(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】車両検知誘導システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20230317BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20230317BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
G08G1/14 A
E04H6/00 C
E04H6/42 C
(21)【出願番号】P 2018217075
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】坂本 正尚
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩二
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146560(JP,A)
【文献】特開2011-100422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/14
E04H 6/00
E04H 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の駐車スペースを有する駐車場の路面上に設置され、
駐車スペースへの車両の入庫を検知する車両検知部と、車両を誘導する照明部とを内蔵するケース部をそれぞれ有し、各駐車スペースに対応して配置される
複数の車両検知誘導装置と、
無線ネットワークを介して複数の前記車両検知誘導装置を制御する駐車場管理装置と、
を具備
し、
前記駐車場管理装置は、
所定の台数分の隣接する駐車スペースを1つのブロックとして、隣り合う複数のブロック毎に前記照明部の点灯状態を制御し、
前記複数のブロック毎に、前記車両検知誘導装置のうちの1つの車両検知誘導装置には前記照明部を点灯するように割り当て、他の車両検知誘導装置には前記照明部を消灯するように割り当て、
前記1つの車両検知誘導装置および前記他の車両検知誘導装置の割り当てを、予め設定した条件により切換える
車両検知誘導システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両検知誘導
システムであって、
前記車両検知誘導装置の前記ケース部は、
前記駐車場管理装置あるいは他の車両検知誘導装置と無線通信可能な通信部と、前記車両検知部および前記照明部を制御する制御部と、前記通信部および前記制御部の駆動電源である二次電池と、をさらに内蔵する
車両検知誘導
システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両検知誘導
システムであって、
前記ケース部は、車路面上に接着固定される平滑な底面を有する
車両検知誘導
システム。
【請求項4】
請求項2に記載の車両検知誘導
システムであって、
前記ケース部は、前記二次電池の充電用コイルをさらに内蔵する
車両検知誘導
システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両検知誘導
システムであって、
前記ケース部は、平面視略方形であり、
前記車両検知部は、前記ケース部の駐車スペースに対向する一辺側に配置された
カメラまたはレーザセンサであり、
前記照明部は、前記ケース部の前記一辺に隣接する他辺の少なくとも一方に配置された誘導照明用LEDである
車両検知誘導
システム。
【請求項6】
請求項
1から5のいずれか1項に記載の車両検知誘導システムであって、
前記所定の台数は、3台以上であり、
前記予め設定した条件は一定時間毎とし、隣り合う他のブロック間で、
前記照明部が点灯するように割り当て
られた車両検知誘導装置の当該ブロック内の配置順序は合致される
車両検知誘導システム。
【請求項7】
請求項
2に記載の車両検知誘導システムであって、
前記予め設定した条件は、
前記二次電池
の残量が予め設定した残量以下の車両検知誘導装置を除外することを含む
車両検知誘導システム。
【請求項8】
請求項
1から7のいずれか1項に記載の車両検知誘導システムであって、
前記駐車場管理装置は、
1つの車両検知誘導装置が対応する駐車スペースへの車両の入庫を検知した際には、当該車両検知誘導装置の照明部を、車両の入庫中を示す点灯状態にし、
車両が駐車状態となって所定時間経過した後には、当該車両検知誘導装置の照明部を、消灯または前記割り当て
られた点灯状態にする
