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特許7246429茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性のポリエステルステープルファイバーおよびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性のポリエステルステープルファイバーおよびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/92 20060101AFI20230317BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20230317BHJP
   C08K 5/1545 20060101ALI20230317BHJP
   C08K 7/24 20060101ALI20230317BHJP
   D01D 1/04 20060101ALI20230317BHJP
   D01F 1/10 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
D01F6/92 301D
C08K5/13
C08K5/1545
C08K7/24
D01D1/04
D01F1/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021068286
(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公開番号】P2021172969
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】202010303564.8
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520328257
【氏名又は名称】百事基材料(青島)股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BESTEE MATERIAL (TSINGTAO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 611, Area B, Fenghe Plaza, No.12 Hong Kong Middle Road, South District Qingdao, Shandong 266000, China
(73)【特許権者】
【識別番号】521161358
【氏名又は名称】青島百草新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Qingdao Byherb New Material CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】4/F, Building 3, No.151, Huizhiqiao Road, High Tech Zone, Qingdao City, Shandong Province, China
(73)【特許権者】
【識別番号】518407652
【氏名又は名称】中科紡織研究院(青島)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sinotech Academy of Textile (Qingdao) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】80-Yi Siliu South Road, (5) #90, Room 210A, Shibei District, Qingdao city, Shandong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 効華
(72)【発明者】
【氏名】伏 広偉
(72)【発明者】
【氏名】王 丙偉
(72)【発明者】
【氏名】穆 偉華
(72)【発明者】
【氏名】劉 宇
(72)【発明者】
【氏名】姜 義軍
(72)【発明者】
【氏名】甄 麗
(72)【発明者】
【氏名】劉 建立
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-029639(JP,A)
【文献】特開2008-255518(JP,A)
【文献】特開平01-229881(JP,A)
【文献】特開2001-286541(JP,A)
【文献】特開2002-242074(JP,A)
【文献】特開2001-089937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
D01F1/00-6/96
9/00-9/04
D06M13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性ポリエステルステープルファイバーを調製する方法であって、前記変性ポリエステルステープルファイバーは、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンを含み、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンの質量%が0.1~5%であり、
前記茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンが変性処理され、変性方法は以下の通りであり、
変性物質を水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、多孔質ナノ材料を加えて攪拌し、変性ナノ複合材料を取得し、
記変性物質がナリンギンである場合に、ナリンギンを溶解するために50~80℃まで加熱し、または
前記変性物質がエモジンである場合に、エモジンを溶解するために炭酸ナトリウムを加え、
(1)複合変性剤の調製:変性ナノ複合材料に脂溶性溶媒を加えて研磨し、複合変性剤を取得するステップと、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融および混合した後、前記複合変性剤を混合して紡糸して、前記変性ポリエステルステープルファイバーを取得するステップと、を含む、ことを特徴とする茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性リエステルステープルファイバーの調製方法。
【請求項2】
前記変性物質と水の質量比が1:5~10である、ことを特徴とする請求項1に記載の茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性リエステルステープルファイバーの調製方法
