(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 123/02 20060101AFI20230317BHJP
C09J 123/26 20060101ALI20230317BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230317BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
C09J123/02
C09J123/26
C09J11/06
C09J11/08
(21)【出願番号】P 2019146214
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉隆
(72)【発明者】
【氏名】宮田 敦史
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/074070(WO,A1)
【文献】特開2019-073581(JP,A)
【文献】特開2012-001624(JP,A)
【文献】特開2016-153448(JP,A)
【文献】特表2000-514108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0305528(US,A1)
【文献】特開2005-220244(JP,A)
【文献】特開2012-136648(JP,A)
【文献】特開2016-060847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 - 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性炭化水素樹脂(A)と、酸変性ポリオレフィン樹脂(B)と、親水性可塑剤(C)と、を含む、ホットメルト接着剤組成物であって、
前記(A)は、非晶性α-ポリオレフィンであり、
前記(B)は、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂であり、
前記(C)は、炭素数が8以上18以下の脂肪酸とポリグリセリンとの縮合エステル化合物(C1)と、
数平均分子量が200以上2000以下であるポリオキシエチレン鎖と炭素数が8以上20以下の脂肪酸からなる脂肪酸エステル(C2)と、
ポリプロピレン-ポリオキシエチレングラフトポリマー(C3)と、から選ばれる1つ以上を含み、
前記ホットメルト接着剤組成物を、JIS K6768:1999に準じて測定した水による滴下10秒後の接触角が、50°以下であることを特徴とする、ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記ホットメルト接着剤組成物は、平行平板レオメータを用い、周波数1Hz、ずり速度1rad/sの条件で測定した180℃における溶融動粘度が、50,000mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
前記ホットメルト接着剤組成物は、3cm×3cm×高さ3cmに硬化させた硬化物に対し、JIS K7215:1986に準じて測定した23℃におけるデュロメータ―硬さが、D硬度で50°以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のホットメルト接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、ナプキン、タンポン等の衛生材料及び生理用品に使用される接着剤には、エラストマーやオレフィン系ポリマーをベースとしたホットメルト接着剤が使用されている。前記衛生材料及び生理用品等では、高い吸液性が求められており、疎水性の高い接着剤を用いた場合には、部材同士の接着界面で吸液を阻害してしまう。
【0003】
そのため、特許文献1には、スチレンコポリマーをベースとした感圧性接着剤に非イオン系界面活性剤を添加して、親水性を付与し、紙おむつ吸液部材の湿潤下での接着強度を高め、かつ、吸液性を向上させる接着剤が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、ポリオレフィンと、ポリエチレングリコールのブロックポリマーを用い、添加剤等のブリードアウトを抑え、かつ、ベースポリマーの親水性により接着剤自体が親水性で、衛生材料や生理用品の吸液部の接着剤に適し、低極性基材への密着性を高めた接着剤が提案されている。
【0005】
さらに、特許文献3では、スチレンコポリマーをベースとしたホットメルト接着剤において、水溶性高分子であるヒドロキシプロピルセルロースを添加して、親水性を付与し、親水性と接着性を兼ね備えた接着剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2000-514108号公報
【文献】特開2007-146145号公報
【文献】特開平7-145361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の接着剤は、界面活性剤が添加されるため、親水性は向上しているものの、接着強度が十分とは言えないおそれがあり、接着強度を高めるためにポリマーの添加量を増加させると、硬くなったり、親水性が不十分になったりするおそれがあった。
特許文献2の接着剤は、ブロックポリマー中の親水性ポリマー量が少なく、十分な親水性が得られず、逆に、接着剤が吸水性を有するため、水分により膨潤し、経時による基材の剥がれが発生するおそれがあった。
