(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】メクソムソク顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/22 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
C08J3/22 CER
C08J3/22 CEZ
(21)【出願番号】P 2021534993
(86)(22)【出願日】2019-04-25
(86)【国際出願番号】 KR2019005008
(87)【国際公開番号】W WO2020130239
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0166563
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517161360
【氏名又は名称】メクソムソク ジーエム カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クァク,ソン グン
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0573811(KR,B1)
【文献】特開平11-193358(JP,A)
【文献】特開平08-291229(JP,A)
【文献】特開2000-159898(JP,A)
【文献】特開平07-252378(JP,A)
【文献】特開2008-105920(JP,A)
【文献】特開平06-073196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00-3/28、99/00、C01B33/20-39/54、
C08K3/00-13/08、C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法において、
二酸化ケイ素(SiO
2)68.80重量%、酸化アルミニウム(Al
2O
3)12.99重量%、酸化鉄(Fe
2O
3)2.47重量%、酸化カルシウム(CaO)1.99重量%、酸化マグネシウム(MgO)0.56重量%、酸化カリウム(K
2O)4.53重量%、酸化ナトリウム(Na
2O)6.25重量%、二酸化チタン(TiO
2)0.23重量%、五酸化リン(P
2O
5)0.06重量%、及び、酸化マンガン(MnO)0.06重量%を含む火成岩類の中の石英斑岩に属する岩石
(メクソムソク)の粉砕物及び水を一定の割合で混合してスラリーを収得するスラリーの製造段階と、
前記スラリーに抗菌物質及び発泡剤を添加して、さらに混合して顆粒化混合物を収得する1次混合段階と、
顆粒機を利用して、前記顆粒化混合物を0.1~1.5mmの範囲内の平均粒径の顆粒状に成形して焼結させたメクソムソク顆粒を収得する顆粒の成形段階と、
ペレット形態のプラスチック原材料を準備し、前記メクソムソク顆粒と混合してペレット混合物を製造する2次混合段階と、
前記ペレット混合物を攪拌して180~350℃の条件で溶融及び押出する押出段階と、
前記溶融及び押出された押出物を冷却し、切断してマスターバッチを製造する冷却切断段階と、を含んで構成されることを特徴とするメクソムソク顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法。
【請求項2】
前記顆粒の成形段階の後に、前記メクソムソク顆粒を焼成して、内部に空きスペースが形成され、表面に多孔が形成された形になるようにする焼成段階がさらに進行され、
前記押出段階から溶融されたプラスチック樹脂原料が前記メクソムソク顆粒内部の空きスペースに粉砕されながら満たされて結合されていることを特徴とする請求項1に記載のメクソムソク顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法。
【請求項3】
前記メクソムソク粉砕物は、メクソムソク原鉱を高温焼成した後、湿式で粉砕して0.1~1.5mmのサイズに得られたことを特徴とする請求項2に記載のメクソムソク顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法。
【請求項4】
前記2次混合段階で、前記メクソムソク顆粒は、ペレット混合物100重量%に対して、2~70重量%を含まれるように混合されていることを特徴とする請求項3に記載のメクソムソク顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法。
