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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02S 30/10 20140101AFI20230317BHJP
【FI】
H02S30/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018090434
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2019198166
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 諭
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-114570(JP,A)
【文献】特開2016-123176(JP,A)
【文献】特開2001-053323(JP,A)
【文献】特開2000-174311(JP,A)
【文献】特開2000-243998(JP,A)
【文献】特開2016-059100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090678(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
H10K 30/00-30/57
H10K 30/80-39/18
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上片と前記上片から下方に延びた側片と前記側片から前記上片と並行して延びた下片とで囲まれ、一方が開口端とされた溝部を有する枠体と、
辺縁部に端面保護部材が固定され、前記辺縁部が前記溝部に嵌め込まれる矩形板状の太陽電池モジュール本体と、を備える太陽電池モジュールであって、
前記端面保護部材が前記太陽電池モジュール本体の受光面と端面と裏面とを覆い、
前記太陽電池モジュール本体の少なくとも一辺に取り付けられる前記枠体が係止突状部を有し、
前記係止突状部は、前記開口端側で前記上片の下面に突設された第一突状部と、前記開口端側で前記下片の上面に突設された第二突状部とを含み、
前記端面保護部材は
受光面側では前記側片側の端部から前記開口端側の端部までの前記太陽電池モジュール本体の嵌め込み方向に沿う長さが前記側片と前記第一突状部との間の距離よりも小さく、当該端面保護部材の前記開口端側の端部は前記第一突状部より内部に配置されて前記第一突状部に係止可能とされ、かつ
裏面側では前記側片側の端部から前記開口端側の端部までの前記嵌め込み方向に沿う長さが前記側片と前記第二突状部との間の距離よりも小さく、当該端面保護部材の前記開口端側の端部は前記第二突状部より内部に配置されて前記第二突状部に係止可能とされており、
前記端面保護部材と前記側片との間に空隙部が設けられていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
請求項に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記第一突状部は、前記上片の下面から突出する段部を有し、前記段部から前記開口端側に向かって薄くなるテーパー状とされていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項3】
上片と前記上片から下方に延びた側片と前記側片から前記上片と並行して延びた下片とで囲まれ、一方が開口端とされた溝部を有する枠体と、
辺縁部に端面保護部材が固定され、前記辺縁部が前記溝部に嵌め込まれる矩形板状の太陽電池モジュール本体と、を備える太陽電池モジュールであって、
前記端面保護部材が前記太陽電池モジュール本体の受光面と端面と裏面とを覆い、
前記太陽電池モジュール本体の少なくとも一辺に取り付けられる前記枠体が係止突状部を有し、
前記係止突状部は、前記開口端側で前記上片の下面に突設された第一突状部と、前記開口端側で前記下片の上面に突設された第二突状部とを含み、
前記端面保護部材が、受光面側では前記溝部の前記第一突状部より内部に配置され、かつ裏面側では前記溝部の前記第二突状部より内部に配置されており、
前記端面保護部材と前記側片との間に空隙部が設けられ、
前記第一突状部は、前記上片の下面から突出する段部を有し、前記段部から前記開口端側に向かって薄くなるように当該第一突状部の下面側が上り傾斜のテーパー状とされて
