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特許7246384遅延放出デフェリプロン錠剤及びその使用法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】遅延放出デフェリプロン錠剤及びその使用法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4412 20060101AFI20230317BHJP
   A61K 9/44 20060101ALI20230317BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230317BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230317BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230317BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230317BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230317BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230317BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230317BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230317BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
A61K31/4412
A61K9/44
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/44
A61K47/26
A61P7/00
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020523267
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 IB2018058350
(87)【国際公開番号】W WO2019082128
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】62/577,055
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/596,043
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591201985
【氏名又は名称】キエージ・フアルマチエウテイチ・エツセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,バーナード・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】スピノ,マイケル
【審査官】松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-509149(JP,A)
【文献】特表平11-502217(JP,A)
【文献】特表2010-501609(JP,A)
【文献】特表2016-518398(JP,A)
【文献】特表2014-528929(JP,A)
【文献】特表2015-536970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)治療有効量のデフェリプロン及びコアの1重量%から20重量%の腸溶性ポリマーを含むコア、ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含むヒト被験者の経口投与用の錠剤であって、
前記錠剤は、割線が入っており、その結果全錠剤又は半錠剤として投与することができ、
前記錠剤が、2つの半錠剤として投与されると、その2つの半錠剤は絶食状態及び摂食状態の両方において1つの全錠剤と生物学的に同等になる、
錠剤。
【請求項2】
前記コア中の腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)フタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
前記腸溶性コーティングの腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の錠剤。
【請求項4】
前記コアが塩基性賦形剤及び流動促進剤をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項5】
前記塩基性賦形剤が、メグルミン、金属酸化物、金属水酸化物、弱酸の塩基性塩、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項4に記載の錠剤。
【請求項6】
前記流動促進剤がコロイド状二酸化ケイ素である、請求項4に記載の錠剤。
【請求項7】
潤滑剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項記載の錠剤。
【請求項8】
前記潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項記載の錠剤。
【請求項9】
前記腸溶性コーティングが可塑剤及び粘着防止剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項記載の錠剤。
【請求項10】
前記可塑剤が、クエン酸エステル、ジエチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、アセチル化クエン酸エステル、セバシン酸ジブチル、ヒマシ油、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項記載の錠剤。
【請求項11】
前記粘着防止剤がタルクである、請求項に記載の錠剤。
【請求項12】
600mg又は1000mgのデフェリプロンを含む、請求項1~11のいずれか一項記載の錠剤。
【請求項13】
前記コアが600mg又は1000mgのデフェリプロン、腸溶性ポリマー、pH調整剤、流動促進剤、及び潤滑剤を含み;そして
前記コーティングが、可塑剤、粘着防止剤、腸溶性ポリマー及び希釈剤を含む、
請求項1に記載の錠剤。
【請求項14】
前記コアが600mg又は1000mgのデフェリプロン、HPMCAS-LF、酸化マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含み;そして
前記コーティングは、クエン酸トリエチル、タルク、メタクリル酸コポリマー分散物及びスクロースを含む、
請求項13に記載の錠剤。
【請求項15】
デフェリプロンは、コア総重量の75~95%存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項16】
ヒト被験者における鉄過剰症を処置する方法に使用するための、請求項1~15のいずれか一項記載の錠剤であって、前記錠剤が、経口投与される、錠剤。
【請求項17】
鉄過剰症を伴うヒト被験者が、サラセミア及び鎌状赤血球症から選択される疾患を患っている、請求項16に記載の使用のための錠剤。
【請求項18】
前記鉄過剰症が輸血後鉄過剰症である、請求項16に記載の使用のための錠剤。
【請求項19】
前記ヒト被験者のキレート治療が不十分である、請求項18記載の使用のための錠剤。
【請求項20】
前記ヒト被験者が輸血後鉄過剰症を患っており、20ミリ秒又はそれ以下の心臓MRI T2を有する、請求項16に記載の使用のための錠剤。
【請求項21】
前記錠剤の半分が1日2回投与される、請求項16~20のいずれか一項に記載の使用のための錠剤。
【請求項22】
請求項1~15のいずれか一項に記載の錠剤を作製する方法であって、
(a)デフェリプロン及び1つ又は複数の賦形剤を混合すること;
(b)(a)の混合物を錠剤コアに圧縮すること;及び
(c)腸溶性コーティング懸濁液又は溶液を用いて前記錠剤コアをコーティングすることを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2017年10月25日に出願された米国仮出願第62/577,055号、及び2017年12月7日に出願された第62/596,043号に対する優先権を主張し、それらの各々を、その全体において参照により本明細書中に組み入れる。
【0002】
背景
デフェリプロンは鉄キレート剤であり、全身性の鉄過剰症の処置において、特に頻繁な輸血が鉄過剰症に導く状態、例えば、サラセミア(Renzo Galanello, Ther Clin Risk Manag. 2007 Oct;3(5):795-805)、鎌状赤血球症(Ware and Kwiatkowski, Pediatr Clin North Am. 2013 Dec;60(6):1393-406)、及び骨髄形成異常(Sheth, Curr Opin Hematol. 2014 May;21(3):179-85)(各々を、その全体において参照により本明細書中に組み入れる)などにおいて使用する。デフェリプロンはまた、全身性の鉄過剰症の非存在においてでさえ、例えば細胞性の鉄の誤処理が顕著な特徴である神経変性疾患(例、フリードライヒ運動失調症、パーキンソン病、パントテン酸キナーゼ関連神経変性(PKAN)及び脳の鉄蓄積を伴う他の形態の神経変性(NBIA)、多発性硬化症、加齢黄斑変性、ならびに脳表ヘモジデリン沈着症)などの、局所組織又は細胞性の鉄過剰症の状態でも使用される。Kakhlon et al., Can J Physiol Pharmacol. 2010 Mar;88(3):187-96;Cabantchik et al., Front Pharmacol. 2013 Dec;4:167;Cossu et al., Parkinsonism. Relat Disord., 2014 Jun;20(6):651-4;Weigel et al., ASN Neuro. 2014 Jan;6(1);Song et al., Free Radic Biol Med. 2012 Jul;53(1):64-71;及びLevy and Llinas, Stroke. 2012 Jan;43(1):120-4を参照のこと(各々を、その全体において参照により本明細書中に組み入れる)。
【0003】
デフェリプロンは、米国及び他の場所で即時放出(IR)500mg錠剤として、例えばFerriprox(登録商標)の商品名の下で販売されており、これは、一部の法域においてIR 1000mg錠剤及び100mg/mLの液体製剤としても入手可能である。
【0004】
簡単な概要
本開示の特定の態様は、ヒト被験者への経口投与用のデフェリプロンを含む遅延放出錠剤に関し、そこで、遅延放出錠剤の1日2回投与は、1日3回投与される、デフェリプロンを含む即時放出錠剤の同じ1日用量と定常状態において生物学的に同等である。
【0005】
別の態様では、本開示は、ヒト被験者への活性医薬成分(特に、デフェリプロン)の経口投与用の錠剤に関し、そこで、錠剤は、(a)治療有効量の活性医薬成分及び腸溶性ポリマーを含むコア、ならびに(b)腸溶性コーティングを含み、そこで、錠剤は、それを全錠剤又は半錠剤として投与することができるように割線が入れられており、及び、そこで、錠剤を1つ又は複数の半錠剤として投与する場合、半錠剤は、例えば、単回用量試験中に、絶食状態、摂食状態、又はその両方において、全錠剤と生物学的に同等である。
【0006】
別の態様では、本開示は、(a)治療有効量の活性医薬成分及び腸溶性ポリマーを含むコア、ならびに(b)腸溶性コーティングを含む、活性医薬成分の経口投与用の錠剤に関し、錠剤は、錠剤の半錠剤への破断を促進するために割線が入れられ、そこで、全錠剤及び半錠剤の両方が遅延放出溶解プロファイルを呈する。
【0007】
別の態様では、本開示は、(a)治療有効量のデフェリプロン及び腸溶性ポリマーを含むコア、ならびに(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングを含む経口投与用の錠剤に関し、そこで、錠剤は1日2回の投薬のために適切である。
【0008】
別の態様では、本開示は、ヒト被験者への1日2回の経口投与用のデフェリプロンを含む錠剤に関し、そこで、錠剤の単回用量によって、絶食状態及び供給状態の両方において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される。
【0009】
別の態様では、本開示は、(a)1000mg又は600mgのデフェリプロン、腸溶性ポリマー、pH調整剤、流動促進剤、及び潤滑剤を含むコア;ならびに(b)可塑剤、希釈剤、粘着防止剤、及び腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングを含む経口投与用の錠剤に関し、錠剤は、錠剤の半錠剤への破断を促進するために割線が入れられた全錠剤である。
【0010】
別の態様では、本開示は、鉄過剰症又は神経変性疾患(例、ハンチントン病又は筋萎縮性側索硬化症)を伴う被験者を処置するための方法に関し、本明細書中に開示するデフェリプロン錠剤(例、遅延放出錠剤)を、それを必要とする被験者に経口投与することを含む。
【0011】
特定の態様では、本開示は、デフェリプロンを含む組成物を被験者に投与することを含む、それを必要とする被験者においてハンチントン病を処置する方法に関する。
【0012】
特定の態様では、本開示は、デフェリプロンを含む組成物を被験者に投与することを含む、それを必要とする被験者において筋萎縮性側索硬化症(ALS)を処置する方法に関する。一部の実施形態は、ALSに関連付けられる障害の進行を低下させる又は遅らせる方法に関する。一部の実施形態では、被験者にリルゾールをさらに投与する。
【0013】
特定の態様では、本開示は、3000mg/日のデフェリプロンを、それを必要とする被験者に経口投与することを含む、鉄過剰症を伴うヒト被験者を処置する方法に関し、そこで、被験者にデフェリプロンを1日当たり2回投与する。
【0014】
特定の態様では、本開示は、1200mg/日のデフェリプロンを、それを必要とする被験者に経口投与することを含む、鉄過剰症を伴うヒト被験者を処置する方法に関し、そこで、被験者にデフェリプロンを1日当たり2回投与する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、胃酸中への溶解を反映する、0.1N HCl中での全及び半遅延放出(DR)錠剤の溶解を示す。
図2図2は、空腸及び回腸中での溶解を反映する、pH6.8中での全及び半DR錠剤の溶解を示す。
図3図3は、十二指腸中での溶解を反映する、pH4.5中での全及び半DR錠剤の溶解を示す。
図4図4は、デフェリプロンDR錠剤及び即時放出(IR)錠剤の平均血清濃度プロファイルを示す。
【0016】
発明の説明
I.定義
本明細書中で使用するように、不定冠詞「a」又は「an」は、任意の記述又は列挙する構成要素の「1つ又は複数」を指すと理解すべきである。例えば、「錠剤」は1つ又は複数の錠剤を指す。
【0017】
また、本明細書中で使用するように、「及び/又は」は、1つ又は複数の関連付けられ、列挙される項目の任意の及び全ての可能な組み合わせ、ならびに代わりの(「又は」)において解釈される場合の組み合わせの欠如を指す及び包含する。
【0018】
用語「約」が数値又は範囲との組み合わせにおいて使用される場合、それによって、示された数値を上回り及び下回り境界を拡張することによりその値又は範囲が変更される。用語「約」は、本明細書中で、異なる変動が示されていない限り(例、±30%、±20%、±5%、±1%など)、10%パーセント上又は下(より高い又はより低い)、即ち、±10%の変動だけ提示する値を上回り及び下回り数値を変更するために使用する。
【0019】
態様が本明細書中で言語「含む(comprising)」を伴い記載される場合はどこでも、「からなる(consisting of)」及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」に関して記載される、他の点では類似の態様も提供する。用語「含む(includes)」又は「含む(including)」が本明細書又は特許請求の範囲において使用される限り、それは、その用語が請求項において移行性の単語として用いられた場合に解釈されるように、用語「含む(comprising)」と同様の様式で包括的であることを意図する。
【0020】
本明細書中で使用する「デフェリプロン」は、デフェリプロン又はその医薬的に許容可能な塩を指す。
【0021】
所与の化合物の用語「医薬的に許容可能な塩」は、所与の化合物の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指し、それは生物学的に又は他の点で望ましくないものではない。「医薬的に許容可能な塩」は、例えば、無機酸との塩及び有機酸との塩を含む。デフェリプロンの塩は、医薬的に許容可能な塩、特に塩基との塩、例えば適したアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩、又はマグネシウム塩)、医薬的に許容可能な遷移金属塩、例えば亜鉛塩など、又は有機アミンとの塩、例えば環状アミンなど、例えばモノ、ジ、トリ低級アルキルアミンなど、例えばヒドロキシ低級アルキルアミンなど(例、モノ、ジ、もしくはトリヒドロキシ-低級アルキルアミン、ヒドロキシ-低級アルキル-低級アルキルアミン、又はポリヒドロキシ-低級アルキルアミン)を含むことができる。環状アミンは、例えば、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、又はピロリジンである。適切なモノ-低級アルキルアミンは、例えば、エチル-及びtert-ブチルアミンである;ジ-低級アルキルアミンは、例えば、ジエチル及びジイソプロピルアミンである;ならびにトリ-低級アルキルアミンは、例えば、トリメチルアミン及びトリエチルアミンである。適したヒドロキシ-低級アルキルアミンは、例えば、モノ、ジ、及びトリエタノールアミンである;ヒドロキシ-低級アルキル-低級アルキルアミンは、例えば、N,N-ジメチルアミノ-及びN,N-ジエチルアミノエタノールである;適切なポリヒドロキシ-低級アルキルアミンは、例えば、グルコサミンである。
