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特許7246189より大きな容量における低い高周波での強い磁場の生成を行う装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】より大きな容量における低い高周波での強い磁場の生成を行う装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/04 20060101AFI20230317BHJP
   A61N 1/06 20060101ALI20230317BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
A61N2/04
A61N1/06
A61B18/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018569028
(86)(22)【出願日】2017-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 US2017040720
(87)【国際公開番号】W WO2018009542
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-30
(31)【優先権主張番号】62/358,690
(32)【優先日】2016-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/428,229
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518460819
【氏名又は名称】エーエムエフ ライフシステムズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AMF LIFESYSTEMS, LLC
【住所又は居所原語表記】1388 Atlantic Boulevard, Auburn Hills, Michigan 48326, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスタイン,ロバート シー.
(72)【発明者】
【氏名】ネムコフ,バレンティン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-538586(JP,A)
【文献】特開2012-048962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/04
A61N 2/00 - 2/04
H05B 6/00 - 6/10
6/14 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに磁気的に結合された複数の誘導コイルと、
品としてコンデンサ,トランス,インダクタのうち少なくとも1つを用いており、前記複数の誘導コイルと電気的に結合された前記誘導コイルの数と同数の複数のヒートステーションと、
前記複数のヒートステーションに電力を供給する単一の電源と、
前記単一の電源に接続されるとともに前記ヒートステーションのうちの少なくとも1つに接続された電力伝達構成要素と
を含み、
いずれの前記誘導コイルも単一の前記ヒートステーションとのみ結合し、いずれの前記ヒートステーションも単一の前記誘導コイルとのみ結合しており、
電力が前記単一の電源から前記ヒートステーションのうちの少なくとも1つに印加されると、電力が印加された当該ヒートステーションと電気的に結合された前記誘導コイルにも電流が流れ、互いに磁気的に結合された各前記誘導コイルの相互インダクタンスにより個々の前記誘導コイル誘導されて記誘導コイルの周囲に交番磁場が生成され、前記交番磁場内に配置された磁性粒子または磁性ナノ粒子である磁性体の制御された選択的加熱を行う、装置。
【請求項2】
前記電力伝達構成要素は、前記複数のヒートステーションのすべてに電気的に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電力伝達構成要素は、前記複数のヒートステーションのうちの1つのみに電気的に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも3つのヒートステーションを含み、前記電力伝達構成要素は、前記複数のヒートステーションのうちの2つのみに電気的に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のヒートステーションのうちの個々のヒートステーションは、前記電力伝達構成要素によって並列に接続され、少なくとも1つのヒートステーションは、隣接する前記誘導コイルからの誘導電圧によって給電される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の誘導コイルの各誘導コイルは、単巻誘導コイルを含む、請求項1,2,3,4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