(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】原子炉圧力容器管をライニングするスリーブを下端部から交換するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G21C 19/20 20060101AFI20230317BHJP
G21C 7/16 20060101ALI20230317BHJP
G21C 19/02 20060101ALI20230317BHJP
G21C 13/036 20060101ALI20230317BHJP
G21C 13/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
G21C19/20 110
G21C7/16 300
G21C19/02 050
G21C13/036
G21C13/00 120
(21)【出願番号】P 2022504504
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 US2019042805
(87)【国際公開番号】W WO2021015732
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】514228804
【氏名又は名称】フラマトム インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】メルチャー,ライアン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】バイエル,ジョセフ,ギャラガー
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー,ジェームス,アンドリュー
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-230167(JP,A)
【文献】特開2001-201588(JP,A)
【文献】米国特許第4284475(US,A)
【文献】仏国特許出願公開第2689297(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C19/00-19/50
G21C7/00-7/36
G21C13/00-13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器を通過する管をライニングする損傷したスリーブを交換する方法において、前記損傷したスリーブが、前記管内に前記損傷したスリーブを保定するために前記管の支持区分上に載るように構成された半径方向に拡大された端部部分を含む端部を有しており、該方法が、
前記管から前記損傷したスリーブを取外すステップと、
半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成の間で変形させられるように構成された半径方向に可変な端部を伴う第1のスリーブ、および設置構成と保定構成の間で変形させられるように構成されたリテーナを含む新しいスリーブアセンブリを提供するステップと、
前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部が、前記支持区分によって収容されるような形で前記管内に前記スリーブアセンブリを設置するステップであって、前記半径方向に可変な端部が、設置中は半径方向に収縮された構成にあり、前記スリーブアセンブリが前記管内に設置された後は前記半径方向に拡張された構成にある、ステップと、
前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部を前記半径方向に拡張された構成に保定するために、前記リテーナを前記設置構成から前記保定構成まで変形させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記スリーブアセンブリを設置する前記ステップが、前記半径方向に収縮された構成にある前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部を、前記管の第1の端部内に挿入するステップを含み、前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部が、設置後に前記管の第2の端部内で前記半径方向に拡張された構成にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記管の前記第1の端部が、前記管の下端部であり、前記管の前記第2の端部が、前記管の上端部である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リテーナが、前記管内への前記スリーブアセンブリの前記設置ステップ中、前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部内に保持される第2のスリーブである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のスリーブが、半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成の間で変形させられるように構成された半径方向に可変な端部を含み、前記第2のスリーブの前記半径方向に可変な端部が、前記設置構成において前記半径方向に収縮された構成にあり、前記保定構成において前記半径方向に拡張された構成にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部が、第1のスロットにより互いから円周方向に離隔された複数の第1のセグメントを含み、前記第2のスリーブの前記半径方向に可変な端部が、第2のスロットにより互いから円周方向に離隔された複数の第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントが、半径方向内向きおよび半径方向外向きに可撓性を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部を前記半径方向に拡張された構成に保定するために、前記リテーナを前記設置構成から前記保定構成まで変形させる前記ステップが、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントを噛合わせるステップを含んでいる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記円周方向に離隔された第1のセグメントの各々が、前記管内に前記スリーブアセンブリが設置された後、前記支持区分上に載っている半径方向外向きに延在する第1の突出部を含み、前記円周方向に離隔された第2のセグメントの各々が、前記管内に前記スリーブアセンブリが設置された後、前記支持区分上に載っている半径方向外向きに延在する第2の突出部を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の突出部が、前記第1のスロットにより互いから円周方向に離隔されており、前記第2の突出部が、前記第2のスロットにより互いから円周方向に離隔されており、