特許文献3の接着剤は、ヒドロキシプロピルセルロースを添加することによる、親水性付与の効果が不十分であり、衛生材料及び生理用品等の吸液性が不十分となるおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、基材との接着性、硬化後の柔軟性、吸水性(吸水速度)に優れたホットメルト接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の熱可塑性炭化水素樹脂と、酸変性ポリオレフィン樹脂と、親水性可塑剤と、を含む、ホットメルト接着剤組成物が、前記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は下記の通りである。
【0010】
本発明(1)は、
熱可塑性炭化水素樹脂(A)と、酸変性ポリオレフィン樹脂(B)と、親水性可塑剤(C)と、を含む、ホットメルト接着剤組成物であって、
前記(A)は、非晶性α-ポリオレフィンであり、
前記(B)は、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂であり、
前記(C)は、炭素数が8以上18以下の脂肪酸とポリグリセリンとの縮合エステル化合物(C1)と、
数平均分子量が200以上2000以下であるポリオキシエチレン鎖と炭素数が8以上20以下の脂肪酸からなる脂肪酸エステル(C2)と、
ポリプロピレン-ポリオキシエチレングラフトポリマー(C3)と、から選ばれる1つ以上を含み、
前記ホットメルト接着剤組成物を、JIS K6768:1999に準じて測定した水による滴下10秒後の接触角が、50°以下であることを特徴とする、ホットメルト接着剤組成物である。
本発明(2)は、
前記ホットメルト接着剤組成物は、平行平板レオメータを用い、周波数1Hz、ずり速度1rad/sの条件で測定した180℃における溶融動粘度が、50,000mPa・s以下であることを特徴とする、前記発明(1)のホットメルト接着剤組成物である。
本発明(3)は、
前記ホットメルト接着剤組成物は、3cm×3cm×高さ3cmに硬化させた硬化物に対し、JIS K7215:1986に準じて測定した23℃におけるデュロメータ―硬さが、D硬度で50°以下であることを特徴とする、前記発明(1)又は(2)のホットメルト接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基材との接着性、硬化後の柔軟性、吸水性(吸水速度)に優れたホットメルト接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
なお、説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、存在し得る全ての異性体が本発明において使用可能である。また、trans-、cis-等の異性体を示す記載を省略する場合もある。
【0013】
また、本願において、数平均分子量の測定方法は、ゲルパーエミッションクロマトグラフィーを用いて測定される。
【0014】
また、本願において、軟化点の測定方法は、JIS K6863:1994『ホットメルト接着剤の軟化点試験方法』に準じて測定する。
【0015】
なお、本願において、何の断りもなく基材とした場合には、衛生材料及び生理用品等の被接着体を指すものとする。
【0016】
1.ホットメルト接着剤組成物の構成
本発明のホットメルト接着剤組成物は、熱可塑性炭化水素樹脂(A)と、酸変性ポリオレフィン樹脂(B)と、親水性可塑剤(C)と、を含む。
【0017】
前記(A)は、非晶性α-ポリオレフィンである。
【0018】
前記(B)は、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂である。
【0019】
前記(C)は、炭素数が8以上18以下の脂肪酸とポリグリセリンとの縮合エステル化合物(C1)と、数平均分子量が200以上2000以下であるポリオキシエチレン鎖と炭素数が8以上20以下の脂肪酸からなる脂肪酸エステル(C2)と、ポリプロピレン-ポリオキシエチレングラフトポリマー(C3)と、から選ばれる1つ以上を含む。
【0020】
また、本発明のホットメルト組成物は、さらに、粘着付与剤(D)を含むことができる。以下に、本発明のホットメルト接着剤組成物の原料について詳述する。
【0021】
1-1.ホットメルト接着剤組成物の原料
1-1-1.熱可塑性炭化水素樹脂(A)
本発明のホットメルト接着剤組成物は、熱可塑性炭化水素樹脂(A)を含む。本発明にかかる熱可塑性炭化水素樹脂(A)は、非晶性α-ポリオレフィンである。
【0022】
本発明にかかる非晶性α-ポリオレフィンは、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。非晶質α-ポリオレフィンとしては、公知のもの、例えば、特許第6001685号公報、特許第3153648号公報等に記載されたものを使用可能である。より詳細には、非晶質α-ポリオレフィンは、例えば、プロピレン、エチレン、及び1-ブテンを単独で、又は、複数を組み合せて、重合(又は共重合)させた非晶性のオレフィン系樹脂であり、比較的低分子量域での分子量調整が可能で、熱安定性にも優れる樹脂である。
【0023】
本発明にかかる非晶性α-ポリオレフィンの軟化点は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、80~200℃とすることができ、90~120℃が好ましい。非晶性α-ポリオレフィンの軟化点がかかる範囲にあることで、本発明のホットメルト接着剤組成物を基材に用いた場合に、親水性を付与するとともに、優れた、吸水性、接着性(特に低極性基材への接着性に優れる)及び材料強度を有したホットメルト接着剤組成物を得ることができる。
【0024】
本発明にかかる非晶性α-ポリオレフィンの数平均分子量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、10,000~200,000とすることができ、45,000~120,000が好ましい。非晶性α-ポリオレフィンの数平均分子量がかかる範囲にある場合には、ホットメルト接着剤組成物の180℃における溶融粘度が、好適例である50,000mPa・s以下に調整し易く、本発明のホットメルト接着剤組成物を基材に用いた場合の基材の吸水性を優れたものとすることができる。
【0025】
また、非晶性α-ポリオレフィンの数平均分子量が同程度である場合には、接着力の観点から、軟化点か低い方が好ましい。
【0026】
1-1-2.酸変性ポリオレフィン樹脂(B)
本発明のホットメルト接着剤組成物は、酸変性ポリオレフィン樹脂(B)を含む。本発明にかかる酸変性ポリオレフィン樹脂(B)は、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂である。無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂を含むことで、高極性基材への密着性を付与することができる。
【0027】
本発明にかかる無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、オレフィン系重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸の無水物を化学的(例えば付加反応、グラフト反応等)に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体とすることができる。特に、無水マレイン酸が付加されたポリプロピレンが好ましい。無水マレイン酸が付加されたポリプロピレンは、基材表面の官能基(水酸基やウレタン基等)と水素結合等の相互作用を起こしやすく、本発明のホットメルト接着剤組成物と、基材との間で、分子レベルで引き合うため、密着性を優れたものとすることが可能となる。
【0028】
ここでオレフィン系重合体とは、ポリエチレン(低圧、中圧、高圧)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等のポリオレフィン、オレフィンと他のモノマー(ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステルなど)との共重合体(例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチルエステル共重合体等)とすることができる。
【0029】
エチレン性不飽和カルボン酸の無水物としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アリルコハク酸無水物、(2-メチル-2-プロペニル)コハク酸無水物、2-ブテン-1-イルコハク酸無水物、2-ヘキセン-1-イルコハク酸無水物、2-オクテニルコハク酸無水物、(2,7-オクタジエン-1-イル)コハク酸無水物、2-ドデセン-1-イルコハク酸無水物等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。また、これらのエチレン性不飽和カルボン酸の無水物は、いずれも無水マレイン酸と同様の作用機序により、本発明のホットメルト接着剤組成物と、基材との密着性を優れたものとすることが可能である。
【0030】
エチレン性不飽和カルボン酸の無水物のオレフィン系重合体への付加量又はグラフト量(変性度)は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。エチレン性不飽和カルボン酸の無水物のオレフィン系重合体への付加量又はグラフト量(変性度)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂に対し、エチレン性不飽和カルボン酸の無水物を0.01~15質量%とすることができ、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~3質量%が特に好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸の無水物のオレフィン系重合体への付加反応、グラフト反応は、例えば、溶媒(キシレンなど)、触媒(過酸化物など)の存在下でラジカル重合法などにより行うことができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
【0031】
本発明にかかる無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の軟化点は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、例えば、60~150℃とすることができ、70~130℃が好ましい。無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の軟化点は、接着強度の観点からは、高い方が好ましい。
【0032】
本発明にかかる無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均分子量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、例えば、10,000~200,000とすることができ、30,000~150,000が好ましく、45,000~120,000がより好ましい。無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均分子量がかかる範囲にある場合には、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂が溶融した際の粘度が、塗布やスプレーに適したものとなり、塗布やスプレーする場合にホットメルト接着剤としての取り扱いが容易となる。また、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均分子量がかかる範囲にある場合には、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂が溶融した際の粘度を50,000mPa・s以下に調整することが容易となり、本発明のホットメルト接着剤組成物が用いられた場合に、基材の吸水性を優れたものとすることができる。
