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特許7246258ダイアフラムポンプ及びそれを用いた血液浄化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ダイアフラムポンプ及びそれを用いた血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/06 20060101AFI20230317BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
F04B43/06 A
A61M1/16 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019109370
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020200808
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 文彦
(72)【発明者】
【氏名】毛受 佑哉
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-259781(JP,A)
【文献】米国特許第04474540(US,A)
【文献】特開2018-068779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/06
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内の空間を第1空間と第2空間とに区画するダイアフラムと、
前記第1空間に送液対象液体を導入する流入流路、及び前記第1空間から前記送液対象液体を吐出する流出流路を有する送液流路と、
前記第2空間に充填された駆動流体の加圧、減圧を繰り返すことで、前記ダイアフラムを繰り返し変位させる加減圧装置を有する駆動部と、
前記流入流路と前記流出流路とを開閉するための弁機構と、を備え、
前記駆動部は、前記加減圧装置により前記駆動流体を加圧または減圧した後に前記駆動流体の圧力を開放するための圧力開放機構を有
前記加減圧装置及び前記圧力開放機構を制御する制御部をさらに備え、
前記加減圧装置は、前記第2空間と連通されたシリンダ、前記シリンダ内で進退可能に設けられた押し子、及び前記押し子を進退駆動させる押し子駆動部を有し、前記押し子駆動部により前記押し子を前記シリンダ内で進退させることで前記駆動流体の加圧、減圧を行う往復動ポンプからなり、
前記制御部は、前記加減圧装置により前記押し子を前記シリンダ内で後退させて前記駆動流体を減圧する減圧工程、前記圧力開放機構により前記駆動流体の圧力を開放する減圧開放工程、前記加減圧装置により前記押し子を前記シリンダ内で前記押し子を押し切った基準位置に達する前の所定の位置まで進出させて前記駆動流体を加圧する加圧工程、前記圧力開放機構により前記駆動流体の圧力を開放する加圧開放工程、前記押し子を前記基準位置まで移動させる押し子位置調整工程、を繰り返し実行する、
ダイアフラムポンプ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記減圧工程にて、前記押し子を前記基準位置から後退させることで前記駆動流体を減圧するように構成され
請求項1に記載のダイアフラムポンプ。
【請求項3】
前記押し子が前記基準位置にあることを検出可能な押し子位置検出部を備え、
前記制御部は、前記押し子位置調整工程にて、前記押し子位置検出部の検出に基づいて前記押し子を前記所定の位置から前記基準位置まで移動させる、
請求項に記載のダイアフラムポンプ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記減圧工程にて、前記押し子を前記基準位置から後退させ、所定時間が経過したとき前記押し子を停止させ、
前記加圧工程にて、前記押し子を進行させ、所定時間が経過して前記所定の位置に達したとき前記押し子を停止させる、
請求項1に記載のダイアフラムポンプ。
【請求項5】
前記ダイアフラムの位置を検出するダイアフラム位置検出部を備え、
前記制御部は、
前記減圧工程にて、前記ダイアフラムの位置が所定の減圧位置となったとき当該減圧工程を終了し、
前記加圧工程にて、前記ダイアフラムの位置が所定の加圧位置となったとき当該加圧工程を終了する、
請求項乃至の何れか1項に記載のダイアフラムポンプ。
【請求項6】
前記駆動流体が空気であり、
前記圧力開放機構は、一端が前記第2空間に連通され他端が大気開放された圧力開放用流路と、前記圧力開放用流路に設けられ前記圧力開放用流路を開閉する圧力開放弁と、を有する、
請求項1乃至の何れか1項に記載のダイアフラムポンプ。
【請求項7】
前記駆動部が接続されるソケット部を備え、
前記ケース及び前記ダイアフラムは、前記ソケット部に対して取り外し可能に設けられている、
請求項1乃至の何れか1項に記載のダイアフラムポンプ。
【請求項8】
