(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】上蓋及び下蓋を有する箱
(51)【国際特許分類】
B65D 21/032 20060101AFI20230317BHJP
B65D 5/22 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
B65D21/032
B65D5/22 C
(21)【出願番号】P 2020132687
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 実智昭
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅之
(72)【発明者】
【氏名】大竹 洋平
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0038051(US,A1)
【文献】特開2005-297997(JP,A)
【文献】米国特許第04984734(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/032
B65D 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物の収容空間が内部に形成される筒状の側壁部と、該側壁部の両端の開口部を閉鎖する上蓋及び下蓋を有する箱であって、
前記上蓋及び前記下蓋は、それぞれ、前記開口部を閉鎖する中央壁部及び該中央壁部の周囲に該中央壁部から起立した起立壁部を有しており、且つ前記中央壁部に形成された突片挿入孔と、該中央壁部の内面側から該突片挿入孔に挿入されて該中央壁部の外面側に突出する突片とを有しており、
複数の箱を、下段の箱の上蓋の突片が、上段の箱の下蓋の突片挿入孔に挿入され且つ上段の箱の下蓋の突片が、下段の箱の上蓋の突片挿入孔に挿入された状態として積み重ね可能になされており、
前記突片挿入孔は、前記上蓋及び前記下蓋の突片の厚み方向に沿う開口幅が、前記上蓋の突片及び前記下蓋の突片の合計厚みよりも大きい、箱。
【請求項2】
前記上蓋と前記下蓋とが同一の構成を有している、請求項1に記載の箱。
【請求項3】
前記上蓋及び前記下蓋それぞれはシートを折り曲げて形成されており、
前記上蓋及び前記下蓋それぞれは、前記中央壁部の内面から高さ方向に離間した位置に、前記シートの折り曲げ部を有し、該折り曲げ部を回動軸として前記突片をその厚み方向に変位可能である、請求項1又は2に記載の箱。
【請求項4】
前記上蓋及び前記下蓋それぞれの前記突片は、その先端側からの加圧に対して上下に変位可能である、請求項1~3の何れか1項に記載の箱。
【請求項5】
別体のシートからなる係止片を有しており、
前記上蓋及び前記下蓋それぞれが、前記中央壁部に一対の係止用開口形成部を有しており、
前記係止片の両端部が、前記一対の係止用開口形成部によって形成された係止用開口部に挿入されて、前記上段の箱の前記下蓋及び前記下段の箱の前記
上蓋が相互に固定されている、請求項1~4の何れか1項に記載の箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被収容物の収容空間が内部に形成される筒状の側壁部と、該側壁部の両端の開口部を閉鎖する上蓋及び下蓋を有する箱に関する。
【背景技術】
【0002】
商品の流通過程において、複数の商品を収容した梱包体は、該商品の製造工場等から出荷され、物流センターや卸等を経由して店舗へ輸送される。複数の梱包体は積み重ねられた状態で輸送や保管が行われることが一般的である。複数の梱包体を積み重ねた場合に生じ得る上段の梱包体のずれを防止する観点から、従来、該梱包体に用いられる段ボール箱の構成等について検討がされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被包装体及びこれを内装する緩衝体と、これらを内装する包装箱を備えた梱包装置であって、前記緩衝体が突出部を有しており、前記包装箱が、それを積み上げたときに互いに対応し、且つ該突出部によって重ねて押し下げられる下部切起しと上部切起しとを有している、梱包装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、箱本体と天面部及び側面部を有する蓋体とを有する段ボール箱であって、該箱本体に該天面部側に向かって突出する凸部が設けられるとともに、該箱本体の底面部に該凸部に対応する穴が設けられており、蓋体の天面部に該凸部に対応する開口が形成された、段ボール箱が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭61-38025号
【文献】米国特許出願公開第2003/0038051号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、梱包体の上に他の梱包体を積み重ねた状態において、上段の梱包体が水平方向に移動することを抑制するものである。しかしながら、特許文献1に記載の梱包装置は、下部切起し及び上部切起しを押し下げるものであるので、該押し下げに対し反発してこれらの切起しが上がる虞や、これらの切起しどうしがずれる虞があり、荷崩れが生じる虞があった。特許文献2に記載の段ボール箱は、穴に凸部を嵌めるものであるが、穴と凸部との隙間が大きいと、複数の梱包体を積み重ねた状態での安定性が不十分となる虞があった。
【0007】
本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る、段ボール箱を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被収容物の収容空間が内部に形成される筒状の側壁部と、該側壁部の両端の開口部を閉鎖する上蓋及び下蓋を有する箱であって、
