキ処理して回路形成するMID技術を用いた金属パターンの各種配線パターンなど(後述する)を有している。
【0030】
先端枠部材21の大径部35には、光学的な機能部品であるカメラモジュール30を収容する収容室としての矩形凹部状のイメージャユニット搭載領域としてのモジュール収容室26と、光学的な機能部品であるライトガイドバンドル72(
図10参照)の先端部分を基端側から収容し、照明窓25となる照明レンズ34が先端側に嵌合される収容室として照明部品収容室28と、処置具チャンネル71(
図9参照)の先端部分が挿通して保持するチャンネル保持室27と、が形成されている。
【0031】
なお、チャンネル保持室27および照明部品収容室28は、先端枠部材21の先端面21aから基端面21bを貫通する断面円形状貫通孔である。
【0032】
モジュール収容室26は、先端枠部材21の先端面21aに先端開口部と、
図6に示すように、中心軸X(挿入軸)方向に沿った深さ方向に中心軸Xに直交した平面状の壁面である実装面26aと、を有し、中心軸Xに直交した一方向(紙面に向かって見た上方)の側部が開口しており、カメラモジュール30の外形と略相似形状の矩形凹部である。なお、先端枠部材21の中心軸Xは、挿入部2が直線状態の長手中心軸と一致するものである。
【0033】
モジュール収容室26の実装面26aには、カメラモジュール30の撮像素子33の背面に設けられた電気接点である端子33a(ここでは4つ)が電気的に接続される配線パターンである4つの接点パターン51a~54aが形成されている。これら4つの接点パターン51a~54aのうち両側の接点パターン51a,54aは、カメラモジュール30の端子33a位置に合わせて、中途部分が内側に屈曲するように形成されている。これら4つの接点パターン51a~54aもMID技術を用いて形成されるものである。
【0034】
先端枠部材21は、モジュール収容室26にカメラモジュール30が収容された状態において、側部側の開口を塞ぐ蓋体29(
図4参照)が接着などにより固着される。なお、カメラモジュール30は、撮影光の光軸Oが中心軸Xと平行となるようにモジュール収容室26に実装される。
また、先端枠部材21は、側部側の開口は、蓋29で覆うのではなく、蓋29で覆う領域と同じ範囲、もしくは、カメラモジュール30と、後述する配線51~54を覆うだけの範囲にアンダーフィル材などの樹脂材料を充填する構成でも良い。
【0035】
この蓋体29は、先端枠部材21に装着された状態において、大径部35および小径部36と外周が一致するように、段差を有する円弧面35a,36aが形成された断面半月状に形成されている。なお、先端枠部材21の大径部35には、蓋体29の底面と接合される接合面41が形成されている。
【0036】
また、先端枠部材21は、
図7および
図8に示すように、大径部35に接合面41から内径方向(中心軸X方向)に若干段差を有した中心軸Xに対して平行の平面である第1の配線形成面42と、第1の小径部36に第1の配線形成面42から基端側に向けて、内径方向に所定の角度に傾斜する斜面である第2の配線形成面43と、第1の小径部36の中途から第2の小径部37にかけて、第2の配線形成面43から基端側に向けた中心軸Xに対して平行の平面である第3の配線形成面44と、を有している。
【0037】
即ち、先端枠部材21には、中心軸X方向に延在し、異なる水平位置の2つの平面(第1、第3の配線形成面42,44)が形成され、これら2つの平面を接続する斜面(第2の配線形成面)が形成されている。そのため、先端枠部材21は、モジュール収容室26の実装面26aと第2の配線形成面43の間に壁部40が形成されている。
なお、壁部40の基端面となる斜面である第2の配線形成面43は、第1の配線形成面42の基端側から第3の配線形成面44の先端側に向かった基端側の方向に傾斜している。
【0038】
また、基端側の第3の配線形成面44には、電源用および信号用の4本のケーブル61~64の各芯線61a~64aを接続されるケーブル接続電極としての矩形状の4つのランド51b~54bが中心軸Xに直交する方向に所定の離間距離を有して並設されたケーブル接続面を構成している。
【0039】
第1~第3の配線形成面42~44には、実装面26aに形成された4つの接点パターン51a~54aと第3の配線形成面44に形成された4つのランド51b~54bとを電気的に導通する導電路である4つの配線パターン51~54が形成されている。即ち、4つの配線パターン51~54は、第1の配線形成面42から第3の配線形成面43に跨って形成されている。
【0040】
ここで、第1の配線形成面42に形成された4つの配線パターン51~54は、例えば1mm四方の小さなカメラモジュール30の電極である4つの端子33aに合わせて、それぞれ隣接する長手中心軸e1~e4が互いの離間距離dが短く(小さく)設定されている。なお、第1の配線形成面42の4つの配線パターン51~54は、互いの離間距離dが、例えばカメラモジュール30の端子33a幅と同じ距離に形成されている。