車両検知誘導システム。
【請求項9】
請求項
1から8のいずれか1項に記載の車両検知誘導システムであって、
前記駐車場管理装置は、
1つの車両検知誘導装置が対応する駐車スペースの事前精算が行われた際には、当該車両検知誘導装置の前記照明部を、車両の事前精算済みを示す点灯状態にし、
車両が当該駐車スペースから退出した後には、当該車両検知誘導装置の照明部を、消灯または前記割り当て
られた点灯状態にする
車両検知誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場内で車両を検知し誘導する機能を備えた車両検知誘導装置および車両検知誘導システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を誘導するための従来技術として、特許文献1では駐車スペースの奥側の高所に車両センサおよび表示灯を配置し、表示灯に在空状態を表示する技術が開示されている。
また、特許文献2では、車止めに車両センサおよび照明装置を内蔵し、車止めから在空状態を照明光で知らせる技術が開示されている。
【0003】
この技術では、車路を走行するドライバが車室の空き状態を視認するのは困難である。
そこで、特許文献1のように表示灯を設置する構成が考えられる。
【0004】
したがって、駐車場路面に誘導灯を設置する構成が望ましいが、駐車場路面に誘導灯を設置する場合には、駐車場内に配線を巡らせる工事が煩雑で、設置費用がかかっていた。また、昨今の立体駐車場等のフロアには防水塗装が施されており、防水性の維持のために、フロアへのネジ止めやアンカー打ちなどの工事は避ける必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-264434号公報
【文献】特開2009-174246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、車路を走行するドライバに視認し易く、設置工事が簡素な、車両誘導機能を備えた車両検知誘導装置および車両検知誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一形態に係る車両検知誘導装置は、多数の駐車スペースを有する駐車場の路面上に設置され、各駐車スペースに対応して配置される車両検知誘導装置であって、
駐車スペースへの車両の入庫を検知する車両検知部と、
車両を誘導する照明部と、
前記車両検知部および前記照明部を内蔵するケース部と
を具備する。
【0008】
前記ケース部は、駐車場管理装置あるいは他の車両検知誘導装置と無線通信可能な通信部と、前記車両検知部および前記照明部を制御する制御部と、前記通信部および前記制御部の駆動電源である二次電池と、をさらに内蔵してもよい。
【0009】
前記ケース部は、車路面上に接着固定される平滑な底面を有してもよい。
【0010】
前記ケース部は、前記二次電池の充電用コイルをさらに内蔵してもよい。
【0011】
前記ケース部は、平面視略方形であってもよい。
前記車両検知部は、前記ケース部の駐車スペースに対向する一辺側に配置された光電センサまたはレーザセンサであってもよい。
前記照明部は、前記ケース部の前記一辺に隣接する他辺の少なくとも一方に配置された誘導照明用LEDであってもよい。
【0012】
本発明の一形態に係る車両検知誘導システムは、複数の駐車スペースの各々に対応してそれぞれ設置された前記車両検知誘導装置と、
無線ネットワークを介して複数の前記車両検知誘導装置を制御する駐車場管理装置と
を具備する。
【0013】
前記駐車場管理装置は、
所定の台数分の隣接する駐車スペースを1つのブロックとして、隣り合う複数のブロック毎に前記照明部の点灯状態を制御し、
前記複数のブロック毎に、前記車両検知誘導装置のうちの1つの車両検知誘導装置には前記照明部を点灯するように割り当て、他の車両検知誘導装置には前記照明部を消灯するように割り当て、
前記1つの車両検知誘導装置および前記他の車両検知誘導装置の割り当てを、予め設定した条件により切換えてもよい。
【0014】
前記所定の台数は、3台以上であり、
前記予め設定した条件は一定時間毎とし、隣り合う他のブロック間で、前記割り当てとなる車両検知誘導装置の当該ブロック内の配置順序は合致されてもよい。
【0015】
前記予め設定した条件は、二次電池残量が予め設定した残量以下の車両検知誘導装置を除外することを含んでもよい。
【0016】
前記駐車場管理装置は、
1つの車両検知誘導装置が対応する駐車スペースへの車両の入庫を検知した際には、当該車両検知誘導装置の照明部を、車両の入庫中を示す点灯状態にし、
