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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】魚釣用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
A01K85/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019134200
(22)【出願日】2019-07-21
(65)【公開番号】P2021016352
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】507316996
【氏名又は名称】佐塚 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100101421
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】佐塚 清孝
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-042809(JP,A)
【文献】特開昭63-226235(JP,A)
【文献】特開2017-000081(JP,A)
【文献】特開2010-094103(JP,A)
【文献】特開2019-000039(JP,A)
【文献】特開平10-150886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 - 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質のルアー本体と釣針とをセットにした魚釣用ルアーであって、
前記釣針は、前後方向に延伸した軸部と、該軸部に連続すると共に、該軸部の延伸方向に対して曲がった曲がり部と、前記軸部の前端に、釣糸挿通孔を有して前記軸部よりも大きい頭部とを有し、前記曲がり部の先端に針先を設け、
前記ルアー本体には、該ルアー本体の前側領域に開口した前側口を設け、該前側口から後方側では、前記ルアー本体の後部領域を除いた範囲では該ルアー本体の表面に露出することなく内部を貫通して前記ルアー本体の後端部に開口した後側口にまで至る釣針挿通路を有し、前記釣針挿通路は、前記釣針の前記頭部が挿通可能な大きさの路径を有すると共に前記軸部の長さ以下の長さを有し、
前記釣針挿通路の、少なくとも前記前側口近くの領域の横断面形状が長軸方向と短軸方向とを有する断面非円形であり、前記長軸方向の前記釣針挿通路の寸法は、前記釣針の前記頭部の最大径以上であり、前記短軸方向の前記釣針挿通路の寸法は、前記最大径よりも小さい
ことを特徴とする魚釣用ルアー。
【請求項2】
前記ルアー本体の前記前側口近傍に設けられ、前記釣針の前記曲がり部を含む平面が前記ルアー本体に対して上下方向に広がる姿勢で前記釣針を組み込んた状態において、前記釣針の前記頭部に設けた前記釣糸挿通孔の挿通方向に対して概ね直交する方向に延伸又は広がっていると共に、前記頭部に接触するか近接して設けられており、前記挿通方向に沿って貫通したルアー本体側孔を有する釣針回転止めを具備することを特徴とする請求項1記載の魚釣用ルアー。
【請求項3】
前記後側口に連通して前記ルアー本体の後部領域内の上面側又は下面側に設けられ、前記釣針挿通路に前記釣針を組み込んだ状態において、前記曲がり部の基部を挟むことのできるスリットを前記ルアー本体の前後方向に沿って設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用ルアー。
【請求項4】
前記ルアー本体は、概ね平板状の上面部と該上面部の下方に位置する概ね平板状の下面部とを有し、前記上面部と前記下面部とは、夫々の左右方向の中央部において連結壁によって互いが連結されており、前記連結壁の左壁面はルアー本体の後方部において左後ろ方向に延伸し、右壁面は前記後方部において右後ろ方向に延伸していることを特徴とする請求項1から3までの何れか1記載の魚釣用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグを含むハードベイト又はハードルアーと称される魚釣用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードルアーは、合成樹脂材、木材、金属等で形成された硬質のルアー本体に釣針を装着して形成する。但し、本願で述べる硬質、或いはハードとは、一般に言われている硬質ルアーの硬質よりは広い意味合いで使用している。即ち、ルアー本体の材料としてエラストマーと称される材料が使用されていても本願の硬質に含まれる場合がある。