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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】電気化学素子構成部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1016 20160101AFI20230317BHJP
   C01B 32/198 20170101ALI20230317BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20230317BHJP
   C25B 13/04 20210101ALN20230317BHJP
   C25B 13/08 20060101ALN20230317BHJP
【FI】
H01M8/1016
C01B32/198
H01B1/06 A
C25B13/04 301
C25B13/08 301
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019030571
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020136169
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第11回 酸化グラフェンシンポジウム(発行所:酸化グラフェン研究会、発行日:平成30年12月21日) [刊行物等] 第11回 酸化グラフェンシンポジウム(開催場所:東北大学片平キャンパス さくらホール、開催日:平成30年12月21日)
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】速水 真也
(72)【発明者】
【氏名】郷田 隼
(72)【発明者】
【氏名】小野 博信
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-514371(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105295079(CN,A)
【文献】特開2018-106882(JP,A)
【文献】特開2016-169138(JP,A)
【文献】特開2013-258129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/10
C25B 13/00
C01B 32/00
H01B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体を含んで構成される電気化学素子構成部材であって、
該電気化学素子構成部材は、電解質又はセパレータであり、
該ヒドロキシルイオン伝導体は、アルカリ性条件下とすることでヒドロキシルイオン伝導体となり、酸性条件下とすることでプロトン伝導体となる酸素官能基を有することを特徴とする電気化学素子構成部材。
【請求項2】
前記炭素材料は、XPSにより測定されるC1sスペクトルにおけるC-O-C結合のピーク強度に対するC-OH結合のピーク強度の比が0.8以上である酸化グラフェンであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子構成部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気化学素子構成部材を用いて構成されることを特徴とする電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学素子構成部材に関する。より詳しくは、燃料電池、アルカリ水電解装置等の電気化学素子の電解質又はセパレータとして用いられる電気化学素子構成部材及び電気化学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー分野において、化石燃料に依存しない高効率なエネルギーデバイスである燃料電池の重要性が急速に高まっており、また、エネルギー貯蔵技術等において、アルカリ水電解装置が注目されており、このような燃料電池、アルカリ水電解装置等の電気化学素子が種々開発・改良されている。電気化学素子を構成する部材である電解質又はセパレータについても、種々の開発・改良がなされている。
【0003】
ところで、二次元ナノシートは、その異方性により高速なイオン伝導が期待できるところ、そのイオン伝導の研究として、酸化グラフェン(GO)、バーミキュライトのプロトン伝導が報告されている(例えば、非特許文献1、2参照。)。また、層状複水酸化物のヒドロキシルイオン伝導が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。これらは、例えば燃料電池の固体電解質としての利用が期待され、既存の高価な固体電解質に代わる新たな材料であるとして世界中から注目されている。
