(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ウレタンホットメルト接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/06 20060101AFI20230317BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J175/08
(21)【出願番号】P 2019164386
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴博
(72)【発明者】
【氏名】長野 祐也
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/131507(WO,A1)
【文献】特開2015-052090(JP,A)
【文献】特開2017-136735(JP,A)
【文献】特開2016-047866(JP,A)
【文献】特開2008-144171(JP,A)
【文献】特表2017-503035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 - 201/10
C08G 18/00 - 18/87
C08G 71/00 - 71/04
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを原料とするウレタンプレポリマーを含むウレタンホットメルト接着剤組成物であって、
前記ポリオール成分(A)は、
下式1で示される構造を有するポリオール(a1-1)及びポリカルボン酸(a1-2)を反応させてなるポリエステルポリオール(A-1)と、
ポリエーテルポリオール(A-2)、又は、脂肪族ジカルボン酸(a3-1)と脂肪族ジオール(a3-2)との縮合反応からなる結晶性ポリエステルポリオール(A-3)のうち少なくとも1種と、
を含むことを特徴とする、ウレタンホットメルト接着剤組成物。
(式1)
式1中のR1は水素原子又は炭素数1~3のアルキル鎖、R2は水素原子又は炭素素数1~3のアルキル鎖、R3は水素原子又はヒドロキシル基、R4は水素原子又はカルボキシル基、Xは23~29の自然数である。
【請求項2】
前記ポリオール成分(A)が、前記ポリエーテルポリオール(A-2)及び前記結晶性ポリエステルポリオール(A-3)を含む、請求項1に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリオール(a1-1)が、カシューナッツ殻液(カシューナッツ・シェル・リキッド:CNSL)から抽出された下式(2)の構造を有するジオール成分である、請求項1又は2に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物。
(式2)
式2中のR5は炭素数1~3のアルキル鎖、R6は水素原子又は炭素素数1~3のアルキル鎖、R7は水素原子、R8は水素原子又はカルボキシル基、Yは23~29の自然数である。
【請求項4】
前記ポリエーテルポリオール(A-2)は、数平均分子量300~2000である、請求項1~3の何れか一項に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
前記ポリエーテルポリオール(A-2)が、フェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)を含有する、請求項1~4の何れか一項に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
前記フェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)が、ポリオール成分(A)の全量に対して、1~50質量%である、請求項5に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
前記脂肪族カルボン酸(a3-1)の炭素数が10~12であり、前記脂肪族ジオール(a3-2)の炭素数が4~6である、請求項1~6の何れか一項に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
前記結晶性ポリエステルポリオール(A-3)の数平均分子量が1000~5000の範囲内である、請求項1~7の何れか一項に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
加熱脱着装置(Markes社製 TD-100)のガラスチューブに前記ウレタンホットメルト接着剤組成物を入れ、温度90℃時間30分加熱した際に発生したアウトガスをGC/MS(Agilent社製)により分析し、C25までのトルエン換算値が150ppm以下である、請求項1~8の何れか一項に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
発泡体、天然皮革、合成皮革、フィルム、織布又は不織布である基材と、
前記基材上に設けられた、請求項1~9の何れか一項に記載のウレタンホットメルト接着剤組成物由来の接着剤層と、
を有する、車両用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンホットメルト接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のシートクッションの表面に被さる表皮材は、発泡体からなる緩衝層の裏面に裏基布層が形成された積層シートの表面に表皮層を貼着し、さらに縫製することにより作成されている。裏基布層は、縫製時の作業や縫製後にシートクッションに装着する際の作業を良好にするための滑り性向上、及び緩衝層裏面の保護等のために設けられている。
