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特許7246400磁場角度センサに関する角度誤差を低減するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】磁場角度センサに関する角度誤差を低減するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
G01D5/245 110B
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020541381
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 US2018066995
(87)【国際公開番号】W WO2019152112
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】15/884,619
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ラサール-バリア,レミー
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-158488(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104776794(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102015218855(DE,A1)
【文献】特開2013-257231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252,5/39-5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場の方向を検出する磁場角度センサであって、
第1の軸に沿った前記磁場を示す第1の正弦波信号と、前記第1の軸に対して直交する第2の軸に沿った前記磁場を示す第1の余弦波信号とを生成するように構成される第1のブリッジ構造と、
第3の軸に沿った前記磁場を示す第2の正弦波信号と、前記第3の軸に対して直交する第4の軸に沿った前記磁場を示す第2の余弦波信号とを生成するように構成される第2のブリッジ構造とを備え、
前記第1の軸と前記第3の軸との間の角度は、90度の約数(factor)であり、
前記第1のブリッジ構造は、前記第1の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第1の複数の磁気抵抗素子及び前記第2の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第2の複数の磁気抵抗素子を含み、
前記第2のブリッジ構造は、前記第3の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第3の複数の磁気抵抗素子及び前記第4の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第4の複数の磁気抵抗素子を含み、
前記第1の複数の磁気抵抗素子、前記第2の複数の磁気抵抗素子、前記第3の複数の磁気抵抗素子及び前記第4の複数の磁気抵抗素子における各磁気抵抗素子は、1.5kOeから3kOeの範囲内のピンニングファクタを有する基準層及びフリー層を含む、磁場角度センサ。
【請求項2】
前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度は約45度である、請求項1に記載の磁場角度センサ。
【請求項3】
前記第1のブリッジ構造及び前記第2のブリッジ構造を支持する基板を更に備える、請求項1に記載の磁場角度センサ。
【請求項4】
前記磁場の前記方向を示す出力信号を計算するために、前記第1の正弦波信号、前記第1の余弦波信号、前記第2の正弦波信号、及び前記第2の余弦波信号に応答する回路を更に備える、請求項1に記載の磁場角度センサ。
【請求項5】
前記回路は、前記第1の正弦波信号及び前記第1の余弦波信号の第1の逆正接を計算し、前記第2の正弦波信号及び前記第2の余弦波信号の第2の逆正接を計算する逆正接プロセッサを備える、請求項4に記載の磁場角度センサ。
【請求項6】
前記回路は、前記第2の逆正接から、前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度を減算して、第3の逆正接を生成するように構成される差分素子を更に備える、請求項5に記載の磁場角度センサ。
【請求項7】
前記回路は、前記磁場の前記方向を示す前記出力信号を与えるために、前記第1の逆正接及び前記第3の逆正接の平均値を計算するように構成される加算素子を更に備える、請求項6に記載の磁場角度センサ。
【請求項8】
第5の軸に沿った前記磁場を示す第3の正弦波信号と、前記第5の軸に対して直交する第6の軸に沿った前記磁場を示す第3の余弦波信号とを生成するように構成される第3のブリッジ構造と、
第7の軸に沿った前記磁場を示す第4の正弦波信号と、前記第7の軸に対して直交する第8の軸に沿った前記磁場を示す第4の余弦波信号とを生成するように構成される第4のブリッジ構造とを更に備え、
前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度は第1の角度を与え、前記第5の軸と前記第1の軸との間の第2の角度は90度の約数であり、前記第7の軸と前記第1の軸との間の第3の角度は90度の約数であり、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度は異なる角度であり、
前記第3のブリッジ構造は、前記第5の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第5の複数の磁気抵抗素子及び前記第6の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第6の複数の磁気抵抗素子を含み、
前記第4のブリッジ構造は、前記第7の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第7の複数の磁気抵抗素子及び前記第8の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第8の複数の磁気抵抗素子を含み、
前記第5の複数の磁気抵抗素子、前記第6の複数の磁気抵抗素子、前記第7の複数の磁気抵抗素子及び前記第8の複数の磁気抵抗素子における各磁気抵抗素子は、1kOeから3kOeの範囲内のピンニングファクタを有する基準層とフリー層とを含む、請求項1に記載の磁場角度センサ。
【請求項9】
前記第1の角度は約45度であり、前記第2の角度は約22.5度であり、前記第3の角度は約67.5度である、請求項8に記載の磁場角度センサ。
【請求項10】
前記第5の複数の磁気抵抗素子、前記第6の複数の磁気抵抗素子、前記第7の複数の磁気抵抗素子、及び前記第8の複数の磁気抵抗素子はそれぞれ、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗(AMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、又は磁気トンネル接合(MTJ)素子のうちの1つ以上を含む請求項8又は9に記載の磁場角度センサ。
【請求項11】
前記第1の複数の磁気抵抗素子、前記第2の複数の磁気抵抗素子、前記第3の複数の磁気抵抗素子、及び前記第4の複数の磁気抵抗素子は、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗(AMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、又は磁気トンネル接合(MTJ)素子のうちの1つ以上を含む、請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の磁場角度センサ。
【請求項12】
磁場の方向を検出するための方法であって、前記方法は、
第1の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第1の複数の磁気抵抗素子と、前記第1の軸に対して直交する第2の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第2の複数の磁気抵抗素子とを有する第1のブリッジ構造を用いて、前記第1の軸に沿った前記磁場を示す第1の正弦波信号と前記第2の軸に沿った前記磁場を示す第1の余弦波信号とを生成するステップと、
第3の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第3の複数の磁気抵抗素子と、前記第3の軸に対して直交する第4の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第4の複数の磁気抵抗素子とを有する第2のブリッジ構造を用いて、前記第3の軸に沿った前記磁場を示す第2の正弦波信号と前記第4の軸に沿った前記磁場を示す第2の余弦波信号とを生成するステップとを含み、
前記第1の軸と前記第3の軸との間の角度は90度の約数であり、
前記第1の複数の磁気抵抗素子、前記第2の複数の磁気抵抗素子、前記第3の複数の磁気抵抗素子及び前記第4の複数の磁気抵抗素子における各磁気抵抗素子は、1.5kOeから3kOeの範囲内のピンニングファクタを有する基準層及びフリー層を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度は約45度である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の正弦波信号、前記第1の余弦波信号、前記第2の正弦波信号、及び前記第2の余弦波信号に応答して前記磁場の前記方向を計算するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記磁場の前記方向を計算するステップは、前記第1の正弦波信号及び前記第1の余弦波信号の第1の逆正接を求めるステップと、前記第2の正弦波信号及び前記第2の余弦波信号の第2の逆正接を求めるステップとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記磁場の前記方向を計算するステップは、前記第2の逆正接から、前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度を減算して、第3の逆正接を生成するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記磁場の前記方向を計算するステップは、前記磁場の前記方向を示す出力信号を与えるために、前記第1の逆正接及び前記第3の逆正接の平均値を計算するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第5の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第5の複数の磁気抵抗素子と、前記第5の軸に対して直交する第6の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第6の複数の磁気抵抗素子とを有する第3のブリッジ構造を用いて、前記第5の軸に沿った前記磁場を示す第3の正弦波信号と前記第6の軸に沿った前記磁場を示す第3の余弦波信号とを生成するステップと、
第7の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第7の複数の磁気抵抗素子と、前記第7の軸に対して直交する第8の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第8の複数の磁気抵抗素子とを有する第4のブリッジ構造を用いて、前記第7の軸に沿った前記磁場を示す第4の正弦波信号と前記第8の軸に沿った前記磁場を示す第4の余弦波信号とを生成するステップとを更に含み、
前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度は第1の角度を与え、前記第5の軸と前記第1の軸との間の第2の角度は90度の約数であり、前記第7の軸と前記第1の軸との間の第3の角度は90度の約数であり、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度は異なる角度であり、