【0004】
なお、グラファイトを酸化し、剥離することで得られるGOは、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基といった豊富な酸素官能基によって修飾された二次元ナノシート構造を有する。この酸素官能基の存在により、GOは親水性、電気絶縁性、プロトン伝導性等グラフェンとは異なる物性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2014/119665号
【非特許文献】
【0006】
【文献】「ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー(Journal of the American chemical society)」、2013年、第135巻、p8097
【文献】「ネイチャー コミュニケーションズ(Nature Communications)」、2015年、第6巻、p7602
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のとおり、GO等の二次元ナノシートのイオン伝導について報告例があるが、燃料電池(例えば、アルカリ型燃料電池)やアルカリ水電解装置等の電気化学素子の電解質又はセパレータとして用いるうえで、ヒドロキシルイオン伝導性を好適に発現させるための工夫の余地があった。なお、GOをヒドロキシルイオン伝導体として利用できる報告はこれまでに無かった。
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、燃料電池やアルカリ水電解装置等の電気化学素子の電解質又はセパレータにおいてヒドロキシルイオン伝導性を好適に発現させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、燃料電池やアルカリ水電解装置等の電気化学素子の電解質又はセパレータにおいてヒドロキシルイオン伝導性を好適に発現させる方法について種々検討したところ、炭素材料からなるプロトン伝導体をアルカリ性条件下とすると、炭素材料がヒドロキシルイオン伝導性を発現し、ヒドロキシルイオン伝導体となることを見出した。すなわち、本発明者は、このようにして得られたヒドロキシルイオン伝導体は、電気化学素子の電解質又はセパレータとして非常に好適に使用できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち本発明は、炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体を含んで構成される電気化学素子構成部材であって、該電気化学素子構成部材は、電解質又はセパレータであることを特徴とする電気化学素子構成部材である。
本発明はまた、本発明の電気化学素子構成部材を用いて構成されることを特徴とする電気化学素子である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気化学素子構成部材は、上述の構成よりなり、炭素材料によるヒドロキシルイオン伝導性を発現することができ、電気化学素子の電解質又はセパレータとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る酸化グラフェンのXPS測定結果(C1s領域のスペクトル)を示した図である。
図2】pHに対して、XPSにより測定されるC1sスペクトルにおけるC-O-C結合のピーク強度比及びC-OH結合のピーク強度比を示すグラフである。
図3】pH3のGO水分散液から得られたGO膜の両側に湿潤Oガス・乾燥Oガスを流し、膜両面間の起電力(electromotive force;EMF)を測定する様子を示す概略図である。
図4】pH11のGO水分散液から得られたGO膜の両側に湿潤Oガス・乾燥Oガスを流し、膜両面間の起電力を測定する様子を示す概略図である。
図5】市販のプロトン伝導体(Nafion〔登録商標〕〔デュポン社製〕)、陰イオン交換膜(AHA)(ネオセプタ〔株式会社アストム製〕)、pH3のGO水分散液から得られたGO膜(GO)、pH11のGO水分散液から得られたGO膜(GO-pH=11)における起電力の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(電気化学素子構成部材)
本発明の電気化学素子構成部材は、炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体を含んで構成される。