【請求項5】
前記抗菌物質は、銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項4に記載のメクソムソク顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法。
【請求項6】
前記2次混合段階は、準備された顆粒を粉砕して粉砕物をプラスチック原材料と混合することを特徴とする請求項1に記載のメクソムソク顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製品を製造するために使用されるマスターバッチを製造する方法に関するものであり、ペレットを溶融させるときに抗菌性物質を含みながらメクソムソク(Macsumsuk)を原料とする多孔質の焼成顆粒を添加して、優れた抗菌効果を発揮できるようにしたメクソムソク(Macsumsuk)顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抗菌プラスチックは、プラスチックに抗菌物質が含まれて殺菌および抗菌作用をし、抗カビ効果、腐敗の防止、鮮度の保持、悪臭の除去などの役割をすることが知られている。
【0003】
抗菌プラスチックの製造に関連する技術として、「抗菌プラスチック素材、抗菌プラスチック、抗菌プラスチック製造用マスターバッチ、および抗菌プラスチックの製造方法」(韓国登録特許第10-1334283号公報、特許文献1)には、1次粒子が集合した2次粒子からなる粉末状のコーティングされていない酸化亜鉛を含むプラスチック素材に関する技術が公開されている。
【0004】
酸化亜鉛は、優れたレベルの毒や細菌の抗性を持っており、細菌、ウイルス、真菌などの単細胞生物が酸素および消化代謝作用をする特殊な酵素に作用して無力化させることができるので、菌を窒息または餓死させる触媒作用をすることが知られている。
【0005】
酸化亜鉛は、優れた紫外線の遮断効果により広範囲に使用されてきた製品や持続的な効果を発揮することが難しく、プラスチックの物性を阻害する問題点があった。
【0006】
また、既存の銀ナノ粒子を適用するための多くの努力があったが、銀ナノ粒子の分離の問題があり、表面コーティング方式ではなく、プラスチック自体に含有されるようにする点から均一な品質を提供できず、抗菌力が落ちるという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のメクソムソク(Macsumsuk)顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法は、前記のような従来技術で発生する問題点を解消するためのものであり、マスターバッチとして使用された場合、優れた抗菌効果を発揮できるようにする製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
特に、メクソムソクを利用して、内部に空きスペースが形成された顆粒を形成し、この顆粒の空きスペースの内部にプラスチック原料が満たされたまま押出されるようにして、プラスチック製品の成形過程でのマスターバッチ間の結合がスムーズになり、メクソムソク顆粒とプラスチック原料がよく分離されないようにして、プラスチック製品の物性低下を防止することができるようにするものである。
【0010】
また、抗菌性物質である銀ナノ粒子が顆粒の成形過程で添加加工され、後に顆粒が焼結処理される過程で、顆粒にしっかり一体化されるようにして、プラスチック製品の製造のための溶融処理の過程で比重や遠心力によって1ヶ所に偏り現象を防止して抗菌効果が製品全体に均等に行われるようにするものである。
【0011】
