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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】電線の支持装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/235 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
C03B5/235
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020544604
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019019499
(87)【国際公開番号】W WO2019165402
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】62/635,080
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】デ アンジェリス,ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】イサザ,ファン カミロ
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-084809(JP,A)
【文献】特表2016-533313(JP,A)
【文献】特表2015-522515(JP,A)
【文献】特開2018-002539(JP,A)
【文献】特開2017-178725(JP,A)
【文献】特開平10-194751(JP,A)
【文献】特開平10-081523(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0884777(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1466137(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 1/00-40/04
H05B 3/00-3/86
F27B 1/00-21/14
F27D 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製造装置において、
溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、
前記金属製容器に取り付けられた電気フランジであって、電線に結合された電気フランジ、および
前記電線を支持する電線支持装置であって、該電線と係合し、バネ力に対抗して第1の方向に移動可能であり、前記第1の方向と平行な回転軸の周りに回転可能である電線係合アセンブリを含む電線支持装置、
を備えた、ガラス製造装置。
【請求項2】
前記電線係合アセンブリが、前記第1の方向に対して直角な第2の方向に沿って移動可能である、請求項1記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記第1の方向が垂直方向である、請求項1記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記バネ力がバネにより与えられ、前記電線係合アセンブリが支柱により該バネに結合されている、請求項1記載のガラス製造装置。
【請求項5】
前記支柱が、支持アームと係合し、該支柱の縦軸に沿って該支持アーム内で摺動可能である、請求項4記載のガラス製造装置。
【請求項6】
前記支持アームが、該支持アームの第1の端部を通って延在する回転軸の周りに回転可能である、請求項5記載のガラス製造装置。
【請求項7】
前記支持アームの長さが、該支持アームの縦軸に沿って可変である、請求項5記載のガラス製造装置。
【請求項8】
前記支持アームが、開錠位置から施錠位置まで移動可能なロッキング機構を含む、請求項7記載のガラス製造装置。
【請求項9】
前記支柱の縦軸が、前記支持アームの回転軸と平行である、請求項6記載のガラス製造装置。
【請求項10】
前記電線係合アセンブリが、前記支柱に取り付けられた支持板に取り外し可能に結合された電線トレイを含む、請求項4記載のガラス製造装置。
【請求項11】
前記電線係合アセンブリが、電気的絶縁材料を含む、請求項1から10いずれか1項記載のガラス製造装置。
【請求項12】
前記支柱が滑車アセンブリに結合されている、請求項4記載のガラス製造装置。
【請求項13】
前記電線係合アセンブリが、その中を延在する少なくとも1つの電線通路を含む、請求項1記載のガラス製造装置。
【請求項14】
前記バネ力がバネにより与えられ、該バネ力は該バネの変位の非線形関数である、請求項1から13いずれか1項記載のガラス製造装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、下記に完全に述べられているかのように、ここに全て引用される、2018年2月26日に出願された米国仮特許出願第62/635080号の優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、高電流電線の支持装置に関し、より詳しくは、ガラス製造のための直接加熱容器に給電する電線に関する。
【背景技術】
【0003】
工業用ガラス製造過程は、3つの段階:溶融、成長、および状態調節に分けることができる。状態調節工程は、溶融ガラスを冷却して、ガラス物品を成形するための適切な粘度を達成する工程を含み、送達システム内で行われる。この送達システムは、各区域内で行われるべき特定の機能に応じて、複数の区域に分けることができる。例えば、送達システムは、溶融ガラスから気泡を除去するための清澄装置、溶融ガラスを均質化するための混合装置、および溶融ガラスを成形装置に送るための供給容器を備えることがある。この送達システムは、溶融ガラスを各区域と区域の間に運ぶように作られた様々な導管をさらに備える。
【0004】
表示装置(携帯電話、デスクトップ型およびラップトップ型コンピュータ、テレビなど)用のガラスシートなどの、光学的品質のガラス物品の製造に関して、送達システムの主要構成要素は、典型的に、金属製であり、その構成要素に電流を発生させることによって加熱される。そのような方法は、一般に、直接加熱と称される。このように、例示のガラス製造過程において、送達システムの各区域は、通常、直接加熱されている。その熱は、溶融ガラスを収容している金属製構成要素(導管または容器)に接続され、抵抗(ジュール)加熱を提供するように機能する一連のフランジ(電極)に電流を流すことによって、溶融ガラスに送達される。この電気エネルギーは、典型的に、一連の大きい高電流容量線によりフランジに接続された電源により提供される。これらの電線のサイズは、電流の大きさに比例する。これらの電線は、非常に大きく重くなり得る。
【0005】
