(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】組成物、及び皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品の製造におけるその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20230316BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20230316BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230316BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230316BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230316BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230316BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20230316BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/23
A61K8/34
A61K8/36
A61K8/44
A61K8/49
A61K8/64
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2022519494
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2020112021
(87)【国際公開番号】W WO2021057380
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】201910919384.X
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522120233
【氏名又は名称】水羊▲化▼▲妝▼品制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】SYOUNG COSMETICS MANUFACTURING CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戴 ▲躍▼▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼ 少慰
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲広▼文
(72)【発明者】
【氏名】▲錢▼ 景茹
(72)【発明者】
【氏名】徐 筱群
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/008452(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/114176(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107898689(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107929094(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分として、質量部で、
スキンコンディショナーA 0.2~1.0部、
スキンコンディショナーB 0.2~2.0部、
アデノシン 0.1~2.0部、
を含む組成物であって、
前記スキンコンディショナーAは、質量%で、
酵母糖タンパク質 3%、
グルタミン酸 3%、
バリン 0.55%、
スレオニン 0.55%、
防腐剤 1.1%、
安定剤 0.05%、
を含み、残部は水であり、
前記スキンコンディショナーBは、質量%で、
グルタミルアミドエチルイミダゾール 1%、
防腐剤 0.4%、
を含み、残部は水である、組成物。
【請求項2】
前記スキンコンディショナーAにおける防腐剤はフェノキシエタノールとエチルヘキシルグリセリンであり、フェノキシエタノールとエチルヘキシルグリセリンの質量比は1:1であり、
前記スキンコンディショナーAにおける安定剤はピロ亜硫酸ナトリウム であり、
スキンコンディショナーBにおける防腐剤はソルビン酸とフェノキシエタノールであり、ソルビン酸とフェノキシエタノールとの質量比は1:3である、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品の調製における請求項1又は2に記載の組成物の使用。
【請求項4】
