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特許7246336コンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】コンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
B65G63/00 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020038334
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021138503
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】多田 淳一
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-282385(JP,A)
【文献】特開2011-153025(JP,A)
【文献】特開2019-104576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0112476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00-63/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ船とコンテナの荷役を行う岸壁クレーンを備えたコンテナターミナルであり、前記コンテナを前記コンテナターミナルの内外で搬送する外来車両が前記コンテナターミナルへ入退場する際に通過する入場ゲート及び退場ゲートと、前記入場ゲートから前記岸壁クレーンを経由して前記退場ゲートに至る通路であり前記外来車両が通行する外来車両通行路とを備え、前記岸壁クレーンと前記外来車両の間で前記コンテナの荷役を直接行えるように構成したコンテナターミナルにおいて、
前記岸壁クレーンと前記コンテナ船との荷役の進行状況に関する情報である進行情報を取得する情報管理部と、
前記進行情報を基に、前記岸壁クレーンとの間で荷役を行う予定で、かつ前記コンテナターミナル外に存在する前記外来車両を選択し、選択した前記外来車両と荷役を行う前記コンテナ船の接岸スケジュールを示す来場指令情報を生成する来場指令生成部と、
前記外来車両に前記来場指令情報を送信する来場指令送信部と、
前記外来車両に搭載され、前記来場指令情報を受信する外来車両受信部と、
を備えることを特徴とするコンテナターミナル。
【請求項2】
前記外来車両通行路の、前記入場ゲートから前記岸壁クレーンまでを結ぶ部分に接続され、前記岸壁クレーンと荷役を行う前の前記外来車両が一時的に待機する待機所を備える請求項1に記載のコンテナターミナル。
【請求項3】
前記コンテナを一時的に蔵置する仮蔵置所と、
前記コンテナターミナル内を走行し、前記外来車両及び前記岸壁クレーンと、前記仮蔵置所との間で前記コンテナの荷役を行う構内搬送手段と、
前記外来車両通行路と前記仮蔵置所を接続する通路である仮蔵置所通路と、
を備える請求項1又は2に記載のコンテナターミナル。
【請求項4】
前記外来車両の前記コンテナターミナルに対する入退出管理および前記コンテナターミナル内での前記外来車両の誘導を行う荷役制御部を備える請求項1~3のいずれか一項に記載のコンテナターミナル。
【請求項5】
コンテナ船とコンテナの荷役を行う岸壁クレーンを備えたコンテナターミナルであり、前記コンテナを前記コンテナターミナルの内外で搬送する外来車両を前記コンテナターミナルに入場させ前記岸壁クレーンまで誘導する誘導工程と、前記外来車両と前記岸壁クレーンとの間で前記コンテナの荷役を行う荷役工程と、前記外来車両を前記コンテナターミナルから退出させる退出工程とを備えたコンテナターミナルの運用方法であって、
前記岸壁クレーンと前記コンテナ船との荷役の進行状況に関する情報である進行情報を情報処理部が取得する取得工程と、
前記進行情報を基に、前記岸壁クレーンとの間で荷役を行う予定で、かつ前記コンテナターミナル外に存在する前記外来車両を選択して、選択した前記外来車両が荷役を行う前記コンテナ船の接岸スケジュールを示す来場指令情報を来場指令生成部が生成する来場指令生成工程と、
前記外来車両に搭載され前記来場指令情報を受信する外来車両受信部に、来場指令送信部が前記来場指令情報を送信する来場指令送信工程と、を前記誘導工程の前に実施することを特徴とするコンテナターミナルの運用方法。
【請求項6】
前記外来車両の前記コンテナターミナルに対する入退出管理および前記コンテナターミナル内での前記外来車両の誘導を行う荷役制御部を予め備えていて、前記荷役制御部が前記誘導工程を実施する請求項5に記載のコンテナターミナルの運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ船との間でコンテナの荷役を行うコンテナターミナルでは、ターミナル外部から来る外来車両が搬送してきたコンテナを以下の手順でコンテナ船に積載する。まずターミナルのゲートから外来車両が進入し、待機所を経てターミナル内の指定された蔵置ブロックに到達し、門型クレーン等にコンテナを受け渡す。受け渡されたコンテナは蔵置ブロックに蔵置され、コンテナ船の入港スケジュールに合わせて門型クレーンが構内車両に積み替える。構内車両は積み替えたコンテナを岸壁クレーンに受け渡し、岸壁クレーンは受け取ったコンテナをコンテナ船に積載する。コンテナ船に積載されたコンテナを外来車両に積載する場合は逆の手順を行う(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-238134号公報