【0022】
本明細書中で使用する「コア」又は「錠剤コア」は、コーティングされていない錠剤へと圧縮される活性成分(例、デフェリプロン)及び1つ又は複数の賦形剤を含む。コアは、種々のコーティング(腸溶性コーティングを含む)を用いてコーティングすることができる。
【0023】
本明細書中で使用する「遅延放出」又は「DR」は、活性成分(例、デフェリプロン)を酸性pH(例、少なくとも絶食状態における胃中)での迅速な放出から保護しながら、活性成分を、より高いpH(例、腸中)でより速い速度で放出されることを可能にすることを指す。一部の実施形態では、DRは、75rpmでUSP装置2において試験した場合、溶解の程度が0.1N HCl中の1時間目に20%を下回り、溶解の速度が、0.1N HCl中での溶解の速度よりも、pH6.8を伴うリン酸緩衝液中で実質的に高くなる(例、1時間において30%を上回る、例えば40%を上回る)ことを意味すると理解されるであろう。
【0024】
本明細書中で使用する「崩壊剤」は、水中で不溶性であるが、しかし、湿潤した場合に膨潤して錠剤の崩壊を起こす賦形剤を指す。
【0025】
本明細書中で使用する「溶解」は、溶質が溶媒中で溶液を形成する過程を指す。
【0026】
本明細書中で使用する「腸溶性コート」又は「腸溶性コーティング」は、腸溶性ポリマーを含むコーティングを指す。腸溶性コーティングは、胃環境における錠剤の溶解又は崩壊を防止又は遅延させるのに役立つことができる。
【0027】
「腸溶性コーティングされた錠剤」は、腸溶性コーティングを用いてコーティングされた、活性成分を含むコアを有する錠剤を意味する。
【0028】
本明細書中で使用する「腸溶性ポリマー」は、絶食時の胃の酸性pH(例、約pH1から約pH4)では比較的不溶性であるが、しかし、より高いpH(例、約pH4.5から約pH8)では可溶性であるポリマーを意味すると理解され、そのより高いpHは、小腸又はその後における、特に十二指腸又は回腸におけるpHに対応する。
【0029】
本明細書中で使用する「絶食状態」は、食後の定められた期間(典型的には、食後の少なくとも数時間、例えば、4又は6時間)にわたる食物からの節制を指す。
【0030】
本明細書中で使用する「摂食状態」は、食事と一緒の投与、又は食事の直ぐ後(例、約1時間以内)を指す。
【0031】
本明細書中で使用する「胃部不快感」は、胃腸(GI)管の不快、例えば、疼痛、痙攣、膨満、嘔気、消化不良、胸やけ、及びガスの1つ又は複数を指す。
【0032】
本明細書中で使用する「半錠剤」は、錠剤を等しい又はほぼ等しい重量の2つの部分に分割することにより得られる錠剤の2つの部分のいずれかを意味する。一部の実施形態では、半錠剤は、半分が由来した全錠剤の約40重量%から約60重量%である。一部の実施形態では、各々の半錠剤のほぼ等しい重量は、全錠剤の総重量の約45~55%である。
【0033】
本明細書中で使用する「パーセント」又は「%」は、他に指定されない限り、重量百分率(w/w)を指す。
【0034】
本明細書中で使用する「割線入り錠剤」は、錠剤の分割を促進させるために、例えば、半錠剤の投与を可能にするために、「割線」としても公知である1つ又は複数の線でデボス加工された錠剤を指す。一部の実施形態では、錠剤は、2、3、4、又はそれ以上の線で割線を入れることができる。
【0035】
本明細書中で使用する「錠剤」は、固体の経口医薬剤形を指す。一部の実施形態では、錠剤は圧縮錠剤である。
【0036】
「全錠剤」は、完全な錠剤(即ち、部分に破断又は分割されていない)を意味する。
【0037】
「処置する」又は「処置」又は「処置するために」又は「寛解する」又は「軽減する」又は「軽減するために」などの用語は、1)診断された病的状態又は障害を治癒させる、遅らせる、その症状を和らげる、その進行を逆転させる、及び/又は停止させる治療的対策、ならびに2)標的となる病的状態又は障害の発生を防止する、その発生率を低下させる、そのリスクを低下させる、及び/又は遅らせる予防的又は防止的対策の両方を指すことができる。このように、処置を必要とする者は、既に障害を有する者;障害を発生する傾向のある者;及び障害を防止すべき者を含む。有益な又は所望の臨床結果は、症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定化(即ち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延又は遅れ、疾患状態の寛解又は緩和、及び軽快(部分的又は全体的を問わず)を含むが(検出可能又は検出不能かを問わず)、これらに限定しない。「処置」はまた、処置を受けない場合に予想される生存と比較し、生存を延長させることを意味することもできる。処置を必要とする者は、既にその状態又は障害を有する者、ならびにその状態又は障害を発生する傾向がある者、あるいはその状態又は障害を防止すべき、又は発生率を低下させるべき者を含む。
【0038】
「被験者」又は「個人」又は「患者」は、診断、予後、処置、又は治療が望まれる任意のヒト被験者を意味する。
【0039】
「治療有効用量もしくは量」又は「有効量」は、投与された場合、処置されるべき被験者において疾患の処置又はそのリスクの低下に関してポジティブな治療反応をもたらす活性医薬成分(例、デフェリプロン)の量を意図する。
【0040】
本明細書中で「参照」又は「参照産物」として使用されるデフェリプロンIR錠剤が、FDAにより承認され、米国において販売されているFerriprox(登録商標)IR錠剤(500mg)であることが理解されるであろう。例えば、本明細書中の「参照」又は「参照産物」は、(1)500mgのデフェリプロン、微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含むコア;ならびに(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、及び二酸化チタンを含むコーティングを伴うFerriprox(登録商標)IR錠剤でありうる。
【0041】
II.錠剤
特定の態様では、本願は、そのコア中にデフェリプロンを含む遅延放出錠剤に関する。遅延放出、例えば、腸溶性コーティングにより提供される遅延放出は、錠剤コアからの活性成分(例、デフェリプロン)の溶解を遅延させるのに役立つ。一部の実施形態では、遅延放出は、絶食時の胃中に放出された場合に胃刺激を起こす医薬成分の場合において、及び/又は酸に不安定であり、したがって、絶食時の胃中に放出された場合に分解しうる医薬成分の場合において望ましい。
【0042】
経口投与用の一部の医薬錠剤は、腸溶性コートを用いてコーティングされて、遅延放出を提供する。経口投与用の一部の他の医薬錠剤は、割線でデボス加工されて、例えば、投薬の柔軟性のために、患者が錠剤を2つのほぼ等しい部分に分割することを簡単にし、半錠剤の投与を可能にする。しかし、両方の特色を1つの錠剤に組み合わせること;すなわち、腸溶性コーティングされているが、しかし、遅延放出の特色を破壊することなく2つの部分に破断することができる錠剤を産生することは困難である。これは、破断された錠剤の界面の表面がもはや腸溶性コーティングにより保護されていないためである。これは、少なくとも以下の問題を招く:(1)保護されていないコアが急速に崩壊及び/又は溶解する場合、胃酸中での破断された錠剤の溶解は全錠剤よりも速くなるため、胃刺激に対する保護が失われる;(2)あるいは、保護されていないコア錠剤が、腸溶性コーティングの保護を伴わなくても、胃刺激を防止するのに十分なだけゆっくりと崩壊及び/又は溶解する場合、腸における溶解及び吸収も比較的遅くなり、吸収の程度及び/又はピーク血清レベルの低下を起こしうる;ならびに(3)破断された錠剤は、破断されていない錠剤と同じ速度で、及び、恐らくは同じ程度ではもはや薬物を送達しない。これらの問題は、半錠剤が全錠剤と生物学的に同等ではないことに寄与しうる。例えば、イランの特許出願90-07-27-71996には、腸溶性コーティングされたデフェリプロンの製剤が開示されている。それには、デフェリプロン錠剤を腸溶性コーティングするためにメタクリル酸コポリマーを使用することによる胃不快感からの保護が開示されており、そこで、コーティングは錠剤の総重量の約7.4%である(500mgのデフェリプロンを含む800mgのコア錠剤)。イランの特許出願90-07-27-71996に開示されている腸溶性コーティングされた錠剤製剤は、錠剤が二等分又は半分にされた場合、腸溶性コーティングの利益を失う。イランの特許出願90-07-27-71996(Avicenna Lab)からのEC錠剤は、500mgのデフェリプロン、290mgの微結晶性セルロース、1mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び9mgのステアリン酸マグネシウムのコア錠剤(800mgのコア総重量);ならびに34.68mgのメタクリル酸コポリマー、15.56mgのタルク、3.61mgのPEG 6000、4.38mgの二酸化チタン、4.93mgのヒプロメロース、6cmのPoaz、及び0.82mgの重炭酸ナトリウムのコーティング(63.98mgのコーティングの総重量)を含んだ。コーティングの重量は、EC錠剤の総重量の約7.4%である。特定の実施形態では、本願の錠剤は、イランの特許出願90-07-27-71996からのEC錠剤とは異なる。例えば、一部の実施形態では、本明細書中に開示するDR錠剤は、290mgの微結晶性セルロース、1mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び/又は9mgのステアリン酸マグネシウムを含まない(800mgのコア総重量);一部の実施形態では、本明細書中に開示するDR錠剤のコーティングは、34.68mgのメタクリル酸コポリマー、15.56mgのタルク、3.61mgのPEG 6000、4.38mgの二酸化チタン、4.93mgのヒプロメロース、6cmのPoaz、及び/又は0.82mgの重炭酸ナトリウムを含まない(63.98mgのコーティングの総重量)。さらに、特定の実施形態では、本明細書中に開示するDR錠剤のコーティングの重量は、EC錠剤の総重量の約7.4%ではない。
【0043】
特定の態様では、本開示は、ヒト被験者への経口投与用のデフェリプロンを含む組成物(例、錠剤)に関する。一実施形態では、組成物は、(a)デフェリプロンを含むコア及び(b)腸溶性コーティングを含む、経口投与用の錠剤である。好ましくは、錠剤は、胃腸(GI)管の胃後の部分においてデフェリプロンを放出するように設計されている。一部の実施形態では、錠剤は、胃中又は少なくとも絶食時の胃中で実質的に崩壊しない、即ち、錠剤は、錠剤が腸に達するまで実質的に溶解しない。一部の実施形態では、錠剤の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%が腸において崩壊する。
【0044】
一部の実施形態では、錠剤は全錠剤として投与する。一部の実施形態では、錠剤に、全錠剤の投与量の約半分の投与用に割線を入れる。一部の実施形態では、錠剤を半錠剤として投与する。一部の実施形態では、錠剤は、1つ又は複数の半錠剤との組み合わせで1つ又は複数の全錠剤として投与する。
【0045】
特定の態様では、本開示の錠剤は、絶食時の胃中での溶解が、仮にある場合でも比較的少ない(例、20%未満)が、しかし、腸中ではより迅速に溶解するように製剤化されており、したがって、遅延放出組成物と称することができる。一部の実施形態では、本開示の錠剤は、溶解媒体のpHに非依存的に、半錠剤及び全錠剤と同様の溶解の速度を与える。一部の態様では、本開示の錠剤は、腸溶性コーティングされた錠剤の性状を包含し、その欠乏を伴うことがないので、錠剤を半分にし、全錠剤、半錠剤、又はそれらの任意の組み合わせを投与するための投薬の微調整を可能にすることができる。本開示の半錠剤は、全錠剤と同様に、絶食時の胃内容物を表す酸性媒体(0.1N HCl)中での溶解に抵抗し;及び、小腸の内容物を表すより高いpHで、全錠剤と同様の溶解の速度も示す。
【0046】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、錠剤の総重量の約1~20%、1~15%、1~10%、約1~9%、約1~8%、約1~7%、約1~6%、約1~5%、約1~4%、約1~3%、約1~2%、約0.5~5%、又は約0.5~2%の間である。一部の実施形態では、コーティングは、錠剤の総重量の7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2.5%未満、2.4%未満、2.3%未満、2.2%未満、2.1%未満、又は2%未満であり;及び/又はコーティングは、錠剤の総重量の1%を上回る。一部の実施形態では、コーティングは、錠剤の総重量の約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、又は約3.0%、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲、例えば、1.0~1.8%、1.0~2.0%、1.0~2.4%、1.2~1.7%、1.5~2.0%、2.0~2.5%、2.2~2.7%、又は2.5~3.0%である。一部の実施形態では、コーティングは、錠剤の総重量の約1.5%である。他の実施形態では、コーティングは、錠剤の総重量の約2.5%である。
【0047】
III.コア
本開示は、活性医薬成分(例、デフェリプロン)又は医薬的に許容可能なその塩を含むコアを含む組成物(例、遅延放出錠剤)に関する。
【0048】
一部の実施形態では、錠剤コアは、約100mgから約1500mgの間、約250mgから約1250mgの間、又は約900mgから約1100mgの間のデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、錠剤は、約100mg、約200、約250mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約750mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、又は約1500mgのデフェリプロンを含む。特定の実施形態では、錠剤は、約1000mgのデフェリプロンを含む。
【0049】
一部の実施形態では、活性医薬成分(例、デフェリプロン)は、コア総重量の約75~95%(例、80~95%又は85~95%)である。一部の実施形態では、活性薬剤(例、デフェリプロン)は、コア総重量の約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、又は約95%である。
【0050】
一部の実施形態では、1日1回、2回、又は3回投薬用の1つのDR錠剤の錠剤コアは、少なくとも約200mg、少なくとも約300mg、少なくとも約400mg、少なくとも約500mg、又は少なくとも約600mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、1日1回、2回、又は3回投薬用の1つのDR錠剤の錠剤コアは、少なくとも約600mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、1日1回、2回、又は3回投薬用の1つのDR錠剤の錠剤コアは、少なくとも約500mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、錠剤コアは、約200mgから約1500mg、約300mgから約900mg、約300mgから約700mg、約500mgから約700mg、約500mgから1500mg、約500mgから750mg、約900mgから約1100mgの間、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約750mg、約800mg、約1000mg、約1200mg、約1250mg、又は約1500mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、600mg又は1000mgのデフェリプロンを含む錠剤コアが好ましい。
【0051】
一部の実施形態では、1日1回、2回、又は3回投薬用の1つのDR錠剤の錠剤コアは、少なくとも約200mg、少なくとも約300mg、又は少なくとも約400mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、1日1回、2回、又は3回投薬用の1つのDR錠剤の錠剤コアは、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mg、約300mg、約400mg、又は約500mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、1日2回投薬用の1つのDR錠剤の錠剤コアは、少なくとも約500mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、錠剤コアは、約200mgから約1500mg、約300mgから約900mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約500mgから1500mg、約500mgから750mg、約900mgから約1100mgの間、約600mg、約750mg、約800mg、約1000mg、約1200mg、約1250mg、又は約1500mgのデフェリプロンを含む。
【0052】
一部の実施形態では、錠剤コアは、賦形剤として腸溶性ポリマーを含む。本願より以前には、腸溶性コーティングされた錠剤が、例えば、割線で半分に破断された場合、例えば、2つの半分の破断された割線の界面での表面は、腸溶性コーティングによりもはや保護されていなかった。一部の実施形態では、コア中に腸溶性ポリマーを含めることによって、分割錠剤(例、半錠剤)について、0.1N HCl中で比較的低い溶解速度が維持されるのに役立ち、したがって、絶食時の胃中での溶解を限定しながら、依然として腸のpHでのより速い溶解を可能にする。
【0053】