のヒートステーションのすべてが1つの共通の容器に収められている、請求項1,2,3,4,5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記電力伝達構成要素は、バスまたはケーブルのうち少なくとも1つを含む、請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記電源の周波数150kHzである、請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年7月6日に出願された米国仮出願第62/358,690号の優先権を主張する2017年2月9日に出願された米国非仮特許出願第15/428,229号の優先権を主張し、その内容はそれらの全体が参照により援用される。
【0002】
本開示は、磁性流体温熱療法、RF温熱療法、熱アブレーションおよびプラスチック溶接などの用途のための低高周波(「RF」)範囲内の比較的大きな容量(体積)にわたる強い磁場の生成に関する。
【背景技術】
【0003】
低い高周波範囲の交番磁場の使用は、低い等価導電率を有する物体の選択的加熱が望まれる用途にとってより一般的な技術となりつつある。これらの用途としては、磁性流体温熱療法、RF温熱療法、埋め込まれた磁性体を用いたプラスチック溶接、および熱アブレーションが挙げられるが、これらに限定されない。過去において、これらの用途は、治療的または技術的効果を生み出すために所望の領域に十分な温度を発生させるのに適切な周波数で十分に大きな容量(体積)で強い磁場を発生させる能力のために限られた成功を収めていた。
【0004】
様々な用途において、多くの構成をとることができる誘導コイルは交流周波数の電流を運ぶ。この電流は交番磁場を発生させ、それが次に導電体内に渦電流を誘起し、交番磁場にさらされる磁性体の強いヒステリシス加熱を発生させる。渦電流加熱の量は、誘導コイルの形状、交番磁場の強度および周波数、導電体の形状、磁場に対する導電体の向き、および導電体の電気的および磁気的特性を含むがこれらに限定されない要因に依存する。制御された選択的渦電流加熱は、RF温熱療法およびいくつかの熱アブレーション用途に対して磁場曝露の望ましい結果である。
【0005】
交番磁場はまた、それにさらされた磁性体内にヒステリシス加熱を引き起こす。ヒステリシス加熱の分布は、誘導コイルの形状、交番磁場のレベル、磁性体に対する磁場の向き、領域内の磁性体の濃度、および磁性体の磁気的特性を含むがこれらに限定されない要因に依存する。制御され、選択されたヒステリシス加熱は、いくつかの熱アブレーションおよびいくつかの磁性流体温熱療法用途に対して磁場曝露の望ましい結果である。
【0006】
磁性ナノ粒子などの非常に小さい磁性体では、交番磁場にさらされたときに吸収する電力量は、より大きな磁性体を加熱するための従来のモデルとはあまり一致しない。この振る舞いを記述するための新しいモデルが提案されているが、メカニズムが完全には理解されていないため、追加の作業が進行中である。したがって、実験は、交番磁場中でのナノ粒子の加熱を特徴付けるための最も信頼できる方法であり続けている。これらの非常に小さい物体における磁性材料1グラム当たりの熱量は、磁性流体温熱療法の分野において比吸収率(SAR)と呼ばれる。磁性流体温熱療法用途におけるSARおよび結果として生じる加熱効果は、誘導コイルの形状、交番磁場のレベルおよび周波数、磁性体に対する磁場の向き、磁性体のサイズ、領域内の磁性体の濃度、および磁性体の磁気的特性を含むがこれらに限定されないものに依存する。これらの非常に小さい磁性体の、制御され、選択された加熱は、いくつかの熱アブレーションおよびいくつかの磁性流体温熱療法用途に対して磁場曝露の望ましい結果である。
【0007】
過去数十年にわたって、癌治療の目的で磁性流体温熱療法を用いて行われたいくつかの成功したインビトロおよびインビボの小動物研究(マウスおよびラット)があった。これらの研究は、数秒から数十分の期間にわたって50~400kHzの周波数で30~約1300エルステッド(Oe)の強度を有する磁場に曝露されたデキストランでコーティングされた非毒性濃度の酸化鉄粒子が、治療効果を生み出すために、健康な周囲組織と比較して腫瘍または癌細胞内で十分な温度上昇を生じることを示した。粒子は、直接注射または抗体誘導のいずれかにより腫瘍に送達された。腫瘍温度の上昇は、腫瘍増殖速度の低下、腫瘍の縮小、完全な腫瘍の停止、またはその後の放射線治療に対する腫瘍組織の著しい増感をもたらした。成功した治療の副作用は、他の方法よりも有意に少なかった。
【0008】
上述の研究において、使用された誘導コイルは、数十立方センチメートルから数百立方センチメートルまでの容量(体積)で禁止された磁場強度を生じた。これらの場合には、容易に入手可能で典型的には既製の部品(例えば、コンデンサ、トランス、インダクタなど)を有するヒートステーションを使用して、高周波誘導加熱電源の出力特性に適合するように誘導コイルの巻数を適切に選択することが可能であった。これらの用途の電力は、数キロワットから数十キロワットの範囲であった。無効電力は、数十kVARから数MVARの範囲であった(VARという用語は、電力伝送業界で使用されているように「ボルトアンペア無効」の単位にある)。