【文献】特開2018-108882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の構成はコンテナ船の入港スケジュールと外来車両の入場スケジュールが多少合わない場合でも荷役を進行できる点で有用である。しかしながら特許文献1、2に記載の構成は、コンテナ船と外来車両の間でコンテナの荷役を行う際に、必ず門型クレーン、蔵置ブロック、及び構内車両を経由する必要がある。そのため、これらの設備を配置する場所が必要となり、省スペース化の観点から改善の余地がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、省スペース化が容易なコンテナターミナルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するため、本発明の1態様は、コンテナ船とコンテナの荷役を行う岸壁クレーンを備えたコンテナターミナルであり、前記コンテナを前記コンテナターミナルの内外で搬送する外来車両が前記コンテナターミナルへ入退場する際に通過する入場ゲート及び退場ゲートと、前記入場ゲートから前記岸壁クレーンを経由して前記退場ゲートに至る通路であり記外来車両が通行する外来車両通行路を備え、前記岸壁クレーンと前記外来車両の間で前記コンテナの荷役を直接行えるように構成したコンテナターミナルにおいて、前記岸壁クレーンと前記コンテナ船との荷役の進行状況に関する情報である進行情報を取得する情報管理部と、前記進行情報を基に、前記岸壁クレーンとの間で荷役を行う予定で、かつ前記コンテナターミナル外に存在する前記外来車両を選択し、選択した前記外来車両と荷役を行う前記コンテナ船の接岸スケジュールを示す来場指令情報を生成する来場指令生成部と、前記外来車両に前記来場指令情報を送信する来場指令送信部と、前記外来車両に搭載され、前記来場指令情報を受信する外来車両受信部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の他の態様は、コンテナ船とコンテナの荷役を行う岸壁クレーンを備えたコンテナターミナルであり、前記コンテナを前記コンテナターミナルの内外で搬送する外来車両を前記コンテナターミナルに入場させ記岸壁クレーンまで誘導する誘導工程と、前記外来車両と前記岸壁クレーンとの間で前記コンテナの荷役を行う荷役工程と、前記外来車両を前記コンテナターミナルから退出させる退出工程とを備えたコンテナターミナルの運用方法であって、前記岸壁クレーンと前記コンテナ船との荷役の進行状況に関する情報である進行情報を情報処理部が取得する取得工程と、前記進行情報を基に、前記岸壁クレーンとの間で荷役を行う予定で、かつ前記コンテナターミナル外に存在する前記外来車両を選択して、選択した前記外来車両が荷役を行う前記コンテナ船の接岸スケジュールを示す来場指令情報を来場指令生成部が生成する来場指令生成工程と、前記外来車両に搭載されて前記来場指令情報を受信する外来車両受信部に、来場指令送信部が前記来場指令情報を送信する来場指令送信工程と、を前記誘導工程の前に実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は岸壁クレーンと外来車両の間でコンテナの荷役を直接行える構成であるため、蔵置ブロックを必ず経由して荷役を行う場合と異なり門型クレーン、蔵置ブロック、及び構内車両が必須でない。
そのため、コンテナターミナルの省スペース化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るコンテナターミナルの概観を示す平面図。
図2】第1の実施形態に係るコンテナターミナルの運用方法を示すフロー図。
図3】第1の実施形態に係るコンテナターミナルの運用方法を示すフロー図。
図4】第2の実施形態に係るコンテナターミナルの概観を示す平面図。
図5】第3の実施形態に係るコンテナターミナルの概観を示す平面図。
図6】第4の実施形態に係るコンテナターミナルの概観を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づき本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。まず図1を参照して本発明の第1の実施形態に係るコンテナターミナルの構成を説明する。
図1に示すようにコンテナターミナル1は岸壁に設けられ、岸壁に接岸したコンテナ船48と外来車両5との間でコンテナ10の荷役を行う施設である。なお以下の説明では、外来車両5とはコンテナターミナル1の内外でコンテナ10を搬送する車両を意味し、具体的には運転者が搭乗しているコンテナトラックやコンテナトレーラである。
【0010】
図1に示すコンテナターミナル1は荷役領域11、岸壁クレーン9a~9c、入場ゲート13a、退場ゲート13b、外来車両通行路15、及び管理棟17を備える。
荷役領域11は、コンテナ船48と外来車両5が荷役を行う領域であり、ここでは岸壁に接して設けられた帯状の領域である。図1では荷役領域11はコンテナターミナル1の全体であるが、コンテナ船48と外来車両5が荷役を行う領域が確保できればコンテナターミナル1の一部でもよい。
