(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】農業用作業車両の変速装置
(51)【国際特許分類】
B60K 17/02 20060101AFI20230317BHJP
B60K 17/06 20060101ALI20230317BHJP
A01D 69/06 20060101ALI20230317BHJP
A01C 11/02 20060101ALI20230317BHJP
A01B 33/08 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
B60K17/02 C
B60K17/06 C
A01D69/06
A01C11/02 313C
A01B33/08 A
(21)【出願番号】P 2021555328
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 KR2020003739
(87)【国際公開番号】W WO2020190042
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】10-2019-0031888
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0032367
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0033102
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509023012
【氏名又は名称】エル エス エムトロン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS Mtron Ltd.
【住所又は居所原語表記】127, LS-ro, Dongan-gu, Anyang-si, Gyeonggi-do, 14119 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ジュンソ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ウォンウ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジフン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テクソン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨンギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェゴン
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-314679(JP,A)
【文献】特開2001-105905(JP,A)
【文献】特開平10-026189(JP,A)
【文献】国際公開第2011/152374(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/02
B60K 17/06
A01D 69/06
A01C 11/02
A01B 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業用作業車両のエンジンから伝達された駆動に対して変速を遂行する先行変速部;
前記先行変速部から伝達された駆動を選択的に出力するように前記先行変速部に連結されたクラッチ部;
前記クラッチ部に連結された調節部;および
前記調節部から伝達された駆動に対して変速を遂行するように前記調節部に連結された後行変速部を含み、
前記先行変速部は、前記エンジンから伝達された駆動に対して変速を遂行する第1先行変速機構、および前記エンジンから伝達された駆動に対して変速を遂行する第2先行変速機構を含み、
前記クラッチ部は、前記第1先行変速機構から伝達された駆動を選択的に出力するように前記第1先行変速機構に連結された第1クラッチ機構、および前記第2先行変速機構から伝達された駆動を選択的に出力するように前記第2先行変速機構に連結された第2クラッチ機構を含み、
前記調節部は、前記第1クラッチ機構に連結された第1調節機構、前記第2クラッチ機構に連結された第2調節機構、および前記第1調節機構と前記第2調節機構の双方に連結された統合機構を含み、
前記後行変速部は、前記統合機構に連結された一つの後行変速機構を含
み、
前記先行変速部は、前記エンジンから伝達された駆動を前記第1先行変速機構と前記第2先行変速機構それぞれに伝達する先行変速入力機構を含み、
前記先行変速入力機構は、前記第1先行変速機構が有する複数個の第1先行変速ギアおよび前記第2先行変速機構が有する複数個の第2先行変速ギアそれぞれに噛み合った複数個の先行変速入力ギアを含み、
先行変速入力軸が、前記エンジンから伝達された駆動によって回転し、前記先行変速入力軸は、前記複数個の先行変速入力ギアを回転させ、前記先行変速入力軸は、前記複数個の先行変速入力ギアを介して、前記複数個の第1先行変速ギアおよび前記複数個の第2先行変速ギアを回転させ、
前記先行変速入力ギアそれぞれの一側と他側に噛み合った第1先行変速ギアと第2先行変速ギアは、互いに同一の変速比率で変速を遂行するように互いに同一に形成され、
前記統合機構は、第1ギア比(Gear Ratio)を利用して変速を遂行するように前記第1調節機構に連結されるとともに、前記第1ギア比と異なる第2ギア比を利用して変速を遂行するように前記第2調節機構に連結されたことを特徴とする、農業用作業車両の変速装置。
【請求項2】
前記第1調節機構は、前記第1クラッチ機構から伝達された駆動で回転する第1調節ギアを含み、
前記第2調節機構は、前記第2クラッチ機構から伝達された駆動で回転する第2調節ギアを含み、
前記統合機構は、
前記第1調節ギアと前記第2調節ギアそれぞれに噛み合った第1統合ギア;および
前記第1統合ギアが結合され、前記第1統合ギアから伝達された駆動で回転する統合軸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項3】
前記後行変速機構は、前記調節部に連結された後行入力軸を含み、
前記後行入力軸は、前記統合軸に直接結合されたことを特徴とする、請求項
2に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項4】
前記調節部と前記後行変速機構それぞれに連結された伝達部を含み、
前記伝達部は、前記後行変速機構に連結された伝達出力ギア、および前記伝達出力ギアに噛み合うとともに、前記調節部に連結された伝達入力ギアを含み、
前記後行変速機構は、前記伝達部に連結された後行入力軸を含み、
前記伝達出力ギアは、前記後行入力軸に結合され、
前記伝達入力ギアは、前記統合軸に結合されたことを特徴とする、請求項
2に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項5】
前記後行変速機構は、
互いに離隔して配置された後行入力軸と後行出力軸;
前記後行入力軸と前記後行出力軸のうちいずれか一つの軸に空回り可能に結合された複数個の後行変速ギア;
前記後行入力軸と前記後行出力軸のうち前記後行変速ギアが結合された軸に結合され、前記後行変速ギアに選択的に連結される後行変速部材;および
前記後行入力軸と前記後行出力軸のうち前記後行変速ギアが結合された軸を除いた残りの軸に結合され、前記後行変速ギアに噛み合うように配置された複数個の後行伝達ギアを含むことを特徴とする、請求項
2に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項6】
前記第1調節機構は、前記第1クラッチ機構から伝達された駆動で回転する第1調節ギアを含み、
前記第2調節機構は、前記第2クラッチ機構から伝達された駆動で回転する第2調節ギアを含み、
前記統合機構は、
前記第1ギア比を利用して変速を遂行するように前記第1調節ギアに噛み合った第1統合ギア;
前記第2ギア比を利用して変速を遂行するように前記第2調節ギアに噛み合った第2統合ギア;および
前記第1統合ギアと前記第2統合ギアが結合され、前記第1統合ギアと前記第2統合ギアのうちいずれか一つから伝達された駆動で回転する統合軸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項7】
前記後行変速機構は、前記調節部に連結された後行入力軸を含み、
前記後行入力軸は、前記統合軸に直接結合されたことを特徴とする、請求項
6に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項8】
前記調節部と前記後行変速機構それぞれに連結された伝達部を含み、
前記伝達部は、前記後行変速機構に連結された伝達出力ギア、および前記伝達出力ギアに噛み合うとともに、前記調節部に連結された伝達入力ギアを含み、
前記後行変速機構は、前記伝達部に連結された後行入力軸を含み、
前記伝達出力ギアは、前記後行入力軸に結合され、
前記伝達入力ギアは、前記統合軸に結合されたことを特徴とする、請求項
6に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項9】
前記後行変速機構は、
互いに離隔して配置された後行入力軸と後行出力軸;
