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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】リンク式クランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
B23Q3/06 302F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020505627
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2019001891
(87)【国際公開番号】W WO2019176289
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-12-29
(31)【優先権主張番号】P 2018047054
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018099922
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉見 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】米澤 慶多朗
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534086(JP,A)
【文献】特表2017-529503(JP,A)
【文献】特開平11-170133(JP,A)
【文献】特開2003-305617(JP,A)
【文献】特開2003-103425(JP,A)
【文献】特開2009-107076(JP,A)
【文献】特開平07-185979(JP,A)
【文献】実開昭63-120742(JP,U)
【文献】国際公開第2008/126598(WO,A1)
【文献】米国特許第4620695(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル(1)の穴(1b)に挿入されたハウジング(3)であって、ロッド(12)が上下方向へ移動可能に挿入されたハウジング(3)と、
前記ロッド(12)の上部に上下揺動自在に連結されたクランプアーム(30)と、
前記ハウジング(3)に揺動自在に連結されるリンク下部(35)と前記クランプアーム(30)に揺動自在に連結されるリンク上部(34)とを有するリンク部材(33)と、
クランプ位置設定時に軸心回りの所望の回動角度位置に向かって軸心の位置を一定に保持しながら回動する前記ハウジング(3)を支持可能に形成された回動支持部材(26)と、
前記所望の回動角度位置で前記ハウジング(3)を前記回動支持部材(26)に固定するロック部材(46)と、
を備え、
前記ハウジング(3)の一部が前記テーブル(1)に支持されており、
前記テーブル(1)と前記回動支持部材(26)との間に隙間が設けられており、
前記ロック部材(46)の締付力が、前記回動支持部材(26)を介して前記ハウジング(3)を前記テーブル(1)に押し付ける方向へ作用する、ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項2】
請求項1のリンク式クランプ装置において、
クランプ作動時に前記リンク部材(33)から前記ハウジング(3)に作用する上向き力を受け止めるために前記ハウジング(3)と前記回動支持部材(26)との間に設けられた受け止め部材(B)をさらに備え、
前記ハウジング(3)が、前記ハウジング(3)に作用する上向き力を前記受け止め部材(B)に伝達する伝達面(37)を有し、
前記回動支持部材(26)が、前記受け止め部材(B)に伝達された上向き力を受け止める受け面(27)を有する、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項3】
請求項2のリンク式クランプ装置において、
前記受け止め部材(B)が、前記ハウジング(3)の外周に沿って配置される止め輪(38)を含む、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項4】
請求項2のリンク式クランプ装置において、
前記受け止め部材(B)が、前記ハウジング(3)の外周に沿って所定間隔を空けて配置される複数の楔部材(41)を含む、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項5】
請求項3のリンク式クランプ装置において、
前記止め輪(38)を前記ハウジング(3)と前記回動支持部材(26)との間に前記ハウジング(3)の下方から装着するために、前記回動支持部材(26)が前記ハウジング(3)の上方へ移動可能に設けられる、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項6】
請求項1のリンク式クランプ装置において、
前記ハウジング(3)が、前記リンク下部(35)を連結するために、前記ハウジング(3)の外周壁(3d)よりも半径方向の外方、及び、前記ハウジング(3)の上方に突出する枢支部(28)を有し、
