(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】結晶酸化ケイ素を有するシリコンオンインシュレータ
(51)【国際特許分類】
H01L 27/12 20060101AFI20230317BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20230317BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230317BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
H01L27/12 D
H01L21/316 S
H01L21/316 X
H01L21/31 B
H01L21/324 X
(21)【出願番号】P 2019563794
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 FI2018050409
(87)【国際公開番号】W WO2018234620
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】513317138
【氏名又は名称】トゥルク ユリオピスト
【氏名又は名称原語表記】Turun yliopisto
【住所又は居所原語表記】Yliopistonmaki, Turun yliopisto, 20014 Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペッカ・ラウッカネン
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル・クズミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤアッコ・マケラ
(72)【発明者】
【氏名】マルユッカ・トゥオミネン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・プンッキネン
(72)【発明者】
【氏名】アンティ・ラハティ
(72)【発明者】
【氏名】カレヴィ・コッコ
(72)【発明者】
【氏名】ユハ-ペッカ・レフティオ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06255150(US,B1)
【文献】特開2007-251129(JP,A)
【文献】特開2002-359247(JP,A)
【文献】特開2001-210811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/12
H01L 21/316
H01L 21/31
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体材料として結晶酸化ケイ素SiO
xを有するシリコンオンインシュレータ層構造を含む半導体構造(200)を形成するための方法(100)であって、
真空室内に実質的に清浄な堆積表面(202)を有する結晶シリコン基板(201)を提供するステップ(120)と、
前記シリコン基板を550から1200、550から1000、または550から850℃の範囲内の酸化温度T
oまで加熱するステップ(130)と、
前記シリコン基板を前記酸化温度に維持しながら、前記真空室内の1・10
-8から1・10
-4mbarの範囲内の酸化圧力P
oにより、0.1から1000ラングミュアの範囲内の酸素投与量D
oで分子酸素O
2を前記真空室内に供給するステップ(140)とを
この順で含み、
これにより、前記真空室内に供給される前記酸素の少なくとも一部は前記堆積表面上に吸着され、前記シリコン基板内に拡散し、少なくとも分子層2つ分の厚さを有する結晶酸化ケイ素層(204)が結晶シリコン基層(203)と結晶シリコン最上層(205)との間の、前記シリコン基板内に形成される方法(100)。
【請求項2】
前記酸化温度T
oは、550から750℃の範囲内にあり、前記酸化圧力P
oは1・10
-7から1・10
-4mbarの範囲内あり、前記酸素投与量D
oは5から300Lの範囲内にある、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記酸化温度、前記酸化圧力、および前記酸素投与量は、
a)T
o=550から700℃、P
o=1・10
-7から1・10
-4mbar、D
o=10から50L、
b)T
o=650から700℃、P
o=1・10
-7から1・10
-6mbar、D
o=50から100L、
c)T
o=650から750℃、P
o=1・10
-7から5・10
-7mbar、D
o=50から300L、
d)T
o=700から750℃、P
o=1・10
-5から5・10
-5mbar、D
o=5から50L、
e)T
o=550から600℃、P
o=1・10
-7から5・10
-7mbar、D
o=5から75L、
f)T
o=700から750℃、P
o=5・10
-6から1・10
-5mbar、D
o=10から100L
