(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】センサおよびセンサを組み込んだグレージング
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20230317BHJP
H01H 35/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
G01N21/17 E
H01H35/00 M
H01H35/00 V
(21)【出願番号】P 2020514616
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(86)【国際出願番号】 GB2018052580
(87)【国際公開番号】W WO2019048893
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-19
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ローランド デイ
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-268066(JP,A)
【文献】特表2002-544505(JP,A)
【文献】特開平11-258151(JP,A)
【文献】特表2004-537721(JP,A)
【文献】特開2000-193759(JP,A)
【文献】特開2004-077297(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00999104(EP,A2)
【文献】国際公開第2009/083291(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0339873(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0015824(US,A1)
【文献】米国特許第06768099(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
H01H 35/00
H01H 36/00-H01H 36/02
H01H 13/00-H01H 13/88
B60S 1/00-B60S 1/68
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層グレージングであって、
第1の基板および少なくとも1つの接着性中間層材料のプライを備える中間層構造によって第2のグレージング材料のペインに接合された第1のグレージング材料のペインを含み、前記第1および第2のグレージング材料のペインの各々が、それぞれ第1の主表面および第2
の主表面を有し、前記積層グレージングは、前記第1のグレージング材料のペインの前記第2の主表面が前記第2のグレージング材料のペインの前記第1の主表面に面するように構成され、前記積層グレージングが
、少なくと
も第1
の電磁放射ビームを放射するための送信器手段と、電磁放射を検出するための検出器手段と、前記第1の電磁放射ビームのための反射性表面を有するターゲットと、を備え、前記ターゲットの前記反射性表面が、非鏡面反射性表面であり、
前記送信器手段が、前記第1の電磁放射ビームを放射して前記ターゲットを照射して、それにより、前記照射されたターゲットの前記反射性表面から反射された電磁放射が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面の領域を照射するように、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面に向かう少なくとも1つの経路をたどるように構成され、
前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面の前記領域から反射された前記電磁放射の少なくとも一部分が、検出信号を提供するための前記検出器手段によって検出可能であ
り、
前記ターゲットの前記反射性表面は、入射電磁放射ビームの拡散反射を提供する反射性表面を含み、
前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面に対する法線の方向で見られるとき、前記検出器手段が、前記送信器手段と前記ターゲットとの間にある、積層グレージング。
【請求項2】
前記少なくとも1つのデバイスが、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面上のミストを検出するためのものであり、前記検出信号が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面の前記領域上のミストを検出するためのものである;および/または、
前記少なくとも1つのデバイスが、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面の少なくとも一部分に接触しているかまたはその近位にある物体を検出するためのものであり、前記検出信号が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面の前記領域に接触しているかまたはその近位にある前記物体を検出するためのものである、請求項1に記載の積層グレージング。
【請求項3】
前記送信器手段が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1主表面上にあり、前記検出器手段および前記ターゲットの少なくとも1つが、前記第1のグレージング材料のペインと前記第2のグレージング材料のペインとの間にある、または、
前記送信器手段が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1主表面上にあり、前記検出器手段および前記ターゲットが、前記第2のグレージング材料のペインの前記第2の主表面上にある、請求項1または請求項2に記載の積層グレージング。
【請求項4】
前記送信器手段、前記検出器手段および前記ターゲットが、前記第1のグレージング材料のペインと前記第2のグレージング材料のペインとの間にある、請求項1または請求項2に記載の積層グレージング。
【請求項5】
前記送信器手段から放射された前記第1の電磁放射ビームが、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面で反射されて前記ターゲットを照射する、請求項4に記載の積層グレージング。
【請求項6】
前記第1のグレージング材料のペインの前記第2の主表面上または前記第2のグレージング材料のペインの前記第1の主表面上に少なくとも1つの導電性経路があり、前記送信器手段および前記検出器手段のうちの少なくとも一方が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第2の主表面上の前記少なくとも1つの導電性経路または前記第2のグレージング材料のペインの前記第1の主表面上の前記少なくとも1つの導電性経路と電気的に導通している、請求項4または請求項5に記載の積層グレージング。
【請求項7】
前記送信器手段および前記検出器手段のうちの少なくとも一方が、第1の基板上にあり、前記第1の基板が、第1の主表面および第2
の主表面を有し、さらに、前記第1の基板の前記第1の主表面が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第2の主表面に面し、前記第1の基板の前記第2の主表面が、前記第2のグレージング材料のペインの前記第1の主表面に面する、請求項4または請求項5に記載の積層グレージング。
【請求項8】
前記送信器手段および前記検出器手段のうちの少なくとも一方が、前記第1の基板の前記第1の主表面または前記第1の基板の前記第2の主表面上にある;または、
前記送信器手段が、前記第1の基板の前記第2の主表面上にあり、且つ、前記第1の基板が、前記第1の基板に開口部を有し、前記開口部が、前記第1の電磁放射ビームが前記開口部を通過することができるように前記送信器手段と一致している、請求項7に記載の積層グレージング。
【請求項9】
前記ターゲットが、前記第1のグレージング材料のペインの前記第2の主表面、前記第2のグレージング材料のペインの前記第1の主表面、または前記少なくとも1つの接着性中間層材料のプライ上にある、請求項4~8のいずれか1項に記載の積層グレージング。
【請求項10】
前記送信器手段、前記検出器手段および前記ターゲットが、前記第1の基板上にあり、および、前記送信器手段、前記検出器手段および前記ターゲットのうちの少なくとも1つが、前記第1の基板の前記第1の主表面上または前記第1の基板の前記第2の主表面上にある、請求項7に記載の積層グレージング。
【請求項11】
前記第1の基板の前記第1および/または第2の主表面が、その上に1つ以上の導電性経路を有し、前記第1の基板の前記第1または第2の主表面上の前記導電性経路のうちの少なくとも1つが、前記送信器手段または前記検出器手段の一方と電気的に導通している、請求項
7に記載の積層グレージング。
【請求項12】
前記送信器手段が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面上の法線に対する入射角で前記第1の電磁放射ビームを放射するように配設され、前記入射角が、少なくともsin-1(n2/n1)であり、式中、n1は、540nmの波長での前記第1のグレージング材料のペインの屈折率、n2は、540nmでの空気または水の屈折率である;または、
前記送信器手段が、40°を超える前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面上の法線に対する入射角で前記第1の電磁放射ビームを放射するように配設されている;または、
前記送信器手段が、40°~80°の前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面上の法線に対する入射角で前記第1の電磁放射ビームを放射するように配設されている、請求項4~11のいずれか1項に記載の積層グレージング。
【請求項13】
前記送信器手段が、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面から最小距離hだけ離間載置され、前記送信器手段と前記ターゲットの縁部との間隔が、少なくとも2×h×tan(θ)であり、式中、θは、前記第1のグレージング材料のペインの前記第1の主表面上の法線に対する前記第1の電磁放射ビームの前記入射角である、請求項
12に記載の積層グレージング。
【請求項14】
前記積層グレージングが、前記照射されたターゲットからの電磁放射以外の電磁放射から前記検出器手段に到達する電磁放射の量を減らすための要素をさらに備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の積層グレージング。
【請求項15】
前記ターゲットが、その上への電磁入射を反射するための第1の層と、電磁放射が前記第2のグレージング材料のペイン
の第2の主表面の方向から前記第1の層に到達するのを防ぐための第2の層と、を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の積層グレージング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層グレージングの表面上のミストを検出するためのデバイスを備える積層グレージング、窓の表面上のミストを検出する方法、および窓の表面上のミストを検出するためのデバイスに関する。デバイスは、グレージングに接触しているかまたはその近位にある物体の存在を判定するためにも使用することができる。
【0002】
特定の条件下では、窓の表面の一部またはすべてが小さな水滴で覆われ、ガラスを通して見えにくくなることがよく知られている。この結露の微細な層は、通常、表面の「ミスト」または「ミスティング」、例えば「ガラス表面上のミスト」と呼ばれる。そのようなミスト化表面の一般的な例は、人が口から窓や鏡の上に息を吐き出すときに観察され得る。
【0003】
自動車のグレージングの分野では、車両に設置されたフロントガラスがフロントガラスの内表面上でミスト化されることにより、フロントガラスを通して運転手の視界を遮る場合があることが知られている。フロントガラスの温度が露点を下回ると、車両の客室内の大気中の水分が車両のフロントガラスに結露する場合がある。典型的に、車両には電動ファンが装備されており、一度作動すると、温風を車両のフロントガラスに向けて、フロントガラスの内部表面の水分を除去し、車両のフロントガラスをデミスト化する、すなわち車両のフロントガラスからミストを除去する。
【0004】
