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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】姿勢保持具及び歩行支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20230317BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20230317BHJP
   A63B 22/02 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
A61H1/02 R
A61H3/00 Z
A63B22/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022174663
(22)【出願日】2022-10-31
【審査請求日】2022-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522426227
【氏名又は名称】松本 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀樹
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0058169(US,A1)
【文献】実開昭57-130653(JP,U)
【文献】中国実用新案第205360392(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0314851(US,A1)
【文献】実開昭53-145568(JP,U)
【文献】米国特許第05704880(US,A)
【文献】米国特許第09370680(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0113227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
A61H 3/00
A63B 22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置場所に置かれ、かつ、第1方向に沿って作動されるコンベアベルトを有する歩行装置と、
前記コンベアベルト上に立つ利用者の姿勢を保持する姿勢保持具と、
を備えた歩行支援装置であって、
前記歩行装置とは別に設けられて前記設置場所に置かれる補助器具を有し、
前記補助器具は、
前記歩行装置の平面視で前記歩行装置を囲むように配置され、かつ、前記歩行装置の両側で前記第1方向に沿って延ばされた第1構成部及び第2構成部を有するベース部と、
前記第1構成部から高さ方向に突出された第1支柱と、
前記第2構成部から高さ方向に突出された第2支柱と、
前記第1支柱同士を接続するように前記第1方向に沿って延ばされた第1手すり部と、
前記第2支柱同士を接続するように前記第1方向に沿って延ばされた第2手すり部と、
前記第1支柱及び前記第2支柱により支持されたテーブルと、
を有し、
前記第1方向において前記コンベアベルト上で前記テーブルより後方に立つ前記利用者の腕を支持する腕サポート部が、前記第1方向で前記テーブルの後端に設けられ、
前記腕サポート部は、前記歩行装置の平面視で前記第1方向に対して直交する第2方向に間隔をおいて2つ設けられ、
2つの腕サポート部は、
前記テーブルに対して取り付け及び取り外しできるクランプと、
前記クランプに接続され、水平方向及び高さ方向において作動可能なアームと、
前記アームに取り付けられて前記利用者の腕の一部を支持するパッドと、
をそれぞれ有し、
前記姿勢保持具は、
前記利用者の胴部に装着されるベルトと、
前記ベルトに接続されて前記胴部を支持する支持部と、
前記支持部に接続され、かつ、前記第1方向で前記テーブルより後方で前記第1手すり部に取り付け及び取り外しできる2つの第1接続部と、
前記支持部に接続され、かつ、前記第1方向で前記テーブルより後方で前記第2手すり部に取り付け及び取り外しできる2つの第2接続部と、
を有し、
前記コンベアベルト上に立つ前記利用者の前記胴部に前記ベルトが装着され、かつ、前記第1接続部が前記第1手すりに取り付けられ、かつ、前記第2接続部が前記第2手すりに取り付けられると、前記支持部は、前記利用者の肩より下に配置される、歩行支援装置。
【請求項2】
請求項記載の歩行支援装置において、
前記補助器具は、高さ調整機構を有し、
前記高さ調整機構は、前記テーブルの高さ方向の位置を変更できる、歩行支援装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の歩行支援装置において、
