(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
B60R16/02 630Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018171138
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】10 2017 121 377.5
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2018 113 253.0
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509099073
【氏名又は名称】フーフ・ヒュルスベック・ウント・フュルスト・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】HUF HULSBECK & FURST GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジーク,ベルトールド
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506071(JP,A)
【文献】特表2006-524807(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012224037(DE,A1)
【文献】独国実用新案第29721213(DE,U1)
【文献】国際公開第2016/061429(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H03K 17/955
G06K 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の容量式センサ装置(20)における評価のため
の、前記車両(1)に関する活性化行動を検出するためのシステム(10)であって、
環境中の変化を把握するための少なくとも1つのセンサ素子(20.1)と、
電荷移動のために前記センサ素子(20.1)と結線された電気保持装置(50.4)と、
前記評価を実施するため、前記センサ素子(20.1)の前記把握のために特有な少なくとも1つのパラメータを反復算定(100)するためのコントロール装置(50)と、
前記パラメータの算定(100)のために前記電荷移動を反復して所定の数(N)のパルス(P)として実施し、前記保持装置(50.4)の荷電状態が連続的に変化させられるようにする前記コントロール装置(50)の少なくとも1つの制御手段(50.6)と、
を
有し、
前記反復パルス(P)の数(N)および/またはパルス持続時間(PD)および/または、前記算定(100)の間の時間間隔(Tg)は、前記容量式センサ装置(20)における前記評価の妨害信号に対する感度に適合させるために所与であり、所定の妨害周波数に関する前記妨害信号に対する感度を低下させる、
システム(10)。
【請求項2】
前記反復パルス(P)の数(N)は、最高にて
500の範囲内にあり、
前記数(N)で反復される前記パルスは、全体として、前記パラメータの算定(100)のためのパルス列(PF)を形成し、各パルスにつき前記電荷移動が行なわれ、前記パルス列の第1のパルスと当該最後のパルスの間に前記保持装置(50.4)の連続的な電荷蓄積または減少が行なわれることを特徴とする、請求項
1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記反復パルス(P)の数(N)は、前記保持装置(50.4)の保持キャパシタンス(CH)に適合させるために所与であり、前記保持キャパシタンス(CH)は、前記センサ素子(20.1)によって供されるセンサキャパシタンス(CS)よりも大きいことから、荷電状態は何れのパルス(P)についても連続的に完全に充電または放電された荷電状態に近づくことを特徴とする、請求項1
または2に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記保持キャパシタンス(CH)は、最大利用されるセンサキャパシタンス(CS)の少なくともまたは正確にN倍に等しく、
Nは、夫々の算定(100)のための前記反復パルス(P)の数(N)であり、
前記最大利用されるセンサキャパシタンス(CS)
は、前記評価に際して前記パラメータとして算定される前記センサ素子(20.1)によって最大にて供される当該キャパシタンスであることを特徴とする、請求項1~
3の何れか1項に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記パラメータは、前記センサ素子(20.1)によって供される可変センサキャパシタンス(CS)であり、処理ユニット(50.2)が設けられ、前記所定の数(N)の反復された電荷移動後-したがって、パルス列(PF)に応じた-荷電状態に基づいて前記センサキャパシタンス(CS)が求められることを特徴とする、請求項1~
4の何れか1項に記載のシステム(10)。
【請求項6】
処理ユニット(50.2)、
アナログ・ディジタル変換器(50.2)が設けられ、
保持キャパシタ(50.5)の前記保持装置(50.4)の電圧に依存した、または該電圧に等しい電圧が測定されて荷電状態が求められることを特徴とする、請求項1~
5の何れか1項に記載のシステム(10)。
【請求項7】
制御装置(50.1)が次のように-すなわち、前記パラメータの前記算定(100)が交互に第1および第2の算定(100.A,100.B)として実施されるようにして-切換えプロセスを実施するための少なくとも1つの制御手段(50.6)と結線され、
前記第1の算定(100.A)につき、前記数(N)の前記電荷移動は第1の
移動方向を有し、
続いて前記第2の算定(100.B)につき、前記数(N)の前記電荷移動または別の所定の数で実施された電荷移動は、第2の移動方向を有し、
前記第1の移動方向に際し、電荷は前記保持装置(50.4)から前記センサ素子(20.1)へ、前記第2の移動方向に際し、電荷は前記センサ素子(20.1)から前記保持装置(50.4)へ移動させられることを特徴とする、請求項1~
6の何れか1項に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの制御手段(50.6)は、次のような順序に
基づいて、連続して行なわれる前記算定(100)に際し、前記算定(100)を組み合わせて、前記パラメータに関する妨害低下された算定結果を得るために、前記電荷移動の移動方向が相異するようにして-制御装置(50.1)によって制御可能であることを特徴とする、請求項1~
7の何れか1項に記載のシステム(10)。
【請求項9】
車両(1)の容量式センサ装置(20)における評価のため
の、前記車両(1)に関する活性化行動を検出するための方法であって、
センサ素子(20.1)と保持装置(50.4)とを有するシステム(10)が設けられ、
a)前記センサ素子(20.1)のパラメータの少なくとも1つの第1の算定(100.A)を実施するステップ
であって、前記第1の算定(100.A)に際し、前記保持装置(50.4)から前記センサ素子(20.1)へと電荷移動が行なわれ、および/または前記保持装置(50.4)ならびに前記センサ素子(20.1)の何れもが充電されるステップと、
b)前記パラメータの少なくとも1つの第2の算定(100.B)を実施するステップ
であって、前記第2の算定(100.B)に際し、前記センサ素子(20.1)から前記保持装置(50.4)へと電荷移動が行なわれるステップと、を有し、
前記パラメータの算定(100)のために、前記センサ素子(20.1)と前記保持装置(50.4)の間の電荷移動が反復して所定の数(N)のパルス(P)として実施され、当該電荷状態に基づいて前記パラメータを求めるために、連続的に前記保持装置(50.4)の荷電状態が変化させられるように構成した方法。