前記上蓋及び前記下蓋は、それぞれ、前記開口部を閉鎖する中央壁部及び該中央壁部の周囲に該中央壁部から起立した起立壁部を有しており、且つ前記中央壁部に形成された突片挿入孔と、該中央壁部の内面側から該突片挿入孔に挿入されて該中央壁部の外面側に突出する突片とを有しており、
複数の箱を、下段の箱の上蓋の突片が、上段の箱の下蓋の突片挿入孔に挿入され且つ上段の箱の下蓋の突片が、下段の箱の上蓋の突片挿入孔に挿入された状態として積み重ね可能になされており、
前記突片挿入孔は、前記上蓋及び前記下蓋の突片の厚み方向に沿う開口幅が、前記上蓋の突片及び前記下蓋の突片の合計厚みよりも大きい、箱を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の箱によれば、複数の箱を積み重ねた際に、下段の箱上に上段の箱を安定して載置し、荷崩れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の箱の一実施形態である段ボール箱を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す突片挿入孔が設けられたコーナー部を、上蓋の内面側から視た拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すコーナー部における起立壁部の高さ方向(起立方向)に沿う断面を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す段ボール箱を複数重ね合わせたときの下蓋及び上蓋を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す下蓋及び上蓋のコーナー部を示す図であって、起立壁部の高さ方向(起立方向)に沿う断面を模式的に示す図である。
【
図8】
図8(a)は、係止片及び係止用開口形成部を示す斜視図であり、
図8(b)は、係止片と一対の係止用開口部との係合状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図2に示す側壁部を形成するための側壁部形成用ブランクの平面図である。
【
図10】
図10は、
図3に示す上蓋を形成するための上蓋形成用ブランクの平面図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す折り畳み部を第3外周部側に折り畳んだ状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の箱の一実施形態である段ボール箱1が示されている。本実施形態の段ボール箱1は、筒状の側壁部15と、該側壁部15の両端の開口部を閉鎖する上蓋11及び下蓋14とを有している。
本実施形態の段ボール箱1は、水平断面が八角形状の八角柱形状を有し、該八角形が一方向に長い形状を有している。本実施形態の段ボール箱1は、平面視において前記一方向に沿った長手方向Xとこれに直交する幅方向Yとを有している。即ち、段ボール箱1の水平断面は、長手方向Xの最大長さが幅方向Yの最大長さよりも長い。
【0012】
図2には、本実施形態の段ボール箱1が具備する側壁部15が図示されている。
側壁部15は、段ボール箱1の被収容物を収容するための収容空間を内部に形成している。側壁部15の筒状構造における内部空間が、収容空間となる。
【0013】
本実施形態の側壁部15は、複数の壁部で囲まれた筒状の形状を有しており、その水平断面形状が一方向に長い八角形となっている。斯かる側壁部15は、互いに対向する一対の壁部S1,S2,S3,S4が周方向に4組連結されている。より具体的には、側壁部15は、長手方向Xに沿って配された一対の第1壁部S1,S1と、幅方向Yに沿って配された一対の第2壁部S3,S3と、側壁部15の周方向において第1壁部S1と第2壁部S3との間に位置する一対の第3壁部S2,S2及び一対の第4壁部S4,S4とを有しており、該周方向の第1壁部S1の両側に第3壁部S2と第4壁部S4とが位置している。第3壁部S2及び第4壁部S4は、同じ構成を有している。
【0014】
本実施形態の側壁部15は、一対の第1壁部S1,S1それぞれに、窓部形成部16を有している。斯かる窓部形成部16は、筒状構造における一方の端縁側の第1壁部S1において欠落可能な部分であり、窓部形成部16の周縁に沿ってミシン目等の切り取り予定線36が設けられている。窓部形成部16を切り取り予定線36に沿ってくり抜くと、窓部が形成される。斯かる窓部は、段ボール箱1の内部を外部から視認可能にするとともに、該段ボール箱1内に収容された被収容物を取り出し易くするための部分となる。段ボール箱1の輸送時又は保管時において、窓部は側壁部15に形成されない。
本実施形態の側壁部15は、筒状構造において窓部形成部16が形成されている端縁側を、鉛直方向の上方に向けた状態で用いられる。
【0015】
段ボール箱1において、
図1に示すように、筒状の側壁部15の一端の開口部には上蓋11が配され、該側壁部15の他端の開口部には下蓋14が配されている。下蓋14は、段ボール箱1の底部13を形成している。段ボール箱1において上蓋11と下蓋14とは側壁部15を介して対向配置されている。
本実施形態の上蓋11は、側壁部15の筒状構造における一方の端縁で形成される開口部、具体的には窓部形成部16が形成されている側の開口部に配されている。また、本実施形態の下蓋14は、側壁部15の筒状構造における一方の端縁で形成される開口部に配されている。
【0016】
上蓋11及び下蓋14は、それぞれ、側壁部15の開口部を閉鎖する中央壁部17及び該中央壁部17の周囲に起立壁部18を有している(
図1参照)。
上蓋11における中央壁部17は、該上蓋11の天面を形成している。
下蓋14における中央壁部17は、該下蓋14の底面を形成している。
上蓋11及び下蓋14それぞれの起立壁部18は、段ボール箱1において側壁部15の外周面、即ち各壁部S1,S2,S3,S4に沿って配されている。
