(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】カプセル装置を使用するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230317BHJP
A61J 3/07 20060101ALI20230317BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
A61B1/00 C
A61J3/07 A
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2020115129
(22)【出願日】2020-07-02
(62)【分割の表示】P 2018562239の分割
【原出願日】2017-05-11
【審査請求日】2020-07-02
(32)【優先日】2016-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517396261
【氏名又は名称】アンコン メディカル テクノロジーズ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANKON MEDICAL TECHNOLOGIES (SHANGHAI) CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Floor 1, No. 2218 Jinsui Road, Pilot Free Trade Zone, Shanghai, 200131, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シアオトン・トアン
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-514039(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153859(WO,A1)
【文献】特開2006-075536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 5/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルの長さ方向の加速度を検出するセンサを有するカプセル装置
を非稼働状態から稼働状態
に変更する方法であって、
患者の消化管に配置される前に、当該カプセル装置を稼働状態にするために、
カプセル装置がその長さ方向を鉛直に位置させる第1の向きに配置されていることを検出すると、第1の期間にわたって前記カプセル装置をその長さ方向に沿って上下に移動させる第1の加速度を監視するステップと、
前記第1の加速度の値が第1の閾値よりも高い場合に、カプセル装置を前記第1の向きと反転する第2の向きに移動させたことを検出すると、第2の期間にわたって前記カプセル装置をその長さ方向に沿って上下に移動させる第2の加速度を監視するステップと、
前記第2の加速度の値に応じて、前記カプセル装置を非稼働状態から稼働状態に変更するステップと
を含む、カプセル装置
を非稼働状態から稼働状態
に変更する方法。
【請求項2】
前記第1の期間にわたって第1の頻度で前記第1の加速度を監視する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の期間にわたって第2の頻度で前記第2の加速度を監視する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の期間は、3秒未満である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の頻度は前記第1の頻度よりも大きい、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記カプセルは振動カプセルであり、振動モータをさらに含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記カプセル装置はLEDを含むカプセル内視鏡である、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、医療関連用途に使用されるカプセル型装置の技術に関し、より詳細には、カプセル装置を保存状態から稼働状態にするためのシステム及び方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル内視鏡検査は、患者の体内を検査するうえで非常に成功していることが証明されているだけでなく、患者の小腸など、従来の標準的な内視鏡技術によって容易にアクセスできない消化管の区域又は部分を検査する際には、伝統的な内視鏡技術よりも明らかに有利である。
【0003】
振動カプセルは、結腸壁に作用することによって、結腸のけいれんを軽減し、結腸運動を促進し、便秘治療、排便、美容及び健康を促進することができる。さらに、振動カプセルは、小腸蠕動を促進し、小腸による食物の吸収を減少させ、減量効果を達成し得ることを示した。