岸壁クレーン9a~9cは岸壁に接岸したコンテナ船48とコンテナ10の荷役を行うクレーンであり、図1では岸壁に沿ってY方向に配列して荷役領域11に設けられる。岸壁クレーン9a~9cとしてはZ方向に上下動してコンテナ10の荷役を行うスプレッダ等の吊具、スプレッダを岸壁とコンテナ船48の間でX方向に移動させるトロリ、及びこれらを保持しつつY方向に移動可能な支持構造体を備えた構造を例示できる。
【0011】
入場ゲート13aは外来車両5がコンテナターミナル1の外部から荷役領域11に進入する際に通過するゲートであり、図1ではコンテナターミナル1の外周に配置される。入場ゲート13aは遮断機23及び検知器21を備える。
遮断機23は入場許可のない外来車両5がコンテナターミナル1に誤進入するのを防ぐ設備であり、ここでは腕木式の遮断桿を例示している。遮断機23は外来車両5の誤進入を防止できる構成であれば、信号機等でもよい。
検知器21は外来車両5を識別する装置であり、外来車両5のナンバープレートや外装を撮像するカメラを例示できる。外来車両5が固有のRFIDタグを備える場合、このタグを読み取るリーダでもよい。
なお、図1では図面の簡略化のために入場ゲート13aを一か所のみ図示しているが、複数箇所設けてもよい。
退場ゲート13bは外来車両5がコンテナターミナル1から退出する際に通過するゲートであり、図1ではコンテナターミナル1の外周に配置される。退場ゲート13bは入場ゲート13aと同様の遮断機23及び検知器21を備える。図1では図面の簡略化のために退場ゲート13bを1か所のみ図示しているが、複数箇所設けてもよい。
また、コンテナ10をコンテナ船48に受け渡して荷台が空になった外来車両5の専用の退場ゲート13bと、コンテナ船48から受け取ったコンテナ10を積載した外来車両5の退場専用の退場ゲート13bを別々に設けてもよい。この構成では、外来車両5が誤ったコンテナ10を受け取っていないかを、コンテナ10を積載した外来車両5の退場専用の退場ゲート13bで検知できる。
【0012】
外来車両通行路15は外来車両5が通行する通路であり、荷役領域11に設けられる。外来車両通行路15は入場ゲート13aから岸壁クレーン9a~9cを経由して退場ゲート13bに至る通路であり、図1では本線25及び支線27a~27cを備える。
本線25は入場ゲート13aと退場ゲート13bを結ぶ通路であり、外来車両5が必ず通過する。図1では本線25を1車線のみ図示しているが、2車線以上でもよい。
支線27a~27cは、本線25から岸壁クレーン9a~9cに至り、再び本線25に戻る通路である。支線27a~27cは、岸壁クレーン9a~9cのいずれかとコンテナ10の荷役を行う外来車両5のみが通過する通路である。より具体的には、支線27a~27cの経路は、岸壁クレーン9a~9cの吊具が岸壁まで下降できる範囲と重複する。この重複範囲における支線27a~27c上で外来車両5が停車し、岸壁クレーン9a~9cの吊具を外来車両5まで巻き下げてコンテナ10の受け渡しを行う。
岸壁クレーン9a~9cは一般に図示しないレール上をY方向に移動可能であるため、支線27a~27cのY方向の最大長さは、岸壁クレーン9a~9cのY方向の移動範囲よりも広いのが好ましい。また支線27a~27cは一部が重なっていてもよい。
【0013】
本線25及び支線27a~27cは一方通行であると、外来車両5同士の接触事故が起こり難くなる観点からは好ましい。ただし、荷役する岸壁クレーン9a~9cを外来車両5が間違えて支線27a~27cに誤進入しようとした場合に、正しい経路に復帰するための逆走用の車線を本線25及び支線27a~27cに設けてもよい。
また図1では本線25から支線27a~27cを分岐させて岸壁クレーン9a~9cへの経路を形成しているが、岸壁クレーン9a~9cごとに専用の外来車両通行路15を互いに交差しないように設けてもよい。この構成では外来車両通行路15内で分岐点、合流点がなくなるので、外来車両5の接触事故が起こり難くなり、安全性に優れる。
【0014】
このように、コンテナターミナル1は岸壁クレーン9a~9cと外来車両5の間でコンテナ10の荷役を直接行える構成であるため、蔵置ブロックを必ず経由して荷役を行う場合と異なり門型クレーン、蔵置ブロック、及び構内車両が必須でない。
そのため、コンテナターミナル1は省スペース化が容易である。
【0015】
管理棟17は、コンテナターミナル1における荷役の監視と、外来車両5に対する荷役の指示を出す施設であり、図1では荷役領域11に配置される。
図1に示すように管理棟17は、情報管理部17a、来場指令生成部17b、来場指令送信部17c、及び荷役制御部17dを備える。
【0016】
情報管理部17aは岸壁クレーン9a~9cとコンテナ船48との荷役の進行状況に関する情報である進行情報を取得する装置である。進行情報としては、コンテナ船48にコンテナ10を荷役する場合、荷役するコンテナ10と荷役の順番、各コンテナ10を搬送する外来車両5のサイズ等の情報、各コンテナ10を荷役する岸壁クレーン9a~9cの割り当て情報が挙げられる。また、コンテナ船48でコンテナ10を蔵置すべき場所、現在荷役中のコンテナ10を示す情報が挙げられる。これらの情報はTOS(Terminal Operation System)と呼ばれる、コンテナターミナル1の荷役を制御するシステムが保有する情報である。