のうちの1つのパラメータ空間内にある、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記分子酸素は、少なくとも0.5秒の酸化期間に前記真空室内に供給される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記分子酸素を前記真空室内に供給する前に前記堆積表面(202)を、そこからあり得る自然酸化物および/または他の不純物を取り除くことによって清浄化するステップ(110)をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記堆積表面(202)は、シリコン{100}、シリコン{111}、またはシリコン{110}表面である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記結晶酸化ケイ素層内に含まれないあり得る過剰な酸素を取り除くために、30秒から60
分の間、650から750℃の範囲内の加熱後温度で、前記分子酸素を供給した後に、前記シリコン基板をアニールするステップ(350)をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項8】
キャップ層(606)を前記結晶シリコン最上層(605)上に堆積するステップ(560)であって、前記キャップ層は
、二酸化ケイ素SiO
2、酸化アルミニウムAl
2O
3、酸化ハフニウムHfO
2、または酸化チタンTiO
2を含む、ステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記キャップ層(606)は、1から500n
mの厚さを有するように堆積される、請求項8に記載の方法(500)。
【請求項10】
絶縁体材料として結晶酸化ケイ素SiO
xを有するシリコンオンインシュレータ層構造を含む半導体構造(200)であって、
結晶シリコン基層(203)と、
前記シリコン基層上の、少なくとも分子層2つ分の厚さを有する、結晶酸化ケイ素層(204)と、
前記結晶酸化ケイ素層上の結晶シリコン最上位層(205)とを備え
、
前記結晶酸化ケイ素層(204)と前記結晶シリコン基層(203)との間および前記結晶酸化ケイ素層(204)と前記結晶シリコン最上位層(205)との間の界面に曲がったエネルギー帯が形成されている半導体構造(200)。
【請求項11】
前記結晶シリコン最上層(605)上にキャップ層(606)をさらに備え、前記キャップ層は
、二酸化ケイ素SiO
2、酸化アルミニウムAl
2O
3、酸化ハフニウムHfO
2、または酸化チタンTiO
2を含む、請求項10に記載の半導体構造(600)。
【請求項12】
前記キャップ層(606)は、1から500n
mの厚さを有する、請求項11に記載の半導体構造(600)。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を使用して形成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の半導体構造(200、600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シリコンオンインシュレータ(SOI)構造は、MOSFETおよび他のタイプのトランジスタなどの様々なタイプの半導体デバイス、ならびに他のタイプのマイクロエレクトロニクスコンポーネントおよび回路、さらにはシリコンフォトニクスコンポーネントに対する基板および基本構成要素として使用され得る。
【背景技術】
【0002】
SOI構造の品質は、そのような基板上に形成されるデバイスの性能にとって非常に重要な要因であり得る。多くの用途において、結晶である高品質SOI構造は、結果として最良のデバイス性能をもたらし得る。
【0003】
従来、SOI層構造は、既存のシリコン表面の酸素イオン衝撃の後にアニーリングを行うことを含む、イオン注入によって製造されてきた。この結果、シリコン基板内に非晶質酸化ケイ素層が形成される。不利点の1つは、イオン衝撃は、酸化ケイ素より上に残っているシリコン層の品質に悪影響を及ぼすことである。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0003500号明細書では、酸素の1原子層が最初に既存のシリコン表面上に自己制限的に堆積され、結晶二酸化ケイ素の1分子層を形成する方法が開示されている。その後、上に載るシリコン層が、二酸化ケイ素上にエピタキシャル成長で形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2006/0003500号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この「発明の概要」は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明される簡素化された形式の概念の選択を導入するために提供されている。この「発明の概要」は、特許請求の範囲の主題の鍵となる特徴または本質的特徴を明示することを意図しておらず、また特許請求の範囲の主題の範囲を制限するために使用されることも意図していない。
【0007】