前記補助器具は、幅調整機構を有し、
前記幅調整機構は、前記歩行装置の平面視で、前記第2方向で前記テーブルの全幅を変更できる、歩行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンベアベルト上を歩行する利用者の姿勢を安定させる姿勢保持具及び歩行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアベルト上を歩行する利用者の姿勢を安定させる姿勢保持具及び歩行支援装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された歩行支援装置は、利用者の腰部に装着される環状のハーネスと、一端がハーネスにおいて利用者の腰部の左側に相当する部位に固定された第1ワイヤと、一端がハーネスにおいて利用者の腰部の右側に相当する部位に固定された第2ワイヤと、第1ワイヤの他端に設けられた第1巻取り部と、第2ワイヤの他端に設けられた第2巻取り部と、第1巻取り部及び第2巻取り部が取り付けられ、かつ、利用者の頭上で第1巻取り部及び第2巻取り部を支持するフレームと、を有する。第1ワイヤ及び第2ワイヤは、利用者の頭上から下方に向けて垂れ下がり、利用者の胴部の側方を経由して腰部まで到達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6400194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載された歩行支援装置においては、第1ワイヤ(支持部)及び第2ワイヤ(支持部)が、利用者の腰部から頭上まで延ばされているため、支持部が、利用者の手の邪魔になる可能性がある、という課題を認識した。
【0005】
本開示の目的は、胴部に装着されたベルトに接続された支持部が、利用者の手の邪魔になることを抑制可能な、姿勢保持具及び歩行支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、設置場所に置かれる歩行装置のコンベアベルト上に立つ利用者に装着されて前記利用者の姿勢を保持する姿勢保持具であって、前記利用者の胴部に装着されるベルトと、前記ベルトに接続されて前記胴部を支持する支持部と、前記支持部に接続され、かつ、前記設置場所に置かれる構造物に取り付け及び取り外しできる接続部と、を有し、前記コンベアベルト上に立つ前記利用者の前記胴部に前記ベルトが装着され、かつ、前記接続部が前記構造物に取り付けられると、前記支持部は、前記利用者の肩より下に配置される、姿勢保持具である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、利用者の胴部にベルトが装着されると、ベルトに接続された支持部が、利用者の手の邪魔になることを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】姿勢保持具及び歩行支援装置の第1実施形態を示す模式的な側面図である。
図2図1の模式的な平面図である。
図3A】姿勢保持具及び歩行支援装置の第2実施形態を示す模式的な側面図である。
図3B図3Aの模式的な平面図である。
図4】姿勢保持具及び歩行支援装置の第2実施形態の他の例を示す模式的な側面図である。
図5図3Bに示す姿勢支援具の他の例を示す模式的な平面図である。
図6】歩行支援装置の第3実施形態を示す模式的な側面図である。
図7図6に示す歩行支援装置の部分的な平面図である。
図8図6に示す歩行支援装置が有する補助器具の斜視図である。
図9A】全幅を調整可能なテーブルの一例を示す模式的な平面図である。
図9B】全幅を調整可能なテーブルの一例であり、テーブルの全幅を広げた状態を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(概要)
本開示は、歩行支援装置のいくつかの実施形態を含む。歩行支援装置のいくつかの実施形態は、図面を参照して説明されている。複数の図に示された同一の構成には、同一の符号が付されている。
【0010】
(第1実施形態)
図1及び図2には、歩行支援装置50の第1実施形態が示されている。歩行支援装置50は、ウォーキングマシン10及び姿勢保持具30を有する。ウォーキングマシン10は、マシン本体11、駆動ローラ12、従動ローラ13、コンベアベルト14、フレーム15、コントローラ16を有する。マシン本体11は、一例として金属製であり、マシン本体11は、設置場所17に置かれる。設置場所17は、一例として床である。図1に示す設置場所17の上面は、略水平である例である。マシン本体11は、第1カバー18、第2カバー19、第3カバー20を有する。第1カバー18と第2カバー19とが、略平行に配置されている。第3カバー20は、第1カバー18と第2カバー19とを接続している。