以下では、上蓋11が具備する突片a及び突片挿入孔b等の各構成を主として説明するが、特に断らない限り、上蓋11の説明は下蓋14にも適用される。
【0017】
図3には、本実施形態の段ボール箱1が具備する上蓋11が図示されている。
上蓋11における起立壁部18は、中央壁部17を底面にしたとき、該中央壁部17から起立した状態となる。本実施形態の起立壁部18は、中央壁部17に対して垂直に設けられている。
上蓋11は、中央壁部17に形成された突片挿入孔bと、該中央壁部17の内面側から該突片挿入孔bに挿入されて該中央壁部17の外面側に突出する突片aとを有している。本明細書において「内面」とは、段ボール箱1の内部空間、即ち被収容物の収容空間と対向する面であり、「外面」とは該内面とは反対側に位置する面を意味する。
【0018】
本実施形態の上蓋11の平面視形状は、側壁部15の水平断面形状と相似形となっており、該上蓋11の長手方向と段ボール箱1の長手方向Xとが一致している。
本実施形態の上蓋11は、側壁部15の水平断面形状と相似形である中央壁部17を有しており、該中央壁部17の周縁に沿って設けられた筒状の起立壁部18を有している。
本実施形態の中央壁部17は、平面視において長方形の四隅を斜めに切り欠いたような形状、具体的には一方向に長い八角形形状を有している。斯かる八角形形状は、互いに対向する一対の長辺と、該長辺に直交し且つ互いに対向する短辺と、該長辺及び短辺間に位置する4つの斜辺とを有し、該斜辺を有する部分が中央壁部17の角部となっている。以下、本実施形態の上蓋11において、中央壁部17の平面視形状における角部(前記斜辺を有する部分)と該部分に連設されている起立壁部18の部分とを纏めて「コーナー部12」ともいう。
図3では、後述するコーナー部12における突片形成部a1の図示を省略している。
【0019】
本実施形態の起立壁部18は、中央壁部17の長手方向Xに沿って配された一対の第1側面部S11,S11と、中央壁部17の幅方向Yに沿って配された一対の第2側面部S13,S13と、中央壁部17の周方向において第1側面部S11と第2側面部S13との間に位置する一対の第3側面部S12,S12及び一対の第4側面部S14,S14とを有しており、該周方向の第1側面部S11の両側に第3側面部S12と第4側面部S14とが位置している。
本実施形態において、第1側面部S11は、中央壁部17の八角形のうち、長手方向Xに沿う辺に配されており、第2側面部S13は、中央壁部17の八角形のうち、幅方向Yに沿う辺に配されている。また、第3側面部S12及び第4側面部S14は、上蓋11のコーナー部12に配されている。第3側面部S12及び第4側面部S14は、同じ構成を有している。
【0020】
本実施形態の段ボール箱1において、上蓋11は、側壁部15の開口部に配された状態において、起立壁部18の第1側面部S11と側壁部15の第1壁部S1とが隣り合って配され、起立壁部18の第2側面部S13と側壁部15の第2壁部S3とが隣り合って配される。
本実施形態の上蓋11は、段ボール箱1において、起立壁部18の第3側面部S12と、側壁部15の第3壁部S2とが隣り合った状態で配され、起立壁部18の第4側面部S14と、側壁部15の第4壁部S4とが隣り合った状態で配される。
【0021】
本実施形態の上蓋11は、
図4及び
図5に示すように、コーナー部12における中央壁部17に形成された突片挿入孔bと、該突片挿入孔bに挿入された突片aとを有している。
本実施形態の突片挿入孔bは、コーナー部12における中央壁部17の端縁に沿って形成された四角形形状の開口部であり、中央壁部17を部分的に切り欠いて形成されている。
【0022】
本実施形態の上蓋11のコーナー部12では、起立壁部18の形成部材を折り曲げることで、該起立壁部18と、該起立壁部18の端縁から延出した延出部a10とが形成されている。即ち、コーナー部12は、起立壁部18である第3側面部S12及び第4側面部S14と、これら側面部S12,14それぞれから延出した延出部a10とを有している(
図5参照)。
【0023】
本実施形態のコーナー部12は、第3側面部S12及び第4側面部S14と延出部a10との境界部分、及び該境界部分から延出部a10の先端側に離間した箇所の2箇所に折り曲げ部b3,b4を有している。前記境界部分における折り曲げ部を「第1折り曲げ部b3」といい、該第1折り曲げ部b3から前記延出部a10の先端側に離間した箇所における折り曲げ部を「第2折り曲げ部b4」という。第1折り曲げ部b3は、第3側面部S12及び第4側面部S14において中央壁部17とは連設されていない側の端縁を形成している。第1折り曲げ部b3は、起立壁部18の起立方向(上蓋11の高さ方向)において中央壁部17から離間している。第2折り曲げ部b4は、第1折り曲げ部b3から延出部a10の先端側に離間して形成されており、該延出部a10を中央壁部17側に折り返している。
延出部a10において、第1折り曲げ部b3及び第2折り曲げ部b4間の部分を「連結部a3」という。連結部a3は、延出部a10の基端であり、該延出部a10と第3側面部S12又は第4側面部S14とを連結している。
延出部a10において第2折り曲げ部b4によって折り返された部分を「突片形成部a1」ともいう。突片形成部a1は、その先端が自由端となっており、基端が第2折り曲げ部b4によって形成されている。
図5に示すように、延出部a10は、連結部a3と突片形成部a1とを有し、連結部a3及び突片形成部a1間に第2折り曲げ部b4を有している。
【0024】
本実施形態の突片形成部a1は、
図5に示すように、起立壁部18の第3側面部S12又は第4側面部S14に対向している。突片形成部a1は、その先端側の部分aが、中央壁部17の内面側から突片挿入孔bに挿入されて、該中央壁部17の外面側に突出している。突片形成部a1において、この突片挿入孔bから突出した部分が「突片a」となっている。
