(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】波面センサおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01J 9/02 20060101AFI20230317BHJP
G01M 11/02 20060101ALI20230317BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20230317BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
G01J9/02
G01M11/02 B
G02B5/18
G02B3/00 A
(21)【出願番号】P 2019551586
(86)(22)【出願日】2018-02-07
(86)【国際出願番号】 IL2018050135
(87)【国際公開番号】W WO2018185740
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-02-02
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】519333295
【氏名又は名称】ピーエックスイー コンピュテーショナル イメージング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バーラツズキー,ヨアブ
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2014/196448(JP,A1)
【文献】国際公開第2015/198331(WO,A1)
【文献】特開2009-265101(JP,A)
【文献】特開2006-300876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01J 9/00 - G01J 9/04
G01M 11/00 - G01M 11/02
G01N 21/00 - G01N 21/61
G02B 5/18
G02B 1/00 - G02B 1/08
G02B 3/00 - G02B 3/14
G02F 1/00 - G02F 1/125
G02F 1/21 - G02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的検出システムであって、前記光学的検出システムは、同様の複数の単位セルを有し、かつ前記光学的検出システムによって収集された入力光に所定の変調を付与するように構成されたエンコーダと、前記エンコーダを通過する前記光学的検出システムによって収集された入力光の一般的な伝搬方向に対して前記エンコーダの下流側のある距離に配置されたセンサセルアレイとを備え、
前記センサセルアレイは、複数のサブアレイ単位セルを画定し、各々のサブアレイは、前記エンコーダの複数の単位セルのうちの1つの単位セルに対応し、各々のサブアレイは、所定数Mのセンサ素子を備え、
前記所定の変調により、前記エンコーダの各々の単位セルがそこに入射する収集入力光の一部をそれに対応するサブアレイ単位セルへと、かつ、所定の近接領域内の1つ以上の隣接サブアレイ単位セルへと拡大するようになり、
それにより、センササブアレイと前記エンコーダの単位セルとの間にクロストークを導入し、
前記所定数Mは、前記所定の近接領域内のサブアレイ単位セルの所定数に従って決定される、検出システム。
【請求項2】
前記サブアレイ単位セルのセンサ素子の所定数Mは、(M≧2n
R+1)という条件を満たすように選択され、式中、n
Rは、前記所定近接領域内の隣接サブアレイ単位セルの所定数である、請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記サブアレイ単位セルのセンサ素子の所定数Mは、収集入力光場の相互コヒーレンス情報の再構成における使用のために選択されたコヒーレンス行列基底関数の所定数に従って選択される、請求項1に記載の検出システム。
【請求項4】
前記エンコーダの単位セルの配列は、前記収集光の離散的単位基準を定義し、前記エンコーダの単位セルの物理的寸法は、前記検出システムによって収集された光の回折限界スポットに関する所定の要件によって定義される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項5】
前記単位セルの物理的寸法は、前記回折限界スポットについての要件より小さい、請求項4に記載の検出システム。
【請求項6】
前記単位セルの物理的寸法は、前記回折限界スポットの0.1~0.25である、請求項5に記載の検出システム。
【請求項7】
前記エンコーダは、1つ以上の選択波長域の光を収集して符号化するように構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項8】
前記エンコーダは、所定波長域内の入力光に所定の変調を付与するように構成され、その変調関数は、選択された波長域に対して同様である、請求項7に記載の検出システム。
【請求項9】
前記エンコーダは、1つ以上の波長域の集合内の入力光に1つ以上の所定の変調を付与するように構成され、前記エンコーダは、前記集合内の各々の波長域に対して変調関数を定義する、請求項7または8に記載の検出システム。
【請求項10】
前記センサセルアレイは、2つ以上の波長域の光強度を別個に検出するように構成されたセンサセルを備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項11】
前記センサセルアレイによって収集された入力データを受信し、前記エンコーダによって収集された入力光の相互コヒーレンスを示すデータを決定するために前記エンコーダの変調関数に関するデータに従って前記入力データを処理するように構成されかつ動作可能な制御ユニットをさらに備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記エンコーダの変調関数に関する事前に提供されているデータに従って、前記センサセルアレイによって収集されたデータに関連付けられた強度パターンを提供する係数の集合を決定し、前記係数の 集合を利用して、前記係数の集合を有する所定のコヒーレンス基底関数の代数和である、前記エンコーダによって収集された入力光の相互コヒーレンスを決定するように構成されかつ動作可能である、請求項11に記載の検出システム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、処理ユーティリティ、記憶ユーティリティ、および前記センサセルアレイからの収集強度マップに関するデータを受信するための入力ポートを備え、前記記憶ユーティリティは、前記エンコーダの1つ以上の単位セルを通過する光成分の変調関数を示すデータを事前にロードされ、前記処理ユーティリティは、前記収集強度マップに関するデータを受信し、収集光のコヒーレンス行列に関するデータを決定するために前記エンコーダの1つ以上の単位セルを通過する光成分の変調関数に関するデータに従って前記データを処理するように構成されかつ動作可能である、請求項11または12に記載の検出システム。
【請求項14】
前記エンコーダの変調関数に関するデータは、前記エンコーダによって異なる形に変調された対応する選択波長域の集合に関連付けられた波長変調関数の集合を含む、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項15】
前記エンコーダは、位相および振幅の周期性パターンのうちの少なくとも1つを有するマスクユニットを備える、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項16】
前記エンコーダは、選択された周期性を有する、マイクロレンズアレイ、マイクロプリズムアレイ格子、および位相マスクのうちの少なくとも1つを備える、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項17】
前記エンコーダの単位セルは、複数の同様のクラスタ内で配列され、各々のクラスタは、波長選択フィルタリングの変化、偏光配向における変化、エンコーダ配向における変化、およびエンコーダ変調における変化のうちの少なくとも1つに関連付けられたセルを備える、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項18】
光学的検出における使用のための方法であって、前記方法は、
収集面でエンコーダを通過する入力光放射線を収集して、その単位セルに衝突する光放射線の少なくとも一部を下流側の所定の近接領域まで拡大する所定の変調関数を各々有する同様の複数の単位セルで構成された周期的変調を収集入力光放射線に付与することと、
センサセルアレイを前記収集面から選択された距離に配設することであって、前記センサセルアレイは、それぞれ、所定数Mのセンサセルを備え、前記エンコーダの単位セルに対応する複数のサブアレイ単位セルを配設するセル形状および配列で構成されることと、
収集光放射線に応答して前記センサセルアレイの出力に関連付けられた強度マップを生成することと、
収集光の相互コヒーレンス関数を決定するために前記所定の変調関数に関するデータに従って前記強度マップを処理することと、
を含み、
前記近接領域は、特定の単位セルに対応するサブアレイ単位セルと、所定数の1つ以上の隣接サブアレイ単位セルとの配列を含み、それにより、センササブアレイと前記エンコーダの単位セルとの間にクロストークを導入する、方法。
【請求項19】
前記処理することは、対応するコヒーレンス基底関数の集合に関連付けられた強度基底関数の集合の形態で前記変調関数を示す事前に記憶されているデータを取得することと、前記強度基底関数の集合の加重和を前記強度マップに関係づける係数の集合を決定することと、前記係数の集合および前記コヒーレンス基底関数の集合に従って前記相互コヒーレンス行列を決定することとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
光学的検出システムであって、前記光学的検出システムは、
同様の複数の単位セルを有し、かつ前記光学的検出システムによって収集された入力光に所定の変調を付与するように構成されたエンコーダと、
前記エンコーダを通過する前記光学的検出システムによって収集された入力光の一般的な伝搬方向に対して前記エンコーダの下流側のある距離に配置されたセンサセルアレイと、
前記センサセルアレイによって収集された入力データを受信し、前記エンコーダによって収集された入力光の相互コヒーレンスを示すデータを決定するために前記エンコーダの変調関数に関するデータに従って前記入力データを処理するように構成されかつ動作可能な制御ユニットと、
を備え、
前記センサセルアレイは、複数のサブアレイ単位セルを画定し、各々のサブアレイは、前記エンコーダの複数の単位セルのうちの1つの単位セルに対応し、各々のサブアレイは、所定数Mのセンサ素子を備え、
前記所定の変調により、前記エンコーダの各々の単位セルがそこに入射する収集入力光の一部をそれに対応するサブアレイ単位セルへと、かつ、所定の近接領域内の1つ以上の隣接サブアレイ単位セルへと拡大するようになり、
前記所定数Mは、前記所定の近接領域内のサブアレイ単位セルの所定数に従って決定され、
前記制御ユニットは、前記エンコーダの変調関数に関する事前に提供されているデータに従って、前記センサセルアレイによって収集されたデータに関連付けられた強度パターンを提供する係数の集合を決定し、前記係数の 集合を利用して、前記係数の集合を有する所定のコヒーレンス基底関数の代数和である、前記エンコーダによって収集された入力光の相互コヒーレンスを決定するように構成されかつ動作可能である、検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力磁場特性を示すデータを提供する撮像システムおよび方法に関する。この技術は、特に、入力磁場の相互コヒーレンス関数の再構成を可能にする撮像での使用に適している。
【背景技術】
【0002】
光撮像は、様々な測定システム、検査システム、および撮像システムにおいて大きな役割を果たす。現在利用できる光学測定技術および撮像技術は、入力光場の強度に関する高解像度データを提供し得る。しかしながら、光場によって搬送された情報の大部分は、光場の強度のみを測定する典型的な従来の撮像技術では失われてしまう。
【0003】
光場によって搬送された少なくとも一部の追加の情報の抽出を可能にする様々な技術が周知である。参照ビームまたは自己干渉の使用は、光の一定レベルの位相またはコヒーレンスの測定を可能にし得るが、環境のデコヒーレンス効果の影響を受けやすい場合がある。別の技術は、光場およびプレノプティック撮像技術のように特定の空間分解能を有する光場に関するデータを提供することを目的とするが、典型的には、副回折限界に限定される。
【0004】
例えば、以下のような位相情報の特定の空間分解能を提供する別の技術も周知である。