前記溝部は、前記開口端側に向かって開口幅が広くなるように形成されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記端面保護部材と前記溝部の内面との間は接着されておらず、前記溝部内で前記太陽電池モジュール本体が嵌め込み方向およびその反対方向に動くことが可能とされたことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの請求項に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記端面保護部材を含めた前記太陽電池モジュール本体の辺縁部の厚さが、前記第一突状部の前記開口端側の先端と前記第二突状部の前記開口端側の先端との間の距離よりも大きいことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一つの請求項に記載の太陽電池モジュールにおいて、
前記端面保護部材は、前記溝部の内面に対して非接着性を有することを特徴とする太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体を備えた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を光電変換し電力を取り出す太陽電池モジュールは、太陽電池を含む太陽電池モジュール本体の周縁部に、アルミニウムなどの金属系材料等を用いて形成された枠体が取り付けられている。
【0003】
図4は従来例1の太陽電池モジュールを示し、図5は従来例2の太陽電池モジュールを示す。例えば、従来例1の太陽電池モジュール101は太陽電池モジュール本体102と枠体103とを備えており、図4にその端部を一部拡大して示すように、太陽電池モジュール本体102は表面側である受光面ガラス105に、エチレンビニルアセテート(以下、EVAと称する)等の受光面側保護層106、太陽電池107、EVA等の裏面側保護層108、裏面側封止用の耐候性フィルム109が積層されており、これらが一体にラミネート加工されたスーパーストレート型構造を有している。この太陽電池モジュール本体102は、耐候性が確保された矩形状の薄板として構成されている。
【0004】
枠体103は、太陽電池モジュール本体102の四辺を保持するものであって、矩形の閉断面を有するフレーム本体111を備えるとともに、このフレーム本体111の上方に形成されて太陽電池モジュール本体102の辺縁部が嵌り込む溝部112を備えている。太陽電池モジュール本体102の端部は、弾性を有するコーキング剤113に被覆されて、枠体103の溝部112に挿入固定されている。
【0005】
このような従来例1に対し、コーキング剤の硬化に時間がかかりプロセスタイムが長くなるという問題点から、コーキング剤にかえて、接着剤や粘着剤を用いて太陽電池モジュール本体102と枠体103とを固定したものもあった。例えば、従来例2の太陽電池モジュール101は、図5に拡大して示すように、両面に粘着剤が備えられた両面粘着テープ114が太陽電池モジュール本体102の端部に貼り付けられて、枠体103の溝部112と太陽電池モジュール101の端部とが接着固定されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-43353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のような枠体103は、長尺体であり金属系材料等の押出加工により成形された複数本の枠部材を接合して構成されている。例えば図6に示すように、枠体103は、その製造過程や太陽電池モジュール本体102を嵌め込む過程で、長辺を構成する枠部材が変形を生じやすいという実情がある。特に、図6に示す例では、長辺の枠部材の中央部において太陽電池モジュール本体102との距離が小さくなり、長辺の枠部材が反るように変形している。このため、太陽電池モジュール101の施工時に太陽電池モジュール101を固定するための架台への取り付けが困難となったり、固定強度が低下したりする懸念があった。
【0008】
従来例1のように、弾性を有するコーキング剤を用いて太陽電池モジュール本体102と枠体103とを固定していた場合には、コーキング剤の弾性変形によって枠体103の変形を許容し得ることもあった。しかし、その後、従来例2のように太陽電池モジュール本体102と枠体103とが接着剤や粘着剤で強固に接着されるようになったため、枠体103を架台に取り付ける際に太陽電池モジュール本体102から粘着剤が剥離したり、同時に太陽電池モジュール本体102の裏面側の耐候性フィルム109などが損傷したりする可能性を含むものとなっていた。
【0009】