前記回動支持部材(26)を前記ハウジング(3)の上側から前記ハウジング(3)に取り付けるための逃がし凹部(51)が前記回動支持部材(26)の内周壁(52)に形成される、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項7】
請求項6のリンク式クランプ装置において、
前記回動支持部材(26)の内周壁(52)が、下側から順に形成される大径孔(53)と小径孔(54)とを有し、
前記逃がし凹部(51)は、前記小径孔(54)に周方向に沿って形成される、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項8】
請求項7のリンク式クランプ装置において、
前記ハウジング(3)の外周壁(3d)から前記大径孔(53)に向かってフランジ部(58)が突設され、
前記フランジ部(58)が、前記ハウジング(3)に作用する上向き力を前記回動支持部材(26)に伝達する伝達面(59)を有し、
前記伝達面(59)から伝達される上向き力を受け止める受け面(56)が、前記大径孔(53)と小径孔(54)との間の段差部(55)に形成される、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項9】
請求項6のリンク式クランプ装置において、
前記逃がし凹部(51)の上側で前記内周壁(52)から突出して前記ハウジング(3)の外周壁(3d)に当接するカバー部(50)が前記回動支持部材(26)に形成される、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【請求項10】
請求項1のリンク式クランプ装置において、
前記ハウジング(3)が、前記ハウジング(3)の外周壁に周方向に形成された環状溝(63、64)と、
前記ロッド(12)を上下方向へ移動させる圧力流体を供給及び排出するために前記環状溝(63、64)に形成された流体給排口(17、21)とを有する、
ことを特徴とするリンク式クランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンク式クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のリンク式クランプ装置には、従来では、下記の特許文献1(国際公開第2008/126598号パンフレット)に記載されたように、次のように構成されたものがある。
【0003】
ハウジングに上下方向へ移動可能に挿入されたロッドの上部にクランプアームの左端部を上下揺動自在に連結し、上記ハウジングの上部外周に設けた支持部に環状の被支持部材を軸心回りに回動可能に装着する。上記の被支持部材に設けた枢支部と上記クランプアームの長手方向の途中部とをリンク部材によって連結する。上記の支持部及び上記の被支持部材に、クランプ作動時に上記リンク部材から上記の枢支部に作用する上向き力を受け止める受け止め手段を設ける。上記の支持部に上記の被支持部材をロック手段によって所望の回動角度位置に固定する。
【0004】
上記受け止め手段は、ハウジングの支持部の外周に形成した少なくとも一つの雄ネジ領域と、その雄ネジ領域に上下方向へ移動可能に螺合するように被支持部材の内周に形成した少なくとも一つの雌ネジ領域とを備える。
【0005】
クランプアームのクランピング位置をロッドの軸心回りの所望の回動角度位置へ変更する場合には、まず、前記ロック手段による前記の被支持部材の固定を解除した状態で、前記の支持部に対して上記の被支持部材を上記の所定角度だけ軸心回りに回動させ、次いで、その回動角度位置の被支持部材をロック手段によって上記の支持部に固定すればよい。
【0006】
これにより、クランプアームのクランピング位置をロッドの軸心回りの所望の回動角度位置へ容易に設定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2008/126598号パンフレット(2008年10月23日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来技術は以下の問題がある。
【0009】
ハウジングの支持部の外周に形成した雄ネジ領域と、被支持部材の内周に形成した雌ネジ領域との螺合により、前記の支持部に対して上記の被支持部材が回動するので、被支持部材の上下方向の位置が微妙にずれる。このため、所望の回動角度位置に変更されたクランプアームの上下方向の位置も微妙にずれる。また、クランプを解除してクランプアームがワークから離れる方向に旋回したリリース状態におけるクランプアームの位置が、所望の回動角度位置への変更により微妙にずれる。そして、クランプアームのクランプ位置における予め調整された水平状態も微妙にずれる。
【0010】
このため、クランプアームのクランピング位置をロッドの軸心回りの所望の回動角度位置へ変更する構成に改善の余地が残されていた。
【0011】
本発明の一態様は、クランプ位置を軸心回りの所望の回動角度位置に精度良く変更するリンク式クランプ装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば図1から図5、又は図6図7、又は図8から図11、又は図12に示すように、リンク式クランプ装置を次のように構成した。