【0041】
一方、第3の配線形成面44に形成された4つの配線パターン51~54は、4本のケーブル61~64の各芯線61a~64aを4つのランド51b~54bに半田などにより接続する作業性を考慮して、それぞれ隣接する長手中心軸E1~E4の離間距離Dが第1の配線形成面42の4つの配線パターン51~54の離間距離dよりも長く(大きく)設定されている。
【0042】
そのため、第1の配線形成面42と第3の配線形成面44とを接続する斜面である第2の配線形成面43には、内径方向である中心軸X方向に向けて放射状に広がる4つの配線パターン51~54が形成されている。
【0043】
即ち、先端枠部材21は、
図7および
図8に示すように、中心軸Xに直交する方向における第1の配線形成面42の幅wよりも第3の配線形成面44の幅Wのほうが長く(大きく)設定されている(W>w)。なお、第1の配線形成面42の幅wは、ここでは実装面26aの幅と同じである。即ち、第3の配線形成面44の幅Wは、カメラモジュール30の幅よりも広い(大きい)。
【0044】
さらに、第3の配線形成面44は、中心軸Xに沿った方向の長さも第1の配線形成面42のより長く設定されており、第1の配線形成面42よりも大きな表面積を有している。
【0045】
そのため、第3の配線形成面44に形成される4つのランド51b~54bの表面積も大きくできるため、4本のケーブル61~64の各芯線61a~64aの接続作業性も向上する。
【0046】
以上のように構成された先端枠部材21は、カメラモジュール30が実装され、照明レンズ34およびライトガイドバンドル72および処置具チャンネル71が組付けられ、4本のケーブル61~64の各芯線61a~64aが対応する第3の配線形成面44の4つのランド51b~54bに半田などにより接続される。
【0047】
なお、先端枠部材21へカメラモジュール30を実装する際、撮像素子33の4つの端子33aが実装面26aの対応する4つの接点パターン51a~54aにリフロー半田付による電気的な接続がなされる。
【0048】
そして、先端枠部材21は、
図9に示すように、挿入部2の先端部6に組付けられる。挿入部2の先端部分において、先端枠部材21から挿入部2内の基端側に延設される4本のケーブル61~64は、最先端の湾曲駒22A内で内径方向である中心軸X側に所定に曲げられる。その後、4本のケーブル61~64は、束ねられて湾曲部7の先端部分から基端側の挿入部2内において、中心軸X側に沿って挿設される。
【0049】
例えば、ケーブル61~64の内の1つは、先端枠部材21に接続されている先端の中心軸B1に対して、湾曲部7から基端側に延設される部分の中心軸B2が内径方向に所定の距離Bだけずらされて配置される。即ち、中心軸B1より中心軸B2の方が距離Bだけ中心軸Xに近く配置されている。
【0050】
また、処置具チャンネル71も、先端枠部材21から基端部分が内径方向である中心軸X側に所定に曲げられて、湾曲部7の先端部分から基端側の挿入部2内において、中心軸X側に沿って挿設される。
【0051】
即ち、処置具チャンネル71は、先端枠部材21に装着された先端分の中心軸C1に対して、湾曲部7から基端側に延設される部分の中心軸C2が内径方向に所定の距離Cだけずらされて配置される。即ち、中心軸C1より中心軸C2の方が距離Cだけ中心軸Xに近く配置されている。また、処置具チャンネル71の軸芯である中心軸C1,C2は、何れも屈曲部以外が先端部材21の軸芯である中心軸Xと略平行となっている。
【0052】
このように、4本のケーブル61~64および処置具チャンネル71は、先端枠部材21との接続された位置よりも湾曲部7の先端部分から基端側に挿通する位置が内径方向に偏向(中心軸Xに近くづくように配置)されている。このように、4本のケーブル61~64および処置具チャンネル71は、挿入部2内において、複数の湾曲駒22(22A)を回動操作する4本の湾曲操作ワイヤ65a~65dに干渉しない位置に挿通される。
【0053】
なお、4本の湾曲操作ワイヤ65a~65dは、最先端の湾曲駒22Aの基端内周部に設けられ、内径方向に突出する4つのワイヤ固定部66a~66dに、ろう付68などによって接続されている。そして、4本の湾曲操作ワイヤ65a~65dは、複数の湾曲駒22の内周部から内径方向に突出するように設けられた複数のワイヤガイド67a~67dに進退自在に挿通保持されている。
【0054】
なお、4本のケーブル61~64および処置具チャンネル71は、湾曲部7内において、内径方向に突出している4つのワイヤ固定部66a~66dおよび複数のワイヤガイド67a~67dとも干渉しないように配置されている。
【0055】
即ち、4本のケーブル61~64および処置具チャンネル71は、湾曲部7を湾曲操作する各湾曲操作ワイヤ65a~65dの先端を固定する4つのワイヤ固定部66a~66dの先端から、さらに先端側に向けた形状が先端枠部材21の中心軸Xから外周方向(外径方向)に離れるように曲げられて配設される。