このように、本実施形態の上蓋11は、中央壁部17の平面視形状における角部(コーナー部12)に、突片挿入孔bと突片aとを有している。また、荷崩れをより抑制する点から、上蓋11及び下蓋14それぞれは、突片挿入孔bと突片aはそれぞれを複数有することが好ましい。本実施形態の上蓋11及び下蓋14それぞれは、突片挿入孔bと突片aを4つずつ有している。
【0025】
段ボール箱1は、上蓋11とともに下蓋14を具備している。
本実施形態の段ボール箱1は、上蓋11と下蓋14とが同一の構成を有している。例えば、上述した突片a及び突片挿入孔bの各構成は、上蓋11及び下蓋14に共通して適用することができる。
上蓋11と下蓋14とが同一の構成を有していることにより、段ボール箱1の製造効率を向上させることができる。
一方、上蓋11と下蓋14とは、同一の構成を有していなくともよい。例えば、後述するように、上蓋11及び下蓋14の形成材料であるシートや突片aの厚みを異ならせてもよい。
【0026】
本実施形態の上蓋11及び下蓋14は、双方の中央壁部17が同形同大であり、該中央壁部17の全ての角部に同じ構成の突片a及び突片挿入孔bを有している。斯かる上蓋11及び下蓋14は、互いの中央壁部17の外面を重ねた状態において、互いの中央壁部17に形成された突片挿入孔bどうしを同じ位置で重ね合わせることができる。
前述したように、上蓋11の中央壁部17の平面視形状における角部(コーナー部12)に、突片挿入孔bと突片aとを有していると、上蓋11の突片挿入孔bと下蓋14の突片挿入孔bとの位置合わせが容易となる点で好ましく、また、複数の箱を積み重ねた際に、荷崩れをより抑制する点から好ましい。例えば、上蓋11及び下蓋14が略四角形等の4隅(4箇所の角部)を有する形状である場合には、該4隅それぞれに突片挿入孔b及び突片aを有していることが好ましい。すなわち、上蓋11及び下蓋14それぞれは、各角部(各コーナー部12)に突片挿入孔b及び突片aを有していることが好ましい。また、荷崩れをより抑制する点から、上蓋11及び下蓋14それぞれは、本実施形態のように、突片挿入孔b及び突片aそれぞれを4箇所以上有していることが一層好ましい。なお、上蓋11及び下蓋14それぞれは、その平面視形状における全ての角部(各コーナー部12)に突片挿入孔b及び突片aを有していてもよく、一部の角部(各コーナー部12)に突片挿入孔b及び突片aを有していてもよい。
【0027】
段ボール箱1において、上蓋11の起立壁部18は、中央壁部17から下垂した状態となり、下蓋14の起立壁部18は、中央壁部17から起立した状態となる(
図1参照)。
また、段ボール箱1において、上蓋11の突片aは、中央壁部17の外面から上方に向かって突出した状態となり、下蓋14の突片aは、中央壁部17の外面から下方に向かって突出した状態となる。
【0028】
本実施形態では、
図6に示すように、複数の段ボール箱1を積み重ね可能である。即ち、上段の段ボール箱1を、下段の段ボール箱1上に載置して、複数の段ボール箱1を積み重ねることができる。この積み重ねた状態では、上段の段ボール箱1の下蓋14と、下段の段ボール箱1の上蓋11とは、互いのコーナー部12の位置を一致させた状態で対向配置される(
図6及び
図7参照)。そして、上蓋11及び下蓋14の各中央壁部17に形成された突片挿入孔bどうしが重なり合った状態となる(
図7参照)。
複数の段ボール箱1を積み重ねた状態においては、
図6及び
図7に示すように、下段の段ボール箱1の上蓋11の突片aが、上段の段ボール箱1の下蓋14の突片挿入孔bに挿入され且つ上段の段ボール箱の下蓋14の突片aが、下段の段ボール箱1の上蓋11の突片挿入孔bに挿入された状態になる。
換言すると、上蓋11及び下蓋14それぞれの突片挿入孔bに、該上蓋11及び該下蓋14それぞれの突片aが挿入された状態となる(
図7参照)。
図7に示す断面図では、下段となる上蓋11の突片形成部a1が、上段となる下蓋14の突片形成部a1よりも起立壁部18側に配されているが、該下蓋14における突片形成部a1が上蓋11の突片形成部a1よりも起立壁部18側に配されていてもよい。
【0029】
複数の段ボール箱1を積み重ねた状態において、最も下方に位置する段ボール箱1は、下蓋14の外面が床に配される。斯かる下蓋14では、突片挿入孔bから下方へ突出した突片aが、屈曲した状態又は潰れた状態となっていてもよく、突片挿入孔bから下方へ延びた状態となっていてもよい。
【0030】
突片挿入孔bは、突片aの厚み方向に沿って幅を有している。以下、「突片挿入孔bにおける突片aの厚み方向に沿う開口幅L9」(
図7参照)を単に「突片挿入孔bの開口幅L9」ともいう。
突片挿入孔bの開口幅L9(
図7参照)は、上蓋11の突片a及び下蓋14の突片aの合計厚みよりも大きい。即ち、以下の大小関係(1)を満たしている。
L9>(d1+d2) ・・・(1)
L9:突片挿入孔bの開口幅
d1:上蓋11の突片aの厚み
d2:下蓋14の突片aの厚み
【0031】
本実施形態の段ボール箱1において、上蓋11及び下蓋14それぞれの突片aを、互いの突片挿入孔bに挿入することができる。これにより、上段の段ボール箱1の下蓋14と、下段の段ボール箱1の上蓋11とが、互いの突片aと突片挿入孔bとの係止によって強固に固定されて、上段の段ボール箱1の水平方向におけるズレを効果的に抑制することができる。したがって、本実施形態の段ボール箱1は、下段の梱包体上に上段の梱包体を安定して載置することができ、上段の段ボール箱1が下段の段ボール箱1の上から落下する荷崩れを効果的に抑制することができる。
【0032】
本実施形態の上蓋11及び下蓋14は、前述したように、突片a及び突片挿入孔bの各構成が同一であるので、上蓋11の突片aの厚みd1と、下蓋14の突片aの厚みd2とが同じである(d1=d2)。
