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  • 特許-減圧洗浄装置 図1
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  • 特許-減圧洗浄装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】減圧洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/10 20060101AFI20230317BHJP
   B08B 5/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
B08B3/10 A
B08B5/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022090673
(22)【出願日】2022-06-03
【審査請求日】2022-06-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019884
【氏名又は名称】ジャパン・フィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】翠弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内野 正英
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-318233(JP,A)
【文献】特開平01-284375(JP,A)
【文献】特開平07-227581(JP,A)
【文献】特開平06-254516(JP,A)
【文献】特開平9-276809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/10
B08B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧槽内に被洗浄物を載置可能な平板状の洗浄台を設け、当該洗浄台を、駆動機構により減圧槽の内部で上下動に摺動可能とし、当該洗浄台の周縁を上記減圧槽の内周面に密着させることにより、当該減圧槽内の空間を天面側と底面側とに気密的に分離可能とし、上記減圧槽の天面側と上記洗浄台とで形成された隔離室内を、上記減圧槽に接続された減圧機構にて減圧可能とするとともに、上記洗浄台の底面側には、当該洗浄台を振動させることにより、洗浄台に堆積した汚れを当該洗浄台から落下させて除去するための振動機構を設けたことを特徴とする減圧洗浄装置。
【請求項2】
上記振動機構は、上記減圧槽内に収納した洗浄液中、あるいは当該減圧槽内に発生させた洗浄蒸気中で作動可能とすることを特徴とする請求項1の減圧洗浄装置。
【請求項3】
上記減圧槽には洗浄液が貯留され、当該洗浄液にて被洗浄物の液洗浄を可能とし、上記洗浄台に載置された被洗浄物を上記洗浄液の液面よりも上方に配置した状態で、当該被洗浄物の蒸気洗浄を可能とするとともに、上記被洗浄物を上記隔離室内に配置することにより、当該被洗浄物の減圧乾燥を可能としたことを特徴とする請求項1の減圧洗浄装置。
【請求項4】
上記隔離室は、上記減圧槽に設けた加熱機構によって一定温度の加熱状態を維持可能とすることを特徴とする請求項1の減圧洗浄装置。
【請求項5】
上記減圧槽とは別体に、当該減圧槽に洗浄蒸気を送り込むための蒸気発生槽を設けるとともに、上記減圧槽の天面側には、当該減圧槽及び/または上記隔離室を減圧可能とする減圧機構を接続したことを特徴とする請求項1の減圧洗浄装置。
【請求項6】
上記洗浄液は、沸点が100℃以上の可燃性溶剤であることを特徴とする請求項1の減圧洗浄装置。
【請求項7】