【請求項10】
前記算定(100)に応じ、前記所定の数(N)のパルス(P)からなるパルス列(PF)に応じて前記保持装置(50.4)に印加される、前記保持装置(50.4)の電圧に依存した、または該電圧に等しい充電終止電圧によって当該電荷状態が把握されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項11】
充電終止電圧の測定によって前記荷電状態を把握するため、前記センサ素子(20.1)は
、定電位(21)
に設定され、前記第1の算定(100.A)のために
、前記第2の算定(100.B)とは異なる定電位(21)に設定されることを特徴とする、請求項
9または
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の算定(100.A)と前記第2の算定(100.B)が組み合わされ、
少なくとも減算され、コモンモード阻止が行なわれて前記パラメータが求められることを特徴とする、請求項
9~
11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の算定(100.A)と少なくとも1つのさらに別の第1の算定(100.A)が組み合わされ、および/または前記第2の算定(100.B)と少なくとも1つのさらに別の第2の算定(100.B)が組み合わされ、
少なくとも加算され、コモンモード阻止が行なわれて前記パラメータが求められることを特徴とする、請求項10~14の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記パルス(P)の数は、固定的に制御装置(50.1)によって所与であり、および/または前記算定(100)につき不変であってもよいことを特徴とする、請求項
9~
13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
制御装置(50.1)が、前記評価に際して周波数変動を実施するために、とりわけ、異なったパルス列(PF)および/または異なった算定(100)につき、前記パルス(P)のパルス持続時間(PD)を変化させるように形成されることを特徴とする、請求項
9~
14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記センサ素子(20.1)による把握に作用を及ぼすためのシールド素子(22)が、前記電荷移動および/または前記センサ素子(20.1)の充電に応じて制御され、前記センサ装置(20)の監視領域を定義する
ため、前記充電の間、前記センサ素子(20.1)と同電位に設定されることを特徴とする、請求項
9~
15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記システム(10)は、請求項1~
8の何れか1項に基づいて形成されることを特徴とする、請求項1~
16の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の容量式センサ装置における評価のためのシステムに関する。また、本発明は、容量式センサ装置における評価のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、センサ素子の例えばセンサ電極によって当該センサ電極の環境中の変化に特有な可変キャパシタンスが形成され得ることが知られている。換言すれば、当該センサ電極の領域内で接近またはジェスチャー等が行なわれるとき、このキャパシタンスの変化を把握することによって、それを検出することが可能である。こうした検出は、当該車両の機能を活性化するために利用される。例えば、その種の機能とは、リアフードの開放または車両ドアのロック解除である。
【0003】
当該キャパシタンスの検出ないし把握のために、例えば電荷反転法によって電荷が移動させられることから、一方で、その種のセンサの電力消費が問題であり、他方で、インミッション(当該センサへの妨害作用)および/またはエミッション(周囲環境への当該センサの妨害効果)としての電磁場の干渉効果が問題である。この種の干渉効果とは、例えば車両の電磁誘導によって惹起される類の外部干渉場であり得る。こうした短所に関する当該センサの改善は、場合により技術的に複雑で手間を要し、および/またはコスト増となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、上述した一連の短所を少なくとも部分的に除去することにある。なかんずく、本発明の目的は、車両の容量式センサ装置における当該評価のエネルギー消費を改善し、および/または妨害信号に関する特性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的は、装置の独立請求項に記載の特徴を有するシステム、および方法の独立請求項に記載の特徴を有する方法によって達成される。本発明の他の特徴およびその詳細は、従属請求項、明細書、および図面から判明する通りである。その際、本発明に係るシステムに関連して説明される特徴および詳細は、言うまでもなく、本発明に係る方法にも当てはまり、その逆も言えることから、個々の発明態様に関する開示内容は常に交互に関連させることが可能である。
【0006】
この目的は、なかんずく、一つのシステム、好ましくは車両の容量式センサ装置における評価のための、とりわけ、当該車両の活性化行動を検出するための回路システムによって達成される。
【0007】
その際、当該車両は、自動車、特にハイブリッド車両、または電気自動車として形成され、好ましくは高電圧配線(Hochvolt-Bordnetz)および/または電動機を装備しているのが好適である。さらに、当該車両は、燃料電池の自動車および/または乗用自動車および/または半自律走行型または自律走行型車両として形成されてもよい。好適には、当該車両は、識別装置(ID応答装置)との通信によって認証を可能とする安全システムを有し、当該通信および/または当該認証に応じて当該車両の少なくとも1つの機能が活性化される。そのため、当該ID応答装置の認証が必要とされる場合、この機能は、安全上重要な機能、例えば車両のロック解除またはエンジン始動の許可等である。それゆえ、当該安全システムは、当該車両への当該ID応答装置の接近を検出するとき、当該ID応答装置のアクティブなマニュアル操作なしに当該認証および/または当該機能の活性化を開始するパッシブなアクセスコントロールシステムとして形成されてもよい。そのため、例えば接近時に当該ID応答装置によって受信可能なアラーム信号が繰り返して当該安全システムによって送信され、次いで、当該認証が開始される。また、当該機能は、車両照明装置の活性化および/またはフード(例えば、フロントまたはリアまたはサイドフードないしドア)の操作(開放および/または閉鎖)に関係してもよい。例えば活性化行動、例えばユーザの接近またはジェスチャーの検出時に自動的に当該機能が活性化され、例えば車両照明装置が活性化および/またはフードが操作および/またはロック解除が実施される。
【0008】
例えば、上記容量式センサ装置は、当該車両のドアグリップに組み込まれている。この場合、上記活性化行動、例えばドアグリップへの接近の検出により、例えばロック解除またはドアを開くことができる。また、上記容量式センサ装置は、バンパー等に組み込まれてもよい。この場合、上記活性化行動、例えばバンパー下方への足の踏み込み運動の検出により、例えばフードを開くことができる。
【0009】
本発明に係るシステムは(特に検出を準備するために)、下記部品を有することができる(以下に挙げる部品は、例えば少なくとも1つの回路基板上に配置および/または互いに電気的に接続された、好ましくは電子部品であってもよい)。その部品とは、
・ 上記センサ素子の環境中の、好ましくは当該車両の環境中の変化を把握するための少なくとも1つの(特に導電性)センサ素子と、