【0033】
1-1-3.親水性可塑剤(C)
本発明のホットメルト接着剤組成物は、親水性可塑剤(C)を含む。本発明にかかる親水性可塑剤(C)は、以下に示す(C1)~(C3)のうち、少なくとも1つを含む。親水性可塑剤(C)を添加することで、ホットメルト接着剤組成物の親水性を高め、減粘することができる。
(C1)炭素数が8以上18以下の脂肪酸とポリグリセリンとの縮合エステル化合物(以下、化合物(C1)と記載する場合がある)
(C2)数平均分子量が、200以上2000以下である、ポリオキシエチレン鎖と炭素数が8以上20以下の脂肪酸からなる脂肪酸エステル(以下、化合物(C2)と記載する場合がある)
(C3)ポリプロピレン-ポリオキシエチレングラフトポリマー(以下、化合物(C3)と記載する場合がある)
【0034】
本発明にかかる親水性可塑剤(C)の軟化点は、-30~130℃とすることができる。軟化点を有しない化合物の場合には融点を軟化点の代わりとすることができる。
【0035】
1-1-3-1.化合物(C1)
本発明にかかる化合物(C1)は、炭素数が8以上18以下の脂肪酸とポリグリセリンとの縮合エステル化合物である。
【0036】
ポリグリセリンは、グリセリンを重合したものである。化合物(C1)は、炭素数が8以上18以下の脂肪酸とポリグリセリンとを、混合、加熱などして得られる化合物である。化合物(C1)は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0037】
炭素数が8以上18以下の脂肪酸としては、飽和脂肪酸、及び、不飽和脂肪酸を含む。不飽和脂肪酸の二重結合の数は、特に限定されないが、一般に入手可能なものを使用することができる。
【0038】
飽和脂肪酸としては、
カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸の直鎖状飽和脂肪酸;
2-メチルヘプタン酸、2-メチルエナント酸、2-メチルカプリル酸、2-メチルペラルゴン酸、2-メチルカプリン酸、2-メチルウンデシル酸、2-メチルラウリン酸、2-メチルトリデシル酸、2-メチルミリスチン酸、2-メチルペンタデシル酸、2-メチルパルミチン酸、2-メチルマルガリン酸、3-メチルヘプタン酸、4-メチルヘプタン酸、5-メチルヘプタン酸、6-メチルヘプタン酸、3-エチルヘキサン酸、4-エチルヘキサン酸、5-エチルヘキサン酸、4-プロピルペンタン酸、2-メチルヘキサデカン酸、2,2-ジメチルヘキサン酸、2,3-ジメチルヘキサン酸、2,4-ジメチルヘキサン酸、2,5-ジメチルヘキサン酸、3,3-ジメチルヘキサン酸、3,4-ジメチルヘキサン酸、3,5-ジメチルヘキサン酸、4,4-ジメチルヘキサン酸、4,5-ジメチルヘキサン酸、5,5-ジメチルヘキサン酸、2,2,3-トリメチルペンタン酸、2,2,4-トリメチルペンタン酸、2,3,3-トリメチルペンタン酸、2,3,4-トリメチルペンタン酸、3,3,4-トリメチルペンタン酸、3,4,4-トリメチルペンタン酸、等の分岐飽和脂肪酸;
4-ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4-ブチルシクロヘキサンカルボン酸、3-シクロペンチルプロピオン酸、4-イソブチルシクロヘキサンカルボン酸、4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸、4-ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、3-シクロペンチルプロピオン酸、シクロヘキシル酢酸、3-ヒドロキシ-1-アダマンタン酢酸等の環状飽和脂肪酸(trans型及びcis型の区別は省略した);
2-ヒドロキシカプリル酸、2-ヒドロキシペラルゴン酸、2-ヒドロキシカプリン酸、2-ヒドロキシウンデシル酸、2-ヒドロキシラウリン酸、2-ヒドロキシトリデシル酸、2-ヒドロキシミリスチン酸、2-ヒドロキシペンタデシル酸、2-ヒドロキシパルミチン酸、2-ヒドロキシマルガリン酸、2-ヒドロキシステアリン酸、3-ヒドロキシカプリル酸、4-ヒドロキシカプリル酸、5-ヒドロキシカプリル酸、6-ヒドロキシカプリル酸、2,2-ジヒドロキシカプリル酸、2,3-ジヒドロキシカプリル酸、2,4-ジヒドロキシカプリル酸、2,5-ジヒドロキシカプリル酸、3,3-ジヒドロキシカプリル酸、3,4-ジヒドロキシカプリル酸、3,5-ジヒドロキシカプリル酸、4,4-ジヒドロキシカプリル酸、4,5-ジヒドロキシカプリル酸、5,5-ジヒドロキシカプリル酸、2,2,3-トリヒドロキシペンタン酸、2,2,4-トリヒドロキシペンタン酸、2,3,3-トリヒドロキシペンタン酸、2,3,4-トリヒドロキシペンタン酸、3,3,4-トリヒドロキシペンタン酸、3,4,4-トリヒドロキシペンタン酸、2-メチル-2-ヒドロキシヘプタン酸、2-メチル-3-ヒドロキシヘプタン酸、2-メチル-4-ヒドロキシヘプタン酸、2-メチル-5-ヒドロキシヘプタン酸、3-メチル-3-ヒドロキシヘプタン酸、3-メチル-4-ヒドロキシヘプタン酸、3-メチル-5-ヒドロキシヘプタン酸、4-メチル-4-ヒドロキシヘプタン酸、4-メチル-5-ヒドロキシヘプタン酸、5-メチル-5-ヒドロキシヘプタン酸、2-エチル-2-ヒドロキシヘキサン酸、2-プロピル-2-ヒドロキシヘキサン酸、等のヒドロキシ飽和脂肪酸;等を挙げることができる。
【0039】
不飽和脂肪酸としては、
ミリストレイン酸(炭素数14)、パルミトレイン酸(炭素数16)、サピエン酸(炭素数16)、オレイン酸(炭素数18)、エライジン酸(炭素数18)、バクセン酸(炭素数18)等のモノ不飽和脂肪酸(二重結合を1つ含む不飽和脂肪酸);