溶融ガラスを収容する金属製導管および/または容器が室温からその作動条件まで加熱されるにつれて、それらは熱膨張に曝され、フランジの位置は、低温位置から高温位置に動き得る。これらの電線の質量および剛性にかかわらず、電線は、フランジの動きにしたがうと予測される。電線が、導管および/または容器が加熱され、膨張するときに、それらの動きに適合するように適切に支持されていない場合、様々な薄壁の金属製構成要素が損傷を受け得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされているのは、取り付けられた構成要素(容器、導管)の動きを妨げずに、電線を、垂直に、水平に、そして横方向に、自由に動かして、その構成要素の膨張の動きにしたがわせる電線支持装置である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、その金属製容器に取り付けられ、電線に結合されたフランジ、および電線を支持する電線支持装置であって、電線と係合し、バネ力に対抗して第1の方向に移動可能である電線係合アセンブリを含む電線支持装置を備えた、ガラス製造装置が開示されている。
【0008】
いくつかの実施の形態において、その電線係合アセンブリは、その第1の方向に対して直角な第2の方向に沿って移動可能である。例えば、その第1の方向は垂直方向であり得る。
【0009】
いくつかの実施の形態において、その電線係合アセンブリは、その第1の方向と平行な回転軸の周りに回転可能である。
【0010】
そのバネ力は、バネにより与えることができ、その電線係合アセンブリは、支柱によりバネに結合することができる。
【0011】
いくつかの実施の形態において、その支柱は、支持アームと係合し、支柱の縦軸に沿って支持アーム内で摺動可能である。その支持アームは、支持アームの第1の端部を通って延在する回転軸の周りに回転可能であり得る。
【0012】
実施の形態において、その支持アームの長さは、支持アームの縦軸に沿って可変であり得る。
【0013】
いくつかの実施の形態において、その支持アームは、開錠位置から施錠位置まで移動可能なるロッキング機構であって、施錠位置にあるときに、支持アームの長さの変動を防ぐように作られているロッキング機構を含み得る。
【0014】
いくつかの実施の形態において、その支柱の縦軸は、支持アームの回転軸と平行であり得る。
【0015】
いくつかの実施の形態において、その電線係合アセンブリは、支柱に取り付けられた支持板に取り外し可能に結合された電線トレイを含み得る。
【0016】
その電線係合アセンブリは、電気的絶縁材料を含むことができる。
【0017】
いくつかの実施の形態において、その支柱は滑車アセンブリに結合することができる。ワイヤーロープを使用して、その電線係合アセンブリを滑車で支柱に結合することができる。
【0018】
いくつかの実施の形態において、その電線係合アセンブリは、その中を延在する少なくとも1つの電線通路を含み得る。電線トレイは、互いに取り外し可能に結合された少なくとも2つの部分を含み得、その少なくとも1つの電線通路は、その少なくとも2つの部分の間で分割されている。その電線トレイは、複数の電線通路を含み得る。
【0019】
そのバネ力は、バネにより与えることができ、いくつかの実施の形態において、そのバネ力は、バネの変位の非線形関数であり得る。
【0020】
他の実施の形態において、溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、その金属製容器に取り付けられ、電線に結合されたフランジ、およびその電線を支持する電線支持装置を備えたガラス製造装置が記載されている。その電線支持装置は、電線と係合し、第1の方向とその第1の方向に直角な第2の方向に移動可能な電線係合アセンブリを含み得、その第1の方向における電線係合アセンブリの動きは、バネ力に対抗する。
【0021】
いくつかの実施の形態において、その電線係合アセンブリは、回転軸の周りに回転可能であり得る。
【0022】
そのバネ力は、少なくとも1つのバネにより与えられる。実施の形態において、その少なくとも1つのバネは、支柱に結合され得る。例えば、いくつかの実施の形態において、その少なくとも1つのバネは、複数の支柱に結合された複数のバネを含み得る。
【0023】
いくつかの実施の形態において、その支柱は、支持アームに摺動可能に結合され得る。いくつかの実施の形態によれば、支持アームは、回転軸の周りに回転可能であり得る。いくつかの実施の形態において、その支持アームの長さは、支持アームの縦軸に沿って可変である。
【0024】
さらに他の実施の形態において、溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、その金属製容器に取り付けられ、電線に結合されたフランジ、およびその電線を支持する電線支持装置を備えたガラス製造装置が開示されている。その電線支持装置は、電線と係合し、第1の方向とその第1の方向に直角な第2の方向に移動可能であり、回転軸の周りに回転可能な電線係合アセンブリを含み得、その第1の方向における電線係合アセンブリの動きは、バネ力に対抗する。
【0025】
また他の実施の形態において、溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、その金属製容器に取り付けられ、電線に結合されたフランジ、およびその電線を支持する電線支持装置を備えたガラス製造装置が開示されている。その電線支持装置は、電線と係合し、バネ力に対抗して第1の方向に移動可能であり、回転軸の周りに回転可能な電線係合アセンブリを含み得る。
【0026】
ここに開示された実施の形態の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、その説明から当業者に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【0027】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、ここに開示された実施の形態の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図がある実施の形態を提示している。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施の形態を示しており、説明と共に、その原理および作動を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】例示のガラス製造装置の概略図
図2】溶融ガラスを搬送するための例示の金属製容器であって、電流をこの金属製容器に伝えるためにフランジが装着された金属製容器の斜視図
図3】本開示の実施の形態による電線支持装置の斜視図
図4図3の実施の形態に使用するための例示の支持アームの側面図
図5図3の電線支持装置の別の斜視図
図6】本開示による別の例示の電線支持装置の斜視図
図7】本開示によるさらに別の例示の電線支持装置の説明図
図8図7の電線支持装置に使用するための例示のバネアセンブリの断面図
図9図7の電線支持装置に使用するための例示の電線係合アセンブリの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで、その例が添付図面に示された、本開示の実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部分を指すために、図面に亘り、同じ参照番号が使用される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化されることがあり、ここに述べられた実施の形態に限定されると解釈すべきではない。
【0030】