【0005】
米国特許第5,606,417号明細書には、基準面を画定し、光ビームの波面が分析される平面と光学的に共役関係にある入射レンズを有する、光ビームの波面を分析するための装置が記載されている。ビームに垂直に、この基準面に2次元メッシュ格子が配置される。異なる回折次数の異なるサブビームは、中間焦点面で第1のレンズによって一緒に集束され、この中間焦点面付近で、マスクがサブビームから少なくとも3つの別個の回折次数に関連するサブビームを選択する。第2のレンズは、選択されたサブビームを、格子平面と共役関係にあるゼロ感度平面に送る。ゼロ感度平面から選択距離に位置する作業面における干渉像が観察される。該装置は、三辺シフトタイプの改良型色消し光学干渉計として特徴付けられ得る。
【0006】
米国特許第6,577,403号明細書には、光ビームの波面を分析する技術が記載されている。そのプロセスにおいて、分析される光ビームに垂直であり、分析平面と光学的に共役関係にある平面に、矩形メッシュを有する回折格子が配置される。格子からの異なる射出ビームが干渉して、画像を形成し、画像の変形は、分析される波面の傾斜に関連する。格子は、分析されるビームからの光を矩形メッシュに従って配置された複数の射出ビームへと透過するサブ瞳の矩形メッシュを画定する2次元強度格子によって実現された強度関数に、2つの隣接する射出ビーム間に2つの射出ビームが逆位相の状態になるように位相シフトを導入する2次元位相格子によって実現された位相関数を乗算する。
【0007】
米国特許第7,826,066号明細書では、光ビームの波面を分析するための方法およびシステムが記載されており、この場合、分析される光ビームに垂直であり、分析平面と光学的に共役関係にある平面に回折格子が配置される。格子の異なる射出ビームは干渉して、分析される波面の勾配に関連する変形を有する画像を生成する。該方法は、格子が、分析されるビームの光を六角形メッシュ内に配置された複数の射出ビームへと透過する表面Sの六角形メッシュの2次元格子によって実現された強度関数に、2つの隣接する二次ビーム間に2π/3(2πを法とする)に近い位相シフトを導入する表面Sの六角形メッシュの2次元格子によって実現された位相関数を乗算することを特徴とする。
【0008】
米国特許出願公開第2016/109700号明細書では、変調面に入射する光学像の位相を空間的に変調するように構成された空間光変調器と、複数の2次元配置レンズ、およびレンズアレイによって形成された集光スポットを含む光強度分布を検出し、空間光変調器からの変調後の光学像を受信するように構成された光学的検出素子を含む波面センサとを含み、光強度分布から得られた光学像の波面形状に基づいて空間光変調器内に表示された位相パターンを制御することによって波面分布を補償する補償光学系であって、変調面と波面センサとの間の角度変位量が計算される補償光学系が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当技術分野において、一般に強度分布に加えて、光場の位相分布およびコヒーレンス分布の少なくとも1つに関する高レベルの情報を可能にする入力光場を検出するためのセンサシステムおよび対応する技術が必要である。
【0010】
一般に、上述したように、光学センサ技術は、入力光場の強度分布に関する高精度かつ高解像度のデータを提供し得る。しかしながら、光場の位相分布の中に隠れているかもしれない追加のデータは、典型的には、検出プロセスの中で消失する。
【0011】
収集光場によって搬送される追加の位相および/またはコヒーレンス情報の検出は、レンズによって導入された様々な収差のような収集システムの効果を補償するのに使用され得る。さらに、位相および/またはコヒーレンス情報は、光学システムの焦点深度を補償するのに使用され、さらに大きな合成開口を形成する画像データ片(画像)の組み合わせを可能にし得る。さらに、収集光場の位相および/コヒーレンスに関するデータは、例えば、非光学的電磁放射線を使用して、レンズレス撮像技術で使用され得る。さらに、位相およびコヒーレンスデータは、定量的光位相トモグラフィ、光学プロフィロメトリ、3次元深さ検出ならびに測定、および撮像されている物体に関連付けられた3次元屈折率分布を復元するための光回折トモグラフィを実行するのに使用され得る。収集電磁放射線の位相および/またはコヒーレンスマッピングの検出はさらに、収集放射線の強度情報の検出を含み得ることに留意されたい。
【0012】
これに関連して、本発明の技術は、本明細書において後述するように、1つまたは複数の所定の波長域の収集電磁放射線の位相およびコヒーレンス分布に関するデータを決定するための検出システムおよび対応する方法に関するということに留意されたい。一般に、電磁(例えば、光)場の位相、コヒーレンス、および強度分布のような磁場情報は、光相互コヒーレンス関数(一般に相互コヒーレンスと称される)の一部である。本発明の技術は、一般に、相互コヒーレンスの少なくとも近似値の検出に適しており、検出および再構成のために選択された分解能に従って一定レベルの位相および/またはコヒーレンスデータを提供する。用語「光場」は、本明細書では簡潔にするために使用されており、従来の光学波長スペクトルの範囲内である場合もあれば、そうでない場合もある電磁放射線に関するものとして広範な意味で理解されたい。より詳細には、従来の光学スペクトルは、典型的には、近赤外波長および特定の範囲の紫外線波長の可視光に関連するが、本発明の技術はさらに、遠赤外線、赤外線、可視光、紫外線、さらにX線ならびにガンマ線を含むがこれらに限定されない追加の波長域および一般に電磁放射線の任意の周波数域に関連する位相およびコヒーレンスデータの検出にも使用され得る。したがって、用語「光場」、「光放射線」、「光」、および「電磁放射線」または「電磁場」は、本明細書では、区別なしで使用され、全般には、電磁場に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、入力光場の相互コヒーレンスに関するデータを提供するために、入力光場を検出するように構成された光学的検出システムであって、入力光場の位相および/またはコヒーレンス分布に関するデータを含み得、さらに入力光場の強度データを提供するのに使用され得る光学的検出システムを提供する。光学的検出システムは、複数の単位セルを画定する周期性パターンを有する光学エンコーダユニットまたはエンコーダと、収集入力光の一般的な伝搬方向に対してエンコーダの下流側の所定距離に配置されたセンサセルアレイとを備える。エンコーダは、収集光に所定の変調を導入して、そのように変調された光をセンサアレイに向けて方向付けるように構成される。一般に、エンコーダおよびセンサアレイは、エンコーダの各々の単位セルに対して、1つまたは複数のセンサセルを備えるセンサセルの関連サブアレイが存在するように、位置合わせされる。しかしながら、このようなセンササブアレイとエンコーダの単位セルとの対応は、通常は、厳格ではない。より詳細には、エンコーダは、エンコーダを通過する光成分を1つまたは複数の回折次数(本明細書では、サブチャネルとも呼ぶ)に方向付けて、センササブアレイとエンコーダの単位セルとの間にクロストークを導入するように構成される。したがって、エンコーダの単位セルを通過する一部の光成分は、隣にある、次の隣にある、またはさらにその次にある他の単位セルに関連付けられたセンサセルに向けて方向付けられる。このことは、エンコーダの異なる単位セルに関連付けられた光成分間に一定レベルの干渉を発生させ、以下でさらに詳細に説明するように、収集入力光のコヒーレンスと位相の関係に関する空間データを提供する。
【0014】
エンコーダは、多層またはカスケード構造のエンコーダを構成する1つまたは複数の層で形成され得、各々の層は、そこを通過する光に対して1つまたは複数の選択されたパターンを付与するように構成されることに留意されたい。さらに、異なる層が、透過される光を効果的に変調/操作する様々なタイプのパターンを付与し得る。以下でさらに詳細に説明するように、このようなパターニング/変調/操作は、1つまたは複数の回折素子、ピンホール、位相変化マスク、振幅変化マスク、屈折構造(例えば、小型レンズ、マイクロプリズム)、および/またはこのような変調素子の組み合わせを使用して付与され得る。
【0015】
一般に、エンコーダは、光学的検出システムの検出面および幾何学的検出分解能を定義する。より詳細には、エンコーダの各々の単位セルは、検出システムによって生成された画像データのデータ点(データ要素または画素)に関連する。本発明によれば、このような画素に関連付けられたデータは、対応する単位セルに到達する光成分の少なくとも強度および(典型的には、相対的な)位相を含み得る。したがって、エンコーダの単位セルのサイズは、好ましくは、所望の幾何学的検出分解能に従って決定され得る。好ましくは、エンコーダの単位セルは、収集入力光場の十分なサンプリングレート(少なくともナイキスト)を可能にするように構成されるので、画素サイズは、エンコーダ入力面に入射した収集光の回折限界スポット、すなわち、各々の軸に沿って約λ/(4NA)に相当する。
【0016】
光学的検出システムは、一般に、制御ユニットをさらに備え得る、または制御ユニットに接続可能であり得る。制御ユニットは、センサセルアレイからの収集光に関するデータを受信し、収集光の強度および位相分布に関するデータおよび相互コヒーレンス分布に関するデータを決定するために、エンコーダの効果的応答に関する事前に記憶されているデータに従って、受信データを処理するように構成される。
【0017】
制御ユニットは、処理ユーティリティ(例えば、1つまたは複数のプロセッサ)と記憶ユーティリティとを備え、検出アレイからの収集強度マップを示す入力データを受信し、収集光の位相およびコヒーレンスの少なくとも1つに関するデータを提供するために前記入力データを処理するように構成され得る。一般に、記憶ユーティリティは、エンコーダを通過する光成分の応答(例えば、1つまたは複数のエンコーダ単位セルの応答関数)に関するデータが事前にロードされ得る。処理ユーティリティは、強度マップに関する入力データを処理するために、また収集光の相互コヒーレンス行列に関するデータを決定するために、この事前にロードされているデータを利用し得る。
【0018】
したがって、処理は、1つまたは複数の所定の入力光場の関数のエンコーダの変調に関するデータに従って、センサセルアレイによって提供された強度マップに関連付けられた入力データの処理による入力光場の相互コヒーレンス行列の決定を利用し得る。適切に選択されたエンコーダによる変調表現、および/または適切に選択された入力光場関数を利用することにより、任意の所与の光場の強度マップデータと相互コヒーレンスとの間の実質的な線形変換が得られる。このような線形変換は、本明細書に記載されているように、アクセス可能な記憶ユーティリティ内で決定され、および/または事前に求められ、記憶され得る強度基底関数およびコヒーレンス基底関数を利用する基底ベクトル/関数の集合によって求められ得る。一般に、事前に記憶されるデータは、エンコーダの単位セルを通過する光の基本応答関数に関するデータを含み得る。基本応答関数は、エンコーダから検出アレイに向けて伝搬する光の振幅および位相分布に関するデータを含む。基本応答関数に関するデータは、検出システムによって収集される可能な相互コヒーレンス行列の空間にわたる基底ベクトルの集合としての役割を果たす「コヒーレンス基底関数」の集合に関するデータを決定するために事前に処理され得る。コヒーレンス基底関数は、所定の強度パターンの集合である「強度基底関数」の集合によって補完され、このような各々の強度パターンは、光が光学エンコーダを通って伝搬して検出アレイに衝突したときの各々の対応するコヒーレンス基底関数の光場の強度によって求められる。いくつかの実施態様では、コヒーレンス基底関数および対応する強度基底関数は、事前に計算されまたは事前に測定され、記憶ユーティリティに記憶され得るが、基本応答関数に関する追加のデータは必要ない。
【0019】
一般に、処理ユーティリティは、収集強度マップを生成する強度基底関数の重み付け線形和に関連付けられた係数の集合を決定するように構成され、そのように動作可能である。このように決定された係数の集合は、コヒーレンス基底関数の選択された集合に従って、収集光の推定相互コヒーレンス行列を定義する。
【0020】
したがって、1つの広範な態様によれば、本発明は、光学的検出システムであり、複数の同様の単位セルを有するエンコーダと、システムを通過する入力光の一般的な伝搬方向に対して前記単位セルの下流側の定距離に配置されたセンサセルアレイとを備える光学的検出システムであって、
前記センサセルアレイは、複数のサブアレイ単位セルを画定し、各々のサブアレイは、エンコーダの前記複数の単位セルの1つの単位セルに対応し、各々のサブアレイは、所定数Mのセンサ素子を備え、
