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特許7246112ドライバー及びこれを用いたスクリュー・ドライバーセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ドライバー及びこれを用いたスクリュー・ドライバーセット
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/10 20060101AFI20230317BHJP
   B25B 15/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
B25B23/10 A
B25B15/00 610A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022134659
(22)【出願日】2022-08-26
【審査請求日】2022-08-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517098310
【氏名又は名称】株式会社メドメタレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】網野 博一
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02908304(US,A)
【文献】中国実用新案第212683771(CN,U)
【文献】特開2003-311637(JP,A)
【文献】実公昭47-25115(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/10
B25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーと係止するスクリュー穴部を有するスクリューを回転させるドライバーであ
って、
前記ドライバーを回転させるハンドル部と、
前記スクリュー穴部の一部と係合する第1係止部が先端に形成された可動係止体と、
前記可動係止体を先端側の遠位方向に押圧するロッドと、
前記ロッドを遠位方向に付勢する付勢部と、
前記ロッド及び前記可動係止体を収容する筒状のシャフト部であって、遠位端部に前記
スクリュー穴部の一部と係合する第2係止部が先端に形成され、他端が前記ハンドルに連
結固定されるシャフト部と、
前記可動係止体の前記ハンドルに近い側の近位端部と前記ロッドの遠位端部とを連結す
る継手であって、前記ロッドの軸方向の移動に伴って、当該軸から前記第1係止部に向か
う法線方向及びその逆の方向にも前記可動係止体を移動可能とする継手とを備え、
前記法線方向であって前記シャフト部の内面には、先端に向かって前記第1係止部に近
づく斜面であるシャフト先端斜面が形成され、前記第1係止部の反対側の前記可動係止体
の面には前記シャフト先端斜面とすり合わされる可動係止体斜面が形成されているドライ
バー。
【請求項2】
前記継手は、前記可動係止体及び前記ロッドのいずれか一方に連結のための連結ピンが
備えられ、他方に前記連結ピンが挿通する穴であって、前記法線方向に長円形の形状の長
円穴が形成されている構造である請求項1に記載のドライバー。
【請求項3】
前記付勢部が、前記ロッドの近位端部と前記ハンドルとの間に介在する圧縮コイルばね
である請求項1または2に記載のドライバー。
【請求項4】
前記ロッドの近位端部と連結し、前記付勢部によって遠位端側に付勢されるリリースピ
ンを有し、当該リリースピンが、前記軸と直交する方向に前記シャフト部あけられたリリ
ースピン用穴に配設されている請求項1または2に記載のドライバー。
【請求項5】
スクリューと、
前記スクリューを着脱可能に固定する台板と、
前記請求項1または2に記載のドライバーと、を有するスクリュー・ドライバーセット
【請求項6】
スクリューと、
前記スクリューを着脱可能に固定する台板と、
前記請求項3に記載のドライバーと、を有するスクリュー・ドライバーセット。
【請求項7】
スクリューと、
前記スクリューを着脱可能に固定する台板と、
前記請求項4に記載のドライバーと、を有するスクリュー・ドライバーセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリューを回転させるドライバー及びこれを用いたスクリュー・ドライ
バーセットに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な場面でねじやボルト等(以下「スクリュー」ともいう)を取り付けるあるいはス
クリューを外す作業が行われる。工場などでの物品や装置の製造工程で、ねじの取り付け