範囲は、「約」ある特定値から、および/または「約」別の特定値まで、とここに表わすことができる。そのような範囲が表わされた場合、別の実施の形態は、その1つの特定値から他方の特定値までを含む。同様に、値が、「約」という先行詞を使用して、近似として表される場合、その特定値は別の実施の形態を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点は、他方の端点に関してと、他方の端点に関係なくの両方で有意であることが、さらに理解されよう。
【0031】
ここに用いられている方向を示す用語-例えば、上、下、右、左、前、後ろ、上部、底部-は、描かれた図面に関してのみ使用され、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0032】
他に明白に述べられていない場合、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることが要求されると解釈されることも、装置に関しては、特定の向きが要求されることも、決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に列挙していない場合、または装置の請求項が、個々の構成要素に対する順序または向きを実際に列挙していない場合、または工程が特定の順序に限定されるべきであることが請求項または説明に他に具体的に述べられていない場合、または装置の構成要素に対する特定の順序または向きが列挙されていない場合、順序または向きがどの点に関しても暗示されることは決して意図されていない。このことは、工程の配列、操作の流れ、構成要素の順序、または構成要素の向き;文法構成または句読法に由来する明白な意味;および明細書に記載された実施の形態の数またはタイプに関する論理事項を含む、解釈に関するどの可能性のある非表現基準にも適用される。
【0033】
ここに用いられているように、名詞は、内容が明白に他に示していない限り、複数の対象を含む。それゆえ、例えば、構成要素に対する言及は、内容が明白に他に示していない限り、そのような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
【0034】
「例示の」、「例」という単語またはその様々な形態は、例、場合、または実例であることを示すためにここに使用される。「例示の」または「例」としてここに記載されたどの態様または設計も、他の態様または設計を上回って好ましいまたは有利であると、必ずしも解釈されるべきではない。さらに、例は、明瞭さおよび理解の目的のためだけに与えられ、開示された主題または本開示の関連部分をどのような方法ででも限定または制限する意図もない。様々な範囲の無数の追加のまたは代わりの例が提示され得るが、簡潔さのために省かれていることを認識すべきである。
【0035】
例示のガラス製造装置10が図1に示されている。いくつかの実施の形態において、ガラス製造装置10は、溶融槽14を含み得るガラス溶融炉12を備えることができる。溶融槽14に加え、ガラス溶融炉12は、必要に応じて、原材料を加熱し、その原材料を溶融材料(以後、「溶融ガラス」、「ガラス溶融物」、または「溶融物」)に転化させるように作られた加熱素子(例えば、燃焼バーナおよび/または電極)などの1つ以上の追加の構成要素を含み得る。
【0036】
さらなる実施の形態において、ガラス溶融炉12は、溶融槽からの熱損失を減少させる熱管理装置(例えば、断熱部材)を含むことがある。またさらなる実施の形態において、ガラス溶融炉12は、原材料のガラス溶融物への溶融を促進する電子装置および/または電気機械装置を含むことがある。またさらに、ガラス溶融炉12は、支持構造(例えば、支持シャシー、支持部材など)または他の構成要素を含むことがある。
【0037】
ガラス溶融槽14は、典型的に、耐火セラミック材料、例えば、アルミナまたはジルコニアを含む耐火セラミック材料などの耐火材料から形成されるが、耐火セラミック材料は、選択的にまたは任意の組合せのいずれかで使用される、イットリウム(例えば、イットリア、イットリア安定化ジルコニア、リン酸イットリウム)、ジルコン(ZrSiO)またはアルミナ・ジルコニア・シリカまたさらには酸化クロムなど、他の耐火材料を含んでもよい。ある場合には、ガラス溶融槽14は、耐火セラミックレンガから作られることがある。
【0038】
いくつかの実施の形態において、ガラス溶融炉12は、ガラス物品、例えば、不定長のガラスリボンを製造するように作られたガラス製造装置の構成要素として組み込まれることがあるが、さらなる実施の形態において、ガラス製造装置は、制限なく、ガラス棒、ガラス管、ガラス外囲器(例えば、照明装置用のガラス外囲器、例えば、電球)およびガラスレンズなど、他のガラス物品を形成するように作られることがあり、それでも、多くの他のガラス物品も考えられる。ある場合には、その溶融炉は、スロットドロー装置、フロート浴装置、ダウンドロー装置(例えば、フュージョンダウンドロー装置)、アップドロー装置、加圧装置、圧延装置、管延伸装置、または本開示の恩恵を受けるであろう任意の他のガラス製造装置を含むガラス製造装置の構成要素として組み込まれることがある。一例として、図1は、個々のガラスシートに後で加工するためのガラスリボンをフュージョンドローするための、またはそのガラスリボンをスプールに巻き付けるための、フュージョンダウンドロー式ガラス製造装置10の構成要素としてのガラス溶融炉12を概略示している。
【0039】
ガラス製造装置10(例えば、フュージョンダウンドロー装置10)は、必要に応じて、ガラス溶融槽14に対して上流に位置する上流ガラス製造装置16を備え得る。ある場合には、上流ガラス製造装置16の一部または全部が、ガラス溶融炉12の一部として組み込まれることがある。
【0040】
図1に示された実施の形態に示されるように、上流ガラス製造装置16は、原材料貯蔵容器18、原材料送達装置20およびその原材料送達装置に接続されたモータ22を備え得る。原材料貯蔵容器18は、矢印26で示されるように、1つ以上の供給ポートを通じてガラス溶融炉12の溶融槽14に供給できる多量の原材料24を貯蔵するように作られることがある。原材料24は、典型的に、1種類以上のガラス形成金属酸化物および1種類以上の改質剤を含む。ある場合には、原材料送達装置20は、原材料送達装置20が貯蔵容器18から溶融槽14に所定量の原材料24を送達するようにモータ22により駆動することができる。さらなる例では、モータ22は、原材料送達装置20に動力を供給して、溶融ガラスの流動方向に対して溶融槽14の下流で検出された溶融ガラスのレベルに基づく制御速度で原材料24を導入する。溶融槽14内の原材料24は、その後、加熱されて、溶融ガラス28を形成することができる。典型的に、最初の溶融工程において、原材料は、例えば、様々な「砂」を含むような、粒子状物質として溶融槽に加えられる。原材料は、以前の溶融および/または成形操作からのくずガラス(すなわち、カレット)も含むことがある。溶融過程を始めるために、燃焼バーナが典型的に使用される。電気的にブーストされた溶融過程において、一旦、その原材料の電気抵抗が十分に減少したら(例えば、原材料が液化し始めたとき)、原材料と接触するように位置付けられた電極の間に電位を生じさせ、それによって、原材料を通る電流を生じさせることによって電気ブーストが始まり、その原材料は、典型的に、この時に、溶融状態に入る、またはその状態にある。