また、コンテナ船48の姿勢やコンテナ船48に蔵置済みのコンテナ10の位置を示す本船動静情報も挙げられる。これらはコンテナ船48から取得できる。またコンテナ10を輸出入する場合はコンテナ10内の貨物の通関情報や税関検査情報も挙げられる。これらは税関からオンラインで取得できる。
あるいは岸壁クレーン9a~9cの走行、横行、巻上等の作業状況を示す作業ステータス情報も挙げられる。これらは岸壁クレーン9a~9cから取得できる。
【0017】
情報管理部17aは例えばTOS、コンテナ船48、税関、岸壁クレーン9a~9cから進行情報を取得するコンピュータの入出力インタフェースである。TOS自体が情報管理部17aを兼ねてもよい。
【0018】
来場指令生成部17bは、来場指令情報を生成する装置であり、情報管理部17aに有線又は無線で電気的に接続される。
来場指令情報とは、岸壁クレーン9a~9cとの間で荷役を行う予定で、かつコンテナターミナル1外に存在する外来車両5に対してコンテナターミナル1への来場を指示する情報である。具体的には外来車両5がコンテナターミナル1において荷役を行うコンテナ船48の接岸スケジュールを示す情報である。
来場指令情報は、コンテナ船48の接岸スケジュールを直接ではなく、間接的に示す情報でもよい。具体的にはコンテナターミナル1に来場すべき時間帯を示す情報でもよい。コンテナターミナル1に来場すべき時間帯にはコンテナ船48が接岸しているため、この情報はコンテナ船48の接岸スケジュールを間接的に示すためである。来場指令情報はコンテナ船48の接岸スケジュール以外に、荷役に必要な情報を含んでもよい。例えば荷役を行う岸壁クレーン9a~9cの1つを具体的に示す情報を含んでもよい。
来場指令情報を外来車両5の運転手が知得できれば、コンテナターミナル1に来場すべき時間帯を運転手が把握できる。
【0019】
来場指令生成部17bは、進行情報を基に、岸壁クレーン9a~9cとの間で荷役を行う予定で、かつコンテナターミナル1外に存在する外来車両5を選択し、選択した外来車両5毎に来場指令情報を生成する。
来場指令生成部17bは、進行情報を基に来場指令情報を生成できるのであれば、公知のコンピュータを利用できる。TOSが来場指令生成部17bを兼ねてもよい。
【0020】
来場指令送信部17cは、来場指令情報を外来車両5に送信する装置であり、来場指令生成部17bに有線又は無線で電気的に接続される。来場指令送信部17cは無線を介して来場指令情報を外来車両5に送信可能であれば公知の送信装置を用いればよい。
来場指令送信部17cは来場指令情報を、外来車両5に搭載されて来場指令情報を受信する外来車両受信部19に送信する。
外来車両受信部19は外来車両5の運転室内等のコンテナ荷役の邪魔にならない位置に設けられた受信端末である。外来車両受信部19は受信した来場指令情報を外来車両5の運転手に知得させるために、来場指令の内容を表示するモニタ等の表示部や、来場指令情報を音声で伝えるスピーカ等も必要に応じて備える。
【0021】
このように荷役の進行状況に応じて管理棟17からコンテナターミナル1外の外来車両5に来場指令情報を送信することで、外来車両5の運転手はコンテナターミナル1に来場すべき時期を知得でき、来場すべき時期にコンテナターミナル1に到着できる。
具体的には、コンテナ10の荷主、又は荷主から搬送作業を請け負う業者は、コンテナ船48の着岸前でも、来場指令情報に基づき、コンテナ10の荷役を行うタイミングに合わせて外来車両5をコンテナターミナル1に向けて出発させる。そのため、コンテナターミナル1内で蔵置ブロックを介さずにコンテナ10を直接引き取り又は引き渡しでき、コンテナ10の搬送に要する時間を極力短縮できる。また、外来車両5がコンテナターミナル1の入場ゲート13a等で荷役の順番を待つ待ち時間も短縮できる。
この構成では、外来車両5が荷役を行うタイミングに合わせてコンテナターミナル1に来場する。そのため、荷役すべきコンテナ10が積載された外来車両5がコンテナターミナル1に未達で岸壁クレーン9a~9cが荷役を行えない時間を極力短縮できる。
【0022】
荷役制御部17dは外来車両5のコンテナターミナル1への入退出管理、及びコンテナターミナル1内での誘導を行う装置であり、TOSに接続される。具体的には荷役制御部17dは、入場ゲート13aに到着した外来車両5を検知器21で識別して荷役を行う車両である場合のみ遮断機23を開放して入場を許可する。入場を許可する際は必要に応じてコンテナターミナル1内で外来車両5が荷役を行う岸壁クレーン9a~9cを外来車両5に知得させる。更に荷役を終えて退場ゲート13bから退出する外来車両5を検知器21で識別して、誤ったコンテナ10が積載されていないか等を確認して、行うべき荷役を行ったか否かを判断する。行うべき荷役を行ったと判断した場合、荷役制御部17dは遮断機23を開放して退場を許可する。
荷役制御部17dは外来車両5の入退出管理やコンテナターミナル1内での誘導ができれば公知のコンピュータを使用できる。TOSが荷役制御部17dを兼ねてもよい。
以上が第1の実施形態に係るコンテナターミナル1の構成の説明である。
【0023】
次に図1図3を参照して第1の実施形態に係るコンテナターミナル1の運用方法について説明する。
外来車両5とコンテナ船48の間でコンテナ10を荷役するためには、外来車両5をコンテナターミナル1へ来場させる手順と、コンテナターミナル1に来場した外来車両5を誘導して荷役させる手順が必要になる。
【0024】
まず図1及び図2を参照して外来車両5をコンテナターミナル1へ来場させる手順を説明する。