本発明は、前記のような従来の問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、太陽電池モジュール本体を損傷させることなく枠体に太陽電池モジュール本体を安定的に保持させつつ、枠体が変形して架台への取り付け作業が困難になることを回避し得る構造を備えた太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、上片と前記上片から下方に延びた側片と前記側片から前記上片と並行して延びた下片とで囲まれ、一方が開口端とされた溝部を有する枠体と、辺縁部に端面保護部材が固定され、前記辺縁部が前記溝部に嵌め込まれる矩形板状の太陽電池モジュール本体と、を備える太陽電池モジュールを前提とし、前記端面保護部材が前記太陽電池モジュール本体の受光面と端面と裏面とを覆い、前記太陽電池モジュール本体の少なくとも一辺に取り付けられる前記枠体が係止突状部を有し、前記係止突状部は、前記開口端側で前記上片の下面に突設された第一突状部と、前記開口端側で前記下片の上面に突設された第二突状部とを含み、前記端面保護部材が、受光面側では前記溝部の前記第一突状部より内部に配置され、かつ裏面側では前記溝部の前記第二突状部より内部に配置されており、前記端面保護部材と前記側片との間に空隙部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
この特定事項により、太陽電池モジュール本体の辺縁部は端面保護部材が取り付けられて保護され、太陽電池モジュール本体は端面保護部材を備えた状態で枠体の溝部に嵌め込まれている。枠体の溝部内では、端面保護部材と溝部の内面との間に空隙部を有するので、太陽電池モジュール本体が枠体に対して動き得る。これにより、枠体に変形が生じていても、枠体と太陽電池モジュール本体との安定的な保持状態が維持される。
【0012】
また、太陽電池モジュール本体を保持した枠体に変形が生じている場合に、変形を解消させるために枠体に引張り力や押圧力を作用させたとしても、枠体と、これを固定する架台との取り付けが困難になるのを防ぐことができる。また、溝部が係止突状部を備えているので、太陽電池モジュール本体に溝部から引き抜かれる方向の外力が作用しても溝部からの抜けが防止されて、安定的に保持された状態が維持される。
【0013】
太陽電池モジュールにおける、より具体的な構成として、端面保護部材を含めた太陽電池モジュール本体の辺縁部の厚さが、第一突状部の開口端側の先端と第二突状部の開口端側の先端との間の距離よりも大きいことが好ましい。これにより、太陽電池モジュール本体の溝部からの抜け出しが防止される。
【0014】
また、太陽電池モジュール本体が平面視で長方形状を有する場合に、太陽電池モジュール本体の長辺に取り付けられる枠体のうちの少なくとも一方に係止突状部が備えられていることが好ましい。
【0015】
また、太陽電池モジュール本体が平面視で正方形状を有する場合には、太陽電池モジュール本体に取り付けられる枠体のすべてに係止突状部が備えられていることが好ましい。
【0016】
このような構成により、枠体に変形が生じても、太陽電池モジュール本体が溝部内で動き得るので、架台への取り付け作業が困難になるのを回避できる。
【0017】
また、太陽電池モジュールにおける第一突状部と第二突状部との少なくとも一方は、開口端側に向かって薄くなるテーパー状とされていることが好ましい。これにより、太陽電池モジュール本体を溝部に対して容易に嵌め込むことが可能とされる。
【0018】
また、太陽電池モジュールにおいて、端面保護部材は、溝部の内面に対して非接着性を有することが好ましい。これにより、太陽電池モジュール本体が溝部内で動くのが許容される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、太陽電池モジュール本体に損傷を生じることなく枠体に太陽電池モジュール本体を安定的に保持させることが可能となる。また、枠体に変形が生じても太陽電池モジュール本体が枠体の溝部内で動きうるので、枠体の変形を許容し得て、架台への取り付け作業が困難になることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの平面図である。
図2図1のA-A部分断面図である。
図3】前記太陽電池モジュールの製造方法を説明する断面図である。
図4】従来例1の太陽電池モジュールの端部を示す断面図である。
図5】従来例2の太陽電池モジュールの端部を示す断面図である。
図6】太陽電池モジュールの枠体の変形の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る太陽電池モジュールについて、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1図3は本発明の実施形態に係る太陽電池モジュール1を示し、図1は平面図、図2図1のA-A部分断面図、図3は製造方法を示す断面図であって図2相当図である。