や取り外しの作業が行われることがある。あるいは、機器や設備の設置のために、ねじの
取り付け作業が行われる。あるいは、機器や設備の交換や修理のために、ねじの取り外し
作業が行われる。これらの作業においては、通常はドライバーが工具として使用される。
【0003】
ドライバーを用いたスクリューの取り付けや取り外しにおいては、ドライバーの先端に
スクリューをセットして作業が行われる。これは、手動で作業するドライバーであっても
、電動で回転する電動ドライバーであっても同様である。
【0004】
スクリューはドライバーによって回転可能な溝・穴等を備えている。この溝・穴等にド
ライバーの先端があてがわれて、スクリューの取付けあるいは取り外しの作業が行われる
。このとき、ドライバーの先端とスクリューの溝・穴等とは、あてがわれているだけであ
るので、相互にきちんと繋がっているわけではない。作業者が、スクリューとドライバー
のそれぞれを手で把持して支えることで、ドライバーの先端とスクリューの溝・穴等との
接触を維持させる。このため、把持が難しかったり把持力が足りなかったりすると、スク
リューがドライバーの先端から落下してしまうことがあり、これを防止するために、種々
の方策がとられてきた。
【0005】
特許文献1に記載の発明(図13参照)では、ドライバーの六角軸104の先端に取り
付けられたクロスビット103の周囲に筒形チャック102が配設され、その外側に筒形
ホルダ101が備えられている。筒形チャック102の遠位端は内側に曲げられ爪102
aが形成されている。スクリューをクロスビット103の端部に取り付けるとスクリュー
が爪102aに引っかかって、下に向けてもスクリューが落ちにくい構造となっている。
しかし、スクリューは引っかかっているだけなので、下向きの力(例えば移動の際の加速
度)がかかるとスクリューの落下のおそれがある。
【0006】
特許文献2に記載の発明(図14参照)では、ドライバーのグリップ部213には筒状
本体210が備えられ、筒状本体210内に移動部202が配設され、先端の先端部20
3の遠位端にスクリュー205が係止されている。図14に示される方向ではスクリュー
205は落下しないが、開口部211を下に向けるとスクリュー205の落下が容易に予
想される。
【0007】
特許文献3に記載の発明(図15参照)では、ドライバーの柄部310に連結するシャ
フトの遠位端に先端部303が設けられ、篏合部307がシャフトの中ほどに配設されて
いる。篏合部307には、環状支持部313と環状部311が備えられ、環状部311の
遠位端には磁性部309が取り付けられている。篏合部307をフランジ部317まで移
動させると、先端部303が磁性を帯び、先端部303に係止されているスクリューが磁
性を帯びる材質であれば磁性を帯びることになり、スクリューは磁力で係止され、落ちる
おそれが少なくなる。しかし、ドライバーに移動の際の加速度や衝撃がかかるとスクリュ
ーの落下が容易に予想される。また、磁性を帯びないステンレス製のスクリューには落下
防止の機能を果たさない。
【0008】
特許文献4に記載の発明(図16参照)では、把持部403と本体部402を有するド
ライバー401が示され、本体部402の遠位端の先端部404は、凹部442と凸部4
41が形成されている。凹部442には吸着性のある柔軟部材405が取り付けられてい
る。この柔軟部材405がスクリューの係止穴・溝に入り込んで、スクリューが落ちにく
くなる構造であるが、スクリューが落下しにくくなる機序が吸着性のある柔軟部材405
とスクリューの溝・穴との間の摩擦であるため、ドライバーに移動の際の加速度や衝撃が
かかるとスクリューの落下が容易に予想される。
【0009】
特許文献5に記載の発明(図17参照)では、ドライバー632の遠位端に第1刃部5
21、第2刃部522、第3刃部523、第4刃部524、空洞713、空洞723、突
起711、突起721が形成されている。スクリューの溝・穴にドライバー先端を押し込
むと、空洞713と空洞723が小さくなり、突起711と突起721がスクリューの溝
・穴に圧接し、第1刃部521、第2刃部522が膨らもうとするので、スクリューがド
ライバーから外れにくくなる。しかし、スクリューの溝・穴にドライバー先端を押し込む
力はばらつきがあり、力が弱いとスクリューがドライバーから外れるおそれがある。
【0010】
図18に示すスクリュー805とドライバーは脊椎の手術に用いられるものである。ド
ライバーのシャフト部801にはスリット803が、先端部802にはスリット804が
形成されている。スクリュー805には係止用の穴(トルクス(登録商標))806があ
けられ、先端部802は穴806よりも少し大きく作られている。穴806にドライバー