要は、釣りの最中にルアー本体の全体的形状が保持されてさえいればよいのであり、釣り最中に形状が自在に変形するルアー(ソフトルアー)だけを除外する意味である。こうしたハードルアーの例として、本出願人に係る下記特許文献1、2や非特許文献1等に開示のものがある。一般に、魚釣用ルアーは、使用中に根掛かりしたり、岩や石等に擦れ、針先部が損傷したり、釣針の曲がり部が損傷することがある。下記非特許文献1のルアーでは、釣針がルアー本体に一体化されているため、釣針が損傷すれば、交換できず、ルアーそのものを買い替える必要が有る。本出願人に係る特許文献1や2のルアーでは釣針の交換が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5030910号公報
【文献】特許第6251852号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】BASS PRO SHOPS社 「2014 BASS PRO SHOPS FISHING MASTER CATALOG」243頁 Weedless Spoon
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の魚釣用ルアーでは、釣針の交換を可能にしているものの、釣りの最中に釣針がルアー本体から不用意に分離し易いという問題がある。
また、特許文献2の魚釣りルアーでは、釣針の交換を可能にしていると共に、釣りの最中に釣針がルアー本体から外れることはないが、釣針のルアー本体への組み付け作業がやや難しいという問題がある。
依って解決しようとする課題は、ルアー本体と釣針とを分離できて釣針が交換可能であると共に、使用中は釣針がルアー本体から不用意に外れず、ルアー本体への釣針の組み付けが極めて容易である魚釣用ルアーの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて第1の発明は、硬質のルアー本体と釣針とをセットにした魚釣用ルアーであって、
前記釣針は、前後方向に延伸した軸部と、該軸部に連続すると共に、該軸部の延伸方向に対して曲がった曲がり部と、前記軸部の前端に、釣糸挿通孔を有して前記軸部よりも大きい頭部とを有し、前記曲がり部の先端に針先を設け、
前記ルアー本体には、該ルアー本体の前側領域に開口した前側口を設け、該前側口から、前記ルアー本体の後部領域を除いた範囲では該ルアー本体の表面に露出することなく内部を貫通して、前記ルアー本体の後端部に開口した後側口にまで至る釣針挿通路を有し、前記釣針挿通路は、前記釣針の前記頭部が挿通可能な大きさの路径を有すると共に前記軸部の長さ以下の長さを有することを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、前記ルアー本体の前記前側口近傍に設けられ、前記釣針の前記曲がり部を含む平面が前記ルアー本体に対して上下方向に広がる姿勢で前記釣針を組み込んだ状態において、前記釣針の前記頭部に設けた前記釣糸挿通孔の挿通方向に対して概ね直交する方向に延伸又は広がっていると共に、前記頭部に接触するか近接して設けられており、前記挿通方向に沿って貫通したルアー本体側孔を有する釣針回転止めを具備することを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、前記後側口に連通して前記ルアー本体の後部領域内の上面側又は下面側に設けられ、前記釣針挿通路に前記釣針を組み込んだ状態において、前記曲がり部の基部を挟むことのできるスリットを前記ルアー本体の前後方向に沿って設けたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、前記釣針挿通路の、少なくとも前記前側口近くの領域の横断面形状が長軸方向と短軸方向とを有する断面非円形であり、前記長軸方向の前記釣針挿通路の寸法は、前記釣針の前記頭部の最大径以上であり、前記短軸方向の前記釣針挿通路の寸法は、前記最大径よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、前記ルアー本体は、概ね平板状の上面部と該上面部の下方に位置する概ね平板状の下面部とを有し、前記上面部と前記下面部とは、夫々の左右方向の中央部において連結壁によって互いが連結されており、前記連結壁の左壁面はルアー本体の後方部において左後ろ方向に延伸し、右壁面は前記後方部において右後ろ方向に延伸していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明では、ルアー本体には、該ルアー本体の前側領域に開口した前側口部を設け、該前側口部から後方側では、前記ルアー本体の後部領域を除いた範囲では該ルアー本体の表面に露出することなく内部を貫通して前記ルアー本体の後端部に開口した後側口部にまで至る釣針挿通路を有し、前記釣針挿通路は、前記釣針の前記頭部が挿通可能な大きさの路径を有すると共に前記軸部の長さ以下の長さを有するため、釣針の頭部を、ルアー本体の後側口部から挿入することで、簡単にルアー本体へ釣針を組み付けることができる。また、ルアー本体の前側口部から出た頭部の釣糸挿通孔にスナップや釣糸を挿通させることでルアーを使った釣りが楽しめ、釣針がルアー本体から不用意に外れることもない。更には、必要な場合には、ルアー本体から釣針を後方に引き抜くことで釣針を簡単に外すことができ、新しい釣針と交換することもできる。
