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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20230317BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20230317BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20230317BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20230317BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20230317BHJP
   H01M 50/559 20210101ALI20230317BHJP
   H01M 50/553 20210101ALI20230317BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20230317BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20230317BHJP
   H01M 50/128 20210101ALI20230317BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20230317BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01G11/82
H01G11/78
H01M50/124
H01M50/105
H01M50/559
H01M50/553
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/128
H01M50/562
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018234446
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020095904
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 竜
(72)【発明者】
【氏名】木村 長幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊二
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-016368(JP,A)
【文献】特開2017-130435(JP,A)
【文献】特開2003-331819(JP,A)
【文献】特開2018-085214(JP,A)
【文献】特表2012-516009(JP,A)
【文献】特開2011-086760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-38
H01M 50/10-198
H01M 50/50-598
H01G 11/82
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1容器と第2容器から構成される外装体と、前記外装体の内部に収容された正極電極および負極電極からなる電極体を備えた電気化学セルであり、
前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方が樹脂層と金属層のラミネート構造からなり、
前記第1容器と前記第2容器に形成された貫通孔の内側に前記正極電極あるいは前記負極電極に接続された電極板が絶縁フィルムを介し配置され、
前記ラミネート構造からなる、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方の容器において、前記電極板の前記貫通孔側に、前記絶縁フィルムの厚さと前記第1容器の底壁部または前記第2容器の底壁部の厚さの合計厚さに相当する厚さを有する電極端子が、前記絶縁フィルムを貫通して前記貫通孔に挿入するように設けられ、
前記電極端子の外周部において前記貫通孔の内周部との間に前記絶縁フィルムの延出部が前記電極端子の外周面を取り囲むように介挿され、該延出部により、前記ラミネート構造からなる、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方に形成されている前記貫通孔の内周面が被覆され、前記電極端子と前記貫通孔の間の隙間を前記延出部が塞ぐとともに前記延出部が前記電極端子と前記貫通孔の間から外部に露出されたことを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