一態様において、絶縁体材料として結晶酸化ケイ素SiOxを有するシリコンオンインシュレータ層構造を含む半導体構造を形成するための方法が開示される。この方法は、真空室内に実質的に清浄な堆積表面を有する結晶シリコン基板を提供するステップと、シリコン基板を550から1200℃の範囲内の酸化温度Toまで加熱するステップと、基板をその酸化温度に維持しながら、真空室内の1・10-8から1・10-4mbarの範囲内の酸化圧力Poにより、0.1から1000ラングミュア(L)の範囲内の酸素投与量Doで分子酸素O2を真空室内に供給するステップとを含み、これにより、真空室内に供給される酸素の少なくとも一部は堆積表面上に吸着され、シリコン基板内に拡散し、少なくとも2分子層の厚さを有する結晶酸化ケイ素層が結晶シリコン基層と結晶シリコン最上層との間の、シリコン基板内に形成される。いくつかの実施形態において、酸化温度は、550から1000℃の範囲内、または550から850℃の範囲内にあるものとしてよい。
【0008】
別の態様において、絶縁体材料として結晶酸化ケイ素SiOxを有するシリコンオンインシュレータ層構造を含む半導体構造が開示される。半導体構造は、結晶シリコン基層と、基層上に少なくとも分子層2つ分の厚さを有する結晶酸化ケイ素層と、上記の方法によって形成され得る結晶酸化ケイ素層上の結晶シリコン最上層とを含む。半導体構造は、上記の方法によって形成され得る。
【0009】
付随する特徴の多くは、それが添付図面に関連して考察される次の詳細な説明の参照によってよりよく理解されるとより容易に理解されるであろう。
【0010】
本発明の説明は、添付図面に照らして読まれた次の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】シリコンオンインシュレータ(SOI)層構造を含む半導体構造を製造するための方法のフローチャートを示す図である。
【
図2】SOI層構造を含む半導体構造の概略を示す図である。
【
図3】シリコンオンインシュレータ(SOI)層構造を含む半導体構造を製造するための方法のフローチャートを示す図である。
【
図4】SOI層構造を含む半導体構造のサンプルの走査トンネル顕微鏡像を示す図である。
【
図5】シリコンオンインシュレータ(SOI)層構造を含む半導体構造を製造するための方法のフローチャートを示す図である。
【
図6】SOI層構造を含む半導体構造の概略を示す図である。
【
図7】SOI層構造を含む半導体構造のバンド構造の概略を示す図である。
【
図8】SOI層構造を含む金属酸化膜半導体(MOS)キャパシタサンプルおよびSOI層構造を含まないMOSキャパシタリファレンスに対して測定された静電容量-電圧(C-V)曲線を示す図である。
【
図9】SOI層構造を含む金属酸化膜半導体(MOS)キャパシタサンプルおよびSOI層構造を含まないMOSキャパシタリファレンスに対して測定された静電容量-電圧(C-V)曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
【0013】
添付図面に関連して以下で提示される詳細な説明は、多数の実施形態の一説明として意図されており、実施形態が構成されるか、実装されるか、または利用され得る形態のみを表すものとしては意図されていない。
【0014】
以下で説明されている実施形態および例のうちの少なくともいくつかは、たとえば、絶縁体層の材料として結晶酸化ケイ素を有する高品質SOI構造を形成するための単純な実質的に単一工程のプロセスを提供し得る。さらに、以下で説明されている実施形態および例のうちの少なくともいくつかは、たとえば、様々な半導体デバイスの一部として組み込まれるのに適している高品質SOI層構造を提供し得る。たとえば、SOI層構造は、半導体デバイス層をその上に堆積するための堆積表面として働き得る。
【0015】
図1の方法100は、絶縁体層の材料として結晶酸化ケイ素SiO
xを有するシリコンオンインシュレータ(SOI)層構造を含む半導体構造を形成するために使用され得る。半導体基板は、
図2の基板によるものであってよく、以下では、この方法は
図1および
図2の両方を参照しつつ説明される。
【0016】
この方法は、動作120において、真空室内に実質的に清浄な堆積表面202を有する結晶シリコン基板201を提供するステップを含む。
【0017】
結晶シリコン基板は、任意の適切な直径および厚さを有する平面シリコンウェハの形態をとり得る。代替的に、シリコン基板は、任意の他の適切な構成、形状、およびサイズで形成され得る。たとえば、これは、シリコンウェハから切り出されるか、またはシリコンウェハ上でエッチングされ得る。シリコン基板は自己支持構造であり得るか、またはキャリア基板もしくは支持構造上に取り付けられるか、もしくは形成される構造であってよい。シリコン基板は、シリコンから形成されていない部品、構造、および要素も組み込むより大きい構造またはアセンブリの一部であってよい。
【0018】
堆積表面は、追加の材料が導入されおよび/または吸着され得るシリコン基板の表面を指す。結晶方位に関して、堆積表面は、たとえば、シリコン{100}、シリコン{111}、またはシリコン{110}表面であってよい。
【0019】
実質的に清浄であることは、堆積表面に自然酸化ケイ素または他のタイプの不純物原子が実質的にないことを指す。「実質的にない」は、シリコン表面上の外来原子および分子の濃度が3・10
13cm