電気自動車などの特定の種類の車両では、モーター駆動システム以外の車両のシステムに供給される電力を低減し、それによって車両の駆動可能範囲を拡大することが望ましい。そのため、電動ファンを使用して車両のフロントガラスからミストを除去する時間を短縮することが望ましい。
【0005】
温風を車両のフロントガラスに向けるだけでなく、車両のフロントガラスをデミスト化するための他のシステムが知られており、(i)フロントガラスの表面上に設けられた導電性の透明コーティングと、(ii)フロントガラスの内側および外側のガラスペインに設けられたヒーター線のアレイが含まれる。これらの選択肢(i)および(ii)では、デミスト機能を提供するために電力を使用する必要がある。
【0006】
したがって、車両のフロントガラスがミスト化し始めると、例えば電動ファンなどのデミスト化手段が短時間作動し、それにより車両の電源から引き出される電力が減少するように、車両のフロントガラスを監視することが有利である。
【0007】
US4,737,629は、光散乱の程度から水滴などの堆積による車両のフロントガラスの曇りの発生を識別し、その識別の結果に応じて曇り除去装置の動作を自動的に開始および停止するための制御システムを記載している。
【0008】
US6,084,519は、車両のフロントガラスの内部での結露の形成に応じて空調システムの動作を制御するための装置および方法を記載している。
【0009】
US6,768,099B1は、自動車、特にフロントガラスまたは後部窓などの自動車の窓ガラスに関連付けられる状態を表すパラメータの検出分野に関する。グレージングに関連付けられるこのような状態は、電磁気的手段によって検出できるグレージングの片面上のミストまたは水滴または汚れの存在に関係する。
【0010】
US7,102,501B2では、車両のフロントガラスのミスト化を自動的に防止するためのデバイスおよび方法が記載されており、多数のセンサがフロントガラスをミスト化させる可能性のある周囲条件を判定し、このような周囲条件が発生すると、電子中央制御ユニットが車両の空調システムを自動的に作動させ、フロントガラスをミスト化しないようにさせる。放射平均温度センサが車両の客室内部に配設され、客室内部の温度を測定する。放射平均温度センサは、フロントガラスの少なくとも一部を含む視野を有する。
【0011】
センサをグレージングに組み込み、グレージングに追加機能を提供することも知られている。例えば、センサをグレージングに組み込んで、センサの手動操作により外部デバイスの操作を制御するスイッチとして機能することが知られている。例えば、WO2008/113978A1は、それらの間の少なくとも1つの中間層によって互いに積層された少なくとも2つのグレージングペインと、ペインのうちの少なくとも1つに接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手の存在により手動で操作可能な少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに関連付けられ、これにより、少なくとも1つのセンサが、車両のグレージングの片側のみからのユーザーの手の存在によって手動で操作可能である少なくとも1つのシールドと、少なくとも1つのセンサの手動操作による外部デバイスの制御のために、外部デバイスに接続可能な少なくとも1つのセンサに電気的に接続された少なくとも1つのコネクタと、を備える積層車両グレージングを記載している。
【0012】
センサが複数の機能を有することも望ましい。これにより、センサの構成方法に応じて、同じセンサで複数の操作を実行することができる。さらに、同じセンサ設計を使用して複数の操作を実行し得る場合、製造コストを削減することができる。
【0013】
本発明は、代替のミストセンサとして、または代替の接触/近接センサとして使用され得るデバイスを提供する。
【0014】
したがって、第1の態様から、本発明は、積層グレージングであって、少なくとも1つの接着性中間層材料のプライを備える中間層構造によって第2のグレージング材料のペインに接合された第1のグレージング材料のペインを含み、第1および第2のグレージング材料のペインの各々が、それぞれ第1の主表面および第2の反対側の主表面を有し、積層グレージングが、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面が第2のグレージング材料のペインの第1の主表面に面するように構成され、積層グレージングが、少なくとも1つのデバイスを備え、デバイスは、少なくとも1つの(第1の)電磁放射ビームを放射するための送信器手段と、電磁放射を検出するための検出器手段と、第1の電磁放射ビーム用の反射性表面を有するターゲットと、を備え、ターゲットの反射性表面が、非鏡面反射性表面であり、送信器手段が、第1の電磁放射ビームを放射してターゲットを照射して照射されたターゲットの反射性表面から反射された電磁放射が、その領域を照射するために第1のグレージング材料のペインの第1の主表面に向かう少なくとも1つの経路をたどるように構成され、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面の領域から反射された電磁放射の少なくとも一部分が、検出信号を提供するための検出器手段によって検出可能である、積層グレージングを提供する。
【0015】
少なくとも1つのデバイスは、検出デバイスまたはセンサと呼ばれることもある。検出デバイスを使用して、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面の領域上または付近の摂動を検出することができ、摂動は、ミストおよび/または第1のグレージング材料のペインの第1の主表面の領域の近くまたは接触する物体の存在によって引き起こされる。検出デバイスを使用して、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面またはその近くの摂動を検出することができ、摂動は、第1のグレージング材料のペイン第1の主表面の少なくとも一部分に近いまたは接触する物体の存在によって引き起こされる。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つのデバイスは、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面上のミストを検出するためのデバイスであり、検出信号は、第1のグレージング材料のペインの領域上のミストを検出するためのものである。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つのデバイスは、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面の少なくとも一部分に接触しているかまたはその近位にある物体を検出するためのものであり、検出信号は、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面の領域に接触しているかまたはその近位にある物体を検出するためのものである。好ましくは、物体は、ユーザーの手または指である。
【0018】
ミストを検知または検出し得るための検知ビームを提供する非鏡面反射性表面を備えた照射されたターゲットを使用することにより、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面のより大きな領域を照射することができ、それによって感度が向上する。デバイスは、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面上のミストの存在を検出することができ、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面の少なくとも一部分に接触しているかまたはその近位にある物体の検出にも使用することができる。
【0019】
送信器手段は、例えばλが、880nmであり、Δλが、60nmであり、波長を有する送信器手段からの電磁放射の強度変化がガウス型であり得る、λ+Δλなどの波長範囲の少なくとも1つの電磁放射ビームを放射する。検出器手段は、送信器手段によって放射される電磁放射の波長範囲内の少なくとも1つの波長を有する電磁放射を検出するように動作可能である。送信器手段によって放射される電磁放射の波長範囲内の1つ以上の波長では、ターゲットの反射性表面は、反射性であるが、鏡面反射器ではない。
【0020】
好ましくは、送信器手段は、点光源である。送信器手段が点光源である場合、送信器手段は、各々が特定の送信器手段によって放射される波長範囲の電磁放射の複数のビームを放射する。
【0021】
好ましくは、ターゲットの反射性表面は、再帰反射器を含む。再帰反射器は、最小限の散乱で光源に光を反射する表面である。再帰反射器では、電磁波の波面は、波の発生源と平行であるが方向が反対のベクトルに沿って反射されて戻る。
【0022】
好ましくは、ターゲットの反射性表面は、入射電磁放射ビームの拡散反射を提供する反射性表面を含む。そのような反射面は、鏡面反射器である反射面とは対照的に、多くの角度で入射電磁放射ビームを散乱させることができ、入射ビームは、ただ1つの角度で反射される。
【0023】
ターゲットが入射電磁放射ビームの拡散反射を提供する反射性表面を含む場合、好ましくは、ターゲットは、塗料の層、より好ましくは白い塗料の層を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、送信器手段は、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面上にあり、検出器手段および/またはターゲットは、第1および第2のグレージング材料のペインの間にある。
【0025】
いくつかの実施形態では、送信器手段は、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面上にあり、検出器手段およびターゲットは、第2のグレージング材料のペインの第2の主表面上にある。
【0026】
いくつかの実施形態では、送信器手段、検出器手段、およびターゲットは、第1のグレージング材料のペインと第2のペインの間にある。すなわち、これらの実施形態では、送信器手段、検出器手段、およびターゲットは、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面と第2のグレージング材料のペインの第2の主表面との間にある。
【0027】
送信器手段、検出器手段、およびターゲットが第1および第2のグレージング材料のペインの間にある実施形態は、好ましい特徴を有する。
【0028】
好ましくは、送信器手段から放射された第1の電磁放射ビームは、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面で反射されて、ターゲットを照射する。すなわち、好ましくは、送信器手段は、第1のグレージング材料の第1の主表面で反射してターゲットを照射するために第1の電磁放射ビームを放射するように構成される。
【0029】
好ましくは、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面上に少なくとも1つの導電性経路があり、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つが、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面上の少なくとも1つの導電性経路と電気的に導通する。好ましくは、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面上の少なくとも1つの導電性経路は、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面と直接接触している。
【0030】
好ましくは、電源に接続可能である第1のグレージング材料のペインの第2の主表面上に少なくとも2つの導電性経路があり、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つが、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面上の少なくとも2つの導電性経路の各々と電気的に導通する。好ましくは、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面上の少なくとも2つの導電性経路は、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面と直接接触している。
【0031】