これに代えて、上蓋11の突片aの厚みd1と、下蓋14の突片aの厚みd2とが異なっていてもよい。即ち、上蓋11の突片aの厚みd1が、下蓋14の突片aの厚みd2よりも大きくてもよく(d1>d2)、又は小さくてもよい(d1<d2)。
【0033】
また、上蓋11及び下蓋14は、突片挿入孔bの開口幅L9(
図7参照)が同じであってもよく、異なっていてもよい。前記開口幅L9が上蓋11と下蓋14とで異なっている場合、前記大小関係(1)を満たすこと条件として、上蓋11の突片挿入孔bの前記開口幅L9が、下蓋14の突片挿入孔bの前記開口幅L9よりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。
このように、上蓋11及び下蓋14は、これらの突片aの厚みd1,d2及び突片挿入孔bの開口幅L9の何れか一方又は双方を異ならせてもよい。斯かる構成により、段ボール箱1の被収容物の重さに応じて、突片aの厚み及び突片挿入孔bの前記開口幅L9を容易に調整することができ、上段の段ボール箱1のズレをより抑制することができる。
【0034】
本実施形態の上蓋11及び下蓋14それぞれは、中央壁部17の内面から離間した位置に、段ボールシートの第2折り曲げ部b4を有している。突片aは、第2折り曲げ部b4を回動軸として該突片aの厚み方向に変位可能である。斯かる構成により、第2折り曲げ部b4を可撓軸として、突片aを突片挿入孔b内で移動させることができる(
図5参照)。この場合、突片挿入孔b内は、突片aの可動域となる。
このように、突片挿入孔b内で突片aを移動可能にすると、複数の段ボール箱1を積み重ねる際、上蓋11及び下蓋14それぞれの突片挿入孔bに、該上蓋11及び該下蓋14それぞれの突片aを挿入し易くなる点で好ましい。上蓋11及び下蓋14の一方の突片aが他方の突片aと接触した場合、これら突片aの何れかが該突片aの厚み方向に移動するので、これら突片aを、上蓋11及び下蓋14の互いの突片挿入孔bに容易に挿入することができる。
【0035】
前述した突片aの可動域をより確実に確保する観点から、突片挿入孔bの開口幅L9(
図5参照)は、該突片aの厚みd1,d2(
図7参照)の好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上であり、また好ましくは10倍以下、より好ましくは5倍以下であり、また好ましくは1.3倍以上10倍以下、より好ましくは1.5倍以上5倍以下である。
【0036】
上蓋11の突片aの厚みd1と、下蓋14の突片aの厚みd2とが同じである(d1=d2)場合、上段の段ボール箱1のズレをより抑制する観点から、突片挿入孔bの開口幅L9(
図7参照)は、該突片aの厚みd1,d2(
図7参照)に対して好ましくは1倍以上、より好ましくは2倍以上であり、また好ましくは8倍以下、より好ましくは5倍以下であり、また好ましくは1倍以上8倍以下、より好ましくは2倍以上5倍以下である。
【0037】
上蓋11及び下蓋14の互いの突片aの可動域をより確実に確保する観点から、突片挿入孔bの開口幅L9(
図7参照)と、上蓋11の突片a及び下蓋14の突片aの合計厚み(d1+d2)との差は、好ましくは16mm以上、より好ましくは20mm以上であり、また好ましくは48mm以下、より好ましくは30mm以下であり、また好ましくは16mm以上48mm以下、より好ましくは20mm以上30mm以下である。
【0038】
突片挿入孔bの開口幅L9には、上蓋11及び下蓋14の各突片aが厚み方向に圧縮されて挿入されてもよい。斯かる形態を含める場合、突片挿入孔bの開口幅L9(
図7参照)と、上蓋11の突片a及び下蓋14の突片aの合計厚み(d1+d2)との差は、好ましくは-8mm以上、より好ましくは0mm以上であり、また好ましくは48mm以下、より好ましくは12mm以下であり、また好ましくは-8mm以上48mm以下、より好ましくは0mm以上12mm以下である。この好ましい範囲において、突片挿入孔bの開口幅L9と、上蓋11の突片a及び下蓋14の突片aの合計厚み(d1+d2)との差がマイナスの数値になるのは、各突片aが厚み方向に圧縮されて挿入された場合を意味する。すなわち、突片挿入孔bの開口幅L9は、上蓋11の突片a及び下蓋14の突片aの合計厚み(d1+d2)よりも大きいが、該開口幅L9に挿入された部分の上蓋11の突片a及び下蓋14の突片aの合計厚み(d1+d2)よりも大きいものであってもよい。
上蓋11の突片a及び下蓋14の突片aが厚み方向に圧縮されて挿入されると、上蓋11と下蓋14とがより強固に固定される点で好ましい。
【0039】
突片形成部a1は、突片挿入孔bを境に、基端部(第2折り曲げ部b4)から突片挿入孔bまでの非突出部a5と、該突片挿入孔bから突出した突片aとに区分される(
図5参照)。本実施形態において非突出部a5は、突片形成部a1の突片挿入孔bへの挿入方向における長さが、起立壁部18の高さL5と同じである。本実施形態において起立壁部18の高さL5は、第2折り曲げ部b4及び中央壁部17の内面間の離間距離である。
突片形成部a1の突片挿入孔bへの挿入をより容易にしつつ、荷崩れをより抑制する観点から、突片aの突出長さL3(
図5参照)は、起立壁部18の高さL5(
図5参照)以下であることが好ましい(L3≦L5)。突片aの突出長さL3は、突片形成部a1の挿入方向における突片挿入孔bから突片aの先端までの長さである。突片形成部a1の挿入方向は、段ボール箱1の高さ方向Zと一致している。
【0040】
突片形成部a1の突片挿入孔bへの挿入をより容易にしつつ、段ボール箱1をパレット上に載せたときの安定性をより向上させる観点から、突片aの突出長さL3(
図5参照)は、起立壁部18の高さL5(
図5参照)に対して好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上であり、また好ましくは95%以下、より好ましくは30%以下であり、また好ましくは5%以上95%以下、より好ましくは15%以上30%以下である。