【0004】
しかしながら、内視鏡型カプセルと振動型カプセルの両方について、保存又は貯蔵期間の不必要な電力使用を低減することは依然として課題である。カプセル装置の消費電力は、稼働期間の長さに比例する。できるだけ多くの電力を稼働期間のために節約し、稼働期間と秘稼働期間を効果的に分けることが非常に実用的かつ重要であると一般に認識されている。
【0005】
言い換えれば、カプセルが本当に必要なときにカプセルを正確にオンにする必要があり、そのほかは、保存又は貯蔵期間にカプセルを低消費電力に保つ必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、カプセル装置をオンにするためのシステム及び方法を提供する。
【0007】
本発明の一つの目的は、例えば少なくとも1年間の保存時間を維持するために、保存時間において低消費電力を有することにより、長い保存時間を有するカプセル装置を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、誤ってカプセルをオンにすることなくカプセルを正確にオンにする方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、カプセルをオンにする方法が、最小の可能な電力を必要とするだけでなく、ターンオンプロトコル(turn-on protocol)が平均的な消費者にとって採用し易いことでなければならないことである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、カプセル製造の重量又はコストのいずれかを増やす追加の部分を必要としない、カプセル又はターンオンプロトコルをオンにする方法を提供することである。
【0011】
ここに開示されるカプセル装置をオンにするための方法は、原位置(in situ)に配置された加速度センサによって検出された加速度データに基づいて、カプセルを非稼働状態から稼働状態に変更することに関する。方法のステップは、カプセルが非稼働状態にあることが分かっている場合に、低いサンプリング頻度で3次元でカプセルの加速度を監視し、収集された加速度データが第1の閾値を上回るとき、測定サンプリング頻度を高いサンプリング頻度に変更し、カプセルの加速度を3次元で監視し続け、高いサンプリング頻度で収集された加速度データが続いて第2の閾値を超える場合、カプセルの使用者からの確認を要求することによって、カプセルを予備稼働状態に準備する。本方法では、低いサンプリング頻度は好ましくは2~10Hzであり、高いサンプリング頻度は好ましくは20~1000Hzである。高いサンプリング頻度による検出の持続時間は3秒以下であり、予備稼働状態の持続時間は10秒以下である。
【0012】
ここに開示され、上記方法と共に使用されるシステムは、2つ以上の異なる頻度で3次元のカプセルの加速度を検出する加速度センサと、加速度センサからの入力を受け取り、計算を実行し、第1及び第2の閾値と比較するように構成されるマイクロコントローラユニットと、ユーザの確認を要求するカプセル開始ユニットと、加速度センサ、マイクロコントローラユニット、及びカプセル開始ユニットに電力を供給する電源を含む。本発明における加速度センサは、加速度計(gセンサ)である。
【0013】
本発明の一態様では、一例として、カプセル開始ユニットは、無線通信ユニットをさらに備える。
【0014】
本発明の第2の態様では、一例として、上記方法は、無線通信ユニットを介してカプセルをオンにするように指示するステップをさらに含む。
【0015】
本発明の第2の態様では、別の例として、上記方法は、カプセル内のLEDを点灯させることによってユーザからの確認を要求するステップをさらに含む。
【0016】
本発明の第2の態様では、別の例として、上記方法は、カプセルを手に持っている間にユーザの手の動きを示唆し検出するユーザからの確認を要求するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の態様による例示的なカプセル装置の概略図を示す。
【0019】
【
図2】
図2は、本発明の態様による一実施形態の方法のプロセスフロー図を図式的に示す。
【0020】
【
図3】
図3は、本発明の態様による別の実施形態の方法のプロセスフロー図を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[選択された実施例の詳細な説明]
以下、添付の図面を参照して、標的位置に配置されるためのカプセル装置のためのシステムの選択された例とその使用方法を詳細に説明する。簡略化の目的のために、カプセル装置は、生物医学的用途の文脈において説明される。すなわち、標的位置とは、生体内の位置、例えば、消化管内の位置である。簡略化のために、ここに開示される医療装置は、生体内に配置されるように設計されている。非侵襲的な送達方法の1つは、消化管に飲み込むことである。したがって、ここに開示される医療装置は、その形状、寸法又はサイズを限定解釈すべきではないカプセルと呼ばれる。ここに開示されるカプセル装置及びその使用方法は、原位置移動発生手段、当該移動発生手段を管理することができる制御モジュール及び当該制御モジュールと通信するための無線通信モジュールが存在する限り、他の多くの用途に適用することができる。