一部の実施形態では、腸溶性ポリマーは、コアの約1重量%から20重量%、1重量%から15重量%、1重量%から10重量%、又は1重量%から5重量%の間である。一部の実施形態では、腸溶性ポリマーは、コアの約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、約5.5重量%、約6重量%、約6.5重量%、又は約7重量%、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲、例えば、コアの約2~2.5重量%、2.5~3重量%、3~3.5重量%、3.5~4重量%、4~4.5重量%、又は4.5~5重量%である。一部の実施形態では、腸溶性ポリマーは、コアの約2.5重量%である。一部の実施形態では、腸溶性ポリマーは、コアの約4.5重量%である。
【0054】
一部の実施形態では、コア中の腸溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アセテートスクシネート(即ち、HPMCAS)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択する。一部の実施形態では、コア中の腸溶性ポリマーはHPMCASである。
【0055】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約900mgから約1100mgの間のデフェリプロン及び約10mgから約80mgの間、約20mgから約80mgの間、約20mgから約60mgの間、約20mgから約50mgの間、約20mgから約40mgの間、約25mgから約35mgの間の腸溶性ポリマー(例、HPMCAS)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約500mgから約750mgの間のデフェリプロン及び約10mgから約80mgの間、約20mgから約80mgの間、約20mgから約60mgの間、約20mgから約50mgの間、約20mgから約40mgの間、約25mgから約35mgの間の腸溶性ポリマー(例、HPMCAS)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約400mgから約800mgの間のデフェリプロン(例、約600mg)及び約10mgから約80mgの間、約20mgから約80mgの間、約20mgから約60mgの間、約20mgから約50mgの間、約20mgから約40mgの間、又は約25mgから約35mgの間の腸溶性ポリマー(例、HPMCAS)を含む。
【0056】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約200mgから約500mgの間のデフェリプロン及び約10mgから約80mgの間、約20mgから約80mgの間、約20mgから約60mgの間、約20mgから約50mgの間、約20mgから約40mgの間、約25mgから約35mgの間の腸溶性ポリマー(例、HPMCAS)を含む。
【0057】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約1000mgのデフェリプロン及び約30mgの腸溶性ポリマー(例、HPMCAS)を含む。特に、錠剤の錠剤コアは、1000mgのデフェリプロン及び28.5mgのHPMCASを含む。
【0058】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約600mgのデフェリプロン及び約30mgの腸溶性ポリマー(例、HPMCAS)を含む。特に、錠剤の錠剤コアは、600mgのデフェリプロン及び29.5mgのHPMCASを含む。
【0059】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約400mgのデフェリプロン及び約20から約30mgの腸溶性ポリマー(例、HPMCAS)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約600mgのデフェリプロン及び約20mgから約30mgの腸溶性ポリマー(例、HPMCAS)を含む。
【0060】
一部の実施形態では、コアは1つ又は複数の塩基性賦形剤を含む。一部の実施形態では、塩基性賦形剤は、メグルミン、金属酸化物、金属水酸化物、弱酸の塩基性塩、及びそれらの組み合わせからなる群より選択する。金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、及び酸化亜鉛を含むが、これらに限定しない。金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムを含むが、これらに限定しない。弱酸の塩基性塩は、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、及びクエン酸塩のナトリウム塩又はカリウム塩を含むが、これらに限定しない。特定の実施形態では、塩基性賦形剤は、酸化マグネシウム、メグルミン、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、塩基性賦形剤は酸化マグネシウムである。
【0061】
一部の実施形態では、塩基性賦形剤は、コアの総重量の約1~10%、約1~5%、約1~4%、約2~8%、約2~6%、約2~5%、約2~4%、約3~5%、約3~4%、又は約4~5%である。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、コアの総重量の約3%、約4%、又は約5%の量の酸化マグネシウムを含む。一部の実施形態では、塩基性賦形剤は、コアの総重量の約4.5%である。一部の実施形態では、塩基性賦形剤は、コアの総重量の約3.7%である。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、90mg、又は100mgの塩基性賦形剤、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲、例えば、約5~100mg、5~80mg、10~60mg、40~60mg、又は20~30mgの塩基性賦形剤を含む。
【0063】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約1000mgのデフェリプロン及び約50mgの塩基性賦形剤(例、酸化マグネシウム)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約600mgのデフェリプロン及び約25mgの塩基性賦形剤(例、酸化マグネシウム)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約400mgのデフェリプロン及び約10から約20mgの塩基性賦形剤(例、酸化マグネシウム)を含む。
【0064】
一部の実施形態では、錠剤コアは崩壊剤を含まない。
【0065】
一部の実施形態では、錠剤コアは、本明細書中に記載する腸溶性コーティングを用いてコーティングする。一部の実施形態では、コアは、コーティング中の腸溶性ポリマーと同じ又は異なる腸溶性ポリマーを含む。
【0066】
一部の実施形態では、コアは、錠剤の総重量の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%である。
【0067】
一部の実施形態では、錠剤コア中に含まれる他の賦形剤は、充填剤、結合剤(例、錠剤の硬度を増加させるため)、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムなど(例、錠剤への圧縮の間での用具への付着を防止するため)、流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素など(例、錠剤化過程における流動を改善するため)、及びそれらの組み合わせより選択する。
【0068】
一部の実施形態では、コアは、流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素などを含む。一部の実施形態では、流動促進剤は、コアの約1重量%、0.5重量%、0.45、0.4重量%、0.35重量%、0.3重量%、0.25重量%、0.2重量%、0.1重量%、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲、例えば、コアの約0.2~0.5重量%、0.2~0.4重量%、0.2~0.3重量%、0.3~0.5重量%、0.3~0.4重量%、又は0.4~0.5重量%である。一部の実施形態では、コアは、約0.45重量%の流動促進剤(例、コロイド状二酸化ケイ素)を含む。一部の実施形態では、コアは、約0.3重量%の流動促進剤(例、コロイド状二酸化ケイ素)を含む。
【0069】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約1000mgのデフェリプロン及び約5mgの流動促進剤(例、コロイド状二酸化ケイ素)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約600mgのデフェリプロン及び約2mgの流動促進剤(例、コロイド状二酸化ケイ素)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約400mgのデフェリプロン及び約1mgから約2mgの流動促進剤(例、コロイド状二酸化ケイ素)を含む。
【0070】
一部の実施形態では、コアは、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、又はタルクなどを含む。一部の実施形態では、コアは、潤滑剤としてステアリン酸マグネシウムを含む。
【0071】
一部の実施形態では、潤滑剤は、コアの約0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、又は2重量%、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲、例えば、コアの0.5~1重量%、0.5~2重量%、0.6~2重量%、0.7~2重量%、1~1.5重量%、1.2~1.7重量%、又は1.5~2重量%である。一部の実施形態では、コアは、約0.6重量%の潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム)を含む。一部の実施形態では、コアは、約1.5重量%の潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム)を含む。
【0072】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約2mg、3mg、4mg、5mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、21mg、22mg、23mg、24mg、又は25mgの潤滑剤、あるいは前述の値の任意の2つ間の範囲、例えば、約2~25mg、2~10mg、2~8mg、2~6mg、7~20mg、10~20mg、又は15~20mgの潤滑剤を含む。
【0073】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約1000mgのデフェリプロン及び約17mgの潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約600mgのデフェリプロン及び約4mgの潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、約400mgのデフェリプロン及び約1mgから約4mgの潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム)を含む。
【0074】
一部の実施形態では、コアは、HPMCアセテートスクシネート、酸化マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、及び約1000mgのデフェリプロンを含む。
【0075】
一部の実施形態では、コアは、HPMCアセテートスクシネート、酸化マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、及び約600mgのデフェリプロンを含む。
【0076】
一部の実施形態では、コアは、HPMCアセテートスクシネート、酸化マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、及び約400mgのデフェリプロンを含む。
【0077】
IV.腸溶性コーティング
本開示の特定の態様では、組成物(例、錠剤)は、腸溶性コーティングを含むことができる。そのようなコーティングは、胃刺激を低下させるのに役立つことができる。腸溶性コーティングは、錠剤が腸に達するまで、錠剤コアからの溶解を遅らせることができる。本開示は、活性医薬成分(例、デフェリプロン)又はその医薬的に許容可能な塩を含むコア及び腸溶性コーティングを含む組成物(例、遅延放出錠剤)に関する。
【0078】
腸溶性コーティングのための適切な腸溶性ポリマーは、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(また、ヒプロメロースアセテートスクシナート又はHPMCASとも称される)、HPMCフタレート(また、ヒプロメロースフタレートとも称される)、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セラック、ゼイン、メタクリル酸コポリマー(例、メタクリル酸コポリマータイプC分散物30%)、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせを含む。
【0079】
一部の実施形態では、腸溶性コーティング中の好ましい腸溶性ポリマーは、HPMCアセテートスクシネート及びメタクリル酸コポリマー水性分散物(例、メタクリル酸コポリマータイプC)である。
【0080】
一部の実施形態では、コーティング中の腸溶性ポリマーは、錠剤の約0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、又は4重量%、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲、例えば、錠剤の0.5~1重量%、0.5~2重量%、0.5~3重量%、0.5~4重量%、0.6~1重量%、0.6~2重量%、0.6~3重量%、0.6~4重量%、0.7~1重量%、0.7~2重量%、0.7~3重量%、0.7~4重量%、1~1.5重量%、1.1~1.7重量%、1~2重量%、1.5~2重量%、1~3重量%、1~3.5重量%、又は1~4重量%である。一部の実施形態では、コーティング中の腸溶性ポリマー(例、メタクリル酸コポリマー)は、錠剤の約0.8重量%である。一部の実施形態では、コーティング中の腸溶性ポリマー(例、メタクリル酸コポリマー)は、錠剤(例、メタクリル酸コポリマー)の約1.4重量%である。
【0081】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、約5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、25mg、又は30mgの腸溶性ポリマー、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲、例えば、約5~20mg、7~20mg、7~30mg、8~15mg、又は8~10mgの腸溶性ポリマーを含む。
【0082】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出DR錠剤)は、コーティング中に約1000mgのデフェリプロン及び約9mgの腸溶性ポリマー、例えば、メタクリル酸コポリマー(約31mgの分散物から)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、コーティング中に約600mgのデフェリプロン及び約9mgの腸溶性ポリマー、例えば、メタクリル酸コポリマー(約31mgの分散液から)を含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)の錠剤コアは、コーティング中に約400mgのデフェリプロン及び約9mgの腸溶性ポリマー、例えば、メタクリル酸コポリマー(約31mgの分散液から)を含む。
【0083】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、腸溶性ポリマーに加えて、他の賦形剤(例えば、可塑剤、潤滑剤、又は粘着防止剤、例えばタルク、乳白剤、着色剤、希釈剤、もしくはそれらの任意の組み合わせなどを含む)を含む。
【0084】
一部の実施形態では、腸溶性コーティング可塑剤は、ジエチルフタレート、クエン酸エステル(例、クエン酸トリエチル)、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、アセチル化クエン酸エステル、セバシン酸ジブチル、ヒマシ油、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0085】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、約0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、又は5mgの可塑剤、あるいは前述の値の任意の2つの間の範囲、例えば、約0.5~5mg、0.7~2mg、又は0.8~1.2mgの可塑剤を含む。
【0086】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、希釈剤(例、ラクトース、スクロース、フルクトース、マンニトールなど、又はそれらの組み合わせ)を含む。一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、潤滑剤又は粘着防止剤としてタルクを含む。
【0087】
本願の特定の態様は、1000mgのデフェリプロン、腸溶性ポリマー、pH調整剤、流動促進剤、及び潤滑剤を含むコア;ならびに、可塑剤、希釈剤、粘着防止剤、及び腸溶性ポリマーを含むコーティングを含む組成物(例、遅延放出錠剤)に関する。一部の実施形態では、コアは、1000mgのデフェリプロン、HPMCAS-LF、酸化マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムを含み;ならびに、コーティングは、クエン酸トリエチル、スクロース、タルク、及びメタクリル酸コポリマー分散物を含む。さらなる実施形態では、組成物(例、遅延放出錠剤)のコアは、1000mgのデフェリプロン、28mgのHPMCAS-LF、50mgの酸化マグネシウム、4.8mg(2.6mg + 2.2mg)のコロイド状二酸化ケイ素、17.2mgのステアリン酸マグネシウムを含み;ならびに、コーティングは、1.03mgのクエン酸トリエチル、3.09mgのスクロース、3.09mgのタルク、及び31mgのメタクリル酸コポリマー分散物を含む。