車両が駐車状態となって所定時間経過した後には、当該車両検知誘導装置の照明部を、消灯または前記割り当てとなる点灯状態にするように構成されてもよい。
【0017】
前記駐車場管理装置は、
1つの車両検知誘導装置が対応する駐車スペースの事前精算が行われた際には、当該車両検知誘導装置の前記照明部を、車両の事前精算済みを示す点灯状態にし、
車両が当該駐車スペースから退出した後には、当該車両検知誘導装置の照明部を、消灯または前記割り当てとなる点灯状態にするように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車路を走行するドライバに視認し易く、設置工事が簡素な、車両誘導機能を備えた車両検知誘導装置および車両検知誘導システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両検知誘導システムの構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る車両検知誘導装置の設置状態を示す外観図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る車両検知誘導装置の外観図および内部構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る車両検知誘導装置の制御ブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る車両検知誘導装置の点灯状態の説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る車両検知誘導装置の照明部(誘導灯)の点灯手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る車両検知誘導装置の入庫/出庫時の動作手順を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る駐車場管理装置の車両検知誘導装置データベースの表示図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る車両検知誘導装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両検知誘導システム10が利用される比較的大規模な駐車場1の構成を示す概略図である。この実施例はショッピングセンター等の建物の上層階の自走式の駐車場を示したものである。
図示しないスロープのアプローチで、1階から接続された車両2の入口3および出口4が設置され、入口3には駐車券発行機5および入口ゲート開閉機6が設置されている。出口4には出口精算機7および出口ゲート開閉機8が設置されていて、建物内の数箇所(例えば階段9の踊り場、各階のエレベータホール11等)に複数の事前精算機12(1箇所のみ図示)が配備されている。
【0022】
また、複数の事前精算機12の近傍の建物内の数箇所には、複数の場内案内端末13(1箇所のみ図示)が配備され、駐車場レイアウトの表示や、ショッピングセンターの各フロアガイドなどが表示されている。場内案内端末13は、利用者の検索したい店名や、利用ガイドや、安売り情報など、様々な情報を表示することが出来る高機能な案内端末である。
【0023】
駐車場1内には、多数の駐車スペースPSが区画されている。各駐車スペースPSは、車両一台分の広さを有し、夫々の駐車スペースPSにはA1~A9,…H1~H9,…K1~K24といった駐車スペース番号が割り振られている。さらに駐車場1内には場内を走行する車両2が往来するメイン走路14と、メイン走路14から枝分かれした一方通行のサブ走路15とが複数設けられている。
メイン走路14は
図1中の左右に2本が上下方向に挿通され、サブ走路15は
図1中の上下に4本が左右方向に挿通されている。サブ走路15は、図の上から交互の方向の一方通行(白矢印で表示)の走路となっている。
【0024】
多数の駐車スペースPSは、
図1中に太線で示したようにそれぞれ隣接する3区画(3台分の駐車スペースPS)ずつに駐車ブロックPBとして区画されている。さらに、メイン走路14上のサブ走路15への分岐部には、天井から吊り下げられた走路誘導案内装置16が設置されている。
【0025】
多数の駐車スペースに対応して、複数の車両検知誘導装置20が、メイン走路14およびサブ走路15に配置されている。各車両検知誘導装置20は、図示しない無線ネットワークで、駐車場管理室17の駐車場管理装置18と通信可能に接続されている。
【0026】