患者の血液を体外循環させる血液回路、前記血液回路または前記血液回路に設けられた血液浄化器に供給液を供給する液供給流路、あるいは、前記血液浄化器からの排液を排出する排液流路に設けられる送液ポンプの少なくとも1つが、請求項1乃至の何れか1項に記載のダイアフラムポンプである、
血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラムポンプ及びそれを用いた血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアフラムポンプは、可撓性を有する膜であるダイアフラムをケース内で変位させ、送液対象となる液体が挿通されるケース内の空間(第1空間という)の容積を変化させることで、ポンプ動作を行う。ダイアフラムを変位させるための駆動源としては、メカ駆動式(カム方式、ソレノイド方式等)、電気駆動式(圧電素子等)、油圧駆動、空圧駆動が挙げられる。
【0003】
例えば、油圧駆動式あるいは空圧駆動式のダイアフラムポンプでは、ケース内においてダイアフラムにより第1空間と区画された空間(第2空間という)に充填された駆動流体を加圧、減圧することによりダイアフラムを変位させている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭61-4998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、血液浄化装置の送液ポンプにダイアフラムポンプを適用することを考えた。血液浄化装置の大型化を避けるため、できるだけコンパクトなダイアフラムポンプが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトなダイアフラムポンプ及びそれを用いた血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、ケースと、前記ケース内の空間を第1空間と第2空間とに区画するダイアフラムと、前記第1空間に送液対象液体を導入する流入流路、及び前記第1空間から前記送液対象液体を吐出する流出流路を有する送液流路と、前記第2空間に充填された駆動流体の加圧、減圧を繰り返すことで、前記ダイアフラムを繰り返し変位させる加減圧装置を有する駆動部と、前記流入流路と前記流出流路とを開閉するための弁機構と、を備え、前記駆動部は、前記加減圧装置により前記駆動流体を加圧または減圧した後に前記駆動流体の圧力を開放するための圧力開放機構を有前記加減圧装置及び前記圧力開放機構を制御する制御部をさらに備え、前記加減圧装置は、前記第2空間と連通されたシリンダ、前記シリンダ内で進退可能に設けられた押し子、及び前記押し子を進退駆動させる押し子駆動部を有し、前記押し子駆動部により前記押し子を前記シリンダ内で進退させることで前記駆動流体の加圧、減圧を行う往復動ポンプからなり、前記制御部は、前記加減圧装置により前記押し子を前記シリンダ内で後退させて前記駆動流体を減圧する減圧工程、前記圧力開放機構により前記駆動流体の圧力を開放する減圧開放工程、前記加減圧装置により前記押し子を前記シリンダ内で前記押し子を押し切った基準位置に達する前の所定の位置まで進出させて前記駆動流体を加圧する加圧工程、前記圧力開放機構により前記駆動流体の圧力を開放する加圧開放工程、前記押し子を前記基準位置まで移動させる押し子位置調整工程、を繰り返し実行する、ダイアフラムポンプを提供する。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、患者の血液を体外循環させる血液回路と、前記血液回路、あるいは前記血液回路に設けられた血液浄化器に供給液を供給する液供給流路と、前記血液浄化器からの排液を排出する排液流路と、を備え、前記血液回路、前記液供給流路、または前記排液流路に設けられる送液ポンプの少なくとも1つが、前記ダイアフラムポンプである、血液浄化装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンパクトなダイアフラムポンプ及びそれを用いた血液浄化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る血液浄化装置の概略構成図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るダイアフラムポンプを示す図であり、(a)は概略構成図、(b)はケースの断面図、(c)は往復動ポンプの概略構成図である。
図3】制御部における制御フローを示すフロー図である。
図4】(a)は本発明における押し子の駆動範囲を説明する図であり、(b)は従来例における押し子の駆動範囲を説明する図である。
図5】制御部における制御フローの一変形例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0012】
(血液浄化装置)