本明細書中、炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体は、そのヒドロキシルイオン伝導性が1×10-5S/cm以上であるものを言う。該ヒドロキシルイオン伝導性は、5×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。
上記ヒドロキシルイオン伝導性は、その上限値は特に限定されないが、通常、1×10S/cm以下である。
上記ヒドロキシルイオン伝導性は、インピーダンス/ゲイン分析器を用いて、1~1MHz程度の周波数範囲で交流インピーダンスを測定し、以下の式からσとして求めることができる。
σ=d/(R×T×L)
ここでは、Tはヒドロキシルイオン伝導体の厚さ、dは電極間の距離、Rはヒドロキシルイオン伝導由来の抵抗値、Lはヒドロキシルイオン伝導体の長さである。
【0014】
上記炭素材料は、酸素(O)をもつ酸素官能基を有することが好ましい。酸素官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、これら基からプロトンが解離した構造の基、エポキシ基等が挙げられるが、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基からプロトンが解離した構造(-O)等が好ましい。
炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体は、例えばGO水分散液のpHを高める等、炭素材料からなるプロトン伝導体をアルカリ性条件下とすることで得られる。
GO等の炭素材料からなるプロトン伝導体は、酸性条件下(pHの低い条件下)において酸素官能基としてエポキシ基が主となっている構造のものであり、この構造がプロトンホッピングを可能にし、プロトン伝導性が顕著なものとなる。ここで、GO等の炭素材料からなるプロトン伝導体を所定のアルカリ性条件下とする(pHを高める)と、エポキシ基がOHにより開環し、酸素官能基としてヒドロキシル基が主な構造のヒドロキシルイオン伝導体となる。この構造がヒドロキシルイオンホッピングを可能にし、ヒドロキシルイオン伝導性が顕著なものとなると考えられる。
上記炭素材料は、更に、窒素含有基、硫黄含有基、これら基からプロトンが解離した構造の基等を有していてもよい。
【0015】
上記ヒドロキシルイオン伝導体を構成する炭素材料は、XPS分析で検出される全元素の総和100原子%中、酸素量が10原子%以上であることが好ましく、15原子%以上であることがより好ましく、20原子%以上であることが更に好ましく、25原子%以上であることが特に好ましい。また、該酸素量が60原子%以下であることが好ましく、50原子%以下であることがより好ましく、40原子%以下であることが更に好ましく、35原子%以下であることが特に好ましく、30原子%以下であることが最も好ましい。
XPS分析は、実施例に記載される方法により測定されるものである。
【0016】
上記炭素材料は、例えばグラフェン骨格を有するものであることが好ましい。炭素材料として異方性のあるグラフェン骨格を有するものを用いることで、ヒドロキシルイオン伝導性がより優れるものとなり、本発明の電気化学素子構成部材が電気化学素子の電解質又はセパレータとしてより好適なものとなる。
上記グラフェン骨格を有する炭素材料は、sp結合で結合した炭素(C)を有するとともに、該炭素がカーボンナノチューブ(CNT)のように筒形状を構成するように立体的に並ぶのではなく、平面的・二次元的に並んだものである限り特に制限されないが、上述したように、酸素(O)と結合した炭素を有するものであることが好ましい。言い換えれば、本発明の電気化学素子構成部材における上記炭素材料は、酸化黒鉛であることが好ましい。より好ましくは、グラフェンの炭素に酸素が結合した酸化グラフェン(本明細書中、GOとも言う。)である。
なお、一般的にグラフェンとは、sp結合で結合した炭素原子が平面的に並んだ1層からなるシートをいい、グラフェンシートが多数積層されたものはグラファイトといわれるが、本発明におけるGOには、1層のみからなるシートのみではなく、2~100層程度積層した構造を有するものも含まれる。
【0017】
このような積層した構造を有するGOは、例えば、グラファイトを公知の酸化剤で処理して得ることができる。例えば、グラファイトを酸溶媒中で強力な酸化剤で処理することで積層した構造を有するGOを合成する方法が一般的であり、酸化剤として硫酸と過マンガン酸カリウムを用いるHummers法を使用できる。またその他の方法として、硝酸と塩素酸カリウムを用いるBrodie法、酸化剤として硫酸、硝酸と塩素酸カリウムを用いるStaudenmaier法等を使用できる。Hummers法における酸化方法を採用した、黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する方法であってもよい。
