(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】注入圧制御システム
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20230317BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
A61F9/007 130B
A61F9/007 130F
A61M5/142 530
(21)【出願番号】P 2020523835
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(86)【国際出願番号】 IB2018055195
(87)【国際公開番号】W WO2019012494
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】102017000079495
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520009932
【氏名又は名称】オプティコン2000ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】OPTIKON 2000 S.p.A
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】トンマーゾ・ロッシ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョ・クウェルツォーリ
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ・バッティスタ・アンジェリーニ
(72)【発明者】
【氏名】カルロ・マルヴァージ
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0288475(US,A1)
【文献】特表2011-509731(JP,A)
【文献】国際公開第2016/195651(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0247938(US,A1)
【文献】特表2007-529218(JP,A)
【文献】国際公開第2009/093159(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/195833(WO,A1)
【文献】特表2018-522942(JP,A)
【文献】特表2018-527037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0296692(US,A1)
【文献】Yingfeng Zheng et al.,Distribution of ocular perfusion pressure and its relationship with open-angle glaucoma: the Singapore malay eye study,Investigative Ophthalmology & Visual Science,米国,ARVO,2010年07月,Vol. 51 No.7,3399-3404,doi:https://doi.org/10.1167/iovs.09-4867
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術用注入圧制御システムであって、
眼圧検出手段と、
動脈圧検出手段と、
前記眼圧検出手段と前記動脈圧検出手段と動作可能に接続され、前記眼圧検出手段と前記動脈圧検出手段とにより提供される眼圧と動脈圧とに基づいて平均眼灌流圧値を計算し、計算された前記平均眼灌流圧値と少なくとも1つの所定の閾値とを比較するよう構成される制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、アラームに動作可能にリンクされるタイマーを含み、前記タイマーは、計算された前記平均眼灌流圧の値と少なくとも1つの所定の閾値との比較に基づいて増加可能および減少可能であり、前記アラームは、前記タイマーが所定のタイマー閾値を超えた場合に作動し、
前記制御ユニットは、オペレータからの承諾命令を受信するのに適するユーザインタフェースを含み、または動作可能に接続され、前記承諾命令は、注入圧調整を可能にするのに適する、
システム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、計算された前記平均眼灌流圧値が前記所定の閾値を下回る場合に、アラーム信号を生成するよう構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