・ 電荷移動のために(とりわけ、電気的におよび/または少なくとも1つの電気スイッチング素子を介して、および/または少なくとも1つの制御手段を介して)上記センサ素子と結線-特に接続-され、保持キャパシタンスを供するために、好ましくは少なくとも1つの(保持)キャパシタを有する電気保持装置と、
・ 上記評価を実施するために、(上記センサ素子の)把握のために特有な少なくとも1つのパラメータ(例えば可変センサキャパシタンス)を反復算定するためのコントロール装置、好ましくはコントロール回路装置(その際、当該コントロール装置は、例えば少なくとも1つのマイクロコントローラおよび/または集積回路および/または電子装置(つまり、複数の電子部品のシステムとしても可)等として形成されてもよく、その際、上記保持装置は、当該コントロール装置の一部であってもよく、または当該コントロール装置とは独立に(外部に)形成されてもよい)と、
・ 上記パラメータの算定のために電荷移動を反復して、好ましくは所定(既知)の数のパルスとして実施し、(特に個別算定のために)上記保持装置の荷電状態が連続的に変化させられるようにする上記コントロール装置の少なくとも1つの制御手段と、である。
【0010】
換言すれば、一つの(単一の)算定のために、この(単一の)算定の範囲内で荷電状態を連続的に変化、好ましくは増加または減少させる反復電荷移動を利用することが可能である。そのため、電荷移動中および/または電荷移動の間に、必要に応じて該荷電状態の連続的変化(増加または減少)を可能とするために、すでに保持装置に蓄積されている電荷の保持が必要である。電荷移動により、相応して、上記保持装置のセンサ素子から新たな電荷が付け加えられることが可能である。
【0011】
好適には、上記パルスの数は所与であり、つまり、算定のための電荷移動の数は、算定の実施前に決定および/または予め既知であり、したがって、上記センサキャパシタンスの変化によっても変化しない。したがって、ここで、センサキャパシタンスの従来の評価に対して、利用される測定原理の画定を行なうことが可能であるが、それは、把握される(未知の)測定量が、パルスの数ではなく、それに代えて、例えば所定の数で反復された電荷移動の実施後の荷電状態だからである。例えば、そのため、所定の数で反復された電荷移動の実施後に、荷電状態(とりわけ、その結果の電圧)が測定される。その際、測定された荷電状態および/または上記保持装置の測定電圧は、例えばセンサキャパシタンスないし当該パラメータに比例している。かくて、様々な算定に関し、測定された荷電状態の変化から、例えば環境中の変化を推定することができる。その際、本発明による当該測定原理は、障害感受性および/または妨害の放出を著しく低減させることが可能である。さらに、反復される電荷移動の数を決定することにより、当該評価周波数および/または当該エネルギー消費の柔軟な適合化を行なうことが可能である。
【0012】
特に上記パラメータの夫々の算定のために、電荷移動が反復して実施され、つまり、単一の算定のために、複数の電荷移動ないし複数のパルスが開始される。この点で、複数のパルスによる一つの算定に言及することができるが、それは、例えば当該パルスの開始前に、先ず、上記センサ素子が(再)充電および/または定電位に設定されることによって可能となる。続いて、電荷移動により、上記センサ素子の電荷が上記保持装置に少なくとも部分的にまたは圧倒的に移動させられる。その後、例えば上記保持装置が浮動接続されることにより、電荷は上記保持装置に蓄積(保持)されたままであることができ、他方、あらためて上記センサ素子は次の電荷移動のために充電される。このプロセスは所定の数Nで反復されることが可能であり、つまり、上記保持装置に蓄積された電荷は、続いて上記評価のために、例えば上記保持装置の充電終止電圧が測定されるまで、集積される。続いて、必要に応じて次の当該算定を実施することができる。電荷移動が反復して実施されることにより、個々の算定にとって検出の信頼度を高めることができる。算定(および検出)の反復実施により、不断に上記環境中の活性化行動の存否を監視することが可能である。
【0013】
上記センサ素子の、把握にとって特有な少なくとも1つのパラメータの反復算定は、例えば可変センサキャパシタンスまたはその変化の現下の値を時間的に反復して決定することを内実としてもよい。こうして、上記センサキャパシタンスの監視を、確実に、活性化行動等にとって特有な当該センサキャパシタンスの変化が検出されるようにして行なうことが可能である。上記パラメータの算定および/または変化の検出は、例えば上記パラメータにとって特有な電圧の測定ないし活性化行動時の上記センサキャパシタンスの変化にとって特有な電圧差の検出によって行なわれることができる。把握および/または検出は、好ましくは処理装置によって実施される。
【0014】
反復実施される電荷移動の夫々または若干(例えば2つ目毎)につき、先ず、上記センサ電極が充電および/または定電位に接続され、(特に続いて)電荷移動の何れか一つを実施することが可能であってもよい。換言すれば、電荷移動が上記センサ素子の(少なくとも圧倒的な)放電となるために、あらためて電荷移動を実施可能とするために、続いて上記センサ素子の新たな充電が必須であるということである。したがって、場合により、電荷移動の反復実施のために、上記保持キャパシタンスが上記センサキャパシタンスよりも大であることが必要である。
【0015】
好適には、上記保持装置は、上記センサキャパシタンスの少なくとも数倍の保持キャパシタンスを供する保持キャパシタを有し、その際、後者は上記センサ素子によって形成される。上記保持キャパシタンスの大きさは、例えばパルスの所定の数N(一算定当たりの電荷移動の反復数)に依存し、好ましくはそれに比例している(例えば上記保持キャパシタンスは上記センサキャパシタンスの少なくともN倍である)。好適には、パルスの定まった数および/または低い数Nが利用されるために、さらに、上記キャパシタンスを小さく選択することができ、それによってコストおよび/またはエネルギーを節減できるという利点が達成可能である。
【0016】
例えば電荷移動は、保持装置と上記センサ素子の間で所定の数で反復される電気パルスが開始され、および/または伝達されることによって実施可能である。そのために、上記制御手段、例えば少なくとも1つの電気スイッチング素子および/または上記保持装置と上記センサ素子の間の移動経路に接続された、または同所に組み込まれたマイクロコントローラの一部として利用可能である。さらに、電荷移動、特にパルスの反復の所定の数を決定し、それが上記保持装置の保持キャパシタンスおよび/または上記評価の妨害信号感度および/または最大エネルギー消費に適合されるようにする制御装置が設けられてもよい。当該制御装置は、そのため、例えば少なくとも1つの当該制御手段ないしスイッチング素子と電気的に接続されて、上記決定に応じてそれらを制御する。例えば制御を行なう上記制御装置はマイクロコントローラとして、またはマイクロコントローラの一部として形成される。また、場合により、コンピュータプログラムの少なくとも一部が制御装置として理解されてもよく、またはマイクロコントローラないし上記コントロール装置ないし上記制御装置によって実行されるコンピュータプログラムが適合化手段とされてもよい。
【0017】