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントを噛合わせる前記ステップには、前記第1の突出部の各々が前記第2のスロットのうちの1つの中に収容され前記第2の突出部の各々が前記第1のスロットのうちの1つの中に収容されるような形で前記第1のセグメントと前記第2のセグメントを整列させるステップが含まれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部を前記半径方向に拡張された構成に保定するために、前記リテーナを前記設置構成から前記保定構成まで変形させる前記ステップには、前記第2のセグメントを変形させて前記第2の突出部を互いから半径方向外向きに押しやるステップと、第2のスリーブを下向きに引張り、こうして前記第2の突出部の各々が、前記第1のスロットのうちの1つの中にあり、かつ前記第1および第2の突出部が互いに軸方向整列状態になるようにするステップとが含まれている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のセグメントの各々に、前記第2のセグメントから半径方向外向きに延在する突起が具備され、前記突起の各々が、前記管内に前記スリーブアセンブリを設置する前記ステップおよび前記リテーナを前記設置構成から前記保定構成へと変形させる前記ステップの間、前記第1のスロットのうちの1つの中に収容されている、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のスリーブが、前記半径方向に可変な端部の反対側である端部に漏斗を含み、前記漏斗が、前記管内に前記スリーブアセンブリを設置する前記ステップの間、前記第1のスリーブの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記管が、前記原子炉圧力容器のクロージャヘッドを通過する制御棒駆動機構ノズルであり、前記クロージャヘッドは、前記管内に前記スリーブアセンブリを設置する前記ステップ中、前記原子炉圧力容器の円筒形シェルから離隔されている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
原子炉圧力容器の制御棒駆動機構ノズル内に挿入するための制御棒駆動機構熱スリーブにおいて、
半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成の間で変形させられるように構成された半径方向に可変な端部であって、前記半径方向に拡張された構成においては前記制御棒駆動機構ノズル内に前記スリーブを保定するように構成されている半径方向に可変な端部、および
前記半径方向に可変な端部の反対側のさらなる端部であって、このさらなる端部の端縁部を画定する最大直径縁部を有する円錐台状部分を有する漏斗を含んでいる、さらなる端部、
を含む第1のスリーブと、
設置構成と保定構成の間で変形させられるように構成されたリテーナであって、前記保定構成において前記半径方向に拡張された構成に前記第1のスリーブを保定するように構成されているリテーナと、
を含む制御棒駆動機構熱スリーブ。
【請求項15】
前記リテーナが、前記設置構成および前記保定構成において前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部内に保持された第2のスリーブである、請求項14に記載の制御棒駆動機構熱スリーブ。
【請求項16】
前記第2のスリーブが、半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成との間で変形させられるように構成された半径方向に可変な端部を含み、前記第2のスリーブの前記半径方向に可変な端部が、前記設置構成において前記半径方向に収縮された構成にあり、前記保定構成において前記半径方向に拡張された構成にある、請求項15に記載の制御棒駆動機構熱スリーブ。
【請求項17】
前記第1のスリーブの前記半径方向に可変な端部が、第1のスロットにより互いから円周方向に離隔された複数の第1のセグメントを含み、前記第2のスリーブの前記半径方向に可変な端部が、第2のスロットにより互いから円周方向に離隔された複数の第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントが、半径方向内向きおよび半径方向外向きに可撓性を有する、請求項16に記載の制御棒駆動機構熱スリーブ。
【請求項18】
前記第1のセグメントおよび前記第2のセグメントが、前記第2のスリーブの前記保定構成において噛合わされるように構成されている、請求項17に記載の制御棒駆動機構熱スリーブ。
【請求項19】
前記円周方向に離隔された第1のセグメントの各々が、半径方向外向きに延在する第1の突出部を含み、前記円周方向に離隔された第2のセグメントの各々が、半径方向外向きに延在する第2の突出部を含み、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントが、前記第2のスロットのうちの1つの中に収容されている前記第1の突出部の各々および前記第1のスロットのうちの1つの中に収容されている前記第2の突出部の各々によって、噛合わせられている、請求項18に記載の制御棒駆動機構熱スリーブ。
【請求項20】
前記第2のセグメントの各々に、前記第2のセグメントから半径方向外向きに延在する突起が具備されており、前記突起の各々が、前記設置構成および前記保定構成において前記第1のスロットのうちの1つの中に収容されるように構成されている、請求項17に記載の制御棒駆動機構熱スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、原子炉圧力容器を通過する管をライニングするスリーブを交換するための方法および装置に関し、より具体的には、制御棒駆動機構(CRDM)ノズルまたはハウジングをライニングする熱スリーブを交換するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばウェスチングハウス社製の原子炉における原子炉容器クロージャヘッド(RVCH)は、高温制御棒駆動部が炉心から引き抜かれる場合にCRDMノズルを熱衝撃から遮蔽することを主たる機能とする熱スリーブを有する。熱スリーブは、時間をかけて振動により摩耗し、最終的に故障する。従来RVCHは、容器から取外されヘッドスタンド上に置かれ、その後、CRDMが完全に取外され、熱スリーブが交換される。
【0003】
仏国特許発明第2689297号明細書は、CRDを取外すことなくスリーブ交換を可能にするように設計され、交換用スリーブのための担持部分を構成する外側フランジおよび内側フランジを含む交換用スリーブの使用を伴う工具を開示している。
【0004】
国際公開第2019/199335号および国際公開第2019/199336号は、CRDM熱スリーブを交換するための方法および装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】仏国特許発明第2689297号明細書
【文献】国際公開第2019/199335号
【文献】国際公開第2019/199336号
【発明の概要】
【0006】