【請求項3】
前記多孔質ナノ材料が、モンモリロナイト、ゼオライト粉末、エアロゲル、多孔質ナノTiO2ミクロスフェア、多孔質ナノSiO2ミクロスフェア中の1つまたは複数であり、変性物質と多孔質ナノ材料の質量比が1:5~10である、ことを特徴とする請求項1に記載の茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性リエステルステープルファイバーの調製方法
【請求項4】
多孔質ナノ材料を加えて攪拌する速度が30~60回/分であり、攪拌時間が30~120分である、ことを特徴とする請求項1に記載の茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性リエステルステープルファイバーの調製方法
【請求項5】
ステップ(1)において、脂溶性溶媒がワックス、高級脂肪酸グリセリドまたはステアリン酸である、ことを特徴とする請求項に記載の茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性リエステルステープルファイバーの調製方法。
【請求項6】
ステップ(1)において、研磨粒子サイズが8000~10000メッシュである、ことを特徴とする請求項に記載の茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性リエステルステープルファイバーの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績技術の分野に属し、具体的には、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性のポリエステルステープルファイバーおよびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルステープルファイバーは、ポリエステル(すなわち、ポリエチレンテレフタレート、PETと略し、PTAおよびMEGによって重合される)を紡糸して切断することによって得られる繊維である。ポリエステル繊維の分子配列は規則的でコンパクトで、結晶性と配向性は高いが、染色可能な基がないため、ポリエステル繊維の染色はより困難であり、染色装置の要件はより高く、3種廃棄物処理の問題を解決することは困難である。
【0003】
社会の継続的な発展と人々の生活水準の継続的な改善により、人々の健康の概念も継続的に強化されている。テキスタイルは、日常生活でよく触れる素材として、衛生面でますます注目を集めている。バクテリアやその他の微生物が広く存在することで、繊維は、摂取、保管、輸送の過程でバクテリアの繁殖地になりやすくなっている。ポリエステル繊維の分子は対称的で、きつく整然と配置されているので、ポリエステル繊維は優れた機械的および化学的特性を持っている。
【0004】
茶ポリフェノールは、茶に含まれるポリフェノール物質の総称であり、白色の無定形粉末で、水に溶けやすい。緑茶に含まれる茶ポリフェノールの含有量が高く、その質量の15%~30%を占め、茶ポリフェノールの主成分は、フラバノン、アントシアニジン、フラボノール、ルコアントシアニジン、フェノール酸、およびデプシリン酸の6つの化合物である。その中でも、フラバノンが最も重要で、茶ポリフェノール全体の60%~80%を占め、次はフラボノイドであり、他のフェノール物質の含有量が少なく、茶ポリフェノールは強力な抗菌作用およびオキシダーゼ抑制効果を有する。
【0005】
ナリンギンは、主にミカン科のザボンの果実、グレープフルーツ、みかん、オレンジの皮と果肉に含まれ、淡黄色の粉末またはオフホワイトの粉末で、フラボノイド化合物に属する。ナリンギンは、抗炎症作用、抗ウイルス作用、抗癌作用、抗変異作用、抗アレルギー作用、抗潰瘍作用、鎮痛作用、血圧作用があり、血中コレステロールを下げ、血栓症を減らし、局所的な微小循環と栄養供給を改善し、心臓血管および脳血管疾患の発症予防と治療に使用できる。
【0006】
エモジンはオレンジイエローの長い針状の結晶で、アセトンで結晶化するとオレンジ色、メタノールで結晶化すると黄色になり、エモジンは、黄色ブドウ球菌209P、連鎖球菌、バチルス‐コアグランス、枯草菌、パラチフス菌、赤痢菌、大腸菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌、カタコッカスなどには抑制効果があり、臨床的に一般的な嫌気性細菌に対して強い抑制効果がある。
【0007】
現在開示されているポリエステルステープルファイバーは、良好な抗菌性、機械的性能、通気性および吸湿性という要件を同時に満たすことができない。
【0008】
以上の理由から、本発明を提案する。
【発明の概要】
【0009】
従来技術における上記の問題を解決するために、本発明は、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性のポリエステルステープルファイバーおよびその調製方法を提供し、本発明によって調製されたポリエステルステープルファイバーは、良好な抗菌性能、機械的性能、優れた通気性、優れた吸湿性という利点を同時に有する。
【0010】
本発明の第1の側面によれば、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性のポリエステルステープルファイバーが提供され、前記変性ポリエステルステープルファイバーは茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンを含む。
【0011】
好ましくは、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンの質量%は0.1~5%である。
【0012】
さらに、前記茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンが変性処理され、変性方法は以下の通りである。
【0013】
変性物質を水に加え完全に溶解するまで攪拌し、多孔質ナノ材料を加えて攪拌し、変性ナノ複合材料を取得し、その内に、前記変性物質が変性処理された茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンである。
【0014】
本発明において、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンと多孔質ナノ材料を変性処理し、ナノ多孔質材料が大きい比表面積を有するために、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンが多孔質材料の穴内に「カプセル化」され、このように、後で変性ポリエステルステープルファイバーを調製するときに茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンの成分が破壊されず、変性ポリエステルの性能を改善することができる。