本発明に係るシステムによって供される当該評価原理は、場合により、既知の、所定のおよび/または定まった数のパルス(したがって、電荷移動)に応じて上記保持装置の充電終止電圧が把握されると理解されてもよい。その際、当該パルスの数および/または持続時間は、例えば電荷移動が可能とされる一定の切換え時間につき、上記制御手段の少なくとも何れか1つ(ないし単一の制御手段)の切換えによって決定されてもよい。例えば上記センサ素子と上記保持装置の間の電流分岐としての移動経路は、切換え時間の間、切換え時間の間に電荷移動を可能にするとともに当該パルスを供するために、(少なくとも一つの)上記適合化手段によって閉鎖することが可能である。したがって、従来の電荷反転法の場合とは異なって、上記パルスの数が変化するのではなく、充電終止電圧が上記パラメータに応じて変動する。上記パラメータは、好ましくは上記センサ素子の、好ましくはセンサ電極の可変センサキャパシタンスである。また、上記パラメータは、上記センサ素子および/または上記センサ素子の環境の変化(例えば車両への接近)に際して変化するその他の電気的特性量に関係してもよい。その際、上記パラメータの名称は、場合により、根底にある当該評価原理の理解にも依存している。何れにせよ、上記センサ素子の電荷キャリア収容能力および/または電荷移動時に移動した電荷が、当該環境中の影響に際して変化することが観察される。換言すれば、(例えば電荷移動のための切換え時間の後に)上記保持装置で測定可能な充電終止電圧が変化する。このパラメータは、次いで上記評価を実施するためおよび/または上記活性化行動を検出するために、量的に算定することが可能である。
【0018】
その際、好適には、上記コントロール装置の少なくとも一つの制御手段は、次のように-つまり、上記パラメータの夫々の算定のために、電荷移動を所定の数Nで反復して実施し、連続的に上記保持装置の荷電状態を変化させるように-形成される。その際、反復して実施される電荷移動は、夫々パルスとしても把握可能であるが、それは、例えば夫々の電荷移動につき、パルス状の電荷移動が生ずるからである。その際、電荷移動-特にパルスの-当該反復実施は(正確に)算定に使用され、つまり、夫々の個々の算定は複数の電荷移動ないし所定の数Nのパルスを必要とする。これは、一算定当たり個々の電荷移動に比較して、上記パラメータの、より障害不感な算定を可能にするという利点を有している。
【0019】
夫々の算定につき、当該パルスの数N一つまり、パルス列のパルスの数Nおよび/または電荷移動パルスの数Nが小さく選択されれば、特別な利点を達成することができる。これは、特に当該数Nが、1000未満または200未満または100未満であると理解される。これは、上記保持装置が、比較的低い保持キャパシタンスしか持ち得ないという利点をもたらされる。これにより、部品コスト、場合により電流消費も減少させることが可能である。
【0020】
上記保持装置の荷電状態は、上記保持キャパシタンスによって蓄積される電荷量、および/または上記保持装置(特に少なくとも一つの保持キャパシタ)に係わる電圧に比例するようになされてもよい。したがって、荷電状態を算定(測定)するために、夫々の算定につき、上記保持装置の電圧(充電終止電圧)を、例えば上記コントロール装置のアナログ・ディジタル変換器によって測定することが可能である。
【0021】
さらに、上記反復パルスの数および/またはパルス持続時間および/または上記算定間の時間間隔は、妨害信号感度および/または上記評価の最大エネルギー消費に適合させるために所与であり、好ましくは所定の妨害周波数に関する妨害信号感度および/またはエネルギー消費を低減させるために所与であってもよい。そのため、例えばパルスの数を減少させることが可能であり、および/または当該パルスの適合化によって周波数スペクトルを適合化させることが可能である。減少した数のパルスの利用は、例えば本発明の当該測定原理によって可能とされる。こうして、上記評価のための改善された解決法を供することができる。
【0022】
さらに、上記反復パルスの数が、最高にて500、または最高にて200、または最高にて100、好ましくは5~500、好適には10~350、特に好適には20~100の範囲内にあるようにすることは、本発明の範囲内で選択的に可能である。その際、好適には、数Nで反復されるパルスは、全体として、上記パラメータの算定のためのパルス列を形成することができる。さらに、各パルスにつき電荷移動が行なわれ、例えばパルス列の第1のパルスと最後のパルスの間に、上記保持装置の連続的な電荷蓄積または電荷減少が招来されるようにすることが可能である。結線および/または電荷移動の方向(電流の方向)に応じて蓄積または減少がもたらされる。また、場合により、組合せを利用することも可能であり、こうして、一つの算定につき、パルスを電荷蓄積に利用することも、パルスを電荷減少に利用することもできる。これにより、上記評価の信頼度をさらに高めることが可能である。
【0023】
さらに、上記パルスの低い数によって、上記周波数感度を特に好適に変化させることが可能であってもよい。その際、特に第3高調波はもはや(問題のある)RF領域(この場合、RFは無線周波数の略である)にはない。それゆえ、この領域において、少なくとも減少した放射が行なわれ、および/またはこの領域において、インミッションに関する、より低い妨害信号感度が存在する。
【0024】
さらに別の可能性に基づき、上記反復パルスの数は、上記保持装置の保持キャパシタンスへの適合化のために所与であってもよく、その際、好ましくは当該保持キャパシタンスは、上記センサ素子によって供されるセンサキャパシタンスよりも大きい。これにより、荷電状態は、夫々の当該パルスにつき、連続的に、完全に充電または放電された荷電状態に近づくことができる。同様に、上記保持キャパシタンスは上記パルスの数に適合化されてもよい。その際、規模設計は次のようにして-つまり、上記エネルギー消費を低減させるため、できるだけ僅かな数の反復が実施されるようにして-行なうことができる。
【0025】
本発明の範囲において、上記保持キャパシタンスは、少なくともまたは正確に、最大利用されるセンサキャパシタンスのN倍に等しいのが好適であり、その際、Nは、夫々の算定のための、反復されるパルスの数である。好ましくは最大利用される当該センサキャパシタンスとは、上記評価に際して当該パラメータとして算定される、上記センサ素子によって供される当該最大キャパシタンスである。また、最大利用される当該センサキャパシタンスは、供されたこのキャパシタンスよりも小さいことも可能である(必ずしも当該総センサキャパシタンスが利用される必要はなく、これは、場合により、当該回路構成に依存している)。これにより、信頼度の高い評価が可能である。
【0026】
さらに、本発明の範囲において、上記パラメータは、上記センサ素子によって供される可変センサキャパシタンスであってもよい。好ましくは夫々の所定の数で反復された電荷移動に応じた、したがって、パルス列に応じた荷電状態に基づき、特に上記保持装置の電圧に基づいて、当該センサキャパシタンスを決定するために、処理ユニットが設けられている。上記センサ素子は、相応して、場合により当該車両のグランド電位と連携して一種のキャパシタを形成するセンサ電極として形成されてもよい。例えば、このように理解された当該測定原理において、当該センサ電極の環境は、当該キャパシタのキャパシタンスに影響を与え、当該可変センサキャパシタンスが得られる。上記処理ユニットは、例えばマイクロコントローラおよび/またはアナログ・ディジタル変換器等を有している。例えば、上記保持装置の少なくとも一つの保持キャパシタに関するアナログ電圧が当該アナログ・ディジタル変換器によって測定されて、上記処理ユニットによって評価されるディジタル情報に変換される。上記評価の結果として、例えばセンサキャパシタンスに関する情報を提供することが可能である。
【0027】
さらに、算定される当該パラメータである可変センサキャパシタンスが上記センサ素子によって供されることが可能であってもよい。好ましくは上記センサキャパシタンスの夫々の算定のために、数Nのパルスが電荷移動のためのパルス列を形成し、パルス列に応じた荷電状態に基づいて、当該センサキャパシタンスに関する量的結果が得られる。
【0028】
さらに、本発明の範囲において、処理ユニット-好ましくはアナログ・ディジタル変換器-が設けられ、上記保持装置-好ましくは保持キャパシタ-の電圧に依存もしくは等しい電圧が測定されて荷電状態が決定されるのが好適である。これにより、上記評価を実施するための確実な可能性が供される。
【0029】