前記電極端子の外周部と前記貫通孔の内周部との間に前記絶縁フィルムの延出部が挟持されたことを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記金属層がAlまたはAl合金からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記電極板が金属板からなり、前記電極端子がNi板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記第1容器と前記第2容器がいずれも底壁部と周壁部を有し、前記第1容器の周壁部と前記第2容器の周壁部が重ね合わされて融着され、前記外装体が構成されたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池、電気二重層キャパシタなどの電気化学セルとして、ボタン形(以下、コイン形およびシリンダ形も含む)に形成された電気化学セルが知られている。ボタン形の電気化学セルは、各種デバイスの電源などに利用されている。ボタン形の電気化学セルの1つの形態として、例えば以下の特許文献1に記載のような偏平型非水電解質二次電池が提案されている。
【0003】
特許文献1には、負極端子を兼ねる金属製の負極ケースと正極端子を兼ねる金属製の正極ケースとが絶縁ガスケットを介し嵌合された外装体が開示されている。具体的には、特許文献1において、正極ケースがカシメ加工によって絶縁ガスケットを介し負極ケースに嵌合されている。また、カシメ加工された部位で外装体の封止部が形成されている。
このように、金属製の正極ケース及び負極ケースで外装体が画成され、外装体の収容部に電極体が非水電解質とともに内包されている。
【0004】
しかし、外装体の封止部をカシメ加工した場合、電池のサイズが小さくなるほど封止部を収容部に対して小さく抑えることが難しい問題がある。このため、小型のボタン形電池においては電池の体積当たりの容量を上げることが難しく、この観点から改良の余地が残されている。
【0005】
このような背景の基、本願出願人は特許文献2に記載の電気化学セルを提案した。
特許文献2に記載の電気化学セルは、電極体と、第1部材および第2部材を重ね合わせて形成される外装体とを備えている。この外装体に、前記電極体を収容する収容部と、該収容部の外周において、前記第1部材および第2部材が融着された状態で前記収容部の外周に沿って折り曲げられた封止部を有している。また、第1部材と第2部材について金属と樹脂のラミネート構造を採用するか、一方を金属と樹脂のラミネート構造とし、他方を金属板から構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-298803号公報
【文献】特許第6284248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の電気化学セルにより、外装体の外周縁部に封止部を設け、封止部の占める体積をセルの外周部に制限することにより、外装体の内部空間の容積を確保することができる構造を提供した。
このボタン形電気化学セルにおいて、外装体を樹脂層とアルミニウム層のラミネート構造とした場合、軽量化できる利点を有する。しかし、ラミネート構造では樹脂層の端部にアルミニウム層が露出する構造となるので、アルミニウムの露出部分が外部端子やアースなどに接触するおそれがある。ここで、リチウムイオン電池などにおいてアルミニウムがリチウムに対し還元電位以下になると、アルミニウムとリチウムの合金化反応を起こすおそれがあり、合金化反応により外装体の一部を損傷する懸念があった。
例えば、電極端子の周囲は外装体に貫通孔を形成して電極端子を外部に露出させる構造となるので、貫通孔の内周側の部分では必然的に樹脂層の端部からアルミニウム層が露出する部分となる。
【0008】
電気化学セルにおいて、ラミネート構造の外装体を用いた場合、電極端子部分周りの断面構造の一例を図6に示す。
図6に示すようにラミネート構造の容器状の外装体100の内部に電極体101と電解液102が収容され、電極体101から延出された引出端子103が電極板105に接続され、電極板105の上面中央に電極端子106が取り付けられている。
外装体100は内部側から順に樹脂層107とアルミニウム製の金属層108と樹脂層109からなる3層構造であり、外装体100の一部に形成された貫通孔110の内側に位置するように電極板105と電極端子106が設けられている。なお、図6では電極端子106の周囲部分のみ表示しているので容器状の外装体100はその一部分のみ記載され、電極体101についても一部分のみが表示されている。
【0009】
外装体100において貫通孔110の内部側にはシール部材111が設けられており、シール部材111が外装体100の内面と電極板105の外周部に密着することで外装体100の貫通孔110を閉じている。
ここで、貫通孔110の内面側には金属層108の端面が露出されているので、この部分が外部端子やアースなどと接触して短絡するおそれがあり、Al製の金属層108がLiに対して還元電位となるおそれがある。これに加え、図6に示すように内部側の樹脂層107に傷等の損傷部分112が存在し、電解液102が金属層108に到達することがあると、金属層108が損傷し、場合によっては外装体100の損傷に繋がるおそれを有している。
【0010】
本願発明者は、この種のボタン形電気化学セルにおいて電極端子周りに設けられる外装体の構造にアルミニウム層の露出部分を有していても、この露出部分が電池の性能に影響を及ぼさない構造について研究し、本願発明に到達した。
【0011】