また上述したGO水分散液は、酸化剤で処理した直後の反応組成物であってもよく、その後の濃縮工程で反応組成物から硫酸をある程度除去したり、酸化反応停止(クエンチ)工程で反応組成物に水又は過酸化水素水を添加したりして得られる液であってもよい。
例えば、GO水分散液は、酸化反応停止工程で反応組成物に水又は過酸化水素水を添加して得られる液であることが好ましく、上記反応組成物に水又は過酸化水素水を添加した液中のGOを、更に、ろ過、デカンテーション、遠心分離、分液抽出、水洗等の手法により精製し、その後、水を添加してGO水分散液としたものとすることができる。精製は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。また、加圧条件下、常圧条件下、減圧条件下のいずれで行ってもよい。
なお、GO水分散液は、GOの分散媒として水を含有していれば良く、その他に水と混和する有機分散媒を更に含有していてもよいが、有機分散媒を含有しないことが好ましい。
【0018】
中でも、本発明の電気化学素子構成部材において、上記炭素材料(酸素官能基を有する炭素材料)は、XPSにより測定されるC1sスペクトルにおけるC-O-C結合のピーク強度に対するC-OH結合のピーク強度の比が0.8以上である酸化グラフェンであることが好ましい。
該ピーク強度の比は、0.9以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましい。該ピーク強度の比は、その上限値は特に限定されないが、通常は10以下である。
XPSにより測定されるC1sスペクトルは、実施例に記載される方法により測定されるものである。
【0019】
本発明の電気化学素子構成部材は、電気化学素子の電解液を構成する液状のものであってもよいが、通常、固体の膜形状である。本発明の電気化学素子構成部材が固体の膜形状である場合、その平均膜厚は、10μm~1mmであることが好ましい。10μm以上であると耐久性をより優れたものとすることができる。また、1mm以下であるとコスト面から有利となる上、ヒドロキシルイオンの透過能力も充分に優れる。該平均膜厚は、20μm以上であることがより好ましい。また、該平均膜厚は、500μm以下であることがより好ましい。
上記平均膜厚は、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて任意の10点を測定した平均値である。
【0020】
本発明の電気化学素子構成部材は、その製造方法は特に限定されないが、例えば固体の膜形状のものを得る場合は、GO等の炭素材料からなるプロトン伝導体を後述するように塩基処理してヒドロキシルイオン伝導体を得た後、その水分散液を、メンブレンフィルターを用いて製膜したり、剥離基材上に塗布し、乾燥させて製膜したりすることで得ることができる。
【0021】
本発明の電気化学素子構成部材は、ヒドロキシルイオン伝導性を好適に発現することができ、燃料電池等の電池、コンデンサ、キャパシタ、アルカリ水電解装置等の電気化学素子において電解質又はセパレータとして好適に用いることができる。本発明の電気化学素子構成部材は、中でも、例えばアルカリ型燃料電池(AEMFC)の固体電解質として特に好適に用いることができる。
【0022】
(電気化学素子構成部材の製造方法)
本発明の電気化学素子構成部材に含まれるヒドロキシルイオン伝導体は、炭素材料からなるプロトン伝導体をアルカリ性条件下としてヒドロキシルイオン伝導体とするスイッチング工程により得ることができる。
本明細書中、炭素材料からなるプロトン伝導体は、そのプロトン伝導性が1×10-5S/cm以上であるものを言う。該プロトン伝導性は、5×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。
上記プロトン伝導性は、その上限値は特に限定されないが、通常、1×10S/cm以下である。
上記プロトン伝導性は、インピーダンス/ゲイン分析器を用いて、1~1MHz程度の周波数範囲で交流インピーダンスを測定し、以下の式からσとして求めることができる。
σ=d/(R×T×L)
ここでは、Tはプロトン伝導体の厚さ、dは電極間の距離、Rはプロトン伝導由来の抵抗値、Lはプロトン伝導体の長さである。
【0023】
上記スイッチング工程の原料として、例えば、炭素材料からなるプロトン伝導体の水分散液を用いることが好ましい。この場合、例えば単に常温・常圧下で水分散液のpHを調整することで、スイッチング工程を容易に行うことができる。
この場合、炭素材料からなるプロトン伝導体の水分散液のpHを還元剤を用いて高めることで、エポキシ基がOHにより開環する反応が進んで酸素官能基としてヒドロキシル基が主な構造のヒドロキシルイオン伝導体を得ることができる。