注入圧で注入液を投与するのに適する注入ラインを少なくとも用いて患者に接続されるよう適合される医療用電気機器を含み、前記医療用電気機器は、前記注入圧を調整可能に適合される、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記眼圧検出手段は、眼圧センサを含む、
請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記眼圧検出手段は、注入液の圧力値、および任意に注入液の流量に基づいて眼圧値を計算するのに適する、
請求項
3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記医療用電気機器は、水晶体乳化装置、または水晶体硝子体切除装置である、
請求項3ないし5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記注入ラインは、重力注入システム、または注入液を含む容器を加圧することによる強制注入システムを含む、
請求項3ないし6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記動脈圧検出手段は、患者に接続されるのに適する圧力計を含む、
請求項
3ないし7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記動脈圧検出手段は、無線通信システムを介して前記制御ユニットに接続されている、
請求項
3ないし8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御ユニットは、計算された前記平均眼灌流圧の値が前記所定の閾値を下回る場合に、前記注入圧を低下させるよう前記注入ラインを操作するよう構成される、
請求項3ないし9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記医療用電気機器は、前記注入圧の手動調整が可能な操作インタフェースとともに提供される、
請求項3ないし9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記平均眼灌流圧値は、継続的に、または所定の時間間隔で計算される、
請求項
3ないし11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記平均眼灌流圧(MOPP)値は、
MOPP=115/130MAP-IOPの式を用いて、
または、MOPP=2/3MAP-IOPの式を用いて、計算され、
MAP
はMAP=1/3SBP+2/3DBPの式に従って計算される平均動脈圧を示し、
IOPは、眼圧を意味する、
請求項
3ないし12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御ユニットは、計算された前記平均眼灌流圧の平均圧力値が前記所定の閾値を下回る場合に、アラームメッセージまたは音響信号を生成することが可能なインジケータを表示するのに適するグラフィックインタフェースを含む、または、動作可能にリンクされる、
請求項
3ないし13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記注入圧が、前記注入液を含む容器の高さを変えることにより調整可能である、
請求項3ないし14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記注入圧が、前記注入液の上流で使用中の制御された過圧を変えることにより調整可能である、
請求項3ないし14のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科手術における眼内注入圧(infusion pressure)を制御するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、眼科手術中、眼球の洗浄に対して注入液が使用される。
【0003】
本発明は、眼科手術中に直接的または間接的に測定される平均眼灌流圧(ocular perfusion pressure)を全身動脈圧および眼圧の関数として評価することにより、網膜微小循環の遮断、およびその結果として起こる患者の視器官の損傷および合併症を防ぐために、注入圧に介入することができるシステムに関する。
【0004】
周知のように、血圧(BP)とも呼ばれる全身血圧は、拡張期血圧(DBP)および収縮期血圧(SBP)に区別されることがある。
【0005】
眼圧(IOP)は、患者の眼に接続された測定システムを通じて経時的に検出可能である、または、眼科手術中に注入圧に基づいて推定される。
【0006】
平均眼灌流圧(mean ocular perfusion pressure:MOPP)は、上述の圧力の値を組み合わせることにより、経時的に計算される。