【0013】
ロッド12が上下方向へ移動可能に挿入されたハウジング3と、前記ロッド12の上部に上下揺動自在に連結されたクランプアーム30と、前記ハウジング3に揺動自在に連結されるリンク下部35と前記クランプアーム30に揺動自在に連結されるリンク上部34とを有するリンク部材33と、クランプ位置設定時に軸心回りの所望の回動角度位置に向かって軸心の位置を一定に保持しながら回動する前記ハウジング3を支持可能に形成された回動支持部材26と、前記所望の回動角度位置で前記ハウジング3を前記回動支持部材26に固定するボルト46と、を備えるものである。
【0014】
本発明は次の作用効果を奏する。
【0015】
クランプアームのクランピング位置をロッドの軸心回りの所望の回動角度位置へ変更する場合には、まず、前記ロック部材による前記の回動支持部材の固定を解除した状態で、前記の回動支持部材に対して上記のハウジングを所定角度だけ軸心回りに回動させ、次いで、その回動角度位置のハウジングをロック部材によって上記の回動支持部材に固定すればよい。
【0016】
ハウジングが軸心回りの所望の回動角度位置に向かって軸心の位置を一定に保持しながら回動するように回動支持部材が形成されているので、前記の従来技術とは異なり、所望の回動角度位置に変更されるクランプアームの上下方向の位置が一定に保持される。
【0017】
また、クランプを解除してクランプアームがワークから離れる方向に旋回したリリース状態におけるクランプアームの位置も一定に保持される。
【0018】
さらに、クランプアームのクランプ位置における予め調整された水平状態が一定に保持される。
【0019】
その結果、クランプアームのクランプ位置を軸心回りの所望の回動角度位置に精度良く変更することができる。
【0020】
本発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0021】
クランプ作動時に前記リンク部材33から前記ハウジング3に作用する上向き力を受け止めるために前記ハウジング3と前記回動支持部材26との間に設けられた受け止め部材Bをさらに備え、前記ハウジング3が、前記ハウジング3に作用する上向き力を前記受け止め部材Bに伝達する伝達面37を有し、前記回動支持部材26が、前記受け止め部材Bに伝達された上向き力を受け止める受け面27を有するものである。
【0022】
この場合、クランプ作動時に前記リンク部材から前記ハウジングに作用する上向き力を、伝達面と受け止め部材と受け面とにより確実に受け止めることができる。
【0023】
上記の発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0024】
前記受け止め部材Bが、前記ハウジング3の外周に沿って配置される止め輪38を含むものである。
【0025】
この場合、止め輪はハウジングに一体に装着されているので、段取り替え等のための分解時等に紛失するおそれがなく、取り扱いが便利になる。
【0026】
上記の発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0027】
前記受け止め部材Bが、前記ハウジング3の外周に沿って所定間隔を空けて配置される複数の楔部材41を含むものである。
【0028】
この場合、楔部材の楔効果により、クランプ作動時に前記リンク部材から前記ハウジングに作用する上向き力を強力に受け止めることができる。
【0029】
本発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0030】
前記止め輪38を前記ハウジング3と前記回動支持部材26との間に前記ハウジング3の下方から装着するために、前記回動支持部材26が前記ハウジング3の上方へ移動可能に設けられるものである。
【0031】
この場合、クランプ作動時に前記リンク部材から前記ハウジングに作用する上向き力を受け止めるための止め輪を、ハウジングと回動支持部材との間に容易に組み込むことができる。
【0032】
上記の発明には、例えば図8から図11に示すように、次の構成を加えることが好ましい。
【0033】
前記ハウジング3が、前記リンク下部35を連結するために、前記ハウジング3の外周壁3dよりも半径方向の外方、及び、前記ハウジング3の上方に突出する枢支部28を有し、前記回動支持部材26を前記ハウジング3の上側から前記ハウジング3に取り付けるための逃がし凹部51が前記回動支持部材26の内周壁52に形成されるものである。
【0034】
この場合、回動支持部材は逃がし凹部が形成されているため、枢支部から逃げるようにして、ハウジングの上側からハウジングに取り付けられる。従って、ロッドの力を有効に活用してワークを下向きに押圧できるとともに、組立性にも優れたリンク式クランプ装置を得ることができる。
【0035】
上記の発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0036】