上記コントロール装置は、少なくとも一つの電子部品を有し、場合により、複数の電子部品からなるシステムとして形成されることが可能であってもよい。この種の電子部品は、例えば上記処理ユニットおよび/または上記保持装置および/または制御装置である。また、これらの電子部品が少なくとも部分的に集積回路として存在するとともに、例えば上記制御装置および上記処理ユニットが一つの共通の集積回路および/またはマイクロコントローラに統合されていることも思量可能である。例えば上記処理ユニット(例えばアナログ・ディジタル変換器)をマイクロコントローラの一部として利用することも、コスト上の理由から、有意である。また、場合により、上記保持装置を上記保持キャパシタとともに外部部品として利用し、例えば、より高い保持キャパシタンスを供し得るようにすることも有用である。
【0030】
さらに、少なくとも一つのシールド素子、例えばシールド電極が設けられてもよい。当該シールド素子は、上記センサ素子による把握に作用を及ぼすために、上記センサ素子の環境中に配置されてもよい。そのため、当該シールド素子は定まった電位、例えばグランド電位またはそれとは異なる、例えば動作電圧源の定電位に設定されてもよい。好ましくは当該シールド素子は(例えば上記センサ素子を充電するために、または常に)上記センサ素子と同電位に設定される。これにより、当該シールド素子と上記センサ素子の間に形成されるシールドキャパシタンスに基づく妨害電流フローが生じないという利点が達成され、これによって、把握の改善がもたらされる。他方、電荷移動に際しては、上記センサ素子の電荷を、例えば保持装置へと移動させるために、当該シールド素子の電位を変化させることが可能である。そのため、例えばシールド素子の電位はグランド電位に設定される。当該シールド素子は、好適には、幾何学的に次のように-つまり、所望の(電気)監視場が上記センサ素子の環境中に発生するように-形成される。監視場は、例えば上記センサ素子によって発生もしくは供与される。例えばシールド素子が監視場を制限し、当該シールド素子によって遮蔽されない領域においてのみ上記活性化行動の把握が行なわれようにすることが可能である。こうして、当該シールド素子により、例えば上記活性化行動が上記センサ素子の一定の方向からのみ把握されるようにすることができる。
【0031】
さらに、任意には、上記センサ素子から上記コントロール装置、例えば保持装置への電荷移動を実施するために、上記センサ素子の電位変更が実施されてもよい。そのため、上記センサ素子は、例えば(グランド電位とは異なる)定電位からグランド電位へ設定可能である。また、別法として、上記シールド素子を、電荷移動を実施するために、この定電位から上記グランド電位へ設定することが可能である。上記シールド素子により(特に例えば上記グランド電位への電位変更により)、場合により上記センサ素子の電位変更も可能である。また、上記センサ素子が常に定電位-例えば動作電圧源の電位-にあり、上記シールド素子の電位のみがアクティブに変更され、これによって上記センサ素子からの電荷移動が開始されるようにすることも思量可能である。そのため、上記シールド素子は、例えば次のようにして-つまり、それが上記センサ素子および/または上記電位に対する影響を有するようにして-上記センサ素子の上記把握領域内に配置されている。
【0032】
好ましくは上記シールド素子は、好ましくはシールド電極として、それが空間的に上記センサ素子の監視場に隣接して配置されることによって、上記センサ素子の監視場の変更をもたらすことができる。上記監視場は、例えば上記センサ素子の充電によって招来され、および/または上記活性化行動の検出に使用される電場である。好ましくは上記監視場においてのみ、当該環境の変化、例えば活性化行動が検出可能である。ただし、シールド素子がなければ、上記監視場の力線は、場合により、当該環境中の最も低い電位に向かって(例えば車両ドアまたはリアフードまたは当該車両のボディに向かって)整列されることになる。これを回避するために、特に上記センサ素子と同電位を有する上記シールド素子を利用することができる。これにより、上記シールド素子の当該場は、上記監視場の障害として機能する。その際、上記シールド素子は、例えば変わることなく定電位(例えば常に動作電圧源の電位またはグランド電位)にあってもよい。また、例えばアクティブに、上記シールド素子の当該電位を、例えば上記センサ素子と同電位)に切換えることも可能である。当該切換えは、好ましくは常に上記センサ素子の電位も切換えられる場合に行なわれる。これは、例えば上記センサ素子から上記コントロール装置への電荷移動(および/またはその逆)のための上記センサ素子の充電の切換えである。
【0033】
さらに、制御装置は、切換えプロセス、例えば閉状態と開状態の間の上記制御手段の切換えを実施するために、少なくとも一つの制御手段と次のようにして-つまり、上記パラメータの上記算定が交互に第1および第2の算定として実施されるようにして-(電気的に)結線および/または接続されてもよい。例えば上記制御手段は、上記制御装置、例えば処理装置および/またはマイクロコンピュータ等によって制御される電子スイッチとして形成されてもよい。これにより、上記制御装置は、上記切換えプロセスおよび/または上記算定をコントロール(したがって、例えば制御)することができ、したがって、上記コントロール装置の一部であってもよく、および/または上記コントロール装置と同一であってもよい。
【0034】
本発明の範囲において、“電気的に接続”または“電気的に結線”なる表現は、特に当該電気的接続ないし結線が少なくとも一時的に、例えばスイッチング素子、例えば電子スイッチの閉状態においてしか存在し得ない場合も、そうであると理解される。その際、当該電気的接続ないし結線が、もっぱら電気的に行なわれるのではなく、例えば、その他の信号伝送手段(例えば光信号伝送)の利用も思量可能である。
【0035】
特に上記第1の電荷移動に際して、電荷を上記保持装置から上記センサ素子へと移動させ、上記第2の電荷移動に際して、電荷を上記センサ素子から上記保持装置へと(あるいはその逆に)移動させるために、上記第1の算定につき、数Nによる電荷移動が第1の移動方向、好ましくは電流の方向を有し、続いて上記第2の算定につき、数Nによる電荷移動または別の所定の数によって実施される電荷移動が第2の電荷移動方向(好ましくは電流の方向)を有することが可能である。上記第1と第2の算定の間の切換えおよび/または上記算定の実施は、場合により、上記制御装置によって、例えば少なくとも一つの制御手段の相応した切換えによって制御することが可能である。その際、特に複数の制御手段が異なったスイッチ状態にもたらされ、こうして、動的に電流経路を変化させるとともに、それによって当該電流の方向を制御することが可能である。少なくとも2つの連続した算定のために異なった電流の方向を利用することにより、妨害および/またはエラー源を減少させ、および/または上記評価をより迅速に、および/またはより高い信頼度にて行なうことができるという利点が得られる。
【0036】
また、任意には、少なくとも一つの制御手段が次のような順序で-つまり、特に連続的な算定が行なわれる場合には、上記算定を組み合わせ、このようにして、上記パラメータに関して妨害の低下した算定結果を得るために、電荷移動の移動方向(特に電流の方向)が相異するようにして-制御装置によって制御され得るようにすることも思量可能である。上記組み合わせは、例えば2つもしくはそれを上回る算定の実施後、その際に夫々算定された当該(2つの)パラメータが(単一の)評価のために評価され、および/または比較および/または加算されることによって行なうことが可能である。
【0037】
本発明に係るシステムにおいて、複数の算定(したがって、各算定結果、例えば上記パラメータの算定値)が組み合わされ、例えば加算および/または減算および/または平均されることが思量可能である。このようにして、妨害および/または雑音を低減させることが可能である。
【0038】