さらに、成形されたプラスチック製品の表面または内容物のうちメクソムソク(Macsumsuk)顆粒から発生する遠赤外線および抗菌成分が様々な細菌やカビを抑制し、鮮度を長期間維持することができ、プラスチックの物性の低下を防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のメクソムソク(Macsumsuk)顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法は、前記のような課題を解決するために、抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法において、抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法において、メクソムソク(Macsumsuk)粉砕物及び水を一定の割合で混合してスラリーを収得するスラリーの製造段階と;前記スラリーに抗菌物質及び発泡剤を添加して、より混合して顆粒化混合物を収得する1次混合段階と;顆粒機を利用して、前記顆粒化混合物を0.1~100μmの範囲内の平均粒径の顆粒状に成形して焼結させたメクソムソク顆粒を収得する顆粒の成形段階と;ペレット形態のプラスチック原材料を準備し、前記メクソムソク顆粒と混合してペレット混合物を製造する2次混合段階と;前記ペレット混合物を攪拌して180~350℃の条件で溶融及び押出する押出段階と;前記溶融及び押出された押出物を冷却し、切断してマスターバッチを製造する冷却切断段階と;を含んで構成される。
【0013】
上記した構成において、前記顆粒の成形段階の後に、前記メクソムソク顆粒を焼成して、内部に空きスペースが形成され、表面に多孔が形成された形になるようにする焼成段階;がさらに進行され、前記押出段階から溶融されたプラスチック樹脂原料が前記メクソムソク顆粒内部の空きスペースに粉砕されながら満たされて結合されていることを特徴とする。
【0014】
また、前記メクソムソク粉砕物は、メクソムソク原鉱を高温焼成した後、湿式で粉砕して0.1~1.5mmのサイズに得られたことを特徴とする。
【0015】
また、前記2次混合段階で、前記メクソムソク顆粒は、ペレット混合物100重量%に対して、20~70重量%を含まれるように混合されていることを特徴とする。
【0016】
併せて、前記抗菌物質は、銀ナノ粒子であることを特徴とする。
【0017】
また、前記2次混合段階は、準備された顆粒を粉砕して粉砕物をプラスチック原材料と混合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、独自の抗菌性を有するメクソムソク(Macsumsuk)顆粒をペレット形態のプラスチック原料に一定の割合で混合してマスターバッチを形成することによって、プラスチック製品の表面や材料から発生する抗菌、殺菌機能により、実生活で実用的に有効に活用ことができる。
【0019】
また、プラスチック製品の表面またはパッケージされた内容物に生息する微生物やカビを殺菌および抑制させることによって、包装物の鮮度を高め、国民の健康増進に寄与することができる。
【0020】
特に、メクソムソク(Macsumsuk)を利用して、内部に空きスペースが形成された顆粒を形成し、この顆粒の空きスペースの内部にプラスチック原料が満たされたまま押出されるようにして、プラスチック製品の成形過程でのマスターバッチ間の結合がスムーズになり、メクソムソク(Macsumsuk)顆粒とプラスチック原料がよく分離されないようにして、プラスチック製品の物性低下を防止することができるようになる。
【0021】
また、抗菌性物質である銀ナノ粒子が顆粒の成形過程で添加加工され、後に顆粒が焼結処理される過程で、顆粒にしっかり一体化されるようにして、プラスチック製品の製造のための溶融処理の過程で比重や遠心力によって1ヶ所に偏り現象を防止して抗菌効果が製品全体に均等に行うことができるようになる。
【0022】
さらに、成形されたプラスチック製品の表面または内容物のうちメクソムソク顆粒から発生する遠赤外線と抗菌成分が様々な細菌やカビを抑制し、鮮度を長期間維持することができるし、プラスチックの物性の低下を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】メクソムソク(Macsumsuk)粉体の顕微鏡写真である
【
図2】メクソムソク(Macsumsuk)の放射率を示したグラフである。
【
図3】メクソムソク(Macsumsuk)の分光放射率を示したグラフである。
【
図4】本発明のメクソムソク(Macsumsuk)顆粒の形状を示した顕微鏡写真図である。
【
図5】本発明で製造されたマスターバッチの一例を示した写真図である。
【
図6】本発明に係るプラスチック原料、メクソムソク(Macsumsuk)顆粒および製造されたマスターバッチを左から右に連続して示した写真図である。
【
図7】本発明により製造されたプラスチック容器と比較対象容器の微生物の測定実験結果を示した表である。
【