【0056】
ここでの4つのワイヤ固定部66a~66dおよび4つのワイヤガイド67a~67dは、
図10および
図11に示すように、湾曲部7の上下左右を中心軸X回りに90°回転させた位置に略等間隔に設けられている。即ち、4つのワイヤガイド67a~67dは、中心軸Xと第3の配線形成面44(平面)に垂直な線、もしくは、中心軸Xと垂直かつ第3の配線形成面44(平面)と平行な線に対して45°回転させた位置に設けられている。
【0057】
例えば、湾曲部7を上方に湾曲させる場合、上方側の2本の湾曲操作ワイヤ65a,65bが牽引され、下方側の2本の湾曲操作ワイヤ65c,65dが弛緩される。一方、湾曲部7を下方に湾曲させる場合、上方側の2本の湾曲操作ワイヤ65a,65bが弛緩され、下方側の2本の湾曲操作ワイヤ65c,65dが牽引される。
【0058】
また、湾曲部7を左方に湾曲させる場合、2本の湾曲操作ワイヤ65b,65dが牽引され、2本の湾曲操作ワイヤ65a,65cが弛緩される。一方、湾曲部7を右方に湾曲させる場合、2本の湾曲操作ワイヤ65b,65dが弛緩され、2本の湾曲操作ワイヤ65a,65cが牽引される。
【0059】
これら4本の湾曲操作ワイヤ65a~65dを種々に組み合わせる牽引弛緩操作により、湾曲部7を中心軸X回りの全方向に湾曲可能となる。なお、
図11に示すように、ライトガイドバンドル72は、挿入部2内において、外皮シース72aに被覆されているものである。
【0060】
以上のように構成された本実施の形態の内視鏡1は、挿入部2の先端部6に配設される先端枠部材21にMID技術を用いて、カメラモジュール30の端子33aが電気的に接続される4つの接点パターン51a~54aと、これら4つの接点パターン51a~54aとケーブル接続面としての第3の配線形成面44の4つのランド51b~54bとを電気的に導通する導電路である配線パターン51~54を平面の第1の配線形成面42および斜面の第2の配線形成面43を形成した構成となっている。
【0061】
そして、先端枠部材21は、4つのランド51b~54bが形成される第3の配線形成面44が第1の配線形成面42に対して内径方向の中心軸X側に段差を有するように形成されている。そのため、先端枠部材21は、第3の配線形成面44の上方に4本のケーブル61~64を横に並べて配置し接続するスペースを確保できる。即ち、先端部6において、先端枠部材21の第3の配線形成面44の上方に空間Aが形成でき、この空間Aにおいて4本のケーブル61~64を接続する構成となっている。
【0062】
したがって、先端枠部材21は、4本のケーブル61~64を接続するスペースを確保するために外径方向に拡張する必要がなく、先端枠部材21の太径化が抑制されている。即ち、先端枠部材21の基端部分(特にワイヤ固定部66a~66dの先端側)は、デッドスペースとなる場合が多く、このようなデッドスペースを段部形成して有効利用することにより、先端枠部材21を太径化することなく、先端部6内において4本のケーブル61~64が接続できるスペース(空間A)を確保することが可能となる。その結果、内視鏡1は、先端部6の太径化も抑制され、挿入部2を細径化することができる。
【0063】
さらに、4本のケーブル61~64を接続する空間Aは、4本の湾曲操作ワイヤ65a~65dの先端部分を固定する4つのワイヤ固定部66a~66dよりも先端側に形成される。
【0064】
そのため、4つのワイヤ固定部66a~66dと中心軸Xに沿った投影内では重畳するが、中心軸Xに沿った前後方向にずれた位置となるため、第3の配線形成面44の4つのランド51b~54bと4本のケーブル61~64の各芯線61a~64aとの接続部が4つのワイヤ固定部66a~66dに干渉することを防止できる。
【0065】
また、第3の配線形成面44は、カメラモジュール30の幅よりも広く(大きい)ため、4つのランド51b~54bが形成される領域を広くとれる。そのため、4つのランド51b~54bの表面積およびピッチ(間隔)を大きくとれる。
【0066】
これにより、内視鏡1は、挿入部2の先端部6に搭載される電子部品であるカメラモジュール30がレンズユニット32と撮像素子33が一体に積層されてパッケージ化されたCSP(Chip Size Package)の非常に小さい撮像ユニットであっても、4本のケーブル61~64の各芯線61a~64aの半田などによる接続作業が容易となる。
【0067】
以上の説明から本実施の形態の内視鏡1は、挿入部2の先端部6に設けられる先端枠部材21における複数のケーブル61~64の接続作業性を向上させることができる。
【0068】
(第1の変形例)
図12に示すように、先端枠部材21の第3の配線形成面44を平面ではなく、円弧面とすることで、4つのランド51b~54bのピッチ(間隔)を、さらに大きくとることができる。
【0069】
(第2の変形例)
図13および
