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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】舗道補修工法と舗道補修用の装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/12 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
E01C23/12 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019073815
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020153213
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】305006048
【氏名又は名称】樋口 幸弘
(73)【特許権者】
【識別番号】000235163
【氏名又は名称】範多機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】畠中 徹
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-069957(JP,A)
【文献】特開2000-002003(JP,A)
【文献】特開2005-254156(JP,A)
【文献】特開2014-088713(JP,A)
【文献】特開2005-233548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装路面の修復工事に際して、舗装面を破砕し、破砕物を吸引除去する舗道補修工法であって、ハウジングとケーシングの2重構造の中でウォータージェットにて舗装体を破砕して同時にハウジング周壁に設けた吸引口からガラを吸引すると共に、
前記ハウジングの下部には筒形ゴムを設け、前記筒形ゴムは上方から加圧される構成とされており、該ハウジングの外側には、ケーシングを前記ハウジングに少なくとも上下方向に相対的に変位可能に設け、且つ、該ケーシングの下部には鉄製連結物が、膜状に垂下されており、更に、該鉄製連結物のその外側に位置されて、前記ケーシング下部にゴム板が設けられ、更に、ブラシが垂下状態で設けられ、前記筒形ゴム、鉄製連結物、及びゴム板とブラシとでハウジング内の破砕物の外方への放出を阻止するようにしてあることを特徴とする舗道補修工法。
【請求項2】
請求項1に記載の舗道補修工法に用いられる舗道補修用の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗道の補修の為に行う、舗道表面のはつり作業にかかわる舗道補修工法と、その舗道補修用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
古くなった舗道、傷んだ舗道をはつり、或いは新たな規格の舗装に適合させるために新たに表面を補修する必要が生じるのであるが、この際には、新たな舗装作業の前に、舗道を一旦はつり、その残骸を除去してやる必要がある。
【0003】
こうした補修工事は、所謂はつり機と呼ばれる装置が用いられ、路面の表面は、通常、ウォータージェットを吹き付けて、所要の深さ分だけ剥離、破砕し、しかる後、破砕物を吸引ダクトを用いて吸引し、現場から除去するのである。
通常、専用のバキューム車が用いられるが、従来では、高圧水噴射の後に吸引ダクトを稼働させる方法が採られているが、作業効率が悪いために剥離、破砕と吸引を同時進行できないものかと工夫がなされてきた。こうした技術としては、次の文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-323402
【文献】特開2004-299042
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術においては、ようやく剥離と吸引除去とを同時進行でおこなう方法が採られるようになったが、同時進行であると、高圧噴射で剥離した破砕物が装置の外側に漏れ出てしまうおそれがあり、吸引作用を行うものの、破砕物と高圧噴射した水とを装置内で上手く吸引し難いという事態が生じていた。
【0006】
即ち、高圧噴射して路面表面を破砕した際に、水圧によって剥離した破砕物が装置と路面との間隙から装置外側に噴出されていまい、回収除去が上手く行かないという状態が発生していた。そのため、破砕物の外側への吹き出しをどのようにして阻止するか、また、どのようにして吸引を行うのがこのましいか、といった工夫が必要となっていた。
【0007】
本発明は、路面の破砕剥離において、破砕と同時進行で破砕物が外部に漏れだすことなく吸引除去することのできる工法と、装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、次の手段を講じた。
本発明にかかる舗道補修工法は、舗装路面の修復工事に際して、舗装面を破砕し、破砕物を吸引除去する舗道補修工法であって、ハウジングとケーシングの2重構造の中でウォータージェットにて舗装体を破砕して同時にハウジング周壁に設けた吸引口からガラを吸引する、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる舗道補修用の装置は、請求項1又は2に記載の工法に用いられる装置である。
即ち、具体構成を示せば、舗装路面の修復工事に際して、舗装面を高圧水で破砕し、破砕物を吸引除去する舗道補修用の装置であって、ハウジング内に縦軸芯の導管から下方に向けて分岐させた高圧水の噴射ノズルを縦軸心周りに回転できるように収容されており、該ハウジングの下端に筒形ゴムを垂下させた状態に設け、該筒形ゴムの舗道面に押圧させるように構成し、当該噴射ノズルによって噴射したウオータージェットで舗道面を所定の深さで粉砕し、同時に前記ハウジングの周壁に設けた吸引孔から吸引負圧を作用させて前記破砕物を吸引して機外に輸送し除去するようにした、という手段を講じている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の工法及び装置によれば、ハウジング内で噴射ノズルにより舗道面を所要の深さにはつり作業を行うに際して、ハウジングの下端に垂下させた筒形ゴムを舗道面に押し付けた状態でウオータージェットの噴射を行うので、はつりされた破砕物は、舗道面に押圧された筒形ゴムによって、外側に排出されるのを阻止され、ハウジング内にある状態で、ハウジングの周壁に設けた吸引孔から確実に吸引除去することができるのであり、破砕物の吸引除去を確実に行うことができる利点がある。