前記後行入力軸と前記後行出力軸のうちいずれか一つの軸に空回り可能に結合された複数個の後行変速ギア;
前記後行入力軸と前記後行出力軸のうち前記後行変速ギアが結合された軸に結合され、前記後行変速ギアに選択的に連結される後行変速部材;および
前記後行入力軸と前記後行出力軸のうち前記後行変速ギアが結合された軸を除いた残りの軸に結合され、前記後行変速ギアに噛み合うように配置された複数個の後行伝達ギアを含むことを特徴とする、請求項
6に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項10】
前記第1調節ギアと前記第2調節ギアは、互いに同一の直径を有するように形成されたことを特徴とする、請求項
6に記載の農業用作業車両の変速装置。
【請求項11】
前記第1調節ギアの直径と前記第1統合ギアの直径を足した第1直径値、および前記第2調節ギアの直径と前記第2統合ギアの直径を足した第2直径値は、互いに同一であることを特徴とする、請求項
6に記載の農業用作業車両の変速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用作業車両の速度を調節するための農業用作業車両の変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用作業車両は、土地を利用して人間生活に必要な作物の栽培に利用されるものである。例えば、コンバイン(Combine)、トラクター(Tractor)、田植機などが農業用作業車両に該当する。コンバインは稲、麦、小麦、豆などの作物を刈り取って脱穀する作業を遂行するものである。トラクターは、牽引力を利用して作物の栽培に必要な作業を遂行するものである。田植機は、苗代や育苗箱で育てた苗を水田に移植する作業を遂行するものである。
【0003】
このような農業用作業車両は、作業過程で必要に応じてトルク、速度などを調節するために変速装置を含む。
【0004】
図1は、従来技術に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的なブロック図である。
【0005】
図1を参照すると、従来技術に係る農業用作業車両の変速装置100は、エンジン10から伝達された駆動に対して変速を遂行する1次変速部110、および前記1次変速部110から伝達された駆動に対して変速を遂行する2次変速部120を含む。
【0006】
前記1次変速部110は、第1駆動軸111、第1変速ギア112、第2変速ギア113、第1スリーブ114、第2駆動軸115、第3変速ギア116、第4変速ギア117、および第2スリーブ118を含む。
【0007】
前記第1駆動軸111には、前記第1変速ギア112、前記第2変速ギア113、および前記第1スリーブ114が結合される。
【0008】
前記第1変速ギア112および前記第2変速ギア113は、前記第1駆動軸111に空回り可能に結合される。前記第2変速ギア113および前記第1変速ギア112は、互いに異なる直径で形成される。
【0009】
前記第1スリーブ114は、前記第1変速ギア112および前記第2変速ギア113の間に位置するように前記第1駆動軸111に結合される。前記第1スリーブ114および前記第1駆動軸111は、共に回転するように結合される。前記第1スリーブ114が前記第1変速ギア112および前記第2変速ギア113の双方に噛み合わない場合、前記第1スリーブ114は、ニュートラル状態となる。前記第1スリーブ114が前記第1変速ギア112または前記第2変速ギア113に噛み合った場合、前記第1スリーブ114は、噛み合い状態となる。
【0010】
前記第2駆動軸115には、前記第3変速ギア116、前記第4変速ギア117、および前記第2スリーブ118が結合される。前記第2駆動軸115および前記第1駆動軸111は、互いに平行に配置される。
【0011】
前記第3変速ギア116および前記第4変速ギア117は、前記第2駆動軸115に空回り可能に結合されたものである。前記第4変速ギア117および前記第3変速ギア116は、互いに異なる直径で形成される。
【0012】
前記第2スリーブ118は、前記第3変速ギア116および前記第4変速ギア117の間に位置するように前記第2駆動軸115に結合される。前記第2スリーブ118および前記第2駆動軸115は、共に回転するように結合される。前記第2スリーブ118が前記第3変速ギア116および前記第4変速ギア117の双方に噛み合わない場合、前記第2スリーブ118は、ニュートラル状態となる。前記第2スリーブ118が前記第3変速ギア116または前記第4変速ギア117に噛み合った場合、前記第2スリーブ118は、噛み合い状態となる。
【0013】
ここで、従来技術に係る農業用作業車両の変速装置100は、前記第1スリーブ114および前記第2スリーブ118が同時に噛み合い状態となると、前記1次変速部110または前記2次変速部120が損傷乃至破損する危険がある。これに伴い、前記第1スリーブ114が噛み合い状態である場合、前記第1スリーブ114がニュートラル状態となった後に前記第2スリーブ118が噛み合い状態とならなければならない。前記第2スリーブ118が噛み合い状態である場合、前記第2スリーブ118がニュートラル状態となった後に前記第1スリーブ114が噛み合い状態とならなければならない。したがって、従来技術に係る農業用作業車両の変速装置100は、前記第1スリーブ114および前記第2スリーブ118がいずれもニュートラル状態となる過程を必ず経なければならないため、変速過程で揺れ、衝撃などが発生する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前述したような問題点を解決するために案出されたもので、変速過程で発生する揺れ、衝撃などを減らし得る農業用作業車両の変速装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記のような課題を解決するために、本発明は、次のような構成を含むことができる。
【0016】
本発明に係る農業用作業車両の変速装置は、農業用作業車両のエンジンから伝達された駆動に対して変速を遂行する先行変速部;前記先行変速部から伝達された駆動を選択的に出力するように前記先行変速部に連結されたクラッチ部;前記クラッチ部に連結された調節部;および前記調節部から伝達された駆動に対して変速を遂行するように前記調節部に連結された後行変速部を含むことができる。前記先行変速部は、前記エンジンから伝達された駆動に対して変速を遂行する第1先行変速機構、および前記エンジンから伝達された駆動に対して変速を遂行する第2先行変速機構を含むことができる。前記クラッチ部は、前記第1先行変速機構から伝達された駆動を選択的に出力するように前記第1先行変速機構に連結された第1クラッチ機構、および前記第2先行変速機構から伝達された駆動を選択的に出力するように前記第2先行変速機構に連結された第2クラッチ機構を含むことができる。前記調節部は、前記第1クラッチ機構に連結された第1調節機構、前記第2クラッチ機構に連結された第2調節機構、および前記第1調節機構と前記第2調節機構の双方に連結された統合機構を含むことができる。前記後行変速部は前記統合機構に連結された一つの後行変速機構を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、次のような効果を図ることができる。
【0018】
本発明は、先行変速部によって変速された駆動に対して一つの後行変速機構を利用して追加的な変速を遂行できるように具現されることによって、後行変速部に対する製造の容易性を向上させることができ、後行変速部に対する製造単価の削減に寄与することができる。
【0019】
本発明は、スリーブがいずれもニュートラル状態となる過程を経ずとも変速を遂行できるように具現されることによって、変速過程で発生する揺れ、衝撃などを減らし得るため、運転者に安定した運転環境を提供するのに寄与することができる。
【0020】
本発明は第1先行変速機構および第2先行変速機構を共用化乃至モジュール化できるように具現されることによって、第1先行変速機構および第2先行変速機構に対する製造の容易性を向上させることができ、第1先行変速機構および第2先行変速機構に対する製造単価の削減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的なブロック図である。
【
図2】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的なブロック図である。
【
図3】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図4】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図5】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図6】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図7】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図8】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図9】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図10】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図11】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図12】本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図13】本発明に係る農業用作業車両の変速装置において第1調節ギア、第2調節ギア、第1統合ギア、および第2統合ギアの配置を説明するための概念図である。