【0012】
第2の発明では、釣針の曲がり部を含む平面がルアー本体に対して上下方向に広がる姿勢で釣針が組み込まれた状態で、釣針の頭部に設けた釣糸挿通孔の挿通方向に対して概ね直交する方向に延伸しているか広がっている釣針回転止めを具備しているので、ルアー本体に対して組み込まれた釣針が自身の軸周りに回転することが防止でき、安定した状態でルアー釣りができる。また、ルアー本体側孔は釣糸挿通孔の挿通方向に沿って貫通しているため、スナップや釣糸を釣針頭部の釣糸挿通孔とルアー本体側孔とに通すことができ、釣りの最中に釣針がルアー本体から後方へ抜け出ることをより確実化できる。
【0013】
第3の発明では、曲がり部の基部を挟むスリットをルアー本体の前後方向に沿って設けているので、ルアー本体に組み付けられた釣針が自身の軸周りに回転することが効果的に防止でき、安定した状態でルアー釣りができる。
【0014】
第4の発明では、釣針挿通路の少なくとも前側口近くの領域の横断面形状が断面非円形であり、長軸方向の寸法は釣針頭部の最大径以上であり、短軸方向の寸法は釣針頭部の最大径よりも小さいので、釣針頭部の最大径方向を長軸方向に合わせて押し込めば釣針が挿入できる。挿入後、釣針をその軸周りに回転させて、釣針頭部の最大径方向を前記短軸方向に合わせれば、その状態では釣針は後方に抜け去ることが防止され、安定してルアー釣りができる。
【0015】
第5の発明では、釣りの実験によれば、この魚釣用ルアーが釣糸に引かれると、生きている水中の虫が動いているように、安定的に左右に興味深い動きをする。左右の動きは、連結壁の左右壁面が後方部において左右に広がる形態に主因が有るものと考えられ、安定して泳ぐのは、主に概ね平板状の上面部と下面部の存在によるものと考えている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明に係る魚釣用ルアーに使用の釣針の側面図である。
図2図2は本発明に係る魚釣用ルアーに使用のルアー本体の上面図である。
図3図3図2のルアー本体の側面図である。
図4図4図2のルアー本体の矢視線D-Dによる縦断面図である。
図5図5は釣針が組み込まれた場合の、図4に対応するルアー本体の前側領域の部分拡大図である。
図6図6図4の矢視線F-Fによる釣針挿通路近傍の拡大横断面図である。
図7図7は本発明に係る他の実施形態の魚釣用ルアーのルアー本体を示す上面図である。
図8図8図7の矢視線H方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、添付図面を用いて更に詳細に説明する。本発明に係る魚釣用ルアーに使用の釣針10の一例を図1に示している。軸部10Jの一端には、アイとも呼ばれる頭部10Tが形成されており、他端には曲がり部10Mが設けられている。この釣針10には、魚が掛かった際に逃がさないための係止部(返し部)は設けていないが、設けていてもよい。また、頭部10Tは、(軸部1OJと)曲がり部10Mを含む平面に平行な方向に沿って釣糸を挿通できるように、釣糸挿通孔が形成されている。その頭部10Tは軸部の素材を曲げて環状に作られているが、その作り方は任意である。中心線TCはその釣糸挿通孔の中心位置と挿通方向を示している。即ち、頭部10Tは、軸部10Jと曲がり部10Mとの成す平面に概ね直交する方向に広がっている。しかし、頭部を軸部10Jと曲がり部10Mとの成す平面に対して概ね平行な平面に沿って広がる形態に形成し、軸部10Jと曲がり部10Mとの成す平面に概ね直交する方向に釣糸が挿通できるようにしてもよい。即ち、釣糸が図1の図の平面を貫く方向に挿通する釣糸挿通孔を有するように頭部を形成してもよい。
【0018】
図2図3を参照すれば、ルアー本体20は、その平面視において、前側の半分、即ち、前側領域に比べて後側領域の方が幅狭であり、後方に行くに従ってより幅狭になる紡錘形状を成している。また、側面視におけるルアー本体の上面20Aは滑らかに上に凸な曲面形状であるが、下面20Bは平面状である。但し、下面の前端部領域は前上がりの傾斜状である。この前端部領域の左右方向中央に、上下方向に広がる板を設けてもよい。これはルアーの保護や泳ぎの安定性に関係する。ルアー本体20の先部の保護としては、該先部をアルミ板部材によって被覆する等の方法も採用可能である。