図14に示すように、先端枠部材21は、第2の配線形成面43から基端側に第3の配線形成面44aと、この第3の配線形成面44aに対して所定の高さHだけ中心軸X側に段形成された第4の配線形成面44bと、を有する構成としてもよい。
【0070】
なお、先端枠部材21は、ここでは第3の配線形成面44aに内側の2つのランド52b,53bが形成され、第4の配線形成面44bに外側の2つのランド51b,54bが形成されている。さらに、2つのランド51b,54bと2つのランド52b,53bは、中央を通る軸Y1、Y2が中心軸Xに沿った前後方向に所定の距離L1ずれて形成されている。
【0071】
なお、第3の配線形成面44aに外側の2つのランド51b,54bを形成し、第4の配線形成面44bに内側の2つのランド52b,53bを形成してもよいし、4つのランド51b~54bを中心軸Xに直交するする方向に互い違いに形成してもよい。
【0072】
このような構成とすることで、中心軸Xに直交する2方向、ここでは上下方向および左右方向に4つのランド51b~54bがずれた位置となるため4本のケーブル61~64の各芯線61a~64aの半田などによる接続作業性をより向上させることができる。
さらに、4本のケーブル61~64の接続部の距離が長くとれるため、互いにノイズの影響も受け難くなる。
【0073】
(第2の実施の形態)
次に、図面に基づいて本発明の第2の実施の形態に係る一態様の内視鏡1を説明する。本実施の形態の内視鏡1の説明に関し、第1の実施の形態に記載の構成については、それら構成の詳細な説明を省略し、同じ符号を用いるものとする。
【0074】
本実施の形態の内視鏡1の挿入部2の先端部6に設けられる先端枠部材21は、
図15に示すように、回路パターンの指定エリア表面を活性化させるレーザ光Lを壁部40の基端側に位置する斜面である第2の配線形成面43に向けて、基端方向から中心軸Xに沿って照射して、モジュール収容室26の実装面26aまで貫通する、ここでは4つの貫通孔73が形成される。
【0075】
なお、4つの貫通孔73は、第2の配線形成面43から中心軸Xと略平行なレーザ光Lが照射されるため、それぞれが第2の配線形成面43側の孔径が大きく、実装面26a側の孔径が小さくなる略コーン形状の孔部となる。即ち、貫通孔73は、先端枠部材21の中心軸Xに平行な孔軸を有する先端側が先細りの孔部となる。
【0076】
そして、先端枠部材21は、金属パターン形成のための無電解メッキ処理時に表面活性化された4つの貫通孔73の内周面にも金属皮膜が析出されて、
図16に示すように、それぞれに同一径の先端開口73aと基端開口73bを有する4つの貫通電極81a~84aが形成される。
【0077】
なお、4つの貫通電極81a~84aは、貫通孔73の形状に合わせて、先端開口73aが小径であり、基端開口73bが大径となった先端枠部材21の中心軸Xに平行な孔軸を有する先細りの管状となる。
【0078】
また、先端枠部材21は、
図17に示すように、モジュール収容室26の実装面26aに貫通電極81a~84aに、それぞれ導通する円形リング状の4つの接点ランド81~84がパターン形成される。これら4つの接点ランド81~84は、カメラモジュール30の電気接点である4つの端子33aが電気的に接続される
さらに、先端枠部材21は、
図18に示すように、第2の配線形成面43および第3の配線形成面44に貫通電極81a~84aに、それぞれ導通する導通路である4つの配線パターン51~54がパターン形成され、これら4つの配線パターン51~54が第3の配線形成面44の4つのランド51b~54bとも導通されている。
【0079】
また、4つの貫通電極81a~84aは、基端開口73bの方が先端開口73aより大きい断面形状となるため、カメラモジュール30の端子33a間隔(端子33a間の幅)より第2の配線形成面43側が広く配置される。
【0080】
そして、4つの貫通電極81a~84aは、4つの配線パターン51~54を介して導通する第3の配線形成面44に形成される4つのランド51b~54bの間隔を大きくして、幅広とすることで、ケーブル61~64の芯線61a~64aが半田などによる接続が容易となる。
【0081】
このように、本実施の形態の先端枠部材21は、第1の実施の形態の構成よりも、壁部40に4つの貫通電極81a~84aを設けることで、モジュール収容室26の実装面26aの4つの接点ランド81~84と第3の配線形成面44の4つのランド51b~54bとの距離を短くすることができる。これにより、周囲からの電気的なノイズ耐性が向上する。
【0082】
さらに、イメージャユニットであるカメラモジュール30へ信号を授受する導電路の1つである4つの貫通電極81a~84aは、先端枠部材21の内径方向である中心軸X側に形成され、挿入部2の先端部6の外表面から遠くなるため、周囲からの電気的なノイズを受け難くすることができる。したがって、本実施の形態の内視鏡1は、先端枠部材21に実装されるカメラモジュール30へ周囲からの電気的なノイズの影響を受け難くすることができる。