【0009】
しかしながら、より大きな動物または人間における深部腫瘍の治療のためには、これらの強い磁場をはるかに大きな容量(体積)(数千から数万立方センチメートル)で発生させることが望ましいであろう。しばしば、(動物または人体内の電力損失を無視した)望ましい有効電力は、誘導コイルの内部表面積にほぼ比例する。この周波数範囲用の誘導加熱電源は、適切に調整され、調節されていれば、数百キロワットからメガワットを超えて供給することができる。これらの電源は磁性流体温熱療法産業の必要性を満たすために修正されてもよい。
【0010】
磁場に関連する可能性がある無効電力は、ほとんどの場合、誘導コイルの内側の容量(体積)にほぼ比例する。これは、無効電力が数MVARから最大で潜在的に100MVARを超えるまで必要であることを意味する。このレベルの無効電力は、利用可能な部品のために、ヒートステーションの設計に大きな課題をもたらす。フィルムベースのコンデンサは電圧が制限され、セラミックスベースのコンデンサは電流が制限される。標準および標準に近いヒートステーションは、合理的なサイズと効率でこれらのレベルの無効電力を供給することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、大きな物体の選択的加熱が望まれる用途のために無効電力を供給する能力を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
装置は、共通の電源によって給電される個々のヒートステーションに接続された複数のインダクタを有する。インダクタは互いに磁気的に相互作用して高振幅の交番磁場を発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一例示的設計に係る電源、ヒートステーション、およびコイルを示す概略図である。
図2】単巻誘導コイルにおける磁場強度分布のコンピュータシミュレーションを示す。
図3】3ピース誘導コイルセットにおける磁場強度分布のコンピュータシミュレーションを示す。
図4】関心体積における図3の結果を示しており、ほぼ一様な磁場分布を示している。
図5】プロトタイプシステムの実例である。
図6】一例示的設計に係る電源、ヒートステーション、およびコイルを示す概略図である。
図7】一例示的設計に係る電源、ヒートステーション、およびコイルを示す概略図である。
図8】一例示的設計に係る電源、ヒートステーション、およびコイルを示す概略図である。
図9】一例示的設計に係る電源、ヒートステーション、およびコイルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述の課題は、並列に接続され、共通の誘導加熱電源によって給電される一組のヒートステーションを設計することによって、比較的高い無効電力(一例として、20MVARなど)に対して解決することができる。ヒートステーションの各々は、それ自体の個々の誘導コイルを含み、例えば、すべての構成要素間の機械的公差による、大電流出力リード線上でのおそらく不十分な電気的接触に関連するあらゆるリスクを制限する。誘導コイルは、一次的または二次的な物理的接触を介してまたは磁気的結合を介して互いに接続されてもよい。一例では、一例として、それぞれ5MVARの4つのヒートステーションを使用して20MVARを達成することができるが、他の構成で本開示に係る所望の無効電力を達成してもよい。
【0015】
したがって、概して開示されているのは、比較的大きな物体に無効電力を供給するために使用される装置のために所望の無効電力を管理可能な値に分離するモジュール式装置である。これらのモジュールは、関心体積で所望の磁場分布を送出するために協調的に機能する。
【0016】
図1は、電源102、電源バス104、および電源ケーブル106を含むシステム100のモジュール設計の一例である。この例および後続の例には電源バス104が示されているが、これはオプションであり、電源ケーブル106などの電力伝構成要素を電源102に直接接続することができる。一例示的設計によれば、ヒートステーションバス108は、誘導コイル116、118、120にそれぞれ結合されている3つのヒートステーション110、112、114の各々に電力を分配する。あるいはまた、電源ケーブル106およびヒートステーションバス108はオプションであり、電源バス104はヒートステーション110、112、114に直接接続することができる。唯一の要件は、電源と少なくとも1つのヒートステーションの間で電力を転送する機能があることである。3つの誘導コイル116、118、120が示されているが、本開示によれば、それらの間に相互インダクタンスが生じるように、任意の数の誘導コイルを使用することができると考えられる。
【0017】