【0041】
ガラス製造装置10は、必要に応じて、溶融ガラス28の流動方向に対してガラス溶融炉12の下流に位置する下流ガラス製造装置30も備え得る。ある場合には、下流ガラス製造装置30の一部が、ガラス溶融炉12の一部として組み込まれることがある。しかしながら、下記に述べられる第1の接続導管32、または下流ガラス製造装置30の他の部分が、ガラス溶融炉12の一部として組み込まれることがある。第1の接続導管32を含む、その下流ガラス製造装置の要素は、貴金属から形成されることがある。適切な貴金属としては、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウムおよびパラジウム、またはその合金からなる群より選択される白金族金属が挙げられる。例えば、そのガラス製造装置の下流構成要素は、約70質量%から約90質量%の白金および約10質量%から約30質量%のロジウムを含む白金・ロジウム合金から形成されることがある。しかしながら、ガラス製造装置の下流構成要素を形成するための他の適切な金属として、モリブデン、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびその合金が挙げられる。
【0042】
下流ガラス製造装置30は、溶融槽14の下流に位置し、上述した第1の接続導管32により溶融槽14に連結された、清澄槽34などの第1の状態調節(すなわち、処理)容器を含み得る。ある場合には、溶融ガラス28は、第1の接続導管32により溶融槽14から清澄槽34に重力供給されることがある。例えば、重力は、第1の接続導管32の内部通路を通って溶融槽14から清澄槽34に溶融ガラス28を運ぶことがある。しかしながら、他の状態調節容器を、溶融槽14の下流、例えば、溶融槽14と清澄槽34との間に、配置してもよいことを理解すべきである。いくつかの実施の形態において、状態調節容器は、溶融槽と清澄槽との間で利用されることがあり、ここで、主要溶融槽からの溶融ガラスは、第2の槽内でさらに加熱されて溶融過程を継続するか、または清澄槽に入る前に、主要溶融槽内の溶融ガラスの温度より低い温度に冷却される。
【0043】
先に記載されたように、様々な技術によって、溶融ガラス28から気泡を除去することができる。例えば、原材料24は、加熱されたときに、化学還元反応を経て、酸素を放出する酸化スズなどの多価化合物(すなわち、清澄剤)を含むことがある。他の適切な清澄剤としては、制限なく、ヒ素、アンチモン、鉄およびセリウムが挙げられるが、ある用途では、環境上の理由のために、ヒ素およびアンチモンの使用は控えられることがある。清澄槽34は、溶融槽の温度より高い温度に加熱され、それによって、清澄剤を加熱する。清澄槽、および必要に応じて、第1の接続導管32は、直接加熱することができ、ここで、清澄槽34に取り付けられた電気フランジ33が、電線35により適切な電力源(図示せず)に接続される。図2に最もよく示されているように、フランジ33は、清澄槽34を取り囲み、溶接などによって、清澄槽の外面に取り付けられている。電線35は、典型的に、それぞれの電気フランジ33上の受電電極39にボルトで留められるそれぞれの電線35の端部にある端子37で、電気フランジ33に接続される。追加の端子37(図3参照)を電線35の反対の端部に配置し、使用して、電線35を、例えば、剛性主要バスなどのさらなる導体にボルト留めすることができる。電気フランジの数と位置は、特定の導管および/または容器に沿って望ましい個々の加熱区域の数と位置に応じて、様々であり得る。図1および2は、清澄槽34に取り付けられた電線と電気フランジを示しているが、電気フランジおよび電線は、下流ガラス製造装置30の金属製構成要素のいずれに同様に関連付けることもできる。
【0044】
溶融物中に含まれる1種類以上の清澄剤の温度誘起化学還元により清澄槽34内で生じた酸素は、溶融炉内で生じる気泡中に浸透し得る。次いで、拡大した酸素の豊富な気泡は、浮力の増加により、その清澄槽内の溶融ガラスの自由表面に上昇し、その後、清澄槽から放出され得る。その気泡は、溶融ガラスを通って上昇しながら、清澄槽内の溶融ガラスの機械的混合をさらに誘発することができる。
【0045】
再び図1を参照すると、下流ガラス製造装置30は、清澄槽34の下流に流れる溶融ガラスを混合するための、混合槽36、例えば、撹拌槽などの別の状態調節容器をさらに含み得る。混合槽36は、均質なガラス溶融組成物を提供し、それによって、そうでなければ、清澄槽を出る清澄済みの溶融ガラス内に存在するであろう化学的または熱的不均一性を減少させるために使用することができる。図から分かるように、清澄槽34は、第2の接続導管38により混合槽36に連結されることがある。いくつかの実施の形態において、溶融ガラス28は、第2の接続導管38により清澄槽34から混合槽36に重力供給されることがある。例えば、重力は、第2の接続導管38の内部通路を通って清澄槽34から混合槽36に溶融ガラス28を運ぶことがある。清澄槽34のように、混合槽36、および必要に応じて、第2の接続導管38は、直接加熱することができ、ここで、フランジ33と同様のフランジが、混合槽36、および必要に応じて、第2の接続導管38に取り付けられ、電線により適切な電力源(図示せず)に接続される。
【0046】
典型的に、混合槽36内の溶融ガラスは自由表面を含み、その自由表面とその混合槽の上部との間に自由容積が延在している。混合槽36が、溶融ガラスの流動方向に対して清澄槽34の下流に示されているが、混合槽36は、他の実施の形態において、清澄槽34の上流に位置していてもよいことに留意すべきである。いくつかの実施の形態において、下流ガラス製造装置30は、多数の混合槽、例えば、清澄槽34の上流の混合槽と、清澄槽34の下流の混合槽とを含むことがある。これらの多数の混合槽は、同じ設計のものであっても、または互いに異なる設計のものであってもよい。いくつかの実施の形態において、容器および/または導管の1つ以上が、溶融材料の混合とその後の均質化を促進するために、その中に配置された静的混合翼を含むことがある。
【0047】
下流ガラス製造装置30は、混合槽36の下流に配置されることがある供給槽40などの別の状態調節容器をさらに含み得る。供給槽40は、下流の成形装置に供給すべき溶融ガラス28を状態調節することがある。例えば、供給槽40は、溶融ガラス28の一貫した流れを調節し、出口導管44により成形体42に提供するための滞留装置および/または流量調整器として機能できる。供給槽40内の溶融ガラスは、いくつかの実施の形態において、自由表面を含み得、ここで、自由容積がその自由表面から供給槽の上部まで延在している。図から分かるように、混合槽36は、第3の接続導管46により供給槽40に連結されることがある。ある場合には、溶融ガラス28は、第3の接続導管46により混合槽36から供給槽40に重力供給されることがある。例えば、重力は、第3の接続導管46の内部通路を通って混合槽36から供給槽40に溶融ガラス28を運ぶことがある。そして、すでに記載された他の金属製構成要素と同様に、第3の接続導管46、および必要に応じて、供給槽40は、直接加熱することができ、ここで、第3の接続導管46、および必要に応じて、供給槽40に取り付けられた電気フランジが、電線により適切な電力源(図示せず)に接続される。
【0048】