本発明は、以上説明した従来の実情に鑑みなされたものであり、ラミネート構造の外装体に形成した貫通孔とその内側の電極端子との間に絶縁体を介挿することで絶縁構造を強化し、ラミネート構造に採用されている金属層の短絡を防止できる構造とした電気化学セルの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)前記課題を解決するため、本発明の一形態に係る電気化学セルは、第1容器と第2容器から構成される外装体と、前記外装体の内部に収容された正極電極および負極電極からなる電極体を備えた電気化学セルであり、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方が樹脂層と金属層のラミネート構造からなり、前記第1容器と前記第2容器に形成された貫通孔の内側に前記正極電極あるいは前記負極電極に接続された電極板が絶縁フィルムを介し配置され、前記ラミネート構造からなる、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方の容器において、前記電極板の前記貫通孔側に、前記絶縁フィルムの厚さと前記第1容器の底壁部または前記第2容器の底壁部の厚さの合計厚さに相当する厚さを有する電極端子が、前記絶縁フィルムを貫通して前記貫通孔に挿入するように設けられ、前記電極端子の外周部において前記貫通孔の内周部との間に前記絶縁フィルムの延出部が前記電極端子の外周面を取り囲むように介挿され、該延出部により、前記ラミネート構造からなる、前記第1容器と前記第2容器の少なくとも一方に形成されている前記貫通孔の内周面が被覆され、前記電極端子と前記貫通孔の間の隙間を前記延出部が塞ぐとともに前記延出部が前記電極端子と前記貫通孔の間から外部に露出されたことを特徴とする。
【0013】
電極端子の外周部において前記貫通孔の内周部との間に絶縁フィルムの延出部を介挿するとともに、この延出部で前記貫通孔の内周面を被覆し、閉じていると、金属層を含むラミネート構造の外装体であっても、貫通孔の内周部に露出している金属層を電極端子と離間させ、確実な絶縁状態にすることができる。このため、金属層を含むラミネート構造の外装体を用いた電気化学セルにおいて金属層の短絡を防止できる。金属層の短絡を防止できるので、金属層の還元電位以下への電位降下を防止でき、外装体の一部に仮に傷などが生じて金属層と電解液が接触したとしても金属層の損傷を防止できる。
【0014】
(2)前記一形態の電気化学セルでは、前記電極端子の外周部と前記貫通孔の内周部との間に前記絶縁フィルムの延出部が挟持された構成を採用できる。

【0015】
本形態の電気化学セルにおいて、電極端子の外周部と貫通孔の内周部との間に絶縁フィルムの延出部を介挿させることにより、貫通孔の内周部に露出している金属層を電極端子と離間させ、他の部材に対し絶縁状態にすることができる。
このため、金属層を含むラミネート構造の外装体を用いた電気化学セルにおいて金属層の短絡を防止できる。金属層の短絡を防止できるので、金属層の還元電位以下への電位降下を防止でき、外装体の一部に仮に傷などが生じて金属層と電解液が接触したとしても金属層の損傷を防止できる。
電極端子周りの外装体の貫通孔において、ラミネート構造の外装体の金属層が露出していたとして、絶縁フィルムの延出部を有効利用し、効率的に金属層露出部を覆い隠すことができる。
また、電極端子の外周部と貫通孔の内周部との間に絶縁フィルムの延出部が挟持された構成にすると、延出部が貫通孔の内周面を覆った状態で確実に保持されるので、信頼性の高い絶縁構造を提供できる。
【0016】
(3)前記一形態の電気化学セルでは、前記金属層がAlまたはAl合金からなる構造を採用できる。
樹脂層とAlまたはAl合金からなる金属層とのラミネート構造であれば、外装体として液密性、気密性、軽量性に優れ、電解液を収容する小型の電気化学セル用の外装体として優れる。
【0017】
(4)前記一態様の電気化学セルでは、前記電極板が金属板からなり、前記電極端子がNi板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなる構成を採用できる。
【0018】
本形態によれば、金属板からなる電極板に対し、Ni板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなる電極端子を接合しているので、電極端子の表面に自然酸化膜が生成し難く、電極端子に対し外部端子などから良好なコンタクトを取ることができる。このため、電極端子表面に自然酸化膜が生成している場合に比べて外部端子と低い接触抵抗で接続が可能となり、過電圧の発生なども抑制できるので、電気化学セルとしての容量の低下を引き起こすことがない。
【0019】
(5)前記一態様の電気化学セルでは、前記第1容器と前記第2容器がいずれも底壁部と周壁部を有し、前記第1容器の周壁部と前記第2容器の周壁部が重ね合わされて融着され、前記外装体が構成された構成を採用できる。
【0020】
本形態の電気化学セルにおいて、第1容器の周壁部と第2容器の周壁部を重ね合わせて融着していると、容器どうしを接合している融着部を第1容器と第2容器の外周部に配することができるので、第1容器と第2容器からなる外装体の内容積が融着部の存在によって狭められることが無い。このため、小型のボタン形電池であっても外装体の内容積を確保し易く、電池として体積あたりの容量を確保し易くなる。
