(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】乳頭カップの一部を形成するように構成されたカートリッジ、及び乳頭カップ
(51)【国際特許分類】
A01J 5/08 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
A01J5/08
(21)【出願番号】P 2020510564
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(86)【国際出願番号】 SE2018051080
(87)【国際公開番号】W WO2019083433
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-12
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500215931
【氏名又は名称】デラヴァル ホルディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン, アンナ
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0075434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0066531(US,A1)
【文献】特表2003-517316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01J 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳頭カップによって含まれるように構成されたカートリッジ(1)であって、乳頭カップが、コネクター(2)を含み、かつ搾乳される動物の乳頭に取り付けられるように構成され、カートリッジ(1)が、
長手方向中心軸(x)と平行に延び、かつ上端区域及び下端区域を有する長尺スリーブ(8)、
長尺スリーブ(8)に予め装着され、かつ前記乳頭を受容するための内部空間(10)を有するバレル(9)、
長尺スリーブ(8)の内部表面とバレル(9)の外部表面の間に形成された脈動室(11)、及び
内部空間(10)に対する開口(14)を包囲するリップ(13)を含むヘッド部材(12)
を含み、ヘッド部材(12)が、上端区域(8’)に
設けられ
ているものにおいて、
長尺スリーブ(8)が、上端区域(8’)で外側に延びるフランジ(20)を有すること、
ヘッド部材(12)が、各々がフランジ(20)を把持する複数のロッキング部材(19)を含むこと
、
ロッキング部材(19)の各々が、下端区域(8”)に向かってかつフランジ(20)を越えて延びること
、及び
フランジ(20)が、環状であり、かつ複数の凹所(24)を含み、ロッキング部材(19)の各々が、凹所(24)のそれぞれ一つに受容されることを特徴とするカートリッジ(1)。
【請求項2】
ロッキング部材(19)の各々が、下端区域(8”)から離れるように方向転換されている係合表面(22)を含む内側に延びる部分(21)を含む、請求項1に記載のカートリッジ(1)。
【請求項3】
フランジ(20)が、下端区域(8”)に向かうように方向転換されている下部表面(23)を含み、係合表面(22)の各々が、下部表面(23)に当接する、請求項2に記載のカートリッジ(1)。
【請求項4】
ヘッド部材(12)が、バレル(9)に取り付けられる、請求項1~3のいずれかに記載のカートリッジ(1)。
【請求項5】
ヘッド部材(12)が、リップ要素(15)、及びリップ要素(15)に取り付けられたリング部材(16)を含み、リップ要素(15)が、リップ(13)を含み、リング部材(16)が、ロッキング部材(19)及び係合要素(17)を含み、係合要素(17)が、ヘッド部材(12)をバレル(9)に取り付ける、請求項4に記載のカートリッジ(1)。
【請求項6】
フランジ(20)が、下端区域(8”)から離れて面する上部表面(25)を有し、凹所(24)の各々が、上部表面(25)を通ってかつ長手方向中心軸(x)と平行に延びる、請求項
1~5のいずれかに記載のカートリッジ(1)。
【請求項7】
凹所(24)の各々が、下端区域(
8”)に向かって先細形状を有し、ロッキング部材(19)の各々が、下端区域(8”)に向かって対応する先細形状を有する、請求項
1~6のいずれかに記載のカートリッジ(1)。
【請求項8】
コネクター(2)が、下側ベース部材(3)、及び下側ベース部材(3)から延びかつコネクター(2)の受容空間(5)を包囲する鞘(4)を含む、請求項1~