まず管理棟17の情報管理部17aはTOS等から進行情報を取得する(図2のS0-1、取得工程)。次に情報管理部17aは、取得した進行情報を基に来場指令情報を生成する(図2のS0-2、来場指令生成工程)。
具体的にはまず情報管理部17aは進行情報から荷役の進行状況を把握し、岸壁クレーン9a~9cとの間で荷役を行う予定で、かつコンテナターミナル1の外部に存在する外来車両5を選択する。
次に、情報管理部17aは進行情報から来場指令情報を生成する。
【0025】
来場指令情報を生成した情報管理部17aは、来場指令情報を送信すべきタイミングで、来場指令送信部17cに来場指令情報を送信する。
来場指令情報を送信すべきタイミングとは、外来車両5が荷役を行う時間帯にコンテナターミナル1に到着するのが間に合うタイミングである。具体的には外来車両5の現在位置とコンテナターミナル1の位置関係から、外来車両5がコンテナターミナル1に向かった場合に到着する予想時刻を求め、その予想時刻が荷役を行う時間帯と重複する時間帯を送信すべきタイミングとすればよい。更に、コンテナターミナル1の入場ゲート13a等での待ち時間が極力短くなる時間帯が、より好ましい。
なお来場指令情報は少なくとも1回は送信する必要があるが、リマインダとして複数回異なるタイミングで送信してもよい。
【0026】
来場指令情報を受信した来場指令送信部17cは来場指令情報を外来車両受信部19に送信する(図2のS0-3、来場指令送信工程)。なお、来場指令情報を送信すべきタイミングは来場指令送信部17cが決定してもよい。
外来車両5の外来車両受信部19は来場指令情報を受信して、表示部やスピーカ等でその内容を運転手に知得させる。来場指令情報の内容を知得した運転手は、来場指令情報が示す時間帯に間に合うようにコンテナターミナル1に向かう。
【0027】
S0-1~S0-3は、コンテナ船48とコンテナ10を荷役する予定の全ての外来車両5に対して実施する。どの外来車両5に対して優先してS0-1~S0-3を実施するかは、コンテナ船48にコンテナ10を蔵置する順番に対応した順番で外来車両5がコンテナターミナル1に来場できるように、情報管理部17aが適宜選択する。また、必要に応じて対象となる外来車両5が現在はコンテナ10を蔵置しているか否かも判断する。例えば、コンテナ船48からコンテナ10を受け取る外来車両5は、コンテナ10を積載せずに来場する必要があるが、この外来車両5が別のコンテナ10を未だ配送中である場合等は、配送が終わってからS0-1~S0-3を実施する。別のコンテナ10の配送が終わるタイミングがコンテナ船48の荷役スケジュールに間に合わない場合、その外来車両5をコンテナ船48とコンテナ10を荷役予定から外す。この場合は代わりに、コンテナ10を積載していない他の外来車両5で、荷役予定のコンテナ10を積載できるサイズの外来車両5を新たに荷役する予定の車両として選択する。
以上が外来車両5をコンテナターミナル1へ来場させる手順の説明である。
【0028】
次にコンテナターミナル1に来場した外来車両5を誘導して荷役させる手順について、図1及び図3を参照して説明する。まず荷役制御部17dは、コンテナターミナル1に来場した外来車両5をコンテナターミナル1に入場させ、岸壁クレーン9a~9cのいずれかまで誘導する(図3のS1、誘導工程)。なお来場する外来車両5に対してはS0-1~S0-3がS1の前に実施されているとする。
【0029】
具体的にはS1で荷役制御部17dは、まず入場ゲート13aに到着した外来車両5を検知器21で識別して、荷役を行う車両である場合のみ遮断機23を開放して入場を許可する。次に荷役制御部17dは、TOSや進行情報を参照して入場した外来車両5が荷役を行う岸壁クレーン9a~9cを選択して、選択した1つの岸壁クレーンを図示しない電光掲示板に表示するか、無線で運転手に連絡して運転手に知得させる。更に、荷役制御部17dは、その外来車両5に対して外来車両通行路15を通行して、選択した岸壁クレーンまで来るように指示して誘導する。
【0030】
来場指令情報に荷役を行う岸壁クレーン9a~9cの情報が含まれている場合は、運転手は荷役を行う岸壁クレーン9a~9cがどれかを来場指令情報から知得済みであるため、荷役制御部17dが改めて知得させる必要はない。この場合はS1で荷役制御部17dは単に外来車両5の入場管理を行うだけでもよい。ただし、来場指令情報の送信後に荷役のスケジュールが変更になった場合や、運転手の最終確認のために必要な場合は、荷役制御部17dが改めて知得させてもよい。
【0031】
選択した岸壁クレーンまで外来車両5が誘導されると、荷役制御部17dは誘導された外来車両5と岸壁クレーンとの間でコンテナ10の荷役を行わせる(図3のS2、荷役工程)。
コンテナ10の荷役が終了すると、荷役制御部17dは外来車両5を退場ゲート13bまで誘導してコンテナターミナル1から退出させる(図3のS3、退出工程)。
具体的には、まず、荷役制御部17dは荷役を終えた外来車両5に対し、外来車両通行路15を通行して、退場ゲート13bに来るように指示して誘導する。退場ゲート13bに外来車両5が到着すると、荷役制御部17dは外来車両5を検知器21で識別して、積載したコンテナ10の有無やその種類から、行うべき荷役を行ったか否かを判断する。行うべき荷役を行ったと判断した場合は遮断機23を開放して退場を許可する。許可を受けた外来車両5はコンテナターミナル1から退出する。