【0015】
さらに、前記変性物質と水の質量比が1:5~10である。
【0016】
さらに、前記変性物質がナリンギンである場合に、ナリンギンを溶解するために50~80℃まで加熱する必要がある。
【0017】
さらに、前記変性物質がエモジンである場合に、エモジンを溶解するために炭酸ナトリウムを加える必要がある。
【0018】
さらに、前記多孔質ナノ材料がモンモリロナイト、ゼオライト粉末、エアロゲル、多孔質ナノTiOミクロスフェア、多孔質ナノSiOミクロスフェア中の1つまたは複数である。
【0019】
さらに、変性物質と多孔質ナノ材料の質量比が1:5~10である。
【0020】
さらに、多孔質ナノ材料を加えて攪拌する速度が30~60回/分であり、攪拌時間が30~120minである。
【0021】
本発明の第2の側面によれば、前記の茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジン変性のポリエステルステープルファイバーの調製方法が提供され、前記方法は以下のステップを含む。
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に脂溶性溶媒を加えて研磨し、複合変性剤を取得する。
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を加えて混合し、紡糸して前記変性ポリエステルステープルファイバーを取得する。
さらに、ステップ(1)において、脂溶性溶媒がワックス、高級脂肪酸グリセリドまたはステアリン酸である。
さらに、ステップ(1)において、研磨粒子サイズが8000~10000メッシュである。
ステップ(2)において、複合変性剤とPETチップの質量比が1~8:100である。
【発明の効果】
【0022】
従来技術と比較すると、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0023】
(1)本発明において、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンと多孔質ナノ材料を変性処理し、ナノ多孔質材料が大きい比表面積を有するため、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンが多孔質材料の穴内に「カプセル化」され、このように、後で変性ポリエステルステープルファイバーを調製するときに茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンの成分が破壊されず、ポリエステルステープルファイバーの性能を改善することができ、本発明において、茶ポリフェノール、ナリンギンまたはエモジンの添加によりポリエステルステープルファイバーの抗菌性能を向上させ、黄色ブドウ球菌、大腸菌、白色念珠菌に対して優れた抑菌性能を有し、50回水で洗浄しても抑菌率が標準を満たすことができる。
【0024】
(2)本発明において、得られた変性ナノ複合材料を脂溶性溶媒に加えて研磨し、均一に分散させ、PETチップと混合し、紡糸して変性ポリエステルステープルファイバーを取得することで、ポリエステルステープルファイバーの機械的性能、抗菌性、通気性および吸湿性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、本発明の技術的解決策を以下に詳細に説明する。明らかに、説明される実施例は、すべての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。本発明の実施例に基づいて、創造的な労働をせずに当業者により得られたすべての他の実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0026】
実施例1
本実施例の茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーでは、茶ポリフェノールの質量%が0.1%であり、前記茶ポリフェノールが以下のように変性処理される:茶ポリフェノールを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、前記茶ポリフェノールと水の質量比が1:5であり、多孔質ナノTiOミクロスフェアを加え、茶ポリフェノールと多孔質ナノTiOミクロスフェアの質量比が1:5であり、攪拌して、攪拌速度が30回/分であり、攪拌時間が120分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0027】
本実施例の茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は、以下のステップを含む:
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量のワックスを加えて研磨し、研磨粒子サイズが8000メッシュであり、複合変性剤を得る、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が1:100であり、紡糸して前記茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0028】
実施例2
本実施例の茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーでは、茶ポリフェノールの質量%が2.5%であり、前記茶ポリフェノールが以下のように変性処理される:茶ポリフェノールを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、前記茶ポリフェノールと水の質量比が1:7.5であり、多孔質ナノSiOミクロスフェアを加え、茶ポリフェノールと多孔質ナノSiOミクロスフェアの質量比が1:7.5であり、攪拌して、攪拌速度が45回/分であり、攪拌時間が75分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0029】
本実施例の茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のステップを含む:
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量の高級脂肪酸グリセリドを加えて研磨し、研磨粒子サイズが9000メッシュであり、複合変性剤を取得する、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が4.5:100であり、紡糸して前記茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0030】