図8】本発明に係るマスターバッチを用いた食品包装容器と市販の容器を利用して、トマトの保存実験の状態を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を介して、本発明のメクソムソク(Macsumsuk)顆粒の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法について詳細に説明することにする。
【0025】
1.スラリーの製造段階
メクソムソク(Macsumsuk)粉砕物と水を一定の割合で混合してスラリーを得た。
【0026】
メクソムソク(Macsumsuk)粉砕物は、原鉱を粉砕して使用することもあるが、なるべく焼結した後、粉砕したものを使用するのが良い。
【0027】
メクソムソク(Macsumsuk)は、本出願人が出願したいくつかの先行文献に記載されていることがあるが、
図1には、0.1~100μmのメクソムソク顆粒の顕微鏡写真が示されている。
【0028】
このようなメクソムソク(Macsumsuk)は、以下の表1にその成分が現れている。
【0029】
【0030】
前記メクソムソクは、火成岩類中の石英斑岩に属する岩石であり、全体的には、風化されて壊れやすいのが特徴であり、特に白い長石はカオリン化されている場合が多く、黒雲母もほとんど酸化されて酸化鉄の形で散在している。
【0031】
角閃石が多く含まれている点が特徴であり、酸化マグネシウム(MgO)が大量に含まれており、α線が存在し、生物に良い影響を与える作用があることが知られている。
【0032】
前記メクソムソクから発生する波長は8~14μmの範囲内として生体に最も有益な波長帯の遠赤外線で知られている。この波長帯の遠赤外線は、生体細胞を活性化させ、新陳代謝を促進させることが知られている。
【0033】
前記メクソムソクは、岩石の状態で発生する遠赤外線の放射率よりもメクソムソクを微粉末化(1~6μm)したときに発生する遠赤外線の放射率が高くなるという点に着目して、本発明では、メクソムソクを粉末化し、特に焼成後に粉末化して、これを顆粒状に製造し、溶融されたプラスチック原料が内部に収容されている担体として活用することを特徴とする。このように形成される場合、プラスチック原料とメクソムソク(Macsumsuk)の無機質成分が内部で強固な結合をするようになり、プラスチック射出品の強さのような物性の低下を抑制し、外観の品質低下を防止することができるようになる。
【0034】
その他メクソムソクの作用は、多孔質による吸着、無機質の析出、水質の調整、水中溶存酸素量の増加などの機能を示す。
【0035】
特に、前記メクソムソクは、酸素と反応して、非常に高い酸化形態のOとOH(水酸基)を有するので、非常に強い酸化と還元性を持つ。これにより、細菌の細胞膜を突き抜けて細胞膜のタンパク質を変質させて、細菌の細胞が破壊され、細菌を殺菌させる作用をすることになる。
【0036】
これは、すぐに別の抗菌物質の使用量を最小限に抑えることができようにすることを意味する。
【0037】
また、前記メクソムソクの遠赤外線の放射量を
図2に、分光放射率を
図3に示した。
図2での放射量の単位は、180℃で測定することを基準にしてW/m
2・μmであり、黒体と同様に、高い遠赤外線放射量を示すことが確認できる。
図2及び3のグラフは、韓国遠赤外線応用評価研究で測定した結果である。
【0038】
メクソムソク原鉱の焼結粉砕物は、まずメクソムソク原料を爐に投入し、温度と圧力を調節して1,200℃に達するようにする。
【0039】
この際、炉内の温度が1,040℃まで上昇した後に、内部を不完全燃焼状態にし、炉内の圧力を上昇させて爐の内部温度を均一にして、原料全体の焼結状態を安定化させた後、1200℃に達するようにする。
【0040】
1時間1,200℃を維持するようにしてメクソムソクの化学成分が再結晶結合、すなわち共有結合になるようにする。
【0041】
焼結が完了したら、温度を徐々に下降させ、消化した後、5時間後に800℃に達するようにする。800℃になると、完全に開放して時間当たり100℃ずつ冷却させ、後に得られた焼結体を、まず、湿式粉砕機を用いて0.1~100μmの粒子に粉砕する。
【0042】
メクソムソク(Macsumsuk)粉砕物と水の混合比は、2:1の重量比になるようにするのが望ましい。
【0043】
水の含有量が前記割合を超える場合、成形過程で顆粒の形状保持が難しくなり、水の割合が前記特定の割合未満の場合には、顆粒化されにくくなる。
【0044】
2.1次混合段階