誘導コイル116、118、120間の相互インダクタンスは、中央コイル対外側コイルを補償するのに望ましい異なる静電容量値に関連する入力電圧降下の固有の変動を補償するために、それらの間の電圧を平衡させる。また、3つのヒートステーションが例示的実施態様に示されているが、任意の数のヒートステーションを使用することができる。例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のヒートステーションを使用することができる。別の例示的な一実施態様では、複数のコンデンサ電池モジュールを複数の出力を有する単一のヒートステーション内に収容することができる。
【0018】
したがって、互いに磁気的に結合されている複数の誘導コイル116、118、120と、各々が誘導コイル116、118、120のうちの1つにそれぞれ結合されている複数のヒートステーション110、112、114と、ヒートステーション110、112、114のうちの少なくとも1つに接続されている電源102とを含む装置が開示されている。電源102から電力が印加されると、電源102に接続されたヒートステーション110、112、114のうちの少なくとも1つを介して複数の誘導コイル116、118、120に交番磁場が誘導される。
【0019】
誘導コイル116、118、および120内の隣接インダクタの高い相互インダクタンスは、個々のコイル回路に給電するための駆動力であるため、物理的にすべてのヒートステーション110、112、114間の機械的電気的接続はオプションである。物理的な電気的接続が使用される場合、それは電流がインダクタ内よりも実質的に低いヒートステーションの一次側で行うことができる。各々のヒートステーションは、互いに対して実質的に同じ大きさの静電容量を有することができる。代替の一手法では、ヒートステーションのうちの1つ以上は、少なくとも1つの他のヒートステーションに対して異なる静電容量を有してもよい。これは、同じ組のインダクタで電界強度分布を変更するために使用することができる。
【0020】
したがって、本開示によれば、ヒートステーションの設計は単純化され、既存の利用可能な構成要素を用いて達成することができる。すなわち、本明細書に開示されるように、誘導コイル間の相互インダクタンスにより、各々のヒートステーションは、1つのヒートステーションを有する単一のコイルと比較されるとき、単一の出力に組み合わされるヒートステーション/誘導コイルの数に基づいて、比例して小さくすることができる。
【0021】
システムの動作、適用範囲、および提供される効果は、以下の開示から明らかになるであろう。以下に記載される特定の例は、例示的なアプローチを示し、例示の目的のみを意図し、本開示の範囲を限定することを意図しない。したがって、例示的な手法の以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用、または使用を限定することを決して意図しない。
【0022】
プロトタイプ装置は、約150kHzの周波数で少なくとも直径20cm×長さ10cmの容量(体積)中に少なくとも450Oeの大きさまでの磁場強度を作り出すために開発された。誘導コイルの組の全体サイズおよび所望の電気的パラメータを決定するために、図2の200に示すように、Flux2Dコンピュータ・シミュレーション・プログラムを使用して単巻コイルをモデル化した。適切なサイズにすると、単巻コイル(円形か楕円形かを問わず)は、大きな円筒形の容積内で所望の無効電力と有効電力を最小にするのに最適な構成である。コイルの長さは、無効電力を最小にし、関心体積202内の磁場の均一性を最大にするために、コイルの最も好ましい値を見つけるために変えられた。磁場強度の分布が図2に示され、様々な陰影を付けられた領域は、表204に示されるように、所与の磁束密度(単位テスラ)に対応する。
【0023】
これらの計算に基づいて、対応する電圧および電流はそれぞれ約1000Vrmsおよび10000Armsであると決定された(ここで、VrmsおよびArmsはそれぞれ、業界で一般的に呼ばれるように、二乗平均平方根としてのボルトおよびアンペアを指す)。これは、皮相電力の合計が約10MVAであり、ほぼ100%が無効電力であったことを意味する。
【0024】
例えばセレム社(Celem Corporation)製のCSP305Aコンデンサ用の取り付けスポットを有する関連周波数範囲内の各外部ヒートステーション用に低インダクタンスコンデンサレールを使用することができる。これらのレール上のコンデンサは、少なくとも2つの方法のうちの1つで構成できる。第1の例示的な構成は、例えば700Vrms未満などのより低い電圧の用途のために使用されるときにはすべてのコンデンサを並列に接続することである。代替の構成は、並列に接続されたコンデンサの組を含み、各組は2つのコンデンサを直列に有する(この例では8組を並列に有する)。この代替法は、最大電圧が700~1400Vrmsの間にある場合に主に使用することができる。
【0025】