【0022】
本発明の範囲において、高速サンプリングモードとは、高いサンプリング頻度で測定データを収集することを意味し、低速サンプリングモードは、低いサンプリング頻度で測定データを収集することを意味する。ある軸に沿った加速度データとは、その特定の軸に沿って検出された加速度データである。結合された加速度値、又は結合された加速度データ、又は合計加速度データは、個別の軸に沿った2つ以上の単一加速度値の計算された平方根である。例えば、軸a(Aa)及び軸b(Ab)に沿った個別の加速度値の合計加速度は(ax2+ay2+az2)の平方根である(ここで、式中のaは対応する軸a(Aa)及び軸b(Ab)を示す。)。本発明の範囲において、センサデータが列挙される場合、それは、1つの軸に沿った個別の加速度データでもあり得るし、又は2つ以上の軸に沿った個別の加速度データが測定された後に計算された結合加速度データでもあり得る。
【0023】
以下の検討は例示のためのものであり、限定として解釈されるべきではないことは、当業者には理解されよう。本開示の範囲内の他の変更も適用可能である。
【0024】
カプセル装置を使用するための構造及び方法は、以下で詳細に説明される。図中の要素は以下である。
【0025】
100はカプセル装置である。
【0026】
102は加速度センサである。
【0027】
カプセルシステムは、患者の消化管内に配置されるように構成されるカプセル装置を含む。一実施形態では、カプセルは患者の体外に配置された外部操作システムと通信する。一例では、外部装置は、スマートフォンなどのポータブル装置である。基本的なカプセル装置は、無線通信ネットワークを介して外部操作システムと通信するように構成される。
【0028】
本発明は、カプセルが非稼働状態から稼働状態に効果的に変化することができるシステム及び方法に関する。本発明では、カプセル装置の内部に配置されるセンサが用いられ、当該センサは、マイクロコントローラユニットに接続され、当該マイクロコントローラユニットは、加速度センサから入力を受け取るように構成される。測定された変化はセンサによって検出され、マイクロコントローラはこれに基づいて、カプセルが稼働状態又は非稼働状態にされることが意図されるかを「推測」する。「推測」の手段は、異なる条件でより多くの測定を行うための指令を送信すること、及び/又はユーザインタフェースを介して又はユーザインタフェースを介さず、ユーザからコマンドを入力するための確認をユーザに要求することである。
【0029】
本発明の態様によれば、一実施形態では、カプセルに封入されたセンサがモーションセンサである。まず、モーションセンサは、通常の保存モーション値で較正される。一例では、モーションセンサがモーションデータを測定し、このセンサデータが保存モーション値と比較され、次に、より多くの測定が必要であるか、又はユーザ確認を要求すべきかどうかが決定される。
【0030】
本発明の目的は、低電力消費を維持し、保存又は貯蔵時間中の不必要な電力使用を減らし、使用者によって確認されたときには効果的にかつ正確的に非稼動期間から稼動期間に変えることである。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、カプセルに封入されたセンサが加速度センサである。一例では、加速度センサはまず通常の保存モーション値で較正される。一例では、加速度が加速度データを測定し、このセンサデータが保存モーション値と比較され、次に、より多くの測定が必要であるか、又はユーザ確認が送られるべきかどうかが決定される。
【0032】
センサが加速度センサである場合、別の例では、カプセル内部に配置された加速度センサによって検出された加速度データ、及び当該加速度データと第1の臨界加速度値との比較に基づいて、カプセル内のマイクロコントローラは、より多くの測定が必要であるか、又はユーザ確認を要求すべきかどうかを決定する。
【0033】
本発明は、カプセルを非稼働状態から稼働状態に変化させる方法、要するにはカプセルをオンにする方法を開示する。方法ステップは、カプセルが非稼働状態にあることが分かっているときに、まず第1のサンプリング頻度で3次元でカプセルの加速度を監視するステップを含む。収集された加速度データが第1の臨界加速度値以上であると判断された場合には、異なる条件でより多くの測定が実行される。一例では、異なる条件でより多くの測定を行うステップは、測定サンプリング頻度を第2のサンプリング頻度に変更して、3次元でカプセルの加速度を引き続き監視することを含む。第2のサンプリング頻度での収集された加速度データが続いて第2の臨界加速度値を超える場合、カプセルを予備稼働状態に置く。カプセルを予備稼働状態に置くステップは、カプセルのユーザからの確認を要求することを含む。本発明では、第2のサンプリング頻度は第1のサンプリング頻度よりも高く、これにより、加速度データはより明白に検出され、偽陽性又は偽陰性情報を回避する。