先端を押し込むとスリット803とスリット804があるので、ドライバー先端は穴80
6に入り込み、先端部が拡がろうとする力でスクリュー805がドライバーから外れにく
くなる。しかし、先端が拡がろうとする力のみでスクリューを係止しているため、ドライ
バーに移動の際の加速度や衝撃がかかるとスクリューの落下が容易に予想される。また、
このドライバーを用いてスクリューを締めこむために大きなトルクをかけると、ドライバ
ー先端の破損のおそれもある。
図18のスリットの代わりに、先端部802に先細のテーパーを付け、スクリュー80
5に嵌めて先端部802に衝撃を加えて係止させる方法も行われているが、加える衝撃力
にばらつきがあるため不確実となる。
【0011】
図19のドライバー900は、ハンドル部901、シャフト部902、先端部903、
ロッド905、つまみ907等から構成されており、ロッド先端部906は、図18のド
ライバーと同様にスリット904が形成されている。図19のドライバー900ではさら
につまみ907を備え、これを回すと、雄ねじ908と雌ねじ909がかみ合って、ロッ
ド先端部903を左方に移動させ、先端部903を押し広げる。この押し広げによって、
スクリューをしっかりと係止することが出来る。しかし、図18のドライバーと同様に、
このドライバーを用いてスクリューを締めこむために大きなトルクをかけると、ドライバ
ー先端の破損のおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】実用新案登録第3131577号公報
【文献】特開2010-137332号公報
【文献】特開2010-42486号公報
【文献】特開2020-62713号公報
【文献】特開2020-66091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図13図19に示す従来のドライバーでは、ドライバー先端に係止するスクリューが
衝撃等により係止が外れて落下する可能性があり、確実にドライバーによるねじ込み開始
までスクリューが落下しない保証はない。例えば、整形外科や脊椎外科に分野におけるイ
ンプラントの設置に多くのスクリューが用いられる場合があり、このような場合において
は患者の術野にスクリューが落下すると手術中の患者の体内に落下し、医療事故につなが
る恐れがある。また、種々の産業分野においてもドライバーからのスクリューの落下の懸
念が作業効率の低下や種々のトラブルの原因ともなる。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スクリューを係止する
ドライバーを所定の位置にまで移動する際に、ドライバーからスクリューの落下のおそれ
がないドライバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るドライバーは、ドライバー先端に係止
させられたスクリューが、ドライバー移動中にドライバー先端から離れることがない機能
を有するものであって、従来のドライバーがこの点に関して確実なものがなかったのに比
して画期的機能を有するものである。
【0016】
本発明(1)は、ドライバーと係止するスクリュー穴部を有するスクリューを回転させ
るドライバーであって、前記ドライバーを回転させるハンドル部と、前記スクリュー穴部
の一部と係合する第1係止部が先端に形成された可動係止体と、前記可動係止体を先端側
の遠位方向に押圧するロッドと、前記ロッドを遠位方向に付勢する付勢部と、前記ロッド
及び前記可動係止体を収容する筒状のシャフト部であって、遠位端部に前記スクリュー穴
部の一部と係合する第2係止部が先端に形成され、他端が前記ハンドルに連結固定される
シャフト部と、前記可動係止体の前記ハンドルに近い側の近位端部と前記ロッドの遠位端
部とを連結する継手であって、前記ロッドの軸方向の移動に伴って、当該軸から前記第1
係止部に向かう法線方向及びその逆の方向にも前記可動係止体を移動可能とする継手とを
備え、前記法線方向であって前記シャフト部の内面には、先端に向かって前記第1係止部
に近づく斜面であるシャフト先端斜面が形成され、前記第1係止部の反対側の前記可動係
止体の面には前記シャフト先端斜面とすり合わされる可動係止体斜面が形成されているド
ライバーである。
【0017】
ねじ、ボルト、ビス等の雄ねじを有するスクリューは、何らかの対象物にドライバーに
よってねじ込まれてその機能を果たす。スクリューには頭部にドライバーと係止するため
のスクリュー穴部があり、このスクリュー穴部は、マイナス溝、プラス溝、六角穴、トル
クス(登録商標)穴等の種々の形態をしている。
【0018】
本発明(1)のドライバーは、上記構造を有しているので、付勢部材によってロッドが