上記と同様の観点から、突片aの突出長さL3(
図5参照)は、突片aの厚みd1(
図5参照)以上であることが好ましい(L3≧d1)。
【0041】
本実施形態のコーナー部12は、第3側面部S12及び第4側面部S14それぞれと突片形成部a1との間に連結部a3を有しており、該連結部a3の両端部それぞれに第1折り曲げ部b3及び第2折り曲げ部b4を有している。本実施形態では、第1折り曲げ部b3を可撓軸として連結部a3をその厚み方向に変位可能であり、該連結部a3の変位に伴い突片形成部a1を高さ方向Zに変位させることができる。即ち、突片aを上下に移動させることができる。
斯かる構成により、上蓋11及び下蓋14の一方の突片aが他方の突片aと接触した場合、これら突片aの何れかが上下方向に移動するので、突片aがその厚み方向に移動可能であることと相俟って、これら突片aを、上蓋11及び下蓋14の互いの突片挿入孔bに容易に挿入することができる。これにより、複数の段ボール箱1を積み重ねる際の作業性をより向上させることができる。
斯かる観点から、上蓋11及び下蓋14それぞれの突片aは、その先端側からの加圧に対して上下に変位可能であることが好ましい。
【0042】
突片aの上下変位の可動域をより確実に確保して、突片aの挿入をより容易にする観点から、突片aの厚み方向における連結部a3の長さL7(
図5参照)は、突片aの厚みd1(
図5参照)の好ましくは4倍以上、より好ましくは7倍以上であり、また好ましくは20倍以下、より好ましくは10倍以下であり、また好ましくは4倍以上20倍以下、より好ましくは7倍以上12倍以下である。
【0043】
上述した一又は二以上の効果をより確実に奏させる観点から、上蓋11及び下蓋14それぞれにおける寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
突片aの突出長さL3(
図5参照)は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また好ましくは190mm以下、より好ましくは144mm以下であり、また好ましくは3mm以上190mm以下、より好ましくは4mm以上144mm以下である。
突片aの厚みd1(
図5参照)は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、また好ましくは3mm以上10mm以下、より好ましくは4mm以上8mm以下である。
起立壁部18の高さL5(
図5参照)は好ましくは6mm以上、より好ましくは8mm以上であり、また好ましくは200mm以下、より好ましくは160mm以下であり、また好ましくは6mm以上200mm以下、より好ましくは8mm以上160mm以下である。
【0044】
本実施形態の突片a及び突片挿入孔bは、上蓋11及び下蓋14それぞれのコーナー部12に形成されている。
突片a及び突片挿入孔bの形成位置は、コーナー部12に限定されず、該突片aを中央壁部17の外面から突出し得る任意の位置に形成することができる。例えば、本実施形態の上蓋11における第1側面部S11から延出した延出部によって突片aが形成され、該第1側面部S11の端縁に沿って突片挿入孔bが形成されていてもよい。また、本実施形態の上蓋11における第2側面部S13から延出した延出部によって突片aが形成され、該第2側面部S13の端縁に沿って突片挿入孔bが形成されていてもよい。
【0045】
荷崩れをより抑制する観点から、段ボール箱1は、突片a及び突片挿入孔b以外に他の係止部材を有していてもよい。斯かる係止部材としては、例えば、
図8(b)に示すように、別体のシートからなる係止片6と、一対の係止用開口部64とを組み合わせたものが挙げられる。
図8(a)及び(b)に示す係止片6は、コの字型の形状を有する段ボールシートからなる。係止片6は、段ボール箱1を形成する段ボールシートとは別体の段ボールシートからなる。係止片6は、
図8に示すように、一方向に長い本体部60と、該本体部60の長手方向X
3両側に位置し、該本体部60に対して垂直に設けられた挿入部61とを有している。
一対の係止用開口部64は、一対の係止用開口形成部63によって形成される。一対の係止用開口形成部63は、上蓋11及び下蓋14それぞれの中央壁部17に形成されている。本実施形態の係止用開口形成部63は、
図8(a)に示すように、互いに離間し且つ平行な一対の切り取り予定線63a,63a、及び該一対の切り取り予定線63a,63aの一端どうしを結ぶ直交切り取り予定線63bの3本の切り取り予定線63a,63a,63bによって形成されている。直交切り取り予定線63bは、一対の切り取り予定線63a,63aに直交している。これら3本の切り取り予定線63a,63a,63bは、ミシン目等によって形成されている。一対の係止用開口形成部63は、前記3本の切り取り予定線63a,63a,63bが線対称に形成されており、直交切り取り予定線63bどうし間の距離が、係止片6の本体部60の全長と等しい。
本実施形態の係止用開口形成部では、前記3本の切り取り予定線63a,63a,63bに沿って上蓋11又は下蓋14の形成材料が破断することによって、係止用開口部64と、一端が上蓋11又は下蓋14と連続する小片65とが形成される〔
図8(b)参照〕。
係止片6は、その挿入部61を係止用開口部64に挿入することで〔
図8(b)参照〕、該上蓋11及び該下蓋14を相互に固定する。これにより、複数の段ボール箱1を積み重ねた状態において、上段の段ボール箱1の下蓋14及び下段の段ボール箱1の
上蓋11が相互に固定される。
挿入部61を係止用開口部64に挿入した状態において、係止片6は、該挿入部61が下段の段ボール箱1の
上蓋11に接合されていてもよく、接合されていなくともよい。接合手段には、接着剤等の公知の手段を用いることができる。
【0046】