【0003】
ここで、車両のシートクッションには、ウレタン系やナイロン系の極性材料が多く、耐熱性が必要であるため、反応型ウレタンホットメルトが一般的に適用される。このような反応型ウレタンホットメルトを用いた車両用シートについては、例えば、特許文献1で開示されている。
【0004】
しかしながら、車両のシートクッションに使用される接着剤としては、人体に影響を与える有機揮発分が少ないことが望まれている。
【0005】
このような低アウトガス性ホットメルト接着剤として、特許文献2では、低アウトガス性のオレフィン系ホットメルト接着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-136735
【文献】特開2017-31273
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のホットメルト接着剤では、作業性向上のために低溶融粘度としつつも、高剥離強度及び低VOCを備えることは困難であり、車両用シート等の製造において更に有用なホットメルト接着剤が望まれている。
【0008】
そこで本発明は、低溶融粘度、高剥離強度、低VOCを兼ね備えるホットメルト接着剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の構造を有するジオール及びポリカルボン酸を反応させてなるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとを原料とするウレタンプレポリマーを含むウレタンホットメルト接着剤組成物が、前記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は下記の通りである。
【0010】
本発明は、
ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを原料とするウレタンプレポリマーを含むウレタンホットメルト接着剤組成物であって、
前記ポリオール成分(A)は、
下式1で示される構造を有するポリオール(a1-1)及びポリカルボン酸(a1-2)を反応させてなるポリエステルポリオール(A-1)と、
ポリエーテルポリオール(A-2)、又は、脂肪族ジカルボン酸(a3-1)と脂肪族ジオール(a3-2)との縮合反応からなる結晶性ポリエステルポリオール(A-3)のうち少なくとも1種と、
を含む、ウレタンホットメルト接着剤組成物である。
(式1)
式1中のR1は水素原子又は炭素数1~3のアルキル鎖、R2は水素原子又は炭素素数1~3のアルキル鎖、R3は水素原子又はヒドロキシル基、R4は水素原子又はカルボキシル基、Xは23~29の自然数である。
前記ポリオール成分(A)が、前記ポリエーテルポリオール(A-2)及び前記結晶性ポリエステルポリオール(A-3)を含んでもよい。
前記ポリオール(a1-1)が、カシューナッツ殻液(カシューナッツ・シェル・リキッド:CNSL)から抽出された下式(2)の構造を有するジオール成分であってもよい。
(式2)
式2中のR5は炭素数1~3のアルキル鎖、R6は水素原子又は炭素素数1~3のアルキル鎖、R7は水素原子、R8は水素原子又はカルボキシル基、Yは23~29の自然数である。
前記ポリエーテルポリオール(A-2)は、数平均分子量300~2000であってもよい。
前記ポリエーテルポリオール(A-2)が、フェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)を含有してもよい。
前記フェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)が、ポリオール成分(A)の全量に対して、1~50質量%であってもよい。
前記脂肪族カルボン酸(a3-1)の炭素数が10~12であり、前記脂肪族ジオール(a3-2)の炭素数が4~6であってもよい。
前記結晶性ポリエステルポリオール(A-3)の数平均分子量が1000~5000の範囲内であってもよい。
加熱脱着装置(Markes社製 TD-100)のガラスチューブに前記ウレタンホットメルト接着剤組成物を入れ、温度90℃時間30分加熱した際に発生したアウトガスをGC/MS(Agilent社製)により分析し、C25までのトルエン換算値が150ppm以下であってもよい。
また、本発明は、
発泡体、天然皮革、合成皮革、フィルム、織布又は不織布である基材と、
前記基材上に設けられた前記ウレタンホットメルト接着剤組成物由来の接着剤層と、
を有する、車両用部材であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低溶融粘度、高剥離強度、低VOCを兼ね備えるホットメルト接着剤を提供することが可能である。更に、本発明によれば、バイオマス(生物由来資源)を使用することで、環境性に優れるウレタンホットメルト接着剤組成物を提供することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<<<<ウレタンホットメルト接着剤組成物の組成>>>>
ウレタンホットメルト接着剤組成物は、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを原料とするウレタンプレポリマーを含むウレタンホットメルト接着剤組成物である。
【0013】