上記振動機構は、電気式若しくはエアー式のバイブレーター、又は超音波振動子であることを特徴とする請求項1の減圧洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄溶剤にて機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物を、減圧槽内にて液洗浄、蒸気洗浄、及び乾燥するための減圧洗浄装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-202463号公報 1995年にフロン113や1.1.1-トリクロロエタンが世界的に製造禁止となり、その代替溶剤として、可燃性の石油系溶剤が広く使用されている。しかし、石油系溶剤は沸点が高く、また可燃性であることから、安全性を考慮して酸素のほとんどない雰囲気下での洗浄を可能とする様々な減圧洗浄装置が開発されている。
【0004】
このような減圧洗浄装置のうち、特許文献1に示す如く、液槽内に上下動可能な載置台を備え、当該載置台に被洗浄物を載置するとともに、当該槽内に洗浄液を貯留し、当該洗浄液にて液洗浄を行うとともに、当該洗浄液よりも上方に被洗浄物を移動させた状態で、蒸気洗浄や減圧乾燥を行う洗浄装置が公知となっている。そして当該洗浄装置の減圧乾燥は、上記載置台と槽の天面側とにより乾燥室を構成し、この乾燥室内を減圧して行うものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の洗浄台には、常に被洗浄物が載置された状態で各洗浄を行うことから、被洗浄物から脱落した汚れが当該洗浄台上に堆積するものとなる。そのため、乾燥室を形成する際には、これら洗浄台上に堆積した汚れによって当該乾燥室内の密閉度が低下するものとなり、当該乾燥室内の減圧が困難となるとともに、洗浄台上の汚れの分まで乾燥が行われるため乾燥時間が長くなり、減圧乾燥の効率が低下するという問題が生じる。
【0006】
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、洗浄台上の汚れの堆積を防止することにより被洗浄物の洗浄効率を向上させようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は上述の如き課題を解決するため、減圧槽内に被洗浄物を載置可能な平板状の洗浄台を設け、当該洗浄台を、駆動機構により減圧槽の内部で上下動に摺動可能とし、当該洗浄台の周縁を上記減圧槽の内周面に密着させることにより、当該減圧槽内の空間を天面側と底面側とに気密的に分離可能とし、上記減圧槽の天面側と上記洗浄台とで形成された隔離室内を、上記減圧槽に接続された減圧機構にて減圧可能とするとともに、上記洗浄台の底面側には、当該洗浄台を振動させることにより、洗浄台に堆積した汚れを当該洗浄台から落下させて除去するための振動機構を設けたものである。
【0008】
また上記振動機構は、上記減圧槽内に収納した洗浄液中、あるいは当該減圧槽内に発生させた洗浄蒸気中で作動可能とするものであっても良い。このように上記振動機構を液洗浄や蒸気洗浄中で作動させることにより、液洗浄時や蒸気洗浄時においても、上記洗浄台上の被洗浄物から離脱した汚れを当該洗浄台から下方に落下させて除去することができる。
【0009】
また、上記減圧槽には洗浄液が貯留され、当該洗浄液にて被洗浄物の液洗浄を可能とし、上記洗浄台に載置された被洗浄物を上記洗浄液の液面よりも上方に配置した状態で、当該被洗浄物の蒸気洗浄を可能とするとともに、上記被洗浄物を上記隔離室内に配置することにより、当該被洗浄物の減圧乾燥を可能としたものであっても良い。
【0010】
また、上記隔離室は、上記減圧槽に設けられた加熱機構によって一定温度の加熱状態を維持可能とするものであってもよく、上記減圧槽の底部側は、当該減圧槽に設けた冷却機構によって一定温度の冷却状態を維持可能とするものであってもよい。これにより、隔離室内で乾燥を行う際には常に加熱状態とすることができるとともに、底部側で液洗浄を行う際には常に洗浄液を冷却状態とすることができるため、槽内全体を都度加熱したり冷却したりする必要がなく、熱エネルギーの損失を抑えながら一つの槽内で被洗浄物の液洗浄や減圧乾燥を効率よく行うことができる。
【0011】
また、上記減圧槽とは別体に、当該減圧槽に洗浄蒸気を送り込むための蒸気発生槽を設けるとともに、上記減圧槽の天面側には、当該減圧槽及び/または上記隔離室を減圧可能とする減圧機構を接続したものであってもよい。
【0012】