【
図14】本発明の変形された実施形態に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図15】本発明の変形された実施形態に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図16】本発明の変形された実施形態に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【
図17】本発明の変形された実施形態に係る農業用作業車両の変速装置に対する概略的な動力伝達図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明に係る農業用作業車両の変速装置に対する実施形態を、添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図2を参照すると、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、トラクター、コンバイン、田植機などのような農業用作業車両(図示されず)に設置される。本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記農業用作業車両のエンジン10から伝達された駆動に対して必要に応じてトルク、速度などを調節する変速機能を具現する。本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、先行変速部2、クラッチ部3、調節部4、および後行変速部5を含むことができる。
【0024】
図2および
図3を参照すると、前記先行変速部2は、前記エンジン10から伝達された駆動に対して変速を遂行するものである。前記先行変速部2は、前記エンジン10に直接連結され得る。前記先行変速部2は、第1変速部(図示されず)を通じて前記エンジン10に連結されてもよい。この場合、前記エンジン10が発生させた駆動は、前記第1変速部を経て前記先行変速部2に入力され得る。以下において、前記エンジン10から伝達された駆動は、前記エンジン10から直接伝達された場合だけでなく、前記エンジン10から前記第1変速部を経て伝達された場合も含むものである。例えば、前記第1変速部は、前後進の変速を遂行する前後進変速部を含むことができる。前記第1変速部は、超低速変速を遂行する超低速変速部を含んでもよい。前記先行変速部2は、主変速部または副変速部として具現され得る。以下では、前記先行変速部2が主変速部として具現された実施形態を例に挙げて説明する。
【0025】
前記先行変速部2は、第1先行変速機構21、および第2先行変速機構22を含むことができる。
【0026】
前記第1先行変速機構21は、前記エンジン10から伝達された駆動に対して変速を遂行するものである。前記第1先行変速機構21は、前記クラッチ部3に連結され得る。前記エンジン10から伝達された駆動は、前記第1先行変速機構21を経て前記クラッチ部3に伝達され得る。
【0027】
前記第1先行変速機構21は、複数個の第1先行変速ギア211、および第1先行変速スリーブ212を含むことができる。
【0028】
前記第1先行変速ギア211は、前記エンジン10から伝達された駆動で回転するものである。前記第1先行変速ギア211は、第1先行変速軸213に空回り可能に結合され得る。前記第1先行変速ギア211および前記第1先行変速軸213の間には、ベアリング(図示されず)が設置され得る。前記第1先行変速ギア211は、第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔するように配置され得る。前記第1軸方向(X軸方向)は、前記第1先行変速軸213に平行な軸方向である。前記第1先行変速ギア211は、互いに異なる直径で形成され得る。
【0029】
前記第1先行変速スリーブ212は、前記第1先行変速ギア211に選択的に噛み合うものである。前記第1先行変速スリーブ212は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第1先行変速ギア211の間に配置され得る。前記第1先行変速スリーブ212は、前記第1先行変速ギア211のうちいずれか一つに噛み合うことによって、噛み合い状態となり得る。前記第1先行変速スリーブ212は、前記第1先行変速ギア211のすべてから離隔することによって、ニュートラル状態となり得る。前記第1先行変速スリーブ212は、前記第1先行変速軸213に結合され得る。これに伴い、前記第1先行変速スリーブ212が前記第1先行変速ギア211のうちいずれか一つに噛み合うと、前記第1先行変速スリーブ212は、回転しながら前記第1先行変速軸213を回転させることができる。前記第1先行変速スリーブ212が前記第1先行変速ギア211のすべてから離隔すると、前記第1先行変速ギア211が回転しても前記第1先行変速スリーブ212および前記第1先行変速軸213は回転しない。前記第1先行変速スリーブ212は、シンクロナイザースリーブ(Synchronizer Sleeve)であり得る。
【0030】
前記先行変速部2が遂行可能な変速段数によって、前記第1先行変速機構21は、前記第1先行変速スリーブ212を複数個含んでもよい。この場合、前記第1先行変速スリーブ212は、それぞれ両側に配置された第1先行変速ギア211に選択的に噛み合われ得る。前記第1先行変速スリーブ212は、それぞれ一側に配置された第1先行変速ギア211に選択的に噛み合われ得る。前記第1先行変速スリーブ212が複数個備えられた場合、前記第1先行変速スリーブ212は、個別的に移動され得る。
【0031】
前記第2先行変速機構22は、前記エンジン10から伝達された駆動に対して変速を遂行するものである。前記第2先行変速機構22は、前記クラッチ部3に連結され得る。前記エンジン10から伝達された駆動は、前記第2先行変速機構22を経て前記クラッチ部3に伝達され得る。
【0032】
前記第2先行変速機構22は、複数個の第2先行変速ギア221、および第2先行変速スリーブ222を含むことができる。
【0033】
前記第2先行変速ギア221は、前記エンジン10から伝達された駆動で回転するものである。前記第2先行変速ギア221は、第2先行変速軸223に空回り可能に結合され得る。前記第2先行変速ギア221および前記第2先行変速軸223の間には、ベアリング(図示されず)が設置され得る。前記第2先行変速軸233は、前記第1軸方向(X軸方向)に対して平行に配置され得る。前記第2先行変速ギア221は、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔するように配置され得る。前記第2先行変速ギア221は、互いに異なる直径で形成され得る。
【0034】
前記第2先行変速スリーブ222は、前記第2先行変速ギア221に選択的に噛み合うものである。前記第2先行変速スリーブ222は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第2先行変速ギア221の間に配置され得る。前記第2先行変速スリーブ222は、前記第2先行変速ギア221のうちいずれか一つに噛み合うことによって、噛み合い状態となり得る。前記第2先行変速スリーブ222は、前記第2先行変速ギア221のすべてから離隔することによって、ニュートラル状態となり得る。前記第2先行変速スリーブ222は、前記第2先行変速軸223に結合され得る。これに伴い、前記第2先行変速スリーブ222が前記第2先行変速ギア221のうちいずれか一つに噛み合うと、前記第2先行変速スリーブ222は、回転しながら前記第2先行変速軸223を回転させることができる。前記第2先行変速スリーブ222が前記第2先行変速ギア221のすべてから離隔すると、前記第2先行変速ギア221が回転しても前記第2先行変速スリーブ222および前記第2先行変速軸223は回転しない。前記第2先行変速スリーブ222は、シンクロナイザースリーブであり得る。
【0035】
前記先行変速部2が遂行可能な変速段数によって、前記第2先行変速機構22は、前記第2先行変速スリーブ222を複数個含んでもよい。この場合、前記第2先行変速スリーブ222は、それぞれ両側に配置された第2先行変速ギア221に選択的に噛み合われ得る。前記第2先行変速スリーブ222は、それぞれ一側に配置された第2先行変速ギア221に選択的に噛み合われ得る。前記第2先行変速スリーブ222が複数個備えられた場合、前記第2先行変速スリーブ222は、個別的に移動され得る。
【0036】
図2および
図3を参照すると、前記先行変速部2は、先行変速入力機構23を含むことができる。
【0037】
前記先行変速入力機構23は、前記エンジン10から伝達された駆動を前記第1先行変速機構21および前記第2先行変速機構22それぞれに伝達するものである。前記第1先行変速機構21および前記第2先行変速機構22は、それぞれ前記先行変速入力機構23に連結されることによって、前記先行変速入力機構23を通じて前記エンジン10に連結され得る。