このようなウレタンホットメルト接着剤組成物を用いると、溶融状態のウレタンプレポリマーが冷却・固化することによって接着性が発現し、さらに、ウレタンプレポリマーの有する未硬化のイソシアネート末端が空気中の水分と反応し、3次元架橋構造を形成することで、より強固な接着性を発現する。
【0014】
なお、ウレタンホットメルト接着剤組成物は、その他の成分を含んでいてもよい。
【0015】
<<<ウレタンプレポリマー>>>
ウレタンプレポリマーは、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを原料とし、これらを反応させることで得られる。より具体的には、ポリイソシアネート成分(B)を化学量論的に過剰量にしてポリオール成分(A)と反応させることで、イソシアネート基末端であるウレタンプレポリマーとなる。
【0016】
ウレタンホットメルト接着剤組成物におけるポリウレタンプレポリマーの含有量は、組成物全体に対して、好ましくは50~95質量%、より好ましくは75~90質量%である。
【0017】
<<ポリオール成分(A)>>
ポリオール成分(A)は、ポリエステルポリオール(A-1)を含み、且つ、ポリエーテルポリオール(A-2)、又は、脂肪族ジカルボン酸(a3-1)と脂肪族ジオール(a3-2)との縮合反応からなる結晶性ポリエステルポリオール(A-3)の少なくとも一方を含む。
【0018】
ポリオール成分(A)は、ポリエーテルポリオール(A-2)及び脂肪族ジカルボン酸(a3-1)と脂肪族ジオール(a3-2)との縮合反応からなる結晶性ポリエステルポリオール(A-3)を共に含むことが好ましいが、このいずれか一方のみを含む形態であってもよい。
【0019】
ポリオール成分(A)の、ウレタンプレポリマー全量に対する含有量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、その下限値を40質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上とすることができ、また、その上限値を95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、とすることができる。ポリオール成分(A)の含有量がかかる範囲にある場合には、ウレタンホットメルト接着剤組成物を硬化させた際に、硬化物の接着強度を高くすることができ、また、硬化物に十分な柔軟性を持たせることが可能となる。
【0020】
次に、ポリエステルポリオール(A-1)、ポリエーテルポリオール(A-2)、結晶性ポリエステルポリオール(A-3)について説明する。
【0021】
<ポリエステルポリオール(A-1)>
ポリエステルポリオール(A-1)は、下式1で示される構造を有するポリオール(a1-1)と、ポリカルボン酸(a1-2)とを、反応させてなるポリエステルポリオールである。
【0022】
(式1)
式1中のR1は水素原子又は炭素数1~3のアルキル鎖、R2は水素原子又は炭素数1~3のアルキル鎖、R3は水素原子又はヒドロキシル基、R4は水素原子又はカルボキシル基、Xは27~30の自然数である。
【0023】
より具体的には、式1で示される構造を有するポリオール(a1ー1)の水酸基と、ポリカルボン酸(a1-2)のカルボキシル基とが、脱水縮合反応して、ポリエステルポリオール(A-1)が形成される。
【0024】
ポリエステルポリオール(A-1)の数平均分子量は、特に限定されないが、接着強度を向上させる観点から、500~10,000の範囲であることが好ましく、700~5,000の範囲がより好ましく、800~3,000の範囲がさらに好ましい。
【0025】
なお、本発明における数平均分子量は、ASTM標準試験D5296に準じたゲル浸透クロマトグラフィーによって求める。
【0026】
ポリエステルポリオール(A-1)の含有量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、ポリオール成分(A)全量に対して、その下限値を10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、とすることができ、また、その上限値を95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下とすることができる。
【0027】
(ポリオール(a1-1))
ポリオール(a1-1)は、式1で示される構造を有する。
【0028】
【0029】
式1中、R1は水素原子又は炭素数1~3のアルキル鎖である。R2は水素原子又は炭素数1~3のアルキル鎖である。R3は水素原子又はヒドロキシル基である。R4は水素原子又はカルボキシル基である。Xは23~29の自然数である。
【0030】
このようなポリオール(a1-1)を用いることで、ウレタンホットメルト接着剤組成物は、構造中にカルダノール由来の比較的大きな側鎖有するため、接着剤組成物が硬化した後にも良好な柔軟性が示し、風合いを向上させることができる。
【0031】
ポリオール(a1-1)は、天然物、合成物、さらにそれらの誘導体として、少なくとも1種類含むことができる。ポリオール(a1-1)は、これらのうちカシューナッツ殻液(カシューナッツ・シェル・リキッド:以下、CNSLと呼ぶ)から抽出された式2の構造を有するジオール成分が好適に用いられる。
【0032】
(式2)
式2中のR5は炭素数1~3のアルキル鎖、R6は水素原子又は炭素素数1~3のアルキル鎖、R7は水素原子、R8は水素原子又はカルボキシル基、Yは23~29の自然数である。
【0033】