前記第5の複数の磁気抵抗素子、前記第6の複数の磁気抵抗素子、前記第7の複数の磁気抵抗素子及び前記第8の複数の磁気抵抗素子における各磁気抵抗素子は、1kOeから3kOeの範囲内のピンニングファクタを有する基準層及びフリー層を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の角度は約45度であり、前記第2の角度は約22.5度であり、前記第3の角度は約67.5度である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
磁場の方向を検出する磁場角度センサであって、
第1の軸に沿った前記磁場を示す第1の正弦波信号と、前記第1の軸に対して直交する第2の軸に沿った前記磁場を示す第1の余弦信号とを生成するための第1の手段と、
第3の軸に沿った前記磁場を示す第2の正弦波信号と、前記第3の軸に対して直交する第4の軸に沿った前記磁場を示す第2の余弦波信号とを生成するための第2の手段とを備え、
前記第1の軸と前記第3の軸との間の角度は90度の約数であり、
前記第1の手段は、前記第1の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第1の複数の磁気抵抗素子及び前記第2の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第2の複数の磁気抵抗素子を含み、
前記第2の手段は、前記第3の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第3の複数の磁気抵抗素子及び前記第4の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第4の複数の磁気抵抗素子を含み、
前記第1の複数の磁気抵抗素子、前記第2の複数の磁気抵抗素子、前記第3の複数の磁気抵抗素子及び前記第4の複数の磁気抵抗素子における各磁気抵抗素子は、1.5kOeから3kOeの範囲内のピンニングファクタを有する基準層及びフリー層を含む、磁場角度センサ。
【請求項21】
前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度は約45度である、請求項20に記載の磁場角度センサ。
【請求項22】
前記第1の手段及び前記第2の手段を支持するための手段を更に備える、請求項20に記載の磁場角度センサ。
【請求項23】
前記第1の正弦波信号、前記第1の余弦波信号、前記第2の正弦波信号、及び前記第2の余弦波信号に応答して、前記磁場の前記方向を計算するための手段を更に備える、請求項20に記載の磁場角度センサ。
【請求項24】
前記計算するための手段は、前記第1の正弦波信号及び前記第1の余弦波信号の第1の逆正接と、前記第2の正弦波信号及び前記第2の余弦波信号の第2の逆正接とを求めるための手段を備える、請求項23に記載の磁場角度センサ。
【請求項25】
前記計算するための手段は、前記第2の逆正接から、前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度を減算して、第3の逆正接を生成するための手段を更に備える、請求項24に記載の磁場角度センサ。
【請求項26】
前記計算するための手段は、前記磁場の前記方向を示す出力信号を与えるために、前記第1の逆正接及び前記第3の逆正接の平均値を計算するための手段を更に備える、請求項25に記載の磁場角度センサ。
【請求項27】
第5の軸に沿った前記磁場を示す第3の正弦波信号と、前記第5の軸に対して直交する第6の軸に沿った前記磁場を示す第3の余弦波信号とを生成するための第3の手段と、
第7の軸に沿った前記磁場を示す第4の正弦波信号と、前記第7の軸に対して直交する第8の軸に沿った前記磁場を示す第4の余弦波信号とを生成するための第4の手段とを更に備え、
前記第1の軸と前記第3の軸との間の前記角度は第1の角度を与え、前記第5の軸と前記第1の軸との間の第2の角度は90度の約数であり、前記第7の軸と前記第1の軸との間の第3の角度は90度の約数であり、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度は異なる角度であり、
前記第3の手段は、前記第5の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第5の複数の磁気抵抗素子及び前記第6の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第6の複数の磁気抵抗素子を含み、
前記第4の手段は、前記第7の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第7の複数の磁気抵抗素子及び前記第8の軸に沿った前記磁場を検知するように向けられる第8の複数の磁気抵抗素子を含み、
前記第5の複数の磁気抵抗素子、前記第6の複数の磁気抵抗素子、前記第7の複数の磁気抵抗素子及び前記第8の複数の磁気抵抗素子における各磁気抵抗素子は、1kOeから3kOeの範囲内のピンニングファクタを有する基準層及びフリー層を含む、請求項20に記載の磁場角度センサ。
【請求項28】
前記第1の角度は約45度であり、前記第2の角度は約22.5度であり、前記第3の角度は約67.5度である、請求項27に記載の磁場角度センサ。
【請求項29】
前記第5の複数の磁気抵抗素子、前記第6の複数の磁気抵抗素子、前記第7の複数の磁気抵抗素子、及び前記第8の複数の磁気抵抗素子はそれぞれ、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗(AMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、又は磁気トンネル接合(MTJ)素子のうちの1つ以上を含む、、請求項27又は28に記載の磁場角度センサ。
【請求項30】
前記第1の複数の磁気抵抗素子、前記第2の複数の磁気抵抗素子、前記第3の複数の磁気抵抗素子、及び前記第4の複数の磁気抵抗素子はそれぞれ、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗(AMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、又は磁気トンネル接合(MTJ)素子のうちの1つ以上を含む、請求項20から26のうちのいずれか1項に記載の磁場角度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明の一実施例は、例えば、磁場角度センサに関する角度誤差を低減するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]磁場センサが様々な適用例において使用され、それらは、限定はしないが、磁場の方向の角度を検知する角度センサ、電流搬送導体によって搬送される電流によって生成される磁場を検知する電流センサ、強磁性体の近接を検知する磁気スイッチ、通過しつつある強磁性物品、例えば、リング磁石又は強磁性目標物(例えば、歯車の歯)の磁区を検知する回転検出器であって、逆バイアス磁石又は他の磁石と組み合わせて磁場センサが使用される、回転検出器、及び磁場の磁場密度を検知する磁場センサを含む。
【0003】
[0002]種々のパラメータが磁場センサ及び磁場検知素子の性能を特徴付ける。磁場検知素子に関して、パラメータは、磁場に応答しての磁場検知素子の出力信号の変化である感度、及び磁場センサの出力信号が磁場に対して線形に(すなわち、正比例して)変化する度合いである線形性を含む。
【0004】
[0003]いくつかの磁場センサは、巨大磁気抵抗(GMR:giant magnetoresistance)素子及びトンネル磁気抵抗(TMR:tunneling magnetoresistance)素子のような、磁気抵抗(MR:magnetoresistance)素子を含む。一般に、GMR及びTMR素子は、例えば、ホール効果素子に比べて相対的に高い感度を有する。GMR及びTMR素子は、適度に良好な線形性を有するが、線形性を有する磁場の範囲が限られる。しかしながら、磁場のその限られた範囲においても、GMR及びTMR素子の線形性は、高温などに起因して、不規則性に悩まされる可能性がある。
【0005】
[0004]さらに、GMR及びTMR素子を使用する角度センサは、スピンフロップ(すなわち、高磁場又は異方性磁場(例えば、磁気結晶異方性又は形状異方性)における基準方向の変化)のような現象に起因して角度誤差を受ける可能性がある。例えば、GMR素子を用いて得られた角度は、数度までの誤差を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の一実施例は、例えば、磁場角度センサに関する角度誤差を低減するためのシステム及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0005]本明細書において記述される概念、システム、方法及び技法によれば、磁気抵抗素子の2つ以上のブリッジ構造を有する磁気角度センサが提供され、限定はしないが、スピンフロップ及び/又は異方性のような現象の影響を低減することによって、より高い精度で磁場の方向の角度を測定できるように、各ブリッジ構造は異なる軸に沿って磁場の投影を測定するように構成される。
【0008】
[0006]各ブリッジ構造は、第1の軸に対して配置される第1の複数の磁気抵抗素子と、第2の軸に対して配置される第2の複数の磁気抵抗素子とを含むことができる。各軸に沿った磁場信号を示す信号を生成することができ、各ブリッジ構造からの信号を平均して、磁場信号の方向を示す出力信号を生成することができる。いくつかの実施形態において、出力信号の誤差の低減は、ブリッジ構造の数に対応することができる。
【0009】
[0007]ブリッジ構造内の各軸は、所定の角度で互いに離間することができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1のブリッジ構造の第1の軸と第2の軸との間の角度は約90度とすることができ、第2の異なるブリッジ構造の第3の軸と第4の軸との間の角度は約90度とすることができる。
【0010】
[0008]いくつかの実施形態において、第2のブリッジ構造(又は角度センサ内の任意の他のブリッジ構造)は、第1のブリッジ構造に対してある角度(本明細書において、傾斜角と呼ばれる)だけ傾けることができ、それぞれのブリッジ構造の各軸は所定の角度で互いに離間することができる。例えば、第1のブリッジ構造の第1の基準軸と第2のブリッジ構造の第3の基準軸との間の傾斜角は、45度のような、90度の約数とすることができる。異なるブリッジ構造の軸間の傾斜角は、それぞれの角度センサ内のブリッジ構造の数に少なくとも部分的に基づいて異なることができる。例えば、いくつかの実施形態において、異なるブリッジ構造の軸間の傾斜角は、約-90度~約90度の任意の角度を含むことができる。
【0011】
[0009]角度センサ出力信号の角度誤差は、ブリッジ構造の数に対応する約数だけ低減することができる。例えば、各ブリッジ構造によって生成される出力の角度誤差は周期的である可能性がある。その角度誤差が互いに正反対であるように、更なるブリッジ構造を所定の角度で互いに傾けることができる。したがって、複数のブリッジ構造からの信号を平均するか、又は合成することによって、角度センサ内のブリッジ構造の数に少なくとも部分的に基づく約数だけ角度誤差を低減することができる。
【0012】
[0010]いくつかの実施形態において、ブリッジ構造の1つ以上の磁気抵抗素子の層(例えば、基準層)のピンニングを変更する(例えば、強める)ことによって角度誤差を低減することができる。例えば、特定のブリッジ構造の1つ以上の磁気抵抗素子の層のピンニングが強くなるのに応じて、ブリッジ構造の角度誤差が減少する。したがって、特定のブリッジ構造の1つ以上の磁気抵抗素子の基準層のピンニングを強めることによって、角度誤差を更に低減することができる。
【0013】
[0011]各ブリッジ構造は、第1の軸に沿って配置される正弦ブリッジと、第2の軸に沿って配置される余弦ブリッジとを含むことができる。正弦ブリッジは第1の軸に対する磁場の正弦を測定し、第1の軸に沿った磁場を示す正弦波信号を生成することができ、余弦ブリッジは、第2の軸に対する磁場の余弦を測定し、第2の異なる軸に沿った磁場を示す余弦波信号を生成することができる。したがって、本明細書において説明されるブリッジ構造は、磁場に対応する正弦波信号及び余弦波信号を生成することができる。
【0014】