【0088】
本願の特定の態様は、600mgのデフェリプロン、腸溶性ポリマー、pH調整剤、流動促進剤、及び潤滑剤を含むコア;ならびに、可塑剤、希釈剤、粘着防止剤、及び腸溶性ポリマーを含むコーティングを含む組成物(例、遅延放出錠剤)に関する。一部の実施形態では、コアは、600mgのデフェリプロン、HPMCAS-LF、酸化マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含み;ならびに、コーティングは、クエン酸トリエチル、スクロース、タルク、及びメタクリル酸コポリマー分散物を含む。さらなる実施形態では、コアは、600mgのデフェリプロン、29.5mgのHPMCAS-LF、24.5mgの酸化マグネシウム、2mg(1mg + 1mg)のコロイド状二酸化ケイ素、及び4mgのステアリン酸マグネシウムを含み;ならびに、コーティングは、1.03mgのクエン酸トリエチル、3.09mgのスクロース、3.09mgのタルク、及び31mgのメタクリル酸コポリマー分散物を含む。
【0089】
一部の実施形態では、コアは、600mgのデフェリプロン、ヒプロメロースアセテートスクシナートAS-LF、酸化マグネシウムライト、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含み;ならびに、コーティングは、クエン酸トリエチル、スクロース、タルク、メタクリル酸コポリマー分散物、及び二酸化チタンを含む。さらなる実施形態では、コアは、600mgのデフェリプロン、29.5mgのヒプロメロースアセテートスクシナートAS-LF、24.5mgの酸化マグネシウムライト、2mg(1mg + 1mg)のコロイド状二酸化ケイ素、及び4mgのステアリン酸マグネシウムを含み;ならびに、コーティングは、1.032mgのクエン酸トリエチル、3.09mgのスクロース、2.09mgのタルク、30.96mgのメタクリル酸コポリマー分散物、及び8.5mgの二酸化チタンを含む。
【0090】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、錠剤の総重量の約1~20%、1~15%、1~10%、約1~9%、約1~8%、約1~7%、約1~6%、約1~5%、約1~4%、約1~3%、約1~2%、約0.5~5%、又は約0.5~2%の間である。一部の実施形態では、コーティングは、錠剤の総重量の7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、又は2%未満である。一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、錠剤の総重量の0.5%と5%の間である。一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、錠剤の総重量の0.5%と3%の間である。一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、錠剤の総重量の0.5%と2%の間である。一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、錠剤の総重量の0.5%と1.5%の間である。一部の実施形態では、コーティングは、錠剤の総重量の約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、又は約6%である。
【0091】
一部の実施形態では、コーティングは、錠剤の総重量の約1.5%である。一部の実施形態では、コーティングは、錠剤の総重量の約2.5%である。
【0092】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)は、約1000mgのデフェリプロン及び錠剤の約1.5重量%の腸溶性コーティングを含む。一部の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤(例、遅延放出錠剤)は、約600mgのデフェリプロン及び錠剤の約2.5重量%の腸溶性コーティングを含む。
【0093】
本開示の別の態様は、本開示の錠剤を被験者に投与することを含む、ヒト被験者におけるデフェリプロンの遅延放出のための方法に関し、そこで、錠剤は、本明細書中に開示するコア及び腸溶性コーティングを含み、全錠剤、半錠剤、又はそれらの組み合わせとして投与する。
【0094】
本開示の別の態様は、本開示の錠剤を被験者に投与することを含む、デフェリプロン処置を必要とするヒト被験者において胃不快感を低下させるための方法に関し、そこで、錠剤は、本明細書中に開示するコア及び腸溶性コーティングを含み、ならびに、錠剤は、全錠剤、半錠剤、又はそれらの組み合わせとして投与する。
【0095】
V.投薬
本開示は、本明細書中に記載する医薬組成物(例、遅延放出錠剤)を使用する方法のために有用な投薬レジメンを提供する。一部の実施形態では、本開示のデフェリプロン組成物は、それを必要とする被験者に1日1回、2回、又は3回投与する。特に、本開示のデフェリプロン組成物は、それを必要とする被験者に1日2回投与する。
【0096】
一部の実施形態では、それを必要とする被験者は、鉄過剰症(例、例えば、サラセミア、骨髄形成異常、又は鎌状赤血球症を患う被験者における輸血後鉄過剰症)を患っている。一部の実施形態では、それを必要とする被験者は、神経変性疾患(例、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、フリートライヒ運動失調、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(PKAN)、又は脳鉄蓄積を伴う神経変性(NBIA))を患っている。
【0097】
一部の実施形態では、それを必要とする被験者は、輸血後鉄過剰症である鉄過剰症を患っている。特定の態様では、被験者は輸血後鉄過剰症を患っており、以前のキレート治療は不十分である。特定の態様では、被験者は、輸血後鉄過剰症を患っており、20ミリ秒又はそれ以下(例、10ミリ秒)の心臓MRI T2を有する。
【0098】
一部の実施形態では、医薬組成物は経口送達用である(例、本開示の錠剤)。
【0099】
一部の態様では、本開示のDRデフェリプロン組成物(特に、錠剤組成物)は、1日2回投与する。IRデフェリプロン錠剤は患者に不便である。なぜなら、それらは、1日3回の投薬(TID投薬)を要求するためである。患者は一般的に、1日2回(BID)又は1日1回の投薬のレジメンを好む。TID投薬が要求されてきた1つの理由は、デフェリプロンの排出半減期がわずか約2時間であることである。デフェリプロンIR錠剤が摂取された後、デフェリプロン含量は胃腸管の上部から迅速に吸収され、経口投与の5~10分以内に血液中に出現する。ピーク血清濃度は、絶食時の健常被験者及び患者において単回用量後の約1時間に、摂食状態においては単回用量後の2時間までに生じる。排泄半減期が短いため、血清濃度は、投薬がTIDよりも低頻度である場合、次の用量の十分に前に治療有効レベルを下回るまで低下する。
【0100】
IRデフェリプロンに関連付けられる別の問題は、急性の胃不快感であり、それは数日又はそれより長く持続しうる。これは、相当な数の患者、例えば、胃不快感の結果として最初の数日中に医薬の服用を中止し、したがって、デフェリプロンの利益を諦める患者についての限定的な有害事象である。
【0101】
持続放出(ER)剤形は、一部の薬物について1日2回又は1日1回の投薬を可能にするために開発された。そのような剤形は、長期間、通常は、1日2回の投薬が意図された剤形については約5~10時間、及び1日1回の投薬が意図された剤形については約8~20時間にわたり徐々に活性薬物含量を放出するように設計されている。これは一般的には、回腸及び十二指腸を通して吸収される薬物についてだけ行うことができ、吸収の程度が、剤形が腸を通過する際に徐放により損なわれないようにする。
【0102】
ER剤形での問題は、最大(又はピーク)血清濃度(Cmax)に関連する。吸収期間を延ばすことにより(例えば、持続放出製剤の使用により)、Cmaxは、IR錠剤よりも最後はずっと低くなる。これは、特定の薬物(例えば鉄キレート剤など)の望ましい効果を達成する際に問題になりうるが、ここで、Cmax及び血清濃度対時間グラフ下の面積(AUC)の両方が有効性に影響を及ぼしうる。
【0103】
本開示の特定の態様は、同じ総1日投与量を使用したTID投薬用のIR錠剤と定常状態において生物学的に同等である、1日2回(BID)投薬用のデフェリプロン錠剤に関する。特定の実施形態では、BIDは、定常状態において生物学的に同等であり、そこで、少なくとも3日間の投薬後、AUCの平均比率(24時間にわたる)及び、TID用のIR錠剤と比べたBID投薬用の錠剤についてのCmaxの平均比率は80%から125%以内である。1日2回投薬用の錠剤は次に、被験者にIR錠剤と同じキレート利益を提供するが、しかし、1日2回投薬の特定の利点を伴う。BID投薬の利便性に加えて、このレジメンによって、患者、例えば、学校又は職場にそれらの日中の用量を持ち込まないことを選び、したがって、全1日用量のデフェリプロンの利益を失う患者においてコンプライアンスが増強される。
【0104】
特定の態様では、開示する製剤は、特定の血清濃度時間プロファイルを標的とし、本明細書中に開示する、改善された特性を達成するために利用する。
【0105】
本開示の特定の態様は、同じ総1日投与量を有するTID投与されたIR錠剤と比較した場合に以下の両方を提供する1日2回投与用の錠剤を提供することにより、Cmaxを達成することの利益を犠牲にすることなく、TID投薬に関連付けられる問題を克服することに関する:
i.IR錠剤と同様の吸収の程度、及び、したがって、同様の平均血清濃度;ならびに
ii.同様のピーク血清濃度(しかし、1日3回の代わりに1日2回生じるピークを伴う)。
【0106】
本開示の特定の態様は、同じ総1日投与量を有するTID投与されたIR錠剤と比較した場合に以下の両方を提供する1日2回投与用の錠剤を提供することにより、Cmaxを達成することの利益を犠牲にすることなく、TID投薬に関連付けられる問題を克服することに関する:
i.IR錠剤と同等の吸収の程度、及び、したがって、同様の平均血清濃度;ならびに
ii.同等のピーク血清濃度(しかし、1日3回の代わりに1日2回生じるピークを伴う)。
【0107】
本開示の別の態様は、放出の開始の遅延ならびに放出の持続時間の延長を示すが、しかし、終末半減期に影響を及ぼすことなく、したがって、血清中でのピーク及びトラフの達成を可能にする、1日2回投与用のデフェリプロンを含む錠剤製剤を提供することである。この利点は、全錠剤と半錠剤の両方に適用される。なぜなら、半錠剤の溶解速度が、全ての関連するpHで全錠剤の溶解速度と同様であるためであり、半錠剤が、単回用量の生物学的同等性試験において、絶食状態及び摂食状態の両方において全錠剤と生物学的に同等になる。
【0108】
本明細書中に示す結果はまた、定常状態において、本開示の遅延放出錠剤が、BID投与された場合、IR錠剤が1日当たり3回与えられた場合、Ferriprox(登録商標)のIR錠剤と同じ最大ピーク濃度(Cmax)を達成することができたこと、及び総吸収量(AUC)が、24時間にわたって両方の産物について同じであったことを実証する。このように、1日2回投薬の特定の利点、及び一部の例において、より少ない胃腸不快感が、有効性を損なうことなく得られる。
【0109】
「生物学的同等性」は、時間の経過にわたる、同じ用量で、及び同じ条件下で2つの医薬的薬物産物(例、テスト産物及び参照産物)の間のバイオアベイラビリティ、即ち、吸収の程度及びピーク濃度の間での有意差の非存在を指す。
【0110】
テスト産物が参照産物と生物学的に同等であるか否かの決定は、試験(生物学的同等性試験又は比較バイオアベイラビリティ試験と称される)を被験者の群(通常は約18~36人の被験者又はそれ以上)において制御された条件下で実施することにより決定する。
【0111】
試験は「クロスオーバー」計画において行うことができ、それは、試験が、薬物の半減期に部分的に依存して、2又はそれ以上の相(通常は少なくとも1週間離して)行われることを意味する。第1相では、半分の被験者が無作為に割り当てられ、テスト産物を最初に摂取し、他の半分は参照産物を最初に摂取する。第2相では、各々の被験者は代替産物を摂取する。
【0112】
各々の相において、血液サンプルは、テスト産物の摂取後、予め決定されたスケジュールで、各々の被験者から採取する。血液サンプルを次に分析し、各々の時点での薬物(テスト産物、例、デフェリプロン)の血清濃度を決定する。各々の被験者についての結果を次に、テスト産物及び参照産物の両方について収集し、以下を決定する:
・AUC-摂取後の選ばれた期間、例えば、24時間にわたる血清濃度に対する時間の曲線下の面積として定義する。
・AUCT又はAUC-血清濃度に対する摂取の時間から最後のサンプリング時間までの時間の曲線下の面積として定義する。
・AUCI又はAUC-血清濃度に対する摂取の時間から無限の時間までの時間の曲線下の面積として定義する(それは、AUC及び終末排出速度を使用して推定する)。
・Cmax-ピーク血清濃度として定義する。
・AUC比率-各々の被験者について算出された、テスト産物からのAUCと参照産物からのAUCの比率として定義する。
・Cmax比率-また、各々の被験者について算出された、テスト産物からのCmaxと参照産物からのCmaxの比率として定義する。
・平均AUC比率-全ての被験者についてのAUC比率の対数の平均の真数として定義する。
・平均Cmax比率-全ての被験者についてのCmax比率の対数の平均の真数として定義する。
【0113】
「同等の吸収の程度」は、通常は18又はそれ以上の被験者において行われた試験において、参照産物に対するテスト産物について算出された80%と125%の間の平均AUC比率として定義する。
【0114】
「同等のピーク濃度」は、通常は18又はそれ以上の被験者において行われた試験において、参照産物に対するテスト産物について算出された80%と125%の間の平均Cmax比率として定義する。
【0115】
同等の吸収の程度及び同等のピーク濃度の両方の達成は、生物学的に同等と見なされなければならない。
【0116】
任意のバイオアベイラビリティーパラメーターについて、テスト産物において測定されたパラメーターと参照産物において測定されたパラメーターの「真の」平均比率を、無限の数の被験者における試験で見出されうる平均比率として定義する。試験を無限の数の被験者において行うことはできないため、任意の試験において決定された平均比率は、真の平均比率の推定だけである。試験における被験者者の数が増加するにつれて、平均比率の結果は一般的に、真の平均比率のより良好な推定になる。本明細書中で他に明記しない限り、参照産物のパラメーターに対する特定のパラメーターの比率を有する産物への言及は、少なくとも18人の被験者における試験で決定された平均値を意味すると理解されるであろう。
【0117】
生物学的同等性試験は、絶食状態又は摂食状態のいずれかで、単回用量試験として行うことができる。絶食状態で行われた試験では、産物は、食物と一緒にではなく、通常は少なくとも食事の数時間前又は後に摂取される。試験が摂食状態で行われる場合、産物は、食事と一緒に、又は食事の直ぐ後に摂取される。一部の実施形態では、生物学的同等性試験は、単回用量又は定常状態でありうる。単回用量試験では、各々の被験者は、各々の相において摂取されている産物の1用量だけを受けるが、その用量は、試験されている用量のサイズに依存し、1を上回る錠剤を含みうる。定常状態試験では、被験者は、テストされている投薬スケジュールレジメン(例えば、1日2回又は3回)での用量を、定常状態に達するまで少なくとも数用量摂取し、次に、血液サンプルを、予め決定された期間にわたり、通常は1日にわたり採取する。改変放出製剤の評価については、遅延放出又は持続放出を問わず、食品の存在において、定常状態を達成するための数用量(慢性投薬の間の効果をシミュレートするため)に続く試験がしばしば行われる。
【0118】
最近食事を摂取した患者への錠剤の投与によって、吸収の速度及び程度が変わりうるが、医薬を、食事と一緒に服用する場合、食品と一緒のIR錠剤と比較して、食事と一緒の遅延放出錠剤の吸収の速度及び程度を特徴付けることが重要になりうる。
【0119】
生物学的同等性試験はまた、少なくとも数日間の投薬にわたり行い、2つの産物が、数日間の投薬後に「定常状態」において生物学的に同等か否かを決定する複数用量試験として行うことができる。本明細書中で使用する「定常状態」は、薬物投入の速度が薬物排泄の速度に等しい場合に達成され、反復用量の投与に続く被験者における薬物濃度におけるさらなる増加がないにより決定される。「定常状態における生物学的に同等な」は、テスト産物の少なくとも3日間の投薬後、AUCの平均比率(24時間にわたる)及びCmaxの平均比率が、参照産物についてのそれらの80%から125%内であることを意味すると理解されるであろう。
【0120】
一部の実施形態では、本開示は、例えば、以下の実施例において例証するように、1日3回服用されたIR錠剤の同じ1日用量と定常状態において生物学的に同等である1日2回投薬用の組成物(例、遅延放出錠剤)を提供する。
【0121】
本開示の特定の態様は、1日2回の投与によって、IR錠剤と同じ1日3回投与される総1日投与量と比較した場合、少なくとも定常状態の試験において、同等の程度の吸収が提供されるデフェリプロンを含む経口投与用の錠剤に関する。
【0122】
本開示の特定の態様は、1日2回の投与によって、IR錠剤と同じ1日3回投与される総1日投与量と比較した場合、少なくとも定常状態の試験において、同等のピーク血清濃度が提供されるデフェリプロンを含む経口投与用の錠剤に関する。
【0123】