【0083】
また、先端枠部材21の壁部40の4つの貫通孔73は、MID技術を利用して金属パターン形成する際に表面活性化するときのレーザ光Lによって穿孔されるため、加工時の工数を減らすことができる。
【0084】
なお、ここでは、4つの貫通穴73を形成する位置と配線パターン51~54を形成する位置にレーザ光L照射するが、このレーザ光Lの照射方向を基端側から一方向とし、4つの貫通孔73を形成するレーザ光の照射角度を同じとすることにより加工効率が良くなる。
【0085】
(第1の変形例)
4つの貫通電極81a~84aは、
図19および
図20に示すように、第2の配線形成面43に設けられる基端開口73bを横方向に1列に配置するようにしてもよい。これにより、先端枠部材21の壁部40の高さ方向(先端枠21の一外周方向)を低く抑えることができ、先端部6の外径の大型化を抑制することができる。即ち、両側の貫通電極81a,84aは、先端枠部材21の中心軸Xに対して所定の角度を有して上方に向けて形成されている。
【0086】
なお、モジュール収容室26の実装面26aに設けられる上方側の2つの接点ランド81,84は、先端開口73aと基端開口73bの上端の高さを略同じとなるように形成してもよく、これにより2つの接点ランド81,84同士および配線パターン51,54同士の干渉を防ぎつつ、外径への影響を抑えて、先端枠部材21の大径化を抑制することができる。
【0087】
(第2の変形例)
4つの貫通電極81a~84aは、
図21および
図22に示すように、第2の配線形成面43の基端開口73bの間隔が大きくなるように配置してもよい。即ち、4つの貫通電極81a~84aは、それぞれの基端開口73bの中心離間距離を長くなるように形成されている。
【0088】
また、これに併せて、4つの貫通電極81a~84aの長手方向の長さが略同一となるように基端開口73bの位置を決めてもよい。4つの貫通電極81a~84aは、長手方向の長さを合わせることでレーザ光Lにより形成される入射側の開口孔の径を一定にでき、4つの基端開口73bの径も略同じものとすることができる。
【0089】
また、貫通孔73を形成するレーザ光Lは、壁部40の基端側の斜面である第2の配線形成面43への照射位置が先端枠部材21の中心軸Xに対して傾斜しており、先端側に向かって中心軸Xから遠ざかる外径方向に照射される。
【0090】
上方の2つの貫通孔73と下方の2つの貫通孔73は、中心軸Xに対して傾斜する角度が違っており、さらに左右の2つの貫通孔73の傾斜の向きが相反するように形成される。
【0091】
そして、4つの貫通電極81a~84aは、それぞれが形成される貫通孔73の傾斜にあわせた方向に形成される。
【0092】
また、4つの貫通電極81a~84aの基端開口73bのうち上方側の2つは、先端開口73aと上端の高さを略同じとするか、先端枠部材21の内径方向である中心軸X側に低くなるように形成することで、2つの接点ランド81,84同士および配線パターン51,54同士の干渉を防ぎつつ、外径への影響を抑えて、先端枠部材21の大径化を抑制することができる。
【0093】
(第3の変形例)
4つの貫通電極81a~84aは、
図23および
図24に示すように、第2の配線形成面43の基端開口73bの間隔が大きくなるように横方向に一列に配置するようにしてもよい。ここでも、貫通孔73を形成するレーザ光Lは、壁部40の基端側の斜面である第2の配線形成面43への照射位置が先端枠部材21の中心軸Xに対して傾斜しており、先端側に向かって中心軸Xから遠ざかる外径方向に照射される。
【0094】
また、上方の2つの貫通孔73と下方の2つの貫通孔73は、中心軸Xに対して傾斜する角度が違っており、さらに左右の2つの貫通孔73の傾斜の向きが相反するように形成される。そして、4つの貫通電極81a~84aは、それぞれが形成される貫通孔73の傾斜にあわせた方向に形成される。
【0095】
ここでの先端枠部材21は、4つの貫通電極81a~84aの基端開口73bを1列に配置したことで、壁部40の高さ方向を低く抑えることができ、先端枠部材21の大径化を抑制することができる。
【0096】
(第4の変形例)
図25に示すように、先端開口73a中心の間隔(ピッチ)P1に対して基端開口73b中心の間隔(ピッチ)P2を大きくすると共に、第3の配線形成面44の4つのランド51b~54bの中心の間隔(ピッチ)P3よりも小さくなるように(P1<P2<P3)、4つの貫通電極81a~84aを形成することで、先端枠部材21の壁部40の高さを低く抑えることができるともに、4つの貫通電極81a~84aの長手方向の長さの差を小さくすることができる。
【0097】
(第5の変形例)
4つの貫通電極81a~84aは、
図26および
図27に示すように、第2の配線形成面43の基端開口73bが先端開口73aよりも高さ方向の上方側に配置するようにしてもよい。即ち、4つの貫通電極81a~84aは、基端側から先端側に向けて、先端枠部材21の中心軸X方向に傾斜するように形成される。