下流ガラス製造装置30は、入口導管50を含む、上述した成形体42を備えた成形装置48をさらに備え得る。出口導管44は、溶融ガラス28を供給槽40から成形装置48の入口導管50に供給するように位置付けることができる。いくつかの実施の形態において、出口導管44、および必要に応じて、入口導管50は、直接加熱することができ、ここで、出口導管44、および必要に応じて、入口導管50に取り付けられた電気フランジは、電線により適切な電力源(図示せず)に接続することができる。
【0049】
フュージョンダウンロード式ガラス製造装置における成形体42は、その成形体の上面に位置付けられた樋52、およびその成形体の底部エッジ(基部)56に沿って延伸方向に集束する集束成形面54(片面のみ示されている)を含み得る。供給槽40、出口導管44および入口導管50を介して成形体の樋52に供給された溶融ガラスは、樋52の壁を溢れ、溶融ガラスの別々の流れとして集束成形面54に沿って下降する。この溶融ガラスの別々の流れは、基部56に沿ってその下で結合して、溶融ガラスの単一リボン58を生成し、これは、溶融ガラスが冷め、材料の粘度が増加するときのガラスの寸法を制御するために、重力、エッジロールおよび牽引ロールアセンブリなどにより、ガラスリボンに下向き張力を印加することによって、基部56から延伸方向60に延伸される。したがって、ガラスリボン58は、粘弾性転移を経て、ガラスリボン58に安定した寸法特徴を与える機械的性質を獲得する。ガラスリボン58は、いくつかの実施の形態において、ガラスリボンの弾性領域にあるときに、ガラス分割装置(図示せず)により個々のガラスシート62に分割されることがあり、一方で、さらなる実施の形態において、ガラスリボンは、スプールに巻き付けられ、さらなる加工のために貯蔵されることがある。
【0050】
先に記載されたように、例示の下流ガラス製造装置30は、下流構成要素を構成するガラス収容容器および導管に直接供給される電気加熱力を利用する。その電流は、これらの様々な構成要素を電力変換器に接続する大きい高電流通電容量電線35により供給される。例えば、この下流ガラス製造装置の様々な金属製構成要素を加熱するために、15,000アンペア超の電流が必要であろう。
【0051】
ここに記載された電線支持装置は、そのサイズ、剛性、および質量にかかわらず、これらの電線を支持し、少なくとも2つの軸(少なくとも2つの直交方向などの少なくとも2つの方向)に沿って電線を動かすことができ、それによって、ガラス収容容器の膨張を支援する。ここに記載された電線支持装置は、電線を接続できる金属製容器の起こり得る応力変形を減少させることができる。
【0052】
図3は、電線支持装置100を、建築桁または梁などの適切なフレームまたは支持部材に取り付けるための支持ブラケット102、支持アーム104、支柱106、および電線係合アセンブリ108を備えた例示の電線支持装置100の斜視図である。電線係合アセンブリ108は、支持板110および支持板110に取り外し可能に連結された電線トレイ112をさらに含むことがある。
【0053】
実施の形態において、支持アーム104は、支持ブラケット102に旋回可能に連結され、回転軸114の周りに回転可能であるが、さらなる実施の形態において、支持アーム104は、別の支持構造に直接、例えば、別個のブラケットの必要なく、建築桁または梁、装置フレームまたは他の剛性構造支持体に直接、回転可能に連結することができる。図3に示された実施の形態において、支持ブラケット102は、通路の互いに反対側に開口を有するU字形通路部材116を含む。中空管として示されている、支持アーム104の第1の端部118に一対の互いに反対の開口が設けられ、その端部は、支持ブラケット102の開口が支持アーム104の開口と揃えられて、U字形通路部材116内に位置付けられている。ヒンジピン120が、U字形通路部材の開口および支持アーム104の第1の端部118の互いに反対の開口を通って延在し、支持アーム104を支持ブラケット102に旋回可能に連結している。当業者は、支持ブラケット102および支持アーム104の他の実装を与えられるであろうことを認識すべきである。例えば、支持アーム104は、完全に中空である必要はない。実際に、いくつかの実施の形態において、支持アームは中実棒であり得る、または支持アームの一部が中実であり得る一方で、他の部分が中空である。
【0054】
ここで図4を参照すると、いくつかの実施の形態において、支持アーム104は、両矢印124で示されるように、支持アームの縦軸122に沿って延長可能(および/または格納式)であることがある。例えば、図4は、支持ブラケット102に旋回可能に連結され、回転軸14の周りに回転可能である第1の端部118を含む支持アームの第1部分126、および支持アームの第2部分128を含む支持アーム104を示している。支持アームの第2部分128の第1の端部130は、支持アームの第1部分126の中空の第2の端部132中に挿入され、その中を摺動可能である。このように、支持アームの第2部分128は、支持アームの第1部分126内で支持アームの縦軸122に沿って延長可能(および/または格納式)である。しかしながら、他の実施の形態において、支持アームの1部分126は、支持アームの第2部分128内に摺動可能に結合するような大きさであって差し支えない。さらに他の実施の形態において、支持アーム104は、単一部分であり得、直線ではない長さ形状を含んで差し支えない。
【0055】
電線支持装置100は、第1の端部118と反対の支持アーム104の第2の端部と摺動可能に係合した支柱106をさらに含むことがある。例えば、図3~5の実施の形態において、支柱106は、支持アームの第2部分128の第2の端部132内の通路を通って延在し、その中で摺動可能である。バネ136が、支持アーム104(例えば、支持アームの第2部分128)、またはそれに係合した停止部材138と、支柱の第1の端部140との間に捕らえられている。例えば、支柱の第1の端部140に、ネジ山が設けられることがあり、ここで、バネ136が、支持アーム104、例えば、支持アームの第2部分128、または停止部材138と、支柱の第1の端部140に連結されたナット144で固定されたワッシャ142との間に捕らえられている。したがって、支柱の縦軸146に沿って支柱106を下方に動かすと、バネ136が圧縮され、ここで、支柱106の下方の動きは、
F=-kx (1)
により、復元力を印加するバネ136により与えられるバネ力によって抵抗をうける。ここで、Fは、バネにより生じる復元力であり、xは、バネが圧縮される距離(変位)であり、kは、バネ136のバネ定数である。バネ136は、電線の予測質量(支持される電線によりバネ136に印加される力)および支柱の縦軸146に沿った変位xの所望の大きさに基づいて選択される。例えば、バネ定数および電線の質量があまりに低すぎると、バネが完全に圧縮され、下向き方向に支柱106がさらに動けなくなるであろう。バネ定数が大きすぎると、バネアセンブリは、再び、支柱106の動きを妨げる、例えば、不十分な変位を与えるであろう。
【0056】
上記式(1)は、力Fと変位xとの間の線形関係を記載しているが、他の実施の形態において、Fとxとの間の関係は、非線形であり得、ここで、
F=-f(x) (2)
fは、変位xの非線形関数を示す。
【0057】
