(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】改善された微生物検出および抗微生物薬感受性検査のためのRNASE
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6813 20180101AFI20230317BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230317BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20230317BHJP
【FI】
C12Q1/6813 Z
C12Q1/02 ZNA
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2019551254
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(86)【国際出願番号】 US2017064774
(87)【国際公開番号】W WO2018111630
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-03
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519203149
【氏名又は名称】マイクロウブデックス、インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーケ、デイビッド、エー.
(72)【発明者】
【氏名】ガッシン、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】モンティ、ゲイブリエル ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャーチル、バーナード エム.
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌を含む試料が抗生物質に感受性であるかどうかを判定する方法であって、
該方法が、
(a)
該試料から得られた検体
を、抗生物質の存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がリボソームRNA(rRNA)を加水分解するRNaseを含む上記ステップと;
(b)
該試料から得られた検体を、該抗生物質の非存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がrRNAに対して酵素的に活性なRNaseを含む上記ステップと;
(c)rRNaseを不活性化し、次いで(a)および(b)の検体中のrRNAの相対量を測定するステップと;
(d)ステップ
(c)におけるステップ(a)
の検体中で測定されたrRNAの
相対量が
、ステップ(c)におけるステップ(b
)の検体中で測定されたrRNAの
相対量と比較して減少している場合、
該試料を抗生物質処理に感受性であると特定するステップと
を含む、上記方法。
【請求項2】
ステップ(c)におけるステップ(a)および(b)の
検体中のrRNAの相対量の測定が、rRNAとのオリゴヌクレオチドプローブの特異的ハイブリダイゼーションの検出を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
オリゴヌクレオチドプローブが10~50ヌクレオチド長であり、かつrRNAの標的配列の全長にわたってrRNAとハイブリダイズする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
RNaseがRNase A、RNase T1、RNase I、RNase VIおよびRNase IIIからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
rRNAが細菌rRN
Aを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
抗生物質がホスホマイシンまたはβラクタム系抗生物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
rRNaseを不活性化することが、ステップ(c)の測定の前に水酸化ナトリウム(NaOH)を増殖培地に添加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
抗生物質感受性検査の感度を向上させる方法であって、
該方法が、
(a)
細菌を含む試料から得られた検体
を、抗生物質の存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がリボソームRNA(rRNA)を加水分解するRNaseを含む上記ステップと;
(b)
該試料から得られた検体を、抗生物質の非存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がrRNAに対して酵素的に活性なRNaseを含む上記ステップと;
(c)rRNaseを不活性化し、次いで(a)および(b)の検体中のrRNAの相対量を測定するステップと;
(d)
ステップ(c)におけるステップ(a)
の検体中で測定されたrRNAの相対量が
、ステップ(c)におけるステップ(b)
の検体中で測定されたrRNAの
相対量と比較して減少している場合、
該試料を抗生物質処理に感受性であると特定するステップと
を含む、上記方法。
【請求項9】
rRNAアッセイの感度を向上させる方法であって、
該方法が、
(a)
rRNAを含む生細胞を含む試料にrRNAを加水分解するRNaseを導入するステップと;
(b)生細胞からrRNAを放出する前にRNaseを不活性化するステップと;
(c)生細胞からrRNAを放出させた後に試料中のrRNAの量を測定するステップと
を含む、上記方法。
【請求項10】
請求項8のステップ(c)の不活性化、及び請求項9のステップ(b)の不活性化が、試料をNaOHと接触させることによって行われる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗生物質
が、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、ホスホマイシン、糖ペプチ
ド、リポペプチ
ド、モノバクタム、
およびペニシリ
ンからなる群から選択される
少なくとも2種の抗生物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
セファロスポリンが、第一世代セファロスポリン、第二世代セファロスポリン、第三世代セファロスポリン、第四世代セファロスポリンおよび第五世代セファロスポリンからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗生物質
が、セファゾリン、セフトリアキソン、セフェピム、アンピシリン、イミペネ
ム、ホスホマイシン、ピペラシリン、タゾバクタム、アモキシシリン
、およびクラブラン酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記抗生物質
が、セファゾリン、セフトリアキソン、セフェピム、アンピシリン、イミペ
ネム、ホスホマイシン、ピペラシリン、タゾバクタム、アモキシシリン
、およびクラブラン酸塩からなる群から選択される
少なくとも2種の抗生物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記抗生物質がβ-ラクタマーゼ阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
β-ラクタマーゼ阻害剤が、クラブラン酸塩、スルバクタム、タゾバクタム、アビバクタム、レレバクタム、テビペネム、γ-メチリデンペネム
、およびホウ素系遷移状態阻害剤からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
β-ラクタマーゼ阻害剤が、β-ラクタム系抗生物質を伴う、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
RNaseがRNase A、RNase T1、RNase I、RNase VIおよびRNase IIIからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
増殖培地中のRNaseの濃度が0.01~10μg/mlである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
政府支援の承認
本発明は、国立衛生研究所によって与えられた助成金番号AI109889の下で政府支援を受けてなされた。政府は本発明における一定の権利を有する。
【0002】
臨床検体中の抗生物質耐性細菌性病原体を迅速に、簡便にかつ正確に検出および同定して感染性疾患の診断および治療を導く方法の開発が緊急に必要とされている。抗生物質治療が病原体の同定およびその抗生物質感受性に基づいている場合に最良の結果が得られる。疾患の重篤性に関する懸念から、しばしばこの情報が利用可能になる前に治療が開始される。個々の抗生物質の有効性は、抗生物質に対する細菌性病原体の耐性によって異なる。抗生物質感受性についての迅速なアッセイの利用可能性によって治療結果は有意に改善され得る。
【0003】
リボソームRNAは、細菌細胞中に豊富に存在するため、またプローブハイブリダイゼーションへの種特異的サイン配列の入手可能性のために、病原体検出システムのための優れた標的分子である。非特異的バックグラウンドシグナルを最小限に抑えるために高感度の表面化学的方法と組み合わせると、このようなrRNAプローブハイブリダイゼーションセンサーは1ml当たりわずか100個の細菌を検出することができる。アッセイのダイナミックレンジ内で、細菌溶解物中の標的rRNA分子の濃度とアッセイシグナルとの間に対数-対数相関があるので、細菌密度の推定が可能である。rRNA検出に基づく細菌定量方法の正確性は、微生物種およびその増殖期に応じた細胞1個当たりのrRNA分子の数の変動によって緩和される。大腸菌(E.coli)では、細胞1個当たりのrRNAコピー数が、対数増殖期の約100000から静止期の5000未満まで異なると推定されている(Halford,C.ら、Antimicrob.Agents Chemother.57(2):936~43(2013).PMID:23229486)。
【0004】
細菌性病原体および抗生物質処理に対する細菌感受性を検出する改善された方法、ならびにrRNAを測定する方法の感度を向上させるために遊離rRNAを含有する試料のバックグラウンドを減少させる方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、一般に、細菌を検出するための、ならびに体液および他の試料検体中の細菌の抗生物質感受性を検査および判定するための、材料および方法に関する。本発明はまた、抗微生物薬に対する細菌の生理学的応答を監視するための、ならびにrRNAなどのRNAの検出および/または測定を含むアッセイのバックグラウンドを減少させ、その感度を高めるための、材料および方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】臨界限界(Lc)および検出限界(Ld)に対するRNaseの効果を示すグラフである。