【0023】
なお、以下の太陽電池モジュールの断面形状に係る説明では、図面における左右方向を太陽電池モジュール1の幅方向とする。また、図2および図3における図中左方向を太陽電池モジュール1の外側、図中右方向を太陽電池モジュール本体2の内側として説明する。
【0024】
実施形態に係る太陽電池モジュール1は、図1に示すように、平面視で長方形状を有して矩形板状に形成されている。太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール本体2と、太陽電池モジュール本体2の辺縁部26に備えられた端面保護部材3(図2参照)と、太陽電池モジュール本体2の辺縁部26を保持する枠体4とを有する。
【0025】
(太陽電池モジュール本体2)
図2に示すように、太陽電池モジュール本体2は、太陽に向けて設置される受光面ガラス21の裏面側に、熱硬化性樹脂等の封止材からなる受光面側保護層22と太陽電池23と封止材からなる裏面側保護層24とがこの順に積層されて一体に形成されている。裏面側保護層24の裏面側は耐候性フィルムやガラスなどの裏面保護材25で覆われている。太陽電池モジュール本体2に用いられる太陽電池23の種類は特に限定されず、例えば、単結晶、多結晶、薄膜等のシリコン系太陽電池、GaAs、CdTe、CdS等の化合物系太陽電池、色素増感、有機薄膜等の有機系太陽電池等が挙げられる。
【0026】
(端面保護部材3)
太陽電池モジュール本体2は、その辺縁部26に端面保護部材3が取り付けられている。端面保護部材3は、太陽電池モジュール本体2の辺縁部26の外形に沿って形成された枠形状をしており、後述する太陽電池モジュール1の枠体4(特に溝部45の内面)に対して接着性や粘着性を有しない合成樹脂系材料、またはアルミニウムや鉄を含む金属などから選ばれた材料により形成されている。例えば、端面保護部材3は、エラストマー樹脂やシリコン樹脂等の合成樹脂系材料、またはアルミニウム合金や耐蝕性鉄材等により形成されている。
【0027】
端面保護部材3は、太陽電池モジュール本体2の受光面(表面、図2における受光面ガラス21の上面)側に当接する上側保護片31と、太陽電池モジュール本体2の裏面(前記受光面の反対側の面、図2における裏面保護材25の下面)側に当接する下側保護片32と、太陽電池モジュール本体2の辺縁部26の端面に当接する横側保護片33とを有し、断面が略コの字状に形成されている。
【0028】
端面保護部材3は、接着剤や粘着剤を用いて辺縁部26に固定されている。例えば、辺縁部26に接着剤を塗布して端面保護部材3を貼り付けてもよいし、端面保護部材3と辺縁部26とを粘着剤を備えた両面テープで固定してもよい。太陽電池モジュール本体2の辺縁部26において、このような形状の端面保護部材3が太陽電池モジュール本体2の受光面と端面と裏面とを覆って、太陽電池モジュール本体2の四辺に取り付けられている。
【0029】
なお、太陽電池モジュール本体2の端辺の全ての部分で端面保護部材3が辺縁部26を覆っている必要はない。複数に分割された端面保護部材3が、太陽電池モジュール本体2の端辺に沿って断続して取り付けられてもよい。
【0030】
(枠体4)
太陽電池モジュール本体2は、端面保護部材3が取り付けられた状態で枠体4に嵌め込まれている。枠体4は、図2に示すように、矩形の閉断面を有するフレーム本体41を備え、さらに、このフレーム本体41の上面に位置する下片42の外側端(図中左端)から上方に延びる側片43と、側片43の先端から下片42と並行するように内側に延びる上片44とを備えている。下片42、側片43および上片44によって、断面が略コの字状の溝部45が形成されている。溝部45の一方は開口端となっている。
【0031】
溝部45の上片44と下片42との間には、端面保護部材3を備えた太陽電池モジュール本体2の辺縁部26が開口端側から嵌め込まれている。溝部45には係止突状部5が備えられている。ここで、図2における矢符B方向を、太陽電池モジュール本体2の嵌め込み方向として以下説明する。
【0032】
(係止突状部5)
係止突状部5は、太陽電池モジュール本体2の嵌め込み方向Bに交差するC方向に延びる突条として設けられている。図2に示すように、係止突状部5には、太陽電池モジュール本体2の受光面側に対向して設けられた第一突状部51と、太陽電池モジュール本体2の裏面側に対向して設けられた第二突状部52とを有しており、これらが溝部45の内面端部に、内方へ向けて突設されている。
【0033】