【0098】
ここでの貫通孔73を形成するレーザ光Lは、壁部40の基端側の斜面である第2の配線形成面43への照射位置が先端枠部材21の中心軸Xに対して傾斜しており、先端側に向かって中心軸Xに向けて近づく内径方向に照射される。
【0099】
これにより、貫通孔73を形成するときに、基端側の上方から下方に向けて斜めにレーザ光Lを照射できるため、レーザ光Lを壁部40のみに向けて照射できる照射方向を考慮して、先端枠部材21の他の部位に照射されることを防止することができる。
【0100】
(第6の変形例)
図28に示すように、レーザ光Lを先端枠部材21の先端側からモジュール収容室26の実装面26aに向けて照射して、4つの貫通孔73を形成してもよい。なお、ここでのレーザ光Lは、先端枠部材21の中心軸Xと略平行に照射するものである。
【0101】
そして、
図29に示すように、壁部40に形成された4つの貫通孔73に4つの貫通電極81a~84aが形成される。ここでの4つの貫通電極81a~84aは、基端方向に向かって径が細くなるコーン形状となる。
【0102】
即ち、4つの貫通電極81a~84aは、
図30に示すように、実装面26aの先端開口73aが大きくなり、
図31に示すように、第2の配線形成面43の基端開口73bが小さくなる。
【0103】
このように、4つの貫通電極81a~84aを形成する際のレーザ光Lの照射方向を先端側のカメラモジュール30が搭載されるモジュール収容室26の実装面26a側から行うため、接点ランド81~84の位置をカメラモジュール30の端子33aと一致するように精度良く形成できる。
【0104】
(第7の変形例)
図32に示すように、先端枠部材21に搭載されるカメラモジュール30は、先端枠部材21の中心軸Xに対して直交する方向に視野を有する構成としてもよい。カメラモジュール30のレンズユニット32は、観察窓31となるカバーガラスが先端枠部材21の側部開口に設けられ、光軸Oを反射するプリズム32aと、このプリズム32aの反射面を保護する保護ガラス32bと、を有している。
【0105】
即ち、内視鏡1は、上述のカメラモジュール30が実装された先端枠部材21が挿入部2の先端部6に設けられることで、側視型内視鏡を構成する。なお、カメラモジュール30が先端枠部材21の中心軸Xに対して所定の角度を有した方向の視野を有して、所謂斜視の内視鏡1に搭載されるものでもよい。
【0106】
さらに、
図32には、先端枠部材21を4つの貫通電極81a~84aが形成された構成を例示しているが、側視用または斜視用のカメラモジュール30は、第1の実施の形態の先端枠部材21にも搭載できるものである。
【0107】
(第8の変形例)
先端枠部材21は、
図33および
図34に示すように、カメラモジュール30が搭載されるモジュール収容室26が先端開口して周囲が覆われた実装面26aが底面となる有底矩形状の穴部としてもよい。
【0108】
なお、モジュール収容室26は、左右に断面円弧状の溝部91が中心軸Xに沿った方向に形成されている。これら2つの溝部91は、モジュール収容室26内に搭載されたカメラモジュール30を固着する液状硬化樹脂(アンダーフィル)を注入する際にニードル(注入針)が挿入される隙間を形成するものである。
【0109】
なお、先端枠部材21は、カメラモジュール30が搭載されて、カメラモジュール30の端子33aと実装面26aの4つの接点ランド81~84との電気的な接続がリフロー半田付される際に、
図35に示すように、先端面21a側を鉛直上方とされる。このとき、カメラモジュール30は、モジュール収容室26内において実装面26a上に安定して載置される。
【0110】
また、先端枠部材21に形成される4つの貫通電極81a~84aは、先端開口73aを有する管状であるため、リフロー半田付の際に、カメラモジュール30の端子33aとの接合に必要な半田が貫通電極81a~84aの内部に流れ込み、電気的接続不良、機械的結合不良などが生じる可能性がある。
【0111】
そのため、モジュール収容室26の実装面26aに形成される4つの接点ランド81~84は、
図36に示すように、カメラモジュール30の端子33aが半田付される部位から所定の距離T1~T4に離間する位置に先端開口73aが設けられる形状とすることが好ましい。
【0112】
(第9の変形例)
図37に示すように、先端枠部材21は、先端湾曲駒22Aと嵌合する第2の小径部37に、ここでは最先端の湾曲駒22Aの先端部分の左右に設けられた2つのワイヤ固定部66a,66cを収容する逃がし溝92を形成してもよい。
【0113】
ここでの最先端の湾曲駒22Aは、
図38および
図39に示すように、上下左右方向に4つのワイヤ固定部66a~66dが設けられた構成となっている。2つのワイヤ固定部66a,cは、先端側に配置され、2つのワイヤ固定部66b、66dは基端側に配置されている。即ち、2つのワイヤ固定部66a,66c、2つのワイヤ固定部66b,66dがそれぞれ中心軸X回り180°回転する対向位置に設けられる。