【0034】
本方法において、一例では、第1のサンプリング頻度は0.2~10Hzである。別の例では、第1のサンプリング頻度は0.2~8Hzである。別の例では、第1のサンプリング頻度は0.2~6Hzである。別の例では、第1のサンプリング頻度は0.2~5Hzである。別の例では、第1のサンプリング頻度は0.2~4Hzである。別の例では、第1のサンプリング頻度は0.2~3Hzである。別の例では、第1のサンプリング頻度は0.2~2Hzである。別の例では、第1のサンプリング頻度は0.2~1Hzである。
【0035】
本方法において、一例では、第2のサンプリング頻度は10~2000Hzである。別の例では、第2のサンプリング頻度は10~1000Hzである。別の例では、第2のサンプリング頻度は10~500Hzである。別の例では、第2のサンプリング頻度は10~250Hzである。別の例では、第2のサンプリング頻度は10~120Hzである。別の例では、第2のサンプリング頻度は10~60Hzである。別の例では、第2のサンプリング頻度は10~40Hzである。別の例では、第2のサンプリング頻度は10~20Hzである。
【0036】
カプセルが第1のサンプリング頻度で監視される期間は、第1の加速度期間として定義される。第1の加速度期間では、カプセルは非稼働状態にあり、非稼働状態は保存期間、貯蔵期間、又は稼働期間の間の休止期間を含む。
【0037】
カプセルが第2のサンプリング頻度の下で監視される期間は、第2の加速度期間と定義される。第2の加速度期間では、カプセルの加速度データは監視され続け、加速度データは収集され、第2の臨界加速度値と比較される。しかし、第2の加速度期間は、時間制限を有する点で第1の加速度期間とは異なる。時間制限は、低消費電力要件によって駆動される。一例では、第2の加速度期間は5秒未満である。別の例では、第2の加速度期間は4秒未満である。別の例では、第2の加速度期間は3秒未満である。別の例では、第2の加速度期間は2秒未満である。
【0038】
カプセルが予備稼働状態に置かれた時間を第3の加速度期間と定義する。一般に、第3の加速度期間は10秒未満である。
【0039】
第3の加速度期間では、一例では、カプセルが予備稼働状態にコンディショニングされている間、カプセルの加速データは監視され続け、加速データは収集され続け、第3又は第4の臨界加速度値と比較される。1つの例では、a軸とb軸の両方の加速度値が収集され、合計加速度値が計算された後に第3の臨界加速度値と比較される。別の例では、個別の軸上の加速度値が測定され、収集され、第4の臨界加速度値と比較される。さらに別の例では、2つ以上の軸、例えばa軸及びb軸の両方の加速度値が収集され、合計加速度値が計算された後に第3の臨界加速度値と比較され、当該合計加速度値が第3の臨界加速度値以上である場合には、2つの個別の軸に沿った個別の加速度データが測定され、第4の臨界加速度値と比較される。より多くの個別の加速度データを収集し、個別の測定データを個別の閾値データと比較することは、カプセルをオンにすることを確認する要求に従って、カプセルが特定のパターンで加速されているかどうかを効果的に判定することができる。そうすることにより、偽陽性の結果が最小限に抑えられ、又は実際に排除される。この期間において、個別の加速度データは、意図的に、予め定められた第3又は第4の臨界加速度値よりも大きな加速度データを加速度センサに検出させるよう、一連の手の動きによってユーザによって作成される。
【0040】
第3の加速度期間では、カプセルが予備稼働状態でコンディショニングされている間、第2の例として、カプセルは加速データのために監視され続けるか、カプセルがオンにされることが意図される場合、加速データが収集されず、無線通信モジュールがオンにされ、ユーザに確認を要求する。このようなステップは、カプセルと外部ユーザインタフェースとの間の無線通信ユニットをオンにすることと、カプセルをオンにするためのコマンドを外部ユーザインタフェースから受信することを含む。
【0041】
第3の加速期間では、第2の例として、カプセルは加速データのために監視され続けるか、カプセルがオンにされることが意図される場合、加速データが収集されず、無線通信モジュールがオンにされ、ユーザに確認を要求する。このようなステップは、カプセル内のLEDをオンにしてユーザにアラートを送り、及び/又は確認を要求することと、ユーザに外部ユーザインタフェースを介してコマンドを入力するよう要求するか、又はユーザに手の動きを入力するよう要求して、カプセル装置をオンにすることを確認することを含む。一例では、LEDライトは、ユーザからのさらなる入力を要求するために2回点滅する。
【0042】
ここに開示される手の動きについては、要求された結合された加速度データ又は個別の異なる軸の加速度データを生成するものであることが要求され、当該結合された加速度データ又は個別の加速度データは、カプセルが非稼働状態にある間に検出されることができる加速度データと著しく且つ測定可能に異なるものである。