7のいずれかに記載のカートリッジ(1)。
【請求項9】
ロッキング部材(19)が、カートリッジ(1)がコネクター(2)の受容空間(5)に受容されるときに鞘(4)の内部表面(40)の内側にかつそれに隣接して位置される、請求項
8に記載のカートリッジ(1)。
【請求項10】
複数の結合部材(41)が、長尺スリーブ(8)の外部表面(42)の上に与えられ、複数の相補結合部材(43)が、コネクター(2)の内部表面(40)の上に与えられ、結合部材(41)の各々が、相補結合部材(43)のそれぞれ一つと差込み結合を形成してコネクター(2)におけるカートリッジ(1)のロッキングを可能にする、請求項
8又は
9に記載のカートリッジ(1)。
【請求項11】
通路(44)が、結合部材(41)の各々の間に与えられ、カートリッジ(1)がコネクター(2)の受容空間(5)中に導入されるときに相補結合部材(43)のそれぞれ一つが通路(44)を通過することを可能にする、請求項
10に記載のカートリッジ(1)。
【請求項12】
結合部材(41)の各々が、下端区域(8”)から離れるように方向転換されている上部表面(45)を含み、相補結合部材(43)のそれぞれ一つの下部表面(46)による係合を可能にする、請求項
10又は
11に記載のカートリッジ(1)。
【請求項13】
結合部材(41
)が、最終回転位置を与えるための停止表面(47)を含む、請求項
12に記載のカートリッジ(1)。
【請求項14】
結合部材(41
)が、上部表面(45)の上への相補結合部材(43)のスライドを可能にする傾斜面(48)を含む、請求項
12又は
13に記載のカートリッジ(1)。
【請求項15】
請求項
8~
14のいずれかに記載のカートリッジ(1)及びコネクター(2)を含み、かつ搾乳される動物の乳頭に取り付けられるように構成された乳頭カップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にカートリッジに関し、それは、コネクターとともに、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップを形成する。特に、本発明は、請求項1の前提文に記載のカートリッジに関する。
【0002】
さらに、本発明は、コネクター及びカートリッジを含み、かつ搾乳される動物の乳頭に取り付けられるように構成された乳頭カップに関する。
【背景技術】
【0003】
WO2014/178783は、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップのコネクターに受容されるように構成されたカートリッジを開示する。カートリッジは、上端及び下端を有する長尺スリーブ、長尺スリーブに装着され、かつ乳頭を受容するための内部空間を有するバレル(barrel)、及び長尺スリーブの内側とバレルの外側の間に与えられる脈動室を含む。バレルは、長尺スリーブの上端に位置される上端部分、バレル部分、及び長尺スリーブの下端を越えて延びる下端部分を含む。リップ部材は、スナップ接続によってバレルのフランジに取り付けられる。
【0004】
カートリッジを取り扱うとき、例えばカートリッジを乳頭カップのコネクター中に挿入するとき、又はカートリッジをコネクターから除去するとき、特に挿入及び/又は除去が回転運動を含むときに、長尺スリーブに対してバレルが回転されることが起こりうる。そのとき、バレルは、直線的な、特に略円筒形な形状が変形されるようにねじれるかもしれない。かかるねじれは、バレルの性能を有意に低下する。これは、例えばバレルのバレル部分が円筒形断面形状を有するとき、特にバレルのバレル部分が、少なくとも休止状態において、複数の角部分、及び各々が前記角部分の二つを接続する複数の辺部分を規定する多角形断面形状を有するときのように、様々な種類のバレルに対して問題である。かかる多角形バレルは、ねじれに対して極めて敏感である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述の問題を克服し、乳頭カップのための改良されたカートリッジを提供することである。特に、それは、長尺スリーブに対するバレルのねじれの危険が低下又は回避されるカートリッジを目的としている。さらに、それは、リップを含むヘッド部材(head member)のカートリッジへの、カートリッジの長尺スリーブへのしっかりとした取り付けを目的としている。
【0006】
この目的は、冒頭に規定されたカートリッジであって、
長尺スリーブが、上端区域で外側に延びるフランジを有すること、