図2は、本実施形態に係る車両検知誘導装置20の設置状態を示す外観図である。
図2に示すように、駐車エリアの駐車スペースPS毎に、駐車スペースPSの数だけ設置された多数の車両検知誘導装置20が、駐車場フロアのメイン走路14およびサブ走路15(車路面上)の各駐車スペースPSの手前側(車両が出入りする側の一辺)に配置されている。
【0027】
図3は、本実施形態に係る車両検知誘導装置20を示しており、Aは外観図、Bは内部構成図である。車両検知誘導装置20は全体として平面視略方形(矩形)のケース部22(外装)を有する。ケース部22は、車両検知部19、照明部21、コイル部26、二次電池27、制御部28(
図4参照)などを内蔵する。
【0028】
ケース部22は上面に平面部22aを有し、側面は外側に向けて傾斜しており、全体として薄型の平板状に形成されている。
ケース部22の側面の一辺22bには車両検知部19が配置されており、その一辺22bに隣り合う左右双方の他辺22cの少なくとも一方には、誘導照明用LEDを内部に備えた照明部21が配置されている。この他辺は、サブ走路15における車両2の進行方向から見えるほうの側に相当する。なお、メイン走路14沿いに設置される車両検知誘導装置20においては、左右双方の他辺に2つの照明部21が必要となる。
【0029】
車両検知部19および照明部21はいずれもケース部22に収容されており、ケース部22の表面に凹凸なく一体的に取り付けられた透過部(透明なガラス、若しくは透明な強化プラスチック)23によって覆われている。透過部23は、車両検知部19および照明部21からの光、超音波、電波などの信号を透過するように構成されている。
【0030】
ケース部22の底部22dは平滑な面で形成されていて、車路面24に専用の接着剤(コンクリートとプラスチックの接着用)で固定されている。なお、基本的にケース部22は、設置後に部分的に開放できるようにはなっていない。また、ケース部22は、車両2のタイヤによって踏まれても、破壊しない強度を備えている。好適には、ケース部22は、アルミ合金あるいは炭素繊維強化プラスチックの成形体で構成されている。
【0031】
ケース部22の底面22dが車路面24に接着固定されることにより、車路面24上をネジ止めやアンカー止めのために加工したり、駐車場1内を配線したりする工事が不要となり、車路面24上に防水塗装が施されていても損傷させることがなく、車両検知誘導装置20を容易に設置できる。
【0032】
図4は、本実施形態に係る車両検知誘導装置20の制御ブロック図である。車両検知誘導装置20の内部には、車両検知部19、照明部21、通信部25、コイル部26、充電部27および記憶部29が、それぞれ制御部28に接続されている。
【0033】
通信部25は、無線通信のモジュールであり、WiFiやZegbee(登録商標)等の規格は問わない。通信部25は、駐車場管理装置18あるいは他の車両検知誘導装置と通信可能に構成される。
【0034】
車両検知部19は一例としては複数のレーザー光を外部に照射して、反射の有無と反射時間より、対象範囲の物体の有無を検出するレーザセンサモジュールである。照明部21は、LEDモジュールであり、少なくとも赤および緑の発光色が切換えられる多色の素子を複数水平に配列している。
【0035】
コイル部26は、ケース部22の外形に比べて若干小さな形状の平面コイルであり、他のコイルからの電磁誘導によって電力の入力(充電)ができる、所謂ワイヤレス充電用のコイルである。充電部27は、コイル部26からの充電を蓄積する二次電池である。
【0036】
制御部28は、典型的には、CPU、メモリ等を有する小型のコンピュータで構成され、車両検知誘導装置20の各部を制御する。制御部28は、車両検知部19から車両2の有無を入力し、通信部25を介して後述する駐車場管理装置18と無線通信し、駐車場管理装置18の指令に応じて照明部21の照明を制御する。制御部28は、コイル部26の充電を検知した際には、充電部27で充電し、充電部27の充電残量を記憶部29に記憶し、車両検知誘導装置20の全体としての可動状況や検知状態を駐車場管理装置18に送信する。制御部28は、通信部25を介して、同一の駐車ブロックPBにおける他の駐車スペースPSに対応して設置された他の複数の車両検知誘導装置20からそれらの充電残量に関する情報を受信し、記憶部29に記憶し、更には駐車場管理装置18へ送信することが可能に構成されてもよい。
【0037】
図2を再度参照すると、メイン走路14やサブ走路15を進行方向に進行する車両2のドライバから見て、必ず正面に照明部21が位置し、かつ、左右何れかの側に(駐車スペースPSに車両2が出入りする方向に)車両検知部19が位置することになる。換言すると、車両検知部19は、対応する駐車スペースに対向するように配置される。