好ましくは、第2のグレージング材料のペインの第2の主表面上に少なくとも1つの導電性経路があり、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つが、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面上の少なくとも1つの導電性経路と電気的に導通する。好ましくは、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面上の少なくとも1つの導電性経路は、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面と直接接触している。
【0032】
好ましくは、電源に接続可能である第2のグレージング材料のペインの第1の主表面上に少なくとも2つの導電性経路があり、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つが、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面上の少なくとも2つの導電性経路の各々と電気的に導通する。好ましくは、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面上の少なくとも2つの導電性経路は、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面と直接接触している。
【0033】
好ましくは、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面上に少なくとも1つの導電性経路があり、送信器手段および検出器手段内のうちの少なくとも一方が、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面上の少なくとも1つの導電性経路と電気的に導通し、送信器手段および検出器手段のうちの他方が、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面上の少なくとも1つの導電性経路と電気的に導通している。
【0034】
好ましくは、ターゲットは、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面、または少なくとも1つの接着性中間層材料のプライ上にある。
【0035】
好ましくは、送信器手段は、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面上の法線に対する入射角で第1の電磁放射ビームを放射するように配設され、入射角は、少なくともsin-1(n2/n1)であり、式中、n1は、波長λiでの第1のグレージング材料のペインの屈折率、n2は、波長λiでの空気または水の屈折率である。好ましくは、λiは、第1の電磁放射ビームの波長範囲内の波長であるが、そうでない場合もある。好ましくは、λiは、540nmまたは780nmまたは880nmである。
【0036】
好ましくは、送信器手段は、40°を超える、好ましくは50°を超える、好ましくは60°を超える第1のグレージング材料のペインの第1の主表面上の法線に対する入射角で第1の電磁放射ビームを放射するように配設される。
【0037】
好ましくは、送信器手段は、40°~80°、より好ましくは55°~65°の第1のグレージング材料のペインの第1の主表面上の法線に対する入射角で第1の電磁放射ビームを放射するように配設される。
【0038】
好ましくは、送信器手段は、第1のグレージング材料のペインの第1主表面から最小距離hだけ離間載置され、送信器手段とターゲットの縁部との間隔が、少なくとも2×h×tan(θ)であり、式中、θは、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面上の法線に対する第1の電磁放射ビームの入射角である。
【0039】
いくつかの実施形態では、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1および第2のグレージング材料のペインの間にあり、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つは、第1の基板上にあり、第1の基板は、第1の主表面および第2の反対側の主表面を有し、さらに、第1の基板の第1の主表面は、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面に面し、第1の基板の第2の主表面は、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面に面する。
【0040】
好ましくは、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つは、第1の基板の第1の主表面上にある。
【0041】
好ましくは、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つは、第1の基板の第2の主表面上にある。
【0042】
好ましくは、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも一方は、第1の基板の第1または第2の主表面上にあり、送信器手段および検出器手段の他方は、第1の基板の反対側の主表面上にある。
【0043】
好ましくは、送信器手段は、第1の基板の第2の主表面上にある。
【0044】
好ましくは、第1の基板が、内部に開口部を有し、開口部が、送信器手段と一致して、第1の電磁放射ビームが開口部を通過することができ。
【0045】
好ましくは、送信器手段は、第1の基板の第1の主表面上にあり、検出器手段は、第1の基板の第2の主表面上にある。
【0046】
好ましくは、ターゲットは、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面、または少なくとも1つの接着性中間層材料のプライ上にある。
【0047】
いくつかの実施形態では、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1および第2のグレージング材料のペインの間にあり、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つは、第1の基板上にあり、第1の基板は、第1の主表面および第2の反対側の主表面を有し、さらに、第1の基板の第1の主表面は、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面に面し、第1の基板の第2の主表面は、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面に面し、好ましくは、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1の基板上にある。
【0048】
好ましくは、送信器手段、検出器手段およびターゲットのうちの少なくとも1つは、第1の基板の第1の主表面上にある。
【0049】
好ましくは、送信器手段、検出器手段およびターゲットのうちの少なくとも1つは、第1の基板の第2の主表面上にある。
【0050】
好ましくは、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1の基板の第1の主表面上にある。
【0051】
好ましくは、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1の基板の第2の主表面上にある。
【0052】
いくつかの実施形態では、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1および第2のグレージング材料のペインの間にあり、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つは、第1の基板上にあり、第1の基板は、第1の主表面および第2の反対側の主表面を有し、さらに、第1の基板の第1の主表面は、第1のグレージング材料のペインの第2の主表面に面し、第1の基板の第2の主表面は、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面に面し好ましくは、第1の基板の第1および/または第2の主表面は、その上に1つ以上の導電性経路を有し、第1の基板の第1または第2の主表面上の導電性経路の少なくとも1つは、送信器手段または検出器手段の1つと電気的に導通する。
【0053】
好ましくは、導電性経路または各々の導電性経路は、導電性インクを含む。好ましくは、導電性インクは、印刷されている。
【0054】
好ましくは、導電性経路または各々の導電性経路は、金属含有層、特に銀または銅含有層を含む。
【0055】
好ましくは、導電性経路または各々の導電性経路は、導電性コーティング層を含む。コーティング層は、それぞれが別個の導電性経路を形成する2つのコーティング層の間に電気絶縁領域を有することにより区分化されてもよい。
【0056】
好適な導電性コーティングは、当技術分野で既知であり、酸化インジウムスズ(ITO)およびフッ素ドープ酸化スズが含まれる。
【0057】
いくつかの実施形態では、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1および第2のグレージング材料のペインの間にあり、送信器手段および検出器手段のうちの少なくとも1つは、第1の基板上にあり、好ましくは、第1の基板は、第1の電磁放射ビームに対して透明である。
【0058】
好ましくは、第1の基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
【0059】
第1のグレージング材料のペインの第2の主表面の1つ以上の上に1つ以上の導電性経路を有する実施形態では、第2のグレージング材料のペインの第1の主表面および基板の第1または第2の主表面、好ましくは導電性経路または各々の導電性経路は、導電性インクを含む。
【0060】
好ましくは、導電性インクは、印刷されている。
【0061】
好ましくは、導電性経路または各々の導電性経路は、金属含有層、特に銀または銅含有層を含む。
【0062】
好ましくは、導電性経路または各々の導電性経路は、導電性コーティング層を含む。コーティング層は、各々が別個の導電性経路を形成する2つのコーティング層の間に電気絶縁領域を有することにより区分化されてもよい。
【0063】
好適な導電性コーティングは、当技術分野で既知であり、酸化インジウムスズ(ITO)およびフッ素ドープ酸化スズが含まれる。
【0064】
本発明の第1の態様の他の実施形態は、他の好ましい特徴を有する。
【0065】
好ましくは、検出器手段は、送信器手段とターゲットの間にある。
【0066】
好ましくは、積層グレージングが、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面に対する法線の方向で見られるとき、検出器手段は、送信器手段とターゲットとの間にある。
【0067】
好ましくは、積層グレージングは、照射されたターゲットからの電磁放射以外の電磁放射から検出器手段に到達する電磁放射の量を減らすための要素をさらに備える。好ましくは、要素は、検出器手段の本体部分である。好ましくは、要素は、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面、第2のグレージング材料のペインの第2の主表面、または第1のグレージング材料のペインと第2のペインとの間に不透明層を含む。
【0068】
好ましくは、ターゲットは、その上への電磁入射を反射するための第1の層と、第2のグレージング材料のペインの第2の主表面の方向から電磁放射が第1の層に到達するのを防ぐための第2の層と、を含む。
【0069】
好ましくは、接着性中間層材料の少なくとも1つのプライは、ポリビニルブチラール(PVB)を含む。
【0070】
好ましくは、接着性中間層材料の少なくとも1つのプライは、音響変性PVBを含む。
【0071】
好ましくは、接着性中間層材料の少なくとも1つのプライは、エチレン酢酸ビニル(EVA)などのエチレンのコポリマーを含む。
【0072】
好ましくは、接着性中間層材料の少なくとも1つのプライは、ポリウレタン、特に熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。
【0073】
好ましくは、送信器手段は、固体光源、特に発光ダイオード(LED)を含む。
【0074】
好ましくは、送信器手段は、380nm~1200nmの1つ以上の波長で動作可能である。
【0075】
好ましくは、検出器手段は、380nm~1200nmの1つ以上の波長で動作可能である。
【0076】
好ましくは、ターゲットは380nm~1200nmの1つ以上の波長で反射性である。
【0077】
好ましくは、積層グレージングは、送信器手段に電力を供給するための第1の対の電気接点手段と、検出器手段からの信号を測定するための第2の対の電気接点と、をさらに含む。
【0078】