前記エンコーダは、前記エンコーダの各々の単位セルがそこに入射した収集入力光の一部を対応するサブアレイ単位セルおよび所定の近接領域内の1つまたは複数の隣接サブアレイ単位セルへと方向付けるように、光学的検出システムによって収集された入力光に所定の変調を付与するように構成され、
前記所定数Mは、所定の近接領域内のサブアレイ単位セルの所定数に従って決定される、光学的検出システムを提供する。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、サブアレイ単位セルのセンサ素子の所定数Mは、条件(M≧2nR+1)を満たすように選択され得、この場合、nRは、所定近接領域内の隣接サブアレイ単位セルの前記所定数である。追加的にまたは代替的に、サブアレイ単位セルのセンサ素子の所定数Mは、収集入力光場の相互コヒーレンス情報の再構成に使用するために選択されたコヒーレンス行列基底関数の所定数に従って選択される。
【0022】
追加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態によれば、エンコーダの前記単位セルの配列は、収集光の離散的単位基準を定義し得、エンコーダの前記単位セルの物理的寸法は、検出システムによって収集された光の回折限界スポットに関する所定の要件によって定義される。単位セルの物理的寸法は、回折限界スポットの要件より小さい場合がある。いくつかの実施形態では、単位セルの物理的寸法は、回折限界スポットの約0.1~0.25であり得る。一般に、回折限界スポットサイズは、収集放射線の波長および検出システムと共に使用され得る光学装置の開口数のようなパラメータに従って決定され得ることに留意されたい。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、エンコーダは、1つまたは複数の選択波長域の光を収集して符号化するように構成され得る。エンコーダは、所定波長域内の入力光に所定の変調を付与するように構成され得、この変調関数は、選択された波長域に対して実質的に同様である。代替的にまたは追加的に、エンコーダは、1つまたは複数の波長域の集合内の入力光に所定の変調を付与するように構成され得、前記エンコーダは、前記集合内の各々の波長域に対して変調関数を定義する。
【0024】
センサセルアレイは、2つ以上の波長域の光強度を別個に検出するように構成されたセンサセルを備え得る。例えば、センサセルアレイは、特定の波長専用のセンサ素子(例えば、波長選択フィルタを使用する)、および/またはハイパースペクトル放射線検出を行うように構成されたセンサ素子を含み得る。
【0025】
検出システムはさらに、一般に、センサセルアレイによって収集された入力データを受信し、エンコーダによって収集された入力光の相互コヒーレンスを示すデータを決定するために前記エンコーダの変調関数に関するデータに従って前記入力データを処理するように構成され、そのように動作可能である制御ユニットを備え得る。
【0026】
制御ユニットは、前記エンコーダの変調関数に関する事前に提供されているデータに従って、センサセルアレイによって収集されたデータに関連付けられた強度パターンを提供する係数の集合を決定し、そして前記係数集合を利用して、前記係数集合を有する所定のコヒーレンス基底関数の代数和である、エンコーダによって収集された入力光の相互コヒーレンスを決定するように構成され、そのように動作可能であり得る。
【0027】
制御ユニットは、処理ユーティリティ、記憶ユーティリティ、およびセンサセルアレイからの収集強度マップに関するデータを受信するための入力ポートを備え得、前記記憶ユーティリティは、エンコーダの1つまたは複数の単位セルを通過する光成分の変調関数を示すデータが事前にロードされ、前記処理ユーティリティは、収集強度マップに関する前記データを受信し、収集光のコヒーレンス行列に関するデータを決定するためにエンコーダの1つまたは複数の単位セルを通過する光成分の変調関数に関する前記データに従って前記データを処理するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、前記エンコーダの変調関数に関する記憶データは、前記エンコーダによって異なる形に変調された対応する選択波長域の集合に関連付けられた波長変調関数の集合を含み得る。
【0029】
一般に、エンコーダは、位相または振幅の周期性パターンのうちの少なくとも1つを有するマスクユニットを備え得る。エンコーダはさらに、位相および振幅パターンを搬送し得る。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、エンコーダは、前記選択された周期性を有する、マイクロレンズアレイ、マイクロプリズムアレイ格子、または位相マスクの少なくとも1つを備え得る。
【0031】
エンコーダは、2つ以上の層を備え得る、または2つ以上の層で形成され得、各々の層は、そこを通過する光成分に作用するように構成された周期性パターンを備える。2つ以上の層は、システムを通過する入力光の一般的な伝搬方向に沿って所定距離だけ離間され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、エンコーダは、光方向付け素子のカスケード配列を備え得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、エンコーダはさらに、前記エンコーダと前記センサセルアレイとの間の光伝搬を可能にするように構成された光学リレーユニットを備える。このような光学リレーユニットは、収集された光成分に所定の倍率を付与するように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、検出システムは、それぞれの間に選択パターンを有する複数の所定数のエンコーダを備え得、前記センサセルアレイは、前記複数のエンコーダを透過された光放射線を別個に収集するように構成され、前記複数のエンコーダは、入力光場の複数の複製を収集するように配置される。追加的にまたは代替的に、エンコーダ間の差は、対応するセンサアレイに向かう光の伝搬距離に関連付けられ得る。前記複数のエンコーダのピッチ周期性は、複数の単位セルの配列を定義する所定の周期性の整数倍になるように選択され得、前記複数のエンコーダは、前記複数のエンコーダの累積パターンが単位セルの配列を定義する前記所定の周期性と一致するように、異なるエンコーダのパターンが前記所定の周期性の小部分において収集光場に対してパターン間でシフトされる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、エンコーダは、そのパターンおよび/またはセンサアレイまでの伝搬距離を時間的に変化させるように構成され得る。したがって、エンコーダは、複数の単位セルの配列を定義する所定のピッチ周期性の整数倍であるピッチ周期性を有する周期性パターンを搬送し得、前記エンコーダは、前記ピッチ周期性の小部分においてそのパターンをシフトさせることによってそのパターンを時間的に変化させるように構成され、前記小部分は、単位セルの所定のピッチ周期性に一致する。
【0036】
いくつかの実施形態では、エンコーダの単位セルは、複数の同様のクラスタで配置され得、各々のクラスタは、波長選択フィルタリングの変化、偏光配向の変化、エンコーダ変調およびエンコーダ配向の変化のうちの対応する少なくとも1つに関連付けられたセルを備える。
【0037】
他の広範な一態様によれば、本発明は、光学的検出における使用方法であって、
収集面でエンコーダを通過する入力光放射線を収集して、各々の単位セルがその単位セルに衝突する光放射線の少なくとも一部を下流側の所定の近接領域まで拡大する所定の変調関数を有する複数の同様の単位セルから構成された周期的変調を収集入力光放射線に付与するステップと、
各々が所定数Mのセンサセルを備え、エンコーダの単位セルに対応する複数のサブアレイ単位セルを形成するセル形状および配列で構成されたセンサセルアレイであって、前記近接領域に従って決定された前記所定数の隣接単位セルの1つまたは複数に関連付けられた光成分を収集するように構成されたセンサセルアレイを前記収集面から選択された距離に配設し、収集光放射線に応答して前記センサセルアレイの出力に関連付けられた強度マップを生成するステップと、
収集光の相互コヒーレンス関数を決定するために前記所定の変調関数に関するデータに従って前記強度マップを処理するステップとを含む方法を提供する。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、上記の処理ステップは、コヒーレンス基底関数の対応する集合に関連付けられた強度基底関数の集合の形で前記変調関数を示した事前に記憶されているデータを取得するステップと、前記強度基底関数の集合の加重和を前記強度マップに関係付ける係数の集合を決定するステップと、前記係数の集合および前記コヒーレンス基底関数の集合に従って前記相互コヒーレンス行列を決定するステップとを含み得る。
【0039】
本明細書に開示されている対象をより良く理解するために、また実際に実施され得る方法を例示するために、単に非限定的な実施例として、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る、検出システムを利用した撮像構成を示す図である。
【
図2】
図2A-
図2B。本発明の技術に従う、符号化単位セルの基本応答関数を例示する図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る、入力光場の相互コヒーレンスを決定するプロセスを示す図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る、入力光場の相互コヒーレンスを決定するデータ処理技術を示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る、入力光場の処理での使用に適したコヒーレンス基底ベクトルの集合を示す図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る、入力光場の処理での使用に適したコヒーレンス基底ベクトルの別の集合を示す図である。
【
図8】
図8A-
図8C。本発明のいくつかの実施形態に係る、入力光場の単一構成(
図8A)、並列多重構成(
図8B)、および連続多重構成
図8C)の光学的符号化および処理のための要素を例示する図である。
【
図9】本発明のいくつかの実施形態に係る、強度マップの処理に適した制御システムをブロック図の形態で示す図である。
【
図12】
図12A-
図12C。n
R隣接単位セル収集スキームを提供する一般的な格子を使用する符号化を示す図である。
【
図16】
図16A-
図16B。それぞれ凸面小型レンズおよび凹面小型レンズを使用した小型レンズ符号化構成を示す図である。
【
図17】小型レンズ符号化構成の2つ以上の層を含むエンコーダを示す図である。
【
図18】光収集の2次元への単純な拡大を示す図である。
【
図21】広帯域光放射線と共に使用するように構成されたエンコーダを示す図である。
【
図22】
図22A-
図22D。本発明のいくつかの実施形態に係る、シフト符号化を有するエンコーダ構成を示す図である。
【
図23】
図23A-
図23D。本発明のいくつかの実施形態に係る、多色、多重単位セル配向および/または偏光感知コヒーレンスカメラを可能にするセルクラスタリングを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
上述したように、本発明は、所望の空間分解能で光場特性を示すデータを提供することができるシステムおよび技術を提供する。光場の位相、コヒーレンス、および強度データを検出するための光学的検出システムとして構成されたシステム100の概略図である
図1について説明する。光学的検出システム100は、エンコーダ120と、放射線の一般的な伝搬方向に対してエンコーダ120の下流側の所定距離Lに配置された検出アレイ140とを含む。本発明のいくつかの実施形態では、エンコーダ120は、検出アレイ140とは別個のユニットであり得るが、他の実施形態では、エンコーダ120は、検出アレイ140とモノリシックに一体化され得、さらにセンサアレイを製造するのに使用されるプロセススタック(例えば、メタライゼーションプロセスステップ、および/または典型的にセンサアレイの画素のピクセルフィルファクタを改善するのに使用されるマイクロレンズアレイの製造で使用されるのと同様のプロセスステップを使用する)の一部でもあり得る。
【0042】
より詳細には、
図1は、検出システム100のエンコーダ120によって画定された撮像面上に画像Imgが形成されるように、検出システム100上へ撮像レンズ配列110を使用して被写体Objを撮像する様子を示している。検出システム100は、撮像レンズ配列と関連付けられていない状態で使用するように構成された独立型検出システムとして構成され得るため、撮像レンズ配列110を全く使用しないレンズレス撮像に使用され得ることに留意されたい。しかしながら、撮像レンズ配列110は、検出システム100の幾何学的分解能が撮像レンズ配列110の光学的分解能に適合するのが好ましいという意味で検出システム100に関連付けられ、さらに当分野で周知のように回折限界スポットサイズに関連し得る。