【発明の効果】
【0021】
本形態によれば、電気化学セルにおいて、電極端子の外周部と貫通孔の内周部との間に絶縁体を介挿しているので、金属層を含むラミネート構造の外装体であっても、貫通孔の内周部に露出している金属層を電極端子と離間させ、確実な絶縁構造を提供できる。このため、金属層を含むラミネート構造の外装体を用いた電気化学セルにおいて金属層の短絡を防止できる。金属層の短絡を防止できるので、金属層の還元電位以下への電位降下を防止でき、外装体の一部に仮に傷などが生じて金属層と電解液が接触したとしても金属層の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る電気化学セルの外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電気化学セルの内部構造を示す部分断面図である。
図3】第1実施形態に係る電気化学セルの分解斜視図である。
図4】(A)は第1実施形態に係る電気化学セルにおいて外装体を構成するラミネート構造を示す断面図、(B)は同外装体に形成した貫通孔と電極板および電極端子と絶縁フィルムの関係を示す部分断面図である。
図5】従来構造の電気化学セルにおいて容器に形成した貫通孔と電極板および電極端子と絶縁フィルムの関係を示す部分断面図である。
図6】従来構造の電気化学セルにおいて電極板および電極端子周りの構造を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、円盤状に形成されたボタン形、コイン形またはシリンダ形の電気化学セルとして、非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という。)を例に挙げて説明する。
また、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更し表示しているため、各部材の相対的な大きさが図面に示す形態に限らないのは勿論である。
【0024】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る電池の斜視図、図2は第1実施形態に係る電池の部分断面斜視図、図3は同電池の分解斜視図である。
図1図2に示すように、本実施形態の電池(電気化学セル)1は、いわゆるボタン形の電池である。電池1は、電極体2と、電極体2に含浸される電解液(電解質溶液:図示せず)と、電極体2を収容した外装体10とを備えている。
【0025】
電極体2は、負極電極3および正極電極4を備えている。負極電極3は、つづら折り形状に折り畳まれている。正極電極4は、負極電極3と互い違いに積層するように負極電極3と交差する方向につづら折り形状に折り畳まれている。すなわち、本実施形態の電極体2は、負極電極3と正極電極4とが互い違いに積層するように折り畳まれた積層タイプの電極体である。電極体2を構成する負極電極3と正極電極4は、図2図3の構成では円板状の電極本体を複数、帯状の連結部を介し数珠繋ぎ状に接続し、それらの一端側に個々に引出電極を形成している。
【0026】
図1図2に示すように外装体10は、電極体2が収容される収容部12と、収容部12の外周12aに沿って折り曲げられた封止部15とを有する。封止部15は、絞り成形によって収容部12の外周12aに沿って折り曲げられている。
また、外装体10は、有底筒状の第1容器17と、有底筒状の第2容器18とを備えている。第1容器17および第2容器18は、それぞれの中心軸が同軸となるように配置されている。以下、第1容器17および第2容器18の中心軸を図2に示すように中心軸Oと呼称し、中心軸Oに沿う方向を軸方向と呼称し、中心軸Oに直交する方向を径方向と呼称する。なお、中心軸Oは収容部12の中心軸となる。
【0027】
第1容器17は、例えば、図4(A)に示すようにラミネート部材により形成された第1部材である。ラミネート部材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の金属シートからなる金属層17aと、第1容器17における内側面を構成する樹脂製の融着層(樹脂層)17bと、外側面を構成する樹脂製の保護層(樹脂層)17cとが積層されている。
融着層17bは、例えば、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成される。ポリオレフィンとして以下の材質を適宜選択できる。ポリオレフィンとしては、高圧法低密度ポリエチレンや低圧法高密度ポリエチレン、インフレーションポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、直鎖状短鎖分岐ポリエチレンなどの材質を使用できる。保護層17cは、上述のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどを用いて形成される。融着層17bおよび保護層17cは、それぞれ金属シート17aとの間に接合層を介して、熱融着または接着剤により接合されている。
【0028】
第1容器17は、第1底壁部21および第1周壁部22を備えている。第1底壁部21の中央部には丸孔型の第1貫通孔23が形成されている。第1貫通孔23は、中心軸Oと同軸に形成されている。