ヘッド部材が、各々がフランジを把持する複数のロッキング部材を含むこと、及び
ロッキング部材の各々が、下端区域に向かってかつフランジを越えて延びること
を特徴とするカートリッジによって達成される。
【0007】
フランジを越えて延びかつフランジを把持するロッキング部材は、たとえヘッド部材及び乳頭カップが様々な方向に強い力を受けたとしてもカートリッジの上のヘッド部材の取り付けを確保する。フランジを把持する複数のロッキング部材は、ヘッド部材が長尺スリーブに対して回転されることを防止することができ、従ってヘッド部材は、バレルを回転したり、又はねじることができない。
【0008】
本発明の実施形態によれば、ロッキング部材の数は、少なくとも三つ、好ましくは少なくとも四つである。三つ又は四つのロッキング部材により、ヘッド部材の周囲部分の持ち上げが防止されることができる。
【0009】
本発明の実施形態によれば、ロッキング部材は、互いに分離され、好ましくは互いに等距離に分離される。従って、ロッキング部材は、ヘッド部材の周囲に沿って均一に分布されることができる。
【0010】
本発明の実施形態によれば、ロッキング部材の各々は、下端区域から離れるように方向転換されている係合表面を含む内側に延びる部分を含む。従って、ロッキング部材の各々は、フックとして構成されることができる。従って、係合表面は、長尺スリーブへのヘッド部材の取り付けを強めるためにフランジの下側表面を係合することができる。
【0011】
本発明の実施形態によれば、係合表面の各々は、放射方向の平面(即ち、長手方向中心軸に対して放射方向の平面)と平行であるか、又は実質的に平行である。
【0012】
本発明の実施形態によれば、フランジは、環状であり、かつ下端区域に向かうように方向転換されている下部表面を含み、係合表面の各々が、下部表面に当接する。係合表面は、下部表面と大きな当接領域を形成することができ、さらに長尺スリーブに対するヘッド部材の取り付けを強めることができる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、フランジの下部表面は、放射方向の平面(即ち、長手方向中心軸に対して放射方向の平面)と平行であるか、又は実質的に平行である。
【0014】
本発明の実施形態によれば、ヘッド部材は、バレルに取り付けられる。従って、ヘッド部材及びバレルは、一つのユニットを形成することができ、それは、長尺スリーブ中に導入されてカートリッジを形成し、カートリッジは、コネクターとともに乳頭カップを形成する。
【0015】
本発明の実施形態によれば、ヘッド部材は、リップ要素、及びリップ要素に取り付けられたリング部材を含み、リップ要素は、リップを含み、リング部材は、ロッキング部材及び係合要素を含み、係合要素は、ヘッド部材をバレルに取り付ける。従って、係合要素は、バレルに対するヘッド部材のしっかりとした取り付けを確保することができる。
【0016】
本発明の実施形態によれば、係合要素は、バレル中の溝、好ましくは円周溝の中へと内側に延びることによってバレルと係合する。
【0017】
本発明の実施形態によれば、フランジは、複数の凹所を含み、ロッキング部材の各々は、凹所のそれぞれ一つに受容される。ロッキング部材のそれぞれ一つを受容する凹所は、周囲方向のヘッド部材の取り付けを強め、従って長尺スリーブに対するヘッド部材の回転の危険をさらに低下する。
【0018】
本発明の実施形態によれば、凹所の数は、ロッキング部材の数と同じである。即ち、特に少なくとも三つ、又は少なくとも四つの凹所である。
【0019】
本発明の実施形態によれば、フランジは、下端区域から離れて面する上部表面を有し、凹所の各々が、上部表面を通ってかつ長手方向中心軸と平行に延びる。
【0020】
本発明の実施形態によれば、凹所は、互いに分離され、好ましくは互いに等距離で分離される。従って、凹所は、フランジの周囲に沿って均一に分布されることができる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、凹所の各々は、下端区域に向かって先細形状を有し、ロッキング部材の各々は、下端区域に向かって対応する先細形状を有する。凹所及びロッキング部材の先細形状は、凹所中へのロッキング部材の導入を容易にし、それぞれの凹所におけるロッキング部材のしっかりとした係合に寄与する。
【0022】
本発明の実施形態によれば、コネクターは、下側ベース部材、及び下側ベース部材から延びかつコネクターの受容空間を包囲する鞘を含む。
【0023】