【0011】
駆動ローラ12は、第3カバー20により覆われている。駆動ローラ12及び従動ローラ13は、第1カバー18及び第2カバー19により、回転可能に支持されている。第1カバー18及び第2カバー19は、マシン本体11の第1方向B1に沿って配置されている。駆動ローラ12及び従動ローラ13は、第1方向B1に間隔をおいて配置されている。第1方向B1は、マシン本体11の前後方向である。
【0012】
コンベアベルト14の材質は、一例として合成ゴムであり、かつ、コンベアベルト14は、環状、つまり、無端状である。コンベアベルト14は、駆動ローラ12及び従動ローラ13に巻き掛けられている。電動モータが第3カバー20内に設けられており、電動モータは、駆動ローラ12を回転させる。駆動ローラ12の回転力は、コンベアベルト14を経由して従動ローラ13に伝達される。駆動ローラ12が回転されると、コンベアベルト14は、循環移動する。つまり、コンベアベルト14は、第1方向B1に沿って作動する。コンベアベルト14のうち、駆動ローラ12から従動ローラ13へ向けて移動する部位14Aは、略水平に保持される。利用者22は、部位14Aの上に立つことができる。利用者22は、部位14Aが作動する向きA1とは逆に移動する意識を持ち、歩行することができる。
【0013】
フレーム15は、マシン本体11に取り付けられている。フレーム15は、2本の手すり部23,24、前部支柱25,26、後部支柱27,28及び支持部29を有する。2本の手すり部23,24、前部支柱25,26、後部支柱27,28及び支持部29の材質は、例えば、金属である。2本の手すり部23,24の表面には、合成ゴムまたはスポンジの滑り止めが設けられていてもよい。前部支柱25は、第1カバー18から上に向けて突出されている。前部支柱26は、第2カバー19から上に向けて突出されている。後部支柱27は、第1カバー18から上に向けて突出されている。後部支柱28は、第2カバー19から上に向けて突出されている。前部支柱25及び後部支柱27が、第1方向B1で間隔をおいて配置されている。前部支柱26及び後部支柱28とが、第1方向B1で間隔をおいて配置されている。
【0014】
手すり部23は、前部支柱25と後部支柱27とを接続している。手すり部24は、前部支柱26と後部支柱28とを接続している。2本の手すり部23,24は、第1方向B1に沿って配置されている。2本の手すり部23,24は、略平行であり、かつ、略水平に配置されている。手すり部23,24は、高さ方向B2でコントローラ16より下に設けられている。高さ方向B2は、鉛直方向、つまり、重力の作用方向と同義である。図2のように、ウォーキングマシン10を平面視すると、第1方向B1に対して交差する、具体的には、直交する第2方向A2において、手すり部23及び手すり部24は、コンベアベルト14の両側に配置されている。ウォーキングマシン10の平面視とは、鉛直方向でウォーキングマシン10を真上から見ることを意味する。
【0015】
支持部29は、2本の前部支柱25,26を接続するように設けられている。支持部29は、略水平に設けられている。コントローラ16が支持部29に設けられている。コントローラ16には、モニタ及び操作部が設けられている。コントローラ16は、例えば、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、ゲーム器、心拍数を測定するセンサが接続される。モニタには、例えば、映像、画像、心拍数、歩行距離、経過時間等が表示される。操作部には、例えば、映像、画像、ゲーム等のメニューボタン、コンベアベルト14の作動及び停止を切り替えるボタン、コンベアベルト14を作動させるメニューを選択するボタン等が設けられる。利用者22は、モニタを目視し、かつ、操作部を操作することができる。
【0016】
姿勢保持具30は、ウォーキングマシン10へ取り付け及び取り外しできる。姿勢保持具30は、ベルト(安全帯)31、支持部32、接続部33,36を有する。ベルト31は、利用者22の胴部、例えば、腰部34に取り付け及び取り外しすることができる。ベルト31は、革製、合成樹脂製の何れでもよい。ベルト31は、腰部34へ環状に巻き付けられる。ベルト31は、長さ調整機構35を有する。長さ調整機構35は、腰部34の周長に応じて、ベルト31が腰部34に巻かれている箇所の周長を調整するものである。長さ調整機構35は、例えば、バックル、マジックテープ(登録商標)等により構成される。
【0017】