まず、本実施の形態に係るダイアフラムポンプを適用する血液浄化装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る血液浄化装置の概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、血液浄化装置10は、患者の血液を体外循環させる血液回路11または血液回路11に設けられた血液浄化器12に供給液を供給する液供給流路13と、血液浄化器12からの排液を排出する排液流路14と、を備えている。図1の例では、液供給流路13が、血液浄化器12に透析液を供給する透析液流路13aである場合を示している。ただし、これに限らず、液供給流路13は、補充液を血液回路11に直接供給する補充液流路であってもよいし、透析液流路13aと補充液流路の両方を有していてもよい。
【0014】
血液回路11は、例えば可撓性を有するチューブ等から構成される。血液回路11には、血液の流れにおける上流側から下流側にかけて、血液ポンプ111、血液浄化器12、気液分離器112が順次設けられている。血液ポンプ111は、血液を送液する送液ポンプである。気液分離器112は、血液から気泡を除去するためのものである。
【0015】
透析液流路13aには、逆浸透膜(RO(Reverse Osmosis)膜)を用いて清浄な水(透析用水という)を製造するRO装置(不図示)から、透析用水が供給される。また、透析液流路13aには、A原液及びB原液の2種類の透析液原液が供給される。両原液は、それぞれ原液貯留タンク151に貯留されており、原液流路152を介して原液貯留タンク151から透析液流路13aにそれぞれA原液とB原液とが供給される。両原液流路152には、A原液またはB原液を送液する送液ポンプである原液注入ポンプ153がそれぞれ設けられている。透析液流路13aにて透析用水にA原液及びB原液が混合されることで、透析液が調整される。調整された透析液は、複式ポンプ16を介して血液浄化器12に導入される。
【0016】
血液浄化器12からの排液は、排液流路14を通り排出される。複式ポンプ16は、透析液流路13aと排液流路14とにわたって設けられており、血液浄化器12に導入される透析液の量と、血液浄化器12から排出される排液の量が等しくなるように、ポンプ動作を行う。また、排液流路14には、複式ポンプ16をバイパスするように除水流路14aが設けられており、この除水流路14aに、除水ポンプ17が設けられている。除水ポンプ17を駆動すると、血液浄化器12に導入される透析液の量よりも、血液浄化器12から排出される排液の量が多くなり、血液からの除水が行われる。除水ポンプ17の送液量を調整することにより、血液からの除水量を調整することができる。
【0017】
本実施の形態に係る血液浄化装置10では、血液回路11、液供給流路13(ここでは透析液流路13a)、または排液流路14に設けられる送液ポンプの少なくとも1つとして、本発明のダイアフラムポンプ1を用いる。図1の例では、除水ポンプ17にダイアフラムポンプ1を用いる場合を示しているが、これに限らず、血液ポンプ111、原液注入ポンプ153、複式ポンプ16等の他の送液ポンプとして、ダイアフラムポンプ1を用いることもできる。
【0018】
なお、図1の構成はあくまで一例であり、血液浄化装置10の具体的な構成は適宜変更可能である。
【0019】
(ダイアフラムポンプ1)
図2は、本形態に係るダイアフラムポンプ1を示す図であり、(a)は概略構成図、(b)はケースの断面図、(c)は往復動ポンプの概略構成図である。図2(a)~(c)に示すように、ダイアフラムポンプ1は、ケース2と、ケース2内の空間を第1空間2aと第2空間2bとに区画するダイアフラム3と、第1空間2aに送液対象液体(除水ポンプ17の場合排液)を導入する流入流路4a、及び第1空間2aから送液対象液体を吐出する吐出流路4bを有する送液流路4と、第2空間2bに充填された駆動流体の加圧、減圧を繰り返すことで、ダイアフラム3を繰り返し変位させる駆動部5と、流入流路4a及び吐出流路4bを開閉可能な弁機構6と、制御部7と、を備えている。
【0020】
ケース2は、硬質の樹脂成形品等からなる。ケース2は、第1空間2aと連通され流入流路4aが接続される第1接続部21と、第1空間2aと連通され流出流路4bが接続される第2接続部22と、を一体に有している。また、ケース2は、第2空間2bと連通され外方へと突出する突出部23を一体に有している。また、圧力検出装置1は、ケース2と別体に形成され、突出部23が挿入され接続されるソケット部24を備えている。図示していないが、ソケット部24には、後述する駆動用流路53が接続されており、突出部23をソケット部24に挿入し接続することで、駆動用流路53と第2空間2bとが連通される。ケース2は、ソケット部24から突出部23を離脱させることにより、ソケット部24から取り外し可能に構成されており、これにより、ケース2を使い捨てにできるようになっている。なお、ケース2は全体を使い捨てにする必要はなく、例えばダイアフラム3よりも第2空間2b側で分割可能とし、第1空間2aを含む部分のケース2のみを使い捨てにするよう構成してもよい。なお、ケース2とソケット部24とが別体に形成されることは必須ではなく、ケース2とソケット部24とが一体に形成されていてもよい。
【0021】