【0043】
さらに、検出システム100は、必ずしも被写体の像面であるとは限らない光学システム内の様々な場所に挿入され得、例えば、電磁場の位相および/またはコヒーレンスのマッピングを提供し得る相互コヒーレンスのデータを含み、さらに電磁場の強度マッピングのデータを含み得る「Bertand」の瞳画像を取得するために共役平面に挿入され得る。このような中間面撮像は、像面、フーリエ面、または任意の他の中間面である任意の選択された平面で使用され得ることに留意されたい。検出システム100はさらに、位相および/またはコヒーレンス分布、および典型的には、さらに光ビームの強度データを含む相互コヒーレンスデータ(例えば、レーザビーム品質監視、光成分の収差の測定、擾乱光媒質内の収差の測定(「ガイド星」の有無に関係なく))を決定するのに使用され得る。このような用途において、検出システム100によって収集された、位相および/またはコヒーレンス、場合によってはさらに強度に関するデータを含む収集相互コヒーレンスデータはさらに、補償光学系を使用するビーム補正、および/または収差ならびに/もしくは擾乱の影響を最小限に抑えるためのデジタル画像処理を実行するのに使用され得る。
【0044】
典型的には、検出システム100はさらに、検出アレイ140によって検出された放射線に関連付けられた入力データを受信し、検出システム100によって収集された放射線の位相および/またはコヒーレンス分布、および場合によっては強度を含む入力相互コヒーレンスに関するデータを決定するためにエンコーダの光学的符号化(パターニング、光変調)に関するデータに従って受信入力データを処理するように構成された制御システム500を含み得る、または制御システム500と接続可能であり得る。検出システム100によって収集された入力放射線に関するこのようなデータは、収集光場の位相および/またはコヒーレンスデータを利用して撮像されている被写体Objを分析するのに使用され得る。本発明の検出システム100によって決定されたデータは、収集光場の再構成に使用され得、例えば、光学プロフィロメトリ、3次元奥行き感知、検出および測定、定量的位相イメージングおよびトモグラフィ、被写体の3次元マッピングおよびその屈折率のための光回折トモグラフィ、収差(例えば、撮像レンズ配列110(使用した場合)の限界、混濁媒質(生体組織、大気擾乱など)を通した撮像に関連付けられた収差)の補正、撮像システムの空間分解能を増加させるための開口合成、レンズレス撮像、異なる撮像面へのデジタルリフォーカスのうちの1つまたは複数を含むが、これらに限定されない様々な用途で使用され得る。
【0045】
本発明の技術およびその検出システム100は、一般に、撮像目的で使用される照明の特性に関しては限定されないことに留意されたい。より詳細には、本明細書に記載されている検出システム100は、収集入力光場の位相および/またはコヒーレンス、さらに場合によっては強度に関するデータを含む相互コヒーレンスデータの検出を可能にし、光場を生成する照明源は、コヒーレントであり、インコヒーレントであり、もしくは部分的にコヒーレントであり得る、または環境光もしくは任意の選択光源によって形成された光、例えば、構造化照明に関連付けられ得る。典型的には、本発明の技術はさらに、非線形光学効果(例えば、蛍光発光、多光子プロセスなど)によって形成された入力光場に関連付けられた位相/コヒーレンスさらに場合によっては強度のデータを決定するのに使用され得る。
【0046】
上述したように、エンコーダ120の入力面は、検出システム100の検出面としての役割を果たす主面を画定する。さらに、エンコーダ120は、そこを通過する光に所定の変調を付与して、そのように変調された光をセンサセルアレイ140に向けて方向付けるように構成された周期性パターンを含む。一般に、エンコーダ120およびその周期性パターンは、その2つの主軸に沿って特定の選択された周期性で配置された複数の単位セルで構成される。より詳細には、周期性パターンは、矩形または正方形の単位セルを画定する垂線(hxベクトルおよびhyベクトルである)であり得る、または別の格子周期性を画定するベクトル間に一定角度を有し得る、少なくとも2つの基底ベクトルh1およびh2を有する単位セルによって画定され得る。単純にするために、以下は、矩形格子構造に関して(すなわち、hx基底ベクトルおよびhy基底ベクトルを使用して)説明する。しかしながら、本発明の技術は、以下でさらに詳細に説明するように、任意の他の格子構造を使用して実施され得ることを理解されたい。
【0047】
エンコーダ120の単位セルの各々は、そこを通過する光放射線に特定の所定の符号化を適用するように構成される。このような符号化は、以下でさらに例示されるように、光の振幅および/または位相変調さらに屈折および/または回折に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、各々の単位セルの符号化は、1つまたは複数の開口、位相変調、強度変調、1次元または2次元格子に関連付けられ、いくつかの実施形態では、1つまたはマイクロレンズアレイに関連付けられ得る。一般に、本発明の技術は、基本応答データの形式でエンコーダ120の単位セルの各々によって実行される符号化、および/または単位セルを通過して検出アレイ140に向かって伝搬する光場の伝搬に関連付けられた対応コヒーレンス基底関数および強度基底関数に関するデータを利用する。
【0048】
そのためには、エンコーダを通過してエンコーダによって変調された光は、単位セルの変調関数に従って、および/またはエンコーダの点から見て、複数の単位セルを含む周期性パターンと見なされ得ることに留意されたい。したがって、回折次数が各々の単位セル自体の変調によって表されるので、エンコーダによって実行される光変調は、複数の単位セルの周期性パターンから得られた各々の回折次数の位相および振幅を使用して同様に表される。エンコーダを通過する光の変調の表現は共に、理解しやすくするために、本明細書では区別なく使用されている。
【0049】
さらに、エンコーダパターンの周期性は、典型的には収集データのデジタル検出および表現に関連付けられた入力光場の検出の離散化を効果的に定義する。したがって、周期性パターンの単位セルは、CCDアレイの検出素子と同様の形で、検出の画素成分を定義する。そのため、エンコーダ120単位セルの物理的サイズおよび数は、検出の幾何学的分解能を定義する。好ましくは、各々の単位セルの物理的サイズは、例えば、一軸に沿ってλ/(4NA)で定義された光収集の回折限界スポットのサイズに関連付けられ得、この場合、λは、電磁(光)放射線の波長であり、NAは、検出システム100上に投影されたときの関連する撮像レンズ配列110(使用される場合)の開口数である。これに関連して、撮像レンズ配列は、本発明の検出システム100の固有の部品である場合もあれば、そうでない場合もあることに留意されたい。しかしながら、検出システム100の最適な設計は、検出精度および分解能を最適化するために、関連し得る光学的撮像装置の特定のパラメータを考慮するのが好ましい場合がある。
【0050】
これに関連して、エンコーダ120上の複数の単位セルおよび/または検出アレイ140の検出素子は、入力光場の様々な異なる特性を含む検出を行うために、クラスタで配置され得ることに留意されたい。例えば、クラスタは、多波長および/または偏光感知位相/コヒーレンス撮像、および複数の配向における相互コヒーレンス関数の要素の測定のうちの1つまたは複数を含む撮像を提供するように構成され得る。一般に、単位セル内での1次元エンコーダの使用は、各々の単位セルに使用されるセンサセルの数を低減することができるので、システムの構成を単純化する。したがって、異なる軸に沿った1次元エンコーダを有する単位セルの適切なクラスタリングは、単純化された検出システム構成を使用したコヒーレンス行列の様々な配向成分の検出を可能にし得る。そのためには、単位セルは、クラスタで配置され得、各々のクラスタは、対応する波長および/または偏光フィルタに関連付けられた単位セルを含む。一般に、単位セルクラスタは、回折限界スポットに対する撮像分解能および/またはナイキスト・サンプリング・レートに関連付けられるように構成される。例えば、単位セルクラスタは、例えば、RGB波長符号化を提供するBayerフィルタの形式で配置され得る、または波長フィルタの有無に関係なく様々な配向を有する偏光フィルタを含み得る。代替的に、または追加的に、検出アレイ140のセンサセルは、クラスタで配置されて、例えば、Bayerフィルタを使用する多色検出アレイを形成し得る。単位セルおよび/またはセンサセルのこのような配列は、ダイナミックレンジおよび柔軟性を増大させることができ、さらに多色または偏光感知位相検出のような追加の機能性を可能にする。一般に、クラスタ化された単位セルのアレイは、3つのRGBの規則的な撮像セルおよび本発明のコヒーレンス感知セルに関連付けられ得る。このような構成では、隣接クラスタは、位相および/またはコヒーレンス情報の検出を可能にする共有サブチャネルによって結合され得る。
【0051】
検出アレイ140は、各々がエンコーダ120のパターンの対応する単位セルに関連付けられた複数のセンサセルサブアレイを形成する幾何学的形状および配列を有するセンサセルアレイを含む。一般に、各々のセンサセルサブアレイは、そこに衝突する所定の波長域の電磁放射線(例えば、光)の強度測度を各々が検出するように構成された所定数Mのセンサセルを含む。検出アレイ140は、入力放射線を収集して、それに応じて対応する強度分布データを作成するように構成される。そのように作成された強度分布データは、一般に、検出アレイから制御ユニット500に送信され、制御ユニット500において、以下でさらに詳細に説明するように、強度、位相、およびコヒーレンス画像分布に関するデータを決定するために処理され得る。
【0052】
上述したように、エンコーダ120のパターンは、そこを通過する光をセンサセルアレイ140に向けて方向付けるように構成される。したがって、光変調は、各々の単位セルの符号化によって実現され、その周期性は、所定のサブチャネル内の異なる単位セルを透過された光を検出アレイ140に向けて方向付けるように構成される。このようなサブチャネルは、回折次数と、光成分の拡がり、偏向もしくは分割、または以下でさらに詳細に説明するような他のタイプの応答関数を生じさせる屈折効果とに関連付けられ得る。さらに、エンコーダ120パターンの周期性は、典型的には、光の干渉によるサブチャネルの特定の離散化によって生成される。このことにより、エンコーダ120の単位セルを通過する光成分は、対応するサブアレイに関連付けられたセンサセル上に方向付けられるが、一部の光成分は、特定の単位セルに関連付けられた選択サブアレイを取り囲む検出アレイ140のサブアレイの半径を画定する一定の「近接領域」内の1つまたは複数の隣接単位セルのサブアレイに関連付けられたセンサセルに方向付けられる。したがって、各々のセンサセルサブアレイは、サブアレイに対応する単位セルを通過して伝搬する光成分およびエンコーダ120の1つまたは複数の単位セルを通って伝搬する光成分と、エンコーダ120の1つまたは複数の隣接単位セルを通って伝搬する一部の光成分とを含む、エンコーダ120から到達する光を収集するように構成される。典型的には、検出アレイ140は、収集強度分布の処理を単純化するために、エンコーダを通過する光に関連付けられた回折次数がセンサセルサブアレイのサイズに関連付けられた(横断方向に沿った)変位を有するように、エンコーダから所定距離Lに配置される。一般に、所定距離は、Talbot距離およびエンコーダの前記周期性パターンの配列に関して選択される。しかしながら、距離Lは、典型的には、エンコーダ120から検出アレイ140へと伝搬する光成分が通る光路に従って決定されることに留意されたい。一般に、エンコーダ120と検出アレイ140との間の光成分のより長い伝搬および拡大を可能にするために特定の光学リレーユニットが使用され得る。このようなリレーユニットは、伸縮式ユニット、または任意の他のリレー光学装置として構成され得る。さらに、エンコーダ120と検出アレイ140との間の距離Lの変化に対する典型的な製造/組立公差が許容可能であるが、以下でさらに詳細に説明するように、強度基底関数の構造を決定するときには、好ましくは、実距離Lを使用する必要がある。
【0053】
上述したように、エンコーダ120およびその周期性パターンは、幾何光学によって決定されるような回折次数または光線伝搬に対応して、光を1つまたは複数のサブチャネルへと方向付けるように構成される。より詳細には、光成分は、エンコーダの1つの単位セルを通過するときに、使用されるパターンのタイプに従って回折効果および/または屈折効果を受け得る。さらに、
図2Aおよび