好ましくは、第1および/または第2のグレージング材料のペインは、ガラス、特にソーダライムシリカガラスを含む。ガラスは、焼きなまし、熱強化、半強化または化学強化されていてもよい。
【0079】
典型的なソーダライムシリカガラスの組成は(重量で)、SiO2、69~74%、Al2O3、0~3%、Na2O、10~16%、K2O、0~5%、MgO、0~6%、CaO、5~14%、SO3、0~2%、Fe2O3、0.005~2%である。ガラス組成物はまた、他の添加物、例えば、通常2%までの量で存在する精製助剤を含んでもよい。
【0080】
好ましくは、積層グレージングは、少なくとも一方向に湾曲している。好ましくは、少なくとも1つの方向の曲率半径は、500mm~20000mm、より好ましくは1000mm~8000mmである。
【0081】
第2の態様から、本発明は、検出方法であって、(i)送信器手段からの電磁放射ビームを鏡面反射器ではない反射性表面を有するターゲット上に向けてターゲットを照射するステップと、(ii)照射されたターゲットからの電磁放射で窓の表面の領域を照射するステップと、(iii)窓の表面の領域で反射した電磁放射を検出器手段で捕捉して、検出信号を提供するステップと、(iv)検出信号を使用して、窓の表面上のミストの存在および/または物体、好ましくは窓の表面の少なくとも一部分に接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手または指の存在を判定するステップと、を含む、方法を提供する。
【0082】
好ましくは、検出方法は、窓の表面上のミストを検出する方法であり、ステップ(iv)では、検出信号は、第1のグレージング材料のペインの第1の主表面の少なくとも一部分に接触しているかまたはその近位にある物体の存在を判定するために使用されない。
【0083】
窓は、第1の主表面および第2の反対側の主表面を有するグレージング材料の少なくとも1つのペインを有し、好ましくはステップ(ii)の間、少なくとも1つのグレージング材料のペインの第1の主表面の領域は照射されたターゲットの反射性表面から反射された電磁放射で照射され、その結果、ステップ(iv)中に、検出信号を使用して、少なくとも1つのグレージング材料のシートの第1の主表面の領域上のミストの存在および/または物体、好ましくは少なくとも1つのグレージング材料のシートの第1の主表面の少なくとも一部分に接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手または指、好ましくは、少なくとも1つのグレージング材料のペインの第1の主表面の領域の存在を判定する。
【0084】
好ましくは、ターゲットは、再帰反射器を含む。再帰反射器は、最小限の散乱で光源に光を反射する表面である。再帰反射器では、電磁波の波面は、波の発生源と平行であるが方向が反対のベクトルに沿って反射されて戻る。
【0085】
好ましくは、ターゲットは、入射電磁放射ビームの拡散反射を提供する反射性表面を含む。そのような反射面は、鏡面反射器である反射面とは対照的に、多くの角度で入射電磁放射ビームを散乱させることができ、入射ビームは、ただ1つの角度で反射される。
【0086】
ターゲットが入射電磁放射ビームの拡散反射を提供する反射性表面を含む場合、好ましくは、ターゲットは、塗料の層、より好ましくは白い塗料の層を含む。
【0087】
ターゲットが入射電磁放射ビームの拡散反射を提供する反射性表面を含む場合、ステップ(ii)の間に、窓の表面の領域は、ターゲットからの散乱光で照射される。
【0088】
好ましくは、ステップ(i)において、電磁放射ビームが、窓の表面の方向に向けられ、窓の表面で反射してターゲットを照射する。
【0089】
好ましくは、窓は、第2のグレージング材料のペインから離間載置された第1のグレージング材料のペインを備え、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1および第2のグレージング材料のペインとの間にある。
【0090】
好ましくは、電磁放射ビームは、窓の表面の法線に対する入射角で窓の表面の方向に向けられ、入射角は、sin-1(n2/n1)を超え、式中、n1は、波長λiでの第1のグレージング材料のペインの屈折率であり、n2は、波長λiでの空気または水の屈折率である。好ましくは、λiは、電磁放射ビームの波長範囲内の波長であるが、そうでない場合もある。好ましくは、λiは、540nmまたは780nmもしくは880nmである。
【0091】
好ましくは、電磁放射ビームは、窓の表面上の法線に対する入射角で窓の表面の方向に向けられ、入射角は、40°を超え、好ましくは50°を超え、より好ましくは40°~80°、さらにより好ましくは55°~65°である。
【0092】
好ましくは、窓は、積層グレージング、特に、車両に設置された車両フロントガラスであり、積層グレージングは、車両の内部に面する内表面と反対側の外表面を有し、さらに窓の表面は、積層グレージングの内表面である。
【0093】
第3の態様から、本発明は、デバイスであって、表面上のミストを検出するか、または表面の少なくとも一部分に接触しているかまたはその近位にある物体、好ましくはユーザーの手または指の存在を検出するデバイスを提供し、少なくとも1つの(第1の)電磁放射ビームを放射するための送信器手段、電磁放射を検出するための検出器手段、および第1の電磁放射ビームの非鏡面反射のための反射性表面を有するターゲットを備え、送信器手段が、第1の電磁放射ビームを放射してターゲットを照射して照射されたターゲットの反射性表面から反射された電磁放射が、その領域を照射するために表面に向かう少なくとも1つの経路をたどるように構成され、表面の領域で反射される電磁放射の少なくとも一部分が、表面の領域上のミストを検出するための信号および/または表面の少なくとも一部分、好ましくは表面の領域に接触しているかまたはその近位にある物体、好ましくはユーザーの手または指の存在を検出するための信号を提供する検出器手段によって検出可能である、デバイスを提供する。
【0094】
好ましくは、ターゲットの反射性表面は、再帰反射器を含む。再帰反射器は、最小限の散乱で光源に光を反射する表面である。再帰反射器では、電磁波の波面は、波の発生源と平行であるが方向が反対のベクトルに沿って反射されて戻る。
【0095】
好ましくは、ターゲットの反射性表面は、入射電磁放射ビームの拡散反射を提供する反射性表面を含む。そのような反射面は、鏡面反射器である反射面とは対照的に、多くの角度で入射電磁放射ビームを散乱させることができ、入射ビームは、ただ1つの角度で反射される。
【0096】
ターゲットが入射電磁放射ビームの拡散反射を提供する反射性表面を含む場合、好ましくは、ターゲットは、塗料の層、より好ましくは白い塗料の層を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、送信器手段、検出器手段、およびターゲットは、第1の基板上にあり、第1の基板は、第1の主表面および第2の反対側の主表面を有する。
【0098】
好ましくは、送信器手段、検出器手段およびターゲットのうちの少なくとも1つは、第1の基板の第1の主表面上にある。
【0099】
好ましくは、送信器手段、検出器手段およびターゲットのうちの少なくとも1つは、第1の基板の第2の主表面上にある。
【0100】
好ましくは、送信器手段、検出器手段およびターゲットは、第1の基板の第1の主表面上にある。
【0101】
好ましくは、検出器手段は、送信器手段とターゲットの間にある。
【0102】
好ましくは、送信器手段は、基板の第1の遠位端にあり、ターゲットは、基板の第2遠位端にあり、検出器手段は、送信器手段とターゲットの間にある。
【0103】
好ましくは、第1の電磁放射ビームは、第1の基板上の法線に対してある角度で放射され、角度は、40°を超え、好ましくは40°~80°、より好ましくは55°~65°である。
【0104】
好ましくは、第1の基板は、プラスチック材料を含む。
【0105】
好ましくは、第1の基板は、ポリエステルを含む。
【0106】
好ましくは、第1の基板は、PETを含む。
【0107】
好ましくは、第1の基板は、ガラスシート、好ましくはソーダライムシリカガラスシートを含む。ガラスシートは、焼きなましガラスシート、熱強化ガラスシートまたは化学強化ガラスシートであってもよい。ガラスシートは、0.5mm~20mmの厚さを有し得る。
【0108】
第1の基板がガラスシートを含む実施形態では、デバイスは、窓のペインとして使用されてもよい。窓内のペインは、単一のペインでもよく、または窓内のペインは、別のグレージング材料のペインから離間載置されていてもよい。
【0109】
デバイスが窓のペインとして使用される場合、表面は、窓の表面であることが好ましい。
【0110】
本発明の第3の態様の他の実施形態は、他の好ましい特徴を有する。
【0111】
好ましくは、ターゲットは、当該ターゲットに入射する電磁放射を拡散反射するための層を含む。
【0112】
好ましくは、送信器手段は、発光ダイオードを含む。
【0113】
好ましくは、送信器手段は、380nm~1200nmの波長で動作可能である。
【0114】
好ましくは、検出器手段は、フォトダイオードを含む。
【0115】
好ましくは、検出器手段は、380nm~1200nmの波長の電磁放射を検出するように動作可能である。
【0116】
好ましくは、デバイスは、1mm未満の厚さ、好ましくは0.3mm~0.8mmの厚さを有する。
【0117】
第4の態様から、本発明は、本発明の第3の態様によるデバイスを備える窓を提供し、表面は、窓の表面である。
【0118】
第5の態様から、本発明は、本発明の第3の態様によるデバイスを備えた窓を提供し、送信器手段、検出器手段およびターゲットが、第1の基板上にあり、第1の基板が、第1の主表面および第2の反対側の主表面を有し、さらに第1の基板は、接着性中間層材料、特にポリビニルブチラール(PVB)の少なくとも1つのプライを含む中間層構造によって第1のグレージング材料のペインに接合される。
【0119】
ここで、以下の図面(縮尺通りではない)を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【
図1】窓の表面のミストを検出するデバイス(ミストセンサ)の概略等角図を示す。
【
図2】
図1に示すミストセンサの模式的平面図を示す。
【
図3】
図2に示したミストセンサの線A-A´に沿った概略断面図を示す。
【
図4】
図1~3に示した種類に類似した別のミストセンサの概略断面図を示す。
【
図5】
図1~3に示した種類に類似した別のミストセンサの概略断面図を示す。
【
図6】
図1~3に示した種類に類似した別のミストセンサの概略断面図を示す。
【
図7】
図1に示したミストセンサを含む積層グレージングの概略断面図を示す。
【
図8】
図7に示す積層グレージングの略等尺分解図を示す。
【
図9】積層グレージング表面のミストを検出する際の
図7に示すような積層グレージングに組み込まれた
図1に示す種類のミストセンサからの出力信号の時間変化を示す。
【
図10】積層グレージング表面との物理的接触を検出する際の
図7に示すような積層グレージングに組み込まれた
図1に示す種類のミストセンサからの出力信号の時間変化を示す。
【
図11】3プライの接着性中間層材料を有する別の積層グレージングの概略分解斜視図を示す。
【
図12】
図11の積層グレージングの線B-B´を通る概略断面図を示す。
【
図13】異なるミストセンサを組み込んだ別の積層グレージングの概略断面図を示す。
【
図14】異なるミストセンサを組み込んだ別の積層グレージングの概略断面図を示す。
【
図15】異なるミストセンサを組み込んだ別の積層グレージングの概略断面図を示す。
【
図16】異なるミストセンサを組み込んだ別の積層グレージングの概略断面図を示す。
【
図17】異なるミストセンサを組み込んだ別の積層グレージングの概略断面図を示す。
【
図18】複数のミストセンサを組み込んだ積層フロントガラスを有する車両内部の概略等角図を示す。
【
図19】表面のミストを検出する別のデバイスを示す。
【
図20】
図19に示すデバイスを含む二重グレージングユニットの一部の概略断面図を示す。
【0121】
図1は、窓、具体的には以下に記載される積層グレージングに組み込まれ得るミストセンサ1を示す。
図2は、
図1に示されたミストセンサ1の平面図であり、すなわち、基板3の第1の主表面5に垂直な矢印2の方向で見たときのものである。
【0122】
図1および
図2を参照すると、ミストセンサ1は、第1の主表面5および反対側の第2の主表面7を有する基板3を含む。この例では、基板3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、光学的に透明である。基板3の厚さは、約0.2mmであり、基板は、比較的柔軟である。
【0123】