【0019】
ルアー本体20の前側領域に開口した前側口FPが設けられている。ここで、図4を参照すれば、この前側口FPは釣針挿通路TRに連通しており、この釣針挿通路TRはルアー本体20の内部を概ね前後方向に直線状に貫通し、ルアー本体20の後端に開口した後側口RPにまで至っている。この後側口RTと連通するスリットSLを上面20Aの側に形成している。この形態例では、スリットSLはルアー本体20の後部領域の上面側にのみ、前後方向に沿って設けられている。即ち、この釣針挿通路TRは、前側口FPと後側口RPにおいてルアー本体20の表面に露出しているが、この両口FP,RPの間では、後部領域のスリットSLを除けば、ルアー本体20の表面には全く露出していない。この実施形態例では、ルアー本体20は、その下面20B側は全長に亘って閉じられている。少なくとも針挿通路TRに連通する開口は存在しない。上面20A側も、スリットSLを除いた全長において釣針挿通路TRに連通する開口は存在しない。なお、下記の凹部HKは前側口FPに連通するのみである。また、前側口FPの直ぐ前部のルアー本体20には、適宜な深さ掘り下げられた凹部HKが存在する。ここは、釣針10の頭部10Tの釣糸挿通孔に釣糸やスナップを装着する作業のために設けた凹部である。
【0020】
更には、この実施形態例では、前側口FPの直ぐ上側に位置させて、半環状の金属製リングによる釣針回転止めKSが設けられている。図2図4に示されるように、この釣針回転止めKSにはルアー本体側孔SHが設けられており、この半環状の釣針回転止めKSは、そのルアー本体側孔SHの貫通方向SCに直交する平面に沿って広がっている。また、図4に示すように、釣針回転止めKSの側面視による延伸方向は、釣針挿通路TRの延伸方向に沿っている。釣針回転止めKSは半環状には限らず、回転止めとしての広さ(幅)が有れば形状は任意である。
【0021】
釣針10をルアー本体20に組み込むには、釣針10の頭部10Tをルアー本体20の後側口RPから釣針挿通路TRに挿入して頭部10Tを前側口FPから露出させる。即ち、釣針挿通路TRの長さは釣針10の軸部10Jの長さ以下に設定している。釣針挿通路TRの横断面形状は、この実施形態例では、図6に示すように左右方向(長軸方向)に長い寸法L1を有し、上下方向(短軸方向)に短い寸法L2を有する長円形であり、断面非円形である。また、この実施形態例では釣針挿通路TRはステンレス等の金属製のパイプPで形成している。勿論、ルアー本体20の材料に直接形成してもよい。その長軸方向寸法L1は釣針10の頭部10Tの最大径以上であり、短軸方向寸法L2はその最大径よりも小さいが、軸部10Jの直径以上である。
【0022】
従って、釣針挿通路TRに釣針10の頭部10Tを挿入する際には、釣針の曲がり部10Mを図4に2点鎖線で示す向き、即ち、曲がり部10Mを含む平面がルアー本体20に対して上下方向になる姿勢で釣針10をルアー本体20に押し込んで組み込む。即ち、釣針10の頭部10Tは図1の図平面に直交する方向に広がっているが、その広がり方向は図6では図の左右方向であるため、その姿勢で挿入可能である。挿入して、曲がり部10Mの基部をスリットSL内に押し入れる。この状態で釣針10の頭部10Tは図5の状態になる。即ち、この頭部10Tの広がり平面は、釣針回転止めKSの広がり平面と(概ね)平行になる。また、頭部10Tと釣針回転止めKSとは上下方向に近接、或いは接触する位置に釣針回転止めKSを設けている。
【0023】
頭部10Tと釣針回転止めKSの近接構成により、釣針10のその軸周りの回転が防止される。また、スリットSLへの釣針10の曲がり部10Mの基部の係合によっても、同回転が防止される。これら2つの構成要件、即ち、近接構成とスリットSLの2つは、何れか一方のみでもよい。更には、釣針回転止めKSを上下の1対設けて、この1対で釣針10の頭部10Tを上下から挟むように構成してもよい。
釣糸やスナップは、釣針回転止めKSと釣針10の頭部10Tの両方に挿通させて使用する。
【0024】