前記回動支持部材26の内周壁52が、下側から順に形成される大径孔53と小径孔54とを有し、前記逃がし凹部51は、前記小径孔54に周方向に沿って形成されるものである。
【0037】
この場合、取付時の枢支部との干渉を回避するための逃がし凹部を容易に形成することができる。
【0038】
上記の発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0039】
前記ハウジング3の外周壁3dから前記大径孔53に向かってフランジ部58が突設され、前記フランジ部58が、前記ハウジング3に作用する上向き力を前記回動支持部材26に伝達する伝達面59を有し、前記伝達面59から伝達される上向き力を受け止める受け面56が、前記大径孔53と小径孔54との間の段差部55に形成されるものである。
【0040】
この場合、クランプ作動時に前記リンク部材から前記ハウジングに作用する上向き力を、受け止め部材を設けることなく、伝達面と受け面とにより確実に受け止めることができる。
【0041】
上記の発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0042】
前記逃がし凹部51の上側で前記内周壁52から半径方向の内方に突出して前記ハウジング3の外周壁3dに当接するカバー部50が前記回動支持部材26に形成されるものである。
【0043】
この場合、回動支持部材とハウジングとの間に切粉等の異物が侵入することをカバー部により防止できる。
【0044】
上記の発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0045】
前記ハウジング3が、前記ハウジング3の外周壁に周方向に形成された環状溝63、64と、前記ロッド12を上下方向へ移動させる圧力流体を供給及び排出するために前記環状溝63、64に形成された流体給排口(圧油給排口17、21)とを有するものである。
【0046】
この場合、クランプ位置設定時に所望の回動角度位置に向かってハウジングを回動させて流体給排口の位置が変化しても、環状溝を経由して、テーブルに形成された流体給排口とハウジングに形成された流体給排口との間で流体を段取り替え無く供給及び排出することができる。
【0047】
上記の発明には、次の構成を加えることが好ましい。
【0048】
クランプ作動時に前記リンク部材33から前記ハウジング3に作用する上向き力を受け止めるために、前記ハウジング3の外周壁に形成された雄ネジ部70と、前記回動支持部材26の内周壁に形成された雌ネジ部71とをさらに備え、前記ハウジング3に作用する上向き力を前記雄ネジ部70と前記雌ネジ部71とを介して前記回動支持部材26が受け止める。
【0049】
この場合、前記雄ネジ部に対して上記の回動支持部材が回動されると、回動支持部材の上下方向の位置がずれるが、ハウジングの着座部がテーブルの穴のテーパ面によって下方から受け止められており、ハウジング自体の上下方向の位置はずれない。このため、所望の回動角度位置に変更されたクランプアームの上下方向の位置はずれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の第1実施形態を示し、リンク式クランプ装置のアンクランプ状態の縦断面図である。
図2】上記リンク式クランプ装置のクランプ状態の縦断面図である。
図3図1に示されるA部の拡大断面図である。
図4】上記リンク式クランプ装置の平面図であり、(a)はクランプ位置設定前の平面図であり、(b)はクランプ位置設定後の平面図である。
図5】上記リンク式クランプ装置のハウジングと回動支持部材との間に止め輪を組み込む態様を示す縦断面図である。
図6】本発明の第2実施形態を示し、(a)はリンク式クランプ装置の平面図であり、(b)はリンク式クランプ装置の縦断面図であり、(a)中の5B-5B線の矢視断面図である。
図7】(a)は上記リンク式クランプ装置の回動支持部材と楔部材とを示す斜視図であり、(b)は回動支持部材に装着された楔部材を示す斜視図である。
図8】本発明の第3実施形態を示し、リンク式クランプ装置のアンクランプ状態の縦断面図である。
図9図8に示されるC部の拡大断面図である。
図10】上記リンク式クランプ装置のハウジングに形成された環状溝を説明するための模式図である。
図11】(a)~(c)は上記回動支持部材をハウジングの上側からハウジングに取り付ける詳細な態様を示す縦断面図である。
図12】本発明の第4実施形態を示し、(a)はリンク式クランプ装置のクランプ状態の縦断面図であり、(b)は(a)に示されるD部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態を図1から図5によって説明する。
【0052】
図1は、本発明の第1実施形態を示し、リンク式のクランプ装置2のアンクランプ状態の縦断面図であり、図2はリンク式のクランプ装置2のクランプ状態の縦断面図である。図3図1に示されるA部の拡大断面図である。図4は、リンク式のクランプ装置2の平面図であり、(a)はクランプ位置設定前の平面図であり、(b)はクランプ位置設定後の平面図である。
【0053】