構成を選択した後、ヒートステーションの各々に対して最小数のコンデンサを決定することができる。各々のCSP305Aコンデンサは、特定の周波数範囲にわたる連続使用に対して300kVARの定格である。10000kVARを300kVARで除算すると、このタイプの最小34個のコンデンサが得られる。コイルリード線およびコンデンサレールからのいくつかの予想される追加のkVARを考慮に入れて、誘導システムの無効電力の完全な外部補償のために、本明細書に記載の例示的な方法では、少なくとも3つのコンデンサレールおよびその結果生じるヒートステーションが使用される。
【0026】
この例では、2つのヒートステーションでシステムの無効電力を部分的に補償し、残りの静電容量を電源に配置するのに十分とすることができる。しかしながら、これは相互接続するバスバーおよび電源をヒートステーションに接続するケーブルに追加の電流をもたらし、追加の電気的損失および電圧降下をもたらす可能性がある。また、調整の余地が非常に少なく、設計からのずれがあると完全な設計仕様を達成できず、周波数を変更する可能性を制限する可能性がある。したがって、たとえ理論的には必要ないかもしれないとしても、追加の外部ヒートステーションを使用することができる。
【0027】
3ピースコイルセット300は、図3に示す予測磁場分布でFlux2Dを使用して設計され、各々のコイルは図示のように冷却管で冷却された(長方形の冷却管は各々のコイルに熱的に結合するように図示される)。図3は、その内部に概して均一な磁場分布を有する関心体積302を示す。所望の磁場分布を達成するために巻寸法を変えた。個々の巻は、本明細書に図示されているように、例えば電力需要および無効電力を最小にするために、銅製の冷却管がろう付けされた銅板を使用して設計された。3コイルセットのパラメータおよび結果として生じる磁場分布は、図2に表される単巻システムと一致している。図4は、図2および図3の関心体積202および302にそれぞれ概ね対応する、関心体積402内に生じる均一領域内の例示的な磁場400を示す。
【0028】
予備計算が行われた後、図1の例示的設計に対応して、ヒートステーションおよびコイルセットが設計された。個々のヒートステーションの幅を最小にしてコイルのリード線の長さを最小にし、その結果として得られる追加の電圧および無効電力の補償を最小にする努力がなされた。
【0029】
システムは、ヒートステーション間の物理的な電気的接続、ヒートステーションの出力側(高電流)のコイル間の物理的な電気的接触、またはヒートステーションの入力側(低電流)のヒートステーション間の物理的な電気的接触なしで動作することを計算は示している。図1のバス108などの、ヒートステーションの入力側の共通バスは、誘導コイル上の電圧差を最小にし、コンピュータモデルからの変動の可能性を制限するのを助けることができる。
【0030】
次に、共通バスバー108を1組の可撓性ケーブル106によって電源102に接続した。1本の高周波水冷低インダクタンスケーブルは、低い電圧降下で、150kHzで1000Aを超える電流を連続的に運ぶことが可能であり得る。しかしながら、ヒートステーションの部分的な補償が80kWの電源に適合するために必要であった場合の安全率を提供するために、1本のケーブルで十分であることを試験は示していたが、この例示的設計では2本の高周波ケーブルが並列に接続された。
【0031】
システムは徹底的にテストされ、磁場強度分布の測定が磁場プローブを使用して行われた。測定値は図3のコンピュータシミュレーション値と一致しており、装置の機能と設計概念を確認した。したがって、記載されたプロトタイプは、コイル、ヒートステーション、共通バス、アイソレータ、高周波ケーブル、および送水線を使用して装置が予測どおりに機能したことを示している。
【0032】
ここで図5を参照すると、プロトタイプシステム500の例示的な例が、説明されているように、本明細書に示されている。システム500は、電源ケーブル504、506を介して電源バス502に接続された電源(図示せず)を含む。アイソレータ508は支持を提供し、ケーブル504、506の物理的支持を提供する誘電体材料である。ヒートステーション510、512、および514は、水供給ライン516で冷却されている電力供給バス502によって電力供給されている。コイル518が図示されており、単一の別々のコイルのように見えるが、コイル518は実際にはその軸方向の長さに沿って3つの別々のコイルであり、各々がそれぞれのヒートステーション510、512、514に電気的に結合されている。図示の例では、コイル518は、ヒートステーション510、512、および514にそれぞれ電気的に結合されている3つのコイル構造を含む。コイル518は、3つのコイルとして、例えば、図1の要素116、118、および120として、概略的に示されている。
【0033】
他の例示的な実施態様も同様に考えられる。例えば、1つ以上のコンデンサモジュールを共通のハウジングまたは容器内に配置することができる。したがって、複数の出力を有する1つのヒートステーションを使用する実施態様がさらに考えられる。
【0034】
したがって、関心体積202、302、402は、それによって、熱アブレーションまたは磁性流体温熱療法用途のために配置された磁性粒子または磁性体に、内部に十分な加熱を提供する均一で十分な磁場束を提供する。