図2Bに関してさらに詳細に後述するように、基本応答を提供する1つの単位セルを通過する光成分に関連付けられた回折効果は、典型的には、隣接する単位セルを通過する光成分を干渉し、何らかの離散サブチャネル(回折次数とも呼ばれる)をもたらす。このような効果は、エンコーダの周期性から生じ得るので、一般に、エンコーダが1つの単位セル上で非回折パターン(例えば、マイクロレンズ)を利用する場合に生成される。
【0054】
これに関連して、
図2Aおよび
図2Bについて説明する。
図2Aおよび
図2Bは、ピッチPを有するエンコーダ120の1つの単位セル122を透過され、検出アレイ140によって(強度検出において)検出され得る基本応答関数FRを形成する検出アレイ140に向けて距離Lを伝搬する入力光SIを示している。全般に、
図2Aは単純化された1次元図であり、
図2Bはよりリアリティのある2次元構成を示している。これに関連して、基本応答関数FRは、エンコーダ120の下流側に伝搬し、エンコーダ120の単位セルに衝突するインパルス光場(例えば、撮像システム110の回折限界スポット励起、またはガウス関数、矩形関数、もしくはデルタ関数のような形式)から得られる光場の複素データ(振幅および位相)に関連する。一般に、1つの単位セル122に関連付けられたエンコーダ120の一領域を通過する光およびその基本応答は、検出システム100によって収集された強度分布データを処理するのに使用され得る。図示されているように、1つの単位セル122上へ方向付けられた入力光場SIは、所定の光変調を受けて、サブチャネル130を通って検出アレイ140に向けて伝搬する。一般に、1つの単位セル122によって行われる変調は、連続的であり、実質的に連続的な基本応答関数FRを生成する。しかしながら、完全を期すために、5つのサブチャネル(D-2~D+2)を示す矢印が示されている。上述したように、これらのサブチャネルは、典型的にはエンコーダ120の周期性から得られた離散的な回折次数として扱われ得る。上述したように、特定のエンコーダ単位セル122は、サブチャネル130を通って近接領域PR内の多数の検出サブアレイへと光を送る。この関係は、1つの単位セル122に関連付けられた1つのサブアレイ142が隣接エンコーダ単位セル(さらに類似近接領域内で画定された)から適切なサブチャネル130を通ってそこに衝突する光を受光するデュアルステートメントと同等である。
【0055】
上述したように、エンコーダ120の異なる単位セルに関連付けられたサブアレイ142または検出アレイ140内のセンサセルの数Mは、エンコーダのパターニングおよび単位セル122から特定の近接領域PR内のサブアレイ142へと光成分を送るサブチャネルの数に従って選択され得る。さらに、センサセルの数Mは、以下でさらに詳細に説明するように、選択された基底再構成に従って選択され、少ない数のセンサセルを使用して収集光の位相またはコヒーレンスマッピングの効果的な再構成を可能にする。一般に、基本応答関数FRは、近接領域PRの外側の隣接値に向かって減少する。例えば、エンコーダのパターンは、1つ、2つ、またはそれ以上の隣接単位セルに関連付けられた光成分を有する収集光の相互作用(例えば、最隣接単位セルの相互作用、次の最隣接単位セルの相互作用などを定義する)を生じるように構成され得る。さらに、隣接単位セル相互関係のレベルは、検出システム100の異なる横軸(xおよびy)で異なり得る。一般に、各々の単位セル122に関連付けられたセンサセルの数Mは、(M≧2n
R+1)以上になるように選択され、この場合、n
Rは近接領域PR内の隣接単位セルの総数、すなわち、所与の単位セルに対する隣接単位セル相互作用の全ての数であるが、各々の相互作用は1回のみカウントされる。しかしながら、上述したように、また以下でさらに詳細に説明するように、いくつかの構成では、センサセルの数Mは、収集光場の再構成に使用される基底関数の数に従って低減され得る。例えば、光学エンコーダが単位セルとその右の最も近い隣接単位セルおよびその上の最も近い隣接単位セルとの間の相互作用を生成するように構成される場合、n
R=2である。この特定の単位セルは、その左およびその下の単位セルとも相互作用する。しかしながら、これらの相互作用は、2回相互作用をカウントすることがないように、左および下の個々の隣接単位セルに属するものとしてカウントされる。近接領域がx軸およびy軸に沿った相互作用に対して分離可能である場合、
【数1】
であり、この場合、
【数2】
はx軸に沿った隣接単位セルの相互作用の数であり、
【数3】
はy軸に沿った隣接単位セルの相互作用の数である。上述したように、
【数4】
および
【数5】
は、片側でカウントされるので、2回カウントされる相互作用はない。
【0056】
図1に戻ると、検出システム100は、典型的には、検出アレイ140からの収集放射線の強度分布に関するデータを受信し、収集光の強度、位相、およびコヒーレンス分布に関するデータを決定するために、エンコーダ120のパターニングおよび配列に関するデータに従って受信データを処理するように構成された制御システム500を含む、または制御システム500に関連付けられるように構成される。制御システムは、典型的には、処理ユーティリティ550および記憶ユーティリティ600、さらに入出力通信および利用可能なユーザインターフェースを可能にする通信ユーティリティを含むが、これらについては詳細に説明しない。
【0057】
制御システム500は、検出システム100と一体であり得る、または検出システム100とは分離され得る。いくつかの実施形態では、制御システム500は、検出システム100から遠隔にあり得る、またはデータの遠隔またはクラウド処理に基づき得る。このような構成では、検出システム100は、エンコーダ120のパターンに関するデータおよび検出アレイ140によって収集された強度分布データを処理のために制御システム500に送信するように構成された通信モジュールを含み得る。
【0058】
本発明に係る位相およびコヒーレンスデータを検出する技術のフローチャートを例示した
図3に関して説明する。図示されているように、本発明の技術は、入力光場、または赤外線、可視光、X線、ガンマ線などのような任意の他の電磁放射線を、所定の周期性パターンを収集放射線に付与するエンコーダに透過させるステップ3010と、エンコーダの下流側の所定距離Lに位置する検出アレイによってパターン光強度分布を収集するステップ3020とを含む。該技術は、収集データの処理のために、周期性パターンの少なくとも1つの単位セルの応答に関するデータを利用する3030。このような周期性パターンの単位セルの応答に関するデータは、シミュレートまたは計算基本応答関数に基づき得、従来の波伝搬理論およびシミュレーションに従って決定され、以下でさらに詳細に説明するように1つの単位セルを通過する光成分の振幅および位相分布または「コヒーレンス基底関数」と強度マップに関連付けられた対応する「強度基底関数」との集合を示し得る。一般に、このような応答データ(3030)は、処理で使用するために事前に記憶され得る。代替的にまたは追加的に、コヒーレンス基底関数に対応する特定の所定の光入力分布(例えば、
図7に例示されているように)に応じた透過光の収集は、強度基底関数の集合を決定するのに使用され得る。該技術は、収集光の位相およびコヒーレンスデータを決定するための収集データの処理3040のために、光学エンコーダの周期性パターンの光透過の応答に関するデータを利用する3030。出力データ3050は、所定の近接領域内の隣接単位セル相互作用に関連付けられた非対角要素を含む、入力光場を示すコヒーレンス行列に関するデータを提供する。
【0059】
検出アレイによって収集された強度分布データの処理技術は、
図4にさらに詳細に示されている。図示されているように、処理は、一般に、検出アレイによって収集された強度分布に関するデータを受信するステップ4010と、光学エンコーダの周期性パターン/変調の基本応答関数に関するデータを提供するステップ4020と、入力データを処理するステップとを含む。周期性パターンの応答に関するデータは、信号単位セルの基本応答関数に関するデータを含み得る。処理は、コヒーレンス行列構造に関連付けられ、装置100によって収集された入力光場の一般的な相互コヒーレンス行列にわたる基底ベクトルの集合を生成するコヒーレンス基底関数の集合を決定する4030ための基本応答関数の事前処理を含み得る。これらのコヒーレンス基底関数は、各々がエンコーダ120を通って伝搬して検出アレイ140に衝突する各々の前記コヒーレンス基底関数によって作成された強度パターンに対応する、強度基底関数の集合に関連付けられ得る。他の実施形態では、コヒーレンス基底関数およびそれらの関連する強度基底関数は、事前に計算されおよび/または測定され得、それらのデータは、4020の代わりに、事前に生成されたデータとして直接使用され得る。コヒーレンス基底関数は、相互コヒーレンス行列の形でコヒーレンス基底関数の行列表現を例示した
図6A~
図6Eおよび
図7A~
図7Eに関して、以下でさらに詳細に記載されている。
【0060】
入力収集強度分布データの処理4040は、強度基底関数の加重和の形で検出アレイ140からの入力強度データを記述する係数の集合の決定に関連付けられ得る。したがって、係数およびコヒーレンス基底関数の集合は、入力光場の相互コヒーレンスに関連付けられた出力データを生成する4050に使用される。
【0061】
これに関連して、光場の相互コヒーレンスpは、以下の光場の時間平均空間相関を定義する。
【数6】
ここで、x=(x,y)は、光場の横空間座標に関連する。一般に、検出アレイおよびデジタルデータの使用には、以下の形式で相互コヒーレンス行列を生成する相互コヒーレンスの一定の離散化が必要である。
【数7】
この場合、
【数8】
は、点
【数9】
における光場の複素振幅に関連し、
【数10】
は、点
【数11】
における光場の複素共役に関連する。相互コヒーレンス行列の物理的に実現可能な形態は、エルミート行列および非負行列であることに留意されたい。従来の検出技術または典型的な検出装置もしくはシステムは、従来の強度測定値、すなわち、
【数12】
に対応する対角要素を示すデータを提供するが、一般に、光場間の位相およびコヒーレンスの関係に部分的に一致する非対角要素を決定することはできない。これに関して、本発明のいくつかの実施形態に従って決定された相互コヒーレンス行列を示す
図5について説明する。本発明に従って決定される値を有する行列要素には、パターンが付けられる。一般に、本発明の技術は、対角要素に加えて、各々の単位セルと各々の近接領域内の対応する隣接単位セルとの間の可能性のある相互作用に対応する行列の特定の数の非対角要素の決定を可能にする。一般に、光学エンコーダの周期性により、非対角行列要素がバンド対角構造を有する行列表現を形成することができる。単純化するために、
図5に示されている例示的なコヒーレンス行列構造は、1つの横寸法を有する光学エンコーダに対応するバンド対角構造を有する。行列内の各々の行は、1つの単位セルに対応する。この実施例では、各々の単位セルが、その右に隣接する3つの隣接単位セルおよび左に隣接する3つの隣接単位セルと相互作用することがわかる。したがって、行列バンド構造は、3つの下対角(sub-diagonal)要素と3つの上対角(super-diagonal)要素とを有する。この場合、センサ素子のサブアレイ142によって収集されているエンコーダ120の近接領域に属する隣接単位セル相互作用の数に対応して、n
R=3である。上述したように、各々の相互作用は、一般に、1回カウントされる、すなわち、1つの行につき片側の数の要素(下対角要素または上対角要素のいずれかであり、両方ではない)のみカウントされる。さらに、2次元撮像において、相互コヒーレンス行列は、バンド対角構造を有する複数の行列ブロックを含むものとして表現され得る。したがって、エンコーダ単位セルに対応する相互コヒーレンス行列の異なる行は、それに関連付けられた/それと相互作用する2n
R個の可能な複素値の非対角要素を有する。しかしながら、相互コヒーレンス行列のエルミート行列になる条件により、これらの非対角要素は、2n
Rの実数値の自由度のみを有する。したがって、対角要素と共に、各々の行は、それに関連付けられた2n
R+1の実数の自由度を有する、すなわち、各々の単位セルは、入力光場の2n
R+1の実数の自由度に関連付けられる。これらの1単位セル当たりの2n
R+1の自由度は、M≧2n
R+1の形の一般に必要とされる1つの検出単位セルサブアレイ142当たりの検出ユニットの最小数に相当する。
【0062】
一般に、制御システム500は、入力光場の相互コヒーレンス行列を決定するために、検出アレイ140によって収集されたデータを分析するための基本応答関数FRを示した事前に記憶されているデータ(複素振幅および位相データを含む)を利用し得る。代替的に、または追加的に、上述したように、制御ユニットは、一般的な入力光場のコヒーレンス行列にわたる基底ベクトルを生成する関数構造に関連付けられたコヒーレンス基底関数の集合を決定する(