[0012]各ブリッジ構造は複数の磁気抵抗素子を含むことができる。磁気抵抗素子は、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗(AMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、又は磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)素子のうちの1つ以上を含むことができる。
【0015】
[0013]第1の態様において、磁場の方向を検出する磁場角度センサが、第1の軸に沿った磁場を示す第1の正弦波信号と、第1の軸に直交する第2の軸に沿った磁場を示す第1の余弦波信号とを生成するように構成される第1のブリッジ構造と、第3の軸に沿った磁場を示す第2の正弦波信号と、第3の軸に直交する第4の軸に沿った磁場を示す第2の余弦波信号とを生成するように構成される第2のブリッジ構造とを含み、第1の軸と第3の軸との間の角度は90度の約数である。
【0016】
[0014]第1の軸と第3の軸との間の角度は約45度とすることができる。いくつかの実施形態において、磁場角度センサは、第1のブリッジ構造及び第2のブリッジ構造を支持する基板を含む。
【0017】
[0015]磁場角度センサは、磁場の方向を示す出力信号を計算するために、第1の正弦波信号、第1の余弦波信号、第2の正弦波信号、及び第2の余弦波信号に応答する回路を含むことができる。その回路は、第1の正弦波信号及び第1の余弦波信号の第1の逆正接を計算し、第2の正弦波信号及び第2の余弦波信号の第2の逆正接を計算する逆正接プロセッサを含むことができる。その回路は、第2の逆正接から第1の軸と第3の軸との間の角度を減算して、第3の逆正接を生成するように構成される差分素子を更に含むことができる。その回路は、磁場の方向を示す出力信号を与えるために、第1の逆正接及び第3の逆正接の平均値を計算するように構成される加算素子を含むことができる。
【0018】
[0016]磁場角度センサは、第5の軸に沿った磁場を示す第3の正弦波信号と、第5の軸に直交する第6の軸に沿った磁場を示す第3の余弦波信号とを生成するように構成される第3のブリッジ構造と、第7の軸に沿った磁場を示す第4の正弦波信号と、第7の軸に直交する第8の軸に沿った磁場を示す第4の余弦波信号とを生成するように構成される第4のブリッジ構造とを含むことができる。第1の軸と第3の軸との間の角度は第1の角度を与えることができ、第5の軸と第1の軸との間の第2の角度は90度の約数であり、第7の軸と第1の軸との間の第3の角度は90度の約数である。一実施形態において、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度は異なる角度である。
【0019】
[0017]いくつかの実施形態において、第1の角度は約45度とすることができ、第2の角度は約22.5度とすることができ、第3の角度は約67.5度とすることができる。
[0018]第1のブリッジ構造は、第1の軸に沿った磁場を検知するように向けられる第1の複数の磁気抵抗素子と、第2の軸に沿った磁場を検知するように向けられる第2の複数の磁気抵抗素子とを含むことができ、第2のブリッジ構造は、第3の軸に沿った磁場を検知するように向けられる第3の複数の磁気抵抗素子と、第4の軸に沿った磁場を検知するように向けられる第4の複数の磁気抵抗素子とを含むことができる。
【0020】
[0019]第1、第2、第3及び第4の複数の磁気抵抗素子は、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗(AMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、又は磁気トンネル接合(MTJ)素子のうちの1つ以上を備える。
【0021】
[0020]第1、第2、第3及び第4の複数の磁気抵抗素子はそれぞれ基準層及びフリー層を備え、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は約1kOeから約3kOe(例えば、約1.2kOeから約2.5kOe)に及ぶことができる。しかしながら、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は、角度センサの適用例に少なくとも部分的に基づいて異なることができることは理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は、1kOeより小さく、又は3kOeより大きくすることができる。
【0022】
[0021]別の態様において、磁場の方向を検出するための方法、その方法は、第1の軸に沿った磁場を示す第1の正弦波信号と、第1の軸に直交する第2の軸に沿った磁場を示す第1の余弦波信号とを生成することと、第3の軸に沿った磁場を示す第2の正弦波信号と、第3の軸に直交する第4の軸に沿った磁場を示す第2の余弦波信号とを生成することとを含む。第1の軸と第3の軸との間の角度は90度の約数とすることができる。
【0023】
[0022]一実施形態において、第1の軸と第3の軸との間の角度は約45度とすることができる。
[0023]その方法は、第1の正弦波信号、第1の余弦波信号、第2の正弦波信号、及び第2の余弦波信号に応答して、磁場の方向を計算することを含むことができる。いくつかの実施形態において、磁場の方向を計算することは、第1の正弦波信号及び第1の余弦波信号の第1の逆正接を求めることと、第2の正弦波信号及び第2の余弦波信号の第2の逆正接を求めることとを含む。
【0024】
[0024]磁場の方向を計算することは、第2の逆正接から第1の軸と第3の軸との間の角度を減算して、第3の逆正接を生成することを含むことができる。いくつかの実施形態において、磁場の方向を計算することは、磁場の方向を示す出力信号を与えるために、第1の逆正接及び第3の逆正接の平均値を計算することを含むことができる。
【0025】
[0025]その方法は、第5の軸に沿った磁場を示す第3の正弦波信号と、第5の軸に直交する第6の軸に沿った磁場を示す第3の余弦波信号とを生成することと、第7の軸に沿った磁場を示す第4の正弦波信号と、第7の軸に直交する第8の軸に沿った磁場を示す第4の余弦波信号とを生成することとを更に含むことができる。第1の軸と第3の軸との間の角度は第1の角度を与えることができ、第5の軸と第1の軸との間の第2の角度は90度の約数であり、第7の軸と第1の軸との間の第3の角度は90度の約数である。一実施形態において、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度は異なる角度にすることができる。
【0026】
[0026]いくつかの実施形態において、第1の角度は約45度とすることができ、第2の角度は約22.5度とすることができ、第3の角度は約67.5度とすることができる。
[0027]第1の正弦波信号を生成することは、第1のブリッジ構造の第1の複数の磁気抵抗素子を用いて第1の軸に沿った磁場を検知することを含み、第1の余弦波信号を生成することは、第1のブリッジ構造の第2の複数の磁気抵抗素子によって第2の軸に沿った磁場を検知することを含む。第2の複数の磁気抵抗素子は、第1の複数の磁気抵抗素子に対して直交するように位置決めすることができる。
【0027】
[0028]第2の正弦波信号を生成することは、第2のブリッジ構造の第3の複数の磁気抵抗素子によって第3の軸に沿った磁場を検知することを含み、第2の余弦波信号を生成することは、第2のブリッジ構造の第4の複数の磁気抵抗素子によって第4の軸に沿った磁場を検知することを含む。第4の複数の磁気抵抗素子は、第3の複数の磁気抵抗素子に対して直交するように位置決めすることができる。いくつかの実施形態において、第1、第2、第3及び第4の複数の磁気抵抗素子はそれぞれ基準層及びフリー層を含み、基準層のピンニングは約1kOeから約3kOe(例えば、約1.2kOeから約2.5kOe)に及ぶことができる。
【0028】
[0029]別の態様において、磁場の方向を検出する磁場角度センサが、第1の軸に沿った磁場を示す第1の正弦波信号と、第1の軸に直交する第2の軸に沿った磁場を示す第1の余弦波信号とを生成するための第1の手段と、第3の軸に沿った磁場を示す第2の正弦波信号と、第3の軸に直交する第4の軸に沿った磁場を示す第2の余弦波信号とを生成するための第2の手段とを含む。第1の軸と第3の軸との間の角度は90度の約数とすることができる。
【0029】
[0030]第1の軸と第3の軸との間の角度は約45度とすることができる。
[0031]磁場角度センサは、第1の生成手段及び第2の生成手段を支持するための手段を更に含むことができる。磁場角度センサは、第1の正弦波信号、第1の余弦波信号、第2の正弦波信号、及び第2の余弦波信号に応答して、磁場の方向を計算するための手段を含むことができる。計算する手段は、第1の正弦波信号及び第1の余弦波信号の第1の逆正接と、第2の正弦波信号及び第2の余弦波信号の第2の逆正接とを求めるための手段を含むことができる。
【0030】
[0032]計算する手段は、第2の逆正接から第1の軸と第3の軸との間の角度を減算して、第3の逆正接を生成するための手段を含むことができる。いくつかの実施形態において、計算する手段は、磁場の方向を示す出力信号を与えるために、第1の逆正接及び第3の逆正接の平均値を計算するための手段を含む。
【0031】
[0033]磁場角度センサは、第5の軸に沿った磁場を示す第3の正弦波信号と、第5の軸に直交する第6の軸に沿った磁場を示す第3の余弦波信号とを生成するための第3の手段と、第7の軸に沿った磁場を示す第4の正弦波信号と、第7の軸に直交する第8の軸に沿った磁場を示す第4の余弦波信号とを生成するための第4の手段とを含むことができる。第1の軸と第3の軸との間の角度は第1の角度を与えることができ、第5の軸と第1の軸との間の第2の角度は90度の約数であり、第7の軸と第1の軸との間の第3の角度は90度の約数である。一実施形態において、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度は異なる角度にすることができる。
【0032】
[0034]第1の角度は約45度とすることができ、第2の角度は約22.5度とすることができ、第3の角度は約67.5度とすることができる。
[0035]第1の生成手段は、第1の軸に沿った磁場を検知する第1の複数の磁気抵抗素子と、第2の軸に沿った磁場を検知する第2の複数の磁気抵抗素子とを備える第1のブリッジ構造を含み、第2の生成手段は、第3の軸に沿った磁場を検知する第3の複数の磁気抵抗素子と、第4の軸に沿った磁場を検知する第4の複数の磁気抵抗素子とを備える第2のブリッジ構造を含むことができる。
【0033】
[0036]一実施形態において、第1、第2、第3及び第4の複数の磁場検知素子はそれぞれ、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗(AMR)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、又は磁気トンネル接合(MTJ)素子のうちの1つ以上を含むことができる。第1、第2、第3及び第4の複数の磁気抵抗素子はそれぞれ基準層及びフリー層を備える。基準層のピンニングは、約1kOeから2kOe(例えば、約1.2kOeから約2.5kOe)に及ぶことができる。
【0034】
[0037]添付の図面及び以下の説明において、本開示の1つ以上の実施形態の詳細が記載される。本開示の他の特徴、目的及び利点は、その説明及び図面から、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0035】
[0038]これまでの特徴は、図面に関する以下の説明から更に十分に理解することができる。なお、図面において、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】[0039]各ブリッジ構造が正弦ブリッジ及び余弦ブリッジを有する、角度センサの2つのブリッジ構造の図である。
図1A】[0040]基板上に配置され、磁石に相対する図1の2つのブリッジ構造を示す図である。
図1B】[0041]単一のピン止め構成を有するGMR素子の層を示す図である。
図2】[0042]各ブリッジ構造が正弦ブリッジ及び余弦ブリッジを有する、4つのブリッジ構造を有する角度センサの図である。
図2A】[0043]共通のブリッジ構造の軸間の異なる角度の図である。
図2B】[0044]異なるブリッジ構造の軸間の異なる傾斜角の図である。
図3】[0045]異なる数のブリッジ構造を有する角度センサに関するピンニング強度の関数としての角度誤差を示すプロット図である。