【0035】
説明したように、ヒートステーションは、各々が直接的および電気的に電源に結合されてもよく、または物理的に電源に接続された限られた数のヒートステーションのみを有して互いに磁気的に結合されてもよい。すなわち、インダクタであるヒートステーションの各々は、電気的に接続されていなくても、互いに自然に磁気的に結合する受動電気部品である。
【0036】
例えば、図6を参照すると、図1にも示されているような構成要素を有するモジュール設計が示されている。すなわち、システム600は、電源602、電源バス604、および電源ケーブル606を含む。一例示的設計によれば、オプションのヒートステーションバス608は電力を分配し、それぞれ誘導コイル616、618、620に結合されている3つのヒートステーション610、612、614の各々に電気的に結合されている。代替として、別々の電力伝達構成要素または電源ケーブルを電源602からヒートステーション610、612、614の各々に提供することができる。
【0037】
これにより、誘導コイル616、618、620の各々は、図2図3、および図4に示すように、そこから放射される磁束場を形成する面と、対応する関心体積302、402、502とに概ね対応する面622を含む。さらに、一例によれば、すべてのヒートステーション610、612、614は、各々のヒートステーション610、612、614からそれぞれの誘導コイル616、618、620に通じる別々のリード線を有する1つの共通の容器624内にすべて収容されてもよいと考えられる。
【0038】
誘導コイル616、618、620間の相互インダクタンスは、中心コイル対外側コイルを補償するのに望ましい異なる静電容量値に関連する入力電圧降下の固有の変動を補償するために、それらの間の電圧を平衡させる。図1に関して説明したように、3つのヒートステーション610、612、614が例示的実施態様に示されているが、任意の数のヒートステーションを使用することができる。例えば、2つ、4つ、またはそれ以上のヒートステーションを代わりに使用することができる。
【0039】
誘導コイル616、618、および620内の隣接するインダクタの高い相互インダクタンスが個々のコイル回路に給電するための駆動力であるため、物理的にすべてのヒートステーション610、612、614間の機械的電気的接続はオプションである。物理的な電気的接続が使用される場合、それは電流がインダクタ内よりも実質的に低いヒートステーションの一次側で行うことができる。ヒートステーション610、612、614の各々は、互いに対して実質的に同じ大きさの静電容量を有することができる。代替の一手法では、ヒートステーションのうちの1つ以上は、少なくとも1つの他のヒートステーションに対して異なる静電容量を有してもよい。これは、同じ組のインダクタで電界強度分布を変更するために使用することができる。
【0040】
したがって、本開示によれば、ヒートステーションバス608をヒートステーション610、612、614の各々に電気的に結合するのではなく、ヒートステーション610、612、614のうちの1つのみに電気的に結合することで同じ所望の効果を達成することができると考えられる。
【0041】
例えば、図7を参照すると、システム700は、電源702、電源バス704、および電源ケーブル706を含む。別の例示的な設計によれば、オプションのヒートステーションバス708が電力を分配し、それぞれ誘導コイル716、718、720に結合される3つのヒートステーション710、712、714のうちの1つに電気的に結合される。すなわち、電力はヒートステーションバス08からヒートステーション12にのみ供給されるが、磁場分布は誘導コイル716、718、720の間の磁気的結合により生じる。したがって、誘導コイル716、718、720の各々は、それによって、図2図3、および図4に示されるように、そこから発せられる磁束場を成形する表面と、対応する関心体積302、402、502とに概ね対応する表面722を含む。
【0042】
誘導コイル716、718、720間の相互インダクタンスは、中心コイル対外側コイルを補償するのに望ましい異なる静電容量値に関連する入力電圧降下の固有の変動を補償するためにそれらの間の電圧を平衡化する。図1に関して説明したように、またさらに議論したように、3つのヒートステーション710、712、714が例示的実施態様に示されているが、任意の数のヒートステーションを使用することができる。例えば、2つ、4つ、またはそれ以上のヒートステーションを代わりに使用することができる。
【0043】
ここで図8を参照すると、システム800は、電源802、電源バス804、および電源ケーブル806を含む。別の例示的設計によると、オプションのヒートステーションバス808は電力を分配し、それぞれ誘導コイル816、818、820に結合される3つのヒートステーション810、812、814のうちの2つに電気的に結合される。すなわち、電力はヒートステーションバス808からヒートステーション810、812にのみ供給されるが、誘導コイル816、818、820間の磁気的結合により磁場分布が生じる。したがって、誘導コイル816、818、820の各々は、それによって、図2図3、および図4に示すように、そこから発せられる磁束場を成形する面と、対応する関心体積302、402、502とに概ね対応する面822を含む。