【0038】
前記先行変速入力機構23は、複数個の先行変速入力ギア231を含むことができる。
【0039】
前記先行変速入力ギア231は、前記第1先行変速ギア211および前記第2先行変速ギア221それぞれに噛み合われ得る。これに伴い、前記先行変速入力ギア231は、前記エンジン10から伝達された駆動によって回転しながら前記第1先行変速ギア211および前記第2先行変速ギア221を回転させることができる。前記先行変速入力ギア231は、先行変速入力軸232に結合され得る。前記先行変速入力軸232は、前記エンジン10から伝達された駆動によって回転しながら前記先行変速入力ギア231を回転させることができる。前記先行変速入力軸232は、前記第1軸方向(X軸方向)に対して平行に配置され得る。前記先行変速入力ギア231は、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔するように配置され得る。
【0040】
前記先行変速入力ギア231は、互いに異なる直径で形成され得る。これに伴い、前記先行変速入力ギア231から前記第1先行変速ギア211および前記第2先行変速ギア221に駆動が伝達される過程で変速がなされ得る。
【0041】
前記先行変速入力ギア231それぞれは、一側に前記第1先行変速ギア211のうちいずれか一つが噛み合うとともに、他側に前記第2先行変速ギア221のうちいずれか一つが噛み合われ得る。これに伴い、前記先行変速入力ギア231は、前記第1先行変速ギア211および前記第2先行変速ギア221を同時に回転させることができる。
【0042】
図2および
図3を参照すると、前記クラッチ部3は、前記先行変速部2から伝達された駆動を選択的に出力するように前記先行変速部2に連結されたものである。前記クラッチ部3は、前記調節部4に連結され得る。前記クラッチ部3は、前記先行変速部2から伝達された駆動を前記調節部4に選択的に出力することができる。
【0043】
前記クラッチ部3は、第1クラッチ機構31、および第2クラッチ機構32を含むことができる。
【0044】
前記第1クラッチ機構31は、前記第1先行変速機構21から伝達された駆動を選択的に出力するように前記第1先行変速機構21に連結されたものである。前記第1クラッチ機構31は、前記第1先行変速スリーブ212が前記第1先行変速ギア211のうちいずれか一つに噛み合った状態で、前記第1先行変速機構21から伝達された駆動を選択的に出力することができる。前記第1クラッチ機構31は、前記調節部4に連結され得る。前記第1クラッチ機構31は、前記第1先行変速機構21から伝達された駆動を前記調節部4に選択的に出力することができる。前記第1クラッチ機構31は、摩擦を利用して駆動を選択的に出力する多板クラッチ(Multiple Disk Clutch)で具現され得る。
【0045】
前記第1クラッチ機構31は、複数個の第1摩擦部材311、および複数個の第2摩擦部材312を含むことができる。
【0046】
前記第1摩擦部材311は、前記第1先行変速軸213に結合され得る。これに伴い、前記第1摩擦部材311は、前記第1先行変速軸213が回転することによって共に回転することができる。前記第1摩擦部材311は、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔するように配置され得る。
【0047】
前記第2摩擦部材312は、前記第1摩擦部材311に選択的に接触され得る。前記第2摩擦部材312は、前記調節部4に結合され得る。前記第2摩擦部材312が前記第1摩擦部材311に接触すると、前記第2摩擦部材312は、前記第1摩擦部材311が回転することによって共に回転することができる。これに伴い、前記第1先行変速機構21から伝達された駆動は、前記第1摩擦部材311および前記第2摩擦部材312を通じて前記調節部4に出力され得る。前記第2摩擦部材312が前記第1摩擦部材311から離隔すると、前記第1摩擦部材311が回転しても前記第2摩擦部材312は回転しない。これに伴い、前記第1先行変速機構21から伝達された駆動は、前記調節部4に出力されない。
【0048】
このように、前記第1クラッチ機構31は、前記第1摩擦部材311と前記第2摩擦部材312の接触の有無によって前記第1先行変速軸213から伝達された駆動を選択的に出力することができる。前記第1クラッチ機構31は、オイル(Oil)などのような作動流体を利用して前記第2摩擦部材312を前記第1摩擦部材311に選択的に接触させることができる。前記第1クラッチ機構31は、前記農業用作業車両の速度などによって作動流体を供給または排出することによって、前記第2摩擦部材312を前記第1摩擦部材311に選択的に接触させることができる。前記第1クラッチ機構31は、運転者の変速操作によって作動流体を供給または排出することによって、前記第2摩擦部材312を前記第1摩擦部材311に選択的に接触させてもよい。
【0049】
前記第2クラッチ機構32は、前記第2先行変速機構22から伝達された駆動を選択的に出力するように前記第2先行変速機構22に連結されたものである。前記第2クラッチ機構32は、前記第2先行変速スリーブ222が前記第2先行変速ギア221のうちいずれか一つに噛み合った状態で前記第2先行変速機構22から伝達された駆動を選択的に出力することができる。これに伴い、前記第1先行変速スリーブ212が前記第1先行変速ギア211のうちいずれか一つに噛み合われるとともに、前記第2先行変速スリーブ222が前記第2先行変速ギア221のうちいずれか一つに噛み合われた状態でも、前記第1クラッチ機構31および前記第2クラッチ機構32は、それぞれ選択的に駆動を出力することができる。前記第1クラッチ機構31が駆動を出力するように動作する場合、前記第2クラッチ機構32は、駆動を出力しないように動作する。この場合、前記第1クラッチ機構31が、駆動の出力経路となる。前記第2クラッチ機構32が駆動を出力するように動作する場合、前記第1クラッチ機構31は、駆動を出力しないように動作する。この場合、前記第2クラッチ機構32が、駆動の出力経路となる。
【0050】
したがって、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記第1先行変速スリーブ212および前記第2先行変速スリーブ222がいずれも噛み合い状態である場合にも、前記第1クラッチ機構31および前記第2クラッチ機構32を利用して駆動の出力経路を変更することによって変速を遂行することができる。すなわち、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記第1先行変速スリーブ212および前記第2先行変速スリーブ222がいずれもニュートラル状態となる過程を経ずとも、変速を遂行することができる。これに伴い、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、変速過程で発生する揺れ、衝撃などを減らし得るため、運転者に安定した運転環境を提供するのに寄与することができる。
【0051】
前記第2クラッチ機構32は、前記調節部4に連結され得る。前記第2クラッチ機構32は、前記第2先行変速機構22から伝達された駆動を前記調節部4に選択的に出力することができる。前記第2クラッチ機構32は、摩擦を利用して駆動を選択的に出力する多板クラッチで具現され得る。
【0052】
前記第2クラッチ機構32は、複数個の第3摩擦部材321、および複数個の第4摩擦部材322を含むことができる。
【0053】
前記第3摩擦部材321は、前記第2先行変速軸223に結合され得る。これに伴い、前記第3摩擦部材321は、前記第2先行変速軸223が回転することによって共に回転することができる。前記第3摩擦部材321は、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔するように配置され得る。
【0054】
前記第4摩擦部材322は、前記第3摩擦部材321に選択的に接触され得る。前記第4摩擦部材322は、前記調節部4に結合され得る。前記第4摩擦部材322が前記第3摩擦部材321に接触すると、前記第4摩擦部材322は、前記第3摩擦部材321が回転することによって共に回転することができる。これに伴い、前記第2先行変速機構22から伝達された駆動は、前記第3摩擦部材321および前記第4摩擦部材322を通じて前記調節部4に出力され得る。前記第4摩擦部材322が前記第3摩擦部材321から離隔すると、前記第3摩擦部材321が回転しても前記第4摩擦部材322は回転しない。これに伴い、前記第2先行変速機構22から伝達された駆動は、前記調節部4に出力されない。
【0055】
このように、前記第2クラッチ機構32は、前記第3摩擦部材321と前記第4摩擦部材322の接触の有無によって前記第2先行変速軸223から伝達された駆動を選択的に出力することができる。前記第2クラッチ機構32は、オイル(Oil)などのような作動流体を利用して前記第4摩擦部材322を前記第3摩擦部材321に選択的に接触させることができる。前記第2クラッチ機構32は、前記農業用作業車両の速度などによって作動流体を供給または排出することによって、前記第4摩擦部材322を前記第3摩擦部材321に選択的に接触させることができる。前記第2クラッチ機構32は、運転者の変速操作によって作動流体を供給または排出することによって、前記第4摩擦部材322を前記第3摩擦部材321に選択的に接触させてもよい。