原子炉圧力容器を通過する管をライニングする損傷したスリーブを交換する方法が提供される。損傷したスリーブは、管内に損傷したスリーブを保定するために管の支持区分上に載るように構成された半径方向に拡大された端部部分を含む端部を有している。該方法は、管から損傷したスリーブを取外すステップと;半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成の間で変形させられるように構成された半径方向に可変な端部を伴う第1のスリーブ、および設置構成と保定構成の間で変形させられるように構成されたリテーナを含むスリーブアセンブリを提供するステップと;第1のスリーブの半径方向に可変な端部が支持区分によって収容されるような形で管内にスリーブアセンブリを設置するステップであって、半径方向に可変な端部は、設置中は半径方向に収縮された構成にあり、スリーブアセンブリが管内に設置された後は半径方向に拡張された構成にある、ステップと;リテーナを設置構成から保定構成まで変形させて、第1のスリーブの半径方向に可変な端部を半径方向に拡張された構成に保定するステップと;を含む。
【0007】
1つ以上の実施形態において、該方法は、以下の特徴を含み得る:
スリーブアセンブリを設置するステップは、半径方向に収縮された構成にある第1のスリーブの半径方向に可変な端部を、管の第1の端部内に挿入するステップを含む;
第1のスリーブの半径方向に可変な端部は、設置後に管の第2の端部内で半径方向に拡張された構成にある;
管の第1の端部は、管の下端部であり、管の第2の端部は、管の上端部である;
リテーナは、管内へのスリーブアセンブリの設置ステップ中、第1のスリーブの半径方向に可変な端部内に保持される第2のスリーブである;
第2のスリーブは、半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成の間で変形させられるように構成された半径方向に可変な端部を含む;
第2のスリーブは、設置構成において半径方向に収縮された構成にあり、保定構成において半径方向に拡張された構成にある;
第1のスリーブの半径方向に可変な端部は、第1のスロットにより互いから円周方向に離隔された複数の第1のセグメントを含み、第2のスリーブの半径方向に可変な端部は、第2のスロットにより互いから円周方向に離隔された複数の第2のセグメントを含む;
第1のセグメントと第2のセグメントは、半径方向内向きおよび半径方向外向きに可撓性を有する;
設置構成から保定構成までリテーナを変形させて第1のスリーブの半径方向に可変な端部を半径方向に拡張された構成に保定するステップは、第1のセグメントと第2のセグメントを噛合わせるステップを含んでいる;
円周方向に離隔された第1のセグメントの各々は、管内にスリーブアセンブリが設置された後、支持区分上に載っている半径方向外向きに延在する第1の突出部を含み、円周方向に離隔された第2のセグメントの各々は、管内にスリーブアセンブリが設置された後、支持区分上に載っている半径方向外向きに延在する第2の突出部を含む;
第1の突出部は第1のスロットにより互いから円周方向に離隔されており、第2の突出部は第2のスロットにより互いから円周方向に離隔されている;
第1のセグメントと第2のセグメントを噛合わせるステップには、第1の突出部の各々が第2のスロットのうちの1つの中に収容され第2の突出部の各々が第1のスロットのうちの1つの中に収容されるような形で第1のセグメントと第2のセグメントを整列させるステップが含まれる;
設置構成から保定構成までリテーナを変形させて第1のスリーブの半径方向に可変な端部を半径方向に拡張された構成に保定するステップには、第2のセグメントを変形させて第2の突出部を互いから半径方向外向きに押しやるステップと、第2のスリーブを下向きに引張り、こうして第2の突出部の各々が、第1のスロットのうちの1つの中にあり、かつ第1および第2の突出部が互いに軸方向整列状態になるようにするステップとが含まれている;
第2のセグメントの各々に、第2のセグメントから半径方向外向きに延在する突起が具備されている;
突起の各々は、管内にスリーブアセンブリを設置するステップおよびリテーナを設置構成から保定構成へと変形させるステップの間、第1のスロットのうちの1つの中に収容されている;
第1のスリーブは、半径方向に可変な端部の反対側である端部に漏斗を含む;
漏斗は、管内にスリーブアセンブリを設置するステップの間、第1のスリーブの一部である;
管は、原子炉圧力容器のクロージャヘッドを通過する制御棒駆動機構ノズルである;および/または
クロージャヘッドは、管内にスリーブを設置するステップ中、原子炉圧力容器の円筒形シェルから離隔されている。
【0008】
原子炉圧力容器の制御棒駆動機構ノズル内に挿入するための制御棒駆動機構熱スリーブも同様に提供される。該制御棒駆動機構熱スリーブは、半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成の間で変形させられるように構成された半径方向に可変な端部を含む第1のスリーブを含む。該半径方向に可変な端部は、半径方向に拡張された構成においては制御棒駆動機構ノズル内にスリーブを保定するように構成されている。第1のスリーブは同様に、半径方向に可変な端部の反対側のさらなる端部を含む。このさらなる端部は、このさらなる端部の端縁部を画定する最大直径縁部を有する円錐台状部分を有する漏斗を含んでいる。制御棒駆動機構熱スリーブは同様に、設置構成と保定構成の間で変形させられるように構成されたリテーナを含む。リテーナは、保定構成において半径方向に拡張された構成に第1のスリーブを保定するように構成されている。
【0009】
1つ以上の実施形態において、制御棒駆動機構熱スリーブは以下の特徴を含み得る:
リテーナは、設置構成および保定構成において第1のスリーブの半径方向に可変な端部内に保持された第2のスリーブである;
第2のスリーブは、半径方向に収縮された構成と半径方向に拡張された構成との間で変形させられるように構成された半径方向に可変な端部を含む;
第2のスリーブは、設置構成において半径方向に収縮された構成にあり、保定構成において半径方向に拡張された構成にある;
第1のスリーブの半径方向に可変な端部は、第1のスロットにより互いから円周方向に離隔された複数の第1のセグメントを含み、第2のスリーブの半径方向に可変な端部は、第2のスロットにより互いから円周方向に離隔された複数の第2のセグメントを含む;
第1のセグメントと第2のセグメントは、半径方向内向きおよび半径方向外向きに可撓性を有する;
第1のセグメントおよび第2のセグメントは、第2のスリーブの保定構成において噛合わされるように構成されている;
円周方向に離隔された第1のセグメントの各々は、半径方向外向きに延在する第1の突出部を含み、円周方向に離隔された第2のセグメントの各々は、半径方向外向きに延在する第2の突出部を含む;
第1のセグメントと第2のセグメントは、第2のスロットのうちの1つの中に収容されている第1の突出部の各々および第1のスロットのうちの1つの中に収容されている第2の突出部の各々によって、噛合わせられている;
第2のセグメントの各々に、第2のセグメントから半径方向外向きに延在する突起が具備されている;および/または
突起の各々は、設置構成および保定構成において第1のスロットのうちの1つの中に収容されるように構成されている。