ダイアフラム3は、可撓性を有する膜であり、ケース2の内部空間を、第1空間2aと第2空間2bの2つの空間に区画するようにケース2内に設けられている。なお、ケース2やダイアフラム3の材質については、特に限定されない。
【0022】
流入流路4aと流出流路4bは、ケース2の第1空間2aに連通されている。なお、これに限らず、流入流路4aと流出流路4bとが連結され、その連結部から延びる連結流路が、ケース2の第1空間2aに連通されていてもよい。この場合、ケース2における第1空間2aの接続口が1つでよくなり、シール部材等の部品を削減しコストの低減を図ることができる。
【0023】
流入流路4aには、流入流路4aを開閉可能な流入側電磁弁6aが設けられている。また、流出流路4bには、流出側電磁弁6bが設けられている。これら流入側電磁弁6a、及び流出側電磁弁6bは、弁機構6を構成するものであり、制御部7により開閉制御される。
【0024】
弁機構6は、制御部7により、ダイアフラム3の変位に応じて流入流路4aと流出流路4bとを開閉するように制御される。より詳細には、後述する減圧工程及び加圧開放工程において、流入側電磁弁6aを開放し、流出側電磁弁6bを閉塞することで、送液対象液体が流入流路4aから第1空間2aに導入(吸入)される。また、後述する加圧工程及び減圧開放工程において、流入側電磁弁6aを閉塞し、流出側電磁弁6bを開放することで、送液対象液体が第1空間2aから流出流路4bへと送り出される。この動作を繰り返すことにより、送液が行われる。
【0025】
駆動部5は、加減圧装置51と、圧力開放機構52と、を有している。加減圧装置51は、第2空間2bに充填された駆動流体の加圧、減圧を繰り返すことで、ダイアフラム3を繰り返し変位させるものである。本実施の形態では、加減圧装置51として、往復動ポンプ51aを用いた。
【0026】
往復動ポンプ51aは、レシプロポンプ、プランジャポンプ、あるいはピストンポンプとも呼称されるものであり、駆動用流路53を介して第2空間2bと連通されたシリンダ511と、シリンダ511内で進退可能に設けられた押し子(プランジャ又はピストン)512と、押し子512を進退駆動させる押し子駆動部513と、を有している。
【0027】
なお、加減圧装置51として、コンプレッサや真空発生機等の陽圧・陰圧の発生源を用いることもできるが、圧力をコントロールするためのレギュレータや流路の切替機構が必要になりシステム構成が複雑で大きくなってしまい、動作音も大きくなってしまう。また、加減圧装置51としてチューブをしごく蠕動ポンプを用いることもできるが、本実施の形態で加減圧装置51として用いる往復動ポンプ51aと比較して、しごきチューブの経年劣化による消耗品交換が必要となってしまったり、しごき部による動作音が大きくなったりしてしまう。加減圧装置51として往復動ポンプ51aを用いることで、簡易なシステム構成として小型化でき、動作音も小さくすることができる。
【0028】
第2空間2b、駆動用流路53、及びシリンダ511内には駆動流体が充填されており、往復動ポンプ51aの押し子駆動部513により押し子512をシリンダ511内で進退させることで、駆動流体の加圧、減圧を行うことができる。本実施の形態では、駆動流体として空気を用いた。押し子駆動部513としては、例えば、ステッピングモータを用いることができる。
【0029】
圧力開放機構52は、加減圧装置51としての往復動ポンプ51aにより駆動流体を加圧または減圧した後に駆動流体の圧力を開放する(圧力を大気圧に近づける)ためのものである。圧力開放機構52は、一端が第2空間2bに連通され他端が大気開放された圧力開放用流路521と、圧力開放用流路521に設けられ圧力開放用流路521を開閉する圧力開放弁522と、を有している。図示の例では、圧力開放用流路521の一端は駆動用流路53に接続されており、駆動用流路53を介して第2空間2bに連通されている。
【0030】
本実施の形態では、駆動流体として空気を用いているため、圧力開放用流路521の他端を大気開放としている。ただし、駆動流体として液体を用いる場合、当該液体を貯留する容器に圧力開放用流路521の他端を接続するとよい。液体を貯留する容器は大気開放されていてもよいし、例えば風船状に膨張・収縮可能なものであってもよい。なお、駆動流体として液体を用いた場合には取り扱いがしにくくなるので、駆動流体としては空気を用いることがより望ましいといえる。また、本実施の形態では、駆動流体を開放する圧力を大気圧としているが、これに限らず、駆動流体を開放する圧力は大気圧でなくてもよい。
【0031】
駆動用流路53には、エアフィルタ531が設けられている。エアフィルタ531は、所謂疎水性のフィルタであり、気体を通すが液体を通さない(液体を通す際の抵抗が非常に高い)ように構成されている。さらに、エアフィルタ531よりも往復動ポンプ51a側の駆動用流路53には、駆動流体の圧力を測定する圧力センサ532が設けられている。例えば、ダイアフラム3が破損する等して送液対象液体が第2空間2b側に漏れ出してしまった場合、エアフィルタ531が濡れて往復動ポンプ51aにより加圧を行った際の駆動流体の圧力が高くなる。よって、制御部7にて、圧力センサ532の出力値が所定の閾値を超えたかを判定することで、ダイアフラムポンプ1の故障を検知することができる。