【0056】
図3および
図5を参照すると、前記クラッチ部3は、駆動の伝達順序を基準として前記先行変速部2の後段に配置されるとともに、前記調節部4の前段に配置され得る。この場合、前記クラッチ部3、前記先行変速部2、および前記調節部4は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として次の通り配置され得る。
【0057】
まず、
図3に図示された通り、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記クラッチ部3が、前記先行変速部2と前記調節部4の間に配置され得る。この場合、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第1クラッチ機構31は、前記第1先行変速機構21と前記調節部4の間に配置され得る。前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第2クラッチ機構32は、前記第2先行変速機構22と前記調節部4の間に配置され得る。
【0058】
次に、
図5に図示された通り、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記先行変速部2が、前記クラッチ部3と前記調節部4の間に配置され得る。この場合、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第1先行変速機構21は、前記第1クラッチ機構31と前記調節部4の間に配置され得る。前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第1先行変速機構21が前記第1クラッチ機構31と前記調節部4の間に配置された場合、前記第1先行変速軸213には、第1通過孔213aが形成され得る。前記第1通過孔213aは、前記第1先行変速軸213を貫通して形成され得る。前記第1クラッチ機構31は、前記第1通過孔213aを利用して前記調節部4に連結され得る。前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第2先行変速機構22は、前記第2クラッチ機構32と前記調節部4の間に配置され得る。前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第2先行変速機構22が前記第2クラッチ機構32と前記調節部4の間に配置された場合、前記第2先行変速軸223には、第2通過孔223aが形成され得る。前記第2通過孔223aは、前記第2先行変速軸223を貫通して形成され得る。前記第2クラッチ機構32は、前記第2通過孔223aを利用して前記調節部4に連結され得る。
【0059】
図2~
図5を参照すると、前記クラッチ部3は、前記先行変速部2により変速がなされることによって、減速された駆動を選択的に出力するように前記先行変速部2に連結され得る。すなわち、駆動の伝達順序を基準として、前記クラッチ部3が、前記先行変速部2の後段に配置される。このような実施形態は、駆動の伝達順序を基準として前記クラッチ部3が前記先行変速部2の前段に配置された比較例と対比する時、次のような作用効果を図ることができる。
【0060】
まず、駆動の伝達順序を基準として、比較例は、前記クラッチ部3が前記先行変速部2の前段に配置されるため、前記クラッチ部3から伝達された駆動に対して前記先行変速部2が変速を遂行する。これに伴い、比較例は、前記先行変速部2により減速されていない駆動を前記クラッチ部3が選択的に出力するように具現される。
【0061】
次に、駆動の伝達順序を基準として、実施形態は、前記クラッチ部3が前記先行変速部2の後段に配置されるため、前記先行変速部2により減速された駆動を前記クラッチ部3が選択的に出力するように具現される。これに伴い、実施形態は、比較例と対比する時、前記クラッチ部3がさらに遅い速度で回転しながら駆動を選択的に出力するように具現される。したがって、実施形態は、比較例と対比する時、遠心油圧を減らし得る。また、実施形態は、比較例と対比する時、前記クラッチ部3が駆動を出力しない場合に前記クラッチ部3に発生するドラッグトルク(Drag Torque)を減らし得るだけでなく、前記クラッチ部3に発生する発熱を低減させることによって変速効率を向上させることができる。
【0062】
図2~
図4を参照すると、前記先行変速部2および前記クラッチ部3は、8段変速を遂行するように具現され得る。この場合、前記第1先行変速機構21、前記第2先行変速機構22、前記先行変速入力機構23、前記第1クラッチ機構31、および前記第2クラッチ機構32は、次のように具現され得る。
【0063】
まず、前記第1先行変速機構21は、1段に該当する第1先行変速ギア211a[以下、「第1段ギア211a」という。]、3段に該当する第1先行変速ギア211b[以下、「第3段ギア211b」という。]、5段に該当する第1先行変速ギア211c[以下、「第5段ギア211c」という。]、7段に該当する第1先行変速ギア211d[以下、「第7段ギア211d」という。]、前記第1段ギア211aと前記第3段ギア211bに選択的に噛み合う第1先行変速スリーブ212a[以下、「第1低段スリーブ212a」という。]、および前記第5段ギア211cと前記第7段ギア211dに選択的に噛み合う第1先行変速スリーブ212b[以下、「第1高段スリーブ212b」という。]を含むことができる。直径が大きいものから小さいものの順序で整列すると、前記第1段ギア211a、前記第3段ギア211b、前記第5段ギア211c、および前記第7段ギア211dの順序であり得る。前記第1段ギア211a、前記第3段ギア211b、前記第5段ギア211c、および前記第7段ギア211dは、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔して前記第1先行変速軸213に空回り可能に結合され得る。前記第1低段スリーブ212aおよび前記第1高段スリーブ212bは、前記第1先行変速軸213と共に回転するように前記第1先行変速軸213に結合され得る。
【0064】
次に、前記第2先行変速機構22は、2段に該当する第2先行変速ギア221a[以下、「第2段ギア221a」という。]、4段に該当する第2先行変速ギア221b[以下、「第4段ギア221b」という。]、6段に該当する第2先行変速ギア221c[以下、「第6段ギア221c」という。]、8段に該当する第2先行変速ギア221d[以下、「第8段ギア221d」という。]、前記第2段ギア221aと前記第4段ギア221bに選択的に噛み合う第2先行変速スリーブ222a[以下、「第2低段スリーブ222a」という。]、および前記第6段ギア221cと前記第8段ギア221dに選択的に噛み合う第2先行変速スリーブ222b[以下、「第2高段スリーブ222b」という。]を含むことができる。直径が大きいものから小さいものの順序で整列すると、前記第2段ギア221a、前記第4段ギア221b、前記第6段ギア221c、および前記第8段ギア221dの順序であり得る。前記第2段ギア221a、前記第4段ギア221b、前記第6段ギア221c、および前記第8段ギア221dは、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔して前記第2先行変速軸223に空回り可能に結合され得る。前記第2低段スリーブ222aおよび前記第2高段スリーブ222bは、前記第2先行変速軸223と共に回転するように前記第2先行変速軸223に結合され得る。前記第2低段スリーブ222a、前記第2高段スリーブ222b、前記第1低段スリーブ212a、および前記第1高段スリーブ212bは、それぞれ個別的に移動され得る。
【0065】
次に、前記先行変速入力機構23は、前記第1段ギア211aと前記第2段ギア221aそれぞれに噛み合った第1先行変速入力ギア231a、前記第3段ギア211bと前記第4段ギア221bそれぞれに噛み合った第2先行変速入力ギア231b、前記第5段ギア211cと前記第6段ギア221cそれぞれに噛み合った第3先行変速入力ギア231c、および前記第7段ギア211dと前記第8段ギア221dそれぞれに噛み合った第4先行変速入力ギア231dを含むことができる。直径が大きいものから小さいものの順序で整列すると、前記第4先行変速入力ギア231d、前記第3先行変速入力ギア231c、前記第2先行変速入力ギア231b、および前記第1先行変速入力ギア231aの順序であり得る。これに伴い、前記第1先行変速入力ギア231aから前記第1段ギア211aと前記第2段ギア221に駆動が伝達されながら最も大きく減速され得る。前記第4先行変速入力ギア231dから前記第7段ギア211dと前記第8段ギア221dに駆動が伝達されながら最も小さく減速され得る。前記第1先行変速入力ギア231a、前記第2先行変速入力ギア231b、前記第3先行変速入力ギア231c、および前記第4先行変速入力ギア231dは、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔するように配置され得る。前記第1先行変速入力ギア231a、前記第2先行変速入力ギア231b、前記第3先行変速入力ギア231c、および前記第4先行変速入力ギア231dは、前記先行変速入力軸232と共に回転するように前記先行変速入力軸232に結合され得る。
【0066】