【0010】
本発明について以下で、次の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】圧力容器から上向きに延在する複数のCRDM管アセンブリを含むPWRの原子炉圧力容器の断面図を概略的に示す。
【
図2】従来のCRDM管アセンブリのノズルおよび熱スリーブの詳細を例示する原子炉圧力容器のクロージャヘッドの断面図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る熱スリーブアセンブリの上端部の斜視図を示す。
【
図4a.4b】本発明の一実施形態に係る第1のスリーブの異なる図を示す。
【
図4c】第1のスリーブに連結するための漏斗の図を示す。
【
図5a.5b.5c】本発明の一実施形態に係る第2のスリーブの形をしたリテーナの異なる図を示す。
【
図6a-6e】ノズル内への、
図3~5cに示された熱スリーブアセンブリの設置を例示する。
【
図7】本発明の一実施形態にしたがって使用される圧縮工具の斜視図を示す。
【
図8】本発明の一実施形態にしたがって使用される溶接工具の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、下端部に漏斗を含む第1のスリーブと第1のスリーブを保定するためのリテーナを形成する第2のスリーブを含む交換用熱スリーブ、および、第1および第2のスリーブを互いに噛合せることを通してCRDMノズル内で所定の位置に第1のスリーブおよび第2のスリーブを係止することにより原子炉圧力容器内の損傷した熱スリーブを交換する方法を提供する。第1および第2のスリーブを噛合わせた後、第1および第2のスリーブを、ロール拡張、変形または溶接などの手段によって取付けることができる。
【0013】
図1は、圧力容器10から上向きに延在する複数のCRDM管アセンブリ12を含む加圧水型原子炉(PWR)の原子炉圧力容器10の断面図を概略的に示す。圧力容器10は、CRDM管アセンブリ12が半球形壁14aを通過している状態で、フランジ14bの頂上に位置付けされた半球形壁14aを含むRVCH14を含む。RVCH14は、スタッドおよびナットにより円筒形シェル16のフランジ16aに固定されているRVCH14のフランジ14bを介して、円筒形壁16の頂部に取外し可能な形で固定されている。半球形壁14aは、圧力容器10の内部20から離れる方向に面した外部半球形表面18および内部20に向かって面した内部半球形表面22を含む。CRDM管アセンブリ12は、外部半球形表面18および内部半球形表面22の両方を貫通して延在する。原子炉の動作中、RVCH14は、円筒形シェル16の頂部に固定されている。燃料補給作業中、RVCH14は、円筒形シェル16から取外される。
【0014】
図2は、破断線によって中断されているCRDM管アセンブリ12の詳細を例示するRVCH14の断面図を示す。CRDM管アセンブリ12は、壁14a内に恒久的に固定されたノズル24の形をした外側管、およびノズル24をライニングする熱スリーブ26を含む。ノズル24は、壁14a内に形成された対応する孔を通過し、壁14aに対して溶接される。
【0015】
CRDM管アセンブリ12は、CRDM管アセンブリ12の長手方向に延在する中心軸CAが壁14aを通って垂直に延在するような形で位置付けされている。本明細書中で使用される軸方向、半径方向および円周方向なる用語は、CRDM管アセンブリ12の中心軸CAとの関係において使用されている。CRDM管アセンブリ12は、ノズル24の第1の端部28およびスリーブ26の第1の端部30が圧力容器10の外側に位置付けされるような形で、半球形表面18を通過して長手方向に突出する。CRDM管アセンブリ12は同様に、ノズル24の第2の端部32およびスリーブ26の第2の端部34が圧力容器10の内部20内に位置付けされるような形で半球形表面22を通過して長手方向に突出する。ノズル24は、壁14aを通って第1の端部28から第2の端部32まで延在する中間部分36を含み、スリーブ26は、壁14aを通って第1の端部30から第2の端部34まで延在する中間部分38を含む。
【0016】
ノズル24の第1の端部28は、壁14aから離れるようにスリーブ26の第1の端部30よりもさらに遠くへ垂直方向上向きに延在する。ノズル24の第1の端部28は、ノズル24の中間部分36よりも半径方向に厚く、かつ中間部分36の外側円周方向表面36aよりも中心軸CAからさらに半径方向に遠くにある外側円周方向表面40aを有する、半径方向に拡大された環状部分40を含む。半径方向に拡大された環状部分40は、中間部分36の内側円周方向表面36bと同じ直径の内側円周方向表面42aを有する下部区分42を含む。下部区分42の上方で、拡大された環状部分40の内径は、拡大された環状部分40の上部区分46の内側円周方向表面46aと接合するべく軸方向上向きに延在しながら内側円周方向表面42aから半径方向に離れるように延在する円錐台形の内側円周方向支持表面44aを有する環状肩部として形成された半径方向に拡大された支持区分44を画定する。上部区分46は、ノズル24の頂縁部46bを画定する。
【0017】
スリーブ26の第1の端部30は、熱スリーブ26の中間部分38よりも半径方向に厚く、かつ中間部分38の外側円周方向表面38aよりも中心軸CAからさらに半径方向に遠くにある外側円周方向表面48aを有する、半径方向に拡大された環状部分48を含む。半径方向に拡大された環状部分48は、ノズル24の半径方向に拡大された環状部分40の支持区分44によって支持されている。より具体的には、半径方向に拡大された環状部分48は、支持表面44a上に垂直方向に載っている下部表面48bを含む。経時的に、熱スリーブ26が受ける振動に起因して、半径方向に拡大された部分48において破損が発生し得る。
【0018】
スリーブ26の第2の端部34は、壁14aから離れるようにノズル24の第2の端部32よりも遠くに垂直方向下向きに延在する。スリーブ26の第2の端部は、中間部分38に固定されている漏斗50によって形成される。漏斗50は、中間部分の外側円周方向表面38aに固定された円筒形区分50a、および円筒形区分50aから下向きに延在する円錐台形区分50bを含む。円錐台形区分50bは、中間部分38から離れるように垂直方向下向きに延在するにつれて、半径方向に拡大する。ノズル24の第2の端部32は、実質的に円筒形の形状をしており、スリーブ26の中間部分38の一区分を取り囲む。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態に係る新品のまたは交換用の熱スリーブアセンブリ62の上端部60の斜視図を示す。熱スリーブアセンブリ62は、下端部に漏斗72(
図4c)を含む第1のスリーブ64、およびノズル24内に第1のスリーブ64を保定するためのリテーナを形成する第2のスリーブ66を含む。1つの好ましい実施形態においては、スリーブ64、66は、両方共、金属で形成されており、より具体的にはステンレス鋼であり得る。
【0020】