基板3の第1の主表面5上には、光のビームとフォトダイオード11を生成するための発光ダイオード(LED)9が固定されている。LED9は、必要な方向に光のビームを向けるための好適なレンズアセンブリ10を有する。LED9は、レンズアセンブリを有していなくてもよい。フォトダイオード11は、本体部分13と光検知部分15とを有する。示された構成では、光に敏感ではなく、光に対して光学的に不透明な本体部分13は、LED9に直接面しており、LED9からの光がフォトダイオード11の光検知部分15に直接到達するのを減らすのに役立つ。
【0124】
LED9は、780nm~900nmなどの赤外波長で動作可能であり、好適なフォトダイオードが、LEDによって放射される波長を検出することができる。
【0125】
1対の第1および第2の電気接点19、21は、基板3の第1の主表面5上に配置されている。第1の電気接点19は、導電性トラック23を介してLED9と電気的に導通し、第2の電気接点21は、導電性トラック27を介してLED9と電気的に導通する。第1および第2の電気接点19、21を使用して、LED9に電力を供給し、ミストセンサ1が動作可能になるように光を生成することができる。
【0126】
第1の電気接点19は、導電性トラック25を介してフォトダイオード11とも電気的に導通している。導電性トラック25は、導電性ノード23´を介して導電性トラック23と電気的に導通している。
【0127】
第2の電気接点21はまた、導電性トラック29を介してフォトダイオード11と電気的に導通している。導電性トラック25は、導電性ノード27´を介して導電性トラック27と電気的に導通している。
【0128】
電気接点19、21の単一の対がLED9とフォトダイオード11の両方に必要な電力を提供するために使用され得るように、追加の回路が電気接点または各々の電気接点19、21およびフォトダイオード11と各々が機能し得るように電気的に導通で提供されてもよい。代替的に、LED9およびフォトダイオード11は、各々が1対の電気接点を有して、独立して電力を供給されてもよい。
【0129】
フォトダイオード11は、2つの出力端子31´および33´を有する。導電性トラック31は、一端が第1の出力端子31´と電気的に導通し、他端が第3の電気接点35と電気的に導通している。導電性トラック33は、一端が第2の出力端子33´と電気的に導通し、他端が第4の電気接点37と電気的に導通している。第3および第4の電気接点も、第1および第2の電気接点19、21と同じ様式で第1の主表面5上に配置される。
【0130】
フォトダイオード11の光検知部分15が光を検出すると、信号が、第1および第2の出力端子31´、33´に送られ、その結果、電気信号が、第3および第4の電気接点35、37間で測定可能である。
【0131】
ターゲット17は、LED9、フォトダイオード11およびターゲット17が直線A-A´に沿ってあり、フォトダイオード11が、LED9とターゲット17との間にあるように、基板3の第1の主表面5上にある。
図2に示す平面図では、線A-A´は、基板3の対称軸の長手方向軸に沿っている(基板3は、基板3の第1の主表面5に対する法線である矢印2の方向で見たとき、平面図で長方形の輪郭を有する)。
【0132】
ターゲット17は長方形であるが、他の形状、例えば正方形、円形、楕円形、環の断面などを使用してもよい。ターゲット17は、ターゲットに入射する光、例えば、矢印18の方向でターゲット17に入射する光を拡散反射することができる、光学的に不透明な白い塗装面を有し、矢印18は、基板3の第1の主表面5の法線に対する角度である。
【0133】
2つのグレージング材料のペインの間にミストセンサ1を組み込む場合、例えば、積層グレージングの場合、ミストセンサ1の部分39は、グレージング材料のペインの周囲を越えて延び、第1および第2の電気接点19、21に電力を供給して、LED9およびフォトダイオード11に給電をすることを可能にし、第3および第4の電気接点35、37の間の信号を測定することにより、フォトダイオードの出力を測定できるようにし、ここで信号は、検出信号である。
【0134】
トラック23、25、27、29、31、33およびノード23´、27´の各々は、基板3の第1の主表面5に印刷された導電性インクであってもよい。代替的に、トラックは、従来の回路基板に見られる種類の銅トラックであってもよい。
【0135】
以下に説明するように、ミストセンサ1は、接触/近接センサとして使用することができる。
【0136】
図1に示される実施形態の代替実施形態では、導電性トラック23、25、27、29、31、33のうちの少なくとも1つは、基板3の第2の主表面7上にあってもよい。例えば、導電性トラック23、25、27、29、31、33および第1、第2、第3および第4の電気接点は、第2の主表面7上にあってもよく、LED9およびフォトダイオード11は、第1の主表面5上にあってもよい。そのような実施形態では、導電性経路は、基板の第2と第1の主表面との間に延在する。
【0137】
図3は、
図2の線A-A´を通るミストセンサ1の断面図を示している。
【0138】
この例では、ターゲット17は、2つの層17aおよび17bで構成されていることが分かる。層17bは、基板3の第1の主表面5と直接接触する黒色塗料である。層17bの上部に、それと一致するのは白色塗料の層17aである。白いペイント層17aは、散乱表面を有し、その上に入射する光を拡散反射することができ、すなわち、白いペイント層17aは、光の拡散反射体である。
【0139】
不透明な性質の本体部分13が光検知部分15とLED9との間にあるため、LED9からの光は、LED9からフォトダイオードの光検知部分15への直接経路を有さない。この例では、本体部分13は、フォトダイオード13と一体化しているが、フォトダイオード11の光検知部分15とLED9の間に別の要素を使用して、光がLED9から光検知部分15への直接的経路を有することをブロックすることができる。そのような追加の要素は、本体部分13の代わりに、または本体部分13と同様であってもよい。
【0140】
本体部分13はまた、ターゲット17、特に層17aへの直接経路を有するLED9からの光を防ぐ。本体部分13は、ターゲット17がLED9からの直接光から影にあることを効果的に保証する。
【0141】
図4に示す代替実施形態のミストセンサ1´では、ターゲット17がLED9とフォトダイオード11との間にあるように、フォトダイオード11が再位置付けされる。
図4では、光検知部分15がLED9に面するようにフォトダイオード11が180°回転している。LED9からの迷光がフォトダイオード11の光検知部分15に到達する可能性を減らすために、LED9とターゲット7の間(また見られるように、LED9とフォトダイオード11の間)の基板3の第1の主表面5上にブロック要素41が配置されている。フォトダイオード11は、
図3に示したのと同じように、すなわち本体部分13がLED9に面するように構成することができるが、これにより、フォトダイオードの感度が低下する可能性がある。遮光部分は、LED9および/または他の外部光源(ターゲットから反射された光を含まない)から放射される光に対して不透明な、基板の第1または第2の主表面上の印刷インク.であり得る。
【0142】
ミストセンサ1´は、接触/近接センサとして使用することができる。
【0143】
図5に示す別の代替実施形態のミストセンサ1´´では、フォトダイオード11およびターゲット17は、光学的に透明なPET基板3の第1の主表面5上にある。しかしながら、前述のミストセンサ1および1´とは対照的に、LED9´は、PET基板3の第2の主表面7上にある。LED9´は、好適なレンズ10´を含み、第2の主表面7の方向から第1の主表面5の方向に、すなわち基板3を通して光のビームを放射するように構成される。
【0144】
ミストセンサ1´´は、接触/近接センサとして使用することができる。
【0145】
別の代替実施形態では、
図6に示されるように、ミストセンサ1´´´は、フォトダイオード11およびターゲット17が光学的に不透明な基板3´の第1の主表面5´にあり、LED9´が光学的に不透明な基板3´の第2の主表面7´上にある。LED9´は、好適なレンズ10´を含み、第2の主表面7´の光を第1の主表面5´に光のビームを放射するように構成される。
【0146】
基板3´は光学的に不透明であるため、例えば基板3´は、ポリイミドであるため、LED9´からの光が表面5´から出るために、基板に開口部12(すなわちオリフィスまたは穴)があり、その結果LED9´からの光は、開口部12を介して基板3´を通過することができる。
【0147】
この実施形態では、基板3´が光学的に不透明であるため、ターゲット17は、上述のように白色塗料の単一層17aのみを有する。
【0148】
ターゲットには、所望すれば、層17aと基板3´の間に第2の層を設けることができる。
【0149】
ミストセンサ1´´´は、接触/近接センサとして使用することができる。
【0150】
ミストセンサ1の動作の基本原理を、
図7および
図8を参照して説明する。
【0151】
図7は、
図1のミストセンサ1を組み込んだ積層グレージング50の概略断面図を示している。
図8は、積層グレージング50の概略等角分解図である。
【0152】
図7および8を参照すると、積層グレージング50は、第1および第2の接着性中間層プライ54、56によって第2のガラスペイン52に接合された第1のガラスペイン51を含む。接着性中間層プライに好適な材料には、PVBおよびEVAが含まれる。接着性中間層プライ54、56は、各々同じ材料でも異なる材料でもよい。好適には、ガラスは、ソーダライムシリカガラスである。
【0153】
第1および第2の接着性中間層プライ54、56の間には、
図1を参照して説明したミストセンサ1がある。ミストセンサの部分39は、接着性中間層プライ54、56から外側に延びており、ミストセンサに第1および第2の電気接点19、21を介して給電し、フォトダイオードからの信号を測定することができる(すなわち、検出信号を測定するために、第3および第4の電気接点35、37へ好適な測定装置を接続することにより)。
【0154】
この例では、ガラスペイン51、52は両方とも平坦であるが、代替実施形態では、ガラスペイン51、52は、車両のフロントガラスのように湾曲していてもよい。
【0155】
特に
図8を参照すると、第1のガラスペイン51は、第1の主表面51aと反対側の第2の主表面51bとを有する。第2のガラスペイン52は、第1の主表面52aと反対側の第2の主表面52bとを有する。
【0156】
接着性中間層プライ54、56の各々は、
図8に示されるガラスペインと接着性中間層プライが合同に積み重ねられるように、互いにおよびガラスペイン51、52と同一の広がりを有する。
【0157】
ガラスペイン51、52は各々、2.1mm厚であり、接着性中間層プライ54、56は各々、0.38mm厚である。ガラスペイン51、52および/または中間層プライ54、56は、異なる厚さを有してもよい。ガラスペイン51、52の各々は、厚さが0.7mm~4mmであってもよい。接着性中間層プライ54、56の各々は、0.3mm~1.2mmの厚さ、例えば0.76mmの厚さであり得る。
【0158】
図7に示されるように、ガラスペイン51の第1の主表面51aの領域53は、その上にミスト68の層を有する。
【0159】
ミストセンサ1は、以下のように動作して、第1の主表面51aの領域53上のミスト68の存在を検出する。
図1も参照する。
【0160】
電気信号が第1および第2の電気接点19、21に印加されて、LED9に電力を供給する。電力が供給されると、LED9は、光のビーム60を第1ガラスペイン51の第1の主表面51aに向かって放射する。レンズ10は、好適な入射角を提供するのに役立つが、LED9は、多くの方向に放射される光のビームを有する点光源として機能し得る。LED9は、光の発散ビームを放射する場合がある。
【0161】
この例では、第1の接着性中間層プライ54は、PVBであり、ガラスペイン51、52は、ソーダライムシリカ組成を有する。したがって、第1の接着性中間層54および第1のガラスペイン51の屈折率は類似しているので、光ビーム60がLED9から第1の主表面51aを通過するとき、屈折はあるとしてもわずかである。屈折量が無視できない場合は、光ビームの経路の好適な補正を行うことができる。PVBはまた、レンズアセンブリ10の有効性に影響を与える可能性があり、その結果、LED9はより点光源のように作用し得る。
【0162】
光ビーム60は、第1のガラスペイン51の第1の主表面51a上の法線66に対して入射角61にある。
【0163】
光ビーム60の入射角61は、ガラス表面51aからの光ビーム60の内部全反射が存在するように選択される。
【0164】
使用中、積層グレージング50が空気環境に位置付けされることを考えると、第1のガラスペイン51の第1の主表面51aの方向に向けられた光のビーム60は、以下によって与えられる入射角に対して全反射する:
【数1】
式中、n
2は、空気の屈折率であり、n
1は、ガラスペイン51を構成するガラスの屈折率である。540nmでは、n
2=1およびn
1=1.52を使用して、θ
cが約41.1°より大きい場合、ガラス/空気の境界からの内部全反射が存在する。
【0165】
しかしながら、ミストが第1のガラスペイン51の第1の主表面51a上にあるとき、n2の値は、水の値(=1.3)であり、空気(=1)ではない。540nmでは、n2=1.3およびn1=1.52を使用して、θcが約58.8°より大きい場合、ガラス/水の境界からの内部全反射が存在する。
【0166】
第1のガラス板51の第1の主表面51a上にミストの存在下で動作可能になるため、光ビーム60の入射角61は、約60°(すなわち、ガラス/水境界の値θcよりも大きい)に設定され、ガラス51の第1のペインの第1の主表面51a上に水が存在する場合でも光60のビームの内部全反射を確保する。
【0167】
入射角61が約60°に設定されているとすると、光のビーム60は、第1の主表面51aでガラス/空気またはガラス/水境界に衝突すると全反射する。光のビーム60は、光のビーム60´としてターゲット17に向かって反射される。
【0168】
ターゲット17の白色層17aに衝突すると、層17aが拡散反射体であり、ターゲット17が光60(ビーム60´として反射される)のビームによって照射されるため、光のビームは、第1のガラスペインの第1の主表面51aの方向に全方向に散乱される。黒色塗料の層17bにより、第2のガラスペイン52の第1の主表面52aに向かって散乱する光はない。
【0169】
ターゲット17の白色層17aから反射される光の一部は、第1のガラスペイン51の第1の主表面51aに向けられ、そこへの経路をたどる。
【0170】
照射されたターゲットからの反射光のビーム62、64は、領域53の第1の主表面51aに当たり、ターゲット17のサイズを変えることによりサイズを変えることができる「検知領域」を画定する。LED9からの光の放射方法により、例えばLED9が点光源として機能する場合、LED9から放射された光線は、第1の主表面51a上の法線に対して異なる入射角を有するため、ターゲットの一部(ターゲット全体でもよい)を照射することができる。これを説明するために、反射光のビーム62、64は、ターゲットの周辺から発するものとして示されている。
【0171】
反射ビーム62´として、第1の主表面51aからの照射されたターゲットからの光のビーム62のいくらかの反射がある。同様に、反射ビーム64´として、第1の主表面51aからの照射されたターゲットからの光のビーム64のいくらかの反射がある。
図7には示されていないが、ターゲット17から反射された光の一部は、第1のガラスペイン51の第1の主表面51aを透過する。この光は、フォトダイオード11による検出のために、第1の主表面51aに接触しているかまたはその近位にある人間の指などの物体からの反射を利用することにより、ミストセンサ1を接触センサまたは近接センサとして使用するのに役立ち得る。これについては、
図9および10について説明するときに、以下で詳しく説明する。
【0172】
フォトダイオード11は、光検知部分15が反射ビーム62´、64´を検出できるように、LED9とターゲット17との間に位置付けされる。光学的に不透明な本体部分13は、LED9からの任意の直接光から光検知部分15を遮蔽する。
【0173】
第1の主表面51aがターゲット17からの反射光によって照射される場合、フォトダイオード11は、当該表面上および/またはその近位で生じる変化を検出して、第3および第4の接点35、37で測定可能なフォトダイオード11の出力端子31´、33´で出力信号を提供することができる。これを
図9および10に示す。
【0174】
図7に示されているのは、LED9と第1のガラスペイン51の第1の主表面51aとの間の距離57である。LED9(および/またはレンズ10)の厚さが、第1の接着性中間層プライ54と第1のガラスペイン51の結合厚と比較して無視できると仮定すると、距離57は、本質的に第1の接着性中間層プライ54と第1のガラスペイン51との結合厚さである。この例では、距離57は、2.48mm(=2.1mm+0.38mm)である。必要に応じて、LED9および/またはレンズ10の厚さを考慮することが可能である。
【0175】
距離57は、LED9と第1のガラスペイン51の第1の主表面51aとの間の最小距離を表す。言い換えれば、距離57は、LED9から第1のガラスペイン51の第1の主表面51aまでの最短光学経路を表す。
【0176】
フォトダイオード11に最も近い層17aの端部の間隔は、距離58だけLED9から離間している。所望すれば、臨界角未満のガラスペイン51の第1の主表面51a上の法線に対する入射角のために、入射ビームは、全反射されず、代わりに第1のガラスペイン51の第1の表主面51aを通過するので式(1)および距離57を使用して、ターゲットの反射層(層17a)の縁部の最小距離58を決定することができる。ガラス/水の境界の場合、入射ビームは、540nmの波長を有する入射ビームに対して約58.8°の入射角で全反射を受ける。
【0177】
したがって、
図7に示す積層グレージングでは、内部全反射を受けたビームが基板3に当たるLED9からの最短距離は次の通りである。
2×距離57×tan(θc)(2)
【0178】
距離57=2.48mm、θc=58.8°の場合、距離58は、約8.2mmである。層17aの縁部がLED9に近い場合、540nmの波長の光は全内部反射を受けないため、LED9に近い層17aに当たることができない。
【0179】
LED9も、第1のガラスペイン51の第1の主表面51aの法線に対して70°の入射角で光ビームを放射する場合、式(2)を使用すると、距離58は、約13.6mmになる(距離57は、約2.48mmである)。したがって、LED9が、58.8°~70°の第1のガラスペイン51の第1の主表面51a上の法線に対する入射角を有する光ビームを放射した場合、ターゲットは、少なくとも(13.6mm-8.2mm)=5.4mmの幅を有し得る。
【0180】
LED9とターゲット17との間のフォトダイオード11の位置は、反射ビーム62´、64´の改善された検出および不透明な本体部分13によるLED9からの光からのターゲット11の改善されたシャドーイングを提供するために変更され得る。
【0181】
容易に明らかとなるように、LED9が点光源として作用し、本質的にLED9から離れるあらゆる角度で光が放射されると、LEDに最も近い層17aの縁部は、円の一部の形をとる。
【0182】
この分析は、ターゲットの反射層の寸法を決定する際に役立ち、特定の用途で必要になる可能性のある不必要に大きなターゲットの使用を避けることができる。
【0183】
積層グレージング50で考慮し得るもう1つの要因は、上記のように内部全反射される光に加えて、LED9が多くの異なる角度で光を放射するとき、例えばLED9が本質的に点光源として機能するとき、LED9からの光の一部が、フォトダイオード11の光検知部分15への経路がないように、ガラス51の第1ペインを透過して、第1の主表面51aから出ることができることである。しかしながら、物体が第1のガラスペイン51の第1の主表面51aを透過した光の経路に続いて位置付けされた場合、それは、そこから反射され、フォトダイオード11の光検知部分15によって検出される可能性がある。したがって、これは、おそらく、各々の場合の反射量が異なるため、ミストセンサ1を使用して、ミスト68の存在による信号と、ガラス51の第1のペインの第1の主表面51a上またはその近くの物体の存在による信号とを識別することができるという利点を提供する。このように使用すると、ガラス表面51aに接触しているかまたはその近位にある物体の存在を検知するために使用される光は、ターゲット7で反射されず、代わりにプライ54およびペイン51を通過することが容易に明らかになるであろう。
【0184】
図9は、
図7および8に従って作製された積層グレージングに組み込まれた、
図1に示す種類のミストセンサからの出力信号(検出信号)の時間変化を示している。オシロスコープを使用して、LED9およびフォトダイオード11が動作するように電力が好適に供給されたときに、第3と第4の電気接点35、37間の電気信号を測定した。
【0185】
人がターゲットからの反射光で照射された積層グレージング50の第1の主表面51aに息を吹き込むと、当該表面にミストが形成され、LED9からの光に変化が生じてフォトダイオード11に到達した。
【0186】
LED9への入力電力は変調され、照射されたターゲット7から第1の主表面51aで反射された光の量の変化に対するフォトダイオード11の応答を測定するために同期検出回路が使用された。同期検出は、フォトダイオード11にも到達する可能性のある迷光レベルを除去するのに役立ち、強い背景光の存在下で反射を測定するために使用される従来の手法である。
【0187】
図9が示すように、時間間隔M-M´の間に第1の主表面51a上にミストがなく、検出信号は、オシロスコープトレース上で本質的に一定である(すなわち、バックグランドレベル)。しかしながら、第1の主表面51a(点線で示される点P)上で呼吸すると、検出された信号は、ベースラインレベルからより正になり、ミストが第1の主表面51aから取り除かれたとき、時間間隔N-N´でゆっくり減衰してバックグラウンドレベルに戻る。
【0188】
図10は、
図9に示す出力信号を生成するために使用されたのと同じグレージング内のミストセンサの出力信号(すなわち、検出信号)の時間変化を示している。
【0189】
図10の出力信号は、ターゲット17からの反射光で照射された領域の積層グレージング51の第1の主表面51aが人間の手で触れられ、かつ布でこすられたときに生成された。積層グレージング50が車両のフロントガラスであり、第1の主表面51aが内向き面(すなわち、フロントガラスが設置された車両の客室に面している)である場合、第1の主表面51aは、人間の手によって触れられるかまたは布などで清浄にされ得る。そのため、この実験は、そのような動作でミストセンサからの信号の種類を決定するために使用された。
【0190】
図10に示す出力信号は、これらの動作の両方がフォトダイオード11によって測定される信号に影響を与えることを示しているが、第1の主表面51a上でミスト化する方法が異なる。
【0191】
第1に(
図9の場合も同様であった)、検出された信号は、時間間隔Q-Q´のベースラインにある。上記の2つの動作を(点Rで)開始すると、信号は、時間間隔S-S´のバックグラウンドレベルから負(および
図9に示すように正ではない)に変化する。第2に、変化は、
図9に見られるベースラインレベルに戻るゆっくりした減衰と比較して、はるかに迅速に発生する。これらの変化(時間間隔S-S´で示す)のいずれかまたは両方を使用して、この種類の信号(グレージング表面との物理的接触によって生成される)と表面上のミストの存在によって生成される信号を区別することができる。時間間隔T-T´では、グレージングは、「静止状態」(ミストなし、それらとの物理的接触なし)であり、ミストセンサからのベースライン信号は、時間間隔Q-Q´と同じレベルに戻ったことに注意する必要がある。
【0192】
したがって、この実験は、ミストセンサ1が、例えば、人間の手(例えば、指)または布がターゲット17からの反射光で照射された領域の積層グレージング51に接触するときに、物体の存在を検出できることを示している。そのため、ミストセンサは、ターゲット17から反射された光によって照射される領域内のガラス51の第1のペインに接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手などの物体の存在を検出するためのセンサとして使用され得る。好適な回路および/またはソフトウェアアルゴリズムを使用して、ミストセンサ、接触/近接センサのいずれか、またはその両方としてのデバイスの使用を適合させることができる。このデバイスは、ミストセンサおよび接触/近接センサとして選択的に使用することができる。
【0193】
上述のように、ガラス/空気またはガラス/水界面からの全内部反射を受ける代わりに、ガラス/空気またはガラス/水界面を透過するLED9からの光については、そのような透過光は、そのような物体とグレージング表面上のミストの存在とを区別するのを助けるために、フォトダイオードによる検出のために界面近くに位置付けされた物体から反射され得る。
【0194】
図11は、別の積層グレージング70の概略分解斜視図を示している。
図12は、線B-B´を通る
図11の積層グレージング70の概略断面図を示している。
【0195】