このような第一突状部51および第二突状部52は、太陽電池モジュール1の枠体4の四辺全てに設けられていなくともよく、図1に示される太陽電池モジュール本体2の四辺のうちの少なくとも一辺(この場合には長辺)が嵌め込まれる溝部45に設けられていればよい。すなわち、太陽電池モジュール本体2の長辺に対応する溝部45のうちの少なくとも一方に、第一突状部51および第二突状部52が設けられていればよい。
【0034】
第一突状部51は溝部45の上片44における開口端側の先端の下面に突出して設けられている。また、第二突状部52は、溝部45の下片42における開口端側の先端の上面に突出して設けられている。第一突状部51と第二突状部52とは互いに対向するように、溝部45の開口端側の内方へ突設されている。
【0035】
図2では、第一突状部51は、溝部45を構成する上片44の下面から突出して段部51aを形成し、段部51aから溝部45の開口端側にかけて徐々に薄くなるテーパー状に設けられている。また、溝部45の上片44の天面側が、溝部45の開口端側に向かって薄くなるテーパー状に形成されている。
【0036】
第二突状部52は、溝部45を構成する下片42の上面から突出して段部52aを形成している。下片42の開口端側は面取りされており、それによって、第二突状部52は開口端側に向かって薄くなるように、図2の図中下方に傾斜するテーパー状に形成されている。これにより、溝部45の開口端は、太陽電池モジュール本体2が嵌め込まれてくる、溝部45の開口端側に向かって、開口幅が広くなるように形成されており、太陽電池モジュール本体2の嵌め込み方向Bに徐々に狭くなって、段部51aおよび段部52aが位置するように形成されている。段部51aおよび段部52aよりも側片43側の溝部45の内部では、溝部45の幅が再度広くなっている。
【0037】
したがって、図2に示すように、太陽電池モジュール本体2の厚さ方向での溝部45の幅が太陽電池モジュール本体2の辺縁部26の厚さよりも大きくされている。また、端面保護部材3を含めた太陽電池モジュール本体2の辺縁部26の厚さWは、開口端側での第一突状部51の先端と開口端側での第二突状部52の先端との離間距離Sよりも大きくされている。
【0038】
太陽電池モジュール本体2は、端面保護部材3に辺縁部26が覆われた状態で、嵌め込み方向Bに沿って溝部45に嵌め込まれる。端面保護部材3は、太陽電池モジュール本体2の辺縁部26に固定された状態で、係止突状部5の第一突状部51の段部51aと第二突状部52の段部52aとを乗り越えて溝部45の内部に納まる。端面保護部材3は、太陽電池モジュール本体2の受光面側では溝部45における第一突状部51より内部に配置され、太陽電池モジュール本体2の裏面側では溝部45における第二突状部52より内部に配置される。
【0039】
第一突状部51と第二突状部52とは、溝部45の開口端側に向かって薄くなるテーパー状とされているので、溝部45の開口端側では、第一突状部51の下面と第二突状部52の上面との間の距離が、端面保護部材3を含めた太陽電池モジュール本体2の辺縁部26の厚さよりも大きい。そのため、溝部45への太陽電池モジュール本体2の嵌め込みを容易に行うことができる。
【0040】
嵌め込まれた太陽電池モジュール本体2の辺縁部26の端面保護部材3と、溝部45を構成する側片43の内面との間には、空隙部46が確保されている。この空隙部46は、図3に示すように、太陽電池モジュール本体2を枠体4に嵌め込む前に、溝部45の内部にあらかじめスペーサ6を配置しておくことで設けられている。
【0041】
スペーサ6は、空隙部46の大きさに対応する断面矩形状の帯状部材または板状部材である。太陽電池モジュール本体2を溝部45に嵌め込む際、端面保護部材3がスペーサ6に当接することで、溝部45内で太陽電池モジュール本体2が位置決めされる。
【0042】
その後、スペーサ6は太陽電池モジュール本体2の嵌め込み方向Bに交差する方向に引っ張られて溝部45から引き抜きかれ、枠体4の端部から除去される。これにより、図2に示すように溝部45に空隙部46が形成される。なお、太陽電池モジュール本体2四辺に取り付けられる4つの枠片4のうち、図示しない他の三辺に取り付けられる枠体4の溝部45には、かかる空隙部が設けられることなく端面保護部材3が密着して太陽電池モジュール本体2が固定されてもよい。
【0043】
図2に示す溝部45内では、端面保護部材3と溝部45の側片43との間に空隙部46を有する。そして、端面保護部材3と溝部45の内面との間は接着されておらず互いに自由となっているので、太陽電池モジュール本体2は枠体4に対して太陽電池モジュール本体2の幅方向(太陽電池モジュール本体2の嵌め込み方向Bおよびその反対方向)に動くことが可能である。空隙部46を確保するために、端面保護部材3において、上側保護片31の嵌め込み方向Bに沿う長さが、側片43と第一突状部51の段部51aとの間の距離よりも小さくされている。同様に、下側保護片32の嵌め込み方向Bに沿う長さが、側片43と第二突状部52の段部52aとの間の距離よりも小さくされている。