この場合、上記pHは、9以上とすることが好ましく、10以上とすることがより好ましく、11以上とすることが更に好ましい。
【0024】
中でも、上記スイッチング工程は、炭素材料からなるプロトン伝導体の水分散液にアンモニア及び/又はアミンを添加しておこなうことが好ましい。
炭素材料からなるプロトン伝導体の水分散液にアンモニア及び/又はアミンを添加することで、炭素材料の凝集を充分に抑えつつ、プロトン伝導体をヒドロキシルイオン伝導体に変換することができる。
この場合、温度条件は、特に限定されないが、例えば5~80℃の範囲内とすることが好ましく、10~50℃の範囲内とすることがより好ましい。また、圧力条件も特に限定されず、加圧条件、常圧条件、減圧条件のいずれであってもよい。
【0025】
上記アンモニアは、気体状でそのまま添加してもよいし、水溶液(アンモニア水)としたうえで上記水分散液に添加してもよい。
上記アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン等の第一級アミン;ジメチルアミン等の第二級アミン;トリメチルアミン等の第三級アミンが挙げられる。アミンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記アミンも、気体状でそのまま用いてもよいし、水溶液として用いてもよい。
中でも、アンモニアを添加することが好ましく、アンモニアの水溶液を添加することがより好ましい。
【0026】
アンモニア及び/又はアミンの添加量は、炭素材料分散体のpHを調製できる量であれば特に限定されない。
なお、上記添加量は、アンモニア及びアミンを併用する場合は、合計の添加量である。
【0027】
なお、炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体を酸性条件下とすると、プロトン伝導体に戻すことができ、ヒドロキシルイオン伝導体-プロトン伝導体間をスイッチングすることができる(イオン伝導特性を正負にスイッチングできる)。
すなわち、炭素材料からなるプロトン伝導体をアルカリ性条件下としてヒドロキシルイオン伝導体としたり、炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体を酸性性条件下としてプロトン伝導体としたりするスイッチング工程により、ヒドロキシルイオン伝導体-プロトン伝導体間を可逆的にスイッチングすることができる。
【0028】
炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体を酸性条件下としてプロトン伝導体とする場合、炭素材料からなるヒドロキシルイオンの水分散液のpHを、酸を用いて下げることで、ヒドロキシル基がエポキシ化する反応を進めて酸素官能基としてエポキシ基が主な構造のプロトン伝導体を得ることができる。
この場合、pHは、7以下とすることが好ましく、6以下とすることがより好ましく、5以下とすることが更に好ましい。
【0029】
酸としては、特に限定されず、従来公知のものを使用できる。
酸の添加量、温度条件、圧力条件は、上述した炭素材料からなるプロトン伝導体の水分散液をアルカリ性条件下としてヒドロキシルイオン伝導体とする場合と同様である。
【0030】
上記スイッチング工程において、炭素材料からなるヒドロキシイオン伝導体又はプロトン伝導体の水分散液を用いない場合でも、必要に応じて、炭素材料を適宜分散させてその比表面積を高めたり、加熱したりしたうえで、その周囲を酸性条件下又はアルカリ性条件下とすることで、適宜スイッチング工程を行うことができる。
【0031】
上述したように、本発明の電気化学素子構成部材は、上述した炭素材料からなるヒドロキシルイオン伝導体を含んで構成される電気化学素子構成部材であって、該電気化学素子構成部材は、電解質又はセパレータである。本発明の電気化学素子構成部材は、例えばアルカリ型燃料電池の固体電解質として好適に用いることができる。
また、本発明の電気化学素子構成部材は、好ましくは上述した製法により得られるヒドロキシルイオン伝導体を含んで構成される。
【0032】
(電気化学素子)
本発明はまた、本発明の電気化学素子構成部材を用いて構成される電気化学素子でもある。
本発明の電気化学素子としては、上述したように燃料電池等の電池、コンデンサ、キャパシタ、アルカリ水電解装置等が挙げられるが、中でも例えば燃料電池、アルカリ水電解装置が好ましい。
本発明の電気化学素子は、本発明の電気化学素子構成部材である電解質及び/又はセパレータを用いて構成されるとともに、通常、正極及び負極を含んで構成され、必要に応じて更に本発明の電気化学素子構成部材ではない電解質、セパレータを含んでいてもよい。
以下では、本発明の電気化学素子を構成する正極、負極、本発明の電気化学素子構成部材ではない電解質、セパレータについて順に説明する。