遠位端側に付勢されると、継手の構造と、シャフト先端斜面及び可動係止体斜面の構造に
よって、第1係止部がスクリュー穴部に押し付けられてスクリューがドライバーの先端か
ら離れることを防止できる。第1係止部がスクリュー穴部に押し付けられる力は、付勢部
による付勢力に応じるので、その力を調整することによって、スクリューがドライバーの
先端から離れることを確実に防止できる。
【0019】
本発明(2)は、前記継手が、前記可動係止体及び前記ロッドのいずれか一方に連結の
ための連結ピンが備えられ、他方に前記連結ピンが挿通する穴であって、前記法線方向に
長円形の形状の長円穴が形成されている構造である本発明(1)のドライバーである。
【0020】
本発明(2)では、継手の構造が連結ピンと長円穴から構成されることから、シンプル
な構造で、ロッドの軸方向の移動に伴って、当該軸から前記第1係止部に向かう法線方向
及びその逆の方向に前記可動係止体を移動可能とすることができる。
【0021】
本発明(3)は、前記付勢部が、前記ロッドの近位端部と前記ハンドルとの間に介在す
る圧縮コイルばねである本発明(1)または(2)のドライバーである。
【0022】
本発明(3)では、付勢部が圧縮コイルばねであり、シンプルな構造であるのでコスト
ダウンを図ることができる。圧縮コイルばね以外にも、空圧方式、油圧方式、電気モータ
方式等を作用することは勿論可能である。
【0023】
本発明(4)は、前記ロッドの近位端部と連結し、前記付勢部によって遠位端側に付勢
されるリリースピンを有し、当該リリースピンが、前記軸と直交する方向に前記シャフト
部あけられたリリースピン用穴に配設されている本発明(1)または(2)のドライバー
である。
【0024】
本発明(4)では、上記構造のリリースピンが配設されているので、リリースピンを近
位側に指で移動すると、ドライバーの第1係止部とスクリュー穴部との係止を容易に解除
することができる。
【0025】
本発明(5)は、スクリューと、前記スクリューを着脱可能に固定する台板と、前記本
発明(1)または(2)のドライバーと、を有するスクリュー・ドライバーセットである
【0026】
本発明(6)は、スクリューと、前記スクリューを着脱可能に固定する台板と、前記本
発明(3)のドライバーと、を有するスクリュー・ドライバーセットである。
【0027】
本発明(7)は、スクリューと、前記スクリューを着脱可能に固定する台板と、前記本
発明(4)のドライバーと、を有するスクリュー・ドライバーセットである。
【0028】
本発明(5)~(7)では、台板にスクリューが着脱可能に固定されているので、ドラ
イバーを用いて、スクリューのスクリュー穴部にドライバーの先端を容易に係止出来、ド
ライバーに係止されたスクリューを台板から引き抜くと、ドライバーを目的の場所に移動
させても確実にスクリューがドライバーから落下することがない。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、スクリューを係止するドライバーを所定の位置にまで移動する際に、
ドライバーからスクリューの落下のおそれがないドライバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態1のドライバーの斜視図である。
図2】本発明の実施形態1のドライバーの全体を示す一部透視図である。
図3】本発明の実施形態1の全体構成を示す模式図と、内部構造の動きを示す模式図である。
図4】本発明の実施形態1のドライバー先端側の透視図である。
図5】本発明の実施形態1の可動係止体を示す。
図6】本発明の実施形態1のシャフトの先端側の縦方向切断斜視図である。
図7】本発明の実施形態1のドライバーの先端部の動きを示す図であり、リリースピンを近位側に移動させたときの状態を示す。
図8】本発明の実施形態1のドライバーの先端部の動きを示す図であり、リリースピンをフリーにしたときの状態を示す。
図9】本発明の実施形態1のドライバーの先端部分を拡大した時の斜視図である。
図10】本発明の実施形態1のドライバーのリリースピン及び圧縮コイルばね近傍を示す一部透視図である。
図11】本発明の実施形態1のドライバーのリリースピン近傍を上方から見たとき斜視図である。
図12】本発明のスクリュー・ドライバーセットを示す模式図である。
図13】特許文献1に記載のドライバー先端を示す一部部分断面図である。
図14】特許文献2に記載のドライバーを示す。
図15】特許文献3に記載のドライバーを示す一部部分断面図である。
図16】特許文献4に記載のドライバーを示す。
図17】特許文献5に記載のドライバー先端を示す一部部分断面図である。