次に、前記第1クラッチ機構31は、前記第1先行変速軸213に結合され得る。前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第1段ギア211aは、前記第1低段スリーブ212aおよび前記第1クラッチ機構31の間に配置され得る。
図5に図示されたような実施形態で具現された場合には、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第7段ギア211dが、前記第1クラッチ機構31および前記第1高段スリーブ212bの間に配置され得る。
【0067】
次に、前記第2クラッチ機構32は、前記第2先行変速軸223に結合され得る。前記第1軸方向(X軸方向)を基準として、前記第2段ギア221aは、前記第2低段スリーブ222aおよび前記第2クラッチ機構32の間に配置され得る。
図5に図示されたような実施形態で具現された場合には、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記第8段ギア221dが、前記第2クラッチ機構32および前記第2高段スリーブ222bの間に配置されてもよい。
【0068】
前述した通り、前記先行変速部2および前記クラッチ部3は、8段変速を遂行するように具現され得る。図示してはいないが、前記先行変速部2および前記クラッチ部3は、4段、6段などのように偶数個の段数で変速を遂行するように具現されてもよい。前記先行変速部2および前記クラッチ部3は、3段、5段、7段などのように奇数個の段数で変速を遂行するように具現されてもよい。
【0069】
図2~
図6を参照すると、前記調節部4は、前記クラッチ部3および前記後行変速部5それぞれに連結されたものである。前記調節部4は、前記クラッチ部3から伝達された駆動を前記後行変速部5に伝達することができる。
【0070】
前記調節部4は、第1調節機構41、第2調節機構42、および統合機構43を含むことができる。
【0071】
前記第1調節機構41は、前記第1クラッチ機構31に連結されたものである。前記第1調節機構41は、前記第1クラッチ機構31および前記統合機構43それぞれに連結され得る。これに伴い、前記第1調節機構41は、前記第1クラッチ機構31から伝達された駆動を前記統合機構43に伝達することができる。
【0072】
前記第1調節機構41は、第1調節ギア411を含むことができる。
【0073】
前記第1調節ギア411は、前記第1クラッチ機構31から伝達された駆動で回転するものである。前記第1調節ギア411は、前記統合機構43に連結され得る。これに伴い、前記第1調節ギア411は、前記第1クラッチ機構31から伝達された駆動を前記統合機構43に伝達することができる。
【0074】
前記第1調節ギア411は、第1調節軸410に結合され得る。前記第1調節軸410は、前記第1クラッチ機構31に結合されたものである。前記第1クラッチ機構31が前記第1先行変速機構21から伝達された駆動を出力する場合、前記第1調節軸410は、前記第1クラッチ機構31から伝達された駆動によって回転しながら前記第1調節ギア411を回転させることができる。前記第1調節軸410は、前記第1軸方向(X軸方向)に対して平行に配置され得る。
【0075】
前記第2調節機構42は、前記第2クラッチ機構32に連結されたものである。前記第2調節機構42は、前記第2クラッチ機構32および前記統合機構43それぞれに連結され得る。これに伴い、前記第2調節機構42は、前記第2クラッチ機構32から伝達された駆動を前記統合機構43に伝達することができる。
【0076】
前記第2調節機構42は、第2調節ギア421を含むことができる。
【0077】
前記第2調節ギア421は、前記第2クラッチ機構32から伝達された駆動で回転するものである。前記第2調節ギア421は、前記統合機構43に連結され得る。これに伴い、前記第2調節ギア421は、前記第2クラッチ機構32から伝達された駆動を前記統合機構43に伝達することができる。
【0078】
前記第2調節ギア421は、第2調節軸420に結合され得る。前記第2調節軸420は、前記第2クラッチ機構32に結合されたものである。前記第2クラッチ機構32が前記第2先行変速機構22から伝達された駆動を出力する場合、前記第2調節軸420は、前記第2クラッチ機構32から伝達された駆動によって回転しながら前記第2調節ギア421を回転させることができる。前記第2調節軸420は、前記第1軸方向(X軸方向)に対して平行に配置され得る。
【0079】
前記統合機構43は、前記第1調節機構41と前記第2調節機構42の双方に連結されたものである。前記統合機構43は、前記後行変速部5に連結され得る。これに伴い、前記第1クラッチ機構31が駆動を出力するように動作する場合、前記第1先行変速機構21によって変速された駆動は、前記第1クラッチ機構31、前記第1調節機構41、および前記統合機構43を経て前記後行変速部5に伝達され得る。前記第2クラッチ機構32が駆動を出力するように動作する場合、前記第2先行変速機構22によって変速された駆動は、前記第2クラッチ機構32、前記第2調節機構42、および前記統合機構43を経て前記後行変速部5に伝達され得る。
【0080】
前記統合機構43は、第1ギア比(Gear Ratio)を利用して変速を遂行するように前記第1調節機構41に連結されるとともに、前記第1ギア比と異なる第2ギア比を利用して変速を遂行するように前記第2調節機構42に連結され得る。これに伴い、前記第1先行変速機構21と前記第2先行変速機構22が互いに同一の変速比率で変速を遂行するように具現されても、前記統合機構43は、前記第1調節ギア411と前記第2調節ギア421のうち、いずれから駆動が伝達されるかによって異なる速度の駆動を出力することができる。したがって、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記第1先行変速機構21および前記第2先行変速機構22が互いに同一に具現されても、前記第1調節機構41および前記第2調節機構42のうち、いずれのものを通じて前記統合機構43に駆動が伝達されるかによって異なる速度の駆動が出力されるように具現され得る。これに伴い、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記第1先行変速機構21および前記第2先行変速機構22を共用化乃至モジュール化することができる。したがって、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記第1先行変速機構21および前記第2先行変速機構22に対する製造の容易性を向上させることができ、製造単価の削減に寄与することができる。
【0081】
前記第1先行変速機構21と前記第2先行変速機構22が互いに同一の変速比率で変速を遂行するように互いに同一に具現される場合、前記先行変速入力ギア231それぞれの一側と他側に噛み合った第1先行変速ギア211と第2先行変速ギア221は、互いに同一の変速比率で変速を遂行するように互いに同一に形成され得る。例えば、前記第1段ギア211aと前記第1先行変速入力ギア231a間の変速比率と前記第2段ギア221aと前記第1先行変速入力ギア231a間の変速比率が、同一に具現され得る。前記第3段ギア211bと前記第2先行変速入力ギア231b間の変速比率と、前記第4段ギア221bと前記第2先行変速入力ギア231b間の変速比率が、同一に具現され得る。前記第5段ギア211cと前記第3先行変速入力ギア231c間の変速比率と、前記第6段ギア221cと前記第3先行変速入力ギア231c間の変速比率が、同一に具現され得る。前記第7段ギア211dと前記第4先行変速入力ギア231d間の変速比率と、前記第8段ギア221dと前記第4先行変速入力ギア231d間の変速比率が、同一に具現され得る。前記第1段ギア211aと前記第2段ギア221a、前記第3段ギア211bと前記第4段ギア221b、前記第5段ギア211cと前記第6段ギア221c、および前記第7段ギア211dと前記第8段ギア221dはそれぞれ互いに同一に形成され得る。
【0082】
前記統合機構43は第1統合ギア431を含むことができる。
【0083】
前記第1統合ギア431は、前記第1調節ギア411と前記第2調節ギア421それぞれに噛み合われ得る。前記第1調節ギア411で前記第1統合ギア431に駆動が伝達される過程で、前記第1ギア比で変速が遂行され得る。前記第2調節ギア421から前記第1統合ギア431に駆動が伝達される過程で、前記第2ギア比で変速が遂行され得る。前記第1統合ギア431は、統合軸430に結合され得る。前記第1調節ギア411または前記第2調節ギア421から前記第1統合ギア431に駆動が伝達されると、前記第1統合ギア431は、回転しながら前記統合軸430を回転させることができる。これに伴い、前記第1ギア比または前記第2ギア比で変速された駆動は、前記統合軸430を通じて出力され得る。前記統合軸430は、前記第1軸方向(X軸方向)に対して平行に配置され得る。
【0084】
図2~
図8を参照すると、前記後行変速部5は、前記調節部4から伝達された駆動に対して変速を遂行するものである。前記後行変速部5は、分配ギア20に連結され得る。前記後行変速部5は、前記分配ギア20に直接連結されてもよく、第2変速部(図示されず)を通じて前記分配ギア20に連結されてもよい。前記後行変速部5は、主変速部または副変速部として具現され得る。以下では、前記後行変速部5が副変速部として具現された実施形態を例にあげて説明する。