よって、車両検知部19と照明部21とを別々に設けて方向を調整するような必要もない。また、車路面24上から直接光を発光させて誘導するため、ドライバが視認し易く、車両検知部19と照明部21とが一体化されているので設置作業が容易となり、設置に掛かるコストが削減される。
【0038】
また、車両検知部19と照明部21とが平面視直角配置されるため、車路面24上に配置した際の車両検知方向と誘導照明方向の相対的な調整が不要であり、これにより車路面24への車両検知誘導装置20の設置が容易となる。
【0039】
さらにまた、車両検知誘導装置20のケース部22内部に、二次電池27の充電用のコイル部26を内蔵しているので、非接触充電により車両検知誘導装置20が設置された状態で充電することが可能で、外部に充電用の接触端子が露出することもないので、耐久性が劣化するといったこともない。
【0040】
図1に示すように駐車場1の一角には、係員などが業務する駐車場管理室17があり、その中には駐車場管理装置18が設置されている。駐車場管理装置18は、典型的にはPC(パーソナルコンピュータ)であり、駐車場1の在車状態や契約車両ナンバーの情報等がDB(データベース)に記憶されている。
【0041】
駐車場管理装置18は、駐車場1内の駐車券発行機5、出口精算機7、事前精算機12、走路案内誘導装置16、および場内案内端末13とは、有線LANで接続されている。駐車場管理装置18は、図示しない無線通信モジュールによって、駐車場1内の車両検知誘導装置20とデータ送受信可能に接続されている。なお、多数の車両検知誘導装置20を制御するための専用のネットワーク機器が用いられてもよい。
【0042】
このように、車両検知誘導装置20は無線ネットワークで駐車場管理装置18に接続され、車両検知誘導装置20の駆動電源は二次電池27で構成されているので、車両検知誘導装置20の通信用の配線や駆動電源用の配線が不要となり、設置作業が容易となって、設置に掛かるコストが削減される。しかも、車路面24に配線モール等を設置する必要がないので、駐車スペースの増設や変更にも柔軟に対応できるようになる。
また、配線モール等によって駐車場1内を歩行する歩行者が躓くようなこともない。商業施設に付随した駐車場1であれば、買物カートの走行に支障をきたすこともない。
【0043】
図1及び
図2に示したとおり、本実施形態では駐車ブロックPBとして柱30で区切られた駐車スペースPSの3台分の区画を1ブロック単位に設定し、駐車場1内に多数の駐車ブロックPBが設定されている。このような構成において、各車両検知誘導装置20が駐車スペースへの車両2の入庫/出庫を検知し、検知結果を駐車場管理装置18に送信する。1ブロックは、駐車スペースの3台以上の任意の台数に設定されてよい。または、3台の設定中であっても、ブロックによっては2台で構成されてもよい。
【0044】
初期状態(すべての駐車スペースPSが空き状態)においては、車両検知誘導装置20は車両2を検知しておらず、車両検知誘導装置20は駐車場管理装置18に「車両なし=出庫」の状態信号を送信する。
【0045】
その後、状態が変化しない限り、車両検知誘導装置20からは基本的には駐車場管理装置18に車両検知の状態を送信しない。この状態で、駐車場管理装置18は、当該車両検知誘導装置20に対応した駐車スペースPSを車両なしと認識し、当該駐車スペースPSの属する駐車ブロックPBの3つのうちの少なくとも1つの車両検知誘導装置20に、照明部21のLEDを緑で点灯する指令を送信する。
【0046】
図5は、本実施形態に係る車両検知誘導装置20の点灯状態の説明図である。
図5は、駐車スペース番号「B1」、「B2」および「B3」の3つの駐車スペースPSを有する駐車ブロックPB1と、駐車スペース番号「A1」、「A2」および「A3」の3つの駐車スペースPSを有する駐車ブロックPB2とを示している。駐車ブロックPB1には、「B3」にのみ車両2が入庫し、駐車ブロックPB2には、「A1」-「A3」のすべてに車両2が入庫している。
【0047】
図5に示すように、駐車ブロックPB1に関しては、「B1」の車両検知誘導装置20のみが点灯している。この状態において、「B3」の車両検知誘導装置20が点灯してもよいが、本実施形態では後述する充電の状態に応じて、「B1」の車両検知誘導装置20の照明部21が点灯している。他の2つ(「B2」、「B3」)に対応した車両検知誘導装置20については、照明部21は消灯されたままである。
【0048】