段ボール箱1に収容される被収容物は、特に制限されず、例えば、食器用洗剤、洗濯用洗剤、柔軟剤、加工食品、紙おむつ、生理用品、シャンプー等のヘアケア製品、化粧品、加工食品、飲料、調味料、菓子類、玩具、書籍、音楽又は映像が記録されたCDやDVD、工具、カー用品、スマートフォン等の電子情報端末、電子部品、電化製品等が挙げられる。
被収容物は、本実施形態の段ボール箱1よりも小さい収容体に収容された状態で、該段ボール箱1に収容されていてもよい。
【0047】
次に、段ボール箱1の形成部材について詳述する。
本実施形態の段ボール箱1は、上蓋11を形成する部材、側壁部15を形成する部材、及び下蓋14を形成する部材から形成されている。したがって、本実施形態の段ボール箱1は、上蓋11、側壁部15及び下蓋14それぞれを形成する部材の3パーツで構成されている。
本実施形態の段ボール箱1は、形成材料であるシートを折り曲げて形成されている。具体的には、当該段ボール箱1は、側壁部形成用ブランク30と、上蓋形成用ブランク20と、下蓋形成用ブランクのセットから形成されている。各ブランクの説明は後述する。
本実施形態では、側壁部15と下蓋14とが接着剤や両面テープ、ステープラ―等の公知の接合手段で接合されている。ステープラーを用いて固定する場合、平留めであってもよく、角留めであってもよい。平留めは、側壁部15を形成する側面部のうちの1片と、下蓋14を形成する部材において該側面部と厚み方向に隣り合って配される外周部のうちの1片とが重なり合った部分をステープル(針部材)で固定する形態である。角留めは、側壁部15及び下蓋14それぞれの角部において、周方向に隣り合う2片の側面部と、これと厚み方向に隣り合って配される2片の外周部とにステープルを跨った状態で固定する形態である。
【0048】
本実施形態の側壁部15は、
図9に示すような、一枚の側壁部形成用ブランク30を用いて形成される。側壁部形成用ブランク30は、側壁部15を展開した所定の形状となるように、一枚の段ボール板を、例えば打ち抜いて裁断することで、容易に得ることができる。
【0049】
側壁部形成用ブランク30には、筋押し等の折れ癖加工や、切込み加工等を施すことにより、各部の折曲線、切込み等が適宜の箇所に設けられている。これにより、側壁部形成用ブランク30を用いることで、
図2に示すような立体形状をなす側壁部15を容易に組み立てることができる。
【0050】
本実施形態の側壁部形成用ブランク30は、
図9に示すように、一方向に長い長方形形状を有し、その長手方向X
1に沿って連結した壁部形成部31,32,33,34と、これら壁部形成部どうしの境界部分に形成された折曲線c1とを有している。より具体的には、側壁部形成用ブランク30は、その長手方向X
1に沿って、第1壁部S1を形成する第1壁部形成部31、第3壁部S2を形成する第3壁部形成部32、第2壁部S3を形成する第2壁部形成部33、及び第4壁部S4を形成する第4壁部形成部34が、この順を2回繰り返して連設されており、隣り合う壁部形成部間に折曲線c1が介在している。側壁部形成用ブランク30の長手方向X
1は、筒状の側壁部15の周方向に対応する。折曲線c1は、側壁部形成用ブランク30の長手方向X
1に直交するように延びている。側壁部形成用ブランク30の長手方向X
1における一方の端部には第1壁部形成部31が配されており、該第1壁部形成部31よりも当該ブランク20の長手方向X
1外方側に継ぎしろ部37が設けられている。また、側壁部形成用ブランク30の長手方向X
1における他方の端部には第4壁部形成部34が配されており、該第4壁部形成部34が該他方の端部を形成している。即ち、側壁部形成用ブランク30の長手方向X
1の一端を継ぎしろ部37が形成しており、該長手方向X
1の他端を第4壁部形成部34が形成している。また、第1壁部形成部31には窓部形成部16の周縁に沿って設けられた切り取り予定線36が形成されている。
【0051】
この側壁部形成用ブランク30を折曲線c1に沿って筒状に折り曲げて、継ぎしろ部37を側壁部形成用ブランク30の長手方向X1の他端に位置する第4壁部形成部34に接合することにより、側壁部15を形成することができる。継ぎしろ部37の接合は、接着剤等の公知の接合手段を用いることができる。
側壁部形成用ブランク30と、後述する上蓋形成用ブランク20とは一枚の段ボールシートから切り出したものであってもよいし、別々の段ボールシートから切り出したものであってもよい。
【0052】
本実施形態の上蓋11は、
図10に示す一枚の上蓋形成用ブランク20を用いて形成される。上蓋形成用ブランク20は、上蓋11を展開した所定の形状となるように、一枚の段ボール板を、例えば打ち抜いて裁断することで、容易に得ることができる。
上蓋形成用ブランク20には、前述した折曲線や切込み等が適宜の箇所に設けられている。これにより、上蓋形成用ブランク20を用いて、
図3に示すような立体形状をなす上蓋11を容易に組み立てることができる。
【0053】
本実施形態の上蓋形成用ブランク20は、
図10に示すように、平面視形状が略長方形であり、長手方向X
2と該長手方向X
2に直交する幅方向Y
2とを有している。また、上蓋形成用ブランク20は、上蓋11において中央壁部17を形成する中央壁部形成面28と、該中央壁部形成面28の外周部分であり、互いに対向する一対の第1~第4外周部21,22,23,24とを有している。
中央壁部形成面28の外周部分は、該中央壁部形成面28の周縁を囲む部分であって、上蓋形成用ブランク20の周縁部分をなしている。中央壁部形成面28は、平面視形状において長方形の四隅を斜めに切り欠いたような形状、具体的には前述した中央壁部17の平面視形状と同じ八角形形状を有している。中央壁部形成面28は、その平面視形状における各角部の近傍に、該角部を形成する端縁eに沿った突片挿入孔bを有している。以下、中央壁部形成面28の角部を形成する端縁eを「斜辺縁e」ともいう。