本発明の実施形態によれば、下側ベース部材及び鞘は、ワンピースで作られ、好ましくはプラスチック材料から作られる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、ロッキング部材は、カートリッジがコネクターの受容空間に受容されるときに鞘の内部表面の内側にかつそれに隣接して位置される。従って、鞘は、ロッキング部材が放射方向外側に動くこと、従ってそれらのフランジの把持からはずれること、特にそれぞれの凹所におけるそれらの位置からはずれることを防止することができる。
【0025】
本発明の実施形態によれば、複数の結合部材は、長尺スリーブの外部表面の上に与えられ、複数の相補結合部材は、コネクターの内部表面の上に与えられ、結合部材の各々は、相補結合部材のそれぞれ一つと差込み結合を形成してコネクターにおけるカートリッジのロッキングを可能にする。かかる差込み結合は、例えば乳頭カップが搾乳される動物の乳頭に取り付けられるとき、カートリッジがコネクターから接続解除されることを確実に防止することができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、カートリッジがコネクターの受容空間中に導入されるときに相補結合部材のそれぞれ一つが結合部材を越えて軸方向に通ることを可能にするために結合部材の各々の間に通路が与えられる。従って、カートリッジは、長手方向中心軸と平行な直線路に沿ってコネクター中に導入されることができる。カートリッジがその最終軸方向位置に到達するとき、それは、コネクターに対して回転されることができ、そこでは結合部材及び相補結合部材は、互いに係合することができる。
【0027】
本発明の実施形態によれば、結合部材の各々は、下端区域から離れるように方向転換されている上部表面を含み、相補結合部材の下部表面による係合を可能にする。従って、上部表面は、コネクターに対するカートリッジの前記回転中に相補結合部材の下側表面の上でスライドすることができる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、結合部材と相補結合部材の少なくとも一方は、最終回転位置を与えるための停止表面を含む。停止表面は、コネクターに対するカートリッジの前記回転後のカートリッジの最終回転位置を規定する。停止表面は、長手方向中心軸と平行であることができる。停止表面は、結合部材の上部表面から又は相補結合部材の下部表面から延びることができる。
【0029】
本発明の実施形態によれば、結合部材と相補結合部材の少なくとも一方は、上部表面の上への相補結合部材のスライドを可能にする傾斜面を含む。傾斜面は、カートリッジの結合部材の上部表面がコネクターの相補結合部材の下部表面、従ってコネクターに対するカートリッジの前記回転の最初の部分に到達することを容易にすることができる。
【0030】
前記目的はまた、上記のカートリッジを含む、冒頭で規定されたような乳頭カップによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、様々な実施形態の記載によって及びここに添付される図面を参照して、より詳細に説明されるだろう。
【0032】
【
図1-2】
図1は、本発明の実施形態による乳頭カップの側面図を開示する。
図2は、
図1の線II-IIに沿った乳頭カップの縦断面図を開示する。
【0033】
【
図3-4】
図3は、ミルク管及び脈動管から接続解除された
図1の乳頭カップの縦断面図を開示する。
図4は、
図1の乳頭カップの上部の縦断面図を開示する。
【0034】
【
図5】
図5は、
図1の乳頭カップのカートリッジの透視図を開示する。
【0035】
【
図6-7】
図6は、
図1の乳頭カップのコネクターの側面図を開示する。
図7は、
図6のコネクターの縦断面図を開示する。
【0036】
【
図8-9】
図8は、
図4のカートリッジの上部の透視図を開示する。
図9は、
図4のカートリッジの下部の透視図を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1~4は、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップを開示する。乳頭カップは、カートリッジ1(
図5も参照)、及びコネクター2(
図6も参照)を含む。
【0038】
コネクター2は、下側ベース部材3及び鞘4を含む。鞘4は、下側ベース部材3から延び、コネクター2の受容空間5を包囲する。乳頭カップが組み立てられるとき、カートリッジ1は、
図2及び3に見られるようにコネクターの受容空間5に受容される。
【0039】