【0011】
そして、本発明において、前記ハウジングの外側には、ケーシングを前記ハウジングに対して少なくとも上下方向に相対的に変位可能に設け、該ケーシングの下端には、鉄製連結物が膜状に垂下されており、更に、該鉄製連結物と間隔を隔ててその外側にゴム板ブラシが垂下状態で設けられ、前記筒形ゴム、鉄製連結物とゴム板ブラシとでハウジング内の破砕物の外方への放出を阻止する手段を講じるのが好ましい。
このように構成した場合には、万一、前記筒形ゴムの下方の舗道面との間隙からは破砕物が外方に排出される事態が発生しようとしても、前記鉄製連結物、前記ブラシによって外方への排出を略完全に阻止することができ、当所の目的を確実に達成することができるのである。
本発明にかかるその他の利点は、以下に述べる実施例の記載から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の工法の実施状態を示す施工編成を示す平面図。
図2】本発明の工法と装置に用いられるはつり機の側面図。
図3】本発明に用いられはつり機の正面から見た外観図。
図4】本発明に用いられるはつり機の先端部の側面から見た断面図。
図5】本発明に用いられるはつり機の先端部の後方から見た断面図。
図6】本発明に用いられるはつり機の先端部のケーシング上昇状態を示す断面図。
図7】本発明に用いられるはつり機の先端部のケーシング下降状態を示す断面図。
図8】本発明に用いられるはつり機の先端部の作業状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0013】
本発明にかかる舗道補修工法は、図1に示すような施工編成によって実施される。
即ち、工事現場において、前方に超高圧水を発生させる機器を搭載したポンプ車1が配置され、その後方のはつり現場に、ウオータージェットを噴射するはつり機2を配置し、高圧水輸送ホースで連結している。後方には、特殊吸引車3が配置され、はつり機2で破砕した舗道の瓦礫を吸引除去する構成とされている。
【0014】
舗装路面の修復工事に際して、舗装面を高圧水で破砕し、破砕物を吸引除去する舗道補修工法であって、ハウジング内に縦軸芯の導管から下方に向けて分岐させた2本の高圧水の噴射ノズルを縦軸芯周りに回転できるように収容し、該ハウジングの下端に筒形ゴム(この実施例では半割タイヤ、以下、半割タイヤと呼称する)を垂下させて、破砕作業時には上方から加圧して該半割タイヤを舗道面に押圧させた状態で、当該噴射ノズルによって噴射した高圧水(ウオータージェット)で舗道面を所定の深さで粉砕し、同時に前記ハウジングの周壁に設けた吸引口から吸引負圧を作用させて前記破砕物を吸引して機外に輸送し除去する。
ここに言う半割タイヤとは、タイヤをその半径方向に切断して2分割したものである。
【0015】
この噴射ノズル装置4は、はつり機2の前部に設けた油圧シリンダー12によって、下方に向けて附勢され、前記半割タイヤ6の下側縁を路面に押圧できるように構成されている。
従って、前記ハウジング5は、所定のはつり深さに対応して下方に移動できるものであり、その際、前記半割タイヤ6の下縁が路面に接当されることになる。
そして、該ハウジング5の周部には、一つの吸引孔7が設けられており、この吸引孔7には、前記特殊吸引車3に繋がる吸引ダクトが連結されている。尚、図1においては、吸引ダクトも高圧水輸送ホースも線図で簡略に示している。
【0016】
従って、本発明の工法は、舗装路面の修復工事に際して、舗装面を高圧水で破砕し、破砕物を吸引除去する舗道補修工法であって、ハウジング内に縦軸芯の導管から下方に向けて分岐させた2本の高圧水の噴射ノズルを縦軸心周りに回転できるように収容し、該ハウジングの下端に半割タイヤを垂下させて、破砕作業時には上方から加圧して該半割タイヤを舗道面に押圧させた状態で、当該噴射ノズルによって噴射した高圧水で舗道面を所定の深さで粉砕し、同時に前記ハウジングの周壁に設けた吸引口から吸引負圧を作用させて前記破砕物を吸引して機外に輸送し除去するのである。
【0017】
図6乃至図8に示すように、前記ハウジング5の外側には、ケーシング8を前記ハウジング5に少なくとも前後方向、上下方向に相対的に変位可能に設け、該ケーシング8の下端には、鉄製連結物として鎖9が幕状に垂下されており、更に、該鎖9と間隔を隔ててその外側に位置されて、ゴム板11及びブラシ10が垂下状態で設けられ、前記半割タイヤ6、鎖9、ゴム板11及びブラシ10とでハウジング5内の破砕物の外方への放出を阻止するようにしてある。前記鎖9は、通常、鋼製乃至ステンレス製であり、重量あるものであるから、コンクリート等の重量ある破砕物の跳ね飛びを十分に抑えることができる。
【0018】
図6は、はつり機2の先端部において、ケージング8が上昇している状態を示すもので、図7は、前記ケーシング8が下降している状態を示すものであり、図8は、作業中であって、左右方向において前記ケーシング8が傾斜状態であることを示す。
従って、破砕作業時に、破砕された破砕物は、ハウジング5内で飛び跳ねたときに、先ず、前記半割タイヤ6で跳ね返され、この外側に飛び出るものがあったとしても、外側の鎖9のカーテンで遮られ、更に外側のゴム板11、ブラシ10によっても阻止されるのである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の工法及び装置は、既存のはつり機に一部構造改良を加えるだけで、すぐれたはつり作業を効率よく行えるので、舗道や、種々の道路の補修事業に適用できる有益なものである。
【符号の説明】
【0020】
1: ポンプ車
2: はつり機
3: 特殊吸引車
4: 噴射ノズル装置
5: ハウジング
6: 半割タイヤ
7: 吸引孔
8: ケーシング
9: 鎖
10: ブラシ
11: ゴム板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8