リノール酸(炭素数18)等のジ不飽和脂肪酸(二重結合を2つ含む不飽和脂肪酸);
α-リノレン酸(炭素数18)、γ-リノレン酸(炭素数18)、ピノレン酸(炭素数18)、
エレオステアリン酸(炭素数18)、β-エレオステアリン酸(炭素数18)等のトリ不飽和脂肪酸(二重結合を3つ含む不飽和脂肪酸);
ステアリドン酸(炭素数18)等のテトラ不飽和脂肪酸(二重結合を4つ含む不飽和脂肪酸);
ボセオペンタエン酸(炭素数18)等のペンタ不飽和脂肪酸(二重結合を5つ含む不飽和脂肪酸);等を挙げることができる。
【0040】
これらの脂肪酸は、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。これらのうち、直鎖状の飽和脂肪酸とポリグリセリンとの脂肪酸エステル化合物は、長鎖アルキル構造を有するため樹脂との親和性に優れ、さらにグリセリン部の水酸基が表面配向することにより親水性に優れるため、好ましく用いることができる。
【0041】
1-1-3-2.化合物(C2)
本発明にかかる化合物(C2)は、数平均分子量が200以上2000以下のポリオキシエチレン鎖と、炭素数が8以上20以下である脂肪酸と、からなる脂肪酸エステルである。化合物(C2)は、数平均分子量が200以上2000以下のポリエチレングリコールと、炭素数が8以上20以下である脂肪酸とを、混合、加熱などし、エステル化反応させて得られる化合物である。
本発明にかかる化合物(C2)は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、モノエステル及びジエステルを含むことができる。
【0042】
ポリオキシエチレン鎖とは、下式1の構造を意味する。
(式1)
【0043】
本発明にかかる化合物(C2)は、数平均分子量が200以上2000以下のポリオキシエチレン鎖とは、式1の末端に水素と、水酸基を付加し、ポリエチレングリコール(下式2)として測定した数平均分子量が、200以上2000以下であることを意味する。
(式2)
【0044】
なお、本発明にかかるポリエチレングリコールの数平均分子量としては、200以上2000以下であるが、600以上1000以下が好ましい。ポリエチレングリコールの数平均分子量がかかる範囲にある場合には、親水性に優れたホットメルト接着剤組成物を得ることができる。
【0045】
炭素数が8以上20以下の脂肪酸としては、飽和脂肪酸、及び、不飽和脂肪酸を含む。不飽和脂肪酸の二重結合の数は、特に限定されないが、一般に入手可能なものを使用することができる。
【0046】
飽和脂肪酸としては、
カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸の直鎖状飽和脂肪酸;
2-メチルヘプタン酸、2-メチルエナント酸、2-メチルカプリル酸、2-メチルペラルゴン酸、2-メチルカプリン酸、2-メチルウンデシル酸、2-メチルラウリン酸、2-メチルトリデシル酸、2-メチルミリスチン酸、2-メチルペンタデシル酸、2-メチルパルミチン酸、2-メチルマルガリン酸、2-メチルステアリン酸、2-メチルノナデシル酸、3-メチルヘプタン酸、4-メチルヘプタン酸、5-メチルヘプタン酸、6-メチルヘプタン酸、3-エチルヘキサン酸、4-エチルヘキサン酸、5-エチルヘキサン酸、4-プロピルペンタン酸、2-メチルヘキサデカン酸、2,2-ジメチルヘキサン酸、2,3-ジメチルヘキサン酸、2,4-ジメチルヘキサン酸、2,5-ジメチルヘキサン酸、3,3-ジメチルヘキサン酸、3,4-ジメチルヘキサン酸、3,5-ジメチルヘキサン酸、4,4-ジメチルヘキサン酸、4,5-ジメチルヘキサン酸、5,5-ジメチルヘキサン酸、2,2,3-トリメチルペンタン酸、2,2,4-トリメチルペンタン酸、2,3,3-トリメチルペンタン酸、2,3,4-トリメチルペンタン酸、3,3,4-トリメチルペンタン酸、3,4,4-トリメチルペンタン酸、等の分岐飽和脂肪酸;
4-ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4-ブチルシクロヘキサンカルボン酸、3-シクロペンチルプロピオン酸、4-イソブチルシクロヘキサンカルボン酸、4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸、4-ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、3-シクロペンチルプロピオン酸、シクロヘキシル酢酸、3-ヒドロキシ-1-アダマンタン酢酸等の環状飽和脂肪酸(trans型及びcis型の区別は省略した);
2-ヒドロキシカプリル酸、2-ヒドロキシペラルゴン酸、2-ヒドロキシカプリン酸、2-ヒドロキシウンデシル酸、2-ヒドロキシラウリン酸、2-ヒドロキシトリデシル酸、2-ヒドロキシミリスチン酸、2-ヒドロキシペンタデシル酸、2-ヒドロキシパルミチン酸、2-ヒドロキシマルガリン酸、2-ヒドロキシステアリン酸、2-ヒドロキシノナデシル酸、2-ヒドロキシアラキジン酸、3-ヒドロキシカプリル酸、4-ヒドロキシカプリル酸、5-ヒドロキシカプリル酸、6-ヒドロキシカプリル酸、2,2-ジヒドロキシカプリル酸、2,3-ジヒドロキシカプリル酸、2,4-ジヒドロキシカプリル酸、2,5-ジヒドロキシカプリル酸、3,3-ジヒドロキシカプリル酸、3,4-ジヒドロキシカプリル酸、3,5-ジヒドロキシカプリル酸、4,4-ジヒドロキシカプリル酸、4,5-ジヒドロキシカプリル酸、5,5-ジヒドロキシカプリル酸、2,2,3-トリヒドロキシペンタン酸、2,2,4-トリヒドロキシペンタン酸、2,3,3-トリヒドロキシペンタン酸、2,3,4-トリヒドロキシペンタン酸、3,3,4-トリヒドロキシペンタン酸、3,4,4-トリヒドロキシペンタン酸、2-メチル-2-ヒドロキシヘプタン酸、2-メチル-3-ヒドロキシヘプタン酸、2-メチル-4-ヒドロキシヘプタン酸、2-メチル-5-ヒドロキシヘプタン酸、3-メチル-3-ヒドロキシヘプタン酸、3-メチル-4-ヒドロキシヘプタン酸、3-メチル-5-ヒドロキシヘプタン酸、4-メチル-4-ヒドロキシヘプタン酸、4-メチル-5-ヒドロキシヘプタン酸、5-メチル-5-ヒドロキシヘプタン酸、2-エチル-2-ヒドロキシヘキサン酸、2-プロピル-2-ヒドロキシヘキサン酸、等のヒドロキシ飽和脂肪酸;等を挙げることができる。