【0033】
上記正極の活物質としては、電気化学素子の正極活物質として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、酸素;ニッケル;オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト含有水酸化ニッケル等のニッケル含有化合物;二酸化マンガン等のマンガン含有化合物;酸化銀;コバルト酸リチウム等のリチウム含有化合物;鉄含有化合物等が挙げられる。
本発明の電気化学素子が燃料電池である場合は、正極活物質が酸素であることが好ましい。
本発明の電気化学素子がアルカリ水電解装置である場合は、正極活物質がニッケル又はニッケル含有化合物酸素であることが好ましい。
【0034】
本発明の電気化学素子における上記負極の活物質としては、炭素・リチウム・ナトリウム・マグネシウム・亜鉛・カドミウム・錫・シリコン含有材料等、電池の負極活物質として通常用いられるものを用いることができる。
また本発明の電気化学素子が燃料電池である場合は、上記負極の活物質としては、燃料電池の負極活物質として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アンモニア等が挙げられる。
本発明の電気化学素子がアルカリ水電解装置である場合は、負極活物質がニッケル又はニッケル含有化合物酸素であることが好ましい。
【0035】
上記正極及び/又は負極は、更に、バインダーを含んでいてもよい。
上記バインダーは、例えば、炭化水素部位含有ポリマー;芳香族基含有ポリマー;エーテル基含有ポリマー;水酸基含有ポリマー;アミド基含有ポリマー;イミド基含有ポリマー;カルボキシル基含有ポリマー;カルボン酸塩含有ポリマー;ハロゲン含有ポリマー;エポキシ樹脂等のエポキシ基が開環することにより結合したポリマー;スルホン酸塩部位含有ポリマー;第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性重合体;天然ゴム;人工ゴム;糖類;アミン基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー;低分子量界面活性剤等が挙げられる。
【0036】
本発明の電気化学素子における上記正極及び/又は負極中の酸素以外の活物質と、バインダーとの質量割合は、100:1~1:100であることが好ましく、90:1~1:1であることがより好ましく、80:1~10:1であることがより好ましく、50:1~20:1であることが特に好ましい。
【0037】
上記正極及び/又は負極は、更に、導電助剤を含んでいてもよい。該導電助剤としては、例えば、導電性カーボン、導電性セラミックや、亜鉛・亜鉛末・亜鉛合金・(アルカリ)乾電池や空気電池に使用される亜鉛(以下、纏めて金属亜鉛とも称する)等を用いることができる。導電性カーボンとしては、黒鉛、グラッシーカーボン、アモルファス炭素、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、炭素繊維、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、バルカン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。
【0038】
本発明の電気化学素子における正極及び/又は負極は、通常、電極を構成する上記各成分を混合して調製した電池用電極組成物を用いて集電体上に活物質層を形成して得られるものである。各成分の混合には、ミキサー、ブレンダー、ニーダー、ビーズミル、レディミル、ボールミル等を使用することができる。
また、混合した後、粒子を所望の粒子径に揃えるために、ふるいにかける等の操作を行ってもよい。
【0039】
上記集電体としては、電気化学素子に集電体や容器として使用される材料等が挙げられ、例えば、銅箔、電解銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、ニッケルメッシュ、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、鋼板、パンチング鋼板、銀等が挙げられる。これらは、Ni、Zn、Sn、Pb、Hg、Bi、In又はTl等を更に添加したり、Ni、Zn、Sn、Pb、Hg、Bi、In又はTl等によりメッキしたりしたものであってもよい。
【0040】
本発明の電気化学素子において、本発明の電気化学素子構成部材ではない電解質を用いる場合、該電解質は、電気化学素子の電解質として通常用いられるものであれば特に制限されず、例えば、水含有電解液、有機溶剤系電解液、固体(ゲル)電解質等が挙げられる。水含有電解液とは、溶媒として水のみを使用する電解液(水系電解液)や、水に有機溶剤を加えた液を溶媒として使用する電解液を指す。