【
図2】抗生物質、すなわちアンピシリン(Amp)、セファゾリン(Cef)、セフトリアキソン(Ctrx)およびホスホマイシン(Fom)に対する耐性(赤色矢印)および感受性(黒色矢印)のrRNA応答に対するRNaseの効果を示すグラフである。P値は各抗生物質の下に示されている。
【
図3】128μg/ml、64μg/mlおよび32μg/mlのホスホマイシンに対する耐性(赤色矢印)および感受性(黒色矢印)のrRNA応答に対するRNaseの効果を示すグラフである。P値は同様に使用した各ホスホマイシン濃度の上に示されている。
【
図4】アンピシリン(Amp)で処理された大腸菌(Escherichia coli)についての1μg/mlのRNaseを用いたおよび用いない抗微生物薬感受性検査の比較を示す図である。
【
図5】セファゾリン(Cef)で処理された大腸菌(Escherichia coli)についての1μg/mlのRNaseを用いたおよび用いない抗微生物薬感受性検査の比較を示す図である。
【
図6】セフェピム(Cpm)で処理された大腸菌(Escherichia coli)についての1μg/mlのRNaseを用いたおよび用いない抗微生物薬感受性検査の比較を示す図である。
【
図7】セフトリアキソン(Ctrx)で処理された大腸菌(Escherichia coli)についての1μg/mlのRNaseを用いたおよび用いない抗微生物薬感受性検査の比較を示す図である。
【
図8】セフトリアキソン(Ctrx)で処理された肺炎桿菌(K.pneumoniae)についての1μg/mlのRNaseを用いたおよび用いない抗微生物薬感受性検査の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、2つの驚くべき、反直感的な発見に基づいている:第1に、標的分析物(rRNA)を分解する酵素(RNase)を使用してその分析物の検出を補助することができる。対照的に、従来のやり方は、RNAのアッセイからRNaseを排除するものである。本発明は、微生物(microbe)または微生物(microorganism)を検出、同定し、これらに対する抗微生物薬感受性検査(AST)を実施するためにrRNAを標的とする検査に使用するための新たな方法を提供する。典型的なアッセイでは、rRNAのレベルは、試料溶解ならびにrRNAと捕捉および検出プローブとのハイブリダイゼーションによって測定される。一実施形態では、検出プローブが、酵素的(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)または光学的(例えば、蛍光、生物発光)特徴を有するシグナル伝達分子に連結される。生細胞由来ではない遊離rRNAを含有する試料はバックグラウンドを増加させ、信号雑音比を低下させ、検出限界を増加させる。検出下限は微生物を検出するように設計された診断検査の感度を向上させる。抗生物質に対するrRNA応答に基づく表現型ASTには、感度も重要である。
【0008】
第2の反直感的な発見は、標的分析物(rRNA)を分解する酵素(RNase)を使用して、抗生物質に対する細菌の感受性をより迅速に判定することができ、ここではその分析物が抗生物質に対する表現型応答の代理マーカーとして利用されるというものである。細菌懸濁液を、抗生物質を含むまたは含まない増殖培地に接種し、引き続いて37℃でインキュベートする。インキュベーション期間の終わりに、抗生物質を含む場合と含まない場合のrRNAレベルの比較によって、細菌分離株が試験した抗生物質に対して感受性であるか耐性であるかを判定することが可能になる。βラクタム系抗生物質およびホスホマイシンなどの、細菌の細胞壁に作用する抗生物質の場合、RNaseは、細菌が感受性である抗生物質にさらされた細菌のrRNAを分解する。ASTでのrRNAの分解は、耐性細菌と感受性細菌を区別するのに役立ち、患者の微生物が感受性である抗生物質による治療を可能にする結果に至るまでの時間を加速させる。
【0009】
RNaseは、rRNAを直接測定する場合のバックグラウンドを減らし、感度を向上させる一般的な手段として、または抗微生物薬感受性の指標として、または遊離rRNAの存在によって影響を受ける他のアッセイとしても使用することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、微生物が原核生物である。いくつかの実施形態では、原核生物がグラム陰性菌である。いくつかの実施形態では、原核生物がグラム陽性菌である。
【0011】
いくつかの実施形態では、微生物が真菌(例えば、カンジダ)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の抗微生物薬が抗真菌剤である。いくつかの実施形態では、抗真菌剤が殺真菌剤である。いくつかの実施形態では、抗真菌剤が静真菌剤である。いくつかの実施形態では、抗真菌剤がトリアゾール抗真菌剤である。いくつかの実施形態では、トリアゾール抗真菌剤がフルコナゾールおよびイトラコナゾールの群から選択される。
【0012】
定義
本出願で使用される全ての科学的および技術的用語は、特に指定されない限り、当技術分野で一般的に使用される意味を有する。本出願で使用する場合、以下の単語または句は指定される意味を有する。
【0013】
本明細書で使用する場合、「細胞壁活性抗生物質」とは、細菌細胞壁または細胞膜を標的とする抗菌剤を指す。いくつかの実施形態では、細胞壁活性抗生物質がβ-ラクタムであり、これにはペニシリン、セファロスポリン、カルバペネムおよびモノバクタムが含まれる。いくつかの実施形態では、細胞壁活性抗生物質が糖ペプチドまたはホスホマイシンである。膜活性抗生物質には、ダプトマイシン、コリスチン、ポリミキシンB、モネンシンおよびサリノマイシンが含まれる。
【0014】
「核酸」または「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態のヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーの配列を指し、特に限定されない限り、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で核酸とハイブリダイズする天然ヌクレオチドの公知の類似体を包含する。
【0015】
本明細書で使用される「プローブ」という用語は、rRNA標的領域とハイブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドを意味する。プローブ対において、一方のプローブはrRNA標的上に存在するヌクレオチドと相補的であり、他方のプローブは隣接するrRNA標的領域上のヌクレオチドと相補的である。プローブは、少なくとも約11ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも約16ヌクレオチド長および約35ヌクレオチド長以下のrRNA標的領域とハイブリダイズすることができる。プローブ自体は、プライマー-標的ハイブリダイゼーション領域よりも長くてもよく、最大50ヌクレオチド長までであり得る。プローブ対によって結合されたハイブリダイゼーション領域の全長は、少なくとも22ヌクレオチド長および70ヌクレオチド長以下である。典型的には、ハイブリダイゼーション領域は、プローブがハイブリダイズする標的ポリヌクレオチドと少なくとも約80%の配列同一性、好ましくは少なくとも約90%の配列同一性を有する。「プローブ」は、組換え方法を介して、またはPCR増幅によって、天然にまたは合成的に産生され、目的の別のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドであり得る。プローブは一本鎖または二本鎖であり得る。プローブ対の例は、全ての微生物からrRNAを検出するユニバーサルプローブ対、家族または微生物属に共通のrRNAを検出する群特異的プローブ対、および単一種からのrRNAのみを検出する種特異的プローブ対である。典型的には、プローブ対は捕捉プローブおよび検出プローブからなり、捕捉プローブは標的分子を表面またはビーズに固定し、検出プローブは電気化学的または光学的検出などの検出機構を可能にする。
【0016】
本明細書で使用する場合、「活性フラグメント」という用語は、標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするという同じ機能を果たすことができるオリゴヌクレオチドの実質的な部分を指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、「ハイブリダイズする」、「ハイブリダイズしている」、および「ハイブリダイゼーション」は、オリゴヌクレオチドが標準条件下で標的DNA分子と非共有結合的相互作用を形成することを意味する。標準的なハイブリダイズ条件は、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーが標的DNA分子とハイブリダイズすることを可能にする条件である。このような条件は、当業者に周知の技術を使用して、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーおよび標的DNA分子について容易に決定される。標的ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、一般に、オリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブと相補的な(以下に定義される)配列である。ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、非共有結合的相互作用の形成を妨害しない非ハイブリダイズヌクレオチドを含み得る。オリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブの非ハイブリダイズヌクレオチドは、ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの末端にまたはハイブリダイズするオリゴヌクレオチド内に位置し得る。したがって、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーは、標準的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションがある限り、標的配列の全てのヌクレオチドに相補的である必要はない。ハイブリダイゼーションは、非特異的ハイブリダイゼーションを防ぐのに十分なストリンジェンシーを有する、25℃で1Mリン酸緩衝液などの緩衝液および温度におけるプローブとそのrRNA標的との間の相互作用として定義することができる。