【0032】
制御部7は、上記故障検知に加え、弁機構6の開閉制御、加減圧装置51としての往復動ポンプ51aの駆動制御、及び圧力開放機構52の圧力開放弁522の開閉制御を行うものである。制御部7は、CPU等の演算素子、メモリ等の記憶装置、ソフトウェア、インターフェイス等を適宜組み合わせて実現される。
【0033】
以下、制御部7における往復動ポンプ51aの駆動制御、及び圧力開放弁522の開閉制御について説明する。図3に示すように、制御部7は、減圧工程(ステップS1)、減圧開放工程(ステップS2)、加圧工程(ステップS3)、加圧開放工程(ステップS4)、及び押し子位置調整工程(ステップS5)を順次実行することを繰り返す。
【0034】
ステップS1の減圧工程では、まずステップS11にて、押し子512を基準位置から後退させ、ステップS12にて所定時間が経過したかを判定する。ステップS12にてNoと判定された場合ステップS11に戻る。ステップS12にてYesと判定された場合、ステップS13にて、押し子512を停止させる。本実施の形態では、基準位置を、押し子512を押し切った位置(最も進出させた位置)とした。減圧工程を行うことにより、駆動流体が減圧され、第1空間2aの容積が広がるようにダイアフラム3が変位する。このとき、制御部7により流入側電磁弁6aを開放し、流出側電磁弁6bを閉塞することで、送液対象液体が流入流路4aから第1空間2aに導入(吸入)される。
【0035】
ステップS2の減圧開放工程では、ステップS21にて、圧力開放弁522を開放して駆動流体を大気圧に開放した後、ステップS22にて圧力開放弁522を閉塞する。減圧開放工程を行うことにより、駆動流体が大気圧となるため、ダイアフラム3が無負荷状態の位置へと戻る。ステップS21で圧力開放弁522を開放する前に、送液対象液体が逆流してしまわないように、制御部7は、流入側電磁弁6aを閉塞し、流出側電磁弁6bを開放する。なお、流出側電磁弁6bは閉塞してもよい。
【0036】
ステップS3の加圧工程では、ステップS31にて押し子512を進出させ、ステップS32にて所定時間が経過したかを判定する。ステップS32にてNoと判定された場合ステップS31に戻る。ステップS32にてYesと判定された場合、ステップS33にて、押し子512を停止させる。加圧工程を行うことにより、駆動流体が加圧され、第1空間2aの容積が狭まるようにダイアフラム3が変位する。このとき、制御部7により流入側電磁弁6aを閉塞し、流出側電磁弁6bを開放した状態に維持することで、送液対象液体が第1空間2aから流出流路4bへと送り出される。
【0037】
なお、ステップS2の減圧開放工程により外部から空気を吸い込んでいるため、加圧工程時においては、減圧工程時よりも、第2空間2b、駆動用流路53、及びシリンダ511内に充填されている駆動流体のボリュームが大きくなる。そのため、例えば加圧工程で押し子512を基準位置まで進出させると、駆動流体が加圧され過ぎてダイアフラム3が破損する等の不具合が生じる可能性がある。よって、加圧時の圧力(絶対値)と減圧時の圧力(絶対値)を同程度とする場合には、加圧工程時には、減圧工程時よりも押し子512の移動距離を少なくする必要がある。本実施の形態では、加圧工程時に、減圧工程時よりも押し子512の移動距離を少なくした。
【0038】
ステップS4の加圧開放工程では、ステップS41にて、圧力開放弁522を開放して駆動流体を大気圧に開放する。加圧開放工程を行うことにより、駆動流体が大気圧となるため、ダイアフラム3が無負荷状態の位置へと戻る。このとき、送液対象液体が逆流してしまわないように、制御部7は、流入側電磁弁6aを開放し、流出側電磁弁6bを閉塞する。なお、流入側電磁弁6aは閉塞してもよい。また、ステップS4の加圧開放工程で両電磁弁6a,6bを閉塞とし、ステップS5の押し子位置調整工程で押し子512を駆動させた後に、流入側電磁弁6aを開放してもよいし、ステップS5を経て、再度、ステップS1を繰り返す場合、ステップS1の減圧工程で押し子512を駆動させた後に、流入側電磁弁6aを開放してもよい。
【0039】
ステップS5の押し子位置調整工程では、ステップS51にて、押し子512を基準位置(ここでは、押し子512を押し切った位置)まで進出させ、ステップS52にて押し子512を停止した後、ステップS53にて圧力開放弁522を閉じる。上述のように、本実施の形態では、加圧工程時には、減圧工程時よりも押し子512の移動距離を少なくしているため、押し子位置調整工程により、押し子512を基準位置まで戻す必要がある。なお、加圧時の圧力(絶対値)を減圧時の圧力(絶対値)より大きくする場合、加圧工程において押し子512を基準位置まで移動させ、ステップS5の押し子位置調整工程を省略することも可能である。また、加圧工程において押し子512を基準位置よりも進出させる場合、押し子位置調整工程では、押し子512を後退させて基準位置に戻すとよい。