この例では、積層グレージング70は、中間層構造73上によって第2のガラスペイン72に接合された第1のガラスペイン71を含む。中間層構造73は、3層の接着性中間層材料(すなわち、PVB、EVAまたはそれらの組み合わせ)74、75および76を含む。接着性中間層材料の第1のプライは、第1のガラスペイン71と同一の広がりを持つ。接着性中間層材料の第2のプライは、第2のガラスペイン72と同一の広がりを持つ。接着性中間層材料75の第3のプライは、接着性中間層材料74、76の第1および第2シートとの間に位置し、その内部にミストセンサ1を収容するための切り抜き領域を有する。切り抜き領域は、接着性中間層材料の第3シートの一方の縁に沿っており、その他の3つの縁は、接着性中間層材料の第1および第2プライのそれぞれの縁部と整列している。
【0196】
図11は、従来の積層プロセスを使用して、例えば好適な高温高圧を使用して共に積層できる積層されていない構成要素のスタックを表している。
【0197】
図12に示されている最終的な積層グレージングでは、ミストセンサ1は、接着性中間層材料74、76の第1および第2のプライの間にあり、接着性中間層材料75の第3のプライの切り抜き領域に位置する。接着性中間層材料の余分な第3のプライ(積層グレージング50の2プライ接着性中間層構造と比較して)により、ミストセンサ1の厚さを接着性中間層材料の第1のプライと第2のプライの間に容易に収容できるため、このような構造により積層が簡単になる。
【0198】
最終的な積層グレージング70では、接着性中間層材料74の第1のプライが第1のガラスペイン71に隣接して接触し、接着性中間層材料76の第2のプライが第2のガラスペイン72に隣接して接触している。接着性中間層材料75の第3のプライは、接着性中間層材料74、76の第1および第2のプライ層の両方と接触している。
【0199】
積層グレージング70に含まれるミストセンサ1は、
図7に示される積層グレージング50のミストセンサ1について説明したのと同じように機能する。
【0200】
図13は、本発明による別の積層グレージング80を示す。積層グレージング80は、第1および第2ガラスペイン81、82の間にあるミストセンサが、LED89およびフォトダイオード91が第1および第2のプライPVB83、84の間の基板93上にある部分を有することを除いて、積層グレージング50と同様である。しかし、この例のターゲット97は、ターゲット97もPVBの第1および第2のプライの間にあるが、基板93上にはないようにPVB84の第2のプライの表面上に設けられる。
【0201】
積層グレージング80の2部ミストセンサは、
図7を参照して説明したのと同じ様式で機能する。LED89は、そこから放射される光ビームをガラスペイン81の主表面81aに向けるためのレンズ部分90を有する。主表面81a上の法線86に対する放射ビーム99の入射角は、ガラス/水界面の臨界角より大きく、そのため、ミストのない主表面81aの領域68´があるが、ビーム99は、そこからの非鏡面反射について前述したように、ターゲット97上に反射する。繰り返すと、ターゲット97には2つの層があり、すなわち主表面81aで反射された光ビーム99からの直接照射のための白い上部層97a、およびターゲットがガラスペイン82の主表面82bを通過する光から照射されるのを防ぐための、下側の黒色の光学的に不透明な層97bである。
【0202】
積層の前に、ターゲット97は、第1のPVBプライ83または第2のPVBプライ84に好適に位置付けされてもよい。
図13に示すような2層ターゲットの場合、2つの層が最終的な積層グレージング内に好適に整列されるように、積層の前に、ターゲットの一方の層を、第1のPVBプライ83上に、ターゲットの他方の層を第2のPVBプライ84上に置くことができる。
【0203】
積層グレージング80の2部ミストセンサの基本的な動作が、積層グレージング50のミストセンサ1の基本動作と本質的に同じであると仮定すると、2部ミストセンサは、ターゲット97からの反射された光で照射される領域で、ガラス81の第1のペインに接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手などの物体の存在を検出するための接触/近接センサとしても使用することができる。
【0204】
図14は、本発明による別の積層グレージング100を示す。この積層グレージングは、ターゲットが2つのPVBプライの間にあるように、ターゲットがPVBプライ(または他の接着性中間層材料)の表面の1つ上にある代わりにターゲットがガラスの第2のペインの第1の主表面上にあることを除いて、積層グレージング80と同様である。
【0205】
積層グレージング100は、PVBなどの2プライの接着性中間層材料103、104によって互いに接合された第1および第2のガラスペイン101、102を有する。第1のガラスペイン101は、第1の主表面101aと、反対側の第2の主表面101bとを有する。ミストの層68は、第1のガラスペイン101の第1の主表面101aの領域上にある。第2のガラスペイン102は、第1の主表面102aおよび第2の反対側の主表面102bを有する。積層グレージング100は、第1のガラスペイン101の第2の主表面101bが第2のガラスペイン102の第1の主表面102aに面するように配設される。
【0206】
図13を参照して説明したのと同じ基板93、LED89、レンズ90およびフォトダイオード91が、接着性中間層材料103、104の第1および第2のプライの間に積層される。
【0207】
この例では、ターゲット107は、第2のガラスペイン102の第1の主表面102a上に配置されている。ターゲット107は、その上に入射光を散乱させる白色塗料の第1の層107aを有し、それにより、光を拡散反射する表面を提供する。第2のガラスペイン102と第1の層107aとの間に、ターゲットは、黒色の光学的に不透明な塗料107bの第2の層を有する。この例では、第2の層107bは、一方の側が第1の層107aと直接接触し、反対側が第2のガラスペインの第1の主表面102aと直接接触している。
【0208】
この2部構成のミストセンサは、
図7を参照して説明した方法と本質的に同じ様式で動作する。
【0209】
積層グレージング100の2部ミストセンサの基本的な動作が、積層グレージング50のミストセンサ1の基本動作と本質的に同じであると仮定すると、2部ミストセンサは、ターゲット107からの反射された光で照射される領域で、ガラス101の第1のペインに接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手などの物体の存在を検出するための接触/近接センサとしても使用することができる。
【0210】
図14に示される実施形態の代替において、ターゲットは、第2のガラスペイン102の第1の主表面102a上ではなく、第1のガラスペイン101の第2の主表面101b上に配置され得る。
【0211】
図15は、本発明による別の積層グレージング110を示す。
【0212】
積層グレージングガラス110は、第1の接着性中間層プライ113および第2の接着中間層プライ114によって第2のガラスペイン112に接合された第1のガラスペイン111を有する。この例では、各接着性中間層プライ113、114は、PVBである。第1のガラスペインは、第1の主表面111aを有する。
【0213】
各ガラスペイン111、112は、本質的に平坦または平面であるが、各々湾曲していてもよい。
【0214】
第1および第2の接着性プライ113、114との間には、第1の主表面115aを有する第1の基板115があり、その上にLED119と電気的に導通する導電性経路がある。LED119は、適切な入射角でLED119から放射された光を第1の主表面111a上の法線116に向けるためのレンズアセンブリ118を有する。
【0215】
また、第1および第2の接着性層113、114との間には、第1の基板115から物理的に分離された第2の基板120がある。第2の基板120は、第1の主表面120aを有する。第1の主基板120a上には、光検知部分122と不透明な本体部分123とを有するフォトダイオード121がある。導電性経路は、フォトダイオード121に電気入力/出力を提供するために、第1の主表面120a上にある。
【0216】
また、第1の主表面120aにはターゲット124がある。ターゲット124は、光を散乱させ、拡散反射性表面を提供する白色塗料の層である。
【0217】
図15には示されていないが、第2の基板120は、接着性中間層プライ113、114の縁を越えて延びる部分を有し、フォトダイオード121に作製される電気接続を可能にする。
【0218】
第2のガラスペイン112の露出した主表面112b上には、光学的に不透明なインク125の層がある。光学的に不透明なインクの層125は、自動車のグレージングで使用される種類の隠蔽バンドの一部であってもよい。光学的に不透明なインクの層125は、ターゲットが
図3のターゲット17に示すように2層構成を有してもよいが、ターゲットが光散乱層と接着性プライ114の間に光学的に不透明な層を有する必要性を減らす。
【0219】
また、光学的に不透明なインクの層125が、本明細書に記載の他の積層グレージング、例えば
図7に示す積層グレージング50の同じ位置に、ガラス52の第2のペインの第2の主表面52b上に提供され得ることも容易に明らかであろう。
【0220】
光学的に不透明なインクの層125は、第2のガラスペイン112の第1の主表面112a上に配置されてもよい。
【0221】
2つの基板115、120およびその上の関連付けられる構成要素は、本発明による2部ミストセンサの一部である。2部ミストセンサは、
図7に関連して説明したミストセンサ1と本質的に同じ方法で動作して、主表面111a上のミスト68を検出する。これを例示するために、LED119から主表面111a、主表面111aからターゲット124、ターゲット124から主表面111a、および主表面111aからフォトダイオード121までの光路が示されている。
【0222】
積層グレージング110の2部ミストセンサの基本的な動作が、積層グレージング50のミストセンサ1の基本動作と本質的に同じであると仮定すると、2部ミストセンサは、ターゲット124からの反射された光で照射される領域で、ガラス111の第1のペインに接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手などの物体の存在を検出するための接触/近接センサとしても使用することができる。
【0223】
図16は、
図7を参照して説明したミストセンサ1と本質的に同じ方法で動作するミストセンサを含む別の積層グレージング130を示す。しかしながら、
図7を参照して説明した積層グレージング50とは対照的に、積層グレージング130では、LED9、フォトダイオード11およびターゲット17は、別個の基板上ではなく、代わりに第2のガラスペイン52の第1の主表面52a上にある。
【0224】
導電性経路は、ガラスペイン52の第1の主表面52a上にあり、LED9およびフォトダイオード11へ作製される電気接続を可能にする。導電性経路は、光学的に不透明であってもよい導電性インク、または透明な導電性コーティング、すなわち光学的に透明な導電性コーティングの形態であってもよい。ガラスシートの主表面上に堆積されたITO、酸化スズなどを含むそのような透明な導電性コーティングを区分化して、続いて当該区分化された導電性コーティングに取り付けられた電気作動部品のための導電性経路を提供することは、当技術分野で知られている。
【0225】
LED9はまた、前述のようにLEDから放射された光ビームを方向付けるためのレンズ10を有するが、レンズを有していなくてもよい。フォトダイオード11およびターゲット17も前述の通りである。
【0226】
積層グレージング130のミストセンサの基本的な動作が、積層グレージング50のミストセンサ1の基本動作と本質的に同じであると仮定すると、ミストセンサは、ターゲット17からの反射された光で照射される領域で、ガラス51の第1のペインに接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手などの物体の存在を検出するための接触/近接センサとしても使用することができる。
【0227】
図17は、本発明による別の積層グレージングを示す。積層グレージング140は、PVB143、144の2つのプライによって第2のガラスペイン142に接合された第1のガラスペイン141を有する。
【0228】
積層グレージング140もミストセンサを含むが、前述の積層グレージングとは対照的に、この例では、LED145は、積層グレージングの露出面上にあり、積層グレージング140の2つのグレージングペイン(すなわち、ガラスペイン141、142)の間にはない。
【0229】