本開示の特定の態様は、前述のように、同等の吸収の程度及び/又は吸収の速度の特徴が、全錠剤だけでなく、半錠剤についても満たされ、半錠剤を用いた投薬を可能にするデフェリプロンを含むBID経口投与用の錠剤に関する。一部の実施形態では、錠剤は、好ましくは、半錠剤への破砕を促進するために、割線を用いてデボス加工されている。例えば、全錠剤が約1000mgのデフェリプロンを含み、半錠剤が約500mgのデフェリプロンを含む場合、約1500mgの用量は、1つの全錠剤に加えて1つの半錠剤として服用することができ、及び総1日用量の3000mgを、BID投薬を用いて達成することができる。
【0124】
一部の実施形態では、所望の吸収の特徴を達成するために、本開示の錠剤は、インビトロ溶解テストにより示されるような所望の溶解速度を示すように製剤化する。本明細書中の溶解テストへの言及は、他に示さない限り、900mLの媒体(即ち、0.1N塩酸(HCl)、0.5Mリン酸緩衝液(pH4.5)、及び0.5Mリン酸緩衝液(pH6.8)中の75rpmでのUSP装置2におけるテストを意味すると理解することができる。明記する溶解結果は、6又はそれ以上の錠剤での平均結果を意味すると理解される。
【0125】
本開示の特定の態様は、pH4.5中の60分での溶解が、約55%と約90%の間、約60%と約90%の間、又は約65%と約85%の間である、デフェリプロンを含むコアを含むヒト被験者への経口投与用の半錠剤又は全錠剤に関する。
【0126】
本開示の特定の態様は、pH6.8中の60分での溶解が、約55%と約90%の間、約60%と約90%の間、又は約65%と約85%の間である、デフェリプロンを含むコアを含むヒト被験者への経口投与用の半錠剤又は全錠剤に関する。
【0127】
一部の態様では、デフェリプロンの約100%が、USP装置タイプIIパドル方法により900mL(pH6.8又は4.5)中75rpmで測定した場合、約90分以内に放出される。一部の態様では、デフェリプロンの約50%が、USP装置タイプIIパドル方法により900mL(pH6.8又は4.5)中75rpmで測定した場合、約30分以内に放出される。
【0128】
また、本開示の特定の態様は、0.1N HCl中の60分での溶解が20%を下回る又は10%を下回る、デフェリプロンを含むコアを含むヒト被験者への経口投与用の半錠剤又は全錠剤に関する。
【0129】
一部の実施形態では、本開示の錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、絶食状態において3.5時間と6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される。
【0130】
一部の実施形態では、本開示の錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、摂食状態において3.5時間と6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される。一部の実施形態では、錠剤は1000mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、錠剤は600mgのデフェリプロンを含む。一部の実施形態では、平均Cmaxは、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.670μg/mLと13.232μg/mLの間である。一部の実施形態では、Tmaxの中央値は、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33時間と4.00時間の間である。一部の実施形態では、Tmaxの中央値は、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.00時間と8.00時間の間である。一部の実施形態では、Tmaxの中央値は、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33時間と6.03時間の間である。一部の実施形態では、AUC/Cmaxの比率は、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.858時間と6.596時間の間である。一部の実施形態では、AUC/Cmaxの比率は、錠剤がヒト被験者に投与される場合、3.225時間と8.506時間の間である。
【0131】
一部の実施形態では、投薬は、鉄過剰症(例、輸血後鉄過剰症、例、サラセミア、骨髄形成異常、又は鎌状赤血球症を患う被験者における輸血後鉄過剰症)を患う被験者を処置するためである。本開示の特定の態様は、本明細書中に記載するような鉄過剰症を処置する方法のために有用な投与レジメンに関する。鉄過剰症を処置するための方法の一部の実施形態では、1日当たりに投与されるデフェリプロンの総量は、約1mg/kg/日から約200mg/kg/日、約1mg/kg/日から約150mg/kg/日、約20mg/kg/日から約150mg/kg/日、約50mg/kg/日から約125mg/kg/日、又は約50mg/kg/日から約100mg/kg/日である。一部の実施形態では、投与は1日1回、2回、又は3回である。一部の実施形態では、鉄過剰症の処置のための投薬は、約1mg/kgから約150mg/kg、約20mg/kgから約150mg/kg、25mg/kgから約125mg/kg、又は約50mg/kgから約100mg/kgの1日2回(BID)である。
【0132】
一部の実施形態では、投薬は、神経変性疾患、例えば、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、フリートライヒ運動失調、パントテン酸キナーゼ関連神経変性(PKAN)、又は脳の鉄蓄積を伴う神経変性(NBIA)を患う被験者を処置するためである。一部の実施形態では、本開示のデフェリプロン組成物(IR又はDR組成物)は、神経変性疾患、例えば、パーキンソン病、ALS、ハンチントン病、フリードライヒ運動失調症、パントテン酸キナーゼ関連神経変性(PKAN)、又は脳の鉄蓄積を伴う神経変性(NBIA)を患う被験者に1日1回、2回、又は3回投与される。一部の実施形態では、被験者はALSを患っている。一部の実施形態では、被験者はハンチントン病を患っている。一部の実施形態では、被験者はパーキンソン病を患っている。
【0133】
本開示の特定の態様は、本明細書中に記載する神経変性疾患を処置する方法のために有用な投薬レジメンに関する。神経変性疾患を処置するための方法の一部の実施形態では、1日当たりに投与されるデフェリプロンの総量は、約1mg/kg/日から約200mg/kg/日、約1mg/kg/日から約150mg/kg/日、約1mg/kg/日から約100mg/kg/日、約1mg/kg/日から約50mg/kg/日、約1mg/kg/日から約40mg/kg/日、約1mg/kg/日から約30mg/kg/日、約1mg/kg/日から約20mg/kg/日、約1mg/kg/日から約15mg/kg/日、約1mg/kg/日から約10mg/kg/日、又は約1mg/kg/日から5mg/kg/日である。一部の実施形態では、投与は1日1回、2回、又は3回である。一部の実施形態では、神経変性疾患の処置のための投薬は、約1mg/kgから約100mg/kg、約1mg/kgから約50mg/kg、1mg/kgから約40mg/kg、約1mg/kgから約25mg/kg、又は約1mg/kgから約20mg/kgの1日2回(BID)である。
【0134】
本方法の一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)中のデフェリプロンの量は、約100mgから約1500mg、約200mgから約1500mg、約400mgから約1500mg、約600mgから約1500mg、約800mgから約1500mg、約1200mgから約1500mg、約200mgから約1200mg、約400mgから約1200mg、約600mgから約1200mg、約800mgから約1200mg、約200mgから約1000mg、約400mgから約1000mg、約600mgから約1000mg、約800mgから約1000mg、約200mgから約800mg、約400mgから約800mg、約600mgから約800mg、約200mgから約600mg、約400mgから約600mg、又は約200mgから約400mgである。本方法の一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)中のデフェリプロンの量は、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、又はそれらの値の任意の範囲である。特に、組成物(例、錠剤)中のデフェリプロンの量は、600mg又は1000mgのデフェリプロンである。一部の実施形態では、錠剤中のデフェリプロンの量は、1000mgのデフェリプロンである。一部の実施形態では、錠剤中のデフェリプロンの量は、600mgのデフェリプロンである。
【0135】
本方法の一部の実施形態では、デフェリプロンの総1日用量は、約100mg/日から約3000mg/日、約200mg/日から約3000mg/日、約400mg/日から約2400mg/日、約600mg/日から約2400mg/日、約800mg/日から約2400mg/日、約1200mg/日から約2400mg/日、約1600mg/日から約2400mg/日、約1800mg/日から約2400mg/日、約2000mg/日から約2400mg/日、約400mg/日から約2000mg/日、約600mg/日から約2000mg/日、約800mg/日から約2000mg/日、約1200mg/日から約2000mg/日、約1600mg/日から約2000mg/日、約1800mg/日から約2000mg/日、約400mg/日から約1800mg/日、約600mg/日から約1800mg/日、約800mg/日から約1800mg/日、約1200mg/日から約1800mg/日、約1600mg/日から約1800mg/日、約400mg/日から約1600mg/日、約600mg/日から約1600mg/日、約800mg/日から約1600mg/日、約1200mg/日から約1600mg/日、約400mg/日から約1200mg/日、約600mg/日から約1200mg/日、約800mg/日から約1200mg/日、約400mg/日から約800mg/日、約600mg/日から約800mg/日、又は約400mg/日から約600mg/日である。本方法の一部の実施形態では、デフェリプロンの総1日用量は、約200mg/日、約400mg/日、約600mg/日、約800mg/日、約1000mg/日、約1200mg/日、約1400mg/日、約1600mg/日、約1800mg/日、約2000mg/日、約2200mg/日、約2400mg/日、約2600mg/日、約2800mg/日、約3000mg/日、又はそれらの値の範囲である。
【0136】
本方法の一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)は、1日に1回、2回、又は3回投与する。一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)は、約100mg、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1200mg、約1600mg、約1800mg、約2000mg、約2200mg、又は約2400mgのデフェリプロンを含み、及び1日1回、2回、又は3回投与する。一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)は、約600mgのデフェリプロンを含み、及び1日1回又は2回投与する。
【0137】
一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)は、約100、200、300、又は400mgのデフェリプロンを含み、及び1日1回、2回、又は3回投与する。一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)は、約400mgのデフェリプロンを含み、及び1日1回、2回、又は3回投与する。一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)は、約500mgのデフェリプロンを含み、及び1日1回、2回、又は3回投与する。一部の実施形態では、組成物(例、錠剤)は、約1000mgのデフェリプロンを含み、及び1日1回、2回、又は3回投与する。
【0138】
本明細書中に開示するそのような実施形態は、胃不快感のリスクを回避する、もしくは低下させる、及び/又は被験者(例、サラセミア、骨髄形成異常、又は鎌状赤血球症を患う)における鉄過剰症、もしくは神経変性疾患(例、筋萎縮性側索硬化症)を処置するために使用することができる。
【0139】
VI.作製の方法
一部の実施形態では、医薬組成物を経口送達用に調製する。一部の態様では、本開示は、本明細書中に開示する遅延放出デフェリプロン錠剤を作製することに関する。
【0140】
一部の実施形態では、遅延放出デフェリプロン錠剤を作製する方法は、(a)デフェリプロン及び1つ又は複数の賦形剤を混合すること;(b)(a)の混合物を錠剤コアに圧縮すること;及び(c)腸溶性コーティング懸濁液又は溶液を用いて錠剤コアをコーティングすることを含む。この方法は、(d)錠剤コアに割線を入れることをさらに含みうる。
【0141】
一部の実施形態では、腸溶性コーティング溶液又は懸濁液を用いてコアをコーティングするための方法は、スプレーコーティングを含む。スプレーコーティングによるコーティングの場合において、操作は、一般的なコーティング方法に従って実施することができ、例えば、錠剤コアを、例えば、流動床コーティング方法、パンコーティング方法などに従って腸溶性コーティング溶液又は懸濁液を用いてスプレーコーティングする。
【0142】
一部の実施形態では、腸溶性コーティング溶液又は懸濁液は、腸溶性ポリマーを含む。一部の実施形態では、腸溶性ポリマーは、腸溶性コーティング溶液又は懸濁液の約1~50%、約1~40%、約5~40%、又は約5~30%である。一部の実施形態では、腸溶性ポリマーは、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約20~80%、約25~75%、又は約30~70%である。一部の実施形態では、腸溶性ポリマーは、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約50~60重量%である。一部の実施形態では、腸溶性ポリマーは、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約55重量%である。
【0143】
一部の実施形態では、腸溶性コーティング懸濁液又は溶液は、可塑剤、例えばジエチルフタレート、クエン酸エステル(例、クエン酸トリエチル)、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、グリセリン脂肪酸エステル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アセチル化クエン酸エステル、セバシン酸ジブチル、ヒマシ油、又はそれらの組み合わせなどを含む。
【0144】
一部の実施形態では、可塑剤は、腸溶性コーティング懸濁液又は溶液の約0.1~10%、約0.1~5%、約0.5~5%、又は約0.5~2%である。一部の実施形態では、可塑剤は、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約1~10重量%又は約4~8重量%である。一部の実施形態では、可塑剤は、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約6重量%である。
【0145】
一部の実施形態では、腸溶性コーティング懸濁液又は溶液は、潤滑剤又は粘着防止剤(例、タルク)を含む。
【0146】
一部の実施形態では、潤滑剤又は粘着防止剤は、腸溶性コーティング懸濁液又は溶液の約0.5~10%、約0.5~8%、約0.5~5%、又は約1~5%である。一部の実施形態では、潤滑剤又は粘着防止剤は、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約10~30重量%又は約15~25重量%である。一部の実施形態では、潤滑剤又は粘着防止剤は、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約20重量%である。
【0147】
一部の実施形態では、腸溶性コーティング懸濁液又は溶液は、希釈剤、例えば、糖(例、ラクトース、スクロース、フルクトース、マンニトール、及びそれらの混合物)をさらに含むことができる。
【0148】
一部の実施形態では、希釈剤は、腸溶性コーティング懸濁液又は溶液の約0.5~10%、約0.5~8%、約0.5~5%、又は約1~5%である。一部の実施形態では、希釈剤は、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約10~30重量%又は約15~25重量%である。一部の実施形態では、希釈剤は、コーティングが乾燥した場合、腸溶性コーティングの約20重量%である。
【0149】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングは、有機溶媒もしくは水性溶媒又はそれらの混合物中の溶液又はラテックス懸濁液として適用することができる。溶媒、例えば水、低級アルコール、低級塩素化炭化水素、ケトン、又はそれらの混合物などを使用することができる。
【0150】
一部の実施形態では、溶媒は、腸溶性コーティング溶液又は懸濁液の約20~80%、約30~80%、約40~80%、又は約50~75%である。
【0151】
一部の実施形態では、少なくとも1つのイオン性、非イオン性、又はポリマー界面活性剤を、腸溶性コーティング懸濁液又は溶液に安定剤として加えることができる。界面活性剤の適切な例は、ジエタノールアミン、脂肪酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、モノエタノールアミン、ノノキシノール、オクトキシノール、オレイン酸、ポロキサマー、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシ脂肪酸、ポリオキシル炭化水素エーテル、ポリソルベート(例、ポリソルベート80など)、ポビドン、脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、トロラミンなどを含むが、しかし、これらに限定しない。
【0152】