【0043】
一例では、第3及び/又は第4の臨界加速度値は、3~5gの間に設定されているので、保存又は貯蔵時間内の輸送によって発生する加速度の値から測定可能に異なる。ここでgは地球上の重力加速度9.8m/s2をいう。
【0044】
別の例では、閾値は、ある加速度値だけでなく、ある加速度の方向でもあり、当該加速度の方向は、保存又は貯蔵時間内の輸送によって生成され得るあらゆる方向とは区別される。例えば、閾値方向要件は、地面レベルに対して非常に厳密に垂直であり、カプセルを上下に動かす手の動きを示す。別の例では、閾値方向要件は、地面レベルに対して非常に厳密に水平であり、カプセルを左右に動かす手の動きを示す。
【0045】
別の例では、カプセルがオンにされるべきであるときは、カプセルが予備稼働状態にコンディショニングされ、ユーザの確認の準備ができている。確認プロトコルは、カプセルが誤って誤ってオンにされないように、特定のシーケンス内に複数の手の動きを含むことができる。収集された結合や個別の加速度データ、又は加速度の方向が、他の予期しない状況とはそれほど区別できない場合であっても、加速度データ及び加速度方向の個々の事象のシーケンスを使用して、センサデータが、カプセル装置をオンにすることを確認するユーザの手の動きからのものであるかどうかを正確に判定することができる。
【0046】
消費電力を節約するために、第3の加速度期間は予め設定された制限時間を有する。第3の加速度期間の予め設定された制限時間が終了すると、カプセルは非稼働状態に戻され、すなわち、第1の期間で第1のサンプリング頻度でカプセルの3次元の加速度を監視し、第1の加速度値を計算することを含む非動作状態に戻される。第3の加速度期間の時間制限又は間隔は、約5秒~1分である。一例では、第3の加速期間の時間制限又は間隔は約10秒である。
【0047】
図2及び
図3は、ここに開示された方法の実際の例を示す。一実施形態では、この方法は以下のステップを含む。すなわち、低速サンプルモードでの第1の加速度データの検出する;第1の加速度データが第1の臨界加速度値以上であれば、高速サンプルモードで第2加速度データを収集する;2つ以上の軸についての結合された加速度データが第2の臨界加速度値よりも大きい場合には、カプセルを予備稼働状態に置く;カプセルと外部ユーザインタフェースとの間の無線通信ユニットをオンにする;カプセルをオンにするためのコマンドを外部ユーザインタフェースから受信する;カプセルをオンにする。結合された加速度データが第2の閾値未満である場合、カプセルを、第1の期間にわたって低速サンプルモードでカプセルの加速度を3次元で監視し、第1の加速度値を計算することを含む非作動状態に戻す。
【0048】
別の実施形態では、ここに開示される方法は、以下のステップを含む。第2の期間で高速サンプルモードの下で、個々の加速軸に沿った個々の加速度データの第2のグループを検出する;第2の期間における第2の個別加速度データのグループに基づく合計加速度データが、5gである第2の臨界加速度値を超えているかどうかを判定する(ここでgは地球上の重力加速度9.8m/s2をいう);第3の加速度データのグループを生成するための1つ以上の手の動きの入力をユーザに要求する;第3のグループの水平方向加速度データと垂直方向加速度データとを検出する;第3のグループの水平方向加速度データと垂直方向加速度データの結合された加速度データが第3の臨界加速度値を超える場合には、カプセルをオンにする;そうでない場合には、カプセルを、第1の期間にわたって低速サンプルモードでカプセルの加速度を3次元で監視し、第1の加速度値を計算することを含む非作動状態に戻す;第1の加速度データが第1の臨界加速度値を超えると、高速サンプルモードでカプセルを監視する。
【0049】
本発明はまた、前述の方法ステップを実施するシステムに関する。システムはカプセル装置を含む。任意的には、システムは、カプセル装置との通信に使用される外部ユーザインタフェースをさらに含む。
【0050】
カプセル装置は、患者の消化管をナビゲートするように構成される。カプセル装置は、ハウジングと、加速度センサと、マイクロコントローラユニットと、電源とを備える。本発明の態様によれば、ハウジングは、カプセルの最長寸法である長さLを有する。加速度センサは、第1の期間において第1の頻度でカプセルの3次元の加速度を検出するように構成され、加速度センサは3つの軸x、y、zを有する。加速度センサのz軸は、カプセルハウジングの長さLに平行であり、加速度センサのx軸及びy軸は、カプセルハウジングの長さLに対して垂直である。マイクロコントローラユニットは、加速度センサに接続され、加速度センサからの入力を受け取り、計算を実行し、カプセルの現在の状態を決定するように構成される。現在の状態は、第1の期間、第2の期間又は第3の期間を含む。カプセル装置はまた、加速度センサ、マイクロコントローラユニット及びカプセル開始ユニットに電力を供給する電源を備える。カプセル初期化ユニットは、カプセルの予備稼働状態で動作する。カプセル開始ユニットは、さらなる情報を要求するためにカプセルのユーザにアラートを送信する。