【0047】
不飽和脂肪酸としては、
ミリストレイン酸(炭素数14)、パルミトレイン酸(炭素数16)、サピエン酸(炭素数16)、オレイン酸(炭素数18)、エライジン酸(炭素数18)、バクセン酸(炭素数18)、ガドレイン酸(炭素数19)、エイコセン酸(炭素数20)等のモノ不飽和脂肪酸(二重結合を1つ含む不飽和脂肪酸);
リノール酸(炭素数18)、エイコサジエン酸(炭素数20)等のジ不飽和脂肪酸(二重結合を2つ含む不飽和脂肪酸);
α-リノレン酸(炭素数18)、γ-リノレン酸(炭素数18)、ピノレン酸(炭素数18)、
エレオステアリン酸(炭素数18)、β-エレオステアリン酸(炭素数18)、ミード酸(炭素数20)、ジホモ-γ-リノレン酸(炭素数20)、エイコサトリエン酸(炭素数20)等のトリ不飽和脂肪酸(二重結合を3つ含む不飽和脂肪酸);
ステアリドン酸(炭素数18)、アラキドン酸(炭素数20)、エイコサテトラエン酸(炭素数20)等のテトラ不飽和脂肪酸(二重結合を4つ含む不飽和脂肪酸);
ボセオペンタエン酸(炭素数18)等のペンタ不飽和脂肪酸(二重結合を5つ含む不飽和脂肪酸);等を挙げることができる。
【0048】
これらの脂肪酸は、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。
【0049】
1-1-3-3.化合物(C3)
本発明にかかる化合物(C3)は、ポリプロピレン-ポリオキシエチレングラフトポリマーである。ポリプロピレン-ポリオキシエチレングラフトポリマーは、ポリプロピレンとポリオキシエチレンとが、ブロック・グラフト共重合したポリマーである。ポリプロピレンとポリオキシエチレンの構成比は、特に限定されない。
【0050】
化合物(C3)の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば、200以上2000以下とすることができる。化合物(C3)の数平均分子量がかかる範囲にある場合には、親水性に優れたホットメルト接着剤組成物を得ることができる。
【0051】
1-1-4.粘着付与剤
本発明のホットメルト接着剤組成物は、粘着付与剤を含むことができる。粘着付与剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の天然樹脂;石油樹脂(炭化水素樹脂)、水素添加(水添)石油樹脂(炭化水素樹脂)、スチレン系樹脂、クマロン-インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等のロジン;水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン;これらロジン、変性ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル等が挙げられる。テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン等を主成分とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。(水添)石油樹脂としては、(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5/C9系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。上記スチレン系樹脂としては、ポリαメチルスチレン、αメチルスチレン/スチレン共重合体、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/αメチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/スチレン系モノマー以外の芳香族系モノマー共重合体等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、組み合せて用いることができる。これらのうち、石油樹脂及び水添石油樹脂が、他の添加物との相溶性が良好であるため好ましく、脂肪族系炭化水素樹脂、水添脂環族炭化水素系樹脂、脂肪酸/芳香族炭化水素系樹脂がより好ましい。
【0052】
本発明にかかる粘着付与剤の軟化温度は、特に限定されない。粘着付与剤の軟化温度としては、例えば、25~200℃とすることができ、80~160℃が好ましく、100~130℃がより好ましい。粘着付与剤の軟化温度が、かかる範囲にある場合には、基材との密着性に優れたホットメルト接着剤組成物を得ることができる。
【0053】
1-1-5.その他
本発明のホットメルト接着剤組成物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、上述した各成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、充填剤、可塑剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、抗菌剤、光安定剤、安定剤、分散剤、溶剤、親水性付与剤等が挙げられる。
【0054】
1-2.ホットメルト接着剤組成物の特性
1-2-1.ホットメルト接着剤組成物の親水性
本発明のホットメルト接着剤組成物は親水性である。ホットメルト接着剤組成物の親水性は、ホットメルト接着剤組成物を成膜し、水を用いた場合の接触角を測定することで評価することができる。