バネ136のバネ定数k(または力と変位との間の非線形関係、f(x))(および/またはバネの数)は、バネ136の非圧縮長Lが、電線トレイ内に所望の数の電線が支持された後に、その非圧縮長の約0.2Lから約0.6Lの範囲、例えば、電線トレイに電線が装填された後に、約0.25Lから約0.5Lの範囲の長さLに圧縮されるように選択される。電線支持装置100は、下流ガラス製造装置30の金属製構成要素が加熱過程における熱膨張中に動いたときに、バネが広がり(戻り)、その下流ガラス製造装置の動きにしたがえるように、十分な復元力Fが存在するように位置付けられることがある。
【0058】
実施の形態において、支持アームの第1部分126に、所望であれば、支持アームの第2部分128の延長または格納を防ぐために開錠位置から施錠位置まで移動可能なロッキング機構148が設けられることがある。例えば、図4に最もよく示されるように、支持アーム104に、1つ以上のロッキングボルト148を設けることができる。1つ以上のロッキングボルト148は、例えば、支持アームの第1部分126に設けることができ、下流ガラス製造装置30の初期加熱中に、ゆるめて、支持アームの第2部分128から離すことができる。しかしながら、一旦、下流ガラス製造装置30が所望の作動温度に到達し、下流ガラス製造装置30の金属製構成要素(金属製容器)が完全な膨張に到達したら、1つ以上のロッキングボルト148は、支持アームの第1部分126を通して内側にねじ込んで支持アームの第2部分128と係合させ、それによって、支持アームの第2部分128の支持アームの第1部分126内のさらなる動きを防ぐことができる。
【0059】
支柱の第2の端部150を電線係合アセンブリ108に連結することができる。例えば、図3に示されるように、電線係合アセンブリ108は、支持板110およびボルト、ネジまたは他の適切な留め具などによって、そこに取り外し可能に取り付けられた電線トレイ112を含み得る。図3および5によれば、電線トレイ112は、電線トレイが支持板110に取り付けられたときに、電線を支持するように作られた台を提供することができる。電線トレイ112に、電線35が上に載置される電気的絶縁裏張り152(図5参照)がさらに設けられることがあり、それによって、電線35を電線支持装置100から離し、電気的に絶縁する。その裏張りは、例えば、米国、44121、オハイオ州、クリーブランド所在のRoechling Glastic Compositesにより製造されているGlastic(登録商標)などのガラス繊維強化ポリエステル材料から形成されることがあるが、他の電気的絶縁材料を代わりに使用してもよい。それに加え、支持板110および電線トレイ112などの電線支持装置100の金属製構成要素は、その支持装置の構成要素の誘導加熱を防ぐために、非磁性金属、例えば、ステンレス鋼(例えば、SS303)から形成されることが好ましい。
【0060】
図3~5の実施の形態に示されるように、電線支持装置100は、電線係合アセンブリ108、およびそれにより支持される電線の、第1の回転軸114の周りの回転運動を与えることができる。電線支持装置100は、支持アーム104の格納または延長により、回転軸114に直角な支持アームの縦軸122に沿った方向の電線係合アセンブリ108の直線運動をさらに与えることができる。それに加え、電線支持装置100は、回転軸114に平行であり、支持アームの縦軸122に直角に延在する支柱の縦軸146に沿った支柱106の並進により、電線係合アセンブリ108の直線運動(例えば、垂直運動)を与えることができる。このように、電線支持装置100は、支持アームの縦軸122と、それに直角な支柱の縦軸146に沿った2つの直線運動、および回転軸114の周りの回転運動を与えることができる。
【0061】
図6は、電線支持装置200の別の例示の実施の形態の斜視図である。電線支持装置200は、支持板204およびそれに取り外し可能に取り付けられた電線トレイ206を含む電線係合アセンブリ202を備えている。より詳しくは、各支柱の第1の端部210で、例えば、支持板204の角部で、適切な連結器、例えば、ナットとワッシャにより、複数の支柱208を支持板204に固定することができる。支柱208は、電線トレイ206のそれぞれの角部212(例えば、角のタブ)に形成された通路を通って延在し、電線トレイ206は、支柱の縦軸214に沿って移動可能であり、バネ216により支持されている。バネ216は、例えば、電線トレイおよび/またはその中に支持される電線の質量により、その電線トレイにより印加される下方力がバネ216を圧縮するように、各支柱208の第2の端部220に取り付けられた捕捉要素218(例えば、ナットとワッシャ)と、電線トレイ206のそれぞれの角部との間に捕らえられている。バネ216は、式(1)または(2)にしたがう対抗復元力を印加する。バネ216は、電線の予測質量(支持される電線により電線係合アセンブリに印加される力)および支柱の縦軸214に沿った変位の所望の大きさに基づいて選択される。
【0062】
バネ216のバネ定数k(または力と変位との間の非線形関係、f(x))(および/またはバネの数)は、バネ216の非圧縮長Lが、電線トレイ内に所望の数の電線が支持された後に、すなわち、電線トレイが装填された後に、約0.2Lから約0.6Lの範囲、例えば、約0.25Lから約0.5Lの範囲の長さLに圧縮されるように選択される。電線支持装置200は、下流ガラス製造装置30の金属製構成要素が熱膨張中に動いたときに、バネが広がり、その下流ガラス製造装置の動きにしたがえるように、十分な復元力Fが存在するように位置付けられることがある。
【0063】
先の実施の形態におけるように、電線トレイ206および必要に応じて、支持板204は、適切な電気的絶縁裏張り222、例えば「Glastic」で裏張りされることがある。それに加え、各支柱208は、電気的絶縁ワッシャおよび/またはグロメット224を含むことがあり、支持板204を電線トレイ206から電気的に絶縁するために、支柱208が支持板204に連結される各連結位置で、ワッシャ226とナット228、または他の適切な留め具によって、支柱の第1の端部210により支持板204に固定されることがある。さらに、先の実施の形態におけるように、電線支持装置200の金属製構成要素は、その電線支持装置の構成要素の電線35内の電流による誘導加熱を防ぐために、非磁性金属、例えば、ステンレス鋼(例えば、SS303)から形成されることが好ましい。
【0064】
電線支持装置200は、支持板204に取り付けられた取り付けブラケット230をさらに含むことがあり、取り付けブラケット230は、電線支持装置200を支持部材(図示せず)、例えば、ストラット、梁、桁または他の剛性枠組み片に取り付けるための1つ以上のスロット232を含む。取り付けブラケット230、およびそれゆえ電線支持装置200は、適切な固定具、例えば、ナット、ボルト、およびワッシャにより、支持部材に連結することができる。但し、取り付けブラケットを堅く保持するために、取り付けボルト、ナット、およびワッシャが十分に締め付けられていなれけば、1つ以上のスロットは、ガラス製造の加熱中に1つ以上のスロットの長軸234と平行な方向の電線支持装置の動きを可能にする。一旦、下流ガラス製造装置が作動温度に加熱され、その装置が完全に膨張されたら、電線支持装置を適所に固定するために、取り付けボルトを締め付けることができる。それに加え、電線トレイ206に、両矢印236で示されるように、支柱208の支柱縦軸214に沿った方向の並進(例えば、垂直)運動を与えることができる。