実施例3
本実施例の茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーでは、茶ポリフェノールの質量%が5%であり、前記茶ポリフェノールが以下のように変性処理される:茶ポリフェノールを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、前記茶ポリフェノールと水の質量比が1:10であり、モンモリロナイトおよび多孔質ナノSiOミクロスフェアを加え、茶ポリフェノールとモンモリロナイトおよび多孔質ナノSiOミクロスフェアの合計の質量比が1:10であり、モンモリロナイトと多孔質ナノSiOミクロスフェアの質量比が1:1であり、攪拌して、攪拌速度が60回/分であり、攪拌時間が30分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0031】
本実施例の茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のステップを含む:
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量のステアリン酸を加えて研磨し、研磨粒子サイズが10000メッシュであり、複合変性剤を取得する、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が8:100であり、紡糸して前記茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0032】
実施例4
本実施例のナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーでは、ナリンギンの質量%が0.1%であり、前記ナリンギンが以下のように変性処理される:ナリンギンを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、水を50℃に加熱し、前記ナリンギンと水の質量比が1:5であり、ゼオライト粉末を加え、ナリンギンとゼオライト粉末の質量比が1:5であり、攪拌して、攪拌速度が30回/分であり、攪拌時間が120分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0033】
本実施例のナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のステップを含む:
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量のワックスを加えて研磨し、研磨粒子サイズが8000メッシュであり、複合変性剤を取得する、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が1:100であり、紡糸して前記ナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0034】
実施例5
本実施例のナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーでは、ナリンギンの質量%が2.5%であり、前記ナリンギンが以下のように変性処理される:ナリンギンを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、水を65℃に加熱し、前記ナリンギンと水の質量比が1:7.5であり、多孔質ナノSiOミクロスフェアを加え、ナリンギンと多孔質ナノSiOミクロスフェアの質量比が1:7.5であり、攪拌して、攪拌速度が45回/分であり、攪拌時間が75分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0035】
本実施例のナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のステップを含む:
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量の高級脂肪酸グリセリドを加えて研磨し、研磨粒子サイズが9000メッシュであり、複合変性剤を取得する、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が4.5:100であり、紡糸して前記ナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0036】
実施例6
本実施例のナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーでは、ナリンギンの質量%が5%であり、前記ナリンギンが以下のように変性処理される:ナリンギンを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、水を80℃に加熱し、前記ナリンギンと水の質量比が1:10であり、モンモリロナイトおよび多孔質ナノSiOミクロスフェアを加え、ナリンギンとモンモリロナイトおよび多孔質ナノSiOミクロスフェアの合計の質量比が1:10であり、モンモリロナイトと多孔質ナノSiOミクロスフェアの質量比が1:1であり、攪拌して、攪拌速度が60回/分であり、攪拌時間が30分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0037】
本実施例のナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のステップを含む。
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量のステアリン酸を加えて研磨し、研磨粒子サイズが10000メッシュであり、複合変性剤を取得する。
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が8:100であり、紡糸して前記ナリンギン変性ポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0038】
実施例7
本実施例のエモジン変性のポリエステルステープルファイバーでは、エモジンの質量%が0.1%であり、前記エモジンが以下のように変性処理される:エモジンおよび適量の炭酸ナトリウムを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、前記エモジンと水の質量比が1:5であり、多孔質ナノTiOミクロスフェアを加え、エモジンと多孔質ナノTiOミクロスフェアの質量比が1:5であり、攪拌して、攪拌速度が30回/分であり、攪拌時間が120分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0039】