【0044】
誘導コイル816、818、820間の相互インダクタンスは、中央コイル対外側コイルを補償するのに望ましい異なる静電容量値に関連する入力電圧降下の固有の変動を補償するためにそれらの間の電圧を平衡化する。図1に関して説明したように、またさらに議論したように、3つのヒートステーション810、812、814が例示的実施態様に示されているが、任意の数のヒートステーションを使用することができる。例えば、2つ、4つ、またはそれ以上のヒートステーションを代わりに使用することができる。
【0045】
ここで図9を参照すると、システム900は電源902、電源バス904、および電源ケーブル906を含む。別の例示的な設計によれば、オプションのヒートステーションバス908が電力を分配し、3つのヒートステーション910、912、914のうちの1つに電気的に結合され、これらはそれぞれ誘導コイル916、918、920に結合される。すなわち、電力はヒートステーションバス908からヒートステーション914にのみ供給されるが、誘導コイル916、918、920間の磁気的結合により磁場分布が生じる。したがって、図2図3、および図4に示すように、誘導コイル916、918、920の各々は、それによって、そこから発せられる磁束場を成形する面と、対応する関心体積302、402、502とに概ね対応する面922を含む。
【0046】
誘導コイル916、918、920間の相互インダクタンスは、中心コイル対外側コイルを補償するのに望ましい異なる静電容量値に関連する入力電圧降下の固有の変動を補償するために、それらの間の電圧を平衡させる。図1に関して説明したように、またさらに議論したように、3つのヒートステーション810、812、814が例示的実施態様に示されているが、任意の数のヒートステーションを使用することができる。例えば、2つ、4つ、またはそれ以上のヒートステーションを代わりに使用することができる。
【0047】
例示的方法は、複数の誘導コイルを互いに磁気的に結合するステップと、複数のヒートステーションの各々を誘導コイルのうちの1つにそれぞれ結合するステップと、電源を提供するステップと、電源をヒートステーションのうちの少なくとも1つに接続するステップと、電源からの電力をヒートステーションのうちの少なくとも1つに印加するステップとを包含する磁場を生成するステップを含み、電源に接続されたヒートステーションのうちの少なくとも1つを介して複数の誘導コイルに磁場が誘導される。
【0048】
例示的な説明は、前述の例に限定されない。むしろ、複数の変形例および修正例が可能であり、それらもまた例示的な図の概念を利用し、したがって保護範囲内に入る。したがって、上記の説明は例示的であり、限定的ではないことを意図していることを理解されたい。
【0049】
本明細書に記載のプロセス、システム、方法、ヒューリスティックなどに関して、そのようなプロセスなどのステップは特定の順序付けられた順序にしたがって行われると説明されているが、そのようなプロセスは、本明細書に記載された順序以外の順序で実行される記載されたステップによって実施可能であることを理解すべきである。さらに、特定のステップを同時に実行できること、他のステップを追加できること、または本明細書に記載の特定のステップを省略できることを理解すべきである。言い換えれば、本明細書におけるプロセスの説明は、特定の実施形態を例示する目的で提供されており、請求される開示を限定するように解釈されるべきでは決してない。
【0050】
したがって、上記の説明は例示的であり、限定的ではないことを意図していることを理解されたい。提供された例以外の多くの実施形態および用途は、上記の説明を読めばわかるであろう。本開示の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに決定されるべきである。本明細書で論じられる技術において将来の開発が行われ、開示されたシステムおよび方法がそのような将来の実施形態に組み込まれることが予想されかつ意図されている。要するに、本開示は修正および変形が可能であり、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解すべきである。
【0051】
特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で反対のことを明示的に示さない限り、当業者によって理解されるようなそれらの最も広い合理的な構造およびそれらの通常の意味を与えることを意図している。特に、例えば、「a」、「the」、「the」などの単数形の冠詞の使用は、請求項がそれとは反対に明確な限定を示していない限り、示された要素の1つ以上を示すように読まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9