【0018】
本明細書で使用される「相補体」および「相補的」という用語は、1つのDNA分子上のアデニンが第2のDNA分子上のグアニンと塩基対を形成し、1つのDNA分子上のシトシンが第2のDNA分子上のチミンと塩基対を形成する、2つのヌクレオチド分子が互いに塩基対を形成する能力を指す。1つのDNA分子中のヌクレオチド配列が第2のDNA分子中のヌクレオチド配列と塩基対を形成することができる場合、2つのDNA分子は互いに相補的である。例えば、2つのDNA分子5’-ATGCおよび5’-GCATは相補的であり、DNA分子5’-ATGCの相補体は5’-GCATである。相補体および相補的という用語はまた、1つのDNA分子が第2のDNA分子上に存在する少なくとも1つのヌクレオチドと塩基対を形成しない少なくとも1つのヌクレオチドを含む、2つのDNA分子を包含する。例えば、2つのDNA分子5’-ATTGCおよび5’-GCTATのそれぞれの3番目のヌクレオチドは塩基対を形成しないが、これら2つのDNA分子は本明細書で定義されるように相補的である。典型的には、2つのDNA分子が上に言及される標準的な条件下でハイブリダイズする場合、それらは相補的である。典型的には、2つのヌクレオチド分子が少なくとも約80%の配列相補性、好ましくは少なくとも約90%の配列相補性を有する場合、それらは相補的である。プローブは、標的配列と100%の配列相補性を有し得る。相補性は合成ヌクレオチドの使用を含み得る。
【0019】
本方法で使用されるプローブは、真正細菌性/ユニバーサルグラム陰性であり得る:
【数1】
【0020】
本明細書で使用する場合、「a」または「an」は、特に明確に指示されない限り、少なくとも1つを意味する。
【0021】
本明細書で使用する場合、状態もしくは疾患を「予防する」また状態もしくは疾患「から保護する」とは、状態または疾患の発症または進行を妨げる、減少させる、または遅延させることを意味する。
【0022】
本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、天然に存在するDNAフラグメント、DNA分子、コード配列もしくはオリゴヌクレオチドがその天然の環境から除去される、または合成分子もしくはクローニング産物であることを意味する。好ましくは、DNAフラグメント、DNA分子、コード配列またはオリゴヌクレオチドは精製されている、すなわち、任意の他のDNAフラグメント、DNA分子、コード配列またはオリゴヌクレオチドおよび関連する細胞産物または他の不純物を本質的に含まない。
【0023】
本発明の方法
本発明は、数ある革新の中でも、rRNAをアッセイする、抗微生物薬に対する感受性を判定する、およびこのようなアッセイの感度を向上させる方法を提供する。
【0024】
一実施形態では、本発明は、細菌の試料が抗生物質に感受性であるかどうかを判定する方法を提供する。
【0025】
一実施形態では、本方法は、(a)試料から得られた検体を、抗生物質の存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がリボソームRNA(rRNA)を加水分解するRNaseを含むステップと;(b)試料から得られた検体を、抗生物質の非存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がrRNAに対して酵素的に活性なRNaseを含むステップとを含む。本方法は、(c)(a)および(b)の検体中のrRNAの相対量を測定し;ステップ(a)で測定されたrRNAの量がステップ(b)で測定されたrRNAの量と比較して減少している場合、試料を抗生物質処理に感受性であると特定するステップをさらに含む。
【0026】
一実施形態では、本方法は、(a)試料から得られた検体を、細胞壁活性抗生物質の存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がリボソームRNA(rRNA)を加水分解するRNaseを含むステップと;(b)試料から得られた検体を、抗生物質の非存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がrRNAに対して酵素的に活性なRNaseを含むステップとを含む。本方法は、(c)(a)および(b)の検体中のrRNAの相対量を測定し;ステップ(a)で測定されたrRNAの量がステップ(b)で測定されたrRNAの量と比較して減少している場合、試料を抗生物質処理に感受性であると特定するステップをさらに含む。
【0027】
この方法では、増殖培地1ml当たり0.01~10μgのRNaseという広範囲のRNase濃度を使用することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、この方法で使用されるRNase濃度が、増殖培地1ml当たり0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9または9.5μgのRNaseである。
【0029】
上記範囲で試験した全ての濃度が遊離rRNAの掃去に有効であったが、増殖培地1ml当たり1μgのRNaseが、試料(a)と(b)との間の相対的rRNA差の最大の増強をもたらした。
【0030】
一実施形態では、この方法で使用されるRNase濃度が、増殖培地1ml当たり1μgのRNaseである。
【0031】
いくつかの実施形態では、測定が、rRNAとのオリゴヌクレオチドプローブの特異的ハイブリダイゼーションの検出を含む。1つの代表的な実施形態では、プローブが10~50ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、プローブが、rRNAの標的配列の全長にわたってrRNAとハイブリダイズする。一実施形態では、プローブが25~30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、検出が、捕捉プローブと検出プローブの2つのプローブのハイブリダイゼーションを含む。一実施形態では、捕捉プローブと検出プローブを合わせた長さが50~60ヌクレオチドである。一実施形態では、捕捉プローブと検出プローブを合わせた長さが40~60ヌクレオチドである。一実施形態では、捕捉プローブと検出プローブを合わせた長さが30~60ヌクレオチドである。一実施形態では、捕捉プローブと検出プローブを合わせた長さが20~60ヌクレオチドである。一実施形態では、RNaseがRNase Aである。いくつかの実施形態では、RNaseがRNase T1、RNase I、RNase VIまたはRNase IIIである。RNase VIは、rRNAなどの二本鎖(すなわち、高度に構造化された)RNAに作用する。RNase IIIは成熟rRNAではなくプレrRNAに特異的に作用する。多くのRNaseはrRNAに対していくらかの活性を有し、当業者であれば選択された実施形態のために適切なRNaseを選択することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、本方法が、試料を捕捉プローブと接触させるステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが複数の核酸を含む捕捉配列を含む。いくつかの実施形態では、複数の核酸が1つまたは複数のデオキシリボ核酸(DNA)を含む。いくつかの実施形態では、複数の核酸が1つまたは複数のペプチド核酸(PNA)を含む。いくつかの実施形態では、複数の核酸が1つまたは複数のロックされた核酸(locked nucleic acid)(LNA)を含む。いくつかの実施形態では、捕捉配列の少なくとも一部が微生物由来の核酸分子の少なくとも一部と相補的である。
【0033】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブがデオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)の少なくとも1つまたはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブがDNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが複数のDNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のDNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが1つまたは複数のPNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが複数のPNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のPNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが1つまたは複数のLNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが複数のLNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉プローブが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のLNAを含む。いくつかの実施形態では、捕捉配列の少なくとも一部が微生物由来の核酸分子の少なくとも一部と相補的である。
【0034】
いくつかの実施形態では、検出プローブが1つまたは複数の核酸を含む。いくつかの実施形態では、核酸が1つまたは複数の修飾オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが複数の核酸を含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態では、検出プローブがデオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)の少なくとも1つまたはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが1つまたは複数のDNAを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが複数のDNAを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のDNAを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが1つまたは複数のPNAを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが複数のPNAを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のPNAを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが1つまたは複数のLNAを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが複数のLNAを含む。いくつかの実施形態では、検出プローブが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のLNAを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、検出プローブが検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識が放射性核種、酵素標識、化学発光標識、ハプテンおよび蛍光標識から選択される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識が蛍光分子である。いくつかの実施形態では、蛍光分子が、フルオロフォア、シアニン色素および近赤外(NIR)色素から選択される。いくつかの実施形態では、蛍光分子がフルオレセインである。いくつかの実施形態では、蛍光分子がフルオレセインイソチオシアナート(FITC)である。いくつかの実施形態では、検出可能な標識がハプテンである。いくつかの実施形態では、ハプテンが、DCC、ビオチン、ニトロピラゾール、チアゾールスルホンアミド、ベンゾフラザンおよび2-ヒドロキシキノキサリンから選択される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識がビオチンである。