図4の4030)ために基本応答関数の事前処理を利用し得る。この入力光場の所定の組は、
図5の相互コヒーレンス行列の基底構造を表す。したがって、コヒーレンス基底関数は、前記コヒーレンス基底関数に対応するエンコーダ120の1組のまたは所定の組の単位セルを通過する入力光場に関連付けられた検出アレイ140における強度データを表す強度基底関数に関連付けられる。これらの入力光場の基底関数の各々は、検出アレイ140における特定の強度マップを表す強度基底関数と1対1の対応関係にある。
【0063】
図6および
図7は、本発明の技術に係る一般的な収集入力光場の処理での使用に適したコヒーレンス基底関数の2つの可能性のある集合を示している。
図6は、コヒーレンス基底関数(ベクトル)の集合B0、B1~BK、Bk+1~Bk2を示しており、この場合、k=n
Rであり、これらは行列の1行当たりの片側の非対角要素の数に関連する。
図7は、コヒーレンス基底関数の代替の集合B’0、B’1~B’k、B’k~B’2kを示しており、これらは異なる選択のコヒーレンス基底関数であるが、一般に同様の処理および結果を提供する。これらのコヒーレンス基底関数は、装置100への入力光場を表す相互コヒーレンス行列を表すのに使用され得る。
【0064】
典型的には、エンコーダユニットの周期性により、その単位セルおよび対応するコヒーレンス基底関数およびこれらの関連する強度基底関数は、一般に、並進不変である。したがって、コヒーレンス基底関数の集合
【数13】
は、
図6および
図7に例示されているように、1つの単位セルに基づいて選択され、追加の変更なしに他の単位セルに対してシフト/並進され得る。したがって、関連する強度基底関数の集合
【数14】
も同様に、1つの単位セルに基づいて定義され、その後、他の単位セルに対して基底を拡張させるようにシフト/並進される。典型的には、コヒーレンス基底関数の数は、所定の近接領域に関連付けられた全ての可能なコヒーレンス行列を表現するための完全基底を提供するために、1単位セル当たり2n
R+1個の基底要素の数以上であり得る。
図6に示されているコヒーレンス基底関数の集合は、1つの行につき上三角行列にある行列要素を含む。下三角行列にある行列要素は、相互コヒーレンス行列pのエルミート行列になる条件から含むことが読み取れる。位相データの検出を可能にするために、コヒーレンス基底関数は、単位セルにおける光場の同様の位相またはπ/2の位相シフトに対応して、実数および虚数の非対角要素に関連付けられた要素を含む。
図6に例示されているようなこの特定の基底選択において、個々に求められたコヒーレンス基底要素は、必ずしも物理的に実現可能な光場構成に対応するとは限らず、それらの対応強度基底関数は、必ずしも正の実数値であるとは限らない。
【0065】
あるいは、
図7に示されているコヒーレンス基底関数の集合は、物理的に実現可能な入力光場に関連し得、一致する強度基底関数は、実現可能な強度測定値に対応する正の実数である。コヒーレンス基底要素B’0、B’1~B’k、B’k~B’2kは、個々の単位セルにおけるコヒーレント光場を示しており、画素対間で0~π/2の位相差の空間相関を有する選択単位セルと1つの追加の隣接単位セル(一定の範囲まで)を通って入力された光を示す。しかしながら、物理的実現可能性は必ずしも基底選択の条件であるとは限らず、必要な条件は、コヒーレンス基底が実際に所定の近接領域に関連付けられた全ての可能な相互コヒーレンス行列を画定する空間全体に及ぶものであるということだけである。唯一の要件は、十分なコヒーレンス基底要素が存在することであり、この場合、実係数によるそれらの要素の線形重ね合わせにより、光学エンコーダ120が特定の近接領域PR内の隣接単位セル間に付与する片側の相互作用の数に対応する少なくとも所定数n
Rの下(上)対角要素に至るまで、コヒーレンス行列を完全に説明することができる。したがって、隣接相互作用の数n
Rは、コヒーレンス行列の「非対角半径」に相当する。一般に、例えば、様々な収差の程度やタイプ、様々な多項式またはフーリエ基底の分解などによる光学的点拡がり関数に対応するコヒーレンス行列を含む他のコヒーレンス基底選択も可能である。コヒーレンス基底系の選択は、分析される入力光場に関するデータ、エンコーダの実際のパターン、および関連する強度基底関数に対する特定の最適化に関連付けられ得る。
【0066】
図6および
図7に示されているコヒーレンス基底関数は、所定の近接領域内の可能なコヒーレンス行列にわたるベクトル要素を記述する。一般に、本発明の技術は、コヒーレンス基底関数
【数15】
に関連付けられた感知光場に関するデータを利用する。より詳細には、各々のコヒーレンス基底関数
【数16】
に対して、事前に記憶されるデータは、一般に、典型的には強度マップの集合の形の強度基底関数
【数17】
を含み得る。
図7に示されているコヒーレンス基底関数の集合の場合、これは、コヒーレンス基底関数で示されるような入力光、すなわち、コヒーレンス基底関数で示されるように、1つの単位セルと、対応位相関係を有する1つの単位セルおよび1つの追加の隣接単位セルとを透過された入力光に応答して、検出アレイ140によって測定された強度マップとして説明され得る。
【0067】
強度マップにおいて、典型的には、入力光場の任意のコヒーレンス行列
【数18】
に対して、測定データが以下の数式で与えられる強度パターンを生成する。
【数19】
したがって、本発明の技術は、逆相関(逆行列)の決定を利用して、所与の測定強度マップI
nに対する係数a
kを決定し、その結果、
【数20】
であるコヒーレンス行列の推定値を再構成する。
【0068】
いくつかの用途目的では、コヒーレンス基底関数の部分集合のみを使用して、出来る限り1つの(非自明な)基底関数を使用して、推定コヒーレンス行列を再構成するために、十分な位相情報が決定され得ることに留意されたいしかしながら、このことは、処理を単純化すると同時に、各々の単位セルに対応する少ない数のセンサセルを使用した位相検出のレベルを可能にする。
【0069】
一般に、コヒーレンス基底の部分集合の使用は、対応する数の強度基底関数に関連付けられる。強度基底関数は、強度プロファイルによって区別されるので、(例えば、強度関数をマッピングして、その再構成を可能にするために)部分画素の対応する数Mに関連付けられる。2つのコヒーレンス基底関数の部分集合が使用される場合、2つの強度基底関数のみが収集光場内で識別される必要がある。したがって、強度関数間の差は、各々の単位セルに関連付けられた少ない数のセンサセルによって識別され得る。この実施例では、2つの部分画素のみ(完全基底系の再構成に関連付けられた一般的なM=2nR+1個のセンサセルより少ない)が必要であり得る。
【0070】
このような部分集合は任意の選択部分集合であり得、純粋強度コヒーレンス基底関数B’0を含んでも含まなくてもよいことに留意されたい。より詳細には、適切な部分集合は、好ましくは、少なくとも1つの複素コヒーレンス基底関数(例えば、
図7のB’2k)を含み得る。いくつかの構成では、1つの複素基底関数は、位相情報の再構成に十分であると同時に、本明細書に記載されているように、単位セルに関連付けられた限定数のセンサセルによる検出を可能にし得る。
【0071】
コヒーレンス基底関数の限定された部分集合を使用するコヒーレンス再構成は、一般に、コヒーレンス基底関数の完全集合を使用する再構成と同様である。これは、隣接単位セルのセンサセルに到達し、再構成コヒーレンスマップ/画像の画素間のクロストークを可能にする各々の単位セルのサブチャネルに関連付けられる。
【0072】
図4を参照すると、検出アレイ140から受信された測定強度マップI
nに対応した入力データの処理4040は、一般に、強度基底関数
【数21】
の選択された集合に対して、上記の数式3を満たす係数a
kの集合の決定に基づく。さらに、光場の相互コヒーレンスを示すデータの作成4050は、コヒーレンス基底関数
【数22】
を使用してコヒーレンス行列の推定値を再構成するために、このように決定された係数集合を使用して行われ得る。
【0073】
したがって、
図8A~
図8Cは、本発明の技術のいくつかの概念をブロック図の形式で示している。
図8Aは、上述したような単一符号化技術を示しており、
図8Bは、並列符号化技術を示しており、
図8Cは、時間的に変化する符号化技術を示しており、これら全ては、収集入力光場CFの強度、位相、およびコヒーレンスデータを決定するために上記の技術を利用する。一般に、これらの異なる技術は、例えば、光分割素子または可変エンコーダを利用する、
図8A~
図8Cに示されているような対応検出システムによって使用され得る。
【0074】
図8Aに示されているように、収集光場CFは、所定のパターニングを光に付与するエンコーダ120を透過される。上述したように、パターニングは、複数の単位セルに基づき、各々の単位セルは、そこを透過する光に所定の基本応答関数を適用する。このようにパターニングされた光は、その後、検出アレイ140によって収集され、検出された強度マップは、制御システム500による処理のために送信される。処理は、上述したような強度基底関数の集合の形のデータを利用して係数の集合を決定し、そのように決定された係数を有する強度基底関数の加重和により収集強度マップI
nが得られる。
【0075】
図8Bは、光場検出システムの並列多重構成技術を示している。並列構成は、入力光場CFの分割を利用し、このような分割は複数のビームスプリッタBS1~BSn-1で例示されているように行われ得るが、並列構成は、この例では、n番目の光成分を対応するエンコーダ120nに方向付ける折り畳ミラーFMを含む。入力光場CFの複製は、対応する複数のエンコーダ120a~120nを透過され、さらに対応する検出アレイ140a~140nに向けて送られる。このように収集された複数の強度マップに関するデータ片は、収集光場CFの相互コヒーレンス行列に関するデータを処理および決定するために、制御システム500に送信される。
【0076】
図8Bに例示されているこのような並列構成を利用することにより、異なるエンコーダ120a~120nは、一般に、異なるパターンで構成される。より詳細には、全てのエンコーダ120a~120nは、各々が選択されたパターンを搬送する複数の単位セルに関連付けられた周期性パターンで構成される。しかしながら、一般に、異なるエンコーダの周期性は、周期が理論的単位セル(そのサイズは所望の幾何学的方位分解能を生成するように決定される)の整数倍になるようにシフトされ得、そのことにより、
図22A~
図22Dに例示されているように、異なるエンコーダ120a~120nは、単位セルの整数分(エンコーダ周期の小部分であり得る)だけシフトされる。代替的に、または追加的に、各々の単位セルに関連付けられたパターンは、異なる基本応答関数FRに対応して異なり得る。代替的に、または追加的に、各々のエンコーダの伝搬距離Lは、同様に、異なる基本応答関数FRに対応して異なり得る。
【0077】
エンコーダ120a~120nによって収集光に付与される異なるパターンに従って、上述したように、対応する基底応答関数に関する事前に記憶されているデータを利用し得る。検出アレイ140a~140nによって検出されたデジタル強度マップは、収集光場CFの推定コヒーレンス行列を決定するために、関連符号化に対応する基底応答関数に関して、別個に処理される、または結合される。一般に、この構成は、各々がエンコーダ120a~120nの1つを透過された光成分の収集専用である複数の領域を有し、したがって異なる形でパターニングされた光成分の分離を維持する、1つの検出アレイを利用し得ることに留意されたい。
【0078】
別の構成は、
図8Cに示されており、連続多重構成アーキテクチャに基づく構成である。これらの実施形態では、エンコーダ120は、例えば、パターンマスクを機械的にもしくは電子的に交換することによって、または伝搬距離Lを変更することによって、パターンを変化させるように構成され得、検出アレイは、パターンの各々に関連付けられた収集強度マップを生成するデータ片を収集ように動作可能である。エンコーダ120の各々の構成に対して、デジタル強度画像が検出アレイ140によって記録される。全ての構成からの画像データ片は、バッファまたは記憶ユーティリティ450に記憶されて、上述したように、コヒーレンス行列推定値p
ijを決定するために処理され得る。
【0079】
これに関して、本発明のいくつかの実施形態に従って使用するように構成された制御システム500を概略的に示す