図4】[0046]2つのブリッジ構造を有する角度センサを示すブロック図である。
図5】[0047]4つのブリッジ構造を有する角度センサを示すブロック図である。
図6】[0048]磁場の方向を検出するための方法のフロー図である。
図6A】[0048]磁場の方向を検出するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[0049]本発明を説明する前に、いくつかの導入的な概念及び専門用語が説明される。
[0050]知られているように、異なるタイプの磁気抵抗素子、例えば、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗(AMR)素子、及び磁気トンネル接合(MTJ)素子とも呼ばれるトンネル磁気抵抗(TMR)素子がある。
【0038】
[0051]これらの磁気抵抗素子のうち、GMR及びTMR素子は、スピン電子工学(すなわち、電子スピン)によって動作し、その抵抗は、非磁性層によって分離される異なる磁性層の磁場配向に関連する。スピン値構成において、抵抗は、別の層、いわゆる、「基準層」に対する、いわゆる、「フリー層」内の磁化の角度方向に関連する。フリー層及び基準層は後に更に十分に説明される。
【0039】
[0052]磁気抵抗素子は単一の素子とすることができるか、又は代替的には、種々の構成に配置される2つ以上の磁気抵抗素子、例えば、ハーフブリッジ又はフル(ホイートストン)ブリッジを含むことができる。
【0040】
[0053]本明細書において使用されるときに、「磁場角度センサ」という用語は、一般に他の回路と組み合わせて、磁場検知素子を使用する回路を記述するために使用される。通常の磁場センサでは、磁場検知素子及び他の回路は共通の基板上に集積することができる。
【0041】
[0054]ここで図1を参照すると、第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112を有する角度センサ100が示される。第1のブリッジ構造102は第1の正弦ブリッジ104及び第1の余弦ブリッジ106を含み、第2のブリッジ構造112は第2の正弦ブリッジ114及び第2の余弦ブリッジ116を含む。角度センサ100は、第1の正弦ブリッジ104、第1の余弦ブリッジ106、第2の正弦ブリッジ114及び第2の余弦ブリッジ116のそれぞれから生成される信号に部分的に基づいて、磁場の方向を検出するように構成することができる。
【0042】
[0055]例えば、第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112は、グラジオメータとして形成することができ、磁場の異なる特性を検出するように構成することができる。第1のブリッジ構造102の第1の正弦ブリッジ104及び第2のブリッジ構造112の第2の正弦ブリッジ114は、磁場の正弦を測定することができる。第1のブリッジ構造102の第1の余弦ブリッジ106及び第2のブリッジ構造112の第2の余弦ブリッジ116は磁場の余弦を測定することができる。したがって、第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112はそれぞれ、磁場の正弦特性及び余弦特性を測定することができる。
【0043】
[0056]より詳細には、第1の正弦ブリッジ104、第1の余弦ブリッジ106、第2の正弦ブリッジ114及び第2の余弦ブリッジ116はそれぞれ、それぞれの軸に沿った磁場の投影及び/又は特性を測定することができる。例えば、図1に示されるように、第1の正弦ブリッジ104は第1の軸142に沿って配置され、第1の余弦ブリッジ106は第2の軸144に沿って配置される。一実施形態において、第1の軸142と第2の軸144との間の角度は約90度とすることができる。また、図1に示されるように、第2の正弦ブリッジ114は第3の軸146に沿って配置され、第2の余弦ブリッジ116は第4の軸148に沿って配置される。一実施形態において、第3の軸146と第4の軸148との間の角度147は約90度とすることができる。
【0044】
[0057]第2のブリッジ構造112の第3の軸146及び第4の軸148は、第1のブリッジ構造102の第1の軸142及び第2の軸144に対して、ある角度(すなわち、傾斜角)だけ傾けることができ、その角度は90度の約数である。例えば、第1の軸142と第3の軸146との間の傾斜角145は約45度とすることができ、第2の軸144と第4の軸148との間の傾斜角149は約45度とすることができる。異なるブリッジ構造の軸間の傾斜角145、149は、特定の角度センサのブリッジ構造の数に少なくとも部分的に基づいて異なることができることは理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、異なるブリッジ構造の軸間の傾斜角は、約-90度~約90度の任意の角度を含むことができる。
【0045】
[0058]第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112はそれぞれ複数の磁気抵抗素子を含む。例えば、図1に示されるように、第1の正弦ブリッジ104は複数の磁気抵抗素子124a~124dを含み、第1の余弦ブリッジ106は複数の磁気抵抗素子126a~126dを含み、第2の正弦ブリッジ114は複数の磁気抵抗素子134a~134dを含み、第2の余弦ブリッジ116は複数の磁気抵抗素子136a~136dを含む。図1は、各ブリッジ構造が4つの磁気抵抗素子を有することを示すが、本明細書において説明されるブリッジ構造は、角度センサ100の特定の適用例に少なくとも部分的に基づいて、それより多くの、又は少ない磁気抵抗素子を含む場合があることは理解されたい。
【0046】
[0059]第1の正弦ブリッジ104、第1の余弦ブリッジ106、第2の正弦ブリッジ114及び第2の余弦ブリッジ116はそれぞれ、電圧源端子(例えば、Vcc)162に結合される第1の端子と、接地端子160に結合される第2の端子とを有することができる。他の実施形態では、第1の正弦ブリッジ104、第1の余弦ブリッジ106、第2の正弦ブリッジ114及び第2の余弦ブリッジ116はそれぞれ、電流源端子(例えば、Icc)に結合される第1の端子と、接地端子160に結合される第2の端子とを有することができる。
【0047】
[0060]ここで、図1Aを参照すると、角度センサ100が、基板170の第1の表面172上に配置される第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112を含む。角度センサ100は、磁石150が軸152の周りを回転するのに応じて、磁石150によって生成される磁場154の方向を検出するように構成することができる。磁石150はN極156及びS極158を含むことができ、磁場154(例えば、磁場の磁束線)がN極156とS極158との間に延在することができる。
【0048】
[0061]角度センサ100は、複数の異なる軸142、144、146、148のそれぞれに沿った磁場154の投影を測定することができる。例えば、第1の正弦ブリッジ104は第1の軸142に沿った磁場154の成分を測定し、第1の軸142に沿った磁場154を示す第1の正弦波信号を生成することができる。第1の余弦ブリッジ106は第2の軸144に沿った磁場154の成分を測定し、第2の軸144に沿った磁場154を示す第1の余弦波信号を生成することができる。第2の正弦ブリッジ114は第3の軸146に沿った磁場154の成分を測定し、第3の軸146に沿った磁場154を示す第2の正弦波信号を生成することができる。第2の余弦ブリッジ116は第4の軸148に沿った磁場154の成分を測定し、第4の軸148に沿った磁場154を示す第2の余弦波信号を生成することができる。図4及び図5に関して後に更に詳細に説明されるように、第1の正弦ブリッジ104、第1の余弦ブリッジ106、第2の正弦ブリッジ114及び第2の余弦ブリッジ116の出力は、磁場154の方向を特定するために、平均することができるか、又は別の方法で比較することができる。
【0049】
[0062]正弦ブリッジ104、第1の余弦ブリッジ106、第2の正弦ブリッジ114及び第2の余弦ブリッジ116がそれぞれ異なる軸142、144、146、148に対して位置決めされるので、第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112はそれぞれ少なくとも2つの軸に沿った磁場154の成分を測定することができる。角度センサ100によって生成される出力信号の角度誤差パーセンテージをブリッジ構成要素の数に対応する約数だけ低減できるように、第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112は、異なる角度における磁場154の成分を測定することができる。
【0050】
[0063]例えば、第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112によって生成される信号の角度誤差は周期的である可能性がある。しかしながら、図1及び図1Aに示されるように、各ブリッジ構造からの信号に関連付けられるそれぞれの角度誤差が互いに正反対であるような傾斜角で、第2のブリッジ構造112の軸を第1のブリッジ構造102の軸に対して傾けることができる。第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112の出力を平均することができるか、又は2つの出力間の平均値を求めることができ、角度センサ100内のブリッジ構造の数、ここでは2つに部分的に基づいて低減された誤差角度を有する。一実施形態において、第1の軸142と第3の軸146との間の傾斜角145及び第2の軸144と第4の軸148との間の傾斜角149は、角度センサ100の角度誤差を低減するように選択することができる。
【0051】
[0064]ここで図1Bを参照すると、磁場検知素子175(例えば、MR素子、GMR素子)が、基板上の上方にわたって配置される複数の層を含む。磁場検知素子175は、図1及び図1Aに関して上記で説明される磁気抵抗素子、及び図2に関して後に説明される磁気抵抗素子と同じ、又は概ね類似とすることができる。
【0052】
[0065]基板の上面が図1Bの底部にある下端の線として示される。一実施形態において、磁場検知素子175を含む角度センサの角度誤差を低減するように、磁場検知素子175の基準層のピンニング強度又はピンニングファクタを変更することができる。例えば、特定のブリッジ構造の1つ以上の磁気抵抗素子の層のピンニングファクタが高くなるのに応じて、ブリッジ構造の角度誤差が減少する。
【0053】
[0066]いくつかの実施形態において、本明細書において説明される各ブリッジ構造は、複数の磁気抵抗素子を含むことができる。各磁気抵抗素子は基準層及びフリー層を含むことができる。基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は約1kOeから約3kOeに及ぶことができる。いくつかの実施形態において、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は、約1.2kOeから約2.5kOeに及ぶことができる。しかしながら、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は、角度センサの適用例に少なくとも部分的に基づいて異なることができることは理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は、1kOeより小さく、又は3kOeより大きくすることができる。
【0054】
[0067]一実施形態において、基準層は、限定はしないが、強磁性層180cのような強磁性層を指すことができる。スペーサ層は磁場検知素子175の感度特性(例えば、感度軸)を変更することができるので、基準層は、ピン止め層180のうちの、このスペーサ層(ここでは、スペーサ(CU)層182)と接合している層を指すことができる。フリー層及び基準層は後に更に十分に説明される。
【0055】
[0068]図1Bの左側において、各層が機能名によって特定される。図1Bの右側には、機能層を形成することができるサブ層の磁気特性が示される。一般に、磁性材料は、様々な磁気特性を有することができ、限定はしないが、強磁性、反強磁性及び非磁性を含む、種々の用語によって分類することができる。様々なタイプの磁性材料の説明は、本明細書では詳述されない。
【0056】