即ち、湾曲駒22Aの周回りに隣接する方向のワイヤ固定部66a~66dは、中心軸X回りに90°回転した位置に略等間隔に順に相違して設けられている。なお、湾曲駒22は、同様に、上下左右方向にワイヤガイド67a~67dが設けられている。
【0114】
また、最先端の湾曲駒22Aは、上下方向の2つのワイヤ固定部66b,66dが基端部分に設けられている。
【0115】
このように、先端枠部材21に湾曲駒22Aの2つのワイヤ固定部66a,66cを収容する逃がし溝92を設けることで、先端枠部材21と湾曲駒22Aの嵌合時に中心軸X回りの上下左右方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0116】
なお、4本のケーブル61~64は、第3の配線形成面44の4つのランド51b~54bとの接続部が中心軸X方向(中心軸Xに対して直交する位置)において、先端側の逃がし溝92に収容される2つのワイヤ固定部66a,66cと略同一の位置に設けられる。
【0117】
そのため、先端枠部材21は、ランド51b~54bが形成された第2の小径部37の中心軸X方向の長さを最先端の湾曲駒22Aと嵌合せることで、挿入部2の硬質な部分となる先端部6を長くすることなく、湾曲駒22Aとの接続強度を確保できる構成となる。
【0118】
さらに、第2の小径部37と湾曲駒22Aとの嵌合部分を接着固定することで、先端枠部材21内の気密性(水密性)を向上させることができる。これにより、4本のケーブル61~64と4つのランド51b~54bとの接続部などの電気的な絶縁性を確保することができる。
【0119】
また、第2の小径部37は、4本のケーブル61~64と第3の配線形成面44のランド51b~54bとの接続部を含めて、嵌合する湾曲駒22Aと接着固定される。この状態において、2つのワイヤ固定部66a,66cと逃がし溝92も接着固定されるため、先端枠部材21と湾曲駒22Aとの接着強度を向上させることができる。
【0120】
(第10の変形例)
先端枠部材21は、
図40および
図41に示すように、最先端の湾曲駒22Aの先端部分が嵌合する嵌合部としての第2の小径部37の先端部分に中心軸Xに沿って所定の長さの円弧状のリブ37aを形成してもよい。なお、ここでの第2の配線形成面43Aは、斜面ではなく、モジュール収容室26の実装面26aと平行な中心軸Xに対して直交する垂直面となっている。
【0121】
これにより、先端枠部材21は、第2の小径部37の先端部分がリブ37aによって外周回り全体が最先端の湾曲駒22Aが嵌合する嵌合面となり、湾曲駒22Aとの固定力を大きくすることができる。
【0122】
また、先端枠部材21は、ケーブル接続面である第3の配線形成面44におけるリブ37aよりも基端側に延設された領域に4つのランド51b~54bを形成することで、リブ37aが邪魔となることなく、容易に4つのランド51b~54bにケーブル61~64の芯線61a~64aを半田などによる電気的な接続が行える。
【0123】
さらに、先端枠部材21は、リブ37aの内側の一方の側部、ここでは先端に向かって見た左側に第2の配線形成面43Aから第3の配線形成面44にかけて斜面43aが形成されている。この斜面43aには、中心軸Xに直交する面である第2の配線形成面43Aから中心軸Xに平行な面である第3の配線形成面44に向けて4つの配線パターン51~54が形成されている。
【0124】
先端枠部材21は、リブ37a内に斜面43aを設けることで、中心軸Xに平行となるリブ37aの内周面にレーザ光Lを照射する場合に比して、中心軸Xに対して角度がある斜面43aのほうが、レーザ光Lを当て易く、この斜面43aに沿って4つの配線パターン51~54を形成する導通路を容易に形成することができる。
【0125】
即ち、先端枠部材21は、中心軸Xに直交する面である第2の配線形成面43Aおよびリブ37aから基端側に延設された第3の配線形成面44へのレーザ光Lの照射は容易であるが、リブ37aの内周面へレーザ光を照射することが困難であるため、リブ37a内に中心軸Xに対して角度がある斜面43aを形成してレーザ光Lを照射し易くすることができる。
【0126】
なお、
図42に示すように、先端枠部材21の左右両側に斜面43a,43bをそれぞれ形成し、紙面に向かって左側の斜面43a側に2つの配線パターン53,54と、紙面に向かって右側の斜面43b側に2つの配線パターン51,52と、を形成してもよい。
【0127】
(第11の変形例)
図43および
図44に示す、先端枠部材21は、第9の変形例および第10の変形例を組み合わせた構成であり、加えて、第8の変形例の
図36に示したように、モジュール収容室26の実装面26aのカメラモジュール30の端子33aが半田付される部位から離間する位置に先端開口73aが設けることで、4つの貫通電極81a~84aを一方の側部(先端枠部材21の外径方向)、ここでは基端方向から見て右側に寄せて形成することができる。