複数の支持部32は、ベルト31の長さ方向で異なる箇所に取り付けられている。複数の支持部32は、例えば、4つ設けられている。4つの支持部32の材質は、例えば、革、金属ワイヤ、合成樹脂のうちの何れでもよい。4つの支持部32は、それぞれ金具によってベルト31に取り付けられている。また、4つの支持部32は、長さを調整可能なショックアブソーバ、ターンバックル等を、それぞれ有していてもよい。接続部33は、手すり部23と、2つの支持部32とを、別々に接続する要素である。接続部36は、手すり部24と、2つの支持部32とを、別々に接続する要素である。接続部33は、手すり23へ取り付け及び取り外しできる。接続部36は、手すり24へ取り付け及び取り外しできる。接続部33,36は、例えば、バックル、マジックテープ(登録商標)、ラッシング金具等を用いることができる。
【0018】
利用者22は、ウォーキングマシン10及び姿勢保持具30を次のように使用できる。利用者22は、コンベアベルト14が停止している状態で、部位14Aに両足を載せて立つ。図2において、利用者22が立つ位置は、第1方向B1において、コントローラ16より後方であり、かつ、第2方向A2において、手すり部23と手すり部24との間である。また、ベルト31を腰部34へ巻き付ける。2つの接続部33は、手すり部23に取り付けられ、2つの接続部36は、手すり部24に取り付けられる。2つの接続部33は、第1方向B1で異なる位置に配置される。2つの接続部33は、第1方向B1で異なる位置に配置される。接続部33と接続部36とは、第1方向B1で同じ位置に配置される。
【0019】
利用者22は、手37でコントローラ16を操作し、コンベアベルト14を動作させるメニューを選択する。コントローラ16が電動モータを回転させると、駆動ローラ12が回転され、かつ、コンベアベルト14が循環作動する。利用者22は、コンベアベルト14の部位14Aが作動する向きA1とは逆方向に移動する意識で歩行またはランニングする。また、利用者22は、手37を手すり23,24に載せることができる。さらに、利用者22は、コントローラ16のモニタを目視し、モニタに表示される映像、画像、ゲーム等のコンテンツを楽しむことができる。さらに、利用者22は、歩行支援装置50の周囲に居る人との会話、カラオケ等を楽しむこともできる。
【0020】
ベルト31が、利用者22の腰部34に装着されている。また、ベルト31は、支持部32及び接続部33を介して手すり23に支持され、支持部32及び接続部36を介して手すり24に支持されている。このため、姿勢保持具30は、利用者22の腰部34を支え、かつ、体重の一部を支持する。姿勢保持具30は、利用者22の姿勢を安定した状態に保持する。図2に示すウォーキングマシン10の平面視で、姿勢保持具30は、腰部34を中心として、4つの支持部32を放射状に配置し、かつ、2つの接続部33が手すり23に取り付けられ、2つの接続部36が手すり部24に取り付けられている。2つの支持部32は、腰部34より前方に位置し、2つの支持部32は、腰部34より後方に位置する。このため、利用者22の胴部が前後左右に傾くこと、または、利用者22が転倒すること、を抑制できる。したがって、利用者22は、歩行中に姿勢を安定させることを意識せずに済み、精神的にリラックスして歩行できる。また、利用者22は、コントローラ16のモニタに集中することができる。このため、利用者22の脳には、ウォーキングマシン10を利用して歩いたという記憶が残らない。利用者22が、脳で感じる経過時間は、実際の経過時間よりも短くなる。
【0021】
また、手すり23,24は、利用者22の肩38より下に設けられ、手すり23,24に姿勢保持具30が取り付けられる。このため、手37が手すり23,24に載せられた状態において、支持部32が手37の邪魔になることを抑制できる。なお、高さ方向B2で、ベルト31と手すり23,24との位置関係は、利用者22の身長、体形により定まる。このため、高さ方向B2において、ベルト31と手すり23,24とが同じ位置になること、ベルト31が手すり23,24より上に位置すること、もあり得る。
【0022】
(第2実施形態)
図3A及び図3Bには、歩行支援装置50の第2実施形態が示されている。フレーム15は、前部支柱25,26及び支持部29を有する。コントローラ16に手すり部39が設けられている。図3Bに示すフレーム15は、図2に示した手すり部23,24及び後部支柱27,28を備えていない。図3A及び図3Bには、姿勢保持具30の他の例として姿勢保持具30Aが示されている。姿勢保持具30Aは、ベスト90、ベルト31及び2つの支持部32を有する。ベスト90は、利用者22が胴部に装着するものである。ベスト90は、手37を出す開口部91を有する。