【0041】
上記水系電解液としては、例えば、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等のアルカリ性電解液や、硫酸亜鉛水溶液、硝酸亜鉛水溶液、リン酸亜鉛水溶液、酢酸亜鉛水溶液等が挙げられる。上記水系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。
また、上記水含有電解液は、有機溶剤系電解液に用いられる有機溶剤を含んでいてもよい。該有機溶剤としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、イオン性液体、フッ素含有カーボネート類、フッ素含有エーテル類、ポリエチレングリコール類、フッ素含有ポリエチレングリコール類等が挙げられる。上記有機溶剤系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。上記有機溶剤系電解液の電解質としては、特に制限はないが、LiPF、LiBF、LiB(CN)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)等が好ましい。
【0042】
本発明の電気化学素子において、本発明の電気化学素子構成部材ではないセパレータを用いる場合、該セパレータは、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、環状ポリオレフィン系ポリマー等のポリオレフィン系ポリマー;ビニロン等のポリビニルアルコール系ポリマー;脂肪族ポリアミド;芳香族ポリアミド;スチレン系ポリマー;ポリエステル系ポリマー;ポリフェニレンサルファイド系ポリマー等の樹脂材料により構成された不織布、織布、微多孔質フィルム等が好適なものとして挙げられる。
【実施例
【0043】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0044】
<XPS測定(光電子分光測定)>
光電子分光装置(Theta Probe、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用いて測定した。C1sのナロースキャンスペクトルにおけるピーク分離は、バックグラウンド補正をShirley法で行い、フィッティング関数としてGauss-Lorentz関数を用いたピークフィットにより行った。
またピーク分離は、C=C、CH、C-C、C-OH、C-O-C、C=O、O=C-Oの各ピークにおいて、それぞれ284.6±0.05eV、285.0±0.05eV、285.5±0.05eV、286.4±0.05eV、287.2±0.05eV、287.7±0.05eV、288.8±0.05eVを結合エネルギー範囲とした。また、C=C、CH、C-C、C-OH、C-O-C、C=Oの半値幅を1.1eV、O=C-Oの半値幅を1.8eVとした。
【0045】
(調製例1)
酸化グラフェン水分散体であればどのような製法、濃度等でも本発明の効果は発揮されるが、酸化グラフェンの例としては以下の手順で作製した。
濃硫酸(試薬特級、和光純薬工業製)50質量部と天然黒鉛(鱗片状黒鉛、平均粒径:25μm、製品名:Z-25、伊藤黒鉛工業社製)1.00質量部とを耐食性反応器に加えて混合液を得た。混合液を撹拌しながら過マンガン酸カリウム(試薬特級、和光純薬工業社製)3質量部を混合液の中へ徐々に加えた。過マンガン酸カリウムを加えた後、混合液を35℃まで昇温させ、混合液の温度を35℃に保って2時間熟成を行い、生成物のスラリー(酸化黒鉛含有スラリー)を得た。次に、80質量部のイオン交換水が入った別の容器にイオン交換水を撹拌しながら20質量部のスラリーを加え30%過酸化水素水(試薬特級、和光純薬工業製)1.0質量部をさらに加えた。その容器の内容物を30分間撹拌し、撹拌を停止した。撹拌を停止した後、容器の内容物を一晩静置して沈殿層と上澄みとに分離させた。その後、容器の内容物の上澄みを取り出した。その後、沈殿層を洗浄するために取り出した上澄みと同じ容積のイオン交換水を容器に加え、容器の内容物を30分間撹拌し、容器の内容物の撹拌を停止した後5時間以上静置して、再度上澄みを取り出した。このような、イオン交換水の追加、内容物の撹拌、及び上澄みの取り出しからなる作業を上澄みのpHが3以上になるまで繰り返した。その後、得られた沈殿層にイオン交換水を適量加えた後、ホモジナイザーを用いて沈殿層に含まれる酸化グラフェンを分散させた。次に、イオン交換水をさらに加えて内容物を希釈し、酸化グラフェン水分散体(GO分散体)を得た。得られた酸化グラフェン水分散体における酸化グラフェンの濃度は1質量%であった。