【0065】
電線支持装置100および200の上述した実施の形態は、概して水平の電線敷設に最もうまく適しているが、図7図9に示された例示の電線支持装置300は、概して垂直の電線敷設に最もうまく適している。図7図9の電線支持装置300は、電線支持装置300を支持部材304、例えば、建物の構造用鋼(桁、梁、柱など)に取り付けるためのブラケット302、およびそこに連結されるバネアセンブリ306を含み得る。例えば、ブラケット302は、バネアセンブリ306が中に位置付けられる通路を含み得る。バネアセンブリ306は、バネ筐体310(およびブラケット302)を通って延在する支柱308を含み得、支柱308は、支柱308の縦軸312に沿った直線運動を可能にする(図8参照)。バネアセンブリ306は、バネ筐体310内に位置付けられ、支柱308と係合したバネ314をさらに含むことがある。例えば、停止部材316を、バネ314が停止部材316とバネ筐体310の基部318との間に捕らえられるように、支柱308に連結することができる。支柱308が、錘、例えば、電線の支柱308への連結などによって、軸312に沿って下方に引っ張られるときに、支柱308とともに下方に動く停止部材316がバネ314を圧縮する。それに応じて、バネ314は、式(1)または(2)にしたがう対抗復元力を印加する。バネ314は、電線の予測質量(支持される電線によりバネアセンブリに印加される力)および縦軸312に沿った変位の所望の大きさに基づいて選択することができる。例えば、バネ定数があまりに低すぎると、電線の質量がバネを完全に圧縮し、下向き方向にさらに動けなくなるであろう。バネ定数が大きすぎると、バネアセンブリは、実質的に剛体として働き、電線の質量が印加されたときに、不十分な圧縮となり、ガラス製造装置の動きに適合するために、下流ガラス製造装置の動きに電線支持装置の上方の動きが必要な場合、復元力がなくなる。
【0066】
バネ314のバネ定数k(または力と変位との間の非線形関係、f(x))(および/またはバネの数)は、バネ314の非圧縮長Lが、電線トレイ内に所望の数の電線が支持された後に、すなわち、電線トレイに電線が装填された後に、その非圧縮長の約0.2Lから約0.6Lの範囲、例えば、約0.25Lから約0.5Lの範囲の長さLに圧縮されるように選択される。電線支持装置300は、下流ガラス製造装置30の金属製構成要素が熱膨張中に動いたときに、バネが広がり、その下流ガラス製造装置(例えば、電気フランジ33)の動きにしたがえるように、十分な復元力Fが存在するように位置付けられることがある。
【0067】
図8の補助で最もよく分かるように、電線支持装置300は、回転継ぎ手324などの、支柱308の下端322に連結された滑車アセンブリ320をさらに含むことがある。滑車アセンブリ320はヨーク326を含み、その中で、滑車328が心棒330により搭載され、車軸332の周りに回転可能である。
【0068】
ここで図9を参照すると、電線支持装置300は、電線トレイ336を含む電線係合アセンブリ334をさらに含むことがある。電線トレイ336は、組み立てられたときに、その中に延在し、電線35を受け入れるサイズの複数の電線通路338を含み得る。ケーブルトレイ336は複数の部分から作られることがある。例えば、図7および図9に示された実施の形態において、電線トレイ336は、4つの電線通路338(338a~338d)を含み、3つの電線トレイ部分336a、336b、および336cに分割される。電線通路338aおよび338bは、電線トレイ部分336aと336cとの間で分割され、電線通路338cおよび338dは、電線トレイ部分336bと336cとの間で分割される。このように、電線35は、いくつかの実施の形態において、電線通路338a~338dの電線トレイ部分336cに揃えられ(例えば、その中に位置付けられ)、その後、電線トレイ部分336aおよび336bを、例えば、ボルト340により、電線トレイ部分336cに連結し、それによって、今では周囲が閉じられた電線通路内に電線35を捕捉することができる。電線を電線通路338a~338d内に固定するために、それらの電線通路は、電線より小さく作ることができる。すなわち、電線通路338a~338dの内径は、電線トレイ部分336a~336cを組み立てた際に、電線の外径よりも小さく、例えば、電線のジャケットの外径よりも小さく(電線に外装材が設けられている場合)作ることができる。これにより、電線を電線トレイ336内にしっかりと締め付けることができる。しかしながら、電線トレイ336は、4より少ない電線通路338、または4より多い電線通路338を含んでも差し支えないことを理解すべきである。
【0069】
電線支持装置は、連結器具344a、344bなどにより、電線トレイ336の反対側で電線係合アセンブリ334に取り付けられたワイヤーロープ342(例えば、ワイヤーケーブル)をさらに含み得る。ワイヤーロープ342は、連結器具344aを介して電線トレイ336の一方の側から、滑車328にかかり、連結器具344bを介してこの電線トレイの反対側に取り付けられている。
【0070】
ワイヤーロープ342で滑車328に連結され、支柱308を介してバネ314により支持された電線トレイ336により、電線35が自由に動くことができる。この滑車、ワイヤーロープ、バネおよび全ての設備装置は、ステンレス鋼(例えば、SS303)などの非磁性材料から製造することができる。電線トレイ336は、適切な電気的絶縁材料、例えば、「Glastic」などの樹脂含浸ガラス繊維複合体から製造されることが好ましい。
【0071】
図7~9にしたがって、電線係合アセンブリ334は、両矢印350で示されるように軸312に沿った垂直運動が可能である。電線係合アセンブリ334は傾くこともでき、ワイヤーロープ342を電線トレイ336に取り付けるための1つの取り付け地点(例えば、連結器具344a)が上昇した場合(矢印352参照)、ワイヤーロープ342の滑車328との係合により、ワイヤーロープ342を取り付ける反対の地点(例えば、連結器具344b)が降下する(矢印354参照)。結果として生じた動きにより、電線トレイ336が傾斜する。電線トレイ336が同様に反対方向に傾けることは明白なはずである。
【0072】
電線係合アセンブリ334は、回転軸としての滑車328による旋回運動、および両矢印356で示されるように、回転連結324により与えられる平面内の回転運動も可能であろう。
【0073】
本開示の精神および範囲から逸脱せずに、本開示の実施の形態に様々な改変および変更を行えることが当業者に明白であろう。それゆえ、本開示は、そのような改変および変更を、それらが付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るという条件で、包含することが意図されている。
【0074】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0075】
実施形態1
ガラス製造装置において、
溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、
前記金属製容器に取り付けられ、電線に結合された電気フランジ、および
前記電線を支持する電線支持装置であって、該電線と係合し、バネ力に対抗して第1の方向に移動可能である電線係合アセンブリを含む電線支持装置、