【0036】
いくつかの実施形態では、微生物が原核生物である。いくつかの実施形態では、原核生物がグラム陰性菌である。いくつかの実施形態では、原核生物がグラム陽性菌である。いくつかの実施形態では、原核生物がマイコバクテリアである。
【0037】
いくつかの実施形態では、微生物が真菌(例えば、カンジダ)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の抗微生物薬が抗真菌剤である。いくつかの実施形態では、抗真菌剤が殺真菌剤である。いくつかの実施形態では、抗真菌剤が静真菌剤である。いくつかの実施形態では、抗真菌剤がトリアゾール抗真菌剤である。いくつかの実施形態では、トリアゾール抗真菌剤がフルコナゾールおよびイトラコナゾールの群から選択される。
【0038】
いくつかの実施形態では、複数の接種材料の各接種材料が容器内にある。いくつかの実施形態では、容器が組織培養プレートのウェルである。いくつかの実施形態では、組織培養プレートが複数のウェルを含む。いくつかの実施形態では、組織培養プレートが6、12、24、48、96またはそれ以上のウェルを含む。
【0039】
rRNAの例としては、それだけに限らないが、細菌rRNAおよび真菌rRNAが挙げられる。細菌rRNAの例としては、プレrRNA、5S rRNA、16S rRNA、23S rRNAが挙げられる。真菌rRNAの例としては、プレrRNA、5.8S rRNA、18S rRNA、25S rRNAが挙げられる。いくつかの実施形態では、抗生物質剤がホスホマイシンまたはβラクタム系抗生物質である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本方法が、各接種材料または複数の接種材料を37℃でインキュベートするステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、接種材料を少なくとも15、30、60、90、120、150、180、210、240、270、300、360、420もしくは480分またはそれ以上インキュベートする。いくつかの実施形態では、各接種材料または複数の接種材料を、480分未満、420分未満、360分未満、300分未満、270分未満、240分未満、210分未満、180分未満、150分未満、120分未満、90分未満、60分未満または30分未満インキュベートする。いくつかの実施形態では、各接種材料または複数の接種材料を、120分間、90分間または60分間インキュベートする。
【0041】
本明細書に開示される方法は、1種または複数の抗生物質の使用を含む。1種または複数の抗微生物薬の使用は、1種または複数の抗生物質を含有する細胞培養培地中で、微生物を含む接種材料を製造することを含み得る。1種または複数の抗生物質の使用は、1種または複数の抗生物質を含有する細胞培養培地中で、微生物を含む接種材料を得ることを含み得る。1種または複数の抗生物質の使用は、微生物を1種または複数の抗生物質剤にさらすことを含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、抗生物質が殺微生物抗生物質である。いくつかの実施形態では、抗生物質は静微生物抗生物質である。いくつかの実施形態では、抗生物質が、アミノグリコシド系抗生物質、βラクタム系抗生物質、アンサマイシン系抗生物質、マクロライド系抗生物質、スルホンアミド系抗生物質、キノロン系抗生物質、オキサゾリジノン系抗生物質および糖ペプチド系抗生物質から選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、2-(3-アラニル)クラバム、2-ヒドロキシメチルクラバム、8-エピ-チエナマイシン、アセチル-チエナマイシン、アモキシシリン、アモキシシリンナトリウム、アモキシシリン三水和物、アモキシシリン-クラブラン酸カリウムの組み合わせ、アンピシリン、アンピシリンナトリウム、アンピシリン三水和物、アンピシリン-スルバクタム、アパルシリン、アスポキシシリン、アジドシリン、アズロシリン、アズトレオナム、バカンピシリン、ビアペネム、カルベニシリン、カルベニシリン二ナトリウム、カルフェシリン、カリンダシリン、カルペチマイシン(carpetimycin)、セファセトリル、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファロリジン、セファロチン、セファマンドール、セファマンドール、セファピリン、セファトリジン、セファトリジンプロピレングリコール、セファゼドン、セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペン、セフカペンピボキシル塩酸塩、セフジニル、セフジトレン、セフジトレンピボキシル、セフェピム、セフェタメト、セフェタメトピボキシル、セフィキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノクス、セフミノクス、セフモレキシン、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォセリス、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピラミド、セフピロム、セフポドキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフキノム、セフラジン、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテラムピボキシル、セフテゾール、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフロキシムアキセチル、セファロスポリン、セファマイシン、キチノボリン(chitinovorin)、シクラシリン、クラブラン酸、クロメトシリン、クロキサシリン、シクロセリン、デオキシプルラシドマイシン(pluracidomycin)、ジクロキサシリン、ジヒドロプルラシドマイシン、エピシリン、エピチエナマイシン、エルタペネム、ファロペネム、フロモキセフ、フルクロキサシリン、ヘタシリン、イミペネム、レナンピシリン、ロラカルベフ、メシリナム、メロペネム、メタンピシリン、メチシリン、メズロシリン、モキサラクタム、ナフシリン、ノルチエナマイシン(northienamycin)、オキサシリン、パニペネム、ペナメシリン、ペニシリン、フェネチシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、ピバンピシリン、ピブセファレキシン(pivcefalexin)、ピブメシリナム、ピブメシリナム塩酸塩、プルラシドマイシン、プロピシリン、サルモキシシリン、スルバクタム、スルベニシリン、タランピシリン、テモシリン、テルコナゾール、チエナマイシンおよびチカルシリンから選択されるβラクタム系抗生物質である。
【0044】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、1,2’-N-DL-イソセリル-3’,4’-ジデオキシカナマイシンB、1,2’-N-DL-イソセリル-カナマイシンB、1,2’-N[(S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル]-3’,4’-ジデオキシカナマイシンB、1,2’-N-[(S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル-カナマイシンB、1-N-(2-アミノブタンスルホニル)カナマイシンA、1-N-(2-アミノエタンスルホニル)3,4’-ジデオキシリボスタマイシン、1-N-(2-アミノエタンスルホニル)3’-デオキシリボスタマイシン、1-N-(2-アミノエタンスルホニル)3’,4’-ジデオキシカナマイシンB、1-N-(2-アミノエタンスルホニル)カナマイシンA、1-N-(2-アミノエタンスルホニル)カナマイシンB、1-N-(2-アミノエタンスルホニル)リボスタマイシン、1-N-(2-アミノプロパンスルホニル)3’-デオキシカナマイシンB、1-N-(2-アミノプロパンスルホニル)3’,4’-ジデオキシカナマイシンB、1-N-(2-アミノプロパンスルホニル)カナマイシンA、1-N-(2-アミノプロパンスルホニル)カナマイシンB、1-N-(L-4-アミノ-2-ヒドロキシ-ブチリル)2’,3’-ジデオキシ-2’-フルオロカナマイシンA、1-N-(L-4-アミノ-2-ヒドロキシ-プロピオニル)2’,3’-ジデオキシ-2’-フルオロカナマイシンA、1-N-DL-3’,4’-ジデオキシ-イソセリルカナマイシンB、1-N-DL-イソセリルカナマイシン、1-N-DL-イソセリルカナマイシンB、1-N[L-(-)-(α-ヒドロキシ-γ-アミノブチリル)]-XK-62-2,2’,3’-ジデオキシ-2’-フルオロカナマイシンA、2-ヒドロキシゲンタマイシンA3、2-ヒドロキシゲンタマイシンB、2-ヒドロキシゲンタマイシンB1、2-ヒドロキシゲンタマイシンJI-20A、2-ヒドロキシゲンタマイシンJI-20B、3”-N-メチル-4”-C-メチル-3’,4’-ドデオキシカナマイシンA、3”-N-メチル-4”-C-メチル-3’,4’-ドデオキシカナマイシンB、3”-N-メチル-4”-C-メチル-3’,4’-ドデオキシ-6’-メチルカナマイシンB、3’,4’-ジデオキシ-3’-エノ-リボスタマイシン、3’,4’-ジデオキシアミン、3’,4’-ジデオキシリボスタマイシン、3’-デオキシ-6’-N-メチル-カナマイシンB、3’-デオキシアミン、3’-デオキシリボスタマイシン、3’-オキシサッカロシン、3,3’-ネポトレハロサジアミン、3-デメトキシ-2’’-N-ホルムイミドイルイスタマイシンB二硫酸塩四水和物、3-デメトキシイスタマイシンB、3-O-デメチル-2-N-ホルムイミドイルイスタマイシンB、3-O-デメチルイスタマイシンB、3-トレハロサミン、4”,6”-ジデオキシジベカシン、4-N-グリシル-KA-6606VI、5”-アミノ-3’,4’,5”-トリデオキシ-ブチロシンA、6”-デオキシジベカシン、6’-エピホルチミシンA、6-デオキシ-ネオマイシン(構造6-デオキシ-ネオマイシンB)、6-デオキシ-ネオマイシンB、6-デオキシ-ネオマイシンC、6-デオキシ-パロモマイシン、アクミマイシン、AHB-3’,4’-ジデオキシリボスタマイシン、AHB-3’-デオキシカナマイシンB、AHB-3’-デオキシンアミン、AHB-3’-デオキシリボスタマイシン、AHB-4’’-6’’-ジデオキシジベカシン、AHB-6’’-デオキシジベカシン、AHB-ジデオキシンアミン、AHB-カナマイシンB、AHB-メチル-3’-デオキシカナマイシンB、アミカシン、アミカシン硫酸塩、アプラマイシン、アルベカシン、アストロマイシン、アストロマイシン硫酸塩、ベカナマイシン、ブルエンソマイシン、ボホルマイシン、ブチロシン、ブチロシンB、カテヌリン、クマミジンガンマ1、クマミジンガンマ2、D,L-1-N-(α-ヒドロキシ-β-アミノプロピオニル)-XK-62-2、ダクチマイシン、デ-O-メチル-4-N-グリシル-KA-6606VI、デ-O-メチル-KA-66061、デ-O-メチル-KA-70381、デストマイシンA、デストマイシンB、ジ-N6’,O3-デメチルイストラマイシンA、ジベカシン、ジベカシン硫酸塩、ジヒドロストレプトマイシン、ジヒドロストレプトマイシン硫酸塩、エピ-ホルムアミドイルグリシジルホルチミシンB、エピヒグロマイシン、ホルムイミドイル-イスタマイシンA、ホルムイミドイル-イスタマイシンB、ホルチミシンB、ホルチミシンC、ホルチミシンD、ホルチミシンKE、ホルチミシンKF、ホルチミシンKG、ホルチミシンKG1(立体異性体KG1/KG2)、ホルチミシンKG2(立体異性体KG1/KG2)、ホルチミシンKG3、フラミセチン、フラミセチン硫酸塩、ゲンタマイシン、ゲンタマイシン硫酸塩、グロベオマイシン、ハイブリマイシンA1、ハイブリマイシンA2、ハイブリマイシンB1、ハイブリマイシンB2、ハイブリマイシンC1、ハイブリマイシンC2、ヒドロキシストレプトマイシン、ハイグロマイシン、ハイグロマイシンB、イセパマイシン、イセパマイシン硫酸塩、イスタマイシン、カナマイシン、カナマイシン硫酸塩、カスガマイシン、リビドマイシン、マルコマイシン、ミクロノマイシン、ミクロノマイシン硫酸塩、ムタマイシン(mutamicin)、ミオマイシン、N-デメチル-7-O-デメチルセレスチセチン、デメチルセレスチセチン、イスタマイシンのメタンスルホン酸誘導体、ネブラマイシン、ネブラマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、オリゴスタチン、パロモマイシン、キントマイシン、リボスタマイシン、サッカロシン、セルドマイシン、シソマイシン、ソルビスチン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、トレハロスマイン(trehalosmaine)、トレスタチン、バリダマイシン、ベルダマイシン、キシロスタチンおよびジゴマイシンから選択されるアミノグリコシドである。
【0045】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、21-ヒドロキシ-25-デメチル-25-メチルチオプロトストレプトバリシン、3-メチルチオリファマイシン、アンサマイトシン、アトロプイソストレプトバリシン(atropisostreptovaricin)、アワマイシン、ハロマイシン、メイタンシン、ナフトマイシン、リファミブチン、リファミド、リファンピシン、リファマイシン、リファペンチン、リファキシミン、ルブラジリン、ストレプトバリシンおよびトリポマイシンから選択されるアンサ型抗生物質である。
【0046】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、オーラマイシン(auramycin)、シネルビン、ジトリサルビシン、ジトリサルビシンC、フィガロ酸フラジロマイシン(figaroic acid fragilomycin)、ミノマイシン、ラベロマイシン、ルドルフォマイシン(rudolfomycin)およびスルフルマイシンから選択されるアントラキノンである。
【0047】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アザニダゾール、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロルミダゾール、クロルミダゾール塩酸塩、クロコナゾール、クロコナゾール一塩酸塩、クロトリマゾール、ジメトリダゾール、エコナゾール、エコナゾール硝酸塩、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、フェンチコナゾール硝酸塩、フェザチオン、フルコナゾール、フルトリマゾール、イソコナゾール、イソコナゾール硝酸塩、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、メトロニダゾール安息香酸塩、ミコナゾール、ミコナゾール硝酸塩、ネチコナゾール、ニモラゾール、ニリダゾール、オモコナゾール、オルニダゾール、オキシコナゾール、オキシコナゾール硝酸塩、プロペニダゾール、セクニダゾール、セルタコナゾール、セルタコナゾール硝酸塩、スルコナゾール、スルコナゾール硝酸塩、チニダゾール、チオコナゾールおよびボリコナゾールから選択されるアゾールである。
【0048】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アカントマイシン、アクタプラニン、アボパルシン、バルヒマイシン、ブレオマイシンB(銅ブレオマイシン)、クロロオリエンチシン、クロロポリスポリン、デメチルバンコマイシン、エンデュラシジン、ガラカルジン、グアニジルフンギン、ハチマイシン、デメチルバンコマイシン、N-ノナノイル-テイコプラニン、フレオマイシン、プラトマイシン、リストセチン、スタフィロシジン、タリソマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、ビクトマイシン、キシロカンジンおよびゾルバマイシンから選択される糖ペプチドである。
【0049】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アセチルロイコマイシン(acetylleucomycin)、アセチルキタサマイシン、アンゴラマイシン、アジスロマイシン、バフィロマイシン、ブレフェルジン、カルボマイシン、カルコマイシン(chalcomycin)、シラマイシン、クラリスロマイシン、コンカナマイシン、デイソバレリル-ニダマイシン(deisovaleryl-niddamycin)、デミシノシル-ミシナマイシン(demycinosyl-mycinamycin)、ジ-O-メチルチアクミシジン(Di-O-methyltiacumicidin)、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストラート、エリスロマイシンエチルスクシナート、エリスロマイシンラクトビオナート、エリスロマイシンステアラート、フルリスロマイシン、フォクシン(focusin)、フロマシジン、ハテルマリド、ハテルマリド、ジョサマイシン、ジョサマイシンロピオナート(josamycin ropionate)、ジュベニマイシン(juvenimycin)、ジュベニマイシン(juvenimycin)、キタサマイシン、ケトチアクミシン(ketotiacumicin)、ランカバシジン(lankavacidin)、ランカバマイシン(lankavamycin)、ロイコマイシン、マケシン(machecin)、マリドマイシン、メガロマイシン、メチルロイコマイシン、メチマイシン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、ミカミノシルチラクトン(mycaminosyltylactone)、ミシノマイシン、ニュートラマイシン、ニダマイシン、ノナクチン、オレアンドマイシン、フェニルアセチルデルタマイシン、パママイシン、ピクロマイシン、ロキタマイシン、ロサミラシン、ロキシスロマイシン、セデカマイシン、シンコマイシン、スピラマイシン、スワルパマイシン、タクロリムス、テリスロマイシン、チアクミシン、チルミコシン、トレポネマイシン、トロレアンドマイシン、チロシンおよびベンチュリシジンから選択されるマクロライドである。
【0050】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アミセチン、アングストマイシン、アザチミジン、ブラストサイジンS、エピロプリム、フルシトシン、グウゲロチン、ミルディオマイシン(mildiomycin)、ニッコーマイシン、ヌクレオシジン、オキサノシン、オキサノシン、ピューロマイシン、ピラゾマイシン(pyrazomycin)、ショードマイシン、シネフンギン、スパルソゲニン(sparsogenin)、スピカマイシン、ツニカマイシン、ウラシルポリオキシンおよびベンギシド(vengicide)から選択されるヌクレオシドである。