図3は、スリーブ64、66が互いとの関係において回転不能な形で固定されかつそれぞれの上端部65、67で互いに噛合わさるような形で共に連結された、第1のスリーブ64と第2のスリーブ66を示す。熱スリーブアセンブリ62の上端部60と熱スリーブ26の上端部28の間の差異以外、熱スリーブアセンブリ62は、原初の熱スリーブ26と同じように構成されている。より具体的には、第1のスリーブ64の上端部65と熱スリーブ26の上端部28の差異以外、第1のスリーブ64は、原初の熱スリーブ26と同じように構成されている。
【0021】
図4aおよび4bは、第1のスリーブ64の異なる図を示し、
図4cは、第1のスリーブ64に連結するための漏斗72の図を示す。
図4aは、第1のスリーブ64の断面側面図を示し、
図4bは、第1のスリーブ64の頂部平面図を示し、
図4cは漏斗72の断面側面図を示す。
【0022】
図4aおよび4bに示されているように、第1のスリーブ64の上端部65は、第1のスリーブ64の円筒形ベース区分70から上向きに延在する円周方向に離隔された軸方向に延在する第1のスロット76によって互いから離隔させられた複数の円周方向に離隔された第1のセグメント74を含む。円筒形ベース区分70は、第2のスリーブ66の円筒形ベース区分96(
図5a~5c)を収容するための頂部部分70a、中間部分70b、および第1のスリーブ64の下端部90を画定する底部部分70cを含む。セグメント74の各々は、円筒形ベース区分70の頂部部分70aと接合する第1の下部ベース端部78、および下部ベース端部78から軸方向上向きに延在する長手方向に延在する第1のプロング82を含む。各々の第1のセグメント74について、上端部65において、各々の第1のプロング82は、それぞれのプロング82の外側円周方向表面82aを通過して半径方向外向きに延在する半径方向外向きの第1の突出部84と接合し、こうして、各突出部84の外側円周方向表面84aは外側円周方向表面82aよりも中心軸CAから半径方向により遠くに来るようになっている。半径方向外向きの突出部84は、スリーブ64の半径方向に拡大された端部部分を形成する。
【0023】
突出部84の各々は、プロング82および円筒形ベース区分70よりも半径方向に厚い。
図4aに示されているように、各々の突出部84の最内側円周方向表面84bは、中心軸CAからそれぞれのプロング82の内側円周方向表面82bと実質的に同じ半径方向距離のところにある。突出部84は、ノズル24の半径方向に拡大された環状部分40の支持区分44によって支持されるように構成されている(
図2)。より具体的には、突出部84の各々は、支持区分44の支持表面44a上に垂直方向に載るように構成された下部表面84cを含む(
図2)。突出部84は各々、
図4aに示されている実施形態においては半円錐台形の形状を有し最内側円周方向表面84bから上部表面84eまで半径方向外向きに延在するテーパ面を含む。各突出部84は同様に、2つの反対側の円周方向に面した側縁部84f、84gを含む。各突出部84のテーパ付き表面84dは、それぞれの突出部84の第1の縁部84fから第2の縁部84gまで円周方向に延在する。各突出部84の外側円周方向表面84aは、
図5aおよび5bに関連して以下で説明する翼108、109を収容するための段付き区分84hを画定する2つの異なる外径を有する。
【0024】
スロット86は各々、円筒形ベース区分70の頂部部分70aの頂部において、ベース縁部88aおよび2つの側縁部84f、84gから軸方向上向きに延在する、2つの軸方向に延在する長手方向縁部88b、88cである円周方向に延在するベース縁部88aによって画定される。第1の長手方向縁部88bは、ベース縁部88aから突出部84のうちの一つのそれぞれの上部側縁部84fまで軸方向上向きに延在し、第2の長手方向縁部88cは、ベース縁部88aから別の突出部84のそれぞれの側縁部84gまで軸方向上向きに延在する。各スロット86について、各縁部88bは、セグメント84のうちの1つのプロング82の側方縁部を形成し、各縁部88cは、別のセグメント84のプロング82 84の側方縁部を形成する。縁部88b、88cは各々、それぞれのプロング82の内側円周方向表面82bから外側円周方向表面82aまで半径方向に延在する。
【0025】
第1のスリーブ64は、半径方向に可変な端部の半径を変動させることができるように
変形可能である半径方向に可変な端部として上端部65が構成されるような形で、構成されている。より具体的には、上端部65は、上端部65がより小さい外径を有する半径方向に収縮された構成と、上端部65がより大きい外径を有する半径方向に拡張された構成との間で半径方向に拡張可能かつ半径方向に圧縮可能である。より具体的には、セグメント74は、セグメント74が半径方向に可撓性を有するような形で構成される。セグメント74は、半径方向に収縮された構成において上端部65を方向付けるべく半径方向内向きに変形可能であり、半径方向に拡張された構成において上端部65を方向付けるべく半径方向外向きに変形可能である。1つの好ましい実施形態において、セグメント74は、セグメント74に対し加えられた外部適用の半径方向内向きの力が上端部65を半径方向に収縮された構成へと移動させ、外部適用の半径方向内向きの力が除去されると、上端部65を半径方向に収縮された構成から半径方向に拡張された構成へと移動させるのに十分なものである半径方向外向きの力をセグメント74の構造が生成するような形で、十分な弾力性を伴って構成されている。一代替実施形態において、セグメント74は、外部適用の半径方向外向きの力が上端部65を半径方向に拡張された構成へと移動させ、外部適用の半径方向内向きの力が除去されると、上端部65を半径方向に収縮された構成から半径方向に拡張された構成へと移動させるのに十分なものである半径方向内向きの力をセグメント74の構造が生成するような形で、十分な弾力性を伴って構成されている。別の代替実施形態においては、セグメント74は、上端部65を半径方向に収縮された構成へと移動させるために外部適用の半径方向内向きの力が必要とされ、上端部65を半径方向に拡張された構成へと移動させるためにはいかなる外部適用の半径方向外向きの力も必要とされないような形で構成されている。
【0026】
図4cを参照すると、
図2に示されている漏斗50と同様に、漏斗72は、第1のスリーブ64の下端部90の外側円周方向表面90aに固定されるように構成されている円筒形区分72a、および円筒形区分50aから下向きに延在する円錐台形区分72bを含む。
【0027】
図5a、5bおよび5cは、第2のスリーブ66の形をしたリテーナの異なる図を示す。
図5aは、第2のスリーブ66の断面側面図を示し、
図5bは、第2のスリーブ66の頂部平面図を示し、
図5cは、第2のスリーブ66の底部部分の側面図を示す。
【0028】
図5aおよび5bに示されているように、第2のスリーブ66の上端部67は、第2のスリーブ66の円筒形ベース区分96から上向きに延在する円周方向に離隔された軸方向に延在する第2のスロット94によって互いから離隔させられた複数の円周方向に離隔された第2のセグメント92を含む。円筒形ベース区分96は、第2のスリーブ66の、中間部分98および下端部100を画定する。第2のセグメント92の各々は、第2のスリーブ66の中間部分98の頂部と接合する下部ベース端部102、および下部ベース端部102から軸方向上向きに延在する長手方向に延在する第2のプロング104を含む。各々のセグメント92について、上端部67において、各々の第2のプロング104は、それぞれのプロング104の外側円周方向表面104aを通過して半径方向外向きに延在する半径方向外向きの第2の突出部106と接合し、こうして、各突出部106の外側円周方向表面106aは外側円周方向表面104aよりも中心軸CAから半径方向により遠くに来るようになっている。半径方向外向きの突出部106は、スリーブ66の半径方向に拡大された端部部分を形成する。