第1のガラスペイン141は、第1の主表面141aと、反対側の第2の主表面141bと、を有する。第2のガラスペイン142は、第1の主表面142aと、反対側の第2の主表面142bとを有する。積層グレージング140は、第2の主表面141bが第1の主表面142aに面するように配設される。
【0230】
第1のガラスペイン141、PVB143の第1のプライ、およびPVB144の第2のプライを通り、第2のガラスペイン142の第1の主表面142aに位置付けされたターゲット147に光を放射するように構成された第1の主表面141aにLED145がある。ターゲット147は、第1の主表面141aに向かって拡散反射することにより光を散乱するための塗料の白い層147aと不透明な塗料の黒い層147bの2つの一致する層を有する。塗料の黒色層147bは、第2の主表面142bを介して積層グレージングに入る光に対するターゲット147の感度を低下させるのに役立つ。
【0231】
光は、LED145からターゲット147を照射し、第1の主表面141aに向かって拡散反射して戻る。この反射光の一部は、ミスト68の層がある表面141aの領域に当たる。この光の一部は、フォトダイオード146に向かって反射され、第1の主表面141a上のミストの存在、すなわち、ターゲット147の層147aから反射される光によって照射される第の1ガラスペインの第1の主表面の領域上のミストの存在を判定するために使用できる信号を生成する。
【0232】
フォトダイオード146は、基板148上に取り付けられ、基板148上の導電性経路に電気的に接続されている。
【0233】
LED145からフォトダイオード146に直接到達し得る光の量を減らすために、光学的に不透明な部材149が、LED145とフォトダイオード146との間の第1の主表面141a上に位置付けされる。
【0234】
積層グレージング140のミストセンサの基本的な動作は、積層グレージング50のミストセンサ1の基本動作と本質的に同じであり、部ミストセンサは、ターゲット147からの反射された光で照射される領域で、ガラス141の第1のペインに接触しているかまたはその近位にあるユーザーの手などの物体の存在を検出するための接触/近接センサとしても使用することができる。
【0235】
前の図の説明では、ミストセンサまたは接触/近接の動作における「光」、例えば「発光ダイオード」、「光線」、および「光学的に不透明」の使用を参照しているが、780nm~1200nm、すなわち800nmまたは880nmなどの赤外線領域など、他の波長領域の電磁放射を使用することは、本発明の範囲内である。そのような赤外LEDが780nm~1200nmの領域の波長を有するビームを生成するために使用されるとき、フォトダイオードは、そのような波長に敏感になるように選択される。さらに、そのような赤外線波長がフォトダイオードへの直接経路を有するのをブロックするために、フォトダイオードは、そのような波長に対して不透明な本体部分を有してもよい。また、2層ターゲットを使用する場合、照射される上側層は、入射ビームによって提供される範囲内で鏡面反射の様式で(拡散など)入射赤外線を反射することができ、下側層は、グレージングに侵入する迷走電磁放射からフォトダイオードによって検出される可能性のある放射に対して不透明である。
【0236】
図18は、自動車などの車両の内部の概略等角図を示している。車両は、PVBまたは音響改質PVBなどの少なくとも1つの接着性中間層プライによって互いに接合されたガラスの内側および外側ペインを含む積層グレージングである前面フロントガラス170を有する。本発明によれば、フロントガラス170は、フロントガラスの周縁付近に配設された(例えば
図1に示されるような)前述の種類の複数のミストセンサを含む。
【0237】
フロントガラスの左側端部D-Eに沿って(すなわち助手席側に)、
図1を参照して説明された種類の7つのミストセンサを含むミストセンサ172の第1のアレイがある(その中の1つは、ミストセンサ173としてラベル付けされている)。
【0238】
フロントガラスの下側縁部E-Fに沿って、
図1を参照して説明した種類の20個のミストセンサを含むミストセンサ174の第2のアレイがある(そのうちの1つはミストセンサ175とラベル付けされている)。
【0239】
フロントガラスの右側端部F-Gに沿って(すなわち運転席側に)、
図1を参照して説明された種類の7つのミストセンサを含むミストセンサ176の第3のアレイがある(その中の1つは、ミストセンサ177としてラベル付けされている)。
【0240】
各アレイ172、174、176の各ミストセンサは、各ミストセンサの検知領域でミストが検出されると、デミスト動作が開始されるように構成された処理手段と通信することができる。例えば、フロントガラス170の下側縁部E-Fの近位には、当該センサがフロントガラスの内側に面する表面上のミストの存在を検出するときに温風が適切なミストセンサの方向に向けられ得る一連のダクト178がある。ファン手段を好適に作動させて、必要なときに必要な場所に温風を送ることにより、フロントガラスのすべての領域に温風を送ることに比べて、使用するエネルギーを少なくすることができる。
【0241】
ミストセンサ173、175、177のうちの1つ以上は、ミストを検出するように構成されていることに加えて、またはミストを検出できる代わりに、前述のように接触/近接センサとして構成されてもよい。さらに、接触/近接センサとしてのみ構成された前述の種類の追加のセンサがある。接触/近接センサとして構成される場合、接触/近接センサは、その作動のために電気的に動作可能なデバイスと通信し、接触/近接センサがスイッチとして機能するようにすることができる。
【0242】
図19は、表面上のミストを検出するデバイス201を示している。デバイスは、表面に接触しているかまたはその近位にある物体を検出するために使用することもできる。
【0243】
デバイス201は、この例ではソーダライムシリカガラスのシートである基板203を含む。ソーダライムシリカガラスシート203は、熱的に強化またはアニールされてもよい。ソーダライムシリカガラス203のシートの厚さは4mmであるが、1mm~20mmの範囲、例えば6mm、または8mm、または10mmであってもよい。
【0244】
建物のガラスの分野では、熱強化されたソーダライムシリカ(時にはソーダライムケイ酸塩と呼ばれる)安全ガラスがBS EN 12150-1(2000)で定義されている。この規格のセクション3.1では、熱強化ソーダライムシリカ安全ガラスを、「機械的および熱的応力および所定の断片化特性に対する抵抗が大幅に増加させるために制御された加熱および冷却プロセスによって永久的な表面圧縮応力が誘導されたガラスと定義している
【0245】
ガラスは、半強化または熱強化されている場合がある。建物で使用するこのようなガラスは、BS EN 1863-1(2000)に従って定義されている。熱強化ガラスは、BS EN 12510-1(2000)で定義されている強化ガラスではないが、何らかの形態の熱処理を受けている。
【0246】
建築に使用するソーダライムシリカガラスは、「熱浸漬熱強化ソーダライムケイ酸塩ガラス」とも呼ばれ、EN 14179-1(2005)に従って定義される。この規格のセクション3.1では、熱浸漬熱強化ソーダライムケイ酸塩安全ガラスは、機械的および熱的ストレスと規定の断片化特性に対する耐性を大幅に高めるために、永久表面圧縮応力が誘導され、臨界の硫化ニッケル(NiS)介在物の存在による自発的な破損の既知のレベルの残留リスクを有するガラスとして定義されている。
【0247】
建物の積層ガラスおよび積層安全ガラスは、BS EN ISO12543-1(1998)に従って定義されている。この規格のセクション3.8では、積層安全ガラスは、破損した場合に中間層がガラスの破片を保持し、開口部のサイズを制限し、残留抵抗を提供し、切断または刺し傷のリスクを減らす積層ガラスとして定義されている。
【0248】
透明フロートガラスとは、BS EN 572 1およびBS EN 572-2(2012)で定義された組成物を有するガラスを意味する。
【0249】
ソーダライムシリカガラスのシートは、第1の主表面205と第2の反対側の主表面207を有する。
【0250】
第1の主表面205に直接取り付けられるのは、800nmの波長で動作可能な赤外線放射LED209、800nmの波長で赤外線放射を検出するように動作可能なフォトダイオード211、および波長800nmを有する赤外線放射の拡散反射器であるターゲット217である。
【0251】
LED209は、第2の主表面がガラス/空気界面またはガラス/水界面である場合に、ビーム209aの内部全反射が存在するように、第2の主表面207に向かって赤外線放射線209aのビームを放射する。これは、第2の主表面207の法線219への入射角を約60°にすることで達成され、上記の式(1)を参照されたい。
【0252】
ガラス表面207は鏡面反射体であるため、赤外放射209aのビームは、法線219に対する入射角と同じ反射角でガラス表面207からビーム209bとして反射される。
【0253】
鏡面反射ビーム209bは、ターゲット217に当たる。ターゲット217は、第1の主表面205上の長方形の形態の白色塗料の層である。ビーム209bは、ターゲット217の拡散性反射性表面によって複数の角度で散乱される。
【0254】
フォトダイオード211は、本体部分213とセンサ部分215とを有する。本体部分213は、LED209から放射される赤外放射に対して不透明であるため、LED209からセンサ部分215への直接経路を有する赤外放射からセンサ部分215を遮る効果を有する。
【0255】
センサ部分215は、第2の主表面207の領域から反射された赤外線を捕捉するように配設された受容角を有する。センサ部分215は、ターゲット217から散乱された赤外放射によって照射される第2の主表面207の領域を本質的に「見る」。ターゲット217から反射された赤外線209c、209dのビームは、第2の主表面207の領域を照射するように示されている。第2の主表面の領域には、霧のミスト68がある。ビーム209e、209fは、第2の主表面207の領域で反射され、ミストが第2の主表面207の領域にあるかどうかを判定するために、センサ部分215によって測定可能な信号を提供する。
【0256】
容易に明らかであるように、この例では、デバイス201は、LED209、フォトダイオード211、およびターゲットが配設された基板203の表面207上のミストを検出することができる。デバイス201は、窓のペインとして、単独で(例えば、車両の側面窓)、または1つ以上のグレージング材料の他のペインと組み合わせてかつそれらから離間載置されて使用することができる。これを
図20に示す。
【0257】
デバイス201がLED209のいずれかまたはすべての窓のペインとして使用される場合、フォトダイオード211およびターゲット217は、保護カバーまたはカプセル材で好適に覆われ得る。
【0258】
図20は、
図19に示されるデバイス201を備える二重グレージングユニット301の一部の概略断面図を示す。当技術分野で知られているように、二重グレージングユニットは、しばしば断熱グレージングユニット、または略してIGUと呼ばれる。IGUは、反対側のペイン間に空域がある2つ以上のグレージングペインで知られている。
【0259】
二重グレージングユニット301は、周囲シール305によってグレージングペイン303から離間載置されたデバイス201を備えて、空間309を画定する。グレージングペイン203、303の間隔を維持するのを助けるために、周辺シール305に隣接してスペーサバー307を設けることもできる。
【0260】
グレージングペイン303は、ガラスであってもよく、熱的に強化されてもよい。
【0261】
デバイス201は、二重グレージングユニット301の外側に面する表面207(
図19に関連して説明される)上のミストの存在を判定するために使用され得る。従来の命名法を使用して、外側に面する表面207は、二重グレージングユニット301の「表面1」または「表面4」として構成されてもよい。
【0262】
二重グレージングユニットは、
図19に示す種類の2つのデバイスを含み得る。
【0263】
窓の様々な場所でミストの存在を検出するために、複数のLED/フォトダイオード/ターゲット配設がある場合があり、
図18を参照されたい。
【0264】
ミストセンサとして使用される場合、本発明は、フロントガラスなどの車両グレージングの内面表面にミストが形成される可能性のある自動車分野で特定の用途を見出す接触/近接センサとして使用される場合、自動車分野で見られる種類の積層グレージングにスイッチが必要な場合、本発明も使用され得る。
【0265】
本発明は、ミストが初期段階で検出されることを可能にし、それにより、好適な予防措置を可能にして、さらなるその形成を防止することを可能にする。本発明はまた、ミストセンサとしても機能し得るスイッチを提供し、それにより、所望の機能を達成するために必要なセンサの数を減らす。