CNSLは、再生可能資源材料であり、石油由来ではない出発物質として、植物の果実、堅果及び/又は種子を含む植物由来の出発物質に含まれる。従って、前記ポリオール(a)は、前記CNSLから抽出された式2の構造を有するジオール成分であることが、環境に優しく、生物に基づく材料であるため好適である。
【0034】
(ポリカルボン酸(a1-2))
ポリカルボン酸(a1-2)は、特に限定されず、公知のポリカルボン酸を用いることができる。
【0035】
ポリカルボン酸としては、例えば、飽和又は不飽和の鎖状ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシ酸やオキソポリカルボン酸等を用いることもできる。これらのポリカルボン酸は1つ又は複数のポリカルボン酸を組み合せて用いることができる。
【0036】
飽和、不飽和の鎖状ポリカルボン酸としては、エタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、(E)-ブタ-2-エン二酸(フマル酸)、(E)-ブタ-2-エン二酸(マレイン酸)等のジポリカルボン酸;2-カルボキシプロパ-1-エントリポリカルボン酸(アコニット酸)等のトリポリカルボン酸が挙げられる。
【0037】
芳香族ポリカルボン酸としては、ベンゼン-1,2-ジカルボン酸(フタル酸)、ベンゼン-1,3-ジカルボン酸(イソフタル酸)、ベンゼン-1,4-ジカルボン酸(テレフタル酸)、ベンゼンヘキサジカルボン酸(メリト酸)等のジカルボン酸;トリメリット酸等のトリカルボン酸が挙げられる。
【0038】
ヒドロキシ酸としては、2-ヒドロキシブタン二酸(リンゴ酸)、2-ヒドロキシプロパントリカルボン酸(クエン酸)等が挙げられる。
【0039】
オキソポリカルボン酸としては、2-オキソプロパン酸(ピルビン酸)、2-オキソブタン二酸(オキサロ酢酸)等ポリカルボン酸を挙げることができる。
【0040】
また、ポリカルボン酸(a1-2)として、これらのポリカルボン酸の無水物を用いることもできる。
【0041】
(ポリエステルポリオール(A-1)の調製方法)
ポリオール(a1-1)と、ポリカルボン酸(a1-2)を縮重合させ、ポリエステルポリオール(A-1)を得る方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。例えば、常圧法、加圧法、減圧法、トルエン、キシレンなどの不活性溶剤を使用する溶剤法等の方法を挙げることができる。
【0042】
ポリオール(a1-1)と、ポリカルボン酸(a1-2)の配合比は、これらの種類によって任意に選択することができる。例えば、ポリオール(a1-1)に含まれる水酸基の数、及び、ポリカルボン酸(a1-2)に含まれるカルボキシル基の数、さらにポリカルボン酸(a1-2)がヒドロキシポリカルボン酸のように水酸基を含む場合には水酸基の数を考慮して選択することができる。例えば、ポリオール(a1-1)と、ポリカルボン酸(a1-2)とを反応させる場合には、ポリカルボン酸(a1-2)をポリオール(a1-1)の1~12倍モル量用いることができる。
【0043】
縮重合の反応温度は通常100~260℃、好ましくは150~250℃とすることができる。
【0044】
減圧法を用いる際の真空度は0~150mmHg、好ましくは0~80mmHgとすることができる。
【0045】
<ポリエーテルポリオール(A-2)>
ポリエーテルポリオール(A-2)は、従来公知のものを使用可能であり、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
【0046】
ポリエーテルポリオール(A-2)は、フェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)を含有することが好ましい。
【0047】
フェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)は、多官能フェノール化合物にアルキレンオキシドを付加して得られる。
【0048】
多官能フェノール化合物としては、特に限定されないが、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビスフェノール類の他、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン等が例示できる。多官能フェノール化合物としては、ビスフェノール類であることが好ましい。
【0049】
フェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)は、上述した多官能フェノール化合物の水酸基に対して、所定のアルキレンオキシドを付加することで得られる。
【0050】
アルキレンオキシドとしては、特に限定されず、炭素数2~12のもの等を使用可能である。アルキレンオキシドとしては、より具体的には、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-、2,3-及び1,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン及び3-メチル-テトラヒドロフラン、1,3-プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、α-オレフィンオキシド、置換アルキレンオキシド(スチレンオキシド等)が挙げられる。
【0051】