【0085】
前記後行変速部5は、一つの後行変速機構51を含むことができる。
【0086】
前記後行変速機構51は、前記統合機構43を通じて前記第1調節機構41と前記第2調節機構42の双方に連結され得る。これに伴い、前記第1クラッチ機構31が駆動を出力するように動作する場合、前記後行変速機構51は、前記第1先行変速機構21によって変速された駆動を前記第1クラッチ機構31、前記第1調節軸410、前記第1調節ギア411、前記第1統合ギア431、および前記統合軸430を通じて伝達を受けて追加的な変速を遂行することができる。前記第2クラッチ機構32が駆動を出力する場合、前記後行変速機構51は、前記第2先行変速機構22によって変速された駆動を前記第2クラッチ機構32、前記第2調節軸420、前記第2調節ギア421、前記第1統合ギア431、および前記統合軸430を通じて伝達を受けて追加的な変速を遂行することができる。すなわち、前記後行変速機構51は、前記クラッチ部3の動作により前記第1先行変速機構21によって変速された駆動および前記第2先行変速機構22によって変速された駆動を選択的に伝達を受けて追加的な変速を遂行することができる。
【0087】
したがって、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記第1先行変速機構21によって変速された駆動および前記第2先行変速機構22によって変速された駆動に対して一つの前記後行変速機構51を利用して追加的な変速を遂行できるように具現される。これに伴い、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記後行変速部5が複数個の後行変速機構を具備した比較例と対比する時、前記後行変速部5に対する製造の容易性を向上させることができ、前記後行変速部5に対する材料費を削減できるため、前記後行変速部5に対する製造単価を低くすることができる。
【0088】
また、駆動の伝達順序を基準として駆動が後行に伝達されるほどアールピーエム(RPM)が減少するとともに、トルク(Torque)が増加するため、前記後行変速部5には、前記先行変速部2に比べてより大きな大きさのトルクを有する駆動が伝達される。これに伴い、前記後行変速部5が有するギアの厚さ、ギアの剛性などに対する確保が必要であるため、材料費が上昇することになる。この場合、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記後行変速部5が一つの前記後行変速機構51を利用して追加的な変速を遂行するように具現される。したがって、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記先行変速部2が一つの先行変速機構を具備し前記後行変速部5が複数個の後行変速機構を具備した比較例と対比する時、全体としてより安価の材料費で具現され得るため、全体としてさらに低い製造単価で具現され得る。
【0089】
前記後行変速機構51は、後行入力軸510を含むことができる。前記後行入力軸510は、前記調節部4に連結され得る。前記後行変速機構51は、前記後行入力軸510と前記統合軸430を通じて前記調節部4に直接連結され得る。この場合、前記後行入力軸510は、前記統合軸430に連結され得る。前記後行入力軸510は、前記統合軸430に直接結合されてもよい。前記後行変速機構51は、前記後行入力軸510と前記統合軸430を通じて前記統合機構43から駆動が伝達され得る。前記後行入力軸510は、前記第1軸方向(X軸方向)に対して平行に配置され得る。
【0090】
ここで、前記後行変速機構51は、多様な実施形態で具現され得る。このような実施形態について、添付された図面を参照して順次説明する。
【0091】
<第1実施形態に係る後行変速機構51>
【0092】
図7を参照すると、第1実施形態に係る後行変速機構51は、複数個の後行変速ギア511、後行変速部材512、複数個の後行伝達ギア513、および後行出力軸514を含むことができる。
【0093】
前記後行変速ギア511は、前記後行入力軸510に空回り可能に結合されたものである。前記後行変速ギア511は、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔するように配置され得る。前記後行変速ギア511と前記後行入力軸510の間には、ベアリング(図示されず)が配置され得る。前記後行変速ギア511は、互いに異なる直径で形成され得る。
【0094】
前記後行変速部材512は、前記後行変速ギア511に選択的に連結されるものである。前記後行変速部材512は、スリーブまたは油圧クラッチで具現され得る。以下では、
図7、
図8、
図11、
図12に図示された通り、前記後行変速部材512がスリーブで具現された実施形態を基準として説明するが、これから前記後行変速部材512が油圧クラッチで具現された実施形態を導き出すことは、本発明が属する技術分野の当業者に自明であろう。前記後行変速部材512は、前記第1軸方向(X軸方向)を基準として前記後行変速ギア511の間に配置され得る。前記後行変速部材512は、前記後行変速ギア511のうちいずれか一つに噛み合うことによって、噛み合い状態となり得る。前記後行変速部材512は、前記後行変速部材511のすべてから離隔することによって、ニュートラル状態となり得る。前記後行変速部材512は前記後行入力軸510に結合され得る。
【0095】
前記後行伝達ギア513は、前記後行変速ギア511それぞれに噛み合ったものである。前記後行伝達ギア513は、前記後行出力軸514に結合され得る。前記後行伝達ギア513は、前記第1軸方向(X軸方向)に沿って互いに離隔するように配置され得る。前記後行伝達ギア513は、互いに異なる直径で形成され得る。
【0096】
前記後行出力軸514は、前記第1軸方向(X軸方向)に対して平行に前記後行入力軸510から離隔して配置されたものである。前記後行出力軸514には、前記後行伝達ギア513が結合され得る。前記後行出力軸514には、前記分配ギア20が連結され得る。前記後行変速部材512が前記後行変速ギア511のうちいずれか一つに噛み合うと、前記統合軸430を通じて伝達された駆動は、前記後行入力軸510、前記後行変速部材512、前記後行変速ギア511のうちいずれか一つ、前記後行伝達ギア513のうちいずれか一つ、および前記後行出力軸514を経て前記分配ギア20に伝達され得る。
【0097】
前記後行変速機構51が2段で変速を遂行する場合、前記後行変速機構51は、前記後行変速部材512の両側に配置された第1後行変速ギア511aと第2後行変速ギア511b、前記第1後行変速ギア511aに噛み合った第1後行伝達ギア513a、および前記第2後行変速ギア511bに噛み合った第2後行伝達ギア513bを含むことができる。
【0098】
前記後行変速部材512が前記第1後行変速ギア511aに噛み合うと、前記統合軸430を通じて伝達された駆動は、前記後行入力軸510、前記後行変速部材512、前記第1後行変速ギア511a、前記第1後行伝達ギア513a、および前記後行出力軸514を経て前記分配ギア20に伝達され得る。
【0099】
前記後行変速部材512が前記第2後行変速ギア511bに噛み合うと、前記統合軸430を通じて伝達された駆動は、前記後行入力軸510、前記後行変速部材512、前記第2後行変速ギア511b、前記第2後行伝達ギア513b、および前記後行出力軸514を経て前記分配ギア20に伝達され得る。
【0100】
図示してはいないが、第1実施形態に係る後行変速機構51は、3段以上で変速を遂行するように具現されてもよい。
【0101】
<第2実施形態に係る後行変速機構51>
【0102】
図8を参照すると、第2実施形態に係る後行変速機構51は、前述した第1実施形態と対比する時、前記後行変速ギア511と前記後行変速部材512が前記後行出力軸514に結合され、前記後行伝達ギア513が前記後行入力軸510に結合された点で差がある。
【0103】
前記後行変速ギア511は、前記後行出力軸514に空回り可能に結合され得る。前記後行変速部材512は、前記後行変速ギア511に選択的に連結可能なように前記後行出力軸514に結合され得る。
【0104】
前記後行伝達ギア513は、前記後行変速ギア511それぞれに噛み合われ得る。前記後行伝達ギア513は、前記後行入力軸510に結合され得る。前記統合軸430を通じて伝達された駆動は、前記後行入力軸510を通じて前記後行伝達ギア513に伝達された後に前記後行伝達ギア513から前記後行変速ギア511に伝達され得る。この場合、前記後行変速部材512が前記後行変速ギア511のうちいずれか一つに噛み合うと、前記後行変速部材512は、回転しながら前記後行出力軸514を通じて前記分配ギア20に駆動を伝達することができる。前記後行伝達ギア513は、互いに異なる直径で形成され得る。
【0105】
前記後行変速機構51が2段で変速を遂行する場合、前記後行変速機構51は、前記後行変速部材512の両側に配置された第1後行変速ギア511aと第2後行変速ギア511b、前記第1後行変速ギア511aに噛み合った第1後行伝達ギア513a、および前記第2後行変速ギア511bに噛み合った第2後行伝達ギア513bを含むことができる。
【0106】
前記後行変速部材512が前記第1後行変速ギア511aに噛み合うと、前記統合軸430を通じて伝達された駆動は、前記後行入力軸510、前記第1後行伝達ギア513a、前記第1後行変速ギア511a、前記後行変速部材512、および前記後行出力軸514を経て前記分配ギア20に伝達され得る。