-2を超えないことを意味する。そのような実質的に清浄な堆積表面は、予め、すなわち、この方法の前に、清浄化されて提供されるものとしてよい。代替的に、これを清浄化するステップは、
図1の方法における任意選択の清浄化動作110によって例示されているように、この方法に含まれる。そのような清浄化するステップは、任意の適切な清浄化プロセスによって実行されてよい。
【0020】
真空室は、真空室内で1・10-4mbar以下、好ましくは少なくとも1・10-8mbarまでの、圧力を発生することができるシステムの任意の適切なタイプの真空室であってよい。シリコン基板が位置決めされるか、取り付けられ得る任意の適切なタイプのキャリアまたはホルダ部材があってよい。任意の適切なタイプの加熱および冷却システムが、そのようなキャリアまたはホルダ部材に接続され、その上に載るシリコン基板を加熱し、冷却し得る。
【0021】
この方法は、動作130において、真空室内に用意されているシリコン基板を550から1200℃の範囲内、たとえば、550から1000℃、550から850℃、または550から750℃の範囲内にある酸化温度Toに加熱するステップをさらに含む。
【0022】
ステップ140において、この方法は、基板をその酸化温度に維持しながら、1・10-8から1・10-4mbarの範囲内、たとえば、1・10-7から1・10-8mbarの範囲内ある酸化圧力Poにより分子酸素O2を真空室内に供給するステップをさらに含む。酸素供給は、0.1から1000Lの範囲内、たとえば、5から300Lの範囲内の酸素投与量が真空室内に供給されてしまうまで続けられる。
【0023】
上で指定された範囲は、実際のプロセスパラメータが選択され得るパラメータ空間を定義する。したがって、この方法は、実際のプロセスパラメータ、すなわち、酸化温度、酸化圧力、および酸素投与量の異なる組合せを使用して実行され得る。たとえば、実際のプロセスパラメータは、次に示すパラメータ部分空間のうちのいずれかの中で選択され得る。To=550から700℃、Po=1・10-7から1・10-4mbar、Do=10から50L。To=650から700℃、Po=1・10-7から1・10-6mbar、Do=50から100L。To=650から750℃、Po=1・10-7から5・10-7mbar、Do=50から300L。To=700から750℃、Po=1・10-5から5・10-5mbar、Do=5から50L。To=550から600℃、Po=1・10-7から5・10-7mbar、Do=5から75L。To=700から750℃、Po=5・10-6から1・10-5mbar、Do=10から100L。
【0024】
酸素供給の持続時間は、たとえば、酸素圧力およびターゲットである酸素投与量に応じて、変化し得る。次いで、酸素圧力は、たとえば、真空室および酸素供給配置構成の詳細な特性の影響を受け得る。酸素投与量の正確な制御を確実にするために、分子酸素は、少なくとも0.5秒、たとえば、少なくとも約1秒、好ましくは少なくとも10秒である酸化期間に真空室内に供給されるものとしてよい。酸化期間の長さを延ばすことで、酸素投与量の制御を改善することが可能になり得る。
【0025】
シリコン基板の前記酸化圧力、酸化時間、および酸化温度で前記酸素を供給した結果、真空室内に供給される酸素は、堆積表面上に少なくとも部分的に吸着され、シリコン基板内に拡散する。その結果、少なくとも分子層2つ分の厚さを有する結晶酸化ケイ素層は、結晶シリコン基層と結晶シリコン最上位層との間のシリコン基板内に形成される。言い換えると、結晶酸化ケイ素SiOx層を誘電体層として有するSOI構造は、結晶シリコン最上位層の下に形成される。それによって、この方法は、たとえば、結晶シリコン最上位層を形成するために追加の堆積ステップをいっさい必要とすることなく、既存のシリコン結晶内に結晶酸化ケイ素層を形成するステップを含む。次いで、最上位層は、基層として基本的にまたはほとんど同じであるダイヤモンド立方晶系結晶構造を有し得る。「基本的に」および「ほとんど」は、結晶酸化ケイ素層がダイヤモンド立方結晶構造から逸脱した結晶構造を有し得ること、および少なくともSi/SiOx界面に近い、シリコン最上位層の結晶構造にも何らかの効果を有し得るという事実を指す。他方において、結晶シリコン最上位層の自由表面の(2×1)+(1×2)再構成は、その前記自由表面に近い最上位層の結晶構造に影響を及ぼす。
【0026】
当技術分野において確立されている理解により、知られている方法を使用して結晶シリコンを酸化したときに、結晶内の酸素混入部位は堆積表面にある。たとえば、Miyamotoら、Physical Review B 43、9287、1991年を参照。
【0027】
しかしながら、上記の方法は、酸化パラメータの適切に選択された新規性のある組合せにより、堆積表面上に吸着された酸素がシリコン基板の表面または最上位層を通って拡散させられ、結晶酸化物が明らかに堆積表面の下にあるバルクシリコン結晶内に形成されるという驚くべき観察結果に基づく。それと同時に、シリコン基板のバルク結晶からのケイ素原子は、酸素原子がシリコン基板内に組み込まれることにより一番外側の表面に向かって拡散し得る。そのような拡散したケイ素原子は、堆積表面上に新しい構造を形成し得る。結晶酸化物SiOx層の結晶構造は、バルクシリコンのダイヤモンド格子と異なり得る。