図9について説明する。制御システム500は、一般に、少なくとも1つの処理ユーティリティ550、入出力およびユーザインターフェース通信を提供する通信モジュール520を含むコンピュータシステムであり得、1つまたは複数の記憶ユーティリティ600を含み得る、または記憶ユーティリティ600に関連付けられ得る。処理ユーティリティ500は、ローカルプロセッサを利用し得るか、場合によっては、1つまたは複数のリモートプロセッサを使用して分散処理するように構成され得る。一般に、処理ユーティリティは、本発明に係る関連処理動作を記述した、ソフトウェアモジュールおよび/またはハードウェアモジュールであり得る1つまたは複数の処理モジュールを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、処理ユーティリティ550は、エンコーダ(単数または複数)のパターンに関するデータを受信して、例えば、エンコーダの単位セルを通る光場伝搬のシミュレーションによって、エンコーダの基本応答関数を示すデータを決定するように構成された基本応答関数モジュール552を含み得る。基底関数集合モジュール554は、事前記憶データとして記憶ユーティリティから、または基本応答関数モジュール552から受信した基本応答関数に関するデータを利用して、少なくとも2nR+1個のコヒーレンス基底関数およびそれに対応する強度基底関数の集合を決定するように構成される。基本応答関数および/またはコヒーレンス基底関数およびそれに対応する強度基底関数の集合に関するデータは、事前に生成され、記憶ユーティリティ600に事前に記憶され得る。
【0081】
一般に、収集入力光場の強度マップを処理するために、処理ユーティリティ550は、係数決定モジュール556およびコヒーレンス行列モジュール558を含み、係数決定モジュール556は、検出アレイ(
図1では140)によって検出された1つまたは複数の強度マップおよび記憶ユーティリティ600(または基底関数集合モジュール554)から受信された強度基底関数の集合に関するデータを受信して、許容可能として定義される所定の許容誤差に至るまでの強度マップを生成する強度基底関数の重み付け線形和を可能にする係数の集合を決定するために強度マップおよび強度基底関数を処理するように構成され、そのように動作可能である。コヒーレンス行列モジュール558は、決定された係数集合および基底関数集合モジュール554または記憶ユーティリティ600からの対応するコヒーレンス基底関数集合を受信して、収集入力光場の得られた推定コヒーレンス行列pを決定するように構成される。このように決定されたコヒーレンス行列は、典型的には、オペレータへの出力として、またはさらなる処理のために送信され得、および/または追加の処理のために記憶され得る。
【0082】
本発明に係る検出システム100の様々な構成を、以降の図面で説明する。単純化するために、これらの構成は1次元で例示されており、リアリティのある2次元ケースへの一般化は、通常は簡単である。
【0083】
図10Aおよび
図10Bは、検出素子の各々のサブアレイに対して1つの隣接単位セルを含めて検出アレイ140へと光を方向付けるように構成された格子タイプのエンコーダ120を示している。
図10Aは単方向の非対称格子設計を示しており、
図10Bは対称格子設計を示している。エンコーダ120と検出アレイ140との間の距離Lは、周期性エンコーダのピッチpおよび収集されている光場の典型的な波長λに関連する、Talbot距離z
T=2p
2/λに従って選択される。この例では、距離Lは、
図10Aの実施例では、Talbot距離の2分の1
【数23】
に関連し、
図10Bの実施例では、Talbot距離の4分の1
【数24】
に関連する。
図10Aの第1の実施例では、格子は、ゼロの回折次数および+1の回折次数(典型的には、同様の回折効率で)へと回折するように設計され、
図10Bの第2の実施例では、格子は、+1および-1の回折次数へと回折するように設計され、全ての他の次数(非回折次数0を含む)への回折は無視できるほど小さい。(このような格子は市販されている、または回折格子の技術分野の業者によって設計されおよび製造可能である。)さらに、各々のサブアレイの検出素子の数Mは、各々のサブアレイへと光を投射する隣接単位セルの数に応じて決定される。上述したように、サブアレイの検出素子の数Mは
【数25】
以上である。n
R=1の1次元の例では、Mは3(M=3)かそれ以上であり得る。一般に、エンコーダ120の(ピッチpの)各々の単位セルに対して、好ましくは、検出アレイ140の1つの横方向当たりM個以上の対応検出素子が存在し、典型的には、各々は最大でp/Mのサイズを有する。
【0084】
別の格子タイプ構成が、
図11Aおよび
図11Bに例示されている。これらの実施例では、格子は、ゼロおよび2の回折次数(
図11A)および-1、0、および+1の回折次数(
図11B)へと光を方向付けるように設計される。したがって、単位セルのピッチおよびエンコーダ120と検出アレイ140との間の距離の適切な選択により、検出アレイ140の各々のサブアレイに関連付けられた2つの隣接単位セルを含む光場収集が可能になる。
図10Aおよび
図10Bと同様に、
図11Aは、単方向非対称格子構成を示しており、
図11Bは、対称構成を示している。これらの構成では、隣接単位セルの数は2であり、したがって、検出アレイ140の各々のサブアレイにおける検出素子の数はそれよりも多く、図面に例示されているように、これらの実施例では、M=6であり、それより多い場合がある。さらに、回折次数が検出アレイの対応するサブアレイに適合するように、距離Lはより長くなる。
【0085】
光を各々のサブアレイに方向付けるn
R個の隣接単位セルを有する、または各々のサブアレイがn
R個の隣接単位セルから光を受光する、一般的な構成が、
図12A~
図12Cに示されている。
図12Aは単方向構成を示しており、
図12Bは対称構成を示しており、
図12Cは非対称または疑似対称構成(一般に、n
Rの奇数値に適した)を示している。これらの構成では、エンコーダの格子パターンは、選択された配列(単方向の対称または疑似対称)によって、ゼロ次数に加えて、n
Rの回折次数に向けて光を方向付ける。上述したように、検出アレイは、好ましくは、1つの単位セルサブアレイ当たり、少なくともM=2(n
R+1)個の検出素子で構成される。本発明の技術は、通常、検出アレイの各々のサブアレイに関連付けられたエンコーダの隣接単位セルの数または配列に制限されないので、追加の構成が使用され得ることに留意されたい。
【0086】
さらに、本発明の技術は、様々なパターニングのタイプと共に使用され得、
図13A~
図13Cは、複数の開口で形成されたパターン(
図13A)、バイナリ位相パターン(
図13B)、および位相振幅マスク/パターン(
図13C)を利用する本発明の検出システムの構成の例を示している。一般に、エンコーダは、その単位セルに対して周期性を有するので、回折格子と見なされ、上述したような設計および基準に対する回折次数を分析し得る。あるいは、1つの単位セルによって生成され、距離Lを伝搬する光場は、既知のモデルを使用して決定され得るので、単位セルの基本応答関数に関するデータを提供し得る。一般に、その結果は、格子の回折次数の振幅が適切な間隔でサンプリングされた単位セルの遠距離場の値によって求められるのと同様であり得る。
【0087】
最も単純なタイプのマスクは、
図13Aに示されているアパーチャマスクである。この実施例では、
【数26】
の伝搬距離に対して、基本応答関数が中央ローブの両側の発端のゼロ間の4pの拡がりを有するほぼシンク関数形状である場合に、開口は、
【数27】
の直径を有する。中央ローブのこのスパンは、各々のサブアレイへと光を方向付ける3つの隣接単位セルの伝搬を示し、すなわち、4つの単位セルの近接領域の幅を画定し、したがって、この角度広がりで正確なサンプリングを実現するためには、各々のサブアレイの検出素子の数は、好ましくは、M=8であるか、またはそれ以上である。一般に、このような設計は、比較的ロバストな設計であり、伝搬距離Lおよび開口直径aは、十分なサンプリングMが維持されている限り、性能を維持した状態で変化し得る。
【0088】
図13Bには、単純なバイナリ位相マスクが示されている。この実施例では、マスクセグメント間の相対位相はπであり、隣接単位セルの数に対して比較的大きな角度拡がりを有する基本応答関数が生成される。したがって、このようなバイナリ位相マスク構成は、好ましくは、検出アレイ140の各々のサブアレイへ光を方向付ける隣接単位セルの数に対して、より高いサンプリングレートを必要とする。この実施例では、3つの隣接単位セルの関与は、M=12を使用して適切にサンプリングされ得る。さらに、距離Lは、典型的には、比較的短い距離であり得、
【数28】
として選択され得る。
【0089】
図13Cには、振幅と位相の組み合わせマスクが示されている。この実施例では、
図13Cが、実現する一次の回折次数-1、0、+1へと入力エネルギーの大半を等しく回折させるように最適化される場合、このマスクは、周期pの56%を覆うマスクの透過部分で構成され、残りの部分は、π位相シフトおよび光場を3分の1に低減する(すなわち、入射エネルギー束の1/9のみ透過する)ように調整された減衰部を有する。伝搬距離
【数29】
を利用することにより、基本応答が2つの隣接サブアレイを含む場合、M=6、またはそれ以上を使用して、十分なサンプリングが達成され得る。
【0090】
図14Aおよび
図14Bには、グレーレベルの振幅マスクおよび位相マスクがそれぞれ示されている。一般に、基本応答関数f(x)は、エンコーダ120の振幅および/または位相変動関数に従って決定される。例えば、振幅変調は、
【数30】
のプロファイルによる振幅変調は、エネルギー分布比1:4:1を有する-1、0、+1に相当する3つの回折次数で伝搬する光をもたらす。このような設計は、M=6を使用して十分にサンプリングされ得、距離
【数31】
において、一軸に沿って、n
R=2を生成する近接領域スパンXを対象にする。一般に、検出素子の各々のサブアレイにおけるサンプリングレートMは、
【数32】
を提供する基本応答関数の角度広がりNA=X/2Lに従って選択される。グレーレベル振幅および/または位相パターンは、一般に任意の所望の基本応答関数を提供するように構成され得ることに留意されたい。典型的には、パターンは、サイドドローブに到達するエネルギーが適用確定の無視可能なレベルまで最小化され、メインローブ内の分布が近接領域Xの必要なスパンと一致するように、選択され得る。特定の一実施例では、n
R=2かつ3≦a≦7をもたらす
【数33】
の形のガウスプロファイルが選択され得る。
【0091】
さらに、およそ3:8:3のエネルギー分布で3つの回折次数-1、0、+1へ光成分を方向付けて、より高い次数では無視できるほどの残余エネルギーを有する、
【数34】
のプロファイルを有する位相パターンが使用され得る。このようなパターンは、M=6、
【数35】
かつn
R=2を使用して選択され得る。
【0092】
振幅および位相のパターニングの組み合わせも使用され得る。例えば、バイナリπ位相マスクと組み合わせた振幅変動を使用して、
【数36】
の振幅プロファイルを有するパターンが実現され得る。この構成は、等しいエネルギー分布を有する3つの回折次数-1、0、+1を生成する。別の構成は、M=6、および
【数37】
かつn
R=1の設計パラメータと共に-1および+1の回折次数のみが存在するように、
【数38】
の変調プロファイルを使用し得る。
【0093】
別の例示的な構成は、Dammann型格子のようなバイナリ位相マスクを含み、この場合、0とπの位相シフト領域間の接点は、所望の回折パターンが得られるように選択される。このパターン構成は、数値最適化によって、または市販のマスクを使用して決定され得る。代替的に、または追加的に、パターンは、ホログラフィック格子として構成され得る
【0094】
エンコーダのマイクロプリズム型パターンを示した
図15A~
図15Dについて説明する。これらのパターン設計は、所望の基本応答関数が得られるように選択されたマイクロプリズムの周期性アレイを利用する。一般に、このようなマイクロプリズムは、振幅減衰素子と組み合わされ得る。
図15Aは、一軸に沿ってn
R=1を有する基本的なマイクロプリズム設計を示しており、
図15Bは、一軸に沿ってn
R=1を有する対称設計を示しており、
図15Cは、一軸に沿ってn
R=3を有する基本的なマイクロプリズム設計を示しており、
図15Dは、一般的な対称設計を示している。一般に、マイクロプリズムは等しい長さ/寸法を有し、または異なる長さを有し得、位相および/または振幅パターニングもマイクロプリズムの上面で使用され得ることに留意されたい。
【0095】
上述したように、エンコーダはさらに、小型レンズアレイまたはマイクロレンズアレイを含み得、これは、凸面小型レンズアレイおよび凹面小型レンズアレイをそれぞれ使用するパターンを示した
図16Aおよび
図16Bに例示されている。一般に、小型レンズは、好ましくは、1つの単位セル各々を占有するように構成され、f(または-f)の一般的な焦点距離で例示される。一般的な非対角半径n
R(同じ数の関与隣接単位セルに対応する近接領域を有する)に対して、拡がり率は、スパンp(n
R+1)を有する検出面近接領域の使用を可能にする、およそ1:(n
R+1)になるように選択され得る。焦点距離fは、伝搬長さ
【数39】
の(n
R+1)
-1として選択され得る。対応する開口数