[0069]図示されるように、磁場検知素子175は、基板の上方にわたって配置されるシード層176と、シード層176の上方にわたって配置される反強磁性ピンニング層178と、反強磁性ピンニング層176の上方にわたって配置されるピン止め層180とを含むことができる。ピン止め層180は、第1の強磁性ピン止め層180aと、第2の強磁性ピン止め層180cと、その間に配置されるスペーサ層180bとから構成することができる。
【0057】
[0070]また、磁場検知素子175は、第2の強磁性ピン止め層180cの上方にわたって配置されるスペーサ層182と、スペーサ層182の上方にわたって配置されるフリー層184とを含むことができる。スペーサ層180bは非磁性金属層である。スペーサ182も非磁性層であり、GMRの場合には金属、TMRの場合には絶縁体とすることができる。フリー層184は、第1の強磁性フリー層184a及び第2の強磁性フリー層184bから構成することができる。
【0058】
[0071]磁場検知素子175を保護するために、フリー層184の上方にわたってキャップ層186を配置することができる。
[0072]磁場検知素子175の層の厚さの例がナノメートル単位で示される。従来の先行技術のGMR素子の層の材料の例が原子記号によって示される。
【0059】
[0073]いくつかの層内に矢印が示されており、矢印は、磁場検知素子175が外部磁場を受けないときの層の磁場の方向を示すか、又は磁場の方向である。紙面から出る矢印が円内の丸印として示され、紙面に入る矢印が円内のバツ印として示される。
【0060】
[0074]下から上向きに層を考えるとき、シード層176は、基板上に規則的な結晶構造を設けるために使用され、その結晶構造が、上方の層の結晶特性に影響を及ぼす。
[0075]反強磁性ピンニング層178に関して、反強磁性ピンニング層178内のサブ層(すなわち、層部分)は、右矢印及び左矢印によって示される交互の異なる方向を指し示す磁場を有する傾向があり、結果として、反強磁性ピンニング層は0の正味の磁場を有する。反強磁性ピンニング層178の上面は、1つの方向を指し示す磁気モーメントを有する傾向があり、ここでは左を指し示す。
【0061】
[0076]一実施形態において、強磁性ピン止め層180cのピンニングファクタを高めることによって、角度センサの角度誤差パーセンテージを低減することができる。例えば、磁場検知素子175の層のピンニングファクタを変更するために、形状、厚さ又は他の形の寸法を変更して、磁場検知素子175の層のピンニングファクタを高めることができる。
【0062】
[0077]ピンニングファクタは、少なくとも2つの異なる技法によって変更(又は生成)することができる。後に更に詳細に説明されるように、いくつかの実施形態において、合成反強磁性体(SAF:synthetic antiferromagnet)を用いてピンニングファクタを変更(又は生成)することができる。
【0063】
[0078]他の実施形態では、第1の強磁性ピン止め層180aと反強磁性ピンニング層178との間のピンニングを変更することによって、ピンニングファクタを変更(又は生成)することができる。例えば、ピンニングファクタを高めるために、スペーサ180bを薄くすることによって、又はスペーサ180bの材料を変更すること(例えば、Ruの代わりにRh)によって、第1の強磁性ピン止め層180aと第2の強磁性ピン止め層180cとの間の結合を強めることができる。いくつかの実施形態において、更なる結合がスペーサ180bを通しての結合を相殺できるように、磁場検知素子175が配置される基板の表面を平滑にすることができるか、又は基板の表面粗さを低減することができる。第1の強磁性ピン止め層180aによって放出される磁場(例えば、磁場の磁束線)を第2の強磁性ピン止め層180cによって補償できるように、第1の強磁性ピン止め層180a及び第2の強磁性ピン止め層180cの厚さ及び磁化のバランスをとり、SAFのバランスを保つことができる。いくつかの実施形態において、反強磁性ピンニング層178を厚くして、反強磁性ピンニング層178の異方性を強めることができる。
【0064】
[0079]ピン止め層180に関して、第1の強磁性ピン止め層180aは反強磁性ピンニング層178の上面に結合する傾向があり、それゆえ、第1の強磁性ピン止め層180a内の磁場は、反強磁性ピンニング層178の上面における磁気モーメントに平行に揃うことができ、ここでは左を指し示す。
【0065】
[0080]第1の強磁性ピン止め層180aと第2の強磁性ピン止め層180cとの間のスペーサ層180bの存在に起因して、第2の強磁性ピン止め層180cは、第1の強磁性ピン止め層180aと反強磁性的に結合する傾向があり、それゆえ、他の方向を指し示す磁場を有し、ここでは右を指し示すように示される。3つの層180a、180b、180cの組み合わせは、合成反強磁性構造又は層と呼ぶことができる。
【0066】
[0081]第1のフリー層184a及び第2のフリー層184bは、外部磁場が存在しない場合に、紙面から出るように指し示すそれぞれの磁場を有する。この指し示す方向は、紙面から出るように指し示す方向に沿って特定の異方性を生み出すことによって達成することができる。その異方性は、それぞれの磁場検知素子(例えば、GMR素子)の形状によって生み出すことができる。例えば、異方性は、ヨーク形状を有するように磁場検知素子175をパターニングすることによって(平面図)、又は結晶若しくは磁気異方性によって生み出すことができる。ヨーク形状を作り出すことによって、フリー層184は優先軸(ヨーク軸)を有する。ヨーク軸が基準磁化に対して垂直である場合には、交差異方性(crossed anisotropy)を達成することができ、それにより、フリー層異方性の秩序場拡張(field extension of the order)に対して線形応答が得られるようにする。
【0067】
[0082]動作時に、磁場検知素子175が矢印188の方向を指し示す外部磁場に晒されるとき、強磁性フリー層184a、184b内の磁場は、第2の強磁性ピン止め層180c内の磁場が指し示す方向に更に整列する(又は完全に整列する、すなわち、右を指し示す)ように、右に回転する傾向がある。一実施形態において、スペーサ層180bを通しての第1の強磁性ピン止め層180aと第2の強磁性ピン止め層180cとの間の結合は、Ruderman-Kittel-Kasuya-Yosida(RKKY)結合と呼ぶことができる。ピン止め層180a、180cは、外部磁場に反応しない単一のユニットとしての役割を果たすことができる。したがって、ピンニング層178は、ピン止め層180a、180cの感度の方向及び軸を固定するように構成することができる。例えば、ピン止め層180内の磁化は、反強磁性ピンニング層によってピン止めされ、回転しない。強磁性フリー層184a、184b内の磁場の回転量は、外部磁場の大きさによって決まる。強磁性フリー層184a、184b内の磁場と、第2の強磁性ピン止め層180c内の磁場の方向とが整列するほど、磁場検知素子175の抵抗が下がる傾向がある。
【0068】
[0083]逆に、GMR素子が矢印188の正反対の方向を指す磁場に晒されるとき、フリー層184内の磁場は、第2の強磁性ピン止め層180c内の磁場が指し示す方向と更に非整列になる(又は完全に非整列になる、すなわち、左を指し示す)ように、左に回転する傾向がある。回転量は、外部磁場の大きさによって決まる。強磁性フリー層184a、184b内の磁場と、第2の強磁性ピン止め層180c内の磁場の方向とが非整列になるほど、磁場検知素子175の抵抗が上がる傾向がある。
【0069】
[0084]ここで図2図2Bを参照すると、角度センサ200が第1のブリッジ構造202、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232を含む。角度センサ200は角度センサ100に類似とすることができるが、角度センサ200は4つのブリッジ構造を有する。
【0070】
[0085]第1のブリッジ構造202は第1の正弦ブリッジ204及び第1の余弦ブリッジ206を含み、第2のブリッジ構造212は、第2の正弦ブリッジ214及び第2の余弦ブリッジ216を含む。第3のブリッジ構造222は第3の正弦ブリッジ224及び第3の余弦ブリッジ226を含み、第4のブリッジ構造232は第4の正弦ブリッジ234及び第4の余弦ブリッジ236を含む。角度センサ200は、第1の正弦ブリッジ204、第1の余弦ブリッジ206、第2の正弦ブリッジ214、第2の余弦ブリッジ216、第3の正弦ブリッジ224、第3の余弦ブリッジ226、第4の正弦ブリッジ234及び第4の余弦ブリッジ236のそれぞれから生成される信号に部分的に基づいて、磁場の方向を検出するように構成することができる。
【0071】
[0086]例えば、第1のブリッジ構造202、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232はそれぞれ、異なる軸に関する磁場成分の正弦及び余弦を測定することができる。第1のブリッジ構造202の第1の正弦ブリッジ204、第2のブリッジ構造112の第2の正弦ブリッジ214、第3のブリッジ構造222の第3の正弦ブリッジ224及び第4のブリッジ構造232の第4の正弦ブリッジ234は、磁場の正弦を測定することができる。第1のブリッジ構造202の第1の余弦ブリッジ206、第2のブリッジ構造212の第2の余弦ブリッジ216、第3のブリッジ構造222の第3の余弦ブリッジ226及び第4のブリッジ構造232の第4の余弦ブリッジ236は、磁場の余弦を測定することができる。
【0072】
[0087]第1のブリッジ構造202、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232のそれぞれの正弦ブリッジ及び余弦ブリッジは、異なる軸に沿った磁場の投影及び/又は特性を測定することができる。例えば、図2に示されるように、第1の正弦ブリッジ204は第1の軸250に沿って配置され、第1の余弦ブリッジ206は第2の軸252に沿って配置される。一実施形態において、第1の軸250と第2の軸252との間の角度251は約90度とすることができる(図2A)。第2の正弦ブリッジ214は第3の軸254に沿って配置され、第2の余弦ブリッジ216は第4の軸258に沿って配置される。一実施形態において、第3の軸254と第4の軸258との間の角度255は約90度とすることができる(図2A)。
【0073】
[0088]また、図2に示されるように、第3の正弦ブリッジ224は第5の軸260に沿って配置され、第3の余弦ブリッジ226は第6の軸262に沿って配置される。一実施形態において、第5の軸260と第6の軸262との間の角度261は約90度とすることができる(図2A)。第4の正弦ブリッジ234は第7の軸264に沿って配置され、第4の余弦ブリッジ236は第8の軸268に沿って配置される。一実施形態において、第7の軸264と第8の軸266との間の角度265は約90度とすることができる(図2A)。
【0074】
[0089]異なるブリッジ構造は互いに種々の傾斜角において傾けることができる。例えば、図2Bに示されるように、各ブリッジ構造の正弦ブリッジを考えると、第3の軸254は第1の軸250に対して第1の傾斜角253に配置することができる。第4の軸258は第2の軸252に対して第2の傾斜角257に配置することができる。第7の軸264は第5の軸260に対して第3の傾斜角263に配置することができる。第8の軸268は第6の軸262に対して第4の傾斜角267に配置することができる。一実施形態において、第1の傾斜角253、第2の傾斜角257、第3の傾斜角263及び第4の傾斜角267は異なることができる。いくつかの実施形態において、第1の傾斜角253、第2の傾斜角257、第3の傾斜角263及び第4の傾斜角267のうちの1つ以上は同じとすることができる。いくつかの実施形態において、第5の軸260は第1の軸250に対して第5の傾斜角269に配置することができる。異なるブリッジ構造の軸間の傾斜角は約-90度~約90度の任意の角度を含むことができることは理解されたい。
【0075】
[0090]第1の傾斜角253、第2の傾斜角257、第3の傾斜角263及び第4の傾斜角267は、約90度の約数、及び/又は約45度の約数とすることができる。いくつかの実施形態において、第1の傾斜角253、第2の傾斜角257、第3の傾斜角263及び第4の傾斜角267は、第1のブリッジ構造202、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232の誤差パーセンテージが正反対になるように選択することができる。