アルキレンオキシド付加を付加する方法としては、従来公知の方法に従って実施可能であり、例えば、水媒体中で、触媒(例えば、アルカリ金属触媒)の存在下、多官能フェノール化合物にアルキレンオキシドを作用させればよい。
【0052】
ポリエーテルポリオール(A-2)は、数平均分子量が100~4000の範囲内であることが好適であり、150~3000の範囲内であることがより好適であり、300~2000であることが更に好適である。
【0053】
ポリエーテルポリオール(A-2)の含有量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、ポリオール成分(A)全量に対して、その下限値を1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、とすることができ、また、その上限値を80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、45質量%以下等とすることができる。
【0054】
また、ポリエーテルポリオール(A-2)がフェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)を含む場合、フェノール化合物アルキレンオキシド付加物(A-2-1)の含有量は、ポリオール成分(A)全量に対して、1~50質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、3~20質量%であることが更に好ましい。
【0055】
<結晶性ポリエステルポリオール(A-3)>
本発明において、「結晶性ポリエステルポリオール」とは、融点30℃以上であることを示し、「非晶性ポリエステルポリオール」とは、融点30℃以下もしくは存在しないものであることを示す。なおこのような結晶性は、酸・グリコール成分を適宜選択することによって調整可能である。ここで、示差走査熱量計を用いて、温度プログラム25℃⇒‐80℃⇒100℃(昇温速度5℃/min)における‐80℃⇒100℃範囲での融解ピークを融点とする。
【0056】
結晶性ポリエステルポリオール(A-3)は、脂肪族ジカルボン酸(a3-1)と脂肪族ジオール(a3-2)との縮合反応から得られたものであり、且つ、結晶性を有するものであれば特に限定されない。
【0057】
脂肪族ジカルボン酸(a3-1)が炭素数10~12であり、脂肪族ジオール(a3-2)が炭素数4~6であることが好ましい。
【0058】
炭素数10~12の脂肪族ジカルボン酸(a3-1)としては、デカン二酸(セバシン酸、C10)、ウンデカン二酸(C11)及びドデカン二酸(C12)が挙げられる。
【0059】
炭素数4~6の脂肪族ジオール(a3-2)としては、ブタンジオール(例えば、1,3-ブタンジオールや1,4-ブタンジオール等)、ペンタンジオール(例えば、1,5-ペンタンジオール等)及びヘキサンジオール(例えば、1,6-ヘキサンジオール等)が挙げられる。
【0060】
結晶性ポリエステルポリオール(A-3)は、数平均分子量が、1000~5000の範囲内であることが好適であり、2000~4500の範囲内であることがより好適である。
【0061】
結晶性ポリエステルポリオール(A-3)の含有量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、ポリオール成分(A)全量に対して、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、とすることができ、また、その上限値を90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下等とすることができる。
【0062】
<<その他のポリオール(A-4)>>
ポリオール成分(A)は、ポリエステルポリオール(A-1)、ポリエーテルポリオール(A-2)、結晶性ポリエステルポリオール(A-3)以外のポリオール(A-4)を含んでもよい。
【0063】
ポリオール(A-4)としては、例えば、ポリエステルポリオール(A-1)及び結晶性ポリエステルポリオール(A-3)以外のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリジエン系ポリオール、水添ポリジエンポリオール等が挙げられる。ポリオール(A-4)は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0064】
ポリエステルポリオール(A-1)及び結晶性ポリエステルポリオール(A-3)以外のポリエステルポリオールとしては、ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0065】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものが挙げられる。
【0066】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、ポリカルボン酸と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等とを脱水縮合反応で得られるものが挙げられる。
【0067】
ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸;又はこれらの酸エステル;を挙げることができる。これらは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
【0068】