【0051】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アクチノマイシン、アクレアシン、アラゾペプチン、アンホマイシン、アミチアマイシン、ザレリオン・アルボリコラ(Zalerion arboricola)からの抗真菌剤、アントリマイシン、アピド(apid)、アピダエシン、アスパルトシン、オーロモマイシン(auromomycin)、バシロイシン(bacileucin)、バシロマイシン、バシロペプチン、バシトラシン、バガシジン、ベルニナマイシン、β-アラニル-L-チロシン、ボットロマイシン、カプレオマイシン、カスポファンギン、セパシジン、セレキシン、シロフンギン(cilofungin)、サーキュリン、コリスチン、シクロデプシペプチド、シトファギン(cytophagin)、ダクチノマイシン、デスオキシムルンドカンジン(desoxymulundocandin)、エカノマイシン(echanomycin)、エキノカンジンB、エキノマイシン、エコマイシン、エンニアチン、エタマイシン、ファバチン、フェリマイシン、フェリマイシン、フィセロマイシン、フルオロノカチアシン(fluoronocathiacin)、フサリシジン、ガルジマイシン、ガタバリン、グロボペプチン、グリホマイシン、グラミシジン、ヘルビコリン、イオマイシン、イツリン、イヨマイシン、イズペプチン(izupeptin)、ジャニエマイシン(janiemycin)、ジャンチノシン(janthinocin)、ジョリペプチン(jolipeptin)、カタノシン(katanosin)、キラートキシン、リポペプチド抗生物質、ザレリオン属(Zalerion)種からのリポペプチド、リソバクチン、リゾチーム、マクロモマイシン、マガイニン、メリチン、メルサシジン、ミカマイシン、ムレイドマイシン、ミコプラネシン、ミコスブチリン、ネオペプチフルオリン、ネオビリドグリセイン、ネトロプシン、ナイシン、ノカチアシン、ノカチアシン6-デオキシグリコシド、ノシペプチド、オクタペプチン、パシダマイシン、ペンタデカペプチド、ペプチフルオリン、ペルメチン(permetin)、フィトアクチン(phytoactin)、フィトストレプチン(phytostreptin)、プラノチオシン(planothiocin)、プルスバシン(plusbacin)、ポルシリン、ポリミキシン抗生物質複合体、ポリミキシンB、ポリミキシンB1、ポリミキシンF、プレネオカルジノスタチン、キノマイシン、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、サフラシン、サルマイシン、サルマイシン、サルマイシン、サンドラマイシン、サラマイセチン(saramycetin)、シオマイシン、スペラビリン、スポラマイシン、ストレプトマイセス化合物、スブチリン、テイコプラニンアグリコン、テロマイシン、サーモチオシン(thermothiocin)、チオペプチン、チオストレプトン、トリデカプチン、ツシマイシン、ツベラクチノマイシン、ツベラクチノマイシン、チロスリシン、バリノマイシン、ビオマイシン、ヴァージニアマイシンおよびゼルバシン(zervacin)から選択されるペプチドである。
【0052】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アンホテリシン、アンホテリシン、アウレオフンギン(aureofungin)、アイファクチン(ayfactin)、アザロマイシン、ブラストサイジン、カンジシジン、カンジシジンメチルエステル、カンジマイシン、カンジマイシンメチルエステル、キノプリシン(chinopricin)、フィリピン(filipin)、フラボフンギン、フラジシン(fradicin)、ハマイシン、ヒドロプリシン(hydropricin)、レボリン、ルセンソマイシン、ラクノマイシン、メジオシジン、メジオシジンメチルエステル、メパルトリシン、メチルアンホテリシン、ナタマイシン、ニフィマイシン、ナイスタチン、ナイスタチンメチルエステル、オキシプリシン、パルトリシン、ペンタマイシン、ペリマイシン、ピマリシン、プリマイシン、プロチシン、リモシジン、シストマイコシン(sistomycosin)、ソランギシンおよびトリコマイシンから選択されるポリエンである。
【0053】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、20-デオキシ-エピ-ナラシン、20-デオキシサリノマイシン、カリオマイシン、ジアネマイシン、ジヒドロロノマイシン(dihydrolonomycin)、エテロマイシン、イオノマイシン、イソ-ラサロシド、ラサロシド、レノレマイシン、ロノマイシン(lonomycin)、リコセリン(lysocellin)、モネンシン、ナラシン、オキソロノマイシン(oxolonomycin)、環状エーテル抗生物質およびサリノマイシンから選択されるポリエーテルである。
【0054】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アルキル-メチレンジオキシ-4(1H)-オキソシンノリン-3-カルボン酸、アラトロフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、ダノフロキサシン、デルモホンジンA、エノキサシン、エンロフロキサシン、フレロキサシン、フルメキン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ロメフロキサシン、塩酸塩、ミロキサシン、モキシフロキサシン、ナジフロキサシン、ナリジクス酸、ニフロキン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルビフロキサシン、オキソリニン酸、パズフロキサシン、ペフロキサシン、ペフロキサシンメシラート、ピペミド酸、ピロミド酸、プレマフロキサシン、ロソキサシン、ルフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシンおよびトロバフロキサシンから選択されるキノロンである。
【0055】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アミノステロール、アスコステロシド、クラドスポリド、ジヒドロフシジン酸、デヒドロ-ジヒドロフシジン酸、デヒドロフシジン酸、フシジン酸およびスクアラミンから選択されるステロイドである。
【0056】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、クロラミン、ダプソン、マフェニド、フタリルスルファチアゾール、スクシニルスルファチアゾール、スルファベンザミド、スルファセタミド、スルファクロルピリダジン、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファジクラミド、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファグアニジン、スルファレン、スルファマゾン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファモノメトキシン、スルファモキソール、スルファニルアミド、スルファペリン、スルファフェナゾール、スルファピリジン、スルファキノキサリン、スルファスクシンアミド、スルファチアゾール、スルファチオウレア、スルファトラミド、スルファトリアジン、スルフィソミジン、スルフィソキサゾール、スルフィソキサゾールアセチルおよびスルファカルバミドから選択されるスルホンアミドである。
【0057】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、ジヒドロステフィマイシン、デメチルテトラサイクリン、アクラシノマイシン、アクロボマイシン、バウマイシン、ブロモテトラサイクリン、セトサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、ダウノルビシン、デメクロサイクリン、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドキシサイクリン、リメサイクリン、マルセロマイシン、メクロサイクリン、メクロサイクリンスルホサリチラート、メタサイクリン、ミノサイクリン、ミノサイクリン塩酸塩、ムセッタマイシン、オキシテトラサイクリン、ロジルビン、ロリテトラサイクリン、ルボマイシン、セリルビシン、ステフィマイシンおよびテトラサイクリンから選択されるテトラサイクリンである。
【0058】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸および1,14-テトラデカン二酸から選択されるジカルボン酸である。
【0059】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、金属が銀、銅、亜鉛、水銀、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、クロムおよび金から選択される抗生物質金属または金属イオンである。
【0060】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質およびスルファジアジン銀から選択される銀化合物である。
【0061】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、酸素、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、元素ハロゲン種、酸素化ハロゲン種、漂白剤、過塩素酸塩種、ヨウ素、ヨウ素酸塩および過酸化ベンゾイルから選択される、フリーラジカルまたは活性酸素を放出する酸化剤または物質である。
【0062】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、四級アンモニウム化合物、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、セトリミド、塩化ベンザルコニウム、n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルメチルアンモニウムハライドおよびジアルキルベンジルアンモニウムハライドから選択されるカチオン性抗微生物薬である。
【0063】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンおよび塩酸クロルヘキシジン、ピクロキシジン、アレキシジン、ポリヘキサニド、塩酸クロルプログアニル、塩酸プログアニル、塩酸メトホルミン、フェンホルミンおよび塩酸ブホルミンから選択される化合物である。
【0064】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アボマイシン、アセトマイシン、アセトキシシクロヘキシミド、アセチルナナオマイシン、アクチノプラネス属(actinoplanes)種化合物、アクチノピロン、アフラスタチン、アルバカルシン、アルバカルシン、アルボフンギン、アルボフンギン、アリサマイシン、α-R,S-メトキシカルボニルベンジルモナート(monate)、アルトロマイシン、アミセチン、アミシン、アミシンデマノイル(amycin demanoyl)化合物、アミシン、アミコマイシン、アナンジマイシン(anandimycin)、アニソマイシン、アントラマイシン、抗梅毒イムネ(imune)物質、抗結核免疫物質、大腸菌(Eschericia coli)由来の抗生物質、ストレプトマイセス・レフイネアス(Streptomycesrefuineus)由来の抗生物質、アンチカプシン、アンチマイシン、アプラスモマイシン、アラノロシン、アラノロシノール、アルゴマイシン、アスコフラノン、アスコマイシン、アスコシン、黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)抗生物質、アスカマイシン、オーランチニン(aurantinin)、オーレオリン酸抗生物質、オーロドクス、アビラマイシン、アジダムフェニコール、アジジマイシン、バシラエン、バチルス・ラルヴェ(Bacillus