【0029】
突出部106の各々は、プロング104および円筒形ベース区分96よりも半径方向に厚い。
図5aに示されているように、各々の突出部106の最内側円周方向表面106bは、中心軸CAからそれぞれのプロング104の内側円周方向表面104bと実質的に同じ半径方向距離のところにある。突出部106は、ノズル24の半径方向に拡大された環状部分40の支持区分44によって支持されるように構成されている(
図2)。より具体的には、突出部106の各々は、支持区分44の支持表面44a上に垂直方向に載るように構成された下部表面106cを含む(
図2)。突出部106は各々、
図4aに示されている実施形態においては半円錐台形の形状を有し最内側円周方向表面106bから上部表面106eまで半径方向外向きに延在するテーパ付き表面106dを含む。各突出部106は同様に、2つの反対側の円周方向に面した側縁部106f、106gを含む。各突出部106のテーパ付き表面106dは、それぞれの突出部106の第1の縁部106fから第2の縁部106gまで円周方向に延在する。各突出部106には、それぞれの突出部106の反対の側から円周方向に延在する2つの円周方向に延在する翼108、109が具備されている。より具体的には、各々の突出部106は、第1の縁部106fから円周方向に延在する第1の翼108、および第2の縁部106gから円周方向に延在する第2の翼109を含む。
【0030】
スロット94は各々、ベース区分96の中間部分98の頂部において、ベース縁部110aおよび2つの側縁部106f、106gから軸方向上向きに延在する、2つの軸方向に延在して円周方向に面する長手方向縁部110b、110cである円周方向に延在するベース縁部110aによって画定される。第1の長手方向縁部110bは、ベース縁部110aから突出部106の1つのそれぞれの側縁部106fまで軸方向上向きに延在し、第2の長手方向縁部110cは、ベース縁部110aから別の突出部106のそれぞれの側縁部106gまで軸方向上向きに延在する。各スロット94について、各縁部110bはセグメント92のうちの1つのプロング104の側方縁部を形成し、各縁部110cは、別のセグメント92のプロング104の側方縁部および突出部106を形成する。縁部110b、110cは各々、それぞれのプロング104の内側円周方向表面104bから外側円周方向表面104aまで、およびそれぞれの突出部106の最内側円周方向表面106bから外側円周方向表面106aまで半径方向に延在する。
【0031】
第2のスリーブ66は、設置構成と保定構成の間で変形させられるように構成されたリテーナである。詳細には、第2のスリーブ66は、半径方向に可変な端部の半径を変動させることができるように変形可能である半径方向に可変な端部として上端部67が構成されるような形で構成されている。より具体的には、上端部67は、上端部67がより小さい外径を有する半径方向に収縮された構成と、上端部67がより大きい外径を有する半径方向に拡張された構成との間で半径方向に拡張可能かつ半径方向に圧縮可能である。より具体的には、セグメント92は、セグメント92が半径方向に可撓性を有するような形で構成される。第2のスリーブ66は、設置構成において半径方向に収縮された構成にあり、保定構成において半径方向に拡張された構成にある。セグメント92は、半径方向に収縮された構成において上端部67を方向付けるべく半径方向内向きに変形可能であり、半径方向に拡張された構成において上端部67を方向付けるべく半径方向外向きに変形可能である。1つの好ましい実施形態において、セグメント92は、セグメント92に対し加えられた外部適用の半径方向内向きの力が上端部67を半径方向に収縮された構成へと移動させ、外部適用の半径方向内向きの力が除去されると、上端部67を半径方向に収縮された構成から半径方向に拡張された構成へと移動させるのに十分なものである半径方向外向きの力をセグメント92の構造が生成するような形で、十分な弾力性を伴って構成されている。一代替実施形態において、セグメント92は、外部適用の半径方向外向きの力が上端部67を半径方向に拡張された構成へと移動させ、外部適用の半径方向内向きの力が除去されると、上端部67を半径方向に収縮された構成から半径方向に拡張された構成へと移動させるのに十分なものである半径方向内向きの力をセグメント92の構造が生成するような形で、十分な弾力性を伴って構成されている。別の代替実施形態においては、セグメント92は、上端部67を半径方向に収縮された構成へと移動させるために外部適用の半径方向内向きの力が必要とされ、上端部67を半径方向に拡張された構成へと移動させるためにはいかなる外部適用の半径方向外向きの力も必要とされないような形で構成されている。
【0032】
図5cは、第2のスリーブ66の底部部分に、スリーブ64、66の互いとの関係における整列を維持するべく第1のスリーブ64のスロット76内に収容されるように構成された複数の円周方向に離隔された半径方向突起112が具備されていることを例示している。突起112は、セグメント92の下部ベース端部102、すなわちプロング104の底部上に具備されている。突起112は、プロング104の外側円周方向表面104aから半径方向外向きに延在する。突起112は、ノズル26上へのスリーブアセンブリ62の設置中、第1のスリーブ64との関係における第2のスリーブ66の回転運動を制限する(
図2~3b)。より具体的には、突起112の軸方向に延在し円周方向に面する縁部112a、112bは、軸方向に延在し円周方向に面する長手方向縁部88b、88cと円周方向に接触するように構成されており、ノズル26上へのスリーブアセンブリ62の設置中、第1のスリーブ64との関係における第2のスリーブ66の回転運動を制限する。
【0033】
図3~5cに示された実施形態において、スリーブ64、66は、第1のスリーブ64の各々の突出部84が直接第2のスリーブ66の2つの突出部106の間で第2のスリーブ66のスロット94の1つの中への挿入のために構成され、かつ第2のスリーブ66の各々の突出部106が直接第1のスリーブ64の2つの突出部84の間で第1のスリーブ64のスロット76の1つの中への挿入のために構成されるような形で、構成されている。詳細には、第1のスリーブ64の各々の突出部84は、スリーブ66が半径方向に拡張された構成にあるとき、突出部106の高さにある各々のスロット94とおおよそ同じ円周方向幅を有し、第2のスリーブ66の各々の突出部106は、スリーブ64が半径方向に拡張された構成にあるとき突出部84の高さにある各々のスロット76とおおよそ同じ円周方向幅を有する。