ポリオール(A-4)の含有量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、ポリオール成分(A)全量に対して、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、又は0質量%とすることができる。
【0069】
<<ポリイソシアネート成分(B)>>
ポリイソシアネート成分(B)は、本発明の効果が阻害されない限りにおいて、特に限定されない。
【0070】
例えば、2官能のポリイソシアネートとしては、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、等の芳香族系のもの、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式のもの、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のアルキレン系のもの;3官能以上のポリイソシアネートとしては、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等;及びこれらの変性体や誘導体等;が挙げられる。また、これらのポリイソシアネートは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
【0071】
ここで、ウレタンプレポリマーのNCO基含有率は、特に限定されないが、好ましくは0.3%~3.5%であり、より好ましくは1.2%~2.5%である。このような範囲とすることで、作業中の発泡等を抑制しつつも、湿気による硬化を促進することが可能となる。なお、NCO基含有率は、JIS K1603-1に記載のA法(ジブチルアミン/トルエン/塩酸法)に従って測定することができる。
【0072】
ウレタンプレポリマー中、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)との配合量比は、ポリイソシアネート成分(B)が有するイソシアネート基とポリオール成分(A)が有する水酸基との当量比(以下、[イソシアネート基/水酸基]の当量比という。)が、1.1~5.0の範囲内であることが好ましく、1.5~3.0の範囲内であることがより好ましい。
【0073】
<<<その他添加剤>>>
ウレタンホットメルト接着剤組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した各成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、界面活性剤、充填剤、可塑剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、抗菌剤、光安定剤、安定剤、分散剤、溶剤等が挙げられる。
【0074】
<<<<ウレタンホットメルト接着剤組成物の製造方法>>>>
ウレタンホットメルト接着剤組成物の製造方法は、公知の方法であればよく特に限定されない。
【0075】
例えば、所定量のポリイソシアネート成分(B)の入った反応容器に、所定量のポリオール成分(A)を滴下した後に加熱し、ポリイソシアネート成分(B)の有するイソシアネート基が、ポリオールの有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させ、ウレタンプレポリマーを調製し、撹拌することで、ウレタンホットメルト接着剤組成物を製造する方法が挙げられる。
【0076】
反応は通常50~120℃、好ましくは60~100℃の温度で行われる。反応時間は通常1~15時間である。
【0077】
ウレタンプレポリマーは、通常、無溶剤下で製造することができるが、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを有機溶剤中で反応させることによって製造してもよい。
【0078】
有機溶剤中で反応させる場合には、反応を阻害しない酢酸エチル、酢酸n-ブチル、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶剤を使用することができるが、反応の途中又は反応終了後に減圧加熱等の方法により有機溶剤を除去することが必要である。
【0079】
ウレタンプレポリマーを製造する際には、必要に応じてウレタン化触媒を使用することができる。
【0080】
ウレタン化触媒は、反応の任意の段階で、適宜加えることができる。
【0081】
ウレタン化触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン及びN-メチルモルホリンなどの含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛及びオクチル酸錫などの金属塩;ジブチル錫ジラウレートなどの有機金属化合物を使用することができる。
【0082】
以上の方法によって得られたウレタンプレポリマーの数平均分子量としては、特に限定されないが、1,000~50,000であることが好ましく、3,000~10,000の範囲であることがより好ましい。
【0083】
<<<<ウレタンホットメルト接着剤組成物の物性及び性質>>>>
<<<VOC>>>
ウレタンホットメルト接着剤組成物は、加熱脱着装置(Markes社製 TD-100)のガラスチューブに前記ウレタンホットメルト接着剤組成物を入れ、温度90℃時間30分加熱した際に発生したアウトガスをGC/MS(Agilent社製)により分析し、C25までのトルエン換算値を、150ppm以下、100ppm以下、又は、50ppm以下とすることができる。
【0084】
<<<溶融粘度>>>