前記スラリーに抗菌物質および発泡剤を添加して、より混合して顆粒化混合物を得た。
【0045】
抗菌物質としては、銀ナノ粒子を使用することが望ましい。
【0046】
トウモロコシ粉を追加で混合して製造することもできる。
【0047】
具体的には、農業用や果樹苗木用フィルムに使用する場合、ジャガイモやサツマイモなどのデンプンまたはトウモロコシのデンプンを100重量部(0.5~2.5)で混合すれば、自然界の微生物によって分解される。同時に、メクソムソクの遠赤外線機能が堆肥の機能に転換されて、農作物が丈夫に育つようになる。
【0048】
発泡剤は、炭酸カルシウムと炭酸ナトリウムの混合物を使用するのが望ましい。
【0049】
発泡剤は、焼成時の熱分解により二酸化炭素を発生させ、顆粒の内部から発生した二酸化炭素は、顆粒の内部で気孔を形成した後、ガスは、顆粒の粒子間に放出され、気孔率を高めて、プラスチック原料が内部に浸透して、プラスチックの射出成形時に物性を向上させる。
【0050】
また、顆粒の表面で形成された二酸化炭素は、顆粒の表面積を大きくして顆粒外部のプラスチック原料との結合が円滑に行われ、やはり物性を向上させる。
【0051】
このとき、発泡剤の使用量は、スラリー100重量部を基準として1~10重量部添加されるのが好ましい。
【0052】
抗菌物質の使用量は、前記スラリー100重量部を基準として0.001~0.1重量部添加されるのが好ましい。
【0053】
3.顆粒の成形段階
顆粒機を利用して、前記顆粒化混合物を0.1~100μmの範囲内の平均粒径の顆粒状に成形してメクソムソク顆粒を得た。
【0054】
顆粒機は、スプレードライ工法が適用されるのが望ましい。
【0055】
顆粒の成形段階は、より具体的に、顆粒機の熱風炉バーナーを点火して、温度を上昇させて炉の内部の温度が1000℃に到達させ、1000℃になると、送風機を稼動して熱をサイクロンの内部に移動させ、内部の温度が300℃になると、サイクロンの下部にノズルを投入し、40kgf/cm2のポンプの圧力で微粉砕された顆粒化混合物を、重量が流入する上部点まで上げる。
【0056】
このとき、放射された液状は、サイクロン上部側から流入される熱風により渦を起こし落下することになる。これにより、環形が形成され、300℃を維持する内部熱により原料に含有された水分が蒸発し、これにより 気孔が形成された0.1~1.5mmの粒子サイズのメクソムソク(Macsumsuk)顆粒が得られる。
【0057】
この過程でスラッジの水分含有量を大きくすると、粒子に含まれる水分は、内部で急激な気化が起こり、この時、形成された気泡が温度膨張圧力が高まり、一定の圧力以上になると、矩形の表面を突き抜けて環 の顆粒状に形成される。水蒸気が抜けた環 の形態の顆粒は、水の分子があった場所に小さな気孔を形成し、内部で破泡された所は0.1~1.5mmの環状に顆粒の割合を減少させる役割とミクロンサイズの担体の役割をする。製造されたメクソムソク(Macsumsuk)顆粒は、
図4に示すように、球形に近い形状を成すようになり、破砕された粉末のサイズは、0.1~10μm程度が良い。
【0058】
図4の左側は、400倍、右側は300倍拡大した写真である。
【0059】
3-1.焼成段階
前記顆粒の成形段階の後に、前記メクソムソク顆粒を焼成して多孔質を持つようにする焼成段階が行われることができる。
【0060】
焼成温度は100~300℃の温度範囲が適当であり、焼成により顆粒が形成される時に水分を除去し、また強度が一律に高くなり、押出ステップを進めるとき、顆粒状が崩壊することを一律になるように助けてくれる。
【0061】
これにより、環状の顆粒状維持が可能になり、この結果として環状内部の空間には、射出過程でプラスチック原料が満たされた状態を維持できるようになり、優れた物性をよりよく維持することができるようになる。
【0062】
4.2次混合段階
ペレット形態のプラスチック原材料を準備し、前記メクソムソク顆粒と混合してペレット混合物を製造する。
【0063】
このとき、プラスチック原材料と前記メクソムソク顆粒との混合比は、プラスチック原材料の材質、射出成形しようとするプラスチック製品の物的特性に応じて異なることができる。
【0064】