前記スキンケア製品の機能は水分補給・保湿、細胞のエネルギー合成の促進を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品であって、請求項1又は2に記載の組成物を含む、ことを特徴とするスキンケア製品。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の組成物の質量分率は0.5%~5%である、ことを特徴とする請求項5に記載のスキンケア製品。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の組成物 0.5%~5%と、
保湿剤 9%と、
浸透促進剤 1%と、
角質柔軟剤 0.4%と、
防腐剤 1%と、
を含み、残部は水である、ことを特徴とする請求項5に記載のスキンケア製品。
【請求項8】
前記保湿剤はグリセリンと1,3-ブタンジオールであり、前記グリセリンと1,3-ブタンジオールとの質量比は1:1であり、
前記浸透促進剤はペンチレングリコールであり、
前記角質柔軟剤はヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸であり、
前記防腐剤はPHLである、ことを特徴とする請求項7に記載のスキンケア製品。
【請求項9】
質量%で:
スキンコンディショナーA 0.2%~1.0%、
スキンコンディショナーB 0.2%~2.0%、
アデノシン 0.1%~2.0%、
グリセリン 8%、
1,3-ブタンジオール 1%、
ペンチレングリコール 1%、
ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸 0.4%、
PHL 1%、
からなり、残部は水であるスキンケア製品であって、
前記スキンコンディショナーAは、質量%で、
酵母糖タンパク質 3%、
グルタミン酸 3%、
バリン 0.55%、
スレオニン 0.55%、
防腐剤 1.1%、
安定剤 0.05%、
を含み、残部は水であり、
前記スキンコンディショナーBは、質量%で、
グルタミルアミドエチルイミダゾール 1%、
防腐剤 0.4%、
を含み、残部は水である、ことを特徴とする請求項7に記載のスキンケア製品。
【請求項10】
請求項5~9のいずれかに記載のスキンケア製品の製造方法であって、
ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸とアデノシンを脱イオン水に加え、75℃~80℃に加熱し、250~300r/minで20分間撹拌し溶解することと、
グリセリン、1,3-ブタンジオール、及びペンチレングリコールを加え、温度を65~75℃に制御し、300r/minで15分間撹拌し溶解することと、
スキンコンディショナーA、スキンコンディショナーB及びPHLを加え、温度を35~45℃に制御し、100r/minで15分間撹拌した後、室温まで冷却してスキンケア製品を得ることとを含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(互いに参照)
本願は、発明の名称が「組成物、及び皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品の製造におけるその使用」である、2019年9月26日に中国特許庁へ提出された中国特許出願201910919384.Xに基づく優先権を主張し、その全内容は、全体として援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、スキンケア製品技術分野に関し、特に、組成物、及び皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品の製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
生物は、体内時計-生体リズム-24時間によって監視され、概日リズムの遺伝子周期の発現を制御する。概日リズムの遺伝子を周期的な活性化の目的は、日常の環境変化による代謝とタンパク質合成の機能変化に積極的に適応することである。日光照射が生体リズムを同調する活性剤の1つであり、そのため、概日リズムの遺伝子発現の周期性が環境の影響を受ける。網膜と皮膚は日光照射の主な受容体である。
【0004】
皮膚組織の生理的活動は、生体リズムによって厳密に制御されている。日中では、皮膚細胞は主に皮膚の自然な防御(耐UV、汚染防止など)を強化することに専念し、夜間では、再生と代謝に焦点を合わせる。研究によると、CLOCKやPERIOD-1などの皮膚生体時計遺伝子が細胞(ケラチノサイト、線維芽細胞及びメラニン細胞)の増殖挙動に関連していることが発見されている。
【0005】
老齢化、季節、日光照射の変化、倦怠感、緊張、不眠症、時差ぼけなどはすべて生体リズムに小さな変化が起こる可能性があるが、これらの変化は蓄積される可能性がである。これらの不規則な生体リズムの変化により、概日リズムの遺伝子の周期的な活性化が変化され、皮膚の生理的代謝が変化する。