【0023】
ベルト31は、ベスト90の周囲に巻き付けられている。ベルト31は、ベスト90に取り付け及び取り外しできる。ベルト31は、鉛直方向で腰部34より上に装着される。ベルト31が巻き付けられる高さは、利用者22の重心位置Q1を含む。1つの支持部32は、接続部33により前部支柱25に接続されている。1つの支持部32は、接続部36による前部支柱26に接続されている。接続部36は、鉛直方向でベルト31より下に位置する。2つの支持部32は、第1方向B1において利用者22より前方に位置する。さらに、ベルト31及び2つの支持部32は、高さ方向B2において、肩38より下に位置する。
【0024】
利用者22は、図3A及び図3Bに示すウォーキングマシン10及び姿勢保持具30Aを、第1実施形態と同様に使用できる。ベルト31は、支持部32及び接続部33を介して前部支柱25に支持され、支持部32及び接続部36を介して前部支柱26に支持されている。このため、姿勢保持具30Aは、利用者22の胸部を支え、かつ、体重の一部を支持する。姿勢保持具30Aは、利用者22が後方へ移動することを抑制する。したがって、利用者22は、歩行中に姿勢を安定させることを意識せずに済む。また、手37を手すり部39に置くと、手すり部39は、利用者22の体重の一部を受ける。したがって、利用者22は姿勢を保持し易くなる。また、ベルト31が、利用者22の重心位置Q1を含む箇所に装着される。したがって、利用者22がバランスを崩した場合に、利用者22の頭がコンベアベルト14に接触することを防止できる。
【0025】
図4には、歩行支援装置50の他の例が示されている。前述のベスト90を用いることなく、ベルト31が腰部34に装着される。ベルト31及び2つの支持部32は、高さ方向B2において、肩38より下に位置する。利用者22は、図4に示すウォーキングマシン10及び姿勢保持具30Aを、第1実施形態と同様に使用できる。したがって、利用者22は姿勢を保持し易くなる。
【0026】
図5には、姿勢保持具30の他の例として姿勢保持具30Bが示されている。姿勢保持具30Bは、ベルト40及び支持部41を有する。ウォーキングマシン10を平面視すると、ベルト40は、C字形状である。ベルト40の材質は、革または合成樹脂である。支持部41は、ベルト40の外周に巻き掛けられ、ベルト40の第1端部は、接続部42を介して前部支柱25に取り付けられる。ベルト40の第2端部は接続部43を介して前部支柱26に取り付けられる。
【0027】
支持部41において、ベルト40に巻かれていない箇所は、クランプ44により束ねられている。クランプ44は、第1方向B1においてベルト40と接続部42,43との間に位置する。支持部41は、クランプ44と接続部42との間に位置する第1構成部45と、クランプ44と接続部43との間に位置する第2構成部46と、を有する。接続部42は、前部支柱25へ取り付け及び取り外しできる。接続部43は、前部支柱26へ取り付け及び取り外しできる。また、クランプ44が支持部41を締め付ける力は、任意に変更できる。クランプ44は、支持部41へ取り付け及び取り外しできる。
【0028】
利用者22は、図5に示すウォーキングマシン10及び姿勢保持具30Aを、図3A及び図3B図4に示すウォーキングマシン10及び姿勢保持具30と同様に使用できる。ベルト40は、第1構成部45及び接続部42を介して前部支柱25に支持され、かつ、第2構成部46及び接続部43を介して前部支柱26に支持されている。このため、姿勢保持具30Aは、利用者22の腰部34を支え、かつ、体重の一部を支持する。姿勢保持具30Aは、利用者22が後方へ移動することを抑制する。したがって、利用者22は姿勢を保持し易くなる。
【0029】
(第3実施形態)
図6図7には、歩行支援装置50の第3実施形態が示されている。歩行支援装置50は、ウォーキングマシン10、姿勢保持具30及び補助器具51を有する。ウォーキングマシン10と補助器具51とは、別々に設けられている。補助器具51は、設置場所17に置かれる。図8のように、補助器具51は、ベース57、フレーム56及びテーブル72を有する。ベース57は、第1構成部52、第2構成部53、第3構成部54、第4構成部55及びフレーム56を有する。第1構成部52、第2構成部53、第3構成部54、及び第4構成部55のそれぞれの材質は、例えば金属である。第1構成部52と第2構成部53とが、略平行に配置されている。第3構成部54と第4構成部55とが、略平行に配置されている。
【0030】