【0044】
端面保護部材3を含む太陽電池モジュール本体2の辺縁部26の厚さWは、第一突状部51の段部51aの最下点と、第二突状部52の段部52aの頂点との間の太陽電池モジュール本体2の厚さ方向における離間距離Sよりも大きい。したがって、太陽電池モジュール本体2が溝部45内でその幅方向にスライドしても、第一突状部51の段部51aが端面保護部材3の上側保護片31を係止し、第二突状部52の段部52aが端面保護部材3の下側保護片32を係止する。これにより、太陽電池モジュール本体2が、それ以上、溝部45の外側に動くことを抑制できる。
【0045】
また、太陽電池モジュール本体2の辺縁部26の受光面側と裏面側の両方で係止されるので、太陽電池モジュール本体2が溝部45から引き抜かれにくく、固定強度が高められて枠体4の溝部45内に安定的に保持される。さらに、受光面側と裏面側の両方で係止されることで、太陽電池モジュール本体2を引っ張った際に太陽電池モジュール本体2が斜めになり、受光面が上片44に押し付けられたり、裏面が下片42に押し付けられたりして、傷が付いてしまうことも抑制できる。
【0046】
仮に、枠体4に、図6に示したように枠体4の長手方向で反るような変形が生じていても、太陽電池モジュール本体2の辺縁部26が溝部45の内部で幅方向に動くことで、その変形を許容し得るので、枠体4と太陽電池モジュール本体2との安定的な保持状態が維持される。
【0047】
また、太陽電池モジュール本体2を保持した枠体4に変形が生じている場合に、変形を解消して架台に取り付けるために、枠体4に側方からの引張り力や押圧力を作用させたとしても、枠体4とは接着されていない端面保護部材3が負荷を受けることはない。よって、太陽電池モジュール本体2の辺縁部26にダメージを与えることなく、変形を解消させるよう枠体4に力をかけることができる。そして、係止突状部5によって枠体4が太陽電池モジュール本体2から脱落しないようにされ、力をかけた際にも枠体4と太陽電池モジュール本体との保持状態が維持される。
【0048】
したがって、例えば、枠体4と、枠体4を固定する架台との取り付け作業が枠体4の変形によって困難になるのを防ぐことができる。太陽電池モジュール本体2の四辺のうち、一つの長辺に取り付けられた枠体4に係止突状部5が設けられていることで、長辺で隣り合った太陽電池モジュール1同士のいずれか一方で枠体4の変形を許容させ、枠体4に変形が解消するような力をかけつつ、架台に対して無理なく取り付けることが可能となる。
【0049】
これにより、太陽電池モジュール1の固定強度の低下が防止され、太陽電池モジュール1の損壊が防止され、太陽電池モジュール1を長期的に安定して使用することが可能となる。
【0050】
また、太陽電池モジュール本体2が平面視で正方形状を有する場合には、係止突状部5は、太陽電池モジュール本体2の各辺に取り付けられる枠体4の溝部45のすべてに備えられていることが好ましい。これにより、枠体4と太陽電池モジュール本体2とを向きの区別なく嵌め合わせることが可能となり、製造効率が高められるとともに、優れた製品安定性を確保することが可能となる。また、太陽電池モジュール1を架台に固定する際にも設置方向を区別する必要がなく、太陽光発電システムの施工性を向上できる。
【0051】
なお、第一突状部51および第二突状部52は、どちらも、太陽電池モジュール本体2の嵌め込み方向Bに交差するC方向に配設された突条であれば、溝部45内に連続して設けられるだけでなく、断続して設けられていてもよい。
【0052】
以上、本発明に係る太陽電池モジュールの実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、屋外に設置される太陽光発電システムにおいて好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 太陽電池モジュール
2 太陽電池モジュール本体
21 受光面ガラス
22 受光面側保護層
23 太陽電池
24 裏面側保護層
25 裏面保護材
26 辺縁部
3 端面保護部材
31 上側保護片
32 下側保護片
33 横側保護片
4 枠体
41 フレーム本体
42 下片
43 側片
44 上片
45 溝部
46 空隙部
5 係止突状部
51 第一突状部
51a 段部
52 第二突状部
52a 段部
6 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6