この実施形態は、固定台としてのテーブル1にリンク式のクランプ装置2を配置した場合を例示してある。そのクランプ装置2の筒状のハウジング3は、テーブル1の上面1aに形成された穴1bに挿入される。
【0054】
そのテーブル1の上面1aに載置したワークWが上記クランプ装置2によって固定される。
【0055】
上記ハウジング3のシリンダ孔10にピストン11が上下方向へ移動可能で保密状に挿入され、そのピストン11からロッド12が上向きに一体に突出される。そのロッド12は、ハウジング3の上端壁3aに上下方向へ移動可能で保密状に挿入されている。ハウジング3の下端壁3bと上記ピストン11との間に形成したクランプ室15が、ハウジング3の胴部3cに形成したクランプ用の圧油給排口17へ連通される。
【0056】
また、ハウジング3の上端壁3aと上記ピストン11との間に形成したアンクランプ室19が、ハウジング3の胴部3cに形成したアンクランプ用の圧油給排口21へ連通される。
【0057】
ハウジング3の上端壁3aの一部から枢支部28が上向きに一体に突出される。また、前記ロッド12の上部にクランプアーム30の長手方向の左端部(一端部)が第1ピン31によって垂直面内で揺動自在に連結される。そのクランプアーム30の長手方向の途中部が第2ピン32によってリンク部材33のリンク上部34に垂直面内で揺動自在に連結される。また、そのリンク部材33のリンク下部35が第3ピン36によって前記の枢支部28に揺動自在に連結される。なお、上記リンク部材33は、図4に示すように、上記の枢支部28およびクランプアーム30を両側から挟むように2つ設けられるが、図1図2では一方のリンク部材33だけを図示している。
【0058】
上記ハウジング3の胴部3cは、テーブル1の上面1aに形成された穴1bに、軸心の位置を一定に保持しながら軸心回りに回動可能に挿入される。そのハウジング3の上端壁3aの下面が、テーブル1の上面1aに下方から支持されている。なお、本実施形態においては、ハウジング3は、軸心回りに所望する方向へ向けて回転された状態で前記のテーブル1の穴1bに保密状に装着されている。
【0059】
図3に示すように、ハウジング3の上端壁3aの外周壁3dに、伝達面37が周方向に沿って形成される。その伝達面37に断面円形状の止め輪38が装着されている。
【0060】
前記のハウジング3の上端壁3aの外周部に環状の回動支持部材26が外嵌められる。その回動支持部材26の内周面26aは、上方へ向かうにつれて軸心に向けて狭まるように形成される。回動支持部材26は、止め輪38を介して、クランプ位置設定時に軸心回りの所望の回動角度位置に向かって軸心の位置を一定に保持しながら回動されたハウジング3をテーブル1に固定する。このとき、テーブル1の上面1aと回動支持部材26の下面との間に隙間が設けられている。これにより、図3及び図1に示すように、ボルト46の下向きの締付力が、回動支持部材26と止め輪38とを介してハウジング3をテーブル1に押し付ける方向へ作用する。その結果、ハウジング3をテーブル1に確実に固定できる。
【0061】
また、クランプ作動時には、クランプアーム30がワークWを押す力の反力がハウジング3に第3ピン36の力として作用され、その上向きの力が受け止め部材Bとしての止め輪38を介して、テーブル1に固定された回動支持部材26によって上方から確実に受け止められる。
【0062】
回動支持部材26のボルト挿入孔48に挿入されたボルト46の脚部が、テーブル1の上面1aの雌ネジ穴49に螺合される。
【0063】
図5はリンク式のクランプ装置2のハウジング3と回動支持部材26との間に止め輪38を組み込む態様を示す縦断面図である。
【0064】
回動支持部材26は、図5に示すように、ハウジング3の上端壁3aの周面に形成された伝達面37が露出するように、ハウジング3の上方へ移動可能に設けられる。このため、回動支持部材26がハウジング3の上方へ移動して伝達面37が露出した状態で、止め輪38をハウジング3の下方から伝達面37の形成された溝に容易に装着することができる。
【0065】
また、止め輪38によって回動支持部材26がハウジング3の上端壁3aの外周壁から下方へ確実に抜け止めされる。
【0066】
上記クランプ装置2は次のように作動する。
【0067】
クランプ作動時には、図1図2に示すように、アンクランプ室19の圧油を排出する共にクランプ室15へ圧油を供給すると、前記ロッド12が上昇し、前記クランプアーム30が第2ピン32回りに時計回りの方向へ駆動され、そのクランプアーム30の右端部に設けた押ボルト57が前記ワークWを下向きに押圧する。このクランプ作動時には、クランプアーム30がワークWを押す力の反力がハウジング3に第3ピン36の力として作用され、その上向きの力が受け止め部材Bとしての止め輪38を介して、テーブル1に固定された回動支持部材26の受け面27によって上方から確実に受け止められる。
【0068】
上記とは逆に、アンクランプ時には、クランプ室15の圧油を排出する共にアンクランプ室19へ圧油を供給する。すると、上記ロッド12が下降し、上記クランプアーム30が反時計回りの方向へ退避される。
【0069】