larvae)抗生物質、バクトボリン、ベナノマイシン、ベンザントリン、ベンジルモナート、ビコザマイシン、ブラボマイシン、ブロジモプリム、ブタラクチン、カルシマイシン、カルバチン酸、カンジプラネシン、カルモナム、カルジノフィリン、セレスチセチン、セパシン、セルレニン、セルビノマイシン、シャルトルーシン、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパルミタート、クロラムフェニコールスクシナートナトリウム、クロルフラボニン、クロロビオシン、クロロカルシン、クロモマイシン、シクロピロックス、シクロピロックスオラミン、シトレアマイシン(citreamicin)、クラドスポリン、クラザマイシン、クレカルマイシン(clecarmycin)、クリンダマイシン、コリフォルミン(coliformin)、コリノマイシン、コピアマイシン、コラロピロニン、コリネカンジン、クーママイシン、クルピン、クプリミキシン、シクラミドマイシン、シクロヘキシミド、ダクチロマイシン、ダノマイシン、ダヌボマイシン、デラミノマイシン、デメトキシラパマイシン、デメチルサイトフィシン、デルマジン、デスダメチン、デキシロシル-ベナノマイシン、シュードアグリコン(pseudoaglycone)、ジヒドロモシマイシン、ジヒドロナンシマイシン、ジウマイシン、ドナシン、ドリゴシン、ジネマイシン、ジネマイシントリアセタート、エクテイナシジン、エフロトマイシン、エンドマイシン、エンサンコマイシン(ensanchomycin)、エキセチン、エリカマイシン、エスペラミシン、エチルモナート、エベルニノマイシン、フェルダマイシン、フランバマイシン、フラベンソマイシン、フロルフェニコール、フルボマイシン、ホスホマイシン、ホスホノクロリン、フレデリカマイシン、フレノリシン、フマギリン、フミフンギン(fumifungin)、フンギノン(funginon)、フサカンジン、フサフンギン、ゲルベシジン、グリドバクチン、グラハミマイシン、グラナチシン、グリセオフルビン、グリセオビリジン、グリソノマイシン、ハユミシン(hayumicin)、ハユミシン、ハジミシン(hazymicin)、ヘダマイシン、ヘンエイコマイシン、ヘプテリジン酸、ホロマイシン、フミジン(humidin)、イソヘマチン酸、カルナタキン(karnatakin)、カズサマイシン、クリステニン、L-ジヒドロフェニルアラニン、L-イソロイシル-L-2-アミノ-4-(4’-アミノ-2’,5’-シクロヘキサジエニル)誘導体、ラノマイシン、レイナマイシン、レプトマイシン、リバノマイシン、リンコマイシン、ロモフンギン、リソリピン、マグネシジン、マニュマイシン、メラノマイシン、メトキシカルボニルメチルモナート、メトキシカルボニルエチルモナート、メトキシカルボニルフェニルモナート、メチルシュードモナート、メチルモナート、ミクロシン、ミトマルシン、モチマイシン、モエノマイシン、モノアセチルクラドスポリン、モノメチルクラドスポリン、ムピロシン、ムピロシンカルシウム、マイコバシジン(mycobacidin)、ミリオシン、ミキソピロニン、シュードアグリコン、ナナオマイシン、ナンシマイシン、ナルゲニシン、ネオカルシノスタチン、ネオエナクチン、ネオトラマイシン、ニフルトイノール、ノカルジシン、ノガラマイシン、ノボビオシン、オクチルモナート、オリボマイシン、オルトソマイシン、オウデマンシン、オキシラペンチン、オキソグラウシンメチオジド、パクタシン、パクタマイシン、パプラカンジン、パウロマイシン、ファエオラムラリア属(phaeoramularia)殺真菌剤、フェネルファマイシン、フェニル、セルレニン、フェニルモナート、フォリポマイシン、ピルリマイシン、プロイロムチリン、ポリラクトン誘導体、ポリニトロキシン、ポリオキシン、ポルフィロマイシン、プラディマイシン、プレノマイシン、プロパ-2-エニルモナート、プロトマイシン、シュードモナス属(Pseudomonas)抗生物質、プソイドモン酸、プルピューロマイシン(purpuromycin)、ピリノデミン、ピロールニトリン、ピロロマイシン、アミノ、クロロペンテン二酸、ラパマイシン、レベッカマイシン、レシストマイシン、ロイテリン、レベロマイシン、リゾクチシン、ロリジン、ルビフラビン、ナフチリジノマイシン、サフラマイシン、サフェナマイシン、サルコマイシン、サルコマイシン、スクロプラリン(sclopularin)、セレノマイシン、シッカニン、スパルタナマイシン、スペクチノマイシン、スポンジスタチン、ストラビジン、ストレプトリジン、ストレプトマイセス・アレナエ(streptomycesarenae)抗生物質複合体、ストレプトニグリン、ストレプトスリシン、ストレプトビタシン、ストレプトゾトシン、ストロビルリン誘導体、スツボマイシン、スルファメタキサゾール-トリメトプリム、サカマイシン、テジェラマイシン(tejeramycin)、テルペンテシン、テトロカルシン、テルモルビン、テルモジモシジン、チアンフェニコール、チオアウリン(thioaurin)、チオルチン、チオマリノール、チオマリノール、チランダマイシン、トリトキシン、トリコデルミン、トリエノマイシン、トリメトプリム、トリオキサカルシン、チリッサマイシン(tyrissamycin)、ウンブリノマイシン、ウンフェネルファマイシン、ウラウチマイシン、ウスニン酸、ウレドリシン(uredolysin)、バリオチン、ベルミスポリン、ベルカリン、ならびにこれらの類似体、塩および誘導体から選択される薬剤である。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗生物質が、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、ホスホマイシン、糖ペプチド、リンコサミド、リポペプチド、マクロライド、モノバクタム、ニトロフラン、オキサゾリジノン、ペニシリン、キノロン、スルホンアミドおよびテトラサイクリンの群から選択される。
【0066】
いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4もしくは5種またはそれ以上の抗生物質が、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、ホスホマイシン、糖ペプチド、リンコサミド、リポペプチド、マクロライド、モノバクタム、ニトロフラン、オキサゾリジノン、ペニシリン、キノロン、スルホンアミドおよびテトラサイクリンの群から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、試料が2種以上の抗微生物薬に同時にさらされる。例えば、細菌試料が2種以上の抗微生物薬を含み得る。いくつかの実施形態では、試料が、βラクタム系抗生物質およびβラクタマーゼ阻害剤(BLI)を含み得る。いくつかの実施形態では、試料が、ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、セファゾリン、セフトリアキソン、セフェピム、アンピシリン、イミペネム、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、アミカシン、ニトロフラントイン、ホスホマイシン、ピペラシリン、タゾバクタム、アモキシシリンおよびクラブラン酸の群から選択される2種以上の抗微生物薬を含む。いくつかの実施形態では、試料がトリメトプリムおよびスルファメトキサゾールを含む。いくつかの実施形態では、試料がピペラシリンおよびタゾバクタムを含む。いくつかの実施形態では、試料がアモキシシリンおよびクラブラン酸を含む。
【0068】
一実施形態では、試料が、Rnaseの存在下で、少なくとも1、2、3、4もしくは5種またはそれ以上の抗生物質にさらされる。一実施形態では、RnaseがRNase Aである。いくつかの実施形態では、RNaseがRNase T1、RNase I、RNase VIまたはRNase IIIである。RNase V1は、rRNAなどの二本鎖(すなわち、高度に構造化された)RNAに作用する。RNase IIIは成熟rRNAではなくプレrRNAに特異的に作用する。多くのRNaseはrRNAに対していくらかの活性を有し、当業者であれば選択された実施形態のために適切なRNaseを選択することができる。
【0069】
一実施形態では、この方法では、増殖培地1ml当たり0.01~10μgのRNaseという広範囲のRNase濃度を使用することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、この方法で使用されるRNase濃度が、増殖培地1ml当たり0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9または9.5μgのRNaseである。一実施形態では、RnaseがRNase Aである。いくつかの実施形態では、RNaseがRNase T1、RNase I、RNase VIまたはRNase IIIである。RNase V1は、rRNAなどの二本鎖(すなわち、高度に構造化された)RNAに作用する。RNase IIIは成熟rRNAではなくプレrRNAに特異的に作用する。
【0071】
一実施形態では、この方法で使用されるRNase濃度が、増殖培地1ml当たり1μgのRNaseである。
【0072】
いくつかの実施形態では、本方法が、ステップ(c)の測定の前に、またはこれと同時に、水酸化ナトリウム(NaOH)を増殖培地に添加するステップをさらに含む。一例では、rRNAを放出させる目的で、NaOHを1Mの濃度で使用する。
【0073】
抗生物質感受性検査の感度を向上させる方法もまた提供される。一実施形態では、本方法が、(a)試料から得られた検体を、細胞壁活性抗生物質の存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がリボソームRNA(rRNA)を加水分解するRNaseを含むステップを含む。本方法は、(b)試料から得られた検体を、抗生物質の非存在下で、増殖培地に接種するステップであって、増殖培地がrRNAに対して酵素的に活性なRNaseを含むステップをさらに含む。最後に、本方法は、(a)および(b)の検体中のrRNAの相対量を測定し、ステップ(a)で測定されたrRNAの量がステップ(b)で測定されたrRNAの量と比較して減少している場合、試料を抗生物質処理に感受性であると特定するステップを含む。一実施形態では、ステップ(b)の測定が、実際の試験ではなく予測可能な条件に基づいて既知または予想量のrRNAを使用することによって実施される。
【0074】
別の実施形態では、本発明は、rRNAアッセイの感度を向上させる方法を提供する。一実施形態では、本方法が、(a)生細胞を含む試料を得て、試料にrRNAを加水分解するRNaseを導入するステップと、次いで、(b)生細胞からrRNAを放出させる前にRNaseを不活性化するステップとを含む。本方法は、生細胞からrRNAを放出させた後に試料中のrRNAの量を測定するステップをさらに含む。一実施形態では、ステップ(b)の不活性化が、試料をNaOHまたはRNaseを阻害もしくは分解する他の薬剤と接触させることによって行われる。一例では、rRNAを測定するために試料を処理する前、またはその時点で、1M NaOHを培地に添加する。一例では、生細胞を含む試料50μlに1M NaOH 25μlを添加する。この方法では、試料2容量に対する1M NaOH 1容量の比率が、全ての総アッセイ容量にわたって維持される。
【0075】