【0006】
生体リズムの乱れは、皮膚の早老化の誘因の1つであり、皮膚の生理的活動が環境条件の変化に適応しない場合、皮膚の自然な防御能力が弱まる可能性があり、夜間の細胞再生プロセスが遅くなり、ビタミンDの生体変換効率が低下する(ビタミンDがカルシウムの吸収に関与し、カルシウムのレベルが皮膚の水和能力に影響を与える)。しかし、現在、皮膚生体リズムを調節するためのスキンケア製品の種類は少なく、そのメカニズムはまだ不明である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、良好な水分補給・保湿効果を有するとともに、細胞エネルギー合成を促進することができる組成物、及び皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品の製造におけるその使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明で提供される組成物は、成分として、質量部で、
スキンコンディショナーA 0.2~1.0、
スキンコンディショナーB 0.2~2.0、及び
アデノシン 0.1~2.0を含む。
【0009】
前記スキンコンディショナーAは、質量%で、
酵母糖タンパク質 3%、
グルタミン酸 3%、
バリン 0.55%、
スレオニン 0.55%、
防腐剤 1.1%、
安定剤 0.05%、を含み、
残部は水である。
【0010】
前記スキンコンディショナーBは、質量で、
グルタミルアミドエチルイミダゾール 1%、
防腐剤 0.4%、
を含み、残部は水である。
【0011】
前記スキンコンディショナーAにおける防腐剤は、フェノキシエタノールとエチルヘキシルグリセリンであり、フェノキシエタノールとエチルヘキシルグリセリンの質量比は1:1である。
【0012】
前記スキンコンディショナーAにおける安定剤がピロ亜硫酸ナトリウム である。
【0013】
スキンコンディショナーBにおける防腐剤は、ソルビン酸とフェノキシエタノールであり、ソルビン酸とフェノキシエタノールとの質量比は1:3である。
【0014】
本発明で提供される組成物は、成分として、質量部で、
スキンコンディショナーA 0.5質量部、
スキンコンディショナーB 0.5質量部、
アデノシン 0.2質量部、を含む。
【0015】
本発明で提供される組成物は、成分として、質量部で、
スキンコンディショナーA 0.2質量部、
スキンコンディショナーB 0.2質量部、
アデノシン 0.1質量部、を含む。
【0016】
本発明で提供される組成物は、成分として、質量部で、
スキンコンディショナーA 1.0質量部、
スキンコンディショナーB 2.0質量部、
アデノシン 2.0質量部、を含む。
【0017】
本発明は、徹夜の皮膚の状態を研究対象とし、皮膚の生体リズム机理を背景とし、まず、生体リズムペプチドで皮膚の生体時計遺伝子を調節する。ヒトの生体時計が不規則になった場合、皮膚のバリアは損傷しやすく、ビタミンDの完全な代謝経路を持つ人体の唯一の細胞である表皮の角質細胞である。皮膚のバリアが損傷している場合、つまり、表皮が損傷している場合、角質細胞はビタミンDを正常に合成できない。スキンコンディショナーBに含まれる有効成分は、生体時計遺伝子の表現を調節し、角質細胞の修復及び増殖を促進し、ビタミンDの合成を促進し、ビタミンDの転換を活性化して、皮膚のバリア能力を活性化する。さらに、皮膚の修復のために皮膚に多くのエネルギーを提供する観点から、生体リズムの調節を通じて、糖タンパク質、グルタミン酸、バリン、スレオニンに富んだスキンコンディショナーAを使用して、糖分解、ミトコンドリア呼吸を促進し、皮膚細胞のATPは一日を通して高レベルであり、外部の悪影響に抵抗するために日中に細胞へ供給されるエネルギーが十分であるように確保され、また、夜で皮膚細胞が修復される必要がある際のエネルギー供給が十分であるように確保される。また、アデノシンを再びに追加的に添加し、細胞が必要とするエネルギーを直接補充する。本発明は、徹夜の皮膚の問題を目指し、生体時計遺伝子調節と、細胞本身能量の誘発と、エネルギーの追加的な補充との3つの点から着手し、徹夜のスキンケアに対して強力な効果を有する組成物を開発した。本発明に係る組成物は、各成分が互いに協働し、互いに促進し、そして良好な相乗効果を発揮する。
【0018】
皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品の製造における本発明に係る組成物の使用が提供される。
【0019】
前記スキンケア製品の機能は、水分補給・保湿、細胞のエネルギー合成の促進を含む。
【0020】
さらに、本発明は、本発明に係る組成物を含む、皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品を提供する。
【0021】