【0028】
図2の半導体構造200は、シリコンオンインシュレータ(SOI)構造を含み、
図1を参照しつつ上で説明されているような方法を使用して製造され得る。その場合、
図2に例示されているように、製造の出発点は、実質的に清浄な堆積表面202が上に載る結晶シリコン基板201である。半導体構造200は、結晶シリコン基層203と、シリコン基層上の分子層複数分の厚さまで広がる結晶酸化ケイ素SiO
x層204と、結晶酸化ケイ素層上の結晶シリコン最上位層205とを備える。結晶シリコン最上位層205は、結晶シリコン基層203と基本的にまたはほとんど同じであるダイヤモンド立方晶系結晶構造を有し得る。
【0029】
結晶SiO
x層の正確な厚さは異なることがあり、数ナノメートルの厚さを有することもある。
図1を参照しつつ上で説明されているような方法によって形成されるときには、厚さは、たとえば、酸化温度、酸化圧力、および/または酸素投与量の影響を受け得る。厚さの選択は、SiO
x層のバンドギャップを手直しするために使用され得る。たとえば、バンドギャップの増加は、酸化物層の有効絶縁障壁厚さの増大を有利もたらし得る。たとえば、半導体構造内のSiO
x層を通るトンネリングを調整するために、結晶SiO
x層の厚さの適切な調整が使用されてよい。これは、以下でさらに詳しく説明される。
【0030】
図1を参照しつつ上で説明されているような方法を使用して製造される半導体構造の場合、酸化ケイ素層とシリコン基層および最上層との間のシリコン-酸化ケイ素界面は、拡散により、絶対的に急激に形成される代わりに段階的であることがわかっている。この結果、有利には、酸化ケイ素層とシリコン基層との間のSiO
x/Si界面のところに曲がったエネルギー帯が生じ、電荷キャリアを界面領域から遠ざけ、これにより、たとえば、電荷キャリアの望ましくない表面再結合が減少し得る。
【0031】
図3の方法300は、これが、結晶酸化ケイ素層の形成に関わらない可能性のある過剰な酸素を取り除くために、650から750℃の範囲内にある加熱後温度で、分子酸素の供給後に、吸着酸素を有するシリコン基板が真空室内でアニールされる追加のアニール操作350を含む点で
図1の方法と異なる。アニーリングは、30秒から60分、たとえば、5から20分の間持続し得る。真空室内ではアニーリング時に10
-8mbar以下の圧力が使用され得る。
【0032】
アニーリングの前に、310または320から340の操作で形成される半導体構造は、酸化および加熱後温度より実質的に低い温度まで冷却され得る。代替的に、シリコン基板/半導体構造の温度は、酸化温度から加熱後温度まで直接的に調整され得る。酸化温度が加熱後温度に等しい場合、調整は不要である。
【0033】
上で説明されている方法の実現可能性は、酸化手順の例でテストされた。
【0034】
第1の例では、Si(100)堆積表面を有する結晶シリコン基板として使用するために5mm×10mmの矩形のSiサンプルがn型Si(100)ウェハから切り出された。Siサンプルは、Moから作られたサンプルホルダ上でより短いエッジを介して取り付けられ、Siサンプルを通して直流電流が送られることを可能にした。サンプルホルダは、多室真空システムの真空室内に配置されているマニピュレータ内に移送され、Siサンプルは、1100から1200℃の清浄化温度まで繰り返し急速加熱され、Si(100)堆積表面から自然酸化物および炭素汚染物質を除去した。酸素および炭素汚染物質が堆積表面から事実上取り除かれ/脱着されたことを確認するためにX線光電子分光法(XPS)が使用された。さらに、低速電子線回折(LEED)分析結果は、鋭い(2×1)+(1×2)再構成が固有二重領域表面構造(inherent double-domain surface structure)から生じることを示した。表面清浄化の後に取り込まれた走査トンネル顕微鏡法(STM)画像は、大型2次元テラス上の二重領域再構成の存在を支持していた。
【0035】
清浄化段階の後に、清浄なSi(100)堆積表面を有するSiサンプルは、リーク弁を介して真空室内に導入されたO2ガスを使用して、同じ真空システム内で酸化された。リーク弁を開く前に、Siサンプルの温度は670℃の加熱温度まで高められた。次いで、真空室内のO2圧力は、1・10-7mbarまで高められ(圧力はイオンゲージ圧計によって測定された)、Siサンプルは、500秒間加熱温度で酸化され、その結果、50ラングミュア(L)の酸化投与量が得られた。その後、リーク弁は閉じられ、Si加熱は同時に停止された。
【0036】
図4のSTM画像は、酸化中のSiサンプルの表面の発達を示している。一番上の画像では、堆積表面は、テラス状の、または段のある微小構造を有する。酸化が進行すると、酸素原子がSi結晶内に組み込まれる結果、Si原子はバルク結晶から堆積表面に拡散するものとしてよく、そこで、真ん中および一番下の画像に例示されているように、初期(2×1)二量体-行構造を有する新しいアイランドまたは行を形成し始める。
【0037】
Siサンプルの酸化が完了した後も、SiサンプルのLEED画像は、鋭い(2×1)+(1×2)パターンを示しており、これはサンプルの一番外側の一番上の表面層が結晶シリコンから形成されたことを指示している。他方で、XPSによってサンプルから測定されたO1s強度は、シリコン最上位層の下の、バルクシリコン結晶内に酸素原子が組み込まれることをはっきり示していた。