第1~第4外周部21,22,23,24は、中央壁部形成面28の周方向に沿って配されている。より具体的には、上蓋形成用ブランク20の長手方向X
2に沿って配された一対の第1外周部21,21と、中央壁部形成面28の幅方向Y
2に沿って配された一対の第2外周部23,23と、中央壁部形成面28の角部の対角方向外方に連設された一対の第3外周部22,22及び一対の第4外周部24,24とを有しており、中央壁部形成面28の周方向における第1外周部21の両側に第3外周部22と第4外周部24とが位置している。一対の第3外周部22,22及び一対の第4外周部24,24は、上蓋形成用ブランク20の平面視形状における角部を形成している。一対の第3外周部22,22及び一対の第4外周部24,24は、上蓋形成用ブランク20の角部となっており、上蓋形成用ブランク20の対角方向の外方に突出する突片形成部a1を有している。
【0054】
本実施形態の上蓋形成用ブランク20は、中央壁部形成面28の周方向における第3外周部22の両側それぞれに、及び該周方向における第4外周部24の両側それぞれに、三角形状の折り畳み部26を有している。即ち、中央壁部形成面28の周方向において、第1外周部21と第3外周部22との間、及び第2外周部23と第3外周部22との間、並びに第1外周部21と第4外周部24との間、及び第2外周部23と第4外周部24との間に、折り畳み部26が介在している。
第3外周部22と折り畳み部26との境界部分、及び第4外周部24と折り畳み部26との境界部分それぞれには、切り込み線C5が形成されており、第3外周部22と折り畳み部26とが切り離し可能であり、且つ第4外周部24と折り畳み部26とが切り離し可能である。斯かる構成により、折り畳み部26を、第3外周部22及び第4外周部24に重ね合わせるようにして折り畳むことができる。
【0055】
本実施形態の上蓋形成用ブランク20は、第3外周部22及び第4外周部24それぞれにおいて、対角方向における突片形成部a1の先端と中央壁部形成面28の突片挿入孔bとの略中間に、斜辺縁eに沿って延びる2本の斜め折曲線c3,c4を有している。2本の斜め折曲線c3,c4は互いに平行な状態で離間している。また、上蓋形成用ブランク20は、中央壁部形成面28の周方向において第1外周部21及び第2外周部23それぞれと折り畳み部26との間に折曲線C8を有している。さらに、上蓋形成用ブランク20は、中央壁部形成面28の周縁に沿った周縁折曲線C7を有している。周縁折曲線C7は、斜辺縁eを含んでいる。
【0056】
本実施形態では、上蓋形成用ブランク20における前述の各折曲線c3,c4,C7,C8で折り曲げ、且つ切り込み線C5に沿って該ブランク20を折り畳むことによって上蓋11を形成することができる。より具体的には、折曲線C8に沿って前記ブランク20を折り曲げるとともに、前記周縁折曲線C7に沿って、中央壁部形成面28の外周部分を該中央壁部形成面28側に折り畳んで、第1~第4外周部21,22,23,24を中央壁部形成面28から起立させる。これにより、第1側面部S11及び第2側面部S13が形成される。次いで、各折り畳み部26を第3外周部22側又は第4外周部24と重ね合わせるようにして折り畳む(
図11参照)。そして、第3外周部22及び第4外周部24それぞれを斜め折曲線c3,c4に沿って中央壁部形成面28側に折り畳み、突片形成部a1の先端側の部分を中央壁部形成面28の突片挿入孔bに挿入する。この斜め折曲線c3,c4に沿って折り曲げた部分が、前述の第1折り曲げ部b3及び第2折り曲げ部b4となる。このようにして上蓋11を形成することができる。
したがって、本実施形態の突片a及び突片挿入孔bは、上蓋11及び下蓋14それぞれを形成する段ボールシート(ブランク)によって形成されるので、別部材からなる荷崩れ抑制手段を設ける必要がなく、梱包資材の省資源化や、段ボール箱1を作製する作業効率の向上に寄与する。
【0057】
本実施形態の段ボール箱1が具備する下蓋14は、上述した上蓋11と同じ構成を具備している。即ち、本実施形態においては、上蓋11を下蓋14として用いることができる。
また、本実施形態の下蓋14は、上蓋形成用ブランク20を上述したように折り畳むことで形成することができる。
【0058】
本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
本発明の効果が奏される限りにおいて、上蓋11が具備する構成と、下蓋14が具備する構成とを互いに異ならせてもよい。上蓋11及び下蓋14の各中央壁部17や、側壁部15の水平断面形状は、平面視形状を四角形状や六角形状等の八角形状以外の形状にすることができる。
また、上述した実施形態では、上蓋11及び下蓋14の形成材料であるシートについて、起立壁部18から延出した延出部10aを2箇所で折り曲げて突片aを形成していたが、該延出部10aを1箇所で折り曲げて突片aを形成してもよい。この場合、起立壁部18の端縁である折り曲げ部が、突片形成部a1の基端となる。
また積み重ねられた段ボール箱1は、その周囲にネットや、ポリエチレン製のストレッチフィルムが幾重にも巻きつけられた状態で輸送又は保管されていてもよい。斯かる段ボール箱1は、ネット又はストレッチフィルムを取り外した状態で陳列される。
【0059】
また、上述した実施形態の箱は、段ボール製であったが、本発明の箱の形成材料は段ボールに限定されない。箱の形成材料は、組み立て可能な板材であることが好ましい。斯かる板材としては、コートボール、チップボール、クラフトボール等の厚紙を用いてもよく、プラスチック(合成樹脂)製のものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 段ボール箱
11 上蓋
12 コーナー部
14 下蓋
15 側壁部
17 中央壁部
18 起立壁部
20 上蓋形成用ブランク
30 側壁部形成用ブランク
a 突片
b 突片挿入孔
X 長手方向
Y 幅方向
Z 高さ方向