第1底壁部21の内面には、第1シーラントリング(絶縁フィルム)24を介して円板状のステンレス鋼板などの鋼板からなる負極電極板25が熱融着されている。第1シーラントリング24は、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成された、シーラントフィルムをリング状にしたものである。
【0029】
負極電極板25の内面は、電極体2の負極電極3に接続されている。負極電極板25の外面は、中央にNiあるいはNi合金からなる円板状の負極電極端子26が溶接されている。負極電極端子26は、第1貫通孔23を貫通して外部に露出され、電池1の負極端子として機能する。なお、負極電極板25をNiあるいはNi合金製とすれば、負極電極端子26を略し、負極電極板25を負極電極端子として用いることができる。
【0030】
第2容器18は、第1容器17と同様に、ラミネート部材により形成された第2部材である。ラミネート部材は、AlまたはAl合金の金属シートからなる金属層18aと、第2容器18における内側面を構成する樹脂製の融着層(樹脂層)18bと、外側面を構成する樹脂製の保護層(樹脂層)18cと、が積層されている。融着層18bは、第1容器17の融着層17bと同じ熱可塑性樹脂を用いて形成される。保護層18cは、第1容器17の保護層17cと同じ熱可塑性樹脂を用いて形成される。
【0031】
第2容器18は、第2底壁部31、第2周壁部32、および折曲部33を備えている。
第2周壁部32は、収容部12の外周12aを形成する。
第2底壁部31には、中央に丸孔型の第2貫通孔35が形成されている。第2貫通孔35は、中心軸Oと同軸に形成されている。
第2底壁部31の内面には、第2シーラントリング(絶縁フィルム)37を介してステンレス鋼板などの鋼板からなる正極電極板38が熱融着されている。第2シーラントリング37は、第1シーラントリング24と同様に、熱可塑性樹脂により形成されている。
正極電極板38はステンレス鋼板、もしくはAl板またはAl合金板からなることが好ましい。
【0032】
正極電極板38の内面は、電極体2の正極電極4に引出電極4aを介し接続されている。正極電極板38の外面は、中央にNiあるいはNi合金からなる円板状の正極電極端子39が抵抗溶接部またはレーザー溶接部を介し溶接されている。正極電極端子39は、第2貫通孔35を貫通して外部に露出され、電池1の正極端子として機能する。
正極電極端子39はNi板あるいはNiにCrやMo、Coなどを添加したNi合金板、あるいは、ステンレス鋼板、Fe板、あるいはCu板からなることが好ましい。また、接触抵抗の低減のために、上述のようなNi板や各種Ni合金板にAuメッキを施すことができ、ステンレス鋼板、Fe板、あるいはCu板にNiメッキを施して用いることもできる。
即ち、正極電極端子39は、Ni板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなる。
【0033】
正極電極端子39の外径は第2貫通孔35の内径よりも若干小さく、第2シーラントリング37の内径は正極電極端子39の外径よりも若干小さく形成されている。正極電極端子39は正極電極板38より厚く形成され、外装体18の厚さと第2シーラントリング37の厚さを合計した厚さ相当に形成されている。このため、図4(B)に示すように第2貫通孔35に正極電極端子39を挿通した場合、正極電極端子39の外面は外装体18の外面と面一となるか若干突出した状態となる。
そして、第2シーラントリング37の内周縁の一部が延出部37aとして第2貫通孔35の内周部と正極電極端子39の外周部との間に引き込まれて挟まれるように延出され、延出部37aの先端が第2貫通孔35の外側開口部まで到達されている。
【0034】
第2シーラントリング37の延出部37aは、第2シーラントリング37の内周部と第2貫通孔35の内周部との間の隙間を塞ぎ、第2貫通孔35の内周面に露出している金属層18aの端面を覆って保護している。なお、図4(B)では簡略化のために第2容器18の第2底壁部31について単層構造のように表示しているが、実際は図4(A)に示すように3層のラミネート構造とされている。
なお、この構造は、溶接により正極電極板38と正極電極端子39を一体化しておき、外装体18の内面側の第2貫通孔35まわりに第2シーラントリング37を沿わせた状態から、熱をかけながら正極電極端子39を第2貫通孔35に挿入することにより形成することができる。加熱により軟化した第2シーラントリング37の内周部を引き延ばしつつ正極電極端子39とともに第2貫通孔35に挿入することで図4(B)に示す延出部37aを設けた構造を実現できる。
なお、延出部37aについては正極電極端子39の全周に隙間無く存在していることが好ましいが、多少の隙間をあけて間欠的に形成されていても良い。その方が第2貫通孔35に引き込むように延在させやすい。
【0035】
正極電極4は図3に例示するように連結部4eを介し複数の電極本体4dを数珠繋ぎ状に連結して構成されるが、一例として、電極本体4dおよび連結部4eと同一平面形状の正極集電体に正極活物質を塗布した構造の全体を樹脂絶縁材料からなるセパレーターで覆った構造を採用できる。負極電極3も正極電極4と同等構造であり、全体をつづら折りすることができる。