図3に示されているように、スリーブ64、66の両方がノズル26内のそれらの設置位置にある場合、第1のスリーブ64の突出部84の各々は、直接第2のスリーブ66の2つの突出部106の間で第2のスリーブ66のスロット94の1つの中に収容され、第2のスリーブ66の各々の突出部106は、直接第1のスリーブ64の2つの突出部84の間で第1のスリーブ64のスロット76の1つの中に収容される。これらの設置位置において、突出部84の各々は、2つの隣接する突出部106と円周方向に接し、突出部106の各々は、2つの隣接する突出部84と円周方向に接している。より具体的には、スリーブ64、66の設置位置において、各々の円周方向に面する側縁部84fは、1つの円周方向に面する側106fと接触し、各々の円周方向に面する側縁部84gは、1つの円周方向に面する側106gと接触する。セグメント74は、スリーブ64、66を共に回転固定するために噛合わせた形で、セグメント92間で留められる。詳細には、突出部106は、スリーブ64、66が共に回転固定されるように噛合わせた形で突出部84間において留められる。スリーブの設置位置において、翼108、109は、スリーブ64、66を共に係止する一助となるように、段付き区分84h内に係合する。
【0034】
本発明の一実施形態に係るスリーブアセンブリ62を用いたスリーブ26の交換方法について、ここで、
図1~8に関連して説明する。第1に、まずシェル16からRVCH14を取外し、下端部32へのアクセスが容易になるように、スリーブ交換を行なうためのヘッドスタンドの上に置く。次に、ノズル24からスリーブ26を取外す。1つの好ましい実施形態において、スリーブ26の半径方向に拡大された部分48をばらばらにして、ヘッドスタンド上にある間にRVCH14の下からノズル24を通して下端部32から外へ下向きにスリーブ26を引っ張ることができるようにする。スリーブアセンブリ62は、ヘッドスタンド上にある間に、下端部32からノズル24内に挿入されるように構成されている。
【0035】
該方法は、RVCH14の内部にスリーブアセンブリ62を提供するステップを含む。漏斗72をRVCH14の内部に提供する前に、第1のスリーブ64の下端部90上に漏斗72を設置することができる。スリーブ64、66をノズル24内に挿入する前に、第1のスリーブ64の上端部65を通して第1のスリーブ64の内側に、第1のスリーブ64と同軸的に第2のスリーブ66を設置する。第2のスリーブ66は、下端部100で、セグメント74がスロット94と半径方向に整列され、かつスロット76内に突起112を摺動させることによって、セグメント92がスロット76と半径方向に整列されている状態で、まずは第1のスリーブ64の上端部65を通して挿入される。第2のスリーブ66を第1のスリーブ64内へ軸方向に摺動させ、こうして、突出部84が突出部106から軸方向にオフセットされて、詳細には突出部106より垂直方向に高く位置付けされるようにする。
【0036】
その後、第1のスリーブ64の半径方向に可変な端部65および第2のスリーブ66の半径方向に可変な端部67が、支持区分44によって収容されるような形で、スリーブアセンブリ62をノズル24内に設置する。半径方向に可変な端部65、67は、設置中は半径方向に収縮された構成にあり、スリーブアセンブリ62がノズル24内に設置された後は半径方向に拡張された構成にある。
【0037】
設置には、まず突出部84が突出部106から軸方向にオフセットされて位置付けされ、上端部65、67が各々半径方向に収縮された構成にある状態で、スリーブアセンブリ62の上端部60をノズル24の下端部32内に挿入するステップが含まれる。半径方向に収縮された構成において第1のスリーブ64の上端部65を方向付けるためにセグメント74に対し半径方向内向きの力を加えることができ、半径方向に収縮された構成において第2のスリーブ66の上端部67を方向付けるためにセグメント92に対し半径方向内向きの力を加えることができ、こうして、突出部84の外側円周方向表面84a間の最大距離により定義される第1のスリーブ64の上端部65の最外側直径が、下端部32におけるノズル24の内径よりも小さく、かつ、突出部106の外側円周方向表面106a間の最大距離により定義される第2のスリーブ66の上端部67の最外側直径が、下端部32におけるノズル24の内径よりも小さくなるようになっている。例えば、
図6aに示されているように、第1のスリーブ64の内側に第2のスリーブ66が設置された後、
図6aではリングである圧縮工具120を、段付き区分84h内で突出部84の外側円周方向表面84a上に設置することができる。圧縮工具120の設置により、セグメント74は強制的に半径方向内向きに弾性変形させられ、こうして、セグメント74はプロング104においてセグメント92と接触させられ、同時にセグメント92は強制的に半径方向内向きに弾性変形させられる。圧縮工具120が設置された後、セグメント74、92は、第1のスリーブ64の可変端部65が圧縮工具120により半径方向に収縮された構成に保持され、かつ第1のスリーブ66の可変端部67が圧縮工具120により半径方向に収縮された構成にあるような形で、圧縮工具120によって保持される。このとき、スリーブ64、66の上端部65、76がそれらの半径方向に収縮された構成にある状態で、スリーブアセンブリ62は、ノズル24の第2の端部32を通して上向きに押し込められる。スリーブ64、66の上端部65、67がノズル24の第2の端部32内に挿入された後、圧縮工具120を下向きに摺動させることによってスリーブ64、66の端部65、67から圧縮工具120を取り外すことができる。
【0038】
図7は、セグメント74、92を半径方向内向きに弾性変形させるために使用可能である圧縮工具140の別の実施形態を示す。圧縮工具140は、2つの締結具144、145により共に保持される2つの挟持区分142、143を含むクイックコネクトクランプの形をしている。詳細には、各々の挟持区分142、143は、段付き区分84h内で突出部84の外側円周方向表面84aと接触するための内側円周方向表面142a、143aを有するそれぞれの半円形接触部分146、147および、それぞれの接触部分146、147の反対側の円周方向端部でそれぞれの接触部分146、147から半径方向外向きに延在する2つの締付部分148a、148b、149a、149bを含む。各々の締付部分148a、148b、149a、149bは、それぞれの締結具144、145を収容するために軸方向に貫通するそれぞれの孔150b、151a、151b(148aの孔は図中で遮られている)を含む。
【0039】
図7に示されている図において、挟持区分142の締結部分148aの孔は、挟持区分143の締結部分149bの孔151bと整列されており、締結具145は、締結部分148aの孔と孔151bの両方を合わせて通過させられている。締結具144は、孔150bの中に収容されるが、孔151aの中には収容されず、そのため、締結具145を中心にして、挟持区分142、143を共に回転させて、挟持区分142、143をスリーブ64、66の端部65、67に挟持し、セグメント74、92を半径方向内向きに圧縮することができる。ひとたび挟持区分142、143がスリーブ64、66の端部65、67を半径方向に収縮された構成へと弾性変形させた時点で、締結具144が孔151a内に導入されて、スリーブ64、66の端部65、67を半径方向に収縮された構成に保持する。スリーブ64、66の上端部65、67をノズル24の第2の端部32に挿入した後、締結具144を孔151aから引き出し、スリーブ64、66から圧縮工具140を取り外すことができる。