本発明に係るスキンケア製品では、前記組成物の質量分率は0.5%~5%である。
【0022】
ある具体的な実施形態では、前記組成物の質量分率は0.5%、1.2%、5%である。
【0023】
本発明に係るスキンケア製品は、質量%で、
本発明に係る組成物 0.5%~5%、
保湿剤 9%、
浸透促進剤 1%、
角質柔軟剤 0.4%、
防腐剤 1%、
を含み、残部は水である。
【0024】
本発明に係るスキンケア製品では、
前記保湿剤はグリセリンと1,3-ブタンジオールであり、前記グリセリンと1,3-ブタンジオールとの質量比は1:1であり、
前記浸透促進剤はペンチレングリコールであり、
前記角質柔軟剤はヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸であり、
前記防腐剤がPHLである。
【0025】
本発明に係るスキンケア製品は、質量%で、
スキンコンディショナーA 0.2%~1.0%、
スキンコンディショナーB 0.2%~2.0%、
アデノシン 0.1%~2.0%、
グリセリン 8%、
1,3-ブタンジオール 1%、
ペンチレングリコール 1%、
ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸 0.4%、
PHL 1%
からなり、残部は水である。
【0026】
前記スキンコンディショナーAは、質量%で、
酵母糖タンパク質 3%、
グルタミン酸 3%、
バリン 0.55%、
スレオニン 0.55%、
防腐剤 1.1%、
安定剤 0.05%、
を含み、残部は水である。
【0027】
前記スキンコンディショナーBは、質量%で、
グルタミルアミドエチルイミダゾール 1%、
防腐剤 0.4%、
を含み、残部は水である。
【0028】
ある実施形態においては、前記化粧品は、質量%で、下記の成分:
スキンコンディショナーA 0.5%、
スキンコンディショナーB 0.5%、
アデノシン 0.2%、
グリセリン 8%、
1,3-ブタンジオール 1%、
ペンチレングリコール 1%、
ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸 0.4%、
PHL 1%、
からなり、残部は水である。
【0029】
ある実施形態においては、前記化粧品は、質量%で、下記の成分:
スキンコンディショナーA 0.2%、
スキンコンディショナーB 0.2%、
アデノシン 0.1%、
グリセリン 8%、
1,3-ブタンジオール 1%、
ペンチレングリコール 1%、
ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸 0.4%、
PHL1%、
からなり、残部は水である。
【0030】
ある実施形態においては、前記化粧品は、質量%で、下記の成分:
スキンコンディショナーA 1.0%、
スキンコンディショナーB 2.0%、
アデノシン 2.0%、
グリセリン 8%、
1,3-ブタンジオール 1%、
ペンチレングリコール 1%、
ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸 0.4%、
PHL 1%、
からなり、残部は水である。
【0031】
本発明に係るスキンケア製品は化粧水、乳液、クリーム、マスク、エッセンス、ジェルなどである。
【0032】
本発明に係るスキンケア製品の製造方法は、
ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸とアデノシンを脱イオン水に加え、75℃~80℃に加熱し、250~300r/minで20分間撹拌し溶解することと、
グリセリン、1,3-ブタンジオール、及びペンチレングリコールを加え、温度を65~75℃に制御し、300r/minで15分間撹拌し溶解することと、
スキンコンディショナーA、スキンコンディショナーB及びPHLを加え、温度を35~45℃に制御し、100r/minで15分間撹拌した後、室温まで冷却してスキンケア製品を得ることとを含む。
【発明の効果】
【0033】
本発明で提供される組成物は、アデノシン、糖タンパク質とアミノ酸とを含有するスキンコンディショナーA、及びグルタミルアミドエチルイミダゾールを含有するスキンコンディショナーBを含む。各成分が互いに協力し、互いに促進し、良好な水分補給・保湿を達成し、細胞のエネルギー合成を促進する。この組成物を化粧品を調製するために使用することができ、夜更かしする人々の皮膚に関する一連の問題を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、細胞のエネルギー合成量への各試料の影響を示す図である。
【
図2】
図2は、各試料の即時の水分補給の効果を示す図である。
【
図3】
図3は、各試料の持続の水分補給の効果を示す図である。
【
図4】
図4は、皮膚水分喪失量への各試料の短期的な効果を示す図である。
【
図5】