プラスチック原料としては、線形低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、LDPE)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(Poly Butylene Terephthalate、PBT樹脂)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride、PVC)、スチレンアクリロニトリル共重合体(Styrene Acrylonitrile Copolymer、SAN)、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene、ABS樹脂)、Tritan、ECOJEN、PETG、PCTGポリジフェニルスルホン(Polyphenylsulfone PPSU)、及びポリカーボネート(Polycarbonate、PC)などが使用されることができる。
【0065】
このように、上述した合成樹脂は、非分解性熱可塑性樹脂と、いくつかの軟質の熱硬化性樹脂を使用することもできることを特徴とする。
【0066】
上述した非分解性熱可塑性樹脂がプラスチック原料と非常に軟質の熱硬化性樹脂などが使用された場合、メクソムソク顆粒との混合比は、メクソムソク顆粒が全体ペレット混合物の20~70重量%となるが好ましく、このようにメクソムソク原料が70%製造されたペレットをプラスチック原料に押出及び射出成形時、2~13重量%が適当である。
【0067】
さらに、プラスチック原料と混合する前に顆粒を粉砕して混合することもできる。
【0068】
5.押出段階
前記ペレット混合物を攪拌して180~350℃の条件で溶融および押出する。
【0069】
押出機は、通常の溶融押出機を介して行われ、ただし温度は、前記範囲に限定される。
【0070】
前記範囲を超える場合、押出が円滑に行われず、前記温度未満の場合、溶融が円滑に行われず、メクソムソク顆粒が均一な分散状態を成すことができない。
【0071】
6.冷却切断段階
前記溶融押出された押出物を冷却し、切断してマスターバッチを製造する。
【0072】
図5には、以上のような工程により製造されたマスターバッチの一例が示されている。
【0073】
図面に示すように、製造されたマスターバッチは、半透明のダークブラウンである。
【0074】
製造されたマスターバッチは、プラスチック製品の原材料と一定の割合で混合したあと、押出成形、射出成形、ブロー(Blow)などの方式で製品化される。
【0075】
このように製造された場合、抗菌物質である銀ナノ成分がメクソムソク(Macsumsuk)顆粒内に完全に保持され、メクソムソク顆粒は、プラスチック原料の中で均等に分布されるだけではなく、その形状の崩壊がよく行われなくなり、樹脂成分と均一に接続された状態を維持することができるようになる。
【0076】
これにより、抗菌物質による抗菌効果に加え、メクソムソク(Macsumsuk)(麦飯石、千鉱石、イライト、マイカ、ゼオライト、ベントナイト)特有の性質に基づいて遠赤外線の放射効果と水の分子活性化効果を発揮することができるようになる。
【実施例1】
【0077】
<メクソムソク(Macsumsuk)スラリーの製造>
0.1~5mmに粉砕されたメクソムソク原料を炉に入れて積載した後、温度と圧力を調節して1,200℃に達するさせた。
【0078】
1次点火は炉内のエルピージー(LPG)ガス(以下、「ガス」という。)の圧力を0.1kg/hrに調整して1時間の間に300℃に到達させた。
【0079】
1時間後には、ガスの圧力を0.125kg/hrに調整して1時間の間に500℃に到達させた。
【0080】
500℃になると、ガス圧を0.15kg/hrに調整し、1時間の間に700℃に到達させた。
【0081】
炉内の温度が700℃に達すると、ガス圧を0.2kg/hrに調整し、温度を850℃に到達させた。
【0082】
850℃になると、ガス圧を0.2kg/hrで固定させた状態で、原料の内部に含有された有機物質の完全燃焼のために1時間ほど温度を維持した。
【0083】
有機物質の燃焼が完了したら、ガスの圧力を0.25kg/hrに調整して1時間の間に温度を950℃まで上昇させた。
【0084】
950℃になると、再びガス圧を0.3kg/hrで上昇させて1時間の間に温度を1,040℃まで上昇させた。
【0085】
1時間後、温度が1,040℃に達すると、炉の内部を不完全燃焼状態にし、炉内の圧力を上昇させて炉の内部温度を均一にして、原料全体の焼結状態を安定化させた。その後、炉の圧力を維持し、5時間の間に1200℃に到達させた。
【0086】