また、妨害低減化および平均化を達成するため、上記保持装置の保持キャパシタが単一の算定のために、複数回にわたり、上記センサ素子に蓄積された電荷でパルスにより充電されることも思量可能である。したがって、場合により、上記保持キャパシタの電気容量(当該保持キャパシタンス)は上記センサ装置の電気容量(当該センサキャパシタンス、したがって、上記センサ素子によって形成されたキャパシタンス)の少なくとも数倍であるようになされている。これは、したがって、上記制御装置および/または上記処理ユニットのために利用されるマイクロコントローラによって外部に形成された保持キャパシタであってもよい。換言すれば、反復されたパルスの利用により電荷の合計が生ずるために、妨害および/または雑音を低減させることが可能である。電荷移動のための当該反復パルスの実施後に初めて充電終止電圧を測定することができる。
【0039】
同じく、本発明の対象は、車両の容量式センサ装置における評価に関する方法であり、とりわけ、当該車両における活性化行動を検出するための方法である。この場合、1つのシステム、なかんずく、センサ素子と保持装置を備えた本発明に係るシステムが使用可能なように構成されている。
【0040】
好適には、本発明に係る方法において、以下に挙げるステップ:
a)上記センサ素子の(好ましくは電気)パラメータ、例えば可変(センサ)キャパシタンスの少なくとも1つの第1の算定と、
b)(上記センサ素子の)上記パラメータの少なくとも1つの第2の算定と、
の少なくとも何れか1つが実施可能であり、その際、当該ステップは好ましくは順次、指定された順序にて、または任意の順序にて実施可能であり、場合により、個々のステップも反復可能である。その際、好ましくは上記パラメータの算定のために、上記センサ素子と上記保持装置の間の電荷移動が、パルスとして、特に所定の数で反復して実施されるために、好ましくは連続的に上記保持装置の荷電状態が変化させられ、(場合により、反復された電荷移動後に存在する)荷電状態に基づいて上記パラメータが求められる。こうして、本発明に係る方法は、本発明に係るシステムに関連して上記に詳細に説明されたのと同じ利点が招来される。
【0041】
特に、上記第1の算定は、電荷移動の移動方向(電流の方向)において上記第2の算定と相違している。好ましくは上記第1および第2の算定は、時間的に反復して順次に実施される。
【0042】
例えば上記算定に応じて(初めて)、上記保持装置の電圧に依存または該電圧に等しく、特に上記所定の数のパルスからなるパルス列に応じて上記保持装置に印加される充電終止電圧によって、荷電状態が把握されるようになされてもよい。換言すれば、前記算定につき、反復された電荷移動の後に、上記保持装置の荷電状態が決定され、該荷電状態を特に高信頼度で上記パラメータの決定に利用することが可能である。したがって、電荷移動が上記パラメータ、例えば上記可変キャパシタンスに依存しているために、算定を反復された電荷移動によってさせることが可能である。
【0043】
任意には、好ましくは充電終止電圧の測定による該荷電状態の把握のために、上記センサ素子が定電位、好ましくはグランド電位に設定され、好ましくは上記第1の算定のために、上記第2の算定の場合とは異なった定電位に設定されるようになされてもよい。
【0044】
また、例えば上記第1の算定に際し、上記保持装置、例えば保持キャパシタから上記センサ素子への電荷移動が行なわれ、上記第2の算定に際し、逆の電荷移動が行なわれるようにすることが可能である。続いて、場合により、さらに別の第1および第2の算定が当該同一順序で実施され、例えばこうして上記把握に際する妨害およびエラーを低減させることが可能である。
【0045】
さらに別の利点に基づいて、上記第1の算定に際し、上記保持装置から上記センサ素子への電荷移動が行なわれ、および/または上記保持装置ならびに上記センサ素子の何れもが充電され、上記第2の算定に際し、上記センサ素子から上記保持装置への電荷移動が行なわれるようになされてもよい。相応して、その後の算定に際し、電荷移動のために異なった電流の方向が利用され、こうして、上記算定に際するエラーおよび妨害を低減させることが可能である。
【0046】
また、任意には、上記第1の算定と上記第2の算定が組み合わされ、好ましくは少なくとも減算され、上記パラメータを次のようにして-つまり、コモンモード阻止が行なわれるようにして-決定することも思量可能である。例えば、そのために、上記第1の算定につき、上記センサ素子が定まったグランド電位に設定され、上記第2の算定につき、上記センサ素子が動作電圧源の電位に設定されることが可能である。換言すれば、上記第1の算定(サンプルA)のために、上記センサ素子の放電が、上記第2の算定(サンプルB)のために、上記センサ素子の充電が利用可能であり、その際、特に、これによって招来される電荷移動が利用され、こうして、上記保持装置における荷電状態が連続的に変化させられる。サンプルAとサンプルB、したがって、例えば上記算定時に把握された荷電状態は、必要に応じて減算可能であり、このようにして、上記コモンモード阻止をさせることができる。換言すれば、上記組み合わせは次のようにして-つまり、第1の算定の第1の結果と第2の算定の第2の結果を組み合わせ、これによって、当該夫々の単独結果よりも有意性の向上した単一の総合結果を得るようにして-行なうことができる。
【0047】
さらに別の可能性において、上記第1の算定と少なくとも1つのさらに別の(時間的に後続する)第1の算定が組み合わされ、および/または上記第2の算定と少なくとも1つのさらに別の(時間的に後続する)第2の算定が組み合わされ、好ましくは加算されて、上記パラメータが次のようにして-つまり、コモンモード阻止が行なわれるようにして-決定されてもよい。したがって、上記第1と第2の算定の他に、さらに別の第1と第2の算定が続くことが可能であり、その際、例えば(電荷移動に際して同一の電流の方向を有する)同種の算定を利用し、こうして、当該コモンモード阻止が招来されるようにすることが可能である。換言すれば、サンプルAをさらに別のサンプルAと組み合わせ、サンプルBをさらに別のサンプルBと組み合わせることが可能である。
【0048】
さらに、上記パルスの数Nは、制御装置により定まったものとして所与であり、および/または各算定につき不変であるようにすることも思量可能である。この場合、従来の方法とは異なり、上記パルスの数Nは測定量ではなく、それに代えて、充電終止電圧を測定量として利用することが可能である。
【0049】
さらに、本発明の範囲において、制御装置が次のように-つまり、特に異なったパルス列および/または異なった算定につき、上記パルスのパルス持続時間を変化させ(とりわけ調整し)、このようにして、上記評価に際して周波数変動(特に周波数感度)を実施するように-形成されることも思量可能である。また、例えば異なった算定のために、異なった周波数を利用することも可能である。こうして、所望の周波数スペクトルを達成し、こうして、例えば妨害周波数および/または無線領域における高い感度を回避することが可能である。
【0050】
さらに、シールド素子が電荷移動および/または上記センサ素子の充電に応じて制御され、上記センサ装置の監視領域を定義するため、好ましくは充電の間または常に上記センサ素子と同電位に設定されることが可能であってもよい。別法として、さらに加えて、電荷移動に際し、上記シールド素子をアクティブに定電位、例えばグランド電位および/または上記センサ素子の電位に設定することが可能である。こうして、撹乱がさらに低減され、および/または上記環境中の変化ないし上記活性化行動が上記センサ素子によって検出可能な当該監視領域を的確に定めることが可能である。
【0051】
本発明に係るシステムを有するシステムも同じく請求の範囲に含まれる。その際、場合により、本発明に係るシステムを有する車両も当該システムの一部である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明のその他の利点、特徴および詳細は、下記図面を参照して本発明の実施例から判明する通りである。その際、請求項および明細書で言及される特徴は、個々にそれ自体としてまたは任意の組み合わせにおいて、発明上不可欠である。