【0007】
注入圧(IP)は、外科医により手術中に設定される。
【0008】
手術中に患者のMOPPを決定することにより、確実に視器官機能を保障する安全レベルを維持するために、注入圧、ひいては眼圧の同時調整を実施することができる。
【0009】
また、安全な灌流圧値の範囲を外科医に視覚的に示すことができ、視覚機能に対する損傷が生じる前に、注入圧が過度に長い間その範囲外にある場合にアラームを発することができる。
【0010】
現在、血圧は患者の腕に接続された圧力計により測定される。より具体的には、手術中、患者の拡張期血圧(DBP)および収縮期血圧(SBP)の値が特定の頻度で検出および取得される。しかし、この測定の唯一の目標は、外科診療の目的で全身血圧を監視することである。
【0011】
「滴下注入」として知られるモードにおいて、現在、注入圧は注入液を含む容器の高さに従って外科医により設定される。所望の注入圧値を設定することができる、いわゆる「強制注入」システムもまた知られている。
【0012】
現在の最先端の眼科手術装置は、注入圧が、外科医により設定され、1分より長い間、または任意の事例において、所定の時間よりも長い間、統計的検討に基づいて決定されすべての患者に対して等しい閾値を超えて維持される場合、アラーム信号を発する。
【0013】
しかし、この種の制御は、手術中の患者の実際の全身動脈圧、特に具体的にはMOPPを考慮せず、注入圧が網膜微小循環を遅らせるまたは阻止するレベルに達し、視覚系に恒久的な損傷を引き起こす可能性を排除するものではない。
【0014】
これに関して、
図1のグラフは、異なる血圧値を有する被験者に関連するIOPの関数として、いくつかのMOPP曲線を示す。
【0015】
灰色の帯は、理想的なMOPP値の帯域を示す。実際のMOPPが帯域を下回る場合、網膜の血液微小循環が減少し、その状態が経時的に続く場合、視覚機能が恒久的に損傷される可能性がある。
【0016】
IPOの所与の値(グラフでは約42mmHgに等しい)に対して、MOPPは灰色の帯により示される理想的な値(35÷55mmHg)の範囲外にあることが明らかである。唯一の例外は、制限はあるが、180/100の血圧におけるMOPP曲線である。
【0017】
ほぼすべての場合、網膜微小循環において起こり得る苦痛の状態は、視器官機能の起こり得る機能障害により詳細に説明される。
【0018】
30mmHg程度の低いIOPでさえ、多くの患者にとって「安全」であるが、MOPP値の高さが不十分である患者の網膜微小循環を減少することにより損傷を引き起こす可能性があることも明らかである。
【0019】
一方、
図2のグラフは、手術中の35mmHgを超えるIOP値が一般的であることを示す。特に、MOPP、IOP、IP、およびMAPの傾向は、同時に行う水晶体超音波乳化吸引術、硝子体切除術(PPV)、および最終的な空気/平衡塩溶液交換を伴うパッカー手術の間の時間関数として報告される。
【0020】
治療介入期間の半分以上(32分中18分)の間、MOPPはIOPおよび30mmHgを下回っており、理想的な最小制限を大幅に下回っていることがわかる。
【0021】
上述の検討結果により、現在の眼科手術装置に採用されるシステムは、すべての患者に等しい統計的考慮事項に基づく最大IPに対するアラーム閾値を設定するため、血圧が低い、ひいてはMOPPが低い患者の視覚障害の残存リスクを含むことが明らかである。
【0022】
本発明の目的は、従って、網膜循環の閉塞、およびそれに伴う患者の視器官の損傷を防ぐために、個別の患者に特有の注入圧、ひいてはIOPの制御を実行することができるシステムを提供することである。
【0023】
このような目的は、請求項1に記載の注入圧制御システムにより達成される。
【0024】
従属する請求項は、本発明の好ましい実施の形態を記載する。
【0025】
請求項1によると、注入圧制御システムは、眼圧検出手段と、動脈圧検出手段と、前記眼圧検出手段および前記血圧検出手段に動作可能に接続された制御ユニットと、を含む。
【0026】
制御ユニットは、眼圧検出手段および動脈圧検出手段により提供される眼圧および動脈圧の値に基づく平均眼灌流圧値を計算し、計算された平均眼灌流圧値と少なくとも1つの所定の閾値とを比較するよう構成される。
【0027】
一実施の形態において、制御ユニットは、計算された平均眼灌流圧値が所定の閾値を下回る場合にアラーム信号を生成するよう構成される。
【0028】
本発明の一態様によると、制御システムは、ある注入圧で注入液を投与するのに適する注入ラインを少なくとも用いて、患者に接続するのに適合された医療用電気機器を含む。その医療用電気機器は、注入圧の調整をするのに適している。
【0029】
一実施の形態において、制御ユニットは、医療用電気機器に組み込まれている。
【0030】