釣針回転止めKSを設けない場合であって、図1の形態の釣針10の頭部10Tが、曲がり部10M或いは軸部10Jに対して90度回転した形態、即ち、頭部10Tの広がり面が曲がり部を含む平面に沿っている形態の場合、釣針挿通路TRの拡大横断面である図6の断面非円形である範囲は、釣針挿通路TR全体ではなくて前側口FPの近くの領域のみに設ける形態も可能である。即ち、この領域のみ上下方向が短軸方向となる。この場合、釣針10をルアー本体20に組み込み、図4に示す曲がり部10Mの状態に設定すると、頭部10Tはその広がり面が図5の図平面に沿う。即ち、頭部10Tの広がりは前後方向と共に上下方向に広がる姿勢となる。この際、曲がり部10Mの基部がスリットSLに係止しているため、釣針10の軸周り回転が防止される。また、この状態で、釣針10が後方に抜けることも防止される。何故ならば、頭部10Tの上下方向の広がり寸法が、釣針挿通路TRの上下方向寸法である短軸寸法L2よりも大きいからである。釣針挿通路TRの図6に示す断面非円形である範囲は、釣針挿通路TRの全長に亘って設けられていても良いことは勿論である。
【0025】
図1の形態の釣針10の頭部10Tが、その曲がり部10Mに対して90度回転した形態の場合、図6に示す長円形の釣針挿通路TRが、その長軸方向がルアー本体20の上下方向になるように形成された場合、図5に示す釣針回転止めKSも、図5とは異なり、図5の図平面に対して90度回転した姿勢、即ち、図5の図平面に沿った広がりを有するように設けることとなる。これにより釣針10の回転が防止される。釣針回転止めKSを1対頭部10Tの左右に設けてもよいこと等は最初の実施形態の場合と同様である。更には、釣針挿通路TRを断面非円形にする場合は、長円形に限らず、楕円でもよく、また、以上のような線対称な断面形状ではなく、非対称な形状でもよく、要は長軸方向と短軸方向とが有ればよい。本発明の最も広い場合(第1の発明)では、釣針挿通路TRの横断面は円形でもよく、頭部10Tが通ればよい。
【0026】
次に、ルアー本体20が以上の形態とは異なる場合につき説明する。図7は、ルアー本体30を上方から見た図であり、図8図7の矢視線Hから視認した正面図である。このルアー本体30は、上面部UPと下面部LPとが上下方向に対面しており、この間を連結壁RHによって連結した形態である。上面部UPと下面部LPとは概ね平行な実施形態であるが、上面部UPの前部が後部に比べて下面部LPからより離れるように傾斜していてもよい。また、上面部UPの外側面の正面視形状が、平面に近い角度(大きな開き角度)の略V字状(U字状を含む)であってもよい。連結壁RHはルアー本体30の左右方向中央部に設けられている。
【0027】
上面部UPの前側領域に前側口FPが開口しており、ルアー本体30の後端部には後側口RPが開口しており、釣針挿通路TRは、後側口RPから前側口FPに亘って直線状に設けられている。上面部UPは、前側口FPの直ぐ前部領域において孔HK’が設けられている。スナップや釣糸を挿通させる際の作業用である。また、上面部UPの後端部には釣針挿通路TRと後側口RPとに連通したスリットSLが設けられている。上記前側口FPの直ぐ上側には釣針回転止めKSが釣針挿通路TRの延伸方向に沿うと共に左右方向に広がっている。釣針回転止めKSにはルアー本体側孔SHが設けられている。
【0028】
釣針10の形態との関連において、釣針回転止めKSの有無や設定方向等の変形形態に関しては、ルアー本体20の場合と同様であるが、釣針回転止めKSの形状については、左右方向に延伸する金属等の直線部材でもよい。この場合は、図7の平板状の釣針回転止めKSは無くなっており、孔HK’の後端縁と直線部材との間がルアー本体側孔となる。即ち、孔HK’の後部縁(後端縁と、孔HK’の後部領域の左縁と右縁との3つの縁)と直線部材とによってルアー本体側孔が区画形成されている。
連結壁RHは、その前端の上端部はルアー本体側孔SHに近い後側の位置であり、左右幅がルアー本体30(或いは上面部UP)の幅の数分の一程度の狭い幅を有し、概ねその幅を保持しつつ後方に至る細幅部を有し、後方部において、その幅が滑らかに拡大している。即ち、連結壁RHの右壁面RSはルアー本体30の前後方向に沿って後方に延伸し、これと滑らかに連続して後方部において右後ろ方向に延伸して上面部UP及び下面部LPの右側縁に至っている。左壁面LSは、ルアー本体30の左右幅の中心位置を通る中心線に対して、上記右壁面RSとは実質的に左右対称に形成されている。前後方向位置につき、連結壁RHの前端の上端部を除いた部分は任意であり、上端部と同じ位置でもよく、また、下端部が上端部よりも前方位置に位置するように上端部から下端部に向かって傾斜状に形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ハードルアーと称される魚釣用ルアーに利用できる。特に、損傷した釣針を交換でき、ルアー本体を繰り返して使用したい場合に特に効果的に利用できる。
【符号の説明】
【0030】
10 釣針
10J 軸部
10M 曲がり部
10T 頭部
20,30 ルアー本体
FP 前側口
KS 釣針回転止め
RP 後側口
SL スリット
TR 釣針挿通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8