第1構成部52及び第2構成部53は、第1方向B1に沿って延ばされている。第3構成部54及び第4構成部55は、第2方向A2に沿って延ばされている。第1方向B1において、第3構成部54より後方に第4構成部55が配置されている。第3構成部54の両端が、第1構成部52及び第2構成部53に接続されている。第4構成部55の両端が、第1構成部52及び第2構成部53に接続されている。第1構成部52と第2構成部53と第3構成部54と第4構成部55とにより囲まれた空間C1が形成されている。
【0031】
マシン本体11は、空間C1に配置され、かつ、設置場所17に置かれる。マシン本体11には、図1及び図2を参照して説明した後部支柱28及び手すり部23,24が設けられていない。また、図3に示した手すり部39は、設けられていない。第1カバー18と第1構成部52とが並んで配置され、第2カバー19と第2構成部53とが並んで配置される。
【0032】
フレーム56は、2本の手すり部58,59、6本の支柱60,61,62,63,64,65、接続部66,67を有する。2本の手すり部58,59、6本の支柱60,61,62,63,64,65、接続部66,67の材質は、何れも金属である。支柱60,61,62は、第1構成部52から上に向けて突出されている。支柱61は、第1方向B1において、支柱60と支柱62との間に配置されている。支柱60は、第1方向B1において、支柱61,62より前方に配置されている。
【0033】
第1方向B1において、第1構成部52に対する支柱60,61,62の取り付け位置を変更できる位置変更機構68が設けられている。位置変更機構68は、第1構成部52に設けられた取り付け孔69と、支柱60,61,62の下端にそれぞれ固定されたブラケット70と、ブラケット70に取り付けるボルト71と、を有する。取り付け孔69は、第1構成部52に第1方向B1に沿って複数設けられている。ボルト71を差し込む取り付け孔69を変更することにより、第1方向B1において、第1構成部52に対する支柱60,61,62の取り付け位置を変更できる。手すり部58は、支柱61と支柱62とを接続している。接続部66は、支柱60と支柱61とを接続している。手すり部58は、略水平に設けられている。
【0034】
支柱63,64,65は、第2構成部53から上に向けて突出されている。支柱64は、第1方向B1において、支柱63と支柱65との間に配置されている。支柱63は、第1方向B1において、支柱64,65より前方に配置されている。第1方向B1において、第2構成部53に対する支柱63,64,65の取り付け位置を変更できる位置変更機構68が設けられている。位置変更機構68は、第2構成部53に設けられた取り付け孔69と、支柱63,64,65の下端にそれぞれ固定されたブラケット70と、ブラケット70に取り付けるボルト71と、を有する。取り付け孔69は、第2構成部53に第1方向B1に沿って複数設けられている。ボルト71を差し込む取り付け孔69を変更することにより、第1方向B1において、第2構成部53に対する支柱63,64,65の取り付け位置を変更できる。手すり部59は、支柱64と支柱65とを接続している。接続部67は、支柱63と支柱64とを接続している。手すり部59は、略水平に設けられている。
【0035】
テーブル72は、支柱60,61,63,64により支持されている。テーブル72は、一例としてプレート形状であり、テーブル72の材質は、例えば、木材、合成樹脂、金属の何れでもよい。テーブル72の下面に複数の脚部、具体的には4本の脚部73が取り付けられている。支柱60,61,63,64は、全てパイプであり、脚部73が支柱60,61,63,64の内部にそれぞれ配置されている。テーブル72及び脚部73は、支柱60,61,63,64に対し高さ方向B2に移動可能である。
【0036】
高さ方向B2において、支柱60,61,63,64に対するテーブル72の位置を変更できる高さ調整機構74が設けられている。高さ調整機構74は、脚部73にそれぞれ設けられた差し込み孔75と、各支柱60,61,63,64に取り付けられた位置決めピン76と、を有する。差し込み孔75は、各脚部73の長さ方向に間隔をおいて複数設けられている。位置決めピン76は、各支柱60,61,63,64の取り付け孔にそれぞれ挿入されている。位置決めピン76は、弾性部材により、各支柱60,61,63,64の内部に向けて押されている。
【0037】
そして、位置決めピン76を引っ張り、かつ、テーブル72の高さを任意に調整した後、位置決めピン76の先端を、各脚部73の差し込み孔75に差し込むことができる。このようにして、高さ方向B2におけるテーブル72の位置を調整できる。さらに、図6のように、モニタ81をテーブル72上に置くことができる。モニタ81は、例えば、液晶モニタ、プラズマモニタであり、モニタ81には、映像、画像等が表示される。
【0038】