本明細書に記載される方法で使用するための試料の代表例としては、それだけに限らないが、血液、血漿または血清、唾液、尿、脳脊髄液、乳、子宮頸部分泌物、精液、組織、細胞培養物、および他の体液または組織検体が挙げられる。
【0076】
抗生物質などの抗微生物薬に対する細菌などの微生物の感受性を判定する方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、抗微生物薬を含まない接種材料中の微生物の核酸分子の量が、微生物および抗微生物薬を含む接種材料中の微生物の核酸分子の量より多い場合、微生物が抗微生物薬に感受性である。いくつかの実施形態では、抗微生物薬を含まない接種材料中の微生物の核酸分子の量が、微生物および抗微生物薬を含む接種材料中の微生物の核酸分子の量とほぼ等しい、等しいまたはそれより少ない場合、微生物が抗微生物薬に感受性でない。
【0077】
キット
本発明は、本明細書に記載される方法で使用するために包装されたRNaseを含むキットを提供する。キットは、本明細書に記載される方法に使用するために包装された、NaOHまたはジエチルピロカーボナートなどのRNaseの不活性化剤またはSUPERase・In(Ambion)などのタンパク質、ならびに本明細書に記載される方法に使用するために設計されたオリゴヌクレオチドのセット、ならびに場合により本発明のオリゴヌクレオチドを含有する1つまたは複数の適切な容器をさらに含む。本発明のキットは、場合により、ポリメラーゼ活性を有する酵素、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、および逆転写酵素活性を有する酵素をさらに含む。キットは、1つまたは複数のプライマー対、およびいくつかの実施形態では、本発明の少なくとも1つの対応するプローブ、ならびに内部標準プライマーおよびプローブ配列を含むことができる。キットは場合により緩衝液を含むことができる。一実施形態では、緩衝液が1×RT-PCR緩衝液である。
【0078】
例
以下の例は、本発明を例示し、当業者がこれを製造および使用するのを助けるために提示されるものである。例は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。以下の実験は、真正細菌性/ユニバーサルグラム陰性プローブセットを用いて行われた。プローブの配列は以下に含まれる。配列番号1として表される配列および配列番号4として表される配列は、リボソームRNAとハイブリダイズする領域を示す一方で、配列番号2は磁気ビーズに結合する領域を示す。
【0079】
配列番号3は、2つの隣接して配置された配列、すなわちプローブのrRNA標的配列ハイブリダイズ部分(すなわち、配列番号1)およびプローブの磁気ビーズ結合部分(すなわち、配列番号2)を含むプローブを表す。
【数2】
【0080】
例1:RNaseはバックグラウンドを減少させ、微生物検出および抗微生物薬感受性検査(AST)の感度を向上させる
本発明者らは、試料にRNaseを添加すると、微生物検出限界が下がり、ASTに必要な時間が短縮されることを発見した。感染症患者における抗微生物薬療法を導くために、微生物を検出し、それらの抗微生物薬感受性を判定するための迅速な診断検査が緊急に必要とされている。このような検査は、抗生物質耐性細菌による感染の危険性がある患者において特に重要である。このアプローチを、rRNAを標的とする検査に適用して、微生物を検出、同定および微生物に対するASTを行うことができる。典型的なアッセイでは、rRNAのレベルは、試料溶解ならびにrRNAと捕捉および検出プローブとのハイブリダイゼーションによって測定される。検出プローブは、酵素的(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)または光学的(例えば、蛍光、生物発光)特徴を有するシグナル伝達分子に連結される。生細胞由来ではない遊離rRNAを含有する試料はバックグラウンドを増加させ、信号雑音比を低下させ、検出限界を増加させる。検出下限は微生物を検出するように設計された診断検査の感度を向上させる。抗生物質に対するrRNA応答に基づく表現型ASTには、感度も重要である。
【0081】
細菌を接種する前に、振盪しながら37℃で30分間、1μg/mlのRNaseで処理したまたは処理していないミューラー・ヒントン増殖培地を処理した。振盪インキュベーター内で37℃でインキュベートした後、培養物の段階希釈を行い、引き続いて、捕捉および検出プローブ対を使用してrRNAを溶解および測定した。培養物を同時に蒔いてCFU/mlを測定した。臨界限界(Lc)および検出限界(Ld)を、以前に記載された(Patel,M.ら、J Clin Microbiol 49:4293~6(2011).PMID:21940468)モデルベースの方法を使用して決定した。
【0082】
図1に示されるように、バックグラウンドは未処理試料よりもRNase処理試料ではるかに低かった。結果として、LcおよびLdは、未処理試料よりもRNase処理試料で4倍低かった。
【0083】
ASTの場合、rRNAを抗生物質に対する表現型反応の代理マーカーとして利用する。細菌懸濁液を、抗生物質を含むまたは含まない増殖培地に接種し、引き続いて37℃でインキュベートする。インキュベーション期間の終わりに、抗生物質を含む場合と含まない場合のrRNAレベルの比較によって、細菌分離株が試験した抗生物質に対して感受性であるか耐性であるかを判定することが可能になる。ASTが速いと、患者の微生物が感受性である抗生物質による治療までの時間が短縮されるだろう。
【0084】
本発明者らは、培養培地に1μg/mlのRNaseを添加したまたは添加していないミューラー・ヒントン培養培地を含有する96ウェルプレートのウェルに接種した種々の細菌分離株に対してASTを行った。増殖培地のRNase処理は上記の通りに行った。以下の細胞壁活性抗生物質を含むおよび含まない培養培地に対する細菌性rRNA応答を比較した:アンピシリン(Amp)、セファゾリン(Cef)、セフトリアキソン(Ctrx)およびホスホマイシン(Fom)。振盪インキュベーター内で37℃でインキュベートした後、培養物の溶解を行い、引き続いて、真正細菌捕捉および検出プローブ対を使用してrRNAを測定した。抗生物質を含有するウェル中のrRNAのパーセントを、抗生物質を含まない対照ウェルと比較した。
図2に示されるように、RNaseはこの検査が耐性(赤色矢印)分離株を感受性(黒色矢印)分離株から区別する能力を劇的に増加させた。
図2に示される結果は、様々な濃度のホスホマイシン(128μg/ml、64μg/mlおよび32μg/ml)を用いて繰り返したものであり、結果を
図3に示す。したがって、様々な濃度のホスホマイシンを使用した場合、RNaseはこの検査が耐性(赤色矢印)分離株を感受性(黒色矢印)分離株から区別する能力を劇的に増加させることができた。
【0085】
例2:抗微生物薬感受性検査(AST)は60分でRNase優位性を示す
この例は、4種の異なる抗生物質:アンピシリン(Amp)、セファゾリン(Cef)、セフトリアキソン(Ctrx)およびホスホマイシン(Fos)で処理した大腸菌(Escherichia coli)に対する1μg/mlのRNaseの有無による抗微生物薬感受性検査の比較を実証する。データは、様々な抗生物質を接種した60分後と90分後の両方でRNaseの優位性を示す。大腸菌(E.coli)と同じ条件およびRNase濃度を使用すると、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)などの他のグラム陰性菌についても同様の結果が観察された。
【0086】
感受性(S)および耐性(R)大腸菌(E.coli)分離株を、アンピシリンを含む増殖培地中、37℃で60分間または90分間、RNaseを用いて(+)および用いないで(-)インキュベートした。対照(抗生物質を含まない増殖培地)と比較したrRNAレベルの箱ひげ図を
図4に示す。RNaseを増殖培地に添加した場合、感受性分離株はrRNAの有意な減少を示した。
【0087】
感受性(S)および耐性(R)大腸菌(E.coli)分離株を、セファゾリンを含む増殖培地中、37℃で60分間または90分間、1μg/ml RNaseを用いて(+)および用いないで(-)インキュベートした。対照(抗生物質を含まない増殖培地)と比較したrRNAレベルの箱ひげ図を
図5に示す。RNaseを増殖培地に添加した場合、感受性分離株はrRNAの有意な減少を示した。
【0088】
感受性(S)および耐性(R)肺炎桿菌(K.pneumoniae)分離株を、セフェピムを含む増殖培地中、37℃で60分間または90分間、1μg/ml RNaseを用いて(+)および用いないで(-)インキュベートした。対照(抗生物質を含まない増殖培地)と比較したrRNAレベルの箱ひげ図を
図6に示す。RNaseを増殖培地に添加した場合、感受性分離株はrRNAの有意な減少を示した。
【0089】
感受性(S)および耐性(R)大腸菌(E.coli)分離株を、セフトリアキソンを含む増殖培地中、37℃で60分間または90分間、RNaseを用いて(+)および用いないで(-)インキュベートした。対照(抗生物質を含まない増殖培地)と比較したrRNAレベルの箱ひげ図を
図7に示す。RNaseを増殖培地に添加した場合、感受性分離株はrRNAの有意な減少を示した。
【0090】
感受性(S)および耐性(R)肺炎桿菌(K.pneumoniae)分離株を、セフトリアキソンを含む増殖培地中、37℃で60分間または90分間、RNaseを用いて(+)および用いないで(-)インキュベートした。対照(抗生物質を含まない増殖培地)と比較したrRNAレベルの箱ひげ図を
図8に示す。RNaseを増殖培地に添加した場合、感受性分離株はrRNAの有意な減少を示した。
【0091】
本出願を通して、種々の刊行物が参照されている。これらの刊行物の開示の全体が、本発明が関連する先行技術をより完全に説明するために、参照により本出願に組み込まれる。
【0092】
当業者であれば、前記説明に開示される概念および具体的な実施形態が、本発明の同じ目的を実行するための他の実施形態を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。当業者はまた、このような同等の実施形態が添付の特許請求の範囲に示される本発明の精神および範囲から逸脱しないことも理解するであろう。
【0093】
本明細書に例示的に記載される開示は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素、限定がない場合でも適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等の用語は、限定的ではなく拡大的に読まれるべきである。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用されており、示され、記載される任意の特徴またはその一部の等価物を除外するこのような用語および表現の使用の意図はなく、請求される開示の範囲内で種々の修正が可能であることが認識される。
【0094】