即ち、本実施形態において、初期状態では、1駐車ブロックの3つの車両検知誘導装置20のうちの最も充電残量の多い車両検知誘導装置20に誘導灯点灯の割り当てが設定される。充電残量にさほど差が無ければ、例えば、1駐車ブロックの3つの車両検知誘導装置20のうちの別途振り分けられたID番号の最も若い番号の車両検知誘導装置に、誘導灯点灯の割り当てが設定されてもよい。
なお、この設定は、基本的に他の駐車ブロックにも反映される。これにより、車両検知誘導装置20は、3つおきにいずれかが緑に点灯して、遠くの車両2のドライバでも、駐車スペースの空き状態が視認できる状態となる。
【0049】
一方、
図5に示すように、駐車ブロックPB2に関しては、「A2」の車両検知誘導装置20のみが点灯している。この場合は、当該車両検知装置20は駐車場管理装置18に「車両あり=入庫」の状態信号を送信する。駐車場管理装置18は、「A2」の車両検知誘導装置20に、照明部21のLEDを赤で点灯する指令を送信する。この状態において、「A1」および「A3」の車両検知誘導装置20の照明部21も赤で点灯させてもよいが、すべての駐車スペースが入庫状態のときは、そのうち1つの駐車スペースの車両検知誘導装置のみが赤に点灯するように割り当てが設定される。この場合も、上述のように充電残量やID番号などによって割り当てが設定されてもよい。
【0050】
図6は、車両検知誘導装置20の誘導灯の点灯手順を示すフローチャートである。
まず、すべての車両検知誘導装置20は、一定時間間隔、若しくは駐車場管理装置18からの要求に応じて、自己の充電(二次電池27)残量を駐車場管理装置18に送信する(ステップS11)。
【0051】
駐車場管理装置18から、誘導灯割り当ての有無と、割り当て有りの場合には点灯色の情報が送信され、各車両検知誘導装置20はその情報を受信する(ステップS12)。基本的に同一駐車ブロック内では、3つのうち1つの車両検知誘導装置20のみ、割り当ての情報を受信する。割り当てを受信しない場合、つまり、誘導灯が割り当てられてない車両検知誘導装置20については、ステップS13でNoとなって終了する。割り当てがYesの場合、つまり、誘導灯が割り当てられた車両検知誘導装置20については、受信したLEDの色情報を基に、照明部21を点灯し(ステップS14)、処理を終了する。
【0052】
上述の例では、すべての車両検知誘導装置20が個々に駐車場管理装置18に対して充電残量を送信し、あるいは、誘導灯の割り当ての有無に関する情報を受信するように構成されたが、これに代えて、駐車ブロックPBごとに1つの車両検知誘導装置20が代表として設定されてもよい。この場合、駐車場管理装置18に対しては、当該代表の車両検知誘導装置20が当該駐車ブロックPB内のすべての車両検知誘導装置20の充電残量を送信し、あるいは、誘導灯の割り当ての有無に関する情報を受信する。誘導灯の割り当てが代表の車両検知誘導装置20以外の車両検知誘導装置について設定された場合は、代表の車両検知誘導装置から、誘導灯の点灯が割り当てられた車両検知誘導装置へ誘導灯の点灯指令が送信される。
【0053】
図7は、車両検知誘導装置20による車両2の入庫/出庫時の動作手順を示すフローチャートである。ステップS1で、車両検知誘導装置20は車両2の入庫検知の有無を常に監視し、車両2の入庫(車両なしから有りの変化)を検出したら、YesとなってステップS2に移行し、ステップS2で照明部21のLEDを赤で点滅させる。次にステップS3で時間T1の経過を監視する。
【0054】
時間T1は、車両2が駐車スペースに入庫して、ドライバと同乗者等が降りる時間を考慮し、例えば、3分~5分に予め設定される。T1時間経過以前に車両2の検知状態が出庫を検知した場合は、ステップS4でYesとなって後述するステップS8に移行するが、それ以外はT1時間経過まで監視を繰り返す。
【0055】
T1時間経過するとステップS3がYesとなってステップS5に移行し、点滅した照明部21のLEDを消灯させる。次にステップS6で入庫信号を駐車場管理装置18に送信し、その後はステップS7で車両2の出庫を検知するよう監視を繰り返す。ステップS7で車両2の出庫を検知したら、ステップS8で出庫信号を駐車場管理装置18に送信して、処理が終了する。
【0056】
上記の通り、車両2がいずれかの駐車スペースPSに入庫した場合、当該駐車スペースPSの車両検知誘導装置20は「車両入庫検知」となってこの信号を駐車場管理装置18に送信する。駐車場管理装置18は当該駐車スペースPSを在車として在車DBに記録する一方で、当該駐車スペースPSが属する駐車ブロックPBの現在の誘導灯割り当てが設定された車両検知誘導装置20以外の車両検知誘導装置20に対しては、誘導灯の継続的点灯指令は送信しない。つまり、他の隣接する2つの駐車スペースのいずれかが「車両なし」であれば、その駐車ブロックに対して、誘導灯割り当てが設定された車両誘導検知装置以外の車両誘導検知装置の点灯状態は変化しない。
