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  • 特許-コネクタ及びそれを用いた電気接続構造 図1
  • 特許-コネクタ及びそれを用いた電気接続構造 図2
  • 特許-コネクタ及びそれを用いた電気接続構造 図3
  • 特許-コネクタ及びそれを用いた電気接続構造 図4
  • 特許-コネクタ及びそれを用いた電気接続構造 図5
  • 特許-コネクタ及びそれを用いた電気接続構造 図6
  • 特許-コネクタ及びそれを用いた電気接続構造 図7
  • 特許-コネクタ及びそれを用いた電気接続構造 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】コネクタ及びそれを用いた電気接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/20 20110101AFI20230320BHJP
   H01R 13/115 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H01R24/20
H01R13/115 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020034651
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021140861
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】林 耕平
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-100533(JP,U)
【文献】特開平07-006820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11,13/115,13/74
H01R 12/71
H01R 24/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコンタクトを有するプラグコネクタと、ソケットコンタクトを有するソケットコネクタとを備え、
前記プラグコンタクトは、スライド接触部を有し、
前記ソケットコンタクトは、突き合わせ方向と直交する方向から前記プラグコンタクトを差し込みスライド当接する溝部を有し、
前記プラグコネクタとソケットコネクタを用いた第1部材と第2部材との電気接続構造であって、
前記第1部材と第2部材のうち、一方に前記プラグコネクタを有し、他方に前記ソケットコネクタを有し、
前記第1部材と第2部材とを相互に所定の位置に突き合せた後に一方の部材を突き合せ方向と直交する方向にスライドさせることで、前記プラグコネクタとソケットコネクタとを電気接続するものであり、
前記第1部材と第2部材とは相互に対向する面の一方に開口部を有し、
前記プラグコネクタとソケットコネクタのうち、一方を前記開口部の内側に固定し、他方を前記開口部に挿入した後にスライド接続するものであり、
前記開口部に挿入される前記プラグコネクタ又はソケットコネクタは、外部を保護するための外部シェルを有し、
前記外部シェルは、前記開口部に挿入誘導するガイド片を有していることを特徴とする電気接続構造。
【請求項2】
前記溝部は、前記プラグコンタクトのスライド接触部に線接触する幅広接触部を有し、
前記幅広接触部は弾性支持部にて弾性支持されていることを特徴とする請求項1に記載の電気接続構造。
【請求項3】
前記プラグコンタクトのスライド接触部はプレート形状であることを特徴とする請求項に記載の電気接続構造。
【請求項4】
前記プラグコネクタとソケットコネクタとの間、又は、前記第1部材と第2部材との間に、相互に離間するのを防止する抜止手段を有していることを特徴とする請求項に記載の電気接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材や部品間等を電気接続するのに用いられるコネクタ及びその接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気電子機器間あるいは電源側等と電気接続するのにコネクタが広く採用されている。
この種のコネクタはプラグコネクタをソケットコネクタに突き合せるように差し込み嵌合されるものである。
しかし、寸法精度の低い大きなパネル型部材や箱型部材、部品間を直接電気接続するのは相対的な位置ずれが大きく、従来は部材や部品を連結後にケーブルや中継コネクタを用いて後から電気接続していた。
これでは現場での組立作業に工数が掛かるだけでなく、別途中継コネクタを部材等に収納する作業等が必要となる問題があった。
【0003】
特許文献1には、コンタクト部材をばね部材で支持した電気コネクタを開示する。
しかし、同公報に開示する電気コネクタはレセプタクルコネクタの構造が複雑であり、電子部品のように小型なものを電気接続するのには適してはいるが上記のような問題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-19296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、構造がシンプルであり、相互の位置ずれによるストレスを緩和しながら部材や部品間の電気接続を可能とするコネクタ及びその電気接続構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコネクタは、プラグコンタクトを有するプラグコネクタと、ソケットコンタクトを有するソケットコネクタとを備え、前記プラグコンタクトは、スライド接触部を有し、前記ソケットコンタクトは、突き合わせ方向と直交する方向から前記プラグコンタクトを差し込みスライド当接する溝部を有することを特徴とする。