以上のように構成された負極電極3と正極電極4をそれぞれ交互につづら折り構造として重ねることで、図2または図3に示す電極体2が構成されている。
負極電極3を構成する負極集電体は、本実施形態では、例えばCu、Ni及びステンレス等の金属材料から構成されている。そして、これらの金属材料からなる負極側の引出電極が負極集電体から延在され、負極電極板25に電気的に接続されている。また、正極電極4を構成する正極集電体は、本実施形態では、AlまたはAl合金から構成され、この正極集電体から延びる正極側の引出電極4aがAlまたAl合金から形成されている。引出電極4aは正極電極板38に電気的に接続されている。
【0036】
正極電極端子39は図2図4に示すように正極電極板38の中央部に配置されるとともに、正極電極端子39と正極電極板38は溶接部等の接合手段により接合されている。
正極電極端子39は、外部端子の接触を受けるので、溶接部によって正極電極板38に確実に接合されていることが好ましい。
本実施形態において、正極端子39は、第2貫通孔35の内径よりも若干小さな外径を有する円板形状であり、その厚さは、第2シーラントリング37の厚さと第2底壁部31の厚さを合計した厚さに相当する。このため、図4(B)に示すように正極電極端子39は第2貫通孔35を挿通して第2底壁部31の外面に露出する貫通電極とされている。
また、正極電極端子39の外周部と第2貫通孔35の内周部との間に第2シーラントリング37の内周縁の延出部37aが引き込まれ、正極電極端子39の外周部と第2貫通孔35の内周部との間の間隙が延出部37aにより閉じられている。
この延出部37aは、正極電極端子39の外周部と第2貫通孔35の内周部との間に挟まれるように延出され、第2貫通孔35の外側開口部周縁まで延在され、第2貫通孔35の内周面を覆っている。
【0037】
この構造により第2貫通孔35の内面に露出している金属層18aの端面は第2シーラントリング37の延出部37aにより覆われて絶縁される。このため、正極電極端子39と金属層18aが短絡することがなく、金属層18aの端面は外部端子やアースなどに短絡されることもない。
このため、電解液に含まれるLiに対し金属層18aが還元電位以下になることがなく、仮に保護層18cに傷や亀裂が生じて電解液が金属層18aに触れることがあっても金属層18aが損傷することがない。このため、仮に内部に亀裂等の欠陥があっても外装体10の破損につながらない構造を提供できる。
【0038】
先に説明のように、第1容器17および第2容器18をラミネート構造とし、第1容器17および第2容器18に負極電極端子26、正極電極端子39を設けた。電極端子26、39を設けることにより、封止部15から外部に端子部を突出させる必要がない。
よって、電池1を小形にできる。
【0039】
第2周壁部32は、第2底壁部31の外周31aから第1容器17の第1底壁部21に向けて筒状に折り曲げられている。折曲部33は、第2周壁部32のうち、第1底壁部21側の端部32aから第2周壁部32に沿って第2底壁部31側へ円筒状に折り曲げられている。折曲部33は、第2周壁部32に対して径方向外側に間隔をおいて配置されている。折曲部33および第2周壁部32は、断面U字状に形成されている。
第2周壁部32は、第1周壁部22の内側で、かつ、折曲部33の内側に配置されている。また、折曲部33は、第1周壁部22の内側に配置されている。折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とが熱融着されている。
【0040】
折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とが熱融着されることにより、封止部15が形成される。よって、収容部12の外周が封止部15で封止される。これにより、第1容器17と第2容器18が重ね合わされて外装体10が形成される。
折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とを熱融着する手段として、例えばヒータやレーザーなどの熱源を用いる熱融着が挙げられる。また、折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とは、熱融着の他に、例えば超音波溶接を用いる融着などが適用可能である。
封止部15は、収容部12の外側に円筒状に形成され、かつ、収容部12の外周12aに沿って折り曲げられている。収容部12の外周12aは、第2周壁部32で形成される。封止部15は、平面視において、円形に形成されている。
【0041】
封止部15を収容部12の外周12aに沿って折り曲げることにより、封止部15を収容部12の外周12aに配置することができる。よって、封止部15は、収容部12の中心軸Oに対して直交する方向への張出が小さく抑えられる。これにより、特に、小形の電池1において、電池1の体積当たりの容量を高めることができる。
【0042】
また、封止部15は、絞り成形によって収容部12の外周12aに沿って折り曲げられている。よって、封止部15は、第1容器17および第2容器18の他の部位に比べて薄肉に形成されている。封止部15を薄肉に形成することにより、収容部12の中心軸Oに対して直交する方向への封止部15の張出が一層小さく抑えられる。