【0057】
もし、同一駐車ブロックの他の駐車スペースの車両検知誘導装置20からも「車両あり」の信号が送信されて駐車場管理装置18で受信した場合は、駐車場管理装置18は割り当てられた車両検知誘導装置20に、照明部21(誘導照明用LED)の点灯状態の赤点灯を継続するように、指令を送信する。
【0058】
例えば
図5に示す駐車ブロックPB1においては、「B1」の駐車スペースに対応して配置された車両検知誘導装置20に誘導灯の点灯が割り当てられた状態を示しており、その割り当ては、「B1」に車両が入庫した後でも変更されることなく、当該車両検知誘導装置20は緑点灯を継続する。そして、
「B1」-「B3」のすべての駐車スペースに車両が入庫した場合に当該車両検知装置20の点灯色が緑から赤に切替えられる。
同様に、
図5の駐車ブロックPB2に関しては、「A2」に対応する車両検知誘導装置20に誘導灯の点灯が割り当てられた状態を示しており、同図では「A1」-「A3」のすべての駐車スペースに車両が入庫しているため、当該車両検知誘導装置20の誘導灯は赤で点灯する。
このように、空き駐車スペースが1つ以上ある駐車ブロックでは誘導灯は緑で点灯し、空き駐車スペースが1つもない駐車ブロックでは誘導灯は赤で点灯する。
【0059】
以上のように、駐車場管理装置18は、隣り合う複数のブロック毎に車両検知誘導装置20の照明部21(誘導照明用LED)の点灯状態を制御し、各駐車ブロックPBにおける車両検知誘導装置20のうちの一の車両検知誘導装置20のみの誘導照明用LEDを点灯するように割り当てる。他の車両検知誘導装置20では誘導照明用LEDを消灯するよう割り当て、一の車両検知誘導装置20と他の車両検知誘導装置20との割り当てが、予め設定した条件によって切換えられる。
したがって、誘導照明用LEDの点灯の頻度が複数のブロックの台数分少なく済むので、個々の平均消費電力が減少し、充電される二次電池27の電力がより長く継続することで、二次電池27の充電の頻度が減少する。
【0060】
誘導灯割り当て設定の切換え条件は、例えば一定時間毎としてもよい。また、隣り合う他のブロック間で、割り当てとなる車両検知誘導装置20の当該ブロック内の配置順序を合致させることもできる。これにより、照明部(誘導照明用LED)21の点灯する車両検知誘導装置20が3つ毎に割り当てられることになり、点灯間隔も均一化されるため、車両2のドライバにとって、空き駐車スペースの有無が遠くからでも視認しやすい。
【0061】
また、割り当ての切換え条件に、二次電池残量27が予め設定した残量以下の車両検知誘導装置20は除外するようにしてもよい。これにより、車両検知誘導装置20の二次電池27の残量が平準化し、二次電池27の充電の頻度が全体的に減少する。
【0062】
1つの車両検知誘導装置20が対応する駐車スペースへの車両2の入場を検知した際には、該当する照明部21(誘導照明用LED)は、車両2の入場中を示す点灯状態(具体的には赤の点滅)となり、車両2が駐車状態となって所定時間経過した後には消灯もしくは前記割り当ての点灯を行うように制御してもよい。
これにより、駐車後の駐車スペースから人が降りて車路に出てくる可能性を、他の車両2に注意喚起することができ、駐車場1内の事故の防止に繋がる。
【0063】
<他の実施例>
図8は、本発明の実施形態に係る駐車場管理装置18の車両検知誘導装置データベースの表示図である。このように、すべての車両検知誘導装置20の状態は、駐車スペースID,駐車ブロック,入庫/出庫ステータス,充電残,割り当て,精算状態,および自己診断として駐車場管理装置18のDBに記録されていて、リアルタイムに情報が変化している。
そのなかで、同一駐車ブロックの最も充電残の多い車両検知誘導装置20に、割り当てされている(○となっている)のがわかる。また、各駐車スペースの精算状態についても、未精算か事前精算完了(精算)かどうかが記録されている。
また、自己診断とは、車両検知誘導装置20と駐車場管理装置18との間の通信状況などを基に判断される個々の車両検知装置の故障や、車両なし状態における車両検知信号レベルが当初キャリブレーションしたレベルから変化した場合には、透過部23の汚れの可能性があるものと自己判断して出力する、異常の判定レベルを意味する。
【0064】