図5は、皮膚水分喪失量への各試料の長期的な効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、組成物及び皮膚の生体リズムを調節するためのスキンケア製品の調製におけるその使用を提供する、当業者はこれらの記載を参考し、プロセスパラメータを適切に改善することができる。なお、全ての類似な置換および変更が当業者にとって自明であり、それらは本発明に含まれたものとみなされることに留意する必要がある。本発明に係る方法及び使用について好適な実施例を用いて説明したが、当業者であれば、本発明の内容、思想、および範囲から逸脱することなく、本発明の技術を実現や使用するために、それらの方法や使用を修正や、適切な変更、組み合わせを行うことができるのは明らかである。
【0036】
本発明で使用される試験材料は、すべて一般的な市販の製品であり、それらはすべて購入することができる。
【0037】
以下の実施例では、スキンコンディショナーAの組成は、
糖タンパク質 3%、
グルタミン酸 3%、
バリン 0.55%、
スレオニン 0.55%、
フェノキシエタノール 0.55%、
エチルヘキシルグリセリン 0.55%、
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.05%、
水 91.75%である。
【0038】
スキンコンディショナーBの組成は、
グルタミルアミドエチルイミダゾール 1%、
ソルビン酸 0.1%、
フェノキシエタノール 0.3%、
水98.6%である。
【0039】
グルタミルアミドエチルイミダゾールは、下記の構造式を有する。
【化1】
【0040】
本発明の実施例では、使用されるスキンコンディショナーA、スキンコンディショナーBは、すべて市場から購入され、商品名はそれぞれのREVITALIN(R)PF、CHRONOCYCLIN(R)である。以下、本発明について、実施例を合わせてさらに説明する。
【実施例】
【0041】
各群の処方を表1に示す。
【0042】
【0043】
処方の配合率に従ってヒドロキシエチルピペラジンスルホン酸及びアデノシンを秤量し、脱イオン水を加えて75~80℃に加熱し、溶液が透明になるまで250~300r/minで20分間撹拌した。
【0044】
処方の配合率に従ってグリセリン、1,3-ブタンジオール、ペンチレングリコールを加え、温度を65~75℃に制御し、すべての添加物が溶解するまで300r/minで15分間撹拌した。
【0045】
処方の配合率に従ってスキンコンディショナーA、スキンコンディショナーB及びPHLを秤量し、温度を35~45℃に制御し、100r/minで15分間撹拌し、静置して室温へ戻した。
【0046】
効能の評価
【0047】
表皮の角質細胞はビタミンDの完全な代謝経路を持つ人体の唯一の細胞である。皮膚のバリアが損傷している場合、つまり、表皮が損傷している場合、角質細胞がビタミンDを正常に合成することができなくなる。ビタミンDは表皮組織で7-デヒドロコレステロールから変換される。表皮にはミトコンドリアCYP27A1とCYP27B1も含まれている。1,2(OH)2Dは、表皮の角質細胞の分化を促進する効果を有する。この効果は、ホスホリパーゼC-γ1(phospholipase C-γ1,PLC-γ1)を介して実現する。表皮の角質細胞によって産生した1,2(OH)2Dがカルシウムと共に細胞の分化を調節する。1,2(OH)2Dは、CaRの発現を増加し、カルシウムに対する細胞の感受性を向上させ、また、PLC-γ1を向上させ、細胞内のカルシウムイオン濃度を高める。また、カルシウムイオンは、表皮のバリア機能の形成を調節する効果を有する。皮膚の表面に負の電荷を印加すると、表皮上部のマグネシウムとカルシウムの濃度が高まり、カルシウムイオンの濃度勾配が増加し、それにより、表皮のバリア機能が強化される。なお、1,2(OH)2Dは、角質細胞の内外皮蛋白の転写を直接に刺激する。さらに、1,2(OH)2Dは、ケラチノサイトにおける抗菌ペプチドの発現を促進し、それによって皮膚の細菌感染に抵抗することができる。ビタミンDは、主にフィラグリン、抗菌ペプチドなどのタンパク質の合成を促進すること、及び角質細胞の増殖及び分化を調節することにより、皮膚バリアに重要な役割を果たす。本発明は、細胞エネルギーの変化、水分補給の効果、皮膚水分喪失量の三つの側面から組成物の有効性を評価する。
【0048】
1)細胞のエネルギーの増加量
【0049】
アデノシン三リン酸(adenosine 5’-triphosphate,ATP)は、生物のエネルギー変換の最も基本的な担体であり、その含有量の変化はさまざまな臓器のエネルギー代謝に直接関係している。ATPは、最も重要なエネルギー分子として、細胞のさまざまな生理学的および病理学的プロセスにおいて重要な役割を果たしている。ATPのレベルの変化は、細胞機能に影響を与える。通常、ATPのレベルは、細胞がアポトーシス、壊死、または何らかの毒性状態にあるときに減少する。アポトーシスの際には、通常、ATPのレベルの低下はミトコンドリアの膜電位の低下と同時に発生する。ATP含有量測定キットは細胞内のATPのレベルを検出するために使用できる。