また、上記洗浄液は、沸点が100℃以上の可燃性溶剤であってもよく、上記振動機構は、電気式若しくはエアー式のバイブレーター、又は超音波振動子であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記の如く構成したものであって、洗浄台の底面側には振動機構を設けているため、当該振動機構を作動させることにより、上記洗浄台に堆積した切削くず、プレスくず、あるいは切粉等の被洗浄物から離脱した汚れを、上記振動機構による振動により当該洗浄台から落下させて除去することが可能となる。
【0014】
そのため、当該洗浄台を摺動させて隔離室を形成する際に、当該洗浄台上の周縁には汚れが堆積していないため、当該周縁と減圧槽の内周面とを良好な状態で密着させることが可能となる。従って、上記隔離室内の密閉度を高めることができるため、当該隔離室の減圧作業を円滑に行うことができる。更に、当該隔離室内には被洗浄物以外の汚れが堆積していないため、当該被洗浄物の減圧乾燥のみの乾燥が行われるものとなることから、乾燥作業を短時間で効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願発明を示す実施例1において、液洗浄時の概念図。
図2】実施例1において、蒸気洗浄時の概念図。
図3】実施例1において、減圧乾燥時の概念図。
図4】従来例の概念図。
【実施例1】
【0016】
本願発明の実施例1を図1に於いて説明すると、(1)は減圧槽であって、内部を減圧可能とするとともに、中央部には周方向に段部(2)を設け、底面(3)側より天面 (4)側の内径を狭く形成している。また上記減圧槽(1)は、減圧管(5)を通じて減圧ポンプ(6)に接続されている。
【0017】
そしてこの減圧槽(1)の内部には、平板状の洗浄台(7)を設けている。この洗浄台(7)は、駆動機構(図示せず。)により減圧槽(1)内の底部から上記段部(2)までの間を上下動に任意に摺動可能としている。そして、当該洗浄台(7)を上方に摺動させて上記減圧槽(1)の段部(2)の内周面(33)に当該洗浄台(7)の周縁(8)を当接密着させることにより、上記減圧槽(1)の天面(4)側と当該洗浄台(7)とにより、密閉された隔離室(10)を形成することができる。
【0018】
また当該洗浄台(7)の底面には、当該洗浄台(7)を振動させるための振動機構(11)として、電動式のバイブレーターを接続配置している。尚、本実施例では電気式のバイブレーターを使用しているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、エアー式のバイブレーター又は超音波振動子を使用することも可能である。また上記減圧槽(1)には、上記段部(2)から天面(4)にかけて加熱機構(12)を被覆配置するとともに、当該減圧槽(1)の底面(3)側には、被洗浄物(32)の液洗浄を行うための洗浄溶剤(30)を収納している。また当該減圧槽(1)の底面(3)側には、当該減圧槽(1)に収納された洗浄液(27)を冷却するための冷却機構(図示せず。)が設けられている。そして上記加熱機構(12)及び冷却機構は、それぞれ一定温度の加熱状態及び冷却状態を維持可能としている。
【0019】
そしてこの減圧槽(1)とは別に、洗浄溶剤(30)の蒸気発生槽(13)を設けている。この蒸気発生槽(13)は、その底部側において上記減圧槽(1)の底部側と第一配管(14)を通じて連通可能としている。尚、当該第一配管(14)には第一開閉弁(15)を設けている。
【0020】
また当該蒸気発生槽(13)の天面(20)と上記減圧槽(1)の天面(4)側とを、以下に説明する第二配管(16)及び第三配管(17)を通じて連通可能としている。即ち上記第二配管(16)は、その一端を上記減圧槽(1)に接続するとともに、他端を、冷却器(18)を通じて上記減圧ポンプ(6)に接続している。そして上記第二配管(16)から分岐した第三配管(17)の一端を、上記蒸気発生槽(13)の天面(20)に接続している。
【0021】