1,200℃に達すると、ガス圧を固定させた状態で、排気量を減らし、炉の圧力を上昇させて1時間の間に1,200℃を維持するようにしてメクソムソクの化学成分が再結晶結合、すなわち共有結合になるようにした。
【0087】
焼結が完了したら、炉の火を消し、排気口を閉じた状態で、温度を徐々に下降させ、消化した後、5時間後に800℃に到達させた。
【0088】
800℃になると、完全に開放して時間当たり100℃ずつ冷却させた。以後得られた焼結体を、まず湿式粉砕機で0.1~100μm粒子以下に粉砕した。
【0089】
次に、0.1~100μm以下に粉砕された焼結粒子を水と2:1の重量比で混合して湿式粉砕機に入れて平均粒度0.1~100μm以下に微細に粉砕された液状混合物、すなわち、スラリーを製造した。
【実施例2】
【0090】
<メクソムソク(Macsumsuk)顆粒の製造>
実施例1で製造されたスラリーに、最終顆粒の気孔率を高めるために発泡剤として炭酸カルシウム及び炭酸ナトリウムの1:1の重量比の混合物を前記スラリーの固形分100重量部に対して5重量部になるように添加し、抗菌物質として銀ナノ粒子1重量部を添加して顆粒化混合物を製造した。
【0091】
以後、顆粒化のために、スプレードライ工法により、熱風炉のバーナーを点火し、2時間の間、温度を上昇させて炉の内部の温度が1000℃に到達させ、1000℃になると、送風機を稼動して熱をサイクロンの内部に移動させ、内部の温度が300℃になると、サイクロンの下部にノズルを投入し、40kgf/cm2のポンプの圧力で微粉砕された顆粒化混合物を、重量が流入する上部点まで上げる。
【0092】
放射された液状のサイクロン上部側から流入される熱風により渦を起こし落下することになる。これにより、環形が形成され、300℃を維持する内部熱により原料に含有された水分が蒸発し、これによる気孔が形成された0.1~1.5mmの粒子サイズの顆粒が得られる。
【0093】
この過程でスラッジの水分含有量を大きくすると、粒子に含まれる水分は、内部で急激な気化が起こり、この時、形成された気泡が温度膨張圧力が高まり、一定の圧力以上になると、矩形の表面を突き抜けて環 の顆粒状に形成される。水蒸気が抜けた環 の形態の顆粒は、水の分子があった場所に小さな気孔を形成し、内部で破泡された所は0.1~1.5mmの環状に顆粒の割合を減少させる役割とミクロンサイズの担体の役割をする。
【0094】
以降の区間では、1から8区間に渡って100℃~300℃までの設定された区間を1時間の間通過させて顆粒中に含まれる残留水分及び異物を除去してメクソムソク顆粒を製造した。
【実施例3】
【0095】
<マスターバッチの製造>
プラスチック原料としてLDPE(低密度ポリエチレン)を準備し、前記メクソムソク顆粒は30重量%になるようにし、LDPEは70重量%となるようにして混合した後、溶融押出機に投入した。
【0096】
溶融押出機の内部温度を180~350℃にセットして、プラスチック原料の溶融を達成しながら、メクソムソク顆粒がプラスチック原料中に均一に分散されるようしながら押出し、押出物を冷却した後、切断してマスターバッチを製造した。
【0097】
図6で左側はLDPEプラスチック原料、中間はメクソムソク(Macsumsuk)顆粒、右側はマスターバッチを示す。
【実施例4】
【0098】
<抗菌プラスチック成形品の製造>
前記実施例3から製造されたマスターバッチを原料として射出業者に依頼して、プラスチック容器{商品名“Wellion Lock”}を製造した。
【0099】
<実験例1>抗菌力の測定
メクソムソク顆粒の抗菌プラスチックの抗菌力および鮮度をテストした結果を説明する(2018年12月14日付で慶一大学校の食品科学研究所で試験を完了して、その結果を試験成績書に表記したものである)。
【0100】
試験方法は、一定濃度の試験菌株前培養液の一定量を試料(実施例4)の容器に接種する。そして、その上に同じ試料を加圧し密着する。加圧密着直後すぐに生菌数を確認する(A)。加圧密着した後24時間経過した後、生菌数を確認する(B)。試験菌株は、salmonella typhimurium(KCTC1925)を使用した。
【0101】
測定式は、次の通りである。
【0102】
抗菌力試験(TI-10-008;加圧密着法が使用される):
菌の減少率(%)=(A-B)/A×100(ここで、A;接種直後の生菌数、B;培養24時間後の生菌数を意味する)。
【0103】
すなわち、菌減少率(%)=[(6.0×10)-(9.0×10)]/(6.0×10)×100=99.9%であることを確認した。