【0050】
実験機器:マイクロプレートリーダー、ウォーターバス、ピペット、遠心分離機、96ウェルプレート、ATP含有量測定キット
【0051】
実験材料:ケラチノサイト、DMEM、FBS、DPBS
【0052】
実験方法:
1.ケラチノサイトを消化した後、DMEMで細胞を分散させ、ヘモサイトメーターを用いて細胞をカウントし、そしてDMEMを用いて濃度が5×104cells/mlとなるように細胞を希釈した。
2.希釈後の細胞溶液をペトリ皿にそれぞれ接種した。
3.37℃、5%CO2のインキュベーターで24時間培養した。
4.被検試料の調製:被検試料を希釈後の濃度が0.1%となるようにDMEM培地で希釈し、10mlの試料を用意した。
5.細胞を24時間培養した後、細胞が完全に壁に付着して成長したかどうかを観察した。細胞が完全に壁に付着して成長した場合は、元の培地を取り除き、DPBSで洗浄した。
6.DPBSを取り除いた後、用意した0.1%の被検試料を含有する培地をそれぞれに加えた。
7.試料を加えた後、37℃、5% CO2のインキュベーターにおいて48時間培養した。
【0053】
ケラチノサイトの収集と処理:細胞を収集した後、遠心分離して培地を除去し、0.5mlの再蒸留水を加えてよく混合した。細胞水溶液を沸騰したお湯に入れ、10分間加熱し、ボルテックスして1分間混合し、また、4000rpm条件下で10分間遠心分離し、上澄みをテスト用に採取した。
【0054】
具体的な試薬及び操作のステップは次のとおりである。
【0055】
実験試薬:
試薬1:基質液1は、粉末で、使用際に10ml蒸留水を加えて溶解し、沸騰水中で加熱しながら溶解した。
試薬2:基質液2は液体であり、直接使用した。
試薬3:促進剤は、使用際に希釈液を粉末に加えて溶液を調製した。
試薬4:沈殿剤
試薬5:発色剤は、使用際に液体一を液体二に加え、よく混合しておいた。
試薬6:停止剤
【0056】
ATP標準物:DDWを使用して1mのMATP標準溶液を調製した。
【0057】
実験方法:
【0058】
【0059】
よく混合し、室温で5分間静置して反応させた。各試験チューブ、対照チューブ、標準チューブ、及びブランクチューブから200μL試料を96ウェルプレートに移し、630nm波長での吸光度を測定した。
【0060】
そのため、各試験試料における細胞のATP含有量は下記の公式により求められる。
ATP含有量(μmol)=[(A試験チューブ-A対照チューブ)/(A標準チューブ-Aブランク)]×標準物の濃度×希釈倍数
【0061】
各試験試料における細胞のエネルギーの増加量:
ATP増加(%)=(ATPn-ATP0)/ATP0×100%(但し、ATPnは各試験試料における細胞のエネルギーであり、ATP0はブランク試料における細胞のエネルギーである。)
【0062】
【0063】
実験結果:細胞エネルギーの測定結果により、対照試料-1は細胞のエネルギー成長を促進する効果はほとんどなく、実例試料1~3は細胞のエネルギーを114.77%~152.42%向上させることができた。細胞のエネルギーの増加は損傷された皮膚状態を修復するのに役立つ。統計分析後:
【0064】
比較例1と比較して、実施例1~3は細胞エネルギーを有意に増加させることができ、本発明に係る組成物が細胞のエネルギーの改善に有意な効能を持っていることを示し、p<0.05であった。
【0065】
比較例2~4と比較して、実施例1~3は細胞のエネルギーの増加での効果がより顕著であった。本発明に係る組成物の成分がより合理的であり、各成分が不可欠であり、互いに協働して顕著な相乗効果を生じたことが示された。
【0066】
比較例5と比較して、実施例1~3は細胞のエネルギーの増加での効果がより顕著であった。有效成分含有量が同じである場合、本発明に係る組成物の効果がより良い効果を有し、本発明に係る組成物の配合比率が合理的かつ適当であることが示される。
【0067】
各試料のうち、実施例3の効果が最も顕著であった。これは、その配合比率及び濃度が最も適切であることを示している。得られた試料の効果は他のグループと著しく異なり、p<0.05であった。
【0068】
2)皮膚への即時及び持続の水分補給の効果
【0069】
試験機器:ドイツのCK社の多機能スキンテスター、モデルCorneometer CM825 MDD
【0070】
試験原理:静電容量法を用いてヒト皮膚の角質層の水分含有量を測定した。その原理は、水と他の物質の間の誘電率の有意差に基づいた。皮膚の水分含有量の違いに応じて、測定された皮膚の静電容量値は異なり、その観測パラメータは皮膚の水分値を表すことができる。
【0071】