プラグコネクタとソケットコネクタとが突き合う方向に対して、およそ直交する上下又は左右方向をスライド方向とする。
【0007】
本発明において、前記溝部は、前記プラグコンタクトのスライド接触部に線接触する幅広接触部を有し、前記幅広接触部は弾性支持部にて弾性支持されていてもよく、前記プラグコンタクトのスライド接触部はプレート形状であってもよい。
【0008】
このようにすると、突き合わせ方向のずれは線接触する幅広接触部とプレート形状のスライド接触部との接触にて吸収し、スライド方向のずれはプレート形状のスライド接触部で吸収する。
また、スライド方向と嵌合方向の両方におよそ直交するピッチ方向のずれは弾性支持部で吸収する。
【0009】
本発明に係る電気接続構造は、上記のコネクタを用いた第1部材と第2部材との電気接続構造であって、前記第1部材と第2部材のうち、一方に前記プラグコネクタを有し、他方に前記ソケットコネクタを有し、前記第1部材と第2部材とを相互に所定の位置に突き合せた後に一方の部材を突き合せ方向と直交する方向にスライドさせることで、前記プラグコネクタとソケットコネクタとを電気接続するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記第1部材と第2部材とは相互に対向する面の一方に開口部を有し、前記プラグコネクタとソケットコネクタのうち、一方を前記開口部の内側に固定し、他方を前記開口部に挿入した後にスライド接続するものであってもよい。
これにより、他方のプラグコネクタ又はソケットコネクタを一方の開口部に挿入するように仮接続(仮位置決め)した後にスライドさせることで電気接続できる。
【0011】
本発明においては、前記開口部に挿入される前記プラグコネクタ又はソケットコネクタは、外部を保護するための外部シェルを有し、前記外部シェルは、前記開口部に挿入誘導するガイド片を有していてもよい。
外部シェルに設けたガイド片が開口部に挿入されるのを案内するので、プラグコネクタ又はソケットコネクタを開口部の内側に挿入し易くなる。
【0012】
本発明において、前記プラグコネクタとソケットコネクタとの間、又は、前記第1部材と第2部材との間に、相互に離間するのを防止する抜止手段を有しているのが好ましい。
このようにすると、相互のずれを吸収しながら電気接続された部材や部品同士が外れるのを防止する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るコネクタは、ソケットコネクタのソケットコンタクトに形成した溝部にプラグコネクタのプラグコンタクトをスライド方向から差し込みスライド当接する。
これにより、従来の突き合せコネクタに比較して嵌合方向のずれを吸収するのが容易になる。
また、プラグコンタクトをプレート形状にし、溝部の幅広接触部を弾性支持部にて弾性支持することで、スライド方向、ピッチ方向のずれも大きく吸収できる。
本発明に係るコネクタは、シンプルな構造でありながら、プラグコネクタとソケットコネクタとを固定した部材や部品間の連結及び電気接続に対する現場での作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るコネクタの外観図を示し、(a)、(b)はプラグコネクタとソケットコネクタの嵌合前の状態を、(c)は嵌合した状態を示す。
図2】ソケットコネクタの構造例を示し、(a)は斜面図を、(b)は底面図を示す。
図3】ソケットコネクタの分解図を示す。
図4】(a)はソケット部とプラグコネクタの構造例を示し、(b)はソケットコンタクトの断面図を示す。
図5】ソケットコンタクトの溝部にプラグコンタクトがスライド当接することの説明図を示す。
図6】コネクタを部材に固定した実施例を示す。
図7】(a)~(c)は、部材間の連結及び電気接続の方法例を示す。
図8】(a)、(b)は、プラグコネクタとソケットコネクタの嵌合状態を説明するための上視平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るコネクタの構造例を以下、図に基づいて説明する。
コネクタは図1に示すように、プラグコネクタ10とソケットコネクタ20とからなる。
一般的には、電気接続する電気電子機器と他の電源部、電気電子機器間等を連結するのに一対のコネクタが用いられる。
その場合、例えば図1(c)にて説明すると、一方に設けられたプラグコネクタを他方に設けたソケットコネクタに向けてそのまま突き合わせ方向に差し込む構造になっている。
これに対して本発明は図1(a)、(b)に示すように、上下方向にソケットコネクタ20とプラグコネクタ10とをスライド接触させる点に特徴がある。
【0016】
プラグコネクタ10は、樹脂製からなるプラグハウジング12の上端側に差込部を設け、メッキ処理を施した銅合金製からなるプラグコンタクト11が組み込まれている。
ここで、プラグコンタクト11はプレート形状になっている。
プラグコネクタ11がプレート形状であればプラグハウジング12の形状は特に限定されず、プラグコネクタ10は図1に示すようなストレートタイプのプラグや、図4に示すような直角方向に折り曲げたプラグでもよい。
【0017】
ソケットコネクタ20の構造例を図2に、その分解図を図3に示す。
ソケットコネクタ20は、ソケット部24の先端側のソケットコンタクト21を樹脂製からなるソケットハウジング25と、更に金属製からなる外部シェル26が覆うことで形成される。
ソケット部24はソケットコンタクト21の後端側に接続端子21gを有し、ケーブル22の芯線22aが連結されている。
ケーブル22は、ケーブル22を保護する保護部材23にて被覆されていてもよい。
ソケットコンタクト21は、例えばスズメッキ処理を施した銅合金製であり、ソケットコンタクト21の断面図を図4(b)に示す。