【0040】
その後、制御部7は、ステップS6にて、ポンプ動作を終了するかを判定する。ステップS6にてNoと判定された場合、ステップS1の減圧工程に戻る。ステップS6にてYesと判定された場合、処理を終了する。例えば、圧力センサ532の出力値が所定の閾値を超えたとき、あるいは、ユーザの操作やプログラム等による終了命令が制御部7に入力されたときに、ポンプ動作が終了される。
【0041】
図4(a)に示すように、本実施の形態に係るダイアフラムポンプ1では、減圧工程で押し子512を後退させた後、大気開放し、加圧工程で押し子512を進出させるので、減圧時と加圧時のシリンダ511内での押し子512の移動領域を共通とすることができる。よって、押し子512の移動距離(ストローク距離)を短くすることができ、往復動ポンプ51aを小型化し、ダイアフラムポンプ1全体の小型化に寄与する。
【0042】
これに対して、圧力開放機構52を備えない従来のダイアフラムポンプでは、図4(b)に示すように、減圧工程で押し子512を後退させた後、加圧工程で押し子512を進出させて送液対象の流体と駆動流体の圧力が釣り合った後、さらに押し子512を進出させて駆動流体を加圧する必要があるため、減圧時と加圧時のシリンダ511内での押し子512の移動領域が異なる領域となる。そのため、従来構造では、押し子512の移動距離(ストローク距離)が長くなり、往復動ポンプ51aが大型化してしまう。なお、押し子512の移動距離(ストローク距離)を短くするために、シリンダ511の断面積を大きくすることも考えられるが、この場合、押し子512の受圧面積が増えるため、押し子512を駆動する押し子駆動部513が大型化してしまう。図4(a),(b)では、減圧時のダイアフラム3の動作は破線方向に推移していき、加圧時のダイアフラム3の動作は、一点鎖線方向へ推移していく様を表している。
【0043】
例えばダイアフラムポンプ1を血液ポンプとして用いる場合、送液流路4や第1空間内2aを血液が流れることになるため、送液流路4及びケース2を駆動用流路53から取り外し可能とし、使い捨てとすることが望ましい。ダイアフラムポンプ1を他の送液ポンプとして用いる場合であっても、送液流路4及びケース2を駆動用流路53から取り外し可能とし使い捨てにすることで、洗浄の手間がなくなり利便性が向上する。さらに、送液流路4及びケース2を使い捨てにすることで、経年劣化や透析液中の炭酸カルシウムの析出,透析排液に含まれるタンパク質の付着による吐出精度の低下も抑制可能になる。なお、ケース2は全体を使い捨てにする必要はなく、例えばダイアフラム3よりも第2空間2b側で分割可能とし、第1空間2aを含む部分のケース2のみを使い捨てにするよう構成してもよい。
【0044】
(変形例)
本実施の形態では、押し子512を押し切った位置を基準位置としたが、基準位置は適宜設定可能である。ただし、この場合、押し子512を基準位置に戻すために、押し子512が基準位置にあることを検出可能な押し子位置検出部を備える必要がある。押し子位置検出部としては、例えば、押し子駆動部513に用いるモータ等の回転数を検出するエンコーダや、押し子512の位置を直接的に検出するリニアポテンショメータ等を用いることができる。また、押し子駆動部513としてステッピングモータ(パルスモータ)を用いることで、ステッピングモータの駆動量(出力パルス数)から押し子512の位置を検出することも可能である。さらに、押し子位置検出部としては、リミットスイッチ、ひずみゲージ、圧電素子センサ等の接触式センサを用いることもできるし、光電センサ、圧力センサ等の非接触センサを用いることもできる。
【0045】
さらに、ダイアフラム3の位置を検出するダイアフラム位置検出部を備えてもよい。ダイアフラム位置検出部は、例えば、光電センサ等のセンサ類を用いてダイアフラム3の位置を検出するように構成されてもよい。また、上述のエンコーダ、リニアポテンショメータの検出結果や、ステッピングモータの駆動量、あるいは圧力センサ532の出力を用いて、ダイアフラム3の位置を推定することも可能である。ダイアフラム位置検出部を備えた場合、制御部7は、減圧工程にて、ダイアフラム3の位置が所定の減圧位置となったとき当該減圧工程を終了し、加圧工程にて、ダイアフラム3の位置が所定の加圧位置となったとき当該加圧工程を終了する。
【0046】
押し子位置検出部及びダイアフラム位置検出部を備えた場合における制御フローを図5に示す。図5は、図3の制御フローにおいて、ステップS1の減圧工程におけるステップS12、ステップS3の加圧工程におけるステップS32、及び、ステップS5の押し子位置調整工程のステップS51を変更したものである。
【0047】
ダイアフラム位置検出部を備えた場合、ステップS1の減圧工程では、ステップS11にて、押し子512を基準位置から後退させ、ステップS12にて、ダイアフラム位置検出部の検出結果あるいは推定結果を基にダイアフラム3が所定の減圧位置となったかを判定する。ステップS12にてNoと判定された場合ステップS11に戻る。ステップS12にてYesと判定された場合、ステップS13にて、押し子512を停止させる。