試験環境:試験環境温度は22±1℃、湿度は50±5%、リアルタイム動的検出を行った。
【0072】
試験のボランティア:
年齢16~65歳の少なくとも30人の有効なボランティアであるたこと(妊娠中または授乳中の女性を除く);
前腕の試験領域での静電容量法による皮膚水分測定の基本値は15乃至100であること;
重篤な全身性疾患、免疫欠陥や自己免疫疾患がない人;
過去にスキンケア化粧品に対する重度のアレルギーの病歴がない人;
過去1か月以内にホルモン剤又は免疫抑制剤を使用しなかった人;
他の臨床試験に参加しなかった人;
規則に従って被試薬を使用し、かつ全て履歴情報を揃っていること、
全てのボランティアは試験前にインフォームドコンセントに記入する必要があること。
【0073】
試験の手順:
試験前の準備:
被検位置に2~3日前にいずれかの製品を(化粧品または外用薬)使用してはいけないこと;
試験前に、試験者は両手の前腕の内側を洗浄し、自然に風乾することに同意する必要があること;
洗浄後、試験者の両手の前腕の内側に試験領域をマークしたこと;
正式な試験の前に、試験者を、基準を満たす部屋に少なくとも30分間静かに座り、水を飲まずに、前腕を露出させて測定状態になり、リラックスさせること。
【0074】
試験のプロセス:実験では左右の腕の内側に3×3cm2の試験領域をマークした。なお、同じ腕に複数の領域を1cmの間隔でマークすることができる。試験製品とブランク対照を左右の腕にランダムに配置した。プローブCorneometer CM825 MDDを使用して試験領域と対照領域における皮膚の水分含有量を測定した。各領域は、15回並行して測定した。まず、各試験領域のブランク値を測定し、その後、試料を0.072mlの試料/cm2の用量でマスククロスに注入し、試験領域に20分間使用した。20分間後でマスククロスを外し、10分間後にその領域皮膚の水分含有量を測定し、これは、30分時刻での皮膚の水分含有量であった。その後、試験領域とブランク対照領域における皮膚の水分含有量を1時と2時の時刻でそれぞれ測定した(確認する際、この時点で測定する)。なお、同じボランティアの試験は、同じ測定スタッフによって行われた。
【0075】
長時間の水分補給試験では、試験者は上記の試験方法に従って毎日同じ領域に自分で試験試料を塗布し、14日目と28日目に試験試料を塗布せずに皮膚の水分含有量を測定した。
【0076】
試験データ:実験の計画に従って、各期間の皮膚の水分含有量を測定し、各時点での皮膚の水分含有量の増加量を計算した。
【数1】
【0077】
実験結果:
2.1)即時水分補給の結果
【0078】
【0079】
結果:即時水分補給の効果の観点から、対照試料-1は、基礎処方であり、一定の水分補給の効果を有し、水分含有量の増加量が108.1%であり、実例試料-1は、皮膚の水分含有量が30分で149.3%に増加し、水分補給の効果が120分で151.5%程度のままであり、即時水分補給の効果が明らかであり、長期間持続した。
【0080】
2.2)持続の水分補給の効果
【0081】
【0082】
結果:持続の保湿効果の観点から、本発明の試料を継続して使用すると、皮膚の水分含有量が増加し、皮膚の水分含有量が28日目で約17.27%増加した。一方、皮膚のバリア機能が修復され、皮膚の水分含有量が向上したことも反映している。
【0083】
比較例1と比較して、実施例1~3は、水分補給の効果(持続、即時)を著しく改善することができ、本発明に係る組成物が水分補給(持続、即時)の能力で有意な効果を有することを示す。ここで、p<0.05であった。
【0084】
比較例2~4と比較して、実施例1~3は、水分補給(持続、即時)での効果がより顕著であり、本発明に係る組成物の成分がより合理的であり、各成分が不可欠であり、互いに協働して顕著な相乗効果を生じたことを示す。
【0085】
比較例5と比較して、実施例1~3は、水分補給(持続、即時)での効果がより顕著であり、有效成分含有量が同じである場合、本発明に係る組成物の効果がより優れており、本発明に係る組成物の配合比率が適当であることを示す。
【0086】
各試料のうち、実施例3の効果が最も顕著であり、その配合比率及び濃度が最も適切であり、得られた試料の効果は他のいずれかの群と著しく異なり、p<0.05であった。
【0087】
3)皮膚のバリア修復効果(TEWL値)
【0088】
試験機械:ドイツのCK社の多機能スキンテスター、モデル、プローブモデルTewameter TM300
【0089】
試験原理:FICKフィックの拡散法則:dm/dt=D.A.dp/dxに基づいた。2セットの温度と湿度センサーを使用して、表皮近くの(約1cm以内)異なる輝点で角質層の水分喪失によって形成された水蒸気圧勾配を測定することにより、皮膚から放出される水分量を直接測定した。TEWL値は、皮膚バリアの良否の重要な指標であり、皮膚のTEWL値が低いほど、皮膚のバリア機能が向上し、逆に悪くなることを示す。
【0090】