ソケットコンタクト21は、上壁21dとその両側から折り曲げた側壁21e、21eとでプラグコンタクト11が差し込まれる溝部21aを形成する。
溝部21aは側壁21eの下方から溝部21aの内側に向けて折り返した弾性支持部21bを有し、バネ等からなる弾性支持部21bは側壁21eと一体的に設けられている。
図5に示すように、溝部21aにスライド方向からプラグコンタクト11が差し込まれることになるが、その際スライドするプラグコンタクト11に当接し易いように弾性支持部21bの先端部は山形に形成されている。
ここで、弾性支持部21bの山形の頂部は突き合わせ方向に線接触する幅広接触部21cを形成し、この幅広接触部21cは弾性支持部21bにて弾性支持されている。
両側の側壁21e、21eに設けられた弾性支持部21b、21bは、互いに相手側に向けてプラグコンタクト11を弾性押圧することでプラグコンタクト11を狭持する。
この弾性接触部21bの撓みによってプラグコンタクト11のピッチ方向のずれも吸収し易くなる。
ここで、プラグコンタクト11が弾性支持部21bにスライド当接する面をスライド接触部11aとすると、このスライド接触部11aがプレート形状になっているためにスライド方向、突き合わせ方向のずれを吸収する。
なお、ソケットコンタクト21の上壁21dにソケットハウジング25に係止するランス21fを設けているが、ソケットハウジング25にソケットコンタクト21が係止できればランスの位置は限定されない。
【0018】
本発明に係るコネクタは、図1(a)に示すようにソケットコネクタ20又は/及びプラグコネクタ10を突き合せ方向へ移動した後、(b)に示すように溝部21aにスライド方向からプラグコンタクト11を差し込みスライド当接することで、(c)に示すようにプラグコネクタ10とソケットコネクタ20とを嵌合接続する。
図6に、本発明に係るコネクタを第1部材1と第2部材2とに固定した実施例を示す。
第1部材1と第2部材2とが対向する面をそれぞれ対向面1a、2aとし、本実施例においては、対向面2aの外側にソケットコンタクト21の溝部21aが位置するようにソケットコネクタ20を固定し、対向面1aの内側にプラグコネクタ10を固定した。
なお、対向面2aの内側にソケットコネクタ20を固定し、対向面1aの外側にプラグコネクタ10を固定してもよい。
本実施例におけるプラグコネクタ10は、対向面1aに固定するためのプラグ固定孔12aをプラグハウジング12に有し、ソケットコネクタ20は、対向面2aに固定するためのソケット固定孔26aを有する。
なお、本実施例では外部シェル26の突出部26bにこの固定孔26aを設けてある。
プラグコネクタ10、ソケットコネクタ20はそれぞれ固定孔12a、26aを介して第1部材1の取付孔101、第2部材2の取付孔201に固定してある。
第1部材1には、対向面1aの内側にプラグコネクタ10を固定してあり、対向面1aの一部を切り欠いて開口した開口部100を有する。
開口部100はプラグコンタクト11の上方にソケットコネクタ20の外部シェル26が挿入可能な広さを有することで、対向面1aの内側でプラグコンタクト11とソケットコンタクト21とを嵌合し、これにより第1部材1と第2部材2とを電気接続する。
外部シェル26は、突き合せ方向に突出するとともに外部シェル26の内側に向かって傾斜するガイド片26cを有することで、ガイド片26cが外部シェル26を開口部100の内側に挿入誘導する。
これにより、図8(b)に示すように開口部100と外部シェル26のピッチ方向の幅が近似する場合であっても、外部シェル26が突き合せ方向から開口部100に挿入され、外部シェル26に保持されたソケットコンタクト21の溝部21aにスライド方向のプラグコンタクト11を差し込みスライド当接できる。
【0019】
ソケットコンタクト21の溝部21aにスライド当接して嵌合したプラグコンタクト11が相互に外れる方向に離間するのを防止するため、抜止手段を有するのが好ましい。
本実施例においては、第2部材2に設けたフック等の抜止部200を第1部材1に設けた抜止孔部102に係止するが、プラグコネクタ10又は/及びソケットコネクタ20に直接抜止手段を有してもよい。
例えば、プラグコネクタ10のプラグハウジング12に抜止孔部を設け、ソケットコネクタの20の外部シェル26に抜止部を設けてもよい。
図7(a)に示すように、第2部材2に設けたソケットコネクタ20が第1部材1の対向面1aに設けた開口部100の上部側空間に挿入されるように仮に位置合わせを行い、次に、(b)に示すように、ソケットコネクタ20を開口部100に挿入することで、抜止部200が抜止孔部102に挿入され、溝部21aにスライド方向からプラグコンタクト11を差し込みスライド当接することで、(c)に示すように抜止部200が抜止孔部102に係止されるとともにプラグコネクタ10とソケットコネクタ20とが電気接続される。
【0020】
本実施例では、第1部材と第2部材との間を連結しつつ電気接続する例を示したが、例えば、3以上の部材同士を連結しつつ電気接続する場合も含め、様々な部材、部品間の接続に応用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 第1部材
2 第2部材
10 プラグコネクタ
11 プラグコンタクト
11a スライド接触部
12 プラグハウジング
20 ソケットコネクタ
21 ソケットコンタクト
21a 溝部
21b 弾性支持部
21c 幅広接触部
24 ソケット部
25 ソケットハウジング
26 外部シェル
26c ガイド片
100 開口部
102 抜止孔部
200 抜止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8