【0076】
[0091]第1の傾斜角253、第2の傾斜角257、第3の傾斜角263及び第4の傾斜角267は、第1のブリッジ構造202、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232の異なる軸のそれぞれが均等に離間されるように選択することができる。例えば、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232の異なる軸は第1のブリッジ構造202に対して傾けることができる。異なる傾斜角は互いの約数又は倍数とすることができる。そのような実施形態において、第2のブリッジ構造212及び第1のブリッジ構造202の軸間の第1の傾斜角は約45度とすることができ、第3のブリッジ構造222及び第1のブリッジ構造202の軸間の第2の傾斜角は約22.5度とすることができ、第4のブリッジ構造232及び第1のブリッジ構造202の軸間の第3の傾斜角は約67.5度とすることができる。
【0077】
[0092]異なるブリッジ構造の軸間の傾斜角は、角度センサの特定の適用例に少なくとも基づいて選択できることは理解されたい。いくつかの実施形態において、異なるブリッジ構造の軸間の傾斜角は反復方法を用いて選択することができる。例えば、互いに約90度に配置される余弦ブリッジ及び正弦ブリッジを有する第1のブリッジ構造を生成することができる。その際、後続の各ブリッジ構造は約90度に配置される余弦ブリッジ及び正弦ブリッジを含むことができ、後続の各ブリッジ構造は、それぞれの角度センサ内の第1のブリッジ構造又は任意の他のブリッジ構造に対して、ある傾斜角で傾けることができる。このようにして、後続の各ブリッジ構造の余弦ブリッジは、第1のブリッジ構造の余弦ブリッジに対して傾けることができ、後続の各ブリッジ構造の正弦ブリッジは、第1のブリッジ構造の正弦ブリッジに対して傾けることができる。いくつかの実施形態において、角度センサはブリッジ構造の1つ以上のグループを含むことができ、ブリッジ構造の各グループは2つ以上のブリッジ構造を有する。
【0078】
[0093]第1のブリッジ構造202、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232はそれぞれ複数の磁気抵抗素子を含む。例えば、図2に示されるように、第1の正弦ブリッジ204は複数の磁気抵抗素子208a~208dを含み、第1の余弦ブリッジ206は複数の磁気抵抗素子210a~210dを含み、第2の正弦ブリッジ214は複数の磁気抵抗素子218a~218dを含み、第2の余弦ブリッジ216は複数の磁気抵抗素子220a~220dを含む。第3の正弦ブリッジ224は複数の磁気抵抗素子228a~228dを含み、第3の余弦ブリッジ226は複数の磁気抵抗素子230a~230dを含み、第4の正弦ブリッジ234は複数の磁気抵抗素子240a~240dを含み、第4の余弦ブリッジ236は複数の磁気抵抗素子238a~238dを含む。
【0079】
[0094]第1の正弦ブリッジ204、第1の余弦ブリッジ206、第2の正弦ブリッジ214、第2の余弦ブリッジ216、第3の正弦ブリッジ224、第3の余弦ブリッジ226、第4の正弦ブリッジ234及び第4の余弦ブリッジ236の第1の端子は、電圧源端子(例えば、Vcc)272に結合することができる。第1の正弦ブリッジ204、第1の余弦ブリッジ206、第2の正弦ブリッジ214、第2の余弦ブリッジ216、第3の正弦ブリッジ224、第3の余弦ブリッジ226、第4の正弦ブリッジ234及び第4の余弦ブリッジ236の第2の端子は、接地端子274に結合することができる。
【0080】
[0095]ここで図3を参照すると、プロット図300が、3つの異なる角度センサ302、304、306に関して角度センサの基準層のピンニングファクタが変化するときの角度センサに関する角度誤差(例えば、絶対角度誤差)の変化を示し、角度誤差値が垂直軸(例えば、y軸)に沿って与えられ、ピンニングファクタが水平軸(例えば、x軸)に沿ってキロエルステッド単位(kOe)において与えられる。詳細には、ライン302は、1つのブリッジ構造を有する角度センサに関する角度誤差を示し、ライン304は、2つのブリッジ構造を有する角度センサ(例えば、図1の角度センサ100)に関する角度誤差を示し、ライン306は4つのブリッジ構造を有する角度センサ(例えば、図2の角度センサ200)に関する角度誤差を示す。
【0081】
[0096]図3に示されるように、ピンニングファクタが高くなるのに応じて、絶対角度誤差が減少する。さらに、角度センサ内のブリッジ構造の数が増えるのに応じて、絶対角度誤差が減少する。例えば、ライン302は1つのブリッジ構造を有する角度センサに対応する。ライン302に関して、ピンニングファクタが第1のピンニングファクタ値310、ここでは1kOeから、第2のピンニングファクタ値320、ここでは3kOeまで高くなるのに応じて、角度誤差パーセンテージが減少する。
【0082】
[0097]しかしながら、角度センサ内のブリッジ構造の数を増やすことによって、角度センサに関する絶対角度誤差のより大きい減少を達成することができる。例えば、ライン304は2つのブリッジ構造を有する角度センサに対応する。ライン304に関して、第1のピンニングファクタ値310、ここでは1kOeにおいて、2つのブリッジ構造を有する角度センサは、ライン302によって表される1つのブリッジ構造を有する角度センサに比べて、小さい絶対角度を有する。さらに、ピンニングファクタが第1のピンニングファクタ値310、ここでは1kOeから、第2のピンニングファクタ値320、ここでは3kOeまで高くなるのに応じて、ライン304(すなわち、2つのブリッジ構造を有する角度センサ)は、ライン302によって表される1つのブリッジ構造を有する角度センサに比べて、受ける角度誤差の減少が大きい(例えば、ライン302に比べて、ライン304の変化率が大きい)。
【0083】
[0098]ライン306は4つのブリッジ構造を有する角度センサに対応し、第1のピンニングファクタ値310、ここでは1kOeにおいて、4つのブリッジ構造を有する角度センサは、2つのブリッジ構造を有する角度センサ(ライン304)及び/又は1つのブリッジ構造を有する角度センサ(ライン302)に比べて小さい絶対角度誤差を有する。さらに、ピンニングファクタが第1のピンニングファクタ値310、ここでは1kOeから、第2のピンニングファクタ値320、ここでは3kOeまで高くなるのに応じて、ライン306(すなわち、4つのブリッジ構造を有する角度センサ)は、ライン304によって表される2つのブリッジ構造を有する角度センサ及び/又はライン302によって表される1つのブリッジ構造を有する角度センサに比べて、受ける角度誤差の減少が大きい(例えば、ライン304及びライン302に比べて、ライン306の変化率が大きい)。それゆえ、角度センサのピンニングファクタを高めることによって、角度センサ内のブリッジ構造の数を増やすことによって、又は両方の組み合わせによって、角度センサに関する角度誤差パーセンテージを低減することができる。
【0084】
[0099]ここで図4を参照すると、ブロック図400が、第1の余弦ブリッジモジュール402、第1の正弦ブリッジモジュール404、第2の余弦ブリッジモジュール406及び第2の正弦ブリッジモジュール408を含む。一実施形態において、第1の余弦ブリッジモジュール402、第1の正弦ブリッジモジュール404、第2の余弦ブリッジモジュール406及び第2の正弦ブリッジモジュール408は、図1の第1の余弦ブリッジ106、第1の正弦ブリッジ104、第2の余弦ブリッジ114及び第2の正弦ブリッジ114の出力にそれぞれ対応することができる。
【0085】
[0100]回路400は、図1の角度センサ100の構成要素に結合することができ、第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112によって生成される出力信号(正弦波信号及び余弦波信号)を処理して、第1のブリッジ構造102及び第2のブリッジ構造112によって測定される磁場の方向を示す出力信号を生成するように構成することができる。
【0086】
[0101]第1の余弦ブリッジモジュール402の出力が第1の逆正接モジュール410の第1の入力に結合され、第1の正弦ブリッジモジュール404の出力が第1の逆正接モジュール410の第2の入力に結合される。一実施形態において、第1の余弦ブリッジモジュール402の出力は第1の余弦波信号とすることができ、第1の正弦ブリッジモジュール404の出力は第1の正弦波信号とすることができる。第1の逆正接モジュール410は、第1の正弦波信号及び第1の余弦波信号に基づいて、第1の逆正接値を計算することができる。
【0087】
[0102]第1の逆正接モジュール410の出力が、加算モジュール418の第1の入力に結合され、第1の逆正接値を与える。
[0103]第2の余弦ブリッジモジュール406の出力が第2の逆正接モジュール412の第1の入力に結合され、第2の正弦ブリッジモジュール408の出力が第2の逆正接モジュール412の第2の入力に結合される。一実施形態において、第2の余弦ブリッジモジュール404の出力は第2の余弦波信号とすることができ、第2の正弦ブリッジモジュール404の出力は第2の正弦波信号とすることができる。第2の逆正接モジュール412は、第2の正弦波信号及び第2の余弦波信号に基づいて、第2の逆正接値を計算することができる。
【0088】
[0104]第2の逆正接モジュール412の出力が、差分素子414の第1の入力に結合され、第2の逆正接値を与える。差分素子414の第2の入力が傾斜角416を受信するように結合される。傾斜角416は、正又は負の角度値とすることができる。
【0089】
[0105]傾斜角416は、第1のブリッジ構造のブリッジ又は軸と第2のブリッジ構造(又はそれぞれの角度センサ内の任意の他のブリッジ構造)のブリッジ又は軸との間の角度差に対応することができる。例えば、一実施形態において、傾斜角416は、図1の第2のブリッジ構造112の第3の軸146及び第4の軸148が図1の第1のブリッジ構造102の第1の軸142及び第2の軸144に対してそれぞれ傾けられる傾斜角145、149に対応することができる。別の言い方をすると、傾斜角416は、図1の第1の軸142と第3の軸146との間の第1の傾斜角145に、及び/又は図1の第2の軸144と第4の軸148との間の第2の傾斜角149に対応することができる。
【0090】
[0106]差分素子414は、第2の逆正接値に傾斜角値416を適用して、差分値(例えば、第3の逆正接値)を生成することができる。いくつかの実施形態において、差分素子414は、第2の逆正接値から傾斜角416を減算して、差分値を生成することができる。他の実施形態では、差分素子414は、第2の逆正接値に負の傾斜角416を加算し、差分値を生成することができる。
【0091】
[0107]差分素子414の出力が、加算モジュール418の第2の入力に結合することができる。加算モジュール418は、第1の逆正接値及び差分値(例えば、第3の逆正接値)を受信し、第1の逆正接値及び差分値の平均値を計算することができる。加算モジュール418の出力は、求められた平均値である出力信号420である。一実施形態において、出力信号420は、磁場の方向を示すことができる。
【0092】
[0108]ここで図5を参照すると、回路500が、第1のブリッジ構造の出力に対応する第1の余弦ブリッジモジュール502及び第1の正弦ブリッジモジュール504と、第2のブリッジ構造の出力に対応する第2の余弦ブリッジモジュール506及び第2の正弦ブリッジモジュール508とを含む。回路500は、第3のブリッジ構造の出力に対応する第3の余弦ブリッジモジュール510及び第3の正弦ブリッジモジュール512と、第4のブリッジ構造の出力に対応する第4の余弦ブリッジモジュール514及び第4の正弦ブリッジモジュール516とを更に含む。
【0093】
[0109]回路500は、図2の角度センサ200の構成要素に結合することができ、第1のブリッジ構造202、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232によって生成される出力信号(正弦波信号及び余弦波信号)を処理して、第1のブリッジ構造202、第2のブリッジ構造212、第3のブリッジ構造222及び第4のブリッジ構造232によって測定される磁場の方向を示す出力信号を生成するように構成することができる。
【0094】