【
図1】本発明に係るシステムの各部を概略的に示す図である。
【
図2】本発明に係るシステムを概略的に示す回路図である。
【
図3】本発明に係る方法を概略的に視覚化した図である。
【
図4】本発明に係る方法を概略的に視覚化したさらに別の図である。
【
図5】本発明に係るシステムを概略的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、同一の技術的特徴については、異なった実施例であっても同一の符号が使用される。
【0054】
図1には、例えば車両1の後部領域に配置された本発明に係るシステム10の各部が概略的に示されている。本発明に係るシステム10の容量式センサ装置20の少なくとも1つのセンサ素子20.1は、当該車両1のバンパー3に配置されてもよい。当該センサ素子20.1は、例えばセンサ電極として、および/または電気導体、例えば電気ケーブルとして形成されてもよい。また、本発明に係る方法を実施するために、当該車両1に配されたコントロール装置50を利用することが可能である。
【0055】
上記センサ素子20.1は、例えばバンパー3内で車両横方向に長く延びた電気導体として形成されている。別法として、さらに、当該車両1のサイドまたはフロント領域、例えばドアグリップ4等に上記センサ素子20.1の不図示のシステムを配することも思量可能である。図示実施例において、上記センサ素子20.1は、ユーザ8の活性化行動を検出するために利用可能である。そのために、ユーザ8は、例えば身体9を活性化手段9として上記バンパー3の下に差し込む。この活性化行動の検出は、次いで車両機能の活性化、例えばリアフード2の開放が結果として得られる。
【0056】
高信頼度の検出を可能にするとともに、特に撹乱および/またはエネルギー消費を低減させるため、本発明に係るシステム10は、
図2,4および5に示すように構成されてもよい。その際、上記システム10は、当該車両1の当該センサ装置20における評価のために、なかんずく、当該車両1における当該活性化行動の検出のために、必要に応じて以下の電子部品を利用する。
【0057】
・ 当該活性化行動が行なわれる、当該センサ素子20.1の環境中の変化を検出するための少なくとも1つのセンサ素子20.1と、
・ 電荷移動のために当該センサ素子20.1と結線および/または接続された電気保持装置50.4と、
・ 当該評価を実施するため、当該把握のために特有な、当該センサ素子20.1の少なくとも1つのパラメータを反復算定するためのコントロール装置50(その際、上記保持装置50.4は、当該コントロール装置50の一部であってもよく、例えば同一の(不図示の)回路基板上に配置されてもよく)と、
・ 当該パラメータの夫々の算定のために電荷移動を反復して所定の数NのパルスPとして実施し、こうして、上記保持装置50.4の荷電状態が連続的に変化させられるようにする少なくとも1つの制御手段50.6、とりわけ上記コントロール装置50のスイッチング素子Sと、である。
【0058】
上記センサ装置20の評価ないし上記活性化行動の検出を行なうための当該把握原理とは、上記センサ素子20.1が、とりわけセンサ電極20.1として、グランド電位20.2に対してセンサキャパシタンスCSを形成することとして理解することができる。したがって、移動経路uを介して、上記センサ装置20の充電(つまり、当該センサ素子20.1への電荷移動)および上記センサ装置20の放電(つまり、当該センサ素子20.1から、例えば保持装置50.4への電荷移動)が行なわれ得る。これらのプロセスを制御するため、例えば少なくとも1つのスイッチング素子Sを制御手段50.6として利用することが可能である。この場合、
図2にブロックとして概略的に示した当該スイッチング素子Sは、複数のスイッチング素子Sの結線を代表するものであってもよい。例えば上記スイッチング素子Sないし上記制御手段50.6は、適合化手段50.3、例えば上記制御装置50.1のソフトウェアによって制御される。上記放電は、当該保持キャパシタ50.5(およびそれに配された保持キャパシタンス(CH))を有する上記保持装置50.4が充電されることをもたらし得る。上記保持キャパシタ50.5が、上記センサ装置20の当該充電の間、浮動(floating)接続されると、さらに、上記保持キャパシタ50.5のさらなる充電のために上記センサ素子20.1から上記保持キャパシタ50.5への次の電荷移動が行なわれるまで、電荷は上記保持キャパシタ50.5に保持されたままであり得る。このようにして、電荷の蓄積(とともに上記保持装置50.4の荷電状態の連続的変化)を実施することができる。上記センサ装置20の複数回の放電(ないし上記保持キャパシタ50.5の充電)後、荷電状態は何れの放電についても連続的に変化させられたが、処理ユニット50.2、例えばマイクロコントローラおよび/またはアナログ・ディジタル変換器を介して、荷電状態(したがって、例えば充電終止電圧)を把握することが可能である。制御装置50.1、特に処理装置50.1、例えばマイクロコントローラによる評価によって、当該パラメータを求め、当該パラメータに有意な変化が確認されれば、当該活性化行動の存在を推定することが可能である。当該パラメータとは、例えばセンサキャパシタンスCSの変化である。上記処理ユニット50.2は、例えば上記処理装置50.1の一部であってもよい。
【0059】
さらに、
図2には、少なくとも1つのシールド素子22、例えばシールド電極22が設けられてもよい旨が示されている。当該シールド素子22は、上記把握に作用を及ぼすために、上記センサ素子20.1の当該環境中に配置されてもよい。そのため、当該シールド素子22は定まった電位-例えばグランド電位20.2またはそれとは異なる、例えば動作電圧源の定電位21-に設定されてもよい。好ましくは、当該シールド素子22は、上記センサ素子20.1と同電位に設定される。他方、電荷移動に際しては、必要に応じて当該シールド素子22の当該電位を変化させることができる。
【0060】
例えば
図3に例示的に視覚化されているように、本発明に係る方法に基づきこれらのプロセスの制御を可能とするために、上記プロセスの経過は適合化手段50.3によってプリセットされてもよい。これは、例えば上記制御装置50.1において例えばデータメモリ50.8に不揮発的にメモリされているソフトウェアである。
図3において、先ず、必要に応じて可変的な振幅Aとパルス持続時間PD(時間tと相関)を有するパルスPのパルス列PFが上記センサ素子20.1の充電および/または放電をもたらすことが認められる。好ましくは、第1の算定100.Aに際し、上記保持装置50.4から上記センサ素子20.1への電荷移動が行なわれる。上記第1の算定100.Aに際し、回路構成に応じて上記保持装置50.4ならびに上記センサ素子20.1の何れもが充電されるようにすることも可能である。何れの充電時にも、上記保持装置50.4の荷電状態は変化可能であり(例えば増加または減少し)、電圧Aは上記保持キャパシタ50.5を介して(回路構成に応じて)増加または低下可能である。一例として、上記第1の算定100.Aに際し、電圧Aの当該連続的低下が示されている。当該最後の電圧は、上記センサキャパシタンスCSの当該変化のインジケータとして使用可能な充電終止電圧を表している。他方、第2の算定100.Bにおいては、別の種類の電荷移動が行なわれ、例えば上記センサ素子20.1から上記保持装置50.4への電荷移動が行なわれる。この場合、上記保持装置50.4ないし上記保持キャパシタ50.5の荷電状態の連続的増加が生ずる。上記第1と第2の算定100.Aと100.Bは-
図3から分かるように-この順序で反復して実施可能であり、その際、上記第1の算定100.Aと時間的に後続する当該第1の算定100.Aの間に間隔Tgが存在している。
【0061】