本実施例のエモジン変性のポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のステップを含む:
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量の高級脂肪酸グリセリドを加えて研磨し、研磨粒子サイズが8000メッシュであり、複合変性剤を取得する、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が1:100であり、紡糸して前記エモジン変性のポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0040】
実施例8
本実施例のエモジン変性のポリエステルステープルファイバーでは、エモジンの質量%が2.5%であり、前記エモジンが以下のように変性処理され:エモジンおよび適量の炭酸ナトリウムを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、前記エモジンと水の質量比が1:7.5であり、多孔質ナノSiOミクロスフェアを加え、エモジンと多孔質ナノSiOミクロスフェアの質量比が1:7.5であり、攪拌して、攪拌速度が45回/分であり、攪拌時間が75分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0041】
本実施例のエモジン変性のポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のステップを含む:
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量のステアリン酸を加えて研磨し、研磨粒子サイズが9000メッシュであり、複合変性剤を取得する、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が4.5:100であり、紡糸して前記エモジン変性のポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0042】
実施例9
本実施例のエモジン変性のポリエステルステープルファイバーでは、エモジンの質量%が5%であり、前記エモジンが以下のように変性処理される:エモジンおよび適量の炭酸ナトリウムを水に加えて完全に溶解するまで攪拌し、前記エモジンと水の質量比が1:10であり、モンモリロナイトおよび多孔質ナノSiOミクロスフェアを加え、エモジンとモンモリロナイトおよび多孔質ナノSiOミクロスフェアの合計の質量比が1:10であり、モンモリロナイトと多孔質ナノSiOミクロスフェアの質量比が1:1であり、攪拌して、攪拌速度が60回/分であり、攪拌時間が30分であり、変性ナノ複合材料を取得する。
【0043】
本実施例のエモジン変性のポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のステップを含む:
(1)複合変性剤の調製:前記変性ナノ複合材に適量の高級脂肪酸グリセリドを加えて研磨し、研磨粒子サイズが10000メッシュであり、複合変性剤を取得する、
(2)変性ポリエステルステープルファイバーの調製:PETチップを二軸押出機で溶融・混合し、前記複合変性剤を二軸押出機に注入し、PETチップ溶融体と混合し、複合変性剤とPETチップの質量比が8:100であり、紡糸して前記エモジン変性のポリエステルステープルファイバーを取得する。
【0044】
比較例1
本比較例によって調製された茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のことを除いて実施例1と同じであり、茶ポリフェノールが変性処理されていない。
【0045】
比較例2
本比較例によって調製された茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のことを除いて実施例1と同じであり、変性ナノ複合材料を、脂溶性溶媒を添加せずに、直接研磨する。
【0046】
比較例3
本比較例によって調製された茶ポリフェノール変性ポリエステルステープルファイバーの調製方法は以下のことを除いて実施例1と同じであり、複合変性剤を調製せずに、PETチップと変性ナノ複合材料を直接溶融・混合してポリエステルステープルファイバーを調製する。
【0047】
試験例1
実施例1~9と比較例1~3で調製されたポリエステルステープルファイバーの抑菌率をそれぞれ測定し、結果が表1に示される。
【0048】
【0049】
表1から分かるように、本発明によって調製されたポリエステルステープルファイバーの抑菌性が比較例1~3よりも優れ、これは、変性処理される場合に、ナノ多孔質材料が大きい比表面積を有するため、茶ポリフェノールが多孔質材料の穴内に「カプセル化」され、このように、後でポリエステルステープルファイバーを調製するときに茶ポリフェノールの成分が破壊されず、ポリエステルステープルファイバーの抑菌性能を改善することができるからである。脂溶性溶媒で処理されず、複合変性剤を調製せずに、ポリエステルステープルファイバーを調製するときに抑菌性能が大幅に低くなり、これは、茶ポリフェノールがポリエステルステープルファイバーに均一に分散されないことに起因する結果であり、本発明で調製されたポリエステルステープルファイバーは、性能が均一で、水で50回洗浄しても抑菌率が標準を満たすことができる。
【0050】
本願の出願人は、他の実施例についても上記の実験を行ったところ、結果が基本的に同じであり、記事のスペースが限られているため、すべてをリストしない。
【0051】
試験例2
実施例1~9と比較例1~3で調製されたポリエステルステープルファイバーの機械的性能、吸湿性能、および通気性を測定し、結果が表2に示される。
【0052】
【0053】
表2から分かるように、本発明の方法によって調製されたポリエステルステープルファイバーは良好な機械的性能、通気性、および水分回復率を有する。
【0054】
本願の出願人は他の実施例についても上記の実験を行ったとこり、結果が基本的に一致であり、記事のスペースが限られているため、すべてをリストしない。
【0055】
以上のように、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲がここに限定されず、当業者が、本発明によって開示される技術的範囲内に容易に想到した変更や置換は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。したがって、本発明の保護範囲は前記特許請求の範囲の保護範囲に従うべきである。