2つの腕サポート部77が、テーブル72に設けられる。2つの腕サポート部77は、第1方向B1において、テーブル72の後端に設けられる。腕サポート部77は、クランプ78、アーム79、及びパッド80を有する。クランプ78は、テーブル72に対して取り付け及び取り外しできる。アーム79は、クランプ78に接続され、水平方向及び高さ方向B2において、作動可能である。パッド80は、アーム79に取り付けられており、パッド80は、利用者22は腕の一部、例えば、肘を支持する。
【0039】
姿勢保持具30は、図1及び図2に示す姿勢保持具30と同様の構成を有する。2つの支持部32は、接続部33により手すり部58へ取り付けられる。2つの支持部32は、接続部36により手すり部59へ取り付けられる。接続部33は、手すり部58に対し取り付け及び取り外しできる。接続部36は、手すり部59に対し取り付け及び取り外しできる。
【0040】
利用者22は、ウォーキングマシン10及び姿勢保持具30を次のように使用できる。利用者22は、コンベアベルト14が停止している状態で、部位14Aに立つ。図7において、利用者22が立つ位置は、第1方向B1において、テーブル72より後方であり、かつ、第2方向A2において、手すり部58と手すり部59との間である。また、ベルト31を腰部34へ巻き付ける。2つの接続部33は、手すり部58に取り付けられ、2つの接続部36は、手すり部59に取り付けられる。2つの接続部33は、第1方向B1で異なる位置に配置される。2つの接続部33は、第1方向B1で異なる位置に配置される。接続部33と接続部36とは、第1方向B1で同じ位置に配置される。
【0041】
利用者22は、手37で物体82を持ち、手37の一部をパッド80に載せることができる。物体82は、本、ゲームのコントローラを含む。利用者22は、物体82が、ゲームのコントローラであると、利用者22は、モニタ81を目視して、モニタ81に表示されるゲームを楽しむことができる。物体82が本である場合、利用者22は本を読むことができる。
【0042】
ベルト31が、利用者22の腰部34に装着されている。また、ベルト31は、支持部32及び接続部33を介して手すり部58に支持され、支持部32及び接続部36を介して手すり部59に支持されている。このため、図1及び図2を参照して説明した原理と同様にして、利用者22の胴部が前後左右に傾くこと、または、利用者22が転倒すること、を抑制できる。したがって、利用者22は、歩行中に姿勢を安定させることを意識せずに済み、精神的にリラックスして歩行できる。さらに、パッド80が利用者22の肘を支持できるため、姿勢安定度が増す。また、テーブル72の高さ方向B2における位置を調整でき、利用者22の利便性が増す。
【0043】
なお、テーブル72上にパーソナルコンピュータを置くこともできる。また、支柱61と支柱64とを接続部材により接続すること、または、支柱60と支柱63とを接続部材により接続することもできる。また、図6及び図7に示す姿勢保持具30に代えて、図3A及び図3B図4に示す姿勢保持具30Aを用いることもできる。この場合、接続部36は、支柱61,64に取り付けられる。さらに、図6及び図7に示す姿勢保持具30に代えて、図5に示す姿勢保持具30Bを用いることもできる。この場合、接続部42は、支柱61に取り付けられ、接続部43は、支柱64に取り付けられる。さらに、空間C1に配置されるウォーキングマシンの形状及び構造は、任意である。補助器具51の要素と、ウォーキングマシンの要素とが、相互に衝突しないことが望ましい。
【0044】
図9A及び図9Bは、テーブル72の他の例を示す模式的な平面図である。テーブル72は、支持台83により支持されている。支持台83の材質は、例えば、金属、木材、合成樹脂の何れでもよい。支持台83は、4本の脚部73の上端に固定されている。支持台83の上面は、略水平である。支持台83は、平面視で略四角形、具体的には、長方形または正方形である。支持台83のうち、第1方向B1における後端縁に、位置決め孔84が複数設けられている。複数の位置決め孔84は、第2方向A2に間隔をおいて配置されている。
【0045】
テーブル72は、第2方向A2において2分割された第1構成片72A及び第2構成片72Bを有する。第2方向A2において、第1構成片72A及び第2構成片72Bは、支持台83に対しそれぞれ移動可能に取り付けられている。第1構成片72Aには取り付け孔が設けられ、取り付け孔に位置決めピン85が挿入されている。位置決めピン85は、弾性部材により支持台83へ向けて水平方向に押されており、かつ、位置決めピン85は、第1構成片72Aから脱落することはない。第2構成片72Bには取り付け孔が設けられ、取り付け孔に位置決めピン85が挿入されている。位置決めピン85は、弾性部材により支持台83へ向けて水平方向に押されており、かつ、位置決めピン85は、第2構成片72Bから脱落することはない。位置決め孔84及び位置決めピン85は、幅調整機構86を構成している。