クランプアーム30のクランピング位置をロッド12の軸心回りの所望の回動角度位置へ変更する場合には、まず、前記ボルト46によるハウジング3の回動支持部材26への固定を解除した状態で、回動支持部材26に対して上記のハウジング3を所定角度だけ軸心回りに回動させ、次いで、その回動角度位置のハウジング3をボルト46によって上記の回動支持部材26に固定すればよい。
【0070】
ハウジング3が軸心回りの所望の回動角度位置に向かって軸心の位置を一定に保持しながら回動するように回動支持部材26が形成されているので、前記の従来技術とは異なり、所望の回動角度位置に変更されたクランプアーム30の上下方向の位置が一定に保持される。
【0071】
また、クランプを解除してクランプアーム30がワークWから離れる方向に旋回したリリース状態におけるクランプアーム30の位置も一定に保持される。
【0072】
さらに、クランプアーム30のクランプ位置における予め調整された水平状態が一定に保持される。
【0073】
その結果、クランプアーム30のクランプ位置を軸心回りの所望の回動角度位置に精度良く変更することができる。
【0074】
〔実施形態2〕
本発明の第2実施形態を図6図7によって説明する。図6は、本発明の第2実施形態を示し、(a)はリンク式のクランプ装置2Aの平面図であり、(b)はリンク式のクランプ装置2Aの縦断面図であり、(a)中の5B-5B線の矢視断面図である。
【0075】
この第2実施形態は、前記の第1実施形態とは次の点で異なる。
【0076】
前記受け止め部材Bは、ハウジング3の外周に沿って所定間隔を空けて配置される複数の楔部材41である。図7に示す例では、3個の楔部材41が、回動支持部材26の内周に沿って等しい間隔を空けて配置される。
【0077】
上記の第2実施形態は次の長所を奏する。
【0078】
第1実施形態と同様に、クランプアーム30のクランピング位置をロッド12の軸心回りの所望の回動角度位置へ変更した後、ボルト46により回動支持部材26をテーブル1に締め付けると、3個の楔部材41が、ハウジング3を軸心に向かって角度が互いに120度異なる3方向から強固に押しつける。このため、ハウジング3の横方向の位置が所定の中心位置からずれることが回避され、ハウジング3を所定の中心位置で強固に固定することができる。
【0079】
〔実施形態3〕
本発明の第3実施形態を図8図14によって説明する。
【0080】
図8は本発明の第3実施形態を示し、リンク式のクランプ装置2Bのアンクランプ状態の縦断面図である。図9は、図8に示されるC部の拡大断面図である。図10はリンク式のクランプ装置2Bのハウジング3に形成された環状溝63・64を説明するための模式図である。
【0081】
枢支部28はハウジング3の上方に突出する。そして、枢支部28は、ハウジング3の外周壁3dよりも半径方向の外方へ寸法D3だけ突出する。これは、図2に示されるように、第1ピン31が力点となり、第3ピン36が支点となり、押ボルト57が作用点となって、梃子の原理によりリンク部材33がロッド12の軸心と平行な姿勢でワークWを下向きに押圧するので、枢支部28を外周壁3dよりも半径方向の外方に突出させて力点(第1ピン31)と支点(第3ピン36、第2ピン32)との間の距離を長くする方が、ロッド12の力を有効に活用してワークWを強く下向きに押圧できるからである。
【0082】
この第3実施形態は、前記の第1及び第2実施形態とは次の点で異なる。
【0083】
リンク式のクランプ装置2Bには、止め輪38も楔部材41も設けられていない。
【0084】
回動支持部材26の内周壁52は、下側から順に形成される大径孔53及び小径孔54を有する。
【0085】
回動支持部材26をハウジング3の上側からハウジング3に取り付けるための逃がし凹部51が、回動支持部材26の内周壁52の小径孔54に周方向に沿って形成される。
【0086】
ハウジング3は、外周壁3dから回動支持部材26の大径孔53に向かって突設されるフランジ部58を有する。フランジ部58は、ハウジング3の枢支部28に作用する上向き力を回動支持部材26に伝達する伝達面59を有する。回動支持部材26の大径孔53と小径孔54との間の段差部55に、フランジ部58の伝達面59から伝達される上向き力を受け止める受け面56が形成される。回動支持部材26の下面とテーブル1の上面1aとの間には隙間D1が形成される。
【0087】
大径孔53の直径は、フランジ部58の直径よりも大きくなるように設定されている。小径孔54の直径は、ハウジング3の外周壁3dの直径よりも、係合隙間D2に相当する長さだけ大きくなるように設定されている。
【0088】
回動支持部材26は、逃がし凹部51の上側で内周壁52から半径方向の内方へ突出してハウジング3の外周壁3dに当接するカバー部50を有する。これにより、逃がし凹部51の上側のカバー部50がハウジング3の外周壁3dに外嵌めされるので、小径孔54とハウジング3の外周壁3dとの間に、ワークWに関連する作業で発生する切粉等の異物が侵入することを防止できる。
【0089】
本実施形態では逃がし凹部51が溝状に形成される例を示しているが、本発明はこれに限定されない。カバー部50を回動支持部材26とは別の部材で構成し、逃がし凹部51を切り欠き状に形成し、ハウジング3の外周壁3dと逃がし凹部51との間に当該別部材を嵌め込むように構成してもよい。