また、第1容器17および第2容器18の融着層が薄肉に形成されることにより、第1容器17および第2容器18の金属シート間の隙間が小さく抑えられる。これにより、封止部15から外装体10の内部に水が浸入することを一層良好に抑えることができる。
【0043】
収容部12は、第1容器17と第2容器18とが重ね合わされることにより密封空間が形成される。具体的には、収容部12は、第1底壁部21、第2底壁部31、および第2周壁部32により画成されている。
【0044】
以上のように構成された電池1を製造するには、第1容器17と第2容器18の間に図3に示すように第1シーラントリング24、負極電極端子26、負極電極板25、電極体2、正極電極板38、正極電極端子39、第2シーラントリング37をこの順で積層できるように収容し、第1容器17と第2容器18から構成される外装体10の内部に電解液を充填し、第1容器17と第2容器18を重ねて互いの周壁部分を熱溶着することができる。
【0045】
電池1を製造する際、負極電極端子26を負極電極板25に、正極電極板38を正極電極端子39に予め抵抗溶接あるいはレーザー溶接により接合して一体化しておくことが好ましい。また、電極体2の正極電極板38の内面側に正極側の引出電極を溶接し、電極体2の負極電極板25の内面側に負極側の引出電極を溶接しておくことが好ましい。
なお、この例では電極板に電極端子を溶接し、その後に電極体の引出電極を溶接する順で説明したが、電極端子と引出電極を溶接する順序は逆であっても良く、どちらが先でも差し支えない。
【0046】
また、電池1を製造する場合、溶接により正極電極板38と正極電極端子39を一体化した後、外装体18の内面側の第2貫通孔35まわりに第2シーラントリング37を沿わせて溶着した状態から、熱をかけながら正極電極端子39を第2貫通孔35に挿入することが好ましい。この加熱挿入作業により、軟化させた第2シーラントリング37の内周部を引き延ばしつつ正極電極端子39とともに第2貫通孔35に挿入することができる。
この作業により、図4(B)に示す構造の如く、第2貫通孔35の内周部に露出している金属層17aの端面を絶縁体である第2シーラントリング37の延出部37aにより覆い隠す構造を実現できる。この構造であれば、第2貫通孔35の内周部に位置する金属層17aの端面を外部端子やアースなどに短絡させることのない構造を提供できる。
なお、加熱した正極電極端子39を用い、第2シーラントリング27の内周部を介し第2貫通孔35に挿通するのみの作業で上述の絶縁構造を実現できるので、上述の絶縁構造は容易に製造できる効果がある。
【0047】
なお、通常サイズのボタン電池の場合、第2貫通孔35の内径を5mm程度とすると、第2シーラントリング37の内径を3.5mm程度とし、正極電極端子39の外径を3.5mmより若干大きくすると正極電極端子39による第2貫通孔35への加熱引き込みを確実に実施できる。この場合、正極電極端子39の外径は5mmより小さいことが望ましい。正極電極端子39の外径を大きくし過ぎると、正極電極端子39が第2底壁部31を突き破るおそれがある。
また、正極電極端子39の外周部と第2貫通孔35の内周部との間に第2シーラントリング37の延出部37aを挟持した構成にすると、延出部37aが第2貫通孔35の内周面を覆った状態で確実に保持されるので、信頼性の高い絶縁構造を提供できる。
【0048】
以上説明の如く構成された電池1にあっては、ステンレス鋼板からなる正極電極板38に対し、NiまたはNi合金からなる正極電極端子39を接合しているので、電極端子39の表面に自然酸化膜が生成し難く、正極電極端子39に対し外部端子などから良好なコンタクトを取ることができる。このため、正極電極端子39の表面に自然酸化膜が生成している場合に比べて外部端子と低い接触抵抗で接続が可能となり、過電圧の発生なども抑制できるので、容量低下を引き起こすことがない電池1を提供できる。
【0049】
また、本実施形態の電池1にあっては、第2底壁部31を保護層18bと金属層18aと融着層18cからなるラミネート構造としているので、第2貫通孔35の内面側に金属層18aの一部が露出した構造となる。しかし、第2貫通孔35の内周面を第2シーラントリング37の延出部37aで覆っているので、第2貫通孔35の内面側に露出した金属層18aの一部を正極電極端子37あるいは外部端子やアースに短絡させることのない構造を提供できる。このため、外装体10を構成する金属層17a、18aに電解液が触れることがあっても外装体が破損することのない構造を提供できる。
【0050】
本形態の電池1において、第1容器17の第1周壁部22と第2容器18の第2周壁部32を重ね合わせて融着していると、容器どうしを接合している融着部を第1容器17と第2容器18の外周部に配することができる。このため、第1容器17と第2容器18からなる外装体10の内容積が融着部の存在によって狭められることが無い。従って、小型のボタン形電池であっても外装体10の内容積を確保し易く、電池1として体積あたりの容量を確保し易くなる。
【0051】