【0046】
(合成例1)ヒドロキシイオン伝導体
上記GO水分散体を用い、和光純薬製25%アンモニア水でGO水分散体のpHをpH11の塩基性条件に調整した。
【0047】
(参考合成例1)プロトン伝導体
上記GO水分散体を用い、和光純薬製塩酸でGO水分散体のpHをpH3の酸性条件に調整した。
【0048】
(評価例)
上記合成例1、参考合成例1で得られた伝導体を用いて以下の要領で製膜し、実施例1、参考例1にかかるセパレータを調製し、電池を作成して伝導特性を評価した。
得られた伝導体分散液をメンブレンフィルター(メルクミリポア社製、穴径0.45μm)と減圧濾過用フィルターホルダー(ADVANTEC社製)を用いて製膜した。任意の膜厚やサイズは上記分散液の濃度、量を調整することで適宜調整可能である。
伝導特性評価のため図3に示す概略図のように水蒸気濃淡電池セルを作成し、膜両面間の起電力(electromotive force,EMF)を測定した。
測定前準備として膜両側にそれぞれ湿潤Oガス・乾燥Oガス(1L/min)を1.5時間流した。
その後、ガスを流しながら電気化学測定装置(デュアル電気化学アナライザー ALS7002E ビー・エー・エス株式会社製)を用い、開回路電位対時間測定を行った。この時、乾燥Oガス側のステンレスメッシュを作用電極、湿潤Oガス側のステンレスメッシュを参照電極、対極とした。
得られた膜両面間の起電力の符号から伝導特性評価した。
【0049】
図1は、本発明に係る酸化グラフェンのXPS測定結果(C1s領域のスペクトル)を示した図である。(XPS測定)より酸素官能基の変化を調べたところ、図1に見られるようにpH11のGO水分散液から得られたGOではpH未処理のGO(pH3のGO水分散液から得られたGO)と比べ、多くのエポキシ基が開環しヒドロキシル基の割合が増加していた。
なお、pH3のGO水分散液から得られたGO、pH11のGO水分散液から得られたGOそれぞれの酸素原子割合(原子%)は、下記表1の通りである。
【0050】
【表1】
【0051】
図2は、pHに対して、XPSにより測定されるC1sスペクトルにおけるC-O-C結合のピーク強度比及びC-OH結合のピーク強度比を示すグラフである。GO水分散液のpHを高めることでエポキシ基がヒドロキシ基に代わることがわかる。
【0052】
図3は、pH3のGO水分散液から得られたGO膜の両側に湿潤Oガス・乾燥Oガスを流し、膜両面間の起電力(electromotive force,EMF)を測定する様子を示す概略図である。
図3に示される場合は、以下の反応が生じる。
Wet side:2HO→O+4H+4e=-1.229V
Dry side:O+4H+4e→2H =1.229V
図3のWet side(Wet Oが供給される、左側)を基準とすると、正の起電力が測定された。この起電力の符号は、膜として一般的なプロトン伝導体(Nafion〔デュポン社製〕)を用いた場合と同じ符号である。
【0053】
図4は、pH11のGO水分散液から得られたGO膜の両側に湿潤Oガス・乾燥Oガスを流し、膜両面間の起電力を測定する様子を示す概略図である。
図4に示される場合は、以下の反応が生じる。
Wet side:2HO+O+4e→4OH=0.401V
Dry side:4OH→2HO+O+4e=-0.401V
図4のWet side(Wet Oが供給される、左側)を基準とすると、負の起電力が測定された。この起電力の符号は、膜として一般的なアニオン伝導膜(AHA)を用いた場合と同じ符号である。
【0054】
上記の反応の違いから、起電力の符号はカチオン伝導体では正側、アニオン伝導体では負側と異なる。
図5は、市販のプロトン伝導体(Nafion〔デュポン社製〕)、陰イオン交換膜(AHA)(ネオセプタ〔株式会社アストム製〕)、pH3のGO水分散液から得られたGO膜(GO)、pH11のGO水分散液から得られたGO膜(GO-pH=11)における起電力の測定結果を示すグラフである。
図5から、プロトン伝導体のNafionやpH3のGO水分散液から得られたGOは上記起電力の符号が正であり、ヒドロキシルイオン伝導体のAHAやpH11のGO水分散液から得られたGOは該起電力の符号が負であることが分かった。すなわち、pH11のGO水分散液から得られたGOは、起電力の符号が負であることからヒドロキシルイオン伝導体であることがわかる。
【0055】
以上の結果から、pH3のGO水分散液から得られたGOはプロトンが伝導するプロトン伝導体であるが、pH11のGO水分散液から得られたGOはヒドロキシルイオンが伝導するヒドロキシイオン伝導体であり、実施例1のセパレータはヒドロキシルイオン伝導性を示すことがわかった。
【符号の説明】
【0056】
1:GO膜
3:ステンレスメッシュ
5:ガラスセル
図1
図2
図3
図4
図5