【0048】
また、ステップS3の加圧工程では、ステップS31にて押し子512を進出させ、ステップS32にて、ダイアフラム位置検出部の検出結果あるいは推定結果を基にダイアフラム3が所定の加圧位置となったかを判定する。ステップS32にてNoと判定された場合ステップS31に戻る。ステップS32にてYesと判定された場合、ステップS33にて、押し子512を停止させる。
【0049】
さらに、ステップS5の押し子位置調整工程では、ステップS511にて、押し子512を進出させ、ステップS512にて押し子512が基準位置にあるかを判定する。ステップS512にてNoと判定された場合ステップS511に戻り、ステップ512にてYesと判定された場合、ステップS52にて押し子512を停止した後、ステップS53にて圧力開放弁522を閉じる。
【0050】
押し子位置検出部を備えることで、押し子512の移動距離をより精度よく制御できるので、高い繰り返し精度で往復動ポンプ51aの吐出量をコントロールすることができる。また、押し子駆動部513にステッピングモータを用いことで、別途センサ等を追加せずとも押し子位置検出部を実現でき、部品点数削減及びコスト低減、及び小型化に寄与する。さらに、往復動ポンプ51aを停止させる際にセンサ類を介さずに停止処理ができるので、タイムラグの影響を受けずに精度よく押し子512を所望の位置で停止させることができ、往復動ポンプ51aの吐出量及び導入量をより高い精度で任意に設定することができる。
【0051】
また、ダイアフラム位置検出部を備え、ダイアフラム3の位置に応じて加減圧を切り替えるように構成することで、ダイアフラム3に負荷がかかり過ぎることを抑制でき、ダイアフラム3が破損する等の不具合を抑制し、より安全性を高めることができ、ダイアフラム3の劣化も抑制できる。
【0052】
さらに、送液対象液体の液圧で第1空間2aの容積が広がるようにダイアフラム3が自然変位するようにしてもよい。この場合、圧力開放弁522が開放されている状態で、例えば流入側電磁弁6aの上流に設けられた所定の送液駆動源によって、送液対象液体の液圧で第1空間2aの容積が広がるようにダイアフラム3が変位することで、送液対象液体が第1空間2a内に流入する。また、圧力開放弁522が閉塞された状態で加減圧装置51(往復動ポンプ51a)を駆動することによって、駆動流体が加圧され、第2空間2bの容積が広がるようにダイアフラム3が変位して、送液対象液体が第1空間2aから流出する。
【0053】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るダイアフラムポンプ1では、駆動部5は、加減圧装置51(往復動ポンプ51a)により駆動流体を加圧または減圧した後に駆動流体の圧力を開放するための圧力開放機構52を有している。
【0054】
圧力開放機構52を備えることで、駆動流体の減圧(または加圧)の後、駆動流体の圧力を開放し、速やかに駆動流体の加圧(または減圧)を行うことが可能になる。その結果、駆動流体の減圧、加圧のサイクル時間、すなわちダイアフラム3の変位の周期を短くすることができ、高流量のダイアフラムポンプ1を実現できる。
【0055】
また、圧力開放機構52を備えない場合、駆動流体の減圧後あるいは加圧後にダイアフラム3が押し子512の移動にあわせて徐々に無負荷状態の位置に戻ることになるため、ダイアフラム3に負荷(張力)がかかっている時間が長くなる。本実施の形態のように圧力開放機構52を備え、駆動流体の減圧後あるいは加圧後に圧力開放することで、ダイアフラム3が瞬時に無負荷状態の位置に戻るので、ダイアフラム3に負荷(張力)がかかる時間を短くすることができる。つまり、本実施の形態によれば、ダイアフラム3に与えるダメージを低減でき、高寿命なダイアフラムポンプ1を実現できる。
【0056】
さらに、圧力開放機構52を備えない場合、駆動流体は密封された状態となる。そのため、駆動流体として空気を用いる場合には、温度の影響によって空気が膨張あるいは収縮してしまい、押し子512を同じストロークで動作させたとしても、意図したダイアフラム3の変位が得られず、送液量にばらつきが生じる可能性がある。また、駆動流体が高温となり膨張すると、ダイアフラム3に大きな負荷が加わりダイアフラム3が破損するおそれも生じる。本実施の形態によれば、駆動流体の加圧、減圧ごとに圧力開放することで、駆動流体の温度の影響を除外でき、ダイアフラム3の破損等の不具合を抑制できると共に、送液量を精度よく制御することが可能になる。
【0057】
さらにまた、本実施の形態によれば、加減圧装置51として往復動ポンプ51aを用いる場合に、押し子512の移動距離(ストローク距離)を短くして、加減圧装置51の小型が可能になる。また、加減圧装置51として往復動ポンプ51aを用いることで、一般的なコンプレッサ等と比べて振動が少なく、動作音が小さいダイアフラムポンプ1を実現できる。
【0058】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0059】