一部の実施形態では、腸溶性コーティング溶液又は懸濁液は、可塑剤、希釈剤、潤滑剤又は粘着防止剤、及び腸溶性ポリマーを含む。
【0153】
コーティング後、一部の実施形態では、帯電防止剤(例えばタルクなど)も使用することができる。
【0154】
本明細書中に開示する方法を使用し、本明細書中に開示する錠剤コアを、コーティング層を用いてコーティングすることにより、経口投与後の初期段階の間での胃の近傍における溶解に対応する酸性pH(例、pH1~4)での腸溶性顆粒からの生理活性物質の即時溶解が抑制され、小腸における、及びその後、特に十二指腸から回腸における溶解に対応する弱酸性から弱アルカリ性のpH(例、pH4.5から8)での生理活性物質のその後の溶解が促進される。特に、投与後の初期段階の間での溶解をより厳密に制御することが可能である。
【0155】
VII.使用の方法
本開示は、本明細書中に開示する医薬組成物を使用する方法を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は経口送達用である。好ましくは、医薬組成物は経口送達用の錠剤である。一部の実施形態では、医薬組成物は錠剤(例、本明細書中に開示する遅延放出錠剤)である。
【0156】
例えば、デフェリプロンの即時放出錠剤(Ferriprox(登録商標))に伴う最も一般的な有害事象は、それによって著しい胃不快感が起こることである。そのような不快によって、患者が医薬を服用することを控え、患者の状態の悪化に導きうる。また、GI不快感によって、健康関連の生活の質が損なわれ、身体的、精神的、社会的な不快感に導きうる。Spiegel, Am J Gastroenterol. 2011 Mar;106(3):380-5を、参照によりその全体において本明細書中に組み入れる。一部の実施形態では、本開示の組成物(例、遅延放出錠剤)を、胃不快感(デフェリプロンを用いた治療を開始する患者の約15~30%において生じる問題)を低下させるように製剤化する。一部の実施形態では、本明細書中に開示する組成物(例、遅延放出錠剤)は、胃中での無視できる溶解性を有し、胃不快感を最小限にし、しかし、腸において十分な迅速溶解を達成し、腸における所望の放出速度を可能にする。一部の実施形態では、本明細書中に開示する組成物(例、遅延放出錠剤)は、胃中での無視できる溶解性を有し、胃不快感を最小限にし、しかし、デフェリプロンの即時放出錠剤と同様の、しかし同一ではない(約1時間の遅延時間の追加を伴う)血清濃度時間プロファイルをインビボで達成する。
【0157】
本開示の特定の実施形態は、本明細書中に開示する錠剤(例、割線が入れられた遅延放出デフェリプロン錠剤)(例、全錠剤、半錠剤、又はそれらの組み合わせ)を投与することを含む、デフェリプロン処置を必要とするヒト被験者における胃不快感を低下させるための方法に関する。
【0158】
本開示の特定の実施形態は、本明細書中に開示する錠剤(例、全錠剤、半錠剤、又はそれらの組み合わせ)を投与することを含む、ヒト被験者におけるデフェリプロンの遅延放出のための方法に関する。本開示の特定の実施形態は、本明細書中に開示する錠剤(例、割線が入れられた遅延放出デフェリプロン錠剤)(例、全錠剤、半錠剤、又はそれらの組み合わせ)を投与することを含む、ヒト被験者(例えば、デフェリプロンが望まれる場合)において医学的状態を処置する方法に関する。
【0159】
本開示の組成物(例、遅延放出錠剤)は、生存(例えばヘモグロビン異常症など、サラセミア及び鎌状赤血球症を含む)のために輸血を要求する患者、又は赤血球形成能の二次破壊を有する患者(例えば骨髄形成異常を伴う患者など)において特に有用でありうる。
【0160】
デフェリプロン即時放出錠剤(Ferriprox(登録商標))は現在、身体、組織、又は細胞における高濃度の鉄の毒性を最小限にするために使用されている。サラセミアは、ヘモグロビンの異常な形成により特徴付けられる遺伝性の常染色体劣性血液障害の一種である。異常なヘモグロビンは、不十分な酸素輸送及び赤血球の破壊の加速を招く。サラセミアを伴う人々は、通常よりも少ないヘモグロビンを作り、より少ない循環赤血球を有し、それは中等度から重度の貧血を招く。患者は、彼らのサラセミアを処置するために、典型的には2~4週間毎に生涯にわたる輸血を要求し、各々の輸血が、身体中への鉄の増加(6ヵ月にわたって腸において食物から通常吸収される量と同等)を招く。鉄についての排泄経路はないため、この過剰は、特に肝臓及び他のより感受性のある組織中で鉄過剰症を起こし、結果としての内分泌障害及び鉄誘発性の心臓血管疾患を伴う。
【0161】
鉄過剰症は、定期的なキレート治療を要求する鎌状赤血球症(SCD)患者において生じる。Voskaridou et al., Ann Hematol. 2005 Jul; 84(7): 434-40を、参照によりその全体において本明細書中に組み入れる。鎌状赤血球症は異なるヘモグロビン異常症であるが、生存するために輸血を要求する鎌状赤血球症を伴う患者はまた、鉄毒性を患う。これはまた、反復輸血を要求する骨髄形成異常を伴う患者における場合である。
【0162】
一部の実施形態では、本開示の組成物(例、遅延放出錠剤)により処置される医学的状態は、鉄過剰症である。一部の態様では、組成物(例、遅延放出錠剤)により処置される医学的状態は、以前のキレート治療が不十分である被験者における輸血後鉄過剰症である。一部の態様では、組成物(例、遅延放出錠剤)により処置される医学的状態は、20ミリ秒又はそれ以下(例、10ミリ秒)の心臓MRI T2を有する被験者における輸血後鉄過剰症である。一部の実施形態では、本開示の組成物(例、遅延放出錠剤)により処置される医学的状態は、サラセミアを伴う輸血患者におけるものである。一部の実施形態では、本開示の組成物(例、遅延放出錠剤)は、鎌状赤血球症を伴う患者の輸血後鉄過剰症を処置するために使用する。一部の実施形態では、本開示の錠剤(例、割線が入れられた遅延放出デフェリプロン錠剤)は、骨髄形成異常を伴う患者における輸血後鉄過剰症を処置するために使用する。
【0163】
本開示の組成物(例、遅延放出錠剤)はまた、神経変性疾患、例えばパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、又はハンチントン病などを伴う患者において特に有用でありうる。なぜなら、錠剤が胃中では溶解せず、したがって、一部の例において、デフェリプロンを開始する患者において顕著である嘔気及び嘔吐を伴う胃不快感を最小限にするからである。等しく重要なこととして、本開示のDR錠剤は、IR錠剤及び他の公知のデフェリプロン錠剤ほどには迅速に吸収されず、GI不快感に寄与しうる嘔気及び嘔吐をより少なく導く。しかし、本開示のDR錠剤は十二指腸に達した後に十分に迅速に吸収され、脳中への容易な浸透を可能にし、それによりデフェリプロンがパーキンソン病、ALS、ハンチントン病、及び他の神経変性疾患(そこで、鉄の局所的な蓄積が疾患の病理に寄与する)においてその有益な効果を示すことを可能にする。
【0164】
パーキンソン病は中枢神経系の変性疾患である。パーキンソン病の運動症状は、黒質(中脳の領域)におけるドーパミン生成細胞の死に起因する。疾患の経過における初期に、最も明白な症状は、運動関連であり、例えば、振戦、硬直、動作緩慢、ならびに歩行及び足取りの困難である。疾患の経過における後期に、思考及び行動の問題が生じうるが、疾患の進行段階において一般に生じる認知症を伴い、うつ病が最も一般的な精神症状である。他の症状は、感覚、睡眠、及び感情的な問題を含む。パーキンソン病は高齢の人々においてより一般的であり、大半の症例は50歳以降に生じる。
【0165】
パーキンソン病の病理は、中脳の部分内の特定のニューロンにおいて産生されるドーパミンの不十分な形成及び活動とともに、ニューロンにおけるレビー小体と呼ばれる封入体中へのアルファ-シヌクレインと呼ばれるタンパク質の蓄積により特徴付けられる。レビー小体の解剖学的分布は、しばしば、各々の個人の臨床症状の発現及び程度に直接的に関連する。典型的な症例の診断は、主に症状に基づき、検査(例えば神経画像など)が確認のために使用される。
【0166】
疾患の初期の運動症状は、一般的には、L-ドーパ及びドーパミン作動薬を用いた処置を通じて管理される。疾患が進行し、ドーパミン作動性ニューロンが失われ続けるにつれて、これらの薬物は最終的に症状の処置に無効となり、同時にジスキネジア(不随意のライジング運動により特徴づけられる)と呼ばれる合併症を産生する。食事及び運動ならびにある種のリハビリテーションは、症状を軽減する際にいくらかの有効性を示した。手術及び脳深部刺激が、薬物が無効である重症例における最後の手段として、運動症状を低下させるために使用されてきた。パーキンソン病についての治癒法はない。
【0167】
ハンチントン病は、ハンチンチンと呼ばれるタンパク質をコードする第4染色体上の欠損遺伝子(HTT)により起こされる進行性の脳障害である。欠損は、脳中の細胞を損傷する、ハンチンチンをコードする遺伝子におけるCAG(シトシン-アデニン-グアニン)トリプレットリピートの伸長を起こす。欠損したハンチンチン遺伝子についての診断的遺伝子検査が利用可能である。
【0168】
ハンチントン病の症状は、通常は、30歳から50歳の間に発生し、腕、脚、頭、顔、及び上半身の制御されない運動を含む。ハンチントン病はまた、思考力及び推論力(記憶力、集中力、判断力、ならびに計画及び組織立てる能力を含む)における減退を起こす。ハンチントン病の脳の変化は、強迫性の思考及び行動ならびに気分における変化(例えばうつ病、不安、怒り、及び易怒性など)に導く。
【0169】
ハンチントン病についての治癒法はなく、処置はハンチントン病の症状を管理することに焦点が置かれている。例えば、抗精神病薬(例えばオランザピンなど)は舞踏病(不随意運動)を処置するために使用され、抗精神病薬又は選択的セロトニン再取り込み阻害薬は易怒性を処置するために使用され、及び選択的セロトニン再取り込み阻害薬は強迫性の思考又は行動を処置するために使用される。
【0170】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、随意筋を制御するニューロンの死を起こす疾患である。ALSはまた、ルーゲーリック病又は運動ニューロン疾患(MND)として公知である。ALSは、筋肉の硬直、筋肉の痙攣、及び筋肉サイズの減少に起因する筋肉の段階的な衰弱により特徴付けられる。これは、会話、嚥下、及び最終的には呼吸の困難を招く。原因は、ALS症例の90~95%において公知ではなく、ALS症例の約5~10%は遺伝的に受け継がれる。ALS診断は、人の徴候及び症状に基づき、テストは他の潜在的な原因を除外するために行われる。
【0171】
ALSについての治癒法はない。非侵襲的換気によって、生活の質及び長さが改善されうる。リルゾール(ナトリウムチャネル遮断薬)によって、人工呼吸器依存症又は気管切開術の開始を遅延させることができ、生存期間が約2~3ヵ月だけ増加されうる。しかし、発症から死亡までの平均生存期間は典型的には2~4年である。
【0172】
一部の実施形態では、本明細書中に開示する組成物、例えば、錠剤(例、割線が入れられた遅延放出デフェリプロン錠剤)により処置される医学的状態は、神経変性疾患である。一部の実施形態では、神経変性疾患は、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、パントテン酸キナーゼ関連神経変性、又はフリードライヒ運動失調である。
【0173】
したがって、本開示の特定の実施形態は、本明細書中に記載する組成物を含む、神経変性疾患を処置するための方法に関する。一部の実施形態では、神経変性疾患は、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、フリードライヒ運動失調症、パントテン酸キナーゼ関連神経変性(PKAN)、又は脳鉄蓄積を伴う神経変性(NBIA)である。一部の実施形態は、ALSに関連付けられる障害の進行を低下させる又は遅らせる方法に関する。一部の実施形態では、被験者にリルゾールをさらに投与する。一部の実施形態では、デフェリプロンは、リルゾールを被験者に投与する前に、後に、又は同時に投与する。一部の実施形態では、リルゾールの総1日用量は約20mg/日~約500mg/日である。
【0174】
一部の実施形態では、組成物は、錠剤、遅延放出錠剤、割線が入れられた遅延放出錠剤、全錠剤、半錠剤、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中に記載する投与レジメンにより投与する。一部の実施形態では、組成物は、絶食状態又は摂食状態において投与する。
【0175】
本開示の特定の態様は、3000mg/日又は1200mg/日のデフェリプロンを、それを必要とする被験者に経口投与することを含む、鉄過剰症を伴うヒト被験者を処置するための方法に関し、それにおいて、被験者にデフェリプロンを1日当たり2回投与する。一部の実施形態では、被験者は、サラセミア又は骨髄形成異常を患っている。一部の実施形態では、被験者は神経原性疾患を患っている。一部の実施形態では、3000mg/日のデフェリプロンを1500mgの用量で1日2回投与する(例、1つ及び半分の1000mgのDR錠剤;又は3つの1000mgのDR半錠剤)。一部の実施形態では、被験者は、定常状態で48.5~10.5μg/mLのCmaxを示す。一部の実施形態では、被験者は、定常状態で75~95μg・時間/mLのAUC(0-24)を示す。一部の実施形態では、1200mg/日のデフェリプロンを、600mgの用量で1日2回投与する。一部の実施形態では、1200mg/日のデフェリプロンを、1200mgの用量で1日当たり1回投与する。一部の実施形態では、被験者は、摂食状態において600mgのデフェリプロンの投与後に4.00から13.558μg/mLのCmaxを示す。一部の実施形態では、被験者は、絶食状態において600mgのデフェリプロンの後に5.880から13.690μg/mLのCmaxを示す。一部の実施形態では、被験者は、1200mgのデフェリプロンの投与後に1.333から8.000時間のTmaxを示す。一部の実施形態では、被験者は、1200mgのデフェリプロンの投与後に3.265から6.765時間のAUC/Cmaxを示す。
【0176】
これらの方法の一部の実施形態では、被験者はパーキンソン病を患っている。これらの方法の一部の実施形態では、被験者はハンチントン病を患っている。これらの方法の一部の実施形態では、被験者は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患っている。
【0177】
VIII.バイオアベイラビリティ
薬物動態(PK)パラメーター(例、Cmax、Tmax、AUCT、AUCI、Kel、T1/2)を、本明細書中に開示する錠剤を投与された被験者について評価することができる。一部の実施形態では、PKパラメーターを単回用量試験により決定する。一部の実施形態では、PKパラメーターを、複数用量又は定常状態試験において決定する。
【0178】
特定の実施形態では、本明細書中に開示する錠剤によって、錠剤が全錠剤として投与される場合、及び半錠剤として投与される場合の絶食状態及び摂食状態の両方における単回用量生物学的同等性試験において3.5時間と6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される。
【0179】
本願は、その実施形態の記載により例証しており、実施形態を詳細に記載しているが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限することも、何らかの方法で限定することも、出願人の意図ではない。追加の利点及び改変は、本願の利益を有する当業者には容易に明らかであろう。従って、本願は、そのより広範な態様では、特定の詳細、示す例証的な実施例、又は言及する任意の装置に限定しない。逸脱は、一般的な発明概念の精神又は範囲から逸脱することなく、そのような詳細、実施例、及び装置からなされうる。
【0180】
実施例
本発明の作業は、以下の実施例からより良く理解されるであろうが、それらは、例証的であることを意図し、本発明の範囲を限定しない。
実施例1:腸溶性コーティング遅延放出錠剤の調製
【表1】
【0181】
錠剤コアを調製するために、デフェリプロン、HPMCAS、酸化マグネシウム、及びコロイド状二酸化ケイ素(部分1)を一緒に混合し、その混合物を圧縮して顆粒へと粉砕した。ステアリン酸マグネシウム及びコロイド状二酸化ケイ素(部分2)を加えて顆粒と混合し、結果として得られた混合物を、両側で二分されたカプセル形状金型で約1100mg又は約660mgの重さのコア錠剤へと圧縮した。
【0182】
腸溶性コーティング懸濁液を、サイドベントコーティングパン中のデフェリプロンコア錠剤上に、錠剤が、1000mg錠剤については約1.5%及び600mg錠剤については約2.5%の目標重量増加を有するまで噴霧した。結果として得られた遅延放出錠剤は、胃不快感を防止するために、胃中では無視できる溶解性を有するが、しかし、十二指腸中では迅速に溶解するように設計した。これらの特性を全錠剤及び半錠剤に適用する。
【0183】
実施例2:遅延デフェリプロン(全及び半)錠剤の溶解の特徴
実施例1において調製した1000mg遅延放出デフェリプロン錠剤の溶解の特徴を、全錠剤及び半錠剤の両方を使用してインビトロでテストした。
【0184】
溶解テストを、USP装置2において75rpmで、900mLの0.1N塩酸(HCl)、0.5Mリン酸緩衝液(pH4.5)、及び0.5Mリン酸緩衝液(pH6.8)中で実施した。実施例1の1000mgの錠剤は、全錠剤及び半錠剤の両方について以下の溶解の特徴を示した:
【0185】
溶解は、0.1N HCl中で、180分で20%を下回った[図1]。
【0186】
溶解は、pH6.8中で、60分で60%を上回った[図2]。
【0187】
溶解は、pH4.5中で、60分で80%を上回った[図3]。
【0188】
実施例3:遅延放出に対する腸溶性コーティングのデフェリプロン錠剤の溶解速度の比較
実施例1において調製した遅延放出1000mg全及び半錠剤の溶解プロファイルを、腸溶性コーティング(EC)全及び半錠剤(Avicenna Lab、イラン特許出願番号90-07-27-71996)についての溶解プロファイルと比較した。
【0189】