【数40】
は、1つの単位セル当たり少なくともM=2(n
R+1)個の検出画素を必要とするので、焦点距離およびNAは、
【数41】
としても表され得る。
【0096】
一般に、光は、レンズの焦点から、検出画素に到達する前に、
【数42】
の距離をさらに伝搬し得る。L/fの比は、入力小型レンズ面と検出面との間の幾何光学倍率を決定する。小型レンズの各々は、pL/fの直径を有する光のパッチを形成する。f<Lの場合、重なるパッチが形成される。各々のこのような光のパッチは、基本応答関数の幾何光学表現であり、その範囲は各々の単位セルの近接領域に対応する。本発明に即した小型レンズアレイおよび対応する基本応答関数の設計は単純な幾何光学設計を利用し得ることに留意されたい。一方、小型レンズアレイは、各々の単位セル内の放物線位相変動を有するグレースケール位相パターンの一例と考えられ得、したがって、回折格子として扱われ得る。
【0097】
一般に、本発明の技術は、多層エンコーダ構成を利用し得る。上述した通りである。このような多層構成は、エンコーダ120の2つ以上の異なるパターンに基づき得る。代替的にまたは追加的に、エンコーダは、収集光の一般的な伝搬方向に沿って離間された2つ以上の層を含み得る。1つのこのような多層構成は、第1のエンコーダ層120a、第2のエンコーダ層120b、および検出アレイ140を含む検出システムを示した
図17に例示されている。この実施例では、エンコーダの層は、小型レンズアレイ層として構成され、第2の層120bの小型レンズが第1の層120aの小型レンズの焦点を検出アレイ上で結像するように配置される。この構成では、検出素子のサブアレイへと光成分を方向付ける隣接単位セルの数は、典型的には、小型レンズの焦点距離および開口数の選択によって決定される。より詳細には、層120aの小型レンズの開口数が大きいほど、検出素子の同じサブアレイへと光を方向付ける隣接単位セルの数は多くなる。さらに、多層構成は、小型レンズアレイと組み合わせた開口ベースの層または他のこのような多層組み合わせを利用し得る。
【0098】
上述したように、上記の実施例は、単純化するために1次元で示されている。
図18は、所定角度ずらして2つのパターンを位置合わせすることによって2次元エンコーダを提供するために、2つの1次元パターンを使用する様子を示している。さらに、
図19Aおよび
図19Bは、矩形および六角形の周期性パターンをそれぞれ有する、いくつかの単位セル設計を例示している。
【0099】
一般に、これらの図面内の単位セル設計a~cは、正方形/六角形格子に埋め込まれた丸い小型レンズに関連付けられ、小型レンズは、トポグラフィ輪郭を表す同心円で示されている。設計aでは、小型レンズを取り囲むデッドスペースはマスクされ、設計bは、このスペースを開放状態にし、設計cでは、小型レンズは単位セル全体を埋めるように延長される。これらの小型レンズの設計の全ては、円対称性を有する他の素子(例えば、ホログラフィックレンズ、フレネルレンズ、非球面素子など)まで拡張され得る。
【0100】
設計dおよび設計eは、単位セル内に埋め込まれたマイクロプリズム構成を示している。マイクロプリズムは、設計dでは、プラス(+)の構成で配置されるが、設計eでは、エックス(X)の構成として配置される。六角形周期性パターンでは、マイクロプリズムは、単位セルの辺および角度に関して同様のパターンで変化する。
【0101】
最後に、設計f~kは、バイナリマスクの設計を示している。設計fおよび設計iは、正型および負型の円対称性を有するマスクを利用する。設計g、設計h、および設計kは、正方対称性または六方対称性を保持する正型および負型の設計である。設計gおよび設計jでは、マスクは単位セルに平行に配向され、設計hおよび設計kでは、マスクは、45°(または六角形構成では30°)だけ回転される。
【0102】
図17に示されている多層構成に戻ると、いくつかの別のエンコーダ構成は、複数の光方向付け素子、分割素子、フリッピング素子および他の光方向付け素子を含むカスケード型エンコーダを利用し得る。このようなカスケード型構成は、第1の分割層120a、フリッピング層120b、第2の分割層120c、および混合層120dを含み、全ての層が検出アレイ140によって収集および検出されるように収集光/放射線を方向付ける、カスケード型エンコーダを示す
図20に例示されている。
【0103】
本明細書に例示されているカスケード型エンコーダは、各々の単位セルに衝突する光成分に対するツリー状伝搬経路を形成する選択された分割レベルを含む、経路内の収集光成分を方向付けるように構成された一連の光学層に基づく。隣接単位セルのツリーは、好ましくは、カスケードツリーの出力面が単位セルに衝突する光成分の複数のサンプルまたは複製を含むように構成される。複製は、非対角半径nR内の任意の単位セル対(隣接単位セル)に対して、最隣接単位セルである少なくとも2つのサンプルが存在するように配置され得る。
【0104】
一般に、カスケードツリー光学素子は、幾何光学、特に、小型レンズアレイに基づき得る。一般に、分割層120a、120cは、分割素子の入力面に衝突する光成分を分割して、これらの光成分を隣接分割素子に沿った経路へと方向付けするように構成された光学素子を含む。分割素子が規則的な周期性120aで構成される場合、これは、1つの単位セルから隣接単位セルへと光を方向付けることに相当する。他の層120cは、二重周期性(またはそれ以上)で構成され、したがって、分割素子はそれに応じて光成分を方向付ける。フリッピング層120bは、(層120bのピッチに従って)1つの隣接領域へ光成分を方向付けるように構成され、混合層120dは、光成分を効果的にリレーする。
【0105】
上述したように、カスケードエンコーダの異なる層は、小型レンズアレイから構成され得、各々の層は、1つの小型レンズ層または2つ以上の小型レンズ層であり得る。典型的には、各々のカスケード層は、各々のリレーユニット内で光場の横方向の配向性が反転されるように、入力面(上面)から出力面(底面)へ光場をリレーするように構成される。さらに、十分なサンプリングレートに対して、センサセルの数は、光成分を検出アレイ140の同じサブアレイへと方向付ける隣接単位セルの数と組み合わせてカスケード構成の層のピッチサイズによって決定され得ることに留意されたい。
【0106】
多色/広帯域照明で使用するためのエンコーダ構成を示した
図21について説明する。このような多色検出は、共通の基本応答および/または強度基底関数の集合が広範囲に及ぶ波長に対して同様であることが望ましい用途で使用され得る。この構成は、光を色度変化を含む複数の回折次数(一例として、次数、-1、0、+1が示されている)へと分割するように構成された初期格子素子G1と、レンズL1およびL2を含む2つのレンズの4fリレー配列と、開口面に配置され、選択された波長域内の全ての波長の光成分を検出アレイへと方向付けると同時に、各々の回折次数に対して異なる横方向シフトΔxを導入するために異なる波長の光路を変化させるように構成されたたプリズムユニットP1、P2とを含むエンコーダ120に基づく構成である。これらの横方向シフトは、各々の回折次数(サブチャネル)が所望のサイズのエンコーダ単位セルに対して適切に配置されるように設計され、そのことにより、上記の設計原理に従って所望の近接領域および基本応答を実現することができる。したがって、波長λ
1およびλ
2の光成分は、検出面で再び合流するように示されている。
【0107】
一般に、この構成では、検出アレイ140は、リレー配列の後焦点面上に配置され、所望の横方向シフトΔxは、システムの瞳面の近くのプリズムユニットP1、P2によって実現される。この構成により、特定の横方向シフトを有する各々の回折次数(サブチャネル)によって、入力光場の特定の回折次数(サブチャネル)に属する異なる波長が同一の点で合流する。ゼロ回折次数は色分散が全く無く、そのため補正の必要がないことに留意されたい。いくつかの構成では、補正器C1は、ゼロ回折次数(サブチャネル)の光路内に設けられ、この実施例では、個々のプリズムP1、P2によって変調された他の回折次数の光路長と一致するように光路長を調節する。さらに、レンズL1、L2は効果的に色分散がないこと、そうでない場合、任意のこのような効果はプリズムP1、P2(場合によっては、補正器C1)の材料および設計の選択によって補正され得ると想定されることに留意されたい。
【0108】
さらに、この構成は、開口面の近くに配置され、異なる波長および/または回折次数(サブチャネル)の光成分の相対位相および/または振幅の追加の制御を行うように構成されたフーリエ変調器(詳細には説明しない)を利用し得る。フーリエ変調器はさらに、格子素子からの望ましくない回折次数を遮断するのに使用され得る。
【0109】
また、検出アレイは、スペクトル感知検出器、例えば、RGB Bayer検出アレイ、または他の(ハイパー)スペクトル感知画素配列として構成され得る。スペクトル感知検出器の使用は、広帯域設計に適しており、そのため、各々の波長域が対応する基本応答および/または強度基底関数を有することができ、その結果、装置の条件を満たした全許容波長域を拡大することができる。さらに、スペクトル感知検出器は、上述したようなエンコーダ構成を利用する検出システム構成のスペクトル範囲を拡大するのに適用可能であり得る。
【0110】
さらに、(幾何学的分解能に関連付けられた)所望の単位セルより大きいピッチサイズを有する小型レンズアレイを利用するエンコーダ構成を示した
図22A~
図22Dについて説明する。この構成は、典型的には、時間変化符号化技術を利用する
図8Cに例示されている検出システム構成に従って使用され得る。図示されているように、小型レンズアレイ120は、所望の単位セルより大きい周期を有する小型レンズを含む。したがって、パターンは、所望の単位セルのピッチサイズだけ、キャプチャインスタンス間でシフトされる。
図22Aに図示されているように、アレイは、(0,0)で位置合わせされ、最初のキャプチャの後、アレイ120は
図22Bのアライメント(0,1)へ移動され、さらに
図22Cのアライメント(1,0)および
図22Dのアライメント(1,1)へと移動される。小型レンズアレイの9個のシフト転写を利用する3×3構成またはそれ以上の構成を形成する追加のシフトが使用され得ることに留意されたい。このような4つのインスタンスの後に収集された全強度マップは、上記の技術に従って処理を行うのに使用される。また、インスタンスの順序は、任意に決定され得、本発明の技術に従う処理に影響を及ぼさないことに留意されたい。別の実施形態では、(
図22A~
図22Dに示されているのと同様の)このような多重構成は、
図8Bに例示されているような並列アーキテクチャで使用され得る。
【0111】
波長、偏光フィルタリング、および/または異なる変調ならびに/もしくは配向を有する単位セルに関する、単位セルクラスタリング(最後のクラスタリングは、1Dエンコーダパターニングおよび対応する1D近接領域を有する単位セルに適している)を例示した
図23A~
図23Dについて説明する。
図23Aは、2つのグリーン透過セル、レッド透過セル、およびブルー透過セルを含むBayer型クラスタを例示しており、
図23Bは、従来の3つのRGB強度検出セルおよび本明細書に記載されているようなCC位相および/またはコヒーレンス検出セルの配列を例示しており、
図23Cは、可変配向および/または1D配向エンコーダセルの偏光フィルタを有するセルを例示しており、
図23Dは、波長セル、偏光セルおよび/または1D配向エンコーダセルの組み合わせ配列を例示している。
【0112】
一般に、上述したように、セルのクラスタリングは、広範囲の情報を有する撮像、例えば、多色撮像を提供するのに使用され得る。各々のクラスタは、一般に、単位セルと見なされる。しかしながら、クラスタの各々のセルは、それ自体単位セルであり、隣接クラスタの対応セルとサブチャネルを共有する。さらに、クラスタのセル間では、スペクトル範囲、偏光配向が異なり得、異なる基底系、サイズ、エンコーダの型、エンコーダの配向などに関連付けられ得る。セルクラスタリングの選択は、位相/コヒーレンス撮像のダイナミックレンジを拡大する収集データの奥行きまたは層を向上させるために使用され得、および/または追加の撮像層を生成し得る。例えば、エンコーダ型および/または基底系の選択の変化により、検出の精度および感度を最適化するために複数のパラメータに基づく位相および/またはコヒーレンスデータの再構成が可能になる。
【0113】
したがって、本発明の技術は、収集光の強度、位相、およびコヒーレンスを示すデータを決定するための検出システムおよび対応する方法を提供するものである。本発明の技術は、所与の位置から到達する光の位相およびコヒーレンスの検出に適しており、それと同時に、照明の制御または追加の方向からのサンプルの検査の必要がない。当業者は、添付の特許請求の範囲内で定義された範囲から逸脱せずに、本明細書内で上述した本発明の実施形態に様々な修正および変更が加えられてもよいことは、容易に理解するであろう。