【0055】
本発明のホットメルト接着剤組成物の水に対する接触角は、50°以下であり、33°以下がより好ましい。接触角がかかる範囲にある場合には、十分な親水性が得られ、衛生材料及び生理用品等の基材の接着に用いられた場合には、それらの(吸水性)吸水速度の低下を妨げることができる。
【0056】
ホットメルト接着剤組成物の接触角測定方法は、前記ホットメルト接着剤組成物を硬化させた硬化物に対し、JIS K6768:1999『プラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法』に準じて測定するものとし、水による滴下10秒後の接触角を測定する。
【0057】
本発明のホットメルト接着剤組成物の、平行平板レオメータを用い、周波数1Hz、ずり速度1rad/sの条件で測定した180℃における溶融動粘度は、特に限定されないが、例えば、50,000mPa・s以下とすることができ、より好ましくは、20,000mPa・s以下である。また、ホットメルト接着剤組成物の150℃における溶融動粘度の下限値は、特に限定されないが、例えば、100mPa・s以上とすることができ、1000mPa・s以上がより好ましい。ホットメルト接着剤組成物の150℃における溶融動粘度が、かかる範囲にある場合には、本発明のホットメルト接着剤組成物を基材の接着に用いた場合に、基材の吸水性を優れたものとすることができるとともに、ホットメルト接着剤組成物を塗布したり、スプレーしたりした場合に、基材上を流れにくく、取り扱いが容易となる。
【0058】
本発明のホットメルト接着剤組成物の、その硬化物を長さ3cm×3cm×高さ3cmとして、JIS K7215:1986に準じて測定した23℃におけるデュロメータ硬さは、例えば、D硬度で50以下が好ましい。23℃におけるデュロメータ硬さの下限は、特に限定されず、例えば、D硬度よりも柔らかい硬度を示すA硬度で20以上とすることができる。前記硬度がかかる範囲にある場合には、柔軟性に優れ、風合いの良好なホットメルト接着剤組成物を得ることができる。
【0059】
2.ホットメルト接着剤組成物の製造方法
ホットメルト接着剤組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造可能である。例えば、一軸又は二軸押出機等の連続混練機、もしくは、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー、高剪断Z翼ミキサー等のバッチ式混練機に、上述した原料を投入し、所定時間混練すればよい。
【0060】
熱可塑性炭化水素樹脂(A)の配合量は、特に限定されないが、ホットメルト接着剤組成物の全質量を100%とした場合に、50~90質量%とすることができ、55~80質量%が好ましい。
【0061】
酸変性ポリオレフィン樹脂(B)の配合量は、特に限定されないが、例えば、ホットメルト接着剤組成物の全質量を100%とした場合に、0.5~30質量%とすることができ、5~20質量%が好ましい。
【0062】
親水性可塑剤(C)の配合量は、特に限定されないが、例えば、ホットメルト接着剤組成物の全質量を100%とした場合に、0.5~20質量%とすることができ、5~15質量%が好ましい。
【0063】
粘着付与剤(D)を配合する場合には、粘着付与剤(D)の配合量は、特に限定されないが、例えば、ホットメルト接着剤組成物の全質量を100%とした場合に、0~20質量%とすることができ、0~15質量%が好ましい。
【0064】
各成分の配合量をかかる範囲とした場合には、基材との接着性、硬化後の柔軟性、吸水性(吸水速度)に優れ、衛生材料及び生理用品等の製造過程における、塗布や貼り合わせによって、風合いを損なわない接着剤組成物を得ることができる。
【0065】
3.ホットメルト接着剤組成物の適用方法
次に、本発明のホットメルト接着剤組成物の具体的な適用方法の一例を説明する。なお本例では、ホットメルト接着剤組成物をスプレー塗布する場合について説明するが、本発明のホットメルト接着剤組成物の適用方法はこれには限定されず、公知の方法により接着対象面に塗布されてもよい。
【0066】
先ず、本発明のホットメルト接着剤組成物を溶融した状態で保持する(溶融工程)。次に、溶融状態であるホットメルト接着剤組成物を、接着対象面の少なくとも一方に、所望の塗布量となるようにスプレー塗布する(塗布工程)。スプレー方法としては、公知の方法、例えば、カーテンスプレー、オメガスプレー、スパイラルスプレー、サミットスプレー等を適用可能である。塗布工程後、一方の接着対象面に他方の接着対象面を押し付けた状態で維持し、ホットメルト接着剤組成物を冷却固化させる(固化工程)。なお、塗布工程の前に、接着対象面に公知の表面処理を行ってもよい。
【0067】
4.ホットメルト接着剤組成物の用途
本発明のホットメルト接着剤組成物は、接着剤、シーリング材、プライマー、塗料、コーティング剤などの用途に好適であるが、親水性を必要とされる被着体に用いる接着剤として、より好適である。特に、衛生部材、使い捨てオムツ、生理用ナプキン等の、急速に吸液する必要がある基材の接合に適している。
そして、基材は、しかるべき粘度の液体等を分離吸収する吸収体である。例えば使い捨てオムツにおいて、前記吸収体は、中間層として、その一方の表面に液体透過層であるトップシートを、その反対側の表面に、液体漏洩防止シート、又は、防水バックシート等を、積層して構成される。ホットメルト接着剤組成物は、前記トップシートと中間層との界面、及び/又は、液体漏洩防止シート等と中間層との界面に塗布される。なお、中間層は、透水するよう、例えばドット状、螺旋旋回状、ストライプ状等のパターンで設けられる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により、本発明のホットメルト接着剤組成物の効果について、具体的に説明する。