図9は本発明の他の実施形態に係る車両検知誘導装置20の入庫/出庫時の動作手順を示すフローチャートである。
図9のフローにおいて、ステップS21からS26までは
図7のステップS1からS6までと同様なため説明は省略する。
【0065】
ステップS27では、車両検知誘導装置20が駐車場管理装置18から状態信号を受信する。状態信号には、精算/未精算(事前精算完了)が含まれる。事前精算完了の場合はステップS28がYesとなってステップS29に移行し、照明部21(誘導照明用LED)を赤点滅させる。その後ステップS30で車両2の出庫が検知されればYesとなってステップS31で照明部21を消灯し、ステップS32で出庫信号を送信して処理が終了する。
【0066】
このように、駐車場管理装置18は、一の車両検知誘導装置20が対応する駐車スペースの車両2の事前精算を入力した際には、当該車両検知誘導装置20の照明部21(誘導照明用LED)は、車両2の事前精算済みを示す点灯状態(具体的には赤の点滅)となり、車両2が当該駐車スペースから退出した後には消灯もしくは割り当ての点灯を行うようにしてもよい。
これにより、事前精算後の駐車スペースから車両2が出てくる可能性を、他の車両2に注意喚起することができ、駐車場1内での事故防止に繋がる。
【0067】
事前精算機12での精算済み車両2の情報と、その車両2の駐車スペースの位置の情報とを紐付けする手段は、特に限定されない。例えば、入場時に入口3にカメラを設置して、駐車券に車両ナンバーを記録しておく。駐車スペースに入庫した後は、別途駐車場内の監視カメラで撮像した駐車スペース画像から、車両ナンバー情報を駐車場管理装置18で紐付け、事前精算時の駐車券の車両ナンバーから対応する駐車スペースを導き出してもよい。
【0068】
車両検知誘導装置20の車両検知部19が、カメラ画像による物体認識のシステムを備えていてもよい。
昨今の小型カメラであれば、高画質の画像で画角が広く焦点深度の深い撮影が可能で、車両検知部19のカメラ画像を駐車場管理装置18で解析し、車両ナンバーをOCR(Optical Character recognition)により読み取り、上記のデータベースに記録して、入場時に入口3で車両2を撮像した車両ナンバー情報と紐付け、さらにその際に発行した駐車券情報と紐付けし、駐車券を用いた事前精算の情報をリンクしてもよい。
【0069】
車両検知誘導装置20が非接触式充電方式をとらず、例えば一次電池を交換しながら運用する方式をとってよい。その場合でも、本発明の他の特徴を有する車両検知誘導装置20および車両検知誘導システム10の従来の他システムに対する優位性に変わりはない。
【0070】
あるいは、駐車スペースが残り少なくなってきた(例えば残り5台のみ入庫可能な)ときに、エレベータホール11から近い順に空いている駐車スペースに、車両2を誘導するように、ドライバから見て手前から奥へ複数の車両検知誘導装置20が順に点灯/消灯してもよい。このとき、走路誘導案内装置16が組み合わされて(例えば、走路誘導案内装置16が「路面上のLED誘導指示に従ってください」と表示して)用いられてもよい。
【0071】
以上説明した本発明に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0072】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両検知誘導装置20および車両検知誘導システム10もまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の技術は、小規模か大規模か、屋内か屋外かを問わず、設置コストとランニングコストの削減を図る有料/無料駐車場において、好適に利用できるものである。
【符号の説明】
【0074】
1・・・駐車場
2・・・車両
3・・・入口
4・・・出口
5・・・駐車券発行機
6・・・入口ゲート開閉機
7・・・出口精算機
8・・・出口ゲート開閉機
9・・・階段
10・・・車両検知誘導システム
11・・・エレベータホール
12・・・事前精算機
13・・・場内案内端末
14・・・メイン走路
15・・・サブ走路
16・・・走路誘導案内装置
17・・・駐車場管理室
18・・・駐車場管理装置
19・・・車両検知部
20・・・車両検知誘導装置
21・・・照明部(誘導照明用LED)
22・・・ケース部(外装)
23・・・透過部
24・・・車路面
25・・・通信部
26・・・コイル部
27・・・充電部(二次電池)
28・・・制御部
A1~A9,…H1~H9,…K1~K24・・・駐車スペース番号
PS・・・駐車スペース
PB・・・駐車ブロック