また、上記第二配管(16)には、第三配管(17)の分岐点(24)よりも上記減圧槽(1)側に第二開閉弁(21)を、また当該分岐点(24)よりも減圧ポンプ(6)側に第三開閉弁(22)を設けるとともに、上記第三配管(17)には第四開閉弁(23)を設けている。また当該蒸気発生槽(13)の底面側には、当該蒸気発生槽(13)内に収納した洗浄溶剤(30)を加熱して当該洗浄溶剤(30)の洗浄蒸気(31)を発生させるための加熱体(25)を設けている。尚、当該第二配管(16)、上記減圧管(5)、及び減圧ポンプ(6)により本実施例の減圧機構(26)を構成している。
【0022】
また、上記減圧槽(1)には図1に示す如く、窒素ガスを供給するための供給配管(34)を設けている。そして当該供給配管(34)は第一供給配管(35)と第二供給配管(36)とに分岐し、上記第一供給配管(35)を上記減圧槽(1)の天面(4)側に接続するとともに上記第二供給配管(36)を上記段部(2)の下方に接続している。そして、上記第一供給配管(35)に第五開閉弁(37)を設けるとともに、上記第二供給配管(36)に第六開閉弁(38)を設けている。また上記減圧管(5)には第七開閉弁(40)を設けている。
【0023】
上記の如く構成した減圧洗浄装置を用いて被洗浄物(32)の洗浄方法について以下に説明する。まず、当該減圧槽(1)に洗浄液(27)を収納する。尚、本実施例では沸点約170℃の炭化水素系溶剤を洗浄液(27)として使用している。また、上記減圧槽(1)内の洗浄液(27)と同じ洗浄溶剤(30)を、上記蒸気発生槽(13)内に収納するとともに、上記蒸気発生槽(13)の加熱体(25)を作動するさせることにより、当該蒸気発生槽(13)内の洗浄溶剤(30)を加熱して洗浄蒸気(31)を発生させておく。
【0024】
そして、以下の液洗浄を行う。即ち、第一開閉弁(15)、第二開閉弁(21)、第五開閉弁(37)、第六開閉弁(38)を閉弁するとともに、第三開閉弁(22)、第四開閉弁(23)を開弁する。この状態で図1に示す如く、上記減圧槽(1)内の洗浄台(7)に被洗浄物(32)を載置するとともに、当該洗浄台(7)を減圧槽(1)の底面(3)側に移動させて上記の如く減圧槽(1)の冷却機構により冷却された洗浄液(27)中に浸漬することにより、被洗浄物(32)の浸漬洗浄を行う。
【0025】
またこの浸漬洗浄時には、上記の如く第三開閉弁(22)及び第四開閉弁(23)を開弁し、上記蒸気発生槽(13)内で発生させた洗浄蒸気(31)を、第三配管(17)及び分岐点(24)を通じて冷却器(18)によって冷却することにより、当該洗浄蒸気(31)の蒸留を行うことができる。
【0026】
そして、上記洗浄台(7)に設けた振動機構(11)を作動させて洗浄台(7)を振動させることにより、被洗浄物(32)から脱落してして洗浄台(7)上に堆積した汚れを、上記振動機構(11)の振動により更に当該洗浄台(7)から下方に落下させることが可能となる。
【0027】
次に、当該被洗浄物(32)の浸漬洗浄が終了した後、図2に示す如く上記洗浄台(7)を上記洗浄液(27)の液面(28)よりも上方に配置する。そして、上記第二開閉弁(21)、第四開閉弁(23)、第七開閉弁(40)を開弁するとともに第三開閉弁(22)を閉弁した状態で、減圧ポンプ(6)を作動させる。これにより、減圧管(5)及び第二配管(16)を通じて上記減圧槽(1)内を減圧状態とする。
【0028】
このような状態において、蒸気発生槽(13)内にて発生させた洗浄溶剤(30)の洗浄蒸気(31)が、第三配管(17)及び第二配管(16)を通じて減圧槽(1)内に流入する。これにより、減圧槽(1)内に洗浄蒸気(31)が収納され、当該洗浄蒸気(31)によって被洗浄物(32)の蒸気洗浄が行われる。この蒸気洗浄時にも、上記浸漬洗浄時と同様に洗浄台(7)の振動機構(11)を作動させて洗浄台(7)を振動させることにより、上記洗浄により上記被洗浄物(32)から脱落した汚れを当該洗浄台(7)から下方に落とすことができるため、当該洗浄台(7)上の汚れの堆積を防ぐことが可能となる。
【0029】
そして蒸気洗浄の終了時には、第四開閉弁(23)を閉弁して蒸気発生槽(13)からの減圧槽(1)への洗浄蒸気(31)の供給を停止するとともに、上記洗浄台(7)を更に上方に摺動させて、上記減圧槽(1)の段部(2)の内周面(33)に当該洗浄台(7)の周縁(8)を当接密着させる。これにより、上記減圧槽(1)の天面(4)側と当該洗浄台(7)とにより密閉された隔離室(10)が形成されるとともに、図3に示す如く、当該隔離室(10)内に上記被洗浄物(32)が配置された状態となる。