【0040】
より具体的には、
図6bに概略的に示されているように、圧縮工具120または140が取外された後、ノズル24内へのスリーブアセンブリ62の設置中、スリーブ64、66の可変端部65、67はそれぞれ、スリーブ64、66がノズル24を通って上向きに移動するにつれて、突出部84の外側円周方向表面84aと接触するノズル24の内側円周方向表面36bにより半径方向に収縮された構成に保持される。
図6bに示されているように、設置中、拡張工具122がスリーブ64、66の内側に収容され得る。拡張工具122は、半径方向に収縮された構成においてセグメントの最内側直径よりも小さい外径を有するポール124、およびポール124の端部にあるヘッド126を含む。ヘッド126は、半径方向に収縮された構成においてセグメントの最内側直径よりも大きい外径を有する。スリーブ64、66がノズル24を通って上向きに摺動させられるにつれて、ポール124はスリーブ64、66の内側にあり、ヘッド126は、スリーブ64の上方およびスリーブ66の大部分の上方に位置付けされる。
図6bに示されているように、ヘッド126の底部縁部126aは、突出部106の上部表面106eの下方でかつ表面106dに面して位置付けされ得る。
図6dは、ノズル24の上端部28にある半径方向に拡大された支持区分44に上端部65、67が到達した後、上端部65、67が半径方向に拡張される前の、スリーブ64、66の上端部65、67を示す。
【0041】
スリーブ64、66の上端部65、67が半径方向に拡大された支持区分44に達した後、スリーブ64の上端部65は、半径方向に拡張された配向へと半径方向に拡張され、第2のスリーブ66は、設置構成から保定構成まで弾性変形させられて、第1のスリーブ64の端部65を半径方向に拡張された構成に保定する。
【0042】
設置構成への変形には、まず、スリーブ64、66の上端部65、67がひとたびノズル24の支持表面44aの上方に来た時点で、スリーブ64、66の両方を
図6cに示された配向へと移動させるステップが関与する:スリーブ64の上端部65は、半径方向に拡張させられた配向へと半径方向に拡張させられ、こうして突出部84の外側円周方向表面84aは内側円周方向表面42aよりも中心軸CAから半径方向にさらに離れて位置付けされることになり、スリーブ68の上端部67は、半径方向に拡張された配向へと半径方向に拡張させられ、こうして、突出部106の外側円周方向表面106aは内側円周方向表面42aよりも中心軸CAから半径方向にさらに離れて位置付けされることになる。
【0043】
これは、底部縁部126aがセグメント92の表面106dと接触し、スリーブ66の上端部67、詳細にはセグメント92が半径方向外向きに押しやられるような形で、拡張工具122を下向きに引張ることによって行なわれ得る。スリーブ66の上端部67が半径方向外向きに押しやられるにつれて、セグメント92の外側円周方向表面はセグメント74の内側円周方向表面と接触し、スリーブ64の上端部65、詳細には突出部84が半径方向外向きに押しやられる。スリーブ66の上端部67は、半径方向に拡張された配向において、その後下向きに引張られ、こうして突出部106はスロット76内へ引き込まれることになり、そして突出部84と軸方向に整列した状態になり、一方突出部84はスロット94内に入りセグメント74をセグメント92と噛合わせられる。
【0044】
スリーブ64、66の上端部65、67の半径方向拡張、およびスロット76内の突出部84と突出部106の軸方向整列の間、翼108、109が、突出部84の外側円周方向表面84a内の段付き区分84h内で整列させられる。段付き区分84h内での翼108、109の整列は、所定の場所でスリーブ64、66を互いとの関係において係止するのを助ける。セグメント74、92が互いに噛合わされている、
図6eに示されたこの設置された配向において、第2のスリーブ66の円筒形ベース区分96は、
図8に示されている第1のスリーブ64の円筒形ベース区分70の頂部部分70aの内側でかつこの部分と同軸に配設されている。
【0045】
スリーブ64、66の上端部65、67の半径方向拡張およびスロット76内の突出部84と突出部106の軸方向整列の後、突出部84の下部表面84cおよび突出部106の下部表面106cは、ノズル24内において軸方向で所定の場所に第1のスリーブ64を保定するべく支持表面44aと接触した状態にある。突出部84の下部表面84cおよび突出部106の下部表面106cは、支持表面44aに軸方向に当接し、こうしてスリーブ64、66の上端部65、67が半径方向に拡張された構成にあるとき、スリーブ64、66は下向きに引っ張ることはできない。上端部65、67がひとたび半径方向に拡張されて、突出部84がスロット94内にあり突出部106がスロット76内にあり、セグメント74とセグメント92が噛合うようになると、縁部84f、84gと縁部106f、106gの間の接触を介して突出部84、106を半径方向に収縮された構成へと半径方向内向きに収縮させることができず、スリーブアセンブリ62の上端部60が、ノズル24の上端部28内に係止される。このとき、スリーブ64、66は、例えば溶接によってさらに共に接合され得る。詳細には、スリーブ64、66は、
図8中に示された溶接工具150を用いて共に接合され得る。溶接工具150は、スリーブ64、66の内側に収容されるように構成され、スリーブ64、66を合わせて溶接するべくスリーブ64、66を加熱するように構成された溶接ヘッド152を含む。1つの好ましい実施形態においては、
図8に示されているように、スリーブ64は、第2のスリーブ66の下端部100の底部縁部100aと軸方向に当接するように構成されている環状肩部160をその内側円周に含んでおり、溶接工具150は、底部縁部100aと環状肩部160を互いに接合するべく溶接ヘッド152を介して底部縁部100aおよび環状肩部160を加熱することにより、スリーブ64、66を共に溶接することができる。
【0046】
以上の明細書中では、本発明について特定の例示的実施形態およびその実施例に関連して説明してきた。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載の本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、これに対してさまざまな修正および変更を加えることができるということが明らかである。したがって本明細書および図面は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0047】
10 原子炉圧力容器
12 CRDM管アセンブリ
14 RVCH
16 円筒形シェル
18 外部半球形表面
22 内部半球形表面
24 ノズル
26 スリーブ
44 支持区分
60 スリーブアセンブリの上端部
62 スリーブアセンブリ
64、66 スリーブ
65、67 スリーブの上端部
74、92 セグメント
76、94 スロット
82、104 プロング
84、106 突出部
112 突起
120、140 圧縮工具