以上がコンテナターミナル1に来場した外来車両5を誘導して荷役させる手順の説明である。
【0032】
このように第1の実施形態によればコンテナターミナル1は岸壁クレーン9a~9c、入場ゲート13a、退場ゲート13b、外来車両通行路15を備え、岸壁クレーン9a~9cと外来車両5の間でコンテナ10の荷役を直接行う。
そのため、蔵置ブロックを必ず経由して荷役を行う場合と異なり門型クレーン、蔵置ブロック、及び構内車両が必須でなく、コンテナターミナル1の省スペース化が容易となる。また、コンテナターミナル1が省スペース化されることで、コンテナターミナル1の建設コストも削減できる。
また、近年ではコンテナ物流情報のオンライン化が進み、コンテナ船48にコンテナ10を荷役する際に、コンテナターミナル1、陸運会社、荷主他関係者がコンテナ荷役情報をリアルタイムに把握可能な場合がある。更に通関、税関検査もオンラインで処理が可能であり、いつコンテナ10が陸揚げ、船積みされるのが分かる場合がある。
このようにコンテナ物流情報のオンライン化が進んだ状況では、門型クレーンや構内車両を用いて蔵置ブロックを介して荷役を行うよりも、岸壁クレーン9a~9cと外来車両5の間でコンテナ10の荷役を直接行う本実施形態の方が荷役を迅速に行える。
【0033】
更に、コンテナターミナル1は門型クレーンと構内車両が必須でないため、これらの運用コストも必須でない。そのため、門型クレーンと構内車両を必須とする従来のコンテナターミナルと比べて運用コスト及び消費エネルギーも削減できる。
また、コンテナターミナル1は門型クレーンと構内車両が必須でないため、外来車両通行路15を有人領域とし、外来車両通行路15外を必要に応じて有人領域又は無人領域に指定すれば、有人領域と無人領域が錯綜しない。そのため、有人領域と無人領域の区分けが容易となり、安全性も高められる。
更に、コンテナターミナル1は門型クレーンと構内車両が必須でないため、これらを必須とする従来のコンテナターミナルと比べて、荷役制御部17dが制御する対象が少ない。そのため、コンテナターミナル1は自動化しやすい。
【0034】
次に第2の実施形態について図4を参照して説明する。第2の実施形態は第1の実施形態において、荷役前の外来車両5が一時的に待機する待機所41を荷役領域11に設けたものである。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主に第1の実施形態と異なる部分を説明する。
【0035】
図4に示すように第2の実施形態に係るコンテナターミナル1aは、待機所41を荷役領域11に備える。待機所41は入場ゲート13aから岸壁クレーン9a~9cまでを結ぶ外来車両通行路15の部分に接続された領域である。
待機所41は荷役前の外来車両5を待機させる領域であり、図4では、外来車両5のキャブ前方をX方向海側に向け、Y方向に複数配列させて待機させている。待機所41は、待機させる外来車両5の数に応じてY方向に沿って配置された遮断機43及び検知器45を備える。
遮断機43は遮断機23と同様の構造であり、入場許可のない外来車両5が岸壁クレーン9a~9cに誤誘導されるのを防ぐ設備である。
検知器45は検知器21と同様に外来車両5を識別する装置である。
【0036】
この構成では、荷役制御部17dは、入場ゲート13aにおいて入場を許可する外来車両5に対して、まず待機所41の所定位置にある遮断機43の前まで通行するように指示する。所定位置とは、少なくとも他の外来車両5が停車中でない位置である。指示を受けた外来車両5は、外来車両通行路15を通行して、待機所41手前の分岐路15aから待機所41に進入し、所定位置にある遮断機43の前で停車する。
次に荷役制御部17dは、岸壁クレーン9a~9cから荷役状況を取得し、直前の荷役が終了しており、遮断機43の前で停車中の外来車両5との荷役が可能か判断する。可能と判断した場合、荷役制御部17dは荷役可能と判断した岸壁クレーン9a~9cと次に荷役予定の外来車両5を遮断機43の前で停車中の外来車両5から選択して、対応する遮断機43を開放する。この際に、必要に応じて、その外来車両5が荷役をすべき岸壁クレーンを外来車両受信部19に送信する等して、運転手に知得させる。
次に荷役予定の外来車両5が未達の場合は、待機所41に待機中の外来車両5のうち、選択した岸壁クレーンに荷役予定の順番が最も早い外来車両5を選択して、対応する遮断機43を開放してもよい。この場合、荷役制御部17dは、未達の外来車両5が存在することを情報管理部17a又はTOSに通知して、未達の外来車両5がコンテナ10を荷役する順番と荷役時間帯を変更させる。
【0037】
遮断機43が開放されると、外来車両5は外来車両通行路15のうち、待機所41と本線25を結ぶ分岐路15bを経て本線25を通行する。更に、外来車両5は支線27a~27cのいずれかを通行して指定された岸壁クレーン9a~9cのいずれかの吊具の下で停車する。指定された岸壁クレーンは外来車両5からコンテナ10を受け取ってコンテナ船48に蔵置するか、コンテナ船48からコンテナ10を受けとって外来車両5に蔵置して荷役を行う。その後の外来車両5は外来車両通行路15を通行して退場ゲート13bから退場する。なお図4では待機所41と岸壁クレーン9a~9cの間の外来車両通行路15は1本のみ図示しているが、岸壁クレーン9a~9cの数に応じて複数本設けてもよい。この場合、荷役制御部17dは、入場ゲート13aにおいて入場を許可する外来車両5に対して、荷役対象となる岸壁クレーン9a~9cになるべく近い遮断機43に外来車両5を誘導する。