【0051】
本発明の一態様では、カプセル装置は、三次元センサを備える。
【0052】
一実施形態では、カプセル開始ユニットは、外部ユーザインタフェースに情報を送り、外部ユーザインタフェースからコマンドを受信する無線通信モジュールを含む。
【0053】
別の実施形態では、カプセル開始ユニットは、カプセルハウジング内にあるLEDライトを含み、このLEDライトが点灯され、予備稼働状態にカプセルがコンディショニングされていることをユーザにアラート又は通知し、ユーザインタフェースからの又は手の動きによる入力を含むさらなる確認を要求する。
【0054】
ここに開示されるカプセル装置は、モータを備える振動カプセルである。
【0055】
ここに開示されるカプセル装置は、イメージセンサを備えるカプセル型内視鏡である。
【0056】
ここに開示されたカプセル装置は、カプセル機能コンポーネント及びカプセル構造コンポーネントを含む。本発明の態様によれば、カプセルは、任意の形状及び幾何学形状を有することができる。カプセル装置のハウジングには、ダイヤモンド状、楕円形、長尺状、水雷形(marquise)、ダンベル形などが含まれるが、これらに限定されない。一例では、
図1に示すように、カプセル装置は長尺状であり、2つのハーフドーム状の端部を有する。
図1を参照すると、カプセル装置のハウジングは、前端部及び後端部を有する。カプセルは、Lと表記される長さを有する。加速度センサは、カプセルの内部に配置され、3つの軸x、y、zを有し、z軸はカプセル長Lに垂直であり、x軸及びy軸はカプセル長Lに平行である。カプセルの長さは、カプセルを保護するハウジングの長さから測定される。本発明において、カプセル装置のハウジングは、カプセル装置の長さに沿った軸を有する。
【0057】
本発明の態様によれば、カプセル装置は、患者の消化管内に配置され得る限り、任意の寸法又はサイズを有することができる。例えば、嚥下などの非侵襲的方法でカプセル装置を患者の消化管内に導入することが好ましい。ここで、患者には、ヒトと動物の両方が含まれる。
図1を参照すると、カプセル装置は、その前端部から後端部までの長さを有する。一例では、カプセル装置の長さは27.6mmである。
図1を参照すると、カプセル装置は、2つのハーフドーム状の端部を有する。ハーフドーム状の端部の直径は、カプセル装置の直径である。一例では、カプセル装置の直径は、約11.8mmである。
【0058】
本発明の態様によれば、カプセル装置は、動いたり振動したりするときに患者に重大な不快感を引き起こさない限り、どのような重量のものであってもよい。重量は、カプセル軸に沿って、及びカプセル軸の周りに分配される。
図1に示すように、電源ユニット、加速度センサ及び他の機能ユニットは、カプセル装置の長さに沿って配置される。一例では、カプセルの重量は6g未満である。別の例では、カプセルの重量は5g未満である。さらに別の例では、カプセルの重量は4.5g未満である。さらに、ここに開示されるカプセル装置は、消化管壁をマッサージして生体内消化状態を改善するための攪拌又は動きのいずれかを生成するように構成される。一例では、カプセルの重量は2gを超える。別の例では、カプセルの重量は3g未満である。さらに別の例では、カプセルの重量は4g未満である。さらに別の例では、カプセルの重量は4g未満である。さらに別の例では4.5gを超える。
【0059】
一実施形態では、電力供給ユニットは、電力管理ユニットを介してカプセル装置内のすべてのカプセル機能ユニットに電力を供給する。一例では、電力管理ユニットは、極低電力消費を達成するためにカプセルの電力使用を管理するためのマイクロコントローラ及び他のユニットを含む。
【0060】
本発明の態様によれば、ここに開示される無線通信ユニットは、Rf通信方法、AC電流磁界相互作用方法、及び/又は胴体接触電極方法から選択することができる。一実施形態では、無線通信ユニットは、Rfアンテナ、Rfトランシーバモジュール、PCB上のビルドイン又は独立のマイクロコントローラを含む。無線通信部を介して、カプセル装置は、Bluetooth(登録商標)装置との接続を確立することができ、このBluetooth装置は今度、スマートフォン又はインターネットデータセンター又はクラウドサーバセンターのような外部ユーザインタフェースなどの外部ユーザインタフェースと通信する。Rfトランシーバは、通信サンプリング周波数として433MHz又は2.4GHzのいずれかを使用できる。
【0061】
別の実施形態では、無線通信ユニットは、カプセル装置の現在の状態を識別するためにセンサデータを比較して計算するマイクロコントローラユニットから情報を受信する。
【0062】
一実施形態では、外部デバイスの外部ユーザインタフェースは、データセンター又はクラウドサービスセンターを有するネットワークにさらに接続されたスマートフォンユーザインタフェースである。外部装置は、無線通信ユニットから特定の個別のカプセル識別情報を取り出すことができるユーザ固有の装置である。ユーザは、カプセルの装置をオンにするための確認として手の動き又は選好のユーザ特定シーケンスをカスタマイズすることができる。