【0038】
第2の例では、上で説明されている第1の例と同様に、Siサンプルが作製され、清浄化された。酸化は、基本的に第1の例と同様に実行されたが、酸化温度は600℃であり、1・10-6mbarの酸素圧力を使用し、酸素供給時間は75sであり、その結果酸素投与量は75Lであった。第1の例と同様に、鋭い(2×1)+(1×2)LEEDパターンが観察され、O1s強度がXPSによって測定され、それらの酸化パラメータも有する結晶SOI構造の形成を示した。
【0039】
第3の例では、基本的に第1および第2の例と同様に、酸化は、酸化温度700℃で、1・10
-4mbarの酸素圧力、1sの酸素供給時間を使用して実行され、その結果酸素投与量は約100から200Lであった。酸化の後、サンプルのLEED画像は、堆積表面のところで、Siバルク結晶に組み込まれず、結晶SiO
xを形成する、過剰な酸素の存在を示す、弱い(1×1)のみを示した。次いで、サンプルは、10分間、700℃の加熱後温度でアニールされた。アニーリングの結果、
図7bのものに似た、鋭い(2×1)+(1×2)LEEDパターンが生じ、O1s強度がXPSによって測定され、これも再び、結晶シリコン最上位層の下に結晶酸化ケイ素層を形成することを示した。
【0040】
図5の方法500は、
図1および
図3を参照しつつ上で説明されている方法のうちのいずれかに従って実行され得る酸化段階を含む。これは、真空室内に結晶シリコン基板を用意し、それを酸化温度に加熱し、分子酸素を真空室内に供給してシリコン基板を酸化させる操作520、530、540を含む。さらに、これは、シリコン基板の堆積表面を清浄化するステップ、およびシリコン基板をその中に形成される酸化ケイ素層とともにアニールするステップである任意選択の操作510、550のうちの一方または両方を含み得る。
【0041】
さらに、この方法は、操作560において、シリコン最上層上にキャップ層を堆積するステップを含む。キャップ層は、たとえば、酸化物または窒化物を含むものとしてよく、また非晶質もしくは結晶質であってよい。追加の酸化物層は、たとえば、二酸化ケイ素SiO2、酸化アルミニウムAl2O3、酸化ハフニウムHfO2、または酸化チタンTiO2を含み得る。他の実施形態では、これは、たとえば、酸化ハフニウムと酸化チタンの混合組成物HfO2-TiO2、酸化ジルコニウムZrO2、酸化セリウムCeO2、酸化イットリウムY2O3、ケイ酸ジルコニウムZrSiO4、ケイ酸ハフニウムHfSiO4、酸化アルミニウムAl2O3、窒素添加ハフニウムシリケートHfSiON、窒化ハフニウムケイ素、酸化ランタンLa2O3、酸化ビスマスケイ素Bi4Si2O12、酸化タンタルTa2O5、酸化タングステンWO3、酸化ランタンアルミニウムLaAlO3、酸化バリウムストロンチウムBa1-xSrxO3、チタン酸鉛(II)PbTiO3、チタン酸バリウムBaTiO3、チタン酸ストロンチウムSrTiO3、またはその任意の適切な混合物を含み得る。キャップ層は、たとえば、1から500、1から400、または3から300nmの範囲内の厚さを有し得る。
【0042】
キャップ層は、たとえば、原子層堆積ALDまたは化学気相成長CVDによって堆積され得る。したがって、全体的な方法500は、SOI構造を形成し、その後に、たとえば、ALDもしくはCVDによりその上にキャップ層を堆積するために、
図1および
図3を参照しつつ上で説明されている方法のいずれかによる方法を使用して実行され得る。
【0043】
図6の半導体構造600は、たとえば
図5の方法500によって製造され得る。半導体構造600は、
図2および
図4を参照しつつ上で説明されている半導体構成のうちのいずれかによるものであってよいSOI組成物を含む。SOI組成物は、結晶シリコン基層603と、シリコン基層上の少なくとも分子層2つ分の厚さを有する結晶酸化ケイ素SiO
x層604と、結晶酸化ケイ素層上の結晶シリコン最上位層605とを備える。半導体構造600は、結晶シリコン最上位層605上のキャップ層606をさらに含む。キャップ層は、たとえば、二酸化ケイ素SiO
2、酸化アルミニウムAl
2O
3、酸化ハフニウムHfO
2、または酸化チタンTiO
2を含み得る。他の実施形態では、これは、たとえば、酸化ハフニウムと酸化チタンの混合組成物HfO
2-TiO
2、酸化ジルコニウムZrO
2、酸化セリウムCeO
2、または酸化イットリウムY
2O
3、ケイ酸ジルコニウムZrSiO
4、ケイ酸ハフニウムHfSiO
4、酸化アルミニウムAl
2O
3、窒素添加ハフニウムシリケートHfSiON、窒化ハフニウムケイ素、酸化ランタンLa
2O
3、酸化ビスマスケイ素Bi
4Si
2O
12、酸化タンタルTa
2O
5、酸化タングステンWO
3、酸化ランタンアルミニウムLaAlO
3、酸化バリウムストロンチウムBa
1-xSr
xO
3、チタン酸鉛(II)PbTiO
3、チタン酸バリウムBaTiO
3、チタン酸ストロンチウムSrTiO
3、またはその任意の適切な混合物を含み得る。キャップ層は、たとえば、1から500、1から400、または3から300nmの範囲内の厚さを有し得る。