また、小型薄型の電池1であっても、容器どうしを接合している融着部について第1容器17と第2容器18の外周底部から外周上部まで容器17、18の高さを充分に活用した最大高さ分の融着面積としているので、充分な融着面積を確保することができ密閉性の良好な電池構造を得ることができる。
【0052】
図5は、図4(B)に示す本形態の構造に対比させて描いた従来構造の電池における正極電極板および正極電極端子の周囲部分の断面構造を示す。
第2貫通孔35を有する第2底壁部31の内面に第2シーラントリング37Aが溶着され、第2シーラントリング37Aの下方に正極電極板38Aが溶着されている。正極電極板38の上面には正極電極端子39Aが溶接されているが、正極電極端子39Aは正極電極板38と第2シーラントリング37Aの間に挟まれるように配置されている。
【0053】
第2シーラントリング37Aの貫通孔を介し正極電極端子39Aは第2底壁部31の第2貫通孔35と極めて接近した位置に配置される。第2底壁部31は上述の3層ラミネート構造であり、第2貫通孔35の内周面には金属層17aの端面が露出されているので、金属層17aの端面と正極電極端子39Aは極めて近い位置で隣接され、金属層17aの端面は露出されたままである。
このため、先に説明した短絡の問題があり、正極電極端子39Aと金属層17aの短絡のおそれもある。この点において、図4(B)に示す構造であれば、これら短絡の問題を生じ難い絶縁性の高い構造を提供できる。
【0054】
例えば、図5あるいは図6に示す構造を採用したリチウムイオン電池を構成し、融着層に強制的に傷を付けて電解液をAl製の金属層に接触させた状態で充放電を20時間繰り返すと金属層が破れて液漏れを生じる。
これに対し、図4(B)に示す構造では、融着層に強制的に傷を付けて電解液をAl製の金属層に接触させた状態で充放電を20時間繰り返しても液漏れは生じない。
また、図4(B)に示す構造では、第2シーラントリング37の延出部37aが正極電極端子39周りの第2貫通孔35内周を閉じるので、外部からの水分の侵入防止効果も奏する。外装体10で覆った構造の電池1において、水分の侵入経路は第2底壁部31と第2シーラントリング37の界面であり、この界面を経路とする水分の侵入を延出部37aが防止する。このため、図4(B)に示す構造は水分浸入を防止する面においても優れた構造となる。
【0055】
ところで、これまで説明した実施形態では、平板状の正極電極板38の中央部に平板状の正極電極端子39を溶接により接合し、正極電極端子39の厚さ(高さ)として第2貫通孔35を挿通可能な厚さ(高さ)を有した構造により目的を達成した。
ここで、正極電極板38の形状は平板状に限らず、中央部に電極端子の一部を兼ねるように円板状の凸部を設け、この凸部を延長するように先の正極電極端子39より薄い円板状の正極電極端子を設けた構造としても良い。また、正極電極端子39の形状は円板状に限らず、円錐台形状であっても良い。
【0056】
更に、先の実施形態では、第2シーラントリング37の内周部を延出部37aとして金属層端面の絶縁保護に用いたが、予め正極電極端子39の外周部に樹脂製のリング状絶縁体(絶縁物)を取り付けておき、第2シーラントリング37の内周部を利用することなく正極電極端子39の外周部に設けたリング状絶縁体により金属層端面の絶縁保護を行っても良い。この場合に用いるリング状絶縁物体は第2シーラントリング37を構成する樹脂材料と同等の樹脂材料から構成することができる。
【0057】
なお、先に説明した実施形態では、基本的に平面視円形状の電気化学セルについて説明したが、電気化学セルの平面視形状は円形状に限らず、三角形状などの多角形状、楕円形状、レーストラック形状など、種々の形状を採用可能であり、本形態の電気化学セルにおいて特に平面視形状に制限はない。
また、先に説明した実施形態では、負極電極3と正極電極4について、いずれも円板状の電極本体を複数、帯状の連結部を介して接続し、数珠繋ぎ状に接続したものをつづら折りして交互積層した電極体2を適用した。
しかし、本発明の電気化学セルにおいて、電極体2の構造はつづら折り構造に限るものではなく、セパレーターを介し負極電極と正極電極を積層し巻回した構造の電極体を採用することもできる。この構造の電極体であっても、電極体の一側に設けた正極側の引出電極を正極電極板38に接続し、電極体の他側に設けた負極側の引出電極を負極電極板25に接続することで本発明の電気化学セルに適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1…電池(電気化学セル)、2…電極体、3…負極電極、4…正極電極、
10…外装体、12…収容部、12a…収容部の外周、15…封止部、
17…第1容器、17a…金属層、17b…融着層(樹脂層)、
17c…保護層(樹脂層)、18…第2容器、18a…金属層、
18b…融着層(樹脂層)、18c…保護層(樹脂層)、21…第1底壁部、
22…第1周壁部、23…第1貫通孔、
24…第1シーラントリング(絶縁フィルム:絶縁体)、25…負極電極板、
26…負極電極端子(貫通電極)、31…第2底壁部、
32…第2周壁部(収容部の外周)、35…第2貫通孔、
37…第2シーラントリング(絶縁フィルム:絶縁体)、37a…延出部、
38…正極電極板、39…正極電極端子(貫通電極)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6