[0110]一実施形態において、第1の余弦ブリッジモジュール502、第1の正弦ブリッジモジュール504、第2の余弦ブリッジモジュール506、第2の正弦ブリッジモジュール508、第3の余弦ブリッジモジュール510、第3の正弦ブリッジモジュール512、第4の余弦ブリッジモジュール514及び第4の正弦ブリッジモジュール516は、図2の第1の余弦ブリッジ206、第1の正弦ブリッジ204、第2の余弦ブリッジ216、第2の正弦ブリッジ214、第3の余弦ブリッジ226、第3の正弦ブリッジ224、第4の余弦ブリッジ236及び第4の正弦ブリッジ234の出力にそれぞれ対応することができる。
【0095】
[0111]図5に示されるように、第1の余弦ブリッジモジュール502の出力が第1の逆正接モジュール520の第1の入力に結合され、第1の正弦ブリッジモジュール504の出力が第1の逆正接モジュール520の第2の入力に結合される。一実施形態において、第1の余弦ブリッジモジュール502の出力は第1の余弦波信号とすることができ、第1の正弦ブリッジモジュール504の出力は第1の正弦波信号とすることができる。第1の逆正接モジュール520は、第1の正弦波信号及び第1の余弦波信号に基づいて、第1の逆正接値を計算することができる。
【0096】
[0112]第1の逆正接モジュール520の出力が、加算モジュール550の第1の入力に結合され、第1の逆正接値を与える。
[0113]第2の余弦ブリッジモジュール506の出力が第2の逆正接モジュール522の第1の入力に結合され、第2の正弦ブリッジモジュール508の出力が第2の逆正接モジュール522の第2の入力に結合される。一実施形態において、第2の余弦ブリッジモジュール506の出力は第2の余弦波信号とすることができ、第2の正弦ブリッジモジュール508の出力は第2の正弦波信号とすることができる。第2の逆正接モジュール522は、第2の正弦波信号及び第2の余弦波信号に基づいて、第2の逆正接値を計算することができる。
【0097】
[0114]第2の逆正接モジュール522の出力が、第1の差分素子532の第1の入力に結合され、第2の逆正接値を与える。第1の差分素子532の第2の入力が、第1の傾斜角542を受信するように結合される。第1の傾斜角542は、正又は負の角度値とすることができる。
【0098】
[0115]第1の傾斜角542、第2の傾斜角544及び第3の傾斜角546は、異なるブリッジ構造のブリッジ又は軸間の傾斜角(例えば、図2Bの傾斜角253、257、263、267)に対応することができる。例えば、第1の傾斜角542は第1のブリッジ構造のブリッジ又は軸と、第2のブリッジ構造(又は任意の他のブリッジ構造)のブリッジ又は軸との間の角度差に対応することができる。一実施形態において、第1の傾斜角542は、図2の第2のブリッジ構造212の第3の軸254及び第4の軸258が図2の第1のブリッジ構造202の第1の軸250及び第2の軸252に対してそれぞれ傾けられる角度に対応することができる。別の言い方をすると、第1の傾斜角542は、図2の第1の軸250と第3の軸254との間の角度に、及び/又は図2の第2の軸252と第4の軸258との間の角度に対応することができる。第2の傾斜角544及び第3の傾斜角546は後に更に詳細に説明される。
【0099】
[0116]第1の差分素子532は、第2の逆正接値に第1の傾斜角542を適用し、第1の差分値を生成することができる。いくつかの実施形態において、第1の差分素子532は、第2の逆正接値から第1の傾斜角542を減算し、第1の差分値を生成することができる。他の実施形態では、第1の差分素子532は、第2の逆正接値に負の第1の傾斜角542を加算し、第1の差分値を生成することができる。
【0100】
[0117]第1の差分素子532の出力が加算モジュール550の第2の入力に結合することができる。
[0118]第3の余弦ブリッジモジュール510の出力が第3の逆正接モジュール524の第1の入力に結合され、第3の正弦ブリッジモジュール512の出力が第3の逆正接モジュール524の第2の入力に結合される。一実施形態において、第3の余弦ブリッジモジュール510の出力は第3の余弦波信号とすることができ、第3の正弦ブリッジモジュール512の出力は第3の正弦波信号とすることができる。第3の逆正接モジュール524は、第3の正弦波信号及び第3の余弦波信号に基づいて、第3の逆正接値を計算することができる。
【0101】
[0119]第3の逆正接モジュール524の出力が、第2の差分素子534の第1の入力に結合され、第3の逆正接値を与える。第2の差分素子534の第2の入力が、第2の傾斜角544を受信するように結合される。第2の傾斜角544は、正又は負の角度値とすることができる。
【0102】
[0120]第2の傾斜角544は、第1のブリッジ構造のブリッジ又は軸と第3のブリッジ構造(又は任意の他のブリッジ構造)のブリッジ又は軸との間の角度差に対応することができる。一実施形態において、第2の傾斜角542は、図2の第3のブリッジ構造222の第5の軸260及び第6の軸262が図2の第1のブリッジ構造202の第1の軸250及び第2の軸252に対してそれぞれ傾けられる角度に対応することができる。別の言い方をすると、第2の傾斜角544は、図2の第1の軸250と第5の軸260との間の角度に、及び/又は図2の第2の軸252と第6の軸262との間の角度に対応することができる。
【0103】
[0121]第2の差分素子534は、第3の逆正接値に第2の傾斜角544を適用し、第2の差分値を生成することができる。いくつかの実施形態において、第2の差分素子534は、第3の逆正接値から第2の傾斜角544を減算し、第2の差分値を生成することができる。他の実施形態では、第3の逆正接値に負の第2の傾斜角544を加算し、第2の差分値を生成することができる。
【0104】
[0122]第2の差分素子534の出力が加算モジュール550の第3の入力に結合することができる。
[0123]第4の余弦ブリッジモジュール514の出力が第4の逆正接モジュール526の第1の入力に結合され、第4の正弦ブリッジモジュール516の出力が第4の逆正接モジュール526の第2の入力に結合される。一実施形態において、第4の余弦ブリッジモジュール514の出力は第4の余弦波信号とすることができ、第4の正弦ブリッジモジュール516の出力は第4の正弦波信号とすることができる。第4の逆正接モジュール526は、第4の正弦波信号及び第4の余弦波信号に基づいて、第4の逆正接値を計算することができる。
【0105】
[0124]第4の逆正接モジュール526の出力が、第3の差分素子536の第1の入力に結合され、第4の逆正接値を与える。第3の差分素子536の第2の出力が、第3の傾斜角546を受信するように結合される。第3の傾斜角546は、正又は負の角度値とすることができる。
【0106】
[0125]第3の傾斜角546は、第1のブリッジ構造のブリッジ又は軸と、第4のブリッジ構造(又は任意の他のブリッジ構造)のブリッジ又は軸との間の角度差に対応することができる。一実施形態において、第3の傾斜角546は、図2の第4のブリッジ構造232の第7の軸264及び第8の軸268が図2の第1のブリッジ構造202の第1の軸250及び第2の軸252に対してそれぞれ傾けられる角度に対応することができる。別の言い方をすると、第3の傾斜角546は、図2の第1の軸250と第7の軸264との間の角度に、及び/又は図2の第2の軸252と第8の軸268との間に対応することができる。いくつかの実施形態において、第3の傾斜角546は、第1の傾斜角542と第2の傾斜角544との合成に等しくすることができる。
【0107】
[0126]第3の差分素子536は、第4の逆正接値に第3の傾斜角546を適用し、第3の差分値を生成することができる。いくつかの実施形態において、第3の差分素子536は、第4の逆正接値から第3の傾斜角546を減算し、第3の差分値を生成することができる。他の実施形態では、第3の差分素子536は、第4の逆正接値に負の第3の傾斜角546を加算し、第3の差分値を生成することができる。
【0108】
[0127]第3の差分素子536の出力が加算モジュール550の第4の入力に結合することができる。
[0128]加算モジュール550は、第1の逆正接値、並びに第1、第2及び第3の差分値を受信し、第1の逆正接値、並びに第1、第2及び第3の差分値の平均値を計算することができる。一実施形態において、平均値は磁場の方向に対応することができる。したがって、加算モジュール550の出力は、磁場の方向を示す出力信号552である。
【0109】
[0129]ここで図6を参照すると、磁場の方向を検出するための方法600が、602において、第1の軸に沿った磁場を示す第1の正弦波信号及び第2の軸に沿った磁場を示す第1の余弦波信号を生成することによって開始する。一実施形態において、第1の軸は第2の軸と直交することができる。例えば、第1の軸と第2の軸との間の角度は約90度とすることができる。
【0110】
[0130]ブロック604において、第3の軸に沿った磁場を示す第2の正弦波信号及び第4の軸に沿った磁場を示す第2の余弦波信号を生成することができる。一実施形態において、第3の軸は第4の軸と直交することができる。例えば、第3の軸と第4の軸との間の角度は約90度とすることができる。
【0111】
[0131]角度センサは、異なる軸に沿った磁場を検出するように向けられる1つ以上の磁気抵抗素子を有する複数のブリッジ構造を含むことができる。一実施形態において、各ブリッジ構造は、少なくとも2つの異なる軸に沿った磁場の特性を測定するように構成することができる。
【0112】
[0132]角度センサは第1のブリッジ構造及び第2のブリッジ構造を含むことができる。第1のブリッジ構造は、第1の軸に対して、又は第1の軸に沿って配置される第1の正弦ブリッジと、第2の軸に対して、又は第2の軸に沿って配置される第1の余弦ブリッジとを含むことができる。第2のブリッジ構造は、第3の軸に対して、又は第3の軸に沿って配置される第2の正弦ブリッジと、第4の軸に対して、又は第4の軸に沿って配置される第2の余弦ブリッジとを含むことができる。
【0113】
[0133]第1の正弦ブリッジ、第1の余弦ブリッジ、第2の正弦ブリッジ及び第2の余弦ブリッジは、磁場の特性を検知する複数の磁気抵抗素子を含むことができる。複数の磁気抵抗素子はある軸に対して配置することができる。例えば、第1の正弦ブリッジは第1の軸に対して配置される第1の複数の磁気抵抗素子を含むことができ、第1の余弦ブリッジは第2の軸に対して配置される第2の複数の磁気抵抗素子を含むことができ、第2の正弦ブリッジは第3の軸に対して配置される第3の複数の磁気抵抗素子を含むことができ、第2の余弦ブリッジは第4の軸に対して配置される第4の複数の磁気抵抗素子を含むことができる。
【0114】
[0134]各ブリッジ構造は、互いに直交するように配置される正弦ブリッジ及び余弦ブリッジを含むことができる(例えば、正弦ブリッジと余弦ブリッジとの間の角度が約90度である)。したがって、第1の軸は第2の軸と直交することができ、第3の軸は第4の軸と直交することができる。
【0115】
[0135]異なるブリッジ構造の軸は、異なる角度において磁場を検知するように、互いに異なる角度(例えば、傾斜角)に配置することができる。異なる角度において磁場を測定することにより、角度センサの角度誤差を低減することができる。例えば、各ブリッジ構造の角度誤差は周期的である可能性がある。しかしながら、第1のブリッジ構造の角度誤差は、それぞれの軸間の傾斜の角度に部分的に基づいて、第2のブリッジ構造の角度誤差の正反対にすることができる。それぞれのブリッジの角度誤差は、互いに平均又は合成されるときに、角度センサの全角度誤差パーセンテージを相殺することができるか、又はそうでなくても低減することができる。したがって、異なる角度において磁場を測定することにより、複数のブリッジ構造を有する角度センサが、ブリッジ構造の数に関連付けられる約数だけ、それぞれの角度誤差を低減することができる。
【0116】
[0136]ブロック606において、第5の軸に沿った磁場を示す第3の正弦波信号及び第6の軸に沿った磁場を示す第3の余弦波信号を生成することができる。一実施形態において、第5の軸は第6の軸と直交することができる。例えば、第5の軸と第6の軸との間の角度は約90度とすることができる。
【0117】
[0137]ブロック608において、第7の軸に沿った磁場を示す第4の正弦波信号及び第8の軸に沿った磁場を示す第4の余弦波信号を生成することができる。一実施形態において、第7の軸は第8の軸と直交することができる。例えば、第7の軸と第8の軸との間の角度は約90度とすることができる。
【0118】