ウレタンホットメルト接着剤組成物は、Brookfield社のブルックフィールドデジタル粘度計LVDV-I+に接続したローターNo.4を、円筒状ガラス容器中の140℃に加熱溶融した試料150±15gに入れ、測定した溶融粘度を、20,000mPa・s以下、15,000mPa・s以下、又は、10,000mPa・s以下とすることができる。
【0085】
<<<<ウレタンホットメルト接着剤組成物の使用方法及び用途>>>>
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、加熱して溶融することにより公知の方法で塗布することができる。例えば、刷毛、へら、シリンジ、シーリングガン、ディスペンサー、などを用いて塗布することができる。特に、本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、低溶融粘度とすることが可能であるため、非接触方式(例えば、スプレー方式)を用いて塗布することも可能である。
【0086】
ホットメルト接着剤組成物は、塗布されたのち、冷却により固化し、その後、大気中などの湿気(水分)とイソシアネート基が反応し、架橋することで硬化が進み接着する。
【0087】
ホットメルト接着剤組成物は、高剥離強度、低VOCであり、更には風合いに優れたものとすることも可能であるため、撚れや振動が発生し易く、且つ、生体に接触しやすい箇所等に適用可能である。また、低溶融粘度であることから作業性に優れるため、広い面積の接着を要する分野や、連続的な製造を行う分野にも適用可能である。
【0088】
ホットメルト接着剤組成物は、より具体的には、接着剤、シーリング材、プライマー、塗料、コーティング剤などの種々の用途に使用可能であり、アパレル製品やテキスタイル、紙おむつ、軽失禁用ギャザー等の部材の接着用途などの、身に着けるものの部材として用いられる用途に適している。
【0089】
ウレタンホットメルト接着剤組成物は、発泡体、天然皮革、合成皮革、フィルム、織布及び不織布を基材とし、これらの基材同士又はこれらの基材と別部材とを接着させて形成される、車両用部材(特に、車両内装用部材)の形成用として適する。別の観点からは、ウレタンホットメルト接着剤組成物を使用して、発泡体、天然皮革、合成皮革、フィルム、織布又は不織布である基材と、基材上に設けられたウレタンホットメルト接着剤組成物由来の接着剤層とを有する、車両用部材(特に、車両用内装部材)を得ることができる。ウレタンホットメルト接着剤組成物を使用して得られた車両用部材は、十分な接着強度を有しつつも、環境性に優れ、人体への影響を低減させることができる。
【実施例】
【0090】
次に、実施例及び比較例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらには何ら限定されない。
【0091】
<<<組成>>>
原料として以下に示すものを使用した。
【0092】
<<ポリオール成分(A)>>
<ポリエステルポリオール(A-1)>
後述する方法により得られたカルダノール由来エステル
<エーテルポリオール(Aー2)>
・ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物(BP/PO)
・ポリプロピレングリコール(PPG)
<結晶性ポリエステルポリオール(A-3)>
・セバシン酸とヘキサンジオールとの縮合物(SA/HD)
・ドデカン二酸とヘキサンジオールとの縮合物(DDA/HD)
<<ポリイソシアネート成分(B)>>
・ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
【0093】
(カルダノール由来エステルの調製)
CNSLから抽出されたカルダノールから誘導された化合物である下式(3)と、アジピン酸と、をモル比が、4:1となるように配合し、縮重合させることで得た。
【0094】
【0095】
各ポリオール成分(A)の数平均分子量を表に示す。
【0096】
<<ウレタンホットメルト接着剤組成物の調製>>
各実施例及び各比較例の組成物の調製方法を示す。なお、各接着剤組成物の組成は、表に示されたものである。
【0097】
反応容器に、所定量のポリオール成分(A)を反応器へ投入し、ポリイソシアネート成分(B)を添加したのち、80℃に加熱し、攪拌しながら3~4時間反応させ、NCO基含有率が1.8%、数平均分子量が4500~9000の範囲内となるように、ウレタンプレポリマーを調整した。
【0098】
<<評価方法>>
下記評価方法による測定結果を表に示す。あわせて、各評価の評価基準、及び、車両用とした場合を考慮した各評価の重み付けの方法を表に示す。
【0099】
<VOC>
加熱脱着装置(Markes社製 TD-100)のガラスチューブにウレタンホットメルト接着剤組成物を入れ、温度90℃時間30分加熱した際に発生したアウトガスをGC/MS(Agilent社製)により分析し、C25までのトルエン換算値を測定した。
【0100】
<初期剥離強度>
ウレタンフォーム(150×25×5mm)にハンドガン(REAK製)で140℃に溶融したホットメルト接着剤20g/m2でスプレー塗布し、表皮材を圧着する。30秒後にフォースゲージを用いて剥離強度を測定し、最大値・最小値それぞれ3点の平均化した数値をN=3の中央値で算出した。
【0101】
<溶融粘度>
Brookfield社のブルックフィールドデジタル粘度計LVDV-I+に接続したローターNo.4を、円筒状ガラス容器中の140℃に加熱溶融した試料150±15gに入れ、測定を行った。
【0102】