図18】従来技術の脊椎手術に用いられるドライバーの先端部分とスクリューの斜視図を示す。
図19】従来技術の脊椎手術に用いられるドライバーであって、図18のドライバーの改良タイプ示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、
本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限す
ることを意図するものではない。
【0032】
<実施形態1>
図1図11に、本発明のドライバーの実施形態1を示す。
図1に示すドライバー1は、ハンドル部2と、シャフト部3を有し、先端には第1係止
部である可動係止体係止部10及び第2係止部であるシャフト先端係止部8を備え、シャ
フト部3にはリリースピン用穴18があけられ、リリースピン用穴18の中にリリースピ
ン16が配設されている。
【0033】
図2は、本発明の実施形態1のドライバーの全体を示す一部透視図である。ドライバー
1は、ハンドル部2とシャフト部3とを有し、先端にシャフト先端係止部8(第2係止部
)と可動係止体係止部10(第1係止部)が形成されている。圧縮コイルばね15は、リ
リースピン16とばね受け部14の間に配設されている。リリースピン16はリリースピ
ン用穴18に嵌っている。ばね受け部14は、ばね受け部ロッド19によりハンドル部2
に固定されている。
【0034】
図3は、本発明の実施形態1の全体構成を示す模式図と、内部構造の動きを示す模式図
である。ドライバー1のハンドル部2に円筒状のシャフト部3が固定され、先端にシャフ
ト先端係止部8が形成されている。先端内面には、シャフト先端斜面9が形成されている
。シャフト部3の内部には、先端側から、可動係止体7、ロッド4、リリースピン16、
圧縮コイルばね15が配設されている。ばね受け部14から延びるばね受け部ロッド19
がハンドル部2と固着し、ばね受け部14はハンドル部2に固定されている。
【0035】
可動係止体7の先端には可動係止体係止部10(第1係止部)が形成され、下面には可
動係止体先端斜面11が形成されている。可動係止体先端斜面11は、シャフト先端斜面
9と擦れ合っている。可動係止体係止部10とロッド4のロッド太径部6の間は継手によ
って連結している。継手は、可動係止体7の近位部に形成された長円穴13の中に、ロッ
ド太径部6とつながる連結ピン12が挿入される構造となっている。ロッド本体部5とリ
リースピン16とは止めピン17によって固定されている。
【0036】
図3(A)は、使用者がリリースピン16をつまんで、リリースピン用穴18の中間部
に配置した状態を示している。可動係止体7の先端がシャフト先端係止部8の先端位置と
一致している。リリースピン用穴18から指を離すと、圧縮コイルばね15の付勢力でロ
ッド4が可動係止体7を左方に押圧するが、シャフト先端斜面9と可動係止体先端斜面1
1が接触しているので可動係止体7を上方に上げる必要があり、連結ピン12と長円穴1
3を備える継手において、図3(A)の状態から長円穴13が上方に上がることができる
ので図3(B)の状態となることができる。可動係止体7の先端はLだけ遠位方向に飛
び出している。
【0037】
ドライバー1を雄ねじ32が刻設されたスクリュー30のスクリュー穴部31に係止さ
せると可動係止体7の先端は押し戻され、先端の突出長さはLとなり、図3(C)の状
態になる。この状態になると、圧縮コイルばね15の付勢力により可動係止体係止部10
の上面には上方に向かう方向に力がかかり、その力はスクリュー穴部31にかかって、ス
クリュー30とドライバー1とはしっかりと係合して、スクリュー30がドライバー1か
ら外れることがなくなる。
【0038】
図3(a)は、図3(A)の継手部分を、図3(b)は、図3(B)の継手部分を、図
3(c)は、図3(C)の継手部分を示している。図3(a)の状態から、図3(b)の
状態に移行すると長円穴13の位置はDだけ上方に移行し、図3(b)の状態から図3
(c)の状態に移行すると長円穴13の位置は下方に下がって、DがDとなる。
【0039】
図4は、本発明の実施形態1のドライバー先端側の透視図である。シャフト部3の内部
にロッド本体部5とロッド太径部6が収容され、可動係止体7とつながっている。可動係
止体7の先端にはトルクス(登録商標)形状の可動係止体係止部10が形成され、シャフ
ト部3の先端部にはシャフト先端係止部8が形成され、可動係止体7とシャフト部3の先
端部とは、可動係止体先端斜面11とシャフト先端斜面9とで接している。
【0040】
図5は、本発明の実施形態1の可動係止体を示す。可動係止体7は、先端に可動係止体
係止部10が形成され、下面に可動係止体先端斜面11が形成され、近位端部には長円穴