【0038】
このように待機所41を荷役領域11に設けて複数の外来車両5を待機させることで、岸壁クレーン9a~9cのいずれかと荷役を行う予定の外来車両5が常にコンテナターミナル1a内に配置される。そのため、荷役予定の時間帯には、岸壁クレーン9a~9cは常に荷役を行っている。
よって、コンテナ船48の接岸中に岸壁クレーン9a~9cが荷役を行えない時間を極力短縮できる。
なお待機所41に待機させる外来車両5の数は、岸壁クレーン9a~9cのいずれかと荷役を行う予定の外来車両5が常にコンテナターミナル1a内に配置される程度でよい。そのため、待機所41の面積は蔵置ブロックを必ず介して荷役を行う従来のコンテナターミナルにおける蔵置ブロックよりも狭い。
また、待機所41における外来車両5の配置形状は適宜設定できる。図4ではY方向に1列に配置しているが、2列以上に配置してもよい。
【0039】
次に第3の実施形態について図5を参照して説明する。
第3の実施形態は第1の実施形態において、コンテナ10を仮置きする仮蔵置所51を荷役領域11に設けたものである。なお、第3の実施形態において第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主に第1の実施形態と異なる部分を説明する。
【0040】
図5に示すように第3の実施形態に係るコンテナターミナル1bは、仮蔵置所51、構内車両55、門型クレーン53、及び仮蔵置所通路27dを備える。
仮蔵置所51は、コンテナターミナル1bに到着した時点で荷役できないコンテナ10を仮置きする領域であり、ここではY方向に延在する長方形の領域である。
荷役できないコンテナ10とは、そのコンテナ10の荷役に係るコンテナ船48又は外来車両5のいずれかが荷役予定時刻にコンテナターミナル1b内に到着していないコンテナ10が挙げられる。例えばコンテナ船48に蔵置されたコンテナ10を陸揚げする際に、陸送用の外来車両5が交通事情で荷役予定時刻にコンテナターミナル1b内に未達の場合、その外来車両5が荷役する予定のコンテナ10が荷役できないコンテナ10に該当する。
【0041】
仮蔵置所51はコンテナターミナル1bに到着した時点で荷役できない可能性があるコンテナ10の数に応じてその面積と平面形状を適宜設定する。仮蔵置所51はコンテナ10を2段以上積層して蔵置してもよい。ただし、コンテナターミナル1bは外来車両5と岸壁クレーン9a~9cの間で直接コンテナ10の荷役を行うため、コンテナターミナル1bに到着した全てのコンテナ10を仮蔵置所51に仮置きすることはない。そのため、蔵置ブロックを必ず介して荷役を行う従来のコンテナターミナルにおける蔵置ブロックよりも仮蔵置所51の面積は狭い。
仮蔵置所51を配置する場所は、荷役領域11内で、かつ外来車両5の通行や岸壁クレーン9a~9cの荷役を妨げない位置に適宜設定される。
【0042】
構内車両55は仮蔵置所51と岸壁クレーン9a~9cの間でコンテナ10を搬送する車両であり、構内搬送手段の1つである。構内車両55は外来車両5と同じように運転手が操縦するコンテナトラックやコンテナトレーラでもよい。ただし構内車両55はコンテナターミナル1内のみを走行するため、走行を管理棟17から遠隔操作する車両でもよいし、走行を自動制御する自動運転車両でもよい。また、ストラドルキャリアのように、コンテナ10を掴んで持ち上げられる車両でもよい。
【0043】
門型クレーン53は構内車両55及び外来車両5と、仮蔵置所51との間でコンテナ10の荷役を行う移動式クレーンであり、構内搬送手段の1つである。門型クレーン53は、X方向に仮蔵置所51を跨設して設けられ、Y方向に移動可能な門形の支持構造体と、支持構造体上をX方向に移動可能なトロリと、トロリに保持されてZ方向に移動する吊具を備える。門型クレーン53は外来車両5又は構内車両55が保持するコンテナ10を吊具で掴んで持ち上げて仮蔵置所51に仮置きする。また、仮蔵置所51に仮置きされたコンテナ10を掴んで持ち上げて構内車両55又は外来車両5に積み替える。なお、構内車両55がストラドルキャリアのようにコンテナ10を掴んで持ち上げる機能を備える場合、門型クレーン53は不要である。
【0044】
仮蔵置所通路27dは外来車両通行路15と仮蔵置所51を接続する通路である。
仮蔵置所通路27dは両端が外来車両通行路15に接続され、中途が仮蔵置所51の外周に沿って延在し、かつ門型クレーン53の直下を通過する通路である。
仮蔵置所通路27dは図5では岸壁クレーン9a~9cと退場ゲート13bの間の外来車両通行路15に接続されている。ただし、外来車両通行路15と仮蔵置所51を接続可能な位置であれば、入場ゲート13aと岸壁クレーン9a~9cの間の外来車両通行路15に接続してもよい。
【0045】
この構成では荷役制御部17dは、仮蔵置所51に蔵置すべきコンテナ10を以下の手順で決定し、仮蔵置所51に蔵置させる。
まず、外来車両5が搬送してきたコンテナ10を仮蔵置所51に仮置きする場合について説明する。
まず荷役制御部17dは、入場ゲート13aに到着した外来車両5を検知器21で検知し、積載中のコンテナ10が荷役できないコンテナ10か否かを、コンテナ船48の入港の有無等から判断する。荷役できないコンテナ10と判断した場合、荷役を行う予定の時間になると外来車両通行路15を介して外来車両5を仮蔵置所通路27dに誘導して門型クレーン53の直下で停車させ、門型クレーン53でコンテナ10を仮蔵置所51に積み替させる。その後、外来車両5を外来車両通行路15に誘導して退場ゲート13bから退場させる。