例えば、医療用電気機器は、水晶体乳化装置、または水晶体硝子体切除装置(phacovitrectomer)である。
【0031】
一実施の形態において、眼圧検出手段は眼圧センサを含む。
【0032】
一実施の形態において、眼圧検出手段は注入液の注入圧値に基づいて眼圧値を計算するのに適している。
【0033】
一実施の形態において、注入ラインは、重力注入システム、または注入液を含む容器を加圧することによる強制注入システムを含む。
【0034】
一実施の形態において、動脈圧を検出する手段は、患者に接続するのに適する圧力計を含む。
【0035】
一実施の形態において、動脈圧を検出する手段は、無線通信システムを介して制御ユニットに接続される。
【0036】
一実施の形態において、制御ユニットは、計算された平均眼灌流圧の値が所定の閾値を下回る場合に、注入ラインを操作して注入圧を低下させるよう構成される。
【0037】
一実施の形態において、医療用電気機器は、注入圧の手動調整が可能な操作インタフェースを備える。
【0038】
一実施の形態において、平均眼灌流圧値は、継続的にまたは所定の時間間隔で計算される。
【0039】
一実施の形態において、平均眼灌流圧(MOPP)値は、
MOPP=115/130MAP-IOP、
の式を使用して、または、
MOPP=2/3MAP-IOP、
の式を使用して計算され、
MAPは、例えば、MAP=1/3SBP+2/3DBPの式に従って計算される平均動脈圧を示し、IOPは眼圧を意味する。
【0040】
眼科手術中、IOPは手術中に継続的に眼に導入される生理食塩水の圧力により決定される。
【0041】
本発明の態様によると、制御ユニットは、アラームに動作可能に接続されるタイマーを含む。タイマーは、計算された平均眼灌流圧の値と少なくとも1つの所定の閾値との間の比較に基づいて増減することができる。タイマーが予め設定されたタイマー閾値を超えると、アラームが作動する。
【0042】
一実施の形態において、制御ユニットは、計算された平均眼灌流圧の平均圧力値が所定の閾値よりも低い場合、アラームメッセージまたは音響信号を生成することができるインジケータを表示するのに適するグラフィックインタフェースを含む、または動作可能にリンクされる。
【0043】
本発明の態様によると、制御ユニットは、オペレータからの承諾命令を受信するのに適するユーザインタフェースを含む、または動作可能に接続される。承諾命令は、注入圧調整を可能にするのに適する。
【0044】
一実施の形態において、注入圧は、注入液を含む容器の高さを変化させることにより調整可能である。
【0045】
一実施の形態において、注入圧は、注入液の上流で使用中の制御された過圧を変化させることにより調整可能である。
【0046】
注入圧を調整する方法もまた本発明の目的であり、
眼圧を検出する工程と、
血圧を検出する工程と、
測定された眼圧と血圧とに基づいて平均眼灌流圧値を計算する工程と、
計算された平均眼灌流圧値と少なくとも1つの所定の閾値との比較を実行する工程と、
を含む。
【0047】
本発明の態様によると、制御方法は、計算された平均眼灌流圧が所定の閾値を下回る場合にアラーム信号を生成する。
【0048】
一実施の形態において、制御方法は、計算された平均眼灌流圧の値が所定の閾値を下回る場合に、医療用電気機器の注入ラインを操作して注入圧を低下させる。
【0049】
本発明の態様によると、制御方法は、計算された平均眼灌流圧値と所定の閾値との比較に基づいて、アラームに動作可能に接続されたタイマーを増減させ、タイマーが予め設定されたタイマー閾値を超える場合にアラームを作動させる。
【0050】
一実施の形態では、制御方法は、計算された平均眼灌流圧値が予め設定された閾値よりも低い場合に、グラフィカルインタフェースにアラームメッセージを表示する、または音響信号機を用いて音響信号を生成する。
【0051】
従って、本発明の特定の目的は、少なくとも流体注入ラインにより患者の眼に接続される医療用電気機器を含み、好ましくは、流体の注入圧の調整、および/または適切な測定手段を用いて患者から検出された血圧値と、検出または計算されたIOP値と、に基づく注入圧に対するアラーム閾値の構築が可能であり、その結果MOPPを安全な閾値より高い状態に維持することができる眼科手術システムである。
【0052】
好ましい実施において、本発明は、水晶体超音波乳化吸引術および/または硝子体切除術用の医療用電気機器において実施される。
【0053】
この機器は、好ましくは、制御ソフトウェアおよび/またはファームウェアと、アラームシステムを含むユーザインタフェースとともに提供される。
【0054】
さらに、この機器は、流体自体を含む容器の高さを変えることにより、および/または容器を加圧することにより、眼球への注入に使用される流体の圧力を変化させることができるシステムを含んでもよい。