【0030】
上記の如く隔離室(10)を形成することにより、上記被洗浄物(32)を当該隔離室(10)の密閉された狭い空間内に配置することができる。また、上記の如く浸漬洗浄時及び/または蒸気洗浄時に洗浄台(7)の振動機構(11)を作動させて当該洗浄台(7)に堆積した汚れを除去していることから、当該洗浄台(7)に汚れがほとんど残留していない状態となる。
【0031】
尚、被洗浄物(32)の汚れが少ない場合は、浸漬洗浄時に振動機構(11)による洗浄台(7)からの汚れの除去を行うのみで蒸気洗浄時には当該振動機構(11)による汚れの除去を行わなくても良いが、汚れが多い場合は浸漬洗浄時のみならず蒸気洗浄時においても振動機構(11)による洗浄台(7)からの汚れの除去を行った方が、より効果的である。
【0032】
これにより、上記減圧槽(1)の段部(2)の内周面(33)と当該洗浄台(7)の周縁(8)とをより確実に密着させることが可能となるため、当該隔離室(10)をより密閉度の高いものとすることができることから、上記当該隔離室(10)の減圧のために余分なエネルギーを必要としない。また、第二開閉弁(21)と第三開閉弁(22)とを開弁するとともに、第七開閉弁(40)を閉弁した状態で減圧ポンプ(6)を作動させることにより、隔離室(10)内の減圧度を更に上げることが可能となる。更に、洗浄台(7)に汚れがほとんど残っていないため、当該汚れの部分まで乾燥が行われることがなく乾燥時間をより早く効率的に行うことができる。
【0033】
また、図3に示す如く、上記隔離室(10)の外周には加熱機構(12)が被覆されているため、当該隔離室(10)は常時加熱された状態とすることができる。よって、当該隔離室(10)の内壁に洗浄蒸気(31)が接触しても、当該内壁にて洗浄蒸気(31)の凝縮液化が生じにくいものとなる。
【0034】
よって、上記隔離室(10)の内壁に洗浄蒸気(31)の凝縮液が付着しないため、当該隔離室(10)内の被洗浄物(32)のみが乾燥対象となることから、乾燥時間をより短いものとすることができる。また、上記の如く沸点の高い洗浄溶剤(30)を減圧下の上記隔離室(10)内で乾燥するため、100℃付近の低い温度で安全に乾燥作業を行うことができる。
【0035】
そして、全ての洗浄工程が終了した後に、上記減圧槽(1)内の減圧状態を解除する。即ち、まず第六開閉弁(38)を開弁することにより、当該第六開閉弁(38)を通じて窒素ガスが上記減圧槽(1)内に流入し、当該減圧槽(1)内の隔離室(10)以外の空間の減圧状態が解除される。その後、上記第五開閉弁(37)を開弁することにより、当該上記第五開閉弁(37)を通じて上記隔離室(10)内に窒素ガスが流入し、当該隔離室(10)内の空間の減圧状態が解除される。これにより、上記減圧槽(1)全体の減圧状態が解除され、本実施例における洗浄の全ての工程が終了するものとなる。
【符号の説明】
【0036】
1 減圧槽
3 底面
4 天面
7 洗浄台
8 周縁
10 隔離室
11 振動機構
12 加熱機構
13 蒸気発生槽
26 減圧機構
27 洗浄液
28 液面
31 洗浄蒸気
32 被洗浄物
33 内周面

【要約】
【課題】
洗浄台上の汚れの堆積を防止することにより被洗浄物の洗浄効率を向上させる。
【解決手段】
減圧槽1内部の被洗浄物32を載置可能な板状の洗浄台7を設け、当該洗浄台7を、駆動機構により減圧槽1の内部で上下動に摺動可能とし、当該洗浄台7の周縁8を上記減圧槽1の内周面33に密着させることにより、当該減圧槽1内の空間を天面4側と底面3側とに気密的に分離可能とし、上記減圧槽1の天面4側と上記洗浄台7とで形成された隔離室10内を、上記減圧槽1に接続された減圧機構26にて減圧可能とするとともに、上記洗浄台7の底面側には、当該洗浄台7を振動させるための振動機構11を設ける。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4