比較のために使用したEC錠剤(Avicenna Lab)は、500mgのデフェリプロン、290mgの微結晶性セルロース、1mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び9mgのステアリン酸マグネシウムのコア錠剤を含んだ(800mgのコア総重量)。EC錠剤(Avicenna Lab)はまた、34.68mgのメタクリル酸コポリマー、15.56mgのタルク、3.61mgのPEG 6000、4.38mgの二酸化チタン、4.93mgのヒプロメロース、6cm Poaz、及び0.82mgの重炭酸ナトリウムのコーティングを含んだ(63.98mgの総重量のコーティング)。コーティングの重量は、EC錠剤の総重量の約7.4%である。
【0190】
溶解テストを、USP装置IIにおいて75rpmで、900mLの0.1N HClを使用して180分間にわたり行った。サンプルを5分間隔で収集し、錠剤の溶解プロファイルを特徴付けた。
【0191】
要するに、実施例1からの遅延放出デフェリプロン全及び半錠剤は、0.1N HCl(胃のpHを表す)中で60、90、120、150、及び180分で20%を下回る溶解を有した。0.1N HCl中での溶解は、EC全錠剤(Avicenna Lab)については観察されなかったが、しかし、迅速で完全な溶解が緩衝液中では観察された:95%が、pH4.5溶液中で、30分で溶解した;94%が、pH6.0溶液中で、30分で溶解した;及び88%が、pH6.8溶液中で、30分で溶解した。しかし、EC半錠(Avicenna Lab)は迅速に溶解し、したがって、それらの腸溶性コーティング特性を失う。
【0192】
したがって、実施例1の遅延放出製剤では、デフェリプロンの他の腸溶性コーティング錠剤を上回る利点を有することが実証された。特に、実施例1の1000mgの遅延放出錠剤は、胃酸のpHを表す環境において遅延放出を示すが、しかし、腸溶性コーティングにより提供されるものを超える属性を有する。具体的には、本発明の新たな遅延放出錠剤によって、溶解媒体のpHに非依存的に、半錠剤及び全錠剤を用いて同様の溶解速度が与えられる。すなわち、遅延放出錠剤は、腸溶性コーティングされた錠剤の特定の属性を、その欠乏を伴わず包含し、それによって錠剤を半分にし、半錠剤を投与するための投薬の微調整を可能にすることができる。
【0193】
実施例4~5:24時間の生物学的同等性試験
実施例4~5は、実施例1におけるデフェリプロンの1000mg遅延放出錠剤及びFerriprox(登録商標)IR錠剤を使用した、ヒト被験者における生物学的同等性試験に関する。
【0194】
第1の試験(実施例4)は単回用量試験であり、それは、DR錠剤の吸収において遅延(しかし、終末半減期における増加ではない)を示し、及びまた、半錠剤は、それらが食物と共に投与されたか否かを問わず、全錠剤と同様の吸収の速度及び程度を有した。
【0195】
第2の試験(実施例5)は、DR錠剤及びIR錠剤の同等の1日用量での複数用量試験であった。この試験では、定常状態では、DR錠剤が定常状態においてIR錠剤と生物学的に同等であることが示された。
【0196】
実施例4:健常ボランティアにおける絶食及び摂食条件下でのデフェリプロン遅延放出錠剤に対する摂食条件下でのFerriprox(登録商標)即時放出錠剤の単回用量薬物動態試験
これは、健常な男性及び女性のボランティアにおける無作為化単回用量非盲検4期間4シーケンスクロスオーバー試験であった。被験者を、薬剤投与の間に7日間の休薬期間を伴う、異なるシーケンスにおいて以下の処置の単回用量を受けるように無作為化した:
【0197】
絶食条件下でのデフェリプロンDRの1つのインタクトな1000mg錠剤(n=23);
【0198】
摂食条件下でのデフェリプロンDRの1つのインタクトな1000mg錠剤(n=21);
【0199】
摂食条件下でのデフェリプロンDRの2つの半錠剤(合計1000mg)(n=26);及び
【0200】
摂食条件下でのFerriprox(登録商標)IR製剤の2つの500mg錠剤(n=24)。
【0201】
試験の目的は、デフェリプロンDRの単回用量のPKプロファイルに対する食物の効果を評価し、半錠剤のPKプロファイルをインタクトな錠剤のPKプロファイルと比較し、デフェリプロンDRのPKプロファイルをFerriprox(登録商標)IRのPKプロファイルと比較し、ならびにデフェリプロンDRの単回用量の安全性及び忍容性を評価することであった。
【0202】
この試験の主なPKパラメーターを表2中に示し、相対的なバイオアベイラビリティを表3中に示す。摂食条件下で、デフェリプロンの最大血清濃度(Cmax)に達する時間(Tmax)は、IR製剤(1.33時間)と比較し、DR製剤(3.00時間)でより長かった。DR製剤についてのCmaxは、IR製剤についてのCmaxの約65%であった。吸収後の血清薬物レベルは同様の速度で減退し、両方の製剤について約1.8時間の半減期を伴った。さらに、2つの製剤間で、薬物への曝露の程度(AUC)において有意差はなかった。
【0203】
DR錠剤を半錠剤として投与した場合、CmaxもAUCも全錠剤の値と有意差はなかった。食物の影響に関して、DR製剤のバイオアベイラビリティは、それが絶食条件又は摂食条件下で投与されたかを問わず同じであった。同じ総用量をDR錠剤及びIR錠剤について与えたため、CmaxはIR錠剤についてより高いと予想された。しかし、これらの結果によって、DR錠剤中で50%多いデフェリプロンを、IR錠剤と同じCmaxを達成するために投与することができるという証拠が提供された。
【0204】
薬物動態試験の各々の被験者について、Cmaxに対するAUC0-infの比率を算出した(表4)。結果として得られた比率は、比率の自然対数を決定することにより変換した。試験における被験者にわたる対数変換比率の平均値を算出し、平均対数値をその後、平均値の真数を決定することにより、通常のスケールに逆変換した。
【表2】

【表3】

【表4】
【0205】
実施例5:健常なボランティアにおける定常状態でのデフェリプロン遅延放出(DR)錠剤に対する即時放出(IR)錠剤の試験での定常状態比較バイオアベイラビリティ
2期間のクロスオーバー試験を行い、35名の健常なボランティアにおける定常状態での1000mgデフェリプロンDR錠剤(実施例1中に示す)及びデフェリプロン(Ferriprox(登録商標))IR錠剤の比較バイオアベイラビリティを評価した。被験者は、以下の2つの処置(5日間の休薬により分けた)を受けるように無作為化した:
【0206】
処置A:3日間にわたり12時間毎(BID)に摂食条件下で投与したデフェリプロンDR、1500mg(1及び半分の1000mg錠剤)(合計3000mg/日);及び
【0207】
処置B:3日間にわたり8時間毎(TID)に摂食条件下で投与したFerriprox(登録商標)IR、1000mg(2つの500mg錠剤)(合計3000mg/日)。
【0208】
適したスクリーニングとベースラインテストの後、被験者には、1~3日目にデフェリプロンBID又はTID(該当する場合)を投与した。休薬期間に続き、彼らは8日目の夜に施設に戻り、9~11日にわたり他の処置を受け、12日目の朝にチェックアウトした。
【0209】
各々の期間について、薬物動態(PK)評価用の血液サンプルを、投薬の最初の2日間(1~2日目及び9~10日目)のその日の最初の投与前、及び次に、3日目(3日目及び11日目)の24時間の期間にわたる投与後の指定された時間点で採取した。
【0210】
デフェリプロンDRとFerriprox(登録商標)IRの間でのPK比較は、定常状態で行った(即ち、各々の処置について3日目の0~24時間間隔についてのデータを使用)。
【0211】
AUC0-24hr-ss、Cmax-ss、Cmin-ss、C24-ss、Tmax-ssの統計分析は、ANOVAモデルに基づく。処置間の差の両側90%信頼区間を、各々のパラメーターについて算出した。AUC0-24hr-ss、Cmax-ss、Cmin-ss、及びC24-ssのデータを、ANOVAの前に対数変換した。
【0212】
定常状態における生物学的同等性についての基準を、AUC0-24hr-ss及びCmax-ssについての90%信頼区間により確立し、それは80~125%以内である必要があった。
【0213】
定常状態での被験者におけるDRデフェリプロン錠剤BID及びIR錠剤TIDについての試験結果の概要を表5及び6、ならびに図4中に示す。
【表5】

【表6】
【0214】
結果によって、24時間にわたり、DR錠剤が1日2回与えられた場合、1日3回与えられた場合でのIR錠剤と同じ最大ピーク濃度(Cmax)を達成することができたこと、及び、吸収された総量(AUC)が、総1日用量が同じである場合、24時間にわたり、両方の産物について本質的に同じであったことが実証される。
【0215】
実施例6:健常ボランティアにおけるデフェリプロン遅延放出(DR)600mg錠剤に対する経口溶液のバイオアベイラビリティ
この試験では、健常被験者を、以下の4つの処置を異なる順序で受けるように無作為化し、処置の間での7日間の休薬期間を伴った:
【0216】
処置A:摂食条件下でのデフェリプロンDR、1200mg(2つの600mg錠剤)単回用量(n=18);
【0217】
処置B:絶食条件下でのデフェリプロンDR、1200mg(2つの600mg錠剤)単回用量(n=17);
【0218】
処置C:摂食条件下でのデフェリプロンDR、1200mg(4つの半錠剤)単回用量(n=18);及び
【0219】
処置D:絶食条件下での経口溶液(Ferriprox(登録商標)、1200mg(100mg/mL)単回用量(n=17)。
【0220】
血液サンプルを投与前、及び投与後24時間の間隔にわたり収集した。PKパラメーター(Cmax及びTmax)を表7中に示す。Cmaxに対するAUCIの比率を表8中に示す。これらの結果は、600mg DR錠剤についてのCmaxが、経口溶液のCmaxの約半分であること、及び600mg DR錠剤についてのAUCI/Cmaxが、経口溶液についての比率の約2倍であることを示す。
【表7】

【表8】

実施例7:腸溶性コーティングされた遅延放出錠剤の調製
【表9】
【0221】
錠剤コアを調製するために、デフェリプロン、ヒプロメロースアセテートスクシネート(NF)AS-LF、酸化マグネシウムライトUSP/EP、及びコロイド状二酸化ケイ素(部分1)を一緒に混合し、混合物を圧縮して顆粒へと粉砕した。ステアリン酸マグネシウム及びコロイド状二酸化ケイ素(部分2)を加え、顆粒とブレンドした。結果として得られた混合物をコア錠剤へと圧縮した。錠剤を次にコーティングした。
【0222】
本明細書中に記載する種々の実施形態に加えて、本開示は、E1からE132と番号付けした以下の実施形態を含む。この実施形態のリストは、例示的なリストとして提示し、その適用はこれらの実施形態に限定しない。
【0223】
E1.ヒト被験者への経口投与用のデフェリプロンを含む遅延放出錠剤であって、その1日2回投与が、1日3回投与されるデフェリプロンを含む即時放出錠剤の同じ1日用量と定常状態において生物学的に同等である、遅延放出錠剤。
【0224】
E2.半錠剤への破断を促進にするために割線が入れられた全錠剤である、E1に係る錠剤。
【0225】
E3.半錠剤が絶食状態又は摂食状態のいずれかにおいて全錠剤と生物学的に同等である、E2に係る錠剤。
【0226】
E4.半錠剤が絶食状態及び摂食状態の両方において全錠剤と生物学的に同等である、E3に係る錠剤。
【0227】
E5.(a)治療有効量のデフェリプロンを含むコア及び(b)腸溶性コーティングからなる、E1~E4のいずれか1つに係る錠剤。
【0228】
E6.コアが腸溶性ポリマーをさらに含む、E5に係る錠剤。
【0229】
E7.コア中の腸溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)アセテートスクシネート、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、E6に係る錠剤。
【0230】
E8.腸溶性ポリマーがコアの約1重量%~約20重量%の量で存在する、E7に係る錠剤。
【0231】
E9.ヒト被験者に投与される場合、その単回用量によって、絶食状態において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、E1~E8のいずれか1つに係る錠剤。
【0232】
E10.錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、摂食状態において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、E1~E8のいずれか1つに係る錠剤。
【0233】
E11.1000mgのデフェリプロンを含む、E9又はE10に係る錠剤。
【0234】
E12.600mgのデフェリプロンを含む、E9又はE10に係る錠剤。
【0235】
E13.平均Cmaxが、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.670~13.232μg/mLの間である、E11に係る錠剤。
【0236】
E14.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~4.00時間の間である、E11に係る錠剤。
【0237】
E15.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.00~8.00時間の間である、E11に係る錠剤。
【0238】
E16.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~6.03時間の間である、E11に係る錠剤。
【0239】
E17.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.858~6.596時間の間である、E11に係る錠剤。
【0240】
E18.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、3.225~8.506時間の間である、E11に係る錠剤。
【0241】
E19.ヒト被験者への活性医薬成分の経口投与用の錠剤であって、ここで、錠剤は(a)治療有効量の活性医薬成分及び腸溶性ポリマーを含むコアならびに(b)腸溶性コーティングを含み、ここで、錠剤は全錠剤又は半錠剤として投与することができるように割線が入れられており、及び、ここで、錠剤が1つ又は複数の半錠剤として投与される場合、半錠剤が絶食状態又は摂食状態のいずれかにおいて全錠剤と生物学的に同等である、錠剤。
【0242】
E20.コア中の腸溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、E19の錠剤。
【0243】
E21.腸溶性ポリマーがコアの約1重量%~約20重量%の量で存在する、E20の錠剤。
【0244】
E22.活性医薬成分がデフェリプロンである、E19~E21のいずれか1つに係る錠剤。
【0245】
E23.錠剤の1日2回投与が、1日3回投与される、デフェリプロンを含む即時放出(Ferriprox(登録商標))錠剤の同じ1日用量と定常状態において生物学的に同等である、E19~E22のいずれか1つに係る錠剤。
【0246】
E24.錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、絶食状態において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、E19~E23のいずれか1つに係る錠剤。
【0247】
E25.錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、摂食状態において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、E19~E23のいずれか1つに係る錠剤。
【0248】
E26.1000mgのデフェリプロンを含む、E24又はE25に係る錠剤。
【0249】
E27.600mgのデフェリプロンを含む、E24又はE25に係る錠剤。
【0250】
E28.平均Cmaxが、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.670~13.232μg/mLの間である、E26に係る錠剤。
【0251】
E29.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~4.00時間の間である、E26に係る錠剤。
【0252】
E30.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.00~8.00時間の間である、E26に係る錠剤。
【0253】
E31.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~6.03時間の間である、E26に係る錠剤。
【0254】
E32.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.858~6.596時間の間である、E26に係る錠剤。
【0255】
E33.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、3.225~8.506時間の間である、E26に係る錠剤。
【0256】
E34.(a)治療有効量の活性医薬成分及び腸溶性ポリマーを含むコアならびに(b)腸溶性コーティングを含む活性医薬成分の経口投与用の錠剤であって、錠剤が、半錠剤への錠剤の破断を促進するために割線が入れられている全錠剤であり、ここで、全錠剤及び半錠剤の両方が遅延放出溶解プロファイルを呈する、錠剤。
【0257】
E35.半錠剤が絶食状態又は摂食状態のいずれかにおいて全錠剤と生物学的に同等である、E34に係る錠剤。
【0258】
E36.コア中の腸溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、E35に係る錠剤。
【0259】
E37.腸溶性ポリマーがコアの約1重量%~約20重量%の量で存在する、E36に係る錠剤。
【0260】
E38.活性医薬成分がデフェリプロンである、E34~E37のいずれか1つに係る錠剤。
【0261】
E39.全錠剤及び半錠剤の両方が、0.1N HCl中で、60分で20%を下回る溶解を示す、E34~E38のいずれか1つに係る錠剤。
【0262】