【0090】
ハウジング3の上端壁3aの上面は、半径方向の外方に進むに従って低くなる傾斜面となっている。回動支持部材26のカバー部50の上面も、ハウジング3の上端壁3aの傾斜面に連続する傾斜面となっている。このため、ワークWに関連する作業で発生する切粉が流れやすくなり、切粉の上面への堆積が防止される。
【0091】
図8及び図10に示すように、ハウジング3の上端壁3aとピストン11との間に形成したアンクランプ室19が、ハウジング3の胴部3cに形成したアンクランプ用の圧油給排口21へ連通される。そして、ハウジング3の下端壁3bとピストン11との間に形成したクランプ室15が、ハウジング3の胴部3cに形成したクランプ用の圧油給排口17へ連通される。
【0092】
アンクランプ室19に圧油を給排するためのテーブル圧油給排口61がテーブル1に形成される。そして、クランプ室15に圧油を給排するためのテーブル圧油給排口62がテーブル1に形成される。
【0093】
テーブル圧油給排口61と圧油給排口21とに繋がる環状溝63がハウジング3の胴部3cに装着されたOリング65とOリング66との間でハウジング3の胴部3cの周方向に沿って全周に形成される。そして、テーブル圧油給排口62と圧油給排口17とに繋がる環状溝64がハウジング3の胴部3cに装着されたOリング66とOリング67との間でハウジング3の胴部3cの周方向に沿って全周に形成される。
【0094】
上記回動支持部材26は次のようにハウジング3に取り付ける。
【0095】
図11(a)~(c)は上記回動支持部材26をハウジング3の上側からハウジング3に取り付ける詳細な態様を示す縦断面図である。
【0096】
まず、図11(a)に示すように、アンクランプ状態のリンク式のクランプ装置2Bの上方に回動支持部材26を配置する。そして、アンクランプ状態のリンク式のクランプ装置2Bのクランプアーム30とリンク部材33とが、回動支持部材26の内周壁52により形成される空間を通り抜けるように回動支持部材26を下降させる。
【0097】
次に、ハウジング3の枢支部28が回動支持部材26の内周壁52に近づくように回動支持部材26を横方向に移動させる。その後、回動支持部材26の枢支部28と反対側の部分を保持しながら、回動支持部材26の枢支部28側の部分を下降させて回動支持部材26を傾ける。
【0098】
そして、回動支持部材26の枢支部28側の逃がし凹部51がハウジング3の枢支部28側の外周壁3dに近づくように回動支持部材26を左斜め上へ並行移動させる。次に、図11(b)、図11(c)に示すように、回動支持部材26の枢支部28と反対側の部分が下降するように、回動支持部材26の枢支部28側の部分を支点として、回動支持部材26を反時計回りに回動させる。その後、回動支持部材26の大径孔53と小径孔54との間に形成された受け面56がハウジング3のフランジ部58に形成された伝達面59に当接して、図11(d)に示すように、回動支持部材26がハウジング3に取り付けられる。
【0099】
上記の第3実施形態は次の長所を奏する。
【0100】
回動支持部材26の内周壁52に逃がし凹部51が形成されているため、回動支持部材26は、ハウジング3の外周壁3dよりも半径方向の外方、及び、ハウジング3の上方に突出する枢支部28から逃げるようにして、ハウジング3の上側からハウジング3に取り付けられる。従って、ロッド12の力を有効に活用してワークWを下向きに強く押圧できるとともに、組立性にも優れたリンク式クランプ装置を得ることができる。
【0101】
ハウジング3の外周壁3dから前記大径孔53に向かって突設されたフランジ部58に、ハウジング3に作用する上向き力を回動支持部材26に伝達する伝達面59が形成され、伝達面59から伝達される上向き力を受け止める受け面56が、大径孔53と小径孔54との間の段差部55に形成されるので、止め輪38も楔部材41も設けらずに部品点数が削減された簡素な構成により、クランプ作動時にリンク部材33からハウジング3に作用する上向き力を、確実に受け止めることができる。
【0102】
逃がし凹部51の上側で内周壁52から突出してハウジング3の外周壁3dに当接するカバー部50が回動支持部材26に形成されるので、回動支持部材26の小径孔54とハウジング3の外周壁3dとの間に切粉等の異物が侵入することを防止できる。
【0103】
テーブル圧油給排口61と圧油給排口21とに繋がる環状溝63が周方向に沿って形成され、テーブル圧油給排口62と圧油給排口17とに繋がる環状溝64が周方向に沿って形成される。このため、テーブル圧油給排口61が環状溝63に対面する。そして、テーブル圧油給排口62が環状溝64に対面する。従って、ハウジング3がどのような回動角度位置に回動しても、テーブル圧油給排口61から環状溝63を通って圧油給排口21に圧油を供給することができ、テーブル圧油給排口62から環状溝64を通って圧油給排口17に圧油を供給することができる。
【0104】
上記の各実施形態は、次のように変更可能である。
【0105】
クランプアーム30が軸心回りに旋回すると共に、昇降動作する旋回式クランプ装置に対しても本発明を適用することができる。