【0069】
≪ホットメルト接着剤組成物の製造≫
下記原料を、表1及び表2に記載する配合量にて、プラネタリーミキサーにて、150℃15分混練して、各実施例及び各比較例にかかるホットメルト接着剤組成物を得た。
・熱可塑性炭化水素樹脂(A)
P-1:VESTPLAST 408(EVONIK社)、軟化点118℃、数平均分子量48,000
P-2:VESTPLAST V2094(EVONIK社)、軟化点94℃、数平均分子量50,000
P-3:VESTPLAST 792(EVONIK社)、軟化点108℃、数平均分子量118,000
・酸変性ポリオレフィン(B)
AM-1:PMA-T(東洋紡社)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、軟化点80℃
AM-2:PMA-KH(東洋紡社)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、軟化点100℃
AM-3:PMA-L(東洋紡社)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、軟化点75℃
AM-4:リケエイドMG-400W(理研ビタミン社)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、軟化点126℃
・親水性可塑剤(C)
H-1:リケマールO-71-DE(理研ビタミン社)モノステアリン酸ポリグリセリル、軟化点-20℃(融点)
H-2:SY Glyster ML-3L(理研ビタミン社)モノラウリン酸トリグリセリル、軟化点80℃
H-3:ノニオンDO-6(日油社)ポリオキシエチレンジオレート(PEGの数平均分子量 600)、軟化点20℃
H-4:イオネットDO-1000(三洋化成社)ポリオキシエチレンジオレート(PEGの数平均分子量 1000)、軟化点40℃(融点)
H-5:メルアクア350L(三洋化成社)ポリプロピレン-ポリオキシエチレングラフトコポリマー、軟化点 113℃
H-6:ノニオンID-209(日油社)ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、 軟化点15℃
・粘着付与剤(D)
T-1:T-rez RC115(JX-TG社)、脂肪族系炭化水素樹脂、軟化点115℃
T-2:Quintone RX110(日本ゼオン社)、脂肪族系炭化水素樹脂、軟化点110℃
T-3:アルコン P125(荒川化学社)、水素添加脂環族炭化水素系樹脂、軟化点125℃
T-4:Escorez 5415(Exxon Moble社)、水素添加脂環族炭化水素系樹脂、軟化点118℃
T-5:FTR0100 (三井化学)、脂肪酸/芳香族炭化水素系樹脂、軟化点100℃
【0070】
≪評価≫
各実施例及び各比較例のかかるホットメルト接着剤組成物を、以下に従い評価した。
<溶融動粘度>
各実施例及び各比較例のかかるホットメルト接着剤組成物の180℃における溶融動粘度を、レオメータ(アントンパール社製、MCR302)にパラレルプレートを装着して、周波数1Hz、ずり速度1rad/sの条件の下で測定を行った。結果を表1及び表2に示した。
【0071】
<接触角>
各実施例及び各比較例のホットメルト接着剤組成物を、厚さ25μmのPETフィルム上に、縦1cm×横5cm×厚み100μmとなるよう成膜したのち、測定試料とした。測定試料の水に対する接触角を、接触角測定装置(協和界面科学社製:CA-D)を用いて測定した。測定は、23℃の環境下で、JIS K6768:1999『プラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法』に準じて行い、測定用の水としてイオン交換水10mlを用いた。水を試料表面上に滴下したのち、10秒後の接触角を測定した。結果を表1及び表2に示した。
【0072】
<吸水速度>
各実施例及び各比較例のホットメルト接着剤組成物を使用した際の吸水速度を次の手順で行った。縦100cm×横100cm×厚み5mmの大きさのウレタンフォームの表面全体に、調製した各ホットメルト接着剤組成物をスプレー状に塗布し(塗布温度:180℃、塗布量:10g/m2、ノズル径:1mm、吐出圧力:0.01Pa)、100mm×100mm×100μmのポリプロピレン不織布を重ね合わせ、25℃雰囲気下で24時間放置したものを測定試料とした。測定試料の不織布を上面して、内径50mmの円柱管を試料の不織布表面対し垂直に固定した。青色インクで着色した水を20mL秤量し、前記円柱管の内側に注ぎ込み、円柱管上方から着色した水が試験試料に完全に吸収される(不織布表面から着色した水が見えなくなるまでの)時間を測定した。結果を表1及び表2に示した。
【0073】
<接着強度>
各実施例及び各比較例のホットメルト接着剤組成物の接着強度を、次の手順で測定した。ポリプロピレン製の不織布と、パルプ紙とを、180℃に加熱して溶融状態としたホットメルト接着剤組成物で貼り合わせた。ホットメルト接着剤組成物は、ポリプロピレン不織布一方の表面全体に塗布量が10g/m2となるように塗布した。貼り合わせた後、25℃雰囲気下において、24時間静置したものを測定試料とした。測定試料を材料試験機(エーアンドディー社製:テンシロンRAC-1150A)に設置して、測定を行った。測定は、JIS K6854-3:1999『接着剤-はく離接着強さ試験方法-第3部:T形はく離』に準じて行った。結果を表1及び表2に示した。
【0074】
<硬度>
各実施例及び各比較例のホットメルト接着剤組成物の硬化物の硬度を、次の手順で測定した。溶融状態のホットメルト接着剤組成物を、縦3cm×横3cm×厚み3mmの型に流し込んで、湿気硬化させた。金型から硬化物を取り出し、デュロメータ(アスカ-社製、DL型)を用いて測定した。測定は23℃の環境下で行った。結果を表1及び表2に示した。
【0075】
【0076】