E40.錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、絶食状態において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、E34~E39のいずれか1つに係る錠剤。
【0263】
E41.錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、摂食状態において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、E34~E39のいずれか1つに係る錠剤。
【0264】
E42.1000mgのデフェリプロンを含む、E40又はE41に係る錠剤。
【0265】
E43.600mgのデフェリプロンを含む、E40又はE41に係る錠剤。
【0266】
E44.平均Cmaxが、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.670~13.232μg/mLの間である、E42に係る錠剤。
【0267】
E45.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~4.00時間の間である、E42に係る錠剤。
【0268】
E46.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.00~8.00時間の間である、E42に係る錠剤。
【0269】
E47.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~6.03時間の間である、E42に係る錠剤。
【0270】
E48.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.858~6.596時間の間である、E42に係る錠剤。
【0271】
E49.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、3.225~8.506時間の間である、E42に係る錠剤。
【0272】
E50.(a)治療有効量のデフェリプロン及び腸溶性ポリマーを含むコアならびに(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングを含む経口投与用の錠剤であって、1日2回の投薬のために適切である錠剤。
【0273】
E51.半錠剤への錠剤の破断を促進するために割線が入れられている、E50の錠剤。
【0274】
E52.1つもしくは複数の全錠剤、1つもしくは複数の半錠剤、又はそれらの組み合わせとして投与することができる、E51の錠剤。
【0275】
E53.コア中の腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、E50~E52のいずれか1つに係る錠剤。
【0276】
E54.腸溶性ポリマーがコアの約1重量%~約20重量%の量で存在する、E53に係る錠剤。
【0277】
E55.腸溶性コーティング中の腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマー、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、E50~E54のいずれか1つに係る錠剤。
【0278】
E56.コアが塩基性賦形剤及び流動促進剤をさらに含む、E50~E55のいずれか1つに係る錠剤。
【0279】
E57.塩基性賦形剤が、メグルミン、金属酸化物、金属水酸化物、弱酸の塩基性塩、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、E56に係る錠剤。
【0280】
E58.流動促進剤がコロイド状二酸化ケイ素である、E56又はE57に係る錠剤。
【0281】
E59.潤滑剤をさらに含む、E56~E58のいずれか1つに係る錠剤。
【0282】
E60.潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、E59に係る錠剤。
【0283】
E61.腸溶性コーティングが可塑剤及び粘着防止剤をさらに含む、E54~E60のいずれか1つに係る錠剤。
【0284】
E62.可塑剤が、クエン酸エステル、ジエチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、アセチル化クエン酸エステル、セバシン酸ジブチル、ヒマシ油、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、E61に係る錠剤。
【0285】
E63.スクロース、ラクトース、フルクトース、マンニトール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される希釈剤をさらに含む、E61又はE62に係る錠剤。
【0286】
E64.粘着防止剤がタルクである、E61又はE62に係る錠剤。
【0287】
E65.錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、絶食状態において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、E50~E64のいずれか1つに係る錠剤。
【0288】
E66.錠剤の単回用量によって、錠剤がヒト被験者に投与される場合、摂食状態において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、E50~E64のいずれか1つに係る錠剤。
【0289】
E67.1000mgのデフェリプロンを含む、E65又はE66に係る錠剤。
【0290】
E68.600mgのデフェリプロンを含む、E65又は66に係る錠剤。
【0291】
E69.平均Cmaxが、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.670~13.232μg/mLの間である、E67に係る錠剤。
【0292】
E70.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~4.00時間の間である、E67に係る錠剤。
【0293】
E71.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.00~8.00時間の間である、E67に係る錠剤。
【0294】
E72.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~6.03時間の間である、E67に係る錠剤。
【0295】
E73.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.858~6.596時間の間である、E67に係る錠剤。
【0296】
E74.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、3.225~8.506時間の間である、E67に係る錠剤。
【0297】
E75.1日2回の経口投与用のデフェリプロンを含む錠剤であって、ここで、錠剤が全錠剤として投与された場合、及び半錠剤としてヒト被験者に投与された場合、その錠剤の単回用量の投与によって、絶食状態及び摂食状態の両方において3.5時間~6.0時間の間の平均AUC/Cmax比率が提供される、錠剤。
【0298】
E76.平均AUC/Cmax比率が約4.0時間~約5.5時間である、E75に係る錠剤。
【0299】
E77.活性医薬成分又はデフェリプロンが錠剤当たり約100mg~約1500mgの量である、E75又はE76に係る錠剤。
【0300】
E78.医薬有効成分又はデフェリプロンの総1日用量が、約100mg/日、約200mg/日、約300mg/日、約400mg/日、約500mg/日、約600mg/日、約700mg/日、約800mg/日、約900mg/日、約1000mg/日、約1200mg/日、約1500mg/日、約1800mg/日、約2000mg/日、約2100mg/日、約2400mg/日、約2500mg/日、約2700mg/日、約3000mg/日、約3300mg/日、約3500mg/日、約4000mg/日、約4500mg/日、約5000mg/日、約5500mg/日、約6000mg/日、約6500mg/日、約7000mg/日、約7500mg/日、約8000mg/日、約8500mg/日、約9000mg/日、約9500mg/日、又は約10,000mg/日である、E75~E77のいずれか1つに係る錠剤。
【0301】
E79.活性医薬成分又はデフェリプロンが、錠剤当たり約100mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、又は約1500mgの量である、E74~E78のいずれかに係る錠剤。
【0302】
E80.約1000mg又は約600mgのデフェリプロン、約20mg~約80mgの腸溶性ポリマー、及び約5mg~約100mgの塩基性賦形剤を含むコアを含む、E79に係る錠剤。
【0303】
E81.約7mg~約20mgの量の潤滑剤をさらに含む、E80に係る錠剤。
【0304】
E82.約7mg~約20mgの腸溶性ポリマー、及び約0.5mg~約5mgの可塑剤を含む腸溶性コーティングを含む、E80又はE81に係る錠剤。
【0305】
E83.約600mgのデフェリプロン、約20mg~約80mgの腸溶性ポリマー、及び約5mg~約100mgの塩基性賦形剤を含むコアを含む、E79に係る錠剤。
【0306】
E84.約2mg~約10mgの量の潤滑剤をさらに含む、E83に係る錠剤。
【0307】
E85.約5mg~約20mgの腸溶性ポリマー、及び約0.5mg~約5mgの可塑剤を含む腸溶性コーティングを含む、E83又はE84に係る錠剤。
【0308】
E86.1000mgのデフェリプロンを含む、E75~E85のいずれか1つに係る錠剤。
【0309】
E87.600mgのデフェリプロンを含む、E75~E85のいずれか1つに係る錠剤。
【0310】
E88.平均Cmaxが、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.670~13.232μg/mLの間である、E86に係る錠剤。
【0311】
E89.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~4.00時間の間である、E86に係る錠剤。
【0312】
E90.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.00~8.00時間の間である、E86に係る錠剤。
【0313】
E91.Tmaxの中央値が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、1.33~6.03時間の間である、E86に係る錠剤。
【0314】
E92.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、2.858~6.596時間の間である、E86に係る錠剤。
【0315】
E93.AUCI/Cmaxの比率が、錠剤がヒト被験者に投与される場合、3.225~8.506時間の間である、E86に係る錠剤。
【0316】
E94.半錠剤への錠剤の破断を促進するために割線が入れられ、1つもしくは複数の全錠剤、1つもしくは複数の半錠剤、又はそれらの任意の組み合わせとしてヒト被験者に投与することができる、E1~E93のいずれか1つに係る錠剤。
【0317】
E95.37±0.5℃の900mLの水中で、75rpmでUSP装置タイプIIパドル方法により測定した場合、60分以内にデフェリプロンの約80%未満を放出する、E1~E94のいずれか1つに係る錠剤。
【0318】
E96.デフェリプロンの約100%が、pH6.8又は4.5の900mL中で、75rpmでUSP装置タイプIIパドル方法により測定した場合、約90分以内に放出される、E95に係る錠剤。
【0319】
E97.デフェリプロンの約50%が、pH6.8又は4.5の900mL中で、75rpmでUSP装置タイプIIパドル方法により測定した場合、約30分以内に放出される、E96に係る錠剤。
【0320】
E98.E1~E97のいずれか1つの錠剤を、それを必要とする被験者に経口投与することを含む、鉄過剰症を伴う被験者を処置するための方法。
【0321】
E99.被験者がサラセミア又は骨髄形成異常を患っている、E98に係る方法。
【0322】
E100.被験者が輸血後鉄過剰症を患っており、以前のキレート治療が不十分である、E98に係る方法。
【0323】
E101.被験者が輸血後鉄過剰症を患っており、20ミリ秒又はそれ以下の心臓MRI T2を有する、E98に係る方法。
【0324】
E102.E1~E97のいずれか1つの錠剤を、それを必要とする被験者に経口投与することを含む、神経変性疾患を伴う被験者を処置するための方法。
【0325】
E103.被験者がパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、フリートライヒ運動失調症、パントテン酸キナーゼ関連神経変性(PKAN)、又は脳の鉄蓄積を伴う神経変性(NBIA)を患っている、E102の方法。
【0326】
E104.1日1回又は1日2回の投薬(BID)のレジメンを含む、E98~E103のいずれか1つに係る方法。
【0327】
E105.錠剤を、1つもしくは複数の全錠剤、1つもしくは複数の半錠剤、又はそれらの組合せとして被験者に投与する、E98~E104のいずれか1つに係る方法。
【0328】
E106.錠剤を絶食状態又は摂食状態において被験者に投与する、E98~E105のいずれか1つに係る方法。
【0329】
E107.デフェリプロンが錠剤当たり約100mg~約800mgの量である、E98~E106のいずれか1つに係る方法。
【0330】
E108.デフェリプロンが錠剤当たり約400mgの量である、E98~E107のいずれか1つに係る方法。
【0331】
E109.デフェリプロンの総1日用量が約200mg/日~約2400mg/日である、E98~E108のいずれか1つに係る方法。
【0332】
E110.デフェリプロンの総1日用量が約400mg/日~約1200mg/日である、E98~E109のいずれかに係る方法。
【0333】
E111.錠剤を1日1回又は2回投与する、E98~E110のいずれか1つに係る方法。
【0334】
E112.1つ、2つ又は3つの錠剤を1日1回又は2回投与する、E98~E111のいずれか1つに係る方法。
【0335】
E113.1つ、2つ、又は3つの錠剤を1日1回、2回、又は3回投与する、E98~E112のいずれか1つに係る方法。
【0336】
E113.被験者が筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患っている、E103~E112のいずれか1つに係る方法。
【0337】
E114.処置によって、被験者におけるALSに関連付けられる障害の進行が低下する又は遅れる、E103~E113のいずれか1つに係る方法。
【0338】
E115.被験者にリルゾールを投与することをさらに含む、E113又はE114に係る方法。
【0339】
E116.3000mg/日のデフェリプロンを、それを必要とする被験者に経口投与することを含む鉄過剰症を伴うヒト被験者を処置するための方法であって、被験者にデフェリプロンを1日当たり2回投与する方法。
【0340】
E117.被験者がサラセミア又は骨髄形成異常を患っている、E116に係る方法。
【0341】
E118.3000mg/日のデフェリプロンを1500mgの用量で1日2回投与する、E116又はE117に係る方法。
【0342】
E119.被験者が定常状態で48.5~10.5μg/mLのCmaxを示す、E116~E118のいずれか1つに係る方法。
【0343】
E120.被験体が定常状態で75~95μg・時間/mLのAUC(0-24)を示す、E116~E119のいずれか1つに係る方法。
【0344】
E121.被験者にE1~E97のいずれか1つの錠剤を投与する、E98~E120のいずれか1つに係る方法。
【0345】
E122.1200mg/日のデフェリプロンを、それを必要とする被験者に経口投与することを含む鉄過剰症を伴うヒト被験者を処置するための方法であって、被験者にデフェリプロンを1日当たり2回投与する方法。
【0346】
E123.被験者が神経原性疾患を患っている、E122に係る方法。
【0347】
E124.1200mg/日のデフェリプロンを600mgの用量で1日2回投与する、E122又はE123に係る方法。
【0348】
E125.1200mg/日のデフェリプロンを1200mgの用量で1日当たり1回投与する、E122又はE124のいずれか1つに係る方法。
【0349】
E126.被験者が、摂食状態における600mgのデフェリプロンの投与後に4.00~13.558μg/mLのCmaxを示す、E122~E125のいずれか1つに係る方法。
【0350】
E127.被験者が絶食状態における600mgのデフェリプロンの投与後に5.880~13.690μg/mLのCmaxを示す、E122~E126のいずれか1つに係る方法。
【0351】
E128.被験体が、1200mgのデフェリプロンの投与後に1.333~8.000時間のTmaxを示す、E122~E127のいずれか1つに係る方法。
【0352】
E129.被検者が、1200mgのデフェリプロンの投与後に、3.265~6.765時間のAUCI/Cmaxを示す、E122~E128のいずれか1つに係る方法。
【0353】
E130.被験者が輸血後鉄過剰症を患っており、以前のキレート治療が不十分である、E122~E129のいずれか1つに係る方法。
【0354】
E131.被験者が輸血後鉄過剰症を患っており、20ミリ秒又はそれ以下の心臓MRI T2を有する、E122~E129のいずれか1つに係る方法。
【0355】
E132.被験者にE1~E97のいずれか1つの錠剤を投与する、E122~E131のいずれか1つに係る方法。
【0356】
E133.(a)1000mg又は600mgのデフェリプロン、腸溶性ポリマー、pH調整剤、流動促進剤、及び潤滑剤を含むコア;ならびに(b)可塑剤、希釈剤、粘着防止剤、及び腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングを含む経口投与用の錠剤であって、ここで、錠剤は1日2回の投薬のために適切であり、錠剤は半錠剤への錠剤の破断を促進するために割線が入れられた全錠剤である、錠剤。
図1
図2
図3
図4