【0106】
受け面27が平面状の例を示したが、受け面27は曲面状に形成してもよい。
【0107】
止め輪38の断面は、円形に限定されず、楕円形、四角形であってもよい。
【0108】
3個の楔部材41の例を示したが、4個以上の楔部材41を配置してもよい。
【0109】
上記ピストン11及びロッド12を駆動する手段は、例示した油圧複動式に代えて、油圧でクランプすると共にバネで復帰させるものであってもよく、バネでクランプすると共に油圧で復帰させるものであってもよい。その駆動手段に使用する圧力流体は、圧油等の液体に代えて圧縮空気等の気体であってもよい。
【0110】
上記クランプ装置2,2Aは、図示とは上下逆に配置したり斜めに配置したものであってもよい。
【0111】
〔第4実施形態〕
まず、本発明の第4実施形態を図12によって説明する。
【0112】
図12は、本発明の第4実施形態を示し、(a)はリンク式のクランプ装置2Cのクランプ状態の縦断面図であり、(b)は(a)に示されるD部の拡大断面図である。
【0113】
この実施形態では、テーブル1の穴1bの上部に、テーパ面68が上方へ向かうにつれて広がるように形成される。そのテーパ面68に係合される着座部69がハウジング3の上端壁3aに上方へ向かうにつれて広がるように形成される。そのハウジング3は、軸心の位置を一定に保持しながら軸心回りに回動可能に穴1bに挿入される。そのハウジング3の着座部69が、テーブル1の上面1aに隣接して形成されるテーパ面68により下方から支持されている。これにより、ハウジング3の軸心が穴1bの軸心に一致するようにハウジング3が穴1bに挿入される。
【0114】
なお、本実施形態においては、ハウジング3は、軸心回りに所望する方向へ向けて回転された状態で前記のテーブル1の穴1bに保密状に装着されている。
【0115】
また、本実施形態において、着座部69がハウジング3の外周壁にテーパ状に形成されていることに代えて、テーブル1の上面1aに平行となるように水平状に着座部69が形成されて、この水平状に形成された着座部69が上面1aにより下方から支持されるように構成されてもよい。
【0116】
図12(b)に示すように、ハウジング3の雄ネジ部70の上面によって伝達面37が構成される。ハウジング3の雄ネジ部70に環状の回動支持部材26の雌ネジ部71が螺合される。回動支持部材26のボルト挿入孔48を通ってボルト46がテーブル1に固定されることにより、回動支持部材26が、クランプ位置設定時に軸心回りの所望の回動角度位置に向かって軸心の位置を一定に保持しながら回動されたハウジング3をテーブル1に固定する。このとき、テーブル1の上面1aと回動支持部材26の下面との間に隙間が設けられている。これにより、図3及び図1で前述した構成と同様に、ボルト46の下向きの締付力が、回動支持部材26の雌ネジ部71とハウジング3の雄ネジ部70とを介してハウジング3をテーブル1に押し付ける方向へ作用する。その結果、ハウジング3をテーブル1に確実に固定できる。
【0117】
ハウジング3が軸心回りの所望の回動角度位置に向かって軸心の位置を一定に保持しながら回動するように回動支持部材26が形成されているので、前記の従来技術とは異なり、所望の回動角度位置に変更されたクランプアーム30の上下方向の位置が一定に保持される。
本実施形態のリンク式クランプ装置2Cでは、ハウジング3の雄ネジ部70と、回動支持部材26の雌ネジ部71とが螺合されている。このため、前記回動支持部材26の雌ネジ部71に対して上記のハウジング3が軸心回りに回動されると、ハウジング3の上下方向の位置がずれると考えられるが、ハウジング3の着座部69がテーブル1の穴1bのテーパ面68によって下方から受け止められているため、ハウジング3自体の上下方向の位置はずれない。このため、所望の回動角度位置に変更されたクランプアーム30の上下方向の位置はずれることがない。また、クランプを解除してクランプアーム30がワークWから離れる方向に旋回したリリース状態におけるクランプアーム30の位置が、ハウジング3の所望の回動角度位置への変更によりずれることがない。そして、クランプアーム30のクランプ位置における予め調整された水平状態も維持される。すなわち、クランプ位置2Cを軸心回りの所望の回動角度位置に精度良く変更できる。
【0118】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
2:クランプ装置,3:ハウジング,12:ロッド,17:圧油給排口,21::圧油給排口,26:回動支持部材,27:受け面,28:枢支部,30:クランプアーム,33:リンク部材,34:リンク上部,35:リンク下部,37:伝達面,38:止め輪,41:楔部材,46:ボルト(ロック部材),50:カバー部,51:逃がし凹部,52:内周壁,53:大径孔,54:小径孔,55:段差部、56:受け面、58:フランジ部,59:伝達面,63:環状溝,64:環状溝,68:テーパ面,69:着座部,70:雄ネジ部,71:雌ネジ部,B:受け止め部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12