【0104】
<実験例2>微生物の検査
実施例4の容器と、比較例として市販のプラスチック3種の容器を購入し、市販のミニトマトを購入した後、各容器ごとにミニトマト200gずつ入れて25℃恒温器に保存し、3日目および7日目の微生物的品質と酸価を測定した。
【0105】
微生物の検査項目は、一般的な細菌、大腸菌、カビ、およびpHを測定した。
【0106】
検査方法は、フルーツ2個ずつ約20gの試料をstomacher bagに移した後、10倍の滅菌蒸留水を加えて希釈し、stomacherで2分間強く振盪して均質化した懸濁液を試験溶液として使用し、滅菌蒸留水を用いて10倍ずつ連続に希釈して、一般細菌は、aerobic acount plate petrifilm(3MMicrobiology、USA)に接種して、35℃で48時間、大腸菌/大腸菌群は、E.coli / coliform count petrifilm(3MMicrobiology、USA)に接種して、35℃で48時間、カビはyeast&old count plate petrifilm(3MMicrobiology、USA)に接種し、25℃で5~7日間培養した後、肉眼で菌数をcolony forming units(CFU)の値で測定して表記した。
【0107】
pHは果肉を破壊した状態でpH meterを用いて測定した。
【0108】
試験の結果、3日目では、肉眼で菌が観察されたが、果肉に侵されなくて摂取が可能な状態であり、微生物的な品質は、比較対象の容器で一般細菌が107CFU/gを超えて、初期腐敗が進行していると判断された。
【0109】
保存期間に応じたpHの変化は、初期4.4から徐々に増加したが、容器に伴う変化はないように見えた。
【0110】
【0111】
<実験例3>鮮度の測定
以下は、実施例4から製造された容器で保管した野菜の鮮度を試験した。10日間のミニトマトを常温の状態(25℃、50%RH)で実施例4の食品保存ボックス(白楕円容器)と市販されている食品の収納ボックス(比較1ないし3)を対照実験した結果として、鮮度保持の効果を測定した。
【0112】
試験結果、メクソムソク顆粒が処理されたLDPEとメクソムソク顆粒が処理されていないLDPEの食品保存性において、食品の種類や鮮度に応じて若干の違いを見せた。常温(25℃、50%RH)の状態でメクソムソク(Macsumsuk)顆粒が処理されたLDPEは、約4日まで保管状態が良好であり、メクソムソク(Macsumsuk)顆粒が処理されていないLDPEは、約2日まで保管状態が良好であった。
【0113】
また、メクソムソク顆粒が処理されたLDPEとメクソムソク顆粒が処理されていないLDPEは、皆2日目から水分が発生した。メクソムソク顆粒が処理されていないLDPEから湿気がより多く発生した。
【0114】
4日目からはメクソムソク(Macsumsuk)顆粒が処理されていないLDPEは、質感 が著しく落ち、黄変が開始した。メクソムソク(Macsumsuk)顆粒が処理されたLDPE色の変化はなかった。
【0115】
6日目からメクソムソク(Macsumsuk)顆粒が処理されていないLDPEは黒変が発生した。
【0116】
図8には、鮮度検査の結果が日付別に写真で示されている。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明に基づいて製造されたマスターバッチは、ビニールパック、プラスチック容器、瓶、水差し、生回収容器、プラスチックパイプ、食品魚介類、農産物、及び果物のためフィルム、食品包装フィルム、展示保管用フィルム、防塵マスク、上下水道用配管材料、医療用プラスチック機器および器具、衛生容器、加湿器材料、まな板、動植物商品包装材、医療用医薬品保管プラスチックフィルム及び成形品、建材、食器乾燥機、プラスチック材料、食卓用板材、ベッド板材、養魚場資材、水族館材料、水保存用水槽、養豚養鶏畜産物加工材料、淨水空気浄化用フィルター、プロテクター、医療用品、布団、枕、シート、電線、海洋設備用資材(海藻類、微生物抵抗が要求されるプラスチック材料)、海洋浮標、網目、ロープ、マット用シート、毛布、農業および農業苗木用フィルム、熱可塑性および熱硬化性プラスチック容器、カーペットシート用、車両シート用、装飾タイル用、及びTV用プラスチック、携帯電話用プラスチックなどに適用することができ、射出成形品のほか、フィルムやシート状に成形されるすることもできる。