開示された実施形態では、下側ベース部材3及び鞘4は、一体化された部分を形成し、ワンピースの材料、例えばプラスチック材料から作られることができる。
【0040】
本願の全体を通して、用語「上(上部)(上側)(upper)」は、乳頭カップが動物の乳頭に取り付けられるときに搾乳時の動物の乳房に近い方の位置を示し、用語「下(下部)(下側)(lower)」は、動物の搾乳時の乳房から遠い方の位置を示す。
【0041】
乳頭カップは、短いミルク管又は長いミルク管のようなミルク管6に、及び脈動管7に接続されることができる。
【0042】
長手方向中心軸xは、乳頭カップを通ってかつそれに沿って、即ちカートリッジ1及びコネクター2を通って延びる。長手方向中心軸xはまた、ミルク管6が
図2に示されるように休止状態にあるときにミルク管6の少なくとも一部を通ってかつそれに沿って延びることができる。
【0043】
カートリッジ1は、長尺スリーブ8及びバレル9を含む。長尺スリーブ8は、長手方向中心軸xと平行に延び、上端区域8’及び下端区域8”を有する。バレル9は、長尺スリーブ8に予め装着され、乳頭を受容するための内部空間10を有する。脈動室11は、長尺スリーブ8の内部表面とバレル9の外部表面の間に形成されかつ包囲される。
【0044】
カートリッジ1はまた、ヘッド部材12を含み、ヘッド部材12は、内部空間10中への乳頭の導入のために内部空間10への開口14を包囲しかつ規定するリップ13を含む。
【0045】
ヘッド部材12は、長尺スリーブ8の上端区域8’に与えられ、かつバレル9に取り付けられる。
【0046】
ヘッド部材12は、リップ13を含むリップ要素15、及びリップ要素15に取り付けられかつ係合要素17を含むリング部材16を含む(
図4参照)。係合要素17は、ヘッド部材12をバレル9に取り付ける。係合要素17は、
図4で見られるようにバレル9中の溝の中へと内側に延びる環状突出部として構成される。溝は、バレル9の外部表面のまわりに環状に延びることができる。
【0047】
リップ要素15は、比較的弾性の材料から作られ、一方リング部材16は、比較的剛い材料から作られる。
【0048】
ヘッド部材12は、複数のロッキング部材19を含み、開示された実施形態では、四つのロッキング部材19を含む。ロッキング部材19は、互いに分離され、好ましくは互いに等距離で分離され、従ってヘッド部材12の周囲に沿って均一に分布される。
【0049】
ロッキング部材19は、リング部材16によって含まれ、
図4で見られるようにバレル9の外側で下端区域8”に向かって延びる。
【0050】
長尺スリーブ8は、フランジ20を有し、それは、環状であり、かつ長尺スリーブ8の上端区域8’で外側にかつ周囲に延びることができる。ロッキング部材19の各々は、フランジ20を把持し、かつフランジ20を越えて延びる。
【0051】
ロッキング部材19の各々は、下端区域8”から離れるように方向転換されている係合表面22を含む内側に延びる部分21を含む。ロッキング部材19の各々は、
図3及び4に見られるように、フックを含むか、又はフックとして構成されることができる。
【0052】
フランジ20は、下端区域8”に向かうように方向転換されている下部表面23を含む。
【0053】
係合表面22の各々は、ヘッド部材12のロッキング部材19がフランジ20を把持しているとき、下部表面23に当接する。下部表面23は、複数の表面部分を含むことができ、係合表面22の各々は、表面部分のそれぞれ一つと当接する。表面部分は、下部表面23と同じ平面、例えば同じ放射方向面にあることができるか、又は下部表面23に対して軸方向に変位されることができる。
【0054】
フランジ20は、複数の凹所24を含み、開示された実施形態では四つの凹所24を含む(
図5及び8参照)。凹所24は、互いに分離され、好ましくは互いに等距離に分離され、従ってフランジ20の周囲に沿って均一に分布されることができる。
【0055】
フランジ20は、下端区域8”から離れて面する上部表面25を有する。上部表面25は、フランジ20の下部表面23とは反対側であることができる。上部表面25は、長手方向中心軸xに対して放射方向面と平行に又は実質的に平行に延びることができる。
【0056】
凹所24の各々は、上部表面25を通ってかつ長手方向中心軸xと平行に延びる。ロッキング部材19の各々は、凹所24のそれぞれ一つに受容される。
【0057】
凹所24の各々は、下端区域8’に向かって先細形状を有し、ロッキング部材19の各々は、下端区域8”に向かって対応する先細形状を有する(