試験環境:試験環境温度は22±1℃、湿度は50±5%、リアルタイム動的検出を行った。
【0091】
試験のボランティア:
年齢16~65歳の少なくとも30人の有効なボランティアであること(妊娠中または授乳中の女性を除く);
重い全身性疾患、免疫欠陥や自己免疫疾患がない人;
スキンケア化粧品に対する重度のアレルギーの病歴がない人;
過去1か月以内にホルモン剤または免疫抑制剤を使用しなかった人;
他の臨床試験に参加していない人;
規則に従って被試薬を使用し、かつ全て履歴情報を揃っていること、
全てのボランティアは試験前にインフォームドコンセントに記入する必要があること。
【0092】
試験の手順:
【0093】
試験前の準備:
2~3日前から、被検位置にいずれかの製品を(化粧品や外用薬)使用してはいけないこと;
実験の前に、試験者が両手の前腕の内側を洗浄し、自然に風乾することに同意する必要があること;
洗浄後、試験者の両手の前腕の内側に試験領域のマークを付くこと;
正式な試験の前に、試験者を、基準を満たす部屋に少なくとも30分間静かに座り、飲水禁止し、前腕を露出させて測定状態になり、リラックスさせること。
【0094】
試験のプロセス:実験では左右腕の内側に3×3cm2の試験領域をマークした。なお、同じ腕に複数の領域を1cmの間隔でマークすることができる。試験製品とブランク対照を左右の腕にランダムに配置した。プローブTewameter TM300を使用して試験領域と対照領域における皮膚水分喪失量を測定した。各領域は、15回並行して測定した。まず、各試験領域のブランク値を測定し、その後、試料を0.072mlの試料/cm2の用量でマスククロスに注入し、試験領域に20分間使用した。20分間後でマスククロスを外し、10分間後でその領域の皮膚水分喪失含有量を測定し、これは、30分時刻での皮膚の水分喪失量であった。その後、試験領域とブランク対照領域における皮膚水分喪失量を1時と2時の時刻でそれぞれ測定した。なお。同じボランティアに関する測定は、同じの測定スタッフによって行われた。
【0095】
長時間のバリア修復試験では、試験者は上記の試験方法に従って毎日で同じ領域に自分で試験試料を塗布し、14日目と28日目に試験試料を塗布せずに、皮膚の水分喪失量TEWLを測定した。
【0096】
試験データ:実験の計画に従って、各期間の皮膚水分喪失量を測定し、各時点での皮膚水分喪失量の減少量を計算した。皮膚水分喪失量の減少量が大きいほど、皮膚バリア修復の効果が良くなる。
【数2】
【0097】
実験結果:
3.1)即時のバリア修復の効果
【0098】
【0099】
結果:皮膚水分喪失量の減少量の観点から、対照試料-1は、基礎処方であり、一定の皮膚水分喪失量減少效果を有し、皮膚の水分喪失量の減少が30分時刻で4.62%であり、本発明の試料は、皮膚の水分喪失量の減少量が30分時刻で10.41%に達し、皮膚の水分喪失量を大幅に減少し、皮膚バリア修復の效果を示した、ことが分かった。
【0100】
3.2)持続のバリア修復の効果
【0101】
【0102】
結果:持続の皮膚水分喪失量の減少量の結果の観点から、実例試料-1を28日間続いて使用すると、皮膚の水分喪失量の減少量が16.64%に達し、つまり、皮膚の水分喪失量が継続的に減少し、皮膚のバリア機能が効果的に修復されたことを示した。
【0103】
比較例1と比較して、実施例1~3は保湿效果(持続、即時)を著しく改善することができ、本発明に係る組成物が保湿の(持続、即時)能力で有意な効果を有することを示す。p<0.05であった。
【0104】
比較例2~4と比較して、実施例1~3は保湿(持続、即時)での效果がより顕著であり、本発明に係る組成物の成分がより合理的であり、各成分が不可欠であり、互いに協働して顕著な相乗効果を生じたことを示す。
【0105】
比較例5と比較して、実施例1~3は保湿(持続、即時)での效果がより顕著であり、有效成分含有量が同じである場合、本発明に係る組成物の効果がより優れており、本発明に係る組成物の配合比率が適当であることを示す。
【0106】
各試料のうち、実施例3の効果が最も顕著であった。その配合比率及び濃度が最も適切であり、得られた試料の効果が他のいずれかの群と著しく異なることを示す。ここで、p<0.05であった。
【0107】
このように、該生体リズム調節組成物は、皮膚細胞のエネルギーを132.24%効果的に増加させることができ、細胞のエネルギーが増加した後、皮膚のバリアが効果的に改善され、28日間の使用後、皮膚の水分含有量は17.27%増加し、皮膚の水分喪失量は16.64%減少した。
【0108】
以上の記載は本発明の好適な実施形態に過ぎなく、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、若干の改善および修正を行うことも可能であり、これらの改善および修正も本発明の保護範囲にに含まれたものとみなされることに留意する必要がある。