【0055】
灌流流体は、液体、例えば生理食塩水、または、ガス、例えば無菌空気であってもよい。
【0056】
さらに、本発明の機器の目的は、患者の収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)とを検出することができる装置に接続されることである。その接続は、有線であっても無線であってもよい。
【0057】
本発明にかかる機器は、患者の眼圧測定システム(IOP)とともに提供されてもよい。または、注入圧、接続パイプのインピーダンス、および灌流量に従ってこの圧力を計算してもよい。
【0058】
本発明による注入圧制御システムおよび方法の特徴および利点は、添付の図面を参照して、単に非限定的な例として提供される好ましい実施の形態の以下の説明から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】異なる血圧値を有する被験者に対するIOPの関数としてのいくつかのMOPP曲線を示すグラフである。
【
図2】眼科手術中のいくつかの特徴的な圧力の傾向を示すグラフである。
【
図3】本発明にかかる注入圧制御システムの概略図である。
【
図4】本発明にかかる注入圧調整ロジックの一例を示すフローチャートである。
【
図5】注入圧の表示と調整のためのグラフィカルユーザインタフェースの一例を示す図である。
【0060】
図3を参照すると、参照符号1は、血圧計4が接続された患者を図示する。
【0061】
血圧データは、医療用電気機器7に送信される。
【0062】
眼圧計5は、眼圧(IOP)の直接検出を可能にする。眼圧データは、医療用電気機器7に送信される。
【0063】
調整ロジックにより予測された条件が満たされる場合、医療用電気機器7の制御ユニットは、例えば、外科医による許可を受信した後に、圧力制御手段6に指示する。これらの圧力制御手段6は、注入ライン3に介入し、MOPPの値が安全な制限値に戻るまで、容器2に含まれる注入液の圧力を変化させる。
【0064】
【0065】
最初に、眼圧(IOP)が測定される(ステップ10)。灌流流体を含む容器2の位置がわかると眼圧を決定することができる。または、患者の眼に接続された圧力センサにより眼圧を測定することができる。
【0066】
続いて、血圧(BP)が測定される(ステップ12)。
【0067】
IOPおよびBPの圧力値を組み合わせることにより、システムはMOPPを計算し、それをユーザインタフェースを介して外科医に提供する(ステップ14)。次に、MOPPは閾値と比較される(ステップ16)。
【0068】
MOPPが閾値よりも大きい場合、注入圧を低下させない(ステップ18)。
【0069】
次に、アラームの状態がチェックされる(ステップ20)。システムアラームが作動していない場合、サイクルは最初に戻る。
【0070】
システムがアラーム状態にある場合、アラームが停止される(ステップ22)。アラームタイマーが0より大きい場合、アラームタイマーを減らした後サイクルが再び開始される(ステップ24)。
【0071】
MOPPが閾値よりも小さい場合、システムはアラーム状態になり(ステップ26)、アラームタイマーが増やされる(ステップ28)。
【0072】
次に、アラームタイマーがタイマー閾値と比較される(ステップ30)。
【0073】
アラームタイマーが閾値よりも大きい場合、システムはアラームを作動させ(ステップ32)、それ以外の場合、サイクルの最初に戻る。
【0074】
アラームが作動している場合、結果的に生じる注入圧の調整(ステップ36)は、医療用電気機器のユーザインタフェースを介して実行される外科医の承認によって行われてもよい(ステップ34)。
【0075】
図5は、正しい平均眼灌流圧(MOPP)に対する理想的な眼圧を維持し、圧力調整を可能にするために、外科医に対して注入圧を示すのに適切なユーザインタフェースの例を示す。
【0076】
注入圧を設定するためのボタンが、参照符号40で示される。現在の注入圧値のインジケータは、参照符号41で示される。インジケータ41の周りの領域42は、例えば緑色で着色され、最適なMOPPを引き起こす注入圧の範囲を示す。領域44は、例えば赤色で着色され、明らかに不十分なMOPPを生成する注入圧の領域を示す。領域46は、例えば黄色で着色され、警告領域であるが、差し迫った危険性のない領域を示す。
【0077】
当業者は、二次的な要求を満たすために、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明による注入圧制御システムおよび方法の実施の形態に対して、他の機能的に同等な要素に、いくつかの変更、調整、適用および置換を行うことができる。可能な実施の形態に属すると説明された特徴のそれぞれは、説明された他の実施の形態とは独立して取得することができる。