を備えた、ガラス製造装置。
【0076】
実施形態2
前記電線係合アセンブリが、前記第1の方向に対して直角な第2の方向に沿って移動可能である、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0077】
実施形態3
前記電線係合アセンブリが、前記第1の方向と平行な回転軸の周りに回転可能である、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0078】
実施形態4
前記第1の方向が垂直方向である、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0079】
実施形態5
前記バネ力がバネにより与えられ、前記電線係合アセンブリが支柱により該バネに結合されている、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0080】
実施形態6
前記支柱が、支持アームと係合し、該支柱の縦軸に沿って該支持アーム内で摺動可能である、実施形態5に記載のガラス製造装置。
【0081】
実施形態7
前記支持アームが、該支持アームの第1の端部を通って延在する回転軸の周りに回転可能である、実施形態6に記載のガラス製造装置。
【0082】
実施形態8
前記支持アームの長さが、該支持アームの縦軸に沿って可変である、実施形態6に記載のガラス製造装置。
【0083】
実施形態9
前記支持アームが、開錠位置から施錠位置まで移動可能なロッキング機構を含む、実施形態8に記載のガラス製造装置。
【0084】
実施形態10
前記支柱の縦軸が、前記支持アームの回転軸と平行である、実施形態7に記載のガラス製造装置。
【0085】
実施形態11
前記電線係合アセンブリが、前記支柱に取り付けられた支持板に取り外し可能に結合された電線トレイを含む、実施形態5に記載のガラス製造装置。
【0086】
実施形態12
前記電線係合アセンブリが、電気的絶縁材料を含む、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0087】
実施形態13
前記支柱が滑車アセンブリに結合されている、実施形態5に記載のガラス製造装置。
【0088】
実施形態14
前記電線係合アセンブリに結合され、前記滑車に係合しているワイヤーロープをさらに備えた、実施形態13に記載のガラス製造装置。
【0089】
実施形態15
前記電線係合アセンブリが、その中を延在する少なくとも1つの電線通路を含む、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0090】
実施形態16
前記電線係合アセンブリが電線トレイを含み、少なくとも2つの電線トレイ部分が、互いに取り外し可能に結合され、該電線トレイが、該少なくとも2つの電線トレイ部分の間に分割された少なくとも1つの電線通路を含む、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0091】
実施形態17
前記電線トレイが複数の電線通路を含む、実施形態16に記載のガラス製造装置。
【0092】
実施形態18
前記バネ力がバネにより与えられ、該バネ力は該バネの変位の非線形関数である、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0093】
実施形態19
ガラス製造装置において、
溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、
前記金属製容器に取り付けられ、電線に結合された電気フランジ、および
前記電線を支持する電線支持装置であって、該電線と係合し、第1の方向と該第1の方向に直角な第2の方向に移動可能な電線係合アセンブリを含む電線支持装置、
を備え、
前記第1の方向における前記電線係合アセンブリの動きは、バネ力に対抗するものである、ガラス製造装置。
【0094】
実施形態20
前記電線係合アセンブリが、回転軸の周りに回転可能である、実施形態19に記載のガラス製造装置。
【0095】
実施形態21
前記バネ力が、少なくとも1つのバネにより与えられる、実施形態19に記載のガラス製造装置。
【0096】
実施形態22
前記少なくとも1つのバネが支柱に結合されている、実施形態19に記載のガラス製造装置。
【0097】
実施形態23
前記少なくとも1つのバネが、複数の支柱に結合された複数のバネを含む、実施形態22に記載のガラス製造装置。
【0098】
実施形態24
前記支柱が、支持アームに摺動可能に結合されている、実施形態22に記載のガラス製造装置。
【0099】
実施形態25
前記支持アームが、回転軸の周りに回転可能である、実施形態24に記載のガラス製造装置。
【0100】
実施形態26
前記支持アームの長さが、前記支持アームの縦軸に沿って可変である、実施形態25に記載のガラス製造装置。
【0101】
実施形態27
ガラス製造装置において、
溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、
前記金属製容器に取り付けられ、電線に結合された電気フランジ、および
前記電線を支持する電線支持装置であって、前記電線と係合し、第1の方向と該第1の方向に直角な第2の方向に移動可能であり、回転軸の周りに回転可能な電線係合アセンブリを含む電線支持装置、
を備え、
前記第1の方向における前記電線係合アセンブリの動きは、バネ力に対抗するものである、ガラス製造装置。
【0102】
実施形態28
ガラス製造装置において、
溶融ガラスを搬送するように作られた金属製容器、
前記金属製容器に取り付けられ、電線に結合された電気フランジ、および
前記電線を支持する電線支持装置であって、前記電線と係合し、バネ力に対抗して第1の方向に移動可能であり、回転軸の周りに回転可能な電線係合アセンブリを含む電線支持装置、
を備えたガラス製造装置。
【符号の説明】
【0103】
10 ガラス製造装置
12 ガラス溶融炉
14 溶融槽
16 上流ガラス製造装置
18 原材料貯蔵容器
20 原材料送達装置
22 モータ
24 原材料
28 溶融ガラス
30 下流ガラス製造装置
32 第1の接続導管
33 電気フランジ
34 清澄槽
35 電線
36 混合槽
37 端子
38 第2の接続導管
39 受電電極
40 供給槽
42 成形体
44 出口導管
46 第3の接続導管
48 成形装置
50 入口導管
52 樋
54 成形面
56 基部
58 単一リボン
62 ガラスシート
100、200、300 電線支持装置
102 支持ブラケット
104 支持アーム
106、308 支柱
108、208 電線係合アセンブリ
110、204 支持板
112、206、336 電線トレイ
114 回転軸
116 U字形通路部材
120 ヒンジピン
122 支持アームの縦軸
136、216 バネ
146、214 支柱の縦軸
148 ロッキング機構、ボルト
222 電気的絶縁裏張り
226 ワッシャ
228 ナット
230 取り付けブラケット
232 スロット
302 ブラケット
304 支持部材
306 バネアセンブリ
310 バネ筐体
324 回転継ぎ手
328 滑車
336a~c 電線トレイ部分
338、338a~338d 電線通路
342 ワイヤーロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9