【0063】
本発明の一態様では、カプセル装置は、3次元加速度センサを含み、加速度センサは、3次元の3つの軸を有し、3次元の加速度を検出することができる。本発明の別の態様では、加速度センサは1次元センサのみである。1次元センサは、1つの軸のみを有し、1次元の加速度しか検出することができない。カプセル内で1次元センサが使用される場合、方向は、カプセルの長さ方向に平行なz方向として示される。
【0064】
一実施形態において、一次元加速度センサのみを含むカプセル装置を使用する方法は、その長さ方向に沿うが相反する方向にある加速度データを2回収集することによってカプセルをオンにすることを含む。例えば、カプセル装置の使用者は、カプセルをその長さ方向に保持することで、その長さ方向が垂直に位置するようにしてから、カプセルを上下に動かすことができる。その後、カプセルを反転させて、同じ手の動きを再び行うことができる。この実施形態では、カプセルが包装されて出荷されるとき、カプセルは、その長さ方向が垂直ではなく水平であるように横たわっている。その後、カプセルをオンにする必要があるとき、カプセルをその長さ方向に上下に動かすことで、加速度を作り出すことができる。次に、カプセルを180度回転させ、手の動きを再び作り出す。個々の手の動きによって生成された加速度は、直後に続く第2の動きと組み合わされて、通常の輸送中に遭遇しないカプセル動きパターンを共同で作り出す。
【0065】
前述のカプセル装置を使用する方法では、加速度センサが検出するサンプル速度又はサンプル頻度は、特定のユーザ又は地理的情報を有する履歴ファイルに格納することができる。
【0066】
上記の検討は実証目的のためのものであり、上で検討した例は多くの可能な例のいくつかであることは、当業者には理解されるであろう。他の変形も適用可能である。
【0067】
本明細書において、「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などの参照は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所におけるそのようなフレーズの出現は、すべて同じ実施形態を参照するものではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が任意の実施形態に関連して記載されている場合、当業者の知識の範囲内で、そのような特徴、構造、又は特性を、他の実施形態の特徴、構造、又は特性に応用できることが提示される。さらに、理解を容易にするために、特定の方法手順は独立の手順により線引きされている場合があるが、これらの線引きされた手順は、必ずしも順序に依存して行うものと解釈されるべきではない。すなわち、いくつかの手順は、代替の順序付けや、同時などで実行することができる。さらに、例示的な図は、本開示の実施形態による様々な方法を示している。このような例示的な方法の実施形態は、本明細書に記載されており、対応する装置の実施形態に適用することができるが、方法の実施形態を限定することを意図しない。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を図示し説明したが、当業者であれば、本発明の原理及び思想から逸脱することなくこれらの実施形態に変更を加えることができることが理解されよう。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載される本発明を限定するのではなく、すべての点で例示的であると考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の記載ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び均等物の範囲内に入るすべての変更は、包含されることが意図される。本開示において用いられるように、用語「好ましくは」は非排他的であり、「好ましくは、しかし限定されない」ことを意味する。特許請求の範囲における用語は、本明細書に記載された一般的な発明概念と一致する最も広い解釈を与えられるべきである。例えば、「結合された」及び「接続する」という用語(及びそれらの派生語)は、直接的及び間接的な接続/結合の両方を意味するために使用される。別の例として、「有する(having)」及び「含む(including)」、それら派生語及び類似する中間的な意味を有する用語又は語句は、「含む」と同義語として使用される(すなわち、すべて「オープン」と考えられる)。「からなる(consisting of)」及び「本質的にからなる(consisting essentially of)」というフレーズのみが「クローズド」と考えられるべきである。「…のための手段(means for)」及び関連する機能がクレームに現れ、クレームがそのような機能を実行するのに十分な構造を提示しない場合でない限り、クレームは112条6段落(機能的クレーム)により解釈されることを意図するものではない。