図4には、上記算定を実施するための当該原理が例示されており、その際、図示を簡略化するため、上記キャパシタンスCHおよびCSのみが示されているとともに、スイッチング素子の概略的なスイッチポジションが表されている。これは簡易回路図であることから、実際の構造はこれとは異なってもよい。当該方法のステップIa~Idに準拠して、連続的に実施される上記保持装置50.4から上記センサ素子20.1への電荷移動による第1の算定100.Aが行なわれる。当該方法のステップIIa~IIdに準拠すれば、当該移動方向は逆方向、つまり、上記センサ素子20.1から上記保持装置50.4への電荷移動である。
【0062】
先ず、ステップIaにより、上記保持キャパシタンスCHを有する上記保持装置50.4の上記保持キャパシタ50.5の充電がエネルギーの供給VDD(例えば動作電圧源の電位として)によって行なわれる。続いて、ステップIbにより、上記保持キャパシタ50.5から、センサキャパシタンスCSを供する上記センサ素子20.1への電荷移動が行なわれる。上記センサキャパシタンスCSは、上記保持キャパシタンスCHよりも低いために、ここでは、場合により、上記保持キャパシタ50.5の完全な放電は行なわれない。次のステップとして、ステップIcにより、上記センサ素子20.1が、(当該スイッチング素子の当該切換えにより)定まったグランド電位20.2と接続されることにより、放電される。上記ステップIbおよびIcは、かくて、N回だけ反復して実施され、その結果、電荷移動は反復して所定の数Nのパルスとして実施され、上記保持装置50.4の荷電状態が連続的に変化させられる。上記保持キャパシタンスCHは、上記センサキャパシタンスCSよりも少なくとも何倍も大きいことから、場合により、複数回の反復が上記保持キャパシタ50.5の連続的放電という結果をもたらす。換言すれば、電圧Aは、上記保持キャパシタ50.5を介して、何れのパルスの何れの反復についても、連続的に低下させられる(
図3の第1の算定100.A参照)。続いて、ステップIdにより、上記保持キャパシタ50.5を介して、当該電圧(充電終止電圧)の測定が行なわれ、上記パラメータ(特に上記センサキャパシタンスCS)に関する値が得られる。この場合に測定された当該電圧は上記第1の算定100.Aの当該算定結果、したがって、上記パラメータの第1の値に等しい(サンプルA)。
【0063】
ステップIIa~IIdに準拠して、上記センサ素子20.1から上記保持キャパシタ50.5への反対向きの電荷移動が行なわれる。そのため、先ず、ステップIIaにより、上記センサ素子20.1が、例えば上記エネルギー供給VDDによって充電される。ステップIIbにより、上記センサ素子20.1(符号CSの箇所)から上記保持キャパシタ50.5(符号CHの箇所)への電荷移動が行なわれるが、それは、当該スイッチング素子がこれらの素子20.1と50.5の間の電流経路を閉じているからである。ステップIIcにより、上記保持キャパシタ50.5は、蓄積された電荷を失わないようにするため、少なくとも1つのコネクタに浮動接続される。かくて、上記センサ素子20.1はあらためて充電される。当該ステップIIbおよびIIcはN回だけ反復され、上記保持キャパシタ50.5の荷電状態とともに、電圧Aが上記保持キャパシタ50.5を介して引き上げられる(
図3の第2の算定100.B参照)。続いて、ステップIIdにより、上記充電終止電圧が、したがって、当該電圧が、上記保持キャパシタ50.5を介して、前記算定につき反復された電荷移動の完了後に測定される。この場合に測定された当該値は上記第2の算定100.Bの当該算定結果、したがって、上記パラメータの第2の値に等しい(サンプルB)。
【0064】
上記パラメータの算定を改善するために、上記の値-サンプルAおよびB-は互いに組み合わせることが可能であり、例えば算術的に処理装置50.1により加算および/または減算することが可能である。上記算定100.A,100.Bは、8ms毎に反復されて、活性化行動の検出を実施することが可能である。その際、当該パルスを実施するためのスイッチング周波数は妨害可能周波数に適合化されてもよい。また、上記把握をさらに改善するために、信号フィルタおよび/信号処理を使用することも可能である。
【0065】
図5には、上記第1と第2の算定100A,100Bを実施するのに適した回路の簡易回路図が示されている。例示的な動作電圧VDDの他に、抵抗R1,R2も表されている。当該図示の当初状態において、第1と第3のスイッチング素子S1,S3は開かれ、第2と第4のスイッチング素子S2,S4は閉じられている。
【0066】
その際、上記第1の算定100.Aを実施するために、先ず、上記第1のスイッチング素子S1と上記第3のスイッチング素子S3は開かれ、他方、第2と第4のスイッチング素子S2,S4は閉じられている。こうして、上記センサ素子20.1ならびに上記保持キャパシタ50.5の何れもが放電される。続いて、S1,S2およびS4が開かれるとともに、S3が閉じられて、上記センサ素子20.1(つまり、これによって形成された当該センサキャパシタンスCS)ならびに上記保持キャパシタ50.5の何れをも充電することができる(荷電相)。続いて、S1,S3およびS4が開かれるとともに、S2が閉じられ、上記保持キャパシタ50.5を少なくとも1つのコネクタに浮動(floating)接続され、荷電状態を保持し、上記センサ素子20.1を放電させることができる(放電相)。上記充放電相をN回だけ反復することにより、上記保持キャパシタ50.5の荷電状態を連続的に変化させ(高め)、および/または電圧を上記センサキャパシタンスCSを介して低下させることができる。その際、反復Nの後に測定された(例えば上記保持キャパシタ50.5を介して測定された充電終止電圧の)電圧はサンプルAに等しく、例えば処理ユニット50.2を介して算定可能である。
【0067】
サンプルB、したがって上記第2の算定100.Bを実施するには、先ず、第1のスイッチング素子S1と第3のスイッチング素子S3が閉じられ、第2と第4のスイッチング素子S2,S4が開かれて、上記保持キャパシタ50.5の放電および上記センサ素子20.1の充電を実施することができる。次いで、S4を除く全てのスイッチング素子S1,S2およびS3が開かれることにより、上記センサ素子20.1から上記保持キャパシタ50.5への電荷移動を行なうことができる。その後、上記センサ素子20.1をあらためて充電することが可能であり、その際、そのためにS1が閉じられるとともに、S2~S4が開かれて、上記保持キャパシタ50.5の荷電状態が保持される。最後の2つのステップ(電荷移動およびそれに続く上記センサ素子20.1の充電)はN回にわたって反復され、続いて、上記充電終止電圧の測定によってサンプルBを算定することができる。
【0068】
上記一連の実施の形態の上述の説明は、本発明をもっぱら一連の実施例の範囲内で述べたものである。上記実施の形態の個々の特徴は、技術的に有意である限り、本発明の当該範囲を逸脱することなく、互いに自由に組み合わせることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
1 車両
2 リアフード
3 バンパー
4 ドアグリップ
8 ユーザ
9 身体、活性化手段
10 システム、回路システム
20 センサ装置
20.1 センサ素子、センサ電極
20.2 グランド電位
21 定電位
22 シールド素子、シールド電極
50 コントロール装置
50.1 制御装置、処理装置、マイクロコントローラ
50.2 処理ユニット、マイクロコントローラ、アナログ・ディジタル変換器
50.3 適合化手段、ソフトウェア
50.4 保持装置
50.5 保持キャパシタ
50.6 制御手段
50.8 データメモリ
100 算定
100.A 第1の算定
100.B 第2の算定
t 時間
u 移動経路
A 振幅、測定された電圧
CH 保持キャパシタンス
CS センサキャパシタンス
N 数
P パルス
PD パルス持続時間
PF パルス列
Rn n番目の抵抗素子
S スイッチング素子
Sn n番目のスイッチング素子
Tg 測定(算定)間の間隔