【0046】
そして、第1構成片72Aに取り付けられた位置決めピン85を引っ張って、第1構成片72Aを移動させた後、位置決めピン85の先端を位置決め孔84へ差し込むことで、第2方向A2における第1構成片72Aの位置を変更できる。また、第2構成片72Bに取り付けられた位置決めピン85を引っ張って、第2構成片72Bを移動させた後、位置決めピン85の先端を位置決め孔84へ差し込むことで、第2方向A2における第2構成片72Bの位置を変更できる。このように、第1構成片72A及び第2構成片72Bは、支持台83に対し略水平方向に、かつ、第2方向A2でそれぞれスライド可能である。したがって、第2方向A2におけるテーブル72の全幅L1を調整できる。
【0047】
本開示で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。歩行支援装置50は、歩行支援装置の一例である。ウォーキングマシン10は、歩行装置の一例である。コンベアベルト14は、コンベアベルトの一例である。姿勢保持具30,30A,30Bは、姿勢保持具の一例である。腰部34は、胴部の一例である。ベルト31,40は、ベルトの一例である。支持部32、第1構成部45、第2構成部46は、支持部の一例である。ウォーキングマシン10及び補助器具51は、構造物の一例である。接続部33,36,42,43は、接続部の一例である。
【0048】
手すり部23,24,58,59、及び前部支柱25,26は、構成要素の一例である。第1方向B1は、第1方向の一例である。第2方向A2は、第2方向の一例である。テーブル72は、テーブルの一例である。腕サポート部77は、腕サポート部の一例である。高さ調整機構74は、高さ調整機構の一例である。全幅L1は、テーブルの全幅の一例である。ベスト90は、ベストの一例である。本開示において、支持部が略高さ方向に沿って配置された場合でも、支持部の全部が利用者の肩より下に位置するように、支持部の長さ、形状が設計されている。
【0049】
本開示は、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本開示における歩行支援装置は、ウォーキングマシンに代えてランニングマシンを備えていてもよい。また、コンベアベルトは、利用者が乗る部位が、略水平であるもの、水平面に対して、利用者が乗る部位が傾斜しているもの、水平面に対して、利用者が乗る部位の傾斜角度を変更できるもの、の何れであってもよい。さらに、テーブルの高さ方向の位置を調整する高さ調整機構、テーブルの全幅を調整する幅調整機構は、図面を参照して開示したものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示の姿勢保持具及び歩行支援装置は、循環移動するコンベアベルト上を歩行する利用者の姿勢を安定させる姿勢保持具及び歩行支援装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
50…歩行支援装置、10…ウォーキングマシン、14…コンベアベルト、23,24,58,59…手すり部、25,26…前部支柱、30,30A,30B…姿勢保持具、31,40…ベルト、32…支持部、33,36,42,43…接続部、34…腰部、45…第1構成部、46…第2構成部、51…補助器具、72…テーブル、77…腕サポート部、74…高さ調整機構、90…ベスト、A2…第2方向、B1…第1方向、L1…全幅
【要約】
【課題】胴部に装着されたベルトに接続された支持部が、利用者の手の邪魔になることを抑制可能な、姿勢保持具を提供する。
【解決手段】設置場所17に置かれるウォーキングマシン10のコンベアベルト14上に立つ利用者22に装着されて利用者22の姿勢を保持する姿勢保持具30であって、利用者22の腰部34に装着されるベルト31と、ベルト31に接続されて利用者22の腰部34を支持する支持部32と、支持部32に接続され、かつ、設置場所17に置かれるウォーキングマシン10の手すり部24に取り付け及び取り外しできる接続部36と、を有し、コンベアベルト14上に立つ利用者22の腰部34にベルト31が装着され、かつ、接続部36が手すり部24に取り付けられると、支持部は32、利用者22の肩38より下に配置される、姿勢保持具30を構成した。
【選択図】図1
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B