13が形成され、この長円穴13は、継手構造の一部となっている。
【0041】
図6は、本発明の実施形態1のシャフトの先端側の縦方向切断斜視図である。シャフト
部3の先端にはシャフト先端係止部8が形成され、内面にはシャフト先端斜面9が形成さ
れている。
【0042】
図7は、本発明の実施形態1のドライバーの先端部の動きを示す図であり、リリースピ
ンを近位側に移動させたときの状態を示す。シャフト部3の内部にはロッド太径部6と可
動係止体7とが、連結ピン12と長円穴13とで構成される継手によって連結されている
。可動係止体係止部10の先端は、シャフト先端係止部8の先端よりも大きく右側にずら
されている。これは、図3におけるリリースピン16を最も右側に移動させた状態に相当
している。ロッド太径部6があることによって、ロッド44の動きは水平方向となる。
【0043】
図8は、本発明の実施形態1のドライバーの先端部の動きを示す図であり、リリースピ
ンをフリーにしたときの状態を示す。図7に対して、リリースピン16から手を離してフ
リーにすると圧縮コイルばね15の付勢力で可動係止体7の先端は左方に移動する。
【0044】
図9は、本発明の実施形態1のドライバーの先端部分を拡大した時の斜視図である。シ
ャフト部3の先端にはシャフト先端係止部8が形成され、可動係止体7の先端に形成され
た可動係止体係止部10が示されている。
【0045】
図10は、本発明の実施形態1のドライバーのリリースピン及び圧縮コイルばね近傍を
示す一部透視図である。ハンドル部2にシャフト部3が固定され、シャフト部3の内部に
は、ロッド本体部5、圧縮コイルばね15、ばね受け部14が収容されている。シャフト
部3とリリースピン16とは連結固定され、圧縮コイルばね15は左端がリリースピン1
6を左方に付勢し、ばね受け部14を右方に付勢している。シャフト部3には上下方向に
リリースピン用穴18があけられ、その中にリリースピン16が納められている。
【0046】
図11は、本発明の実施形態1のドライバーのリリースピン近傍を上方から見たとき斜
視図である。ハンドル部2にはシャフト部3が固定され、リリースピン用穴18があけら
れている。リリースピン用穴18にはリリースピン16が収容され、圧縮コイルばね15
がみられる。
【0047】
図12は、本発明のスクリュー・ドライバーセットを示す模式図である。ドライバー3
1と、ドライバー31の先端に取り付けられて使用されるスクリュー32と、スクリュー
32を着脱可能に取り付ける台板33を備えるスクリュー・ドライバーセットの実施形態
を示す。スクリュー32と台板33との係止はねじ止めでも構わない。このようなセット
を準備することによって、非常に沢山のねじを使用し、使用中にスクリュー32がドライ
バー31先端から外れることがあってはならない場合には有効となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明のドライバーは、スクリューを係止するドライバーを所定
の位置にまで移動する際に、ドライバーからスクリューの落下のおそれがないドライバー
として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1;ドライバー
2;ハンドル部
3;シャフト部
4;ロッド
5;ロッド本体部
6;ロッド太径部
7;可動係止体
8;シャフト先端係止部
9;シャフト先端斜面
10;可動係止体係止部
11;可動係止体先端斜面
12;連結ピン
13;長円穴
14;ばね受け部
15;圧縮コイルばね
16;リリースピン
17;止めピン
18;リリースピン用穴
19;ばね受け部ロッド
31;ドライバー
32;スクリュー
33;台板
【要約】      (修正有)
【課題】スクリューを係止するドライバーを所定の位置にまで移動する際に、ドライバーからスクリューの落下のおそれがないドライバーを提供すること。
【解決手段】ハンドル部2と、第1係止部10が先端に形成された可動係止体7と、可動係止体を押圧するロッド4と、ロッドを付勢する付勢部15と、筒状のシャフト部3を有する。スクリュー穴部の一部と係合する第2係止部8が先端に形成されるシャフト部3と、可動係止体とロッドを連結する継手であって、ロッドの軸方向の移動に伴って、当該軸から第1係止部に向かう法線方向及びその逆の方向に可動係止体を移動可能とする継手とを備え、シャフト部の内面には、先端に向かって第1係止部に近づく斜面であるシャフト先端斜面9が形成され、第1係止部の反対側の可動係止体の面にはシャフト先端斜面とすり合わされる可動係止体斜面11が形成されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19