図5及び8参照)。凹所24及びロッキング部材19の先細形状は、凹所24中へのロッキング部材19の導入を容易にし、それぞれの凹所24におけるロッキング部材19の各々のしっかりとした係合に寄与する。
【0058】
バレル9は、長尺スリーブ8の上端区域8’に位置される上端部分9’、長尺スリーブ8の下端区域8”に位置される下端部分9”、及び上端部分9’と下端部分9”の間に延びるバレル部分9’’’を含む(
図3参照)。
【0059】
バレル部分9’’’は、比較的弾性の材料から作られるが、上端部分9’及び下端部分9”は、比較的剛い材料から作られる。
【0060】
バレル9の上端部分9’は、下端部分9”及び下端区域8”に向かうように方向転換されておりかつ外側に延びる当接面27を有する(
図4参照)。また、リング部材16は、下端区域8”に向かうように方向転換されておりかつバレル9の上端部分9’の当接面27と共通の平面にある当接面28を有する(
図8参照)。上端部分9’の当接面27及びリング部材16の当接面28は、
図4及び8で見られるように、フランジ20の上部表面25に当接する。
【0061】
開示された実施形態では、バレル部分9’’’は、休止状態では、
図2に示されるように、三つの角部分及び三つの辺部分を規定する三角形断面形状を有する。各辺部分は、直線であり、三つの角部分のうちの二つの間に延びかつこれらを接続する。バレル9’’’はまた、いずれかの他の好適な多角形断面形状又は円形断面形状を有することができることが注意されるべきである。
【0062】
バレル9の下端部分9”は、外側に延びる停止フランジ29を含む(
図3及び5参照)。停止フランジ29は、長尺スリーブ8の下端区域8”の端面に当接し、長尺スリーブ8に対して下端部分9”の軸方向の位置を維持する。
【0063】
突出部30は、長尺スリーブ8の下端区域8”の端面から下方に延びる。突出部30は、
図5に見られるように、ありつぎ形状を持つことができる。突出部30は、バレル9が長尺スリーブ8に対して長手方向中心軸xのまわりに回転されてねじれるのを防止するために長尺スリーブ8に装着されるとき、停止フランジ29において凹所31中に嵌合する。従って、突出部30及び凹所31は、長尺スリーブ8においてバレル9の回転位置を規定することができる。一つより多い突出部30及び凹所31が与えられることができることが注意されるべきである。
【0064】
開示された実施形態では、長尺スリーブ8は、下端区域8”において、三つの開口33(
図3及び9参照)を含む。開口33は、長尺スリーブ8の下端区域8”のまわりに分布され、好ましくは等距離に分布される。開口33の各々は、脈動乳首34及び脈動管7による脈動室11の中へ、及び脈動室11から外への脈動圧力の移動を可能にする。開口33の数は、三つ以外であることができるが、開口33の数は、バレル9のバレル部分9’’’の辺部の数と同じであることが好ましい。
【0065】
バレル部分9’’’は、下端部分9”の近くでバレル部分9’’’のまわりに延びかつ外側に突出する突出リング35を含む。突出リング35は、三つの直線部分を含み、それらの各々は、軸方向に又は実質的に軸方向に、バレル部分9’’’の辺部分のそれぞれ一つと整列される。従って、突出リング35は、突出リング35の上のバレル部分9’’’の多角形形状に対応する多角形形状を有する。突出リング35の直線部分の各々は、開口33のそれぞれ一つとは部分的に反対に位置される。さらに、バレル9、特に下端部分9”は、ミルク出口ノズル36を含むか、又はそれを形成する。
【0066】
カートリッジ1がコネクター2に受容されるとき、鞘4は、長尺スリーブ8の下端区域8”から上端区域8’まで延びる。従って、長尺スリーブ8は、鞘4によって保護される。さらに、ロッキング部材19は、カートリッジ1がコネクター2の受容空間5に受容されるとき、鞘4の内部表面40の内側にかつそれに隣接して位置される。従って、鞘4は、ロッキング部材19が外側に動くこと、従ってフランジ20の係合からはずれることを防止するだろう。
【0067】
カートリッジ1がコネクター2の受容空間5に受容されるとき、ヘッド部材12のリップ要素15のみが鞘4の上端表面4’の上にかつそれを越えて延びる。
【0068】
リップ要素15は、カートリッジ1がコネクター2に受容されるとき、鞘4の上端表面4’に当接する下部表面15”を有する。上端表面4’に対する下部表面15”の当接は、環境から受容空間5を封止することに寄与する。
【0069】
複数の結合部材41が長尺スリーブ8の外部表面42の上に与えられ(
図9参照)、複数の相補結合部材43がコネクター2の鞘4の内部表面40の上に与えられる(