[0138]本明細書において説明される角度センサは任意の数のブリッジ構造を含むことができることは理解されたい。例えば、本明細書において説明される角度センサは2つのブリッジ構造、4つのブリッジ構造、又は5つ以上のブリッジ構造を含むことができる。角度センサ内のブリッジ構造の数は、角度センサの特定の適用例に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。例えば、方法600のブロック606及び608は任意選択とすることができる。いくつかの実施形態において、ブロック606及び/又はブロック608が方法600に含まれる場合がある。しかしながら、他の実施形態では、方法600は、ブロック602、604及び610を含む場合があり、それゆえ、ブロック606及び608の1つ以上を含まない場合がある。
【0119】
[0139]それぞれのブリッジがそれに沿って位置決めされる軸は、互いに様々な異なる角度に配置することができる。例えば、同じブリッジ構造内のブリッジ及び軸(例えば、第1のブリッジ構造の第1の正弦ブリッジ及び第1の余弦ブリッジ)は、互いに直交するように配置することができる。一実施形態において、同じブリッジ構造の正弦ブリッジと余弦ブリッジとの間の角度は約90度とすることができる。
【0120】
[0140]異なるブリッジ構造のブリッジ及び軸は、互いに様々な異なる傾斜角に配置することができる。傾斜角は、第1のブリッジ構造の軸及び第2の異なるブリッジ構造の軸、及び/又は第1のブリッジ構造の正弦ブリッジと第2の異なるブリッジ構造の正弦ブリッジとの間の角度を指す場合がある。いくつかの実施形態において、傾斜角は、限定はしないが、約90度、約45度、約22.5度及び約11.25度のような、約90度の約数を含むことができる。
【0121】
[0141]異なるブリッジ構造のブリッジ及び軸は、傾斜角に関して互いに均等に離間されるように位置決めすることができる。例えば、4つのブリッジ構造を有する角度センサにおいて、4つの異なるブリッジ構造の異なるブリッジ(及び軸)間の傾斜角は、約22.5度の約数を含むことができる。そのような実施形態において、第1のブリッジ構造の(第1の軸の)第1の正弦ブリッジと、第2のブリッジ構造の第2の正弦ブリッジ(又は第3の軸)との間の傾斜角は約45度とすることができ、第1のブリッジ構造の(第1の軸の)第1の正弦ブリッジと、第3のブリッジ構造の第3の正弦ブリッジ(又は第5の軸)との間の傾斜角は約22.5度とすることができ、第1のブリッジ構造の(第1の軸の)第1の正弦ブリッジと、第4のブリッジ構造の第4の正弦ブリッジ(又は第7の軸)との間の傾斜角は約67.5度とすることができる。異なるブリッジ構造の軸間の傾斜角は、角度センサの特定の適用例に少なくとも部分的に基づいて選択することができ、傾斜角は約-90度~約90度の任意の角度を含むことができることは理解されたい。
【0122】
[0142]傾斜角は、特定の角度センサ内のブリッジ構造の数、及び所望の角度誤差低減に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。
[0143]いくつかの実施形態において、それぞれの角度センサの基準層のピンニングファクタを変更することができるか、又は基準層の所定のピンニングファクタを有する基準層を形成することができる。例えば、それぞれの角度センサの基準層のピンニングファクタを高めることによって、角度センサに関する絶対角度誤差を低減することができる。それぞれの角度センサの基準層のピンニングファクタが高められるのに応じて、絶対角度誤差を相応に低減することができる(図3を参照)。ピンニングファクタはキロエルステッド単位(kOe)において測定することができる。
【0123】
[0144]例えば、本明細書において説明される各ブリッジ構造は、複数の磁気抵抗素子を含むことができる。各磁気抵抗素子は基準層及びフリー層を含むことができる。基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は約1kOeから約3kOeに及ぶことができる。いくつかの実施形態において、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は、約1.2kOeから約2.5kOeに及ぶことができる。しかしながら、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は、角度センサの適用例に少なくとも部分的に基づいて異なることができることは理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、基準層のピンニング(又はピンニングファクタ)は、1kOeより小さく、又は3kOeより大きくすることができる。
【0124】
[0145]ブリッジ構造の1つ以上のブリッジを構成する磁気抵抗素子の1つ以上の層の特性を変更して、それぞれの層のピンニングファクタを高めることができる。いくつかの実施形態において、複数のブリッジ及び/又は複数のブリッジ構造を構成する磁気抵抗素子の1つ以上の層の特性を変更して、それぞれの層のピンニングファクタを高めることができる。例えば、それぞれの層の形状及び/又は厚さを変更して、それぞれの層のピンニングファクタを高めることができる。
【0125】
[0146]少なくとも2つの異なる技法によってピンニングファクタを変更(又は生成)することができる。いくつかの実施形態において、合成反強磁性体(SAF)を用いて、ピンニングファクタを変更(又は生成)することができる。他の実施形態では、ピン止め層とピンニング層との間のピンニングを変更することによって、ピンニングファクタを変更(又は生成)することができる。例えば、ピン止め層とピンニング層との間のピンニングファクタを高めるために、ピン止め層に近接し、ピンニング層から離れて配置されるスペーサ層を薄くすることによって、又はそれぞれのスペーサ層の材料を変更することによって、ピン止め層とピンニング層との間の結合を強めることができる。いくつかの実施形態において、更なる結合がスペーサ層を通しての結合を相殺できるように、磁場検知素子が配置される基板の表面を平滑にすることができるか、又は基板の表面粗さを低減することができる。第1のピン止め層によって放出される磁場(例えば、磁場の磁束線)を第2のピン止め層によって補償できるように、ピン止め層及び第2の異なるピン止め層(スペーサ層によって第1のピンニング層から分離される)の厚さ及び磁化のバランスをとり、SAFのバランスを保つことができる。いくつかの実施形態において、ピンニング層を厚くして、ピンニング層の異方性を強めることができる。
【0126】
[0147]ブリッジ構造の1つ又は複数のブリッジを構成する磁気抵抗素子の1つ以上の層のピンニングファクタは、所望の角度誤差低減に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。
【0127】
[0148]いくつかの実施形態において、特定の角度センサのブリッジ構造の数を増やし、及び/又はブリッジ構造の1つ以上のブリッジ構造の基準層のピンニングファクタを高めて、それぞれの角度センサの絶対角度誤差を低減することができる。例えば、ピンニングファクタが高くなるのに応じて、絶対角度誤差が減少する。さらに、角度センサ内のブリッジ構造の数が増えるのに応じて、絶対角度誤差が減少する。それゆえ、角度センサのピンニングファクタを高めることによって、角度センサ内のブリッジ構造の数を増やすことによって、又は両方の組み合わせによって、角度誤差を低減することができる。
【0128】
[0149]ブロック610において、少なくとも、第1の正弦波信号、第1の余弦波信号、第2の正弦波信号、及び第2の余弦波信号に応答して、磁場の方向を計算することができる。
【0129】
[0150]一実施形態において、磁場の方向を特定するために使用される正弦波信号及び余弦波信号の数は、特定の角度センサのブリッジ構造の数に対応することができる。例えば、4つのブリッジ構造を有する角度センサに関して、少なくとも、第1の正弦波信号、第1の余弦波信号、第2の正弦波信号、第2の余弦波信号、第3の正弦波信号、第3の余弦波信号、第4の正弦波信号及び第4の余弦波信号に応答して、磁場の方向を計算することができる。
【0130】
[0151]角度センサは、1つ又は複数の正弦波信号及び1つ又は複数の余弦波信号を用いて磁場の方向を特定するように構成される回路(例えば、図4の回路400、図5の回路500)に結合することができるか、又はそのような回路を含むことができる。その回路は、対応する正弦波信号及び余弦波信号を用いて、測定された磁場に対応する逆正接値を生成するように構成される1つ以上の逆正接モジュールを含むことができる。
【0131】
[0152]各ブリッジ構造のブリッジは、少なくとも1つの逆正接モジュールに結合し、それぞれの信号を与えることができる。例えば、正弦ブリッジを結合して、逆正接モジュールに正弦波信号を与えることができ、余弦ブリッジを結合して、逆正接モジュールに余弦波信号を与えることができる。逆正接モジュールは、対応する正弦波信号及び余弦波信号を用いて、測定された磁場に対応する逆正接値を生成することができる。各ブリッジ構造からの逆正接角(φ)(又は角度)は、以下の式を用いて求めることができる。
【0132】
【数1】
【0133】
[0153]ただし、Uは、測定された磁場の正弦に対応し、正弦ブリッジによって生成される正弦波信号に対応し、Uは、測定された磁場の余弦に対応し、余弦ブリッジによって生成される余弦波信号に対応する。
【0134】
[0154]逆正接値角(φ)は、特定のブリッジ構造の観点から、測定された磁場の角度に対応することができる。一実施形態において、逆正接値(角度(φ))は、ブリッジ構造ごとに求めることができる。
【0135】
[0155]その回路は、1つ以上の差分素子を更に含むことができる。差分素子を逆正接モジュールの出力に結合して、第1のブリッジ構造に対して傾けられたブリッジ構造に関する逆正接値(差分値とも呼ばれる)を生成することができる。例えば、差分素子は、第1のブリッジ構造の軸と、異なるブリッジ構造(例えば、第2のブリッジ構造、第3のブリッジ構造、第4のブリッジ構造など)の軸との間の傾斜角を適用して、差分値を生成するように構成することができる。傾斜角は、正又は負の値とすることができる。したがって、差分素子は、それぞれの逆正接値から傾斜角を減算するか、又はそれぞれの逆正接値に負の傾斜角を加算することができる。傾斜角は上記のように異なることができる。
【0136】
[0156]第1の逆正接モジュールの出力、及び1つ以上の差分素子の出力は、回路の加算素子の入力に結合することができる。一実施形態において、加算素子は、1つ以上の逆正接値及び/又は1つ以上の差分値の平均値を求め、磁場の方向を示す出力信号を生成することができる。
【0137】
[0157]例えば、加算素子は、以下の式を用いて、平均値(φ)を求めることができる。
【0138】
【数2】
【0139】
[0158]角度φはそれぞれのブリッジ構造からの傾斜角値に対応する(例えば、φは第1のブリッジ構造からの傾斜角値に対応し、φは第2のブリッジ構造からの傾斜角値に対応する、など)。θは、第1のブリッジ構造と、第1のブリッジ構造とは異なる、それぞれの他のブリッジ構造との間の傾斜角に対応する(θ=0)。例えば、θは、第1のブリッジ構造と第2のブリッジ構造との間の傾斜角に対応し、θは、第1のブリッジ構造と第3のブリッジ構造との間の傾斜角に対応し、θは、第1のブリッジ構造と第4のブリッジ構造との間の傾斜角に対応する。
【0140】
[0159]Xはそれぞれの角度センサ内のブリッジ構造の数に対応する。例えば、2つのブリッジ構造を有する角度センサに関して、Xの値は2に等しい。
[0160]求められた平均値(φ)は、磁場の方向に対応することができ、それぞれの平均値(φ)を生成するために使用されたブリッジ構造の数に対応する低減された角度誤差パーセンテージを含むことができる。
【0141】
[0161]本特許の主題である、種々の概念、構造及び技法を例示する役割を果たす好ましい実施形態を説明してきたが、これらの概念、構造及び技法を組み込む他の実施形態が使用される場合があることが、ここで明らかであろう。したがって、本特許の範囲は説明された実施形態に限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲によってのみ制限されるべきであると考える。
図1
図1A
図1B
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図6A