【0107】
前記後行変速部材512が前記第2後行変速ギア511bに噛み合うと、前記統合軸430を通じて伝達された駆動は、前記後行入力軸510、前記第2後行伝達ギア513b、前記第2後行変速ギア511b、前記後行変速部材512、および前記後行出力軸514を経て前記分配ギア20に伝達され得る。
【0108】
前述した通り、第1実施形態に係る後行変速機構51と第2実施形態に係る後行変速機構52において、前記後行変速ギア511は、前記後行入力軸510と前記後行出力軸514のうちいずれか一つの軸に空回り可能に結合され、前記後行変速部材512は、前記後行入力軸510と前記後行出力軸514のうち前記後行変速ギア511が結合された軸に結合され、前記後行伝達ギア513は、前記後行入力軸510と前記後行出力軸514のうち前記後行変速ギア511が結合された軸を除いた残りの軸に結合され得る。図示してはいないが、第2実施形態に係る後行変速機構51は、3段以上で変速を遂行するように具現されてもよい。
【0109】
図9~
図12を参照すると、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1において、前記統合機構43は、前記第1統合ギア431と前記統合軸430に追加的に第2統合ギア432を含むことができる。
【0110】
前記第1統合ギア431は、前記第1ギア比を利用して変速を遂行するように前記第1調節機構41に連結されたものである。前記第1統合ギア431は、前記統合軸430に結合され得る。前記第1統合ギア431は、前記第1調節ギア411に噛み合われ得る。前記第1クラッチ機構31が駆動を出力するように動作する場合、前記第1調節ギア411と前記第1統合ギア431を経ながら変速された駆動が、前記統合軸430を通じて前記後行変速部5に伝達され得る。
【0111】
前記第2統合ギア432は、前記第2ギア比を利用して変速を遂行するように前記第2調節機構42に連結されたものである。前記第2統合ギア432は、前記統合軸430に結合され得る。前記第2統合ギア432は前記第2調節ギア421に噛み合われ得る。前記第2クラッチ機構32が駆動を出力するように動作する場合、前記第2調節ギア421と前記第2統合ギア432を経ながら変速された駆動が、前記統合軸430を通じて前記後行変速部5に伝達され得る。
【0112】
前記第2統合ギア432と前記第1統合ギア431は、互いに離隔した位置に配置され得る。前記第2統合ギア432と前記第1統合ギア431は、互いに異なる直径で形成され得る。この場合、前記第2調節ギア421と前記第1調節ギア411が、互いに異なる直径で形成され得る。
【0113】
前記統合軸430は、前記第1統合ギア431と前記第2統合ギア432のうちいずれか一つから伝達された駆動で回転するものである。前記統合軸430には、前記第1統合ギア431と前記第2統合ギア432が結合され得る。前記統合軸430は、前記後行変速部5に連結され得る。
【0114】
このように前記統合機構43が前記第1統合ギア431と前記統合軸430に追加的に第2統合ギア432を含むように具現されることによって、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、次のような作用効果を図ることができる。
【0115】
本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記第1調節ギア411と前記第2調節ギア412に対しても共用化乃至モジュール化を適用することが可能であるため、共用化乃至モジュール化の具現が可能な範囲を増やすことができる。この場合、前記第1調節ギア411と前記第2調節ギア421は、互いに同一の直径を有するように形成され得る。これに伴い、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、組立の便宜性をさらに向上させることができ、材料費の節減を通じて製造単価をさらに低くすることができる。一方、前記第1調節ギア411と前記第2調節ギア412が互いに同一の直径を有するように形成された場合、前記第1ギア比と前記第2ギア比間の差は、前記第1統合ギア431と前記第2統合ギア432間の直径の差を通じて具現され得る。
【0116】
本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記第1調節ギア411、前記第2調節ギア412、前記第1統合ギア431、および前記第2統合ギア432の直径の調節を通じて、前記統合軸430を変速機ケース(図示されず)の中央に配置することが可能である。この場合、
図13に図示された通り、前記第1調節ギア411の直径と前記第1統合ギア431の直径を足した第1直径値、および前記第2調節ギア421の直径と前記第2統合ギア432の直径を足した第2直径値は、互いに同一に具現され得る。これに伴い、前記第1調節軸410と前記統合軸430間の第1距離、および前記第2調節軸420と前記統合軸430間の第2距離は、互いに同一に具現され得る。したがって、前記第1先行変速機構21、前記第2先行変速機構22、前記第1クラッチ機構31、前記第2クラッチ機構32、前記第1調節機構41、前記第2調節機構42、および前記統合機構43が、前記変速機ケースの内部で全体的なバランスを向上させ得る配置で具現され得る。これに伴い、本発明に係る農業用作業車両の変速装置1は、変速を具現するための全体的なレイアウトのバランスを向上させることができる。前記第1距離と前記第2距離それぞれは、2個の軸を直線でつなぐ最短距離を意味し得る。
【0117】
図11に図示された通り、前記統合軸430は、前述した第1実施形態に係る後行変速機構51に連結され得る。
図12に図示された通り、前記統合軸430は、前述した第2実施形態に係る後行変速機構51に連結され得る。第1実施形態および第2実施形態に係る後行変速機構51は、前記後行入力軸510が前記統合軸430に直接結合されるように具現され得る。
【0118】
図14~
図17を参照すると、本発明の変形された実施形態に係る農業用作業車両の変速装置1は、伝達部6を含むことができる。前述した本発明に係る農業用作業車両の変速装置1において、前記調節部4が前記後行変速機構51に直接連結されるのとは異なり、本発明の変形された実施形態に係る農業用作業車両の変速装置1は、前記調節部4が前記伝達部6を通じて前記後行変速機構51に連結されるように具現され得る。
【0119】
前記伝達部6は、前記統合機構43と前記後行変速機構51それぞれに連結され得る。これに伴い、前記伝達部6は、前記統合機構43から駆動が伝達され得、前記後行変速機構51に駆動を伝達することができる。前記伝達部6は、前記後行入力軸510に連結されることによって、前記後行変速機構51に連結され得る。前記伝達部6は、前記統合軸430に連結されることによって、前記統合機構43に連結され得る。前記伝達部6は、前記統合機構43と前記後行変速機構51の間に配置され得る。
【0120】
前記伝達部6は、伝達出力ギア61、および伝達入力ギア62を含むことができる。
【0121】
前記伝達出力ギア61は、前記後行変速機構51に連結されたものである。前記伝達出力ギア61は、前記後行入力軸510に結合され得る。これに伴い、前記伝達出力ギア61は、前記後行入力軸510を通じて前記後行変速機構51に連結され得る。
【0122】
前記伝達入力ギア62は、前記統合機構43に連結されたものである。前記伝達入力ギア62は、前記統合軸430に結合され得る。これに伴い、前記伝達入力ギア62は、前記統合軸430を通じて前記統合機構43に連結され得る。したがって、前記伝達入力ギア62は、前記調節部4に連結され得る。前記伝達入力ギア61は、前記伝達出力ギア61に噛み合われ得る。これに伴い、前記統合軸430を通じて伝達された駆動は、前記伝達入力ギア62および前記伝達出力ギア61を経て前記後行入力軸510を通じて前記後行変速機構51に伝達され得る。前記伝達入力ギア56から前記伝達出力ギア61に駆動が伝達される過程で、前記伝達入力ギア56と前記伝達出力ギア61間のギア比を利用して追加的な変速が遂行されてもよい。この場合、前記伝達入力ギア56と前記伝達出力ギア61は、互いに異なる直径で形成され得る。
【0123】
前記伝達部6が備えられた場合、
図14および
図15に図示された通り、前記統合機構43は、前記統合軸430と前記第1統合ギア431のみを含む実施形態で具現され得る。この場合、前記伝達部6には、前述した第1実施形態に係る後行変速機構51または前述した第2実施形態に係る後行変速機構51が連結され得る。
【0124】
前記伝達部6が備えられた場合、
図16および
図17に図示された通り、前記統合機構43は、前記統合軸430、前記第1統合ギア431、および前記第2統合ギア432を含む実施形態で具現され得る。この場合、前記伝達部6には、前述した第1実施形態に係る後行変速機構51または前述した第2実施形態に係る後行変速機構51が連結され得る。
【0125】
以上で説明した本発明は前述した実施形態および添付された図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形および変更が可能であることが本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者において明白であろう。