図7参照)。結合部材41の各々は、コネクター2におけるカートリッジ1のロッキングを可能にするために相補結合部材43のそれぞれ一つと差込み結合を形成する。
【0070】
カートリッジ1が長手方向中心軸xと平行な方向に沿ってコネクター2の受容空間5中に導入されるときに相補結合部材43のそれぞれ一つが通ることができるように結合部材41の各々の間に通路44が与えられる。従って、カートリッジ1は、結合部材1が相補結合部材43を越えて最終的な軸方向位置に移動するまで前記方向に沿ってコネクター2中に導入されることができる。
【0071】
結合部材41の各々は、相補結合部材43による係合を可能にするために下端区域8”から離れるように方向転換されている上部表面45を含む。カートリッジ1が前記方向に沿って最終的な軸方向位置に到達するとき、それは、コネクター2に対して回転されることができ、そこでは各結合部材41の上部表面45は、相補結合部材43のそれぞれ一つの下部表面46の上でスライドすることができる。
【0072】
開示された実施形態では、結合部材41の各々は、長手方向中心軸xと平行でありかつ上部表面45から延びる停止表面47を含む。停止表面47は、コネクター2に対して長手方向中心軸xのまわりでカートリッジ1が回転した後にカートリッジ1の最終的な回転位置を与えるか又は規定する。
【0073】
さらに、結合部材41の各々は、上部表面45の上への相補結合部材43のスライドを可能にするために上部表面45に延びる傾斜面48を含む。傾斜面48は、カートリッジ1の上部表面45がコネクター2の下部表面46に達することを容易にすることができ、従って傾斜面48は、コネクター2に対するカートリッジ1の前記回転の最初の部分を容易にすることができる。
【0074】
コネクター2は、長手方向中心軸xに向かって内側に、特に放射方向内側に延びる下部フランジ49を含む。フランジ49は、
図2に見られるようにミルク管6へコネクター2を解放可能に取り付けるためにミルク管6の上部における対応する溝と係合することができる。
【0075】
カートリッジ1は、ヘッド部材12をバレル9に取り付けることによって組み立てられ、そこでは係合要素17は、バレル9の外側の上の溝と係合する。バレル9は、それに取り付けられたヘッド部材12とともに、次いで好適なツールによって長尺スリーブ8に装着され、かくして停止フランジ29は、長尺スリーブ8の下端を越えて圧縮される。停止フランジ29は、次いで外側に撓んで長尺スリーブ8の下端に対して停止フランジ29をロックし、そこでは長尺スリーブ8及びバレル9の相対的な回転位置は、突出部30が凹所31と係合することを可能にするように調整される。同時に、ロッキング部材19は、係合表面22がフランジ20の下部表面23を越えて移動するまで凹所24中に導入される。ロッキング部材19は、次いで内側に撓んで係合表面22が下部表面23と当接することを可能にするだろう。
【0076】
カートリッジ1は、次いで長手方向中心軸xに平行な方向に沿って導入されることによってコネクター2に装着されることができる。カートリッジ1は、相補結合部材43が通路44を通ることができるように回転位置で保持される。カートリッジ1がさらに移動されることができないとき、ミルク出口ノズル36がミルク管6の内側入口表面と当接するとき、カートリッジ1は、コネクター2に対して回転され、相補結合部材43の下部表面46は、傾斜面48の上をスライドし、次いで最終位置の相補結合部材43が停止表面47に到達するまで上部表面45の上をスライドするだろう。従って、カートリッジ1がコネクター2における最終位置に到達したとき、相補結合部材43は、結合部材41の上部表面45及び停止表面47に当接する。ミルク出口ノズル36は、
図2に見られるように、この最終位置においてミルク管6の内側入口表面に対して圧縮される。
【0077】
本発明は、ここに開示されかつ記載された実施形態に限定されず、添付の請求項の範囲内で変更及び修正されることができる。
【0078】
傾斜面48は、代替例として相補結合部材43の上に与えられ、次いで下部表面46に延びることができることが注意されるべきである。
【0079】
さらに、停止表面47は、代替例として相補結合部材43の下部表面46の上に与えられ、そこから下方に延びることができる。
【0080】
停止表面47は、上部表面45から又は下部表面46からずっと延びる必要はなく、この表面45,46のいずれか一つから離れて開始してもよい。
【0081】
相補結合部材43は、開示された実施形態では放射方向で見ると矩形形状を有する。相補結合部材43は、代わりに円形のような他の形状を有してもよいことが注意されるべきである。