【0046】
次に、コンテナ船48が搬送してきたコンテナ10を仮蔵置所51に仮置きする場合について説明する。
まず荷役制御部17dは、荷役予定時刻になってもコンテナターミナル1bに到着しない外来車両5が存在するか否かを判断する。存在すると判断した場合は、構内車両55を外来車両通行路15又は図示しない構内車両専用通行路を介して岸壁クレーン9a~9cに到達させ、到着しない外来車両5が受け取る予定のコンテナ10を構内車両55に受け取らせる。その後、外来車両通行路15又は図示しない構内車両専用通行路を介して外来車両5を仮蔵置所通路27dに誘導して門型クレーン53の直下で停車させ、門型クレーン53でコンテナ10を仮蔵置所51に積み替えさせる。
更に、荷役制御部17dは、未達の外来車両5が存在することを情報管理部17aに通知して、必要に応じて未達の外来車両5の荷役時間帯を変更させるか、来場指令送信部17cに来場指令情報のリマインダを送信させる。
【0047】
荷役予定のコンテナ船48又は外来車両5がコンテナターミナル1bに到着する等して、仮蔵置所51に仮置きされたコンテナ10の荷役を再開できる状態になった場合、荷役制御部17dは仮蔵置所51に仮置きされたコンテナ10の荷役を再開させる。
仮蔵置所51に仮置きされたコンテナ10をコンテナ船48に蔵置する場合、荷役制御部17dは、まず構内車両55を門型クレーン53の直下で停車させ、門型クレーン53で仮蔵置所51の該当するコンテナ10を構内車両55に積み替える。その後、外来車両通行路15又は図示しない構内車両専用通行路を介して構内車両55を岸壁クレーン9a~9cに到達させ、コンテナ10を受け取らせる。
仮蔵置所51に仮置きされたコンテナ10を外来車両5に蔵置する場合、荷役制御部17dは、外来車両通行路15を介して外来車両5を仮蔵置所通路27dに誘導して門型クレーン53の直下で停車させる。その後門型クレーン53でコンテナ10を外来車両5に積み替えさせ、外来車両5を退場ゲート13bから退場させる。
【0048】
このように、荷役領域11に仮蔵置所51を設けることで、コンテナ船48又は外来車両5の一方が荷役予定時刻にコンテナターミナル1b内に到着しない場合でも、コンテナ10を仮蔵置所51に仮置きできる。そのため、コンテナ船48又は外来車両5のうち、先にコンテナターミナル1bに到着した方が、未達の方が到着するまでコンテナターミナル1b内で待機する必要がなく、荷役中の待ち時間を短縮できる。
【0049】
次に、第4の実施形態について、図6を参照して説明する。
第4の実施形態は第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせたものである。なお、第4の実施形態において第2及び第3の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主にこれらの実施形態と異なる部分について説明する。
図6に示すように第4の実施形態に係るコンテナターミナル1cは、待機所41、仮蔵置所51、構内車両55、門型クレーン53、及び仮蔵置所通路27dを備える。
【0050】
待機所41と仮蔵置所51の平面上の位置は荷役領域11に収まる範囲で、かつ互いに干渉しない範囲適宜設定できるが、図6に示すように岸壁クレーン9a~9cの配置方向であるY方向に沿って岸壁クレーン9a~9cよりもX方向陸側に並列配置するのが好ましい。この配置では、X方向にこれらを直列配置する場合と比べて荷役領域11のX方向の幅を狭くできるため、待機所41と仮蔵置所51の両方を設けてもコンテナターミナル1cの省スペース化の妨げにならない。また、コンテナターミナル1cは、その大きさや荷役領域11に配置される構造物によらず、Y方向の全長は、少なくとも岸壁クレーン9a~9cのY方向の移動範囲に相当する長さである。一方でX方向の全長はその大きさや荷役領域11に配置される構造物によって変わる。そのため、コンテナターミナル1cの構造によらず、待機所41と仮蔵置所51を含む領域として、岸壁クレーン9a~9cのY方向の移動範囲に相当する長さの領域を確保できる点もY方向に並列配置する構成の有利な点である。
【0051】
このように、荷役領域11に待機所41と仮蔵置所51の両方を設けることで、コンテナ荷役に関わる手段である岸壁クレーン9a~9c、コンテナ船48、及び外来車両5のいずれか1つが荷役を中断した場合でも、他の手段の荷役は中断しない。よって、コンテナ10の荷役に要する時間を全体として、更に短縮できる。
【符号の説明】
【0052】
1、1a、1b、1c コンテナターミナル
5 外来車両
9a、9b、9c 岸壁クレーン
10 コンテナ
11 荷役領域
13a 入場ゲート
13b 退場ゲート
15 外来車両通行路
15a、15b 分岐路
17 管理棟
17a 情報管理部
17b 来場指令生成部
17c 来場指令送信部
17d 荷役制御部
19 外来車両受信部
21 検知器
23 遮断機
25 本線
27a、27b、27c 支線
27d 仮蔵置所通路
41 待機所
43 遮断機
45 検知器
48 コンテナ船
51 仮蔵置所
53 門型クレーン
55 構内車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6