【0044】
図1、
図3、および
図5を参照しつつ上で説明されている方法のうちのいずれかによる方法を使用して製造される半導体構造に対して、走査型トンネル電子分光法(STS)によって測定可能な、半導体構造のトンネルギャップは、Siバルクサンプルの清浄な表面に比べて明らかに高いことがわかった。たとえば、STS分析は、10Lと低い酸素投与量で600℃の温度によりSi(100)(2×1)表面を酸化させると、結果として、トンネルギャップは清浄な非酸化Si(100)(2×1)基準表面のトンネルギャップの幅の4倍である幅を有することになり得ることを示した。STSの固有の特性が調査されるべきサンプルの一番外側の原子層に対して最も敏感であるため、測定されたトンネルギャップは、SiO
xギャップを表さないと仮定してよい。この仮定は、サンプルのSTM分析によって確認されており、その表面上に酸素が存在しないことを示している。その代わりに、一番外側のSi表面の下のバルク内に組み込まれた酸素は、価電子および伝導帯の曲げを引き起こし、SOI構造を含む酸化Siサンプルの一番外側の表面層における伝導帯最小値(CBM)と価電子帯最大値(VBM)との間のバンドギャップを高めると仮定してよい。この効果は、
図7aに例示されている。
【0045】
結晶シリコン最上層上のキャップ層を含む、
図6のような半導体構造内のバンド構造上のそのようなバンド曲がりの効果は、
図7bに例示されている。当技術分野で知られているように、結晶Si基板上の絶縁酸化物層を有する構造では、絶縁体/Si界面に典型的には界面欠陥がある。それらの界面欠陥は、電荷キャリアの望ましくない表面再結合を引き起こし得る。
図6による構造では、バンドギャップ(およびバンド曲がり)のSiO
x誘発増加は、構造の最も欠陥が多い領域からの電荷キャリアの「反発」を、電荷キャリアを示す小さいボールと、前記反発効果を示す矢印によって
図7bに例示されているように、引き起こし得る。
【0046】
図7aおよび
図7bに概略が例示されている仮定された効果の存在は、アールト大学の表面再結合速度(SRV)計測器を使用して、
図6の半導体構造600によるテストサンプル、および基準サンプルを分析することによって調査された。テストサンプルは、600℃の酸化温度を使用して
図5の方法により製造され、基準サンプルは、室温でSi基板を酸化させることによって製造された。基準サンプルは、テストサンプルとして、キャップ層として働く、類似の非晶質Al
2O
3薄膜でキャップされた。テストサンプルは、基準サンプルよりはっきり長い寿命をもたらしたが、これは
図7aおよび
図7bを参照しつつ上で説明されている仮定された効果を確認することでわかる。
【0047】
図1から
図7を参照しつつ上で説明されている例では、1つの平面堆積表面を有する平面シリコン基板、およびSOI層構造を有する平面半導体構造が説明されている。しかしながら、上で説明されている方法は、異なるように配向され、異なる結晶方位を有し得るいくつかの堆積表面を有するシリコン基板構造を酸化するためにも使用され得る。その結果、3次元SOI層構造が形成され得る。それに対応して、
図2および
図6に例示されている平面半導体構造に関して上で説明されているものは、3次元SOI層構造を有する半導体構造としても実装され得る。
【0048】
図1、
図3、および
図5を参照しつつ上で説明されているように製造される半導体構造、さらには
図2、
図4、および
図6を参照しつつ説明されているような半導体構造は、SOI構造が有用である任意の種類の用途において使用されてよい。たとえば、それらの半導体構造は、半導体デバイス内の電流を誘導するように設計されている電界効果トランジスタFET、太陽電池、および様々なコンポーネントまたは障壁構造で使用され得る。さらに、それらの半導体構造は、様々な半導体表面を不動態化するためにも潜在的に有用であることがわかっている。
【0049】
結晶シリコン最上位層上にキャップ層を有する、
図6に例示されているような半導体構造は、たとえば、太陽電池構造の表面不動態化および/または反射防止コーティングに、または電界効果トランジスタFETのゲートスタック内で使用されてよい。有利な表面再結合速度特性は、そのような半導体構造およびデバイスの性能を改善し得る。類似の半導体構造も、たとえば、構造の周りの周囲条件によって誘発される変化に対して、エッチングによって形成されるナノ構造などの、3次元構造を電気的および/または化学的に不動態化するために使用され得る。
【0050】
第4の例では、Siサンプル基板およびSi基準基板として使用するために2つの5mm×10mmの矩形の個片がn型Si(100)ウェハから切り出された。次いで、基板は、最大1100℃の清浄化温度まで繰り返し急速加熱することによって多室真空システムの真空室の内側において真空で清浄化された。
【0051】
この清浄化手順に従って、Siサンプル基板は650℃の加熱温度に曝され、サンプル基板の外面は1・10-7mbarのO2圧力で酸化され、その結果、酸化投与量は50Lとなり、本発明によりSOI層構造を形成し、その後、酸化されたサンプル基板および基準基板の上に、水、および前駆体としてのテトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)(TDMAH)を使用して、ALDによって25nmの厚さを有するHfO2薄膜が成長させられた。