【0128】
そのため、先端枠部材21の中心軸Xに直交する面である第2の配線形成面43Aには、それぞれ基端開口73bを有する4つの貫通電極81a~84aのも一方の側部寄りに形成される。
【0129】
これにより、第2の配線形成面43Aは、一方の側部に所定の表面積を有していれば良いため、リブ37a内の斜面43aを中央側から大きな表面積で形成することができる。
【0130】
そして、先端枠部材21は、斜面43aの領域を大きくすることで、ライトガイドバンドル72を挿通配置される孔部である照明部品収容室28の一部を斜面43aに形成できる。なお、照明部品収容室28は、第3の配線形成面44において、断面円弧状の凹部28aとなっている。
【0131】
また、4つのランド51b~54bは、ライトガイドバンドル72と干渉しないように、凹部28aから一側方向(先端枠部材21の外径方向)の第3の配線形成面44に並設されるものである。
【0132】
このような構成により、先端枠部材21は、ライドガイドバンドル72を湾曲駒22Aワイヤ固定部66a~66dが配置される逃がし溝92と干渉しない位置にレイアウトすることができるため、その直径を小さくすることができる。その結果、内視鏡1の挿入部2の先端部6の外径も小さくでき、挿入部2を細径化することができる。
【0133】
以上に記載した実施の形態および変形例において、MID構造の先端枠部材21の表面パターンとカメラモジュール30の端子とを半田接続する際、先端枠部材21の表面パターンを上向きとし、カメラモジュール30の端子側を下向きとするようにしてリフロー半田付工程に通すのが最も効率的な生産方式である。
【0134】
しかし、直視型の内視鏡1の場合、カメラモジュール30の端子側は、内視鏡1の基端方向側となるため、リフロー半田付時にカメラモジュール30を載置でき、かつ、カメラモジュール30の端子と接続し得る位置に表面パターンを形成できる載置面26aをモジュール収容室26の基端側に形成している。
【0135】
このように、カメラモジュール30の背面に載置面26aがあると、MID製法上、主に成形体の表面にしか配線パターンを形成できないことから、先端枠部材21は、カメラモジュール30と手元側の諸々の回路と接続するためのケーブルと配線パターンとの接続方式によっては内視鏡1の挿入部2の先端部6の外径を大きくしてしまうことを防止できる構成としている。
【0136】
具体的には、MID構造の先端枠部材21は、先端側を上向き、基端側を下向きとし、カメラモジュール30の背面を下側にしてモジュール収容室26の載置面26aに載せてリフロー半田付することで生産効率を上げることができると共に、ケーブルの接続領域を先端枠部材21の外径より軸芯である中心軸Xに近い位置に設けることで接続領域を広げ易くなり、その領域を広くできる。これによって内視鏡1の挿入部2の先端部6の外径を大きくすることなく先端枠部材21とケーブルとの容易な接続が可能となる構成としている。
【0137】
また、近年、内視鏡1の挿入部2の細径化の要求に併せてカメラモジュール30も小型化が進んでいる。カメラモジュール30は、内視鏡1の挿入部2の先端部6に搭載され、駆動のため電力および信号の授受を行い、生成した撮像信号をモニタに表示するため外部プロセッサと電気的に接続される。
【0138】
この接続は、通常、ケーブルを介した構造となるが、カメラモジュール30の小型化に伴い、カメラモジュール30の端子の大きさ、幅も極小であるため、ケーブルと直接の接続が困難となる。このことから、小型のカメラモジュール30の端子部の寸法に合せてケーブルを接続すると、製造上のコストが高となる。
【0139】
そのため、先端枠部材21は、MID構造とし、先端側を上向き、基端側を下向きとして、カメラの裏面(下面)を下側にしてモジュール収容室26の載置面26aに載せてリフロー半田付することで生産効率を上げることができると共に、ケーブル接続領域を広く確保しケーブルとの接続が容易となる。これによって内視鏡1は、挿入部2の先端部6の外径の大型化抑止および製造コストを低減することができる。
【0140】
さらに、MID構造は、その製法上、主に成形体の表面にしか配線パターンを形成できないことから、カメラモジュール30とケーブルとの接続位置まで配線パターンを引く場合、先端枠部材21の外表面に導通路を形成する必要があるが、導通路に貫通電極81a~84aを設けて、回路長が長くなることを防止し、外部ノイズの影響を低減させるができる。
【0141】
以上の実施の形態および変形例に記載した発明は、それら実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態および変形例には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0142】
例えば、実施の形態および変形例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。