[1]ケース(2)と、前記ケース(2)内の空間を第1空間(2a)と第2空間(2b)とに区画するダイアフラム(3)と、前記第1空間(2a)に送液対象液体を導入する流入流路(4a)、及び前記第1空間(2a)から前記送液対象液体を吐出する流出流路(4b)を有する送液流路(4)と、前記第2空間(2b)に充填された駆動流体の加圧、減圧を繰り返すことで、前記ダイアフラム(3)を繰り返し変位させる加減圧装置(51)を有する駆動部(5)と、前記流入流路(4a)と前記流出流路(4b)とを開閉するための弁機構(6)と、を備え、前記駆動部(5)は、前記加減圧装置(51)により前記駆動流体を加圧または減圧した後に前記駆動流体の圧力を開放するための圧力開放機構(52)を有する、ダイアフラムポンプ(1)。
【0060】
[2]前記加減圧装置(51)、及び前記圧力開放機構(52)を制御する制御部(7)を備え、前記制御部(7)は、前記加減圧装置(51)により前記駆動流体を減圧する減圧工程、前記圧力開放機構(52)により前記駆動流体の圧力を開放する減圧開放工程、前記加減圧装置(51)により前記駆動流体を加圧する加圧工程、前記圧力開放機構(52)により前記駆動流体の圧力を開放する加圧開放工程、を繰り返し実行する、[1]に記載のダイアフラムポンプ(1)。
【0061】
[3]前記加減圧装置(51)は、前記第2空間(2b)と連通されたシリンダ(511)、前記シリンダ(511)内で進退可能に設けられた押し子(512)、及び前記押し子(512)を進退駆動させる押し子駆動部(513)を有し、前記押し子駆動部(513)により前記押し子(512)を前記シリンダ(511)内で進退させることで前記駆動流体の加圧、減圧を行う往復動ポンプ(51a)からなる、[2]に記載のダイアフラムポンプ(1)。
【0062】
[4]前記制御部(7)は、前記減圧工程にて、前記押し子(512)を基準位置から後退させることで前記駆動流体を減圧するように構成され、かつ、前記加圧開放工程の後、前記押し子(512)を前記基準位置まで移動させる押し子位置調整工程を行う、[3]に記載のダイアフラムポンプ(1)。
【0063】
[5]前記押し子(512)が前記基準位置にあることを検出可能な押し子位置検出部を備えた、[4]に記載のダイアフラムポンプ(1)。
【0064】
[6]前記ダイアフラム(3)の位置を検出するダイアフラム位置検出部を備え、前記制御部(7)は、前記減圧工程にて、前記ダイアフラム(3)の位置が所定の減圧位置となったとき当該減圧工程を終了し、前記加圧工程にて、前記ダイアフラム(3)の位置が所定の加圧位置となったとき当該加圧工程を終了する、[2]乃至[5]の何れか1項に記載のダイアフラムポンプ(1)。
【0065】
[7]前記駆動流体が空気であり、前記圧力開放機構(52)は、一端が前記第2空間(2b)に連通され他端が大気開放された圧力開放用流路(521)と、前記圧力開放用流路(521)に設けられ前記圧力開放用流路(521)を開閉する圧力開放弁(522)と、を有する、[1]乃至[6]の何れか1項に記載のダイアフラムポンプ(1)。
【0066】
[8]前記駆動部(5)が接続されるソケット部(24)を備え、前記ケース(2)及び前記ダイアフラム(3)は、前記ソケット部(24)に対して取り外し可能に設けられている、[1]乃至[7]の何れか1項に記載のダイアフラムポンプ(1)。
【0067】
[9]患者の血液を体外循環させる血液回路(11)、前記血液回路(11)または前記血液回路(11)に設けられた血液浄化器(12)に供給液を供給する液供給流路(13)、あるいは、前記血液浄化器(12)からの排液を排出する排液流路(14)に設けられる送液ポンプの少なくとも1つが、[1]乃至[7]の何れか1項に記載のダイアフラムポンプ(1)である、血液浄化装置(10)。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0069】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、弁機構6が電磁弁で構成される場合を説明したが、弁機構6は逆止弁で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…ダイアフラムポンプ
2…ケース
2a…第1空間
2b…第2空間
3…ダイアフラム
4…送液流路
4a…流入流路
4b…流出流路
5…駆動部
51…加減圧装置
51a…往復動ポンプ
511…シリンダ
512…押し子
513…押し子駆動部
52…圧力開放機構
521…圧力開放用流路
522…圧力開放弁
53…駆動用流路
531…エアフィルタ
532…圧力センサ
6…弁機構
6a…流入側電磁弁
6b…流出側電磁弁
7…制御部
10…血液浄化装置
11…血液回路
111…血液ポンプ
112…気液分離器
12…血液浄化器
13…液供給流路
13a…透析液流路
14…排液流路
14a…除水流路
151…原液貯留タンク
152…原液流路
153…原液注入ポンプ
16…複式ポンプ
17…除水ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5