【0052】
HfO2の堆積後に、直径100ミクロンの円形ゲート金属パッドが、10nmのクロムを、次に50nmの金を、シャドウマスクを通して、HfO2薄膜上にスパッタリングすることによって堆積され、それぞれ半導体としてサンプル基板または基準基板を含む2つの金属酸化膜半導体(MOS)構造、MOSキャパシタサンプルとMOSキャパシタ基準とを加工した。次いで、MOSキャパシタ構造は、真空室から取り出され、導電性銀ペーストを使用してバック接点を形成することで、LCRメータに接続された。
【0053】
図8は、第4の例による2つの異なるMOSキャパシタ構造について測定された静電容量-電圧(C-V)曲線を示している。
図8aおよび
図8bのC-V曲線は、それぞれ、MOSキャパシタサンプルおよびMOSキャパシタ基準上で実施される測定に対応する。
図8に基づき、MOSキャパシタ基準の、負電圧から正電圧へのシフト中に短絡条件の近くで生じる、空乏領域静電容量ステップは、MOSキャパシタサンプルの対応するステップより高く構造化される(たとえば、段付きおよび/または段階的)ことがわかる。そのような空乏領域特徴は、Siサンプル基板の内側に埋め込まれた結晶SiO
x層によりMOSキャパシタサンプルよりもMOSキャパシタ基準において欠陥密度が高いことを示し得る。それに加えて、これらの結果に基づき、1100℃の温度で実施された清浄化手順は、その結果、サンプルおよび基準基板内にバンド曲がりを引き起こし、C-V曲線の形状に影響を及ぼし得る。
【0054】
第5の例において、MOSキャパシタサンプルおよびMOSキャパシタ基準は、上で説明された第4の例と同様に作製されLCRメータに接続された。しかしながら、第4の例とは対照的に、真空中でのサンプルおよび基準基板を清浄化するステップは、標準的なRCA清浄化手順によって置き換えられた。サンプルおよび基準基板は、バック接点を形成するために銀ペースを追加する前に400℃の温度で追加の金属化後アニーリングにも曝された。
【0055】
図9は、第5の例による2つの異なるMOSキャパシタ構造について測定された静電容量-電圧(C-V)曲線を示している。
図9aおよび
図9bのC-V曲線は、それぞれ、MOSキャパシタサンプルおよびMOSキャパシタ基準上で実施される測定に対応する。
図9bにおいて、基準サンプルの反転静電容量が負電圧において増加することがわかる。これは、MOSキャパシタ基準における有害な正孔反転層によって引き起こされ得る。たとえば、O’Connorら、Journal of Applied Physics 111、124104、2012年を参照のこと。正孔反転層は、HfO
2内の固有固定負電荷から結果として生じ得る。たとえば、Fosterら、Physical Review Letters 89、225901、2002年を参照のこと。MOSキャパシタ基準をスイッチオフすることを妨げる、正孔反転層は、SiO
xの固定正電荷を補償することにより、
図9aに示されているように、SOI層構造の提供を介して除去可能であり得る。たとえば、Schmidtら、Applied Physics A 86、187、2007年を参照のこと。結晶SiO
xにおけるそのような固定正電荷は、また、半導体デバイス(たとえば、太陽電池)内の電流(たとえば、正孔に対するp型Siまたは拡散障壁内の誘導p-n接合)を導くように設計されている様々なコンポーネントまたは障壁構造内で利用可能であり得る。
【0056】
本発明の主題は構造的機能および/または方法論的活動に固有の言語で説明されているが、付属の請求項で定められている本発明の主題は、上で説明された特定の機能または活動に必ずしも限られないことは理解されるであろう。むしろ、上述の特定の特徴および活動は、請求項を実施する例示的な形態として開示されている。
【0057】
上で説明されている利益および利点は、一実施形態に関係し得るか、またはいくつかの実施形態に関係し得ることは理解されるであろう。これらの実施形態は、述べられた問題のいずれかもしくはすべてを解決する実施形態または述べられた利益および利点のいずれかもしくはすべてを有する実施形態に限定されない。「1つの(an)」項目への参照はそれらの項目のうちの1つまたは複数を指すとさらに理解されるであろう。
【0058】
「含む、備える(comprising)」という言い回しは、本明細書では、1つまたは複数の追加の特徴もしくは行為の存在を除外することなく、その後に続く特徴または行為を含むことを意味するために使用される。
【0059】
請求項の実施形態は、上で説明されているものに限定されないが、更なる実施形態が請求項の範囲内に存在し得ることに留意されたい。
【符号の説明】
【0060】
100 方法
120 動作
130 動作
200 半導体構造
201 結晶シリコン基板
202 堆積表面
203 結晶シリコン基層
204 結晶酸化ケイ素層
205 結晶シリコン最上位層
300 方法
350 アニール操作
500 方法
510、550 操作
520、530、540 操作
560 操作
600 半導体構造
603 結晶シリコン基層
605 結晶シリコン最上位層
606 キャップ層